統合アンテナ装置
【課題】 装置全体の構成が大型化したり複雑化したりすることなく、複数のアンテナの各々が適切な指向性を実現できるようにする。
【解決手段】 車載統合アンテナ装置1において、GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあって略中央部分に搭載されており、VICSアンテナ3は、グランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心から短辺方向に外れた箇所に給電点11が位置して搭載されている。GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現でき、VICSアンテナ3の指向性として長方形領域13の短辺方向で非対称となる指向性を実現できると共に長方形領域13の長辺方向でも非対称となる指向性を実現できる。
【解決手段】 車載統合アンテナ装置1において、GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあって略中央部分に搭載されており、VICSアンテナ3は、グランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心から短辺方向に外れた箇所に給電点11が位置して搭載されている。GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現でき、VICSアンテナ3の指向性として長方形領域13の短辺方向で非対称となる指向性を実現できると共に長方形領域13の長辺方向でも非対称となる指向性を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天頂方向から到来する第1の電波を受信可能な第1のアンテナと、斜め上方向から到来する第2の電波を受信可能な第2のアンテナと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの双方のグランドとして機能するグランド基板とを備えてなる統合アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンテナが同一のグランド基板に搭載されてなる統合アンテナ装置が供されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−349527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した特許文献1に記載されている統合アンテナ装置では、複数のアンテナのうちの1つであるユニポールアンテナがいずれの方向から到来する電波を受信することを目的として、ユニポールアンテナの指向性が理論特性に近い指向性(対称性を有する指向性)となるように、グランド基板のサイズを大きくしたり形状を複雑にしたりする構成が考えられる。しかしながら、このようにグランド基板のサイズを大きくしたり形状を複雑にしたりする構成では、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりするという問題がある。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりすることなく、複数のアンテナの各々が適切な指向性を実現することができる統合アンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、天頂方向から到来する第1の電波を受信可能な第1のアンテナは、グランド基板の正方形領域にあって略中央部分に搭載されているので、天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる適切な指向性を実現することができる。また、斜め上方向から到来する第2の電波を受信可能な第2のアンテナは、その給電点がグランド基板の長方形領域にあって当該長方形領域の中心から短辺方向に外れた箇所に位置して搭載されているので、その給電点から見てグランド基板の長方形領域の短辺方向の面積に差異が発生されることにより、長方形領域の短辺方向で非対称となる指向性を実現することができると共に、第2のアンテナの給電点から見てグランド基板の長方形領域の長辺方向の面積にも差異が発生されることにより、長方形領域の長辺方向でも非対称となる指向性を実現することができる。
【0006】
これにより、車載統合アンテナ装置に適用され、第1のアンテナとして例えばGPS衛星から送信されたGPS電波を受信するGPSアンテナが適用されると共に第2のアンテナとして例えば路上に設置されているVICS送信機から送信されたVICS電波を受信するVICSアンテナが適用された構成であれば、GPSアンテナが適切な指向性を実現することができ、また、車両進行方向及び走行車線方向の利得が大きくなるようにVICSアンテナが車両に搭載されることにより、VICSアンテナが適切な指向性を実現することができる。さらに、この場合、グランド基板が正方形領域と長方形領域とが組合わされていると共に正方形領域の一部分と長方形領域の一部分とが重複されている矩形形状に形成されているので、グランド基板が大型化したり複雑化したりすることを回避することもでき、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりすることを回避することもできる。
【0007】
請求項2に記載した発明によれば、第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折曲げられてグランド基板に対して略垂直な垂直辺部とグランド基板に対して略平行な平行辺部とを有する形状に形成されているので、アンテナ全体としての高さ方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0008】
請求項3に記載した発明によれば、第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折返された形状に形成されているので、アンテナ全体としての水平方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0009】
請求項4に記載した発明によれば、第2のアンテナとグランド基板との間に誘電体の台座が介挿されているので、波長短縮効果により第2のアンテナのエレメント長を短くすることができ、装置全体を小型化することができると共に、第2のアンテナのエレメントを機械的に保持することもでき、機械的な強度を確保することもできる。
【0010】
請求項5に記載した発明によれば、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、第1の電波及び第2の電波とは帯域が異なる第3の電波を受信可能な第3のアンテナが配設されているので、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0011】
