説明

給湯機器等と給湯機器等の製作方法

【課題】 雄パイプ側に特殊加工を施しパッキンの抜け止め手段を形成したものであると、接続部構造が複雑となり、価格も上昇し量産化には至らないと言う課題があった。
また、雄パイプの径方向に一個のリブを設け、これでパッキンの抜け止めを行なうようにしたものであると、パイプ肉厚が薄い時、該リブの強度が確保されず、更に接続時、雄パイプがパッキン部を支点として偏り易い等の課題があった。
【解決手段】 パッキン付き雄パイプを雌パイプ内に挿入し、接続する接続構造を持った給湯機器等に於いて、雄パイプ先端部に設けた屈曲部と複数個のリブ集合体間で上記パッキンを挟持させると共に、上記リブ集合体は上記リブの径方向立ち上がりリブがパイプに対し垂直となるよう垂直面を形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパッキン付き雄パイプを雌パイプ内に挿入接続し、パイプ内に内圧がかかっても機密的にその接続構造が保持出来る接続構造を提供する給湯機器等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、提案されているこの種給湯機器等の配管接続構造には次のようなものがある。
即ち、特許文献1(特開平11〜63680号)に示された継ぎ手構造は、雄パイプの径方向に間隔を置いて隆起部を2箇所形成し、この部分にリング状のパッキンを配設した例、及び上記隆起部だけであると内圧がかかった時、パッキンが隆起部を乗り越え抜け出してしまうので隆起部により位置決めされるバックアップリングや補助金具を設けた例が開示されている。
また、特開平11〜63680号には上記バックアップリング等を用いなくとも、パッキンが隆起部から抜け出ない幅広隆起部(図7参照)を開示したものである。
【0003】
このものは図7に示す雄パイプを、図8に示すようにして作るとしている。
即ち、直管状をした配管を準備し、この配管に予め接続金具を嵌め込んでおいてから、次に、端面から金型を圧入し、配管の一端を拡径する(図8(a)(b))
続いて、金型を引き抜いた後、回転するコマダイスを配管の拡径部分、未拡径部の外周にそれぞれ当接、押圧して、拡径部を幅広に残しスエージング成形する(図8(c))。
次に、割り金型と押さえ金型とを用いて屈曲部を形成する(図8(d))としたものである。
【0004】
この他に、本発明に関する特許文献としては次に挙げる特許文献2、3がある。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11〜63680号公報
【特許文献2】実開平2〜81357号公報
【特許文献3】実用新案登録第250600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記幅の狭い隆起部(バックアップリング等を使用するものも含む)であった場合、作業中或いは輸送中、該隆起部を変形させてしまう可能性があった。即ち、雌パイプに雄パイプを差し込んだ時、隆起部の軸方向の面積が少なすぎ、雄パイプがパッキンを局部的に変形させて、曲がった状態で雌パイプに挿入し給合してしまう例がそれである。
更に、雄パイプと別体のバックアップリングであると動く可能性があり、動いてしまうとパッキン(Oリングを含む)に位置ズレが生じ、十分なシールが出来なくなってしまうと言う課題もあった。
【0007】
また軸方向に面積(図7のF寸法部)のある隆起部(拡径部)であれば、上記偏った状態での結合は小さな偏りにすることが出来るがこの軸方向に面積のある隆起部(拡径部)は配管2を拡径した後、その拡径した所を次にスエージング成形するもので、段取り工程が多いことは勿論、配管(例えば銅パイプ、アルミニウムパイプ)の同じ所を伸ばしたり、圧縮したりし、何度も加工するので、上記パイプ母材の伸びが低下し、加工が難しくなる等の課題があった。
【0008】
また特許文献2(実開平2〜81357)に示されたOリング固定の為の2個のビードでは、特許文献1でも説明した如く、一つ山のビードである為、パイプ結合時或いは外力を受けた時雄パイプの振れ止めが難しい課題があった。
即ち、偏り防止はOリングを挟む2個の隆起部間寸法が、これを行なう訳であるが、
