継手装置
【課題】弁装置を具備する雄継手(2a)と雌継手(1a)からなる継手装置に関し、流路内での弁装置による流路抵抗を小さくする。
【解決手段】両継手(1a)(2a)に、接続時に相互に平行に対峙し且つ流路に連通する開口(10)(20)が形成された平面部(11)(21)を設け、これらに、貫通孔(100)(200)が設けられ且つ貫通孔非形成域で開口(10)(20)を閉塞させる板状弁体(110)(210)を摺動可能に設ける。両継手(1a)(2a)を接続方向に相対移動させて両継手(1a)(2a)を連結させると、板状弁体(110)(210)相互及び板状弁体(110)(210)と平面部(11)(21)はそれぞれ相対的に摺動し、両継手(1a)(2a)の接続完了状態にて、開口(10)(20)と板状弁体(110)(210)の貫通孔(100)(200)の全てが一致する構成とした。
【解決手段】両継手(1a)(2a)に、接続時に相互に平行に対峙し且つ流路に連通する開口(10)(20)が形成された平面部(11)(21)を設け、これらに、貫通孔(100)(200)が設けられ且つ貫通孔非形成域で開口(10)(20)を閉塞させる板状弁体(110)(210)を摺動可能に設ける。両継手(1a)(2a)を接続方向に相対移動させて両継手(1a)(2a)を連結させると、板状弁体(110)(210)相互及び板状弁体(110)(210)と平面部(11)(21)はそれぞれ相対的に摺動し、両継手(1a)(2a)の接続完了状態にて、開口(10)(20)と板状弁体(110)(210)の貫通孔(100)(200)の全てが一致する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手装置、特に、流路内に設けられ且つ接続時に開弁し取外し時に閉弁する弁装置が各々具備された雄継手と雌継手とからなる継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の循環流路内に使用される継手装置の接続状態を示す断面図である。
継手装置は、室外の熱源機(4)から延びる一対の室外配管(40a)(40b)と室内の放熱機(41)から延びる一対の室内配管(42a)(42b)とを取り外し自在に接続するためのもので、室外配管(40a)(40b)の先端に接続される一対の雌継手と、室内配管(42a)(42b)の先端に接続される一対の雄継手とから構成されている。
一般に、雌継手として、壁(3)に添設された金属製又は合成樹脂製のボックス(32)内に収容させたプラグ接続口(5a)(5b)を具備する温水コンセント(30)が設けられてあり、雄継手として、プラグ接続口(5a)(5b)に差込可能なプラグ筒(50a)(50b)を具備する温水プラグ(31)が設けられている。
【0003】
プラグ接続口(5a)(5b)内には、奥方向へ水平移動する弁体(43)がバネ(44)によって閉弁方向に付勢された弁装置が収容されてあり、プラグ筒(50a)(50b)内にも弁装置として、弁体(51)とこれを閉弁方向へ付勢するバネ(52)が収容されている。
温水コンセント(30)のプラグ接続口(5a)(5b)内に、温水プラグ(31)のプラグ筒(50a)(50b)を差し込むと、プラグ筒(50a)(50b)内の弁体(51)でプラグ接続口(5a)(5b)内の弁体(43)が奥へ押されることにより両者は開弁する。これにより、温水コンセント(30)のプラグ接続口(5a)(5b)に続く室外配管(40a)(40b)と、温水プラグ(31)のプラグ筒(50a)(50b)に続く室内配管(50a)(50b)とが連通し、熱源機(4)と放熱機(41)との間に循環流路が構成される。
【0004】
そして、温水プラグ(31)を温水コンセント(30)から引き抜けば、プラグ筒(50a)(50b)とプラグ接続口(5a)(5b)との接続が解除され、弁体(43)及び弁体(51)は、バネ(44)(52)の弾性復帰力によりそれぞれ閉弁位置に復帰されることにより、前記循環流路は遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−48438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の継手装置では、プラグ接続口(5a)(5b)とプラグ筒(50a)(50b)との接続によって形成される流路内に、弁体(43)(51)やバネ(44)(52)からなる弁装置がそれぞれ位置する構成であるから、これら弁装置が前記流路内において大きな流路抵抗となっている。
このため、循環流路を構成する配管を細径に設定することができず、配管システムが高額になる上に、太径な配管では流す温水も多量に必要になることから、不経済であり省エネにも反する。
又、流路内に混入した異物が弁体に付着した場合には、弁体(43)(51)を確実に閉弁させることができず、取り外しの際に液だれを生じさせてしまうといった問題もあった。
【0007】
本発明は、『流路内に設けられ且つ取り外し自在に接続される雄継手と雌継手とからなり、前記雄継手と前記雌継手との接続時に開弁し、取外し時に閉弁する弁装置がそれぞれ設けられている継手装置』において、前記流路内での前記弁装置による流路抵抗を小さくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る継手装置は、『前記雄継手及び雌継手に、両者の接続時に相互に平行に対峙する平面部がそれぞれ設けられ、
前記各平面部に各々の流路に連通する開口が形成され、
前記平面部に対して平行に重ね合わされた状態で前記平面部上を摺動可能な板状弁体が前記雄継手及び雌継手にそれぞれ設けられると共に、前記板状弁体には前記開口に対応する貫通孔が形成され、
前記雄継手と雌継手とが非接続状態にあるとき、前記平面部の開口はそれぞれの板状弁体の貫通孔非形成域によって閉塞され、
両継手の前記板状弁体の表面相互が摺擦し合うように前記雄継手と雌継手を相対的に接続方向に平行移動させることにより、前記両継手は連結されると共に、板状弁体は前記平面部上をそれぞれ摺動可能となり、
前記雄継手と前記雌継手との接続完了状態にて、前記雄継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔、及び、前記雌継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔の全てが一致するように設定されている』ことを特徴とする。
【0009】
雄継手及び雌継手の一構成面は、流路に連通する開口が形成された平面部となっており、前記平面部に対して板状弁体が平行に重なり合った状態で前記平面部上を摺動可能に装着される。
板状弁体の表面相互が擦れ合うように、前記雌継手と前記雄継手とを接続方向に相対的に平行移動させていくと、両継手は連結状態にセットされる構成となっており、前記平行移動に伴って各板状弁体が平面部上を摺動する。そして、両継手の開口及び板状弁体の貫通孔が全て一致したとき、両継手は接続完了状態となる。これにより、雄継手側の流路と雌継手側の流路が、これら両継手の開口及び板状弁体の貫通孔を介して連通する。
上記接続状態にある雄継手及び雌継手を取り外し方向に平行移動させると、開口相互及び前記開口と貫通孔が順にずれていき、雄継手及び雌継手各々の開口が各々の板状弁体の貫通孔非形成域で閉塞された閉弁状態にて雄継手と雌継手は離反される。
【0010】
請求項2に記載の発明の継手は、請求項1に係る発明において、『前記平面部は、前記雄継手の下面及び前記雌継手の上面にそれぞれ設けられ、両継手の移動方向に沿った前記平面部の両側に、両継手をすすみ対偶状態に連結させる連結ガイドが設けられている』もので、両継手の平面部相互が対向し且つ各平面部に設けられている板状弁体が摺動し合うように雄継手と雌継手を連結ガイドで連結させる。これにより、両継手は相互の板状弁体の表面相互が長手方向に摺擦し合う方向にのみ移動可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明の継手は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、『前記接続完了状態にある前記雄継手及び雌継手を移動阻止状態にロックするロック手段が設けられた』もので、雄継手と雌継手の接続は、前記接続完了状態にて、ロック手段によって維持されるから、不用意に、雄継手と雌継手が相互にずれたり、前記平面部に対して板状弁体が不用意にずれたりして貫通孔と開口とが不一致になるといった不都合がない。前記ロック手段は、雄継手又は雌継手を取り外し方向に強制的に移動させる、又はロック解除ボタン等のロック解除部材を操作することにより容易に解除される。
【0012】
請求項4に記載の発明の継手は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、『前記平面部の開口内に筒体が同心状に嵌め込まれ、前記筒体は前記筒体よりも奥に設けられたばねによって前記板状弁体を押圧する方向に付勢されており、前記筒体と前記板状弁体との間及び前記筒体と前記開口との間を水密状態にシールする環状パッキンが設けられている』もので、環状パッキンによって、筒体は開口に対して水密状態に嵌め込まれていると共に、板状弁体と筒体、筒体と開口を含む平面部間も水密状態にシールされた態様となっている。これにより、板状弁体に対して筒体は常にばねによって一定の付勢力が作用しており、流体圧の変動があってもシールが安定し、流路内の流体が、筒体と開口との間、又は、平面部と板状弁体との間から漏れることはない。
