説明

結腸直腸癌の予後方法

腫瘍を患う患者の腫瘍細胞内でのEphB4遺伝子の発現レベルの測定に基づく結腸直腸癌の予後方法。前記発現レベルは、患者の癌の再発の可能性のマーカーとして、および5-フルオロウラシルを用いた処置に対して腫瘍が示す感受性の予後マーカーとして使用可能であり、個々の患者により適切な治療計画を設計することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EphB4遺伝子の発現レベルと5-フルオロウラシルを用いた処置に対する腫瘍の感受性との関係に基づいて結腸直腸癌の予後を決定する方法に関する。本方法は、5-フルオロウラシルを用いた処置に対して応答性を示す可能性の低い腫瘍を患う患者の同定を可能にするものであり、これらの腫瘍に対する予後診断基準およびその処置法を選択する手段として使用できる。
【背景技術】
【0002】
結腸直腸癌(colorectal cancer)は、欧州連合において、比較的高頻度に認められる癌の1種である。2000年において、全体で220000の新たな症例が確認され、120000の死亡例が記録されている。加えて、この種の癌では、発症率と死亡率の両方が上昇している(それぞれ、1995年から2000年にかけて12.4%および6.1%)。
【0003】
原発性腫瘍の外科的除去が、ステージIIとIIIの結腸直腸癌(遠隔転移を伴わない局所的に発達した腫瘍)を患う患者にもっとも頻繁に用いられる処置法である。この処置により、これらの患者の約40-50%が治癒される。しかしながら、残りの50-60%の患者は微小転移巣を有しており、この微小転移巣が疾患の再発を招くことになる。この10年間において、外科切除後の5-フルオロウラシル(5FU)を用いたアジュバント療法により、再発を示す患者の数が有意に低下し、これらの患者の生存率が上昇することが多数の研究により実証されている(Augenlicht et al., (1997) Low-level c-myc amplification in human colonic carcinoma cell lines and tumors: a frequent, p53-independent mutation associated with improved outcome in a randomized multi-institutional trial. Cancer Res, 57, 1769-75; Moertel et al., (1990) Levamisole and fluorouracil for adjuvant therapy of surgically removed colon carcinoma. N Engl J Med, 322, 352-8; Moertel et al., (1995) Fluorouracil plus levamisole as effective adjuvant therapy after resection of stage III colon carcinoma: a final report. Ann Intern Med, 122, 321-6)。
【0004】
上記の処置法が有効となりうる患者を同定する方法が存在しないため、ステージIIIの全ての患者とステージIIの大部分の患者が、5FUによる治療を受けている。しかしながら、約80%の患者は、外科手術により既に治癒しているかまたは腫瘍が5-フルオロウラシルに対して抵抗性を示すという理由により、この処置が有効ではなく、従って、前記の基本的な処置法は、これらの患者にとって理想的であるとは言い難い。
【0005】
40年以上に渡って結腸直腸癌に対して有効性を示した唯一の化学療法剤が5FUである。近年においては、カンプトテシンやオキサリプラチン等の他の薬剤も結腸直腸癌に対する有効性を示している(Arango & Augenlicht, (2001) New approaches to colorectal cancer treatment. In Recent Research Developments in Cancer, Vol. 3. pp. 385-395. Transworld Research Network: Trivandrum; Cunningham et al., (1998) Randomised trial of irinotecan plus supportive care versus supportive care alone after fluorouracil failure for patients with metastatic colorectal cancer. The Lancet, 352, 1413-1418; de Gramont et al., (1997) Oxaliplatin with high-dose leucovorin and 5-fluorouracil 48-hour continuous infusion in pretreated metastatic colorectal cancer. Eur J Cancer, 33, 214-9)。これらの代替薬剤の利用可能性から、5FUを用いた処置に対する応答の可能性に基づいて患者を同定し、分類する必要があることが明らかである。これにより、局所的に発達した結腸直腸癌を患う化学療法の最適化が可能になり、追加のまたは代替の化学療法剤の投与を通じてこれらの患者の生存率を高めることが可能になる。
【0006】
