説明

緊急止血ならびに急性創傷および慢性潰瘍の治療のための鉱物技術(MT)

粘土鉱物を含む組成物および止血を促進する際のその使用方法が提供される。組成物は、ベントナイトなどの粘土鉱物を含み、大量出血の創傷に施与されたとき血液凝固を促進させる。また、粘土鉱物を含む電界紡糸または電子スプレーされた材料(例えば、包帯、ミクロンビーズなど)および急性の出血を治療する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、止血を促進するための組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、出血領域に施与されたとき、1)液体を吸収し、2)血液凝固を促進させるように働く粘土鉱物を含む組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
軽度のものから生命を脅かすものまでの出血事象は、様々な状況から起因し、様々な環境で生じる。出血が生じる条件は、医療処置に関連したもののように比較的予測可能なことがある。あるいは、出血事象は、事故による皮膚または内臓の破裂などの予測不可能な状況から起こることもある。そのような急性の外傷は、ほとんど数限りないパターンおよび程度で生じ、特に最も深刻な状況では、単なる圧縮、または単一タイプの包帯の施用を利用することは、不可能ではないにしても非実用的なものとなる。例えば、鼠径部の外傷は、単なる直接圧迫、または単一の平坦な包帯の使用だけでは、容易に抑制することができない。
【0003】
止血の処置および/または創傷ドレッシングにおける適応性の必要に部分的に対処する試みが成されてきた。
1)Hemcon製キトサン包帯(Hemcon’s Chitosan Bandage)(hemcon.comのウエブサイトを参照)は、キトサンを含浸させたガーゼ包帯である。甲殻類のキチン由来の繊維であるキトサンは、非消化性アミノ多糖類である。キトサンは、脱アセチル化と呼ばれるプロセスで、キチンからアセチル基を取り除くことによって合成される。キトサンは、その陽イオン(正電荷)特性に基づくと考えられている有意な血液凝固性を有することが知られている。しかし、その粘膜接着特性もまた信頼できるものである。生命を脅かす出血のモデル(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)では、生存を向上させるこの包帯の能力には、限界があった。ある調査では、この包帯を使用すると、100%の失敗率であった(単離動脈の損傷)。第2の調査(低血圧での動脈および静脈が相まった出血)では、該包帯は、28%の存命率であった。傷に粘着する包帯の性能および能力において包帯間にばらつきが生じたことが留意された。こうした包帯は、1つのサイズおよび処方(formulation)でのみ入手可能である。QuickClotまたは本出願で説明されるベントナイト粘土のものに類似した、粉末状または粒状のキトサンを生成する能力は、限定される可能性がある。粉末状のキトサンは、血液とうまく混じり合わない。
【0004】
2)フィブリン・シーラントドレッシング(Fibrin Sealant Dressing)(FSD)は、米陸軍とアメリカ赤十字との共同協力の結果である。これは、人から提供された血液および血漿から精製された、フィブリン、トロンビン、および第XIII因子から製造される。したがって、それは、例えそのリスクは小さくても、疾病伝播の可能性を有する生物学的性質のものである。FSDは、損傷の部位で自然な凝固形成を促進することによって出血を抑制する。というのは、これは、損傷の部位で濃縮された凝固因子を提供するからである。しかし、FSDは、生物学的性質であり、こうした包帯の製造は、非常に手間がかかり、ほとんどの環境では、そのコストが、日常的な使用を妨げることがある(500ドルから1000ドルの推定経費)。このドレッシングは、脆弱性であり、気を付けて取り扱わねば壊れる傾向がある。深刻な動脈出血のモデルを使用して米陸軍が行った調査(非特許文献1参照)では、FSD包帯は、米軍使用ドレッシング(Army Field dressing)、Quick Clot、およびHemCon製包帯に比べ、生存率を有意に改善した。この製品は、包帯形態のみで存在する。
【0005】
3)迅速展開性止血剤(Rapid Deployable Hemostat)(RDH)は、Marine Polymer Technologies社によって製造され、止血を促進するための海藻からの誘導体を組み込む。しかし、ひどい出血を止め、生存率を高める多くの市販製品の能力を調査した、Alamおよびその同僚による調査(Alamら:非特許文献3参照)では、RDHを使用すると、簡単な標準の包帯よりも生存率が低い結果となった。これは、RDHの現在の構成要素が、生命を脅かす出血での使用には適していないことを示すものであろう。さらに、我々の知る限りでは、この製品の利用可能な形態は、包帯の1形態のみである。この製品のコストは、高くなることがあり、現在では、1ユニットあたり約300ドルであると見積もられる。
【0006】
4)特許文献1(Kampら)では、柔軟性のある透過性支持体と、ベントナイト、カオリナイト、およびイライトまたはアタパルジャイトを含む、鉱物性成分の混合物とを含み、かつ、抗菌性の(または他の)作用剤を含むこともある、治療用ドレッシングを開示している。このドレッシングは、柔軟性があり、所望のどのようなサイズに合わせても製造または切断できるように設計されていることが報告されている。ドレッシングは、主に火傷の治療への使用が意図されていると報告されているが、潰瘍の治療にも使用することもできる。しかし、このドレッシングは、出血の治療に適しているとは説明されてなく、こうした表示に対してこのドレッシングの使用を支持するためのKampからの入手可能なデータは無い。
【0007】
5)特許文献2(Hurseyら)は、出血の治療に使用される非包帯材料を記載している。この材料は、「Quick−Clot」としてZ−Medica社によって販売されており(z−medica.comのウエブサイトを参照)、粒状のゼオライト、すなわちケイ酸アルミニウム鉱物である。使用時、それが傷に注ぎ込まれる。出血した血液から水分を吸収し、損傷の部位で血液中の凝血因子を濃縮することに加え、その作用機構は、化学的焼灼を伴うと考えられる。激しい発熱反応が、液体(例えば血液)との接触時に発生し、焼灼によって血流を閉塞する役割を担うことがあり得る。この材料の使用は、死に至る出血には好ましいことがあるが、それに伴って、創傷のおよびその近くの組織を焼いてしまう(また、この材料を投与している医療関係者が火傷で損傷する可能性もある)ことが、深刻な欠点であることが明確である。この副作用はまた、内出血に使用される材料の能力を低減する。製造者は、この作用のメインの機構が、凝固因子を濃縮させるために血液から水分を吸収するゼオライトの高吸収性であると示しているが、該特許文献(特許文献2参照)では、その機構の作用が、主にそれが生み出す発熱反応中にあることを示している。Alamおよび同僚らによる調査(非特許文献2参照)は、この製品の出血を止める能力は、発熱反応をおよびこの反応が組織中に生み出す結果の温度を低下させようとしてこの生成物が部分的に水和されるとき、すぐに失われことを実証している。除去を円滑にするために、顆粒をティーバッグに似たバッグ中に入れたときは、出血を止めるその能力は、著しく限定される。さらに、我々の知る限りでは、この製品は、包帯の形には成されておらず、そうであったとしても、血液との接触時、依然として大きな発熱反応を発生させる可能性があるはずである。
【0008】
