説明

緊急通報システム、緊急通報方法、及びプログラム

【課題】緊急通報システムにおいて、緊急状態をより早く正確に通報先に伝えることや、早く適正な対応を可能とする。
【解決手段】緊急通報システムにおいて、ハンズフリー機能と人感センサを併せ持ったハンズフリーボックスを設けている。また、感知情報を蓄積するためのセンサログ、センサ情報部を設けている。更に、センサログを解析するためのログ解析部を設け、どのハンズフリーボックスの人感センサで反応があったかを解析できるようになっている。すなわち、緊急通報システムにおいて、ハンズフリー機能及び人感センサを設けたハンズフリーボックスを複数設置することにより、ペンダント型通報器による通報の際に、各ハンズフリーボックスの人感センサの感知情報に基づき、適切なハンズフリーボックスを通話状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急通報システムに関し、特にハンズフリー機能や人感センサを有する緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
<特開2003−248886号公報>
特許文献1(特開2003−248886号公報)には、ハンズフリー機能や人感センサ(sensor:感知装置、検出器)の検知結果を蓄積するメモリ等から構成される本体(本体装置)、人感検知部とその検知結果を蓄積するメモリ部等から構成される人感センサ、及び緊急時にボタン押下等で緊急を通報されるペンダント(ペンダント型通報器)からなる緊急通報装置が開示されている。
【0003】
この関連技術では、以下のような処理を行う。
【0004】
(1)それぞれの人感センサでの検知情報は無線で本体に送られ、本体メモリ部に蓄積される。この際、どのセンサがどこに設置されたものであるか(例えば、居間、風呂、トイレ等)という情報も併せて蓄積される。
【0005】
(2)ユーザ(利用者)は、緊急時、ペンダントの操作部を押下して緊急通報する。
【0006】
(3)本体は、上記の緊急通報を無線で受け、公衆回線を介してセンター(center:施設)に緊急通報する。
【0007】
(4)本体のハンズフリーとセンター側が通話可能になる。
【0008】
(5)センターにて本体側からの声が聞こえない場合、本体は、センター側からの要求により、PB信号でメモリ内に蓄積されている人感センサ情報をセンターに送る。したがって、センター側ではユーザがどこにいるか(例えば、トイレ等)がわかる。
【0009】
(6)緊急出動した場合に、ユーザがどこにいるか大体わかる。
【0010】
しかし、従来の緊急通報システムでは、ペンダントのボタンを押下して緊急通報した場合、本体のハンズフリーが通話可能状態になっても、ペンダント押下したユーザとの距離が離れている場合には声が届かず状態を伝えることができなかった。
【0011】
緊急時には、緊急が発生したことの通報だけでなく、その緊急状態をより早く正確に伝えることにより一刻も早く適正な対応をする必要があり、そのために音声通話が必要であったが、上記のように緊急時に通話できない場合があった。
【0012】
また、緊急通報システムにおいては、ペンダントの誤押し等による誤報も多く、誤押ししたこと自体に気付かないこともあり、通話ができないような場合には、通報先における不要な出動が増えてしまう等の問題もあった。
【0013】
<特開2004−258781号公報>
関連する技術として、特許文献2(特開2004−258781号公報)には、人感センサ(sensor)装置からの検出情報や緊急通報情報を受信する親機側での機能の省略を図った通報システムが開示されている。
【0014】
この関連技術では、親機本体に装着された携帯電話機に対して親機は、一定時間毎に時刻情報を送るように要求する。この要求に応じて親機に対して携帯電話機は現在の時刻情報を送る。一方各人感センサ装置は検出情報を一定時間毎に送信し、親機では受信する検出情報を一定期間蓄積するとともに携帯電話機から時刻情報が送られてくる度に設定時刻とを比較し、時刻情報と設定時刻とが一致すると、電子メールの発呼送信を携帯電話機に要求するとともに、蓄積している検出情報を携帯電話機に送出する。携帯電話機は要求に応えて予め登録されている見守り側のメールアドレスに検出情報を電子メールとして発呼送信する。
【0015】
<特開2001−217945号公報>
また、特許文献3(特開2001−217945号公報)には、子機端末から呼び出しを受けた応答者が、親機端末から離れた位置から確実に応答することができるハンズフリータイプのインターホン装置が開示されている。
【0016】
この関連技術では、ハンズフリータイプのインターホン装置が、マイクロフォン及びスピーカからなる通話手段と、一定の範囲内に人物が存在することを検知する人体感知センサと、子機端末から呼び出しを受け人体感知センサが人物の存在を検知したことを認識して通話部及び子機端末の通話部間を通話状態に設定する制御部とを備える。
【0017】
<特開2009−239865号公報>
また、特許文献4(特開2009−239865号公報)には、無線子機と緊急通報装置と緊急通報センターとを含む緊急通報システムに関し、無線子機にハンズフリー通話機能を設ける緊急通報システムが開示されている。
【0018】
この関連技術では、緊急通報システムが、緊急ボタンを有する無線子機との間の無線送受信手段と、緊急ボタンとハンズフリー通話機能と有線送受信機能とを含む緊急通報装置と、緊急通報センターとを含み、無線子機は、テキストデータを音声信号に変換するテキスト・音声変換部と、変換された音声信号により音声出力を行うスピーカと、音声入力を行うマイクと、音声信号をテキストデータに変換して、緊急通報装置に送信する音声信号・テキスト変換部とを備え、緊急通報装置は、緊急通報センターからの音声信号をテキストデータに変換する音声信号・テキストデータ変換部と、テキストデータを音声信号に変換して、通報センターへ送信するテキスト・音声変換部とを備えている。
【0019】
<特開2003−058963号公報>
また、特許文献5(特開2003−058963号公報)には、生活者の緊急事態に適正に対応できながら、センサの管理の手間の軽減等を図れる緊急通報システムを得る緊急通報システムが開示されている。
【0020】
この関連技術では、生活者宅に設置された緊急通報装置と、消防署や警察署等の緊急関係機関Aとが電話回線等を介して接続されて、緊急通報装置から緊急関係機関Aへの通報を行う。緊急通報装置は、生活者宅に配置されて人物を検出する又は複数の人感センサが接続される。そして、緊急通報装置は、人感センサによって生活者を検出する場合には、当該生活者が動けない等で長期間以上検出されないときに、緊急関係機関Aへの通報を行う一方で、人感センサによって侵入者を検出する場合には、当該侵入者が検出されたときに、緊急関係機関Aへの通報を行うようになっている。
