説明

給湯システム

【課題】貯湯式給湯器からの出湯を追い炊きする補助給湯器を有する給湯システムにおいて、貯湯式給湯器からの高温湯による補助給湯器の異常動作発生を未然に防止する。
【解決手段】給湯システム1は、貯湯式給湯器2と、その出湯を追い炊きするガス給湯器等の補助給湯器3と、貯湯式給湯器2からの湯を、補助給湯器3をバイパスしてカラン4に出湯するバイパス配管52と、補助給湯器3を経由してカラン4に出湯する補助配管53と、それら配管を切り替える切替弁6とを備える。切替弁6は貯湯式給湯器2からの湯を、該湯温が所定温度より高い時にはバイパス配管52に通し、所定温度以下の時には補助配管53に通すように切り替える。これにより、貯湯式給湯器2からの湯が、補助給湯器3の所定温度より高温の時に、補助給湯器3をバイパスして出湯されるので、高温給による補助給湯器3の異常動作を未然に防止することができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯器とそれを補助するガス給湯器等とのハイブリッド型の給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の給湯システムとして、ヒートポンプ給湯器と、このヒートポンプ給湯器のヒートポンプの運転の立ち上がり時など、沸き上げ温湯が上昇するまでの間、他熱源の補助給湯器により追い炊きするのものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の給湯システムの構成を図6に示す。この給湯システム100は、貯湯式給湯器(ヒートポンプ給湯器)101と、その下流側に設けられたガス給湯器102とを備え、ガス給湯器102の下流側の出湯配管103を介して出湯端末のカランに出湯する。この給湯システム100においては、出湯量の増大などにより、ヒートポンプ給湯器101からの湯量が不足したときに、ガス給湯器102を稼動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−255775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような給湯システムにおいて、補助給湯器にガス給湯器を用いる場合、ガス給湯器に所定温度以上の温湯が供給されると、ガスバーナ出力調整ができなくなる等の異常動作が発生することがあり、そのとき、補助給湯器の稼働が停止して出湯できなくなることがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、貯湯式給湯器からの出湯を追い炊きする補助給湯器を有する給湯システムにあって、貯湯式給湯器からの高温湯による補助給湯器の異常動作を未然に防止することができる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の給湯システムは、貯湯式給湯器と、この貯湯式給湯器の出湯経路下流側に配置され該出湯を追い炊きする補助給湯器と、を備えた給湯システムにおいて、前記貯湯式給湯器からの湯を、前記補助給湯器をバイパスして給湯端末に直接出湯するバイパス配管と、前記貯湯式給湯器からの湯を、前記補助給湯器を経由して給湯端末に出湯する補助配管と、前記貯湯式給湯器からの湯を、該湯温が所定温度より高い時には前記バイパス配管に通し、該湯温が所定温度以下の時には前記補助配管に通すように流路を切り替える切替弁と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この給湯システムにおいて、前記貯湯式給湯器からの湯の温度を検出する温度センサと、前記温度センサにより検出された湯温度に応じて、前記切替弁の切り替え、及び前記補助給湯器の稼動をそれぞれ制御する制御部と、を備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の給湯システムによれば、貯湯式給湯器からの湯温が低い時は、補助給湯器で追い炊きして出湯できると共に、その湯温が補助給湯器において異常動作が発生するような高温のときは、補助給湯器をバイパスして出湯することにより異常動作の発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る給湯システムの構成図。