6)TraumaDex社製の製品(traumadex.comのウエブサイトを参照)もまた、非包帯である。この場合、この製品は、水分を吸収し、濃縮された凝血因子を含む微小孔質ビーズから成る粉末である。使用中、この材料は、傷内に注ぎ込まれ、あるいは噴出される。しかし、深刻な出血ショックのモデルにおいてAlamおよびその同僚による調査(例えば、非特許文献3参照)では、TraumaDexは、標準分野のドレッシングよりも良好には働かず、したがって利点は提供されず、確実にさらに費用がかかる。Alamおよびその同僚は、この製品を再び調査し(例えば、非特許文献2参照)、その性能が、QuickClotおよびHemcon製包帯に比べて準最適性であると実証した。この調査では、この製品は、標準的なドレッシングよりもわずかではあるが良好に働いた。また、我々の知る限りでは、この製品は、包帯の形には成されておらず、もしそうであったとしても、恐らく深刻な出血を止める効果は欠如しているであろう。
【0009】
出血の治療に対する「フリーサイズ(one size fits all)」手法は、明確に機能せず、また、機能することが不可能であり、したがって、従来技術は、安価で、効果的な、極めて適合性があり、使用しやすく、深刻な副作用がない組成物および方法を提供できていなかった。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4748978号明細書
【特許文献2】米国特許第4822349号明細書
【非特許文献1】Comparison of Hemorrhage Control Agents Applied to Lethal Extremity Arterial Hemorrhage in Swine. J Trauma 2005;59:865-875
【非特許文献2】J Trauma 2004;56:974-983
【非特許文献3】J Trauma2003;54:1,077-1082
【非特許文献4】Nano Letters, 3(2): 213-16, 2003
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、特定の比較的安価で容易に入手可能な粘土鉱物を含む製剤が、大量出血の創傷に施与されたとき、血液凝固を促進し、血流を止めるのに極めて効果的であるという驚くべき知見に基づく。この材料を使用すると、血液の流体成分との接触時に発熱反応が引き起こされない。したがって、火傷による組織の損傷の恐れがない。したがって、本発明の組成物は、内出血を含む、出血の治療を必要とするどのような状況においても、安全に使用することができる。そのような粘土鉱物のタイプの例が、ベントナイトである。
【0012】
本発明は、粘土鉱物を含む組成物、および数多くの様々なシナリオにおける出血の効果的な治療および抑制に対するその使用方法を提供する。組成物は、製造が比較的安価であり、非常に効果的であり、極めて適合性があり、使用しやすいものであり、深刻な副作用を引き起こさない。本明細書で提供される粘土鉱物組成物は、広い範囲の多様な状況下で出血を治療するために、柔軟な方法で使用することができる。
【0013】
本発明の1つの目的は、大量出血の創傷において止血を促進する方法を提供することである。本方法は、1つまたは複数の粘土鉱物を含む組成物を大量出血の創傷に施与するステップを含む。粘土鉱物は、i)止血およびii)1つまたは複数の粘土鉱物および大量出血の創傷からの血液を含む石化物(例えば、硬化したプラグ)の形成のうち、1つまたは両方を促進させるのに十分な量で施与される。1つまたは複数の粘土鉱物は、カオリン−蛇紋石タイプの粘土、イライトタイプの粘土、およびスメクタイトタイプの粘土から成る群から選択されてよい。一実施形態では、1つまたは複数の粘土鉱物は、ベントナイトである。1つまたは複数の粘土鉱物は、例えば、粒状、粉末状、ミクロンビーズ状、液状、ペースト状、ゲル状、包帯に含浸させた形、ならびに電界紡糸で包帯にした形などでよい。組成物は、さらに、例えば、高吸収性ポリマー、キトサン、フィブリン(オゲン)(fibrin(ogen))、トロンビン、カルシウム、血管作用性カテコールアミン、血管作用性ペプチド、静電気作用剤、抗菌剤、麻酔剤、蛍光剤、ならびにデキシトランおよびポリエチレングリコール(PEG)などの急速に溶解する担体ポリマーなどの1つまたは複数の物質を含むことができる。治療される大量出血の創傷は、外部創傷でもまたは内部創傷でもよい。創傷は、事故によるまたは意図的な外傷の結果であってもよく、あるいは疾病からの組織破壊によるものでもあってもよい。深刻な出血に至る組織破壊の例としては、とりわけ、潰瘍が原因の胃腸出血が挙げられる。意図的な外傷は、例えば、組織の修復、隣接組織の修復または除去、医療用具の外科的挿入または除去の必要性によって組織の外科的処置の結果生じる外傷を含む。
【0014】
本発明は、さらに、1つまたは複数の粘土鉱物を含む電界紡糸繊維を提供する。1つまたは複数の粘土鉱物は、例えば、カオリン−蛇紋石タイプの粘土、イライトタイプの粘土、およびスメクタイトタイプの粘土でよい。一実施形態では、1つまたは複数の粘土鉱物は、ベントナイトである。電界紡糸繊維は、さらに、例えば、ゼラチン、高吸収性ポリマー、キトサン、フィブリン(オゲン)、トロンビン、カルシウム、血管作用性カテコールアミン、血管作用性ペプチド、抗菌剤、麻酔剤、および蛍光剤などの1つまたは複数の物質を含むことができる。電界紡糸繊維は、架橋されてもよい。
【0015】
本発明はまた、1)1つまたは複数の粘土鉱物および溶媒を含む組成物を形成するステップ、および2)組成物を電界紡糸して電界紡糸繊維を形成するステップを含む、電界紡糸繊維を製造する方法も提供する。一実施形態では、溶媒は、2、2、2−トリフルオロエタノールである。電界紡糸繊維を形成する組成物は、さらに、ゼラチン、高吸収性ポリマー、キトサン、フィブリン(オゲン)、トロンビン、カルシウム、血管作用性カテコールアミン、および血管作用性ペプチドなどの1つまたは複数の物質を含むことができる。本方法は、さらに、電界紡糸繊維を架橋するステップを含むことができる。
【0016】
さらに、別の実施形態では、本発明は、電界紡糸繊維から成る包帯を提供し、この電界紡糸繊維は、1つまたは複数の粘土鉱物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、粘土鉱物および関連材料を含む組成物ならびにそれらを出血の治療および抑制、すなわち止血の促進に使用する方法を提供する。「出血」または「急性の出血」は、治療せずに放置した場合、患者の健康を危うくするであろう、患者の1つまたは複数の解剖学的部位からの血液の損失を意味する。出血は、通常、偶発的に(例えば、事故による創傷のような)あるいは故意的に(例えば、外科手術中)に起こることがある、1つまたは複数の血管の破裂から生じる。出血の能動的抑制が、「止血」と称される。止血の促進には、例えば、血液の流れを遅くする、あるいは止めること、ならびに特に創傷部位で血液が凝固するのを促進し、助け、引き起こすことを伴う。
【0018】
用語「粘土」は、それがあてはまる様々な分野(例えば、地質学、鉱物学など)の中で標準定義を有さない。しかし、関連の当業者は、一般に、粘土は、濡れると可塑性になり、乾くと硬化する非常に細粒の無機鉱物材料であることを認識している。火成岩中のケイ酸塩鉱物の風化作用によって形成されてきたほとんどの粘土は、ケイ酸塩クラスの鉱物およびそのサブクラスのフィロケイ酸塩に含まれる。フィロケイ酸塩は、基本単位が(Si−2である4面体の連続シートから形成される。フィロケイ酸塩は、さらには、AlがSiのいくつかと置換し、その基本単位が(AlSi10−5である、含水層状ケイ酸塩から成る粘土基を含む。粘土鉱物は、一般に、高い吸水能力を有する。しかし、一部のケイ酸塩鉱物(テクトケイ酸塩サブクラスのゼオライトなど)とは異なり、フィロケイ酸塩および粘土は、液体の存在下では発熱的に反応しない。
【0019】
本発明は、一つには、粘土鉱物および関連材料が、迅速な血液凝固を引き起こすのに極めて効果的であるという驚くべき知見に基づく。したがって、それらは、出血を治療するための組成物および方法に使用する優れた候補物である。さらに、粘土鉱物は、容易に入手可能であり、比較的安価であり、また様々な形に操作しやすい。