レセプターであるEPH(エリスロポエチン産生肝細胞(erythropoietin- producing hepatocellular))とそのリガンドであるEphrin(EPHN)は、既知の受容体型チロシンキナーゼの主なファミリーを構成する。EPHおよびEphrinは、細胞外シグナルを伝達し、移動と細胞接着を調節することが可能である(Brantley-Sieders et al., (2004) Eph receptor tyrosine kinases in tumor and tumor microenvironment. Curr Pharm Des, 10, 3431-42)。過去において、このチロシンキナーゼファミリーの種々のメンバーの異常発現が腫瘍組織において観察されており、近年の論文において、結腸直腸腫瘍形成におけるこれらの遺伝子の重要性が示唆されている(Alazzouzi et al., (2005) Mechanisms of inactivation of the receptor tyrosine kinase EPHB2 in colorectal tumors. Cancer Research, 65, 10170-10173; Hafner et al., (2004) Differential gene expression of Eph receptors and ephrins in benign human tissues and cancers. Clin Chem, 50, 490-9; Liu et al., (2002) Coexpression of ephrin-Bs and their receptors in colon carcinoma. Cancer, 94, 934-9; Liu et al., (2004) Effects of overexpression of ephrin-B2 on tumour growth in human colorectal cancer. Br J Cancer, 90, 1620-6; Oba et al., (2001) Genomic structure and loss of heterozygosity of EphB2 in colorectal cancer. Cancer Lett, 164, 97-104)。
【0007】
EPHレセプターは、重要な膜タンパク質であり、リガンドと高度に保存されたN末端ドメインとの結合を媒介する細胞外領域を有し、これに続いて、2量体化および他のタンパク質との相互作用に不可欠なシステインリッチな領域と2つのフィブロネクチンIII型リピートを有する(Labrador et al., (1997) The N-terminal globular domain of Eph receptors is sufficient for ligand binding and receptor signaling. Embo J, 16, 3889-97)。これらのレセプターの細胞内部分には、膜近傍領域、保存されたキナーゼドメイン、SAMモチーフおよびPDZへの結合ドメインが含まれる(Kalo & Pasquale, (1999) Signal transfer by eph receptors. Cell Tissue Res, 298, 1-9)。ヒトゲノムは、少なくとも15種類のEPHレセプターを含む(Gale et al., (1996) Eph receptors and ligands comprise two major specificity subclasses and are reciprocally compartmentalized during embryogenesis. Neuron, 17, 9-19)。これらのレセプターのリガンド(ephrin)は、細胞膜に連結される。これらのタンパク質の命名委員会(Committee, E.N. (1997) Unified nomenclature for Eph family receptors and their ligands, the ephrins. Eph Nomenclature Committee. Cell, 90, 403-4)によれば、ephrinは、膜への固定法に応じて2種類の構造上のサブタイプに分類される;GPI(「グリコシルホスファチジルイノシトール」)結合を介して膜に固定可能な種類または膜貫通ドメインを介して膜に固定可能な種類である(それぞれ、サブクラスAおよびB)。現在までに6種類のAクラスのリガンドと3種類のBクラスのリガンドが同定されている。
【0008】
シグナルカスケードは、細胞表面の反対に位置するEPHとEphrinの結合により開始する。この開始時の高親和性2量体化により、これら2量体が集合してヘテロ4量体が形成される。この4量体は、より高次元の複合体を形成することができる。EPH-Ephrinのヘテロ2量化によりEPHレセプターの種々のチロシン残基の自己リン酸化が生じ、これによってレセプターのキナーゼ活性が増大し、シグナル伝達分子への結合部位が作り出される。EPH-Ephrinの2量体化により、自己リン酸化に依存しないこれらのレセプターと他のアダプター分子との結合が促進され、RasおよびRhoの経路の調節が可能になる。EPHにより開始されるシグナル伝達に加え、リガンドも逆方向のシグナル伝達を開始することができる。結果として、EPHレセプターを発現する細胞とこれに適合性を示すEphrinを発現する細胞の結合により、両細胞内で双方向性のシグナルを生じさせることが可能になる。
【0009】
EPH-Ephrin系は種々の重要な細胞プロセスを制御する。RasおよびRhoファミリーの低分子GTPaseを介して、EPH-Ephrin系は、細胞骨格の構造を制御している(Noren & Pasquale, (2004) Eph receptor-ephrin bidirectional signals that target Ras and Rho proteins. Cell Signal, 16, 655-66; Zou et al., (1999) An Eph receptor regulates integrin activity through R-Ras. Proc Natl Acad Sci U S A, 96, 13813-8)。EPH-Ephrin系の活性化の後に放出されるシグナルは、異なる組織の細胞間の吸引力と反発力を制御する。これらのシグナルは、脈管構造と神経系の組織化に重要である(Altick et al., (2005) EphB receptor tyrosine kinases control morphological development of the ventral midbrain. Mech Dev, 122, 501-12; Noren et al., (2004) Interplay between EphB4 on tumor cells and vascular ephrin-B2 regulates tumor growth. Proc Natl Acad Sci U S A, 101, 5583-8)。