【図2】同上システムでヒートポンプ給湯器に十分湯がないときの出湯経路を説明する図。
【図3】上記実施形態の変形例の構成図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る給湯システムの構成図。
【図5】同上システムでヒートポンプ給湯器に十分湯がないときの出湯経路を説明する図。
【図6】従来の給湯システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る給湯システムについて、図1及び図2を参照して説明する。図1に示されるように、給湯システム1は、貯湯式給湯器2と、その下流側に配置されるガス給湯器等の補助給湯器3と、これら給湯器からの湯を給湯端末4に送出する出湯配管5と、出湯配管5中に配置される切替弁6と、システムを制御する制御部7とを備える。貯湯式給湯器2は、ヒートポンプ(HPという)を有するヒートポンプ給湯器(HP給湯器という)からなり、市水を給水する給水管8に接続されている。ここでは、給湯端末4はカランとしている。制御部7は、貯湯式給湯器2及び補助給湯器3から出湯される湯の温度を設定するための設定部9を有し、各給湯器2、3及び切替弁6を含むシステム全体を制御する。給湯システム1においては、貯湯式給湯器2からの湯の温度が所定温度以下の時は、補助給湯器3が自動的に稼働して追い炊きして出湯する。また、貯湯式給湯器2からの湯の温度が所定温度より高い時は、補助給湯器3をバイパスして出湯する。
【0011】
貯湯式給湯器2は、給水を沸かし上げるHPからなる熱源機の21と、この熱源機21で沸き上げた温湯を貯湯するタンク22と、タンク22の貯湯量を検知するための湯量センサ23とを有し、タンク22の上部側に混合弁24が取付けられている。混合弁24は、三方弁を有し、その二方にそれぞれ給水管8とタンク22上部からの高温配管25とが接続され、残りの一方に出湯配管5のうちの中継配管51に接続されている。また、中継配管51の混合弁24に近い側に、貯湯式給湯器2からの出湯温度を検出する温度センサ26が設けられている。湯量センサ23及び温度センサ26はそれぞれ湯量検出信号及び温度検出信号を制御部7に送る。
【0012】
熱源機21は、送揚ポンプ(不図示)を有しており、タンク22の底部から接続配管を介して水を吸引して沸かし上げる。この沸上湯は他の接続配管を介してタンク22の頂部へ給湯される。また、熱源機21は制御部7で制御され、設定部9で設定された沸上温度になるように給水を沸き上げる。この沸上温度は、例えば90℃近くに設定されている。
【0013】
タンク22は、その底部側で給水管8に繋がれ給水圧により圧入される水を貯留し、その頂部側で熱源機21からの沸上湯を貯湯していく。ここで、タンク22内には、その頂部から底部に向って、高温領域22aと、中温及び低温となる中低温領域22bとの温度成層が形成される。これらの領域における層幅は、貯湯式給湯器2からの出湯量に伴って変化し、出湯量が多いと高温領域22aが狭くなり中低温領域22bが広くなる。
【0014】
湯量センサ23は、タンク22の上部から下部にかけて配置した複数の温度センサで構成され、各温度センサによりタンク22の各位置の湯温度を検出し湯量検出信号として制御部7に送る。制御部7はこの湯量検出信号からの位置情報と温度情報を基にタンク22の残湯量を検出する。なお、中継配管51に流量計(不図示)を設け、その流量計で測定される流量と、温度センサ26で検出された湯の温度とを基に湯量を検出してもよい。また、温度センサに熱電対等を用いてもよい。
【0015】
混合弁24は、貯湯式給湯器2からの給湯温度を調節するための温度調整弁であり、タンク22から高温配管25を介して供給される温湯と給水管8からの給水とを混合し、その混合比を可変して混合湯の温度を調整して出湯する。ここでは、混合弁24は、タンク22の頂部の湯温(例えば、90℃)と底部の給水温度とに基づきその混合比が調整され、制御部7により混合湯からの給湯温度Taが設定部9で設定された設定温度Tsになるように制御される。また、混合弁24は温度センサ26からの温度情報に基いても制御することができる。なお、混合弁24は貯湯式給湯器2からの湯の給湯温度Taを設定温度Tsに設定して出湯できるものであればこれに限らない。また、給水管8からの給水温度は、給水管8側に温度センサ(不図示)を設けるなどして検出される。