【0020】
「粘土鉱物および関連材料」は、粘土鉱物特性を有する自然発生または合成の無機材料を意味し、この特性は、例えば、材料は本質的に鉱物である、材料の乾燥形は高い水吸収性を示す、材料の微粒子形が水ベースの液体と混合されたとき、材料は可塑性(成形されうる能力)を示す、材料は、水ベースの液体と混合されたとき発熱活性が無くなる、材料は急速な血液凝固を引き起こすというものである。本発明の好ましい実施形態では、本発明の実施に使用される材料は、カオリン−蛇紋石タイプの粘土、イライトタイプの粘土、およびスメクタイトタイプの粘土などまたはそれらの組み合わせの様々な形態などの粘土鉱物である。本発明の実施に使用することができる粘土鉱物に関連する材料は、それだけには限定されないが、火山灰(鉱物粘土の前駆体)ならびに、他の類似の天然および合成の鉱物、化合物、および粘土を含む。
【0021】
本発明の一実施形態では、材料は、ベントナイトと称される自然発生の含水ケイ酸アルミニウムである。ベントナイトは、アルミナシートがシリカ四面体単位層の間に挟まれた3層構造から成る。ベントナイトの簡単な化学式は、1)(OH)AlSi10および2)Al・4SiO・HOである。ベントナイトは、火山灰の変質から生成された可塑性粘土であり、主に、スメクタイト鉱物、詳細にはモンモリロナイトから成る。ベントナイトの同義語には、ナトリウムベントナイト、カルシウムモンモリロナイト、サポナイト、モンモリロナイトナトリウム、モンモリロナイトカルシウム、テーライト(taylorite)、ケイ酸アルミニウム、フラー土などが挙げられる。ベントナイトには、1)天然カルシウムベントナイト、2)天然ナトリウムベントナイト、および3)ナトリウム活性化ベントナイトの3つの主なタイプが存在する。一般に、ナトリウム活性化ベントナイトは、カルシウムベントナイトに比べ、優れた膨張およびゲル化特性を有する。本明細書で使用される用語「ベントナイト」は、他に特に規定がない限り、ベントナイトの全ての同義語および全ての種類を含むものとする。
【0022】
市販の食品および薬剤級のベントナイトは、様々な粒子またはメッシュサイズでも容易に入手可能である。ベントナイトは現在、鋳物砂、塗料、濃縮、懸濁、密封、接着、結合、乳化、吸収、保湿、担体、防水、水濾過および解毒、飲料、食品ならびに化粧品などに使用されている。その吸水性および凝集(clumping)能力のため、ベントナイト粘土の最も一般的な使用の1つは、キャットリター用である。
【0023】
様々な形態および混合物のベントナイト粘土はまた、経口で消費されるとき解毒剤として推進されている。ベントナイトは、その構造およびイオン電荷により潜在する毒を吸収する能力を有すると考えられる。それはまた、抗たんぱく質分解の作用を有することもできることが想定されている。また、これらの特性は、治癒を促進し、感染を防ぎ、疼痛を抑制するように、急性および慢性の創傷を治療することに貢献するであろう。さらに、ベントナイト粘土は、悪影響なく消費されることが知られているので、胃腸または他の内出血の治療にそれを使用することは、安全であると予想されるであろう。
【0024】
本発明の別の実施形態では、使用される鉱物粘土は、カオリン(無水ケイ酸アルミニウム)である。カオリンの知られている使用の1つは、内因性の凝固系の活性の尺度となる、「活性化部分トロンボプラスチン時間」と称される一般的な凝固試験におけるものである。このテストの活性剤が、カオリンである。
【0025】
粘土鉱物は、血液を凝固させるための顕著な予想外の能力を有することが見出されている。ヘパリン添加血液であっても、それらの存在下では凝固することになる。理論に束縛されないが、陽イオン種が、恐らくは陽イオン交換機構により、赤血球の凝集、したがって凝固を引き起こすことが知られているので、このタイプの材料の陽イオンおよび陰イオンの分布が、好ましい止血を引き起こし得ることが、留意される。粘土の負の電荷は、内因性の凝固系を活性化することがある。というのは負の電荷は、こうした能力を有することが知られているからである。また、鉱物の構造的組成がその電荷のイオン分布と相まって、優れた吸収特性をもたらす。出血の点から見ると、この吸収特性は、負傷部位において、血小板を含む、内因性の凝固因子を濃縮することができる血液成分のすばやい吸収をもたらすであろう。
【0026】
本発明で使用される粘土鉱物組成物は、1つまたは複数の粘土鉱物を含むことができ、すなわち、粘土の混合物を使用することができる。当業者は、鉱物粘土の堆積物が、単に1つのタイプのもの、または単に1つのタイプのものではないことがあるので、そのような混合物は、自然に発生し得ることを認識するであろう。あるいは、混合物を、組成物の製造中に故意に形成することもできる。
【0027】
本発明の実施に使用される粘土鉱物組成物は、様々な方法で調合されてよい。例としては、それだけには限定されないが、液体、泡、粉末、顆粒、ゲル、ヒドロゲル、スプレー、包帯への組み込みなどが挙げられる。用途によって、そのような調合が、例えば、粘度、粒子サイズなどにおいて変動してもよい。さらに、様々な他の化合物または材料を粘土鉱物に付加することができ、その例としては、抗菌剤(例えば、抗生物剤、抗菌剤、および/または抗ウイルス剤)、静電剤(例えば、電荷密度が変更されたデンドリマまたは類似の化合物)、防腐剤、粘度を調節する様々な担体(例えば、スプレー調合物用)、様々な着色剤、治癒を促進する様々な薬剤が挙げられる。また、他の適切な止血剤または吸収剤を付加してもよい。これらには、それだけに限定されないが、キトサンおよびその誘導体、フィブリノゲンおよびその誘導体(本明細書ではフィブリン(オゲン)(fibrin(ogen))として表される)、例えば、フィブリノゲンの分解産物であるフィブリン、あるいは、多くのタイプの高吸収性ポリマー、多くのタイプのセルロース、カルシウム、銀、ナトリウムなどの他の陽イオンまたは陰イオン、他のイオン交換樹脂、ならびにイオンまたは電荷特性を有するか、また、これらを有さない高吸収性ポリマーなど他の合成または天然の吸収体が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、粘土中の1つのタイプの陽イオンが、別のタイプの陽イオン(例えば、銀陽イオン)と置換されてよく、後者は、より好ましい凝固活性を有する。
【0028】
さらに、粘土鉱物が、血管収縮および止血を促進する血管作用剤または他の作用剤に付加されたこともある。そのような作用剤は、カテコールアミンまたは血管作用性ペプチドを含むことがある。これは、特に、その乾燥形で有益なことがあり、その結果、血液が吸収されたとき、添加剤が、活性化され、組織内に浸出されてその効果を発揮する。さらに、感染を防止する抗生剤および他の作用剤(殺菌性または静菌性の作用剤または化合物のいずれのものでも)ならびに麻酔剤/鎮痛剤を、感染を防止し、疼痛を軽減することによって治癒を向上させるために加えてもよい。さらに、いくつかの形態の鉱物の外科的除去中、出血の最終的な抑制が得られた後に最低限の鉱物の保持を保証するのを助けるために、蛍光剤または蛍光成分を加えることができる。それらは、例えばWood製ランプの光を利用して見ることができる。簡潔に言えば、鉱物粘土組成物が、依然として血液凝固を起こし、止血を促進することができる限り、どのような適切な材料を付加してもよい。
【0029】