【0021】
<特開2008−085665号公報>
また、特許文献6(特開2008−085665号公報)には、居室親機に備えたハンズフリー通話のためのセンサを防犯センサとして兼用できるインターホン装置が開示されている。
【0022】
この関連技術では、居室親機に、感度を室内又は室外の人物の移動を検知可能な高感度状態と、ハンズフリー応答操作のための近接動作を検知する低感度状態とに変更可能な人感センサを設け、親機CPUは人感センサが高感度状態に設定された状態において、玄関子機から呼び出し操作がなされたら人感センサの感度を低感度に変更制御し、更に玄関子機との通話が終了して一定時間が経過したら高感度状態に復帰する制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2003−248886号公報
【特許文献2】特開2004−258781号公報
【特許文献3】特開2001−217945号公報
【特許文献4】特開2009−239865号公報
【特許文献5】特開2003−058963号公報
【特許文献6】特開2008−085665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、従来システムではなかったハンズフリー機能と人感センサを併せ持ったハンズフリーボックスを設け、感知情報を蓄積するためのセンサログ及びセンサ情報部を設け、センサログを解析するためのログ解析部を設け、どのハンズフリーボックスの人感センサで反応があったかを解析できる緊急通報システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係る緊急通報システムは、複数のハンズフリーボックスと、該複数のハンズフリーボックスの各々と通信可能な本体装置と、該本体装置に対して通報を行うペンダント型通報器とを含む。該各ハンズフリーボックス及び該本体装置は、それぞれ、通話に使用するためのハンズフリーと、該ペンダント型通報器を所持するユーザの存在を検知するためのセンサとを具備する。該本体装置は、該ペンダント型通報器からの通報を受けるための手段と、該ペンダント型通報器からの通報を受けた際に、該各ハンズフリーボックス及び該装置のセンサの感知情報に基づき、センサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にする手段とを更に具備する。
【0026】
本発明に係る緊急通報方法は、複数のハンズフリーボックスの各々と通信可能な本体装置により実施される緊急通報方法であって、該各ハンズフリーボックス及び該本体装置は、それぞれ、通話に使用するためのハンズフリーと、該ペンダント型通報器を所持するユーザの存在を検知するためのセンサとを有することと、該本体装置において、該ペンダント型通報器からの通報を受けることと、該ペンダント型通報器からの通報を受けた際に、該各ハンズフリーボックス及び該装置のセンサの感知情報に基づき、センサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にすることとを更に含む。
【0027】
本発明に係るプログラムは、上記の緊急通報方法における処理を、計算機に実行させるためのプログラムである。なお、本発明に係るプログラムは、記憶装置や記憶媒体に格納することが可能である。
【発明の効果】
【0028】
ユーザがシステム内のどこでペンダント押下して緊急通報しても、その場所から一番近いハンズフリーが有効(通話可能状態)になるため、ユーザはその場から動かなくても(または最小の移動にて)ハンズフリー通話することができ、状況を伝えられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る緊急通報システムの構成例を示す図である。
【図2】従来の緊急通報システムの構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る緊急通報方法を説明するための図である。
【図4】センサログの例を説明するための図である。
【図5】本発明に係る緊急通報システムの実施例を示す図である。
【図6】上記実施例におけるセンサログの例を説明するための図である。
【図7】本発明に係るセンサ感知情報の入手手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0031】
[緊急通報システム]
図1に示すように、本発明に係る緊急通報システムは、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n:nは台数)と、本体(本体装置)20と、ペンダント(ペンダント型通報器)30とを含む。
【0032】
[ハンズフリーボックス]
ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)の各々は、人感センサ部11と、センサログ12と、ボタン部13と、ハンズフリー14と、子機無線部15と、制御部16を備える。
【0033】
人感センサ部11は、人のいる/いない(在/不在)を感知するセンサである。センサログ12は、人感センサ部11で感知した情報を保存しておくためのログである。ボタン部13は、緊急通報のためのボタンである。ハンズフリー14は、マイク141と、スピーカ142を備える。マイク141及びスピーカ142は、通話するための入出力装置である。子機無線部15は、通話のための音声情報及びセンサログ12の情報を本体20とやりとりするための通信用のインターフェースである。制御部16は、これらの動作を制御する。
【0034】
[本体]
本体20は、人感センサ部21と、センサ情報部22と、ボタン部23と、ハンズフリー24と、親機無線部25と、ログ解析部26と、ペンダント親機無線部27と、回線IF28と、制御部29を備える。
【0035】
人感センサ部21は、人のいる/いないを感知するセンサである。センサ情報部22は、人感センサ部21で感知した情報及び各ハンズフリーボックスで感知した情報を保存管理する。ボタン部23は、緊急通報のための入力装置である。ハンズフリー24は、マイク241と、スピーカ242を備える。マイク241及びスピーカ242は、通話するための入出力装置である。親機無線部25は、通話のための音声情報及びセンサの情報を各ハンズフリーボックスとやりとりするための通信用のインターフェースである。ログ解析部26は、センサ情報部22の情報を解析するためのログである。ペンダント親機無線部27は、ペンダント30との間でボタン押下情報(操作情報)を無線でやりとりするための通信用のインターフェースである。回線IF28は、公衆回線との通信用のインターフェースである。制御部29は、これらの動作を制御する。
