説明

継手、通水管の接続端部、および通水管の接続方法

【課題】 状況に応じて接続方法を選択することができるとともに、通水管を確実に接続することができ、かつ、接続のやり直しを容易に行なうことができる、継手を提供する。
【解決手段】 継手2は、通水管1の端部部分1aが差し込まれる受口3と、止水部材4と、受口3に着脱可能であって端部部分1aが挿入される係合体5と、その係合体5と係合する取着体6aとを、備える。ここで、係合体5は、端部部分1aの外側に嵌まる筒状の係合体本体5aと、その係合体本体5aの内側に保持されて端部部分1aが通る抜止めリング5bとを備える。この抜止めリング5bは、端部部分1aを係止する弾性変形可能な係止爪5dを有する。取着体6aは、端部部分1aが挿入された係合体5が受口3に装着された状態で、通水管1の側方から近づくようにして受口3に取り付け可能であるとともに、通水管1から側方に離れるようにして受口3から取り外し可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂製の通水管が接続される継手、通水管の接続端部、および通水管の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製の通水管が接続される継手があった(例えば、特許文献1参照)。図13に示されるように、この継手11は、管接続部12に、ロックリング13が設けられていた。そして、管接続部12への通水管(図示せず)の接続にあたっては、管接続部12に通水管を挿入すると、前記ロックリング13が通水管に係合し、こうして、通水管の抜出しが防止された。また、この継手11は、通水管の挿入状態を確認できるように、透明な合成樹脂で成形されることがあった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−130266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の継手11においては、視認し難い場所や、通水管を挿入し難い場所に、継手11が設置されると、継手11への通水管の挿入状態を確認することが困難であったり、通水管が管接続部12の奥まで挿入されない虞があった。
【0005】
また、継手11に通水管を接続するにあたって、差し間違えが起こった場合、継手11からの通水管の解除について考慮されていなかった。このため、このような場合には、通水管を切断し継手11を交換して接続し直さなければならなかった。
【0006】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、状況に応じて接続方法を選択することができるとともに、通水管を確実に接続することができ、かつ、接続のやり直しを容易に行なうことができる、継手を提供することにある。
【0007】
また、他の目的は、通水管を確実に接続することができ、かつ、接続のやり直しを容易に行なうことができる、通水管の接続端部、および通水管の接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る継手、通水管の接続端部、および通水管の接続方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る継手は、合成樹脂製の通水管が接続される継手である。この継手は、前記通水管の端部部分が、その端部部分の軸心方向の一方を向く接続方向に向かって差し込まれる受口と、前記受口と前記端部部分との間を止水する止水部材と、前記受口に前記接続方向に向かって装着可能であるとともに前記接続方向とは反対の反接続方向に向かって抜脱可能であって、前記端部部分が挿入される係合体と、前記受口に着脱可能に取り付けられて、前記係合体が前記受口に対して抜け止めされるよう、その係合体と係合する取着体とを、備える。ここで、前記係合体は、前記端部部分の外側に嵌まる筒状の係合体本体と、その係合体本体の内側に保持されて前記端部部分が通る抜止めリングとを備える。この抜止めリングは、リング本体と、そのリング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、前記端部部分を係止する弾性変形可能な係止爪とを、有する。そして、前記取着体は、前記端部部分が挿入された前記係合体が前記受口に装着された状態で、前記通水管の側方から近づくようにして前記受口に取り付け可能であるとともに、前記通水管から側方に離れるようにして前記受口から取り外し可能に形成されている。
【0009】
