説明

綿棒包装体

【課題】綿棒と綿棒の綿球部に含浸させる液体とを別々に収容し、手指が液体で汚れずに使用可能で使用後に嵩張らない綿棒包装体を提供すること。
【解決手段】綿棒15と、その綿棒15の綿球部17に含浸させる所定量の液体20とを分離して密閉された袋体1に収容してなる綿棒包装体Aにおいて、袋体1は、前側と後側の2枚の縦長形のフィルム2,3の間に介装された隔壁としての中間フィルム4により内部を仕切ることにより二つの収容部が形成されていて、その中間フィルム4の短手方向の一端部4bと後側のフィルム3とがヒートシールにより剥離可能に接着され、一方の収容部5に綿棒15が綿球部17を中間フィルム4の一端部側にして収容され、他方の収容部6に液体20を収容した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿棒と綿棒の綿球部に含浸させる消毒液等の液体とが分離されて収容された綿棒包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
綿棒の軸の一端若しくは両端に設けられた綿球部に消毒液等の液体を含浸させた状態で非通気性フィルムにより密封包装した綿棒包装体が、特開平11―155903号公報、特開2006―115976号公報等により開示されている。これらの包装体では、袋体から綿棒を取り出して直ぐに使用できる便利さを有するが、長期間保存した場合に、綿球部に含浸させた液体が蒸発して使用に適さなくなり、或いは綿球部から滲み出た液体が軸を濡らしてしまい、使用時に手指に付着する等の問題が生じやすい。
【0003】
また、特開2005―237588号公報に記載された「患部消毒具」は、密閉された袋体内をイージーシール部分により二つの収容部に仕切り、一方の収容部に消毒用の液体、他方の収容部にその液体を含浸させるための綿球を収容して窒素ガスを封入した構造とされている。使用に際しては、他方の収容部を圧迫してイージーシール部分を剥離させて剥離した箇所から押し出される消毒用の液体を綿球に含ませ、その後に袋体を破ってピンセット等で綿球を取り出す。この患部消毒具では、ピンセット等の道具を用いないと綿球を取り出せず、道具を用いずに綿球を指で掴むと指に液体が付着してしまうという問題がある。
【0004】
上記患部消毒具においては、綿球に代えて綿棒を用いることもできるとされているが、イージーシール部分を剥離すると同時に勢いよく押し出される液体が綿球部だけでなく軸部まで濡らしてしまう虞がある。
【0005】
特開2004―174180号公報に記載された「液体付綿棒包装体」は、綿棒と薬液を気密性のあるボトム材に夫々納める凹部と、その凹部間を繋ぐ連結道を設けて納め、曲げや捻る力によって剥がれる部分を連結道に設けるようにトップ材を圧着して密閉包装し、捻った時の応力が連結道に集中するように収納部より幅を狭くした切り取り部を設けた構造とされている。この液体付綿棒包装体は、印刷台紙であるトップ材の上に、プラスチック製のボトム材をヒートシールにより接着するブリスターパッケージングと称される包装形態であるが、内容物の綿棒を取り出した後でも形が崩れないので、包装体が嵩張ることは否めない。このため、沢山使用した場合にはゴミとしての嵩が増える。また、前記凹部に納めた薬液がシール部分から漏れ易いという欠点がある。
【特許文献1】特開平11―155903号公報
【特許文献2】特開2005―237588号公報
【特許文献3】特開2004―174180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、綿棒と綿棒の綿球部に含浸させる液体とを別々に収容し、手指が液体で汚れずに使用可能で使用後に嵩張らない綿棒包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、綿棒と、その綿棒の綿球部に含浸させる所定量の液体とを密閉された袋体に分離して収容してなる綿棒包装体において、
前記袋体は、前側と後側の2枚の縦長形のフィルムの間に介装された隔壁としての中間フィルムにより内部を仕切ることにより二つの収容部が形成されていて、その中間フィルムの短手方向の一端部と後側のフィルムとがヒートシールにより剥離可能に接着され、一方の収容部に前記綿棒が綿球部を前記中間フィルムの一端部側にして収容され、他方の収容部に前記液体が収容されていることを特徴とする。
【0008】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の綿棒包装体において、前記液体が、消毒液、化粧液、薬液、洗浄液の何れかであることを特徴とするものである。
【0009】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の綿棒包装体において、前記綿棒が軸の両端に綿球部を夫々備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の発明)
この綿棒包装体は、綿棒と綿棒の綿球部に含浸させる液体とを別々に収容した袋形態としているので、液体がシール部分から漏れる虞がなく、手指が液体で汚れずに使用可能である。さらに、使用後の袋体が扁平になって嵩張らないので、従来のブリスターパッケージングに比べてゴミとしての量を大幅に減らすことができる。
