説明

給電コネクタ

【課題】チョークコイル等の機構に用いられる磁性体が、走行時の振動により脱離、ズレ等の状態となることを防止する車両用の給電コネクタを提供する。
【解決手段】円筒状のハウジング123と、環状をなし、ハウジング123に対して外嵌する磁性体コア122と、磁性体コア122に外嵌し、磁性体コア122の脱離を防止するリテーナ124とを備える。磁性体コア122は、リテーナ124に嵌着されている。リテーナ124は、嵌着された磁性体コア122を係止する係止部124bを有し、係止部124bは、磁性体コア122の外周側から内径方向へ突出する係止爪124cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車等の車両に設けられる給電コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ及びバッテリ等の装置を搭載し、バッテリに蓄積した電力にてモータを駆動することで走行する電気自動車及びハイブリッド自動車が普及し始めている。電気自動車は外部の給電装置からバッテリへの充電を行う必要があり、またハイブリッド自動車であっても外部の給電装置からバッテリへの充電を可能としたプラグインハイブリッド自動車がある。外部からバッテリへの充電を行う車輌においては、外部の給電装置に接続された充電ケーブルのプラグを車輌に設けられた給電口のコネクタ装置に接続して、給電装置から車輌のバッテリへ充電ケーブルを介した電力供給が行われ、バッテリが充電される。
【0003】
特許文献1においては、互いに区画された直流受電部及び交流受電部を単一構造の受電コネクタ内に配置すると共に、受電コネクタの開口端面全域を開閉自在に覆う第1のキャップと、この第1のキャップに設けられて、交流受電部に対応する位置に開口された透設孔を閉塞可能にする第2のキャップとを有する構成とし、交流受電部及び直流受電部を集約して一体化構造とした電気自動車用充電コネクタが提案されている。
【0004】
一方で、交流電力による給電を行う場合、給電装置から車両へ、また車両から給電装置へ伝わるノイズを除去するため、磁性体コアに電力供給線を巻回したチョークコイルを用いる場合がある。また、電力波形に通信信号を重畳させて通信を行う際、磁性体コアに電力供給線を巻回したカップリングトランスを用いる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−192826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のコネクタでは、チョークコイル、トランス等の機構に用いられる磁性体コアについての検討がなされていない。磁性体コアを車両のコネクタに用いる場合、他の用途での使用と異なり、走行時の振動による磁性体コアの脱離、ズレ等の異常の防止が問題となる。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、磁性体コアを保持し、脱離、ズレ等の異常の発生を防止する給電コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る給電コネクタは、車両への取付が可能であり、給電を受ける手段の収容が可能な収容部材を備える給電コネクタにおいて、前記収容部材により保持される磁性体と、該磁性体の脱離を防止する脱離防止部材とを備え、前記磁性体は、前記脱離防止部材に嵌着されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る給電コネクタは、前記脱離防止部材は、嵌着された前記磁性体を係止する係止部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る給電コネクタは、前記係止部は、嵌着方向と平行な方向へ突設されており、嵌着方向と直角をなす方向の幅は、磁性体を係止する部位より先端側が狭いことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る給電コネクタは、前記磁性体は、環状をなし、前記係止部は、前記磁性体の外周側から内径方向へ突出する係止爪を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る給電コネクタは、前記磁性体は、環状をなし、前記係止部は、前記磁性体の内周側から外径方向へ突出する係止爪を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る給電コネクタは、車両への取付が可能であり、給電を受ける手段の収容が可能な円筒状の収容部材を備える給電コネクタにおいて、環状をなし、前記収容部材に対して外嵌する磁性体と、前記収容部材に対し、軸方向に嵌合して、前記磁性体の脱離を防止する脱離防止部材とを備え、前記磁性体は、前記脱離防止部材に嵌着されており、該脱離防止部材は、嵌着された前記磁性体を係止する係止部を有し、該係止部は、前記磁性体の外周側から内径方向及び/又は内周側から外径方向へ突出する係止爪を有し、前記係止部は、軸方向へ突設されており、径方向の幅は根元側より先端側が狭いことを特徴とする。
