説明

結合剤としてイソシアネート終端プレポリマーを使用する複合品および製造方法

本発明は、イソシアネートを、第三級窒素原子を含有する開始剤に基づくポリエーテルポリオールと反応させることによって得られるウレタン修飾イソシアネートから誘導されるポリウレタン結合剤によって粒子状物質を結合もしくは接着させるとによって得られる複合品に関連するものである。かかる複合品は、例えば、レクリエーション用マットもしくはタイル、スポーツもしくはランニング用トラック、またはフローリング、あるいはラミネートであり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合された粒子状物質(particulate substance)からなる複合品、結合剤として選択されたウレタン修飾イソシアネート接着剤を用いるその製造方法、および1つもしくは複数の層がそうした複合材生成物を含むラミネート生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン結合剤もしくは接着剤を使用して、例えば、ゴム、合成樹脂、木材の有機粒子、または砂や石英などの無機粒子から複合材生成物を生成させることは、一般に知られている。例えば、弾性粒子を結合するために二液型ポリウレタン結合剤(two-component polyurethane binders)を使用することは、特許出願DE1955267、および英国特許公開GB1373923およびGB1359761において記載されている。水分硬化一液型ポリウレタン結合剤は、GB1384619およびGB1294017において開示されている。
【0003】
通常、周知の二液型ポリウレタン結合剤に基づく複合材は、ポリイソシアネートをポリヒドロキシル化合物と混合し、同時にもしくは引き続いて粒子状物質とともにコンパウンド化することによって得られる。ポリイソシアネートは、大気からの水分とさらに反応する。2つの反応が行われる割合は、とりわけ、大気中の湿度、および粒子状材料内の残留湿分によって決まり、それは、容易に制御できない方式で複合材の加工および最終特性に影響を及ぼす。この欠点は、大気の水分との反応によってのみ硬化する一液型ポリウレタン結合剤(one-component polyurethane binders)を使用することによってある程度軽減される。あるいは、該欠点は、プロセス中に存在するウレタン触媒を選択することによって限定的に軽減することもできる。
【0004】
一液型結合剤は、通常、イソシアネート基を含有するプレポリマーからなり、通常はポリヒドロキシルの化合物(複数可)をモル過剰量(molar excess)のポリイソシアネートと反応させることによって取得してきた。しかし、周知の一液型ポリウレタン結合剤は、それらの化学構造および反応性によって決まる多様な欠点を有している。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートに基づくプレポリマーは、約0℃またはそれよりやや高い温度で結晶化する傾向を有するので、寒冷条件では貯蔵および使用に関する制限を有する。市販のジフェニルメタンジイソシアネートに基づき、トリイソシアネートおよびテトライソシアネート、ならびにジフェニルメタン系のより多官能性ポリイソシアネートをさらに含有する場合があるプレポリマーは、結晶化する傾向がはるかに少ないが、他方、室温におけるそれらの粘度が非常に高いのでシンナーもしくは溶媒の添加、あるいは高い加工温度によってそれらの粘度を後から改変しないと加工することが困難である。ある種の粒子状物質は、溶媒を吸収するために膨張し、後から硬化プロセスで放出し、問題、例えば、寸法安定性の欠落を引き起こす可能性があるという危険性があるので、溶媒の存在は望ましくない。揮発性有機物の放出に伴う環境問題に対する意識がさらに増加しているので、こうした溶媒の存在を避けることが望ましくなっている。
【0005】
ポリウレタン結合剤系の反応性に関して、触媒を使用することによって反応性プロフィールを改変することは極めて通常のことである。触媒に種類の選択によって、生成複合材の最終用途が限定される場合がある。
【0006】
ポリウレタン系の反応性プロフィールを改変する代替の手段は、本来反応性がより大きい出発材料、例えば、第三級窒素原子を含有するポリオールを用いることである。第三級窒素原子を含有するポリオールに基づくイソシアネート終端(terminated)プレポリマーは、特許公開US3317481およびUS4426487を含めての多様な刊行物において開示されている。公開EP1268598では、代替のアミン開始剤から誘導されるポリオールから可撓性ポリウレタン発泡体を生成するのに適したイソシアネート終端プレポリマーの一般的な調製が示唆されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
