説明

綾巻きボビンを製造する繊維機械のための巻取り装置

【課題】 支持・クランプローラに関して改良された巻取り装置を提供する。
【解決手段】 綾巻きボビンを製造する繊維機械のための巻取り装置であって、スリーブ収容プレートを負荷する巻取り駆動装置と、別個に駆動可能な糸綾振り装置と、巻取り運転中に綾巻きボビンに摩擦接続的に結合される支持・クランプローラとが設けられている形式のものにおいて、支持・クランプローラ(9)にブレーキ装置(20)が配属されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、綾巻きボビンを製造する繊維機械のための巻取り装置であって、スリーブ収容プレートを負荷する巻取り駆動装置と、別個に駆動可能な糸綾振り装置と、巻取り運転中に綾巻きボビンに摩擦接続的に結合される支持・クランプローラとが設けられている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】このような巻取り装置は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4310905号明細書に記載されている。
【0003】このような公知の巻取り装置では、綾巻きボビンは直接に駆動される。即ち、ボビンクリールのボビンクリールアームに回転可能に支承された両スリーブ収容プレートのうちの1つが、回転数調節可能な駆動装置に接続されている。綾巻きボビンは、巻取り過程中に、綾巻きボビンによって摩擦接続的に連行される比較的軽量な支持・クランプローラ上に載置されている。このような装置によって、糸の綾振りの際に生じる行程損失を最小にすることができる。この場合、綾巻きボビンと支持・クランプローラとの間の伝達すべき運動エネルギは比較的小さい。
【0004】類似の巻取り装置が、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4330647号明細書にも記載されている。このような巻取り装置では、直接に駆動される綾巻きボビンの表面が、自由回転可能に支承された定置の支持・クランプローラ上に載置されている。
【0005】しかしながらこの公知の巻取り装置における欠点は、綾巻きボビンが、例えば、糸の損傷または制御された糸の切断の場合に支持・クランプローラから持ち上げられ、休止状態になるよう制動される場合に、支持・クランプローラが僅かな時間、制御されれずに後回転することである。このような支持・クランプローラの制御されない後回転により、この場合、常に、下方の糸が支持・クランプローラによって把持され、妨げとなる糸の巻き体が形成されてしまう危険がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記の先行技術から出発して本発明の課題は、支持・クランプローラに関して改良された巻取り装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明の構成では、支持・クランプローラにブレーキ装置が配属されているようにした。
【0008】
【発明の効果】固有のブレーキ装置を備えた支持・クランプローラは特に、これまでは綾巻きボビンの持ち上げの際には普通のものであったが、さらなる巻取り過程にとってはしばしば妨げとなっていた、支持・クランプローラの後回転をすぐに効果的に中断させることができるという利点を有している。
【0009】請求項2に記載した有利な構成では、ブレーキ装置は、綾巻きボビンの持ち上げの際に、支持・クランプローラがブレーキ装置へ当接することにより自動的に休止状態にもたらされるように形成されていて、このために付加的なセンサ手段及び/又は制御手段は必要ない。
【0010】請求項3記載したように、支持・クランプローラが可動に支承されており、綾巻きボビンによる載置圧がなくなると、ばね負荷されてブレーキ装置のブレーキエレメントに押し付けられるならば特に有利である。
【0011】有利な構成では、請求項4に記載したように、支持・クランプローラが、軸受アームに自由に回転可能に支承されていて、軸受アームがそれぞれ旋回軸を介して定置の軸受コンソールに結合されている。軸受アームはこの場合、ばねエレメントにっよってブレーキ装置の方向に負荷されている。このような構成は、極めて安価に製造できるだけではなく、ほぼ保守整備不要に作業することができる。
【0012】請求項3および請求項4に記載の構成はさらに、極めて確実に機能する。即ち、支持・クランプローラが、綾巻きボビンの持ち上げ後に、回転速度とは無関係に殆ど瞬間的に休止状態になるように制動される。
【0013】請求項5から7までにさらに記載されているように、定置の軸受コンソールのうち少なくとも1つに、簡単に交換可能にブレーキエレメントが配置されている。糸綾振り装置とは反対の側にブレーキエレメントが配置されていることにより特に有利である。何故ならば、支持・クランプローラの回転方向により、ばねエレメントの当て付け圧が助成され、このことはブレーキ作用に関して極めて良好に作用するからである。
【0014】
【発明の実施の形態】次に図面につき本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0015】図面に示した巻取り装置1は主として、概略的に示したボビンクリール2と、支持・クランプローラ9と、糸綾振り装置10とから成っている。ボビンクリール2のボビンクリールアーム4には巻取り駆動装置5が組み込まれている。
【0016】ボビンクリール2のボビンクリールアーム3,4の間には、スリーブ収容プレート6を介して綾巻きボビン8が保持されている。特に図1及び図3から明らかであるように、スリーブ収容プレート6はこの場合、通常通り、綾巻きボビンスリーブ7を負荷している。
