説明

結晶性合成樹脂組成物

【課題】透明性が改善された結晶性合成樹脂組成物を提供する。
【解決手段】結晶性合成樹脂100質量部に対して、(a)下記一般式(1)、


(式中、R及びRは各々独立して、分岐を有してもよい炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表されるナフタレンジアミド化合物の少なくとも一種を0.001〜1質量部配合してなる結晶性合成樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性合成樹脂組成物に関し、詳しくは結晶性合成樹脂に特定のナフタレンジアミド化合物を配合してなる、透明性の改善された結晶性合成樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド等の結晶性合成樹脂は、加熱溶融成型後の結晶化速度が遅いため成型サイクルが遅くなり、また、加熱成型後にさらに結晶化が進行してしまうことによって収縮を起こすことがあるといった問題があった。また、これらの結晶性合成樹脂は、大きな結晶が生成するために、強度が不充分であったり、透明性に劣るという欠点があった。
【0003】
これらの欠点は、合成樹脂の結晶性に由来するものであり、合成樹脂の結晶化温度を高め、微細な結晶を急速に生成させることができれば解消されることが知られている。
【0004】
上記欠点を解消するために、結晶核剤あるいは結晶化促進剤を樹脂に添加することが知られており、従来から、4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の酸性リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体等の化合物が用いられていた。
【0005】
これらの化合物の中でも、特許文献1及び2等に記載されているアルキリデンビスフェノール類の環状リン酸エステルの金属塩は、その効果が大きく、広く用いられている。
【0006】
また、これらの化合物と他の金属化合物とを併用することによってその効果の改善を図ろうとする試みも行われている。例えば、特許文献3には、芳香族リン酸アルカリ金属塩系造核剤とステアリン酸カルシウム等のカルボン酸アルカリ土類金属塩とを併用した場合の樹脂剛性の低下を防止するために、カルボン酸アルカリ土類金属塩に代えて、ハイドロタルサイト類又はカルボン酸アルカリ金属塩を用いる方法が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4及び5には、環状有機リン酸エステル金属塩と脂肪族カルボン酸の周期律表第II族金属塩とを併用する方法、特許文献6及び7には、酸性有機リン酸エステル化合物と脂肪族カルボン酸金属塩とを併用する方法、特許文献8には、環状有機リン酸エステル金属塩を用いた場合に、後処理として放射線照射が施された後の熱水浸漬におけるpHの低下を防止するため、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルミニウム族金属の水酸化物を併用する方法、特許文献9〜11には、高剛性プロピレン系樹脂の加工性及び耐熱剛性を改良するために、芳香族リン酸ジエステルの塩基性アルミニウム塩を用いる方法、特許文献12には、芳香族リン酸ジエステルの塩基性アルミニウム塩及びカルボン酸アルカリ金属塩を併用する方法、特許文献13及び14には、ポリオレフィン樹脂等の結晶性合成樹脂に対して、ポリアミン系アミド化合物を配合する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−1736号公報
【特許文献2】特開昭59−184252号公報
【特許文献3】特開昭63−69853号公報
【特許文献4】特開平1−129050号公報
【特許文献5】特開平1−129051号公報
【特許文献6】特開平3−79649号公報
【特許文献7】特開平3−81368号公報
【特許文献8】特開平3−43437号公報
【特許文献9】特開平1−104638号公報
【特許文献10】特開平1−104639号公報
【特許文献11】特開平1−104647号公報
【特許文献12】特開平5−156078号公報
【特許文献13】特開平6−271762号公報
【特許文献14】特開平8−157640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記何れの先行技術文献記載の技術においても、樹脂の透明性改善効果については、さらなる改良の余地があった。
【0010】
そこで本発明の目的は、透明性が改善された結晶性合成樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、結晶性合成樹脂に、特定のナフタレンジアミド化合物を配合することにより、透明性が顕著に改善し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、結晶性合成樹脂100質量部に対して、(a)下記一般式(1)、

