説明

結晶シリコン中の炭素濃度の分析方法

【課題】 極度に高純度の結晶シリコンの必要性、及び用いられる結晶シリコンでの正確な炭素濃度の決定の必要性により、10億原子あたりにつき50個よりもはるかに高感度である、結晶シリコン中での炭素濃度を分析する新たな方法を開発することが望まれている。
【解決手段】 結晶シリコン中の炭素濃度を分析する方法は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアからの切片を供する工程を有する。切り離され、かつアニーリングされたコアは、多結晶シリコン組成物から引き出され、柱状形状を有する。切り離され、かつアニーリングされたコアは、単結晶シリコン領域及び凍結溶融領域(freeze−out melt region)を有する。凍結溶融領域は、単結晶シリコン領域に隣接して設けられ、その領域は、柱状形状の長さ方向に間隔を空けて存在する。具体的には、前記シリコンコアからの切片には、凍結溶融領域から、その部分内の全凍結溶融領域が供される。その切片の炭素濃度は決定される。凍結溶融領域から切片を供することによって、多結晶シリコン組成物とは反対に、結晶シリコン中の炭素濃度の決定が、10億個の原子あたりにつき10個以下の感度で可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、結晶シリコン中の炭素濃度の決定方法に関する。より詳細には、本発明は、多結晶シリコン組成物から取り出される、ゾーン法で成長し、かつアニーリングされたシリコンコアから供される切片での炭素濃度の決定方法に関する。また本発明は任意で、ゾーン法で成長し、かつアニーリングされたシリコンコアの単結晶シリコン領域の炭素濃度の決定方法にも関する。また本発明は任意で、多結晶シリコン組成物中の炭素濃度の決定方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子部品の製造には、結晶シリコンが利用される。より詳細には、結晶の完全性が非常に高い単結晶シリコンが利用される。単結晶シリコンの品質を制御するには、単結晶シリコンが生成される多結晶シリコン中での混入物質の濃度を決定できることが重要である。
【0003】
単結晶シリコンの品質に影響を及ぼし、かつ標準的な方法によって一般的に分析される混入物質の1つは炭素である。結晶シリコン中での炭素濃度を分析する標準的な方法は、ASTM F−1723−02で説明されている。結晶シリコンは、多結晶シリコン、単結晶シリコン又は単結晶シリコンの断面であって良い。単結晶シリコンの断面での炭素濃度に基づく、多結晶シリコン及び単結晶シリコンでの炭素濃度の決定には、様々なアルゴリズムが用いられる。赤外線吸収を用いて、結晶シリコンの炭素濃度を分析する具体的な方法が、ASTM F−1391−93で説明されている。
【0004】
ASTM F−1723−02で説明されているような、結晶シリコン中の炭素濃度の分析方法では、多結晶シリコン組成物が供される。多結晶シリコンコアすなわちインゴットは、多結晶シリコン組成物から取り出される。多結晶シリコンコアは続いて、1360℃で2時間アニーリングされる。厚さ2mmの断面が、アニーリングされた多結晶シリコンコアから切り出される。その厚さ2mmの断面での炭素濃度は、ASTM F−1391−93に従ったフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって決定される。断面での炭素濃度に基づいて、多結晶シリコン組成物中の高い炭素濃度が、周知アルゴリズムに基づいて決定可能である。
【0005】
たとえ結晶シリコン中の炭素濃度を分析する現在の方法が有用な結果をもたらすとしても、その結果は、10億原子にあたりにつき約50個以上の炭素濃度の差異にしか感度を有していない。極低温のFTIR分析は、より高感度での炭素濃度の決定が可能であると思われる。しかし、極低温FTIR分析の実行に必要な装置は高価であり、正確な結果を得るのに精密な環境制御が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
極度に高純度の結晶シリコンの必要性、及び用いられる結晶シリコンでの正確な炭素濃度の決定の必要性により、10億原子あたりにつき50個よりもはるかに高感度である、結晶シリコン中での炭素濃度を分析する新たな方法を開発することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、結晶シリコン中での炭素濃度の分析方法を提供する。本方法では、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから切片が供される。切り離され、かつアニーリングされたコアは多結晶シリコン組成物から引き出され、かつ柱状形状を有する。切り離され、かつアニーリングされたコアは、単結晶シリコン領域及び凍結溶融領域(freeze−out melt region)を有する。凍結溶融領域は、単結晶シリコン領域に隣接して設けられ、その領域は、柱状形状の長さ方向に間隔を空けて存在する。具体的には、前記シリコンコアからの切片には、凍結溶融領域から、その部分内の全凍結溶融領域が供される。その切片の炭素濃度は決定される。任意で、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアは、前記シリコンコアからの切片の炭素濃度、前記シリコンコアからの切片の質量、単結晶シリコン領域の質量、及び有効偏析係数に基づいて決定される。また任意で、結晶シリコン組成物の炭素濃度は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの炭素濃度に基づいて決定される。
【発明の効果】
【0008】
凍結溶融領域から切片を供することによって、多結晶シリコン組成物とは反対に、結晶シリコン中の炭素濃度の決定が、10億個の原子あたりにつき10個以下の感度で可能となる。10億個の原子あたりにつき10個以下の感度での、結晶シリコン中の炭素濃度の決定は、多結晶シリコン組成物中での炭素濃度よりも、凍結溶融領域での炭素濃度が高いことに基本的には起因する。その結果、多結晶シリコンコア中の炭素濃度における測定不能な差異は、凍結溶融領域間で拡大され、かつ測定可能となる。それにより、結晶シリコン中の炭素濃度の決定において、10億個の原子あたりにつき10個以下の感度での測定が可能となる。
【0009】