請求項6に記載した発明によれば、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、光信号を受光する受光素子が配設されているので、この場合も、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0012】
請求項7に記載した発明によれば、受光素子は、その受光面が光信号の到来方向に対して略垂直となるように配設されているので、受光効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の統合アンテナ装置を車両に搭載される車載統合アンテナ装置に適用した第1の実施形態について、図1ないし図5を参照して説明する。図1は、車載統合アンテナ装置1の全体構成を概略的に示している。車載統合アンテナ装置1は、GPS衛星から送信された円偏波のGPS電波(本発明でいう第1の電波)を受信するGPSアンテナ2(本発明でいう第1のアンテナ)と、路上に設置されているVICS送信機から送信された垂直・水平偏波のVICS電波(本発明でいう第2の電波)を受信するVICSアンテナ3(本発明でいう第2のアンテナ)とがグランド基板4に搭載されて構成されている。
【0014】
GPSアンテナ2は、GPS衛星から送信された1.5GHz帯域のGPS電波を受信するものであり、板状の放射素子(放射電極)5が直方体形状の誘電体の台座6の表面部6aに搭載されてなるパッチアンテナから構成されており、放射素子5の所定部位が給電点7とされている。
【0015】
VICSアンテナ3は、路上に設置されているVICS送信機から送信された2.5GHz帯域のVICS電波を受信するもので、そのエレメント8がグランド基板4に対して略垂直な2本の垂直辺部9a,9bとグランド基板4に対して略平行な2本の平行辺部10a,10bとを有するように2箇所の途中部位で折曲げられていると共に1箇所の途中部位で折返されている変形折返しモノポールアンテナから構成されており、そのエレメント8の一端側が給電点11とされている。この場合、エレメント8のエレメント長は、VICS電波の波長に「1/2」を乗じた長さに略等しくなるように形成されている。
【0016】
グランド基板4は、正方形領域12と長方形領域13とが組合わされていると共に正方形領域12の一部分12a(図1では−x方向の略半分)と長方形領域13の一部分13a(図1では−y方向の略半分)とが重複されている矩形形状に形成されている。つまり、正方形領域12は、長方形領域13の一部分13aと重複する一部分12aが重複領域とされており、長方形領域13の一部分13aと重複しない他部分12b(図1では+x方向の略半分)が非重複領域とされている。また、長方形領域13は、正方形領域12の一部分12aと重複する一部分13aが重複領域とされており、正方形領域12の一部分12aと重複しない他部分13b(図1では+y方向の略半分)が非重複領域とされている。尚、図1では、グランド基板4の正方形領域12は、1辺の長さが「a」にて示されており、グランド基板4の長方形領域13は、短辺(x方向の辺)の長さが「b」及び長辺(y方向の辺)の長さが「c」にて示されている。
【0017】
さて、GPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の搭載位置について説明する。
GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあって略中央部分に搭載されている。具体的に説明すると、GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあって+x方向の空き領域(GPSアンテナ2がグランド基板4に搭載された状態でグランド基板4が露出されたままの領域)と−x方向の空き領域とが略同一の面積となると共に、+y方向の空き領域と−y方向の空き領域とが略同一の面積となるように正方形領域12に搭載されている。つまり、GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあってx方向に対称性を有すると共に、y方向にも対称性を有するように正方形領域12に搭載されている。
【0018】
一方、VICSアンテナ3は、その給電点11がグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心(図1中「A」参照)から短辺方向(図1では−x方向)に外れた箇所に位置して搭載されている。具体的に説明すると、VICSアンテナ3は、その給電点11から見てグランド基板4の+x方向の面積が−x方向の面積よりも大きくなると共にグランド基板4の−y方向の面積が+y方向の面積よりも大きくなるように長方形領域13に搭載されている。つまり、VICSアンテナ3は、グランド基板4の長方形領域13にあって+x方向の利得が相対的に大きく且つ−x方向の利得が相対的に小さくなるようにx方向に非対称性を有すると共に、−y方向の利得が相対的に大きく且つ+y方向の利得が相対的に小さくなるようにy方向にも非対称性を有するように正方形領域12に搭載されている。
【0019】
そして、以上のように構成されてなる車載統合アンテナ装置1は、例えばアンテナケース(図示せず)に収容された状態で+x方向が車両進行方向側となると共に−y方向が走行車線方向側となり且つ+y方向が対向車線方向側となるように車両に搭載される。尚、この場合、図2に示すように、GPSアンテナ2が受信するGPS電波の到来方向は天頂方向であり、VICSアンテナ3が受信するVICS電波の到来方向は斜め上方向である。
【0020】
ここで、発明者は、上記した車載統合アンテナ装置1におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性を測定すると共に、比較対象として図4に示す構成におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性を測定した。図4は、上記したGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3が単なる正方形形状のグランド基板14に搭載されている構成である。図3は、本実施形態(車載統合アンテナ装置1、図1に示した構成)におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性の測定結果を示しており、図5は、比較対象(図4に示した構成)におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性の測定結果を示している。
【0021】