(式中、R及びRは各々独立して、分岐を有してもよい炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表されるナフタレンジアミド化合物の少なくとも一種を0.001〜1質量部配合してなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、前記ナフタレンジアミド化合物が下記一般式(2)、

(式中、R及びRは各々独立して、前記一般式(1)と同様の置換基を表す。)、
または下記一般式(3)、

(式中、R及びRは各々独立して、前記一般式(1)と同様の置換基を表す。)で表されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、結晶性合成樹脂組成物に、更に、
(b)下記一般式(4)、

(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子、又は、分岐を有してもよい炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、MはAl(OH)を表す)で表される環状有機リン酸エステル金属塩化合物0.001〜5質量部、
(c)カルボン酸アルカリ金属塩0.001〜5質量部、
および、(d)下記一般式(5)、

(式中、R及びRは各々独立して、水素原子、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜21のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、又は、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアルキル基を表し、Aは下記一般式(6)又は(7)で表される基を表す。)で表されるジアミド化合物0.001〜5質量部、からなる群から選ばれる一種以上を配合してなることが好ましい。

(式中、R10は分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、X及びXは、各々独立して、ハロゲン原子、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、複数ある場合のX、Xは各々異なってもよく、p及びqは各々独立して0〜4の整数を表す。)

(式中、Xは、ハロゲン原子、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、rは0〜4の整数を表す。)
【0015】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、前記一般式(4)におけるR〜Rが第三ブチル基であり、かつ、Rが水素原子であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、前記(c)成分のカルボン酸アルカリ金属塩が、カルボン酸リチウム塩であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、前記一般式(6)におけるp及びqが2であり、X及びXが炭素原子数1〜4のアルキル基であり、かつ、R10がメチレン基であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、前記一般式(7)におけるrが0であることが好ましい。
【0019】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、前記結晶性合成樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の結晶性合成樹脂組成物の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る結晶性合成樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体樹脂、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のα−オレフィン共重合体等のポリオレフィン系高分子樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等の熱可塑性直鎖ポリエステル系高分子樹脂;ポリフェニレンスルフィド;ポリラクトン(ポリ乳酸)、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル樹脂;ポリヘキサメチレンアジパミド等の直鎖ポリアミド系高分子樹脂;シンジオタクチックポリスチレン等の結晶性のポリスチレン系高分子樹脂が挙げられ、これらの結晶性合成樹脂の中でも、特にポリオレフィン系高分子樹脂が好適であり、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン以外のα−オレフィン/プロピレンブロック又はランダム共重合体及びこれらのプロピレン系重合体と他のα−オレフィン重合体との混合物等のポリプロピレン系樹脂が特に好適である。
【0022】
本発明の一般式(1)におけるR及びRで表される分岐を有してもよい炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三ブチル、ペンチル、イソペンチル、第三ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等の基が挙げられる。
【0023】
本発明の一般式(1)におけるアミド置換基の位置は特に限定されないが、結晶性合成樹脂の透明化効果に優れることから、上記一般式(2)で表される、1,5−位に置換したナフタレンジアミド化合物、又は、上記一般式(3)で表される、1,8−位に置換したナフタレンジアミド化合物が好ましい。
【0024】
本発明の一般式(1)で表される化合物としてより具体的には、下記化合物No.1〜No.7の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物によりなんら制限を受けるものではない。
【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】
本発明の一般式(1)で表される(a)成分のナフタレンジアミド化合物の配合量は、結晶性合成樹脂100質量部に対して、0.001〜1質量部であり、好ましくは0.005〜0.5質量部である。配合量が0.001質量部未満の場合、配合した効果が得られず、また1質量部を超えるとかえって結晶性合成樹脂の物性を低下させる恐れがあるため好ましくない。
【0033】
本発明の一般式(4)におけるR〜Rで表される分岐を有してもよい炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三ブチル、ペンチル、イソペンチル、第三ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル等の基が挙げられ、中でも第三ブチル基が結晶性合成樹脂の透明化効果に優れることから好ましい。
【0034】
本発明の一般式(4)におけるMで表されるアルカリ金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムであり、中でも、結晶性合成樹脂の透明化効果に優れることからリチウム、ナトリウム又はカリウムが好ましい。
【0035】
本発明の一般式(4)で表される化合物としてより具体的には、下記化合物No.8〜No.12が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物によりなんら制限を受けるものではない。
【0036】

