説明

緊急通報システム

【課題】無線子機と緊急通報装置と緊急通報センタとを含む緊急通報システムに関し、無線子機にハンズフリー通話機能を設ける。
【解決手段】緊急ボタン11を有する無線子機1との間の無線送受信手段と、緊急ボタン21とハンズフリー通話機能と有線送受信機能とを含む緊急通報装置2と、緊急通報センタ3とを含み、無線子機1は、テキストデータを音声信号に変換するテキスト・音声変換部18と、変換された音声信号により音声出力を行うスピーカ16と、音声入力を行うマイク17と、音声信号をテキストデータに変換して、緊急通報装置2に送信する音声信号・テキスト変換部19とを備え、緊急通報装置2は、緊急通報センタ3からの音声信号をテキストデータに変換する音声信号・テキストデータ変換部30と、テキストデータを音声信号に変換して、通報センタ3へ送信するテキスト・音声変換部31とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯可能の無線子機の緊急ボタン又は宅内に設置した無線親機としての緊急通報装置の緊急ボタンを押下することにより、緊急通報センタへ通報すると共に、音声により状態通報を可能とした緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ペンダント型やリスト型等の携帯可能の無線子機の緊急ボタン又は宅内の緊急通報装置の緊急ボタンを押下すると、自動的に緊急通報センタへ通報する緊急通報システムが知られている。例えば、図6は従来の緊急通報システムを示し、1は無線子機、2は親機としての緊急通報装置、3は緊急通報センタ、4は交換機を含むネットワークである。無線子機1は、緊急ボタン11と制御部12と無線送信部13と無線受信部14とボタン電池等のバッテリによる電源部15とを含む場合を示す。なお、無線受信部14を省略した構成が一般的である。又緊急通報装置2は、緊急ボタン21と無線送信機部22と無線受信部23と制御部24と有線制御部25とスピーカ26とマイク(マイクロホン)27と制御部28と電源部29とを含む場合を示す。なお、外付けの一般電話機と切替えて通話が可能となる構成を備えている場合が一般的である。
【0003】
無線子機1は、紐等により首に下げるペンダント型又は腕時計のように腕に取り付けるリスト型等の小型軽量の構成を有し、電源部15から各部に動作電力を供給するもので、非動作時は微小消費電力の構成であって、例えば、身体の異常発生時に緊急ボタン11を押下すると、制御部12は緊急通報情報を無線送信部13からアンテナを介して緊急通報装置2に緊急発生信号を送信する。緊急通報装置2は、無線通信部22により受信し、制御部24に転送する。制御部24は、有線制御部25を制御し、アナログ加入者線により接続されているネットワーク4を介して緊急通報センタ3に対して発呼し、緊急通報センタ3の応答により、無線子機1の利用者情報を含めて通報する。又緊急通報装置2は、商用交流電源AC100Vから交流電力が供給される電源部29は、直流に変換して、各部に動作電力を供給するものであり、制御部24には、外部機器を接続することができる。又緊急ボタン21を備えており、この緊急ボタン21を押下した場合も、無線子機1の緊急ボタン11を押下した場合と同様に、緊急通報センタ3へ緊急通報し、利用者情報を含めて通報することができる。又ハンズフリー制御部28にそれぞれ接続したスピーカ26とマイク27とによって、緊急通報センタ3との間でハンズフリー通話を行うことも可能である。
【0004】
又各種センサ(火災センサ等)と組み合わせて使用する設置型無線送信機も知られており、又1台の緊急通報端装置2に、複数の無線子機1を集約したシステム構成とすることもできる。なお、基本機能としては、緊急通報装置(本体)2の緊急ボタン21又は無線子機1の緊急ボタン11を押下することによって、緊急通報センタ3に対して自動発呼し、通報者情報(住所や名前等)をデータ又は音声により通知する機能を含むものである。更に、緊急通報センタ3に対して通報者情報を通報した後、緊急通報センタ3側の指示、或は緊急通報装置2側の設定によって、自動的にスピーカ26とマイク28とによるハンズフリー通話モードに切替えて、緊急通報センタ3のオペレーターとの間のハンズフリー通話を可能とする機能を含む構成も知られている。なお、このハンズフリー通話は、緊急通報装置2本体のみで可能であって、無線子機1からはできないものである。この無線子機1で可能なのは、緊急ボタン11押下による緊急通報機能のみである。この無線子機1と緊急通報装置2との間の通信距離は、見通し50m〜100m程度が一般的であり、家屋内やその周辺に於いてのみ緊急通報が可能である。又無線子機1を、防水仕様として、浴室内に於ける使用も考慮した構成も知られている。
