説明

給湯システム

【課題】浴槽に水を供給する風呂試運転時に、混合器から加熱部までの配管容量を導出することができる給湯システムを提供する。
【解決手段】給湯システム10は、風呂試運転プログラムを実行する。風呂試運転プログラムは、(1)混合器24から流出した混合水を湯はり経路70を通じて浴槽72に供給する間に、(2)混合器24の混合比を変化させ、(3)混合サーミスタ27aによって検出される水温が所定温度に達する時期と出湯サーミスタ57によって検出される水温が所定温度に達する時期との時間差を特定し、(4)混合水の流量を特定し、(5)時間差と流量から、混合器24の出口近傍からバーナ熱交換器53の近傍までの配管容量を導出する処理を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている給湯システムは、発電ユニットと貯湯槽と混合器と加熱部とを備えている。この給湯システムでは、発電ユニットと貯湯槽が循環経路で接続されており、発電ユニットの発電熱によって加熱された温水が貯湯槽に貯湯される。貯湯槽に貯湯されている温水は混合器に供給され、混合器で水道水と混合されて温度調節される。
【0003】
貯湯槽から供給される温水が給湯設定温度以上である場合には、貯湯槽から供給される温水と水道水が給湯設定温度となるように混合され、混合後の温水が加熱部を素通りして給湯される。貯湯槽から供給される温水が給湯設定温度未満である場合には、加熱部が加熱運転し、加熱部で加熱した温水が給湯される。加熱部の加熱量には最低加熱量が存在し、最低温度上昇幅が存在する。そこで、貯湯槽から供給される温水が給湯設定温度未満となると、混合器で混合した後の混合水の温度が給湯設定温度から最低温度上昇幅を減じた温度となるように混合し(すなわち混合器の出口温度を低下させる)、加熱部が加熱運転を開始する。その結果、給湯設定温度に加熱された温水が給湯される。
【0004】
この給湯システムでは、混合器によって温度を低下させた混合水が加熱部まで移動したはずのタイミングで加熱運転を開始する。すなわち、混合器によって温度を低下させた後の給湯量が、混合器から加熱部までの配管容量に等しくなったタイミングで加熱運転を開始する。なお実際には、加熱運転の開始指令から実際に加熱し始めるまでに準備期間を要するので、この準備期間をも考慮して加熱運転の開始指令を出力する。これにより、給湯中に貯湯槽に貯湯しておいた温水を消費しつくした場合にも、給湯設定温度に調温された温水を給湯し続けることができる。
【0005】
従来の給湯システムでは、貯湯槽と混合器と加熱部が予め一体化されており、混合器から加熱部までの配管容量が予め定まっている。したがって、既知の配管容量に基づいて、加熱運転の開始指令の出力時期を決定することができた。しかしながら、混合器と加熱部を施工現場で接続する場合には、混合器から加熱部までの配管容量を導出することが必要となる。特許文献1には、混合器から加熱部までの配管容量を導出するために、貯湯槽の温水を利用して給湯する際に、混合器出口の水温が給湯設定温度の近似値に達してから加熱部の出口の水温がこの近似値に達するまでに要した時間と、混合水の流量とに基づいて、混合器出口から加熱部の出口までの配管容量を求める技術が開示されている。
【0006】
通常の給湯システムでは、混合水が浴槽にも送られる。加熱部よりも下流の混合水配管に、混合水を浴槽に供給するための湯はり経路が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−274055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の方法によって混合器から加熱部までの配管容量を導出することができるが、この方法では、利用者が給湯システムを利用して給湯してみないことには、配管容量を把握することができない。それまでの間は配管容量を利用して加熱運転の開始時期を決定することができない。
【0009】
給湯システムでは、利用者が給湯システムを実際に利用するのに先立って、混合水を混合水配管から湯はり経路を経由して浴槽に供給する風呂試運転が行われる。この風呂試運転を利用して上記配管容量を導出することができれば、利用者が給湯システムを利用するのに先立って配管容量を導出することができる。しかしながら従来の給湯システムでは、こうした可能性については何ら考慮していない。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、給湯システムの配管容量が予め設定されていない場合に、浴槽に混合水を供給する風呂試運転を活用して混合器から加熱部までの配管容量を導出することができる給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の給湯システムは、貯湯槽と混合器と加熱部と湯はり経路を備えている。混合器は、貯湯槽から流出した貯水と水道水を混合し、加熱部は、その混合器から流出した混合水を加熱する。湯はり経路は、加熱部を通過した混合水を浴槽に供給する。給湯システムは、さらに、混合器の出口の近傍の混合水の温度を検出する第1検出手段と、加熱部の近傍における混合水の温度を検出する第2検出手段を備えている。給湯システムは、風呂試運転プログラムを記憶している記憶手段と、その風呂試運転プログラムを実行する制御手段とを備えている。
その風呂試運転プログラムは、
(1)湯はり経路から浴槽に混合水を供給する間に、
(2)混合器の混合比を変化させ、
(3)第1検出手段によって検出される水温が所定温度に達する時期と第2検出手段によって検出される水温が所定温度に達する時期との時間差を特定し、
(4)混合水の流量を特定し、
(5)(3)で特定した時間差と(4)で特定した流量から、混合器の出口の近傍から加熱部の近傍までの配管容量を導出する処理を含んでいる。
【0012】
第2検出手段の配置位置は、加熱部の近傍であればよく、加熱部の入口近傍であってもよいし、加熱部の中間位置であってもよいし、加熱部の出口近傍であってもよい。耐熱措置を講じることによって、加熱部の中間位置に温度検出手段を設置することもできる。湯はり経路と混合水配管の接続点は、第2検出手段よりも下流側の任意の位置とすることができる。混合水とは混合器から流出する水をいい、温水である場合もあれば冷水であることもある。また、混合水の全てが貯水である場合もあれば、混合水の全てが水道水である場合もある。時間差と流量から配管容量を導出する処理は、時間差にその時間差内の平均流量を乗じる処理であってもよいし、単位時間当たりの流量を時間差に亘って積算する処理であってもよい。
【0013】
給湯システムの施工時には、混合器から流出して加熱部を通過した混合水を浴槽に供給する風呂試運転が実施される。上記の構成を備えていると、この風呂試運転中に、混合器の出口近傍から加熱部近傍までの配管容量が導出される。その配管容量が予め設定されていない場合であっても、どのみち必要な風呂試運転を利用して混合器の出口近傍から加熱部近傍までの配管容量を導出することができる。その結果、利用者が給湯システムを実際に利用する際には、既に導出されている配管容量に基づいて加熱部の加熱運転の開始時期の決定等を行うことができる。
特に、施工現場で混合器と給湯器とを接続して給湯システムを構築する場合には、混合器の出口近傍から加熱部近傍までの配管容量を把握することが難しい。したがって、上記構成によって配管容量を導出することが有効である。
【0014】
湯はり経路を備えた給湯システムでは、浴槽に供給した浴槽水が冷えた場合に追い焚きする機能を持つものがある。この形式の給湯システムでは、混合水配管を流れる混合水を加熱する給湯用加熱部の他に、浴槽水を直接ないし間接的に加熱する第2加熱部を備えている。あるいは、給湯用加熱部のほかに、暖房用の第2加熱部を備えているものもある。
第2加熱部を備えている場合には、給湯用加熱部と第2加熱部が隣接して配置されていることが多い。