【0014】
本発明では、収容部材に保持される磁性体を、脱離防止部材に嵌着させることにより、磁性体を固定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、収容部材により保持される磁性体を、脱離防止部材に嵌着させることにより磁性体を固定する。これにより、車両の走行時の振動によっても磁性体の脱離、ズレ等の異常を防止することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0016】
また、脱離防止部材に、磁性体を係止する係止部を設けることにより、嵌着された磁性体が外れることを防止するので、嵌着方向へのズレ及び脱離を防止し、磁性体を更に安定して保持することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0017】
さらに、環状をなす磁性体を用い、外周側から内径方向へ突出する係止爪を有する係止部を設けることにより、外周側から磁性体を挟み込むことができるので、嵌着方向以外の方向へのズレを防止し、磁性体を更に安定して保持することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0018】
さらに、内周側から外径方向へ突出する係止爪を有する係止部を設けることにより、内周側から磁性体を保持することができるので、嵌着方向以外の方向へのズレを防止し、磁性体を更に安定して保持することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0019】
さらに、係止部の嵌着方向に突出する部分の幅を、先端側で狭くすることにより、磁性体の嵌着を容易にすることが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る給電コネクタを用いた給電システムの構成例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る給電コネクタを用いた給電システムの構成例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る給電コネクタが備える部材の構成例を示す外観斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る給電コネクタが備える部材の構成例を示す外観底面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る給電コネクタの構成例を示す外観斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る給電コネクタの構成例を示す外観右側面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る給電コネクタに対する配線例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る給電コネクタが備える部材の構成例を示す外観底面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る給電コネクタの構成例を示す外観斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る給電コネクタの構成例を示す外観右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0022】
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る給電コネクタを用いた給電システムの構成例を示す模式図である。本実施の形態では、電気自動車、プラグインハイブリッド車等の車両1と、充電スタンド2とを充電ケーブル3を用いて電気的に接続する。そして、充電スタンド2から充電ケーブル3を介して車両1へ電力供給を行う構成例について説明する。なお、図1は、電力供給経路中にトランスを設けた例を示し、図2は、チョークコイルを設けた例を示している。
【0023】