他の利点については、添付の図と一緒に、以降の説明を参照することですぐに分かるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の方法は結晶シリコン中の炭素濃度の分析方法に関する。結晶シリコン、より詳細には単結晶シリコンは、集積回路、及び、たとえば整流器、トランジスタ、光トランジスタ等の他の電子部品の製造に用いられる。集積回路及び他の電子部品で利用される理想的な単結晶シリコンは結晶の完全性が非常に高い。その理由は、結晶シリコン中の欠陥は小数キャリア寿命に影響を及ぼすからである。欠陥は、多結晶シリコン組成物中のグレイン境界で生じる。グレイン境界を除去するため、多結晶シリコン組成物は、たとえばチョコラルスキー(CZ)結晶成長又はフローティングゾーン(FZ)成長のような周知の方法によって、単結晶シリコンに変換される。結晶シリコン中での欠陥はまた、たとえば炭素のような混入物質の存在によっても生じる。炭素は原料中、つまり結晶シリコンが精製される石英岩中で当然に存在していると考えられる。結晶シリコン中の炭素濃度は、100万個の原子あたりにつき1個のスケールで分析される。それゆえ、分析が極度に清浄な環境で実行されない場合には、結晶シリコン生成中に有害な量の炭素が結晶シリコン中に導入される恐れがある。
【0011】
ごく少量の炭素でさえも結晶シリコンの性能及び品質に影響を及ぼすため、結晶シリコン中での炭素濃度を決定できることが重要である。本発明の目的では、結晶シリコンは、多結晶シリコン組成物、多結晶シリコン組成物から引き出された、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの単結晶シリコン領域、又は切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから供される切片であって良い。多結晶シリコン組成物中、及び、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの単結晶シリコン領域中での炭素濃度の決定は任意である。結晶シリコンでの炭素濃度を分析するためには、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから供される切片での炭素濃度の決定のみが必要である。
【0012】
本発明の方法にとっては、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアは、多結晶シリコン組成物から供されて良い。あるいはその代わりに、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアからの切片が、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから供される。これについては以降で詳述する。換言すれば、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアからの切片は、結晶シリコン中での炭素濃度分析のカギである。それは、第3者がその切片を提供するか否か、又はその切片が、炭素濃度を分析する部分と同一位置にある、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから取り出されたか否かに関係ない。同様に、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアは第3者によって提供されて良い。又は、多結晶シリコンコアは、多結晶シリコン組成物から引き出されても良いし、かつ多結晶シリコンコアは、炭素濃度を分析する部分と同一位置にある、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから取り出されて良い。一般的には、混入物質が混入する危険性があるため、多結晶シリコンコアは、多結晶シリコン組成物から引き出され、多結晶シリコンコアは、切り離され、かつアニーリングされることで、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアを生成し、かつ分析用に供される切片は、炭素濃度の分析が行われる部分と同一位置にある、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから取り出される。
【0013】
多結晶シリコン組成物は、当技術分野で既知の方法によって生成されて良い。より詳細には、多結晶シリコン組成物は、加熱されたシリコン素子上、つまりフィラメント上に、シランを化学気相成長させることで生成される。多結晶シリコン組成物は一般的には柱状形状を有する。しかし、多結晶シリコン組成物は、当技術分野で既知の方法によって生成されて良いことは理解すべきである。多結晶シリコン組成物は、他の装置へ送るために、切り出され、かつパッケージングされて良い。そこで、その切り出されたシリコン組成物から単結晶シリコンが生成されて良い。多結晶シリコン組成物を切り出し、かつパッケージングする前に、多結晶シリコン組成物中での炭素濃度を分析するために、一般的には、多結晶シリコン組成物から多結晶コアが取り出される。しかし、多結晶シリコン組成物中での炭素濃度の分析は、切り出し及びパッケージング後でも可能であることは理解すべきである。
【0014】
多結晶シリコンコアは、適切な方法によって多結晶シリコン組成物から引き出されて良く、かつ多結晶シリコン組成物の柱状形状に垂直又は平行に引き出されて良い。一般的には、多結晶シリコンコアは、ドリルプレスを用いたダイアモンドコアドリルによって、多結晶シリコン組成物から取り出される。多結晶シリコンコアは、約15mmから約25mmの範囲で、典型的には19mmの直径を有して良い。多結晶シリコンコアは、約50mmから約120mmの範囲で、典型的には90mmの長さを有して良い。多結晶シリコンコアが、多結晶シリコンコアの区域化に用いられるフローティングゾーン結晶成長装置の範囲内に適合できる限り、多結晶シリコンコアの厳密な直径及び長さは重要ではない。
【0015】
多結晶シリコンコアが多結晶シリコン組成物から引き出された後、多結晶シリコンコアは、たとえばオゾンのような、表面の炭素のような混入物質を除去するのに適切な溶媒を用いることによって、脱脂される。多結晶シリコンコアは続いて酸でエッチングされる。より詳細には、酸は、典型的には硝酸溶液又はフッ酸溶液である。多結晶シリコンコアは一般的に、酸を含む清浄なエッチングボート(etch boat)内に設置され、十分長い時間エッチングされることで、多結晶シリコンコアの表面から約100μmが除去される。その目的は、多結晶シリコンコアを引き出した後に存在する恐れのある混入物質を除去するためである。多結晶シリコンコアのエッチング方法は当技術分野では既知であり、具体的にはASTM F 1723−03で説明されている。