軸方向の、この寸法が小さ過ぎて偏り防止の役目を果たせないと言う課題があった。
更には、組み立て作業時、或いは輸送時に該ビード部に局部的な力が加わわると、軸方向のビード間寸法が小さい為に上記ビードに力が集中し、該ビードを変形させてしまう課題があった。
【0009】
また、特許文献3(実用新案登録第250600号)に示されたビードは、可撓性を持たせたもので接続個所に生じる上下左右の位置ズレを許容するもので、本発明で言う接合部内のビード構造とは構成及び目的を全く異にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決することを目的としてなされたものである。
即ち、パッキン付き雄パイプを雌パイプ内に挿入し、接続する接続構造を持った給湯機器等に於いて、雄パイプ先端部に設けた屈曲部と複数個のリブ集合体間で上記パッキンを挟持させると共に、上記リブ集合体はリブの径方向立ち上がりが雄パイプに対し垂直となり、且つパッキンを押さえるリブには垂直面を形成した給湯機器等である。
【0011】
また、パッキンを挟持させるリブ集合体と屈曲部とは径方向高さが略一致し、且つリブ集合体はリブ間及びリブ内が略密着され、屈曲部は二重に折り曲げられている給湯機器等である。
【0012】
また、リブ集合体は二つ以上のリブの集まりであり、このリブはクランプ型にセットされたパイプ端部をパンチ型で軸方向に圧縮して、しかも連続して形成されている給湯機器等である。
【0013】
また、リブ集合体を形成する2個以降のリブは、先に形成したリブとパンチ型との間に形成した給湯機器等である。
【0014】
また、リブ集合体は2個以上のリブの集まりであり、屈曲部は上記リブ集合体との間にパッキン取り付け部を形成するものであり、上記リブ集合体及び屈曲部は内径及び外径、更に立ち上がり寸法が拘束されたパイプの端部をパンチ型でクランプ型側に圧縮して連続的に構成した給湯機器等の製作方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上の如く構成したものであるから次の効果が得られるものである。
即ち、バックアップリングや補助リングなしでも接続部でパッキンが抜けると言う事故が生じないことは勿論、パッキンの片側を押さえるリブ集合体と屈曲部間の軸方向寸法が十分に取れ、パイプ接続時、雌パイプ内でパッキン部を支点として雄パイプが偏りする量を少なくすることが出来、且つ組立作業時或いは輸送時等に受ける衝撃でパイプ肉厚を薄肉としてもパイプ強度不足によりリブ集合体及び屈曲部が変形することがない配管接続構造を備えた給湯機器等及びその製作方法が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を備えた給湯機器の説明図である。
【図2】図1に使われる雄パイプと雌パイプの接続構造の詳細を示す図である。
【図3】図2に使われている雄パイプの接続時に生じる偏りを説明する図である。
【図4】図2とは異なる雄パイプ形状を示す本発明を示す図である。
【図5】図2、図4と異なる雄パイプ形状を示す本発明を示す図である。
【図6】図2中のリブの成形方法を工程順に説明する説明図である。
【図7】従来の給湯機器における配管接続構造を示す図である。
【図8】図7の配管接続構造における雄パイプの成形方法を工程順に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
以下本発明の形態を図に基づいて説明する。
尚、図1は本発明を備えた給湯機器の説明図であり、図2は図1に使われる雄パイプと雌パイプとの接続の詳細を示す図であり、図3は図2に使われている雄パイプの接続時に生じる偏りを説明する図であり、図4は図2とは異なる雄パイプ形状を示す図であり、図5は図2、図4とは異なる雄パイプの形状を示す図である。
【0018】
先ず図1に於いて、1は給湯機器本体、この給湯機器本体1は内部に熱交換器、循環ポンプ等を備え、仕切板(壁)3等を介して設置される風呂釜2と浴室内に設置される浴槽4、それに風呂釜2と浴槽4間を結ぶ往き管5と戻り管6等より構成されている。
而して、上記往き管5、戻り管6は配管雄パイプ8を有し浴槽4側から出ている配管雌パイプ7に接続される。9は水道側配管に設けられた蛇口を示す。
【0019】