充電スタンド2は、交流の電力を発生する電源20と、電源20及び充電ケーブル3を接続し、電源20からの交流電力を充電ケーブル3へ供給するための2本の電力供給用内部配線(以下、AC線という)21,21とを有している。AC線21,21には、充電ケーブル3に接続する接続端子22,22が設けられている。また充電スタンド2では、AC線21,21による電力供給経路中に、ノイズの低減、除去等の処理のためのチョークコイル23、又は信号のカップリング、デカップリング等を行うトランス23が設けられている。なお、図1は、電力経路中にトランス23を設けた構成例を示しており、図2は、電力経路中にチョークコイル23を設けた構成例を示している。
【0024】
車両1及び充電スタンド2を接続する充電ケーブル3は、交流電圧が印加される2本の電力供給線(以下、AC線という)30,30と、接地電位に接続される接地線(図示せず)とを含んでいる。本実施の形態では、2本のAC線30,30と、1本の接地線とによる三線式の交流電力を充電スタンド2から車両1へ供給する。AC線30,30の一端には、車両1に接続する給電側接続端子31,31が設けられており、他端には、充電スタンド2のAC線21,21の接続端子22,22と接続する受電側接続端子32,32が設けられている。
【0025】
車両1は、走行用のモータ等の電力負荷を駆動するための電力を蓄積する二次電池であるバッテリ10を備えている。更に、車両1は、充電ケーブル3を介して充電スタンド2から供給される電力によりバッテリ10の充電を行う充電装置として、充電器11及び給電コネクタ12を備えている。充電器11は、交流の電力を直流の電力に変換する機能を有する。給電コネクタ12は、充電ケーブル3を介して充電スタンド2から供給される電力を車両1内の充電器11へ導く機能を有する。
【0026】
給電コネクタ12は、電力供給用の内部配線(以下、AC線という)120,120と、AC線120,120の先端に設けられ充電ケーブル3のAC線30,30に接続して受電する接続端子121,121とを収容している。そして、接続端子121,121にて受電した電力を、AC線120,120を介して充電器11へ供給する。更に、給電コネクタ12は、AC線120,120による電力供給経路中に、チョークコイル、トランス等として用いられるトロイダルコア等の磁性体コア122を備えている。なお、図1は、トランスとして磁性体コア122を設けた構成例を示しており、図2は、チョークコイルとして磁性体コア122を設けた構成例を示している。
【0027】
充電器11は、充電スタンド2から供給される電力にてバッテリ10の充電を行うものである。充電スタンド2は、例えば電圧が200Vであり、かつ、周波数が50Hz又は60Hzの交流電圧によって電力供給を行うものであるため、充電器11は交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ10へ印加することによって充電を行う。バッテリ10は、車両1を走行させるモータ等の電力負荷を駆動する駆動電力を蓄積するものであり、リチウムイオン電池等の二次電池が用いられる。
【0028】
充電スタンド2及び車両1を充電ケーブル3で接続することにより、充電スタンド2のAC線21,21及び接地線(図示せず)と、充電ケーブル3のAC線30,30及び接地線(図示せず)と、車両1のAC線120,120及び接地線(図示せず)とが接続される。これにより、充電スタンド2から車両1への電力供給経路が構成される。そして、充電スタンド2の電源20から充電ケーブル3を介して車両1の充電器11へ交流電力が供給される。充電器11は交流電力を適切な電圧値及び電流値の直流電力に変換してバッテリ10へ供給することにより、バッテリ10を充電する。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態1に係る給電コネクタ12が備える部材の構成例を示す外観斜視図である。図3は、車両1に取り付けられた場合に、車両1の内側となる方向からの外観を斜視図として示したものである。図3は、給電コネクタ12が備えるハウジング123を示している。ハウジング123は、AC線120,120、接続端子121,121等の受電手段を収容する収容部材として用いられる。ハウジング123は、略矩形の板状をなす取付部123aと、取付部123aの一面の中央に突設された円筒状の筒状部123bとを備えている。
【0030】
取付部123aの四隅には夫々取付孔123c,123c,…が開設されており、車両1の車体の所定位置にネジ等の取付具で給電コネクタ12を取り付けることが可能である。
【0031】
筒状部123b内には、AC線120,120等の配線を内挿するための挿通孔を有する複数の内挿管123d,123d,…が、筒状部123bと一体的に設けられている。また、筒状部123b内には、その周壁を筒の軸方向へ略長方形に切り欠いた態様の溝123e,123eが刻設されている。
【0032】