【0010】
最近では、腸陰窩の構造の維持と細胞移動における種々のEPHおよびEphrinの重要な役割が実証されている(Batlle et al., (2002) Beta-catenin and TCF mediate cell positioning in the intestinal epithelium by controlling the expression of EphB/ephrinB. Cell, 111, 251-63; van de Wetering et al., (2002) The beta-catenin/TCF-4 complex imposes a crypt progenitor phenotype on colorectal cancer cells. Cell, 111, 241-50)。
【0011】
腫瘍抑制遺伝子APC内の変異は、結腸直腸癌において最も頻繁に認められる遺伝的変異である。APCの正常な機能は、GSK3-βおよびAxinを含む多タンパク質複合体における分解のためのβ-カテニンの標識を促進することである。しかしながら、APC(または前記複合体の他のメンバー)の変異により、β-カテニンの蓄積と核転座が起こる。核内では、β-カテニンは、TCFファミリーの転写因子に結合して、多数の遺伝子の転写を活性化させ、Cyclin Dや転写因子c-Myc等、これらの遺伝子のうちのいくつかは強力な発癌活性を示す(He et al., (1998) Identification of c-MYC as a target of the APC pathway. Science, 281, 1509-12)。Clevers博士のグループによる最近の研究(Batlle et al., (2002) Beta-catenin and TCF mediate cell positioning in the intestinal epithelium by controlling the expression of EphB/ephrinB. Cell, 111, 251-63)では、β-カテニン/TCF系が種々のEPH/Ephrin系メンバー(EPHB2、EPHB3およびEphin-B1)の発現レベルを調節することが示されている。EPHB2および/またはEPHB3が欠損した動物は、腸陰窩における異常な細胞移動パターンを示し、マウスモデルのAPC変異により生じた腸の腫瘍では、高レベルのEPHB2発現が示されている(Batlle et al., (2002) Beta- catenin and TCF mediate cell positioning in the intestinal epithelium by controlling the expression of EphB/ephrinB. Cell, 111, 251-63)。加えて、最近の研究により、動物モデルとヒトの腫瘍の両方において、EPHB2の欠損が、APCの変異により生じる胃腸の腫瘍の進行に重要であることが示されている(Batlle et al., (2005) EphB receptor activity suppresses colorectal cancer progression. Nature, 435, 1126-30)。
【0012】
結腸直腸癌において重要な部分は、ミスマッチ塩基の修復システムが欠損していることであり、これによって腫瘍細胞内の変異の数が増大する。この効果は、マイクロサテライトと呼ばれるモノヌクレオチドまたはジヌクレオチドの配列を有するゲノム領域において特に顕著である。この表現型は、MSI(「不安定なマイクロサテライト(microsatellite instable)」)として知られており、例えば、TGF-βレセプターIIまたはBAXのような腫瘍の開始と進行に重要な遺伝子のコーディング配列中のマイクロサテライトに変異を獲得した腫瘍を選別する。先の研究では、結腸直腸癌腫の52.2%(71/136)に、腸管上皮内での細胞の位置を調節するレセプターの1つであるEPHB2のエキソン17のマイクロサテライトA9におけるMSI表現型が確認されており、結腸直腸腫瘍の進行におけるその機能の重要性も最近において実証されている。また、塩基の修復システムに欠陥を有しないタイプ(MSS:安定なマイクロサテライト(microsatellite stable))の腫瘍では、52.5%(21/41)が、EPHB2プロモーターのCpGアイランドの過剰メチル化を示し、40%(8/21)が、EPHB2が位置するゲノム領域である染色体1p36におけるヘテロ接合性の喪失(loss of heterozigosity:LOH)を患っている。これらの過剰メチル化と染色体の欠失は、正常な上皮と比べて結腸直腸腫瘍に認められたEPHB2の低下を説明する、エピジェネティックな機構である。また、最近の研究では、EPHB2が低レベルであることが、鋸歯状の組織学的特徴を有する新しいタイプの結腸直腸腫瘍(「鋸歯状腫瘍」)を同定する分子的因子の1つであることが示されている。
【0013】
