説明

絶縁被覆電気導体

【課題】モーターや発電機などのコイルを構成するために好適な、コイル中の回路に溶接箇所を設けることにより回路を形成するような場合の溶接熱にも耐えられる被覆金属導体を提供する。
【解決手段】溶接されて回路を形成するコイル中に溶接箇所が設けられているコイルに使用される多層絶縁被覆金属導体において、前記多層絶縁被覆金属導体の多層絶縁被覆層が、少なくとも、ポリアミドイミド樹脂からなる層と、該層より下にポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、およびH種ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる層とを有し、前記多層絶縁被覆層が金属導体に設けられ、該金属導体は酸素含有量が30ppm以下の低酸素銅または無酸素銅である被覆金属導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターや発電機などのコイルを構成するために好適な、コイル中の回路に溶接箇所を設けることにより回路を形成するような場合の溶接熱にも耐えられる絶縁被覆電気導体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気絶縁物で被覆された導体は各種の電気機器に組み込まれ、コイルの用途に大量に使用されている。それはモーターや発電機に代表される電気機器に特に多く使用されている。導体断面が丸形状以外の形状の巻線は、その被覆材料にガラスや紙などの絶縁物を横巻きしたものが旧来使用されてきた。これは、非常に信頼性を要求される機器、たとえば、発電所用の発電機のコイル、変圧器のコイルや車両用の駆動モーターなどの用途に使用されていたものである。
近年、これらの機器より小型の機器にも導体が丸形状以外の巻線、おおむね平角形状のものが使用されるようになってきた。これらの小型機器でもコイルの形状において高性能化が進められ、コイル作成方法も、従来からの巻線と呼ばれていた電線を円周上に巻回してコイルを作成する方法ではなく、コイルの形状に合致した断面形状を持つ被覆導体をつなぎ合わせてコイルを形成する方法が取られるようになった。この小型機器での丸形状以外の導体の巻線を使用することは、コイルのコアとの空隙がなくなり、磁界ロスが少なくなり結果として性能向上となることと、小型機器に使用されるコイルがさらに小型化できることにより進展しているものである。導体を丸以外の形状とすることは、コイル状の回路形成に際して電線を直接長いまま巻回することが困難となるため、短い導体を該コイルの部分形状に形成した後、導体同士を溶接して全体の回路を形成する手法が行われるようになった。
これらのコイルを形成するためには、導体同士の接続が必要となる。導体を接続するために従来は半田付けが行われていた部分に、ヒュージング(圧力をかけながら電気溶接をする)やTIG溶接などの電気溶接方法がとられるようになってきた。これは、従来使用されてきた半田付けでは、半田に含有する鉛などが製品を廃棄する際に環境に与える影響が大きいことと、半田付け部分が機器の振動に対して信頼性が低いことから、現在使用されている導体(銅など)同等のものを接続材料として使用することが要求されるようになったことに由来している。
【0003】
従来、丸エナメル線に使用される被覆材料はポリエステルなどの各種樹脂が使用されてきた。しかしながら、ヒュージングやTIG溶接では、導体に直接熱を加えて導体を溶解し、導体同士を接続することから、接続部分の近傍の絶縁被覆はきわめて高い温度となるため大きな熱劣化を受けることとなる。たとえば、通常の溶接で銅同士を接続するためには、銅の温度を銅の融点以上とする必要があり、そのためにはおよそ1100℃以上に導体温度が上昇する。導体温度の上昇は、その近傍の絶縁被覆の熱劣化を生じさせ、さらに被覆材料中の低分子量成分が熱により蒸発し、被覆に膨れ(発泡)を生じさせることとなり近傍の被覆材料の電気特性が低下することがある。このように溶接の熱が被覆に影響を与えることは周知であるが、この影響を少なくすることは、電気機器の信頼性向上のためにも必要である。溶接部分の導体温度が1100℃となった場合、絶縁性能が必要である皮膜が受ける熱は、溶接部分から10mmの距離でおよそ600℃となる。また、このような被覆の膨れは、従来から使用されているポリアミドイミド樹脂単体では回避することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、モーターや発電機などのコイルを構成するために好適な、コイル中の回路に溶接箇所を設けることにより回路を形成するような場合の溶接熱にも耐えられる被覆電気導体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、被覆電気導体の被覆の材質に注目し、溶接時の熱にも耐えられ、さらに被覆の膨れなどの異常が生じない被膜構成を見いだした。
この溶接時の熱に耐えうる被膜構成に関して発明者らは、溶接時の熱が瞬間的にかかることに着目し、その被膜の耐熱性(瞬間耐熱性)の検証を実施した。被膜の瞬間耐熱性は、導体の溶接時に導体側から伝導すること、導体側に形成されている被覆材料が最も熱劣化を受けやすいこと、導体側の被覆材料から発生する分解ガスが被覆全体にボイドやブリスター(微細な発泡)を生じさせることを確認した。このため、ボイドなどの発生に対抗するために、被覆が加熱されても軟化しない材料を被覆の一部として使用する事を検討し、被覆の一部に特定の材料(ポリイミドやポリエステルイミド、H種ポリエステル樹脂)を使用することで本発明の目的を達成することを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)溶接されて回路を形成するコイル中に溶接箇所が設けられているコイルに使用される多層絶縁被覆金属導体において、前記多層絶縁被覆金属導体の多層絶縁被覆層が、少なくとも、ポリアミドイミド樹脂からなる層と、該層より下にポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、およびH種ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる層とを有し、前記多層絶縁被覆層が金属導体に設けられ、該金属導体は酸素含有量が30ppm以下の低酸素銅または無酸素銅であることを特徴とする被覆金属導体、及び
(2)金属導体の横断面が円以外の形状を有する(1)記載の被覆金属導体
を提供するものである。
本発明における作用が奏される理由については明確ではないが、ポリイミド樹脂は高温時でも室温時に比べ弾性率の低下が少なく、ポリエステルイミド樹脂やH種ポリエステル樹脂は、初期弾性率が高く、また高温時でも軟化しないことによるものと考えられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の被覆金属導体は良好な瞬間耐熱性を有し、過酷なコイル製造工程で高温度の熱がかかる導体の溶接などの加工に対しても皮膜にボイドやブリスターを生起することがなく、健全性が維持されるため、絶縁電線が劣化してしまうことがない。また、本被覆金属導体を使用する場合には、導体側から伝導する熱に対しても絶縁皮膜が熱劣化を起こしにくく、信頼性の高いコイルを提供することができるようになる。このことはコイルを用いる機器全体の性能を高くし、機器に対する信頼性を高めることに寄与するという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において被覆層の一部を形成するために用いられるポリイミド樹脂は、特に制限はなく全芳香族ポリイミド及び熱硬化性芳香族ポリイミドなど周知のポリイミド樹脂を用いることができる。例えば、市販品(東レ・デュポン社製 商品名 #3000など)を用いるか、常法により、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン類を極性溶媒中で反応させて得られるポリアミド酸溶液を用い、被覆を形成する際の焼き付け時の加熱処理によってイミド化させることによって得られるものを用いることができる。
