給水チューブ
【課題】 比較的低い内圧のまま少量の水を送水経路に沿って経路周辺に均等に散水できない点である。
【解決手段】 織布生地を折り曲げ、折り曲げた生地の縁から所定の距離をおいて織布同士をミシン縫いするか溶着して形成された通水用の筒部分と、この筒部分に連続する残された両側の織布生地部分とを備え、これら織布生地部分は被散水面に被せるように広げて用いられ、前記筒部分に通水した際に筒部分の織布の糸の織り目から滲み出す水を前記織布生地部分が吸水しながら周囲に拡散させ織布生地全面を給水面として利用する。
【解決手段】 織布生地を折り曲げ、折り曲げた生地の縁から所定の距離をおいて織布同士をミシン縫いするか溶着して形成された通水用の筒部分と、この筒部分に連続する残された両側の織布生地部分とを備え、これら織布生地部分は被散水面に被せるように広げて用いられ、前記筒部分に通水した際に筒部分の織布の糸の織り目から滲み出す水を前記織布生地部分が吸水しながら周囲に拡散させ織布生地全面を給水面として利用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を送水し吸水し拡散させる給水チューブ、より具体的には織布の織り目を通じ水を滲み出させて散水し且つ水を広範囲に分配する給水チューブに係る。この給水チューブは、豪雪地では、冬期に温水の散水用として融雪目的のために利用でき、夏期には散水冷却用もしくは集熱用に、また栽培土壌への散水装置として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂成形品の散水チューブは、安価で扱いやすいため様々な散水用途に使用されている。
この種の散水チューブは側壁に微小な多数のノズルを備え、スプレイ水を周囲に散逸させて広範囲に散水する構造のものである。散水量はノズルの数によってきまるので用途によっては水量の過不足が生じることもあるが、噴射水量と水の到達距離は内圧に比例して増減するためバルブ調整によって対応してきた。
【0003】
しかし、凹凸屋根面への散水や茎葉の林立する土壌への給水に使用するときには、水の噴射経路上のそうした障害物のため噴射水はこれにぶつかって飛翔できず均等に分散できない。風があれば水は飛散してしまう。その結果、チューブ周辺に大量の水が滞ったり水のかからない場所が残され、水を無駄使いして散布面はマダラになる。融雪の用途では、地下水の量は限られているので、散布区域が必要面積をカバーできなければその影響は深刻である。また、ノズルチューブはノズル穿孔径が小さく詰まりやすいので、長期間放置したまま散水性能を維持することが難しい。
【0004】
屋根面への融雪散水や土壌散水の用途において、この欠点は広域給水と維持管理面で大きな障害である。具体的には、多数の散水器を使用し大量の散水をしないかぎり予定した散布面すべてに放水が到達しないので、融雪に使用した場合には雪溜りが生じ、土壌用では局所的な大量散水により土砂の流失するなどの問題があった。
【0005】
その対策として、周面から水が滲み出す円形断面のホースを選択する方法がある。その一例として、繊維材と樹脂を混練した複合材を押出し整形してなる可撓性ホースが使われているが、この種のホースは潰し変形に弱い。内圧を上げた状態で水を滲み出させる構造のため、ホース壁に割れやヒビが入り噴出漏水が起こりやすい。破損による漏水量は大きいのでその時には送水を停止することになるが、水経路が連続しているので注水の停止は影響が給水経路全体に及ぶ。屋根上での給水は長期使用が前提であるので漏水の保守は使用者には容認しがたい。
【特許文献1】特許第3512852号
【特許文献2】特開2005−341840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、低い内圧のまま少量の水を送水経路に沿って経路周辺に均等に給水できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、織布生地に通水用の筒部分を設け、糸の織り目を利用することで水を滲み出させる送水経路とし、また筒部分の織り糸に連続する織布生地部分の織り糸で水を吸引し導水しながら拡散させて織布生地全面を給水面としたことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
