網目状構造体を含む複合構造体
【課題】エレクトロスピニング法により、機能性に富んだ新規な構造(ナノウェブ)を有する複合網目状構造体を提供すること。
【解決手段】エレクトロンスピニング法において、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜25cm、印加電圧を25kV以上とすることにより、複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている複合構造体を製造する。
【解決手段】エレクトロンスピニング法において、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜25cm、印加電圧を25kV以上とすることにより、複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている複合構造体を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロスピニング法で作成されるナノオーダー径の網目状構造体(本明細書ではこれを「ナノウェブ」という)を含む複合構造体及びその製造方法、並びにナノウェブを含む複合構造体を使用する吸着方法及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノオーダーの高分子の微細ファイバーを作製する方法として、従来からエレクトロスピニング法が知られている。エレクトロスピニング法によれば、ナノオーダー径の繊維体を比較的簡単に作製することができ、作成された繊維体は、生物学的な培地、医療分野における止血材、電池のセパレータなど、種々の分野での応用が期待されている。
【0003】
エレクトロスピニング法とは、シリンジに入れた高分子溶液に2kV以上の高電圧を印加して、電界中に溶液を飛散させてナノファイバを作製するナノ紡糸法である。紡糸工程が簡単であること、繊維の厚さが薄膜から不織布まで制御できることなどから、最も実用に近いナノ紡糸法として注目されている。この方法では、高分子の種類や分子量・溶液の濃度・溶液飛散距離によりファイバ径・ファイバ形状が変化し、数十ナノメートルから数マイクロメートルの太さのファイバを作製することが可能である。
【0004】
このような極微細繊維体を大容量且つ高速に製造するため、5〜50kVの電圧を印加し、シリンジのノズルと電極との間隔を5mm以上とし、貯蔵された液状高分子物質を加圧し供給するポンプを利用し、数nm〜数千nm間の直径を有する繊維が3次元のネットワーク構造に積層された形態を有する高分子ウェブを製造する方法が提案されている(特許文献1)。また、同様な目的で高分子溶液を40℃から溶媒の沸点以下の温度範囲に維持し、ノズルからの吐出量増加させる方法も提案されている(特許文献2)。この先行技術では、20gのポリアクリロニトリル(分子量150,000)を、80gのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して20wt%の高分子溶液とし、コレクタとしてアルミニウム板を用い、ノズルとコレクタ間の高さを20cmとし、10kVの電圧を印加して、エレクトロスピニング装置のノズルより180μl/minの吐出速度で高分子溶液を吐出させ、コレクタであるアルミニウム板を4m/minで移動させながら、アルミニウム板上に50μm厚の高分子ウェブを生成させている。このウェブは、透過電子顕微鏡写真の結果、繊維と液滴とが混合したフィルム状の高分子ウェブであることが確認されている。
さらに、高分子として絹フィブロインや絹様材料を使用し、エレクトロスピニングすることにより、天然には存在しない、所望の太さを持つ単フィラメント繊維を作成する方法も提案されている(特許文献3)。この方法では、10〜30kVを用い、溶液中の絹濃度が8〜10重量%で数十nm〜数百nmの極細繊維による不織布が得られている。
【特許文献1】特開2002−201559号公報
【特許文献2】特開2002−249966号公報
【特許文献3】特開2004−068161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エレクトロスピニング法による高分子繊維の作成によればナノオーダー径の繊維からなる繊維体を比較的簡単に作製することができ、種々の高分子が適用できることから、最近その応用分野についても活発に開発が進んでいるが、さらに機能性に富んだ繊維や素材が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、エレクトロスピニング法による高分子繊維の作成に際し、特定条件下では、驚くべきことに通常のナノ繊維のほか、それらの繊維同士を結合する、直径が40nm未満の非常に微細な網目構造に自己組織化したナノウェブ(図1)が生成することを見出し、本発明に至った。
【0007】
本発明のナノウェブを作成するには、エレクトロンスピニング法において、高分子溶液濃度、シリンジと電極との距離、印加電圧を特定範囲に調整することが必要である。
本発明は、以下の構成からなる。
(1)複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている高分子複合構造体。
(2)高分子がナイロンまたはポリアクリル酸である(1)記載の複合構造体。
(3)(1)に記載されるナノウェブをさらに炭化処理してなる炭素系複合構造体。
(4)エレクトロンスピニング法において、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜25cm、印加電圧を25kV以上としたことを特徴とする複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている複合構造体の製造方法。
(5)(1)ないし(3)のいずれかに記載の複合構造体からなるフィルタ材。
(6)(1)ないし(3)のいずれかに記載の複合構造体からなるガスセンサ用部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレクトロスピニング法を特定条件下で実施することにより、従来知られていなかったナノウェブを含む複合構造体を提供することができ、該複合構造体は以下のような用途に使用可能である。
(1)高分子との吸着性を利用した吸着材として使用すれば、吸着性に優れた吸着材を提供できる。
(2)機能性高分子を使用すれば、反応性に優れた処理剤を提供できる。
(3)センサ用部材として使用すれば、感度の優れたセンサを提供できる。
(4)フィルタとしての用途において、網目構造の網目間隔を調整することで、サブミクロン径の粒子を精度よく篩い分けすることができる。
(5)炭化処理して炭素系複合構造体とすれば、吸着剤、触媒担体や補強材などさらに用途を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の複合構造体は、複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されているものである。
エレクトロスピニング法によりこのようなナノウェブを形成するためには、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜25cm、印加電圧を25kV以上とすることが必要である。
相対湿度が30%以下では、急速にナノウェブの形成率が低下する(図11)。
また、ファイバ材料溶液の濃度は25wt%を超えると粘度が高くなりすぎ収率が低下する。
さらに、シリンジと電極との距離が25cmを超えると、ウェブが形成されないか、形成されても細すぎて実用的でなく、5cm未満では、液滴が充分分散されないまま付着してしまい操作自体が不可能となる。
印加電圧が5kV未満でも繊維が届かず操作自体が不可能となる。
【0010】
本発明の複合構造体の原料は、通常エレクトロスピニング法で使用される高分子であり、フィブロアスベスト混合絹様高分子(SLPF)、絹(N.Clavipes絹,B.Mori絹,絹フィブロイン)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリピロリドン(アイソタチック、アタクチック)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリベンゾニトリル(PBI)、ポリカプロラクタム(PCL)、ポリε−カプロラクタム、l−ラクチド−ε−カプロラクタム共重合体、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ナイロン6、PA−66、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(PEVA)、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、PLGA、ポリ2−ヒドロキシエチル−メタクリレート(HEME)、コラーゲン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェロセニルジメチルシラン(PFDMS)などが使用し得るが、その中でも強度の点からナイロンが好ましい。