この継手によれば、継手に通水管を接続するにあたっては、二つの接続方法を採ることができる。第一の接続方法としては、継手の受口に、予め、係合体を装着し、さらに取着体を取り付けることで、係合体が、取着体によって、受口に対して抜け止めされた状態にしておく。そして、この係合体と取着体とが取り付けられた受口に対して、通水管の端部部分を差し込む。これにより、係合体における抜止めリングの係止爪が、通水管の端部部分を係止し、この通水管は、受口、つまりは継手に接続される。また、第二の接続方法としては、継手の受口には、係合体と取着体とが取り付けられていない状態にしておく。そして、通水管の端部部分においては、予め、その端部部分を係合体に挿入しておく。このとき、係合体における抜止めリングの係止爪が、通水管の端部部分を係止し、係合体は、通水管の端部部分に取り付けられる。そこで、継手の受口に対して、係合体が取り付けられた通水管の端部部分を差し込み、取着体を取り付ける。これにより、係合体が、取着体によって、受口に対して抜け止めされた状態となり、通水管は、受口、つまりは継手に接続される。このようにして、継手に通水管を接続するにあたっては、二つの接続方法があるため、状況に応じてこれら接続方法の一方を選択することができる。特に、第二の接続方法を選択することで、すなわち、通水管を継手の受口に差し込む前に、予め、外部で、通水管の端部部分に係合体を取り付けることで、係合体に対する端部部分の挿入状態を把握することができる。そこで、このような係合体が取り付けられた通水管の端部部分を、継手の受口に差し込むことで、継手が、視認し難い場所や、通水管を差し込み難い場所にある場合であっても、通水管を継手に確実に接続することができる。
【0010】
反対に、継手から通水管を取り外すには、まず、継手の受口から取着体を取り外す。そして、継手の受口から、通水管の端部部分を、係合体が取り付けられた状態で取り外す。こうして、係合体とともに通水管を、継手から取り外すことができるが、この係合体が取り付けられた通水管を、再度、継手に接続するには、第二の接続方法を用いることができ、このため、接続のやり直しを容易に行なうことができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明に係る継手のように、請求項1に記載の継手において、前記係合体は、前記抜止めリングを、前記係合体本体の軸心方向に複数備えてもよい。
【0012】
また、請求項3に記載の発明に係る継手のように、請求項1または2に記載の継手において、前記止水部材は、前記係合体よりも、前記受口の奥側に配置されて、前記受口と前記通水管の端部部分の外周面との間を止水してもよい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明に係る継手のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の継手において、前記通水管の端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部を備え、前記コア部は、少なくとも、前記係合体と対応する位置に設けられてもよい。
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係る継手のように、請求項3に記載の継手において、前記通水管の端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部を備え、前記コア部は、少なくとも、前記止水部材および前記係合体と対応する位置に設けられてもよい。
【0015】
また、請求項6に記載の発明に係る継手のように、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の継手において、前記受口は、前記通水管の端部部分が所定位置を越えて前記接続方向に進むのを規制する規制部を有するのが望ましい。
【0016】
また、請求項7に記載の発明に係る通水管の接続端部は、継手に合成樹脂製の通水管を接続するために、前記継手の受口に、前記通水管の端部部分の軸心方向の一方を向く接続方向に向かって差し込まれる接続端部である。この接続端部は、前記端部部分と、前記受口に前記接続方向に向かって装着可能であるとともに前記接続方向とは反対の反接続方向に向かって抜脱可能であって、前記端部部分が挿入されるようにしてその端部部分に取り付けられた係合体とを、備える。ここで、前記係合体は、前記受口に対して抜け止めされるよう、その受口に設けられる係止手段と係合可能である。そして、前記係合体は、前記端部部分の外側に嵌まる筒状の係合体本体と、その係合体本体の内側に保持されて前記端部部分が通る抜止めリングとを備える。この抜止めリングは、リング本体と、そのリング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、前記端部部分を係止する弾性変形可能な係止爪とを、有する。
