説明

結束バンド

【課題】結束バンドの構造の複雑化および部品点数の増加を抑制しながら、バンド部を増し締めすることが可能な結束バンドを提供する。
【解決手段】この結束バンド1(結束バンド)は、複数のバンド爪111が設けられたバンド部11と、バンド部11の長手方向の一端に設けられ、バンド部11のバンド爪111に係合してバンド部11を固定するロック爪313を含む頭部31とを備え、頭部31には、ロック爪313に対して相対的に移動されることにより、バンド部11を増し締め方向に送るバンド送り部315が一体的に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結束バンドに関し、特に、バンド部のバンド爪に係合してバンド部を固定するロック爪を含む頭部を備えた結束バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンド部のバンド爪に係合してバンド部を固定するロック爪を含む頭部を備えた結束バンドが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数の歯(バンド爪)が設けられた樹脂製バンド(バンド部)と、樹脂製バンドの長手方向の一端に取り付けられ、樹脂製バンドの歯に係合して樹脂製バンドを固定する戻止め爪(ロック爪)を含むバンド用留め具(頭部)とを備えた結束バンドが開示されている。この結束バンドのバンド用留め具は、戻止め爪が設けられた基体と、基体に対して回動可能なように基体の切欠に嵌め込まれたカバー体とにより構成されている。また、カバー体には、カバー体が基体に対して回動されることにより樹脂製バンドの歯に係合して樹脂製バンドを増し締め方向に送る爪車が設けられている。これにより、上記特許文献1の結束バンドでは、カバー体を回動させることにより樹脂製バンドを増し締めすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−240618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の結束バンドでは、樹脂製バンド(バンド部)を増し締め可能である一方、爪車をカバー体に設けるとともに、カバー体を基体の切欠に嵌め込んで基体に対して回動可能なように設ける必要があるので、結束バンドの構造が複雑になるとともに部品点数が増加するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、結束バンドの構造の複雑化および部品点数の増加を抑制しながら、バンド部を増し締めすることが可能な結束バンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による結束バンドは、複数のバンド爪が設けられたバンド部と、バンド部の長手方向の一端に設けられ、バンド部のバンド爪に係合してバンド部を固定するロック爪を含む頭部とを備え、頭部には、ロック爪に対して相対的に移動されることにより、バンド部を増し締め方向に送るバンド送り部が一体的に設けられている。
【0008】
この発明の一の局面による結束バンドでは、上記のように、ロック爪に対して相対的に移動することによりバンド部を増し締め方向に送るバンド送り部を設けることによって、バンド送り部により、バンド部を増し締めすることができる。また、バンド送り部を頭部に一体的に設けることによって、バンド送り部を頭部と別個に設けて頭部に対して移動可能なように取り付ける場合とは異なり、結束バンドの構造の複雑化および部品点数の増加を抑制することができる。したがって、結束バンドの構造の複雑化および部品点数の増加を抑制しながら、バンド部を増し締めすることができる。
【0009】
上記一の局面による結束バンドにおいて、好ましくは、バンド送り部は、頭部との接続部分に設けられた弾性変形可能な接続部を含み、弾性変形可能な接続部が弾性変形されてロック爪に対して相対的に移動するように構成されている。このように構成すれば、増し締めの際に接続部を弾性変形させてバンド送り部をロック爪に対して相対的に移動させた後、接続部の復元力によりバンド送り部が元の位置に戻されるので、ユーザが手動でバンド送り部を元の位置に戻す必要がない。これにより、ユーザに負担を軽減しながら、増し締め作業を繰り返し行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、弾性変形可能な接続部は、蛇腹形状を有する。このように構成すれば、接続部を蛇腹形状に形成することにより接続部を容易に弾性変形可能に構成することができる。
【0011】
上記バンド送り部が接続部を含む構成において、好ましくは、バンド送り部は、バンド爪と係合するとともに、ロック爪に対して相対的に直線移動されることにより、バンド部を増し締め方向に送る送り爪を含む。このように構成すれば、バンド送り部の送り爪をバンド部のバンド爪に係合させて確実にバンド部を増し締め方向に送ることができる。
【0012】
上記バンド送り部が直線移動される構成において、好ましくは、送り爪は、バンド部の増し締め方向におけるロック爪の後ろ側の位置に設けられている。このように構成すれば、ユーザは頭部とバンド送り部とを把持して頭部と送り爪(バンド送り部)との距離を縮めるだけで送り爪をロック爪に対して相対的に移動させることができるので、容易にバンド部を増し締め方向に送ることができる。
