説明

給紙装置

【課題】
本発明は、2個以上重ねて設けた給紙部の各々に超音波重送検知センサを設けても、各々のセンサ同士の干渉を防ぎ、各々のセンサで正確な重送検知を行うことが可能な給紙装置を提供する。
【解決手段】
上下に隣り合う給紙部2A、2Bの間で、給紙部2A、2Bから分離給送された用紙が搬送される用紙搬送路12A、12Bの間の空間であって、この空間の用紙搬送方向上流側、下流側、左側、右側の四方を囲む面によって六面が囲まれた空間領域22が設けられ、この空間領域22の内面のいずれかに沿って、吸音材25を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙束から用紙を1枚ずつ分離して取り出す給紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本来用紙を1枚ずつ取り出すべき給紙装置において、誤って2枚重なった状態で給紙してしまう重送を、ミス給紙として検知するための重送検知センサが多くの給紙装置で用いられている。
【0003】
この重送検知センサのひとつに、用紙搬送路を挟んで超音波発振器と超音波受振器とを設け、用紙が通過中に発振器が発振した超音波を受振器で受振し、その振幅の減衰の程度を計測して重送か否かを判断する超音波重送検知がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−82350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷内容の異なる多数の用紙束から用紙を1枚ずつ取り出して重ねる丁合装置や、異なる用紙サイズに応じて複数の給紙装置を備えた画像形成装置等、さまざまな目的で、給紙装置を縦方向に2個以上重ねて配置するということが、多くの用紙処理装置で行われている。このような装置で、2個以上重ねた給紙部の両方に超音波重送検知センサを適用すると、一方の給紙部における発振器が発振した超音波を、他方の給紙部における受振器が拾ってしまうため、誤検知が発生するという問題があった。
【0006】
特許文献1では、給紙装置における超音波重送検知のノイズ対策として吸音材を用いているが、特許文献1の給紙装置は1つの超音波重送検知センサに対し、発振器が発した超音波に起因するガイド板からの反射波等のノイズを、受振器が拾わないように構成したものであって、2個以上重ねて設けた給紙部の各々に設けた超音波重送検知センサ同士の干渉に起因する上記問題を解決することは想定されていない。
【0007】
本発明は、2個以上重ねて設けた給紙部の各々に超音波重送検知センサを設けても、各々のセンサ同士の干渉を防ぎ、各々のセンサで正確な重送検知を行うことが可能な給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の給紙装置の第1の態様は、用紙束から用紙を1枚ずつ分離する分離給送手段と、この分離給送手段により束から分離された用紙を、その表側と裏側を各々ガイドするガイド板の間に形成された用紙搬送路内を前進させる用紙搬送手段と、一方が発振した超音波を他方が受振できるように互いに対向し、かつ前記用紙搬送路を表裏から挟むように配置された一対の超音波振動素子を含み、一方の超音波振動素子を駆動して超音波を発振させるとともに、この超音波を受振した他方の超音波振動素子の受振信号を受け、前記用紙搬送路内を前進する用紙が対向する超音波発振受振素子の間を通過した時の受振信号を、あらかじめ定めた閾値と比較して、用紙が2枚以上重なって送られているか否かを検知する超音波重送検知センサと、を有する給紙部を2個以上縦方向に重ねて設けた給紙装置において、上下に隣り合う前記給紙部同士の間の空間領域であって、上方に配置された給紙部から分離給送された用紙の下側をガイドするガイド板の下側の面と、下方に配置された給紙部から分離給送された用紙の上側をガイドするガイド板の上側の面と、この下側の面、上側の面の両者をつなぐとともに、その両者の間の空間の、用紙搬送方向上流側、下流側、左側、右側の四方を囲む面によって六面が囲まれた空間領域が設けられ、この空間領域の内面のいずれかに沿って、吸音材を設けたことを特徴とする給紙装置である。
【0009】
一方の給紙部の発振器から発振された超音波は、その間に形成された空間の内面にぶつかって反射し、他方の給紙部の受振器に到達すると考えられる。この第1の態様によれば、この内面のいずれかに吸音材を設けたので、内面を伝播する超音波のうち、少なくとも吸音材を設けた面における超音波の反射が大幅に抑制される。この結果、他方の給紙部の受振器に到達する超音波を抑制することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様における吸音材は、六面のいずれかに、その面の全幅にわたって設けられていることを特徴とする給紙装置である。この第2の態様によれば、2個重ねて設けた給紙部の間に形成された空間領域の内面である六面のいずれかに、その面の全幅にわたって設けられているので、超音波の伝播抑制効果を高めることができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様における空間領域を、上側の給紙部に隣接する第1の空間と、下側の給紙部に隣接する第2の空間の2つに分ける分断面をさらに有し、前記吸音材に加え、この分断面の上側下側のいずれか、あるいは両方にも吸音材を設けたことを特徴とする給紙装置である。