【0017】
この通水管の接続端部によると、通水管の端部部分を係合体に挿入することで、係合体における抜止めリングの係止爪が、通水管の端部部分を係止し、係合体は、通水管の端部部分に取り付けられる。そこで、継手に通水管を接続するにあたっては、継手の受口に対して、係合体が取り付けられた通水管の端部部分、すなわち接続端部を差し込み、その係合体に係止手段を係合させる。これにより、係合体が、係止手段によって、受口に対して抜け止めされた状態となり、通水管は、受口、つまりは継手に接続される。このように、通水管を継手の受口に差し込む前に、予め、外部で、通水管の端部部分に係合体を取り付けることで、係合体に対する端部部分の挿入状態を把握することができる。そこで、このような係合体が取り付けられた通水管の端部部分、つまり接続端部を、継手の受口に差し込むことで、継手が、視認し難い場所や、通水管を差し込み難い場所にある場合であっても、通水管を継手に確実に接続することができる。
【0018】
反対に、継手から通水管を取り外すには、まず、係合体への係止手段の係合を解除する。そして、継手の受口から、通水管の端部部分を、係合体が取り付けられた状態、つまり接続端部の状態で取り外す。こうして、係合体とともに通水管を、継手から取り外すことができるが、この係合体が取り付けられた通水管を、再度、同様の方法で、継手に接続することができ、このため、接続のやり直しを容易に行なうことができる。
【0019】
また、請求項8に記載の発明に係る通水管の接続端部のように、請求項7に記載の接続端部において、前記係合体は、前記抜止めリングを、前記係合体本体の軸心方向に複数備えてもよい。
【0020】
また、請求項9に記載の発明に係る通水管の接続端部のように、請求項7または8に記載の接続端部において、前記係合体は、前記端部部分における、外周面に止水部材が密接するための端部部分前部よりも後方の、端部部分後部に設けられてもよい。
【0021】
また、請求項10に記載の発明に係る通水管の接続端部のように、請求項9に記載の接続端部において、前記端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部材を備え、前記コア部材は、少なくとも、前記端部部分後部に設けられてもよい。
【0022】
また、請求項11に記載の発明に係る通水管の接続端部のように、請求項9に記載の接続端部において、前記端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部材を備え、前記コア部材は、少なくとも、前記端部部分前部および前記端部部分後部に設けられてもよい。
【0023】
また、請求項12に記載の発明に係る通水管の接続方法は、請求項7ないし11のいずれか1項に記載の通水管の接続端部を継手に接続する、通水管の接続方法であって、前記端部部分に前記係合体が取り付けられてなる前記接続端部を、前記継手の受口に差し込み、その後、前記係合体に前記係止手段を係合させる。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係る継手によれば、継手に通水管を接続するにあたっては、第一の接続方法と第二の接続方法という二つの接続方法があるため、状況に応じてこれら接続方法の一方を選択することができる。そして、第二の接続方法を選択することで、すなわち、通水管を継手の受口に差し込む前に、予め、外部で、通水管の端部部分に係合体を取り付けることで、係合体に対する端部部分の挿入状態を把握することができ、このような係合体が取り付けられた通水管の端部部分を、継手の受口に差し込むことで、継手が、視認し難い場所や、通水管を差し込み難い場所にある場合であっても、通水管を継手に確実に接続することができる。また、通水管を、係合体が取り付けられた状態で、継手から取り外すことができ、そして、この係合体が取り付けられた通水管を、再度、継手に接続するには、第二の接続方法を用いることができ、このため、接続のやり直しを容易に行なうことができる。
【0025】
