説明

結晶多形性ヌクレオシド化合物

本発明は、式Ibのヌクレオシドバリナートエステルの多形結晶性塩酸塩、C型肝炎ウイルス介在疾患の処置方法、およびIbを含有する薬剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造、取り扱いおよび製剤化を容易にする改良された安定性および物理的性質を備えた、2−(S)−アミノ−3−メチル酪酸5S−(3−カルバモイル−[1,2,4]トリアゾル−1−イル)−3R,4S−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2S−イルメチルエステルモノヒドロクロリド(Ib)の多形結晶形体に関するものである。
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、世界中で大部分の慢性肝臓病の原因になっており、先進工業国における慢性肝炎事例の70%がこれで説明される。C型肝炎の全世界における罹患率は、平均して3%(0.1〜5.0%の範囲)と見積もられる;世界中で推定1億7千万人の慢性保因者が存在する。HCVに対する有効な治療剤が継続的に求められている。C型肝炎感染に対する標準的治療法は、現在のところ、抗ウイルス剤であるリバビリンおよび免疫系調節剤であるインターフェロン誘導体の併用治療からなっている。
【0003】
WO01/45509(J.Lauら)は、HCVに対するインビトロ抗ウイルス活性を有するL−ヌクレオシドを開示している。レボビリン、(1−(3S,4R−ジヒドロキシ−5S−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン−2S−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド;Ia)は、抗ウイルス性のヌクレオシドリバビリン(II)のL−異性体である。リバビリンとは異なり、レボビリンは直接的な検知可能抗ウイルス活性を有しない;しかしながら、レボビリンは、抗ウイルス性Th1サイトカインの産生を増強することによって免疫応答を促進する。レボビリンには、リバビリンに付随する毒性はないように見受けられる。
【0004】
【化2】

【0005】
ヌクレオシド誘導体は、多くの場合、高レベルの生物学的活性を有する一方、不十分な物理的性質および、治療に有効なレベルを維持するのに大用量を頻繁な間隔で必要とする限られたバイオアベイラビリティーのため、臨床的実用がしばしば妨げられる。ヌクレオシドを化学修飾することによって、この化合物の物理化学特性を改変し、薬物移送の効率および選択性を改良することはできる。
【0006】
中性アミノ酸のエステルは、アミノ酸輸送体により腸粘膜を通して積極的に移送されることが見いだされている。Collaらは(J.Med.Chem.1983,26:602-04)、アシクロビルの水溶性エステル誘導体の合成を開示している。L.M.Beauchampらは(Antiviral Chem. & Chemother,1992 3(3):157-64)、抗ヘルペス薬であるアシクロビルのアミノ酸エステル18種を開示し、そして検討したエステルのなかでは、アシクロビルのL−バリルエステルが最良のプロドラッグであることを確認している。
【0007】
EP 0 375 329(L.M.Beauchamp)は、ガングシクロビルのビスイソロイシンエステルの製造を開示した。米国特許第6,083,953号(J.J.Nestorら)は、2−(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−プリン−9−イル)メトキシ−3−ヒドロキシ−1−プロパニル−L−バリナートヒドロクロリドの結晶形体を開示している。
【0008】
WO00/23454(A.K.Gangulyら)は、リバビリンIIの生可逆性プロドラッグを開示している。IIの5−ヒドロキシ基が、天然および非天然アミノ酸にエステル化された化合物を開示している。米国特許第6,423,695号(R.Tamら)は、リバビリンのアミジンプロドラッグ投与によるウイルス感染患者の処置方法を開示している。
【0009】
WO01/68034(G.Wangら)は、生可逆性のリン酸化および非リン酸化レボビリンプロドラッグを開示している。5−アシルおよび2,3,5−トリアシル化合物が開示され、さらに5−アミノ酸エステルも一般的に記述されている。米国特許出願第60/432,108号は、レボビリンのアシル化プロドラッグを開示している。
【0010】
酸性および塩基性化合物の塩は、親化合物の物理的性質を改変または改善することができる。しかしながら、この塩形成用試薬は、剤型中の親化合物の働きに対する塩の種類の影響を予測する信頼性のある方法がないので、製薬化学者によって実験的に検証されなければならない。選択方法を単純化できる可能性がある効果的スクリーニング手法は、残念ながら存在しない(G.W.Radebaugh and L.J.Ravin Preformulation. In, Reminton;The Science and Practice of Pharmacy;A.R.Gennaro Ed.;Mack Publishing Co. Easton, PA, 1995; pp 1456 -1457)。
【0011】
多形とは、任意の元素または化合物が、1以上の異なった結晶種として結晶できる能力のことである。異なる多形塩は、医薬的に有用な化合物のなかでしばしば出会う。溶解性、融点、密度、硬さ、結晶形状、および安定性を含めた物理的性質は、同一の化学的化合物の異なる多形体間で、まったく異なり得る。
【0012】
多形は、散乱技法たとえば粉末X線回折パターンによって、分光法たとえば赤外、13C核磁気共鳴スペクトロスコピーによって、そして熱的技法たとえば示差走査熱量測定または示差熱分析によって特徴付けされる。本発明の化合物は、当技術分野における公知の手法によって測定される粉末X線回折パターンによりもっともよく特徴づけられる。この手法に関する論議については、J.Haleblian, J.Pharm.Sci.1975 64:1269-1288、およびJ.HaleblainとW.McCrone, J. Pharm. Sci. 1969 58:911-929を参照されたい。バリナートエステルIaの異なるバッチの粉末X線回折パターン中のピーク強度は多少異なる可能性はあるが、ピークおよびピーク位置は、特定の多形体に特徴的なものである。
【0013】
解決しなければならない問題は、(i)製造工程を通じて適切な化学的安定性を有し、(ii)効率よく製造、精製および回収され、(ii)製剤的に許容しうる溶媒中で許容しうる溶解度を提供し、(iii)扱いやすく(たとえば流動性および粒子サイズ)、そして化合物の無視しうる程度の分解または物理的、化学的特性変化において製剤が可能であり、(iv)製剤の中で許容しうる化学安定性を示す、適切な塩および/または多形を見定めることである。それに加えて、分子量への寄与が最少で、結果の物質が高いモルパーセントの活性成分を含むような塩であることが極めて望ましいが、その理由は、治療有効用量を与えるのに必要とする薬剤配合量および投与量が最小化されるためである。これらのしばしば相容れない要求のために、適切な塩の見極めは、薬品開発を本気で推進しうる以前に、熟達した製薬科学者が解決しなければならない挑戦的で重要な問題となっている。
【0014】
本発明は、2−(S)−アミノ−3−メチル−酪酸5S−(3−カルバモイル−[1,2,4]トリアゾル−1−イル)−3R,4S−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2S−イルメチルエステルモノヒドロクロリド(Ib)の、A型およびB型の2種類の多形結晶形体、Ibの多形結晶形体の製造方法、Ibの多形結晶形体を含有する医薬組成物、およびIbの多形結晶形体を用いるC型肝炎ウイルス介在疾患の処置方法に関する。
【0015】
【化3】