【0012】
この第3の態様によれば、内部空間を上下に分ける分断面をさらに設けて、この分断面に吸音材を設けることにより、超音波の伝播をこの分断面で食い止めることにより、超音波の伝播抑制効果をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2個以上重ねて設けた給紙部の各々に超音波重送検知センサを設けても、各給紙部に設けられたセンサ同士の干渉が抑制されるので、各々のセンサで正確な重送検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る給紙装置1を示す模式正面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】超音波重送検知センサ16A(16B)の制御系を示す図である。
【図4】第1の実施形態の変形例を示す図である。
【図5】第1の実施形態の変形例を示す図である。
【図6】第1の実施形態の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る給紙装置31を示す模式正面図である。
【図8】図7におけるB−B断面図である。
【図9】第2の実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る給紙装置1を示す模式正面図、図2はそのA−A断面図である。
【0017】
第1の実施形態に係る給紙装置1は2個の給紙部2A、2Bを有する。この給紙部2A、2Bは上下方向に、給紙部2Aが上、給紙部2Bが下になるように、縦方向に重なるように位置している。本実施形態においては、この給紙部2Aと給紙部2Bの構成は互いに同一であり、互いに対応する部材には共通の番号と、上側の給紙部の部材にはA、下側の給紙部の部材にはBを付すこととして付番している。以下、給紙部2A、2Bに共通する部分の構成の説明においては、上側の給紙部の付番に続けて、下側の給紙部の付番を括弧書きで記すこととする。
【0018】
上側の給紙部2A(2B)には、水平に設けられた板状の部材である給紙板3A(3B)を有する。この給紙板3A(3B)は図示しない駆動機構により上下動可能である。給紙板3A(3B)の図1における左側(以下、図1における左方向を前方、その反対側を後方という)には、給紙板3A(3B)の面に対して直角をなす面を有する突き当て板4A(4B)を有し、用紙束PAが突き当て板4A(4B)に前方を突き当てるようにして、給紙板3A(3B)上に揃えて積載されている。また、用紙束PA(PB)の図1における奥側(以下、図1における奥側〜手前側方向(前後方向と直交する方向)を「幅方向」という)にも図示しない突き当て板が設けられており、用紙束PA(PB)の幅方向も揃えて積載されている。
【0019】
用紙束PA(PB)の左上方に吸引ヘッド5A(5B)が設けられている。この吸引ヘッド5A(5B)は、前後方向に間隔をおいて設けられたプーリ6A(6B)に、巾方向に間隔をおいて複数の平ベルト7A(7B)が掛けられており、その内側に略直方体の箱形状である吸引チャンバ8A(8B)が配置されている。吸引チャンバ8A(8B)は箱形状の内側の空間が図示しない吸引ファンに連通しており、該空間に負圧が形成されるとともに、チャンバ下面側のベルト7A(7B)の側縁に沿って開口が形成され、該開口からエアが吸引される。このエアによって用紙束PA(PB)の最上位の1枚が平ベルト7A(7B)の下面に吸着される。
【0020】
吸着された状態でベルト7A(7B)が周回駆動すると、吸着された用紙は前方へ搬送される。こうして最上位の1枚が用紙束PA(PB)から分離給送される。用紙束PA(PB)の前方端面の最上位寄りには、図示しないエア吹き出し口からエアが当てられ、最上位の用紙と2枚目以下の用紙の間にエアを吹き込むことによって、2枚以上同時に吸着・給送されるのを防ぐ。この分離給送を繰り返し、用紙束PA(PB)の最上位面が下降すると、その下降を図示しないセンサが感知して、下降した分だけ給紙板3A(3B)を上昇させ、最上位面を常に一定高さに保つ。
【0021】
分離給送された用紙は、上側ガイド板10A(10B)と下側ガイド板11A(11B)により形成された用紙搬送路12A(12B)を通り、回転駆動されるローラ対13A(13B)に挟まれてさらに前方へ送られる。この用紙搬送路12A(12B)を上下から挟むように、超音波受振器14A(14B)、超音波発振器15A(15B)を含む超音波重送検知センサ16A(16B)が設けられている。