図3及び図5から明らかなように、本実施形態の構成では、GPSアンテナ2の指向性については、比較対象と同様にして、天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性が実現されていることが判る。一方、VICSアンテナ3の指向性については、車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい非対称となる指向性が実現されていることが判る。
【0022】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、車載統合アンテナ装置1において、GPSアンテナ2がグランド基板4の正方形領域12にあって略中央部分に搭載されるように構成したので、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができる。また、VICSアンテナ3がグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心から短辺方向に外れた箇所に給電点11が位置して搭載されるように構成したので、給電点11から見てグランド基板4にあって長方形領域13の短辺方向の面積に差異が発生されることにより、VICSアンテナ3の指向性として長方形領域13の短辺方向で非対称となる指向性を実現することができると共に、給電点11から見てグランド基板4にあって長方形領域13の長辺方向の面積にも差異が発生されることにより、VICSアンテナ3の指向性として長方形領域13の長辺方向でも非対称となる指向性を実現することができ、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。
【0023】
また、この場合、グランド基板4が正方形領域12と長方形領域13とが組合わされていると共に正方形領域12の一部分12aと長方形領域13の一部分13aとが重複されている矩形形状に形成されているので、グランド基板4が大型化したり複雑化したりすることを回避することもでき、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりすることを回避することもできる。
【0024】
また、VICSアンテナ3のエレメント8がグランド基板4に対して略垂直な2本の垂直辺部9a,9bとグランド基板4に対して略平行な2本の平行辺部10a,10bとを有するように2箇所の途中部位で折曲げられていると共に1箇所の途中部位で折返されている形状に形成されているので、アンテナ全体としての高さ方向の寸法及び水平方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図6を参照して説明する。この第2の実施形態では、図6に示すように、車載統合アンテナ装置21において、VICSアンテナ3とグランド基板4との間に誘電体の台座22が介挿されている。
【0026】
この第2の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、VICSアンテナ3とグランド基板4との間に誘電体の台座22が介挿されるように構成したので、波長短縮効果によりVICSアンテナ3のエレメント長を短くすることができ、装置全体を小型化することができると共に、VICSアンテナ3のエレメント8を機械的に保持することもでき、機械的な強度を確保することもできる。
【0027】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図7を参照して説明する。この第3の実施形態では、図7に示すように、車載統合アンテナ装置31において、VICSアンテナ32がモノポールアンテナから構成されている。この場合、VICSアンテナ32は、そのエレメント33のエレメント長がVICS電波の波長に「1/4」を乗じた長さに略等しくなるように形成されており、その給電点34が上記した第1の実施形態に記載したものと同様にしてグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心(図7中「A」参照)から短辺方向(図7では−x方向)に外れた箇所に位置して搭載されている。
【0028】
この第3の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ32の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、VICSアンテナ32のエレメント33が途中部位で折曲げられることのない形状に形成されているので、VICS電波の垂直偏波を適切に受信することができる。
【0029】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図8を参照して説明する。この第4の実施形態では、図8に示すように、車載統合アンテナ装置41において、VICSアンテナ42が変形モノポールアンテナから構成されている。この場合も、VICSアンテナ42は、そのエレメント43のエレメント長がVICS電波の波長に「1/4」を乗じた長さに略等しくなるように形成されており、その給電点44が上記した第1の実施形態に記載したものと同様にしてグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心(図8中「A」参照)から短辺方向(図8では−x方向)に外れた箇所に位置して搭載されている。
【0030】
この第4の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ42の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、VICSアンテナ42のエレメント43が途中部位で折曲げられている形状に形成されているので、アンテナ全体としての高さ方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0031】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図9を参照して説明する。この第5の実施形態では、図9に示すように、車載統合アンテナ装置51において、GPSアンテナ52がスパイラルアンテナから構成されており、その給電点53がグランド基板4の正方形領域12にあって当該正方形領域12の略中心に位置して搭載されている。
【0032】
この第5の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ52の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。