【0016】
本発明の数多の目的および利点は、以下の添付してある図表を参照することで、当業者によって直ちに理解され得る:
【0017】
2−(S)−アミノ−3−メチル−酪酸5S−(3−カルバモイル−[1,2,4]トリアゾル−1−イル)−3R,4S−ジヒドロキシ−テトラヒドロフラン−2S−イルメチルエステルモノヒドロクロリド(Ib)の新規な結晶形体が、抜群の化学的、および物理的性質を有しており、その性質がこの化合物の製造および製薬化を容易にすることが確認された。本発明の一態様において、式Ibの化合物の結晶形体が提供される。
【0018】
本発明の別の一態様において、実質的に表1記載のD−面間隔を有する粉末X線回折パターンを示す、式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体(A型)が提供される。
【0019】
【表3】

【0020】
本発明の別の一態様において、本質的に表4記載の単結晶X線原子座標を有する、式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体が提供される。図2は、コンピューターで描いた結晶データ画像である。
【0021】
本発明の別の一態様において、約0.35g/cm3の密度を有する、式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体が提供される。
【0022】
本発明の別の一態様において、実質的に表1記載の粉末X線回折パターンを示す、式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体(A型)の製造方法であって、該化合物を、イソプロパノールおよび水の、そして場合により、さらに塩酸、好ましくは濃塩酸(37%)を含有する混合物から晶析することを含む方法が提供される。
【0023】
本発明の別の一態様において、該化合物を、イソプロパノールおよび水の、そして場合により、さらに塩酸、好ましくは濃塩酸(37%)を含有する混合物から晶析することを含む方法によって製造される、式Ibの化合物の多形半水和物結晶が提供される。
【0024】
本発明の別の一態様において、C型肝炎ウイルス介在疾患用医薬の製造のための、多形半水和物結晶形体(A型)の使用が提供される。
【0025】
本発明の別の一態様において、実質的に表1記載のD−面間隔を有する粉末X線回折トレース(trace)を示す、式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体(A型)を、少なくとも1種類の、薬剤的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤との混合物として含む、薬剤組成物が提供される。
【0026】
本発明の別の一態様において、実質的に表2記載のD−面間隔を有する粉末X線回折トレースを示す、式Ibの化合物の多形水和物結晶形体(B型)が提供される。
【0027】
【表4】

