説明

給湯機

【課題】
従来の給湯機能、追焚き機能、暖房機能および湯張り機能を有している給湯機においては、追焚き循環回路に給湯用の熱交換器で加熱された湯を湯張り路から流す場合に、湯張り路から流入した温水が追焚き循環路の一部である追焚き用の熱交換器に流れ込み、加熱された高温の湯が浴槽側に出るという問題があった。
【解決手段】
給湯機1には、給湯用熱交換器20で加熱した温水を追焚き循環回路46に流入させる湯張り路32があり、湯張り路32は追焚き循環回路46に連通する前で分岐しており、分岐した第一の湯張り路33が追焚き用熱交換器40と循環ポンプ50との間に連通し、分岐した第二の湯張り路34は追焚き用熱交換器40の上流側に連通し、追焚き用熱交換器40の上流側に連通する第二の湯張り路34には湯張りの流れの向きとは逆の向きには流さない逆流防止手段35が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯用熱交換器の受熱部と追焚き用熱交換器の受熱部を直列的に同時に加熱する液体燃料または気体燃料の燃焼機を備える給湯機で、追焚き用熱交換器による追焚き機能のための追焚き循環回路を有し、給湯用熱交換器で加熱した温水を追焚き循環回路に連通する湯張り路を通じ供給する機能を有した給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体燃料または気体燃料の燃焼機を備え、浴槽内に張ったお湯が冷めた場合に追焚きする機能を有した給湯機には、追焚き機能を構成する追焚き循環回路を通じて、給湯側のお湯を直接浴槽に入れる、所謂湯張り機能を有する給湯機があった。
【0003】
給湯機の給湯用の熱交換器を通過する湯水は台所や洗面所等で利用されるので、給湯用の熱交換器に水道水以外の湯水が混入することは衛生上好ましくなく、浴槽内の湯水が通過する追焚き用の熱交換器と給湯用の熱交換器とは分離されている必要があった。
【0004】
給湯用の熱交換器と追焚き用の熱交換器を分離し、これを燃焼機により加熱する場合に、大きく分けると以下の方式があった。給湯用の熱交換器と追焚き用熱交換器の夫々を別々の燃焼機で加熱するもの(特許文献1)と、給湯用の熱交換器と追焚き用熱交換器を一つの燃焼機で同時に加熱するものである。そして、一つの燃焼機で加熱するものには、給湯用の熱交換器の内部に、間接的に加熱される熱交換器を設け、これを追焚き用の熱交換器として利用するもの(特許文献2)と、給湯用の熱交換器の受熱部と追焚き用の熱交換器の受熱部を直列的に同時に一つの燃焼機で加熱するもの(特許文献3)があった。
【0005】
給湯用の熱交換器と追焚き用熱交換器の夫々を別々の燃焼機で加熱する場合にあっては、部品点数の増加により、給湯機の容積的な面や費用的な面が増大するという問題があることや、一般的に給湯に比較して追焚きの使用量は少ないので、給湯機能をメインとして追焚き機能は補助的な使用で良いとの考え方があった。そこで、一つの燃焼機で給湯用の熱交換器と追焚き用熱交換器を同時に加熱する方式が様々考えられてきた。
【0006】
給湯用の熱交換器の内部に、間接的に加熱される追焚き用の熱交換器を設け、一つの燃焼機で加熱する場合には、追焚き用の熱交換器の加熱は間接的なので、追焚き用の熱交換器内部を通過する湯水の水温よりも、給湯用の熱交換器の内部の水温の方をかなり高い温度にする必要があり、追焚き用の熱交換器での熱交換が開始するまでの応答性や、間接加熱での追焚き時の熱効率が悪いという問題があった。
【0007】
そして、給湯用の熱交換器の受熱部と追焚き用の熱交換器の受熱部を直列的に同時に一つの燃焼機で加熱するものについては、追焚き時の応答性や熱効率に優れたものを提供できるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−293925号公報
【特許文献2】特開平7−225056号公報
【特許文献3】特開2001−280689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、給湯用の熱交換器の受熱部と追焚き用の熱交換器の受熱部とを直列的に同時に一つの燃焼機で加熱するものについては、給湯と追焚きを同時に使用する場合は問題ないが、給湯または追焚きの一方だけを使用する場合には使用されない側の過熱を防止する手段が必要となっていた。
【0010】
そして、追焚き循環回路に給湯用の熱交換器で加熱された湯を湯張り路から流す場合にあっては、追焚き循環回路の循環不良を防ぐためには循環ポンプに呼び水が簡単に出来る構成が必要であり、循環ポンプと追焚き用の熱交換器との間に湯張り路を設け湯張り時には循環ポンプに常時呼び水が出来る構成としており、この循環ポンプと追焚き用の熱交換器との間に設けた湯張り路から流入した温水が追焚き循環路の一部である追焚き用の熱交換器に戻って更に加熱され、過熱された高温の湯が湯張り路を接続してない側から浴槽に向かって流れるという問題があり、仮に入浴者があった場合には安全上好ましくない結果になる可能性があった。
【0011】
さらには、給湯用の熱交換器を暖房用に利用する場合には、温水暖房器に高温の温水を循環させる必要があり、暖房使用時の給湯用の熱交換器の温度を常時高温とするため、追焚き用の熱交換器でも高温となるので、この状態で湯張りを行うと一層追焚き用の熱交換器で過熱されるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段が講じられている。
【0013】