【0033】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について、図10を参照して説明する。この第6の実施形態では、図10に示すように、車載統合アンテナ装置61において、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域(図10中「P」にて示す領域)に、GPS電波及びVICS電波とは帯域が異なるETC電波を受信可能なETCアンテナ62(本発明でいう第3のアンテナ)が配設されて構成されている。ETCアンテナ62は、路上に設置されているETC送信機から送信されたETC電波を受信するもので、板状の放射素子(放射電極)63が直方体形状の誘電体の台座64の表面部64aに搭載されてなるパッチアンテナから構成されており、放射素子63の所定部位が給電点65とされている。そして、ETCアンテナ62は、ETC電波の到来方向に応じて水平方向から所定角度(約23度)分だけ傾斜されているグランド基板66に搭載されている。
【0034】
この第6の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域にETCアンテナ62が配設されているので、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0035】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について、図11を参照して説明する。この第7の実施形態では、図11に示すように、車載統合アンテナ装置71において、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域(図11中「P」にて示す領域)に、例えば路上機から送出される光信号を受光可能な4個の受光素子72〜75が配設されて構成されている。この場合、受光素子72〜75は、各々の受光面72a〜75aが光信号の到来方向に対して略垂直となるように配設されている。
【0036】
この第7の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域に受光素子72〜75が配設されているので、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
GPSアンテナとVICSアンテナとが統合されてなる車載統合アンテナに適用される構成に限らず、これら以外の他の複数のアンテナが統合されてなる統合アンテナに適用される構成であっても良い。
グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、ETCアンテナと受光素子とが配設されている構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す外観斜視図
【図2】GPS電波の到来方向及びVICS電波の到来方向を概略的に示す図
【図3】GPSアンテナ及びVICSアンテナの各々の指向性を示す図
【図4】比較対象の外観斜視図
【図5】図3相当図
【図6】本発明の第2の実施形態を示す外観斜視図
【図7】本発明の第3の実施形態を示す外観斜視図
【図8】本発明の第4の実施形態を示す外観斜視図
【図9】本発明の第5の実施形態を示す外観斜視図
【図10】本発明の第6の実施形態を示す外観斜視図
【図11】本発明の第7の実施形態を示す外観斜視図
【符号の説明】
【0039】
図面中、1は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、2はGPSアンテナ(第1のアンテナ)、3はVICSアンテナ(第2のアンテナ)、4はグランド基板、8はエレメント、9a,9bは垂直辺部、10a,10bは平行辺部、11は給電点、12は正方形領域、13は長方形領域、21は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、22は台座、31は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、32はVICSアンテナ(第2のアンテナ)、33はエレメント、34は給電点、41は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、42はVICSアンテナ(第2のアンテナ)、43はエレメント、44は給電点、51は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、52はGPSアンテナ(第1のアンテナ)、61は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、62はETCアンテナ(第3のアンテナ)、71は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、72〜75は受光素子、72a〜75aは受光面である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、天頂方向から到来する第1の電波を受信可能な第1のアンテナと、斜め上方向から到来する第2の電波を受信可能な第2のアンテナと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの双方のグランドとして機能するグランド基板とを備えてなる統合アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンテナが同一のグランド基板に搭載されてなる統合アンテナ装置が供されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−349527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した特許文献1に記載されている統合アンテナ装置では、複数のアンテナのうちの1つであるユニポールアンテナがいずれの方向から到来する電波を受信することを目的として、ユニポールアンテナの指向性が理論特性に近い指向性(対称性を有する指向性)となるように、グランド基板のサイズを大きくしたり形状を複雑にしたりする構成が考えられる。しかしながら、このようにグランド基板のサイズを大きくしたり形状を複雑にしたりする構成では、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりするという問題がある。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりすることなく、複数のアンテナの各々が適切な指向性を実現することができる統合アンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、天頂方向から到来する第1の電波を受信可能な第1のアンテナは、グランド基板の正方形領域にあって略中央部分に搭載されているので、天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる適切な指向性を実現することができる。また、斜め上方向から到来する第2の電波を受信可能な第2のアンテナは、その給電点がグランド基板の長方形領域にあって当該長方形領域の中心から短辺方向に外れた箇所に位置して搭載されているので、その給電点から見てグランド基板の長方形領域の短辺方向の面積に差異が発生されることにより、長方形領域の短辺方向で非対称となる指向性を実現することができると共に、第2のアンテナの給電点から見てグランド基板の長方形領域の長辺方向の面積にも差異が発生されることにより、長方形領域の長辺方向でも非対称となる指向性を実現することができる。