【0028】
本発明の別の一態様において、実質的に表2記載の粉末X線回折パターンを示す、式Ibの化合物の多形水和物結晶形体(B型)の製造方法であって、該化合物を、水から、好ましくは2〜4℃以下の温度に少なくとも2〜3日間保持して晶析することを含む方法が提供される。
【0029】
本発明の別の一態様において、C型肝炎ウイルス介在疾患用医薬の製造のための、多形水和物結晶形体(B型)の使用が提供される。
【0030】
本発明の別の一態様において、実質的に表2記載のD−面間隔を有する粉末X線回折トレースを示す、式Ibの化合物の多形水和物結晶形体(B型)を、少なくとも1種類の、薬剤的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤との混合物として含む、薬剤組成物が提供される。
【0031】
製造および性質
A型は、場合により37%塩酸を含有する水性イソブタノールから晶析することによって最初に得られた。A型結晶は細長い棒状である(図3a)。A型結晶の含水量は、カールフィッシャー滴定によると1.88〜2.68%の範囲にあったが、これはIbの1モル当たり水0.4〜0.6モルに相当する。Ibのかさ密度および軽く叩いた後の密度は、それぞれ0.35g/cm3および0.58g/cm3と測定された。A型の粉末X線回折パターンを図1に、そして数値を表3に示す。
【0032】
【表5】

【0033】
半水和物を、さらに単結晶X線解析によって特徴確認した。その構造(図2)は、レボビリンのバリナートエステル2分子の間に水1分子と塩素イオン2原子を含有している。原子座標を表4に一覧表示した。
【0034】
【表6】

【0035】
DSC(示差走査熱量測定)熱分析曲線は、A型の融解に伴い、161℃において吸熱を示す(図4A)。熱重量分析(TAG)は、温度を変化させながら試料質量の変化を記録する。A型は、30℃から160℃までの間に2.6%の重量減少を示すが(図4B)、これは昇温段階で約半モルの水に相当する。
【0036】
蒸気収着分析は、A型多形体の吸湿性を評価する目的で用いた。実験は、等温モードで実施し、試料重量は相対湿度を変化させながら記録した。吸着段階では、Ibは、5%相対湿度(RH)と85%RHとの間で0.5重量%増加した。85%RHおよび95%RHの間では、2.5重量%未満の増加であった。脱着段階では、吸着段階における増量の実質的全量が、同じRH%範囲を通じて失われた。この結果は、試料が吸湿性でないことを示している。この分析の終了時点で、試料は依然として固体のままであり、結晶状であるように見受けられた。TGA分析の後、試料の一部を回収し、DSCにより分析した。出発物質および蒸気収着分析後に回収した物質のDSC熱分析曲線は、重ね合わせることが可能であった。これらの結果は、試料がこの実験条件下において安定であり、そして非吸湿性であることを示している。
【0037】
IbのA型多形体の例外的な安定性は、この薬剤物質の品質に対する、温度、湿度、および光の経時的影響を評価するための長期促進安定性試験において確認した。安定性試料は、外観、含水量、HPLC法を用いる化学安定性、およびDSCを用いる物理安定性、比旋光度、および粉末X線回折法について評価を実施した。光化学的安定性は、アルミニウムホイルで包んで、光チャンバー中に光試験試料と隣合わせに置いた対照試料との比較によって評価した。
研究結果は、表2に含まれる。
【0038】
【表7】

【0039】
Ib調査の全過程を通じて、外観は一貫して白色結晶粉末のままであった。調査期間を通じ、すべての貯蔵条件下で、DSC熱分析曲線、比旋光度、含水量、X線回折パターンおよび純度に、認められる変化はなかった。
【0040】
B型多形体を水から晶析したところ、血小板状を形成した(図3B)。B型は、周囲温度、すなわち25℃/60%RH、30℃/60%RH、40℃/75%RHにおいて、そして光に対して少なくとも4週間は物理的に安定であった。粉末X線回折パターンを図1に示し、数値を表6に一覧表示した。DSC熱分析曲線は、B型の溶融に伴い、一つは93℃、もう一つは144.5℃における、二つの吸熱を示す(図5A)。TGA分析は、30℃から144℃までの間に全重量減少4.5%を示すが(図5B)、これはIbの1モル当たり水の約1モルに相当する。
【0041】
【表8】