【0016】
多結晶シリコンコアは切り離されることで、切り離されたシリコンコアを生成する。上述したように、多結晶シリコンコアは、フローティングゾーン結晶成長装置でフローティング成長する。多結晶シリコンをフローティングゾーン成長する具体的方法は当技術分野で既知であり、ASTM F 1723−03で説明されている。その結果切り離されるシリコンコアは柱状形状を有し、単結晶シリコン領域及び凍結溶融領域を含む。凍結溶融領域は、単結晶シリコン領域に隣接して設けられ、その領域は柱状形状の長さに沿って間隔を空けて存在する。
【0017】
一般的には、単結晶シリコン領域は、約14.75mmから約15.25mmの直径を有し、約90mmから約120mmの長さを有する。凍結溶融領域は典型的には、約10mmから約20mmの範囲の直径を有し、より典型的には約10mmの直径を有する。たとえ上述の範囲が切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの典型的な大きさを表すとしても、使用される具体的なフローティングゾーン結晶成長装置に依存して他の範囲も可能となることは理解すべきである。典型的には、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアは、凍結溶融領域に隣接し、単結晶シリコン領域と対向する位置に設けられるタングエンド(tang end)領域をさらに有する。タングエンド領域は多結晶シリコンを有する。その多結晶シリコンは、多結晶シリコンコアから残され、かつ切り離されていない。たとえタングエンド領域が、切り離されたシリコンコアに存在する必要がないとしても、タングエンド領域は、切断用装置又は区域化用機械に切り離されたシリコンコアをマウントするのに用いられて良い。
【0018】
切り離されたシリコンコアはオーブン中で、少なくとも1150℃で、一般的には1150℃から1360℃の範囲の温度で、少なくとも2時間アニーリングされる。アニーリングにより、切り離されたシリコンコア内部での内部応力が減少する。さらにアニーリングにより、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから供された部分での炭素濃度の決定に係る満足できる結果が得られる。上述のように、本発明の目的では、重要な態様は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの切片は、その切片の出所、又はその切片を供するのに用いられた方法に関係なく供される。そのようなものとして、本発明は、第3者によって生成される、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアからその切片を供することによって実施されて良いことに留意すべきである。
【0019】
上述したように、その切片は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから供される。より詳細には、その切片は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの凍結溶融領域から供される。それにより、その切片は、全体が凍結溶融領域となる。その切片は一般的には、凍結溶融領域の断面である。しかし、その断面は、ある切り口の一部であっても良く、それでも断面での炭素濃度の決定に基づいて有用な結果を提供できることに留意すべきである。その切片は、約3.5mmから約5.0mmの厚さで、典型的には約4.12mmから約4.17mmの厚さを有して良い。この厚さは、全凍結溶融領域を含むのに十分な厚さである。凍結溶融領域の厚さは一般的に、3.0mmから3.4mmである。
【0020】
一般的に、その切片は、全体が凍結溶融領域を含むようにするため、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの柱状形状に対して垂直に供される。凍結溶融領域からその切片を供することで、単結晶シリコン領域とは反対に、結晶シリコン中での炭素濃度の決定は、10億個の原子あたりにつき10個以下の感度で可能となる。10億個の原子あたりにつき10個以下の感度を有する、結晶シリコン中での炭素濃度の決定は、多結晶シリコン組成物中での炭素濃度と比較して、凍結溶融領域中での炭素濃度の方が高いことに主として起因する。その結果、多結晶シリコン組成物中での炭素濃度における測定不可能な差異が、凍結溶融領域間で拡大されることで、測定可能となる。それにより、多結晶シリコン中での炭素濃度の決定を、10億個の原子あたりにつき10個以下の感度で行うことが可能となる。
【0021】
当技術分野で既知の方法を用いることによって、その切片は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの凍結溶融領域から取り出される。たとえばその切片は一般的には、切断装置を用いて、凍結溶融領域から切断することで取り出される。切断装置は、ソー(saw)、ウォータージェット、レーザービーム等であって良い。一般的に切断装置は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアをしっかりとマウントする能力を有するダイアモンドチップブレードを有する精密ソーである。そのような切断装置の例はスドルアソーである。凍結溶融領域からその切片を取り出すため、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアは、切断装置上で、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアのタングエンド領域に、チャックマウントでマウントされて良い。その切片の取り出しに備えて、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアを切断装置内に適合させ、かつ適切に配向させるため、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアをマウントする前に、タングエンド領域の切片は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから取り出されて良い。タングエンド領域の切片は、凍結溶融領域から、約10mmから約15mmの距離で取り出されて良い。