【0013】
請求項5に記載の発明の継手は、上記各請求項に記載の発明において、『前記雄継手及び雌継手は、それぞれ、循環流路を構成する往路復路の二流路からなる』もので、例えば、雄継手は、室内の放熱器から延長する一対の室内配管にそれぞれ接続されて温水プラグを構成し、雌継手は、室外の熱源器から延長する一対の室外配管にそれぞれ接続されて、前記温水プラグが着脱自在に接続される温水コンセントを構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、流路を開閉する弁装置として設けられた板状弁体は、継手装置を構成している雄継手と雌継手の構成面の一つである平面部に平行に重なるように装着されているから、雄継手と雌継手を接続させることにより連通させる流路内にて前記板状弁体が流路抵抗となることはなく、弁装置による流路抵抗を小さくすることができる。よって、従来の弁装置に比べて、循環流路を構成する配管を細径に設定することができるから、安価な配管システムを提供することが可能となる上に、温水流量も少なく設定することができ、経済的で省エネになる。
又、弁装置に付着する異物によって、雄継手と雌継手を離反させたときに閉弁が不完全となり流体が漏れるといった不都合もない。
閉弁時には、雄継手及び雌継手の平面部に設けられている開口は、板状弁体の貫通孔非形成域で遮断される態様となり、流路内に設けられる従来の弁体のように、弁体の設置位置よりも雄継手及び雌継手の先端側に空間が形成されないから、雄継手と雌継手の取り外し時に、前記空間に溜まった流体による液だれが生じる不都合もない。
【0015】
また、請求項2に係る発明のように、雄継手及び雌継手に連結ガイドを設けることで、両継手を確実に且つ容易に接続完了状態にセットすることが可能となると共に、前記接続完了状態を保持することができ、
請求項3に係る発明のように、ロック手段を設けておけば、接続中に板状弁体が不用意にずれたり、雄継手と雌継手とが外れたりする不都合がなく、さらに、請求項4に係る発明のように、環状パッキンを設けることによって、流路内の流体が平面部と板状弁体との間から漏れる不都合もない。
又、請求項5に係る発明のように、温水循環暖房装置の温水プラグや温水コンセントに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の継手装置のうち温水コンセントを示す分解斜視図。
【図2】本発明の実施の形態の継手装置のうち温水プラグを示す分解斜視図。
【図3】本発明の実施の形態の継手装置の接続前の様子を示す縦断面図。
【図4】本発明の実施の形態の継手装置を採用した温水コンセントと温水プラグの接続完了状態を示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態の継手装置の接続前の様子を示す横断面図。
【図6】本発明の実施の形態の継手装置に採用した第1、第2揺動片の揺動前の様子を示す要部拡大断面図。
【図7】本発明の実施の形態の継手装置の接続過程を示す縦断面図。
【図8】本発明の実施の形態の継手装置の接続完了状態を示す横断面図。
【図9】本発明の実施の形態の継手装置に採用した揺動片の揺動後の様子を示す要部拡大断面図。
【図10】本発明の実施の形態の継手装置に採用した接続ロック構造の要部拡大断面図。
【図11】本発明の実施の形態の継手装置の取り外し過程の一部を示す縦断面図。
【図12】従来の継手装置の接続完了状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態の継手装置は、図1に示すように、室外の熱源機(4)から延びる一対の室外配管(40a)(40b)の先端にそれぞれ接続され且つ壁(3)(図4参照)に固定される温水コンセント(30)内に収容される一対の金属製の雌継手(1a)(1b)と、図2に示すように、屋内設置型の温水循環暖房機器等の放熱機(41)から延びる一対の屋内配管(42a)(42b)にそれぞれ接続されて温水プラグ(31)を構成する一対の金属製の雄継手(2a)(2b)とから構成されている。
【0018】
まず、雌継手(1a)(1b)について説明する。
雌継手(1a)(1b)は、図1又は図3に示すように、それぞれ略長方形状の平面部(11)の長辺に沿った両側辺から一対の連結ガイド(12)が上方へ延長形成された、上方開放の断面略コ字状体であり、平面部(11)の所定位置には開口(10)が貫通していると共に、その開口(10)の下面周縁から、室外配管(40a)(40b)に接続する接続筒部(13)が下方へ連設されている。
又、平面部(11)上には、開口(10)に対応する貫通孔(100)が形成された板状弁体(110)が、開口(10)内に収容される筒体(14)やバネ(16)、さらには、複数の環状パッキン(15a)〜(15d)等と共に装着される。
【0019】
具体的には、図3に示すように、開口(10)の上方開放端に、バネ(16)及び環状パッキン(15d)を外周面に具備させた筒体(14)を嵌め込み、筒体(14)の上面に環状パッキン(15c)を嵌め込むと共に、筒体(14)を囲むように、環状パッキン(15b)を平面部(11)に設けた長円形溝内に嵌め込む。そして、筒体(14)の上面が平面部(11)から突出しないようにバネ(16)を圧縮させた状態で、板状弁体(110)を平面部の上面にスライドさせて装着させる。尚、板状弁体(110)は、図1に示すように、その長辺に沿った両側に設けられている一対の薄肉片部(111)が連結ガイド(12)の溝(121)に差し込まれることにより、板状弁体(110)は平面部上にて上方へ抜け止め状態で且つ長手方向に摺動可能に装着される。
この装着状態にて、筒体(14)はバネ(16)によって板状弁体(110)側へ押圧され、板状弁体(110)と筒体(14)との間は環状パッキン(15c)によってシールされていると共に、板状弁体(110)と平面部(11)との間は環状パッキン(15b)によってシールされている。又、筒体(14)と開口(10)の内面とは環状パッキン(15d)によってシールされている。
尚、環状パッキン(15a)は板状弁体(110)の貫通孔(100)の周囲の上面に嵌め込まれている。
【0020】
平面部(11)の奥側一側辺寄りには、図1又は図5に示すように、昇降自在なロックピン(17)が差し込まれ、板状弁体(110)の所定位置には、突出状態にあるロックピン(17)に係合する切欠(117)が形成されている。ロックピン(17)が切欠(117)に係合することによって、板状弁体(110)は平面部(11)上において摺動されず初期位置にてロック状態となる。
尚、上記初期位置における板状弁体(110)は、図3に示すように、貫通孔(100)が平面部の開口(10)に対応しない、言い換えれば、板状弁体(110)の貫通孔(100)の非形成域で平面部の開口(10)が閉塞される態様となっている。
【0021】
尚、板状弁体(110)の手前側の一辺には、平面部(11)上を摺動後の板状弁体(110)を初期位置に戻すための第1揺動片(18)と、後述する雄継手(2a)(2b)に設けられる板状弁体(210)を初期位置に戻すための第2揺動片(19)がそれぞれ揺動自在に装着されている。
第1揺動片(18)は、図3及び図6に示すように、初期位置にて、平面部の手前側へ開放する溝部(118)内に嵌まり込む態様で、板状弁体(110)にバネを介して前後方向に揺動可能に軸支されてあり、第2揺動片(19)は、図6に示すように、板状弁体(110)の一側辺寄りの外側端(19a)が下方へ押されることによって、中央寄りの内側端(19b)が上方へ突出するように、バネを介して板状弁体(110)に揺動可能に軸支されている。
【0022】
又、連結ガイド(12)の一方の内面には、図5に示すように後述する雄継手(2a)(2b)に設けられるロックピン(27)の頭部(27a)が嵌まり込んで摺動する溝(122)が形成されている。
さらに、板状弁体(110)の奥側寄りの中央域には、係止ピン(112)が上方へ突出している。
【0023】
雌継手(1a)(1b)は、開口(10)に板状弁体(110)の貫通孔(100)を対応させない初期姿勢が維持されるように、板状弁体(110)を平面部(11)上に装着させ、その状態にて、図1に示すように、外ボックス(32)と、その内部にセットされる第1、第2内ボックス(33)(34)内に収容されると共に、外ボックス(32)の前方端から張り出している外周フランジ(32a)によって壁(3)内に取り付けられる。壁(3)の室内側は、温水プラグ(31)を差し込むための窓部(35a)が形成された化粧板(35)によって閉塞されて、温水コンセント(30)が構成される。
【0024】
次に、雄継手(2a)(2b)について説明する。