【0011】
(請求項2の発明)
この綿棒包装体は、綿棒の綿球部に含浸させる液体が消毒液に限られず、化粧液、薬液、洗浄液の何れでも適用可能である。
【0012】
(請求項3の発明)
この綿棒包装体は、綿球部を軸の両端に夫々備えた綿棒を用いているので、使い勝手がよい。さらに、包装時において綿球部のある側と無い側とを判別することなく収容部に納めることができるため、包装作業が行ない易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明にかかる綿棒包装体の背面図、図2は綿棒包装体の縦断側面図、図3はヒートシール部を拡大して示す説明図(イ)、(ロ)である。
【0014】
図1に示す本発明にかかる綿棒包装体Aは、綿棒15と、綿棒15の軸16の一端に設けられた綿球部17に含浸させる液体20とを密閉された袋体1に分離して収容する概要構成とされている。
【0015】
図2に示すように、袋体1は、前側と後側の2枚の透明な縦長形のフィルム2,3の間に隔壁としての透明な中間フィルム4を介装して周縁部にヒートシールを施すことにより、内部を前後に仕切って二つの収容部5,6が形成されている。そして、中間フィルム4の短手方向の一端部4bと後側のフィルム3の内面同士とは、袋体1の長手方向の縁部1aと短手方向の縁部1bに付与される接着力よりも小さな接着力となるように、ヒートシールにより剥離可能に設けられている。7,7は袋体1の長手方向の縁部1aに設けられた開封用の切込みである。
【0016】
上述のように中間フィルム4の短手方向の一端部4bと後側のフィルム3とは、直に接着されているが、これを図3(ロ)に示すように、イージーシール構造とすることもできる。このイージーシール構造では、中間フィルム4と後側のフィルム3との間に他の材質のシール部材9を介装して袋体1の周縁部よりも容易に剥離可能にヒートシールが施されている。
【0017】
一方の収容部5には、綿棒15が綿球部17を前記中間フィルム4の一端部4b側にして収容され、他方の収容部6には所定量の液体20が収容される。その液体については、消毒液に限られず、化粧液、薬液、洗浄液の何れでも適用することができる(請求項2)。綿棒についても綿球部が1個のものに限られず、綿球部を軸の両端に夫々備えたものを用いてもよい(請求項3)。
【0018】
つぎに、かかる構成になる本発明の綿棒包装体Aの使用方法について説明するに、袋体1の他方の収容部6を手指で適宜な力で圧迫して中間フィルム4の一端部4b側のシール部分を剥離させることにより、消毒液等の液体20を綿球部17に含浸させる。ついで、切込み7,7から開封し軸16をつまんで綿棒15を取り出して使用する。
【0019】
なお、本発明の綿棒包装体Aは、縦長形で2つの収容部を前後に設けた形態としているので、特にロータリ方式包装機により生産する場合に適している。
【0020】
以上に述べた通り、この綿棒包装体は、綿棒と綿棒の綿球部に含浸させる液体とを別々に収容した袋形態としているので、液体がシール部分から漏れる虞がなく、手指が液体で汚れずに使用可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】綿棒包装体の背面図
【図2】綿棒包装体の縦断側面図
【図3】ヒートシール部を拡大して示す説明図(イ)、(ロ)
【符号の説明】
【0022】
A・・・本発明にかかる綿棒包装体
1・・・袋体
2・・・前側のフィルム
3・・・後側のフィルム
4・・・中間フィルム
4b・・・一端部
5・・・一方の収容部
6・・・他方の収容部
15・・・綿棒
17・・・綿球部
20・・・液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿棒と、その綿棒の綿球部に含浸させる所定量の液体とを分離して密閉された袋体に収容してなる綿棒包装体において、
前記袋体は、前側と後側の2枚の縦長形のフィルムの間に介装された隔壁としての中間フィルムにより内部を仕切ることにより二つの収容部が形成されていて、その中間フィルムの短手方向の一端部と後側のフィルムとがヒートシールにより剥離可能に接着され、一方の収容部に前記綿棒が綿球部を前記中間フィルムの一端部側にして収容され、他方の収容部に前記液体が収容されていることを特徴とする綿棒包装体。
【請求項2】
前記液体が、消毒液、化粧液、薬液、洗浄液の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の綿棒包装体。
【請求項3】
前記綿棒が軸の両端に綿球部を夫々備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の綿棒包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−119415(P2008−119415A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309778(P2006−309778)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000108281)ゼネラルパッカー株式会社 (65)
【Fターム(参考)】