浴槽にお湯を入れる時には、先ず蛇口9を操作し風呂釜2内に取り込み、ここで風呂釜2内の熱交換器で40〜45℃に加熱しこれを浴槽4に送水する。
また、追焚を行なう時には風呂釜2側に設けられた循環ポンプを動作させ、浴槽4内のお湯を風呂釜2側に戻し、そこで40〜45℃のお湯とし再び浴槽4側に戻すものである。
【0020】
次に図2に於いて、7は配管雌パイプ以下単に、雌パイプ7と言う。8は配管雄パイプ以下単に雄パイプと言う。
上記雌パイプ7と雄パイプ8はパイプ内に内圧がかかっても機密性を保持するよう接続されている。
この為に上記雄パイプ8と雌パイプ7間にはパッキン13(Oリングを含む)が介在する構造をとっている。
尚、上記雄パイプ8と雌パイプ7間に介在するシリコンゴム等で作られるパッキン13の圧縮代は例えば0.1〜0.3mm程度である。
【0021】
次に、雄パイプ8側に設けられるパッキン取付け部12及びこの前後に設けられ、パッキン13を位置決めする屈曲部10、リブ集合体11に付いて説明する。
先ず、屈曲部10であるが、この屈曲部10は雄パイプ8の先端部に設けられており、該雄パイプ8の径方向に2mm程度突出るよう立ち上げられ上記雄パイプ8を拡径して作られている。
またこの屈曲部10は二重折り曲げされ、雌パイプ7に当接する部分をR形状とするように二重折り曲げ部先端10aとしている。
【0022】
このことにより、単なる一片の立ち上げと異なり屈曲部10自体の剛性が増すと同時に、雌パイプ7の内径を屈曲部10のエッジで損傷することがないものである。
また、上記屈曲部10には垂直面10bが設けられている。この垂直面10bはパッキン13の雌パイプ7側への飛び出しを押える為のもので、パッキン13の半分以上を上記垂直部10bで押えることが出来るように構成されている。
【0023】
11はリブ集合体である。このリブ集合体11は先にも記述した如く、パッキン13を屈曲部10と共に押える役目を果たすもので、第1のリブ11a、第2のリブ11b、第3のリブ11c等で構成されている。
尚、この時リブ集合体11は第1のリブ11a、第2のリブ11bの2個であっても良い。又、このリブ集合体11も雄パイプ8の径方向に2mm程度突出るよう、上記雄パイプ8を拡径して作ったものである。
【0024】
これと同時に該リブ集合体11の1個1個のリブは内面が略密着し、リブ間も略密着している。
ただ、リブ内面、リブ間密着は当然0.1〜0.5mm程度の隙間は含んでいるものである。
又、上記第3のリブ11cにはパッキン13の飛び出しを押える垂直面11dが設けられている。
この垂直面11dはリブ高さを2mmとした時、1.6mm以上確保しておくものである。
【0025】
上記屈曲部10、パッキン取り付け部12、リブ集合体11を持った雄パイプ8にパッキン13を組み込んだ後、雌パイプ7の拡径部7aに雄パイプ8を挿入し接続した状態が図2である。
項番14はこの時拡径部7aの内面と屈曲部10、リブ集合体11先端との間に出来る隙間を示している。
通常、この隙間14は0.1〜0.5mmの範囲に管理されるが、構造上、この隙間14を0.1以下にすることは難しい。この為雌パイプ7と雄パイプ8を接続した時、当然、上記0.1〜0.5mmの間でその接続関係は偏る可能性がある。
【0026】
図3に於いて、上記偏る接続関係を出来るだけ小さく押さえる為に本発明が取った対応に付いて説明する。
図に於いて、7は雌パイプであり、8は雄パイプ、10は屈曲部であり、10aは二重折り曲げ部先端、11はリブ集合体であり、13はパッキンであり、14はパイプ接続時の隙間を示す。11eは第1のリブ11aの頂部を示す。そして、W1寸法はこの頂部11eと屈曲部の折り曲げ部先端10aとの間の距離を示す。
【0027】
雌パイプ7の拡径部7aに雄パイプ8を接続する時、パッキン13を片側で例えば0.1〜0.5mm圧縮して接続するものであるが、上記パッキン13は弾力性を有するものであるから当然隙間14の0.1〜0.5mmはこの範囲で偏る可能性がある。この偏りを少なくするのが上記W1寸法である。
即ち、リブ集合体の頂部11eと屈曲部の折り曲げ部先端10aがW1寸法全体で拡径部7aの内面に当たることにより、この偏りを少なくするものである。
【0028】