また、この発明に係る通水管の接続端部、および通水管の接続方法によれば、通水管を継手の受口に差し込む前に、予め、外部で、通水管の端部部分に係合体を取り付けることで、係合体に対する端部部分の挿入状態を把握することができ、このような係合体が取り付けられた通水管の端部部分を、継手の受口に差し込むことで、継手が、視認し難い場所や、通水管を差し込み難い場所にある場合であっても、通水管を継手に確実に接続することができる。また、通水管を、係合体が取り付けられた状態で、継手から取り外すことができ、そして、この係合体が取り付けられた通水管を、再度、同様の方法で、継手に接続することができ、このため、接続のやり直しを容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図7は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、配管材としての、可撓性を有する合成樹脂製の通水管であり、例えば、架橋ポリエチレンとかポリブデン等の合成樹脂管からなる。2は、前記通水管1が接続される継手である。
【0028】
この継手2は、通水管1の端部部分1aが、その端部部分1aの軸心1b方向の一方を向く接続方向Pに向かって差し込まれる受口3と、止水部材4と、係合体5と、係止手段(詳細には、取着体6a)とを、備える。ここで、止水部材4は、前記受口3と通水管1の端部部分1aとの間を止水するものであって、オーリング等のパッキンからなる。
【0029】
係合体5は、前記受口3に前記接続方向Pに向かって装着可能であるとともに前記接続方向Pとは反対の反接続方向Qに向かって抜脱可能であって、通水管1の端部部分1aが挿入されるものである。この係合体5は、受口3に対して抜け止めされるよう、その受口3に設けられる係止手段6と係合可能となっている。そして、係合体5は、通水管1の端部部分1aの外側に嵌まる筒状の係合体本体5aと、その係合体本体5aの内側に保持されて通水管1の端部部分1aが通る抜止めリング5bとを備える。ここで、抜止めリング5bは、リング本体5cと、そのリング本体5cから前記接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて延出されて、通水管1の端部部分1aを係止する弾性変形可能な係止爪5dとを、有している。
【0030】
係止手段6は、取着体6aからなり、前記受口3に着脱可能に取り付けられて、前記係合体5が受口3に対して抜け止めされるよう、その係合体5と係合するものである。この取着体6aは、通水管1の端部部分1aが挿入された係合体5が受口3に装着された状態で、通水管1の側方から近づくようにして受口3に取り付け可能であるとともに、通水管1から側方に離れるようにして受口3から取り外し可能に形成されている。
【0031】
また、符号7は、継手2に通水管1を接続するために、継手2の受口3に、前記接続方向Pに向かって差し込まれる接続端部である。この通水管1の接続端部7は、前記端部部分1aと、その端部部分1aが挿入されるようにしてその端部部分1aに取り付けられた前記係合体5とを、備えている。
【0032】
具体的には、継手2は、水が通るように筒状に形成された継手本体2aを備え、その継手本体2aの一端側が、前記受口3となっている。そして、受口3は、通水管1の端部部分1aが所定位置を越えて前記接続方向Pに進むのを規制する規制部3aを有する。図示実施の形態においては、受口3の内側は、通水管1の端部部分1aおよび係合体5が収容される収容孔3bとなっており、その収容孔3bの奥端に、段部からなる前記規制部3aが設けられている。そして、収容孔3bの奥側は、端部部分1aにおける後述する端部部分前部1cが嵌まる径小孔3cとなり、収容孔3bの口元側は、係合体5が嵌まる径大孔3dとなっている。そして、径小孔3cの周面には、止水部材4が嵌まる溝3eが形成されている。こうして、止水部材4は、係合体5よりも、受口3の奥側に配置されて、受口3と端部部分1a(詳細には、端部部分前部1c)の外周面との間を止水することとなる。また、受口3には、その外周部に開口する(詳細には、受口3の外周の四方箇所に突設された各取着体挿入部M、Mに開口する)孔3f、3fが、収容孔3b(詳細には、径大孔3d)を横切るように明けられている。
【0033】