また、ハウジング123の取付部123aの他面には、円筒状をなし、充電の際に、挿入された充電ケーブル3と接続されるケーブル接続部123fが設けられている。ケーブル接続部123fは、AC線120,120、接続端子121,121等の受電手段が内部に収容されており、充電ケーブル3の給電側接続端子31,31と電気的に接続される。
【0033】
図4は、本発明の実施の形態1に係る給電コネクタ12が備える部材の構成例を示す外観底面図である。図4は、図3に示したハウジング123により保持される磁性体コア122と、磁性体コア122の脱離を防止する脱離防止部材として機能するリテーナ124とを組み合わせた状態を示している。磁性体コア122及びリテーナ124は、ハウジング123に組み合わせることが可能であり、図4は、ハウジング123との組み合わせ時に、ハウジング123に相対する側から示した外観を示す底面図である。
【0034】
磁性体コア122は、環状をなす磁性体であり、その断面は、軸方向に平行な長辺及び径方向に平行な短辺を有する長方形状をなしている。磁性体コア122は、リテーナ124に対し、軸方向に組み込むことで嵌着させることが可能であり、図4では、磁性体コア122がリテーナ124に嵌着された状態を示している。
【0035】
リテーナ124は、ハウジング123の複数の内挿管123d,123d,…、に嵌合する板状の嵌合部124aを備えている。リテーナ124は、嵌合部124aにより、ハウジング123に嵌合することで、ハウジング123に固定され、磁性体コア122がハウジング123から脱離することを防止する。
【0036】
また、実施の形態1に係るリテーナ124は、磁性体コア122に外嵌し、磁性体コア122の外周に接する部位には、嵌着された磁性体コア122を係止する係止部124b,124bが設けられている。係止部124b,124bは、磁性体コア122の軸方向へ(図4に向かって手前方向へ)突設されている。係止部124b,124bにおいて、磁性体コア122の外周部に接する部位の根元から係止部124b,124bの先端部までの軸方向の長さは、嵌着された磁性体コア122の軸方向の長さより長くなるように設計されている。そして、突設された係止部124b,124bが磁性体コア122を越えた位置には、嵌着された磁性体コア122の外周側から内径側へ突出する係止爪124c,124c,…が設けられている。そして、リテーナ124は、係止爪124c,124c,…により、嵌着された磁性体コア122が脱離しないように係止する。
【0037】
図5は、本発明の実施の形態1に係る給電コネクタ12の構成例を示す外観斜視図であり、図6は、本発明の実施の形態1に係る給電コネクタ12の構成例を示す外観右側面図である。図5は、図3に示したハウジング123に対し、図4に示した磁性体コア122を嵌着したリテーナ124を組み合わせた状態を示している。また、図6は、図5に示した給電コネクタ12の外観を右側面図として示したものである。
【0038】
図5及び図6に示すように、リテーナ124は、嵌合部124aにより、ハウジング123の複数の内挿管123d,123d,…を嵌合し、磁性体コア122がハウジング123から脱離することを防止する。
【0039】
また、図6の右側面図に示すように、係止爪124cは、直角三角形状の板状をなし、直角となる頂点が外周側に位置し、直角を形成する二辺が夫々軸方向及び径方向と平行になるように配設されている。従って、係止爪124cを含む係止部124bは、磁性体コア122の嵌着方向、即ち軸方向の先端側へ向かって、径方向の幅が狭くなる。より具体的には、複数の係止爪124c,124c,…の直角三角形の斜辺に内接するものとして想定される内接円の直径は、軸方向の先端部では、磁性体コア122の外周の直径より大きくなっている。このような形状に形成することにより、磁性体コア122をリテーナ124に嵌着させる際の位置決めを容易にし、嵌着させやすくしている。また、磁性体コア122を係止する部位となる係止爪124cが磁性体コア122の外周側から内径側へ突出している部位の内接円の直径は、磁性体コア122の外周の直径より小さくなっている。このような形状に形成することにより、嵌着された磁性体コア122を係止し、磁性体コア122の脱離を防止する。
【0040】
なお、リテーナ124は、樹脂等の弾性体で形成されており、磁性体コア122の嵌着時には、係止爪124c,124c,…が外径側へ変形し、磁性体コア122を嵌着させるべく押し込むことが可能である。そして、押し込まれた磁性体コア122は、前述のように、リテーナ124に嵌着され、外周側から内径側へ突出する係止爪124c,124c,…にて係止される。このように形成することで、磁性体コア122が固定され、車両1の走行時の振動による磁性体コア122の脱離、ズレ等の異常の発生を防止することができる。
【0041】