【0036】
構成が示すとおり、本体20は、ハンズフリーボックスとしての機能を有している。すなわち、本体20自体も、ハンズフリーボックスの1つとして使用可能である。
【0037】
[ペンダント]
ペンダント30は、ボタン部31と、ペンダント子機無線部32を備える。
【0038】
ボタン部31は、緊急時通報のための入力装置である。なお、実際には、ボタン部31は、ユーザが操作するためのボタンに限らず、ペンダント30自体が備える何らかのセンサ等、或いは、上記のボタンとセンサを組み合わせたものでも良い。例えば、ユーザが操作するためのボタンと、ユーザの体温や脈拍(又は心拍数)等を検出/測定するためのセンサを組み合わせることが考えられる。すなわち、ボタン部31は、ユーザの操作、及び、ユーザの状況における何らかの変化(異変)が検出可能な装置であれば良い。これにより、ユーザがボタンを押下できない状況であっても対応可能になる。
【0039】
ペンダント子機無線部32は、ボタン部31のボタン押下情報を本体20との間で、無線でやりとりするための通信用のインターフェースである。
【0040】
[補足]
ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)の子機無線部15と本体20の親機無線部25との間の無線方式は、音声通信、データ通信のいずれもが可能であれば方式は問わない。
【0041】
ペンダント30のペンダント子機無線部32と本体20のペンダント親機無線部27との間の無線方式は、データ通信が可能であれば方式は問わない。
【0042】
ここでは、各装置は無線通信回線を経由して通信することを前提として説明するが、実際には、近距離の装置間を結ぶ有線通信回線を経由して通信するようにしても良い。例えば、家庭内の複数の装置が有線通信回線で接続されていることは珍しくない。
【0043】
人感センサ部11、及び人感センサ部21は、ペンダント30を検知するようにしても良い。また、ペンダント30を検知した際にペンダント30の識別情報を取得できるようにすれば、ペンダント30の識別情報を基にユーザを特定することも可能になる。
【0044】
また、人感センサ部11、及び人感センサ部21が検知する人物は、必ずしもペンダント30を所持したユーザでなくても良い。例えば、ペンダント30を所持したユーザと同じ建物内にいる人物でも良い。
【0045】
なお、人感センサ部11、及び人感センサ部21は、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)や本体20の近傍に設置されていれば良く、必ずしもハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)や本体20と一体化していなくても良い。例えば、人感センサ部11、及び人感センサ部21は、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)や本体20が配置された部屋の中や、その部屋の出入口(入退場ゲート等)に設置されていても良い。
【0046】
更に、ハンズフリー14、及びハンズフリー24は、PoC(Push to talk over Cellular)通信に対応していても良い。
【0047】
[ハードウェアの例示]
人感センサ部11、及び人感センサ部21の例として、力、温度、音声等の物理特性を検知するセンサや、変位、位置、距離、速度、加速度等の時空間特性を検知するセンサ等が考えられる。例えば、赤外線センサ、振動センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等が考えられる。その他、人が発するにおい、呼気等のガス濃度、人体を流れる微弱な電流等を検知するセンサを利用することも可能である。また、人感センサ部11、及び人感センサ部21は、ユーザが所持するICカード等を検知する近距離無線通信装置でも良い。人感センサ部11、及び人感センサ部21は、接触型/非接触型を問わない。
【0048】
子機無線部15、ペンダント親機無線部27、及び回線IF28、ペンダント子機無線部32の例として、モデム(MODEM)、アンテナ等の通信装置、接続口(コネクタ)等の通信ポート、ネットワーク通信に対応した基板(マザーボード、I/Oボード)やチップ等の半導体集積回路、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタや同様の拡張カード等が考えられる。
【0049】
公衆回線の例として、無線電話網、固定電話回線網、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線LAN(Wireless LAN)、WAN(Wide Area Network)、バックボーン(Backbone)、ケーブルテレビ(CATV)回線、WiMAX(IEEE 802.16a)、3G(3rd Generation)、専用線(lease line)等が考えられる。また、各装置間の無線ネットワークの例として、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、その他の無線通信回線等が考えられる。
【0050】
制御部16、制御部29、及びログ解析部26の例として、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコントローラ、或いは、専用の機能を有する半導体集積回路(Integrated Circuit(IC))等が考えられる。
【0051】
センサログ12、及びセンサ情報部22の例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の半導体記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置、又は、DVD(Digital Versatile Disk)等のリムーバブルディスクや、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等の記憶媒体(メディア)等が考えられる。また、レジスタ(register)でも良い。
【0052】
マイク141、及びマイク241の例として、一般的なマイクロフォン(Microphone)を想定している。他にも、コンタクトマイク、骨伝導マイク、接話型マイク、防水マイク(防雨マイク)、ワイヤレスマイク(ラジオマイク)等を利用しても良い。
【0053】