【0016】
補助給湯器3は、出湯配管5の補助配管53中にあって、貯湯式給湯器2と直列にその出湯経路下流側に位置して配置され、その出湯を追い炊きする。補助給湯器3は、給水を沸き上げる加熱部31と、内部配管32と、この加熱部31からの給湯温度を検出するための温度センサ33とを備え、内部配管32は補助配管53中に位置されてそれと直列に配管接続され、加熱部31内を通過する。なお、補助給湯器3は、内部配管32内で給水されていないときは、自動的に稼働が停止されるようになっている。
【0017】
加熱部31は、補助給湯器3がガス給湯器の場合は、ガスバーナを熱源とする熱交換器が用いられ、熱交換器内を通る内部配管32内の湯水を急速に加熱できるようになっている。温度センサ33は、例えば補助給湯器3の出湯口の内部配管32の近くで出湯温度Tbを検出し、その温度検出信号を制御部7に送る。制御部7は、この温度検出信号を基に出湯温度Tbがユーザの希望する設定温度Ts(例えば、42℃)となるように、加熱部31を制御する。このとき、補助給湯器3からの出湯温度Tbは、常に設定温度Tsとなるように制御され、一定温度となってカラン4へ給湯される。なお、内部配管32はその配管中に補助給湯器3の異常動作時に出湯を遮断するための遮断弁を有していてもよい。
【0018】
出湯配管5は、貯湯式給湯器2とカラン4とを中継するための中継配管51と、中継配管51とカラン4との間にあり中継配管51から分岐されるバイパス配管52及び補助配管53と、これらの配管52及び53に接続される切替弁6と、出力配管54とを備える。出力配管54は切替弁6とカラン4とを繋ぐ配管である。バイパス配管52は貯湯式給湯器2からの湯を、補助給湯器3をバイパスしてカラン4に直接出湯するための配管である。補助配管53は貯湯式給湯器2からの湯を、補助給湯器3を経由してカラン4に出湯するための配管である。
【0019】
切替弁6は、三方弁からなり、その二方の入力端にはそれぞれバイパス配管52と補助配管53の下流側端に接続され、残りの一方には出力配管54に接続される。切替弁6は、貯湯式給湯器2からの湯をバイパス配管52と補助配管53のいずれに通すかを切り替える。
【0020】
設定部9は、貯湯式給湯器2及び補助給湯器3の各給湯温度等を設定するための入力手段(不図示)と、この入力手段からの入力されたそれらの設定温度のデータを記憶するための記憶部(不図示)とを有し、その記憶部の各データは制御部7に供給される。また、記憶部は、混合弁24により調整される設定温度Tsを得るための混合比も記憶している。制御部7は、この混合比を基に、中継配管51への給湯温度Taを設定温度Tsとするように混合弁24を制御する。
【0021】
制御部7は、マイコンを有し、湯量センサ23により検出されるタンク22の残湯量を基に、熱源機21の沸き上げを制御し、混合弁24の混合比を可変して、貯湯式給湯器2からの給湯温度Taが設定部9で設定される設定温度Tsとなるように制御する。また、制御部7は温度センサ26からの検出温度に基き、切替弁6の切り替えを行うと共に、補助給湯器3の稼動を制御する。
【0022】
また、制御部7は、温度センサ33からの温度検出信号に基き、補助給湯器3の給湯温度Tbが設定部9で設定される設定温度(例えば、Ts)になるように、補助給湯器3の熱源機31を制御する。なお、制御部7は貯湯式給湯器2と補助給湯器3とにそれぞれ設けてもよい。
【0023】
この貯湯式給湯器2においては、設定部9により熱源機21の沸上温度が、例えば最大沸上可能温度に近い90℃に設定され、例えば貯湯式給湯器2からの給湯温度Taの設定温度Tsが使用温度(例えば、42℃)に設定されている。このとき、混合弁24はその混合比が90℃の高温湯と給水との混合湯が使用温度になるように設定され、その混合湯を中継配管51に供給する。また、補助給湯器3においては、例えばその出湯温度Tbは貯湯式給湯器2からの給湯温度Taと同じ設定温度Tsに設定されている。