図7は、本発明の実施の形態1に係る給電コネクタ12に対する配線例を示す模式図である。図7は、ハウジング123の筒状部123b及び磁性体コア122の周囲の配線例として、磁性体コア122をチョークコイルとして用いる場合の例を模式的に示している。AC線120,120及び接地用配線は、給電コネクタ12の取付部123aの裏表を貫通し、筒状部123bの内挿管123d,123d,…を通して、筒状部123bの端部から延出している。筒状部123bの端部から延出したAC線120,120は、磁性体コア122に巻回された後、車両1内に搭載された充電器11に接続される。
【0042】
磁性体コア122は、AC線120,120が巻回された後、前述のように筒状部123bに外嵌して固定される。このとき、磁性体コア122に巻回されたAC線120,120の巻回部分は、筒状部123bに形成された溝123e,123eに収められ、巻回部分が磁性体コア122の筒状部123bへの嵌合の妨げとなることはない。そして、磁性体コア122を筒状部123bに外嵌させた上で、リテーナ124を嵌合させることにより、磁性体コア122は、ハウジング123及びリテーナ124にて固定される。
【0043】
このように、磁性体コア122にAC線120,120を巻回させることによって、磁性体コア122及びAC線120,120の巻回部分をチョークコイルとして機能させることができる。
【0044】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1において、リテーナに、磁性体コアの内周側から外径方向へ突出する係止爪を設ける形態である。なお、以降の説明において、実施の形態1と同様の構成については、実施の形態1と同様の符号を付し、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。実施の形態2に係る給電コネクタ12を用いた給電システムの構成例、及び給電コネクタ12が備えるハウジング123の構成例は、実施の形態1と同様であるので、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。
【0045】
図8は、本発明の実施の形態2に係る給電コネクタ12が備える部材の構成例を示す外観底面図である。図8は、磁性体コア122がリテーナ124に嵌着された状態を、ハウジング123に組み合わせる方向から示した外観を底面図として示している。
【0046】
実施の形態2に係るリテーナ124は、磁性体コア122に内嵌し、磁性体コア122の内周に接する部位には、嵌着された磁性体コア122を係止する係止部124b,124bが設けられている。磁性体コア122の外径より大きい外径を有する板状部を有し、係止部124b,124bは、板状部から磁性体コア122の軸方向へ(図8に向かって手前方向へ)突設されている。係止部124b,124bにおいて、磁性体コア122の内周部に接する部位の根元から係止部124b,124bの先端部までの軸方向の長さは、嵌着された磁性体コア122の軸方向の長さより長くなるように設計されている。そして、突設された係止部124b,124bが磁性体コア122を越えた位置には、嵌着された磁性体コア122の内周側から外径側へ突出する係止爪124c,124c,…が設けられている。そして、リテーナ124は、係止爪124c,124c,…により、嵌着された磁性体コア122が脱離しないように係止する。
【0047】
図9は、本発明の実施の形態2に係る給電コネクタ12の構成例を示す外観斜視図であり、図10は、本発明の実施の形態2に係る給電コネクタ12の構成例を示す外観右側面図である。図9は、ハウジング123に対し、図8に示した磁性体コア122を嵌着したリテーナ124を組み合わせた状態を示している。また、図10は、図9に示した給電コネクタ12の外観を右側面図として示したものである。
【0048】
図9及び図10に示すように、リテーナ124は、嵌合部124aにより、ハウジング123の複数の内挿管123d,123d,…を嵌合し、磁性体コア122がハウジング123から脱離することを防止する。
【0049】
また、図10の右側面図に示すように、係止爪124cは、直角三角形状の板状をなし、直角となる頂点が内周側に位置し、直角を形成する二辺が夫々軸方向及び径方向と平行になるように配設されている。従って、係止爪124cを含む係止部124bは、磁性体コア122の嵌着方向、即ち軸方向の先端側へ向かって、径方向の幅が狭くなる。より具体的には、複数の係止爪124c,124c,…の直角三角形の斜辺に外接するものとして想定される外接円の直径は、軸方向の先端部では、磁性体コア122の内周の直径より小さくなっている。このような形状に形成することにより、磁性体コア122をリテーナ124に嵌着させる際の位置決めを容易にし、嵌着させやすくしている。また、磁性体コア122を係止する部位となる係止爪124cが磁性体コア122の外径側へ突出している部位の外接円の直径は、磁性体コア122の内周の直径より大きくなっている。このような形状に形成することにより、嵌着された磁性体コア122を係止し、磁性体コア122の脱離を防止する。