【0013】
上記送り爪がロック爪の後ろ側の位置に設けられている構成において、好ましくは、バンド送り部は、接続部を介して頭部と接続され、バンド送り部を押し込むための押し込み部をさらに含み、押し込み部は、送り爪に一体的に設けられており、押し込み部がユーザにより押し込まれることにより弾性変形可能な接続部が変形されて、送り爪がロック爪に対して相対的に移動するように構成されている。このように構成すれば、ユーザは、押し込み部を押し込むだけで送り爪をロック爪に対して相対的に移動させることができるので、バンド部の増し締め作業を容易に行うことができる。
【0014】
上記バンド送り部が直線移動される構成において、好ましくは、送り爪とロック爪とは、所定個数分のバンド爪の間隔を隔てて設けられ、バンド部は、送り爪が所定個数分のバンド爪の間隔の範囲内で増し締め方向に送られることにより増し締めされるように構成されている。このように構成すれば、所定個数分のバンド爪の間隔の範囲内であれば、任意の個数分のバンド爪の間隔でバンド部を送ることができるので、バンド部の増し締め量を容易に調整することができる。
【0015】
上記バンド送り部が直線移動される構成において、好ましくは、送り爪は、ユーザにより送り爪がロック爪に対して相対的にバンド部の増し締め方向に移動される際には、接続部が弾性変形されてバンド部のバンド爪と係合して共に移動し、増し締め後には、弾性変形された接続部の復元力により、バンド部のバンド爪との係合が解除されてバンド部の増し締め方向と反対方向に移動されるように構成されている。このように構成すれば、増し締めの際には、接続部を弾性変形させてバンド送り部をロック爪に対して相対的に移動させることができるとともに、増し締め後には、送り爪とバンド爪との係合が解除されて送り爪だけが元の位置に戻されるので、バンド部の増し締め状態を維持したまま送り爪を元の位置に戻すことができる。
【0016】
上記バンド送り部が送り爪を含む構成において、好ましくは、弾性変形された接続部の復元力によりロック爪に対して相対的にバンド部の増し締め方向と反対方向に移動される際に、接続部が撓み変形することにより送り爪がバンド部に対して離間する方向に移動して係合が解除されるように構成されている。このように構成すれば、接続部により送り爪がバンド部に対して離間する方向に移動しやすくなるので、送り爪とバンド爪との係合が解除されやすくなる。これにより、接続部により送り爪を元の位置により容易に戻すことができる。
【0017】
上記送り爪は接続部が弾性変形されてバンド部のバンド爪と係合して共に移動する構成において、好ましくは、ユーザによる増し締め後、送り爪が弾性変形された接続部の復元力によりロック爪に対して相対的にバンド部の増し締め方向と反対方向に移動された後に、再度、ユーザにより送り爪がロック爪に対して相対的にバンド部の増し締め方向に移動されることによりバンド部を再度増し締め方向に送ることが可能なように構成されている。このように構成すれば、送り爪を増し締め方向に移動してバンド部を一度増し締めした後、再度、送り爪をロック爪に対して相対的にバンド部の増し締め方向に移動させることができるので、所望の増し締め状態になるまで繰り返し増し締めを行うことができる。
【0018】
上記バンド送り部が直線移動される構成において、好ましくは、送り爪の爪部は、ロック爪の爪部と略同一の爪形状を有している。このように構成すれば、送り爪の爪部をバンド部のバンド爪に容易に係合させることができるので、容易に、バンド送り部の送り爪をバンド部のバンド爪に係合させて確実にバンド部を増し締め方向に送ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、結束バンドの構造の複雑化および部品点数の増加を抑制しながら、バンド部を増し締めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による結束バンドの全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による結束バンドの頭部を拡大した図である。
【図3】本発明の一実施形態による結束バンドの頭部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるバンド部を増し締めする前の頭部を示した斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるバンド部を増し締めする前のロック爪および送り爪の状態を示した断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるバンド部を増し締めする最中のロック爪および送り爪の状態を示した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるバンド部を増し締めされた状態のロック爪および送り爪の状態を示した断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による接続部の復元力により送り爪とバンド爪との係合が解除される状態を示した断面図である。