【0024】
ここで、制御部7による給湯システム1の制御について説明する。制御部7は、通常、湯量センサ23からの湯量検出信号を基に貯湯式給湯器2から湯の給湯温度Taを設定温度Tsに保つように制御している。ここでは、この状態において、制御部7による切替弁6の制御について説明する。
【0025】
図1に示すように、貯湯式給湯器(HP給湯器)2に残湯量が十分あるときは、切替弁6は給水側のバイパス配管52と出力配管54とが接続されるように切り替えられ、貯湯式給湯器2からの湯がカラン4に直接出湯される。ここでは、設定部9で設定温度Tsより低い所定温度が予め設定されており、制御部7は、温度センサ26からの温度検出信号に基き、貯湯式給湯器2からの湯の給湯温度Taが所定温度より高ければ、切替弁6をバイパス配管52側に切り替えるように制御する。
【0026】
上記所定温度は、例えば、補助給湯器3がガス給湯器の場合、ガス給湯器が稼働中に、補助給湯器3への供給水の温度が高くなり、補助給湯器3で異常動作が発生するときの異常動作温度に設定される。このガス給湯器の異常動作は、例えばガス給湯器に供給される湯の温度とガス給湯器から出湯される湯の給湯温度(設定温度Ts)との温度差が確保できなくなると、ガスバーナ出力調整ができなくなることや、このためにガス給湯器が急に停止されること等である。
【0027】
次に、図2を参照して、貯湯式給湯器(HP給湯器)2に残湯量が十分にない場合の制御部7による制御について説明する。貯湯式給湯器2においては、その立ち上がり時や、カラン4から吐出する使用湯量が急増した場合や、周囲温度の急激な低下でタンク22の貯湯熱量が低下した場合などに、熱源機21での沸き上げが間に合わず、タンク22の貯湯量が不足することがある。このため、混合弁24による給湯温度Taの調整が限界となって、給湯温度Taが設定温度Tsに維持されずに低下するようになる。
【0028】
このとき、制御部7は、上記のように貯湯式給湯器2に残湯量が十分になく、貯湯式給湯器2からの湯温が所定温度以下の時には、その温湯が補助給湯器3を経由して補助配管53を通ってカラン4から出湯するように切替弁6を切り替える。すなわち、制御部7は、温度センサ26の温度検出信号を基に貯湯式給湯器2から湯の給湯温度Taが所定温度以下に低下したことを検知すると、補助配管53と出力配管54とを繋ぐように切替弁6を切り替える。これにより、貯湯式給湯器2からの湯が補助給湯器3に給湯され、制御部7はタンク22で不足した給湯量を補うために補助給湯器3を稼働させ、補助給湯器3で設定温度Tsまで加熱して出湯する。
【0029】
具体的には、例えば、制御部7はタンク22の貯湯熱量が減って、給湯温度Taが設定温度Ts(例えば42℃)より低く、かつ所定温度より低い、例えば35℃以下となったとすると、切替弁6を補助配管53側に切り替え、補助給湯器3を稼働させる。ここで、補助給湯器3の温度センサ33からの検出温度を基に、その出湯温度Tbが設定温度Tsとなるように加熱部31を制御する。これにより、補助給湯器3からの出湯温度Tbは、設定温度Tsに維持され、設定温度Tsの湯をカラン4から出湯する。
【0030】
ここで、制御部7は、補助給湯器3から出湯している状態で、タンク22の残湯量が増して、貯湯式給湯器2から供給される湯の温度が上昇し、温度センサ26で検出した給湯温度Taが所定温度より高くになると、切替弁6をバイパス配管52側に切り替える。これと同時に、制御部7は補助給湯器3を停止する。すなわち、ガス給湯器を使用する補助給湯器3は、貯湯式給湯器2からの給水を加熱中に、給水温度が高くなってきて、給水温度とガス給湯器からの出湯温度との温度差が確保できなくなる前に、出湯配管が切り替えられ、加熱が停止される。従って、補助給湯器3は所定温度より高い温湯が供給される前に、その稼動が停止されるので、ガスバーナ出力調整ができない等の異常動作が発生しなくなる。
【0031】