【0006】
これにより、車載統合アンテナ装置に適用され、第1のアンテナとして例えばGPS衛星から送信されたGPS電波を受信するGPSアンテナが適用されると共に第2のアンテナとして例えば路上に設置されているVICS送信機から送信されたVICS電波を受信するVICSアンテナが適用された構成であれば、GPSアンテナが適切な指向性を実現することができ、また、車両進行方向及び走行車線方向の利得が大きくなるようにVICSアンテナが車両に搭載されることにより、VICSアンテナが適切な指向性を実現することができる。さらに、この場合、グランド基板が正方形領域と長方形領域とが組合わされていると共に正方形領域の一部分と長方形領域の一部分とが重複されている矩形形状に形成されているので、グランド基板が大型化したり複雑化したりすることを回避することもでき、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりすることを回避することもできる。
【0007】
請求項2に記載した発明によれば、第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折曲げられてグランド基板に対して略垂直な垂直辺部とグランド基板に対して略平行な平行辺部とを有する形状に形成されているので、アンテナ全体としての高さ方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0008】
請求項3に記載した発明によれば、第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折返された形状に形成されているので、アンテナ全体としての水平方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0009】
請求項4に記載した発明によれば、第2のアンテナとグランド基板との間に誘電体の台座が介挿されているので、波長短縮効果により第2のアンテナのエレメント長を短くすることができ、装置全体を小型化することができると共に、第2のアンテナのエレメントを機械的に保持することもでき、機械的な強度を確保することもできる。
【0010】
請求項5に記載した発明によれば、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、第1の電波及び第2の電波とは帯域が異なる第3の電波を受信可能な第3のアンテナが配設されているので、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0011】
請求項6に記載した発明によれば、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、光信号を受光する受光素子が配設されているので、この場合も、グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0012】
請求項7に記載した発明によれば、受光素子は、その受光面が光信号の到来方向に対して略垂直となるように配設されているので、受光効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の統合アンテナ装置を車両に搭載される車載統合アンテナ装置に適用した第1の実施形態について、図1ないし図5を参照して説明する。図1は、車載統合アンテナ装置1の全体構成を概略的に示している。車載統合アンテナ装置1は、GPS衛星から送信された円偏波のGPS電波(本発明でいう第1の電波)を受信するGPSアンテナ2(本発明でいう第1のアンテナ)と、路上に設置されているVICS送信機から送信された垂直・水平偏波のVICS電波(本発明でいう第2の電波)を受信するVICSアンテナ3(本発明でいう第2のアンテナ)とがグランド基板4に搭載されて構成されている。
【0014】
GPSアンテナ2は、GPS衛星から送信された1.5GHz帯域のGPS電波を受信するものであり、板状の放射素子(放射電極)5が直方体形状の誘電体の台座6の表面部6aに搭載されてなるパッチアンテナから構成されており、放射素子5の所定部位が給電点7とされている。
【0015】
VICSアンテナ3は、路上に設置されているVICS送信機から送信された2.5GHz帯域のVICS電波を受信するもので、そのエレメント8がグランド基板4に対して略垂直な2本の垂直辺部9a,9bとグランド基板4に対して略平行な2本の平行辺部10a,10bとを有するように2箇所の途中部位で折曲げられていると共に1箇所の途中部位で折返されている変形折返しモノポールアンテナから構成されており、そのエレメント8の一端側が給電点11とされている。この場合、エレメント8のエレメント長は、VICS電波の波長に「1/2」を乗じた長さに略等しくなるように形成されている。
【0016】
グランド基板4は、正方形領域12と長方形領域13とが組合わされていると共に正方形領域12の一部分12a(図1では−x方向の略半分)と長方形領域13の一部分13a(図1では−y方向の略半分)とが重複されている矩形形状に形成されている。つまり、正方形領域12は、長方形領域13の一部分13aと重複する一部分12aが重複領域とされており、長方形領域13の一部分13aと重複しない他部分12b(図1では+x方向の略半分)が非重複領域とされている。また、長方形領域13は、正方形領域12の一部分12aと重複する一部分13aが重複領域とされており、正方形領域12の一部分12aと重複しない他部分13b(図1では+y方向の略半分)が非重複領域とされている。尚、図1では、グランド基板4の正方形領域12は、1辺の長さが「a」にて示されており、グランド基板4の長方形領域13は、短辺(x方向の辺)の長さが「b」及び長辺(y方向の辺)の長さが「c」にて示されている。
【0017】
さて、GPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の搭載位置について説明する。
GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあって略中央部分に搭載されている。具体的に説明すると、GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあって+x方向の空き領域(GPSアンテナ2がグランド基板4に搭載された状態でグランド基板4が露出されたままの領域)と−x方向の空き領域とが略同一の面積となると共に、+y方向の空き領域と−y方向の空き領域とが略同一の面積となるように正方形領域12に搭載されている。つまり、GPSアンテナ2は、グランド基板4の正方形領域12にあってx方向に対称性を有すると共に、y方向にも対称性を有するように正方形領域12に搭載されている。