スピーカ142、及びスピーカ242の例として、一般的なスピーカ(Speaker)やイヤフォン(Earphone)を想定している。他にも、チャイム、ブザー、ベル等を利用しても良い。
【0054】
なお、マイク141とスピーカ142、又はマイク241とスピーカ242は、一体化していても良い。例えば、ヘッドセット(Headset)等が考えられる。
【0055】
ボタン部13、及びボタン部31の例として、物理的なボタンや、画面上に表示されたボタン等を想定している。例えば、キーパッド、タッチパネル(touch panel)、タブレット(tablet)等が考えられる。また、押下によらず、音声入力装置等を利用しても良い。
【0056】
但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0057】
[従来の緊急通報システム]
従来の緊急通報システムの構成について説明する。
【0058】
図2に示すように、従来の緊急通報システムは、本体20、ペンダント30を含んでいた。
【0059】
[従来の本体]
従来の本体20は、ボタン部23と、ハンズフリー24と、ペンダント親機無線部27と、回線IF28と、制御部29を備えていた。
【0060】
ボタン部23は、緊急通報のための入力装置である。ハンズフリー24は、マイク241と、スピーカ242を備える。マイク241及びスピーカ242は、通話するための入出力装置である。ペンダント30との間でボタン押下情報を無線でやりとりするための通信用のインターフェースである。回線IF28は、公衆回線との通信用のインターフェースである。制御部29は、これらの動作を制御する。
【0061】
[従来のペンダント]
従来のペンダント30は、ボタン部31と、ペンダント子機無線部32を備える。
【0062】
ボタン部31は、緊急時通報のための入力装置である。
【0063】
ペンダント子機無線部32は、ボタン部31のボタン押下情報を本体20との間で、無線でやりとりするための通信用のインターフェースである。
【0064】
[従来の課題]
従来の緊急通報システムにおいては、緊急時にペンダント30のボタン部31が押下された場合、本体20の回線IF28を介して通報されるとともに、本体20のハンズフリー24が通話状態になる。
【0065】
しかし、この場合、本体20とペンダント30との距離が離れていては、ペンダント30を持つユーザが、本体20のハンズフリー24を用いて通話することができないため、緊急の状態を通報することはできなかった。
【0066】
[緊急通報方法]
図3を参照して、本発明の緊急通報システムにおける各装置の動作について説明する。
【0067】
(1)ステップS101
ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)の各々は、人感センサ部11で、定期的に近傍にいる人間等を感知し、或いは、人間等が接近/接触した時点で感知し、センサ感知情報をセンサログ12として蓄積する。また、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)の各々は、定期的に、センサログ12として蓄積されたセンサ感知情報を、子機無線部15を介して、本体20に通知する。本体20は、親機無線部25を介して、当該センサ感知情報を受信し、センサ情報部22に蓄積する。
【0068】
(2)ステップS102
ユーザは、緊急事態が発生した場合、ペンダント30のボタン部31を押下する。ペンダント30は、ペンダント30のボタン部31が押下された際、ボタン押下情報を発生する。
【0069】
(3)ステップS103
ペンダント30は、ボタン押下情報を、ペンダント子機無線部32を介して、本体20に通知する。本体20は、ペンダント親機無線部27を介して、当該ボタン押下情報を受信する。
【0070】
(4)ステップS104
本体20は、ボタン押下情報を受信した際、回線IF28を介して、公衆回線上の緊急通報先(センター、親族等)に緊急通報する。
【0071】
(5)ステップS105
また、本体20のログ解析部26は、センサ情報部22に蓄積された情報(各ハンズフリーボックス及び本体でのセンサ感知情報)を解析することにより、直近の時間帯、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)又は本体20のうち、どのハンズフリーボックスで人感センサ部の感知があったか解析する。この場合、本体20自体も、ハンズフリーボックスの1つとみなす。
【0072】
(6)ステップS106
本体20は、ログ解析部26での解析結果を基に、直近に人感センサ部に反応があったハンズフリーボックスを特定し、本体20の親機無線部25と、当該ハンズフリーボックスの子機無線部15とを接続して、本体20自体と当該ハンズフリーボックスのハンズフリー14とを通話可能状態にする。直近に人感センサ部に反応があったのが本体20である場合、本体20のハンズフリー24を通話可能状態にする。
【0073】
(7)ステップS107
本体20は、公衆回線上の緊急通報先が通話開始操作等を行い、本体20自体と公衆回線上の緊急通報先が通話可能状態になったところで、当該ハンズフリーボックスのハンズフリー14と、公衆回線上の緊急通報先との間の通話を開始する。直近に人感センサ部に反応があったのが本体20である場合、本体20のハンズフリー24と、公衆回線上の緊急通報先との間の通話を開始する。
【0074】
なお、通話可能状態になった際、本体20又は公衆回線上の緊急通報先から、直近に人感センサ部に反応があったハンズフリーボックスのハンズフリー14に対して、通話が可能になった旨の通知(音声、警告音、LED点灯等)や、ユーザに対する何らかの呼びかけを行うようにすると好適である。
【0075】
このような動作により、ユーザがペンダント押下して緊急通報した場合に、その場から一番近いハンズフリーボックスで通話することが可能となる。
【0076】
[補足]
緊急通報先は、本体20自体でも良い。
【0077】
また、ユーザは、緊急通報先を任意に選択し、本体20に予め設定しておくことができるものとしても良い。また、ペンダント30がボタン部31として複数のボタンを有している場合、押下したボタンに応じた緊急通報先に緊急通報するようにしても良い。また、複数の緊急通報先に対して、同時に緊急通報するようにしても良い。
【0078】
直近に人感センサ部に反応があったハンズフリーボックスが複数存在する場合は、これらのハンズフリーボックスの優先順位、ハンズフリーボックスの識別情報の値の順、センサ感知情報を受信した順等に基づいて、最も順位の高いハンズフリーボックスのハンズフリーを通話可能状態にするようにしても良い。或いは、直近に人感センサ部に反応があった全てのハンズフリーボックスのハンズフリーを通話可能状態にするようにしても良い。