【0015】
給湯用加熱部に隣接して第2加熱部が配置されている場合には、風呂試運転プログラムが、第2加熱部が加熱運転をしている間に前記(1)〜(5)を実行する処理と、第2加熱部が加熱運転をしていない間に前記(1)〜(5)を実行する処理を備えていることが好ましい。
【0016】
混合器から加熱部までの物理的配管容量は、第2加熱部が加熱運転をしている場合と加熱運転をしていない場合とで変わらない。しかしながら、混合水の温度が給湯設定温度から最低温度上昇幅を減じた温度となるように混合し始めてから加熱部が加熱運転を開始するまでの流量の最適値は、第2加熱部が加熱運転をしている場合と加熱運転をしていない場合とで相違する。第2加熱部が加熱運転をしている場合と加熱運転をしていない場合とでは、周囲の温度条件が相違しており、第2加熱部が加熱運転をしている場合には、給湯用加熱部の運転開始から給湯用加熱部による加熱が実効状態となるまでの時間が短いのに対し、第2加熱部が加熱運転をしていない場合には、給湯用加熱部の運転開始から給湯用加熱部による加熱が実効状態となるまでの時間が長い。本明細書でいう配管容量とは、混合器から加熱部までの物理的配管容量ではなく、混合器で生じた温度変化が加熱部で生じるまでに要する積算水量に相当し、物理的配管容量に近似する値である。
【0017】
第2加熱部が加熱運転をしている間に前記(1)〜(5)を実行する処理と、第2加熱部が加熱運転をしていない間に前記(1)〜(5)を実行する処理を備えていると、第2加熱部が加熱運転をしている場合に最適な給湯用加熱部の制御タイミングを決定するのに有用な配管容量と、第2加熱部が加熱運転をしていない場合に最適な給湯用加熱部の制御タイミングを決定するのに有用な配管容量のそれぞれを求めることができる。
【0018】
給湯中に貯湯槽に貯湯されている温水の温度が上昇して給湯設定温度以上となることがある。この場合、貯湯槽から供給される温水を水道水と混合することによって給湯設定温度に調温でき、加熱部で加熱する必要がなくなる。この場合には、混合水の温度が給湯設定温度から最低温度上昇幅を減じた温度となるように混合している状態から、給湯設定温度となるように混合する状態に切り換え、加熱部の加熱を停止する。
この場合も、混合器の混合比を切り換えてから加熱部の加熱を停止するまでには時差が必要とされ、混合器から加熱部までの配管容量を知る必要がある。
【0019】
加熱部が加熱運転をしている場合と加熱運転をしていない場合では、周囲の温度条件が相違しており、加熱部の加熱開始タイミングを決定するのに必要な配管容量と、加熱部の加熱停止タイミングを決定するのに必要な配管容量は微妙に相違する。
【0020】
冷水湯はり運転から温水湯はり運転へ切り換えることによって、各検出手段が検出する水温が昇温する際の上記時間差に基づいて配管容量を導出するようにしてもよい。本明細書では、これを昇温時配管容量という。あるいは、温水湯はり運転から冷水湯はり運転へ切り換えることによって、各検出手段が検出する水温が降下する際の上記時間差に基づいて配管容量を導出するようにしてもよい。本明細書では、これを降温時配管容量という。
昇温時配管容量は、加熱部の加熱停止タイミングを決定するのに適している。降温時配管容量は、加熱部の加熱開始タイミングを決定するのに適している。
【0021】
厳密にいうと、加熱部の制御タイミングを決定するための配管容量には下記の4種類がある。
a)第2加熱部が加熱運転中の降温時配管容量。
b)第2加熱部が加熱運転中の昇温時配管容量。
c)第2加熱部が非加熱運転中の降温時配管容量。
d)第2加熱部が非加熱運転中の昇温時配管容量。
前記a)〜d)は、近似しているものの、微妙に異なっている。
請求項2の発明は、少なくともa),b)と、c),d)を分けて決定することを特徴とする。a),b),c),d)の4種類に分けて決定してもよいし、a),b)の平均値と、c),d)の平均値に分けて測定してもよい。
これに対して、請求項1の発明は、a)〜d)の平均値のみを測定する場合も含む。あるいはa)〜d)のいずれかの1種を測定し、それで代表させる場合をも含む。場合を分けて測定する場合には、請求項2の場合わけのみならず、a),c)の平均値と、b),d)の平均値に分けて測定すること等を含む。
【0022】
風呂試運転プログラムでは、混合器の混合比を、混合水の温度が湯はり設定温度となる混合比と、湯はり設定温度から加熱部による温度上昇幅を減じた温度となる混合比の間で切り換えてもよいが、貯水:水道水を0:1とする冷水湯はり運転と、貯水:水道水を1:0とする温水湯はり運転との間で切り換えてもよい。
上記構成によると、各検出手段によって検出される水温を大きく変化させることができる。したがって、各検出手段によって検出される水温が上記所定温度になった時期をより正確に特定することができ、その時間差をより正確に特定することができる。その結果、配管容量をより正確に導出することができる。
【0023】
給湯システムでは、所定温度が、水道水の温度と貯水の温度と間の温度に設定されていることが好ましい。
上記構成によると、各検出手段が検出する水温が、水道水の温度から貯水の温度に変化する過渡期、または貯水の温度から水道水の温度に変化する過渡期に上記所定温度に達する。単位時間当たりの温度変化幅が大きい過渡期に検出すると、各検出手段で検出される水温が上記所定温度に達した時期を、より正確に特定することができ、その時間差をより正確に特定することができる。その結果、配管容量をより正確に導出することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の給湯システムによれば、給湯システムの配管容量が予め設定されていない場合に、浴槽に水を供給する風呂試運転を利用して、混合器近傍から加熱部近傍までの配管容量を導出することができる。水を無駄に消費することなく、利用者が給湯システムを実際に利用する前に、加熱部の制御タイミングを決定するための指標を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例の給湯システムの系統図。
【図2】実施例の風呂試運転プログラムの実行手順を示すフローチャート。
【図3】実施例の湯はり運転の実行手順を示すフローチャート。
【図4】実施例の混合サーミスタと出湯サーミスタの検出温度の変化パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に説明する実施例の技術的特徴を列記しておく。
(特徴1)温水湯はり運転では、60℃程度に設定された貯水が通水される。
(特徴2)温水湯はり運転では、湯はり設定温度に調温された混合水が浴槽に送られる。
(特徴3)冷水湯はり運転では、水道水が通水される。
(特徴4)第2加熱部が燃焼している状態で、a)温水湯はり運転から冷水湯はり運転への切り換えと、b)冷水湯はり運転から温水湯はり運転への切り換えを実施し、第2加熱部が燃焼していない状態で、c)温水湯はり運転から冷水湯はり運転への切り換えと、d)冷水湯はり運転から温水湯はり運転への切り換えを実施する。a)で得られた配管容量で、第2加熱部が加熱運転中の加熱開始タイミングを決定し、b)で得られた配管容量で、第2加熱部が加熱運転中の加熱停止タイミングを決定し、c)で得られた配管容量で、第2加熱部が非加熱運転中の加熱開始タイミングを決定し、d)で得られた配管容量で、第2加熱部が非加熱運転中の加熱停止タイミングを決定する。
(特徴5)風呂試運転では、シャワーに適した流量で、温水湯はり運転と冷水湯はり運転を交互に実施する。
【実施例】
【0027】