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】

【0041】
本発明の一般式(4)で表される(b)成分の環状有機リン酸エステル金属塩化合物の配合量は、結晶性合成樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部であり、好ましくは0.005〜3質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。配合量が0.001質量部未満の場合、配合した効果が得られず、また5質量部を超えるとかえって結晶性合成樹脂の物性を低下させる恐れがあるため好ましくない。
【0042】
本発明の(c)成分のカルボン酸アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、前記一般式(4)におけるMで例示したものと同じ金属が挙げられ、中でも、リチウム、ナトリウム又はカリウム等が好ましく、特にリチウムが結晶性合成樹脂の透明化効果に優れるため好ましい。
【0043】
前記カルボン酸アルカリ金属塩を構成するカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸:安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−第三ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が挙げられ、中でもオクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪族モノカルボン酸が結晶性合成樹脂の透明化効果に優れるため好ましく、特に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又は12−ヒドロキシステアリン酸が好ましい。
【0044】
本発明の(c)成分のカルボン酸アルカリ金属塩の配合量は、結晶性合成樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部であり、好ましくは0.005〜3質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。配合量が0.001質量部未満の場合、配合した効果が得られず、また5質量部を超えるとかえって結晶性合成樹脂の物性を低下させる恐れがあるため好ましくない。
【0045】
本発明の一般式(5)におけるR及びRで表される炭素原子数1〜21のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル(ラウリル)、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、エイコシル、ヘンエイコシル等の基が挙げられ、これらアルキル基中の−CH−は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基で中断されていてもよく、これらの置換及び中断は組み合わされていてもよい。
【0046】
本発明の一般式(5)におけるR及びRで表される炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル等の飽和炭素環基が挙げられ、該飽和炭素環基中の水素原子が、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基で中断されていてもよく、これらの置換及び中断は組み合わされていてもよい。
【0047】
本発明の一般式(5)におけるR及びRで表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、4−第三ブチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等の芳香族環基が挙げられ、該芳香族環基中の水素原子は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基で中断されていてもよく、これらの置換及び中断は組み合わされていてもよい。
【0048】
本発明の一般式(6)におけるR10で表される分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン等の基が挙げられ、これらのアルキレン基中の−CH−は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基で中断されていてもよく、これらの置換及び中断は組み合わされていてもよい。
【0049】
上記一般式(6)におけるX及びXで表される分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル等の基が挙げられ、これらのアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基で中断されていてもよく、これらの置換及び中断は組み合わされていてもよい。また、X及びXがそれぞれ複数ある場合、それぞれが異なる置換基であってもよい。
【0050】
上記一般式(6)におけるX及びXで表される分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等の基が挙げられ、これらアルコキシ基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で置換または中断されていてもよく、これらの置換及び中断は組み合わされていてもよい。
【0051】
本発明の一般式(7)におけるXで表される分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基としては、前記X及びXで例示した基と同様の基が挙げられる。
【0052】
本発明の一般式(5)で表される化合物としてより具体的には、下記化合物No.13〜No.26が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物によりなんら制限を受けるものではない。