織布生地からの水の滲出し量は目詰まりが徐々に進行しても面積効果により大きくは変化しない。必要に応じて送水圧を変化させれば水の滲出し量は増減させられる。柔らかい織布生地から構成された給水面は柔軟で下地の凹凸によく馴染み、上部からの転圧に対しても柔軟に変形するので設置場所に制約が少ない。筒部分に水を包み込んで流しながら周囲に均一に粛々と滲出し給水でき、筒部分の周囲壁からも織布生地部分に連続する織り糸を伝って比較的少量の水をスムーズに広範囲に行き渡らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
送水経路周辺に少量の水をムラなく均等に散布するという目的を、織布構造を利用して形成した水を包み込む滲み出し送水路と吸水拡散領域を織り糸の連続する一枚の織布生地で実現した。
本明細書中では、説明の便宜上、給水チューブを折半屋根の融雪用に使用する事例について説明する。
【実施例1】
【0010】
折半屋根は屋根構造が単純で耐圧性に優れているため、規模の大きな建物に多く見られる屋根形式である。こうした大型の折半屋根の融雪には地下水の散水方式が一般的であり、スプリンクラや噴射ノズル等の散布器を使用する事例が多く見られる。しかし、長時間にわたり多量の雪が降り続くと融雪が追いつかず、屋根凹凸面に対する熱媒体の斜め方向への散布では尾根が遮蔽物になって濡れムラができやすく、また粒子が外気中を飛翔するため大気への放熱ロスが大きい。また風雪が強くてスプレイ水が飛ばされてしまうときには散水の効果が失われる。このような状況下では雪溜りが拡大し残雪がつながって屋根表面を広範囲に雪が被り、下側にトンネルが形成され、やがては屋根全面が雪で覆われ積雪が拡大していく。
【0011】
図1に示す給水チューブは、連続する織布生地1から作られている。この織布生地を折り曲げ(図2)、折り曲げた生地の縁2から所定の距離をおいて織布同士をミシン縫いするか溶着して形成された通水用の筒部分3(図3)と、この筒部分に連続する残された両側の織布生地部分4とを備えている。図4は、前述のごとくして製作された給水チューブの完成図である。
給水チューブの織布生地部分4は被散水面に被せるように広げて用いられる。
【0012】
図5は、凸部が平坦な折半屋根に使用した事例を示している。織布生地部分4は折半屋根の凸部頂上に接着され、その一部4aは頂上にいたる峰を覆っている。
筒部分3に注入する水量が少なければ筒部分は大きく膨らまず、図4に示す程度の広がりのままで筒部分内を流れる水の流れが形成され、水はゆっくりと滲み出していく。送水量を増やせば図5に示すように筒部分3は拡大し、水は滲み出す一方で微細な噴射水が不規則に形成される。夏場の屋根冷却に適した散水の仕方である。
織布の糸の織り目から滲み出す水を前記織布生地部分4が吸水しながら周囲に拡散させ織布生地全面は給水面として機能する。
【0013】
図6は、図3のものに比べて長い織布生地部分4を備えた給水チューブの例を示している。図7は、そうした給水チューブを被せて使用する縦方向はぜ巻き連結式の折半屋根の事例である。折半屋根は凹所の谷部とはぜ巻き連結部の尾根10および両者の間に位置する傾斜側面11を備えている。
図8は、図7の折半屋根を織布生地部分4で覆った状態を示す側面図にして、図9はその斜視図である。織布生地部分4は傾斜側面11から尾根10に、そしてこの尾根10から反対側の傾斜側面11にかけて屋根材を覆い、尾根10から両側の傾斜側面11にいたる連続したスロープを形成している。
【0014】
筒部分3は、尾根10の上部に位置している。この筒部分3には、図12に示すように給水手段5を介して水が供給される。筒部分3内を流れる織布壁を透過して両側の織布生地部分に流出し、織布生地部分は流出水を含浸し拡散しながらスロープに沿って流下させ、水は折半屋根の谷部に集まり谷部に沿って排水される。
【0015】
図10は、間隔を設けて複数の筒部分3を配列した給水チューブの例を示している。筒部分の口径、本数および間隔は用途に応じて任意に決定できる選択事項である。図11は、ビル屋上のスラブ面に敷設した状態を示している。融雪の用途で使用する場合、筒部分の口径を16ミリ、長さ6メートル、間隔を2メートルとした場合、例えば、筒部分1本あたりの給水量は毎分約6リットルである。
【0016】