【図9】本発明の一実施形態による結束バンドの変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による結束バンド1の構成について説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による結束バンド1は、図1に示すように、電子機器のケーブルなどの結束に用いられる。具体的には、結束バンド1は、バンド部11と、バンド部11の長手方向の一方端に設けられている尾部21と、バンド部11の長手方向の他方端に設けられている頭部31とを備えている。また、バンド部11と、尾部21と、頭部31とは、ナイロン(ポリアミド系合成繊維)により一体的に形成されている。また、結束バンド1は、全体が撓み変形可能なように構成されている。
【0024】
バンド部11は、図1に示すように、細長形状を有している。バンド部11は、撓み変形可能なように構成されている。また、バンド部11のX方向の幅は、図2に示すように、頭部31の孔部311よりも小さい幅を有している。また、バンド部11の表面11aには、複数のバンド爪111が設けられている。また、バンド部11の裏面11bには、バンド爪111が設けられていない。また、バンド部11の裏面11bは平坦形状を有している。
【0025】
複数のバンド爪111は、図1に示すように、それぞれ、バンド部11の長手方向(Y方向)に沿って一定の間隔で設けられている。また、バンド爪111は、鋸波形状(略直角三角形形状)の断面を有している。バンド爪111は、バンド部11の送り方向(Z1方向)に直交するロック面11cと、ロック面11cに対して傾斜した傾斜面11dとを有する。また、バンド爪111のロック面11cは、高さh(図6参照)を有する。
【0026】
尾部21は、図1に示すように、バンド部11の一端側(Y2方向側)から延びるように形成されている。尾部21は、バンド部11を頭部31の孔部311(図2参照)に通しやすくするために設けられている。尾部21は、平面的に見て、先端が丸形形状を有するように構成されている。尾部21は、撓み変形可能なように構成されている。尾部21は、バンド部11よりも小さい厚みを有している。尾部21のX方向の幅は、後述する頭部31の孔部311(図2参照)よりも小さい幅を有している。また、尾部21には、バンド爪111は設けられていない。
【0027】
ここで、本実施形態では、頭部31には、図2〜図4に示すように、バンド部11が通される孔部311と、バンド部11のバンド爪111に係合してバンド部11を固定するロック爪313と、バンド部11を増し締め方向に送るバンド送り部315とが一体的に設けられている。頭部31は、全体として略直方体形状を有している。
【0028】
孔部311は、図2および図3に示すように、バンド部11の増し締め方向(Z1方向)に沿って形成されている。孔部311の内周面312の下面312aは、図5に示すように、バンド部11が孔部311に通された状態で、バンド部11の裏面11bと接触するように構成されている。また、孔部311の内周面312の下面312aは、バンド部11の裏面11bに対して摺動可能に構成されている。
【0029】
ロック爪313は、図3および図5に示すように、孔部311の内周面312の上面312bに一体的に設けられている。また、ロック爪313は、孔部311の内周面312の下面312a側(Y2方向側)に突出するように形成されている。また、ロック爪313には、図5に示すように、バンド部11のバンド爪111の形状に対応する鋸波形状(略直角三角形形状)の断面(ロック面313bおよび傾斜面313c)を有する爪部313aが3つ設けられている。また、3つの爪部313aは、それぞれ、バンド部11のバンド爪111に係合するように構成されている。
【0030】
ロック爪313は、図5および図7に示すように、バンド爪111に係合することによりバンド部11の増し締め方向と反対方向(Z2方向)にバンド部11が移動するのを規制して、バンド部11を頭部31に対して固定するように構成されている。また、ロック爪313は、ロック爪313のロック面313bがバンド爪111のロック面11cに係合するように構成されている。また、ロック爪313には、ロック爪313の根元部分に撓み変形可能な薄肉部314が形成されている。また、ロック爪313は、図6に示すように、バンド部11が増し締め方向(Z1方向)に移動する際には、薄肉部314が撓み変形されて、バンド爪111の高さhだけ上側(Y1方向側)に回動されるように構成されている。また、ロック爪313は、バンド部11が増し締め方向(Z1方向)に移動する際には、ロック爪313の傾斜面313cがバンド爪111の傾斜面11dに沿って移動することにより撓み変形するように構成されている。
【0031】
また、バンド送り部315には、図3〜図8に示すように、バンド送り部315と頭部31とを接続する接続部316と、送り爪318を増し締め方向(Z1方向)に押し込む押し込み部317と、バンド部11に係合する送り爪318とが設けられている。バンド送り部315は、後述する接続部316が弾性変形することによって、ロック爪313に対して相対的に移動するように構成されている。バンド送り部315は、ロック爪313に対して相対的に移動されることにより、バンド部11を増し締め方向(Z1方向)に送るように構成されている。