【0079】
[センサログの例]
図4に示すように、本発明の緊急通報システムでは、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)の各々の人感センサ部11でのセンサ感知情報をセンサログ12に記録し、記録されたセンサ感知情報を定期的に本体に送信し、本体20のセンサ情報部22にて全てのセンサ感知情報を管理する。
【0080】
各センサログに記録されるセンサ感知情報は、一定単位時間毎の検知有無、または検知回数等である。
【0081】
ここでは、ハンズフリーボックス10−1の人感センサ部11を「センサ1」とし、人感センサ部11でのセンサ感知情報をセンサログ12に記録する。ハンズフリーボックス10−2の人感センサ部11を「センサ2」とし、人感センサ部11でのセンサ感知情報をセンサログ12に記録する。ハンズフリーボックス10−3の人感センサ部11を「センサ3」とし、人感センサ部11でのセンサ感知情報をセンサログ12に記録する。
【0082】
ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜3)は、それぞれ、定期的に、センサログ12として蓄積されたセンサ感知情報を、子機無線部15を介して、本体20に通知する。本体20は、親機無線部25を介して、当該センサ感知情報を受信し、センサ情報部22に蓄積する。
【0083】
また、本体20の人感センサ部21を「センサ0」とし、人感センサ部21でのセンサ感知情報を、直接、センサ情報部22に蓄積する。
【0084】
したがって、本体20は、センサ情報部22に、「センサ0」、「センサ1」、「センサ2」、「センサ3」に関するセンサ感知情報を蓄積する。
【0085】
ここでは、「センサ0」に関するセンサ感知情報は、単位時間「t1」に人感センサ部に反応があった旨を示す。「センサ1」に関するセンサ感知情報は、単位時間「t1」、「t3」に人感センサ部に反応があった旨を示す。「センサ2」に関するセンサ感知情報は、いずれの単位時間にも人感センサ部に反応がなかった旨を示す。「センサ3」に関するセンサ感知情報は、単位時間「t2」に人感センサ部に反応があった旨を示す。
【0086】
[実施例]
図5を参照して、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0087】
本実施例では、居間に本体20が設置され、寝室にハンズフリーボックス10−1が設置され、風呂場にハンズフリーボックス10−2が設置され、台所にハンズフリーボックス10−3が設置されているものとする。また、ユーザは、ペンダント30を持っている。
【0088】
ここでは、各装置は、「5分毎」(5分おき)のセンサ感知を行うものとする。但し、「5分毎」は例示に過ぎない。実際には、記録時間及び記録方法を変更することもできる。
【0089】
(1)ステップS201
ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜3)は、それぞれ、人感センサ部11で、定期的に近傍にいる人間等を感知し、或いは、人間等が接近/接触した時点で感知し、センサ感知情報をセンサログ12として蓄積する。また、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜3)は、それぞれ、定期的に、センサログ12として蓄積されたセンサ感知情報を、子機無線部15を介して、本体20に通知する。本体20は、親機無線部25を介して、当該センサ感知情報を受信し、センサ情報部22に蓄積する。
【0090】
(2)ステップS202
ある日の19時17分に、ユーザは風呂場で具体が悪くなったとする。この場合、ユーザは、ペンダント30のボタン部31を押下する。ペンダント30は、ペンダント30のボタン部31が押下された際、ボタン押下情報を発生する。
【0091】
(3)ステップS203
ペンダント30は、ボタン押下情報を、ペンダント子機無線部32を介して、本体20に通知する。本体20は、ペンダント親機無線部27を介して、当該ボタン押下情報を受信する。
【0092】
(4)ステップS204
本体20は、ボタン押下情報を受信した際、回線IF28を介して、公衆回線上の緊急通報先(センター、親族等)に緊急通報する。
【0093】
(5)ステップS205
また、本体20のログ解析部26は、センサ情報部22に蓄積された情報(各ハンズフリーボックス及び本体でのセンサ感知情報)を解析することにより、直近の時間帯、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜3)又は本体20のうち、どのハンズフリーボックスで人感センサ部の感知があったか解析する。この場合、本体20自体も、ハンズフリーボックスの1つとみなす。ここでは、直近の時間帯、風呂場に設置してあるハンズフリーボックス10−2で人感センサが反応したとする。
【0094】
(6)ステップS206
本体20は、本体20の親機無線部25と、当該ハンズフリーボックス10−2の子機無線部15とを接続して、本体20自体と当該ハンズフリーボックス10−2のハンズフリー14とを通話可能状態にする。
【0095】
(7)ステップS207
本体20は、本体20自体と公衆回線上の緊急通報先が通話可能状態になったところで、当該ハンズフリーボックス10−2のハンズフリー14と、公衆回線上の緊急通報先との間の通話を開始する。
【0096】
このような動作により、ペンダントのボタンを押下したユーザに最も近いハンズフリーボックスが通話可能な状態になるため、ユーザの緊急状態等を確実に通報することができる。
【0097】
[本実施例におけるセンサログ]
図6に示すように、本実施例において、各ハンズフリーボックスは、センサ感知情報として、5分毎の感知有無を記録するとともに、その感知情報を、子機無線部15を介して本体20に通知している。本体20では、各ハンズフリーボックスでのセンサ感知情報及び、本体20の人感センサ部21での5分毎のセンサ感知有無情報をセンサ情報部22に蓄積している。
【0098】
ここでは、ハンズフリーボックス10−1の人感センサ部11を「センサ1」とし、人感センサ部11でのセンサ感知情報をセンサログ12に記録する。ハンズフリーボックス10−2の人感センサ部11を「センサ2」とし、人感センサ部11でのセンサ感知情報をセンサログ12に記録する。ハンズフリーボックス10−3の人感センサ部11を「センサ3」とし、人感センサ部11でのセンサ感知情報をセンサログ12に記録する。
【0099】
ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜3)は、それぞれ、定期的に、センサログ12として蓄積されたセンサ感知情報を、子機無線部15を介して、本体20に通知する。本体20は、親機無線部25を介して、当該センサ感知情報を受信し、センサ情報部22に蓄積する。
【0100】
また、本体20の人感センサ部21を「センサ0」とし、人感センサ部21でのセンサ感知情報を、直接、センサ情報部22に蓄積する。
【0101】
したがって、本体20は、センサ情報部22に、「センサ0」、「センサ1」、「センサ2」、「センサ3」に関するセンサ感知情報を蓄積する。
【0102】
ここでは、「センサ0」に関するセンサ感知情報は、19時10分に人感センサ部に反応があった旨を示す。「センサ1」に関するセンサ感知情報は、いずれの単位時間にも人感センサ部に反応がなかった旨を示す。「センサ2」に関するセンサ感知情報は、19時15分に人感センサ部に反応があった旨を示す。「センサ3」に関するセンサ感知情報は、19時05分に人感センサ部に反応があった旨を示す。
【0103】
図6に示す本体20のセンサ情報部22において、19時17分の直近の19時15分の情報を参照すると、風呂場に設置したハンズフリーボックス10−2で人感センサ部11(「センサ2」)が反応したことがわかる。
【0104】
<第2実施形態>
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0105】
本実施形態では、センサ感知情報の入手手順が、図3に示された第1実施形態の緊急通報方法から変更されている。
【0106】
[センサ感知情報の入手手順]
図7を参照して、本実施形態におけるセンサ感知情報の入手手順について説明する。
【0107】
なお、図7に示すように、本実施形態における緊急通報システムの構成は、基本的に、図3に示された第1実施形態の緊急通報方法と同じである。
【0108】
(1)ステップS301
ユーザは、ペンダント30のボタン部31を押下する。ペンダント30は、ペンダント30のボタン部31が押下された際、ボタン押下情報を発生する。
【0109】
(2)ステップS302
ペンダント30は、ボタン押下情報を、ペンダント子機無線部32を介して、本体20に通知する。本体20は、ペンダント親機無線部27を介して、当該ボタン押下情報を受信する。
【0110】
(3)ステップS303
本体20は、ボタン押下情報を受信した際、回線IF28を介して、公衆回線上の緊急通報先(センター、親族等)に緊急通報する。
【0111】
(4)ステップS304
また、本体20は、ボタン押下情報を受信した時点で、その時点での各ハンズフリーボックスの最新のセンサ感知情報を得るために、親機無線部25を介して、各ハンズフリーボックスにセンサ感知情報を要求する。ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜3)の各々は、子機無線部15を介して、センサ感知情報の要求を受信する。
【0112】
(5)ステップS305
ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜3)の各々は、センサ感知情報の要求に対し、センサログ12から最新のセンサ感知情報を読み出し、子機無線部15を介して、最新のセンサ感知情報を本体20に送信する。本体20は、親機無線部25を介して、この最新のセンサ感知情報を受信し、センサ情報部22に蓄積する。
【0113】
(6)ステップS306
本体20のログ解析部26は、この最新のセンサ感知情報を解析することにより、直近の時間帯、ハンズフリーボックス10(10−i、i=1〜n)又は本体20のうち、どのハンズフリーボックスで人感センサ部の感知があったか解析する。この場合、本体20自体も、ハンズフリーボックスの1つとみなす。
【0114】
(7)ステップS307
本体20は、ログ解析部26での解析結果を基に、直近に人感センサ部に反応があったハンズフリーボックスを特定し、本体20の親機無線部25と、当該ハンズフリーボックスの子機無線部15とを接続して、本体20自体と当該ハンズフリーボックスのハンズフリー14とを通話可能状態にする。直近に人感センサ部に反応があったのが本体20である場合、本体20のハンズフリー24を通話可能状態にする。
【0115】
(8)ステップS308
本体20は、本体20自体と公衆回線上の緊急通報先が通話可能状態になったところで、当該ハンズフリーボックスのハンズフリー14と、公衆回線上の緊急通報先との間の通話を開始する。直近に人感センサ部に反応があったのが本体20である場合、本体20のハンズフリー24と、公衆回線上の緊急通報先との間の通話を開始する。
【0116】
この方法により、図3で示した手順より、更に正確にユーザが近くにいる可能性が高いハンズフリーボックスに接続できる。
【0117】
本実施形態は、各ハンズフリーボックスでのセンサログの記録時間と定期的に本体にセンサ感知情報を送る時間とが違う場合に有効である。
【0118】
<第3実施形態>
以下に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0119】
上記の各実施形態では、ハンズフリーボックス、本体、及びペンダントを例に説明しているが、実際には、同様の機能を有する装置を代替物として用いて実現することもできる。
【0120】
なお、本発明に係る緊急通報方法を実施する場合、ペンダントを持つユーザの近傍に、少なくとも1つハンズフリーボックスが存在している必要がある。
【0121】
また、ハンズフリーボックス及びペンダントは、車両や船舶、航空機等の移動体に搭載されていても良い。例えば、本体が家の中にあり、ユーザが自家用車や公共交通機関の中にいる場合等も考えられる。この場合、各装置間の無線通信回線は、遠距離無線通信であることが好適である。
【0122】
[各装置の代替物]
本発明に係る各装置の代替物について説明する。
【0123】
本発明に係るハンズフリーボックス及びペンダントの代替物の例として、電話の子機、携帯電話機、モバイルノートPC(パソコン)、カーナビ(カーナビゲーションシステム)、携帯型ゲーム機、ハンディターミナル、ガジェット(電子機器)、その他の通信機能を備えた携帯端末等が考えられる。また、ハンズフリーボックスは、ドアホンやインターホン等でも良い。
【0124】
本発明に係る本体の代替物の例として、電話の親機、PC、アプライアンス(appliance)、ワークステーション、メインフレーム、スーパーコンピュータ等の計算機や、家庭用ゲーム機、双方向テレビ、デジタルチューナー、デジタルレコーダー、情報家電(information home appliance)、OA(Office Automation)機器等が考えられる。