また、種々の機能を有する材料を選択することにより、撥水性のほかに種々の機能を持たせることもできる。
例えば、消臭機能が期待される材料として、次のようなものがある。
ベンゾキノン化合物(メルカプタン類やジスルフィド類に効果)、アラミド、メタアラミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリロニトリル、ヘキサメタ燐酸ソーダ、ポリエチレンイミン(硫化水素臭脱臭)
塩基性悪臭成分除去に有効なものとしては、
リンゴ酸、クエン酸含有ポリマー、ポリアクリル酸、ポリりん酸 (アンモニア臭除去)、酸化チタン、硫酸アルミニウム含有ポリマー、酸化亜鉛含有ポリマー、鉄・フタロシアニン含有ポリマー、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物含有ポリマー (アンモニア、低級脂肪酸、ピリジン、トリメチルアミンなどのガスの除去)、アルミノ珪酸塩含有ポリマー
その他
貴金属酸化物酸化分解触媒含有ポリマー( 酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化クロム 及び その複合金属酸化物)、遷移元素含有化合物(硝酸銅、硫酸銅、塩化第二銅)含有ポリマー、光触媒(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等)含有ポリマー、四酸化ルテニウムなどルテニウム化合物含有ポリマー、珪酸アルミン酸マグネシウム含有ポリマー
次の化合物を含有するポリマー
鉄テトラカルボキシフタロシアニン含有化合物、オキシ多塩酸、ルテニウム化合物、アルミ含有複合フィロ珪酸塩、燐酸カルシウム、金属二ロシアニン、3−アミノプロピルトリハイドロシラン、γアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、サリチル酸、安息香酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンジルアンモニウム塩、フィチン酸、イノシトールヘキサリン酸エステル、炭酸アルカリ金属塩、炭酸アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、2−ヒドロキシルメチルアミノエタノール、ヘキサヒドロ−1、3、5−トリエチル−S−トリアジン、ベンゾキノン誘導体、胴クロロフィンナトリウム、2−メトキシ−1、4−ベンゾキノン
2−メチル1、4−ベンゾキノン、ベンゾキノン誘導体〜液体担持性高い担持性〜酸化珪素粉または酸化カルシウム粉、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、セミカルバジド、ヒドラジン誘導体、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、リン酸とエチレンジアミン、リン酸とトリエタノール、脂肪族アルデヒド、活性炭の細孔面に担持されたアミン、シッフ塩基、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ヒドラジン系化合物と長鎖の脂肪族化合物の反応物、ヒドラジン系化合物と芳香族化合物の反応物、セバジン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アニリン、芳香族アミン、アミノ基を含有する有機珪素化合物、3−アミノプロピルトリヒドロキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、第1級アミノ基を有する化合物と珪酸マグネシウム質粘土鉱物の組み合わせ、キトサン、ポリアクリル酸ヒドラジド、有機酸類、ビタミンC、フラボノイド、マロン酸エステル類、酒石酸エステル類、マンデル酸エステル類、活性炭、アスコルビン酸、スルファミン酸、グリシン、ザルコシン、2−アミノエタノール、有機酸エステル類、フィチン酸金属錯化合物、アミノ化合物、アミド化合物、ベンゾキノン誘導体、アミノ化合物、ヒドラジン誘導体、有機珪素化合物シラノール基、ヒドラジン類と過酸化物、キノリノール、キノリン系金属錯体、グルコン酸塩とアルカリ性薬剤、マロン酸エステル、酒石酸エステル、フィチン酸金属錯化合物、脂肪酸石鹸と消臭剤泡、アミノエタノール誘導体、トリアジン誘導体、アミドオキシム系錯化合物、ベンゾキノン誘導体、アミン、酸性ガス吸着性アミノ基含有有機珪素化合物、ヒドラジン誘導体、ポリアミノ化合物と珪酸マグネシウム質粘土鉱物、層状難溶性リン酸塩の層間に芳香族アミンをインターカレート
次の微生物を含有するポリマー
エンテロバクター類の微生物、チオバチルスチオパルスとリン酸アルカリ塩、バチラス・ズブチリス・クボタ、バチルス属:バチルス・サブチルス、バチルス・ナットウ、バチルス・コアギュラス、バチルス・マセランス、エンテロバクター属:エンテロバクター・サカザキ、エンテロバクター・アグロネランス、ストレプトコッカス属:ストレプトコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ラクチス、アルカリゲネス属:アルカリゲネス・フェカリス、アルカリゲネス・デニトリフィカンス
クレシェラ属:クレシェラ・ニュモニー
次の物質を含有するポリマー
レッドビートエキス、カカオエキス、コーヒーパセリエキス、緑茶エキス、シソエキス、柿エキス、フキエキス、海のり抽出物、マンネンタケ抽出物、マッシュルーム抽出物、ポリフェノール、フラボノイド、テルペン、ポリフェノール化合物、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、タンニン酸、リンゴのポリフェノール、カテキン、エピカテキン、フロリジン、クロロゲン酸、プロアントシアニジン、クマリン、葉酸、アビエチン酸、ヒノキチオール、グアバ茶、ヨウバイヒ、訶子(カシ)、シバイカ茶、レンセイソウ、プーアル茶、サンシュユ、アカメガシワ、ケイヒ、タラ、活性炭、シリカゲル、水酸化カルシウム、クエン酸、チオ硫酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、ウレアーゼ阻害剤、ビンロウジ粉末、フラボノイド含有木材抽出物(界面活性剤、香料含むものあり)、延命草(ヒキオコシ、クロバナヒキオコシ)抽出物、ジテルペン誘導体、enmain、nodosin、trichorabdal A、trichorabdal B、trichorabdal C、trichorabdal H、oridonin、effusanin A、effusanin B、longikaurin A、longikaurin B、longikaurin D、lasiokaurin、trichoranin(命名予定)、「スメルナーク」:国産30種類の植物から抽出したエキスをブレンド(杉、檜、熊笹、アロエ、サンショウなど)、フィトンチッド、ベタイン(わさび)、アミノ酸(わさび)、有機脂肪酸(わさび)、フラクトース類(わさび)、バラ科未熟果実からのポリフェノール、緑茶フラボノイドクマリン、葉酸、アビエチン、ヒノキチオール、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、活性炭、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クエン酸、アルミニウム塩、ヒドロキシ塩化アルミニウム、エチルアルコール、ラウリン酸(ドデカン酸)(直鎖飽和脂肪酸とグリセリルモノカプリレートなどと共に)、α、ω−アルカンジカルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルたる酸など)(羊毛ロウ酸との混合物で)、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、桂皮アルコールシトロネロール、ゲラニオール、キトサン(特定の粒径の微粒子にすると)、抗菌ゼオライト(アンモニウムイオンおよび抗菌性金属で置