本発明の調合物は、当業者に周知の様々な手段のうち任意の手段によって出血部位に投与することができる。具体例は、これらに限定されないが、内服的なもの(例えば、液状または錠剤状の摂取によって)、創傷に直接的なもの(例えば、粉末状または顆粒状の材料を出血部位内にまたはその上に直接振りかけることによって)、材料を染み込ませた包帯などの材料を創傷内またはその上に置くことによるもの、材料を創傷内にまたはその上にスプレーすることによるもの、あるいは、創傷を材料で被覆することによるものを含む。包帯は、圧力をかけることで、湾曲し、そして創傷部位の形状に合致するタイプのものでもよい。部分的には、水和物の形に類似モルタルまたは他の半固体−半液体状が、特定のタイプの創傷をふさぐために使用されてもよい。腹内の出血に対しては、トロカールで腹膜に穴を空け、その後、様々な適切な粘土鉱物剤の調合物を投与することが想定される。したがって、調合物は、形状、サイズ、柔軟性および/または剛性の度合いが変化する包帯、ゲル、液体、ペースト、スラリー、顆粒、粉末ならびにその他の形状など多くの形上であってもよい。粘土鉱物をリポソームまたは他の賦形剤などの特別な担体中に組み込んで、局所で、胃腸管で、腔内で、または経脈管においてもその送出を支援することができる。さらに、これらの形状の組み合わせ、例えば、創傷上に直接置かれる柔軟性のあるスポンジ様のまたはゲルの材料を組み合わせ、ならびに、取り扱いおよび操作が容易なように幾分剛性の材料の外部保護バッキングを有し、施用後はその外側層が創傷への機械的保護を提供する包帯も使用してもよい。内側と外側の両方の材料は、粘土鉱物を含むことができる。鉱物粘土が出血部位と十分接触して止血を促進する限り、いかなる投与手段を使用してもよい。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態では、鉱物粘土が、電界紡糸技術を用いて、包帯に使用する繊維様材料に組み込まれる。電界紡糸は、溶液、たいていは溶媒に溶解した液体ポリマーを、高エネルギー電界内で小型ノズルを通って引き込むことを含む。帯電した溶液は、それが、ノズルから、金属板またはロッドなどの接地された標的に向かって移動しながら、液体噴流を形成する。液体噴流の移動中、溶媒が蒸発して、不織「布」またはマット/足場として標的上に集積する固体状繊維を形成する。このポリマー繊維加工の主な利点は、非常に簡単で、拡張性があり、効率的で、すばやい(複雑な構造を作るのに要する時間はたった数分である)ことである。例示的な電界紡糸システムを、図1に示す。この構造は、マイクロからナノ規模の繊維を有する足場を生み出すことを可能にする。さらに、無作為のあるいは極めて整列された(繊維を円周方向に整列させた、マンドレルの高速回転)の繊維構造を製作することができる。繊維直径の制御における主な要素は、ポリマー溶液の濃度である。ポリマー濃度と生成されたポリマー繊維直径との間には、直線関係が存在し、低い濃度ほど、より小さい繊維直径となる。
【0031】
粘土鉱物を電界紡糸する場合、電界紡糸された材料の混合は、一般に、鉱物粘土に加えて、不溶性粘土用の担体ポリマー(天然および/または合成)、(複数の)担体ポリマーを溶解させる溶媒、および/または吸収性ポリマーを含むことになる。吸収性ポリマーを添加すると、血液と接触する材料の表面だけではなく、電界紡糸繊維性材料(例えば包帯)の構造全体への血液の暴露が促進される。電解紡糸材料に可能な添加物は、上記で説明するように、他の粘土鉱物組成物および材料に付加することができるものを含む。
【0032】
代替の実施形態では、ミクロンサイズのビーズが、本発明の組成物から形成されてよい。ポリマー濃度を低下させることにより、(電界紡糸ではなく)電気スプレーすることができる溶液が生じ、もたらされる。生成物は、ミクロンサイズのボールまたはビーズの形状であることを当業者は認識するであろう。そのようなビーズは、粉状ベントナイトが使用されるのと非常によく似た方法(創傷に注ぎ込む)で、本発明の実施において使用されてよい。しかし、そのように電気スプレーされたビーズはまた、血液凝固および/または創傷治癒に有益である他の物質を含むこともある。というのは、それらが、電界紡糸された組成物に関して上記で説明したように、こうした物質を含む組成物から製造することができるからである。したがって、電気スプレーされたビーズを、それらが施与される創傷部位におけるこうした有益な化合物の放出(例えば低速度の放出)に使用することができる。
【0033】
粘土鉱物を含む組成物を、これらに限定されないが、以下を含む多くの様々な環境における出血の抑制に使用することができる。
a)液体、スラリー、ゲル、スプレー、泡、ヒドロゲル、粉末、顆粒またはこれらの調整物による包帯の被覆を用いることによる、(急性および慢性の)創傷からの外部出血
b)体内に摂取可能な液体、スラリー、ゲル、泡、顆粒、または粉末を用いることによる、胃腸出血
c)スプレーされた粉末、スプレー、泡、パッチ、または被覆された止血栓を用いることによる鼻出血
d)液体、スラリー、スプレー、粉末、泡、ゲル、顆粒、またはそのようなもので被覆された包帯を用いることによる、内部の固形臓器または骨の負傷の抑制
e)全てのタイプの創傷からの疼痛の抑制を含めた、こうした創傷の治癒を促進するための止血の促進、流体吸収、および、たんぱく質分解酵素の阻害。
【0034】
本発明の多くの適用は、包帯の表面を、出血している創傷の全面と合致させるという既知の問題に基づく。顆粒、粉末、ゲル、泡、スラリー、ペースト、および液体を使用すると、表面がどのように不整形なものであっても、その全ての表面を本発明の調合物がカバーすることが可能になる。例えば、鼠径部の外傷性創傷は、単なる直接圧迫、あるいは簡易の平坦な包帯の使用だけでは、抑制が非常に難しい。しかし、例えば、創傷内に注ぎ込まれ、噴出され、圧送することができる粉末状、顆粒調整物の形、ゲル状、泡状、あるいは、非常に粘性のある液体調整物の形の粘土鉱物を使用し、その後圧力をかけることにより、治療を実施することができる。本発明の調合物の1つの利点は、不整形な形状の創傷に対して、かつ傷跡、すなわち銃弾、ナイフの刃などの有害物質の経路を封止するためにそれを施用できることである。
【実施例1】
【0035】
ゼラチン、ベントナイト、および高吸収性ポリマーを電界紡糸する
止血包帯を作り出すために、ゼラチン(Sigma Aldrich社製#G−9391)は、創傷にすばやく溶解し(所望の、かつ架橋されていない場合)、ある程度の凝固度まで促進し、ベントナイトに対する送出系としておよび/または迅速吸収ポリマーとして働くことができるので、それを基本構造要素(担体ポリマー)として利用した。ゼラチンを電界紡糸する際、2、2、2−トリフルオロエタノール(TFE)(Sigma Aldrich社製#T−8132)中80mg/mLから300mg/mL間の任意の濃度を利用することができる。この実験に関しては、より濃いゼラチン濃度は、溶液に付加された粒子を保持/懸濁する能力を有していたので望ましかった。ベントナイトおよび高吸収性ポリマー粒子の両方が、溶液に加えられた。ExquisiCat(登録商標)Extra Strength SCOOP、無香の高級凝集性キャットリターを、ベントナイト源として使用し、ゼラチン溶液に加えて足場の吸水性および凝固能力を高めた。ベントナイトに関しては、ペレットを乳鉢と乳棒内に入れ、より小さい粒子サイズ片になるまで砕いた(粉砕した)。このプロセスにより、大きな片が無くなってから、ゼラチン溶液にそれを加えた。通常、電界紡糸する際は、18ゲージの針を使用するが、この実験では、砕いたベントナイトおよび高吸収性ポリマー粒子が針先端を通過することを可能にするために、14ゲージの針が必要であった。
【0036】
電界紡糸用に選択されたゼラチン濃度は、150mg/mL TFEから250mg/mL TFEの範囲であった。電界紡糸包帯を構築する際、試料を得るには3mLの溶液で十分であったが、より大きなマンドレル上で回転して完全な包帯を作り出すには、5mLが必要であった。図2は、200mg/mL TFE濃度の電界紡糸されたゼラチン単独の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【0037】