また、補助給湯器3は、貯湯式給湯器2からの給湯を加熱する際、熱源機21が稼動しているタンク22内の湯は給水温より温度が高く、例えば30℃程度になっているとすると、30℃の温湯から設定温度Ts(例えば42℃)まで追い炊きすればよい。通常、補助給湯器3は、入力される給水の温度が低いほど出湯可能量が減り、給水温度が高いほど出湯可能量が増加する。ここでは、補助給湯器3は、30℃から沸き上げればよいので、例えば水温から42℃まで沸き上げるタイプの補助給湯器に比べ、その出湯容量を小さくしても、十分な湯量を給湯することが可能となり、小型の給湯器を使用でき、省スペース化、低廉化が図れる。
【0032】
本実施形態の給湯システム1によれば、貯湯式給湯器2からの湯が、補助給湯器3で異常動作が発生する所定温度より高い場合に、補助給湯器3をバイパスして出湯できるので、ガス給湯器等の補助給湯器3における異常動作の発生を未然に防止することができる。また、貯湯式給湯器2の給湯温度Taが所定温度以下に低下した場合は、その出湯の不足熱量分を補助給湯器3で直接補うことができ、湯切れを防止することができる。
【0033】
また、補助給湯器3は、中継配管51及び補助配管53を通して連続して貯湯式給湯器2と繋がれ、常に貯湯式給湯器2から給湯可能状態にあるので、切替弁6が補助配管53側に切替わると、直ぐに貯湯式給湯器2からの湯を加熱して出湯することができる。
【0034】
なお、制御部7等にタイマを備え、切替弁6を補助配管53側に切り替えた状態で、補助給湯器3が一定時間以上稼動しても、その給湯温度Tbが上昇しないときは、補助給湯器3を停止し、切替弁6をバイパス配管52側に強制的に切り替えるようにしてもよい。
【0035】
また、補助給湯器3の出口側の補助配管53に第2の混合弁を設け、補助給湯器3の出湯の温度設定を設定温度Tsより高い設定温度Thに設定し、この高温湯と給水管8からの給水とを第2の混合弁で混合した混合湯が設定温度Tsになるように調整してもよい。これにより、補助給湯器3への給水温度が高くなったときも、補助給湯器3への給湯温度と、補助給湯器3からの出湯温度(設定温度Th)との温度差を保つようにでき、ガス給湯器の異常動作温度を高めるようにできる。すなわち、高温湯で補助給湯器3が異常動作を発生し難くなり、異常動作温度を高温化でき、これに対応して所定温度は、その設定温度を高くできるので、貯湯式給湯器2の設定温度Tsに近づけることができる。
【0036】
従って、貯湯式給湯器2の湯がバイパス配管52を介して出湯される際、湯量が減って、補助配管53に切替わる前に設定温度Tsより低い所定温度までの温度で出湯される場合に、所定温度を上げることにより、出湯温度をほぼ設定温度Tsとするようにできる。これにより、貯湯式給湯器2からの出湯が、バイパス配管52又は補助配管53の、いずれを介する場合も、常に設定温度Tsに近い給湯温度でカラン4から出湯するようにでき、湯切れが抑制される。
【0037】
(変形例)
図3は、上記実施形態の変形例を示す。この変形例においては、補助給湯器3は、その内部に温度センサ33と、温度センサ33に基き補助給湯器3の稼働を制御する制御部34とを備える。この変形例は、補助給湯器3が外部の制御部7からの制御ではなく、補助給湯器3内で独立に出湯制御できるようにしたものである。
【0038】
この補助給湯器3は、給水があると湯量センサ(不図示)等からの湯量情報を基に制御部34の制御により自動的に稼働し、通過する湯温を沸き上げる。この補助給湯器3にガス給湯器を用いた場合は、補助給湯器3への給水の温度と、そこからの出湯の温度との間で温度差があると、前述と同様にガスバーナ出力調整ができない等の異常動作が発生するが、切替弁6を切り替えることにより、この異常動作を回避できる。本変形例では、補助給湯器3自身でその稼働を制御できるので、システムの制御系の構成が簡単になる。なお、制御部34はマイコンを用いた帰還制御だけでなく、例えばバイメタル等を用い温度による物理的変化で接点が自動的に切り替わる接点切替スイッチ等を用い、補助給湯器3のオンオフを、その中を通る給水の温度により自動的に切り替えて制御してもよい。また、上記接点切替スイッチ等を用い、温度センサなしに補助給湯器3の稼働を湯温等の温度で切り替えるようにしてもよい。また、温度変形する形状記憶合金を用いて、接点切替スイッチを形成してもよい。