また、ポリエステルイミド樹脂は、ポリイミドの主鎖中にエステル結合を導入して得られる周知のものを用いることができる。市販品としては、例えば、Isomid40SH(日触スケネクタディ(株)製 商品名)が挙げられる。
本発明のうち、H種ポリエステル樹脂は、芳香族ポリエステルのうちフェノール樹脂などを添加することによって樹脂を変性させたもので、耐熱クラスがH種であるものを言う。市販のH種ポリエステル樹脂としては、Isonel200(米スケネクタディインターナショナル社製 商品名)等を挙げることができる。
【0009】
また、被覆層の一部を形成するために用いられるポリアミドイミド樹脂は、市販品(例えば、日立化成(株)社製 商品名 HI406など)を用いるか、常法により、例えば極性溶媒中でトリカルボン酸無水物とジイソシアネート類を直接反応させて得たもの、あるいは、極性溶媒中でトリカルボン酸無水物にジアミン類を先に反応させて、まずイミド結合を導入し、ついでジイソシアネート類でアミド化して得たものを用いることができる。ポリアミドイミド樹脂は、他の樹脂に比べ熱伝導率が低く、絶縁破壊電圧が高く、焼付け硬化が可能なものである。
【0010】
本発明の被覆金属導体においては、ポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、およびH種ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種である絶縁被覆層に接触する層にポリアミドイミド樹脂を使用することにより、強い曲げ加工を受けた場合でも、クレージングや皮膜の割れといった皮膜の伸び率に起因する不具合を解消できる。
【0011】
また本発明導体の被覆の最上層を形成する樹脂には、常法によりワックスや潤滑剤を分散、混合して自己潤滑樹脂として最上層の被覆として使用することもできる。これに使用されるワックスとしては、通常用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンワックス、石油ワックス、パラフィンワックス等の合成ワックスおよびカルナバワックス、キャデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックス等が挙げられる。潤滑剤についても特に制限はなく、例えば、シリコーン、シリコーンマクロモノマー、フッ素樹脂等を用いることができる。なお、本発明の被覆電気導体において、被覆の各樹脂層を形成するための樹脂の形成方法には特に制限はなく、公知の各種の方法によって行うことができる。
【0012】
また、絶縁被覆電気導体において、絶縁被覆層の最下層をポリアミドイミド樹脂とし、さらにその他の樹脂層を介するかまたは直接にポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、およびH種ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする被覆金属導体とすることにより、モーターや変圧器トランスなどで、使用されるときに導体側から伝導する熱に対して、該絶縁皮膜が熱劣化を起こしにくいという作用がある。
樹脂被覆用ワニスは導体上に塗布焼き付けを行い、該被覆電気導体を得ることができる。
【0013】
導体は酸素含有量が30ppm以下の低酸素銅または無酸素銅であり、好ましくは20ppm以下の低酸素銅または無酸素銅の導体を使用することができる。酸素含有量が30ppm以下であれば、導体を溶接するために熱で溶融させた場合、溶接部分に含有酸素に起因するボイドの発生がなく、溶接部分の電気抵抗が悪化することを防止するとともに溶接部分の強度を保持することができる。
また、導体はその横断面が所望の形状のものを使用できるが、円以外の形状を有するものを使用するのが好ましく、特に平角形状のものが好ましい。
【0014】
導体上にこれらの樹脂ワニスを塗布する方法は常法でよく、たとえば、導体形状の相似形としたワニス塗布用ダイスを用いる方法や、もし導体断面形状が四角形であるならば、井桁状に形成された「ユニバーサルダイス」と呼ばれるダイスを用いることができる。これらの樹脂ワニスを塗布した導体はやはり常法にて焼付炉で焼き付けされる。具体的な焼き付け条件はその使用される炉の形状などに左右されるが、およそ5mの自然対流式の竪型炉であれば、400〜500℃にて通過時間を30〜90秒に設定することにより達成することができる。
本発明において前記のポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂およびH種ポリエステル樹脂の少なくとも1種からなる層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは4〜35μm、より好ましくは5〜18μmである。また、ポリアミドイミド樹脂層の厚さは、全体で、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜35μmである。
被覆する皮膜の全体の厚さは、15〜55μm程度であるが、好ましくは25〜50μmである。
【実施例】
【0015】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお実施例および比較例の被覆樹脂の構成などは表1および表2にまとめて示した。また、このようにして得られた樹脂被覆導体についての評価試験結果を表3〜表5に示した。
[実施例1]
1.8×2.5mm(厚さ×幅)で四隅の面取り半径r=0.5mmの平角導体(酸素含有量15ppmの銅)に、下層から、ポリアミドイミド樹脂(PAI)(日立化成(株)製 商品名 HI406)、ポリイミド樹脂(PI)(東レデュポン(株)製 商品名 #3000)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)(日立化成(株)製 商品名 HI406)の順に皮膜を形成し、その全体の皮膜厚さを45μmとした。それぞれの被膜厚さについては表1に記載のとおりである。皮膜の形成に際しては導体の形状と相似形のダイスを複数個使用して、炉長8mの焼付炉にて450℃でおよそ15秒の焼き付け時間にて複数回焼き付けをおこなった。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表3に示した。
[実施例2、3]
使用樹脂は実施例1と同等にし、また樹脂被覆の焼き付けの条件も同一とした。ただし、それぞれの皮膜厚さについては、表1に記載のとおり変更した。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表3に示した。
[比較例1]
1.8×2.5mmで四隅のr=0.5mmの平角導体(実施例1と同質の銅)に、ポリアミドイミド樹脂(PAI)(日立化成(株)製 商品名 HI406)の皮膜を形成し、その全体の皮膜厚さを45μmとした。皮膜の形成に際しては導体の形状と相似形のダイスを複数個使用して、炉長8mの焼き付け炉にて450℃でおよそ15秒の焼き付け時間にて複数回焼き付けをおこなった。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表3に示した。
【0016】
【表1】