図13は、給水チューブを土壌用に用いた場合の事例を示している。給水チューブの織布生地部分4は土壌表面に敷設することもできるが、図示のように埋設して設置することも可能である。
【0017】
織布生地には、例えば、スパン糸の綾織や平織の織布構造が用いられる。とりわけ、筒部分の位置する織布生地には、水の移動方向に沿って位置する透水性に劣る厚い布部分と、これに隣接して設けた通水性に富む薄い布部分を並列に配置しておくことができる。厚い布部分は保水性に富み、薄い布部分が通水に富み厚い布部分に比べて多くの水を流出させる部分である。厚い布部分を製作するには、例えば、綾織組織を用い、薄い布部分には平織組織を利用することができる。糸番手と撚り糸本数を適宜選択すれば織り目の透水性は変えられる。必要に応じて散水布チューブ外面の一部に樹脂のコート層を付着させておくことも可能である。
【実施例2】
【0018】
図14は、通水用の筒部分3(図3)を形成する際、筒部分に沿って長さ方向の一部分または全体を同種または異種構造の織布生地からなる外套30で覆う事例を示している。筒部分の全長に沿って外套30を設置することで、水の滲出し量を減少させたり、または外套内部に水を一時的にストックしておいて時間経過とともに緩慢に散水することが可能となる。図15は図4に対応している。
【0019】
図16の例では、幅の広い外套30が水を包み込んで屋根凸部上に水の流路を形成している。筒部分3はこの内部流路に水を給水する給水系を構成している。織布生地部分4は折半屋根の凸部頂上に載せたまま傾斜面に垂らしておくことができる。図17、図18および図19は、それぞれ図10、図12、図13に対応している。
【産業上の利用可能性】
【0020】
積雪面を比較的少量の水で融雪処理および/または冷却できるため、井戸施設またはボイラー設備を使用して、工場、駅舎、公共施設のような数万平米におよぶ長尺大型折半屋根や大規模栽培施設にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 給水チューブを構成する織布生地材料の一例を示している。
【図2】 図1の織布生地を折り曲げた状態を示している。
【図3】 織布生地の一部をミシン縫いするか溶着した状態を示している。
【図4】 完成した給水チューブの一例を示している。
【図5】 給水チューブを折半屋根に設置した状態の一例を示している。
【図6】 給水チューブの変更例を示す説明図である。
【図7】 図6の給水チューブを設置する折半屋根を示す説明図である。
【図8】 給水チューブの設置形態を説明する側面図である。
【図9】 給水チューブを設置した折半屋根の外観を示す斜視図である。
【図10】 給水チューブの他の例を示す説明図である。
【図11】 シート状に敷設した給水チューブの具体例を示す説明図である。
【図12】 筒部分に接続する給水手段の一例を示している。
【図13】 給水チューブを土壌散水用に使用した事例を示す説明図である。
【図14】 外套を形成した給水チューブの変更例を示す説明図である。
【図15】 織布生地部分を広げた状態を示す、図4に対応した説明図である。
【図16】 筒部分と外套の2重通水構造の使用例を示す説明図である。
【図17】 図10に対応した説明図である。
【図18】 図12に対応した説明図である。
【図19】 図13に対応した説明図である。
【符合の説明】
【0022】
1 織布生地
2 生地の縁
3 筒部分
4 織布生地部分
30 外套
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を送水し吸水し拡散させる給水チューブ、より具体的には織布の織り目を通じ水を滲み出させて散水し且つ水を広範囲に分配する給水チューブに係る。この給水チューブは、豪雪地では、冬期に温水の散水用として融雪目的のために利用でき、夏期には散水冷却用もしくは集熱用に、また栽培土壌への散水装置として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂成形品の散水チューブは、安価で扱いやすいため様々な散水用途に使用されている。
この種の散水チューブは側壁に微小な多数のノズルを備え、スプレイ水を周囲に散逸させて広範囲に散水する構造のものである。散水量はノズルの数によってきまるので用途によっては水量の過不足が生じることもあるが、噴射水量と水の到達距離は内圧に比例して増減するためバルブ調整によって対応してきた。