係合体5は、前記抜止めリング5bを、前記係合体本体5aの軸心5e方向に複数(図示実施の形態においては、4枚)備える。詳細には、抜止めリング5bは、例えば、ステンレス鋼板等の、金属製の板材からなり、前記リング本体5cが、平板リング状に形成されて、前記係止爪5dが、リング本体5cの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、14個)設けられている(図5参照)。この係止爪5dは、リング本体5cの内周から延設されて、先端部分は、中央が突出するように先細り状に形成されている。ここで、抜止めリング5bの厚さは、その抜止めリング5bに通水管1の端部部分1aが通る際に通水管1の外周面に傷を付けにくい厚さとなるために、0.1〜0.2mmであるのが望ましい。そして、この抜止めリング5bは、複数設けられることで、通水管1の抜けに対する力が分散されて吸収されるが、特に、この抜止めリング5bの枚数は、3〜5枚であるのが望ましい。もっとも、係合体5における抜止めリング5bの厚さと枚数は、通水管1の挿入にかかる力と引き抜きにかかる力によって、選択可能であって、前記厚さと枚数の範囲に限定されるものではない。
【0034】
そして、係合体本体5aは、筒状体5fと、その筒状体5f内に収容されて、抜止めリング5bを挟むようにして支持する第1および第2の支持リング5g、5hとからなる。筒状体5fは、前端に、第1の支持リング5gを抜け止めするように、内側に折れ曲がって延びる前部片5iを有している。そこで、筒状体5fには、その後方から、第1の支持リング5gと抜止めリング5bとが交互に挿入され、最後に第2の支持リング5hが挿入される。そして、筒状体5fの後端が、第2の支持リング5hを抑えるように内側にかしめられる。ここにおいて、第1の支持リング5gは、抜止めリング5bの数に合わせて、4つ設けられている。そして、第1の支持リング5gは、その内径が、通水管1の外径よりも大きく、通水管1との間に抜止めリング5bの係止爪5dを収容する空隙5jが形成される。また、第2の支持体5hは、その内径が、通水管1の外径とほぼ同じであって、通水管1の外周面に近接あるいは当接することとなる。なお、前記接続端部7において、係合体5は、通水管1の端部部分1aにおける、外周面に止水部材4が密接するための端部部分前部1cよりも後方の、端部部分後部1dに設けられる。
【0035】
ところで、この係合体5は、継手本体2a(詳細には、受口3)とか、通水管1(詳細には、端部部分1a)とは、別体に形成されており、継手2における係合体5は、受口3に装着された係合体であるか、それとも装着される前の係合体であるか、さらには、通水管1の端部部分1aが挿入された係合体であるか、それとも挿入される前の係合体であるかは、問わない。また、継手本体2aと係合体5、通水管1と係合体5とは、セットで販売されてもよいが、別々に販売されてもよい。つまり、係合体5は、別売されても構わない。
【0036】
取着体6aは、例えば、金属製の線材からなり、略コの字形状に形成されている(図2参照)。この取着体6aは、略コの字形状の対向する対向片6b、6bが、通水管1を挟むように受口3の孔3f、3fに挿入されて、係合体5の後端と係合する。このとき、取着体6aにおける、対向片6b、6bを繋ぐ中間片6cが、受口3に設けられた掛止部3gに掛かり、こうして、取着体6aは、孔3fに対して抜け止めされる。この掛止部3gは、前記中間片6cと掛かり合う出っ張りNを有して、受口3の外周から突設されており、少なくとも前記出っ張りNは、弾性変形可能であるため、取着体6aは、受口3に対して着脱可能となる(図3参照)。図示実施の形態においては、前記掛止部3gは、前記径大孔3dを挟んで対向位置するように、受口3の外周に一対設けられている。
【0037】
また、継手2は、通水管1の端部部分1aの内側に嵌まる筒状のコア部8を備えている。このコア部8は、少なくとも、係合体5と対応する位置(詳細には、少なくとも、止水部材4および係合体5と対応する位置)に設けられる。図示実施の形態においては、コア部8は、受口3とは別体のコア部材8aからなり、通水管1を受口3に差し込む前に、予め、このコア部材8aが通水管1の端部部分1aに挿入される。こうして、このコア部材8aは、少なくとも、通水管1の端部部分1aにおける前記端部部分後部1d(詳細には、少なくとも、端部部分1aにおける前記端部部分前部1cおよび前記端部部分後部1d)に設けられることとなる。
【0038】
この継手2によれば、継手2への通水管1の接続方法として、二つの接続方法を採ることができる。第一の接続方法としては、図6に示すように、継手2の受口3に、予め、係合体5を装着し、さらに取着体6aを取り付けることで、係合体5が、取着体6aによって、受口3に対して抜け止めされた状態にしておく。そして、この係合体5と取着体6aとが取り付けられた受口3に対して、通水管1の端部部分1aを差し込む(図6、図1参照)。これにより、係合体5における抜止めリング5bの係止爪5dが、通水管1の端部部分1aを係止し、この通水管1は、受口3、つまりは継手2に接続される。
【0039】