【0017】
[実施例4]
2.0×3.0mmで四隅のr=0.8mmの平角導体(酸素含有量20ppmの銅)に、下層から、H種ポリエステル樹脂(HPE)Isonel200(米スケネクタディインターナショナル社製 商品名)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)(日立化成(株)製 商品名 HI406)の順に皮膜を形成し、その全体の皮膜厚さを50μmとした。皮膜の形成に際しては導体の形状と相似形のダイスを複数個使用して、炉長8mの焼き付け炉にて450℃でおよそ20秒の焼き付け時間にて複数回焼き付けをおこなった。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表4に示した。
[実施例5]
使用樹脂は実施例4と同等にし、また樹脂被覆の焼き付けの条件も同一とした。ただし、それぞれの被覆厚さについては、表2に記載のとおり変更した。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表4に示した。
[比較例2]
2.0×3.0mmで四隅のr=0.8mmの平角導体(実施例4と同質の銅)に、H種ポリエステル樹脂(HPE)Isonel200(米スケネクタディインターナショナル社製 商品名)の皮膜を形成し、皮膜厚さを50μmとした。皮膜の形成に際しては導体の形状と相似形のダイスを複数個使用して、炉長8mの焼き付け炉にて450℃でおよそ20秒の焼き付け時間にて複数回焼き付けをおこなった。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表4に示した。
【0018】
[実施例6]
1.5×2.4mmで四隅のr=0.6mmの平角導体(酸素含有量15ppmの銅)に、下層から、ポリアミドイミド樹脂(PAI)(日立化成(株)製 商品名 HI406)、ポリエステルイミド樹脂(PEI)Isomid40SH(日触スケネクタディ(株)製 商品名)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)(日立化成(株)製 商品名 HI406)の順に皮膜を形成し3層構造とし、その全体の皮膜厚さを35μmとした。皮膜の形成に際しては導体の形状と相似形のダイスを複数個使用して、炉長8mの焼き付け炉にて450℃でおよそ20秒の焼き付け時間にて複数回焼き付けをおこなった。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表5に示した。
[実施例7]
1.5×2.4mmで四隅のr=0.6mmの平角導体(実施例6と同質の銅)に、下層から、ポリエステルイミド樹脂(PEI)Isomid40SH(日触スケネクタディ(株)製 商品名)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)(日立化成(株)製 商品名 HI406)の順に皮膜を形成し、その全体の皮膜厚さを35μmとした。皮膜の形成に際しては導体の形状と相似形のダイスを複数個使用して、炉長8mの焼き付け炉にて450℃でおよそ20秒の焼き付け時間にて複数回焼き付けをおこなった。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表5に示した。
[比較例3]
5×2.4mmで四隅のr=0.6mmの平角導体(実施例6と同質の銅)に、ポリエステルイミド樹脂(PEI)Isomid40SH(日触スケネクタディ(株)製 商品名)の皮膜を形成し、その全体の皮膜厚さを35μmとした。皮膜の形成に際しては導体の形状と相似形のダイスを複数個使用して、炉長8mの焼き付け炉にて450℃でおよそ20秒の焼き付け時間にて複数回焼き付けをおこなった。この樹脂被覆導体について、評価試験を行った結果を表5に示した。
【0019】
【表2】