ゼラチン溶液中に入れる砕いたベントナイトの最適な濃度が、決定された。100mg/mLから400mg/mLの範囲の濃度の砕いたベントナイトをゼラチン溶液に加えて、電界紡糸のために溶液を注射器内に引っ張り上げる際に注射器を詰まらせることなく、あるいは粒子の全てがバイアルの底に沈殿することなくゼラチン中に入れることが可能なできる限り高い濃度を決定した。良好な電界紡糸を可能にする粉状ベントナイトの最も高い濃度は、300mg/mLゼラチン溶液であり、この濃度が、最後まで使用された。
【0038】
懸濁されたベントナイトを有するこのゼラチン溶液を、4mL/hrの低速から始めて45mL/hrまで増大させて、様々な流量で紡糸させた。あまりに速いと、溶液がもはや紡糸されなくなり、常に滴り落ち、溶液がよりゆっくりと紡糸される場合は、リッター粒子が全て注射器の底に沈むであろう。ベントナイトおよびゼラチンを紡糸させるのに最適な流量は、5〜10mL/hrであった。また、それを、注射器針とマンドレル間の様々な距離、すなわち9.5インチ離すところから始めて、次いで5インチまで近づけて紡糸させた。良好な最終結果を得るために、6インチの最終距離が決定された。図3は、粉状ベントナイトを有するゼラチンのSEMを示している。
【0039】
次のステップは、様々な高吸収性ポリマー(架橋ポリアクリル酸とその塩の混合物)の吸収性を試験した。各々のポリマーを水3mL中に入れ、各々のポリマーがゲルを形成するのにどのくらいかかったかを決定するために時間を計った。これらの試験から、最も早くゲル化した3つのポリマーが、「すばやい」吸収の包帯を作り出すための実験のために選択された。この3つの選択されたNorsocryl XFS、 LiquiBlock 144、およびNorsocryl s−35は、それらの粒子分布サイズ(それぞれ200ミクロン未満、300ミクロン、500ミクロン)に基づいた。これらのポリマーを個々にゼラチン試料に加え、電界紡糸した。最大100mg/mLの高吸収性ポリマーが、ゼラチン溶液に懸濁されたままであった。したがって、これが、全てのポリマーに対する実験の間中使用された濃度である。TFE中200〜250mg/mLのゼラチンおよび100mg/mLのポリマーの溶液を紡糸される溶液に加えた。この溶液を、ベントナイトを加えずに紡糸させ、水への30秒間の暴露中、足場がどれだけの量の水を吸収するかを決定した。各々の電界紡糸されたポリマー/ゼラチン足場の試験後、次いで、砕いたベントナイト粘土を溶液に加え、電界紡糸した。各々の物質が同じ比率で維持された:TFE中、高吸収性ポリマー100mg/mL、砕いたベントナイト粘土300mg/mL、ゼラチン250mg/mL。各々の電界紡糸する速度が速まるにつれて、足場は、より強く、より鋳物様(cast−like)になり、試料がより低速で紡糸されると、足場は、より綿状の外観を有した。各々の試料を、4mL/hrで1回、次いで10〜15mL/hrで再び紡糸させた。
【0040】
各々の試料を集めた後、それを水和試験にかけて、30秒間の暴露中、それが吸収することができた水の割合を決定した。包帯を、固定された(架橋された)および固定されない状態で試験した。使用された架橋方法は、30分間のグルタルアルデヒド蒸気固化であった。この架橋では、小さい包帯/繊維試料を、50%のグルタルアルデヒド溶液で満たした35mm径のペトリ皿を含む、100mm径のペトリ皿内に入れた。包帯試料を固定した後、より大きなペトリ皿の蓋を正しく嵌めて、架橋のための閉鎖された飽和グルタルアルデヒド蒸気環境を作り出した。流体成分が、包帯構造に直接接触することはない。
【0041】
より速い流速(10または15mL/hr)で紡糸させたときは、300ミクロン未満の粒子サイズ分布を有するポリアクリル酸が、鋳物様の外観を有する足場を生み出し、一方で、より遅い流速(4mL/hr)で紡糸させたときは、足場は、より綿様であったが、マンドレルからの取り外しが困難であった。TFE中ベントナイト粘土300mg/mL、ゼラチン250mg/mL、および同じポリアクリル酸100mg/mLを有する溶液を10mL/hrで紡糸させると、固定されていない足場に関しては、水中に30秒間入れたとき重量は776%増加し、架橋状態の同じ足場に関しては、重量は1508%増加した。さらに、この試料は、水への暴露時にその形状を保持した。
【0042】
500ミクロン未満の粒子サイズ(加えてTFE中ゼラチン250mg/mLおよび砕いたベントナイト300mg/mL)の架橋ポリアクリル酸(およびその塩)を使用した試料は、試料を電界紡糸した流速にかかわらず、綿状の外観を有した。また、この試料から形成された足場は、前述の試料(300ミクロン未満の粒子サイズ分布を有するポリアクリル酸)で形成されたものに比べて、より多くの水を吸収し、それが架橋されたときの重量においては1914%の増加を示した。しかし、試験した3つのポリマーのうち、この試料はまた、水への暴露時に最も溶解しやすかった。実際には、試料は、完全に溶解したので、それが固定されない状態にあるときの吸水率の測定のために集めることはできなかった。
【0043】
200ミクロン未満の粒子サイズの架橋ポリアクリル酸(およびその塩)で生成されたこの試料は、固定された足場の場合は、重量パーセンテージで、2623%、固定されない足場の場合は2114%の大きな増加を示したが、水への暴露時に、この試料の形状は、うまく保持されなかった。
【0044】
優れた形状保持性を組み合わせたその高レベルの吸水率により、さらなる検証のために選択された、ゼラチン/ベントナイト粘土溶液へ付加するための高吸収性ポリマーが、300ミクロン粒子サイズの架橋ポリアクリル酸(およびその塩)で作り出された。図4は、粉状ベントナイト粘土およびこの高吸収性ポリアクリル酸を有する電界紡糸されたゼラチンのSEMを示している。
【0045】
こうした実験に使用された元のベントナイトは、ゼラチン溶液に容易に懸濁される細粒に砕かれる粗いペレット状であった。これに類似する別の材料、ベントナイト粘土粉末(Kalyx.com、製品#2194)も使用した。ベントナイト粘土は、粉末サイズ粒子で入手可能であり、その粒子は非常に小さいので、ゼラチン溶液中によりいっそう有効に懸濁された。したがって、ベントナイトは、注射器内に引き込まれるとき、あるいは電界紡糸中、溶液から落ちなかった。この粘土粉末が電界紡糸に使用されたとき、最終的な足場は、一般的には、電界紡糸速度にかかわらず、柔らかい、綿の風合いを有すが、必ずしもそうである必要はない。該粘土粉末およびゼラチン溶液を、300ミクロン未満の粒子サイズの架橋ポリアクリル酸を添加して、また添加せずに電界紡糸した。得られた足場を、固定された形態および固定されない形態の両方で試験して、水中に30秒間置いたときの重量の増加を決定した。キャットリターからの粗いベントナイトで構築された足場とベントナイト粘土粉末とを比べると、ベントナイト粘土粉末の包帯は、固定されないときはより容易に崩れるが、固定されているときは、この足場は、粉状の粗いベントナイトで構築した足場よりも、より多くの水を吸収し、その形状をより良好に保持した。図5および6は、ベントナイト粘土粉末の2つのSEMを示し、1つは、300ミクロン未満の粒子サイズの架橋ポリアクリル酸を有する(図5)ものであり、1つはそれを有さないもの(図6)である。
【0046】
したがって、1つの好ましい包帯は、TFE1mL当たり200mgのゼラチン、ゼラチン溶液1mL当たり300mgのベントナイト粘土粉末、およびゼラチン溶液1mL当たり100mgの300ミクロン未満の粒子サイズの架橋ポリアクリル酸(およびその塩)(LiquiBlock 144)の濃度で作り出された組成物から電界紡糸される(図6)。包帯/足場は、グルタルアルデヒド蒸気で最低でも約30分間は固定される。足場のこの実施形態は、水3mL中に30秒間置いたとき2413%の重量の増加を示した。さらに、足場は、水への暴露時その形状を失わなかった。
【実施例2】
【0047】
凝固調査
材料および方法