【0005】
又無線子機1と緊急通報装置2との間の無線インタフェースは、400MHz帯の特定小電力無線が使用されるものであり、無線子機1の仕様として、例えば、無線方式は。小電力セキュリティシステム(RCR STD−30)、電波形式はF1D、周波数は426.45MHz、定格出力は1.5mW、信号伝送速度は2,400bps、無線区間の通信時間は、送信3秒、休止時間2秒の繰り返し、通信可能距離は50m以上、消費電力は0.06W以下、電池寿命は3年以上等の内容を含むものである。従って、無線子機1は、少なくとも3年経過により電源部15としての電池を交換することになる。
【0006】
又電話機に接続した緊急ボタンを押下することにより、予め登録した緊急通報先へ発信し、電話機をハンズフリー通話可能の状態に自動切替えを行う緊急通報機能を有する電話装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。又急病人発生や交通事故発生等に於いて、緊急ボタン押下により緊急通報センタへ無線通信により通報し、音声信号をディジタル化して送信する手段も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−300265号公報
【特許文献2】特開2004−164078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の緊急通報システムは、無線子機1の小型軽量化と使用可能期間の長期化とを図る為に,緊急ボタン11押下による緊急通報機能のみを備えた構成が一般的である。従って、緊急通報センタ3側に緊急状態発生内容を通話によって知らせるには、緊急通報装置2のハンズフリー機能が作用可能となる距離に近づく必要がある。しかし、ハンズフリー通話可能の位置までも移動できない緊急状態発生の場合は、緊急状態の詳細についての通知ができない問題があった。そこで、無線子機1にも音声通話機能を設けることが考えられる。しかし、電源部15の電池容量と使用可能期間との関係で、通常の電話機の通話機能を搭載することは不可能である。又小電力で通話可能とする手段として、音声圧縮技術を利用したVoIP(Voice over Internet Protocol)化による手段を適用することが考えられるが、以下のような問題があって、現状の緊急通報システムには適用することが困難である。
【0008】
(1)緊急通報システム全体をIP化する必要があり、高齢者宅や小規模の緊急通報センタが相当数存在することから、緊急通報システム全体を取り替えるのは経済的にも困難である。
(2)無線子機をVoIP対応の構成とし、音声圧縮技術を適用した場合、例えば、音声を64kHzサンプリングにより約90kbps、8kHzサンプリングにより約33kbpsとなるから、数10kbps以上の帯域を必要とすることになり、その場合、無線LANやBLUETOOTH等の高速無線通信手段を設け必要がある。それによる電力の増加により、一次電池を充電可能の二次電池とすることが考えられるが、充電操作の必要性、サイズ増大等の問題が生じる。
(3)緊急通報装置本体側のIP化については、ルーター機能追加、VPN等のネットワークセキュリティ確保等の問題があり、機器コストUP、ネットワークコストUPにつながってしまう(現状は、各利用者宅で契約しているアナログ電話回線に、緊急通報の通信を相乗りする形態となっている為、ネットワーク利用コストは完全に新規分として見えてしまう問題がある)。
【0009】
従って、現状のアナログ回線をベースとした緊急通報システムを適用し、更に無線子機のメリットである低消費電力(一次電池駆動で長寿命)を生かしながら、音声通話を実現することが求められる。即ち、現状の無線インターフェースである小電力無線を使った音声通話が必要である。この小電力無線で音声を伝送する上での課題は、2400bps程度の低速な帯域で音声データを転送する必要がある点と、送信時間制限規定により、一定時間の停止時間を設ける間欠通信方式とする必要がある点である。