第1発明の給湯機は、暖房用熱交換器と内部循環ポンプを組み合わせることで、暖房用の熱源としても用いられる給湯用熱交換器と、追焚き用熱交換器と、前記給湯用熱交換器の受熱部と前記追焚き用熱交換器の受熱部を直列的に同時に加熱する燃焼機と、浴槽と、循環ポンプと、前記循環ポンプを循環手段として前記浴槽と前記追焚き熱交換器により形成される追焚き循環回路と、前記給湯用熱交換器で加熱した温水を前記追焚き循環回路に流入させる湯張り路と、前記湯張り路は前記追焚き循環回路に連通する前で分岐しており、分岐した一方の湯張り路が前記追焚き用熱交換器と前記循環ポンプとの間に連通し、分岐した他方の湯張り路は前記循環ポンプが前記追焚き用熱交換器の下流側に設けられている場合は前記追焚き用熱交換器の上流側に連通し、前記循環ポンプが前記追焚き用熱交換器の上流側に設けられている場合は前記追焚き用熱交換器の下流側に連通しており、前記追焚き用熱交換器の上流側に連通する湯張り路には湯張りの流れの向きとは逆の向きには流さない逆流防止手段が設けられている。
第2発明の給湯機は、請求項1記載の発明において、前記給湯用熱交換器で行われる加熱は、外部熱源を必要とする加熱手段で加熱された温水を蓄熱する貯湯タンクに対する補助熱源として用いられる。
【発明の効果】
【0014】
以上のような、技術的手段が講じられていることにより、以下の効果を有する。
第1発明によれば、湯張り路は前記追焚き循環回路に連通する前で分岐しており、分岐した一方の湯張り路が追焚き用熱交換器と循環ポンプとの間に連通し、分岐した他方の湯張り路は前記循環ポンプが前記追焚き用熱交換器の下流側に設けられている場合は前記追焚き用熱交換器の上流側に連通し、前記循環ポンプが前記追焚き用熱交換器の上流側に設けられている場合は前記追焚き用熱交換器の下流側に連通しており、前記追焚き用熱交換器の上流側に連通する湯張り路には湯張りの流れの向きとは逆の向きには流さない逆流防止手段が設けられていることで、循環ポンプへの呼び水も可能で単位時間当たりの湯張り量も少なくなることはない状態であると同時に、追焚き用熱交換器内で過熱されることを防止できる。また、追焚き用熱交換器の上流側に連通する湯張り路には、湯張りの流れの向きとは逆の向きには流さない逆流防止手段が設けられていることで、循環ポンプが駆動する追焚き時に、追焚き用熱交換器を通過しない流路(バイパス流路)が形成されることはなく、追焚き時に追焚き時間が長くなる効率の悪い追焚きが行われることもない。特に給湯用熱交換器が暖房用の熱源として用いられる場合には、内部循環ポンプで給湯用熱交換器と暖房用熱交換器を循環する水温を高くする必要があり、それに伴って追焚き用熱交換器の温度が高くなっている時でも、湯張り時に追焚き用熱交換器の両側に湯張りされるので、その圧力によって追焚き用熱交換器内の水の流れがなくなる。その結果、湯張りされてない側から加熱された高温の湯が浴槽側に出ることはなく、仮に入浴者があった場合でも安全に入浴できる効果を有する。
第2発明によれば、第1発明を利用し、給湯用熱交換器で行われる加熱は、外部熱源を必要とする加熱手段で加熱された温水を蓄熱する貯湯タンクに対する補助熱源として用いられる場合には、給湯用熱交換器には高温水が供給されることとなる。高温水が供給されることで、より追焚き用熱交換器で高温の湯が浴槽に流れ込み易くなる条件の場合であっても、湯張り時に追焚き用熱交換器の両側に湯張りされるので、その圧力によって追焚き用熱交換器内の水の流れがなくなる。その結果、湯張りされてない側から加熱された高温の湯が浴槽側に出ることはなく、仮に入浴者があった場合でも安全に入浴できる効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る給湯機の概略説明図である。
【図2】本発明に係る別の実施例の給湯機の概略説明図である
【図3】本発明に係る給湯機を補助熱源として使用する場合の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態について図1乃至図3に基づき具体的に説明する。
【実施例1】
【0017】
(概略の構成)
図1における本発明の給湯機1は内部に制御基板10、給湯用熱交換器20、燃焼機23、内部循環ポンプ30、追焚き用熱交換器40、暖房用熱交換器60、循環ポンプ50等を有している。給湯用熱交換器20と追焚き用熱交換器40は外見上一体となっており熱交換器部を形成し、燃焼機23と組み合わされた状態で温水供給部15を形成している。制御基板10は、内部にCPUを有しており予めプログラムされた内容により給湯機1の内部に有する温度センサーや流量検知器等の検知機器の検知信号に対応して燃焼機23、内部循環ポンプ30や循環ポンプ50等の電源供給が必要な装置の駆動を制御している。給湯機1の外部には温水水栓4、床温水暖房装置や温水式エアーコンディショナー等の温水暖房装置5、浴槽6が給湯機1の外装に設けられた外部配管接続口に各種の外部配管を介して接続されている。
【0018】
また、給湯機1の外部には遠隔操作装置(リモコン)11が設けられている。遠隔操作装置11は給湯機1の制御基板10との間を有線または無線等により電気や光等の信号での通信を行うことで、使用者が給湯機1の各種機能の設定が可能なスイッチと、その設定状況や給湯機1の運転状況を確認できる表示部を有する。
【0019】
給湯機1は、前記各構成部品の組み合わせにより、温水水栓4等に温水を供給する給湯機能を発揮する給湯機構、浴槽6との間で追焚き用熱交換器40で加熱される温水を循環させて浴槽6内の湯水の風呂追焚きする追焚き機能を発揮する追焚き機構、浴槽6に直接温水を供給する湯張り機能を発揮する湯張り機構、温水暖房装置5との間において熱媒体を循環させて温水暖房装置5の熱源とすることができる暖房機能を発揮する暖房機構を有している。
【0020】
(温水供給部)