本発明の給湯システムを具現化した実施例を、図1〜図4を参照して説明する。図1は給湯システム10の系統図であり、水及び熱媒の流れを矢印で示している。図1に示すように、給湯システム10は、貯湯ユニット20と、ヒートポンプユニット40と、熱源ユニット50と、コントローラ11とを備えている。この給湯システム10は、施工時に各ユニット20,40,50を現場で接続することによって構築され、給湯栓80と浴槽72に給湯する。浴槽72に給湯することを湯はりという。本実施例では、浴槽72に冷水を供給することもある。この場合も湯はりということにする。
【0028】
ヒートポンプユニット40では、圧縮機41の吐出側Aと四方弁42と第1熱交換器43の熱媒流路43aと膨張弁44と第2熱交換器45と四方弁42と圧縮機41の戻り側Bが、熱媒配管46によって順に接続されており、熱媒がこの順に循環する。第1熱交換器43は、熱媒流路43aと循環水流路43bとを備えている。第2熱交換器45の近傍にはファン45aが設置されている。第2熱交換器45は、ファン45aによって送られる外気と熱媒の間で熱交換を行う。圧縮機41の吐出側Aと四方弁42との間の熱媒配管46と、膨張弁44と第2熱交換器45との間の熱媒配管46の間に、除霜経路47が接続されている。除霜経路47には、除霜弁47aが設けられている。
【0029】
第1熱交換器43の循環水流路43bの入口側には循環往路接続経路48が接続されており、出口側には循環復路接続経路49が接続されている。循環往路接続経路48には、入口側サーミスタ48aが設けられており、循環復路接続経路49には出口側サーミスタ49aが設けられている。入口側サーミスタ48aは、循環水流路43bに流入する循環水の温度を検出し、出口側サーミスタ49aは、循環水流路43bから流出する循環水の温度を検出する。なお実際には、各サーミスタ48a,49aは水温に応じた検出信号を出力し、この信号がコントローラ11に入力されることにより水温が検出される。以下においても、サーミスタやセンサが検出するという表現は、実際には、これらの検出信号がコントローラ11に入力されることにより温度や水の流量を検出することを意味する。
【0030】
貯湯ユニット20は、貯湯槽21と混合器24とを備えている。貯湯槽21の底部には、貯湯槽21に水道水を給水する給水経路22が接続されている。給水経路22の水道水入口22aの近傍には、減圧弁23が設けられている。給水経路22には、減圧弁23の下流側に混合器24の混合用給水経路26が接続されている。混合用給水経路26には、給水制御弁26aが設けられている。減圧弁23は、貯湯槽21と混合器24への給水圧力を調整する。貯湯槽21内の温水が減少したり、給水制御弁26aが開いたりすると、減圧弁23の下流側圧力が低下する。減圧弁23は、下流側圧力が低下すると開き、その圧力を所定の調圧値に維持しようとする。このため、貯湯槽21内の温水が減少したり、混合器24の給水制御弁26aが開いたりすると、これらに水道水が給水される。
【0031】
給水経路22において、混合用給水経路26の接続部よりも下流側には、排水経路31が接続されている。排水経路31の途中には、排水弁32が設けられている。排水弁32は手動で開閉することができる。排水弁32を開くと、貯湯槽21内の水が排水経路31を通じて外部に排水される。
【0032】
貯湯槽21の底部には、循環往路33の一端が接続されており、貯湯槽21の上部には、循環復路34の一端が接続されている。循環往路33の他端は、ヒートポンプユニット40の循環往路接続経路48に接続されており、循環復路34の他端は、循環復路接続経路49に接続されている。循環往路33には、往路サーミスタ36と循環ポンプ37とが設けられている。往路サーミスタ36は、貯湯槽21から循環往路33に流出した水の温度を検出する。循環ポンプ37が駆動すると、貯湯槽21の下部から循環往路33に水が吸出され、この水が循環水流路43bを流れて、循環復路34を通じて貯湯槽21の上部に戻される。このようにして、貯湯槽21とヒートポンプユニット40との間の循環経路が構成されている。循環復路34の途中には、圧力開放経路38が接続されており、圧力開放経路38には、リリーフ弁38aが設けられている。リリーフ弁38aの開弁圧力は、減圧弁23の調圧値よりも僅かに大きく設定されている。減圧弁23の調圧が不能になった場合には、リリーフ弁38aが開き、貯湯槽21内の圧力が耐圧可能な圧力を超えるのを防止する。貯湯槽21では、その上端から所定量(例えば30リットル)の箇所に上部サーミスタ39が取り付けられている。上部サーミスタ39は、貯湯槽21上部の水温を検出する。
【0033】
混合器24は、温水経路25と混合用給水経路26と第1混合経路(混合水配管)27を備えている。温水経路25は、貯湯槽21の上部に接続されている。温水経路25には、温水制御弁25aと温水流量センサ25bと温水サーミスタ25cが設けられている。温水制御弁25aは、貯湯槽21から温水経路25へ流れる温水の流量を調整する。温水流量センサ25b及び温水サーミスタ25cは、温水経路25を流れる温水の流量と温度を検出する。混合用給水経路26は、上記したように給水経路22に接続されている。混合用給水経路26には、上記した給水制御弁26aと、給水流量センサ26bと給水サーミスタ26cとが設けられている。給水制御弁26aは、混合用給水経路26を流れる水道水の流量を調整する。給水流量センサ26bと給水サーミスタ26cは、混合用給水経路26を流れる水道水の流量と温度を検出する。
温水経路25と混合用給水経路26とは合流して第1混合経路(混合水配管)27に接続されている。第1混合経路27には、第1混合経路27を流れる混合水の温度を検出する混合サーミスタ(第1検出手段の実施例)27aを備えている。
が設けられている。
【0034】
貯湯ユニット20は、さらに第1給湯経路29を備えている。第1給湯経路29には、給湯サーミスタ29aが設けられている。第1給湯経路29の先端には、給湯栓80が接続されている。給湯栓80は、浴室、洗面所、台所等に配置されている(図1では、これら複数の給湯栓80を1つで代表している)。第1混合経路27の途中と第1給湯経路29の途中は、給湯バイパス経路28によって接続されている。給湯バイパス経路28には、バイパス制御弁28aが設けられている。バイパス制御弁28aを開いた状態では、第1混合経路27を流れた混合水が給湯バイパス経路28から第1給湯経路29へ流れ、バイパス制御弁28aを閉じた状態では、第1混合経路27を流れた混合水が、後記する熱源ユニット50の第2混合経路52へ流れる。
【0035】
熱源ユニット50は、給湯器51で構成されている。給湯器51は、給湯用熱交換器(加熱部の実施例)53と、給湯用バーナ54と、追い焚き用熱交換器(第2加熱部の実施例)76と、第2バーナ78等を備えている。給湯用熱交換器53の入口側は第2混合経路52を介して貯湯ユニット20の第1混合経路27に接続されている。給湯用熱交換器53には、第2混合経路52を通じて混合水が流入する。第2混合経路52には、入水サーミスタ52aと、給湯水量センサ52bと、水量サーボ52cとが設けられている。入水サーミスタ52aと給湯水量センサ52bは、それぞれ第2混合経路52を流れる水の温度及び流量を検出する。水量サーボ52cは、第2混合経路52を流れる水の流量を調整する。ガス燃焼式のバーナ54は、給湯用熱交換器53を加熱する。給湯用熱交換器53の出口側は第2給湯経路55を介して第1給湯経路29に接続されている。給湯用熱交換器53を流れた温水は、第2給湯経路55及び第1給湯経路29を通じて給湯栓80から給湯される。第2給湯経路55には、給湯用熱交換器53の出口近傍に、缶体サーミスタ56が設けられており、その下流側に出湯サーミスタ(第2検出手段の実施例)57が設けられている。出湯サーミスタ57は、給湯用熱交換器53の近傍に配置されている。
【0036】
第2混合経路52における水量サーボ52cの下流側と、第2給湯経路55の缶体サーミスタ56と出湯サーミスタ57の間には、熱源機バイパス経路58が接続されている。第2混合経路52と熱源機バイパス経路58との接続部には、熱源機バイパス制御弁59が設けられている。熱源機バイパス制御弁59の開度を調整することによって、第2混合経路52を流れる水の一部が熱源機バイパス経路58に流れ、その流量が調整される。