周知のポリウレタン結合剤の上記の欠点を軽減し、硬化時間および湿度に対する敏感性;溶媒もしくは触媒の存在に対する敏感性に伴う限定がより少ないこと;および向上した機械性能を含めたより容易な加工性を有する系を求める末端ユーザーの1つもしくは複数の希望に適合する代替のポリウレタン結合剤系によって複合品を製造することを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、イソシアネートを、第三級窒素を含有する開始剤から誘導されるポリエーテルポリオールと反応させることによって得られるウレタン修飾イソシアネートから誘導されるポリウレタン結合剤によって粒子状物質を結合もしくは接着させることによって得られる複合品に関連するものである。かかる複合品は、例えば、レクリエーション用マットもしくはタイル、スポーツもしくはランニング用トラック、またはフローリング、あるいはラミネートであり得る。
【0009】
第1の態様では、本発明は、ウレタン修飾イソシアネートに基づく非発泡ポリウレタン結合剤によって実質的に被覆された粒子状物質からなる複合材であって、ウレタン修飾イソシアネートが、
a)化学量論量より過剰の脂肪族もしくは芳香族ポリイソシアネートまたはそれらの混合物と、
b)分子量が1000から12000であり、次式
mA−(CH2n−N(R)−(CH2p−AHm 式(I)
[式中、nおよびpは、それぞれ独立に2から6の整数であり、
各出現におけるAは、それぞれ独立に酸素、窒素、イオウまたは水素であるが、但し、Aは、同時には1つのみが水素であり得、
Rは、C1からC3のアルキル基であり、
mは、Aが水素である場合、0に等しく、Aが酸素である場合、1であり、Aが窒素である場合、2である]
または、
2N−(CH2t−N−(R)−H 式(II)
[式中、tは、2から12の整数であり、
Rは、C1からC3のアルキル基である]
の少なくとも1つの開始剤分子をアルコキシル化することによって得られるポリエーテルポリオール(b1)を含むポリオール組成物との反応生成物であることを特徴とする複合材である。
【0010】
第2の態様では、本発明は、粒子状物質をウレタン修飾イソシアネート組成物と密接に接触させる第1のステップと、生成混合物が硬化し、複合品をもたらすことを可能にする続いてのステップとを含む、非発泡ポリウレタン結合剤によって実質的に被覆され、一緒に結合された前記粒子状物質を含む複合材を製造するための方法であって、ウレタン修飾イソシアネートが、上記の通りであることを特徴とする方法である。
【0011】
第3の態様では、本発明は、第2層と接触する第1層を備え、第1または第2層の少なくとも1つが、本明細書で上記した通りの複合材であるラミネート品である。
【0012】
第4の態様では、本発明は、本明細書で上記したのと同様のエラストマー片およびポリウレタン結合剤から誘導されたエラストマー性裏打層を備える、基材構造内に房状化された房状糸を含む上部房状パイルテキスタイル表面(upper tufted pile textile surface)を備えたマットである。
【0013】
ポリウレタン結合剤系として、窒素含有開始剤(複数可)からのポリオールに基づくこうしたウレタン修飾イソシアネートを使用すると、改良された硬化およびより良好な作業性とともにより望ましい反応プロフィールが提供されるので、例えば、スポーツ用表面などの複合材の調製が容易になることが分かった。製造活動において次のステップに進むことが可能になる前の待ち時間が著しく減少するので、硬化プロフィールの向上は操作および経済上の特徴を提供する。
【0014】
窒素含有開始剤(複数可)に基づくポリオールから誘導されるそうしたウレタン修飾イソシアネートを含むポリウレタン結合剤を使用することによって、ポリウレタン結合剤の硬化を加速するために通常存在する触媒の低減または排除さえ可能になる。これは、粒子状物質の水もしくは湿分含有量に対する敏感性が低減し、それによって、泡形成が起こりにくくなる系を提供するという利点を有する。こうした水敏感性の低減とともに、複合材を製造するための粒子状物質を乾燥および調製する際に要する時間が短くなる。硬化用触媒の存在の低減もしくは排除が可能であることは、今度は、そうしたポリウレタン結合剤系が、そうした触媒物質に伴う敏感性のためにこれまで排除されてきたある種の末端用途に利用可能であることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の複合品は、本明細書において開示されたウレタン修飾ポリイソシアネートから誘導された非多孔性ポリウレタンマトリックスもしくは結合剤によって実質的に被覆され一緒に結合された粒子状物質を含む。通常、複合品は、複合材の全重量に対して、50から99、好ましくは60から97、より好ましくは75から95重量%の粒子状物質を含むであろう。整合的に(commensurately)、非発泡ポリウレタンマトリックスは、複合材の全重量に対して、1から50、好ましくは3から40、より好ましくは5から25重量%を占めるであろう。