また、第二の接続方法としては、図7に示すように、継手2の受口3には、係合体5と取着体6aとが取り付けられていない状態にしておく。そして、通水管1の端部部分1aにおいては、受口3の外部で、予め、その端部部分1aを係合体5に挿入しておく。このとき、係合体5における抜止めリング5bの係止爪5dが、通水管1の端部部分1aを係止し、係合体5は、端部部分1aに取り付けられる。そこで、継手2の受口3に対して、係合体5が取り付けられた通水管1の端部部分1a、つまり接続端部7を差し込み、取着体6aを取り付ける(図7、図1参照)。すなわち、端部部分1aに係合体5が取り付けられてなる接続端部7を、継手2の受口3に差し込み、その後、係合体5に係止手段6としての取着体6aを係合させる。これにより、係合体5が、取着体6aによって、受口3に対して抜け止めされた状態となり、通水管1は、受口3、つまりは継手2に接続される。
【0040】
このように、継手2に通水管1を接続するにあたっては、第一の接続方法と第二の接続方法という二つの接続方法があるため、状況に応じてこれら接続方法の一方を選択することができる。例えば、継手2が、視認できる場所や、通水管1を差し込みしやすい場所にある場合には、第一の接続方法を選択することで、すなわち、継手2の受口3に係合体5を収容した状態で、通水管1を受口3に差し込むことで、通水管1を継手2に簡単に接続することができる。そして、特に、第二の接続方法を選択することで、すなわち、通水管1を継手2の受口3に差し込む前に、予め、外部で、通水管1の端部部分1aに係合体5を取り付けることで、係合体5に対する端部部分1aの挿入状態を把握することができる。そこで、このような係合体5が取り付けられた通水管1の端部部分1a、つまり接続端部7を、継手2の受口3に差し込むことで、継手2が、視認し難い場所や、通水管1を差し込み難い場所にある場合であっても、通水管1を継手2に確実に接続することができる。
【0041】
さらに、外部で、通水管1の端部部分1aに係合体5を取り付けるにあたって、端部部分1aを係合体5に挿入した後に、端部部分1aを係合体5に対して引き戻すように力を加えることで、抜止めリング5bの係止爪5dを通水管1(詳細には、端部部分1a)に食い込ませることができる。そして、この状態で、通水管1の端部部分1a(詳細には、接続端部7)を受口3に差し込むことで、通水管1を継手2に一層確実に接続することができる。
【0042】
反対に、継手2から通水管1を取り外すには、まず、継手2の受口3から取着体6aを取り外して、係合体5への取着体6aの係合を解除する。そして、継手2の受口3から、通水管1の端部部分1aを、係合体5が取り付けられた状態、つまり接続端部7の状態で取り外す(図7参照)。こうして、係合体5とともに通水管1を、継手2から取り外すことができるが、この係合体5が取り付けられた通水管1を、再度、継手2に接続するには、同様の方法(つまり、第二の接続方法)を用いることができる。このように、通水管1を、係合体5が取り付けられた状態で、継手2から取り外すことができ、そして、この係合体5が取り付けられた通水管1を、同様の方法で(つまり、第二の接続方法を用いて)、再度、継手2に接続することができる。このため、例えば、通水管1の差し間違えがあっても、継手2の交換とか通水管1の切断とかをする必要なく、接続のやり直しを容易に行なうことができる。
【0043】
図8は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態においては、第一の実施の形態とは、コア部8が、受口3と一体に形成され、そのコア部8に止水部材4が取り付けられるが、他はほぼ同様であり、以下に、同一の機能を有する部分には、同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0044】
受口3の内側の収容孔3bには、その奥側から口元側に突出するようにして、コア部8が形成されている。そして、このコア部8の外周面には、止水部材4が嵌まる溝3eが形成されている。こうして、止水部材4は、コア部8つまりは受口3と、通水管1の端部部分1aの内周面との間を止水することとなる。
【0045】
係合体5においては、係合体本体5aにおける筒状体5fは、前部片5iが、第1の支持リング5gを抜け止めするように、そして、端部部分1aの先端面が当たるように、内側に折れ曲がって延びている。
【0046】