換した)、ウイキョウ、チョウジ、ハッカ、ユーカリなどの天然精油、ニンジン、アロエ、ヨモギ、ビワ、シソ、ゲンノショウコなどのありふれた植物、有機酸、キトサン、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、天然精油、有機酸亜鉛塩、セージやローズマリーなどの植物乃至天然抽出物、タマリンドハスクの抽出物、トコトリエノール、N−メタクリロイルオキシエチル−N、N−ジメチルアンモニウム・α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体、牛乳、酸性食品(梅干やレモンなど)、繊維質食品(レタス、キャベツ、海苔など)、フラボノイド、クロロフィル、藍藻類のたんぱく質、ビタミン類、多糖類、ミネラル、クロレラ熱水抽出物、ディル種子、パセリ種子、フェンネル種子、アニス種子、スターアニス果実、クミン種子、アオシソ種子、シナモン樹皮、バジル葉、ナツメグ種子、ローズマリー葉、カルダモン種子、ジュニパー液果、ペパーミント葉、コリアンダー種子、キャラウェイ種子、テルペン、テルペンアルコール、オキサイド化合物、緑茶、ウーロン茶、柿葉、リンゴエキス、ルイボス・クラウン、乾燥ニンジン葉、繊維成分の多い乾燥野菜、糖質含有の高い乾燥野菜、天然植物ユッカのエキス、サポニン、バチラス・ズブチリス、グリオキザール、ツバキ科植物からの消臭成分、クロロフィリン系染料、ポルフィリン系染料、ゼオライト、シリカゲル、有機系フラボノイド、アニオン系消臭加工液、酸化亜鉛、ジルコニウム化合物、珪酸金属塩、アルミノ珪酸金属塩、SiO2・MOn/2・Al2O3、HaMb(PO4)・nH2O(a+4b=3c)(Mはジルコニウム、チタン、スズなど)、1価または2価の金属イオンを担持させた4価金属燐酸塩からなる無機陽イオン交換体、ハイドロタルサイト、アミン系化合物、エチレンジアミン、ジアミノプロピルアミン、ポリアミン化合物、キシレンジアミン、フェニレンジアミン、芳香族ポリアミン(珪素、亜鉛、銅、ゼオライト、活性炭などの無機系化合物を加える)、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン化合物(炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸ジヒドラジドや芳香族ジカルボン酸ジヒドラジドなど)、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、セラミック系消臭剤、ポリアミド繊維やポリエステル繊維にカルボン酸基やスルホン酸基を導入し、このカルボン酸基などの水素イオンを金属イオンで置換した繊維、貴金属ゼオライト触媒、金属酸化物、両性金属水酸化物(水酸化亜鉛など)、無定形二酸化珪素と無定形酸化亜鉛を微粉化し、混合した無機系イオン吸着型消臭剤、合成繊維のスパンボンド不職布とセルロース繊維シートをウオータージェット交絡して複合不職布としたもの、酸型のカルボキシル基の一部もしくは全部を、2価の銅化合物を含有する水溶液に浸漬して特定範囲のpHで銅塩型に転換したもの、珪酸金属塩、アルミノ珪酸金属塩、モダクリル繊維、金属フタロシアニン、金属フタロシアニン誘導体、酸性基を有するビニルモノマーとそのビニルモノマーに共重合可能な単量体よりなる共重合体、アクリレート繊維、ヒドラジン化合物、精油成分、有機酸、金属酸化物、光触媒、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アパタイト、燐酸カルシウム、金属フタロシアニンポリカルボン酸、トリポリ燐酸二水素アルミニウム、塩素化イソシアヌール酸、ハロゲン化ヒダントイン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、スチレン、ブタジエン、スチレンスルホン酸塩、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、SBR、SB、HS、NBR、スチレンスルホン酸塩、アクリル酸、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、グリオキサール、酢酸ビニル、ジェランガム、ゼラチン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アルギン酸ソーダ、セルロース誘導体、寒天、ガラギーナン、グルコース酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、硫酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、硫酸水素カリウム、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、カルボキシル基を持つポリマー、スルホン酸基を持つポリマー、二酸化珪素、酸化亜鉛、バナジウム酸化物、CMC、でんぷん、CMS(カルボキシメチルスターチ)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、テトラアルキルシラン、ハロシラン、ジシロキサン、ジシラザン、シラノール、α−ピネン、ポルネオール、リモネン、テルペン系炭化水素、ヒノキチオール、タンニン、カテキン、過ホウ酸ソーダ水和物、過ホウ酸ソーダ四水和物、シアン酸塩、ジクロロイソシアヌール酸ソーダ、トリクロロイソシアヌール酸ソーダ、二酸化塩素、次亜塩素酸ソーダ、次亜塩素酸カルシウム、硝酸ソーダ、消石灰、アスコルビン酸、1,3,5−トリス−(β−オキシエチル)−ヘキサヒドロトリアジン、コリン、グルコヘプトン酸鉄、ソーダ灰、硫酸第一鉄、珪酸マグネシウム、マンナンオリゴ糖、ウンデシレン酸ポリオキシアルキレンエステル、ヤシ油脂肪酸、アミドプロピルベタイン、ナフタリン、樟脳、パラジクロロベンゼン、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、塩素化イソシアヌール酸、テーブルヤシ、ガジュマル、オポポナックス樹脂、ミル樹脂、オリバナム樹脂、シトラベース、フローラルベース、ムスクベース、グリオキザール、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト、メチルサリシレート、チモール、アニリン、メントール、オイゲノール、セピオライト、カルミン色素、アントラキノン化合物、カルボン酸エステル、
などを用いることができる。
【0011】
ファイバ材料を溶解する溶媒としては、上記の高分子を溶解し、沸点の低い高揮発性のものであれば種類を問わないが、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、CaCl2/エタノール/水、DMAA、TFA/MC、DMF、THF、THF/DMF、DMAc、DMF/THF/イソプロパノール、クロロホルム/メタノール、アセトン、ジメチルホルムアルデヒド、メチレンクロライド、ジクロロメタン、ギ産、IPA/水(7:3)、エタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、DMF/ジメチルアセトンなどが挙げられる。
【0012】
ウェブを構成する高分子の反応を利用すれば、気相もしくは液相中の微量成分の除去分離用フィルタとして利用できる。
例えば、消臭機能の期待される材料としては、ベンゾキノン化合物(メルカプタン類やジスルフィド類に効果)、アラミド、メタアラミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリロニトリル、ヘキサメタ燐酸ソーダ、ポリエチレンイミン (硫化水素臭脱臭)が挙げられ、
塩基性悪臭成分除去としては、リンゴ酸、クエン酸含有ポリマー、ポリアクリル酸、ポリりん酸(アンモニア臭除去)、酸化チタン、硫酸アルミニウム含有ポリマー、酸化亜鉛含有ポリマー、鉄・フタロシアニン含有ポリマー、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物含有ポリマー(アンモニア、低級脂肪酸、ピリジン、トリメチルアミンなどのガスの除去)、アルミノ珪酸塩含有ポリマーがあげられ、