【0125】
但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0126】
<各実施形態の関係>
なお、上記の各実施形態は、組み合わせて実施することも可能である。
【0127】
<本発明の特徴>
本発明では、従来システムではなかったハンズフリー機能と人感センサ部を併せ持ったハンズフリーボックスを設けている。また、感知情報を蓄積するためのセンサログ、センサ情報部を設けている。
【0128】
更に、センサログを解析するためのログ解析部を設け、どのハンズフリーボックスの人感センサで反応があったかを解析できるようになっている。
【0129】
本発明では、緊急通報システムにおいて、ハンズフリー機能及び人感センサを設けたハンズフリーボックスを複数設置することにより、ペンダント型通報器による通報の際に、各ハンズフリーボックスの人感センサの感知情報に基づき、適切なハンズフリーボックスを通話状態にする。
【0130】
ハンズフリー機能を有した複数のハンズフリーボックス及びペンダント型通報器を設置して構成する緊急通報システムにおいて、各ハンズフリーボックス及び本体に人感センサを設置する。
【0131】
ハンズフリー機能を有した複数のハンズフリーボックス及びペンダント型通報器を設置して構成する緊急通報システムにおいて、各ハンズフリーボックス及び本体の人感センサの感知情報をセンサログに蓄積する。
【0132】
ハンズフリー機能を有した複数のハンズフリーボックス及びペンダント型通報器を設置して構成する緊急通報システムにおいて、各ハンズフリーボックスでの人感センサの感知情報を本体に定期的に通知する。
【0133】
ハンズフリー機能を有した複数のハンズフリーボックス及びペンダント型通報器を設置して構成する緊急通報システムにおいて、通知された各ハンズフリーボックスでの人感センサの感知情報を本体のセンサ情報部に蓄積する。
【0134】
ハンズフリー機能を有した複数のハンズフリーボックス及びペンダント型通報器を設置して構成する緊急通報システムにおいて、緊急通報時に各ハンズフリーボックスから最新のセンサ感知情報を本体側に送信する。
【0135】
ハンズフリー機能を有した複数のハンズフリーボックス及びペンダント型通報器を設置して構成する緊急通報システムにおいて、緊急通報する際、センサ情報部に蓄積されたセンサ情報を解析することにより、直近の時間に反応(感知)があったハンズフリーボックスを特定する。
【0136】
ハンズフリー機能を有した複数のハンズフリーボックス及びペンダント型通報器を設置して構成する緊急通報システムにおいて、前期センサ情報の解析により特定されたハンズフリーボックスに接続し、通話状態にする。
【0137】
ユーザがシステム内のどこでペンダント押下して緊急通報しても、その場所から一番近いハンズフリーが有効(通話可能状態)になるため、ユーザはその場から動かなくても(または最小の移動にて)ハンズフリー通話することができ状況を伝えられる。
【0138】
よって、このように緊急時にハンズフリーでの通話状態を確保できるため、緊急状態をより早く正確に通報先に伝えることができ、早く適正な対応が可能となる。
【0139】
また、緊急通報システムにおいては、ペンダント誤押し等による誤報も多く、ペンダントを押したこと自体に気付かないまま、通報先にて出動してしまうこともあったが、本発明の緊急通報システムではペンダント押下場所から近いハンズフリーボックスに自動的に接続され、通話可能状態になるため、誤報かどうかを実際に通話することにより確認することができる。
【0140】
どこのハンズフリーを有効にするかは、人感センサの情報に基づき、自動的に行われるため、ユーザ、またはセンター側の手間は要らない。
【0141】
<各特許文献との相違点>
各特許文献と本発明の構成・効果の違いは以下のとおりである。
【0142】
[特許文献1との相違点]
特許文献1では、ハンズフリー機能と人感センサ部を併せ持ったハンズフリーボックスを設置している点において、構成が異なる。これは、本発明の効果でもある緊急時に通話(ハンズフリー)を確保し、緊急状態を伝えることができるということに対し、欠かせない構成である。
【0143】
特許文献1の目的が、センター側でユーザの居場所を知り、緊急出動時に役立てるというものであるのに対し、本発明では、緊急通報時により確実に通話ができる状態にし、より適正な対応ができるようにすることを目的(効果)としている。
【0144】
また、本発明においては、ログ解析部を本体に有しているという点で特許文献1と構成が異なる。
【0145】
また、特許文献1では、センサ情報をセンター側にPB信号で通知することにより、センター側のコールセンター等で、ユーザがどこにいるかを判断している。これに対し、本発明では、発明システム内のログ解析部によりユーザがどこにいるかを判断している。本構成も、緊急時により早く通話可能状態にするという目的(効果)に対してなくてはならない構成である。
【0146】
また、特許文献1では、ペンダント押下したユーザと本体が離れていてセンター側と通話できない場合には、仮に、それが誤押し等の誤報であっても、それがわからないため、センター側から不要な出動が発生してしまう。それに対し、本発明では、例えペンダントの誤押しによる誤報であっても自動的に近くのハンズフリーボックスに接続され通話状態になるため、不要な出動を防ぐことができる。
【0147】
[特許文献2との相違点]
特許文献2では、複数のセンサを設置して、その情報を、親機を介して登録してある携帯に送ること(見守り)をしている。本発明においても、センサ情報を本体で収集しているが、特許文献2では、見守りという目的のためのセンサ情報蓄積であるのに対し、本発明では、緊急時に適切なハンズフリーボックスに接続するために人感センサ情報を蓄積しており、構成、目的等は異なる。
【0148】
[特許文献3との相違点]
特許文献3においては、インターホン呼び出しがあった場合に、親機の人感センサの感知により親機と子機を通話(ハンズフリー)状態にしている。人感センサ感知によりハンズフリー通話にするという点においては本発明と似た点はあるが、特許文献3では人感センサを使ってのインターホンでの通話を目的にしているのに対し、本発明では緊急時にセンター側と自動的に通話状態にするということを目的に人感センサを用いており、構成、目的ともに異なる。
【0149】
[特許文献4との相違点]
特許文献4では、緊急通報装置において、無線子機にハンズフリー機能を有するという構成は、本発明のハンズフリーボックスと似ているが、人感センサは有しておらず、構成、目的ともに異なる。
【0150】
[特許文献5との相違点]