【0010】
本発明は、前述の従来の課題を解決することを目的とし、小型の形状を維持し、且つ低消費電力で無線子機と緊急通報センタとの間の必要最小限の通話内容を確保して通話を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の緊急通報システムは、緊急ボタンと無線送受信手段とを含む無線子機と、この無線子機との間の無線送受信手段と緊急ボタンとハンズフリー通話機能と有線送受信機能とを含む緊急通報装置と、この緊急通報装置とネットワークを介して接続して緊急通報処理を行う緊急通報センタとを備えた緊急通報システムであって、無線子機は、緊急通報装置から受信したテキストデータを音声信号に変換するテキスト・音声変換部と、このテキスト・音声変換部により変換された音声信号により音声出力を行うスピーカと、音声入力を行うマイクと、このマイクからの音声信号をテキストデータに変換して、緊急通報装置に送信する為の音声信号・テキスト変換部とを備え、緊急通報装置は、緊急通報センタからの音声信号をテキストデータに変換して、無線子機に送信する為の音声信号・テキストデータ変換部と、無線子機からのテキストデータを音声信号に変換して、通報センタへ送信する為のテキスト・音声変換部とを備えている。
【0012】
又無線子機及び緊急通報装置の音声・テキスト変換部は、音声認識処理結果を単語毎のテキストデータに変換する手段を含むものである。又無線子機及び緊急通報装置のテキスト・音声変換部は、無線伝送の休止時間により分断されたセンテンス対応のテキストデータを、休止時間経過までバッファリングしてセンテンス単位の連続した音声信号に変換する手段を含むものである。
【0013】
又無線子機及び緊急通報装置のテキスト・音声変換部は、受信したテキストデータを一定時間保持する手段と、この手段により保持されたテキストデータを少なくとも単語単位の音声に変換する手段とを含むものである。
【発明の効果】
【0014】
通話音声内容の1秒間に於ける文字数を5〜10文字程度とすると、1文字分を2バイトとし、付加情報として4バイトを使用する場合、10文字分で約200bpsの帯域があれば伝送可能となる。従って、小電力無線に於ける2400bps程度の低速無線回線を利用して通信可能となる。その場合に、単語単位でテキストデータに変換することができ、その場合、単語単位の遅延時間程度で済むから、通常会話と比較しても、充分に内容の把握が可能となる。又センテンス単位でテキストデータに変換する場合は、無線回線のテキストデータ伝送が間欠通信方式であっても、連続したセンテンスとしての音声信号を再生して通話が可能となり、一層通話内容が明瞭となる。又テキストデータから音声信号に変換する場合は、受信テキストデータを所定の時間保持して、単語単位又はセンテンス単位で変換することにより、通話内容の把握は容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の緊急通報システムは、図1を参照して説明すると、緊急ボタン11と無線送受信手段とを含む無線子機1と、この無線子機1との間の無線送受信手段と緊急ボタン21とハンズフリー通話機能と有線送受信機能とを含む緊急通報装置2と、この緊急通報装置2とネットワーク4を介して接続して緊急通報処理を行う緊急通報センタ3とを備えた緊急通報システムであって、無線子機1は、緊急通報装置2から受信したテキストデータを音声信号に変換するテキスト・音声変換部18と、このテキスト・音声変換部により変換された音声信号により音声出力を行うスピーカ16と、音声入力を行うマイク17と、このマイク17からの音声信号をテキストデータに変換して、緊急通報装置2に送信する為の音声信号・テキスト変換部19とを備え、緊急通報装置2は、緊急通報センタ3からの音声信号をテキストデータに変換して、無線子機1に送信する為の音声信号・テキストデータ変換部30と、無線子機1からのテキストデータを音声信号に変換して、通報センタ3へ送信する為のテキスト・音声変換部31とを備えている。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、1は無線子機、2は親機としての緊急通報装置、3は緊急通報センタ、4は交換機を含むネットワーク、11は緊急ボタン、12は制御部、13は無線送信部、14は無線受信部、15は電源部、16はスピーカ、17はマイク(マイクロホン)、18はテキスト・音声変換部、19は音声・テキスト変換部、21は緊急ボタン、22は無線送信機部、23は無線受信部、24は制御部、25は有線制御部、26はスピーカ、27はマイク(マイクロホン)、28はハンズフリー制御部、29は電源部、30は音声・テキスト変換部、31はテキスト・音声変換部を示す。