その他、貴金属酸化物酸化分解触媒含有ポリマー( 酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化クロム、及びその複合金属酸化物)、遷移元素含有化合物(硝酸銅、硫酸銅、塩化第二銅)含有ポリマー、光触媒(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等)含有ポリマー、四酸化ルテニウムなどルテニウム化合物含有ポリマー、珪酸アルミン酸マグネシウム含有ポリマー、鉄テトラカルボキシフタロシアニン含有化合物、オキシ多塩酸、ルテニウム化合物、アルミ含有複合フィロ珪酸塩、燐酸カルシウム、金属二ロシアニン、3−アミノプロピルトリハイドロシラン、γアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、サリチル酸、安息香酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンジルアンモニウム塩、フィチン酸、イノシトールヘキサリン酸エステル、炭酸アルカリ金属塩、含有ポリマーなどが挙げられる。
【0013】
さらに上記高分子との反応を利用すれば、感度のよいセンサを製造することができる。
【実施例1】
【0014】
本発明の複合構造体の形成方法を以下に示す。
(ファイバ材料)
・ナイロン6 (Polycaprolactam)
・ギ酸(Formic acid 98%)
ナイロン6試薬を種々の濃度でギ酸溶媒に、室温で攪拌して溶解させる。これをファイバ材料溶液とした。
(ファイバの作製)
以下のエレクトロスピニング条件で、ファイバを作製した。
・ 電圧:25kV
・ スプレー距離:15cm
・ 電極:アルミ箔
アルミ箔に形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(2万倍、10万倍)を図1に示す。図1によれば、高分子濃度が10wt%では、一部に繊維間を微細なファイバが結合しているのが観察され、濃度が15重量%超えると繊維間の微細繊維は網目構造(ナノウェブ)となっていくことが観察された。
これらの繊維径の分布割合を図2に示す。図2のグラフによれば、高分子濃度を10wt%から15wt%、20wt%と増加していくと、繊維径は66nm、106nm、184nmと増加していることを示している。一方、繊維間のナノウェブも、図1に示されるように高分子濃度を増加させていくに従い直径が太くしかも繊維間に均一に形成されるようになり、図2dのグラフによれば20wtでは平均17nmで、非常に均一であることがわかる。
【実施例2】
【0015】
次に、実施例1における15wt%高分子溶液を使用し、印加電圧25kVとし、スプレー距離を5cm〜25cmまで変化させたときの、形成繊維の電子顕微鏡写真(1万倍、10万倍)を図3に示す。この写真によれば、スプレー距離を変化させても、繊維径はほとんど変化せず、繊維間のナノウェブは25cmでも一部に形成が観察され、10cm以下になると急激に直径が増加し、しかも緻密に形成されることがわかった(図10a)。
図10bは、所定幅のナノウェブを含む構造体の強度を測定した結果であり、図10aのファイバ径と同様、距離が離れるほど強度が低下した。図10cは、単位面積当りのナノウェブの形成量を表す被覆率の測定結果で、これも、距離が離れるほど低下したが、ウェブ径や強度ほどではなかった。
【実施例3】
【0016】
さらに、実施例1における15wt%高分子溶液を使用し、スプレー距離を15cmとし、印加電圧を10kV〜30kVに変化させたときの、形成繊維の電子顕微鏡写真(2万倍)を図4に示す。この写真によれば、印加電圧を変化させても、繊維径はほとんど変化せず、繊維間のナノウェブは15kVでも一部に形成が観察されるが、25kV以上になると急激に直径が増大し、しかも緻密に形成されることがわかった。
【実施例4】
【0017】
(ファイバ材料)
・ポリアクリル酸(PAA)
・水(H2O)
ポリアクリル酸を水(H2O)に、室温で攪拌して溶解させ6重量%溶液とし、これをファイバ材料溶液とした。
(ファイバの作製)
以下のエレクトロスピニング条件で、ファイバを作製した。
・ 電圧:25kV
・ スプレー距離:15cm
形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(5000倍〜2万倍)を図5に示す。この写真によれば、膜状体の形成が観察されるが、網目状構造体は形成されなかった。
次に、ポリアクリル酸の溶媒として水(H2O)/エタノール(C2H5OH=1:1)を使用して同様な実験を行い、形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(5000倍〜5万倍)を図6に示す。この写真によれば、膜状体に開口部が形成され網目状構造物(ナノウェブ)となっていることがわかる。
さらに、ポリアクリル酸の溶媒としてエタノール(C2H5OH)を使用して同様な実験を行い、形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(5000倍〜2万倍)を図7に示す。この写真によれば、膜状体の開口がより均一に形成されることがわかる。
以上の実施例の結果によれば、本件発明のナノウェブは、エレクトロスピニング法において初期の段階で生じる高分子溶液の急激な相分離により形成されるものと推定することができる。
【実施例5】
【0018】
図12に示される9Lのチャンバー内に、アンモニア10.5ppmを含有する空気を封入し、実施例4で製造されたナノウェブ0.25g(図13(b))を使用してガスの吸着試験を行った。対照サンプルとして図13(a)に示されるナノファイバ0.25gを使用して同様な試験を行い、それらの結果を図14に示す。本発明のナノファイバによれば、空気中の微量ガスを急速に除去できる。
【実施例6】
【0019】
水晶振動子に、実施例4で製造されたナノウェブを接着しガスセンサとした。このセンサを図15に示される装置に装着し、1ppmのアンモニアを含有する窒素ガス(湿度30%)と接触させたときの周波数シフト量を測定した。対照サンプルとして図13(a)に示されるナノファイバを使用して同様な試験を行い、その結果を図16に示す。本発明のナノファイバによれば、感度よく微量ガスを測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の複合構造体は、従来知られていなかった網目状のナノウェブを含むもので、特にナノテク分野において種々の応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ナイロン溶液の濃度を変化させたときの複合構造体を撮影した写真
【図2】図1の複合構造体における平均繊維径分布を示すグラフ
【図3】スプレー距離を変化させたときの複合構造体を撮影した写真
【図4】印加電圧を変化させたときの複合構造体を撮影した写真
【図5】ポリアクリル酸の6重量%水溶液を使用して形成させた複合構造体を撮影した写真
【図6】ポリアクリル酸の6重量%溶液(水/エタノール=1:1)を使用して形成させた複合構造体を撮影した写真
【図7】ポリアクリル酸の6重量%溶液(エタノール)を使用して形成させた複合構造体を撮影した写真
【図8】ナイロン溶液の濃度を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図9】ナイロン溶液を使用し、印加電圧を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図10】ナイロン溶液を使用し、シリンジと電極との距離を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図11】ナイロン溶液を使用し、相対湿度を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図12】ガス吸着試験装置の概略図
【図13】試験に使用したナノファイバとナノウェブの電子顕微鏡写真
【図14】ガス吸着試験の結果を示すグラフ
【図15】ガスセンサ試験装置の概略図
【図16】ガスセンサ試験の結果を示すグラフ
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロスピニング法で作成されるナノオーダー径の網目状構造体(本明細書ではこれを「ナノウェブ」という)を含む複合構造体及びその製造方法、並びにナノウェブを含む複合構造体を使用する吸着方法及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノオーダーの高分子の微細ファイバーを作製する方法として、従来からエレクトロスピニング法が知られている。エレクトロスピニング法によれば、ナノオーダー径の繊維体を比較的簡単に作製することができ、作成された繊維体は、生物学的な培地、医療分野における止血材、電池のセパレータなど、種々の分野での応用が期待されている。
【0003】