【0018】
一方、VICSアンテナ3は、その給電点11がグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心(図1中「A」参照)から短辺方向(図1では−x方向)に外れた箇所に位置して搭載されている。具体的に説明すると、VICSアンテナ3は、その給電点11から見てグランド基板4の+x方向の面積が−x方向の面積よりも大きくなると共にグランド基板4の−y方向の面積が+y方向の面積よりも大きくなるように長方形領域13に搭載されている。つまり、VICSアンテナ3は、グランド基板4の長方形領域13にあって+x方向の利得が相対的に大きく且つ−x方向の利得が相対的に小さくなるようにx方向に非対称性を有すると共に、−y方向の利得が相対的に大きく且つ+y方向の利得が相対的に小さくなるようにy方向にも非対称性を有するように正方形領域12に搭載されている。
【0019】
そして、以上のように構成されてなる車載統合アンテナ装置1は、例えばアンテナケース(図示せず)に収容された状態で+x方向が車両進行方向側となると共に−y方向が走行車線方向側となり且つ+y方向が対向車線方向側となるように車両に搭載される。尚、この場合、図2に示すように、GPSアンテナ2が受信するGPS電波の到来方向は天頂方向であり、VICSアンテナ3が受信するVICS電波の到来方向は斜め上方向である。
【0020】
ここで、発明者は、上記した車載統合アンテナ装置1におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性を測定すると共に、比較対象として図4に示す構成におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性を測定した。図4は、上記したGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3が単なる正方形形状のグランド基板14に搭載されている構成である。図3は、本実施形態(車載統合アンテナ装置1、図1に示した構成)におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性の測定結果を示しており、図5は、比較対象(図4に示した構成)におけるGPSアンテナ2及びVICSアンテナ3の各々の指向性の測定結果を示している。
【0021】
図3及び図5から明らかなように、本実施形態の構成では、GPSアンテナ2の指向性については、比較対象と同様にして、天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性が実現されていることが判る。一方、VICSアンテナ3の指向性については、車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい非対称となる指向性が実現されていることが判る。
【0022】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、車載統合アンテナ装置1において、GPSアンテナ2がグランド基板4の正方形領域12にあって略中央部分に搭載されるように構成したので、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができる。また、VICSアンテナ3がグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心から短辺方向に外れた箇所に給電点11が位置して搭載されるように構成したので、給電点11から見てグランド基板4にあって長方形領域13の短辺方向の面積に差異が発生されることにより、VICSアンテナ3の指向性として長方形領域13の短辺方向で非対称となる指向性を実現することができると共に、給電点11から見てグランド基板4にあって長方形領域13の長辺方向の面積にも差異が発生されることにより、VICSアンテナ3の指向性として長方形領域13の長辺方向でも非対称となる指向性を実現することができ、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。
【0023】
また、この場合、グランド基板4が正方形領域12と長方形領域13とが組合わされていると共に正方形領域12の一部分12aと長方形領域13の一部分13aとが重複されている矩形形状に形成されているので、グランド基板4が大型化したり複雑化したりすることを回避することもでき、装置全体の構成が大型化したり複雑化したりすることを回避することもできる。
【0024】
また、VICSアンテナ3のエレメント8がグランド基板4に対して略垂直な2本の垂直辺部9a,9bとグランド基板4に対して略平行な2本の平行辺部10a,10bとを有するように2箇所の途中部位で折曲げられていると共に1箇所の途中部位で折返されている形状に形成されているので、アンテナ全体としての高さ方向の寸法及び水平方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図6を参照して説明する。この第2の実施形態では、図6に示すように、車載統合アンテナ装置21において、VICSアンテナ3とグランド基板4との間に誘電体の台座22が介挿されている。
【0026】
この第2の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、VICSアンテナ3とグランド基板4との間に誘電体の台座22が介挿されるように構成したので、波長短縮効果によりVICSアンテナ3のエレメント長を短くすることができ、装置全体を小型化することができると共に、VICSアンテナ3のエレメント8を機械的に保持することもでき、機械的な強度を確保することもできる。
【0027】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図7を参照して説明する。この第3の実施形態では、図7に示すように、車載統合アンテナ装置31において、VICSアンテナ32がモノポールアンテナから構成されている。この場合、VICSアンテナ32は、そのエレメント33のエレメント長がVICS電波の波長に「1/4」を乗じた長さに略等しくなるように形成されており、その給電点34が上記した第1の実施形態に記載したものと同様にしてグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心(図7中「A」参照)から短辺方向(図7では−x方向)に外れた箇所に位置して搭載されている。
【0028】
この第3の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ32の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、VICSアンテナ32のエレメント33が途中部位で折曲げられることのない形状に形成されているので、VICS電波の垂直偏波を適切に受信することができる。