【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】
本発明の一般式(5)で表される(d)成分のジアミド化合物の配合量は、結晶性合成樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部であり、好ましくは0.005〜3質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。配合量が0.001質量部未満の場合、配合した効果が得られず、また5質量部を超えるとかえって物性を低下させる恐れがあるため好ましくない。
【0068】
本発明の結晶性合成樹脂組成物において、(a)成分のナフタレンジアミド化合物と、(b)成分の環状有機リン酸エステル金属塩化合物と、(c)成分のカルボン酸アルカリ金属塩と、(d)ジアミド化合物の配合比率は、特に制限を受けるものではないが、特に、(c)成分のカルボン酸アルカリ金属塩の配合量が、(b)成分の環状有機リン酸エステル金属塩化合物の配合量の等当量以上である場合が、結晶性樹脂の透明化効果が著しいので好ましい。
【0069】
本発明の結晶性合成樹脂組成物において、上記結晶性合成樹脂に前記(a)〜(d)成分及び後述するその他の添加剤成分を添加する方法は、特に制限を受けず、例えば、上記結晶性合成樹脂の粉末あるいはペレットと、前記(a)〜(d)成分及び必要に応じてその他の添加剤成分の粉末とをドライブレンドする方法、各成分を高濃度で含有するマスターバッチを作製し、これを結晶性合成樹脂に添加する方法等を用いることができる。
【0070】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物は、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、架橋発泡成形等の周知の加工方法により、各種成形品、繊維、二軸延伸フィルム、シート等として使用することができる。
【0071】
本発明の結晶性合成樹脂組成物は、各種の後処理を施される用途に好適であり、例えば、注射器、輸液バック等の医療用品、フィルム、シートあるいは各種成形品の形態の食品包装用品等の、放射線、高圧蒸気等による滅菌を施される用途、あるいは、塗装性等の表面特性の改善のために、成形後低温プラズマ処理等が施される用途等に用いられる。上記食品包装用品としては、例えば、食品容器、冷菓容器、トレー類、インスタント食品容器類、マーガリン容器等が挙げられ、上記医療用品としては、注射器シリンジ、スピッツ管、輸液容器、シリンダー類等が挙げられる。該注射器シリンジには、薬液が充填された薬液充填シリンジ及び使い捨てシリンジのような非薬液充填シリンジが含まれる。
【0072】
また、本発明の結晶性合成樹脂組成物には、必要に応じて、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤(リン系、フェノール系、硫黄系)、脂肪族有機酸金属塩等の周知一般に用いられている添加剤等を加え、酸化安定性及び光安定性をさらに改善することができる。
【0073】
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物等が挙げられる。
【0074】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0075】
前記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリス第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0076】
前記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0077】
前記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0078】
その他、本発明の結晶性合成樹脂組成物には、必要に応じて、ナトリウムビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の酸性リン酸エステル金属塩、アルミニウム−p−第三ブチルベンゾエート、ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール等の本発明の化合物以外の造核剤、多価アルコールの部分エステルやジエタノールステアリルアミン等の帯電防止剤、ハイドロタルサイト類、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等のアルキルアルコール類、顔料、染料、充填剤、発泡剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、加工助剤等を加えることができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0080】
[実施例1−1〜1−10]
以下に記載の如く試験片を作製し、下記の評価を行った。結果を表1に併せて記す。
【0081】
<試験片作製及び透明性評価>
ポリプロピレン(PP)樹脂(ランダムPP、MFR=42g/10min)100質量部、テトラキス((3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル)メタン0.1質量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部及び下記表1に記載の如く(a)〜(d)成分又は比較化合物を配合し(表1〜3中、配合量の単位は質量部)、ヘンシェルミキサーで5分間混合し、250℃で押し出し、230℃において射出成形により0.5mm又は1mm厚の試験片を作製し、透明性をヘイズ値(JISK7105)により評価した。結果を表1に併せて記す。
【0082】
[比較例1−1〜1−3]
前記実施例1の試験片作製条件における配合を表1記載の配合から下記表2記載の配合に変えた以外は、同様の条件で試験片の作製及び透明性の評価を行った。結果を表2に併せて記す。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
*1:比較化合物1