【0017】スリーブ収容プレート6の1つは巻取り駆動装置5に結合されており、この巻取り駆動装置5は、糸綾振り装置10のための駆動装置と同様に、制御線路18もしくは19を介して、制御装置に、有利には作業位置コンピュータ11に接続されている。
【0018】支持・クランプローラ9は、旋回可能に支承された軸受アーム12に、自由に回転可能に固定されている。軸受アーム12自体はそれぞれ旋回軸13を介して、固定された軸受コンソール14に結合されている。
【0019】図2及び図4に示したように、旋回運動可能な軸受アーム12と、固定された軸受コンソール14との間にはそれぞればねエレメントが挿入されている。このばねエレメントは有利には圧縮ばね15として形成されている。
【0020】少なくとも1つの軸受コンソール14にはさらに、本発明によりブレーキ装置20が備えられている。このブレーキ装置20は有利には、例えば交換可能なブレーキエレメント16を有している。このブレーキエレメント16は、巻取り過程中に、図2に示したように、支持・クランプローラ9とブレーキエレメント16との間に間隔aが存在するように配置されている。
【0021】発明の作用:当該巻取り装置において、糸17が裂断され、又は糸の欠陥が確認されたことに基づき制御されたクリーニング裁断が行われ、巻取りが中断されると、ボビンクリール2はすぐにほぼ上方に向かって旋回され、綾巻きボビン8は、巻取り駆動装置5に組み込まれたブレーキ装置(図示せず)を介して休止状態になるよう制動される。さらにボビンクリール2の旋回により、綾巻きボビン8が、図3及び図4に示したように、支持・クランプローラ9から持ち上げられる。綾巻きボビン8が支持・クランプローラ9から持ち上げられると同時に、ばねエレメント15の作用下で支持・クランプローラ9は旋回軸13を中心として旋回され、定置のブレーキ装置20のブレーキエレメント16に当接する。このように支持・クランプローラ9がブレーキ装置20のブレーキエレメント16に当接することにより、比較的軽量な支持・クランプローラ9がほぼ瞬間的に制動される。
【0022】本発明は図示の実施例に限定されるものではない。全般的な本発明の思想の範囲内で、別の選択的な構成も十分に考えられる。例えば定置の軸受コンソール14にそれぞれ1つの定置のブレーキ装置20を設けることができる。または単数又は複数のブレーキ装置を、図面で見て、支持・クランプローラの後方ではなく上方に配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】綾巻きボビンが、支持・クランプローラに載置された状態で示した、巻取り過程中の巻取り装置の正面図である。
【図2】図1の巻取り装置を部分的に断面して示した側方図である。
【図3】綾巻きボビンが持ち上げられ、支持・クランプローラが本発明によるブレーキ装置を負荷した状態で示した、巻取り過程中断時の図1の巻取り装置を示した図である。
【図4】図3の巻取り装置を示した側方図である。
【符号の説明】
1 巻取り装置、 2 ボビンクリール、 3,4 ボビンクリールアーム、5 巻取り駆動装置、 6 スリーブ収容プレート、 7 綾巻きボビンスリーブ、 8 綾巻きボビン、 9 支持・クランプローラ、 10 糸綾振り装置、 11 作業位置コンピュータ、 12 軸受アーム、 13 旋回軸、14 軸受コンソール、 15 圧縮ばね、 16 ブレーキエレメント、 17 糸、 18,19 制御線路、 20 ブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 綾巻きボビンを製造する繊維機械のための巻取り装置であって、スリーブ収容プレートを負荷する巻取り駆動装置と、別個に駆動可能な糸綾振り装置と、巻取り運転中に綾巻きボビンに摩擦接続的に結合される支持・クランプローラとが設けられている形式のものにおいて、支持・クランプローラ(9)にブレーキ装置(20)が配属されていることを特徴とする、綾巻きボビンを製造する繊維機械のための巻取り装置。
【請求項2】 ブレーキ装置(20)が、綾巻きボビン(8)が持ち上げられる際に、支持・クランプローラ(9)が自動的に休止状態になるよう制動されるように構成されている、請求項1記載の巻取り装置。
【請求項3】 支持・クランプローラ(9)が、綾巻きボビン(8)による載置圧がなくなると、ブレーキ装置(20)のブレーキエレメント(16)に当接するように、可動に支承されている、請求項1又は2記載の巻取り装置。
【請求項4】 支持・クランプローラ(9)が、軸受アーム(12)自由に回転可能に支承されていて、軸受アーム(12)がそれぞれ旋回軸(13)を介して定置の軸受コンソール(14)に結合されていて、ばねエレメント(15)によって負荷されている、請求項3記載の巻取り装置。
【請求項5】 軸受コンソール(14)のうち少なくとも1つに、定置のブレーキエレメント(16)が配置されている、請求項3記載の巻取り装置。
【請求項6】 ブレーキエレメント(16)が交換可能に軸受コンソール(14)に固定されている、請求項5記載の巻取り装置。
【請求項7】 ブレーキエレメント(16)が、支持・クランプローラ(9)の、糸綾振り装置(10)とは反対の側に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の巻取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−87699(P2002−87699A)
【公開日】平成14年3月27日(2002.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−234101(P2001−234101)
【出願日】平成13年8月1日(2001.8.1)
【出願人】(591214789)ヴェー シュラーフホルスト アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー (5)
【Fターム(参考)】