【0016】
かかる複合品は、小型物品でよいが、例えば、マットのラミネート成分などの一部の例では、空隙を含有する準小型物品でよい。複合品が、準小型物品である場合、通常、複合品は、50から95重量%の粒子状物質と、5から95重量%の非多孔質ポリウレタン結合剤とを含み、複合材の空隙体積は、15から85体積%であろう。
【0017】
粒子状物質は、無機もしくは有機物質、またはそれらの混合物でよい。無機物質の例は、砂、石英、大理石または他の粉砕した石、粉砕したガラス、またはセメント系材料である。砂などの無機物質に基づく複合材は、鋳物工業において利用され得る。有機物質の例は、ゴムのエラストマー性小片または再粉砕発泡材料、あるいは例えば、コルク、木材、ガラスまたは麦わらなどの粒子状リグノセルロース性物質である。本発明の複合材用の好ましい粒子状物質は、例えば、スチレンおよびブタジエンから誘導されたものなどのエラストマー性ゴム、再粉砕発泡材料またはコルクを含めての有機物質であり、それらは、任意選択で、回収/再循環材料でよい。こうした粒子状物質は、表面材;音響吸収材料;および、レクリエーション用表面、または舗装、またはルーフィング、または、マット、パッド、またはカーペット用タイルなどのフローリングにおける、上部もしくは下部層として利用される複合材の製造に極めて適している。粒子状有機物質の好ましい種類から複合品を調製する場合、有利には、その最長寸法における平均粒径は、約20mm未満、好ましくは約15mm未満、より好ましくは約10mm未満である。操作および加工の便利のために、有利には、その最長寸法における平均粒径は、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも3mmである。
【0018】
非多孔性ポリウレタン結合剤(non cellular polyurethane binder)は、イソシアネートと水以外のイソシアネート反応性材料を反応させることによって得られる二液型ポリウレタン結合剤でよい。あるいは、非多孔性ポリウレタン結合剤は、水の他に他のヒドロキシル含有物質のない状態でイソシアネートを硬化させることによって得られる一液型結合剤でもよい。両方の場合において、イソシアネートは、モル過剰のポリイソシアネートを、第三級窒素原子を有する開始剤に基づくポリエーテルポリオールを含むポリオール組成物と反応させることによって得られるウレタン修飾イソシアネートである。ウレタン修飾イソシアネートは、通常、1から23、好ましくは5から18、より好ましくは7から14重量%のイソシアネートを平均として含有するであろう。
【0019】
ウレタン修飾イソシアネートの調製において使用されるポリオール組成物は、窒素原子を含有する開始剤によって開始されない1つもしくは複数の追加のポリオール(複数可)を含んでよい。そうしたポリオールは、当技術分野でよく知られており、High Polymers、XVI巻;SaundersおよびFrischによる「Polyurethanes,Chemistry and Technology」、Interscience Publishers、New York、I巻、32〜42頁、44〜54頁(1962)およびII巻、5〜6頁、198〜199頁(1964);K.J.SaundersによるOrganic Polymer Chemistry、Chapman and Hall、London、323〜325頁(1973);およびDevelopments in Polyurethanes、I巻, J.M.Burst編、Applied Science Publishers、1〜76頁(1978)などの刊行物において記載されている。適切なポリオールの代表として、ポリエステル、ポリラクトン、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリカーボネートポリオール、および他の多様なポリオールが挙げられる。好ましくは、追加のポリオールは、ポリエーテルまたはポリエステルポリオールである。所望であれば、ポリオール調合物は、スチレン/アクリロニトリル(SAN)、ポリイソシアネート重付加生成物(PIPA)またはポリ尿素ポリオール(PHD)のコポリマーポリオールなどのコポリマーポリオールを含有してもよい。追加のポリオール(複数可)は、一般に、公称1.6から8個のヒドロキシル官能基および1000から12,000の分子量を有する。