【0022】
切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアは、テンプレートによって位置設定されることで、切断装置に切断位置を合わせて良い。より詳細には、テンプレートは、スドルアソー上に含まれることで、正確な切断位置の測定及び指示を行って良い。プラスチックテンプレートの右側端部は、チャックマウントに対して位置合わせされて良い。凍結溶融領域の中心は、プラスチックテンプレートの左側端部と位置合わせされて良い。続いてその切片は、凍結溶融領域から切断される。上述した、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコア位置でスドルアソーを用いるとき、凍結溶融領域からのその切片の全体には凍結溶融領域が含まれる。
【0023】
凍結溶融領域からその切片を取り出した後、炭素濃度の決定のために、その切片の表面が研磨されて良い。その切片は、ガラスプレート上にマウントされ、石英ワックスで少なくとも10分間研磨されて良い。スピードファム(Speedfam−IPEC)社から市販されている研磨油とビューラー(Buehler)社から市販されている1ミクロンメタディ(登録商標)ダイアモンドペーストとを組み合わせたものが、その切片を研磨するのに用いられて良い。続いてその切片は、有機溶媒によって脱脂されて良い。その切片の最終的な厚さは一般的に、約4.00mm±0.05である。
【0024】
続いて、その切片の炭素濃度は当技術分野で既知の方法によって決定される。一般的に、その切片の炭素濃度は、フーリエ変換赤外(FT−IR)分光によって決定される。分光計を校正する点、及びその切片の炭素濃度を決定する点では、その切片での炭素濃度をFT−IR分光で決定する方法は、ASTM F 1391−93で説明される方法と実質的に同一である。しかし、本発明の目的で使用されるその切片は、ASTM F 1391−93で説明されるその切片とは、その厚さが異なる。
【0025】
任意で、単結晶シリコン領域の炭素濃度は、その切片の炭素濃度、その切片の質量、単結晶シリコン領域の質量、及び有効偏析係数に基づいて決定されて良い。より詳細には、単結晶シリコン領域の炭素濃度は、以下の式で表すことが可能である。
SCS=(C×W)/(WSCS×E)
ここで、CSCSは単結晶シリコン領域中での炭素濃度、Cはその切片での炭素濃度で、これらの値は上述した方法によって決定される。Wはその切片の質量、WSCSは単結晶シリコン部分の質量、及びEは有効偏析係数である。
【0026】
その切片の質量は、その切片を研磨し、脱脂した後に決定される。またその切片での炭素濃度を決定する前、決定又は後に、その質量が決定されても良い。単結晶シリコン部分の質量は一般的に、その切片が、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから取り出された後に決定される。より詳細には、単結晶シリコン領域は凍結溶融領域から切断されて良く、その後、単結晶シリコン領域の質量が決定されて良い。
【0027】
有効偏析係数は、凍結溶融領域中での炭素濃度と多結晶シリコン組成物中での炭素濃度とを関連づける定数である。有効偏析係数は、一般的には、多結晶シリコン組成物についての値が設定されて良く、さらに所与のフローティングゾーン結晶成長装置及び、多結晶シリコンコアが切り離される条件についての値が設定されて良い。あるいはその代わりに、本発明の方法は、有効偏析係数を決定する工程をさらに有して良い。
【0028】
上述したように、凍結溶融領域中での炭素濃度は、多結晶シリコン組成物中での炭素濃度よりも高い。凍結溶融領域中での炭素濃度と多結晶シリコン組成物中での炭素濃度との関係は、有効偏析係数で示されたように、凍結溶融領域中での炭素濃度及び炭素濃度が既知である参照用多結晶シリコンコア中での炭素濃度を決定することで直接的に相関して良い。一般的には、有効偏析係数は、それぞれが異なる炭素濃度を有する一連の参照用多結晶シリコンコアによって決定される。
【0029】
切り離され、かつアニーリングされた参照用シリコンコアは、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアと同一の条件で切り離され、かつアニーリングされる。さらに、切り離され、かつアニーリングされた参照用シリコンコアは、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアと実質的に同一の柱状形状を有し、かつ同一の領域を含む。
【0030】
参照部分は、参照用多結晶シリコン組成物から供されて良い。一般的には、切り離され、かつアニーリングされた参照用シリコンコアのタングエンド領域から供される。より詳細には、その参照部分は一般的に、柱状形状に対して垂直な参照用コアのタングエンド領域から取り出される。取り出される位置は、凍結溶融領域のすぐ隣が好ましい。第2参照部分は、柱状形状の長さに対して垂直な参照用コアの凍結溶融領域から取り出される。ここで第2参照用領域の全体には、上述した方法と同じようにして、凍結溶融領域が含まれる。参照部及び第2参照部の炭素濃度は、フーリエ変換赤外分光法によって決定される。
【0031】
参照部分及び第2参照部分の炭素濃度は、図1に図示されているように、XY座標上にプロットされて良い。その際、参照部分の炭素濃度をY軸にとる。単結晶シリコン領域の長さに基づいた炭素濃度の差異を調節するため、それに対応する第2参照部分の炭素濃度には、第2参照部の質量を乗じ、単結晶シリコン領域の質量で除す。その結果得られた値は、X軸にプロットされる。2つの炭素濃度の交点をマークし、同じことを、さらに加えられた、それぞれ異なる既知の炭素濃度を有する、切り離され、かつアニーリングされた参照用シリコンコアについて行う。その目的は、参照用多結晶シリコン組成物中での炭素濃度と凍結溶融領域の調節された炭素濃度との間の関係を表すプロットを得るためである。このプロットに対してフィッティングがなされて良い。ここでフィッティングによって得られた傾きの逆数は有効偏析係数である。
【0032】
多結晶シリコン組成物の炭素濃度は、その切片の炭素濃度に基づいて決定されて良い。多結晶シリコン組成物中での炭素濃度を決定するのに様々なアルゴリズムが用いられる。その使用される様々なアルゴリズムは、多結晶シリコンが、多結晶シリコン組成物の柱状形状に対して垂直に取り出されるか、又は平行に取り出されるのかに依存する。そのようなアルゴリズムは当技術分野で既知であり、かつASTM F 1723−03で詳細に説明されている。