【0037】
第2給湯経路55の出湯サーミスタ57の下流側には、湯はり経路70の一端が接続されている。湯はり経路70の他端は、風呂循環経路71に接続されている。湯はり経路70には、湯はり弁70aと湯はり量センサ70bとが設けられている。風呂循環経路71は、浴槽72から湯はり経路70との合流点まで伸びている第1流路76aと、湯はり経路70との合流点から追い焚き用熱交換器76を経て浴槽72にまで伸びている第2流路76bを備えている。風呂循環経路71は、浴槽72と追い焚き用熱交換器76との間で浴槽水を循環させるものである。風呂循環経路71には、水圧センサ79と、風呂ポンプ73と、水流スイッチ74と、風呂往きサーミスタ75と、追い焚き用熱交換器76と、風呂戻りサーミスタ77とが順に設けられている。
【0038】
湯はり弁70aを開くと、給湯用熱交換器53を通過した混合水が、破線矢印に示すように、第1流路76aと第2流路76bの両者から、浴槽72に供給される。風呂ポンプ73は、運転していないと、混合水が逆流するのを許容する。
風呂ポンプ73を駆動すると、浴槽72内の湯が実線矢印に示すように、風呂循環経路71を流れ、追い焚き用熱交換器76を流れる際に、第2バーナ78によって加熱される。風呂往きサーミスタ75は、浴槽72から風呂循環経路71に流入した浴槽水の温度を検出するものであり、風呂戻りサーミスタ77は、追い焚き用熱交換器76で加熱された後の浴槽水の温度を検出するものである。
【0039】
コントローラ11は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROM(記憶手段)には風呂試運転プログラムと利用運転プログラムとが格納されている。RAMには、コントローラ11に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。詳細には、RAMには、上記した各種のサーミスタ25c,26c,27a,29a,36,48a,49a,52a,56,57,75,77,水量センサ25b,26b,52b,70b及び水流スイッチ74の検出信号が入力され、これらの情報が一時的に記憶される。コントローラ11では、CPU(制御手段)がROMやRAMに記憶される情報に基づいて、貯湯ユニット20及び熱源ユニット50の各制御弁やヒートポンプユニット40の各種機器等に対して駆動信号を出力する。コントローラ11には、風呂試運転スイッチ16が設けられている。風呂試運転を実行する際には、施工者によって風呂試運転スイッチ16がON状態に設定される。なお、コントローラ11には、表示画面17が設けられており、風呂試運転プログラムが実行中であるといった表示がなされる。
また、リモコン13には、給湯システム10を操作するためのスイッチやボタン、給湯システム10の動作状態を表示する液晶表示器等が設けられており、リモコン13で設定された情報がコントローラ11に入力される。利用者は、リモコン13を利用して、給湯設定温度、湯はり設定温度、湯はり設定水位を設定することができる。コントローラ11は、給湯システム10を実際に利用する利用運転と、風呂試運転を行うように制御する。なお、給湯システム10では、施工時に風呂試運転が行われ、その後に利用運転が行われるが、ここでは、利用運転から先に説明する。
【0040】
(利用運転時の動作)
給湯システム10は、貯湯、給湯、湯はり、追い焚きを実行する利用運転を実施する。コントローラ11は、利用運転を制御する。温水を利用する暖房システムが併設されていれば、暖房運転も実行する。
利用運転プログラムでは、
(1)ヒートポンプユニット40によって貯湯槽21の水を加熱して高温の温水とし、この温水を貯湯槽21に貯湯し;
(2)混合器24で給湯設定温度に調温された混合水を給湯バイパス経路28を通じて給湯栓80から給湯する第1給湯運転を実施し、
(3)混合器24で給湯設定温度よりも低い温度に調温された混合水を給湯用熱交換器53を通過する際に給湯設定温度に加熱して給湯栓80から給湯する第2給湯運転を行い;
(4)混合器24で湯はり設定温度に調温された温水または給湯用熱交換器53で加熱して湯はり設定温度に調温された温水を浴槽72に給湯し;
(5)浴槽水を追い焚き用熱交換器76によって加熱する。
追い焚き用熱交換器76によって加熱している間に第1給湯運転から第2給湯運転に切り換えることもあれば、追い焚き用熱交換器76によって加熱している間に第2給湯運転から第1給湯運転に切り換えることもあれば、追い焚き用熱交換器76によって加熱していない間に第1給湯運転から第2給湯運転に切り換えることもあれば、追い焚き用熱交換器76によって加熱していない間に第2給湯運転から第1給湯運転に切り換えることもある。
【0041】
まず、ヒートポンプユニット40を稼動することによって、貯湯槽21に高温の水が貯湯される。ヒートポンプユニット40では、圧縮機41で圧縮されて昇温した熱媒が、第1熱交換器43の熱媒流路43aを流れる際に循環水流路43bを流れる循環水を加熱する。熱媒流路43aから流出した熱媒は、膨張弁44で膨張して冷却され、第2熱交換器45を流れる際に外気から吸熱して昇温する。昇温した熱媒が圧縮機41に流入して再び圧縮されることによってさらに昇温する。
また、ヒートポンプユニット40では、破線矢印に示すように、第2熱交換器45を除霜するため、一時的に除霜弁47aが開いて圧縮機41から吐出した高温の熱媒が、除霜経路47を通じて第2熱交換器45に流れるようにする。
【0042】
貯湯ユニット20では、循環ポンプ37が作動し、貯湯槽21内の水が貯湯槽21の底部から循環往路33に吸出される。循環往路33に吸出された水は、ヒートポンプユニット40の第1熱交換器43の循環水流路43bを通過する際に加熱されて温度上昇する。温度上昇した温水は、循環復路34を流れて貯湯槽21の上部に戻される。この循環が行われることによって、貯湯槽21では、冷水層の上部に高温層が積層した温度成層が形成される。貯湯槽21に高温の温水が戻され続けると、高温層の厚さ(深さ)は次第に大きくなり、フルに蓄熱された状態では、貯湯槽21の全体に高温の温水が貯まった状態になる。貯湯槽21にフルに蓄熱が行われていなくても、温度成層が形成されることにより、貯湯槽21の上部に接続されている温水経路25には、高温の温水が送り出される。
【0043】
第1給湯運転及び第2給湯運転は以下のようにして行われる。貯湯槽21の上部サーミスタ39の検出水温が、リモコン13で設定されている給湯設定温度よりも一定温度だけ高い基準温度以上である場合には、第1給湯運転が行われる。第1給湯運転では、コントローラ11がバイパス制御弁28aを開状態とし、水量サーボ52cを全閉状態とする。コントローラ11は、混合サーミスタ27aで検出される水温が給湯設定温度となるように、温水制御弁25aの開度と給水制御弁26aの開度を調整する。給湯設定温度に調整された混合水は、第1混合経路27を流れた後に、給湯バイパス経路28及び第1給湯経路29を通じて給湯栓80から給湯される。
【0044】