換言すると、従来提案されていた二つの隆起部間でパッキン(Oリングを含む)を取り付けるようにしたものは、この寸法W1が短く、隙間14内の動きを拘束出来ず、偏りを許容していたものである。
また、複数工程を経て、大きなリブ1個を軸方向に面積のある隆起部により作るようにしたものは、このW1寸法を大きくとることが出来るので偏りは小さく押えることが出来るが、製作工程が課題の欄でも説明した如く複雑すぎて、割高となることは勿論パイプの肉厚を薄くした時、加工硬化等でパイプを損傷する可能性が高いものである。
【0029】
本発明は以上説明した如く、W1寸法を長くとるのに、リブ集合体11と屈曲部10とでこれを確保するようにしたものでパイプ肉厚を薄くした時でもパイプ損傷をなくすことが出来る他、雄パイプ7の拡径部7a内面に屈曲部の折り曲げ部先端10aを当てるようにして、当り傷が付くのを防止したものである。
即ち、拡径部7aの内面に傷を付ける点に付いては当接する屈曲部10の先端が二重折り曲げ構造となりR形状をしている為損傷を防止出来るものである。
また、リブ集合体11も二重折り曲げのリブ形状とすること、及び第1〜第3リブを密着させていることにより複数個のリブが一体化し、剛性アップを図り作業時、或いは外力が加わった時接続部でリブ集合体11等が変形し、接続状態が偏るのを防止するようにしたものである。
【実施例2】
【0030】
次に図4に付いて説明する。
尚、図中7は配管雌パイプであり、8は雄パイプであり、10は屈曲部であり、11はリブ集合体であり、11dは垂直面、12はパッキン取り付け部を示す。また、図4は図2とは異なる雄パイプ形状を示すものである。
即ち、図2では、リブ間は勿論リブ内も密着しW1寸法を確保しているものであるが、図4に示すリブ集合体11はリブとリブの間にわずかな隙間(b)をまたリブ内にわずかな隙間(a)を有しているものであるから、リブ集合体11とした時のW2寸法はW1寸法より大きくなっている。この為、図2で説明したパイプ接合時の曲がりに付いては良くなる方向になる。勿論この時、リブとリブの間の隙間は例えば0.1〜0.5mm程度で先に説明したリブ集合体11としての剛性等は確保出来る範囲の隙間である。
【実施例3】
【0031】
次に図5に付いて説明する。
尚、図中7は配管雌パイプであり、8は雄パイプであり、10は屈曲部であり、11はリブ集合体であり、11dは垂直面、12はパッキン取り付け部を示す。また、図5は図2、図4とは異なる雄パイプ形状を示す説明図である。
本図に於けるリブ集合体11はリブの高さを違えておくもので、例えばパッキン13と接するリブ(第3のリブ11c)の高さを高く形成し、垂直面11dを大きく形成するようにしたものである。
【0032】
即ち、図4に於いては、垂直面11dをパッキン13の厚みの1/2以上を確保するようにしているが、本図に示すものは、それ以上を確保し、パッキン13のリブ集合体11側へのはみ出し防止をなくしたものである。この時のリブの高さ違いは0.5mm以内としている。
尚、この時にあっても図3で説明したW1寸法確保の為に屈曲部10の先端10aと第1のリブ11aの頂部11eの高さ寸法は合せておくものである。
【実施例4】
【0033】
次に図6に付いて説明する。図6は図2中のリブ集合体11の成形方法を工程順(a)〜(e)で説明する説明図である。尚、図6中(a)はクランプ型15に保持されたパイプ端部をパンチ型16のピストン18をもって軸方向に圧縮し完成前の山形のリブを形成した所を示す図であり、(b)はピストンを移動させ上記山形のリブを第1のリブ11aとして完成させた図であり、(c)はピストンの繰り返し移動により第1のリブに密着して完成した第2のリブ11bを作った所を示す図であり、(d)はピストンの繰り返し移動により第2のリブに密着して完成した第3のリブ11cを作った所を示す図であり、(e)はパンチ型16とクランプ型15との間に割り型21を入れた後、ピストンの移動によりパッキン取り付け部及び屈曲部を連続して成形した所を示す図である。
【0034】
図に於いて、16はパンチ型である。このパンチ型16はホルダー17と、ピストン18とから成り、ホルダー17はクランプ型15に当接するようセットされる。
この時、成形前パイプ8b先端の外周部とホルダー部17間にはリブ集合体が出来る隙間19が確保されている。