【0020】
評価の方法
曲げ(エッジワイズ曲げ)
被覆導体のエッジ面方向に180°に曲げを行う(エッジワイズ曲げ)。曲げ半径は導体の幅方向の寸法と同等にした(1w曲げ)。この曲げを行ったのち、JIS C3003規定のピンホール試験を実施し、ピンホールの発生を調査した。「良」は曲げを行ったとき皮膜割れが見られず、ピンホールの発生もないことを意味している。
瞬間耐熱性(ヒュージング)
被覆導体のフラット面を直交させ、その交差部分の上下を電極で挟み、表記載の電流条件にて溶接を行った場合の溶接直近の被覆の荒れを調査した。「良」はボイドや焼けがないことを意味している。
瞬間耐熱性(TIG溶接)
被覆導体2本の端末を5mmだけ被覆を剥離し、それぞれを平行に剥離面がエッジ面で接触するように固定したものの突き合わせ面をTIG溶接した。条件は表による。この場合の溶接面部分直近の皮膜の荒れを調査した。「良」は、ボイドや焼けがないことを意味している。
絶縁破壊電圧
JIS C3003記載の金属箔法を用いて実施した。表にはn=5の平均値を示した。また、230℃の恒温槽に5日間静置したサンプルについても実施した。
【0021】
【表3】

【0022】
【表4】

【0023】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接されて回路を形成するコイル中に溶接箇所が設けられているコイルに使用される多層絶縁被覆金属導体において、前記多層絶縁被覆金属導体の多層絶縁被覆層が、少なくとも、ポリアミドイミド樹脂からなる層と、該層より下にポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、およびH種ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる層とを有し、前記多層絶縁被覆層が金属導体に設けられ、該金属導体は酸素含有量が30ppm以下の低酸素銅または無酸素銅であることを特徴とする被覆金属導体。
【請求項2】
金属導体の横断面が円以外の形状を有する請求項1記載の被覆金属導体。

【公開番号】特開2008−84874(P2008−84874A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299746(P2007−299746)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【分割の表示】特願2000−304211(P2000−304211)の分割
【原出願日】平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】