特許文献5は、緊急通報装置に複数の人感センサが接続され、人感センサの反応がないとき等に緊急通報先に接続されるというものである。緊急通報装置(本体)に複数の人感センサが接続されるという点において、本発明と構成が似た部分はあるが、人感センサの使用目的が明確に異なるものである。
【0151】
[特許文献6との相違点]
特許文献6では、本発明と同様に、各ハンズフリーボックスに「ハンズフリー機能」と「人感センサ」を付けている。
【0152】
しかし、本発明では、緊急通報システムに対して、「ハンズフリー機能」と「人感センサ」を付けているのであって、特許文献6のインターホンとは目的が明らかに異なる。
【0153】
また、本発明では、人感センサの反応状態によって、適切なハンズフリーボックスを自動的に通話状態にさせ、より確実に緊急時に使用者とセンター間での音声通話を確立させるという点に特徴がある。
【0154】
<備考>
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0155】
10(10−i、i=1〜n)… ハンズフリーボックス
11… 人感センサ部
12… センサログ
13… ボタン部
14… ハンズフリー
141… マイク
142… スピーカ
15… 子機無線部
16… 制御部
20… 本体(本体装置)
21… 人感センサ部
22… センサ情報部
23… ボタン部
24… ハンズフリー
241… マイク
242… スピーカ
25… 親機無線部
26… ログ解析部
27… ペンダント親機無線部
28… 回線IF
29… 制御部
30… ペンダント(ペンダント型通報器)
31… ボタン部
32… ペンダント子機無線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハンズフリーボックスと、
前記複数のハンズフリーボックスの各々と通信可能な本体装置と、
前記本体装置に対して通報を行うペンダント型通報器と
を含み、
前記各ハンズフリーボックス及び前記本体装置は、
通話に使用するためのハンズフリーと、
前記ペンダント型通報器を所持するユーザの存在を検知するためのセンサと
を具備し、
前記本体装置は、
前記ペンダント型通報器からの通報を受けるための手段と、
前記ペンダント型通報器からの通報を受けた際に、前記各ハンズフリーボックス及び前記装置のセンサの感知情報に基づき、センサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にする手段と
を更に具備する
緊急通報システム。
【請求項2】
請求項1に記載の緊急通報システムであって、
前記本体装置は、
公衆回線に接続するための手段と、
前記各ハンズフリーボックス及び前記装置のセンサの感知情報に基づき、センサに反応があった装置のハンズフリーと前記公衆回線上の緊急連絡先とを通話状態にする手段と
を更に具備する
緊急通報システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の緊急通報システムであって、
前記本体装置は、
前記各ハンズフリーボックス及び前記本体装置のセンサの感知情報を収集し蓄積する手段と、
前記蓄積された感知情報に基づき、直近の時間帯にセンサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にする手段と
を更に具備する
緊急通報システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の緊急通報システムであって、
前記本体装置は、
前記ペンダント型通報器からの通報を受けた際に、前記各ハンズフリーボックス及び前記本体装置のセンサの最新の感知情報を取得する手段と、
該最新の感知情報に基づき、直近の時間帯にセンサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にする手段と
を更に具備する
緊急通報システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の緊急通報システムで使用されるハンズフリーボックス。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の緊急通報システムで使用される本体装置。
【請求項7】
複数のハンズフリーボックスの各々と通信可能な本体装置により実施される緊急通報方法であって、
前記各ハンズフリーボックス及び前記本体装置は、それぞれ、通話に使用するためのハンズフリーと、前記ペンダント型通報器を所持するユーザの存在を検知するためのセンサとを有することと、
前記本体装置において、
前記ペンダント型通報器からの通報を受けることと、
前記ペンダント型通報器からの通報を受けた際に、前記各ハンズフリーボックス及び前記装置のセンサの感知情報に基づき、センサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にすることと
を更に含む
緊急通報方法。
【請求項8】
請求項7に記載の緊急通報方法であって、
前記本体装置において、
公衆回線に接続することと、
前記各ハンズフリーボックス及び前記装置のセンサの感知情報に基づき、センサに反応があった装置のハンズフリーと前記公衆回線上の緊急連絡先とを通話状態にすることと
を更に含む
緊急通報方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の緊急通報方法であって、
前記本体装置において、
前記各ハンズフリーボックス及び前記本体装置のセンサの感知情報を収集し蓄積することと、
前記蓄積された感知情報に基づき、直近の時間帯にセンサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にすることと
を更に含む
緊急通報方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか一項に記載の緊急通報方法であって、
前記本体装置において、
前記ペンダント型通報器からの通報を受けた際に、前記各ハンズフリーボックス及び前記本体装置のセンサの最新の感知情報を取得することと、
該最新の感知情報に基づき、直近の時間帯にセンサに反応があった装置のハンズフリーを通話状態にすることと
を更に含む
緊急通報方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−160899(P2012−160899A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19074(P2011−19074)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】