給湯機1の前記各種機構の中心的な役割を有する温水供給部15について説明する。温水供給部15の熱交換器部は、給湯用熱交換器20の受熱部と追焚き用熱交換器40の受熱部が燃焼機23で直列的に同時に加熱される所謂一缶二水路の熱交換器となっている。給湯用熱交換器20と追焚き用熱交換器40は熱伝導性の良い銅やステンレス鋼等の金属のパイプの周囲に、銅やステンレス鋼等の金属のフィンを設けて熱交換率を向上させたものとなっている。なお、熱交換器部の排気側にさらに潜熱回収用の熱交換器を設けて給湯時や追焚き時の熱効率を上げる実施方法も可能である。
【0021】
給湯用熱交換器20には通水される湯水の入口となる給湯熱交給水管21と、出口となる給湯熱交給湯管22が接続されている。また、給湯熱交給水管21には、上流側から給湯流量検知器24と給水温度センサー25が、給湯熱交給湯管22には給湯用熱交換器20の通過加熱後の水温を検知する給湯温度センサー27が設けられている。また、給湯用熱交換器20の外部金属部表面には給湯用熱交換器20と追焚き用熱交換器40の過熱を検知する缶体温度センサー26が設けられている。追焚き用熱交換器40には、追焚き循環往き管41と追焚き循環戻り管42が接続されている。
【0022】
燃焼機23は、天然ガス(LNG)やプロパンガス(LPG)等の気体燃料や、灯油や重油等の液体燃料を給気側送風機により比較的狭い燃焼室内において高発熱量を発生させることができ、かつ発熱量が所定の範囲で無段階に調節できる燃料制御手段を有している。そして、燃焼機23が燃焼することによって発生する燃焼熱を給湯用熱交換器20の流路と追焚き用熱交換器40の流路に通水された湯水が熱交換されて加熱される。なお、給湯用熱交換器20及び追焚き用熱交換器40の熱交換器部と燃焼機23とは温水供給部15として給湯機1の内部の一画に纏められている。
【0023】
(給湯機構)
給湯機構を説明すると、温水供給部15の給湯熱交給水管21は外部配管を経由して水道に接続されており、給湯熱交給湯管22は外部配管を経由して温水水栓4に接続されている。また、給湯熱交給湯管22の途中において内部循環往き管28が分岐しており、内部循環往き管28は暖房用熱交換器60と内部循環戻り管29を経由して給湯熱交給水管21に連接している。そして、内部循環往き管28の途中には内部循環ポンプ30が設けられていることで、給湯用熱交換器20、給湯熱交給湯管22、内部循環往き管28、暖房用熱交換器60、内部循環戻り管29、給湯熱交給水管21そして給湯用熱交換器20に再び戻る内部循環回路が形成されている。また、給湯熱交給水管21の途中で給水分岐管38が分岐して給湯熱交給湯管22の途中の温水混合機構39に連通しており、温水混合機構39で温水と水を混合させることができ、制御基板10の制御により給湯温度を調節できる機構も備えている。
【0024】
(追焚き機構)
追焚き機構を説明すると、追焚き循環往き管41と追焚き循環戻り管42は外部の配管を経由して浴槽6に設けられた循環接続金具7に連接されている。また、追焚き循環戻り管42の途中には、追焚き温度センサー44と追焚き水流スイッチ45が設けられており、追焚き循環往き管41の途中には循環ポンプ50が設けられている。これにより、循環ポンプ50を循環手段として、追焚き用熱交換器40、追焚き循環往き管41、循環接続金具7、浴槽6、循環接続金具7、追焚き循環戻り管42から、再び追焚き用熱交換器40に戻る追焚き循環回路46が形成されている。
【0025】
(湯張り機構)
湯張り機構を説明すると、温水供給部15の給湯熱交給湯管22の途中において、湯張り路32が分岐しており、湯張り路32も途中で第一の湯張り路33と第二の湯張り路34の二つに分岐している。第一の湯張り路33は、追焚き循環往き管41の追焚き用熱交換器40と循環ポンプ50の間に連接しており、第二の湯張り路34は、追焚き循環戻り管42の循環接続金具7と追焚き温度センサー44の間に連接している。湯張り路32の途中には、湯張り弁31、湯張り流量検知器36および二連逆流防止手段37が設けられている。第二の湯張り路34の途中には逆流防止手段35が設けられている。なお、本実施例において逆流防止手段35には逆止弁を用いている。湯張り機構の上流側には給湯熱交給湯管22に設けられた湯水混合機構39があり、湯水の混合による温水温度の制御も可能となっている。
【0026】
追焚き循環回路には、追焚き循環往き管41と追焚き循環戻り管42に第一の湯張り路33と第二の湯張り路34が連接されていることで追焚き循環回路中の追焚き用熱交換器40をバイパスする回路も形成されることになるが、第二の湯張り路34の途中に湯張りの流れの向きとは逆の向きには流さない逆流防止手段35が設けられていることにより、第二の湯張り路34に循環ポンプ50の駆動により生じる湯張りの流れの向きとは逆向きの流れが生じても逆流防止手段35により遮断されており、基本的には追焚き用熱交換器40をバイパスする回路とはならない。
【0027】
なお、図1においては、逆流防止手段35と並列にバイパス管47を設ける構成としている。これは、湯張り運転が終了し、追焚き運転を開始する場合に、追焚き用熱交換器40が加熱された状態となっており、追焚き用熱交換器40の加熱された高温水がそのまま循環接続金具7から浴槽6に入れば、万一浴槽6内に入浴者がいた場合には安全上好ましくない場合もあり、バイパス管47を設けることで、追焚き用熱交換器40で加熱された高温水に浴槽6内の湯水を少量混ぜることで、入浴者の安全を図るようにしている。また、バイパス管47の径は第二の湯張り路34の径より細く、流路抵抗を持たせた回路となっている。
【0028】
(暖房機構)