【0032】
接続部316は、図2および図4に示すように、弾性変形可能な蛇腹形状を有するように構成されている。接続部316は、頭部31の後側(Z2方向)に2つ設けられている。また、2つの接続部316は、それぞれ、頭部31の左右方向(X方向)の両端部に設けられている。接続部316は、バンド送り部315と頭部31との接続部分に設けられている。また、接続部316は、図5〜図7に示すように、後述する押し込み部317が押し込まれることによって弾性変形されるように構成されている。また、接続部316は、図5および図7に示すように、3個分のバンド爪111の間隔の範囲内で弾性変形可能なように構成されている。また、接続部316は、図8に示すように、後述する押し込み部317が押し込まれることによって弾性変形された後、復元力により元の位置(図5参照)に戻ることが可能なように構成されている。
【0033】
押し込み部317は、図5〜図7に示すように、バンド送り部315を増し締め方向(Z1方向)に押し込むように構成されている。また、押し込み部317は、図2および図3に示すように、接続部316の後方側(Z2方向側)に設けられている。また、押し込み部317は、2つの接続部316に挟まれるように頭部31に設けられている。また、押し込み部317は、送り爪318に一体的に設けられている。
【0034】
送り爪318は、図3および図5に示すように、頭部31の孔部311の内周面312の上面312bに設けられている。また、送り爪318は、バンド部11の増し締め方向(Z1方向)におけるロック爪313の後側(Z2方向側)の位置に設けられている。また、送り爪318は、頭部31の内周面312の上面312bから孔部311の内周面312の下面312a側(Y2方向側)に突出するように形成されている。送り爪318には、バンド部11のバンド爪111の形状に対応する鋸波形状(略直角三角形形状)の断面(送り面318bおよび傾斜面318c)を有する爪部318aが2つ設けられている。2つの爪部318aは、それぞれ、バンド部11のバンド爪111に係合するように構成されている。また、送り爪318の爪部318aは、ロック爪313の爪部313aと略同一の形状を有している。
【0035】
また、送り爪318は、図4〜図7に示すように、押し込み部317が押し込まれることによりロック爪313に対して相対的に直線移動されて、バンド部11を増し締め方向(Z1方向)に送るように構成されている。また、送り爪318は、送り爪318の送り面318bがバンド爪111のロック面11cに係合してバンド部11を増し締め方向に送るように構成されている。また、送り爪318は、図5に示すように、ロック爪313と6個分のバンド爪111の間隔を隔てて設けられている。また、送り爪318は、図5および図7に示すように、接続部316が3個分のバンド爪111の間隔の範囲内で弾性変形することにより、増し締め方向に送られるように構成されている。また、送り爪318は、ロック爪313に対して相対的にバンド部11の増し締め方向(Z1方向)に移動される際には、バンド部11のバンド爪111と係合して共に移動されるように構成されている。
【0036】
送り爪318は、図8に示すように、バンド部11の増し締め後には、弾性変形された接続部316の復元力により、バンド爪111との係合が解除されてバンド部11の増し締め方向と反対方向(Z2方向)に移動されるように構成されている。また、送り爪318には、送り爪318の根元部分に薄肉部319が設けられている。
【0037】
送り爪318は、図8に示すように、弾性変形された接続部316の復元力によりバンド部11の増し締め方向と反対方向(Z2方向)に移動する際には、接続部316が撓み変形されて、バンド爪111の先端部を支点にして回動するように構成されている。また、送り爪318は、バンド部11のバンド爪111の高さhよりも上側(Y1方向側)に回動されるように構成されている。また、送り爪318は、接続部316が撓み変形することによりバンド部11に対して離間する方向(Y1方向)に移動してバンド爪111との係合が解除されるように構成されている。この際、送り爪318は、バンド爪111の先端部を回動中心とする送り爪318に掛かるモーメントにより上側(Y1方向側)に跳ね上がるように回動されるように構成されている。また、送り爪318は、接続部316が上側(Y1方向側)に向けて膨らむように撓み変形されて、バンド部11の増し締め方向と反対方向(Z2方向)に移動されるように構成されている。
【0038】
また、送り爪318は、図4および図5に示すように、弾性変形された接続部316の復元力により押し込み部317を押し込む前の元の位置に移動可能に構成されている。元の位置に移動された送り爪318は、図6および図7に示すように、再度、ロック爪313に対して相対的にバンド部11の増し締め方向(Z1方向)に移動可能なように構成されている。バンド部11の増し締め方向(Z1方向)に再度移動された送り爪318は、バンド部11を再度増し締め方向に送ることが可能なように構成されている。
【0039】