一方、上部サーミスタ39の検出水温が基準温度未満である場合には、第2給湯運転が行われる。第2給湯運転では、コントローラ11が、バイパス制御弁28aを全閉状態とし、水量サーボ52cを所定開度に設定する。コントローラ11は、混合サーミスタ27aで検出される水温が給湯設定温度よりも給湯用熱交換器53による温度上昇幅だけ低い温度となるように、温水制御弁25aの開度と給水制御弁26aの開度を調整する。給湯設定温度よりも低い温度に調整された混合水は、第1混合経路27を流れ、熱源ユニット50の第2混合経路52を流れて給湯用熱交換器53に流入し、バーナ54により加熱される。給湯用熱交換器53では、給湯用熱交換器53の出口に設けられている缶体サーミスタ56で検出される水温が60℃以上となるように制御される。これにより、配管に結露水が発生することを抑制することができる。給湯設定温度が60℃よりも低い場合には、出湯サーミスタ57で検出される水温が給湯設定温度となるように、熱源機バイパス制御弁59の開度が制御される。第2混合経路52を流れる混合水の一部が熱源機バイパス経路58を通じて第2給湯経路55に流入し、給湯用熱交換器53を流れた60℃以上の水と給湯用熱交換器53を流れていない低温の水とが混合されて給湯設定温度の温水となる。このようにして、給湯設定温度に調温された温水が、第2給湯経路55と第1給湯経路29を通じて給湯栓80から給湯される。これにより、第1給湯運転中に貯湯槽21に貯湯しておいた温水を消費しつくした場合にも、給湯設定温度に調温された温水を給湯し続けることができる。
【0045】
第1給湯運転と第2給湯運転とを切り換える場合、コントローラ11は、バーナ54を以下のように制御する。第1給湯運転から第2給湯運転への切り換えが行われる場合には、コントローラ11は、消火している状態のバーナ54に点火指令を出力する。コントローラ11は、給湯設定温度よりも給湯用熱交換器53による温度上昇幅だけ低い温度の混合水が給湯用熱交換器53まで移動したタイミングでバーナ54を点火させる。すなわち、混合器24によって温度を低下させた後に流れた給湯量が、混合器24から給湯用熱交換器53近傍までの配管容量に等しくなったタイミングでバーナ54を点火する。本実施例では、混合器24から給湯用熱交換器53近傍までの配管容量として、混合サーミスタ27aから出湯サーミスタ57までの配管容量を用いる。詳細には、バーナ54の点火時期は、後記する降温時配管容量Vwを用いて決定する。さらに詳細に説明すると、第2バーナ78が燃焼中であれば燃焼中の降温時配管容量Vwを用いてバーナ54の点火時期を調整し、第2バーナ78が非燃焼中であれば非燃焼中の降温時配管容量Vwを用いてバーナ54の点火時期を調整する。なお実際には、バーナ54の点火指令から点火が開始されるまでにプリパージ動作が行われるため、コントローラ11では、このプリパージ動作に要する期間をも考慮して、バーナ54に点火指令を出力する。
【0046】
一方、第2給湯運転から第1給湯運転への切り換えが行われる場合には、コントローラ11は、点火している状態のバーナ54を消火する。コントローラ11は、給湯設定温度の混合水が給湯用熱交換器53近傍まで移動したタイミングでバーナ54を消火する。すなわち、混合器24によって混合される混合水の温度を上昇させて給湯設定温度とした後に流れた給湯量が、混合器24から給湯用熱交換器53近傍までの配管容量に等しくなったタイミングでバーナ54を消火(加熱運転を停止)する。詳細には、バーナ54の消火時期は、後記する昇温時配管容量Vhを用いて決定する。さらに詳細に説明すると、第2バーナ78が燃焼中であれば燃焼中の昇温時配管容量Vhを用いてバーナ54の消火時期を調整し、第2バーナ78が非燃焼中であれば非燃焼中の昇温時配管容量Vhを用いてバーナ54の消火時期を調整する。バーナ54は、コントローラ11から消火指令が出力されたタイミングで消火する。
【0047】
浴槽72に湯はり運転する場合は、給湯設定温度を湯はり設定温度に読み代えて上記の第2給湯運転を実施する。リモコン13に浴槽72の湯はり要求が入力されると、コントローラ11は、湯はり弁70aを開いて浴槽72に給湯する。第2給湯経路55から湯はり経路70を流れた湯は、破線矢印に示すように、第1流路76aと第2流路76bを通じて浴槽72に給湯される。リモコン13で設定されている湯はり設定温度に応じた湯が浴槽72に給湯される。
【0048】
浴槽72に貯められている浴槽水の温度が低下すれば、風呂ポンプ73を運転し、第2バーナ78を点火する。浴槽水が追い焚きされ、湯はり設定温度に復帰する。
【0049】
(風呂試運転時の動作)
上記のように、本実施例の給湯システム10では、第1給湯運転と第2給湯運転の切り換えの際に、混合サーミスタ27aから出湯サーミスタ57までの配管容量に基づいてバーナ54の点火時期及び消火時期を決定する。本実施例の給湯システム10は、貯湯ユニット20と熱源ユニット50を現場で接続して構築しているため、混合サーミスタ27aから出湯サーミスタ57までの配管容量が予め設定されていない。本実施例では、給湯システム10の施工後に実施する風呂試運転を利用して、上記配管容量を導出する。
【0050】
風呂試運転プログラムは、
(1)混合器24から流出した混合水を湯はり経路70を通じて浴槽72に供給する間に
(2)混合器24の混合比を変化させ;
(3)混合サーミスタ27aによって検出される水温が所定温度に達する時期と出湯サーミスタ57によって検出される水温が所定温度に達する時期との時間差を特定し;
(4)混合器24の混合比を変化させた後の水の流量を特定し;
(5)(3)で特定した時間差と、(4)で特定した流量から、混合器24の出口近傍から給湯用熱交換器53近傍までの配管容量を導出する処理を備えている。
上記の(2)と(3)の実施中は、バーナ54を点火しない。また、第2バーナが燃焼している状態と燃焼していない状態の双方で、上記の(2)と(3)を実施する。本実施例では、単位時間当たりの流量を時間差に亘って積算することによって(5)の処理を実施している。時間差にその時間差内の平均流量を乗じて(5)を実施してもよい。
【0051】
図2〜図3は、風呂試運転プログラムの実行手順を示すフローチャートである。コントローラ11は、図2〜図3に示すフローチャートに従って給湯システム10の風呂試運転を実行する。図4は、風呂試運転プログラム実行中の混合サーミスタ27aの検出温度の変化パターン(実線A)と出湯サーミスタ57の検出温度(破線B)の変化パターンを示すタイミングチャートである。
【0052】
図2に示すように、ステップS2で、作業者が風呂試運転スイッチ16をONに操作することを監視している。風呂試運転スイッチ16は、施工時やメンテナンスの際に、施工業者のみが利用する。風呂試運転スイッチ16をリモコン13に設けていないため、利用者が誤って風呂試運転スイッチ16を押すことを回避することができる。
【0053】
風呂試運転スイッチ16がONになると、貯湯槽21の上部サーミスタ39の検出水温が基準温度(湯はり設定温度に設定される可能性がある温度よりも高温であり、本実施例では60℃に設定されている)であるか否かを判別する(S4)。貯湯槽21の貯湯は、利用運転時と同様に、ヒートポンプユニット40を稼動することによって加熱される。貯湯槽21の上部に基準温度以上の温水が貯められていることを確認して、ステップS6以降の試運転処理が実施される。貯湯槽21の上部に基準温度以上の温水が貯められていない間は(S4でNOの間は)ヒートポンプユニット40で加熱されるのを待って、ステップS6以降の試運転処理が実施される。
【0054】
ステップS4でYESと判定されると、ステップS6で10リットルだけ冷水を浴槽72に送る。この場合、温水制御弁25aが全閉状態に設定され、給水制御弁26aが全開状態に設定され、バイパス制御弁28aが全閉状態に設定され、湯はり弁70aが開状態とされる。混合用給水経路26と第1混合経路27と第2混合経路52と給湯用熱交換器53を流れた水道水が、湯はり経路70を通じて浴槽72に供給される。最初にステップS6を実行することによって、上記の配管に水道水が導入され、それらの配管に設置されているサーミスタの温度が水道水の温度に揃えられる。
【0055】
次にステップS8に移り、風呂ポンプ73を運転する。浴槽72には、第1流路76aと第2流路76bが接続されている穴が設けられている。浴槽内の水位がその穴にまで達していれば、風呂ポンプ73を運転することで水流スイッチ74が水流を検知する。