雄継手(2a)(2b)は、図2に示すように、それぞれ、雌継手(1a)(1b)の連結ガイド(12)間に挿入可能な一対の矩形筒体(22)であり、温水循環暖房機器等の放熱機(41)から延長する室内配管(42a)(42b)がそれぞれ接続される接続筒部(23)を突出させた連結主体(230)の両側に連結されているもので、雄継手(2a)(2b)間に位置し且つ雄継手(2a)(2b)の下面の凹部(220)にそれぞれ嵌まり込んで雄継手(2a)(2b)を支持する支持突片(37)が軸(38)の両側に突設された形状の支持部材(39)と共に、カバー(36)内に収容されて、温水プラグ(31)が構成されている。
【0025】
矩形筒体(22)の下面は、雌継手(1a)(1b)の平面部(11)に対峙する平面部(21)となっており、平面部(21)の所定位置には、図3に示すように、矩形筒体(22)内の流路(22a)に連通する開口(20)が下方に開放するように形成されている。
平面部(21)の長辺に沿った長手方向には、所定高さの側壁(222)がそれぞれ下方へ向って延長形成されてあり、これら両側壁(222)間の平面部(21)に、開口(20)に対応する貫通孔(200)が形成された板状弁体(210)が、開口(20)内に収容される筒体(24)やバネ(26)、さらには、開口(20)の開放端と平面部(21)に装着される2つの環状パッキン(25a)(25b)を介して摺動可能に取り付けられる。
【0026】
具体的には、図3に示すように、開口(20)から矩形筒体(22)内に、バネ(26)及び筒体(24)を嵌め込み、筒体(24)と開口(20)との間に環状パッキン(25a)を嵌め込むと共に、これらを囲むように、環状パッキン(25b)を平面部(21)に設けた長円形溝内に嵌め込む。そして、筒体(24)の上面及び環状パッキン(25a)が平面部(21)から突出しないようにバネ(26)を圧縮させて、板状弁体(210)を平面部(21)の下面にスライドさせて装着させる。尚、板状弁体(210)は、図5に示すように、矩形筒体(22)の長辺に沿った両側壁(222)の内面にそれぞれ設けられている溝(221)間にスライドさせて差し込まれる。
この装着状態にて、板状弁体(210)と筒体(24)との間は、バネ(26)の付勢力によって板状弁体(210)側へ押圧されている筒体(24)に具備させた環状パッキン(25a)によってシールされていると共に、板状弁体(210)と平面部(21)との間は環状パッキン(25b)によってシールされている。
尚、上記初期位置における板状弁体(210)は、貫通孔(200)が平面部(21)の開口(20)に対応しない、言い換えれば、板状弁体(210)における貫通孔(200)の非形成域で平面部(21)の開口(20)が閉塞される態様となっている。
【0027】
又、図2又は図5に示すように、矩形筒体(22)の雌継手(1a)(1b)への差込端近傍に、板状弁体(210)を移動阻止状態にロックするロックピン(27)が両側面に貫通するよう設けられている。
ロックピン(27)は、軸部(27b)の両端に頭部(27a)と係止板(27c)とを具備する形状を呈し、軸部(27b)の周囲に介在されているバネ(28)の付勢力によって、頭部(27a)の先端が矩形筒体(22)の側壁から外方へ突出する態様に付勢されている。このとき、係止板(27c)は、矩形筒体(22)の側壁(222)を貫通して側壁(222)よりも内方に突出し、係止板(27c)が対応する板状弁体(210)の側部に形成された切欠(29)に係合している。係止板(27c)が切欠(29)に係合している限り、板状弁体(210)は、雄継手(2a)(2b)に移動阻止状態にロックされた状態が維持され、頭部(27a)が奥へ押込まれることによって、係止板(27c)が切欠(29)から脱出すると、ロックピン(27)によるロック状態が解除され、板状弁体(210)は平面部(21)を摺動可能となる。
【0028】
次に、雌継手(1a)(1b)に雄継手(2a)(2b)が接続される工程について説明する。
壁(3)に設置されている温水コンセント(30)の化粧板(35)の窓部(35a)に、温水プラグ(31)をカバー(36)ごと差し込むと、温水コンセント(30)の雌継手(1a)(1b)に、温水プラグ(31)の雄継手(2a)(2b)がそれぞれ対応し、図7の(A)に示すように、雌継手(1a)(1b)の板状弁体(110)に、雄継手(2a)(2b)の板状弁体(210)が擦れ合うと同時に、雌継手(1a)(1b)の両側の連結ガイド(12)に、雄継手(2a)(2b)の両側壁(222)が上方へ抜け止め状態に嵌まり込み、雄継手(2a)(2b)は雌継手(1a)(1b)にそれぞれ、すすみ対遇状態に連結される。このとき、ロックピン(27)の頭部(27a)は、図5に示すように、連結ガイド(12)の溝(122)に対応する。
【0029】
図7の(A)の状態から温水プラグ(31)を温水コンセント(30)内に差し込むと、板状弁体(210)が雌継手(1a)(1b)の板状弁体(110)上を摺動しながら、また、ロックピン(27)の頭部(27a)が連結ガイド(12)に設けた溝(122)内を摺動しながら、雄継手(2a)(2b)は、雌継手(1a)(1b)の奥(図面では左側)へ移動していき、図7の(B)に示すように、板状弁体(210)の先端が、板状弁体(110)上に突出している係止ピン(112)に当接する。板状弁体(110)は、ロックピン(17)が切欠(117)に係合しているため、平面部(11)上において移動阻止状態にロックされている。
尚、この状態にて、板状弁体(110)の貫通孔(100)に板状弁体(210)の貫通孔(200)が一致し、又、ロックピン(27)の頭部(27a)は溝(122)の終点(122a)に到達している。
【0030】
溝(122)の終点(122a)は、図5に示すように、連結ガイド(12)の内面へ傾斜面を介して連続しており、図7の(B)の状態から、雄継手(2a)(2b)をさらに押込むと、ロックピン(27)の頭部(27a)は、前記傾斜面及び連結ガイド(12)の内面によって内方へ押される。これにより、図8に示すように、係止板(27c)が板状弁体(210)の切欠(29)から外れて、平面部(21)と板状弁体(210)との相対摺動阻止状態が解除される。
又、このとき、図5及び図9に示すように、矩形筒体(22)の下面の平面部(21)の周囲に突設されている凸壁の一部である第2係止部(9)によって、第2揺動片(19)の外側端(19a)が押されて第2揺動片(19)が揺動し、内側端(19b)が板状弁体(210)の後端に当接する。
【0031】
係止ピン(112)に当接している板状弁体(210)の移動は阻止されたままであるから、このまま雄継手(2a)(2b)をさらに押し進めると、図7の(C)に示すように、板状弁体(210)を残して矩形筒体(22)のみが奥へ移動することとなり、雌継手(1a)(1b)の板状弁体(110)の貫通孔(100)と、雄継手(2a)(2b)の板状弁体(210)の貫通孔(200)と、矩形筒体(22)の平面部(21)の開口(20)が一致する。
このとき、前記凸壁の他の一部が第1係止部(8)として板状弁体(210)の後端に達すると共に、ロックピン(17)は板状弁体(210)の先端によって下方へ押されて非突出状態となる。
【0032】
そして、さらに、雄継手(2a)(2b)を押込むと、第1係止部(8)で板状弁体(210)の後端が押され、これに伴って、板状弁体(210)の前端で係止ピン(112)が押される。ロックピン(17)は上述したように非突出状態となっているから板状弁体(110)のロックは解除された状態にあるため、係止ピン(112)が押されることにより、板状弁体(110)は平面部(11)上を、図7の(D)に示す位置まで摺動する。
【0033】
図7の(D)に示す状態及び図4に示す状態が、雌継手(1a)(1b)への雄継手(2a)(2b)の接続完了状態であり、雄継手(2a)(2b)のカバー(36)の先端が、雌継手(1a)(1b)の第1内ボックス(33)の奥側端に当接する最終差込位置に到達していると共に、雌継手(1a)(1b)の開口(10)、板状弁体(110)の貫通孔(100)、板状弁体(210)の貫通孔(200)、そして、矩形筒体(22)の開口(20)が、全て一致することにより開弁状態となり、これにより、熱源機(4)の室外配管(40a)(40b)と放熱機(41)の室内配管(42a)(42b)との間で流体が循環する循環流路が構成される。
【0034】
上記接続状態にて、雌継手(1a)(1b)の平面部(11)と板状弁体(110)との間は、環状パッキン(15a)〜(15d)によって水密状態にシールされ、雄継手(2a)(2b)の平面部(21)と板状弁体(210)との間は、環状パッキン(25a)(25b)によって水密状態にシールされていることから、雄継手(2a)(2b)と雌継手(1a)(1b)とは、確実にシールされた状態に接続された状態に接続される。
【0035】
尚、上記した接続完了状態にて、雄継手(2a)(2b)はカバー(36)の先端が最終差込位置に到達するまで差し込まれているから、矩形筒体(22)はそれ以上、奥側へ移動できない。このとき、板状弁体(210)は、前端は係止ピン(112)に当接し、後端は矩形筒体(22)の第1係止部(8)に押されているから、矩形筒体(22)の平面部(21)に対して移動阻止状態に添設された状態が維持される。板状弁体(110)は、矩形筒体(22)と共に最終差込位置まで差し込まれているから奥側へは移動できない。また、プラグカバー(36)内の支持部材(39)の下面と、化粧板(35)の窓部(35a)に続く第2内ボックス(34)の窓部の下面(34a)との間に接続ロック構造を設け、矩形筒体(22)即ち温水プラグ(31)の最終差込み位置において、温水プラグ(31)を温水コンセント(30)に接続固定すると、温水プラグ(31)の後方への移動が阻止される。