【0050】
なお、リテーナ124は、樹脂等の弾性体で形成されており、磁性体コア122の嵌着時には、係止爪124c,124c,…が内径側へ変形し、磁性体コア122を嵌着させるべく押し込むことが可能である。そして、磁性体コア122は、前述のように、リテーナ124に嵌着され、内周側から外径側へ突出する係止爪124c,124c,…にて係止される。このように形成することで、磁性体コア122が固定され、車両1の走行時の振動による磁性体コア122の脱離、ズレ等の異常の発生を防止することができる。
【0051】
実施の形態2に係る給電コネクタ12に対する配線例は、実施の形態1と同様であるので、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。
【0052】
前記実施の形態1及び2は、本願の無数に存在する実施例の一部に過ぎず、ハウジング等の収容部材及びリテーナ等の脱離防止部材で、環状の磁性体コア等の磁性体を保持し、磁性体を脱離防止部材に嵌着させる様々な形態に適用することが可能である。
【0053】
例えば、実施の形態1及び2を組み合わせ、磁性体の外周側から内径方向へ突出する係止爪及び内周側から外径方向へ突出する係止爪の双方を備える形態等の様々な形態に適用することが可能である。
【0054】
また、脱離防止部材を、嵌合ではなく、例えばネジ止め等の他の態様にて、収容部材に固定することにより、磁性体を保持するようにしても良い。
【0055】
更には、環状以外の形状の磁性体、例えば、棒状、多角形の枠状等の形状の磁性体を用いるようにしても良い。
【0056】
この様に、本発明の給電コネクタは、様々な形態に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 車両
10 バッテリ
11 充電器
12 給電コネクタ
120 内部配線(AC線)
121 接続端子
122 磁性体コア
123 ハウジング(収容部材)
123a 取付部
123b 筒状部
123c 取付孔
123d 内挿管
123f ケーブル接続部
124 リテーナ(脱離防止部材)
124a 嵌合部
124b 係止部
124c 係止爪
2 充電スタンド
20 電源
21 電力供給用内部配線(AC線)
22 接続端子
23 チョークコイル
3 充電ケーブル
30 電力供給線(AC線)
31 給電側接続端子
32 受電側接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への取付が可能であり、給電を受ける手段の収容が可能な収容部材を備える給電コネクタにおいて、
前記収容部材により保持される磁性体と、
該磁性体の脱離を防止する脱離防止部材と
を備え、
前記磁性体は、前記脱離防止部材に嵌着されている
ことを特徴とする給電コネクタ。
【請求項2】
前記脱離防止部材は、嵌着された前記磁性体を係止する係止部を有することを特徴とする請求項1に記載の給電コネクタ。
【請求項3】
前記係止部は、
嵌着方向と平行な方向へ突設されており、
嵌着方向と直角をなす方向の幅は、磁性体を係止する部位より先端側が狭い
ことを特徴とする請求項2に記載の給電コネクタ。
【請求項4】
前記磁性体は、環状をなし、
前記係止部は、前記磁性体の外周側から内径方向へ突出する係止爪を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の給電コネクタ。
【請求項5】
前記磁性体は、環状をなし、
前記係止部は、前記磁性体の内周側から外径方向へ突出する係止爪を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の給電コネクタ。
【請求項6】
車両への取付が可能であり、給電を受ける手段の収容が可能な円筒状の収容部材を備える給電コネクタにおいて、
環状をなし、前記収容部材に対して外嵌する磁性体と、
前記収容部材に対し、軸方向に嵌合して、前記磁性体の脱離を防止する脱離防止部材と
を備え、
前記磁性体は、前記脱離防止部材に嵌着されており、
該脱離防止部材は、嵌着された前記磁性体を係止する係止部を有し、
該係止部は、前記磁性体の外周側から内径方向及び/又は内周側から外径方向へ突出する係止爪を有し、
前記係止部は、
軸方向へ突設されており、径方向の幅は根元側より先端側が狭い
ことを特徴とする給電コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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