【0042】
A型およびB型の熱安定性は、それぞれの多形体を、変調温度X線回折計により室温から175℃まで加熱することによって調査した。A型およびB型の粉末パターンを、それぞれ図6Aおよび図6Bに示す。A型は、室温から175℃まで加熱しても、その結晶形に変化はなかった。しかしながら、B型は、温度を80℃以上に上げると不安定なことがはっきりして、A型へと転換した。B型を32℃から140℃まで加熱して冷却すると、B型がA型へと転換する結果となった。高温下で真空乾燥すると、結果としてB型からA型へと転換した;しかしながら、熱を加えない状況で真空乾燥にかけた場合には、B型は安定であった。
【0043】
本明細書において用いている句、「一つの」の存在、とは、その存在が一つまたはそれ以上を言う;たとえば、一つの化合物とは、1以上の化合物、または少なくとも一つの化合物を言う。それ自体としては、用語「一つ」、「1以上」、および「少なくとも一つ」は、本明細書において相互に交換使用することができる。
【0044】
本明細書において用いている用語「溶媒和物」は、本発明の化合物またはそれの塩が、非共有分子間力によって結合している化学量論量または非化学量論量の溶媒をさらに包含していることを意味する。
【0045】
本明細書において用いている用語「水和物」は、本発明の化合物またはそれの塩が、非共有分子間力によって結合している化学量論量または非化学量論量の水をさらに包含していることを意味する。水和物は、1分子以上の水が物質1分子と結合することによって形成され、ここでは水がHOとしての分子状態を保持しているが、このような結合で、1以上の水和物を形成することができる。本明細書において用いている用語「半水和物」は、物質1分子当たり0.5モルのHOを有している固体を言う。
【0046】
本明細書において用いている用語「包接化合物」は、本発明の化合物またはそれの塩で、内部に閉じ込めたゲスト分子(たとえば溶媒または水)を有する空間(たとえばチャンネル)を含有する結晶格子の形態にあるものを意味する。
【0047】
本明細書において用いている用語「多形」または「結晶形」は、ある化合物が、すべて同じ元素組成を有しながら異なる結晶充填配列(crystal packing arrangement)で結晶化できる結晶構造を意味する。異なる結晶形は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬さ、結晶形状、光学的および電気的性質、安定性、および溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、および他の因子が原因して、ある一つの結晶形が優位を占める。
【0048】
本明細書において用いている用語「免疫系モジュレーター(immunomodulator)」は、免疫機能を修正したり調節したりするのを助け、またはそれ自体にその能力がある治療剤を意味する。免疫学的な調整、調節または増強作用を生じさせる薬剤。
【0049】
本明細書において用いている用語「インターフェロン」は、細胞のウイルス感染を妨害し、また正常および形質転換細胞の増殖を阻害して細胞分化を制御し、そして免疫系をモジュレートする(modulate)能力を有している、タンパク質のファミリーである。4種の主な抗原型インターフェロン(インターフェロンα、β、γおよびω)は、それらを産生する細胞源によって定義される。I型インターフェロン(インターフェロンα、β、γおよびω)は、互いにI型インターフェロン受容体への細胞結合で競合し、その結果、このマルチサブユニット細胞表面の受容体の少なくともいくらかの部分を共有するが、一方、II型インターフェロン(インターフェロンγ)のための受容体は、別個の存在である。天然由来の、および組換え型インターフェロンは両者とも、本発明の化合物と共に併用療法で投与してよい。インターフェロンについてのコンセンサス配列は、米国特許第4,897,471号(Y.Stabinsky)に記述されている。
【0050】
本明細書において用いている用語「化学的誘導体化インターフェロン」とは、インターフェロンの物理的および/または薬物動態的性質を改変させるポリマーに共有結合させたインターフェロン分子を言う。この種のポリマーの非限定的リストは、ポリアルキレンオキシドホモポリマー、たとえばポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらのコポリマー、およびそれらのブロックコポリマー(ただしそのブロックコポリマーの水溶性が維持されているもの)を包含する。当業者は、ポリマーとインターフェロンを連結させるための多数のアプローチに思い至るはずである(たとえば、A.KozlowskiおよびJ.M.Harris J.Control.Release 2001 72(1-3):217-24; C.W.GilbertおよびM.Park-Cho,米国特許第5,951,974号を参照されたい)。本発明において注目されている化学的誘導体化されたIFNαの非限定的リストは、PEG−インターフェロン−α−2a(PEGASYS(商標))およびPEG−インターフェロン−α−2b(PEGINTRON(商標))を包含する。
【0051】
製剤および投与
式Iの多形体の製剤は、製薬技術分野における公知の方法によって製造してよい。後で述べる実施例(下記)は、本発明を当業者がより明確に理解し、実施できるようにするために提供するものである。これらの例は、本発明の範囲を限定するものとしてではなく、単にそれらを具体的に、象徴的に説明するものと考えられるべきである。
【0052】
本発明の多形体塩は、多様な経口的および非経口的剤型で投与することが可能である。経口投与剤型は、錠剤、コート錠、糖衣錠、硬質および軟質ゼラチンカプセル、溶液、乳剤、シロップ、または懸濁剤であってよい。非経口投与は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、または腹腔内投与を包含する。さらに、本発明の塩は、経皮(浸透増強剤を含んでよい)、頬、鼻、および坐剤の経路によって投与することが可能である。
【0053】
本発明の化合物から薬剤組成物を調製するための、薬剤的に許容しうる担体は、固体または液体のいずれであってもよい。固体剤型の製剤は、粉末、錠剤、丸薬、硬質または軟質ゼラチンカプセル、カシェ剤、糖衣錠、坐剤、および水分散性顆粒を包含する。固状の担体は、1種以上の物質であることができ、これらは同時に希釈剤、香味料、可溶化剤、滑剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても作用する。