エレクトロスピニング法とは、シリンジに入れた高分子溶液に2kV以上の高電圧を印加して、電界中に溶液を飛散させてナノファイバを作製するナノ紡糸法である。紡糸工程が簡単であること、繊維の厚さが薄膜から不織布まで制御できることなどから、最も実用に近いナノ紡糸法として注目されている。この方法では、高分子の種類や分子量・溶液の濃度・溶液飛散距離によりファイバ径・ファイバ形状が変化し、数十ナノメートルから数マイクロメートルの太さのファイバを作製することが可能である。
【0004】
このような極微細繊維体を大容量且つ高速に製造するため、5〜50kVの電圧を印加し、シリンジのノズルと電極との間隔を5mm以上とし、貯蔵された液状高分子物質を加圧し供給するポンプを利用し、数nm〜数千nm間の直径を有する繊維が3次元のネットワーク構造に積層された形態を有する高分子ウェブを製造する方法が提案されている(特許文献1)。また、同様な目的で高分子溶液を40℃から溶媒の沸点以下の温度範囲に維持し、ノズルからの吐出量増加させる方法も提案されている(特許文献2)。この先行技術では、20gのポリアクリロニトリル(分子量150,000)を、80gのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して20wt%の高分子溶液とし、コレクタとしてアルミニウム板を用い、ノズルとコレクタ間の高さを20cmとし、10kVの電圧を印加して、エレクトロスピニング装置のノズルより180μl/minの吐出速度で高分子溶液を吐出させ、コレクタであるアルミニウム板を4m/minで移動させながら、アルミニウム板上に50μm厚の高分子ウェブを生成させている。このウェブは、透過電子顕微鏡写真の結果、繊維と液滴とが混合したフィルム状の高分子ウェブであることが確認されている。
さらに、高分子として絹フィブロインや絹様材料を使用し、エレクトロスピニングすることにより、天然には存在しない、所望の太さを持つ単フィラメント繊維を作成する方法も提案されている(特許文献3)。この方法では、10〜30kVを用い、溶液中の絹濃度が8〜10重量%で数十nm〜数百nmの極細繊維による不織布が得られている。
【特許文献1】特開2002−201559号公報
【特許文献2】特開2002−249966号公報
【特許文献3】特開2004−068161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エレクトロスピニング法による高分子繊維の作成によればナノオーダー径の繊維からなる繊維体を比較的簡単に作製することができ、種々の高分子が適用できることから、最近その応用分野についても活発に開発が進んでいるが、さらに機能性に富んだ繊維や素材が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、エレクトロスピニング法による高分子繊維の作成に際し、特定条件下では、驚くべきことに通常のナノ繊維のほか、それらの繊維同士を結合する、直径が40nm未満の非常に微細な網目構造に自己組織化したナノウェブ(図1)が生成することを見出し、本発明に至った。
【0007】
本発明のナノウェブを作成するには、エレクトロンスピニング法において、高分子溶液濃度、シリンジと電極との距離、印加電圧を特定範囲に調整することが必要である。
本発明は、以下の構成からなる。
(1)複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている高分子複合構造体。
(2)高分子がナイロンまたはポリアクリル酸である(1)記載の複合構造体。
(3)(1)に記載されるナノウェブをさらに炭化処理してなる炭素系複合構造体。
(4)エレクトロンスピニング法において、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜25cm、印加電圧を25kV以上としたことを特徴とする複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている複合構造体の製造方法。
(5)(1)ないし(3)のいずれかに記載の複合構造体からなるフィルタ材。
(6)(1)ないし(3)のいずれかに記載の複合構造体からなるガスセンサ用部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレクトロスピニング法を特定条件下で実施することにより、従来知られていなかったナノウェブを含む複合構造体を提供することができ、該複合構造体は以下のような用途に使用可能である。
(1)高分子との吸着性を利用した吸着材として使用すれば、吸着性に優れた吸着材を提供できる。
(2)機能性高分子を使用すれば、反応性に優れた処理剤を提供できる。
(3)センサ用部材として使用すれば、感度の優れたセンサを提供できる。
(4)フィルタとしての用途において、網目構造の網目間隔を調整することで、サブミクロン径の粒子を精度よく篩い分けすることができる。
(5)炭化処理して炭素系複合構造体とすれば、吸着剤、触媒担体や補強材などさらに用途を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の複合構造体は、複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されているものである。
エレクトロスピニング法によりこのようなナノウェブを形成するためには、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜25cm、印加電圧を25kV以上とすることが必要である。
相対湿度が30%以下では、急速にナノウェブの形成率が低下する(図11)。
また、ファイバ材料溶液の濃度は25wt%を超えると粘度が高くなりすぎ収率が低下する。
さらに、シリンジと電極との距離が25cmを超えると、ウェブが形成されないか、形成されても細すぎて実用的でなく、5cm未満では、液滴が充分分散されないまま付着してしまい操作自体が不可能となる。
印加電圧が5kV未満でも繊維が届かず操作自体が不可能となる。
【0010】
本発明の複合構造体の原料は、通常エレクトロスピニング法で使用される高分子であり、フィブロアスベスト混合絹様高分子(SLPF)、絹(N.Clavipes絹,B.Mori絹,絹フィブロイン)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリピロリドン(アイソタチック、アタクチック)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリベンゾニトリル(PBI)、ポリカプロラクタム(PCL)、ポリε−カプロラクタム、l−ラクチド−ε−カプロラクタム共重合体、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ナイロン6、PA−66、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(PEVA)、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、PLGA、ポリ2−ヒドロキシエチル−メタクリレート(HEME)、コラーゲン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェロセニルジメチルシラン(PFDMS)などが使用し得るが、その中でも強度の点からナイロンが好ましい。
また、種々の機能を有する材料を選択することにより、撥水性のほかに種々の機能を持たせることもできる。
例えば、消臭機能が期待される材料として、次のようなものがある。
ベンゾキノン化合物(メルカプタン類やジスルフィド類に効果)、アラミド、メタアラミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリロニトリル、ヘキサメタ燐酸ソーダ、ポリエチレンイミン(硫化水素臭脱臭)
塩基性悪臭成分除去に有効なものとしては、
リンゴ酸、クエン酸含有ポリマー、ポリアクリル酸、ポリりん酸 (アンモニア臭除去)、酸化チタン、硫酸アルミニウム含有ポリマー、酸化亜鉛含有ポリマー、鉄・フタロシアニン含有ポリマー、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物含有ポリマー (アンモニア、低級脂肪酸、ピリジン、トリメチルアミンなどのガスの除去)、アルミノ珪酸塩含有ポリマー
その他