浴槽72に浴槽水がたまっていない状態で試運転プログラムを実施すると、ステップS6で10リットルを湯はりしても、浴槽内の水位は穴にまで達しない。そこでステップS10は最初のうちはNOとなる。ステップS10がNOのうちは、ステップS6に戻り、再び10リットルだけ湯はりする。浴槽内の水位が穴に達するまで、10リットルだけ湯はりする処理を繰り返す。浴槽内の水位が穴に達するまでの積算湯はり量が500リットルを超えれば(S36がYESとなれば)、何らかの異常が発生していることから、異常処理に進む(S38)。
【0056】
浴槽内の水位は穴にまで達するとステップS10がYESとなる。このときに、浴槽内の水位が穴に一致したときに水圧センサ79で検出される値が明らかとなり、その圧力を基準水位とする(S12)。
【0057】
浴槽内の水位が穴に一致したら、さらに40リットルを湯はりし(ステップS14)、第2バーナ78を燃焼させて追い焚き運転が可能な状態にまで水位を上昇させる。
次に、第2バーナ78が燃焼して追い焚きしている状態で湯はりする処理と、第2バーナ78が燃焼していない状態で湯はりする処理を交互に実施するためのカウンタkに0をセットする(S16)。ステップS18では、カウンタkを1だけ大きくする。
【0058】
ステップS20ではカウンタkが偶数か奇数かを判別する。最初にステップS20を実施する場合にはk=1であり、ステップS20がYESとなり、第2バーナ78に点火する。それに伴って風呂ポンプ73を運転し、浴槽水を追い焚きし始める。第2バーナ78が燃焼している間にステップS24の処理を実施する。
【0059】
ステップS24では20リットルの湯はりをする。この処理では、図3を参照して説明するように、温水湯はりと冷水湯はりを交互に実施し、温水湯はりから冷水湯はりに切換える際に降温時配管容量を測定し、冷水湯はりから温水湯はりに切換える際に昇温時配管容量を測定する。ステップS24を最初に実行する場合には、第2バーナ78が燃焼している間に、降温時配管容量と昇温時配管容量を測定する。
【0060】
ステップS24で20リットルの湯はり運転が終了すると、第2バーナ78を消火し(S26)、水位を検出する(S28)。ステップS28で検出した現在水位が設定水位未満の間は(S30でNOとなる間は)、ステップS18に戻る。ステップS18を2回目に実行すると、カウンタk=2となり、ステップS20がNOとなり、ステップS22をスキップしてステップS24を実行する。ステップS24を2回目に実行する場合には、第2バーナ78が燃焼していない間に、降温時配管容量と昇温時配管容量を測定する。
【0061】
ステップS20とS22の処理により、ステップ24は、第2バーナ78が燃焼している間に実施される場合と、第2バーナ78が燃焼していない間に実施される場合が交互に切り換えられる。
このようにして、a)第2バーナ78が燃焼しているときの降温時配管容量と、b)第2バーナ78が燃焼しているときの昇温時配管容量と、c)第2バーナ78が燃焼していないときの降温時配管容量と、d)第2バーナ78が燃焼していないときの昇温時配管容量が測定される。
【0062】
ステップS28で検出した現在水位が設定水位以上となると(S30でYESとなると)、浴槽水の温度を湯はり設定温度と比較し(S32)、湯はり設定温度未満であれば(S32がYESであれば)、第2バーナ78を燃焼させて風呂ポンプ73を運転する。浴槽水は風呂循環経路71を循環し、第2バーナ78で加熱される。湯はり設定温度にまで加熱されるとS32がNOとなり、第2バーナ78を消火して風呂ポンプ73を停止させる。以上によって浴槽72に湯はり設定温度に調温された温水が設定水位となるまで貯められる。これによって風呂試運転が終了する。
【0063】
図3は、ステップS24で実行する湯はり運転の処理手順の詳細を示している。ステップS50では、バイパス制御弁28aを全閉し、湯はり弁70aを全開する。ステップS52では、温水制御弁25aを全閉し、給水制御弁26aを全開する。それによって、混合サーミスタ27aを水道水が流れ、出湯サーミスタ57を水道水が流れ、浴槽72に水道水が供給される。混合サーミスタ27aと出湯サーミスタ57の双方が水道水の温度を測定すると、両者の差は小さくなり、ステップS54がYESとなる。ステップS54がYESとなるまで、湯はり経路等に水道水を流し、混合サーミスタ27aと出湯サーミスタ57水道水の温度に安定させる。
【0064】
湯はり経路等の温度が水道水の温度に安定したら、ステップS56を実施する。ステップS56では、温水制御弁25aを全開し、給水制御弁26aを全閉する。それによって、混合サーミスタ27aを温水が流れ、出湯サーミスタ57を温水が流れ、浴槽72に温水が供給される。
【0065】
ステップS58では、混合サーミスタ27aで検出される水温が、第1所定温度T1以上となったか否かが判定される。第1所定温度T1は、上部サーミスタ39で検出される貯水の温度よりも5℃低い温度に設定される。例えば、貯水の温度が60℃であれば、第1所定温度T1は55℃に設定されている。ステップS58の判定は、混合サーミスタ27aで検出される水温が第1所定温度T1以上となるまで繰り返し行われる。図4において、グラフAは、混合サーミスタ27aで検出される水温の時間に対する変化パターンを示している。時期th1に、混合サーミスタ27aで検出される水温が第1所定温度T1に達すると、図3のステップS58で、混合サーミスタ27aで検出される水温が第1所定温度T1以上となったと判定される。この判定によりステップS60に移り、積算水量のカウントを開始する。
【0066】
次にステップS62に移り、出湯サーミスタ57で検出される水温が、第1所定温度T1以上になったか否かが判定される。ステップS62の判定は、出湯サーミスタ57で検出される水温が第1所定温度T1以上となるまで繰り返し行われる。図4において、グラフBは、出湯サーミスタ57で検出される水温の時間に対する変化パターンを示している。時期th2に出湯サーミスタ57で検出される水温が第1所定温度T1に達すると、図4のステップS62で、出湯サーミスタ57で検出される水温が第1所定温度T1以上となったと判定される。この判定によりステップS64に移り、積算水量のカウントを停止する。ステップS64で測定される積算水量は、混合サーミスタ27aで検出される水温が第1所定温度T1以上となった時期th1から、出湯サーミスタ57で検出される水温が第1所定温度T1以上となった時期th2とまでの時間差と、その間の流量(給湯水量センサ52bで測定される)から算出した値に等しい。時間差と流量から求めた積算数量は、ステップS64でカウントした積算水量に等しい。ステップS64によって、昇温時配管容量が測定される。
【0067】
ステップS58及びS62では、混合サーミスタ27a及び出湯サーミスタ57で検出される水温が貯水の温度になったか否かを判定するのではなく、貯水の温度よりも5℃だけ低い第1所定温度T1となったか否かを判定している。したがって、図4に示すように、混合サーミスタ27a及び出湯サーミスタ57が検出する水温が、風呂試運転開始前の水道水温度から貯水の温度にまで変化する過渡期に第1所定温度T1に達する。単位時間当たりの温度変化幅が大きな過渡期に現れる第1所定温度T1を利用して時期を特定するために、混合サーミスタ27a及び出湯サーミスタ57が検出する水温が第1所定温度T1に達した時期をより正確に特定することができる。そのため、温水第1時期th1と温水第2時期th2との時間差Δ(th2−th1)もより正確に特定することができ、その間に流れた配管容量を正確に測定することができる。
【0068】
また、ステップS56で、混合水の全てを貯水としており、第1混合経路27から第2混合経路52までに、例えば60℃程の高温の水を流通させることができる。第1混合経路27から第2混合経路52までに高温の水を流通させることができるため、混合サーミスタ27aと出湯サーミスタ57の検出水温を大きく変化させることができる。したがって、混合サーミスタ27aと出湯サーミスタ57の検出水温が第1所定温度T1となった時期を、より正確に特定することができる。