次に、図4〜図8を参照して結束バンド1の増し締め手順について説明する。まず、図4および図5に示すように、頭部31の孔部311にバンド部11が通される。これにより、ロック爪313の爪部313aおよび送り爪318の爪部318aがバンド爪111に係合してバンド部11が固定される。この状態で、図6および図7に示すように、押し込み部317を増し締め方向(Z1方向)に押し込むことにより、バンド部11を増し締め方向に送る。この際、バンド部11のバンド爪111は、バンド送り部315の送り爪318に係合された状態で増し締め方向に(Z1方向)に送られる。また、図6に示すように、バンド部11が1個分のバンド爪111の分だけ増し締め方向(Z1方向)に送られる毎に、薄肉部314が撓み変形されて一時的にロック爪313とバンド爪111との係合が解除される。これにより、ロック爪313によるバンド部11の固定が解除される。また、バンド爪111は、図7に示すように、接続部316が3個分のバンド爪111の間隔の範囲内で弾性変形することにより、ロック爪313に対して相対的に3個分のバンド爪111の距離の範囲内で移動される。その後、送り爪318は、図8に示すように、弾性変形された接続部316の復元力により、バンド爪111との係合が解除されてバンド部11の増し締め方向と反対方向(Z2方向)に移動される。この際、送り爪318は、接続部316が上側(Y1方向側)に膨らむように撓み変形されて、バンド爪111の高さhより上側(Y1方向側)に回動される。また、送り爪318は、バンド爪111の先端部を支点にして上側(Y1方向側)に跳ね上げられるように回動される。その後、送り爪318は、バンド部11に対して離間する方向に移動されてバンド爪111との係合が解除される。そして、送り爪318は、図5に示すように、接続部316が弾性変形する前の状態の位置に戻される。
【0040】
本実施形態では、上記のように、ロック爪313に対して相対的に移動することによりバンド部11を増し締め方向に送るバンド送り部315を設けることによって、バンド送り部315により、バンド部11を増し締めすることができる。また、バンド送り部315を頭部31に一体的に設けることによって、バンド送り部315を頭部31と別個に設けて頭部31に対して移動可能なように取り付ける場合とは異なり、結束バンド1の構造の複雑化および部品点数の増加を抑制することができる。したがって、結束バンド1の構造の複雑化および部品点数の増加を抑制しながら、バンド部11を増し締めすることができる。
【0041】
本実施形態では、上記のように、頭部31との接続部分に設けた弾性変形可能な接続部316を含むとともに、弾性変形可能な接続部316が弾性変形してロック爪313に対して相対的に移動するようにバンド送り部315を構成することによって、増し締めの際に接続部316を弾性変形させてバンド送り部315をロック爪313に対して相対的に移動された後、接続部316の復元力によりバンド送り部315が元の位置に戻されるので、ユーザが手動でバンド送り部315を元の位置に戻す必要がない。これにより、ユーザに負担を軽減しながら、増し締め作業を繰り返し行うことができる。
【0042】
本実施形態では、上記のように、弾性変形可能な接続部316を、蛇腹形状に形成することによって、接続部316を容易に弾性変形可能に構成することができる。
【0043】
本実施形態では、上記のように、バンド爪111と係合するとともに、ロック爪313に対して相対的に直線移動することにより、バンド部11を増し締め方向に送る送り爪318をバンド送り部315に設けることによって、バンド送り部315の送り爪318をバンド部11のバンド爪111に係合させて確実にバンド部11を増し締め方向に送ることができる。
【0044】
本実施形態では、上記のように、送り爪318を、バンド部11の増し締め方向におけるロック爪313の後ろ側の位置に設けることによって、ユーザは頭部31とバンド送り部315とを把持して頭部31と送り爪318(バンド送り部315)との距離を頭部31方向に縮めるだけで送り爪318をロック爪313に対して相対的に移動させることができるので、容易にバンド部11を増し締め方向に送ることができる。
【0045】
本実施形態では、上記のように、接続部316を介して頭部31と接続するとともに、バンド送り部315を押し込むための押し込み部317をバンド送り部315に設けるとともに、押し込み部317を送り爪318に一体的に設け、押し込み部317をユーザが押し込むことにより弾性変形可能な接続部316が変形して、送り爪318がロック爪313に対して相対的に移動するように構成することによって、ユーザは、押し込み部317を押し込むだけで送り爪318をロック爪313に対して相対的に移動させることができるので、バンド部11の増し締め作業を容易に行うことができる。
【0046】
本実施形態では、上記のように、送り爪318とロック爪313とを、6個分のバンド爪111の間隔を隔てて設けるとともに、送り爪318を3個分増し締め方向に送ることにより増し締めするようにバンド部11を構成することによって、3個以内のバンド爪111の間隔の範囲内であれば、任意の個数分のバンド爪111の間隔でバンド部11を送ることができるので、バンド部11の増し締め量を容易に調整することができる。