この第二の実施の形態における継手2の作用効果は、第一の実施の形態と同様であるが、接続端部7においては、通水管1における端部部分1aの先端面が、係合体本体5a(詳細には、筒状体5fの前部片5i)に当接するため、端部部分1aが所定位置を越えて係合体5に挿入されることがない。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、継手2は、その継手本体2aの一端側が上述した受口3となっているが、他端側にも同様の受口、あるいは他の構造の受口を備えてもよく、また、継手2は、L字型に屈曲してその両端部が受口となっていてもよく、さらには、継手本体2aを分岐するように形成することで、受口を三つ以上備えるようにしてもよい。
【0048】
また、取着体6aは、通水管1の端部部分1aが挿入された係合体5が受口3に装着された状態で、通水管1の側方から近づくようにして受口3に取り付け可能であるとともに、通水管1から側方に離れるようにして受口3から取り外し可能に形成されるのであれば、以下に示す変形態様のようにしてもよい。
【0049】
第一変形態様としては、図9〜図10に示すように、受口3と取着体6aとで、通水管1の端部部分1aと係合体5とを収容する収容孔3bを形成するようにしてもよい。すなわち、受口3は、一部が切り欠かれ、その切り欠かれた部分を埋めるように、取着体6aが形成されている。図示実施の形態においては、取着体6aは、係合体5を部分的に覆うように、半円よりも若干延びて形成されている。そして、取着体6aは、前側が、受口3を覆うように、前方に延びて、その延びた前端部には、内側に突出形成されて受口3に設けられた凹部3hと係合する第1係合部6eが設けられている。また、取着体6aの後端部には、内側に突出形成されて係合体5(詳細には、係合体5の後端)と係合する第2係合部6fが設けられており、この第2係合部6fによって、係合体5は、受口3に対して抜け止めされる。そして、取着体6aは、受口3に設けられた被係合部3iに係合する係合爪6gを備えており、この係合爪6gによって、取着体6aは、受口3に着脱可能に取り付けられる。
【0050】
また、第二変形態様としては、図11〜図12に示すように、取着体6aは、リングを二分割した形状の二つの分割体6h、6hからなっていてもよい。この取着体6aは、二つの分割体6h、6hを合わせることでリングが形成され、その外周に設けられた雄ねじ6iが、受口3の内周に設けられた雌ねじ3jに螺合することで、その受口3に着脱可能に取り付けられる。
【0051】
また、受口3には、止水部材4が、第一の実施の形態では一つ設けられ、第二の実施の形態では二つ設けられているが、止水部材4の数は、一つとか二つに限定さるものではなく、必要に応じて幾つ設けられても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の第一の実施の形態の、縦断面図である。
【図2】同じく、図1におけるA−A線による断面図である。
【図3】同じく、図2におけるK矢視図である。
【図4】同じく、係合体の拡大縦断面図である。
【図5】同じく、抜止めリングを示し、(a)は、拡大平面図であり、(b)は、(a)におけるB−B線による断面図である。
【図6】同じく、継手に通水管を接続する第一の接続方法を示す縦断面図である。
【図7】同じく、継手に通水管を接続する第二の接続方法を示す縦断面図である。
【図8】この発明の第二の実施の形態の、縦断面図である。
【図9】この発明の第一変形態様を示す、縦断面図である。
【図10】同じく、図9におけるC−C線による断面図である。
【図11】この発明の第二変形態様を示す、縦断面図である。
【図12】同じく、図11におけるD−D線による断面図である。
【図13】従来の継手を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 通水管
1a 端部部分
1b 軸心
1c 端部部分前部
1d 端部部分後部
2 継手
3 受口
3a 規制部
4 止水部材
5 係合体
5a 係合体本体
5b 抜止めリング
5c リング本体
5d 係止爪
5e 軸心
6 係止手段
6a 取着体
7 接続端部
8 コア部
8a コア部材
P 接続方向
Q 反接続方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の通水管が接続される継手であって、
前記通水管の端部部分が、その端部部分の軸心方向の一方を向く接続方向に向かって差し込まれる受口と、
前記受口と前記端部部分との間を止水する止水部材と、
前記受口に前記接続方向に向かって装着可能であるとともに前記接続方向とは反対の反接続方向に向かって抜脱可能であって、前記端部部分が挿入される係合体と、