EPHとEphrinは、RasおよびRho等のシグナルカスケードを通じて粘着性と細胞移動を制御している(Elowe et al., (2001) Downregulation of the Ras-mitogen- activated protein kinase pathway by the EphB2 receptor tyrosine kinase is required for ephrin-induced neurite retraction. Mol Cell Biol, 21, 7429-41 ; Tanaka et al., (2003). Association of Dishevelled with Eph tyrosine kinase receptor and ephrin mediates cell repulsion. Embo J, 22, 847-58; Zou et al., (1999) An Eph receptor regulates integrin activity through R-Ras. Proc Natl Acad Sci U S A, 96, 13813-8)。上記の知見と同様に、最近では、結腸直腸腫瘍におけるRHOAの低レベルな発現が、結腸直腸癌患者の生存率の有意な低下(p=0.01)と関連付けられている(Arango et al., (2005) Utilization of microarray analysis to predict prognosis of Dukes C colorectal cancer patients. Gastroenterology, 129, 874-884)。
【0014】
実際に、新たな予後マーカーと結腸直腸癌患者の処置に対する応答性を予測する新たなマーカーを見つける必要性が大いに存在する。研究において有用性を示した、ますます増加する多数のマーカーは、未だにルーチンな臨床用途に転用されておらず(Alazzouzi et al., (2005) SMAD4 as a prognostic marker in colorectal cancer. Clin Cancer Res, 11, 2606-2611 ; Alhopuro et al., (2005) SMAD4 levels and response to 5-fluorouracil in colorectal cancer. Clin Cancer Res. Sep 1;11 (17):6311-6; Arango et al., (2001) c-myc/p53 interaction determines sensitivity of human colon carcinoma cells to 5-fluorouracil in vitro and in vivo. Cancer Res, 61, 4910-5; Arango et al., (2005) Utilization of microarray analysis to predict prognosis of Dukes C colorectal cancer patients. Gastroenterology, 129, 874-884; Arango et al., (2003) c-Myc overexpression sensitizes colon cancer cells to camptothecin-induced apoptosis. British Journal of Cancer, 89, 1757-65)、結腸直腸癌患者は、その予後と処置に対する応答性に示される高い不均一性にもかかわらず、共通の基本的な処置を受け続けている。また、先の研究では、EPHレセプターファミリーの他のメンバーの発現レベルの非制御が確認されている(Martiny-Baron et al., (2004) Inhibition of tumor growth and angiogenesis by soluble EphB4. Neoplasia, 6, 248-57; Wu et al., (2004) Expression of Ephb2 and Ephb4 in breast carcinoma. Pathol Oncol Res, 10, 26-33; Xia et al., (2005) EphB4 expression and biological significance in prostate cancer. Cancer Res, 65, 4623-32)。
【発明の開示】
【0015】
本発明によれば、EPHB4は、結腸直腸腫瘍中のEPHB4の発現レベルにより結腸直腸癌患者の再発と生存の可能性を予測することができるという点で、良好な予後マーカーであり、かつ結腸直腸癌患者の5FUを用いた処置に対する応答性のマーカーでもある。EPHB4が低レベルで発現している場合には、平均余命が1.8年の患者グループが同定でき、これに対して、EPHB4が高レベルなグループは、9年を超える平均余命を有することになる。これらの結果は2つの独立した研究のデータから得られたことを強調する必要がある。EPHB4のレベルが低い腫瘍患者は、予後が悪く、5FU処置に対する応答性が低い。その結果、バイオプシー中または腫瘍の外科的切除後のEPHB4レベルの解析を行うことにより、基本的な処置(外科手術+5FU)に対する応答性を示す可能性の低い患者が同定可能であり、これらの患者については、オキサリプラチンおよび/またはカンプトテシンを用いた化学療法を含む、より強力な処置法が示唆されることになる。
【0016】
本発明の目的は、患者から単離した生体試料中のEphB4の発現レベルを測定することを含む結腸直腸癌の予後方法であって、ここで、該発現レベルが予後マーカーおよび5-フルオロウラシルを用いた処置に対する結腸直腸腫瘍の応答性のマーカーとして用いられる方法に関する。
【0017】
特に、上記遺伝子の低レベルな発現は、予後不良と5-フルオロウラシルを用いた処置に対する結腸直腸腫瘍の低い感受性を示しており、一方で高レベルな発現は、良好な予後と処置に対する感受性の高さを示す。
【0018】