【0036】
接続ロック構造としては、図1又は図10(a)(b)にそれぞれ示すように、バネ(46a)又は(46b)によって付勢された係止爪(47)を、支持部材(39)の軸(38)の下面に臨むように設け、温水プラグ(31)の最終差込み位置において、係止爪(47)が係合する係合突起(6)を、第2内ボックス(34)の窓部の下面(34a)に突設させる構造が採用可能である。各接続ロック構造は、図10の(a)に示すものでは、温水プラグ(31)を強制的に引き抜くことで解除でき、図10の(b)に示すものでは、軸(38)の上面に突出させる押しボタン(48)を押すことにより解除できるように設定されている。
【0037】
接続ロック構造としては、図10(C)に示すように、第2内ボックス(34)の窓部の下面(34a)に、バネ(46c)によって上方突出状態に付勢された球状突起(61)を設け、軸(38)の下面に、球状突起(61)が嵌合可能な球状凹部(38)を設ける構成としても良い。このものでは、温水プラグ(31)を強制的に引き抜くことで解除することができる。
さらに、球状突起(61)に代えて、図10(d)に示すように、係合凹部(60)の前後に、操作部(62a)と係合突起(62b)とを突設させた形状の係合体(62)をバネ(46d)で上方突出状態に付勢させる構成としても良い。このものでは、軸(38)の下面に、係合突起(62b)がワンウェイ係合する係合凹部(38a)と、係合凹部(60)にちょうど嵌まり込む係合端(38b)が設けられている。このものでは、両者を係合させた後に、係合体(62)の操作部(62a)を下方へ押せば、係合突起(62b)と係合凹部(38a)との係合、係合端(38b)と係合凹部(60)との係合を同時に解除することができる。
【0038】
このように、雌継手(1a)(1b)への雄継手(2a)(2b)の接続完了状態にて、雄継手(2a)(2b)を取り外し方向に、前記接続ロック構造が外れる力で強制的に引き抜いたり、所定の解除操作を行ったりしない限り、図7の(D)の状態は維持され、矩形筒体(22)や、板状弁体(210)又は板状弁体(110)は移動阻止状態にロックされた状態にあり、各々が不用意にずれることがない。よって、貫通孔(100)(200)及び開口(10)(20)がずれることがないから、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)の接続途中に流体の流れに支障を来たしたり、漏れが発生したりする不都合はない。
【0039】
温水プラグ(31)を温水コンセント(30)から取り外す際に、雄継手(2a)(2b)を雌継手(1a)(1b)から前記接続ロック構造が外れる力で引き抜くと、上述した図7の(D)の状態から(A)の状態に戻る。
具体的には、図7の(D)の状態から矩形筒体(22)を引き抜く方向(図面の右方向)に強制的に移動させると、矩形筒体(22)の第1係止部(8)で第1揺動片(18)が押されることにより、板状弁体(110)も同方向に移動し、板状弁体(110)の移動に伴って、板状弁体(110)の係止ピン(112)に押されて板状弁体(210)も移動する。このように、矩形筒体(22)、板状弁体(210)及び板状弁体(110)が移動した状態が図7の(C)の状態である。このとき、雌継手(1a)(1b)は板状弁体(110)によって閉弁される。
【0040】
この時点で、第1揺動片(18)は凹部(118)に落ち込むことにより、第1揺動片(18)と第1係止部(8)の係合が解除されるが、第2揺動片(19)の内側端(19b)は、図10の(A)に示すように、上方に突出したままであるため、板状弁体(210)の移動は阻止される。このため、図10の(B)に示すように、矩形筒体(22)のみが解除方向に移動していく。これにより、板状弁体(210)の貫通孔(200)と矩形筒体(22)の開口(20)とがずれることとなるため、雄継手(2a)(2b)は板状弁体(210)によって閉弁される態様となる。
【0041】
又、矩形筒体(22)のみを移動させることにより、ロックピン(17)及びロックピン(27)が復帰することとなり、板状弁体(110)は平面部(11)に、板状弁体(210)は平面部(21)に、それぞれ相対移動阻止状態にロックされる。さらに、第2揺動片(19)の第2係止部(9)による揺動が解除され、第2揺動片(19)は図9の状態から図6の状態に復帰させられる。これにより、板状弁体(210)は板状弁体(110)上を摺動可能となる。
よって、矩形筒体(22)を引き抜くと、板状弁体(210)は板状弁体(110)上を摺動し、図3に示すように、矩形筒体(22)と共に引き抜かれていく。
【0042】
上記したように、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)の構成壁の一つに平行に装着させた板状弁体(110)(210)を、雌継手(1a)(1b)の開口(10)及び雄継手(2a)(2b)の開口(20)を開閉する弁装置として機能するようにしたから、接続完了状態である図7の(D)の状態にて、接続筒部(13)(23)を繋ぐ流路内の流路抵抗は小さくなる。これにより、流体は、熱源機(4)と放熱機(41)との間をスムーズに循環することとなり、室外配管(40a)(40b)と室内配管(42a)(42b)を従来のものよりも細径に形成することができ、経済的で省エネにもなる配管システムを提供することができる。
【0043】
又、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)を離反させる前に、開口(10)(20)は板状弁体(110)(210)によって閉弁させているから、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)の取り外し時に、流路内の流体が垂れる液だれを生じさせることもない。
さらに、平面部(11)(21)と板状弁体(110)(210)との間及び接続時における板状弁体(110)(210)間は、環状パッキン(15a)〜(15d)(25a)(25b)によってシールされているから、異物が付着することもなく、板状弁体(110)(210)の開閉に支障を来たすこともない。
【0044】
尚、上記実施の形態では、一対の雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)から、循環流路を開閉する継手装置として機能するようにしたが、必ずしも循環流路に設ける必要はない。
【符号の説明】
【0045】
(1a)(1b)・・・・・雌継手
(2a)(2b)・・・・・雄継手
(10)(20)・・・・・開口
(11)(21)・・・・・平面部
(110)(210)・・・・板状弁体
(100)(200)・・・・貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手装置、特に、流路内に設けられ且つ接続時に開弁し取外し時に閉弁する弁装置が各々具備された雄継手と雌継手とからなる継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の循環流路内に使用される継手装置の接続状態を示す断面図である。
継手装置は、室外の熱源機(4)から延びる一対の室外配管(40a)(40b)と室内の放熱機(41)から延びる一対の室内配管(42a)(42b)とを取り外し自在に接続するためのもので、室外配管(40a)(40b)の先端に接続される一対の雌継手と、室内配管(42a)(42b)の先端に接続される一対の雄継手とから構成されている。
一般に、雌継手として、壁(3)に添設された金属製又は合成樹脂製のボックス(32)内に収容させたプラグ接続口(5a)(5b)を具備する温水コンセント(30)が設けられてあり、雄継手として、プラグ接続口(5a)(5b)に差込可能なプラグ筒(50a)(50b)を具備する温水プラグ(31)が設けられている。
【0003】
プラグ接続口(5a)(5b)内には、奥方向へ水平移動する弁体(43)がバネ(44)によって閉弁方向に付勢された弁装置が収容されてあり、プラグ筒(50a)(50b)内にも弁装置として、弁体(51)とこれを閉弁方向へ付勢するバネ(52)が収容されている。
温水コンセント(30)のプラグ接続口(5a)(5b)内に、温水プラグ(31)のプラグ筒(50a)(50b)を差し込むと、プラグ筒(50a)(50b)内の弁体(51)でプラグ接続口(5a)(5b)内の弁体(43)が奥へ押されることにより両者は開弁する。これにより、温水コンセント(30)のプラグ接続口(5a)(5b)に続く室外配管(40a)(40b)と、温水プラグ(31)のプラグ筒(50a)(50b)に続く室内配管(50a)(50b)とが連通し、熱源機(4)と放熱機(41)との間に循環流路が構成される。
【0004】