【0003】
しかし、凹凸屋根面への散水や茎葉の林立する土壌への給水に使用するときには、水の噴射経路上のそうした障害物のため噴射水はこれにぶつかって飛翔できず均等に分散できない。風があれば水は飛散してしまう。その結果、チューブ周辺に大量の水が滞ったり水のかからない場所が残され、水を無駄使いして散布面はマダラになる。融雪の用途では、地下水の量は限られているので、散布区域が必要面積をカバーできなければその影響は深刻である。また、ノズルチューブはノズル穿孔径が小さく詰まりやすいので、長期間放置したまま散水性能を維持することが難しい。
【0004】
屋根面への融雪散水や土壌散水の用途において、この欠点は広域給水と維持管理面で大きな障害である。具体的には、多数の散水器を使用し大量の散水をしないかぎり予定した散布面すべてに放水が到達しないので、融雪に使用した場合には雪溜りが生じ、土壌用では局所的な大量散水により土砂の流失するなどの問題があった。
【0005】
その対策として、周面から水が滲み出す円形断面のホースを選択する方法がある。その一例として、繊維材と樹脂を混練した複合材を押出し整形してなる可撓性ホースが使われているが、この種のホースは潰し変形に弱い。内圧を上げた状態で水を滲み出させる構造のため、ホース壁に割れやヒビが入り噴出漏水が起こりやすい。破損による漏水量は大きいのでその時には送水を停止することになるが、水経路が連続しているので注水の停止は影響が給水経路全体に及ぶ。屋根上での給水は長期使用が前提であるので漏水の保守は使用者には容認しがたい。
【特許文献1】特許第3512852号
【特許文献2】特開2005−341840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、低い内圧のまま少量の水を送水経路に沿って経路周辺に均等に給水できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、織布生地に通水用の筒部分を設け、糸の織り目を利用することで水を滲み出させる送水経路とし、また筒部分の織り糸に連続する織布生地部分の織り糸で水を吸引し導水しながら拡散させて織布生地全面を給水面としたことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
織布生地からの水の滲出し量は目詰まりが徐々に進行しても面積効果により大きくは変化しない。必要に応じて送水圧を変化させれば水の滲出し量は増減させられる。柔らかい織布生地から構成された給水面は柔軟で下地の凹凸によく馴染み、上部からの転圧に対しても柔軟に変形するので設置場所に制約が少ない。筒部分に水を包み込んで流しながら周囲に均一に粛々と滲出し給水でき、筒部分の周囲壁からも織布生地部分に連続する織り糸を伝って比較的少量の水をスムーズに広範囲に行き渡らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
送水経路周辺に少量の水をムラなく均等に散布するという目的を、織布構造を利用して形成した水を包み込む滲み出し送水路と吸水拡散領域を織り糸の連続する一枚の織布生地で実現した。
本明細書中では、説明の便宜上、給水チューブを折半屋根の融雪用に使用する事例について説明する。
【実施例1】
【0010】
折半屋根は屋根構造が単純で耐圧性に優れているため、規模の大きな建物に多く見られる屋根形式である。こうした大型の折半屋根の融雪には地下水の散水方式が一般的であり、スプリンクラや噴射ノズル等の散布器を使用する事例が多く見られる。しかし、長時間にわたり多量の雪が降り続くと融雪が追いつかず、屋根凹凸面に対する熱媒体の斜め方向への散布では尾根が遮蔽物になって濡れムラができやすく、また粒子が外気中を飛翔するため大気への放熱ロスが大きい。また風雪が強くてスプレイ水が飛ばされてしまうときには散水の効果が失われる。このような状況下では雪溜りが拡大し残雪がつながって屋根表面を広範囲に雪が被り、下側にトンネルが形成され、やがては屋根全面が雪で覆われ積雪が拡大していく。
【0011】