【0039】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る給湯システムについて、図4及び図5を参照して説明する。図4に示されるように、本実施形態の給湯システム1は、切替弁6をバイパス配管52及び補助配管53の各上流側に配置した以外は、前記実施形態と同様の構成を成し、同様の動作を行う。
【0040】
切替弁6は、出湯配管5中において、切替弁6の一方の入力端に中継配管51の下流側端を、その二方の出力端にバイパス配管52及び補助配管53の各上流側端をそれぞれ接続するように配置される。切替弁6は、貯湯式給湯器2からの湯が所定温度より高いときは、中継配管51とバイパス配管52とを接続するように切替わり、貯湯式給湯器2からの湯が所定温度以下の時は、中継配管51と補助配管53とを接続するように切替わる。
【0041】
出湯配管5は、バイパス配管52及び補助配管53のそれぞれの下流側端と、出力配管54とを結合するための三分岐配管55を有する。これらバイパス配管52及び補助配管53は三分岐配管55近くにそれぞれ逆止弁(不図示)を有し、それらの配管からは、出力配管54の一方向しか出湯しないようになっている。なお、三分岐配管55は、バイパス配管52と補助配管53のいずれかを出力配管54に切り替えて接続する三方弁からなる切替弁としてもよい。
【0042】
この給湯システム1においては、貯湯式給湯器2からの湯は、タンク22に残湯量が十分にあり、その温度が所定温度より高い場合は、切替弁6でバイパス配管52を通るように切り替えられ、三分岐配管55から出力配管54を通ってカラン4に出湯される。
【0043】
また、図5に示されるように、貯湯式給湯器2からの湯は、タンク22に残湯量が十分になく、その温度が所定温度以下に低下した場合は、切替弁6で補助配管53を通るように切り替えられ、補助給湯器3で加熱されて三分岐配管55からカラン4に出湯される。
【0044】
本実施形態では、貯湯式給湯器2からの湯が所定温度より高温のとき、補助配管53の上流側端が中継配管51と遮断されるので、補助給湯器3には、全く給湯されない。従って、仮に、補助給湯器3が誤動作しても、湯を出湯することはない。
【0045】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、補助給湯器はガス給湯器以外に、電気温水器や、灯油、石油、太陽熱、燃料電池などによる他の熱源を用いた給湯器であってもよい。また、補助給湯器はガス給湯器等を複数設け、それらを互いに直列に配置してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 給湯システム
2 貯湯式給湯器
26 温度センサ
3 補助給湯器
4 カラン(出湯端末)
5 出湯配管(バイパス配管、補助配管)
52 バイパス配管
53 補助配管
6 切替弁
7 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯式給湯器と、この貯湯式給湯器の出湯経路下流側に配置され該出湯を追い炊きする補助給湯器と、を備えた給湯システムにおいて、
前記貯湯式給湯器からの湯を、前記補助給湯器をバイパスして給湯端末に直接出湯するバイパス配管と、
前記貯湯式給湯器からの湯を、前記補助給湯器を経由して給湯端末に出湯する補助配管と、
前記貯湯式給湯器からの湯を、該湯温が所定温度より高い時には前記バイパス配管に通し、該湯温が所定温度以下の時には前記補助配管に通すように流路を切り替える切替弁と、を備えたことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記貯湯式給湯器からの湯の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにより検出された湯温度に応じて、前記切替弁の切り替え、及び前記補助給湯器の稼動をそれぞれ制御する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−127635(P2012−127635A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282350(P2010−282350)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】