【0029】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図8を参照して説明する。この第4の実施形態では、図8に示すように、車載統合アンテナ装置41において、VICSアンテナ42が変形モノポールアンテナから構成されている。この場合も、VICSアンテナ42は、そのエレメント43のエレメント長がVICS電波の波長に「1/4」を乗じた長さに略等しくなるように形成されており、その給電点44が上記した第1の実施形態に記載したものと同様にしてグランド基板4の長方形領域13にあって当該長方形領域13の中心(図8中「A」参照)から短辺方向(図8では−x方向)に外れた箇所に位置して搭載されている。
【0030】
この第4の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ42の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、VICSアンテナ42のエレメント43が途中部位で折曲げられている形状に形成されているので、アンテナ全体としての高さ方向の寸法を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。
【0031】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図9を参照して説明する。この第5の実施形態では、図9に示すように、車載統合アンテナ装置51において、GPSアンテナ52がスパイラルアンテナから構成されており、その給電点53がグランド基板4の正方形領域12にあって当該正方形領域12の略中心に位置して搭載されている。
【0032】
この第5の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ52の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。
【0033】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について、図10を参照して説明する。この第6の実施形態では、図10に示すように、車載統合アンテナ装置61において、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域(図10中「P」にて示す領域)に、GPS電波及びVICS電波とは帯域が異なるETC電波を受信可能なETCアンテナ62(本発明でいう第3のアンテナ)が配設されて構成されている。ETCアンテナ62は、路上に設置されているETC送信機から送信されたETC電波を受信するもので、板状の放射素子(放射電極)63が直方体形状の誘電体の台座64の表面部64aに搭載されてなるパッチアンテナから構成されており、放射素子63の所定部位が給電点65とされている。そして、ETCアンテナ62は、ETC電波の到来方向に応じて水平方向から所定角度(約23度)分だけ傾斜されているグランド基板66に搭載されている。
【0034】
この第6の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域にETCアンテナ62が配設されているので、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0035】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について、図11を参照して説明する。この第7の実施形態では、図11に示すように、車載統合アンテナ装置71において、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域(図11中「P」にて示す領域)に、例えば路上機から送出される光信号を受光可能な4個の受光素子72〜75が配設されて構成されている。この場合、受光素子72〜75は、各々の受光面72a〜75aが光信号の到来方向に対して略垂直となるように配設されている。
【0036】
この第7の実施形態でも、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、GPSアンテナ2の指向性として天頂方向の利得が大きく且つ低仰角にて対称となる指向性を実現することができると共に、VICSアンテナ3の指向性として車両進行方向の利得が大きく且つ車両進行方向とは反対方向の利得が小さいと共に走行車線方向の利得が大きく且つ対向車線方向の利得が小さい適切な指向性を実現することができる。また、この場合、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域に受光素子72〜75が配設されているので、グランド基板4の正方形領域12と長方形領域13とから形成される窪み領域を無駄なく有効に活用することができ、アンテナ装置として多機能化を図ることができる。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
GPSアンテナとVICSアンテナとが統合されてなる車載統合アンテナに適用される構成に限らず、これら以外の他の複数のアンテナが統合されてなる統合アンテナに適用される構成であっても良い。
グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、ETCアンテナと受光素子とが配設されている構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す外観斜視図
【図2】GPS電波の到来方向及びVICS電波の到来方向を概略的に示す図
【図3】GPSアンテナ及びVICSアンテナの各々の指向性を示す図
【図4】比較対象の外観斜視図
【図5】図3相当図
【図6】本発明の第2の実施形態を示す外観斜視図
【図7】本発明の第3の実施形態を示す外観斜視図
【図8】本発明の第4の実施形態を示す外観斜視図
【図9】本発明の第5の実施形態を示す外観斜視図
【図10】本発明の第6の実施形態を示す外観斜視図
【図11】本発明の第7の実施形態を示す外観斜視図
【符号の説明】
【0039】