暖房機構は暖房用熱交換器60を介して温水供給部15の給湯用熱交換器20で加熱される温水を熱源として温水暖房装置5に供給している。給湯用熱交換器20で作られた湯は温水水栓4で衛生的に使用される必要があるので、暖房用熱交換器60を介して温水暖房装置5を加熱するようにしている。暖房用温水と混ざらないよう暖房用熱交換器60には二つの循環回路が接続され、二つの循環回路の間で熱交換するようになっている。一方の循環回路は内部循環ポンプ30を駆動源として、給湯用熱交換器20、給湯熱交給湯管22、内部循環往き管28、暖房用熱交換器60、内部循環戻り管29、給湯熱交給水管21そして給湯用熱交換器20に再び戻る内部循環回路であり、内部循環回路により加熱される側のもう一方の循環回路が、暖房循環ポンプ64を駆動源として、暖房用熱交換器60、暖房循環往き管61、温水暖房装置5、暖房循環戻り管62そして、再び暖房用熱交換器60に戻る暖房循環回路である。暖房循環回路の循環流体は単に水でも良いが、好ましくは設置場所や構成部材の選択の巾が広がるプロピレングリコール等の不凍液に防錆剤を添加した液を用いる。
【0029】
なお、図中において、暖房循環ポンプ64は暖房循環戻り管62の途中に設けているが、暖房循環往き管61の側に設けてもよい。また、暖房循環往き管61と暖房循環戻り管62の給湯機1の外部に設けられる部分は外部配管により構成される。説明を簡略にするために図示を省略しているが暖房循環回路の途中には、循環流体の膨張、つまりは圧力上昇を吸収する為の膨張タンクと循環流体の補給のための補給用管を設けている。
【0030】
燃焼機23の送風機や燃料制御手段による燃焼の開始、燃焼量の調節及び燃焼の停止や、内部循環ポンプ30、湯張り弁31、湯水混合機構39、循環ポンプ50、暖房循環ポンプ64等の駆動は、制御基板10により制御されている。給湯流量検知器24や湯張り流量検知器36は通過する流量を検知し、追焚き水流スイッチ45は循環したことを検知し、給水温度センサー25、缶体温度センサー26、給湯温度センサー27および追焚き温度センサー44は通過する液体等の温度を検知することができる。前記検知された流量や温度等は、パルスや電圧値等の信号として制御基板10に入力されることで制御基板10において対応する流量や温度等として判断される。
【0031】
以上のように構成された給湯機1について動作を説明する。
【0032】
(給湯運転)
給湯運転は外部の温水水栓4が開かれることで開始する。給湯熱交給水管21が外部の水道管に接続されていることで、給湯用熱交換器20、給湯熱交換器給湯管22にも水道圧が加わっていることによる。温水水栓4が開かれたことは、給湯流量検知器24により検知され、制御基板10は内部循環ポンプ30を駆動させると共に遠隔操作装置11で設定された温度になるように給水温度センサー25と給湯温度センサー27の温度情報を元に燃焼機23を制御する。温水水栓4が閉じられると、給湯流量検知器24が、温水水栓4が閉じられたことを検知し、制御基板10は、燃焼機23の燃焼を停止させると共に、燃焼の停止から所定時間遅らせて内部循環ポンプ30を停止させる。なお、温水水栓4が閉じられた場合に、内部循環ポンプ30は駆動している為、給湯流量検知器24で検知される流量変化は微少となり給湯流量検知器24の精度を上げる必要があるので、給湯熱交給水管21の内部循環戻り管29と連接する箇所より上流側に、水流スイッチや水量センサーを設けて、これにより温水水栓4が閉じられたことを検知させても良い。
【0033】
(追焚き運転)
風呂追焚き運転の動作について説明する。使用者が遠隔操作装置11で風呂追焚きするよう入力した場合には、制御基板10は循環ポンプ50を駆動させる。循環ポンプ50を駆動させた場合に、追焚き水流スイッチ45が所定時間連続してON状態となっている場合には、制御基板10は燃焼機23の燃焼を開始させ、追焚き温度センサー44の温度情報の元、遠隔操作装置11で設定された追焚き温度まで燃焼を継続させる。追焚き水流スイッチ45が所定時間連続してON状態とならない場合は、浴槽6に湯水が入ってないと判断し燃焼を開始せず、遠隔操作装置11に警報の表示を行って追焚き運転を中止する。
【0034】
(湯張り運転)
湯張り運転の動作について説明する。使用者が遠隔操作装置11で湯張り運転をするよう入力した場合には、制御基板10は湯張り弁31を開くように制御する。湯張り弁31が開くことで水道圧により湯張り弁31を通過して湯張り路32に水が流れる。水が流れたことは給湯流量検知器24により検知され、制御基板10は内部循環ポンプ30を駆動させると共に遠隔操作装置11で設定されたお湯張り温度になるように給水温度センサー25と給湯温度センサー27の温度情報を元に燃焼機23を制御する。遠隔操作装置11で設定されている湯張り量になったと湯張り流量検知器36が検知すると制御基板10は湯張り弁31を閉じさせ、給湯流量検知器24が湯張り弁31を閉じたことを確認して、燃焼機23の燃焼を停止させると共に、燃焼の停止から所定時間遅らせて内部循環ポンプ30を停止させる。なお、湯張り弁31が閉じられた場合に、内部循環ポンプ30は駆動している為、給湯流量検知器24で検知される流量変化は微少となり給湯流量検知器24の精度を上げる必要があるので、湯張り弁31を閉じる制御を行ったことで湯張り弁31が閉じられたとみなす制御や、給湯熱交給水管21の内部循環戻り管29と連接する箇所より上流側に、水流スイッチや水量センサーを設けて、これにより湯張り弁31が閉じられたことを検知させても良い。
【0035】