【0047】
本実施形態では、上記のように、ユーザが送り爪318をロック爪313に対して相対的にバンド部11の増し締め方向に移動する際には、接続部316が弾性変形してバンド部11のバンド爪111と係合して共に移動し、増し締め後には、弾性変形した接続部316の復元力により、バンド部11のバンド爪111との係合を解除してバンド部11の増し締め方向と反対方向に送り爪318を移動するように構成することによって、増し締めの際には、接続部316を弾性変形させてバンド送り部315をロック爪313に対して相対的に移動することができるとともに、増し締め後には、送り爪318とバンド爪111との係合が解除されて送り爪318だけが元の位置に戻されるので、バンド部11の増し締め状態を維持した後送り爪318を元の位置に戻すことができる。
【0048】
本実施形態では、上記のように、弾性変形させた接続部316の復元力によりロック爪313に対して相対的にバンド部11の増し締め方向と反対方向に移動する際に、接続部316が撓み変形することにより送り爪318がバンド部11に対して離間する方向に移動して係合を解除するように送り爪318を構成することによって、接続部316により送り爪318がバンド部11に対して離間する方向に移動しやすくなるので、送り爪318とバンド爪111との係合が解除されやすくなる。これにより、接続部316により送り爪318を元の位置により容易に戻すことができる。
【0049】
本実施形態では、上記のように、ユーザによる増し締め後、送り爪318を弾性変形させた接続部316の復元力によりロック爪313に対して相対的にバンド部11の増し締め方向と反対方向に移動した後に、再度、送り爪318をロック爪313に対して相対的にバンド部11の増し締め方向に移動することによりバンド部11を再度増し締め方向に送ることが可能なように構成することによって、送り爪318を増し締め方向に移動してバンド部11を一度増し締めした後、再度、送り爪318をロック爪313に対して相対的にバンド部11の増し締め方向に移動させることができるので、所望の増し締め状態になるまで繰り返し増し締めを行うことができる。
【0050】
本実施形態では、上記のように、ロック爪313の爪部313aと略同一の爪形状に送り爪318の爪部318aを形成することによって、送り爪318の爪部318aをバンド部11のバンド爪111に容易に係合させることができるので、容易に、バンド送り部315の送り爪318をバンド部11のバンド爪111に係合させて確実にバンド部11を増し締め方向に送ることができる。
【0051】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0052】
たとえば、上記実施形態では、接続部を蛇腹形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、弾性変形可能であれば、蛇腹形状以外の、たとえば、板バネ状に形成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、バンド部の表面にバンド爪を設けるとともに、頭部の孔部の内周面の上面に送り爪およびロック爪を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、バンド部の表面および裏面の両面にバンド爪を設けるとともに、頭部の孔部の内周面の上面に送り爪およびロック爪の一方を設け、頭部の孔部の内周面の下面に送り爪およびロック爪の他方を設けてもよい。具体的には、図9に示すように、バンド部44の表面44aおよび裏面44bの両面にバンド爪444を設けるとともに、頭部51の孔部511の内周面512の上面513に送り爪514を設け、頭部51の孔部511の内周面512の下面516にロック爪515を設けてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、送り爪の爪部を、2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つ、または、3つ以上の送り爪の爪部を設けてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ロック爪の爪部を、3つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つ、2つ、または、4つ以上のロック爪の爪部を設けてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、接続部を、2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つ、または、3つ以上の接続部を設けてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、送り爪とロック爪とを、6個分のバンド爪の間隔を隔てて設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1個〜5個、または、7個以上の間隔を隔ててもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、接続部を、3個分