【0086】
*2:比較化合物2

【0087】
[実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−4]
前記実施例1におけるポリプロピレン樹脂をMFR=10g/10minのポリプロピレン樹脂に、また、表1の配合を下記表3に記載の配合に変えた以外は、同様の条件で試験片の作製及び透明性の評価を行った。結果を表3に併せて記す。
【0088】
【表3】

【0089】
上記表1及び2に記載の実施例1−1〜10および実施例2−1〜2−4の結果と、比較例の結果との比較から明らかなように、本発明に係るナフタレンジアミド化合物を配合した結晶性樹脂組成物は、樹脂成形品の透明性に優れていることが分かる。実施例1−1〜1−6のような(a)成分の単独配合系においても、樹脂成形品の透明性に優れるという顕著な効果が確認できただけでなく、実施例1−7〜1−10の(b)〜(d)成分の併用配合系においても、樹脂成形品の透明性に関して顕著な効果を示した。特に、実施例1−3と実施例1−8〜1−10を比較してみると、本発明に係る(a)成分に対して、(b)〜(d)成分を併用した場合、顕著な相乗効果を示していることが分かる。また、表3の結果においては、MFRの小さい樹脂においては、より一層顕著な透明性改善効果が確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性合成樹脂100質量部に対して、(a)下記一般式(1)、

(式中、R及びRは各々独立して、分岐を有してもよい炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表されるナフタレンジアミド化合物の少なくとも一種を0.001〜1質量部配合してなることを特徴とする結晶性合成樹脂組成物。
【請求項2】
前記ナフタレンジアミド化合物が下記一般式(2)、


(式中、R及びRは各々独立して、前記一般式(1)と同様の置換基を表す。)、
または下記一般式(3)、

(式中、R及びRは各々独立して、前記一般式(1)と同様の置換基を表す。)で表される請求項1記載の結晶性合成樹脂組成物。
【請求項3】
更に、
(b)下記一般式(4)、

(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子、又は、分岐を有してもよい炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、MはAl(OH)を表す)で表される環状有機リン酸エステル金属塩化合物0.001〜5質量部、
(c)カルボン酸アルカリ金属塩0.001〜5質量部、
および、(d)下記一般式(5)、

(式中、R及びRは各々独立して、水素原子、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜21のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、又は、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアルキル基を表し、Aは下記一般式(6)又は(7)で表される基を表す。)で表されるジアミド化合物0.001〜5質量部、からなる群から選ばれる一種以上を配合してなる請求項1又は2記載の結晶性合成樹脂組成物。

(式中、R10は分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、X及びXは、各々独立して、ハロゲン原子、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、複数ある場合のX、Xは各々異なってもよく、p及びqは各々独立して0〜4の整数を表す。)

(式中、Xは、ハロゲン原子、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、分岐および/または置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、rは0〜4の整数を表す。)
【請求項4】
前記一般式(4)におけるR〜Rが第三ブチル基であり、かつ、Rが水素原子である請求項3記載の結晶性合成樹脂組成物。
【請求項5】
前記(c)成分のカルボン酸アルカリ金属塩が、カルボン酸リチウム塩である請求項3又は4記載の結晶性合成樹脂組成物。
【請求項6】
前記一般式(6)におけるp及びqが2であり、X及びXが炭素原子数1〜4のアルキル基であり、かつ、R10がメチレン基である請求項3〜5のうち何れか一項に記載の結晶性合成樹脂組成物。
【請求項7】
前記一般式(7)におけるrが0である請求項3〜5のうち何れか一項に記載の結晶性合成樹脂組成物。
【請求項8】
前記結晶性合成樹脂が、ポリプロピレン系樹脂である請求項1〜7のうち何れか一項に記載の結晶性合成樹脂組成物。

【公開番号】特開2010−248296(P2010−248296A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96510(P2009−96510)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】