【0069】
ステップS64で導出される昇温時配管容量Vhは、第2給湯運転から第1給湯運転に変更するためにバーナ54の消火時期を決定するために用いられる。すなわち、第2給湯運転では、混合器24から流出する水の温度が給湯設定温度よりも低く、混合器24から流出した水が給湯用熱交換器53を流れる際に加熱される。貯湯槽21の上部サーミスタ39の検出水温が上昇し、給湯設定温度よりも高い基準温度以上になると、混合器24から流出する水の温度が上昇して給湯設定温度に達し、バーナ54が消火されて第1給湯運転に切り換わる。風呂試運転プログラムで冷水湯はり運転から温水湯はり運転に切り換えることによって、混合サーミスタ27aと出湯サーミスタ57の検出温度が上昇する状況は、第2給湯運転から第1給湯運転への切り換え時に、配管を流れる水の温度が上昇することによって混合サーミスタ27aと出湯サーミスタ57の検出水温が上昇する状況と類似している。したがって、バーナ54の消火時期を決定するにあたって、この昇温時配管容量Vhを用いることにより、消火時期を適切に決定することができる。
【0070】
上記実施例では、温水湯はり運転の際に、貯湯タンク21に貯湯されている温水を水道水と混合しないで浴槽72に供給する。これに代えて、貯湯タンク21に貯湯されている温水と水道水とを混合して湯はり設定温度に調温した混合温水を浴槽72に供給してもよい。この場合は、ステップS56で、温水制御弁25aの開度と給水制御弁26aの開度を、混合後の温水温度が湯はり設定温度に等しくなる開度に調整する。またステップS58で、混合サーミスタ27aの検出温度を湯はり設定温度よりも5℃だけ低い温度と比較する。さらにステップS62で、出湯サーミスタ57の検出温度を湯はり設定温度よりも5℃だけ低い温度と比較する。これによっても昇温時配管容量を検出することができる。
【0071】
温水湯はり運転を継続すると、図3のステップS65がYESとなり、ステップS66に進む。ステップS66がNOとなると、ステップS68に移り、冷水湯はり運転を実行する。冷水湯はり運転では、ステップS68に示すように、温水制御弁25aを全閉状態に制御し、給水制御弁26aを全開状態に制御する。これにより、第1混合経路27から第2混合経路52には、水道水のみが流れる。図4では、時期t2に冷水湯はり運転が開始している。
【0072】
次に、ステップS70に移り、混合サーミスタ27aで検出される水温が、第2所定温度T2以下となったか否かが判定される。第2所定温度T2は、給水サーミスタ26cで検出される水温よりも5℃高い温度、すなわち、水道水の温度Twよりも5℃高い温度に設定される。ステップS70の判定は、混合サーミスタ27aで検出される水温が第2所定温度T2以下となるまで繰り返し行われる。図4に示すように、時期tw1に、混合サーミスタ27aで検出される水温が第2所定温度T2に達すると、図3のステップS70がYESとなり、積算水量のカウントを開始する。
【0073】
次にステップS74に移り、出湯サーミスタ57で検出される水温が、第2所定温度T2以下となったか否かが判定される。ステップS74判定は、出湯サーミスタ57で検出される水温が第2所定温度T2以下となるまで繰り返し行われる。図4に示すように、時期tw2に出湯サーミスタ57で検出される水温が第2所定温度T2に達すると、出湯サーミスタ57で検出される水温が第2所定温度T2以下となったと判定される。これにより、ステップS76に移り、積算水量のカウントを停止する。ステップS76で測定される積算水量は、混合サーミスタ27aで検出される水温が第2所定温度T2以下となった時期tw1から、出湯サーミスタ57で検出される水温が第2所定温度T2以下となった時期tw2とまでの時間差と、その間の流量(給湯水量センサ52bで測定される)から算出した値に等しい。時間差と流量から求めた積算数量は、ステップS76でカウントした積算水量に等しい。ステップS76によって、降温時配管容量が測定される。
【0074】
冷水湯はり運転では、第1混合経路27から第2給湯経路55に水道水を流すようにしているが、ステップS70及びS74では、混合サーミスタ27a及び出湯サーミスタ57で検出される水温が水道水の温度Tw(給水サーミスタ26cで検出される水温)になったか否かを判定するのではなく、水道水の温度Twよりも5℃高い第2所定温度T2となったか否かを判定している。したがって、図4に示すように、混合サーミスタ27a及び出湯サーミスタ57が検出する水温が、基準温度から水道水の温度Twに変化する過渡期に第2所定温度T2に達する。単位時間当たりの温度変化幅が大きな過渡期に現れる第2所定温度T2を利用して時期を特定するために、混合サーミスタ27a及び出湯サーミスタ57が検出する水温が第2所定温度T2に達した時期を正確に特定することができる。そのため、冷水第1時期tw1と冷水第2時期tw2との冷水時間差Δ(tw2−tw1)も正確に特定することができる。
【0075】
ステップS76で導出される降温時配管容量Vwは、第1給湯運転から第2給湯運転に変更される際に、バーナ54の点火時期を決定するために用いられる。すなわち、第1給湯運転では、混合器24から流出する水の温度が給湯設定温度であり、貯湯槽21の上部サーミスタ39の検出水温が低下すると、混合器24から流出する混合水の温度も低下して給湯設定温度よりも低くなるため、バーナ54が点火される。風呂試運転プログラムで温水湯はり運転から冷水湯はり運転へと切り換えると、第1混合経路27と第2混合経路52には、高温の貯水が流れる状態から水道水が流れる状態へと変化するため、これらの配管を流れる混合水の温度が低下する。この状況は、第1給湯運転から第2給湯運転への切り換えの状態と類似している。したがって、バーナ54の点火時期を決定する際に、降温時配管容量Vwを用いることにより、点火時期を適切に決定することができる。
【0076】
冷水湯はり運転を継続すると、図3のステップS77がYESとなり、ステップS78に進む。ステップS78で予定量に達すれば、図2のステップS24が完了したとして、図2のステップS26以降に進む。湯はり量が予定量に満たない間は、ステップS78がNOとなり、ステップS56に移り、再び温水湯はり運転を実行する。
【0077】
本実施例では、浴槽72に給水する風呂試運転を利用して、混合サーミスタ27aから出湯サーミスタ57までの配管容量が導出される。正確に言うと、a)第2加熱部76が加熱運転中の降温時配管容量と、b)第2加熱部76が加熱運転中の昇温時配管容量と、c)第2加熱部が非加熱運転中の降温時配管容量と、d)第2加熱部が非加熱運転中の昇温時配管容量が導出される。
第2加熱部76が加熱運転中の場合には、加熱運転中の昇温時配管容量を用いてバーナ54の消火時期を決定し、加熱運転中の降温時配管容量を用いてバーナ54の点火時期を決定する。第2加熱部76が非加熱運転中の場合には、非加熱運転中の昇温時配管容量を用いてバーナ54の消火時期を決定し、非加熱運転中の降温時配管容量を用いてバーナ54の点火時期を決定する。
【0078】
本実施例では、施工時に貯湯ユニット20と熱源ユニット50とを組み立てるため、その配管容量を予め把握することができない。しかしながら、本実施例によれば、利用者が給湯システムを利用するのに先立って、混合器24の出口近傍から給湯用熱交換器53近傍までの配管容量を導出することができる。したがって、利用者が給湯システム10を利用する際には、既に導出されている配管容量に基づいて給湯用熱交換器53を加熱するバーナ54の点火及び消火時期を適切に決定することができる。
【0079】
(その他の実施例)