なお、湯張り路32に流れる湯は、第一の湯張り路33から追焚き循環往き管41を通過して浴槽6に流れるものと、第二の湯張り路34から追焚き循環戻り管42を通過して浴槽6に流れるものの二手に分かれる。これにより、給湯用熱交換器20と同時に加熱されている追焚き用熱交換器40の両側に湯張り運転時の湯が流れ込むことになり、その圧力によって追焚き用熱交換器40内の水の流れがなくなる。その結果、追焚き用熱交換器40で加熱された高温の湯が浴槽6側に出ることはなく、仮に入浴者があった場合でも安全に入浴できる。
【0036】
(暖房運転)
暖房運転の動作について説明する。使用者が遠隔操作装置11で暖房するよう入力した場合には、制御基板10は暖房循環ポンプ64と内部循環ポンプ30に出力して駆動させる。所定時間経過後、制御基板10は暖房温度センサー65で暖房循環回路の液温と、給湯温度センサー27で内部循環回路の水温を検知する。給湯温度センサー27の検知水温が制御基板10内において設定されている暖房時に必要となる設定温度(例えば、75℃)未満の場合は、制御基板10は燃焼機23の燃焼を開始させ、給湯温度センサー27で設定温度になるように燃焼量を調節しつつ燃焼を継続させる。温水暖房装置5の負荷にもよるが、温水暖房装置5の負荷が燃焼機23の最大燃焼量に熱効率を掛けた値となる最大暖房負荷未満であれば、暖房循環回路を循環する液温は上昇し、暖房温度センサー65で所定温度(例えば、75℃)を検知すれば制御基板10は燃焼機23の燃焼を停止させ、内部循環ポンプ30及び暖房循環ポンプ64の駆動は燃焼の停止に係わらず継続するよう出力する。
【0037】
その後、暖房温度センサー65で暖房循環回路を循環する液温が所定温度よりやや低い温度(例えば、65℃)未満を検知した場合は、制御基板10は燃焼機23を燃焼させる。使用者が遠隔操作装置11で暖房の中止を入力した場合には、制御基板10は燃焼機23の燃焼を停止させ、停止後所定時間経過後に、内部循環ポンプ30及び暖房循環ポンプ64の駆動を停止させ、暖房運転を終了させる。
【0038】
各運転を複合して行う要求がある場合には、複合して運転させることが原則である。ただし、燃焼機23の能力の上限を超える場合即ち、制御基板10が各部の温度センサーで所望の温度上昇が見られないと判断した場合には、休止可能な追焚き運転、湯張り運転、暖房運転を一時休止させ、燃焼機23の燃焼能力に余裕が出てきた場合に再開させる。なお、湯張り運転が他の運転と同時に行われる場合には、追焚き用熱交換器40は燃焼機23でどの場合であれ加熱されているので、湯張り運転時の湯が追焚き用熱交換器40に逆流すると追焚き用熱交換器40で過熱される。しかしながら、湯張り運転で説明した様に、湯張り路32に流れる湯は、第一の湯張り路33から追焚き循環往き管41を通過して浴槽6に流れるものと、第二の湯張り路34から追焚き循環戻り管42を通過して浴槽6に流れるものの二手に分かれる。これにより、給湯用熱交換器20と同時に加熱されている追焚き用熱交換器40の両側に湯張り運転時の湯が流れ込むことになり、その圧力によって追焚き用熱交換器40内の水の流れがなくなる。その結果、複合した運転の場合でも、追焚き用熱交換器40で加熱された高温の湯が浴槽6側に出ることはなく、仮に入浴者があった場合でも安全に入浴できる。
【実施例2】
【0039】
図2において示す実施例2の給湯機2は、実施例1の給湯機1の追焚き循環回路46の循環ポンプ50の位置を、追焚き用熱交換器40の下流側から、追焚き用熱交換器40の上流側に変更したものであり、追焚き機構と湯張り機構が異なるだけであり、その他は給湯機1と同様な構成であるので同一の要素には同一の符号を附して説明を省略する。
【0040】
(追焚き機構)
追焚き機構を説明すると、追焚き循環往き管41と追焚き循環戻り管42は外部の配管を経由して浴槽6に設けられた循環接続金具7に連接されている。また、追焚き循環戻り管42の途中には、追焚き温度センサー44、追焚き水流スイッチ45と循環ポンプ50が設けられている。これにより、循環ポンプ50を循環手段として、追焚き用熱交換器40、追焚き循環往き管41、循環接続金具7、浴槽6、循環接続金具7、追焚き循環戻り管42、循環ポンプ50から、再び追焚き用熱交換器40に戻る追焚き循環回路46aが形成されている。
【0041】
(湯張り機構)
湯張り機構を説明すると、温水供給部15の給湯熱交給湯管22の途中において、湯張り路32が分岐しており、湯張り路32も途中で第一の湯張り路33aと第二の湯張り路34aの二つに分岐している。第一の湯張り路33aは、追焚き循環戻り管42の追焚き用熱交換器40と循環ポンプ50の間に連接しており、第二の湯張り路34aは、追焚き循環往き管41の追焚き用熱交換器40の下流側に連接している。湯張り路32の途中には、湯張り弁31、湯張り流量検知器36および二連逆流防止手段37が設けられている。第一の湯張り路33aの途中には逆流防止手段35が設けられている。湯張り機構の上流側には給湯熱交給湯管22に設けられた湯水混合機構39があり、湯水の混合による温水温度の制御も可能となっている。
【0042】
追焚き循環回路46aには、追焚き循環往き管41と追焚き循環戻り管42に第二の湯張り路34aと第一の湯張り路33aが連接されていることで追焚き循環回路46a中の追焚き用熱交換器40をバイパスする回路も形成されることになるが、第一の湯張り路33aの途中に湯張りの流れの向きとは逆の向きには流さない逆流防止手段35が設けられていることにより、第一の湯張り路33aに循環ポンプ50の駆動により生じる湯張りの流れの向きとは逆向きの流れが生じても逆流防止手段35により遮断されており、基本的には追焚き用熱交換器40をバイパスする回路とはならない。
【0043】