【実施例1】
【0033】
有効偏析係数は、既知の炭素濃度を有する参照用多結晶シリコン組成物から供される、切り離され、かつアニーリングされた参照用シリコンコアによって決定される。より具体的には、参照用コアは参照用多結晶シリコン組成物から供され、その参照用多結晶シリコン組成物の炭素濃度は、0.050、0.80、0.150、0.130、0.140、0.160及び0.165ppmaである。切り離され、かつアニーリングされた参照用シリコンコアは最初に、当技術分野で既知の条件下で、切り離し及びアニーリング前に、脱脂及びエッチングがされる。
【0034】
参照用多結晶シリコン組成物中での炭素濃度を確認するため、参照部分は、切り離され、かつアニーリングされた参照用シリコンコアの各々におけるタングエンド領域から供される。より詳細には、参照部分は、柱状形状に対して垂直な参照用コアのタングエンド領域から、凍結溶融領域のすぐ隣の位置で取り出される。第2参照部分は、柱状形状の長さに対して垂直な各参照用コアの凍結溶融領域から取り出される。第2参照部分のすべてには、凍結溶融領域が含まれる。続いて参照部分及び第2参照部分は研磨される。研磨されることで、参照部分の厚さは2.00±0.05mm、第2参照部分の厚さは4.00±0.05mmとなる。参照部分及び第2参照部分の炭素濃度は、ASTM F 1391−93に従い、フーリエ変換赤外分光法によって決定される。すべての炭素濃度の値は、0.05ppmaを超えているので、参照部分から得られる濃度の値は検出可能で、かつ信頼できる。その理由は、多結晶シリコン組成物中での炭素濃度を決定する既存の方法は、50ppbaつまり0.05ppma以上の炭素濃度に対してのみ感知するからである。
【0035】
参照部分及び第2参照部分からの炭素濃度が、図1に図示されているように、XY座標上でプロットされている。ここでは、参照部分の炭素濃度をY軸にとる。単結晶シリコン領域の長さに基づいた炭素濃度の差異を調節するため、それに対応する第2参照部分の炭素濃度には、第2参照部の質量を乗じ、単結晶シリコン領域の質量で除す。その結果得られた値は、X軸にプロットされる。2つの炭素濃度の交点をマークした。その目的は、参照用多結晶シリコン組成物中での炭素濃度と凍結溶融領域の調節された炭素濃度との間の関係を表すプロットを得るためである。このプロットに対してフィッティングがなされる。ここでフィッティングによって得られた傾きの逆数から有効偏析係数が導かれる。この場合、フィッティングした線の傾きは2.7869で、有効偏析係数は0.3588である。この有効偏析係数は、凍結溶融領域から供された部分での炭素濃度に基づいて、例1−34の単結晶シリコン領域中での炭素濃度を決定するのに用いられる。
【0036】
炭素濃度は、様々な多結晶シリコン組成物から得られる、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから決定される。表1に示された炭素濃度を得るため、路の炭素濃度を有する様々な多結晶シリコン組成物が供される。多結晶シリコンコアは、ドリルプレスを用いたダイアモンドコアドリルによって、多結晶シリコン組成物の各々から取り出される。各多結晶シリコンコアは、約19mmの直径を有し、約110mmの長さを有する。多結晶シリコンコアはオゾンで脱脂される。続いて多結晶シリコンコアは、硝酸及びフッ酸を含む清浄なエッチングボートに設けられ、多結晶シリコンコアの表面から約100μmを除去するのに十分な時間エッチングされる。
【0037】
続いて多結晶シリコンコアは、切り離されたシリコンコアを生成するためのフローティングゾーン結晶成長装置内でフローティングゾーン成長する。その結果切り離されたシリコンコアは、柱状形状を有し、かつ単結晶シリコン領域、凍結溶融領域、及び、多結晶シリコンを含むタングエンド領域を含む。単結晶シリコン領域は、約14.75mmから約15.25mmの直径、及び約90mmから約120mmの長さを有する。凍結溶融領域は典型的には、約10mmの直径を有する。
【0038】
切り離されたシリコンコアは、約1360℃の温度で、約2時間、オーブンでアニーリングされる。断面は、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの凍結溶融領域から供される。その部分の全領域には凍結溶融領域が含まれる。その切片は、約4.12mmから約4.17mmの厚さを有する。この厚さは、全凍結溶融領域を含むのに十分な厚さである。断面は、スドルアソーを用いて、凍結溶融領域から切断されることによって取り出される。凍結溶融領域からその切片を取り出すため、切り離され、かつアニーリングされるシリコンコアはスドルアソー上のタングエンド領域で、チャックマウントによってマウントされる。テンプレートがスドルアソー上に含まれることで、正確な切断位置の測定及び指示が行われる。切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアは、テンプレートによって位置設定されることで、スドルアソーの切断位置にその向きを合わせる。プラスチックテンプレートの右側端部は、チャックマウントに対して位置合わせされる。凍結溶融領域の中心は、プラスチックテンプレートの左側端部と位置合わせされる。続いてその切片は、凍結溶融領域から切断される。単結晶シリコン部分の質量は、その切片が、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアから取り出された後に決定される。
【0039】
続いて断面は、ガラスプレート上にマウントされ、石英ワックスで少なくとも10分間研磨されて良い。スピードファム(Speedfam−IPEC)社から市販されている研磨油とビューラー(Buehler)社から市販されている1ミクロンメタディ(登録商標)ダイアモンドペーストとを組み合わせたものが、その切片を研磨するのに用いられる。続いてその断面は、有機溶媒によって脱脂されて良い。その断面の最終的な厚さは、約4.00mm±0.05である。その断面の質量は、その切片を研磨かつ脱脂した後に決定される。
【0040】
続いて、その切片の炭素濃度がフーリエ変換赤外(FT−IR)分光によって決定される。分光計を校正する点、及びその切片の炭素濃度を決定する点では、その切片での炭素濃度をFT−IR分光で決定する方法は、ASTM F 1391−93で説明される方法と実質的に同一である。しかし、本発明の目的で使用されるその切片は、ASTM F 1391−93で説明されるその切片とは、その厚さが異なる。下にある表1を参照すると、本発明に従って決定される炭素濃度の具体例が示されている。ここで、は、断面での炭素濃度で、10億個の原子あたりに含まれる原子数を表され、Dfmrは凍結溶融領域の検出限界で、10億個の原子あたりに含まれる原子数で表される。