また、20は芯金で成形前のパイプ8b内に挿入されている。
そして、ピストン18は成形前パイプ先端をクランプ型15側に押し込むように移動する(矢印P方向)。尚、この時の各工程に於ける押し込み量は、リブ形成に必要な体積に相当するパイプ8bの長さである。
勿論、この時にはピストン部18で成形前パイプ外周を押さえ込んでおく。
【0035】
ピストン18の移動により押し部18aはクランプ型15側に前進する。この時押し部18aにより押し込まれた成形前パイプ8b(雄パイプ8相当)は肉余りが生じ隙間19に図6の(a)の如く山形リブ状の立ち上がりを作る。成形部18bの更なる押し込みにより垂直な完成されたリブが成形される。これがリブ集合体11の第1のリブ11aとなる。
この状態が(b)の状態である。この成形された第1のリブ11aはリブ内隙間がなく、リブ高さはホルダー部17により約2.0mmに成形されるものである。
【0036】
この後、第2,第3のパンチを繰り返し、図(c)(d)の如く、第2、第3のリブ11b、11cを形成し、リブ集合体11とするものである。この時、第3リブ11cには特に垂直面11dを形成する。
その後、ホルダー17とクランプ型15との間に割り型21を介在させピストン18の成形部18bでパイプ8bの端部に第4のパンチを行ない屈曲部10及びパッキン取り付け部12を連続して形成するものである。これが図6の(e)である。
この図6の(e)で作られる屈曲部10の高さも、ホルダー17により、リブ集合体11の高さに合わせ成形される。
【0037】
以上の如く、本発明に用いる雄パイプ8は成形前パイプ8bにリブ集合体11、屈曲部10、更にはパッキン取り付け部12を連続して成形し、これにパッキン13を取り付けた後、雌パイプ7内に雄パイプ8を挿入し接続するものである。
【0038】
上記雄パイプ8のリブ集合体11は、パイプ内径を拘束する芯金20と、リブ外径を規定するホルダー17と、パイプ端部を押してリブを形成する押し部18aと垂直面11dを形成する成形部18の両方を持ったピストン18と、パイプを保持すると共にその側壁でリブ垂直面を成形するクランプ型15等から成る金型により形成される。
また、屈曲部10及びパッキン取り付け部12は上記リブ集合体11を作る金型の他、ホルダー17とクランプ型15との間に割り型21を図6の(e)の如く途中で介在させ成形するものである。
【0039】
上記説明に於いては、雌パイプ7、雄パイプ8の接続後の両パイプの固定構造は省略したが、これは従来例と同様、接続金具、例えば特許文献1の図1で示された接続金具を使用するものである。
【0040】
本発明は以上説明した如く構成したものであるから、次の効果が得られるものである。
即ち、パッキン付き雄パイプを雌パイプ内に挿入し、接続する接続構造を持ったようにした給湯機器等に於いて、雄パイプ先端部に設けた屈曲部と複数個のリブ集合体間で上記パッキンを挟持させると共に、リブ集合体はリブの径方向立ち上がりが雄パイプに対し垂直となり、且つパッキンを押えるリブには垂直面を形成したものである。
このことにより、接続部でパッキンが抜けると言う事故が生じないことは勿論、パッキンの片側を押さえるリブ集合体と屈曲部間の軸方向寸法が十分に取れパイプ接続時、雌パイプ内でパッキン部を支点として雄パイプが偏りする量を少なくすることが出来、且つパイプ肉厚を薄肉としても、組立作業時或いは輸送時等に受ける衝撃でパイプ強度不足によりリブ集合体及び屈曲部が変形することがない配管接続構造を備えた給湯機器等が得られるものである。
【0041】
また、パッキンを挟持させるリブ集合体と屈曲部とは径方向高さが略一致し、且つリブ集合体はリブ間及びリブ内が略密着され、屈曲部は二重に折り曲げられている給湯機器等である。
このことにより、雄パイプ挿入時、屈曲部で雌パイプ内径に傷等を付けることがないのでパッキンのシール性を落とすことがないことは勿論、外部衝撃で雄パイプに偏りが生じた時でも、該リブ集合体と屈曲部が大きく変形し偏りを拡大することがないものである。
【0042】
また、リブ集合体は二つ以上のリブの集まりであり、このリブはクランプ型にセットされたパイプ端部をパンチ型で軸方向に圧縮して、しかも連続して形成した給湯機器等である。