なお、図2においては、逆流防止手段35と並列にバイパス管47を設ける構成としている。これは、湯張り運転が終了し、追焚き運転を開始する場合に、追焚き用熱交換器40が加熱された状態となっており、追焚き用熱交換器40の加熱された高温水がそのまま循環接続金具7から浴槽6に入れば、万一浴槽6内に入浴者がいた場合には安全上好ましくない場合もあり、バイパス管47を設けることで、追焚き用熱交換器40で加熱された高温水に浴槽6内の湯水を少量混ぜることで、入浴者の安全を図るようにしている。また、バイパス管47の径は第二の湯張り路34aの径より細く、流路抵抗を持たせた回路となっている。
【実施例3】
【0044】
(概略の構成)
図3において示す実施例3の給湯機3は、実施例1の給湯機1を、外部熱源を必要とする加熱手段で加熱された温水、例えば、太陽熱熱源で加熱された温水、ヒートポンプ式熱源で加熱された温水またはコージェネレーション熱源で加熱された温水の何れか一つで蓄熱された温水を貯湯する貯湯タンクの補助熱源として用いる場合の実施例である。給湯機3は実施例1の給湯機1と同様な構成であるので同一の要素には同一の符号を附して説明を省略する。
【0045】
ここで、太陽熱熱源、ヒートポンプ式熱源およびコージェネレーション熱源について説明する。
【0046】
太陽熱熱源による方法とは日射を受けやすい南向きの屋根等に設置した集熱板(ソーラーパネル)内を水や熱媒体(例えば、プロピレングリコール等の不凍液に防錆剤を添加した液)を自然にまたは強制的に循環させることにより、循環する水や熱媒体で貯湯タンク内の水をゆっくりと昇温させて蓄熱するものである。
【0047】
ヒートポンプ式熱源による方法とは、代替フロンや二酸化炭素等の冷媒を圧縮機で圧縮して凝縮する際に発生する熱を利用するものであり、電気温水器と異なり、冷媒を循環させることで大気の熱を移動することができるので、投入する電気エネルギー以上の熱エネルギーを利用できる熱源のことである。冷凍サイクルの凝縮器で発生する熱を受ける熱交換器内を水や熱媒体を強制的に循環させることにより、循環する水や熱媒体で貯湯タンク内の水をゆっくりと昇温させて蓄熱するものである。
【0048】
コージェネレーション熱源による方法とは、発電時に発生する熱を利用するものである。コージェネレーション熱源は、一般的にはコージェネレーションシステムと称呼されており、発電方法としては、燃料電池方式やガスや液体燃料等を燃料とするエンジン方式であり、いずれの場合も発電時においては熱が発生し、発電時の熱をコージェネレーション熱源の外部又は内部に設けられ発電部の熱を受ける熱交換器(ウォータージャケット)内を水や熱媒体を強制的に循環させることにより、循環する水や熱媒体で貯湯タンク内の水をゆっくりと昇温させて蓄熱するものである。
【0049】
(貯湯タンク)
太陽熱熱源、ヒートポンプ式熱源、コージェネレーション式熱源の何れの場合でもゆっくりとした加熱になり貯湯タンク70と組み合わせて利用される。貯湯タンク70は、概ね家庭における一日の給湯量を供給できる程度の容量を想定して選定されるので、単位時間当たりに発生する熱は、貯湯タンク70の容量に比較して小さいものとなることが一般的であり、長時間(例えば5〜8時間)をかけて貯湯タンク70に蓄熱するようになっている。そのため、貯湯タンク70の急な加熱はできず、また、貯湯タンク70の容量により蓄熱可能な温水の量の上限は決まってしまうので、給湯機2を補助熱源として使用する必要がある。
【0050】
貯湯タンク70は、強度上及び製造上の利点より一般的に円筒形の形状となっている。貯湯タンク70には下部にタンク給水管71が設けられており、減圧弁78を介して貯湯タンク70に減圧された水道水が供給されている。なお、図示されてないが、貯湯タンク70の適当な場所には貯湯タンク70に過大な圧力が加わった場合に圧力を逃がす逃し弁が設けられている。貯湯タンク70の上部にはタンク給湯管72が設けられており、タンク給湯管72は給湯機3の給湯熱交給水管21と連接されている。
【0051】
(貯湯タンクの蓄熱運転)
貯湯タンク70に蓄えられた水を前記の太陽熱熱源、ヒートポンプ式熱源、コージェネレーション熱源で加熱する方法を説明する。ここで、太陽熱熱源、ヒートポンプ式熱源、コージェネレーション熱源については、総称して外部熱源90と呼び、外部熱源90の内部に貯湯タンク70の水を加熱する外部熱源熱交換器91を有している場合で説明する。外部熱源熱交換器91とは太陽熱熱源の場合は集熱板であり、ヒートポンプ式熱源の場合は凝縮器の熱を受ける冷媒と水とを熱交換する熱交換器であり、コージェネレーション熱源の場合は発電部の熱を受ける熱交換器である。なお、外部熱源と貯湯タンクの間を不凍液等の熱媒体で熱交換する場合は貯湯タンク内の下部に熱交換器を設けるものとなる。
【0052】
外部熱源熱交換器91と貯湯タンク70は外部熱源循環ポンプ92を循環手段として外部熱源循環往き管93と外部熱源循環戻り管94で循環回路が形成されている。外部熱源循環ポンプ92を駆動させて、貯湯タンク70の下部から貯湯タンク70内に貯留する水を取り出し、貯湯タンク70の上部に戻すことで、貯湯タンク70内部の貯留水は加熱される。外部熱源循環ポンプ92は外部熱源循環往き管93の途中に設けられているが、外部熱源循環戻り管94の途中に設けるようにしても良い。貯湯タンク70内部の水温は貯湯タンク70の高さ方向によりばらつきがあるため、貯湯タンク70の高さ方向の異なる位置に数個のタンク温度センサー74、75、76、77が設けられ、外部熱源熱交換器91には循環する水温を検知する外部熱源熱交温度センサー95が設けられており、これら温度センサーで検知する温度は対応する電圧等の信号により制御基板10に出力されている。
【0053】