図1に示す給水チューブは、連続する織布生地1から作られている。この織布生地を折り曲げ(図2)、折り曲げた生地の縁2から所定の距離をおいて織布同士をミシン縫いするか溶着して形成された通水用の筒部分3(図3)と、この筒部分に連続する残された両側の織布生地部分4とを備えている。図4は、前述のごとくして製作された給水チューブの完成図である。
給水チューブの織布生地部分4は被散水面に被せるように広げて用いられる。
【0012】
図5は、凸部が平坦な折半屋根に使用した事例を示している。織布生地部分4は折半屋根の凸部頂上に接着され、その一部4aは頂上にいたる峰を覆っている。
筒部分3に注入する水量が少なければ筒部分は大きく膨らまず、図4に示す程度の広がりのままで筒部分内を流れる水の流れが形成され、水はゆっくりと滲み出していく。送水量を増やせば図5に示すように筒部分3は拡大し、水は滲み出す一方で微細な噴射水が不規則に形成される。夏場の屋根冷却に適した散水の仕方である。
織布の糸の織り目から滲み出す水を前記織布生地部分4が吸水しながら周囲に拡散させ織布生地全面は給水面として機能する。
【0013】
図6は、図3のものに比べて長い織布生地部分4を備えた給水チューブの例を示している。図7は、そうした給水チューブを被せて使用する縦方向はぜ巻き連結式の折半屋根の事例である。折半屋根は凹所の谷部とはぜ巻き連結部の尾根10および両者の間に位置する傾斜側面11を備えている。
図8は、図7の折半屋根を織布生地部分4で覆った状態を示す側面図にして、図9はその斜視図である。織布生地部分4は傾斜側面11から尾根10に、そしてこの尾根10から反対側の傾斜側面11にかけて屋根材を覆い、尾根10から両側の傾斜側面11にいたる連続したスロープを形成している。
【0014】
筒部分3は、尾根10の上部に位置している。この筒部分3には、図12に示すように給水手段5を介して水が供給される。筒部分3内を流れる織布壁を透過して両側の織布生地部分に流出し、織布生地部分は流出水を含浸し拡散しながらスロープに沿って流下させ、水は折半屋根の谷部に集まり谷部に沿って排水される。
【0015】
図10は、間隔を設けて複数の筒部分3を配列した給水チューブの例を示している。筒部分の口径、本数および間隔は用途に応じて任意に決定できる選択事項である。図11は、ビル屋上のスラブ面に敷設した状態を示している。融雪の用途で使用する場合、筒部分の口径を16ミリ、長さ6メートル、間隔を2メートルとした場合、例えば、筒部分1本あたりの給水量は毎分約6リットルである。
【0016】
図13は、給水チューブを土壌用に用いた場合の事例を示している。給水チューブの織布生地部分4は土壌表面に敷設することもできるが、図示のように埋設して設置することも可能である。
【0017】
織布生地には、例えば、スパン糸の綾織や平織の織布構造が用いられる。とりわけ、筒部分の位置する織布生地には、水の移動方向に沿って位置する透水性に劣る厚い布部分と、これに隣接して設けた通水性に富む薄い布部分を並列に配置しておくことができる。厚い布部分は保水性に富み、薄い布部分が通水に富み厚い布部分に比べて多くの水を流出させる部分である。厚い布部分を製作するには、例えば、綾織組織を用い、薄い布部分には平織組織を利用することができる。糸番手と撚り糸本数を適宜選択すれば織り目の透水性は変えられる。必要に応じて散水布チューブ外面の一部に樹脂のコート層を付着させておくことも可能である。
【実施例2】
【0018】
図14は、通水用の筒部分3(図3)を形成する際、筒部分に沿って長さ方向の一部分または全体を同種または異種構造の織布生地からなる外套30で覆う事例を示している。筒部分の全長に沿って外套30を設置することで、水の滲出し量を減少させたり、または外套内部に水を一時的にストックしておいて時間経過とともに緩慢に散水することが可能となる。図15は図4に対応している。
【0019】
図16の例では、幅の広い外套30が水を包み込んで屋根凸部上に水の流路を形成している。筒部分3はこの内部流路に水を給水する給水系を構成している。織布生地部分4は折半屋根の凸部頂上に載せたまま傾斜面に垂らしておくことができる。図17、図18および図19は、それぞれ図10、図12、図13に対応している。
【産業上の利用可能性】
【0020】
積雪面を比較的少量の水で融雪処理および/または冷却できるため、井戸施設またはボイラー設備を使用して、工場、駅舎、公共施設のような数万平米におよぶ長尺大型折半屋根や大規模栽培施設にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 給水チューブを構成する織布生地材料の一例を示している。