貴金属酸化物酸化分解触媒含有ポリマー( 酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化クロム 及び その複合金属酸化物)、遷移元素含有化合物(硝酸銅、硫酸銅、塩化第二銅)含有ポリマー、光触媒(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等)含有ポリマー、四酸化ルテニウムなどルテニウム化合物含有ポリマー、珪酸アルミン酸マグネシウム含有ポリマー
次の化合物を含有するポリマー
鉄テトラカルボキシフタロシアニン含有化合物、オキシ多塩酸、ルテニウム化合物、アルミ含有複合フィロ珪酸塩、燐酸カルシウム、金属二ロシアニン、3−アミノプロピルトリハイドロシラン、γアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、サリチル酸、安息香酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンジルアンモニウム塩、フィチン酸、イノシトールヘキサリン酸エステル、炭酸アルカリ金属塩、炭酸アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、2−ヒドロキシルメチルアミノエタノール、ヘキサヒドロ−1、3、5−トリエチル−S−トリアジン、ベンゾキノン誘導体、胴クロロフィンナトリウム、2−メトキシ−1、4−ベンゾキノン
2−メチル1、4−ベンゾキノン、ベンゾキノン誘導体〜液体担持性高い担持性〜酸化珪素粉または酸化カルシウム粉、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、セミカルバジド、ヒドラジン誘導体、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、リン酸とエチレンジアミン、リン酸とトリエタノール、脂肪族アルデヒド、活性炭の細孔面に担持されたアミン、シッフ塩基、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ヒドラジン系化合物と長鎖の脂肪族化合物の反応物、ヒドラジン系化合物と芳香族化合物の反応物、セバジン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アニリン、芳香族アミン、アミノ基を含有する有機珪素化合物、3−アミノプロピルトリヒドロキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、第1級アミノ基を有する化合物と珪酸マグネシウム質粘土鉱物の組み合わせ、キトサン、ポリアクリル酸ヒドラジド、有機酸類、ビタミンC、フラボノイド、マロン酸エステル類、酒石酸エステル類、マンデル酸エステル類、活性炭、アスコルビン酸、スルファミン酸、グリシン、ザルコシン、2−アミノエタノール、有機酸エステル類、フィチン酸金属錯化合物、アミノ化合物、アミド化合物、ベンゾキノン誘導体、アミノ化合物、ヒドラジン誘導体、有機珪素化合物シラノール基、ヒドラジン類と過酸化物、キノリノール、キノリン系金属錯体、グルコン酸塩とアルカリ性薬剤、マロン酸エステル、酒石酸エステル、フィチン酸金属錯化合物、脂肪酸石鹸と消臭剤泡、アミノエタノール誘導体、トリアジン誘導体、アミドオキシム系錯化合物、ベンゾキノン誘導体、アミン、酸性ガス吸着性アミノ基含有有機珪素化合物、ヒドラジン誘導体、ポリアミノ化合物と珪酸マグネシウム質粘土鉱物、層状難溶性リン酸塩の層間に芳香族アミンをインターカレート
次の微生物を含有するポリマー
エンテロバクター類の微生物、チオバチルスチオパルスとリン酸アルカリ塩、バチラス・ズブチリス・クボタ、バチルス属:バチルス・サブチルス、バチルス・ナットウ、バチルス・コアギュラス、バチルス・マセランス、エンテロバクター属:エンテロバクター・サカザキ、エンテロバクター・アグロネランス、ストレプトコッカス属:ストレプトコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ラクチス、アルカリゲネス属:アルカリゲネス・フェカリス、アルカリゲネス・デニトリフィカンス
クレシェラ属:クレシェラ・ニュモニー
次の物質を含有するポリマー
レッドビートエキス、カカオエキス、コーヒーパセリエキス、緑茶エキス、シソエキス、柿エキス、フキエキス、海のり抽出物、マンネンタケ抽出物、マッシュルーム抽出物、ポリフェノール、フラボノイド、テルペン、ポリフェノール化合物、カテキン類、フラボノイド類、ポリフェノール類、タンニン酸、リンゴのポリフェノール、カテキン、エピカテキン、フロリジン、クロロゲン酸、プロアントシアニジン、クマリン、葉酸、アビエチン酸、ヒノキチオール、グアバ茶、ヨウバイヒ、訶子(カシ)、シバイカ茶、レンセイソウ、プーアル茶、サンシュユ、アカメガシワ、ケイヒ、タラ、活性炭、シリカゲル、水酸化カルシウム、クエン酸、チオ硫酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、ウレアーゼ阻害剤、ビンロウジ粉末、フラボノイド含有木材抽出物(界面活性剤、香料含むものあり)、延命草(ヒキオコシ、クロバナヒキオコシ)抽出物、ジテルペン誘導体、enmain、nodosin、trichorabdal A、trichorabdal B、trichorabdal C、trichorabdal H、oridonin、effusanin A、effusanin B、longikaurin A、longikaurin B、longikaurin D、lasiokaurin、trichoranin(命名予定)、「スメルナーク」:国産30種類の植物から抽出したエキスをブレンド(杉、檜、熊笹、アロエ、サンショウなど)、フィトンチッド、ベタイン(わさび)、アミノ酸(わさび)、有機脂肪酸(わさび)、フラクトース類(わさび)、バラ科未熟果実からのポリフェノール、緑茶フラボノイドクマリン、葉酸、アビエチン、ヒノキチオール、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、活性炭、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クエン酸、アルミニウム塩、ヒドロキシ塩化アルミニウム、エチルアルコール、ラウリン酸(ドデカン酸)(直鎖飽和脂肪酸とグリセリルモノカプリレートなどと共に)、α、ω−アルカンジカルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルたる酸など)(羊毛ロウ酸との混合物で)、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、桂皮アルコールシトロネロール、ゲラニオール、キトサン(特定の粒径の微粒子にすると)、抗菌ゼオライト(アンモニウムイオンおよび抗菌性金属で置換した)、ウイキョウ、チョウジ、ハッカ、ユーカリなどの天然精油、ニンジン、アロエ、ヨモギ、ビワ、シソ、ゲンノショウコなどのありふれた植物、有機酸、キトサン、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、天然精油、有機酸亜鉛塩、セージやローズマリーなどの植物乃至天然抽出物、タマリンドハスクの抽出物、トコトリエノール、N−メタクリロイルオキシエチル−N、N−ジメチルアンモニウム・α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体、牛乳、酸性食品(梅干やレモンなど)、繊維質食品(レタス、キャベツ、海苔など)、フラボノイド、クロロフィル、藍藻類のたんぱく質、ビタミン類、多糖類、ミネラル、クロレラ熱水抽出物、ディル種子、パセリ種子、フェンネル種子、アニス種子、スターアニス果実、クミン種子、アオシソ種子、シナモン樹皮、バジル葉、ナツメグ種子、ローズマリー葉、カルダモン種子、ジュニパー液果、ペパーミント葉、コリアンダー種子、キャラウェイ種子、テルペン、テルペンアルコール、オキサイド化合物、緑茶、ウーロン茶、柿葉、リンゴエキス、ルイボス・クラウン、乾燥ニンジン葉、繊維成分の多い乾燥野菜、糖質含有の高い乾燥野菜、天然植物ユッカのエキス、サポニン、バチラス・ズブチリス、グリオキザール、ツバキ科植物からの消臭成分、クロロフィリン系染料、ポルフィリン系染料、ゼオライト、シリカゲル、有機系フラボノイド、アニオン系消臭加工液、酸化亜鉛、ジルコニウム化合物、珪酸金属塩、アルミノ珪酸金属塩、SiO2・MOn/2・Al2O3、HaMb(PO4)・nH2O(a+4b=3c)(Mはジルコニウム、チタン、スズなど)、1価または2価の金属イオンを担持させた4価金属燐酸塩からなる無機陽イオン交換体、