そして、温水プラグ(31)を温水コンセント(30)から引き抜けば、プラグ筒(50a)(50b)とプラグ接続口(5a)(5b)との接続が解除され、弁体(43)及び弁体(51)は、バネ(44)(52)の弾性復帰力によりそれぞれ閉弁位置に復帰されることにより、前記循環流路は遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−48438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の継手装置では、プラグ接続口(5a)(5b)とプラグ筒(50a)(50b)との接続によって形成される流路内に、弁体(43)(51)やバネ(44)(52)からなる弁装置がそれぞれ位置する構成であるから、これら弁装置が前記流路内において大きな流路抵抗となっている。
このため、循環流路を構成する配管を細径に設定することができず、配管システムが高額になる上に、太径な配管では流す温水も多量に必要になることから、不経済であり省エネにも反する。
又、流路内に混入した異物が弁体に付着した場合には、弁体(43)(51)を確実に閉弁させることができず、取り外しの際に液だれを生じさせてしまうといった問題もあった。
【0007】
本発明は、『流路内に設けられ且つ取り外し自在に接続される雄継手と雌継手とからなり、前記雄継手と前記雌継手との接続時に開弁し、取外し時に閉弁する弁装置がそれぞれ設けられている継手装置』において、前記流路内での前記弁装置による流路抵抗を小さくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る継手装置は、『前記雄継手及び雌継手に、両者の接続時に相互に平行に対峙する平面部がそれぞれ設けられ、
前記各平面部に各々の流路に連通する開口が形成され、
前記平面部に対して平行に重ね合わされた状態で前記平面部上を摺動可能な板状弁体が前記雄継手及び雌継手にそれぞれ設けられると共に、前記板状弁体には前記開口に対応する貫通孔が形成され、
前記雄継手と雌継手とが非接続状態にあるとき、前記平面部の開口はそれぞれの板状弁体の貫通孔非形成域によって閉塞され、
両継手の前記板状弁体の表面相互が摺擦し合うように前記雄継手と雌継手を相対的に接続方向に平行移動させることにより、前記両継手は連結されると共に、板状弁体は前記平面部上をそれぞれ摺動可能となり、
前記雄継手と前記雌継手との接続完了状態にて、前記雄継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔、及び、前記雌継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔の全てが一致するように設定されている』ことを特徴とする。
【0009】
雄継手及び雌継手の一構成面は、流路に連通する開口が形成された平面部となっており、前記平面部に対して板状弁体が平行に重なり合った状態で前記平面部上を摺動可能に装着される。
板状弁体の表面相互が擦れ合うように、前記雌継手と前記雄継手とを接続方向に相対的に平行移動させていくと、両継手は連結状態にセットされる構成となっており、前記平行移動に伴って各板状弁体が平面部上を摺動する。そして、両継手の開口及び板状弁体の貫通孔が全て一致したとき、両継手は接続完了状態となる。これにより、雄継手側の流路と雌継手側の流路が、これら両継手の開口及び板状弁体の貫通孔を介して連通する。
上記接続状態にある雄継手及び雌継手を取り外し方向に平行移動させると、開口相互及び前記開口と貫通孔が順にずれていき、雄継手及び雌継手各々の開口が各々の板状弁体の貫通孔非形成域で閉塞された閉弁状態にて雄継手と雌継手は離反される。
【0010】
請求項2に記載の発明の継手は、請求項1に係る発明において、『前記平面部は、前記雄継手の下面及び前記雌継手の上面にそれぞれ設けられ、両継手の移動方向に沿った前記平面部の両側に、両継手をすすみ対偶状態に連結させる連結ガイドが設けられている』もので、両継手の平面部相互が対向し且つ各平面部に設けられている板状弁体が摺動し合うように雄継手と雌継手を連結ガイドで連結させる。これにより、両継手は相互の板状弁体の表面相互が長手方向に摺擦し合う方向にのみ移動可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明の継手は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、『前記接続完了状態にある前記雄継手及び雌継手を移動阻止状態にロックするロック手段が設けられた』もので、雄継手と雌継手の接続は、前記接続完了状態にて、ロック手段によって維持されるから、不用意に、雄継手と雌継手が相互にずれたり、前記平面部に対して板状弁体が不用意にずれたりして貫通孔と開口とが不一致になるといった不都合がない。前記ロック手段は、雄継手又は雌継手を取り外し方向に強制的に移動させる、又はロック解除ボタン等のロック解除部材を操作することにより容易に解除される。
【0012】
請求項4に記載の発明の継手は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、『前記平面部の開口内に筒体が同心状に嵌め込まれ、前記筒体は前記筒体よりも奥に設けられたばねによって前記板状弁体を押圧する方向に付勢されており、前記筒体と前記板状弁体との間及び前記筒体と前記開口との間を水密状態にシールする環状パッキンが設けられている』もので、環状パッキンによって、筒体は開口に対して水密状態に嵌め込まれていると共に、板状弁体と筒体、筒体と開口を含む平面部間も水密状態にシールされた態様となっている。これにより、板状弁体に対して筒体は常にばねによって一定の付勢力が作用しており、流体圧の変動があってもシールが安定し、流路内の流体が、筒体と開口との間、又は、平面部と板状弁体との間から漏れることはない。
【0013】
請求項5に記載の発明の継手は、上記各請求項に記載の発明において、『前記雄継手及び雌継手は、それぞれ、循環流路を構成する往路復路の二流路からなる』もので、例えば、雄継手は、室内の放熱器から延長する一対の室内配管にそれぞれ接続されて温水プラグを構成し、雌継手は、室外の熱源器から延長する一対の室外配管にそれぞれ接続されて、前記温水プラグが着脱自在に接続される温水コンセントを構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、流路を開閉する弁装置として設けられた板状弁体は、継手装置を構成している雄継手と雌継手の構成面の一つである平面部に平行に重なるように装着されているから、雄継手と雌継手を接続させることにより連通させる流路内にて前記板状弁体が流路抵抗となることはなく、弁装置による流路抵抗を小さくすることができる。よって、従来の弁装置に比べて、循環流路を構成する配管を細径に設定することができるから、安価な配管システムを提供することが可能となる上に、温水流量も少なく設定することができ、経済的で省エネになる。
又、弁装置に付着する異物によって、雄継手と雌継手を離反させたときに閉弁が不完全となり流体が漏れるといった不都合もない。
閉弁時には、雄継手及び雌継手の平面部に設けられている開口は、板状弁体の貫通孔非形成域で遮断される態様となり、流路内に設けられる従来の弁体のように、弁体の設置位置よりも雄継手及び雌継手の先端側に空間が形成されないから、雄継手と雌継手の取り外し時に、前記空間に溜まった流体による液だれが生じる不都合もない。
【0015】
また、請求項2に係る発明のように、雄継手及び雌継手に連結ガイドを設けることで、両継手を確実に且つ容易に接続完了状態にセットすることが可能となると共に、前記接続完了状態を保持することができ、
請求項3に係る発明のように、ロック手段を設けておけば、接続中に板状弁体が不用意にずれたり、雄継手と雌継手とが外れたりする不都合がなく、さらに、請求項4に係る発明のように、環状パッキンを設けることによって、流路内の流体が平面部と板状弁体との間から漏れる不都合もない。
又、請求項5に係る発明のように、温水循環暖房装置の温水プラグや温水コンセントに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の継手装置のうち温水コンセントを示す分解斜視図。
【図2】本発明の実施の形態の継手装置のうち温水プラグを示す分解斜視図。
【図3】本発明の実施の形態の継手装置の接続前の様子を示す縦断面図。
【図4】本発明の実施の形態の継手装置を採用した温水コンセントと温水プラグの接続完了状態を示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態の継手装置の接続前の様子を示す横断面図。
【図6】本発明の実施の形態の継手装置に採用した第1、第2揺動片の揺動前の様子を示す要部拡大断面図。
【図7】本発明の実施の形態の継手装置の接続過程を示す縦断面図。
【図8】本発明の実施の形態の継手装置の接続完了状態を示す横断面図。
【図9】本発明の実施の形態の継手装置に採用した揺動片の揺動後の様子を示す要部拡大断面図。
【図10】本発明の実施の形態の継手装置に採用した接続ロック構造の要部拡大断面図。
【図11】本発明の実施の形態の継手装置の取り外し過程の一部を示す縦断面図。