【0054】
粉末剤においては、担体は微粉化された固体であって、これが微粉化された活性成分との混合物になっている。錠剤においては、活性成分が、必要な結合性を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状とサイズに圧縮成形される。
【0055】
錠剤、コート錠、糖衣錠、および硬質ゼラチンカプセル用に適した賦形剤は、たとえば、ラクトース、コーンスターチおよびそれの誘導体、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、タルク、および脂肪酸またはその塩、たとえばステアリン酸である。望むのであれば、錠剤またはカプセルは、腸溶性コーティングを施した、または徐放性の製剤であってよい。軟質ゼラチンカプセル用に適した賦形剤は、たとえば、植物油、ワックス、脂肪、半固状および液状のポリオールである。
【0056】
液体剤型の製剤は、溶液、懸濁液、保留浣腸液、および乳剤で、たとえば水または水/プロピレングリコールの溶液を包含する。非経口的注入用には、液状製剤を水溶液または水/ポリエチレングリコールの溶液として調製できる。
【0057】
経口使用に適した水性溶液は、活性成分を水に溶解し、希望に応じて適切な着色料、香味料、安定剤、および増粘剤を添加することによって調製することができる。経口使用に適した水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を、粘性材料、たとえば天然または合成ゴム、レジン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁化剤と一緒に、水中に分散させることによって製造される。腸内使用の溶液およびシロップ剤用に適した賦形剤は、たとえば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖およびグルコースである。注射液用に適した賦形剤は、たとえば、水、塩類溶液、アルコール、ポリオールたとえばポリアルキレングリコール、グリセリンまたは植物油である。
【0058】
組成物は、活性成分に加えて、着色料、香味料、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤、保存料、湿潤剤、乳化剤、浸透圧調整用塩、マスキング剤、抗酸化剤などを含有してもよい。
【0059】
本発明の化合物は水溶性であるため、生理食塩水溶液の状態で(たとえば、pH約7.2〜7.5に緩衝)静脈内投与が可能である。通例の緩衝剤、たとえばリン酸塩、炭酸水素塩、またはクエン酸塩を、本発明組成物に使用することができる。
【0060】
さらに、固体形態の製剤で、使用直前に経口投与用の液体剤型製剤に転換させることを意図したものも包含される。この種の液体剤型は、溶液、懸濁剤および乳剤を包含する。
【0061】
坐剤調製用に適した賦形剤は、天然油および硬化油、ワックス、脂肪酸グリセリド、半液状または液状ポリオールを包含する。溶融した均一混合物を、都合のよいサイズの型の中に注入し、冷却して固化させる。
【0062】
適した薬剤用担体、賦形剤、およびその処方は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, E.W.Martin編纂, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記述されている。本発明の化合物を含有する典型的な医薬製剤は、実施例7〜9に記述されている。
【0063】
投与量は、広い範囲で変化させることができ、そして、もちろん、おのおのの特定事例において、患者の個々の必要性および治療している状態の厳しさ加減に応じて調節されることになる。典型的な製剤は、活性化合物を約5〜約95重量%含有することになろう。経口投与には、約0.01〜約100mg/kg体重/日の一日用量が、単剤療法および/または併用療法において適切である。好ましい一日用量は、約0.1〜300mg/kg体重/日、より好ましくは1〜100mg/kg体重/日、もっとも好ましくは1.0〜50mg/kg体重/日である。特定の状況に対する適切用量の決定は、当技術の熟練分野に属する。一般に、治療は化合物の最適用量よりも少ない投与量から始める。その後、その状況下における最適効果に到達するまで、少しずつ増量していく。一日用量を1回で投与するか、または分割して投与してもよく、典型的には一日当たり1〜5回の投与にしてよい。
【0064】
この薬剤製剤は、単位投与剤型であることが好ましい。この種の剤型において、製剤は、適切な活性成分量を含有する単位用量に小分けされる。単位剤型は、包装された製剤で、その包装が、個々量に分割された製剤、たとえば、びんまたはアンプルに包装された錠剤、カプセルまたは粉末を内包するものであってよい。さらに、その単位剤型は、カプセル、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ剤そのものであってもよく、または包装形態中のこれらいずれかの適切な数であってもよい。
【0065】
ヌクレオシド誘導体またはこれの薬剤は、単剤療法または併用療法に用いることができる。すなわち治療が、1種類以上の追加的な治療活性物質、例として免疫系モジュレーター、たとえばインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、またはコロニー刺激因子、または抗炎症剤および/または抗ウイルス剤の投与との併用であってよい。治療が併用療法である場合、この種の投与は、ヌクレオシド誘導体の投与に関していえば、同時でも、または逐次的であってもよい。したがって、本明細書でいう同時投与は、薬剤を同じ時に、または異なる時に投与することを含んでいる。薬剤組成物は、場合により、当技術分野において公知の活性薬物を含有してよい。
【0066】
本明細書における処置に関する言及は、現在の状態の処置についてだけでなく、C型肝炎介在疾患の予防にまで広げてある。さらにまた、本明細書でいうC型肝炎ウイルス(HCV)感染処置は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染が関係もしくは介在する疾患、またはそれの臨床症状の治療または予防をも含んでいる。
【0067】