ハイドロタルサイト、アミン系化合物、エチレンジアミン、ジアミノプロピルアミン、ポリアミン化合物、キシレンジアミン、フェニレンジアミン、芳香族ポリアミン(珪素、亜鉛、銅、ゼオライト、活性炭などの無機系化合物を加える)、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン化合物(炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸ジヒドラジドや芳香族ジカルボン酸ジヒドラジドなど)、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、セラミック系消臭剤、ポリアミド繊維やポリエステル繊維にカルボン酸基やスルホン酸基を導入し、このカルボン酸基などの水素イオンを金属イオンで置換した繊維、貴金属ゼオライト触媒、金属酸化物、両性金属水酸化物(水酸化亜鉛など)、無定形二酸化珪素と無定形酸化亜鉛を微粉化し、混合した無機系イオン吸着型消臭剤、合成繊維のスパンボンド不職布とセルロース繊維シートをウオータージェット交絡して複合不職布としたもの、酸型のカルボキシル基の一部もしくは全部を、2価の銅化合物を含有する水溶液に浸漬して特定範囲のpHで銅塩型に転換したもの、珪酸金属塩、アルミノ珪酸金属塩、モダクリル繊維、金属フタロシアニン、金属フタロシアニン誘導体、酸性基を有するビニルモノマーとそのビニルモノマーに共重合可能な単量体よりなる共重合体、アクリレート繊維、ヒドラジン化合物、精油成分、有機酸、金属酸化物、光触媒、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アパタイト、燐酸カルシウム、金属フタロシアニンポリカルボン酸、トリポリ燐酸二水素アルミニウム、塩素化イソシアヌール酸、ハロゲン化ヒダントイン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、スチレン、ブタジエン、スチレンスルホン酸塩、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、SBR、SB、HS、NBR、スチレンスルホン酸塩、アクリル酸、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、グリオキサール、酢酸ビニル、ジェランガム、ゼラチン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アルギン酸ソーダ、セルロース誘導体、寒天、ガラギーナン、グルコース酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、硫酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、硫酸水素カリウム、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、カルボキシル基を持つポリマー、スルホン酸基を持つポリマー、二酸化珪素、酸化亜鉛、バナジウム酸化物、CMC、でんぷん、CMS(カルボキシメチルスターチ)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、テトラアルキルシラン、ハロシラン、ジシロキサン、ジシラザン、シラノール、α−ピネン、ポルネオール、リモネン、テルペン系炭化水素、ヒノキチオール、タンニン、カテキン、過ホウ酸ソーダ水和物、過ホウ酸ソーダ四水和物、シアン酸塩、ジクロロイソシアヌール酸ソーダ、トリクロロイソシアヌール酸ソーダ、二酸化塩素、次亜塩素酸ソーダ、次亜塩素酸カルシウム、硝酸ソーダ、消石灰、アスコルビン酸、1,3,5−トリス−(β−オキシエチル)−ヘキサヒドロトリアジン、コリン、グルコヘプトン酸鉄、ソーダ灰、硫酸第一鉄、珪酸マグネシウム、マンナンオリゴ糖、ウンデシレン酸ポリオキシアルキレンエステル、ヤシ油脂肪酸、アミドプロピルベタイン、ナフタリン、樟脳、パラジクロロベンゼン、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、塩素化イソシアヌール酸、テーブルヤシ、ガジュマル、オポポナックス樹脂、ミル樹脂、オリバナム樹脂、シトラベース、フローラルベース、ムスクベース、グリオキザール、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト、メチルサリシレート、チモール、アニリン、メントール、オイゲノール、セピオライト、カルミン色素、アントラキノン化合物、カルボン酸エステル、
などを用いることができる。
【0011】
ファイバ材料を溶解する溶媒としては、上記の高分子を溶解し、沸点の低い高揮発性のものであれば種類を問わないが、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、CaCl2/エタノール/水、DMAA、TFA/MC、DMF、THF、THF/DMF、DMAc、DMF/THF/イソプロパノール、クロロホルム/メタノール、アセトン、ジメチルホルムアルデヒド、メチレンクロライド、ジクロロメタン、ギ産、IPA/水(7:3)、エタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、DMF/ジメチルアセトンなどが挙げられる。
【0012】
ウェブを構成する高分子の反応を利用すれば、気相もしくは液相中の微量成分の除去分離用フィルタとして利用できる。
例えば、消臭機能の期待される材料としては、ベンゾキノン化合物(メルカプタン類やジスルフィド類に効果)、アラミド、メタアラミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリロニトリル、ヘキサメタ燐酸ソーダ、ポリエチレンイミン (硫化水素臭脱臭)が挙げられ、
塩基性悪臭成分除去としては、リンゴ酸、クエン酸含有ポリマー、ポリアクリル酸、ポリりん酸(アンモニア臭除去)、酸化チタン、硫酸アルミニウム含有ポリマー、酸化亜鉛含有ポリマー、鉄・フタロシアニン含有ポリマー、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物含有ポリマー(アンモニア、低級脂肪酸、ピリジン、トリメチルアミンなどのガスの除去)、アルミノ珪酸塩含有ポリマーがあげられ、
その他、貴金属酸化物酸化分解触媒含有ポリマー( 酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化クロム、及びその複合金属酸化物)、遷移元素含有化合物(硝酸銅、硫酸銅、塩化第二銅)含有ポリマー、光触媒(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等)含有ポリマー、四酸化ルテニウムなどルテニウム化合物含有ポリマー、珪酸アルミン酸マグネシウム含有ポリマー、鉄テトラカルボキシフタロシアニン含有化合物、オキシ多塩酸、ルテニウム化合物、アルミ含有複合フィロ珪酸塩、燐酸カルシウム、金属二ロシアニン、3−アミノプロピルトリハイドロシラン、γアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、サリチル酸、安息香酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンジルアンモニウム塩、フィチン酸、イノシトールヘキサリン酸エステル、炭酸アルカリ金属塩、含有ポリマーなどが挙げられる。
【0013】
さらに上記高分子との反応を利用すれば、感度のよいセンサを製造することができる。
【実施例1】
【0014】
本発明の複合構造体の形成方法を以下に示す。
(ファイバ材料)
・ナイロン6 (Polycaprolactam)
・ギ酸(Formic acid 98%)
ナイロン6試薬を種々の濃度でギ酸溶媒に、室温で攪拌して溶解させる。これをファイバ材料溶液とした。
(ファイバの作製)
以下のエレクトロスピニング条件で、ファイバを作製した。
・ 電圧:25kV
・ スプレー距離:15cm
・ 電極:アルミ箔
アルミ箔に形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(2万倍、10万倍)を図1に示す。図1によれば、高分子濃度が10wt%では、一部に繊維間を微細なファイバが結合しているのが観察され、濃度が15重量%超えると繊維間の微細繊維は網目構造(ナノウェブ)となっていくことが観察された。