【0022】
図3は、この超音波重送検知センサ16A(16B)の制御系を示す図である。超音波重送検知センサ16A(16B)はセンサ制御部17A(17B)を有する。センサ制御部17A(17B)は給紙部ごとに個別に設けられ、各々が中央制御部18に接続されている。中央制御部18はユーザが操作可能なスタートスイッチ19からの信号を受け、センサ制御部17A(17B)の駆動信号源171A(171B)をはじめとして、装置各部にスタート信号を送り、動作をスタートさせる。駆動信号源171A(171B)ではこのスタート信号を受けると超音波発振器15Aに駆動信号を送り、超音波発振器15Aは超音波の発振を開始する。
【0023】
この超音波を超音波受振器14A(14B)が受振し、受信信号を制御部17A(17B)の重送判定部172A(172B)に送る。重送判定部172A(172B)にはあらかじめ判定の基準となる閾値が記憶されているので、所定のタイミングで中央制御部18から送られてくる判定タイミング信号を受けると、受振した超音波の振幅を閾値と比較する。超音波発振器、受振器間を通過する用紙が1枚である場合よりも、2枚である場合の方が、超音波の受振波形の振幅は小さくなるので、これを利用して適切な基準値を予め定めておく。測定した波形がその基準値以下であれば重送と判定し、中央制御部18に停止信号を送信する。
【0024】
すると中央制御部は給紙装置の動作を停止させ、重送エラーを表示させる。測定した波形が基準値以上であれば停止信号は出さないので、給紙装置は引き続き次紙の給紙動作を行う。判定タイミング信号は、用紙が超音波発振器、受振器間を通過しているときの波形が判定に使われるように、用紙の給紙開始タイミングから一定時間後に重送判定部172A(172B)に送られる。なお本実施形態では、センサ制御部17A(17B)を給紙部ごとに設けているが、これを中央制御装置18に含めてもよい。
【0025】
図1及び図2に戻る。上方の給紙部2Aから取り出された用紙はそのまま前進し、横搬送路21へ送られる。下方の給紙部2Bから取り出された用紙は縦搬送路20に入って上方へ送られ、横搬送路21に合流する。縦搬送路20は、摩擦力で用紙を上方へ持ち上げる搬送ベルト201と、持ち上げられる用紙の後方面をガイドする後方ガイド板202を有する。
【0026】
上方の用紙搬送路12Aと、下方の用紙搬送路12Bとの間に、空間領域22が形成されている。上方の給紙部2Aから分離給送された用紙の下側をガイドする下側ガイド板11Aの下面が、空間領域22の天井面11Atを形成し、下方の給紙部2Bから分離給送された用紙の上側をガイドする上側ガイド板10Bの上面が、空間領域22の底面10Bbを形成する。この空間領域22の前方においては、後方ガイド板202の裏側の面が天井面11Atと底面10Bbの前方側をつないで前方側面202fを形成する。空間領域22の後方においては、突き当て面4Aの裏側の面が天井面11Atと底面10Bbの後方側をつないで後方側面4Arを形成する。さらにこの空間領域22の幅方向両側においてはフレーム23,24によって天井面11Atと底面10Bbの幅方向両側をつないで巾方向側面23s、24sを形成する。この構成により、天井面11At、底面10Bb、前方側面202f、後方側面4Ar、巾方向側面23s、24sによって、空間領域22の周囲六面が囲まれる。
【0027】
そして本実施形態においては、後方側面4Arの高さ方向の中央部付近の、巾方向は全体にわたって、吸音材25aが貼り付けられている。この吸音材25aは受けた音波の反射を抑制する性質を有し、具体的には発泡ポリウレタンで形成され、その厚みは、5mmから30mm程度である。なお、音波の反射を抑制する性質を有していればもちろんその他の材質も適用できる。例えば、ウレタンフォーム、シリコン、不織布、ウール、スポンジ材等が挙げられる。
【0028】
次にこの第1の実施形態に係る給紙装置の動作を、上側給紙部2Aから用紙を取り出す場合を例にとり説明する。装置のスタートスイッチ19を押すと、CPU18からセンサ制御部17A、17Bに駆動信号が送られる。この駆動信号に応じ、超音波発振器15A、15Bから超音波が発振される。この超音波は、ストップボタンが押されたり、エラーが生じるなどして装置の動作が中断または終了しない限り、上側の超音波発振器15Aと、下側の超音波発振器15Bの双方で超音波の発振が継続されるとともに、その超音波が対向する超音波受振器14A、14Bで受振される。
【0029】
次にCPU18から上側給紙部2Aに対し給紙開始信号が送られると、吸引チャンバ8A下面からのエアの吸引と平ベルト7Aの周回駆動が行われ、用紙束PAの最上位の1枚を平ベルト7A下面に吸着し、これを前方へ搬送する。取り出された用紙は用紙搬送路12Aを通り、回転駆動されるローラ対13Aに挟まれてさらに前方へ送られ、この際に超音波発振器15Aと超音波受振器14Aとの間を通過する。