のバンド爪の間隔の範囲内で送り爪を増し締め方向に送れるように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1個、2個、または、4個以上のバンド爪の間隔の範囲内で送れるように構成してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、頭部にバンド部を通す孔部を形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、頭部に孔部以外の、たとえば、略凹形状の溝を形成してこの溝にバンド部を通してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、結束バンドを、ナイロン(ポリアミド系合成繊維)により構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、結束バンドをナイロン以外の材料の、たとえば、ポリエステル等のバンド全体を撓ませられる材料により構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 結束バンド
11、44 バンド部
111、444 バンド爪
31、51 頭部
313、515 ロック爪
313a 爪部
315 バンド送り部
316 接続部
317 押し込み部
318、514 送り爪
318a 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバンド爪が設けられたバンド部と、
前記バンド部の長手方向の一端に設けられ、前記バンド部のバンド爪に係合して前記バンド部を固定するロック爪を含む頭部とを備え、
前記頭部には、前記ロック爪に対して相対的に移動されることにより、前記バンド部を増し締め方向に送るバンド送り部が一体的に設けられている、結束バンド。
【請求項2】
前記バンド送り部は、前記頭部との接続部分に設けられた弾性変形可能な接続部を含み、前記弾性変形可能な接続部が弾性変形されて前記ロック爪に対して相対的に移動するように構成されている、請求項1に記載の結束バンド。
【請求項3】
前記弾性変形可能な接続部は、蛇腹形状を有する、請求項2に記載の結束バンド。
【請求項4】
前記バンド送り部は、前記バンド爪と係合するとともに、前記ロック爪に対して相対的に直線移動されることにより、前記バンド部を増し締め方向に送る送り爪を含む、請求項2または3に記載の結束バンド。
【請求項5】
前記送り爪は、前記バンド部の増し締め方向における前記ロック爪の後ろ側の位置に設けられている、請求項4に記載の結束バンド。
【請求項6】
前記バンド送り部は、前記接続部を介して前記頭部と接続され、前記バンド送り部を押し込むための押し込み部をさらに含み、
前記押し込み部は、前記送り爪に一体的に設けられており、
前記押し込み部がユーザにより押し込まれることにより前記弾性変形可能な接続部が変形されて、前記送り爪が前記ロック爪に対して相対的に移動するように構成されている、請求項5に記載の結束バンド。
【請求項7】
前記送り爪と前記ロック爪とは、所定個数分の前記バンド爪の間隔を隔てて設けられ、
前記バンド部は、前記送り爪が前記所定個数分のバンド爪の間隔の範囲内で増し締め方向に送られることにより増し締めされるように構成されている、請求項4〜6のいずれか1項に記載の結束バンド。
【請求項8】
前記送り爪は、ユーザにより前記送り爪が前記ロック爪に対して相対的に前記バンド部の増し締め方向に移動される際には、前記接続部が弾性変形されて前記バンド部のバンド爪と係合して共に移動し、増し締め後には、前記弾性変形された接続部の復元力により、前記バンド部のバンド爪との係合が解除されて前記バンド部の増し締め方向と反対方向に移動されるように構成されている、請求項4〜7のいずれか1項に記載の結束バンド。
【請求項9】
前記弾性変形された接続部の復元力により前記ロック爪に対して相対的に前記バンド部の増し締め方向と反対方向に移動される際に、前記接続部が撓み変形することにより前記送り爪が前記バンド部に対して離間する方向に移動して係合が解除されるように構成されている、請求項4〜8のいずれか1項に記載の結束バンド。
【請求項10】
ユーザによる増し締め後、前記送り爪が前記弾性変形された接続部の復元力により前記ロック爪に対して相対的に前記バンド部の増し締め方向と反対方向に移動された後に、再度、ユーザにより前記送り爪が前記ロック爪に対して相対的に前記バンド部の増し締め方向に移動されることにより前記バンド部を再度増し締め方向に送ることが可能なように構成されている、請求項8または9に記載の結束バンド。
【請求項11】
前記送り爪の爪部は、前記ロック爪の爪部と略同一の爪形状を有している、請求項4〜10のいずれか1項に記載の結束バンド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−113329(P2013−113329A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257638(P2011−257638)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】