これらの繊維径の分布割合を図2に示す。図2のグラフによれば、高分子濃度を10wt%から15wt%、20wt%と増加していくと、繊維径は66nm、106nm、184nmと増加していることを示している。一方、繊維間のナノウェブも、図1に示されるように高分子濃度を増加させていくに従い直径が太くしかも繊維間に均一に形成されるようになり、図2dのグラフによれば20wtでは平均17nmで、非常に均一であることがわかる。
【実施例2】
【0015】
次に、実施例1における15wt%高分子溶液を使用し、印加電圧25kVとし、スプレー距離を5cm〜25cmまで変化させたときの、形成繊維の電子顕微鏡写真(1万倍、10万倍)を図3に示す。この写真によれば、スプレー距離を変化させても、繊維径はほとんど変化せず、繊維間のナノウェブは25cmでも一部に形成が観察され、10cm以下になると急激に直径が増加し、しかも緻密に形成されることがわかった(図10a)。
図10bは、所定幅のナノウェブを含む構造体の強度を測定した結果であり、図10aのファイバ径と同様、距離が離れるほど強度が低下した。図10cは、単位面積当りのナノウェブの形成量を表す被覆率の測定結果で、これも、距離が離れるほど低下したが、ウェブ径や強度ほどではなかった。
【実施例3】
【0016】
さらに、実施例1における15wt%高分子溶液を使用し、スプレー距離を15cmとし、印加電圧を10kV〜30kVに変化させたときの、形成繊維の電子顕微鏡写真(2万倍)を図4に示す。この写真によれば、印加電圧を変化させても、繊維径はほとんど変化せず、繊維間のナノウェブは15kVでも一部に形成が観察されるが、25kV以上になると急激に直径が増大し、しかも緻密に形成されることがわかった。
【実施例4】
【0017】
(ファイバ材料)
・ポリアクリル酸(PAA)
・水(H2O)
ポリアクリル酸を水(H2O)に、室温で攪拌して溶解させ6重量%溶液とし、これをファイバ材料溶液とした。
(ファイバの作製)
以下のエレクトロスピニング条件で、ファイバを作製した。
・ 電圧:25kV
・ スプレー距離:15cm
形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(5000倍〜2万倍)を図5に示す。この写真によれば、膜状体の形成が観察されるが、網目状構造体は形成されなかった。
次に、ポリアクリル酸の溶媒として水(H2O)/エタノール(C2H5OH=1:1)を使用して同様な実験を行い、形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(5000倍〜5万倍)を図6に示す。この写真によれば、膜状体に開口部が形成され網目状構造物(ナノウェブ)となっていることがわかる。
さらに、ポリアクリル酸の溶媒としてエタノール(C2H5OH)を使用して同様な実験を行い、形成された複合構造体の電子顕微鏡写真(5000倍〜2万倍)を図7に示す。この写真によれば、膜状体の開口がより均一に形成されることがわかる。
以上の実施例の結果によれば、本件発明のナノウェブは、エレクトロスピニング法において初期の段階で生じる高分子溶液の急激な相分離により形成されるものと推定することができる。
【実施例5】
【0018】
図12に示される9Lのチャンバー内に、アンモニア10.5ppmを含有する空気を封入し、実施例4で製造されたナノウェブ0.25g(図13(b))を使用してガスの吸着試験を行った。対照サンプルとして図13(a)に示されるナノファイバ0.25gを使用して同様な試験を行い、それらの結果を図14に示す。本発明のナノファイバによれば、空気中の微量ガスを急速に除去できる。
【実施例6】
【0019】
水晶振動子に、実施例4で製造されたナノウェブを接着しガスセンサとした。このセンサを図15に示される装置に装着し、1ppmのアンモニアを含有する窒素ガス(湿度30%)と接触させたときの周波数シフト量を測定した。対照サンプルとして図13(a)に示されるナノファイバを使用して同様な試験を行い、その結果を図16に示す。本発明のナノファイバによれば、感度よく微量ガスを測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の複合構造体は、従来知られていなかった網目状のナノウェブを含むもので、特にナノテク分野において種々の応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ナイロン溶液の濃度を変化させたときの複合構造体を撮影した写真
【図2】図1の複合構造体における平均繊維径分布を示すグラフ
【図3】スプレー距離を変化させたときの複合構造体を撮影した写真
【図4】印加電圧を変化させたときの複合構造体を撮影した写真
【図5】ポリアクリル酸の6重量%水溶液を使用して形成させた複合構造体を撮影した写真
【図6】ポリアクリル酸の6重量%溶液(水/エタノール=1:1)を使用して形成させた複合構造体を撮影した写真
【図7】ポリアクリル酸の6重量%溶液(エタノール)を使用して形成させた複合構造体を撮影した写真
【図8】ナイロン溶液の濃度を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図9】ナイロン溶液を使用し、印加電圧を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図10】ナイロン溶液を使用し、シリンジと電極との距離を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図11】ナイロン溶液を使用し、相対湿度を変化させたときのナノウェブ密度(被覆率)を示すグラフ
【図12】ガス吸着試験装置の概略図
【図13】試験に使用したナノファイバとナノウェブの電子顕微鏡写真
【図14】ガス吸着試験の結果を示すグラフ
【図15】ガスセンサ試験装置の概略図
【図16】ガスセンサ試験の結果を示すグラフ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維が、直径40nm未満の網目状構造体により結合されている高分子複合構造体。
【請求項2】
高分子がナイロンまたはポリアクリル酸である請求項1記載の複合構造体。
【請求項3】
請求項2に記載される複合構造体をさらに炭化処理してなる複合構造体。
【請求項4】
エレクトロンスピニング法において、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜15cm、印加電圧を15kV以上としたことを特徴とする複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている複合構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の複合構造体からなるフィルタ材。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の複合構造体からなるガスセンサ用部材。
【請求項1】
複数の繊維が、直径40nm未満の網目状構造体により結合されている高分子複合構造体。
【請求項2】
高分子がナイロンまたはポリアクリル酸である請求項1記載の複合構造体。
【請求項3】
請求項2に記載される複合構造体をさらに炭化処理してなる複合構造体。
【請求項4】
エレクトロンスピニング法において、相対湿度30%以下、高分子溶液濃度を15〜25重量%、シリンジと電極との距離を5〜15cm、印加電圧を15kV以上としたことを特徴とする複数の繊維が、直径40nm未満のナノウェブにより結合されている複合構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の複合構造体からなるフィルタ材。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の複合構造体からなるガスセンサ用部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−154336(P2007−154336A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348532(P2005−348532)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502435454)株式会社SNT (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502435454)株式会社SNT (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]