【0030】
重送検知センサ16Aの重送判定部172Aは、給紙開始信号より一定時間後のタイミングでの超音波受振器14Aの受振信号により、重送か否かの判定を行う。この一定時間は、重送判定部が参照する受振信号が、用紙が超音波発振器15Aと超音波受振器14Aとの間を通過している間の信号となるように定められており、このタイミングに中央制御部18から重送判定部172Aに対して判定タイミング信号が送られる。この判定タイミング信号を受信したときの超音波受振器14Aの波形に基づいて、重送か否かを判定する。
【0031】
この動作は、下側給紙部2Bから用紙を取り出す場合についても同様である。すなわち、装置のスタートスイッチ19を押すと、上下双方の超音波重送検知センサ16で超音波の発振が行われ、下側の給紙部2Bでの用紙の取出しが行われる。
【0032】
上側給紙部2Aと下側給紙部2Bの双方をどのように組み合わせて使用するかは、その使用目的によって様々なパターンがある。例えば、交互に用紙を送り出してもよいし、送り出しパターンをプログラム等で制御してもよい。双方から取り出した用紙が用紙搬送路21で重なるようにしてもよいし、一方の給紙部で用紙が無くなったのに応じて他方の給紙部に給紙動作が移るようにしてもよい。
【0033】
いずれの場合も、超音波の発振自体は動作中はすべての超音波重送検知センサで行っておき、用紙が送られたタイミングを見計らって、そのタイミングにおける受振波に基づいて重送判定を行う。すなわち、一方の給紙部で用紙が取り出されている間も、他方の給紙部の重送検知センサにおいて、超音波の発振が続けられている。
【0034】
超音波発振器15A(15B)と、超音波受振器14A(14B)とは、用紙搬送路12A(12B)を挟むように設けなければならないので、その一方が内部空間22内に設けられることになる。このため超音波発振器15A(15B)が発振した超音波の一部は内部空間22内に入り、内部空間22を区画する六面(天井面11At、底面10Bb、前方側面202f、後方側面4Ar、巾方向側面23s、24s)に当たって反射する。六面のうち天井面11At、底面10Bb、前方側面202f、後方側面4Arは用紙の通路を画定するガイド板でもあり、巾方向側面23s、24sは給紙装置を構成する部材を幅方向両側から支える部材であるから、金属等の硬質な部材であるため、音を反射しやすいからである。超音波が拡散しながら六面に当たってこの反射を繰り返すので、超音波受振器14A(14B)は、本来重送判定に使うべき波形の他に、内部空間22のあちこちで反射した超音波が雑音となって入ってくる。この雑音が誤検知の原因になる。
【0035】
例えば超音波発振器15Aから発振した超音波は、超音波発振器15Aと超音波受振器14Aとの間の上側ガイド板10Aと下側ガイド板11Aとに設けられた開口を通して受振側の超音波受振器14Aに達するが、拡散した超音波の一部は天井面11Atに当たって反射して内部空間22内へ向かう。下側の超音波発振器15Bから発振した超音波は、上側ガイド板10Bと下側ガイド板11Bとの間の開口を抜けて超音波受振器14Bに達するが、ここでも拡散した超音波の一部は超音波受振器14Bの周囲を抜けて内部空間22へ向かう。これらの超音波が内部空間22内で反射を繰り返し、雑音の原因となる。
【0036】
しかし本実施形態においては、内部空間22の内面を形成する六面のうち、後方側面4Arに吸音材25aを設けている。従って、この吸音材25aを設けた範囲に当たった超音波を吸収し、反射を抑制することにより、重送検知センサ16A(16B)で誤検知が生じない程度まで、雑音のレベルを下げることができる。
【0037】
この吸音材は内部空間22における超音波の反射を抑制する目的であるから、内部空間22の内面を形成する六面のいずれかに設けるのが良い。図4ないし図6は、第1の実施形態の変形例を示す図である。図4に示す装置では、前方側面202fの上端から下端までにわたって吸音材25bが設けられている。
【0038】
吸音材が2面以上にわたって設けられていても良い。図5に示す装置では、前方側面202fに設けた吸音材25bに加えて、後方側面4Arの上端から下端にわたって吸音材25dが設けられている。図6に示す装置では、天井面11Atに吸音材25d、底面11Bbに吸音材25eが設けられている。吸音材25dには、超音波発振器15Aが発振した超音波が超音波受振器14Aに届くように、開口25d−1が設けられている。同様に吸音材25eには開口25e−1が開けられている。
【0039】
もちろん吸音材を貼る位置や数は図1ないし図6の例に限られず、巾方向側面23s、24sを含む六面どこに設けられていても、内部空間22内の雑音を抑制する効果を発揮する。六面すべて吸音材で覆ってしまえば最大の消音効果が得られるが、吸音材を多く使う分だけコストがかかるため、誤検知が発生しない程度に雑音を抑制するのに必要最低限の数と面積とし、最適な位置を選択して設けるのが良い。どこに何カ所吸音材を設けるかについては、超音波振動子の位置や出力、内部空間の大きさ等、様々な条件により最適な位置が異なってくるため、吸音材を設ける位置や数を様々に変え、最適な位置と数を実験的に求めるのが良い。