【図2】 図1の織布生地を折り曲げた状態を示している。
【図3】 織布生地の一部をミシン縫いするか溶着した状態を示している。
【図4】 完成した給水チューブの一例を示している。
【図5】 給水チューブを折半屋根に設置した状態の一例を示している。
【図6】 給水チューブの変更例を示す説明図である。
【図7】 図6の給水チューブを設置する折半屋根を示す説明図である。
【図8】 給水チューブの設置形態を説明する側面図である。
【図9】 給水チューブを設置した折半屋根の外観を示す斜視図である。
【図10】 給水チューブの他の例を示す説明図である。
【図11】 シート状に敷設した給水チューブの具体例を示す説明図である。
【図12】 筒部分に接続する給水手段の一例を示している。
【図13】 給水チューブを土壌散水用に使用した事例を示す説明図である。
【図14】 外套を形成した給水チューブの変更例を示す説明図である。
【図15】 織布生地部分を広げた状態を示す、図4に対応した説明図である。
【図16】 筒部分と外套の2重通水構造の使用例を示す説明図である。
【図17】 図10に対応した説明図である。
【図18】 図12に対応した説明図である。
【図19】 図13に対応した説明図である。
【符合の説明】
【0022】
1 織布生地
2 生地の縁
3 筒部分
4 織布生地部分
30 外套
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布生地を折り重ね、折り重ねた生地の連続する側の縁から所定の距離をおいて織布同士をミシン縫いするか溶着して形成された通水用の筒部分と、この筒部分に連続する織布生地部分とを備え、これら織布生地部分は被散水面に被せるようにして広げられ、前記筒部分に通水した際に筒部分の織布の糸の織り目から滲み出す水を織り糸に沿って前記織布生地部分が吸水しながら周囲に拡散させ織布生地全面を給水面として利用する給水チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載された給水チューブにおいて、前記筒部分は折半屋根の凸部頂上または尾根上に配置され、前記織布生地部分がこれら凸部頂上または尾根上を覆うように設置される給水チューブ。
【請求項3】
請求項1に記載された給水チューブにおいて、前記筒部分の少なくとも一部は地上にあって前記織布生地部分は土壌面に敷設してか上部に土を載せて用いられる給水チューブ。
【請求項1】
織布生地を折り重ね、折り重ねた生地の連続する側の縁から所定の距離をおいて織布同士をミシン縫いするか溶着して形成された通水用の筒部分と、この筒部分に連続する織布生地部分とを備え、これら織布生地部分は被散水面に被せるようにして広げられ、前記筒部分に通水した際に筒部分の織布の糸の織り目から滲み出す水を織り糸に沿って前記織布生地部分が吸水しながら周囲に拡散させ織布生地全面を給水面として利用する給水チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載された給水チューブにおいて、前記筒部分は折半屋根の凸部頂上または尾根上に配置され、前記織布生地部分がこれら凸部頂上または尾根上を覆うように設置される給水チューブ。
【請求項3】
請求項1に記載された給水チューブにおいて、前記筒部分の少なくとも一部は地上にあって前記織布生地部分は土壌面に敷設してか上部に土を載せて用いられる給水チューブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−215614(P2008−215614A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341873(P2007−341873)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000168861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000168861)
【Fターム(参考)】
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