パートI〜IVの調査材料は、次の通りであった。パートI:粉状ベントナイトまたはゼラチン、パートII:電界紡糸されたフィブリノゲン、ベントナイト、またはゼラチン、パートIII:粉状ベントナイト、ゼラチン、およびゼオライト、ならびにパートIV:粉状ベントナイトおよびゼオライト。粉状のキャットリター(実施例1での上述のように)が、ベントナイト源であった。ゼラチンを、Sigma Aldrich社(カタログ#G−9391)から取得した。ゼオライト(Quickclot)をZ−Medica社から取得した。
【0048】
HAS(商標)を用いた、血小板機能および血餅構造パラメータの決定
Hemodyne Hemostasis Analyzer (HAS(商標))は、力発生時間(FOT)、血小板収縮力(PCF)および血餅弾性率(CEM)のパラメータを記録することにより、凝固系の完全性の全体的評価を提供する。この機器では、全血の少しの試料を、平行な面の間に閉じ込める。様々な凝固剤を加えて凝固を開始する。血餅形成中、下向きの力が上部からかかり、変形度が変位変換器により直接測定される。この測定値から、弾性率を算出する。凝固が形成されるとき、血餅内の血小板は、血餅退縮として知られるプロセスで血餅を収縮させようとする。発生した力が、可動の上部プレートを引っ張り、続く偏向が変位変換器により検出される。弾性率は、変位信号の力への変換のための較正定数として働く。ソフトウエアパッケージが、連続的に算出を行い、時間に応じて、血餅弾性率(clot elastic modulus:CEM−Kダイン/cm)および血小板収縮力(platelet contractile force:PCF−Kダイン)をプロットする。CEMは、血餅構造、フィブリノゲン濃度、フィブリン生成率、および赤血球の柔軟性の変化の影響を受けやすい複雑なパラメータである。PCFは、血小板のトロンビン依存性関数である。これは、トロンビンの生成率、トロンビン阻害剤の存在、およびGP IIb/IIIaの暴露度に影響を受けやすい。測定は、通常20分で終了する。
【0049】
全ての血餅を、700μLのクエン酸全血を用いて形成した。CaClを加え調査材料(粉状ベントナイトまたはゼラチン)の量を増やすことによって、時間0で凝固を開始した。最終的凝固状態は、CaCl 10mM、pH7.4、イオン強度0.15Mおよび最終体積0.750mLであった。血液試料中の最終材料濃度は、0、10、50および75mg/mLであった。力発生時間(FOT)を、力および弾性率における最初の上昇から決定した。続いて、血小板機能を測定の20分後に発生した力として評価した。力(PCF)をキロダインで記録した。同時に血餅弾性率(CEM)を測定することによって、血餅構造を評価した。CEMをcm当たりのキロダイン(キロダイン/cm)で記録した。
【0050】
HASパラメータの定義:
FOTは、トロンビンが全血内で生成される速度である。PCFは、血餅退縮中に血小板によって生じた力であり、したがって、凝固中の血小板機能の測定値である。CEMは、PCFと共に同時に測定され、血餅の構造的完全性を反映する。非常に低いPCF、低いCEMおよび長いFOTが、出血のリスクの増加と関連付けられる。CEMは、血餅の完全性および強度の最良の全体尺度である。
【0051】
TEG(登録商標)を使用したトロンボエラストグラフパラメータの定義:
トロンボエラストグラフ(登録商標)凝固分析器(Thromboelastograph Coagulation Analyzer)5000(TEG(登録商標))は、形成された血餅のせん断への反応(全血を含む回転カップに挿入されたピンが、フィブリンが重合するときにそのカップと共に移動する)を測定する。このピンの移動量が、最大に達する振幅として記録される。血餅が強くなるにつれて、ピンがカップと共に動く量が増え、最大振幅(MA)または血餅強度はより強くなる。フィブリン重合および血小板収縮はいずれも、MAの一因となる。
【0052】
評価は、次のように行われた。:調査材料の量を増やし、その後20μLの0.2M CaClおよび340μLのクエン酸ナトリウム全血を試料カップに加えた。血液試料中の最終材料濃度は、0、10、50および75mg/mLであった。電界紡糸された試料を5mg/mLで評価した。血餅形成を開始した。
【0053】
トロンボエラストグラフパラメータの定義:
反応時間(R)は、試料のカップへの付加と少なくとも2mmの振幅の信号の生成との間の間隔時間である。R値は、通常、最初のフィブリン形成に必要な時間として解釈される。信号最大振幅(MA)は、血餅によって得られた最大の構造的完全性の反映である。それは、フィブリンの量、フィブリン構造、血小板濃度、および血小板機能によって変わる。せん断弾性率強さ(G)は、算出されたパラメータである。G=5000MA/(l00−MA)。このプロセスの目視検査を提供するトロンボエラストグラムを実行することができる。
【0054】
パートI
調査の説明
この調査の具体的な目的は、1)ベントナイトおよびゼラチンが血液凝固パラメータを変更できるかどうかを判定するため、および2)濃度を増加させたベントナイトとゼラチンの凝固能力を比較するためである。この結果を、表1および図7A〜Cに示す。
【0055】
【表1】

【0056】
結果:この調査では、ベントナイトおよびゼラチンの全血との相互作用が評価された。この結果は、両方の材料が、PCFおよびCEMのパラメータに影響する、凝固発生の濃度依存性の短縮を生じた。濃度を増加させたベントナイトのTEG値を、図7Cに示す。この結果もまた、凝固発生の短縮により、血餅の構造的完全性が高められることを実証する。
【0057】
パートII
調査の説明
この調査の具体的な目的は、1)電界紡糸されたベントナイト、ゼラチン、およびフィブリノゲンが血液凝固パラメータを変更できるかどうかを決定するため、および2)濃度を増加させたベントナイト、ゼラチンおよびフィブリノゲンの凝固能力を比較するためである。この結果を、表2および図8A〜Cに示す。
【0058】
【表2】

【0059】
結果
1)電界紡糸されたフィブリノゲン(5mg/ml)は、試験した全てのフィブリノゲンの濃度においてFOTおよびRを短縮し、PCFを増大させた。CEMおよびMAは、最高のフィブリノゲン濃度(Fibrinogen 150)を有する電界紡糸された材料中で増加した。
2)ゼラチン200(5mg/ml)は、FOTおよびRを短縮したが、PCFまたはMAを変更せず、CEMを増大させた。
3)ゼラチン200+ベントナイト200(5mg/ml)は、FOTおよびPCFおよびMAにはほとんど影響しなかったが、CEMを増大させ、Rを短縮した。
4)ゼラチン200+ベントナイト200(10mg/ml)は、FOTおよびRを短縮し、PCF、CEMおよびMAを増大させた。
【0060】
全体の結果により、ベントナイトとゼラチンの組み合わせは、フィブリノゲンと同じ、あるいはそれよりも良好な強い血餅を開始し形成する能力を有し、さらに、生成がよりいっそう安価であるという利点も有することが示される。さらに、ベントナイト自体は、フィブリノゲンよりも低い濃度でより高いPCFおよびECMを生み出す(表1を参照)。TEG(図8C)はまた、フィブリノゲンと比較したとき、ゼラチン/ベントナイトの組み合わせが有利であることを示している。
【0061】
パートIII
調査の説明
この調査の具体的な目的は、1)ベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトが血液凝固パラメータを変更できるかどうかを判定するため、および2)濃度を増加させたベントナイト、ゼラチンおよびゼオライトの凝固能力を比較するためである。この結果は、図9AおよびB(PCFおよびCEM)、図10AおよびB(PCFおよびCEM)ならびに図11A〜E(TEG)に示す。
【0062】
結果