【図12】従来の継手装置の接続完了状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態の継手装置は、図1に示すように、室外の熱源機(4)から延びる一対の室外配管(40a)(40b)の先端にそれぞれ接続され且つ壁(3)(図4参照)に固定される温水コンセント(30)内に収容される一対の金属製の雌継手(1a)(1b)と、図2に示すように、屋内設置型の温水循環暖房機器等の放熱機(41)から延びる一対の屋内配管(42a)(42b)にそれぞれ接続されて温水プラグ(31)を構成する一対の金属製の雄継手(2a)(2b)とから構成されている。
【0018】
まず、雌継手(1a)(1b)について説明する。
雌継手(1a)(1b)は、図1又は図3に示すように、それぞれ略長方形状の平面部(11)の長辺に沿った両側辺から一対の連結ガイド(12)が上方へ延長形成された、上方開放の断面略コ字状体であり、平面部(11)の所定位置には開口(10)が貫通していると共に、その開口(10)の下面周縁から、室外配管(40a)(40b)に接続する接続筒部(13)が下方へ連設されている。
又、平面部(11)上には、開口(10)に対応する貫通孔(100)が形成された板状弁体(110)が、開口(10)内に収容される筒体(14)やバネ(16)、さらには、複数の環状パッキン(15a)〜(15d)等と共に装着される。
【0019】
具体的には、図3に示すように、開口(10)の上方開放端に、バネ(16)及び環状パッキン(15d)を外周面に具備させた筒体(14)を嵌め込み、筒体(14)の上面に環状パッキン(15c)を嵌め込むと共に、筒体(14)を囲むように、環状パッキン(15b)を平面部(11)に設けた長円形溝内に嵌め込む。そして、筒体(14)の上面が平面部(11)から突出しないようにバネ(16)を圧縮させた状態で、板状弁体(110)を平面部の上面にスライドさせて装着させる。尚、板状弁体(110)は、図1に示すように、その長辺に沿った両側に設けられている一対の薄肉片部(111)が連結ガイド(12)の溝(121)に差し込まれることにより、板状弁体(110)は平面部上にて上方へ抜け止め状態で且つ長手方向に摺動可能に装着される。
この装着状態にて、筒体(14)はバネ(16)によって板状弁体(110)側へ押圧され、板状弁体(110)と筒体(14)との間は環状パッキン(15c)によってシールされていると共に、板状弁体(110)と平面部(11)との間は環状パッキン(15b)によってシールされている。又、筒体(14)と開口(10)の内面とは環状パッキン(15d)によってシールされている。
尚、環状パッキン(15a)は板状弁体(110)の貫通孔(100)の周囲の上面に嵌め込まれている。
【0020】
平面部(11)の奥側一側辺寄りには、図1又は図5に示すように、昇降自在なロックピン(17)が差し込まれ、板状弁体(110)の所定位置には、突出状態にあるロックピン(17)に係合する切欠(117)が形成されている。ロックピン(17)が切欠(117)に係合することによって、板状弁体(110)は平面部(11)上において摺動されず初期位置にてロック状態となる。
尚、上記初期位置における板状弁体(110)は、図3に示すように、貫通孔(100)が平面部の開口(10)に対応しない、言い換えれば、板状弁体(110)の貫通孔(100)の非形成域で平面部の開口(10)が閉塞される態様となっている。
【0021】
尚、板状弁体(110)の手前側の一辺には、平面部(11)上を摺動後の板状弁体(110)を初期位置に戻すための第1揺動片(18)と、後述する雄継手(2a)(2b)に設けられる板状弁体(210)を初期位置に戻すための第2揺動片(19)がそれぞれ揺動自在に装着されている。
第1揺動片(18)は、図3及び図6に示すように、初期位置にて、平面部の手前側へ開放する溝部(118)内に嵌まり込む態様で、板状弁体(110)にバネを介して前後方向に揺動可能に軸支されてあり、第2揺動片(19)は、図6に示すように、板状弁体(110)の一側辺寄りの外側端(19a)が下方へ押されることによって、中央寄りの内側端(19b)が上方へ突出するように、バネを介して板状弁体(110)に揺動可能に軸支されている。
【0022】
又、連結ガイド(12)の一方の内面には、図5に示すように後述する雄継手(2a)(2b)に設けられるロックピン(27)の頭部(27a)が嵌まり込んで摺動する溝(122)が形成されている。
さらに、板状弁体(110)の奥側寄りの中央域には、係止ピン(112)が上方へ突出している。
【0023】
雌継手(1a)(1b)は、開口(10)に板状弁体(110)の貫通孔(100)を対応させない初期姿勢が維持されるように、板状弁体(110)を平面部(11)上に装着させ、その状態にて、図1に示すように、外ボックス(32)と、その内部にセットされる第1、第2内ボックス(33)(34)内に収容されると共に、外ボックス(32)の前方端から張り出している外周フランジ(32a)によって壁(3)内に取り付けられる。壁(3)の室内側は、温水プラグ(31)を差し込むための窓部(35a)が形成された化粧板(35)によって閉塞されて、温水コンセント(30)が構成される。
【0024】
次に、雄継手(2a)(2b)について説明する。
雄継手(2a)(2b)は、図2に示すように、それぞれ、雌継手(1a)(1b)の連結ガイド(12)間に挿入可能な一対の矩形筒体(22)であり、温水循環暖房機器等の放熱機(41)から延長する室内配管(42a)(42b)がそれぞれ接続される接続筒部(23)を突出させた連結主体(230)の両側に連結されているもので、雄継手(2a)(2b)間に位置し且つ雄継手(2a)(2b)の下面の凹部(220)にそれぞれ嵌まり込んで雄継手(2a)(2b)を支持する支持突片(37)が軸(38)の両側に突設された形状の支持部材(39)と共に、カバー(36)内に収容されて、温水プラグ(31)が構成されている。
【0025】
矩形筒体(22)の下面は、雌継手(1a)(1b)の平面部(11)に対峙する平面部(21)となっており、平面部(21)の所定位置には、図3に示すように、矩形筒体(22)内の流路(22a)に連通する開口(20)が下方に開放するように形成されている。
平面部(21)の長辺に沿った長手方向には、所定高さの側壁(222)がそれぞれ下方へ向って延長形成されてあり、これら両側壁(222)間の平面部(21)に、開口(20)に対応する貫通孔(200)が形成された板状弁体(210)が、開口(20)内に収容される筒体(24)やバネ(26)、さらには、開口(20)の開放端と平面部(21)に装着される2つの環状パッキン(25a)(25b)を介して摺動可能に取り付けられる。
【0026】
具体的には、図3に示すように、開口(20)から矩形筒体(22)内に、バネ(26)及び筒体(24)を嵌め込み、筒体(24)と開口(20)との間に環状パッキン(25a)を嵌め込むと共に、これらを囲むように、環状パッキン(25b)を平面部(21)に設けた長円形溝内に嵌め込む。そして、筒体(24)の上面及び環状パッキン(25a)が平面部(21)から突出しないようにバネ(26)を圧縮させて、板状弁体(210)を平面部(21)の下面にスライドさせて装着させる。尚、板状弁体(210)は、図5に示すように、矩形筒体(22)の長辺に沿った両側壁(222)の内面にそれぞれ設けられている溝(221)間にスライドさせて差し込まれる。
この装着状態にて、板状弁体(210)と筒体(24)との間は、バネ(26)の付勢力によって板状弁体(210)側へ押圧されている筒体(24)に具備させた環状パッキン(25a)によってシールされていると共に、板状弁体(210)と平面部(21)との間は環状パッキン(25b)によってシールされている。
尚、上記初期位置における板状弁体(210)は、貫通孔(200)が平面部(21)の開口(20)に対応しない、言い換えれば、板状弁体(210)における貫通孔(200)の非形成域で平面部(21)の開口(20)が閉塞される態様となっている。
【0027】
又、図2又は図5に示すように、矩形筒体(22)の雌継手(1a)(1b)への差込端近傍に、板状弁体(210)を移動阻止状態にロックするロックピン(27)が両側面に貫通するよう設けられている。
ロックピン(27)は、軸部(27b)の両端に頭部(27a)と係止板(27c)とを具備する形状を呈し、軸部(27b)の周囲に介在されているバネ(28)の付勢力によって、頭部(27a)の先端が矩形筒体(22)の側壁から外方へ突出する態様に付勢されている。このとき、係止板(27c)は、矩形筒体(22)の側壁(222)を貫通して側壁(222)よりも内方に突出し、係止板(27c)が対応する板状弁体(210)の側部に形成された切欠(29)に係合している。係止板(27c)が切欠(29)に係合している限り、板状弁体(210)は、雄継手(2a)(2b)に移動阻止状態にロックされた状態が維持され、頭部(27a)が奥へ押込まれることによって、係止板(27c)が切欠(29)から脱出すると、ロックピン(27)によるロック状態が解除され、板状弁体(210)は平面部(21)を摺動可能となる。
【0028】
次に、雌継手(1a)(1b)に雄継手(2a)(2b)が接続される工程について説明する。