【0020】
ウレタン修飾イソシアネートを調製する際に組成物中に存在する窒素含有開始剤からのポリオール(b1)量は、所与の最終用途向けのポリウレタン結合剤系内で必要とされる固有の反応性の程度に応じて変えることができる。一般に、適切な組成物は、ポリオール(b1)が、ポリオール組成物の全重量の5から60、好ましくは5から50、より好ましくは5から40重量%の量において存在するときである。ポリオールの残りは、非窒素含有開始剤からであり、ポリオールの全重量%は100である。
【0021】
ウレタン修飾イソシアネートを調製するのに用いるポリオール(b1)は、通常、1000から12000、好ましくは1500から8000、より好ましくは2000から6000ダルトン(Daltons)の平均分子量を有する物質であり、次式
mA−(CH2n−N(R)−(CH2p−AHm 式(I)
[式中、nおよびpは、それぞれ独立に2から6の整数であり、
各出現におけるAは、それぞれ独立に酸素、窒素、イオウまたは水素であるが、但し、Aは、同時には1つのみが水素であり得、
Rは、C1からC3のアルキル基であり、
mは、Aが水素である場合、0に等しく、Aが酸素である場合、1であり、Aが窒素である場合、2である]
または、次式
2N−(CH2t−N−(R)−H 式(II)
[式中、tは、2から12の整数であり、
Rは、C1からC3のアルキル基である]
の少なくとも1分子を含む開始剤をアルコキシル化することによって得られる。
【0022】
式Iの好ましい実施形態では、Rはメチルである。他の好ましい実施形態では、Rはメチルであり、nおよびpは、同じ値の整数である。より好ましい実施形態では、nおよびpは、2から4の整数である。好ましくは、Aが水素でない場合、各出現におけるAは、酸素または窒素のいずれかであろう。より好ましい実施形態では、一方のAは酸素、他方のAは窒素であり、最終ポリオールは、トリオールであろう。さらにより好ましい実施形態では、Aは、全ての出現において窒素であり、最終ポリオールは、テトロールであろう。
【0023】
式Iのアルキルアミンは、市販されている、あるいは、その開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4605772号などの当技術分野で周知の技法によって作製し得る。例えば、メチルアミンは、Aが酸素である化合物を生成するために、適切なアルキレンオキサイドと反応させる。好ましくは、アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、またはブチレンオキサイド(BO)であり、これによって、各Aが酸素である場合、nに対して2から4の好ましい範囲がもたらされる。そうした開始剤化合物の例は、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−メチルエタノール−プロパノール−アミンである。
【0024】
各Aが窒素である化合物を生成するために、メチルアミンは、アミンと反応し、追加の窒素を含有する任意の周知の反応性基と反応させ得る。例えば、2モルのX(CH2)NR’R’’は、1モルのメチルアミンと反応することができ、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表し、R’およびR’’はHまたはアルキル基でよく、nは上記で定義した通りである。そうした開始剤化合物の例として、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、2,2’−ジアミノ−N−メチルジエチルアミン、2,3−ジアミノ−N−メチル−エチル−プロピルアミンが挙げられる。
【0025】
1個のAが窒素であり、1個のAが酸素である化合物を生成するために、その開示が参照により本明細書に組み込まれているJP09012516に記載されている方法などの方法を使用し得る。
【0026】
式IIの一実施形態では、Rはメチルである。式IIのtは、好ましくは2から10、より好ましくは2から6、最も好ましくは2から4の整数である。好ましい実施形態では、Rはメチルであり、mは2から4の整数である。式IIの化合物は、当技術分野で周知の標準手順によって作製し得る。式IIの市販の化合物の例として、N−メチル−1,2−エタンジアミンおよびN−メチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
【0027】