ヌクレオシド誘導体またはこれの薬剤は、単剤療法または併用療法に用いることができる。すなわち治療が、1種類以上の追加的な治療有効物質、例として免疫系モジュレーター、たとえばインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、またはコロニー刺激因子、さらには別の抗ウイルス剤または抗炎症剤の投与との併用であってよい。処置が併用療法である場合、この種の投与は、4’−置換ヌクレオシド誘導体の投与に関していえば、同時でも、または逐次的であってもよい。したがって、本明細書でいう同時投与は、薬剤を同じ時に、または異なる時に投与することを含んでいる。
【0068】
結晶多形体の製造
Iの製造は、Dvorakらによって記述されており(本出願と共に仮特許出願)、参照により本明細書にその全体が組み入れられる。
【0069】
実施例1
A型多形体
レボビリンバリナートヒドロクロリド(Ib;75g)を、イソプロパノール1.2L、および水85mL中で65℃に加温し、均一溶液を生成させた。この溶液を、ゆっくり室温に冷却し、生成したスラリーをろ過してイソプロパノールで洗浄し、乾燥してA型多形体(融点163〜165℃)71gを生成させた。(場合により、37%塩酸4.5mLを、水性イソプロパノール溶液に添加することができる)。
【0070】
実施例2
B型多形体
レボビリンバリナートヒドロクロリド(Ib;2.8g)を、水4mLに溶解し(飽和溶液)、そして2〜4℃以下に冷却した。少なくとも3日後、板状結晶をろ過により回収して、冷水で洗浄し、真空中で乾燥してB型多形体(融点144℃;分解)〜2gを生成させた。
【0071】
実施例3
かさ密度およびタップ密度(Tap Density)
Ibのかさ密度を、アコースティックキャビネット、またはそれの等価装置を備えたVanderkamp(商標)タップ密度計(Van-Kel Industries,Inc.,36 Meridian Road, Edison, New Jersey08820)を用いて以下のようにして測定した。Ibを、20メッシュふるいに通した。粉末漏斗をシリンダーの頭頂部に置いて、粉末をシリンダー中に速やかに移し入れ、この間、シリンダーおよび下部の漏斗を揺動させたり、叩いたりしないようにした。シリンダー中の試料重量を測定し、かさ密度を算出した。
【0072】
タップ密度は、25mLメスシリンダー中の既知重量の薬剤物質の、300タップ後の容積を測定することによって決定した。用いた装置は、Vanderkamp Tapped Density Testerであった。タップ密度は、薬剤物質の既知重量を、測定容積で割ったものとして算出した。
【0073】
実施例4
粉末X線図
多形体結晶試料の粉末X線回折パターンを、封入型の銅Kα1照射源を備えたScintag X1粉末X線回折計を用いて測定した。試料は、入射ビームスリット幅4μmおよび2μmと、回折ビームスリット幅0.5μmおよび0.2μmを用い、2°から40°2θまで、3°/minの速さで走査した。
【0074】
実施例5
単結晶X線回折
結晶の作製
A型多形体を、イソプロパノール、水、および37%塩酸から晶析した。Ibを水に溶解し、そして溶液を45℃に加温した。イソプロパノールで希釈した後、この溶液を周囲温度まで冷却し、そしてこれに塩酸を添加した。Ibの微小粒子1個を加えた。混合物を撹拌せずに放置した。数時間後、溶液から固体が晶出した。撹拌せずに、その混合物を水浴中で45℃に加温した。この後、フラスコを水浴中に漬けたままで、混合物を一晩放置冷却した。上記の操作を、30℃の浴中で繰り返した。この後、その混合物を、外界温度で2日間放置した。上澄み液をデカントして、結晶物から除去した。15%水性イソプロパノール20mL部をフラスコに加え、揺り回して固体を洗い、ついでデカントした。この手順をイソプロパノール20mLで繰り返した。結晶物をフラスコから注意深く取り出し、そして周囲温度において真空乾燥した。
【0075】
データ収集および解析
寸法が約0.29×0.30×0.37mmの無色結晶をガラスファイバー上に載せ、そしてBruker CCDプラットホーム回折計に移した。SMART(SMART Software Users Guide, Version 5.1, Bruker Analytical X-ray Systems,Inc.; Madison,WI1999)プログラムパッケージを、単位格子パラメーターの決定およびデータ収集に用いた(回折データ域の走査時間は25秒/フレーム)。生フレームデータは、SAINT(SAINT Software Users Guide, Version 6.0, Bruker Analytical X-ray Systems, Inc.; Madison,WI1999)およびSADABS(Sheldrick, G.M.SADABS Version 2.05, Bruker Analytical X-ray Systems, Inc.; Madison,WI2001)を用いて処理し、反射データファイルを作成した。その後の計算は、SHELXTプログラム(Sheldrick, G.M.SHELXTL Version 6.12, Bruker Analytical X-ray Systems, Inc.; Madison,WI2001)を用いて実行した。回折対称性は2/mであり、そして消滅則(systematic absence)は、単斜晶空間群P2およびP2/mと整合した。非中心対称性空間群P2が正しかったことを、後で決定した。
【0076】
構造は、直接法によって解明し、Fを完全マトリックス最小二乗法により精密化した。中性原子の分析散乱因子(International Tables for X-ray Crystallography 1992, Vol. C., Dordrecht: Kluwer Academic Publishers)を、この分析を通じて使用した。水素原子は、差フーリエマップから位置決めし、精密化した(x、y、zおよびUiso)。式の単位が2分子存在していた(Z=4)。また、式の単位当たり半分子の水も存在した。
【0077】
収束において、8138データに対して精密化された644変数には、wR2=0.0740およびGOF=1.038。F精密化の比較として、I>2.0σ(I)を有する7740データには、R1=0.0294。絶対構造は、Flackパラメーター(H.D.Flack Acta.Cryst.,1983 A39:876-8810)の精密化により割り当てた。結晶データおよび構造精密化を、表7にまとめてある。
【0078】
【表9】