【0017】
この実施例に於いて、無線子機1は、従来例の構成に、スピーカ16とマイク17とテキスト・音声変換部18と音声・テキスト変換部19とを設けた構成を有するものであり、この場合のスピーカ16及びマイク17は携帯機器用に小型軽量の構成のものが既に各種開発され、且つ実用化されているから、このような小型軽量の構成を適用することができる。又無線受信部14を備えていない従来例の構成の場合は、この無線受信部14を設けた構成とする。又緊急通報装置2は、従来例の構成に、音声・テキスト変換部30とテキスト・音声変換部31とを設ける。例えば、無線子機1の緊急ボタン11を押下して、緊急通報装置2に緊急通知を行い、この緊急通報装置2から緊急通報センタ3は緊急通報を行い、無線子機1と緊急通報センタ3のオペレータとの間の通話は、無線子機1のマイク17に対する緊急通報者の通話は、音声・テキスト変換部17によりテキストデータに変換され、制御部12から無線送信部13を介して緊急通報装置2に無線送信される。緊急通報装置2の無線受信部23により受信したテキストデータは、テキスト・音声変換部19により音声信号に変換され、制御部24の制御により、有線制御部25を介して緊急通報センタ3へ送信される。又緊急通報センタ3のオペレータの音声信号は、ネットワーク4とアナログ加入者回線を介して緊急通報装置2に送信される。緊急通報装置2は、有線制御部25と制御部24とを介して音声・テキスト変換部30に転送し、テキストデータに変換して無線送信部22から無線子機1に無線送信する。無線子機1は、このテキストデータを無線受信部14により受信処理し、制御部12を介してテキスト・音声変換部18に転送し、音声信号に変換してスピーカ16から音声を再生する。即ち、無線子機1によるハンズフリー通話が可能となる。
【0018】
音声・テキスト変換部19,30及びテキスト・音声変換部18,31は、前述のように、音声信号とテキストデータとの一方から他方へ又他方から一方への変換を行うものであり、このような音声信号とテキストデータとの間の変換処理技術は、既に各種の構成が提案され且つ実用化されている。例えば、特開2001−148713号公報、特表2001−517398号公報、特開平2002−16701号公報等に開示されている変換処理手段を適用することができる。しかし、本願発明は、特定小電力無線通信を適用してテキストデータを送受信する必要があり、通信時間と休止時間とを短時間で繰り返すものであるから、その無線通信方式に対応した手段を適用する必要がある。例えば、送信継続時間3秒、送信休止時間2秒の繰り返しであると共に、2400bpsの伝送速度の制限がある。
【0019】
その為に、図2の(A)に示すように、無線送信側は、音声信号をテキストデータに変換して無線伝送し、無線受信側は、受信したテキストデータを音声信号に変換するもので、例えば、無線送信側の音声入力の「もしもし こちらは○○○○です。」(但し、音声波形は概念的な波形である)を、音声→テキスト変換として示すように、「もしもし」と「こちらは」と「○○○○」と「です。」と、休止期間とを基に、それぞれテキストデータD1〜D5と、無音時間データS1,S2とに変換し、矢印でそれぞれを対応を示すように無線伝送し、無線受信側は、テキスト→音声変換として示すように、受信したテキストデータD1〜D5と無音時間データS1,S2とを基に、受信データの逆変換処理により音声出力する。この場合は、無線送信側の音声入力と同一内容の「もしもし こちらは○○○○です。」を再生出力することができる。この音声出力の音声波形も概念的な波形として示している。
【0020】