開始剤をアルコキシル化することによってポリオールを生成することは、当技術分野でよく知られた手順によって行い得る。一般に、ポリオールは、アニオンもしくはカチオン反応、または二重金属シアナイド(DMC)触媒(double metal cyanide (DMC) catalyst)の使用によって、アルキレンオキサイド(EO、PO、もしくはBO)、またはアルキレンオキサイドの組合せを開始剤に付加することによって作製する。ただ1個のアルキレンオキサイドモノマーを使用する応用例もあり、モノマーのブレンドを使用する応用例もあり、一部の場合には、POの後にEOを供給する、またはEOの後にPOを供給するなど、モノマーを逐次的に付加することが好ましい。
【0028】
本発明では、過剰の上記のポリオール組成物と反応したポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートもしくは芳香族ポリイソシアネートまたはそれらの混合物を含む。適切な脂肪族ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。異性体を含めたトルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗MDI)を含む芳香族ポリイソシアネートが好ましい。好ましい実施形態では、芳香族ポリイソシアネートは、2環(2-ring)メチレンジフェニルイソシアネート (MDI) 異性体を、存在する全イソシアネートの少なくとも約40、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも60重量%含有するイソシアネート混合物である。好ましくは、MDIは、2,4’−および4,4’−メチレンジフェニルイソシアネート異性体をモル比10:90から90:10、好ましくは20:80から80:20、より好ましくは20:80から70:30で含む。イソシアネート混合物中にメチレンジフェニルイソシアネート以外を含む場合は、その残量は、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、 イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネートのカルボジイミドもしくはアロホネートもしくはウレトンイミン付加化合物、およびそれらの混合物を含んでもよい。組成物の残量を補給するのに好ましいイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネートのカルボジイミドもしくはアロホネート(allophonate)もしくはウレトンイミン付加化合物である。
【0029】
ウレタン修飾イソシアネートは、20〜100℃で、所望なら、第三級アミンまたはスズ化合物などのウレタン形成触媒の存在で、イソシアネートとポリオールを合わせることによって通常の仕方で調製する。イソシアネートとポリオールの相対量は、最終生成物が所望の遊離NCO含有量になるように選ばれる。プレポリマーの調製は、当業者には日常的な操作である;例えば、参照により本明細書に組み込まれている特許公開WO2004074343を参照されたい。
【0030】
本発明は、上記のウレタン修飾イソシアネートから誘導される非発泡ポリウレタンによって結合された粒子状物質の複合材;および1つもしくは複数のラメラがそうした複合品から構成され得るラミネート品に関するものである。そうした複合品およびラミネートを製造する方法は、参照により本明細書に組み込まれている文献中に広範に記載されている。かかる刊行物の例として、米国特許第4112176号;第4025579号;第4107100号;第4614686号;第4857368号;第5514722号;第5472743号;第6565918号;第6649696号;米国特許出願第2002/022086号;EP公開1312469;英国特許第1373923号;第1359761号;第1384619号;第1509108号;および第2035336号が挙げられる。
【0031】
要約すれば、非発泡ポリウレタン結合剤によって実質的に被覆され、一緒に結合された粒子状物質である複合材を製造する方法は、前記粒子状物質をウレタン修飾イソシアネート組成物と密接に接触させる第1のステップと、生成混合物が硬化し、複合品をもたらすことを可能にする続いてのステップとを含む。
【0032】
表面材、音響吸収材料、レクリエーション用表面または他の舗装またはフローリング向けの下層材において有用な粉砕ゴムエラストマー性複合材は、粒子状物質、通常、粉砕加硫ゴムをポリウレタン結合剤で被覆し、この混合物を表面まで運び、そこで拡げ、硬化させることによって容易に調製し得る。
【0033】
本発明のウレタン修飾イソシアネートを使用することによって無機粒子状物質から複合材を調製することもできる。例えば、ポリウレタン結合剤を使用して石英砂を結合する人工石の製造は、英国特許第1294017号に開示されている。