本発明のある態様では、解析する試料は、EphB4をコードするRNAまたはこのRNAの断片であってもよく、バイオプシーまたは他の摘出方法により得られた細胞から単離できる。好ましくは、測定は、PCR、SDAまたは他の何らかの核酸の増幅方法による増幅を通じて行うことができる。これに代わり、測定は、オリゴの沈着またはフォトリソグラフィー若しくは他の機構によるインサイチュ(in situ)での合成を通じて調製したDNAマイクロアレイを用いて行うこともできる。これに代わり、測定は、あらゆる種類の標識方法で標識されたプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションを通じて行うこともできる。これに代わる場合には、測定はゲル電気泳動により行われ、この場合、電気泳動は、任意にメンブランへの転写と特異的なプローブを用いたハイブリダイゼーションにより行うこともできる。これに代わる場合、測定は、NMRまたは画像解析を介した他のいずれかの診断技術により行われる。これに代わる場合、測定は、NMRまたは画像解析と常磁性ナノ粒子若しくは別の種類の抗体と機能化された検出可能なナノ粒子の使用を介した他のいずれかの診断技術またはその他の手段により行われる。
【0019】
本発明のある態様では、解析する試料は、前記遺伝子にコードされるタンパク質またはその断片であってもよい。好ましくは、測定は、特異的な抗体とのインキュベーションにより行われる。測定は、随意に、ウェスタンブロット法または免疫組織化学的手法により行うことも可能である。これに代わる場合、測定は、タンパク質ゲル電気泳動により行われる。これに代わる場合、測定は、プロテインマクロアレイにより行われる。これに代わる場合、測定は、ELISAまたは他のいずれかの酵素的方法により行われる。これに代わる場合、測定は、NMRまたは画像解析を介した他のいずれかの診断技術により行われる。これに代わる場合、測定は、NMRまたは常磁性ナノ粒子若しくは別の種類の抗体若しくは他のいずれかの手段と機能化された検出可能なナノ粒子を使用した画像解析を介した他のいずれかの技術により行われる。
【0020】
本発明の更なる目的は、EphB4遺伝子の発現レベルの測定に適した試薬と添加剤とを含んでなる、結腸直腸癌の予後方法に適用されるキットに関する。
【0021】
また、本発明が有する目的としては、特異的な抗EPHB4抗体、該1次抗体に結合可能な2次抗体、可視化用試薬、発色物質並びに組織切片中のEphB4遺伝子の発現の測定に必要な他の試薬および添加剤を含んでなるキットがある。
【0022】
ある態様では、前記キットは、EphB4の発現レベルの定量化を可能にするポジティブコントロールとネガティブコントロールを含む。この定量化は、手作業または自動化された態様で行うことができる。
【0023】
本発明の別の目的は、結腸直腸癌において治療効能を有する化合物の解析方法であって、これらの化合物のEphB4遺伝子の発現レベルを上昇させる能力を測定することを含んでなる方法に関する。
【0024】
また、本発明は、上記の方法において治療効能を有する化合物の有効量と1または2種類以上の医薬的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物に関する。
【0025】
一方で、本発明は、結腸直腸癌またはその前癌状態の処置若しくは予防のための医薬の調製のための、上記の方法により得られる治療効能を有する化合物の使用に関する。本明細書で用いる場合、「処置」という用語は、このような状態の処置および管理、並びに新たな腫瘍に対する予防も含む。
【0026】
本発明では、高レベルと低レベルを区別する閾値の評価は、EphB4の発現レベルの測定に用いる技術に依存する。従って、例えば、免疫組織化学的手法を用いた半定量的な解析を採用する場合、0ないし4の等級において、2という閾値を用いた。
【0027】
特異的な抗EPHB抗体を用いた結腸直腸癌の組織切片の免疫組織化学的手法(IHQ)により行った試験では、結腸直腸上皮内でのEPHB4の発現に明確な勾配が示され、発現は、陰窩の深部において最大であり、管腔領域において低下していた(図1、1-2)。結腸直腸腫瘍内でのEPHB4の発現レベルには、大きな差異が認められた(図1、4-8)。
【0028】
加えて、137種類のヒト結腸直腸腫瘍のコレクションにおけるEPHB4の発現レベルを、組織マイクロアレイの切片でのIHQにより試験した(表1)。EPHB4の発現レベルが低い患者は、有意に短い余命を有することが確認された(p=0.009)(図2a)。EPHB4を独立変数として考慮した場合、低レベルのEPHB4と全体的な生存率または無症候時間との間に有意な関連性が認められた(Cox回帰 p<0.05)。また、性別、年齢、腫瘍の位置(結腸または直腸)、組織学的グレードおよびEPHB4のレベルを含む多変量解析においても、これらは依然として全体の生存率と無症候時間の強力な予後マーカーであり続けた(Cox回帰はそれぞれp=0.005およびp=0.009)。これらの結果については、125種類の結腸直腸腫瘍から成る第2のコレクションを用いることで独立して確認した(表2および図2b)。これに加え、別の16名の結腸直腸癌患者の16種類の転移細胞とリンパ節におけるEPHB4の発現レベルも試験した;これらの転移細胞では、原発腫瘍よりも低いEPHB4レベルが検出され(t-検定;p=0,027)、低いEPHB4レベルが結腸直腸癌患者の予後不良の指標であるという考えが支持される結果となった。EPHB4レベルと他の臨床病理学的変数との間に関連性は認められなかった(表1および2)。
【0029】
表1:本試験における137名のDuke分類Cの患者の臨床病理学的因子
【表1】

【0030】
表2:第2確認試験における125名のDuke分類Cの患者の臨床病理学的因子
【表2】

【0031】
これらのデータをまとめると、EPHB4レベルが、予後マーカーおよび結腸直腸癌患者の標準的処置に対する応答性を予測するマーカーとして使用可能なことが示される。このマーカーを臨床的に用いることで、標準的治療法で処置した場合に予後が悪く、より強力な処置が有益である患者を同定することができる。
【0032】