この調査では、ベントナイト、ゼオライト、およびゼラチンの全血との相互作用が評価された。この結果は、こうした材料の各々が、凝固発生の濃度依存性の短縮を生み出すことを示す。この結果はまた、凝固発生を短縮することにより、血餅の構造的完全性が高められることも実証する。全体としては、この結果により、ベントナイトが、特にCEM値に関して、ゼオライトによって生じたものと同じように強いまたはそれよりも強い血餅をすばやく生成することが示される。ベントナイトの低コストおよびその柔軟性(出血部位への施用に適した多くの形に形成されるという点に関して)が、付加的な有意な利点である。
【実施例3】
【0063】
in vivoで出血を止めるためのベントナイト組成物の使用
施設内倫理委員会承認済み試験では、2頭の大きな豚(50〜80kg)を使って、動脈出血を止めるベントナイト粘土顆粒の能力を試験した。これらの実験は、テキサス州サンアントニオの米国陸軍外科研究所(U.S.Army Institute for Surgical Research)の実験を手本にした。このモデルは、高圧の動脈出血を抑制する止血剤の能力を試験するように設計されている(Achesonら:非特許文献5参照)。適切な麻酔をした後、第1の動物を、左右の大腿動脈および左の頸動脈の外科的に露出させた。カテーテルを動脈圧の監視のために右の大腿動脈に入れた。動脈痙攣を防止するためにリドカインを左の大腿動脈に施与した後、その領域で6mmの動脈切開を行った。この動物を、30秒間出血させた。そのとき、3.5オンス(約100グラム)のベントナイト粘土顆粒を傷口に注ぎ込んだ(これは、メーカーが使用を推奨するQuick Clotの重量および体積にほぼ等しい)。次いで、簡単なガーゼパッドで4分間圧力をかけた。その後、圧力を緩めた。さらなる出血は認められなかった。施与時の平均動脈圧は、120mmHgであった。この平均動脈圧は、施与後も変わらなかった。同じ動物を使って、左の頸動脈に動脈切開を行った後、すぐに3.5オンス(約100グラム)のベントナイト粘土を施与した。圧力を4分間かけた。この後で、圧力を緩めた。さらなる出血は、認められなかった。この動物の血圧は変わらなかった。
【0064】
第2の動物を、動脈圧の監視のために左の頸動脈にカニューレを挿入する以外は、同様の実験にかけた。左と右の大腿動脈を外科的に遮断した。動脈痙攣を防止するためにリドカインを血管に施与した。6mmの動脈切開を右の大腿動脈に行った。この動物を、30秒間出血させた。このとき、3.5オンス(約100グラム)のベントナイト粘土を施与し、簡単な医療用ガーゼを用いて4分間粘土上に圧力をかけた。このとき圧力を緩め、さらなる出血は観察されなかった。このときの平均動脈圧は、80mmHgを上回った。この実験を左の大腿動脈でも繰り返し、同じ結果を得た。3.5オンスのベントナイト粘土を施与し、4分間圧力をかけた後、出血の完全な抑制を得た。平均動脈圧は、ここでも80mmHgを上回った。全ての動物を、実験の後、人道的に安楽死させた。上記で説明した試験は、施与時の平均動脈圧が一般的により高く、そのため、傷口から圧力が緩められた後形成された血餅を崩壊させる傾向がある動脈血管系内の液圧力のため、出血の抑制がさらに困難なものになるので、米陸軍が作り出したモデルよりもいくつかの点に関しては厳しいものである。硬い石化物が創腔内に形成されたことが全てのケースで認められた。これは、ベントナイト粘土の高い吸収性によるものである。第2の動物では、これらの石化物を創傷から容易に取り除き、大腿動脈を完全に視覚化することができた。動脈は切断されていなかった。血管のすぐ上の粘土および血餅を取り除くと、再出血が促進され、血管が修復不能まで損傷されていないことを実証した。石化物を取り除くこの能力は、血管修復時の医療上および外科上の利点を有するはずである。
【0065】
Achesonおよびその同僚が公開した研究論文(Achesonら:非特許文献1参照)では、試験した全てのドレッシングおよび止血方法は、66%の生存率を可能にしたフィブリンシーラント・ドレッシング以外は、死を防ぐことができなかった。Hemcon製包帯(Hemcon Bandage)、米陸軍使用ドレッシング(Army Field Dressing)およびQuick Clotを使用しても、この実験では生存者は出なかった。止血の異なるモデルを使用して、Alamおよびその同僚(Alamら:非特許文献3参照)が、Hemcon製包帯(Hemcon Bandage)、迅速展開性止血剤ドレッシング(Rapid Deployment Hemostat Dressing)、Trauma Dex、および標準的な分野の包帯と比べてQuick Clotが優位であることを実証した。しかし、このモデルは、大腿動静脈の完全な切断の1つであり、動物は、5分間出血させる。このとき、動脈圧は、非常に低い。また、止血法を適用後、圧力を5分間創傷にかける。したがって、このモデルは、上述の米陸軍モデルに比べてそれほど厳しくはない。これは、Quick Clotが米陸軍調査において生存者を出さなかったという事実によってさらに明らかになる。上述した彼の前のモデルを使用するAlamらの別の調査(例えば、非特許文献2参照)では、Quickclotの変種を、Hemcon製包帯(Hemcon bandage)、Trauma Dex、Fast Act(ウシ凝固因子)およびQuick Relief(カリウム塩を有する高吸収性ポリマー)と比較した。Quickclotの変種を、Quickclotによって発生した熱発生反応の低減を試みて部分的に水和させた。この試験では、元のQuick Clot製品だけが死を防いだ。他の全ての製品では、28%から83%の範囲の死亡率であった。このデータは、Quick Clotの熱発生反応が、その止血作用に最も関与しやすいことを示す。
【0066】
上記の調査からのデータを組み合わせると、本出願で説明したベントナイト粘土法が、特に製造コスト、保管、および形態変動性(顆粒、包帯など)を考慮に入れたとき、優れた止血方法を提供することができることが示されるであろう。
【0067】
本発明を、その好ましい実施形態に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、本発明を改変形態と共に実施できることを、当業者なら認識するであろう。したがって、本発明は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、全てのその改変形態および均等物を、本明細書で与えた説明の趣旨および範囲内に含むべきである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】例示的な電界紡糸装置を示す概略図である。
【図2】ゼラチン単独(200mg/mLの2、2、2−トリフルオロエタノール、TFE、)の電界紡糸から得られた製品の図である。
【図3】粉状ベントナイト粘土(300mg/mL TFE、)を用いたゼラチン(200mg/mL TFE、)の電界紡糸から得られた製品の図である。
【図4】ゼラチン(200mg/mL TFE)、粉状ベントナイト粘土(300mg/mL)、および300ミクロン未満の粒子サイズ分布を有するポリアクリル酸の架橋ナトリウム塩(LiquiBlock 144:Emerging Technologies Inc.社 Greensboro North Caroliina)(100mg/mL TFE)の混合物の電界紡糸から得られた製品の図である。
【図5】ゼラチン(200mg/mL TFE)およびベントナイト粘土粉末(300mg/mL TFE)の電界紡糸から得られた製品の図である。
【図6】ゼラチン(200mg/mL TFE、)、ベントナイト粘土粉末(300mg/mL TFE)および300ミクロン未満の粒子サイズ分布を有するポリアクリル酸のナトリウム塩(100mg/mL TFE)の電界紡糸から得られた製品の図である。
【図7A】血小板機能に対するベントナイトの効果を示す、ベントナイトを用いた凝固調査の図である。