【0079】
実施例6
熱化学分析
DSC熱分析曲線は、Thermal Analyzer(TA)Instruments製の2920 Modulated DSCを用いて収集した。昇温速度を10℃/minとし、稼動中を通じて窒素パージを維持した。
【0080】
熱重量分析は、Hi-Res 2950 TGA(TA Instruments)を用いて実施した。試料は30℃から280℃まで昇温速度10℃/minで加熱し、各測定を通じて窒素流を維持した。
【0081】
実施例7
蒸気収着分析
Ib(A型)の試料0.026gを、SGA-100 Symmetric Vapor Sorption Analyzer(VTI)を用い、相対湿度(RH)5%−95%−5%の循環プログラムにさらした。実験手順は、試料を60℃で、最長1時間、または5分内のゆらぎが0.02重量%未満となる平衡状態に達するまで乾燥するように設定した。実験は、25℃の等温下で実施し、%RHを5%から95%まで10%ずつ増加させた。試料は、平衡状態に到達するまでの間、各増加後も不変のままであった。平衡状態を、5.00分以内に重量変化率が0.005重量%を超えることのない状態と定義した。95%RHに到達した後、RHを5%RHまで下げ戻した。2時間以内に平衡状態に達しない場合には、RH%を次のプログラムレベルに進めた。
【0082】
実施例8
HPLC分析方法論
Milli-Q Water Purification System(Millipore Corp.,Milford MA)から入手したHPLC級脱イオン水、HPLC級アセトニトリル(Burdick Jackson Lab,Inc., Muskegon,MI)、ヘプタンスルホン酸ナトリウム塩モノヒドラート(Fluka)、85%リン酸(Mallinckrodt、Sigma、またはFluka)、および1N塩酸(J.T.Baker)を、移動相および希釈溶媒の調製に使用した。
【0083】
クロマトグラフィーは、Zorbax SB-CN、4.6×150mm、3.5μmカラムを用いて実施した。(A)水、(B)アセトニトリル、および(C)リン酸1%含む、200mMヘプタンスルホン酸ナトリウム塩モノヒドラート水溶液、からなる三元溶媒の傾斜を用いた。この溶液500mLを調製するため、1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム塩モノヒドラート22.0gを、水約400mL中に溶解した。85%リン酸5mLを加え、ついで水で500mL容積に希釈して完全に混合した。流速1.0mL/minを用いた。カラムには、A90%、C10%を5分間、無傾斜で流した。ついで20分かけて、A20%、B70%およびC10%まで直線的な傾斜になるように流した。この混合物を無傾斜でさらなる5分間流し、それの後、2分かけてA90%、B10%まで傾斜をつけて戻し、その後、8分かけてカラムを再平衡化させた。カラムは40℃に維持した。Ibの保持時間は、約11分であった。
【0084】
実施例9
典型的な製剤
【0085】
【表10】