結腸直腸腫瘍におけるEPHB4の可能な機能を実証するため、この遺伝子を発現しない結腸直腸癌セルライン(SW837;3A)にEPHB4を再導入した。これらの細胞への発現ベクターの安定なトランスフェクションにより、空ベクターでトランスフェクトした培養細胞と比べて長期間のコロニー形成能を有する細胞の数が有意に減少した(図3B)。これらの実験により、EPHB4が結腸直腸癌患者の予後マーカーとして使用できることが実証されただけでなく、EPHB4が、この器官内での癌の進行に重要な役割を有することも示されている。
【0033】
結果として、本発明により、発達段階に関わらず、EPHB4のレベルと結腸直腸癌患者(5-フルオロウラシルによる処置を受けていても受けていなくても)の再発の可能性との相関性が示されており、このことは、結腸直腸癌の予後を判断してその患者に最も適切な処置を選択すること(先に利用可能であった方法では不可能であった)を可能にする新規な分子ツールが得られたことを意味している。
【0034】
また、本発明により、治療効能を有する有効量の化合物を含む医薬組成物が提示される。具体的には、EphB4が、結腸直腸癌細胞において高頻度でメチル化を受けていること;および5-aza-シチジンがこのメチル化を減少させてEphB4の発現を促進することが示された。EphB4の発現レベルと予後の間に相関性があることから、5-aza-シチジンまたはこの遺伝子の発現を上昇させることが可能な他の化合物を用いた処置により、結腸直腸癌の予後と5-フルオロウラシルを用いた処置に対する腫瘍の応答性を変化させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】結腸直腸組織中でのEPHB4発現レベル。抗EPHB4抗体を用いた免疫組織化学染色では、正常な結腸直腸上皮における、陰窩の中央部に最大レベルを有する発現の勾配が示されている(1-2)。EPHB4は、解析した大部分の腫瘍の細胞膜に主として位置する(3)。調べた137種類の結腸直腸腫瘍において、EPHB4の発現レベルは大きく異なっていることが観察された(4-8)。
【図2】腫瘍における低レベルのEPHB4は、結腸直腸癌患者の予後不良と関連性を有する。A)全生存率を示す曲線(Kaplan-Mayer)およびDukes分類Cにある137名の結腸直腸癌患者における再発を伴わない生存率。低レベルのEPHB4を示す患者は、高レベルのEPHB4を示す腫瘍患者と比べて有意に短い余命を有する(ログランク検定 p<0.01)。B)この結果は、Dukes分類A-Dにある別の125名の結腸直腸癌患者からなるグループでも独立して確認された。腫瘍細胞中のEPHB4発現レベルが低い患者は、高いEPHB4レベルを示す腫瘍患者よりも予後が悪い(ログランク検定 p=0.02)。
【図3】無疾患の時間を表す生存曲線(Kaplan Mayer)。EPHB4レベルは、抗EPHB4抗体を用いた組織染色後に画像解析により定量化した。分画化した領域を算出し、分画化した領域が50%を超える場合にEPHB4発現が高いものと定義した。腫瘍細胞中のEPHB4発現レベルが低い患者は、高いEPHB4レベルを示す腫瘍患者よりも高い統計学的有意性を以て予後が悪い(P値、0.0065)。
【図4】結腸直腸腫瘍細胞内へのEPHB4の再導入により、コロニー形成能が低下する。A)結腸直腸腫瘍セルラインにおいて、ウェスタンブロッティングで測定したところEPHB4のレベルに大きな違いが認められた。β-アクチンのレベルをローディングコントロールとして用いた。EPHB4の発現ベクター(pcDNA-EPHB4)を用いたSW837細胞のトランスフェクションにより、14日間のセレクションの後にネオマイシン耐性を示すコロニー数が有意に減少した。クリスタルバイオレットを用いたコロニー染色の代表的な結果を下部のパネルに示す。上の部分のヒストグラムには、3つの系の独立した実験で観察されたコロニー数の定量の結果が示されている(平均値±標準偏差;*t検定 p=0.0008)。
【図5】結腸直腸癌セルラインSW620を5-aza-シチジンで処理すると、EphB4プロモーターのメチル化が減少し、その遺伝子発現が促進される。パネル上部:RT-PCRで測定した遺伝子発現の変化。パネル下部:亜硫酸水素塩処理したDNAに対するメチル化特異的プライマーを用いたPCRにより測定したメチル化の変化。
【実施例】
【0036】
以下において、本発明の非限定的な実施例を記載する。
【0037】
実施例1:免疫組織化学的手法による結腸直腸腫瘍細胞内のEphB4レベルの測定
本実験において、137名の患者に由来する結腸直腸の腫瘍試料と正常試料のペアからなる組織マイクロアレイを用いた。各組織は、3つの系に用意した。試料は、フィンランド南部の複数の医学研究所において、全ての患者とのインフォームドコンセントの後に採取した。EPHB4の発現レベルは、ヒトEPHB4のC末端領域に対する抗体(Clone 3D7G8;Zymed Laboratories社、サンフランシスコ、カリフォルニア州、米国)を用いた免疫組織化学的手法により測定した。この抗体の特異性は、既に、ホルマリン固定してパラフィン包埋した組織において実証されている(Berclaz et al., (2003) Activation of the receptor protein tyrosine kinase EphB4 in endometrial hyperplasia and endometrial carcinoma. Ann Oncol, 14, 220-6)。免疫組織化学染色においては、市販のPowerVision Poly-HRP IHCキット (ImmunoVision Technologiess社、ブリズベン、カリフォルニア州、米国)を製造元の推奨方法に従って用いた。EPHB4発現レベルの定量には、0(染色無し)ないし4(その組織マトリックス中に認められる最も高い染色レベル)からなる半定量的スケールを用いた。図1に認められるように、正常組織の腸陰窩の中央部では、発現レベルは4に達している。腫瘍におけるEPHB4の発現レベルと生存率との潜在的な相関関係に関する試験では、マトリックス中の3つの重複する系の平均値を用いた。生存率の解析では、Kaplan-Meyer表示とログランク検定、並びにCox回帰モデルを用いた。EPHB4のレベルを離散変数として考慮した場合、腫瘍中のEPHB4発現レベルが低い患者群を定義する域値として2未満の発現を用いた。