【0034】
ポリプロピレン生地または房状ナイロンまたはポリエステル編み生地またはポリエステル織布から構成し得る、テキスタイル表面を備えたマット;およびエラストマー小片、特に加硫ゴムと、ポリウレタン結合剤とを含むエラストマー裏打層を製造する方法は、参照により本明細書に組み込まれている下記の刊行物、EP−A−1518668、EP−A−1511894、EP−A−1511893、およびEP−1549797において開示されている。要約すれば、そうした方法は、エラストマー小片と結合剤を混合するステップと、小片/結合剤混合物を層状に堆積させるステップと、テキスタイル表面要素を該層上に置くことによってマットアセンブリを形成するステップと、エラストマー小片が強固になることによって、エラストマー小片間の空隙を含むエラストマー裏打層が形成され、テキスタイル表面要素がエラストマー裏打層に結合するように、結合剤を硬化させながらマットアセンブリをプレスするステップとを含む。
【0035】
以下の実施例は、本発明を例示するために与えられ、如何なる仕方においても限定するものとして解釈されるべきでない。別段の指示がない限り、部およびパーセンテージは全て重量によるものである。VORANOL、ISONATE、およびVORANATEは、The Dow Chemical Companyの商標である。
ポリオール1:ヒドロキシル当量重量(equivalent weight)が約1700であり、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミンを重量比12:88のEO/PO混合原料と反応させることによって得られるThe Dow Chemical Company製の専売特許のポリオール
ポリオールA:VORANOL1421としてThe Dow Chemical Companyから入手可能な、ヒドロキシル当量重量が約1700であるグリセリンEO/POポリオール
ポリオールB:VORANOL EP 1900としてThe Dow Chemical Companyから入手可能な、エチレンオキサイドでキャッピングしたプロピレンオキサイドに基づく分子量4000のジオール
ポリイソシアネートA:ISONATE 143LとしてThe Dow Chemical Companyから入手可能なカルボジイミド修飾MDT
ポリイソシアネートB:ISONATE OP50としてThe Dow Chemical Companyから入手可能な2,4’−および4,4’−MDIの重量50:50のブレンド
ポリイソシアネートC:VORANATE 229としてThe Dow Chemical Companyから入手可能な粗製メチレンジフェニルイソシアネート
【実施例1】
【0036】
本発明によるポリウレタン結合剤(結合剤1または2)を調製し、一般的な最新状況を代表するものと見なされる結合剤AおよびBと性能において比較する。ウレタン修飾イソシアネート組成物を以下の表1に示すのと同様に、ポリイソシアネートをポリオールと反応させることによって調製する。次いで、得られた結合剤を、少量の残留水の存在で、任意選択でHuntsman Chemicalsから入手可能なアミン触媒JEFFCAT DMDEEの存在で、粒子状スチレン−ブタジエンゴムと混合し、生成混合物を約90℃の温度に保持した金型内にこて塗りし、厚さ40mmのタイルを得る。組成物の開放時間および乾燥時間を表Iに示す。「開放時間」は、混合物を操作し得る時間間隔を表す;より長い開放時間が一般にこの分野では有利である。「乾燥時間」は、次の製造操作に進むことができるまでの、混合物が静止し、硬化しなければならない時間間隔を表す;より短い「乾燥時間」が一般にこの分野では望ましい。
【0037】
結合剤1および2は、魅力的な開放時間をもたらし、結合剤AおよびBよりすぐれた乾燥時間をもたらす;硬化触媒がない場合に著しい。
【0038】
【表1】

【0039】
本発明の他の実施形態は、この明細書の考察、または本明細書において開示されている本発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、単なる例示と見なされるものであり、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン修飾イソシアネート(a urethane-modified isocyanate)に基づく非発泡ポリウレタン結合剤によって実質的に被覆された粒子状物質からなる複合品(composite article)であって、
複合品の全重量に対して、
a)粒子状物質が、50から99重量%存在する;
b)非発泡ポリウレタン結合剤が、1から50重量%存在し、ウレタン修飾イソシアネートが、