【0041】
【表1】


切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの凍結溶融領域から取り出される第2参照部分の検出限界は以下の式によって決定される。
【0042】
【数1】

ここで、Wは第2参照部分の質量、WSCSは、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの単結晶シリコン領域の質量で、Dfmrは、10億個の原子あたりに含まれる原子数で表される、凍結溶融領域の検出限界である。Dfmrは、以下の式によって決定される。
fmr =(−2.0/T)ln(10−A
ここで、Tは参照部分の厚さで、Aは第2参照部分の吸収率である。FTIRによって決定されるように、基準となるノイズは、625cm−1から650cm−1である。
【0043】
例1−34に用いられる厳密に同一である多結晶シリコンコアから取り出される、上述の例1−34の多結晶シリコン組成物の炭素濃度が、ASTM F 1723−03及びASTM F 1391−93に従って測定される。炭素濃度を決定するため、断面は多結晶シリコンコアのタングエンド領域から引き出される。下にある表2を参照すると、ASTM F 1723−03及びASTM F 1391−93に従って決定された炭素濃度の具体例が示されている。ここで、は断面での炭素濃度で、10億個の原子あたりに含まれる原子数を表され、Dpscは多結晶シリコン組成物の検出限界で、10億個の原子あたりに含まれる原子数で表される。
【0044】
【表2】


多結晶シリコン組成物から取り出される参照部分の検出限界は以下の式によって決定される。
psc =(−2.0/T)ln(10−A
ここで、Tは参照部分の厚さで、Aは参照部分の吸収率である。FTIRによって決定されるように、基準となるノイズは、625cm−1から650cm−1である。
【0045】
表1から得られた検出限界と表2から得られた検出限界とを比較すると、表1から得られた検出限界Dfmrが、表1から得られた検出限界Dpscよりもはるかに小さいことが明らかである。具体的には、表1での平均検出限界は2ppbaで、標準偏差が2、最小検出限界は1ppbaで、最大検出限界は11である。表2での平均検出限界は33ppbaで、標準偏差が8、最小検出限界は21ppbaで、最大検出限界は61である。それゆえ、この結果は、本発明の方法を用いることに固有な感度に関する利点を示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】既知の炭素濃度を有する参照用多結晶シリコン組成物での炭素濃度と前記参照用多結晶シリコン組成物から得られた、切り離され、かつアニーリングされたシリコンコアの凍結溶融領域での炭素濃度との関係をプロットしたグラフである。プロットの傾きの逆数は、有効偏析係数を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶シリコン中の炭素濃度を決定する方法であって:
多結晶シリコン組成物から、切り離されかつアニーリングされたシリコンコアを供し、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアは、柱状形状を有し、かつ単結晶シリコン領域及び凍結溶融領域を含み、前記凍結溶融領域は、前記単結晶シリコン領域に隣接して設けられ、かつ前記2種類の領域は前記柱状形状の長さ方向に沿って間隔を空けて設けられている、提供工程;
前記柱状形状の前記長さに対して垂直な、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアから切片を取り出す取り出し工程;
前記切片の炭素濃度を決定する濃度決定工程;
任意で、前記切片の質量を決定する質量決定工程;
任意で、前記単結晶シリコン領域の質量を決定する単結晶領域質量決定工程;
任意で、前記切片の炭素濃度、前記切片の質量、前記単結晶シリコン領域の質量、及び有効偏析係数に基づき、前記単結晶シリコン領域の炭素濃度を決定する単結晶領域濃度決定工程;
任意で、前記単結晶シリコン領域の炭素濃度に基づき、前記多結晶シリコン組成物の炭素濃度を決定する多結晶組成物濃度決定工程;
を有し、
前記取り出し工程は前記凍結溶融領域から前記切片を取り出す工程として定義され、前記切片中のすべてが前記凍結溶融領域であることで、前記結晶シリコン中での炭素濃度の決定が10億個の原子あたりにつき10個以下の感度で可能となる、
方法。
【請求項2】
前記切片が、約3.5mmから約5.0mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアが、前記単結晶シリコン領域とは対向した位置にある前記凍結溶融領域に隣接して設けられるタングエンド領域をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアを、切断装置上の、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアの前記タングエンド領域にマウントするマウント工程をさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記マウント工程の前に、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアからの前記タングエンド領域の一部を取り出す工程をさらに有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアからの前記タングエンド領域の前記一部が、前記凍結溶融領域から約10mmから約15mmの距離で取り出される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記切片を取り出す工程は、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアをテンプレートで位置設定することで前記切断装置の切断位置に合わせる、位置設定工程をさらに有する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記切片を取