【0038】
実施例2:免疫組織化学的染色後の画像解析による結腸直腸腫瘍中のEPHB4レベルの測定
実施例1で用いたペア試料であって実施例1で記載された染色に用いたのと同一の組織マイクロアレイを用いて画像解析を行った。異常(悪性状態の組織)を伴わない全ての切片を定量化した。全部で、結腸直腸癌患者由来の86種類の組織試料を解析した。全ての試料は、3つの重複する系で用い、腫瘍組織に相当する切片を解析した。
【0039】
上記マイクロアレイ中に存在する各切片に対応する画像を、AnalySIS、Soft Imaging System GMBHソフトウェアを用いて光学顕微鏡により獲得した。画像解析も同一のソフトウェアを用いて行った。
【0040】
以下のフィルターを用いてオリジナル画像を処理した:DCE(微分コントラスト増強(Differential Contrast Enhancement))コントラストフィルター。帯域幅のパラメーターを60に固定し、増強度を40に固定した;エッジ増強フィルター、粒系を3ピクセルに固定し、増強度を30%に固定した;グレースケールへ転換し、ヘマトキシリンエオジンによるカウンター染色で染色された細胞核を除去するため、900ピクセルの最小サイズで粒子をフィルターにかけた。測定したパラメーターは以下の通り:分画化した領域面積、対象領域中のグレースケールの積分平均値;グレースケールの平均値と分散。
【0041】
これらの変数を半自動的に測定するためマクロを用いて記載した。使用したマクロは以下の通り:
'open document
docRestore();
Op.Activate();
docMaximize();
'define analiysis area
DefineROIs$();
'DCE Filter
DefineDCEFilter$(File:=NULL);
DCEFilter(File:=NULL);
'Edge filter
DefineEdgeEnhance(Size:=3, Percent:=30);
EdgeEnhance();
'Color separation
ColorSeparationIntensity();
'Detection parameters
SetGrayThresholds$(Thresholds:=NULL, AutoName:=NULL);
DefineDetection(ROIs:=1, Border:=ANA_BORDER_CUT,
Inclusions:=TRUE, MinPixel:=900, Min:=0, Max:=DBL_MAX,
Unit:="μm", Connectivity:=ANA_CON_INCLDIAGONALS,
UseRanges:=TRUE);
'Detection and copy results
Detect();
FrameROIResults();
shSetSelection (0, SH_SEL_ROW, 1);
Copy();
Close(AskForSave:=TRUE);
【0042】
図3では、マトリックス中の3か所の平均値を用いた。生存率を解析するため、Kaplan-Meyer表示とログランク(Mantel-Cox)検定表示を用いた。EPHB4のレベルは、離散変数として処理した。EPHB4のレベルが低い患者群は、分画領域面積(前腫瘍面積に対して、カットオフレベルを超える抗EPHB4抗体が認められる領域)が50%未満の組織を有する者として定義した。
【0043】
画像解析による免疫組織化学的結果の定量は、手作業による解剖病理学的検証よりも高い有意差を示しており、無疾患時間に対するEPHB4レベルの予後値が確認される(手作業による測定ではp=0.009、画像解析ソフトウェアを用いた自動測定ではp=0.0065)。
【0044】
実施例3:ウェスタンブロットによる結腸直腸癌セルライン中のEphB4レベルの測定
100マイクログラムの結腸直腸癌セルライン由来タンパク質抽出物の分画を7% SDS-ポリアクリルアミドゲルで分離した。このタンパク質をニトロセルロースメンブランに転写し、先の論文(Arango et al., (2003) c-Myc overexpression sensitizes colon cancer cells to camptothecin-induced apoptosis. British Journal of Cancer, 89, 1757-65)に記載されたように抗EPHB4抗体(希釈率1/200;クローン3D7G8;Zymed Laboratories社、サンフランシスコ、カリフォルニア州)で染色した。その後、このメンブランを抗アクチン抗体(クローンAC74、1/1000;Sigma社)で染色し、各レーンに等量がローディングされていることを確認した(Arango et al., (2003) c-Myc overexpression sensitizes colon cancer cells to camptothecin-induced apoptosis. British Journal of Cancer, 89, 1757-65)。
【0045】
実施例4:コロニー形成アッセイ
SW837培養細胞を、EPHB4の発現ベクター(pcDNA-EPHB4)またはこれに対応する空ベクター(pcDNA3.1、Invitrogen社、カールスバド、カリフォルニア州、米国)でトランスフェクトした。24時間後に細胞をトリプシン処理し、1/10の希釈率で継代した。500 μg/mlのネオマイシン(Invitrogen社、カールスバド、カリフォルニア州、米国)で2週間セレクションした後、生存するコロニーを4%パラホルムアルデヒドで固定し、クリスタルバイオレットで染色した。
【0046】
実施例5:結腸直腸癌セルラインの処理
低い発現レベルとEphB4プロモーターのメチル化を特徴とする結腸直腸癌セルラインSW620の培養細胞を、異なる濃度の5-aza-シチジンで72時間処理した。細胞は、RT-PCRで測定したところ、遺伝子発現量の上昇により応答を示し、最も効果的な用量は10μMであった。