【0040】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る給紙装置31を示す模式正面図、図8はそのB−B断面図である。第1の実施形態と同一の形状、機能の部材には同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。 第2の実施形態に係る給紙装置31は、内部空間22を上下に分割する分断面32を有する。この分断面32は、内部空間22の水平方向断面とほぼ同形状で、吸音材25a下端よりやや下方の高さ位置において、内部空間22を上側の第1空間22aと、下側の第2空間22bに分割している。分断面32は金属や樹脂等の硬質な部材で形成され、この分断面32の下側の面に吸音材25fが設けられている。
【0041】
この構成により、分断面32により内部空間22が上下に分断されているので、上下に配置された超音波重送検知センサの一方から他方へ超音波が伝播するのを抑制するとともに、吸音材25a、25fにより、第1空間22aと第2空間22bの各々において、その内面に吸音材が設けられている。従って、第1空間22a及び第2空間22b内における超音波の反射が抑制されるので、雑音を抑制することができる。図9は第2の実施形態の変形例を示す図で、分断面32の下面側の吸音材25fに加え、上面側にも吸音材25gが設けられており、第1空間22aの雑音抑制効果を上げている。このように、第1空間22a及び第2空間22b内における吸音材の設置位置や数量は様々であり、コストも考慮して、実験的に必要最小限の位置と数量だけ設けるのが良い。
【0042】
符号の説明
1,31 給紙装置、2A,2B 給紙部、PA,PB 用紙束、4A,4B 突き当て板、4Ar 後方側面、5A,5B 吸引ヘッド、10Bb 底面、11At 天井面、12A,12B 用紙搬送路、14A,14B 超音波受振器、15A,15B 超音波発振器、16A,16B 超音波重送検知センサ、 17A,17B 制御部、 22 内部空間、 22a 第1空間、 22b 第2空間、 23s,24s 幅方向側面、25a,25b,25c,25d,25e,25f,25g 吸音材、32 分断面、202f 前方側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束から用紙を1枚ずつ分離する分離給送手段と、
この分離給送手段により束から分離された用紙を、その表側と裏側を各々ガイドするガイド板の間に形成された用紙搬送路内を前進させる用紙搬送手段と、
一方が発振した超音波を他方が受振できるように互いに対向し、かつ前記用紙搬送路を表裏から挟むように配置された一対の超音波振動素子を含み、一方の超音波振動素子を駆動して超音波を発振させるとともに、この超音波を受振した他方の超音波振動素子の受振信号を受け、前記用紙搬送路内を前進する用紙が対向する超音波発振受振素子の間を通過した時の受振信号を、あらかじめ定めた閾値と比較して、用紙が2枚以上重なって送られているか否かを検知する超音波重送検知センサと、を有する給紙部を2個以上縦方向に重ねて設けた給紙装置において、
上下に隣り合う前記給紙部同士の間の空間領域であって、上方に配置された給紙部から分離給送された用紙の下側をガイドするガイド板の下側の面と、下方に配置された給紙部から分離給送された用紙の上側をガイドするガイド板の上側の面と、この下側の面、上側の面の両者をつなぐとともに、その両者の間の空間の、用紙搬送方向上流側、下流側、左側、右側の四方を囲む面によって六面が囲まれた空間領域が設けられ、
この空間領域の内面のいずれかに沿って、吸音材を設けたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記吸音材は、前記六面のいずれかに、その面の全幅にわたって設けられていることを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
【請求項3】
前記空間領域を、上側の給紙部に隣接する第1の空間と、下側の給紙部に隣接する第2の空間の2つに分ける分断面をさらに有し、前記吸音材に加え、この分断面の上側下側のいずれか、あるいは両方にも吸音材を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−63812(P2013−63812A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202468(P2011−202468)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【Fターム(参考)】