このことにより、リブの軸方向W1寸法が十分に取れ、パイプ接続時或いは外部衝撃があった時、雌パイプ内でパッキン部を支点として雄パイプが偏りする量を少なくすることが出来、信頼性の高いパイプ接続構造が得られるものである。
【0043】
また、リブ集合体を形成する2個以降のリブは、先に形成したリブとパンチ型との間に形成した給湯機器等である。
このことにより、第2、第3のリブを作るのに段取り換えをする必要がなく、連続して複数個のリブ集合体を容易に作ることが出来るものである。
【0044】
また、リブ集合体は2個以上のリブの集まりであり、屈曲部は上記リブ集合体との間にパッキン取り付け部を形成するものであり、上記リブ集合体及び屈曲部は内径及び外径、更に立ち上がり寸法が拘束されたパイプの端部をパンチ型でクランプ型側に圧縮して連続的に構成した給湯機器等の製作方法である。
このことにより、第2、第3のリブを作るのに段取り換えをする必要がなく、連続して複数個のリブ集合体を容易に作ることが出来る他、屈曲部及びパッキン取り付け部を段取り換えなしで連続して形成することが出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は内圧がかかっている給湯機器等の水配管の接続構造に有益であり、この他家庭或いは工場内で用いる水配管、空気配管及び冷媒配管の接続に有益な発明である。更に、接続構造に於いて、屈曲部と集合体の位置を逆にして集合体のリブを先端にしてもこの種の機器等に採用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 給湯機器本体
2 風呂釜
3 仕切板
4 浴槽
5 往き管
6 戻り管
7 雌パイプ 7a 拡径部
8 雄パイプ 8b 成形前パイプ
9 蛇口
10 屈曲部 10a 二重折り曲げ部先端 10b 垂直面
11 リブ集合体 11a 第1のリブ 11b 第2のリブ
11c 第3のリブ 11d 垂直面 11e 第1のリブの頂部
12 パッキン取り付け部
13 パッキン
14 隙間
15 クランプ型
16 パンチ型
17 ホルダー
18 ピストン 18a 押し部 18b 成形部
19 リブ集合体が出来る隙間
20 芯金
21 割り型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッキン付き雄パイプを雌パイプ内に挿入し、接続する接続構造を持った給湯機器等に於いて、雄パイプ先端部に設けた屈曲部と複数個のリブ集合体間で上記パッキンを挟持させると共に、上記リブ集合体はリブの径方向立ち上がりが雄パイプに対し垂直となり、且つパッキンを押えるリブには垂直面を形成したことを特徴とする給湯機器等。
【請求項2】
パッキンを挟持させるリブ集合体と屈曲部とは径方向高さが略一致し、且つリブ集合体はリブ間及びリブ内が略密着され、屈曲部は二重に折り曲げられていることを特徴とする請求項1記載の給湯機器等。
【請求項3】
リブ集合体は二つ以上のリブの集まりであり、このリブはクランプ型にセットされたパイプ端部をパンチ型で軸方向に圧縮して、しかも連続して形成されていることを特徴とする請求項1記載の給湯機器等。
【請求項4】
リブ集合体を形成する2個以降のリブは、先に形成したリブとパンチ型との間に形成したことを特徴とする請求項1記載の給湯機器等。
【請求項5】
リブ集合体は2個以上のリブの集まりであり、屈曲部は上記リブ集合体との間にパッキン取り付け部を形成するものであり、上記リブ集合体及び屈曲部は内径及び外径、更に立ち上がり寸法が拘束されたパイプの端部をパンチ型でクランプ型側に圧縮して連続的に構成したものであることを特徴とする請求項1記載の給湯機器等の製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−242080(P2012−242080A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126707(P2011−126707)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(596083364)日冷工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】