り出す工程は、ダイアモンドチップブレードを有する精密ソーによって実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記切片の質量を決定する工程前及び前記切片の炭素濃度を決定する工程前に、前記切片を研磨する研磨工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記研磨工程は、前記切片を少なくとも10分間研磨する工程としてさらに定義される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記質量決定工程前及び前記濃度決定工程前に、前記切片を脱脂する工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記濃度決定工程は、前記切片の炭素濃度をフーリエ変換赤外分光法によって決定する工程としてさらに定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
既知の炭素濃度を有する参照用多結晶シリコン組成物から、切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアを供する工程をさらに有する方法であって、
前記切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアは、前記前記切り離されかつアニーリングシリコンコアと同一条件下で切り離され、かつアニーリングされ、
前記切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアは、実質的に同様の柱状形状を有し、
前記切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアは、前記切り離されかつアニーリングシリコンコアと同一の領域を含み、かつ
前記参照用シリコンコアの単結晶領域は、前記切り離されかつアニーリングシリコンコアの前記単結晶シリコン領域の長さと実質的に同一な長さを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記参照用多結晶シリコン組成物から参照部分を供する工程をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記柱状形状の前記長さに対して垂直な前記参照用シリコンコアの前記凍結溶融領域から第2参照用切片を取り出し、前記第2参照用切片はすべて前記凍結溶融領域である、第2参照用切片取り出し工程をさらに有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
フーリエ変換赤外分光法によって前記参照用切片及び前記第2参照用切片の炭素濃度を決定する工程をさらに有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記参照用切片の炭素濃度と前記第2参照用切片の炭素濃度との差異に基づいて有効偏析係数を決定する工程をさらに有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記切り離されかつアニーリングシリコンコアの前記単結晶領域が、約14.75mmから約15.25mmの範囲の直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記切り離されかつアニーリングシリコンコアの前記単結晶シリコン領域が、約90mmから約120mmの範囲の長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記結晶シリコン組成物から引き出された切り離されたシリコンコアをアニーリングするアニーリング工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記アニーリング工程が、少なくとも1150℃の温度で前記切り離されたシリコンコアを加熱する工程としてさらに定義される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アニーリング工程が、少なくとも1150℃の温度で少なくとも2時間、前記切り離されたシリコンコアを維持する工程としてさらに定義される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記結晶シリコン組成物から引き出された多結晶シリコンコアを切り離す切り離し工程をさらに有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記切り離し工程が、フローティングゾーン結晶成長装置中の前記多結晶シリコンコアをフローティングゾーン成長させる工程としてさらに定義される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記多結晶シリコンコアを酸でエッチングする工程をさらに有する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
多結晶シリコン組成物から前記多結晶シリコンコアを引き出す工程をさらに有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
結晶シリコン中の炭素濃度を分析する方法であって:
多結晶シリコン組成物から引き出された、切り離されかつアニーリングされたシリコンコアからの切片を供し、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアは、柱状形状を有し、かつ単結晶シリコン領域及び凍結溶融領域を含み、前記凍結溶融領域は、前記単結晶シリコン領域に隣接して設けられ、かつ前記2種類の領域は前記柱状形状の長さ方向に沿って間隔を空けて設けられている、切片提供工程;
前記切片の炭素濃度を決定する切片炭素濃度決定工程;
任意で、前記切片の質量を決定する切片質量決定工程;
任意で、前記切片の炭素濃度、前記切片の質量、前記単結晶シリコン領域の質量、及び有効偏析係数に基づき、前記単結晶シリコン領域の炭素濃度を決定する単結晶領域濃度決定工程;
任意で、前記単結晶シリコン領域の炭素濃度に基づき、前記多結晶シリコン組成物の炭素濃度を決定する多結晶組成物濃度決定工程;
を有し、
前記取り出し工程は前記凍結溶融領域から前記切片を取り出す工程として定義され、前記切片中のすべてが前記凍結溶融領域であることで、前記結晶シリコン中での炭素濃度の決定が10億個の原子あたりにつき10個以下の感度で可能となる、