i)化学量論量より過剰(stoichiometric excess)の脂肪族もしくは芳香族ポリイソシアネートまたはそれらの混合物と、
ii)分子量が1000から12000であり、次式
mA−(CH2n−N(R)−(CH2p−AHm 式(I)
[式中、nおよびpは、それぞれ独立に2から6の整数であり、
各出現におけるAは、それぞれ独立に酸素、窒素、イオウまたは水素であるが、但し、Aは、同時には1つのみが水素であり得、
Rは、C1からC3のアルキル基であり、
mは、Aが水素である場合、0に等しく、Aが酸素である場合、1であり、Aが窒素である場合、2である]
または、次式
2N−(CH2t−N−(R)−H 式(II)
[式中、tは、2から12の整数であり、
Rは、C1からC3のアルキル基である]
の少なくとも1つの開始剤分子(initiator molecule)をアルコキシル化(alkoxylation)することによって得られるポリエーテルポリオール(b1)を含むポリオール組成物との反応生成物であることを特徴とする複合品。
【請求項2】
粒子状物質が、有機材料である、請求項1に記載の複合品。
【請求項3】
粒子状有機物質が、エラストマー性ゴムまたは再粉砕発泡材料(reground foam material)、または粒子状リグノセルロース性物質(particulate ligno-cellulosic substance)を含む、請求項2に記載の複合品。
【請求項4】
リグノセルロース性物質が、コルク、木材、ガラスまたは麦わらを含む、請求項3に記載の複合品。
【請求項5】
粒子状物質が、無機材料である、請求項1に記載の複合品。
【請求項6】
粒子状無機物質が、砂、石英、大理石または他の粉砕した(ground)石、粉砕したガラス、またはセメント系材料を含む、請求項5に記載の複合品。
【請求項7】
粒子状物質をウレタン修飾イソシアネート組成物と密接に接触させる第1のステップと、生成混合物が硬化し、複合品をもたらすことを可能にする続いてのステップとを含む、非発泡ポリウレタン結合剤によって実質的に被覆され、一緒に結合された前記粒子状物質である複合品を製造するための方法であって、ウレタン修飾イソシアネートが、
a)化学量論量より過剰の脂肪族もしくは芳香族ポリイソシアネートまたはそれらの混合物と、
b)分子量が1000から12000であり、次式
mA−(CH2n−N(R)−(CH2p−AHm 式(I)
[式中、nおよびpは、それぞれ独立に2から6の整数であり、
各出現におけるAは、それぞれ独立に酸素、窒素、イオウまたは水素であるが、但し、Aは、同時には1つのみが水素であり得、
Rは、C1からC3のアルキル基であり、
mは、Aが水素である場合、0に等しく、Aが酸素である場合、1であり、Aが窒素である場合、2である]
または、
2N−(CH2t−N−(R)−H 式(II)
[式中、tは、2から12の整数であり、
Rは、C1からC3のアルキル基である]
の少なくとも1つの開始剤分子をアルコキシル化することによって得られるポリエーテルポリオール(b1)を含むポリオール組成物との反応生成物であることを特徴とする方法。
【請求項8】
第2層と接触する第1層を備え、第1または第2層の少なくとも1つが、請求項1に記載の複合材であるラミネート品。
【請求項9】
房状基材(tufting substrate)内に房状化された房状糸(tufts of yarn)を含む房状パイルテキスタイル表面(tufted pile textile surface)と、エラストマー小片(elastomer crumb)および結合剤からなるエラストマー裏打層(elastomer backing)とを備えた、請求項1に記載の複合品であるマット。
【請求項10】
エラストマー小片と結合剤を混合するステップと、小片/結合剤混合物を層状に堆積させるステップと、テキスタイル表面要素を該層上に置くことによってマットアセンブリを形成するステップと、エラストマー小片が強固になることによって、エラストマー小片間の空隙を含むエラストマー裏打層が形成され、テキスタイル表面要素がエラストマー裏打層に結合するように、結合剤を硬化させながらマットアセンブリをプレスするステップとを含む方法によって得られる、請求項9に記載のマット。

【公表番号】特表2009−511707(P2009−511707A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535557(P2008−535557)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/038280
【国際公開番号】WO2007/047073
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】