【0086】
成分を混合し、1個が約100mgを含有するようにカプセル中に分包した;1カプセルを、およそ全一日用量とした。
【0087】
【表11】

【0088】
成分を調合し、溶媒、たとえばメタノールを用いて顆粒化した。ついでこの製剤を乾燥し、適切な錠剤製造機を用いて錠剤(活性成分を約20mg含有)に成形した。
【0089】
【表12】

【0090】
成分を混合して、経口投与用の懸濁液を調製した。
【0091】
その特定の形態において、もしくは開示した機能を実現するための手段の面で表現した上述の記述、または以下に記す特許請求の範囲もしくは添付した図面の中に開示されている特徴、あるいは開示してある結果を達成するための方法または過程は、適宜、個別に、又は、かかる特徴の組合わせで、本発明を、それの多様な形態において実施することを目的に活用することができる。
【0092】
以上に述べた発明については、明確さおよび理解しやすさを目的に、具体的説明および実施例によってかなり詳細に記述した。多様な変化および変更態様が、付属の特許請求の範囲の範囲内で実施できることは、当業者にとって自明なことであろう。したがって、前述した記述は、具体的説明を意図したものであって、限定目的のものではないことを理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、前述した記述を参照して決定するのではなく、それに代わり以下の付属の特許請求の範囲を、この特許請求の範囲が資格を有する等価物の全範囲とともに参照して決定すべきである。
【0093】
この出願明細書が引用したすべての特許、特許出願、および刊行物は、参照により、個々の特許、特許出願、または刊行物が、それぞれ意味しているものと同程度において、すべての目的のための全体が、本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、IbのA型およびB型多形体の粉末X線回折図を重ね合わせて示している。A型およびB型の回折データは、明細書中のそれぞれ表1および3にまとめられている。
【図2】図2は、A型多形体の単結晶X線回折構造を示している。原子座標は表4に提示されている。
【図3A】図3Aは、A型の結晶写真を示している。顕微鏡による観察は、Olympus BX50およびOlympus PH偏光顕微鏡に、Mettler FP80調節器を備えたMettler FP82ホットステージを組み合わせて実施した。
【図3B】図3Bは、B型の結晶写真を示している。顕微鏡による観察は、Olympus BX50およびOlympus PH偏光顕微鏡に、Mettler FP80調節器を備えたMettler FP82ホットステージを組み合わせて実施した。
【図4A】図4Aは、IbのA型多形体の示差走査熱量測定(DSC)図を示す。
【図4B】図4Bは、IbのA型多形体の熱重量分析(TGA)図を示す。
【図5A】図5Aは、IbのB型多形体の示差走査熱量測定(DSC)図を示す。
【図5B】図5Bは、IbのA型多形体の熱重量分析(TGA)図を示す。
【図6】図6は、IbのA型多形結晶形体の温度変調粉末X線回折パターンを示す。
【図7】図7は、IbのB型多形結晶形体の温度変調粉末X線回折パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ib
【化1】


の化合物の結晶形体。
【請求項2】
以下
【表1】


に示すD−面間隔を本質的に有する粉末X線回折トレースを与えるA型およびB型から選択される、請求項1記載の式Ibの化合物の多形結晶形体。
【請求項3】
請求項1または2記載の式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体(A型)。
【請求項4】
以下
【表2】


に示す単結晶X線原子座標を本質的に有する、請求項1または2記載の式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体(A型)。
【請求項5】
請求項1または2記載の式Ibの化合物の多形水和物結晶形体(B型)。
【請求項6】
化合物(Ib)を、場合により塩酸を含有するイソプロパノールおよび水から晶析することを含む、多形半水和物結晶形体(A型)の製造方法。
【請求項7】
請求項6の方法によって製造した、式Ibの化合物の多形半水和物結晶形体。
【請求項8】
式Ibの化合物を水から晶析することを含む、多形水和物結晶形体(B型)の製造方法。
【請求項9】
請求項7の方法によって製造した、式Ibの化合物の多形水和物結晶形体(B型)。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の多形結晶形体の、C型肝炎ウイルス介在疾患用医薬の製造のための使用。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の多形結晶形体を、少なくとも1種類の、薬剤的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤との混合物として含む薬剤組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−505071(P2007−505071A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525733(P2006−525733)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009912
【国際公開番号】WO2005/023826
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】