図面中、1は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、2はGPSアンテナ(第1のアンテナ)、3はVICSアンテナ(第2のアンテナ)、4はグランド基板、8はエレメント、9a,9bは垂直辺部、10a,10bは平行辺部、11は給電点、12は正方形領域、13は長方形領域、21は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、22は台座、31は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、32はVICSアンテナ(第2のアンテナ)、33はエレメント、34は給電点、41は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、42はVICSアンテナ(第2のアンテナ)、43はエレメント、44は給電点、51は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、52はGPSアンテナ(第1のアンテナ)、61は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、62はETCアンテナ(第3のアンテナ)、71は車載統合アンテナ装置(統合アンテナ装置)、72〜75は受光素子、72a〜75aは受光面である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天頂方向から到来する第1の電波を受信可能な第1のアンテナと、斜め上方向から到来する第2の電波を受信可能な第2のアンテナと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの双方のグランドとして機能するグランド基板とを備えてなる統合アンテナ装置であって、
前記グランド基板は、正方形領域と長方形領域とが組合わされていると共に正方形領域の一部分と長方形領域の一部分とが重複されている矩形形状に構成され、
前記第1のアンテナは、前記グランド基板の正方形領域にあって略中央部分に搭載され、
前記第2のアンテナは、その給電点が前記グランド基板の長方形領域にあって当該長方形領域の中心から短辺方向に外れた箇所に位置して搭載されていることを特徴とする統合アンテナ装置
【請求項2】
。
請求項1に記載した統合アンテナ装置において、
前記第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折曲げられて前記グランド基板に対して略垂直な垂直辺部と前記グランド基板に対して略平行な平行辺部とを有する形状に形成されてなる線状または板状の変形アンテナから構成されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載した統合アンテナ装置において、
前記第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折返された形状に形成されてなる変形折返しアンテナから構成されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載した統合アンテナ装置において、
前記第2のアンテナと前記グランド基板との間に誘電体の台座が介挿されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載した統合アンテナ装置において、
前記グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、第1の電波及び第2の電波とは帯域が異なる第3の電波を受信可能な第3のアンテナが配設されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載した統合アンテナ装置において、
前記グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、光信号を受光する受光素子が配設されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項7】
請求項6に記載した統合アンテナ装置において、
前記受光素子は、その受光面が光信号の到来方向に対して略垂直となるように配設されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項1】
天頂方向から到来する第1の電波を受信可能な第1のアンテナと、斜め上方向から到来する第2の電波を受信可能な第2のアンテナと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの双方のグランドとして機能するグランド基板とを備えてなる統合アンテナ装置であって、
前記グランド基板は、正方形領域と長方形領域とが組合わされていると共に正方形領域の一部分と長方形領域の一部分とが重複されている矩形形状に構成され、
前記第1のアンテナは、前記グランド基板の正方形領域にあって略中央部分に搭載され、
前記第2のアンテナは、その給電点が前記グランド基板の長方形領域にあって当該長方形領域の中心から短辺方向に外れた箇所に位置して搭載されていることを特徴とする統合アンテナ装置
【請求項2】
。
請求項1に記載した統合アンテナ装置において、
前記第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折曲げられて前記グランド基板に対して略垂直な垂直辺部と前記グランド基板に対して略平行な平行辺部とを有する形状に形成されてなる線状または板状の変形アンテナから構成されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載した統合アンテナ装置において、
前記第2のアンテナは、そのエレメントが途中部位で折返された形状に形成されてなる変形折返しアンテナから構成されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載した統合アンテナ装置において、
前記第2のアンテナと前記グランド基板との間に誘電体の台座が介挿されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載した統合アンテナ装置において、
前記グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、第1の電波及び第2の電波とは帯域が異なる第3の電波を受信可能な第3のアンテナが配設されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載した統合アンテナ装置において、
前記グランド基板の正方形領域と長方形領域とから形成される窪み領域に、光信号を受光する受光素子が配設されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【請求項7】
請求項6に記載した統合アンテナ装置において、
前記受光素子は、その受光面が光信号の到来方向に対して略垂直となるように配設されていることを特徴とする統合アンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−222657(P2006−222657A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33251(P2005−33251)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]