制御基板10は、タンク温度センサー74、75、76、77で貯湯タンク70の各部の温度と、外部熱源熱交換器91内の水温を外部熱源熱交温度センサー95で常時検知している。太陽熱を受けること、圧縮機の駆動、発電の開始により外部熱源熱交換器91内の水温が上昇し、貯湯タンク70内の水を外部熱源循環ポンプ92で循環させても外部熱源熱交換器91で昇温可能な場合、例えば、外部熱源熱交換器91の水温と貯湯タンク70内の水温との温度差が所定の温度差以上あると制御基板10が判断した場合には、外部熱源循環ポンプ92で循環させる。その後、外部熱源熱交換器91の水温と貯湯タンク70内の水温との温度差が所定の温度差未満であることを制御基板10が判断すると、外部熱源循環ポンプ92に制御基板10が駆動電力を出力することを中止し、外部熱源循環ポンプ92は停止する。外部熱源循環ポンプ92の駆動が継続することにより、貯湯タンク70の内部においては、貯湯タンク70の下部に貯留する水が温められて貯湯タンク70に戻されることになる。そして、貯湯タンク70内部に貯留する湯水は貯湯タンク70内の上部から順に昇温し、貯湯タンク70に貯留する湯水全体が昇温する。そして、貯湯タンク70の内部においては貯湯タンク70の上部から加熱された温水が下方に向かって成層貯湯方式で貯留される。
【0054】
(給湯運転)
外部の温水水栓4が開くことにより給湯運転は開始する。貯湯タンク70には、減圧弁78により減圧された給水圧が加わっており、これが、蓄熱運転により加熱された貯湯タンク70内部の温水は、貯湯タンク70、タンク給湯管72、給湯熱交給水管21、給湯用熱交換器20、給湯熱交給湯管22を経由して温水水栓4に供給される。この場合に貯湯タンク70内の貯留水の水温をタンク温度センサー74で検知し、この検知した水温を基に燃焼機23で加熱する必要の有無を制御基板10が判断する。なお、タンク給水管71の途中で給水分岐管38が分岐して、給湯熱交給湯管22の途中の温水混合機構39に連通しており、温水混合機構39で温水と水を混合させることができ、制御基板10の制御により給湯温度を調節できる機構も備えている。
【0055】
この判断の一例としては、使用者が遠隔操作装置11で設定した設定温度を60℃とした場合に、この設定温度の60℃からタンク温度センサー74で検知する水温が7℃以上高い場合(67℃以上ある場合)には、温水供給部15の燃焼機23の燃焼は開始しないと制御基板10は判断する。そして、温水混合機構39へは貯湯タンク70内の温水がそのまま供給される。
また、タンク温度センサー74で検知する水温が設定温度の60℃から4℃高い温度未満となった場合(64℃未満になった場合)には、制御基板10は温水供給部15の燃焼機23の燃焼を開始するように出力し、使用者側からの設定温度60℃になるように、配管における放熱ロスも考慮して設定温度よりやや高い温度を燃焼機23の目標温度とし、給湯温度センサー27で給湯熱交給湯管22付近の水温を検知して燃焼機23の燃焼量と温水混合機構39を調節することで、60℃の温水を温水水栓4へ供給する。
【0056】
温水栓4が開けられることにより給湯流量検知器24が湯水の流を検知する場合には、制御基板10は内部循環ポンプ30を駆動するように出力する。温水水栓4が閉じられたことにより給湯流量検知器24が湯水の流を検知しなくなった場合には、所定時間遅らせて内部循環ポンプ30を停止させる。なお、温水水栓4が閉じられた場合に、内部循環ポンプ30は駆動している為、給湯流量検知器24で検知される流量変化は微少となり給湯流量検知器24の精度を上げる必要があるので、給湯熱交給水管21の内部循環戻り管29と連接する箇所より上流側に、水流スイッチや水量センサーを設けて、これにより温水水栓4が閉じられたことを検知させても良い。
【0057】
(暖房運転及び風呂追焚き運転)
実施例2の暖房運転及び風呂追焚き運転の動作は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0058】
(湯張り運転)
湯張り運転の動作について説明する。使用者が遠隔操作装置11で湯張り運転をするよう入力した場合には、制御基板10は湯張り弁31を開くように制御する。貯湯タンク70には、減圧弁78により減圧された給水圧が加わっており、この給水圧が、貯湯タンク70、タンク給湯管72、給湯熱交給水管21、給湯用熱交換器20、給湯熱交給湯管22、湯張り路32の途中に設けられた湯張り弁31まで加わっている。蓄熱運転により貯湯タンク70内部の加熱された温水は、湯張り弁31が開くことで湯張り弁31を通過して湯張り路32に流れる。この場合に貯湯タンク70内の貯留水の水温をタンク温度センサー74で検知し、この検知した水温を基に燃焼機23で加熱する必要の有無を制御基板10が判断する。なお、湯張り機構の上流側には給湯熱交給湯管22に設けられた湯水混合機構39があり、湯水の混合による温水温度の制御も可能となっている。
【0059】
この判断方法の一例としては、使用者が遠隔操作装置11で設定した設定温度を43℃とした場合に、この設定温度の43℃からタンク温度センサー74で検知する水温が7℃以上高い場合(50℃以上ある場合)には、温水供給部15の燃焼機23の燃焼は開始しないと制御基板10は判断する。そして、湯張り弁31を通過する温水は貯湯タンク70内で加熱された温水を温水混合機構39で調整されて流れる。また、タンク温度センサー74で検知する水温が設定温度の43℃から4℃高い温度未満となった場合(47℃未満になった場合)には、制御基板10は温水供給部15の燃焼機23の燃焼を開始するように出力し、使用者側からの設定温度43℃になるように、配管における放熱ロスも考慮して設定温度よりやや高い温度を燃焼機23の目標温度とし、給湯温度センサー27で給湯熱交給湯管22付近の水温を検知して燃焼機23の燃焼量を調節することで、43℃のお湯として湯張り弁31へ供給する。