壁(3)に設置されている温水コンセント(30)の化粧板(35)の窓部(35a)に、温水プラグ(31)をカバー(36)ごと差し込むと、温水コンセント(30)の雌継手(1a)(1b)に、温水プラグ(31)の雄継手(2a)(2b)がそれぞれ対応し、図7の(A)に示すように、雌継手(1a)(1b)の板状弁体(110)に、雄継手(2a)(2b)の板状弁体(210)が擦れ合うと同時に、雌継手(1a)(1b)の両側の連結ガイド(12)に、雄継手(2a)(2b)の両側壁(222)が上方へ抜け止め状態に嵌まり込み、雄継手(2a)(2b)は雌継手(1a)(1b)にそれぞれ、すすみ対遇状態に連結される。このとき、ロックピン(27)の頭部(27a)は、図5に示すように、連結ガイド(12)の溝(122)に対応する。
【0029】
図7の(A)の状態から温水プラグ(31)を温水コンセント(30)内に差し込むと、板状弁体(210)が雌継手(1a)(1b)の板状弁体(110)上を摺動しながら、また、ロックピン(27)の頭部(27a)が連結ガイド(12)に設けた溝(122)内を摺動しながら、雄継手(2a)(2b)は、雌継手(1a)(1b)の奥(図面では左側)へ移動していき、図7の(B)に示すように、板状弁体(210)の先端が、板状弁体(110)上に突出している係止ピン(112)に当接する。板状弁体(110)は、ロックピン(17)が切欠(117)に係合しているため、平面部(11)上において移動阻止状態にロックされている。
尚、この状態にて、板状弁体(110)の貫通孔(100)に板状弁体(210)の貫通孔(200)が一致し、又、ロックピン(27)の頭部(27a)は溝(122)の終点(122a)に到達している。
【0030】
溝(122)の終点(122a)は、図5に示すように、連結ガイド(12)の内面へ傾斜面を介して連続しており、図7の(B)の状態から、雄継手(2a)(2b)をさらに押込むと、ロックピン(27)の頭部(27a)は、前記傾斜面及び連結ガイド(12)の内面によって内方へ押される。これにより、図8に示すように、係止板(27c)が板状弁体(210)の切欠(29)から外れて、平面部(21)と板状弁体(210)との相対摺動阻止状態が解除される。
又、このとき、図5及び図9に示すように、矩形筒体(22)の下面の平面部(21)の周囲に突設されている凸壁の一部である第2係止部(9)によって、第2揺動片(19)の外側端(19a)が押されて第2揺動片(19)が揺動し、内側端(19b)が板状弁体(210)の後端に当接する。
【0031】
係止ピン(112)に当接している板状弁体(210)の移動は阻止されたままであるから、このまま雄継手(2a)(2b)をさらに押し進めると、図7の(C)に示すように、板状弁体(210)を残して矩形筒体(22)のみが奥へ移動することとなり、雌継手(1a)(1b)の板状弁体(110)の貫通孔(100)と、雄継手(2a)(2b)の板状弁体(210)の貫通孔(200)と、矩形筒体(22)の平面部(21)の開口(20)が一致する。
このとき、前記凸壁の他の一部が第1係止部(8)として板状弁体(210)の後端に達すると共に、ロックピン(17)は板状弁体(210)の先端によって下方へ押されて非突出状態となる。
【0032】
そして、さらに、雄継手(2a)(2b)を押込むと、第1係止部(8)で板状弁体(210)の後端が押され、これに伴って、板状弁体(210)の前端で係止ピン(112)が押される。ロックピン(17)は上述したように非突出状態となっているから板状弁体(110)のロックは解除された状態にあるため、係止ピン(112)が押されることにより、板状弁体(110)は平面部(11)上を、図7の(D)に示す位置まで摺動する。
【0033】
図7の(D)に示す状態及び図4に示す状態が、雌継手(1a)(1b)への雄継手(2a)(2b)の接続完了状態であり、雄継手(2a)(2b)のカバー(36)の先端が、雌継手(1a)(1b)の第1内ボックス(33)の奥側端に当接する最終差込位置に到達していると共に、雌継手(1a)(1b)の開口(10)、板状弁体(110)の貫通孔(100)、板状弁体(210)の貫通孔(200)、そして、矩形筒体(22)の開口(20)が、全て一致することにより開弁状態となり、これにより、熱源機(4)の室外配管(40a)(40b)と放熱機(41)の室内配管(42a)(42b)との間で流体が循環する循環流路が構成される。
【0034】
上記接続状態にて、雌継手(1a)(1b)の平面部(11)と板状弁体(110)との間は、環状パッキン(15a)〜(15d)によって水密状態にシールされ、雄継手(2a)(2b)の平面部(21)と板状弁体(210)との間は、環状パッキン(25a)(25b)によって水密状態にシールされていることから、雄継手(2a)(2b)と雌継手(1a)(1b)とは、確実にシールされた状態に接続された状態に接続される。
【0035】
尚、上記した接続完了状態にて、雄継手(2a)(2b)はカバー(36)の先端が最終差込位置に到達するまで差し込まれているから、矩形筒体(22)はそれ以上、奥側へ移動できない。このとき、板状弁体(210)は、前端は係止ピン(112)に当接し、後端は矩形筒体(22)の第1係止部(8)に押されているから、矩形筒体(22)の平面部(21)に対して移動阻止状態に添設された状態が維持される。板状弁体(110)は、矩形筒体(22)と共に最終差込位置まで差し込まれているから奥側へは移動できない。また、プラグカバー(36)内の支持部材(39)の下面と、化粧板(35)の窓部(35a)に続く第2内ボックス(34)の窓部の下面(34a)との間に接続ロック構造を設け、矩形筒体(22)即ち温水プラグ(31)の最終差込み位置において、温水プラグ(31)を温水コンセント(30)に接続固定すると、温水プラグ(31)の後方への移動が阻止される。
【0036】
接続ロック構造としては、図1又は図10(a)(b)にそれぞれ示すように、バネ(46a)又は(46b)によって付勢された係止爪(47)を、支持部材(39)の軸(38)の下面に臨むように設け、温水プラグ(31)の最終差込み位置において、係止爪(47)が係合する係合突起(6)を、第2内ボックス(34)の窓部の下面(34a)に突設させる構造が採用可能である。各接続ロック構造は、図10の(a)に示すものでは、温水プラグ(31)を強制的に引き抜くことで解除でき、図10の(b)に示すものでは、軸(38)の上面に突出させる押しボタン(48)を押すことにより解除できるように設定されている。
【0037】
接続ロック構造としては、図10(C)に示すように、第2内ボックス(34)の窓部の下面(34a)に、バネ(46c)によって上方突出状態に付勢された球状突起(61)を設け、軸(38)の下面に、球状突起(61)が嵌合可能な球状凹部(38)を設ける構成としても良い。このものでは、温水プラグ(31)を強制的に引き抜くことで解除することができる。
さらに、球状突起(61)に代えて、図10(d)に示すように、係合凹部(60)の前後に、操作部(62a)と係合突起(62b)とを突設させた形状の係合体(62)をバネ(46d)で上方突出状態に付勢させる構成としても良い。このものでは、軸(38)の下面に、係合突起(62b)がワンウェイ係合する係合凹部(38a)と、係合凹部(60)にちょうど嵌まり込む係合端(38b)が設けられている。このものでは、両者を係合させた後に、係合体(62)の操作部(62a)を下方へ押せば、係合突起(62b)と係合凹部(38a)との係合、係合端(38b)と係合凹部(60)との係合を同時に解除することができる。
【0038】
このように、雌継手(1a)(1b)への雄継手(2a)(2b)の接続完了状態にて、雄継手(2a)(2b)を取り外し方向に、前記接続ロック構造が外れる力で強制的に引き抜いたり、所定の解除操作を行ったりしない限り、図7の(D)の状態は維持され、矩形筒体(22)や、板状弁体(210)又は板状弁体(110)は移動阻止状態にロックされた状態にあり、各々が不用意にずれることがない。よって、貫通孔(100)(200)及び開口(10)(20)がずれることがないから、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)の接続途中に流体の流れに支障を来たしたり、漏れが発生したりする不都合はない。
【0039】
温水プラグ(31)を温水コンセント(30)から取り外す際に、雄継手(2a)(2b)を雌継手(1a)(1b)から前記接続ロック構造が外れる力で引き抜くと、上述した図7の(D)の状態から(A)の状態に戻る。
具体的には、図7の(D)の状態から矩形筒体(22)を引き抜く方向(図面の右方向)に強制的に移動させると、矩形筒体(22)の第1係止部(8)で第1揺動片(18)が押されることにより、板状弁体(110)も同方向に移動し、板状弁体(110)の移動に伴って、板状弁体(110)の係止ピン(112)に押されて板状弁体(210)も移動する。このように、矩形筒体(22)、板状弁体(210)及び板状弁体(110)が移動した状態が図7の(C)の状態である。このとき、雌継手(1a)(1b)は板状弁体(110)によって閉弁される。
【0040】