この場合のテキストデータD1〜D5及び無音時間データS1,S2の一例を、図2の(B)に示す。即ち、テキストデータD#は、1バイトのデータ種別、1バイトのテキスト長、2バイト/1テキストの割合のテキストデータ、1バイトの発声時間、1バイトの音声情報とすることができる。又無音時間データS#は、1バイトのデータ種別と1バイトの無音時間とを含む場合を示す。前述のように、無線子機1に、マイク17、スピーカ16、及び音声・テキスト変換部19、テキスト・音声変換部18を設け、緊急通報装置2も音声・テキスト変換部30、テキスト・音声変換部31を設けることによって、無線子機1のマイク17から入力された音声信号をリアルタイムにテキストデータに変換し、従来の低速な小電力無線区間を介して緊急通報装置2へ伝送し、テキスト・音声変換部31により、擬似的ではあるが、音声信号に変換して緊急通報センタ3に送信する。又緊急通報装置2は、緊急通報センタ3から受信した音声信号をリアルタイムにテキストデータに変換し、小電力無線を介し、無線子機1へ送信し、無線子機1側でテキスト・音声変換部18により、擬似的な音声信号に変換してスピーカ16から音声を出力する。音声信号(単語)をテキストデータに変換する際は、抽出したテキストデータに加え、図2の(B)に示すように、1単語分の発声時間、音声情報(男女の区別、音程、抑揚等)を付加することによって、より忠実な音声再現が可能となる。
【0021】
図3は、図2の(A)に示す場合と同様であるが、無線伝送の区間に、送信時間T1と休止時間T2とが所定の時間毎に繰り返される場合の詳細な無線送信側の音声入力、単語単位の音声→テキスト変換、無線伝送、無線受信側のテキスト→音声変換、音声出力について、テキストデータと無音時間データとのそれぞれの伝送過程を矢印で示す。無線伝送区間に於いては、前述のように、送信時間T1と休止時間T2とが繰り返され、又音声の単語間に休止期間を含む場合もあるから、無線受信側では、テキスト→音声変換の過程で、テキストデータのバッファリングを行って、音声出力状態の不自然さを低減することもできる。
【実施例2】
【0022】
図4は、本発明の実施例2の音声信号送受信の説明図であり、図3と同様に、無線送信側の音声入力、音声→テキスト変換、無線伝送、無線受信側のテキスト→音声変換、音声出力について、テキストデータと無音時間データとのそれぞれの伝送過程を矢印で示す。無線伝送区間に於いては、前述のように、送信時間T1と休止時間T2とが繰り返されるものであり、図3に於いては、この休止時間T2により、「相談が」と「あります。」との間が無音時間となり、不自然感を含む可能性がある。その場合は、休止時間T2前に受信したセンテンスの一部のテキストデータを、例えば、図1に示すテキスト・音声変換部18及びテキスト・音声変換部31に於いてバッファリングし、休止時間T2後に受信したセンテンスの残りのテキストデータを受信完了するまで待機し、センテンス単位となった時にテキストデータを音声信号に変換する。即ち、図4に於ける休止時間T2前に受信した「相談が」のテキストデータをバッファリングし、その休止時間T2経過後に「あります。」のテキストデータを受信して、センテンス単位としての「相談があります。」の音声信号に変換する。なお、センテンス単位毎に無音となるから、無線伝送側では、その発声休止期間を示す無音時間データを、テキストデータの後に付加して送信するから、無線受信側では、無音時間データを受信することにより、1センテンスのテキストデータの受信終了を認識できることになる。そして、バッファリングした受信テキストデータを、無音時間データを受信識別により、音声信号に変換して、センテンス単位の音声出力が可能となる。
【実施例3】
【0023】
図5は、本発明の実施例3の音声信号送受信の説明図であり、図3及び図4と同様の音声内容についての無線送信側の音声入力、音声→テキスト変換、無線伝送、無線受信側のテキスト→音声変換、音声出力について、テキストデータと無音時間データとのそれぞれの伝送過程の対応関係を矢印で示す。又無線伝送区間に於いては、送信時間T1と休止時間T2とが繰り返されるものであり、無線送信側は、単語単位で音声信号をテキストデータに変換し、無音時間データと共に矢印で対応関係を示すように、無線伝送し、無線受信側は、テキストデータを受信すると、休止時間T2に相当する時間の受信テキストデータをバッファリングしてから、順次音声信号に変換する。それにより、無線送信側で単語単位でテキストデータに変換して送信時間T1に於いては順次送信し、休止時間T2に於いては、テキストデータをバッファリングして送信待ちとし、次の送信時間T1になると、バッファリングしたテキストデータを順次送信する。
【0024】