【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から単離した生体試料中のEphB4遺伝子の発現レベルを測定することを含んでなる、結腸直腸癌の予後方法であって、この遺伝子の発現レベルが予後マーカーおよび5-フルオロウラシルを用いた処置に対する結腸直腸腫瘍の応答性のマーカーとして用いられる方法。
【請求項2】
EphB4の低レベルな発現が、予後不良と5-フルオロウラシルを用いた処置に対する結腸直腸腫瘍の不十分な感受性と関連しており、そして、高レベルな発現が、予後の良好さと前記処置に対する高い感受性と関連している、請求項1に記載の予後方法。
【請求項3】
前記試料が、バイオプシーまたは他の摘出方法により得られた細胞から単離される、請求項1または2に記載の予後方法。
【請求項4】
前記解析する試料が、EphB4遺伝子にコードされるRNAまたはその断片である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の予後方法。
【請求項5】
前記測定が、PCR、SDAまたは他の何らかの核酸の増幅方法により行われる、請求項4に記載の予後方法。
【請求項6】
前記測定が、いずれかの方法により沈着されたオリゴヌクレオチドで構成されるDNAマイクロアレイにより行われる、請求項4に記載の予後方法。
【請求項7】
前記測定が、フォトリソグラフィーまたは他のいずれかの方法によりインサイチュで合成されたオリゴヌクレオチドで構成されるDNAマイクロアレイにより行われる、請求項4に記載の予後方法。
【請求項8】
前記測定が、いずれかの標識方法で標識された特異的プローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションにより行われる、請求項4に記載の予後方法。
【請求項9】
前記測定が、ゲル電気泳動により行われる、請求項4に記載の予後方法。
【請求項10】
前記測定が、メンブランへの転写と特異的プローブを用いたハイブリダイゼーションにより行われる、請求項9に記載の予後方法。
【請求項11】
前記測定が、NMRまたは他のいずれかの診断用画像化技術により行われる、請求項4に記載の予後方法。
【請求項12】
前記測定が、NMR、または画像化技術および抗体若しくは他のいずれかの手段と機能化された検出可能な常磁性ナノ粒子の使用により行われる、請求項4に記載の予後方法。
【請求項13】
解析される試料が、EphB4遺伝子にコードされるタンパク質またはその断片である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の予後方法。
【請求項14】
前記測定が、特異的抗体とのインキュベーションにより行われる、請求項13に記載の予後方法。
【請求項15】
前記測定が、ウェスタンブロット法により行われる、請求項14に記載の予後方法。
【請求項16】
前記測定が、免疫組織化学的手法により行われる、請求項14に記載の予後方法。
【請求項17】
前記測定が、ゲル電気泳動により行われる、請求項13に記載の予後方法。
【請求項18】
前記測定が、プロテインチップにより行われる、請求項13に記載の予後方法。
【請求項19】
前記測定が、ELISAまたは他のいずれかの酵素的方法により行われる、請求項13に記載の予後方法。
【請求項20】
前記測定が、NMRまたは他のいずれかの診断用画像化技術により行われる、請求項13に記載の予後方法。
【請求項21】
前記測定が、NMR、または抗体若しくは他のいずれかの手段と機能化された常磁性ナノ粒子若しくは他のいずれかのナノ粒子を用いた他のいずれかの診断用画像化技術により行われる、請求項13に記載の予後方法。
【請求項22】
EphB4の発現レベルを測定するための試薬および添加剤を含んでなる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。
【請求項23】
特異的な抗EPHB4第1抗体、該第1抗体と結合可能な第2抗体、可視化試薬、発色物質並びに組織切片中のEphB4発現量を測定するために必要なその他の試薬および添加剤を含んでなるキット。
【請求項24】
EphB4の発現レベルの定量化を可能にするポジティブコントロールとネガティブコントロールを含んでなる、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
結腸直腸癌において治療効能を有する化合物の解析方法であって、これらの化合物のEphB4遺伝子の発現レベルを上昇させる能力を測定することを含んでなる方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法により同定される治療効能を有する1種類または複数種類の化合物の有効量と1または2種類以上の医薬的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項27】
結腸直腸癌の処置または予防用の医薬の調製のための、請求項25に記載の方法により同定される治療効能を有する化合物の使用。

【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−540813(P2009−540813A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515887(P2009−515887)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056222
【国際公開番号】WO2007/147877
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(506346923)オリソン、ヘノミクス、ソシエダッド、アノニマ (5)
【氏名又は名称原語表記】ORYZON GENOMICS, S.A.
【Fターム(参考)】