【図7B】血餅構造に対するベントナイトの効果を示す、ベントナイトを用いた凝固調査の図である。
【図7C】ベントナイトの濃度の変化によるトロンボエラストグラフ(TEG(登録商標))データを示す、ベントナイトを用いた凝固調査の図である。
【図8A】血小板機能に対するベントナイトおよびフィブリノゲンの効果を示す、ベントナイトとフィブリノゲンを比較した凝固調査の図である。
【図8B】血餅構造に対する電界紡糸された材料の効果を示す、ベントナイトとフィブリノゲンを比較した凝固調査の図である。
【図8C】トロンボエラストグラフ(TEG(登録商標))データを示す、ベントナイトとフィブリノゲンを比較した凝固調査の図である。
【図9A】ベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの比較図であって、10mg/mLのベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの血小板機能に対する効果を示す。
【図9B】ベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの比較図であって、10mg/mLのベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの血餅構造に対する効果を示す。
【図10A】ベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの比較図であって、50mg/mLのベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの血小板機能に対する効果を示す。
【図10B】ベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの比較図であって、50mg/mLのベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトの血餅構造に対する効果を示す。
【図11A】10mg/mLのベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトのトロンボエラストグラフ(TEG(登録商標))データを示す図である。
【図11B】50mg/mLのベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトのトロンボエラストグラフ(TEG(登録商標))データを示す図である。
【図11C】75mg/mLのベントナイト、ゼラチン、およびゼオライトのトロンボエラストグラフ(TEG(登録商標))データを示す図である。
【図11D】10mg/mL、50mg/mL、および75mg/mLのゼオライトのトロンボエラストグラフ(TEG(登録商標))データを示す図である。
【図11E】10mg/mL、50mg/mL、および75mg/mLのベントナイトのトロンボエラストグラフ(TEG(登録商標))データを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大量出血の創傷において止血を促進する方法であって、
i)止血および
ii)1つまたは複数の粘土鉱物および前記大量出血の創傷からの血液を含む石化物の形成
のうち、1つまたは両方を促進するのに十分な量で、前記1つまたは複数の粘土鉱物を含む組成物を前記大量出血の創傷に施与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の粘土鉱物は、カオリン−蛇紋石タイプの粘土、イライトタイプの粘土、およびスメクタイトタイプの粘土から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の粘土鉱物は、ベントナイトであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の粘土鉱物は、顆粒、粉末、液体、ペースト、ゲル、ミクロンビーズ、包帯中の含浸、および包帯への電界紡糸から成る群から選択された形態であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物は、さらに、キトサン、フィブリン(オゲン)、トロンビン、高吸収性ポリマー、カルシウム、ポリエチレングリコール、デキシトラン、血管作用性カテコールアミン、血管作用性ペプチド、静電気作用剤、抗菌剤、麻酔剤、および蛍光剤から成る群から選択された1つまたは複数の物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記大量出血の創傷は、外傷であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記大量出血の創傷は、内傷であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の粘土鉱物を含むことを特徴とする電界紡糸繊維。
【請求項9】
前記1つまたは複数の粘土鉱物は、カオリン−蛇紋石タイプの粘土、イライトタイプの粘土、およびスメクタイトタイプの粘土から成る群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の電界紡糸繊維。
【請求項10】
前記1つまたは複数の粘土鉱物は、ベントナイトであることを特徴とする請求項8に記載の電界紡糸繊維。
【請求項11】
さらに、ゼラチン、高吸収性ポリマー、キトサン、フィブリン(オゲン)、トロンビン、カルシウム、血管作用性カテコールアミン、血管作用性ペプチド、抗菌剤、麻酔剤、および蛍光剤から成る群から選択された1つまたは複数の物質を含むことを特徴とする請求項8に記載の電界紡糸繊維。
【請求項12】
前記電界紡糸繊維は、架橋されることを特徴とする請求項8に記載の電界紡糸繊維。
【請求項13】
電界紡糸繊維を製造する方法であって、
1つまたは複数の粘土鉱物および溶媒を含む組成物を形成するステップと、
前記組成物を電界紡糸して前記電界紡糸繊維を形成するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記溶媒は、2、2、2−トリフルオロエタノールであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物はさらに、ゼラチン、高吸収性ポリマー、キトサン、フィブリン(オゲン)、トロンビン、カルシウム、血管作用性カテコールアミン、血管作用性ペプチド、抗菌剤、麻酔剤、および蛍光剤から成る群から選択された1つまたは複数の物質を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記電界紡糸繊維を架橋するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
電解紡糸繊維から成る包帯であって、前記電界紡糸繊維は、1つまたは複数の粘土鉱物を含むことを特徴とする包帯。
【請求項18】
電気スプレーされたミクロンビーズであって、前記電界紡糸されたミクロンビーズは、1つまたは複数の粘土鉱物を含むことを特徴とするミクロンビーズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【公表番号】特表2008−531498(P2008−531498A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556251(P2007−556251)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/005251
【国際公開番号】WO2006/088912
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(505040084)バージニア コモンウェルス ユニバーシティ (2)
【Fターム(参考)】