【0060】
湯張り弁31が開けられることにより給湯流量検知器24が湯水の流れを検知する場合には、制御基板10は内部循環ポンプ30を駆動するように出力する。湯張り弁31が閉じられたことにより給湯流量検知器24が湯水の流を検知しなくなった場合には、所定時間遅らせて内部循環ポンプ30を停止させる。なお、湯張り弁31が閉じられた場合に、内部循環ポンプ30は駆動している為、給湯流量検知器24で検知される流量変化は微少となり給湯流量検知器24の精度を上げる必要があるので、湯張り弁31を閉じる制御を行ったことで湯張り弁31が閉じられたとみなす制御や、給湯熱交給水管21の内部循環戻り管29と連接する箇所より上流側に、水流スイッチや水量センサーを設けて、これにより湯張り弁31が閉じられたことを検知させても良い。
【0061】
なお、湯張り路32に流れる湯は、第一の湯張り路33から追焚き循環往き管41を通過して浴槽6に流れるものと、第二の湯張り路34から追焚き循環戻り管42を通過して浴槽6に流れるものの二手に分かれる。これにより、給湯用熱交換器20と同時に加熱されている追焚き用熱交換器40の両側に湯張り運転時の湯が流れ込むことになり、その圧力によって追焚き用熱交換器40内の水の流れがなくなる。その結果、追焚き用熱交換器40で加熱された高温の湯が浴槽側に出ることはなく、仮に入浴者があった場合でも安全に入浴できる。
【0062】
各運転を複合して行う要求がある場合には、複合して運転させることが原則である。ただし、貯湯タンク70の蓄熱量が少なく温水供給部15での補助加熱が必要となって燃焼機23が連続して燃焼する場合で、燃焼機23の能力の上限を超える場合には、制御基板10で各部の温度センサーで所望の温度上昇が見られないと判断した場合には、休止可能な追焚き運転、湯張り運転、暖房運転を一時休止させ、燃焼機23の燃焼能力に余裕が出てきた場合に再開させる。なお、湯張り運転が他の運転と同時に行われる場合で温水供給部15での補助加熱が同時に行われる場合には、追焚き用熱交換器40は燃焼機23で加熱されているので、湯張り運転時の湯が追焚き用熱交換器40に逆流すると追焚き用熱交換器40で過熱する。しかしながら、湯張り運転で説明した様に、湯張り路32に流れる湯は、第一の湯張り路33から追焚き循環往き管41を通過して浴槽6に流れるものと、第二の湯張り路34から追焚き循環戻り管42を通過して浴槽6に流れるものの二手に分かれる。これにより、給湯用熱交換器20と同時に加熱されている追焚き用熱交換器40の両側に湯張り運転時の湯が流れ込むことになり、その圧力によって追焚き用熱交換器40内の水の流れがなくなる。その結果、複合した運転の場合でも、追焚き用熱交換器40で加熱された高温の湯が浴槽側に出ることはなく、仮に入浴者があった場合でも安全に入浴できる。
【0063】
以上、本発明について、実施例に基づき説明してきたが、本発明は何らこれらの実施例の構成に限定するものではない。例えば、実施例3においては給湯機3と貯湯タンク70を分割した例を説明しているが、給湯機3と貯湯タンク70を一体に内蔵している場合でも同様の効果が得られる。また、逆流防止手段35は逆止弁として説明しているが、逆流を防止できる効果を有する電動弁を用いることによっても可能である。この電動弁を用いる場合には、電動弁に開度を調整して流量調節機能を持たせることにより、バイパス管47を不要とすることも可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1、2、3:給湯機
5:温水暖房装置
6:浴槽
7:循環接続金具
20:給湯用熱交換器
23:燃焼機
30:内部循環ポンプ
31:湯張り弁
32:湯張り路
33、33a:第一の湯張り路
34、34a:第二の湯張り路
35:逆流防止手段
40:追焚き用熱交換器
41:追焚き循環往き管
42:追焚き循環戻り管
50:循環ポンプ
60:暖房用熱交換器
70:貯湯タンク
90:外部熱源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房用熱交換器と内部循環ポンプを組み合わせることで、暖房用の熱源としても用いられる給湯用熱交換器と、追焚き用熱交換器と、前記給湯用熱交換器の受熱部と前記追焚き用熱交換器の受熱部を直列的に同時に加熱する燃焼機と、浴槽と、循環ポンプと、前記循環ポンプを循環手段として前記浴槽と前記追焚き熱交換器により形成される追焚き循環回路と、前記給湯用熱交換器で加熱した温水を前記追焚き循環回路に流入させる湯張り路と、前記湯張り路は前記追焚き循環回路に連通する前で分岐しており、分岐した一方の湯張り路が前記追焚き用熱交換器と前記循環ポンプとの間に連通し、分岐した他方の湯張り路は前記循環ポンプが前記追焚き用熱交換器の下流側に設けられている場合は前記追焚き用熱交換器の上流側に連通し、前記循環ポンプが前記追焚き用熱交換器の上流側に設けられている場合は前記追焚き用熱交換器の下流側に連通しており、前記追焚き用熱交換器の上流側に連通する湯張り路には湯張りの流れの向きとは逆の向きには流さない逆流防止手段が設けられている給湯機。
【請求項2】
前記給湯用熱交換器で行われる加熱は、外部熱源を必要とする加熱手段で加熱された温水を蓄熱する貯湯タンクに対する補助熱源として用いられる請求項1記載の給湯機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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