方法。
【請求項28】
前記切片が、約3.5mmから約5.0mmの厚さを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記切片の質量を決定する工程前及び前記切片の炭素濃度を決定する工程前に、前記切片を研磨する研磨工程をさらに有する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記研磨工程が、前記切片を少なくとも10分間研磨する工程としてさらに定義される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記質量決定工程前及び前記濃度決定工程前に、前記切片を脱脂する工程をさらに有する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記濃度決定工程は、前記切片の炭素濃度をフーリエ変換赤外分光法によって決定する工程としてさらに定義される、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
既知の炭素濃度を有する参照用多結晶シリコン組成物から参照用切片を供する工程をさらに有する、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
既知の炭素濃度を有する参照用多結晶シリコン組成物から、切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアの凍結溶融領域から第2参照用切片を供する工程をさらに有する方法であって、
前記切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアは、前記前記切り離されかつアニーリングシリコンコアと同一条件下で切り離され、かつアニーリングされ、
前記切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアは、実質的に同様の柱状形状を有し、
前記切り離されかつアニーリングされた参照用シリコンコアは、前記切り離されかつアニーリングシリコンコアと同一の領域を含み、かつ
前記参照用シリコンコアの単結晶領域は、前記切り離されかつアニーリングシリコンコアの前記単結晶シリコン領域の長さと実質的に同一な長さを有し、
前記第2参照用切片はすべて前記凍結溶融領域である、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
フーリエ変化赤外分光法によって、前記参照用切片の炭素濃度及び前記第2参照用切片の炭素濃度を決定する工程をさらに有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記参照用切片の炭素濃度と前記第2参照用切片の炭素濃度との差異に基づいて有効偏析係数を決定する工程をさらに有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記切り離されかつアニーリングシリコンコアの前記単結晶領域が、約14.75mmから約15.25mmの範囲の直径を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記切り離されかつアニーリングシリコンコアの前記単結晶シリコン領域が、約90mmから約120mmの範囲の長さを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
切り離されかつアニーリングされたシリコンコアからの切片を取り出し、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアは、柱状形状を有し、かつ単結晶シリコン領域及び凍結溶融領域を含み、前記凍結溶融領域は、前記単結晶シリコン領域に隣接して設けられ、かつ前記2種類の領域は前記柱状形状の長さ方向に沿って間隔を空けて設けられている、切片取り出し工程を有する方法であって、
前記切片は、前記柱状形状の前記長さに対して垂直な、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコア及び前記凍結溶融領域から取り出され、
前記切片はすべて前記凍結溶融領域である、
方法。
【請求項40】
前記切片が、約3.5mmから約5.0mmの厚さを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアが、前記単結晶シリコン領域とは対向した位置にある前記凍結溶融領域に隣接して設けられるタングエンド領域をさらに有する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアを、切断装置上の、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアの前記タングエンド領域にマウントするマウント工程をさらに有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記マウント工程の前に、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアからの前記タングエンド領域の一部を取り出す工程をさらに有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアからの前記タングエンド領域の前記一部が、前記凍結溶融領域から約10mmから約15mmの距離で取り出される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記切片を取り出す工程は、前記切り離されかつアニーリングされたシリコンコアをテンプレートで位置設定することで前記切断装置の切断位置に合わせる、位置設定工程をさらに有する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記切片を取り出す工程は、ダイアモンドチップブレードを有する精密ソーによって実行される、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−279042(P2007−279042A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98912(P2007−98912)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(506143975)ダウ コーニング コーポレーション (19)
【Fターム(参考)】