この時点で、第1揺動片(18)は凹部(118)に落ち込むことにより、第1揺動片(18)と第1係止部(8)の係合が解除されるが、第2揺動片(19)の内側端(19b)は、図10の(A)に示すように、上方に突出したままであるため、板状弁体(210)の移動は阻止される。このため、図10の(B)に示すように、矩形筒体(22)のみが解除方向に移動していく。これにより、板状弁体(210)の貫通孔(200)と矩形筒体(22)の開口(20)とがずれることとなるため、雄継手(2a)(2b)は板状弁体(210)によって閉弁される態様となる。
【0041】
又、矩形筒体(22)のみを移動させることにより、ロックピン(17)及びロックピン(27)が復帰することとなり、板状弁体(110)は平面部(11)に、板状弁体(210)は平面部(21)に、それぞれ相対移動阻止状態にロックされる。さらに、第2揺動片(19)の第2係止部(9)による揺動が解除され、第2揺動片(19)は図9の状態から図6の状態に復帰させられる。これにより、板状弁体(210)は板状弁体(110)上を摺動可能となる。
よって、矩形筒体(22)を引き抜くと、板状弁体(210)は板状弁体(110)上を摺動し、図3に示すように、矩形筒体(22)と共に引き抜かれていく。
【0042】
上記したように、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)の構成壁の一つに平行に装着させた板状弁体(110)(210)を、雌継手(1a)(1b)の開口(10)及び雄継手(2a)(2b)の開口(20)を開閉する弁装置として機能するようにしたから、接続完了状態である図7の(D)の状態にて、接続筒部(13)(23)を繋ぐ流路内の流路抵抗は小さくなる。これにより、流体は、熱源機(4)と放熱機(41)との間をスムーズに循環することとなり、室外配管(40a)(40b)と室内配管(42a)(42b)を従来のものよりも細径に形成することができ、経済的で省エネにもなる配管システムを提供することができる。
【0043】
又、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)を離反させる前に、開口(10)(20)は板状弁体(110)(210)によって閉弁させているから、雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)の取り外し時に、流路内の流体が垂れる液だれを生じさせることもない。
さらに、平面部(11)(21)と板状弁体(110)(210)との間及び接続時における板状弁体(110)(210)間は、環状パッキン(15a)〜(15d)(25a)(25b)によってシールされているから、異物が付着することもなく、板状弁体(110)(210)の開閉に支障を来たすこともない。
【0044】
尚、上記実施の形態では、一対の雌継手(1a)(1b)と雄継手(2a)(2b)から、循環流路を開閉する継手装置として機能するようにしたが、必ずしも循環流路に設ける必要はない。
【符号の説明】
【0045】
(1a)(1b)・・・・・雌継手
(2a)(2b)・・・・・雄継手
(10)(20)・・・・・開口
(11)(21)・・・・・平面部
(110)(210)・・・・板状弁体
(100)(200)・・・・貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内に設けられ且つ取り外し自在に接続される雄継手と雌継手とからなり、前記雄継手と前記雌継手との接続時に開弁し、取外し時に閉弁する弁装置がそれぞれ設けられている継手装置において、
前記雄継手及び雌継手に、両者の接続時に相互に平行に対峙する平面部がそれぞれ設けられ、
前記各平面部に各々の流路に連通する開口が形成され、
前記平面部に対して平行に重ね合わされた状態で前記平面部上を摺動可能な板状弁体が前記雄継手及び雌継手にそれぞれ設けられると共に、前記板状弁体には前記開口に対応する貫通孔が形成され、
前記雄継手と雌継手とが非接続状態にあるとき、前記平面部の開口はそれぞれの板状弁体の貫通孔非形成域によって閉塞され、
両継手の前記板状弁体の表面相互が摺擦し合うように前記雄継手と雌継手を相対的に接続方向に平行移動させることにより、前記両継手は連結されると共に、板状弁体は前記平面部上をそれぞれ摺動可能となり、
前記雄継手と前記雌継手との接続完了状態にて、前記雄継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔、及び、前記雌継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔の全てが一致するように設定されている継手装置。
【請求項2】
請求項1に記載の継手装置において、
前記平面部は、前記雄継手の下面及び前記雌継手の上面にそれぞれ設けられ、両継手の移動方向に沿った前記平面部の両側に、両継手をすすみ対偶状態に連結させる連結ガイドが設けられている継手装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の継手装置において、前記接続完了状態にある前記雄継手及び雌継手を移動阻止状態にロックするロック手段が設けられた継手装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の継手装置において、前記平面部の開口内に筒体が同心状に嵌め込まれ、前記筒体は前記筒体よりも奥に設けられたばねによって前記板状弁体を押圧する方向に付勢されており、前記筒体と前記板状弁体との間及び前記筒体と前記開口との間を水密状態にシールする環状パッキンが設けられている継手装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の継手装置において、
前記雄継手及び雌継手は、それぞれ、循環流路を構成する往路復路の二流路からなる継手装置。
【請求項1】
流路内に設けられ且つ取り外し自在に接続される雄継手と雌継手とからなり、前記雄継手と前記雌継手との接続時に開弁し、取外し時に閉弁する弁装置がそれぞれ設けられている継手装置において、
前記雄継手及び雌継手に、両者の接続時に相互に平行に対峙する平面部がそれぞれ設けられ、
前記各平面部に各々の流路に連通する開口が形成され、
前記平面部に対して平行に重ね合わされた状態で前記平面部上を摺動可能な板状弁体が前記雄継手及び雌継手にそれぞれ設けられると共に、前記板状弁体には前記開口に対応する貫通孔が形成され、
前記雄継手と雌継手とが非接続状態にあるとき、前記平面部の開口はそれぞれの板状弁体の貫通孔非形成域によって閉塞され、
両継手の前記板状弁体の表面相互が摺擦し合うように前記雄継手と雌継手を相対的に接続方向に平行移動させることにより、前記両継手は連結されると共に、板状弁体は前記平面部上をそれぞれ摺動可能となり、
前記雄継手と前記雌継手との接続完了状態にて、前記雄継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔、及び、前記雌継手の平面部の開口とその板状弁体の貫通孔の全てが一致するように設定されている継手装置。
【請求項2】
請求項1に記載の継手装置において、
前記平面部は、前記雄継手の下面及び前記雌継手の上面にそれぞれ設けられ、両継手の移動方向に沿った前記平面部の両側に、両継手をすすみ対偶状態に連結させる連結ガイドが設けられている継手装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の継手装置において、前記接続完了状態にある前記雄継手及び雌継手を移動阻止状態にロックするロック手段が設けられた継手装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の継手装置において、前記平面部の開口内に筒体が同心状に嵌め込まれ、前記筒体は前記筒体よりも奥に設けられたばねによって前記板状弁体を押圧する方向に付勢されており、前記筒体と前記板状弁体との間及び前記筒体と前記開口との間を水密状態にシールする環状パッキンが設けられている継手装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の継手装置において、
前記雄継手及び雌継手は、それぞれ、循環流路を構成する往路復路の二流路からなる継手装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−82943(P2012−82943A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231819(P2010−231819)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000151977)株式会社藤井合金製作所 (66)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000151977)株式会社藤井合金製作所 (66)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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