無線受信側に於いては、前述のように、最初の受信テキストデータを、休止時間T2に相当する時間バッファリングして、その後、順次受信テキストデータを音声信号に変換するから、休止時間T2による再生音声の途切れがなく、一連のセンテンスとして連続再生することができる。この場合のテキストデータのバッファリングの為のバッファメモリは比較的短い休止時間T2の間で受信推定テキストデータ量を蓄積できるだけの容量で良いから、小容量のバッファメモリをテキスト・音声変換部18,31に内蔵させることも可能である。従って、無線子機1(図1参照)にスピーカ16とマイク17とを含むハンズフリー機能を設けて、無線伝送帯域が狭く且つ間欠的送受信の制約があっても、緊急通報センタ3のオペレータとの間の通話が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】本発明の実施例1の音声信号送受信の説明図である。
【図3】本発明の実施例1の音声信号送受信の具体例の説明図である。
【図4】本発明の実施例2の音声信号送受信の具体例の説明図である。
【図5】本発明の実施例3の音声信号送受信の具体例の説明図である。
【図6】従来例の緊急通報システムの説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 無線子機
2 緊急通報装置
3 緊急通報センタ
4 ネットワーク
11 緊急ボタン
12 制御部
13 無線送信部
14 無線受信部
15 電源部
16 スピーカ
17 マイク
18 テキスト・音声変換部
19 音声・テキスト変換部
21 緊急ボタン
22 無線送信機部
23 無線受信部
24 制御部
25 有線制御部
26 スピーカ
27 マイク
28 ハンズフリー制御部
29 電源部
30 音声・テキスト変換部
31 テキスト・音声変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急ボタンと無線送受信手段とを含む無線子機と、該無線子機との間の無線送受信手段と緊急ボタンとハンズフリー通話機能と有線送受信機能とを含む緊急通報装置と、該緊急通報装置とネットワークを介して接続して緊急通報処理を行う緊急通報センタとを備えた緊急通報システムに於いて、
前記無線子機は、前記緊急通報装置から受信したテキストデータを音声信号に変換するテキスト・音声変換部と、該テキスト・音声変換部により変換された音声信号により音声出力を行うスピーカと、音声入力を行うマイクと、該マイクからの音声信号をテキストデータに変換して前記緊急通報装置に送信する為の音声信号・テキスト変換部とを備え、
前記緊急通報装置は、前記緊急通報センタからの音声信号をテキストデータに変換して前記無線子機に送信する為の音声信号・テキストデータ変換部と、前記無線子機からのテキストデータを音声信号に変換して前記通報センタへ送信する為のテキスト・音声変換部とを備えた
ことを特徴とする緊急通報システム。
【請求項2】
前記無線子機及び前記緊急通報装置の前記音声・テキスト変換部は、音声認識処理結果を単語毎のテキストデータに変換する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の緊急通報システム。
【請求項3】
前記無線子機及び前記緊急通報装置の前記テキスト・音声変換部は、無線伝送の休止時間により分断されたセンテンス対応のテキストデータを、該休止時間経過までバッファリングしてセンテンス単位の連続した音声信号に変換する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の緊急通報システム。
【請求項4】
前記無線子機及び前記緊急通報装置の前記テキスト・音声変換部は、受信したテキストデータを一定時間保持する手段と、該手段により保持されたテキストデータを少なくとも単語単位の音声に変換する手段とを含むことを特徴とする請求項1乃至3記載の緊急通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−239865(P2009−239865A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86913(P2008−86913)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】