前記受口に着脱可能に取り付けられて、前記係合体が前記受口に対して抜け止めされるよう、その係合体と係合する取着体とを、備え、
前記係合体は、前記端部部分の外側に嵌まる筒状の係合体本体と、その係合体本体の内側に保持されて前記端部部分が通る抜止めリングとを備え、
前記抜止めリングは、リング本体と、そのリング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、前記端部部分を係止する弾性変形可能な係止爪とを、有し、
前記取着体は、前記端部部分が挿入された前記係合体が前記受口に装着された状態で、前記通水管の側方から近づくようにして前記受口に取り付け可能であるとともに、前記通水管から側方に離れるようにして前記受口から取り外し可能に形成されてなる継手。
【請求項2】
前記係合体は、前記抜止めリングを、前記係合体本体の軸心方向に複数備える、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記止水部材は、前記係合体よりも、前記受口の奥側に配置されて、前記受口と前記通水管の端部部分の外周面との間を止水する、請求項1または2に記載の継手。
【請求項4】
前記通水管の端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部を備え、
前記コア部は、少なくとも、前記係合体と対応する位置に設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の継手。
【請求項5】
前記通水管の端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部を備え、
前記コア部は、少なくとも、前記止水部材および前記係合体と対応する位置に設けられる、請求項3に記載の継手。
【請求項6】
前記受口は、前記通水管の端部部分が所定位置を越えて前記接続方向に進むのを規制する規制部を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の継手。
【請求項7】
継手に合成樹脂製の通水管を接続するために、前記継手の受口に、前記通水管の端部部分の軸心方向の一方を向く接続方向に向かって差し込まれる接続端部であって、
前記端部部分と、
前記受口に前記接続方向に向かって装着可能であるとともに前記接続方向とは反対の反接続方向に向かって抜脱可能であって、前記端部部分が挿入されるようにしてその端部部分に取り付けられた係合体とを、備え、
前記係合体は、前記受口に対して抜け止めされるよう、その受口に設けられる係止手段と係合可能であり、かつ、
前記係合体は、前記端部部分の外側に嵌まる筒状の係合体本体と、その係合体本体の内側に保持されて前記端部部分が通る抜止めリングとを備え、
前記抜止めリングは、リング本体と、そのリング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、前記端部部分を係止する弾性変形可能な係止爪とを、有する、通水管の接続端部。
【請求項8】
前記係合体は、前記抜止めリングを、前記係合体本体の軸心方向に複数備える、請求項7に記載の、通水管の接続端部。
【請求項9】
前記係合体は、前記端部部分における、外周面に止水部材が密接するための端部部分前部よりも後方の、端部部分後部に設けられる、請求項7または8に記載の、通水管の接続端部。
【請求項10】
前記端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部材を備え、
前記コア部材は、少なくとも、前記端部部分後部に設けられる、請求項9に記載の、通水管の接続端部。
【請求項11】
前記端部部分の内側に嵌まる筒状のコア部材を備え、
前記コア部材は、少なくとも、前記端部部分前部および前記端部部分後部に設けられる、請求項9に記載の、通水管の接続端部。
【請求項12】
請求項7ないし11のいずれか1項に記載の通水管の接続端部を継手に接続する、通水管の接続方法であって、前記端部部分に前記係合体が取り付けられてなる前記接続端部を、前記継手の受口に差し込み、その後、前記係合体に前記係止手段を係合させる、通水管の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−14017(P2009−14017A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173349(P2007−173349)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】