上記実施例では、風呂試運転時に、温水湯はり運転と冷水湯はり運転を交互に繰り返し実行する。しかしながら、温水湯はり運転と冷水湯はり運転を1回ずつ実行するようにしてもよい。複数回実行する場合には、複数回の温水湯はり運転で導出される昇温時配管容量を平均化した値を、バーナ54の消火時期を決定するために用いるようにし、複数回の冷水湯はり運転で導出される降温時配管容量を平均化した値を、バーナ54の点火時期を決定するために用いるようにしてもよい。また、昇温時配管容量と降温時配管容量を区別せず、これらの平均値を配管容量としてもよい。同様に、第2バーナ78の燃焼の有無で配管容量を区分してもよいし、区別しなくてもよい。
【0080】
上記実施例の風呂試運転プログラムでは、温水制御弁25aを全開としたときに温水流量センサ25bで検出される流量、又は、給水制御弁26aを全開としたときに給水流量センサ26bで検出される流量を配管容量の導出に用いるようにしている。しかしながら、これらの制御弁25a,26aを全開とすることなく、例えば、温水流量センサ25bで検出される流量が所望の流量となるように温水制御弁25aの開度を調整するようにしてもよいし、給水流量センサ26bで検出される流量が所望の流量となるように給水制御弁26aの開度を調整するようにしてもよい。あるいは、給湯水量センサ52bによって計測される流量から配管容量を計算してもよいし、水量サーボ52cによって流量を調整してもよい。
【0081】
特に、風呂試運転時の混合水の流量を、シャワー流量に設定するようにしてもよい。シャワー利用時には、給湯される水の温度が安定していることが特に要求される。シャワー流量に設定することによって、給湯温度の安定化が要求される状況と同じ流量の水を通水することによって配管容量を導出することができる。したがって、導出される配管容量に基づいてバーナの点火時期や消火時期を決定すれば、給湯される水の温度が安定していることが特に要求される状況で、給湯される水の温度を安定させることができる。
また、上記実施例の風呂試運転プログラムでは、第1混合経路27、第2混合経路52及び湯はり経路70にかけて、貯水のみ又は水道水のみを通水するようにしているが、貯水と水道水の双方を含む混合水を通水するようにしてもよい。
【0082】
上記実施例の風呂試運転プログラムでは、風呂試運転開始条件が成立すると、第2混合経路52及び湯はり経路70に水道水を通水する。このために、第1混合経路27及び第2混合経路52の配管温度が、周囲の環境などの影響を受けて均一でない場合でも、水道水を通水することにより均一化させることができる。したがって、混合サーミスタ27a及び出湯サーミスタ57で検出される初期温度を均一化させた後に、温水湯はり運転を実行することができる。なお、この処理は省略することもできる。
本実施例では、第2バーナ78で浴槽水を直接的に加熱しているが、第2バーナ78で浴槽水を加熱する熱媒を加熱してもよい。また、第2バーナ78で暖房用熱媒を加熱してもよい。
【0083】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本実施例では、湯はり経路70が給湯用熱交換器53よりも下流側で混合経路から分岐しているが、給湯用熱交換器53よりも近傍の上流側で混合経路から分岐してもよい。例えば、入水サーミスタ52aを給湯用熱交換器53の近傍に配置し、入水サーミスタ52aと給湯用熱交換器53の間で湯はり経路70が分岐しているようにしてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0084】
10:給湯システム
11:コントローラ
13:リモコン
16:風呂試運転スイッチ
17:表示画面
20:貯湯ユニット
21:貯湯槽
22:給水経路
22a:水道水入口
23:減圧弁
24:混合器
25:温水経路
25a:温水制御弁
25b:温水流量センサ
25c:温水サーミスタ
26:混合用給水経路
26a:給水制御弁
26b:給水流量センサ
26c:給水サーミスタ
27:第1混合経路
27a:混合サーミスタ(第1検出手段)
28:給湯バイパス経路
28a:バイパス制御弁
29:第1給湯経路
29a:給湯サーミスタ
31:排水経路
32:排水弁
33:循環往路
34:循環復路
36:往路サーミスタ
37:循環ポンプ
38:圧力開放経路
38a:リリーフ弁
39:上部サーミスタ
40:ヒートポンプユニット
41:圧縮機
42:四方弁
43:第1熱交換器
43a:熱媒流路
43b:循環水流路
44:膨張弁
45:第2熱交換器
45a:ファン
46:熱媒配管
47:除霜経路
47a:除霜弁
48:循環往路接続経路
48a:入口側サーミスタ
49:循環復路接続経路
49a:出口側サーミスタ
50:熱源ユニット
51:給湯器
52:第2混合経路
52a:入水サーミスタ
52b:給湯水量センサ
52c:水量サーボ
53:給湯用熱交換器(加熱部)
54:給湯用バーナ
55:第2給湯経路
56:缶体サーミスタ
57:出湯サーミスタ(第2検出手段)
58:熱源機バイパス経路
59:熱源機バイパス制御弁
70:湯はり経路
70a:湯はり弁
70b:湯はり量センサ
71:風呂循環経路
72:浴槽
73:風呂ポンプ
74:水流スイッチ
75:風呂往きサーミスタ
76:追い焚き用熱交換器(第2加熱部)
76a:第1流路
76b:第2流路
77:風呂戻りサーミスタ
78:第2バーナ
79:水圧センサ
80:給湯栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯槽と、
その貯湯槽から流出した貯水と水道水とを混合する混合器と、
その混合器から流出した混合水を加熱する加熱部と、
その加熱部を通過した混合水を浴槽に供給する湯はり経路と、
前記混合器の出口の近傍における混合水の温度を検出する第1検出手段と、
前記加熱部の近傍における混合水の温度を検出する第2検出手段と、
風呂試運転プログラムを記憶している記憶手段と、
その風呂試運転プログラムを実行する制御手段とを備えており、
その風呂試運転プログラムが、
(1)前記湯はり経路から前記浴槽に混合水を供給する間に、
(2)前記混合器の混合比を変化させ、
(3)前記第1検出手段によって検出される水温が所定温度に達する時期と前記第2検出手段によって検出される水温が前記所定温度に達する時期との時間差を特定し、
(4)前記混合水の流量を特定し、
(5)前記時間差と前記流量から、前記混合器の出口の近傍から前記加熱部の近傍までの配管容量を導出する処理を含んでいることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記加熱部に隣接して第2加熱部が配置されており、
前記風呂試運転プログラムが、前記第2加熱部が加熱運転をしている間に前記(1)〜(5)を実行する処理と、前記第2加熱部が加熱運転をしていない間に前記(1)〜(5)を実行する処理を備えていることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記風呂試運転プログラムが、前記混合器の混合比を、貯水:水道水を0:1とする冷水湯はり運転と、貯水:水道水を1:0とする温水湯はり運転との間で切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記所定温度が、前記水道水の温度と前記貯水の温度の間の温度に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの1項に記載の給湯システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−220571(P2011−220571A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88242(P2010−88242)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】