説明

緑内障および眼圧上昇の治療用環状ラクタム類

下記の式(I)を有する化合物を開示し、説明する。
【化1】


(I)

また、上記化合物に関連する治療方法、医薬品および組成物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2007年5月23日に出願された米国出願第60/939,773号の権利を主張する;該出願は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
【0002】
本明細書においては、下記の式で表される化合物を開示し、説明する:
【化1】

(式中、点線は、共有結合の存在または不存在を示し;
Yは、有機酸官能基、またはその14個までの炭素原子を含むアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであるか;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Bは、‐CH(OH)‐、‐C(=O)‐、‐CH2CH(OH)‐または‐CH2C(=O)‐であり;そして、
Dは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである)。
【0003】
これらの化合物は、眼圧を降下させるのにまたは緑内障を治療するのに有用である。
1つの実施態様は、本明細書において開示する化合物を投与することを含む緑内障の治療方法である。
もう1つの実施態様は、本明細書において開示する化合物を投与することを含む眼圧の降下方法である。
もう1つの実施態様は、本明細書において開示する化合物の、眼圧の降下用医薬品の製造における使用である。
もう1つの実施態様は、本明細書において開示する化合物の、緑内障の治療用医薬品の製造における使用である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の目的においては、“処置する(treat)”、“処置(treating)”または“処置(treatment)”とは、疾病または他の望ましくない状態の診断、治療、緩和、処置、予防における化合物、組成物、治療活性剤または薬物の使用を称する。
特に断らない限り、化合物に関する言及は、上記構造または化学名を有する化学存在物の製薬上許容し得る塩、プロドラッグ、互変体、代替固体形状物および非共有複合体を包含するものと広く解釈すべきである。
【0005】
製薬上許容し得る塩は、動物またはヒトに投与するのに適する親化合物の任意の塩である。また、製薬上許容し得る塩は、酸、他の塩、または酸もしくは塩に転換するプロドラッグの投与の結果として生体内で生じ得る任意の塩も称する。塩は、相応量の対イオンと結合した、共役酸または塩基のような化合物のイオン形を有する化学種である。塩は、1個以上の脱プロトン化酸性基(例えば、カルボン酸)、1個以上のプロトン化塩基性基(例えば、アミン)、または双方(例えば、両性イオン)から生じるか或いはこれらを取込み得る。
【0006】
プロドラッグは、投与後に治療活性化合物に転換する化合物である。本発明の範囲を限定するつもりはないが、転換は、エステル基またはある種の他の生物学的に不安定な基の加水分解によって生じ得る。一般的には(必然的ではなく)、プロドラッグは、転換する治療活性化合物よりも不活性であるかまたはあまり活性でない。プロドラッグ製剤は、当該技術において周知である。例えば、Richard B. Silverman, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Ed., Elsevier Academic Press: Amsterdam, 2004, p p. 496‐557の1つの章である“Prodrugs and Drug Delivery Systems”は、その題材についてのさらなる詳細を提供している。
【0007】
互変体は、互いに急速平衡にある異性体である。互変体は、多くの場合であるが、プロトン、水素原子または水酸化物イオンの移動を必ずしも含まない。例えば、本明細書における構造体は、限定するものではないが、下記に示す互変形を含むものとする。
【化2】

【0008】
立体化学的に明確に断らない限り、構造体は、純粋なまたは任意の可能性ある混合物中の双方でのあらゆる可能性ある立体異性体を包含するものとする。
【0009】
代替固体形状物は、本明細書において説明する方法を実施することにより生じ得る形状物とは異なる固体形状物である。例えば、代替形状物は、多形体物、種々の種類の非晶質固体形状物、ガラス状物等であり得る。
非共有複合体は、上記化合物と1種以上のさらなる化学種間で形成され得、上記化合物とさらなる化学種間で共有結合相互作用を含まない複合体である。非共有複合体は、上記化合物とさらなる化学種間で特定の比率を有していても或いは有していなくてもよい。例としては、溶媒和物、水和物、電荷移動複合体等があり得る。
【0010】
ヒドロカルビルは、限定するものではないが、下記のような炭素と水素のみからなる成分である:
a. 二重結合または三重結合を有さない、限定するものではないが、下記のようなヒドロカルビルを意味するアルキル:
・線状アルキル、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、n‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシル等;
・枝分れアルキル、例えば、イソ‐プロピル、t‐ブチルおよび他の枝分れブチル異性体、各枝分れペンチル異性体等;
・シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等;
・線状、枝分れおよび/またはシクロアルキルの組合せ;
b. アルケニル、例えば、線状、枝分れまたはシクロアルケニルのような、1個以上の二重結合を有するヒドロカルビル;
c. アルキニル、例えば、線状、枝分れまたはシクロアルケニルのような、1個以上の三重結合を有するヒドロカルビル;
d. アルキル、アルケニルおよび/またはアルキニルの組合せ。
【0011】
表記“Cx‐y”の使用は、その成分がx個からy個までの炭素原子を有することを意味する。例えば、C1‐6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルを意味し、C1‐6ヒドロカルビルは、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビルを意味する。
【0012】
本明細書において使用するとき、“アリール”は、置換されていてもまたは置換されてなくてもよいフェニル、ナフチルまたはビフェニルである。“ヘテロアリール”は、単環式または二環式ヘテロアリール、即ち、少なくとも1個の窒素、酸素またはイオウ原子が環中に存在する単環式アリール環、または少なくとも1個の窒素、酸素またはイオウ原子が少なくとも1つの環中に存在する二環式芳香族環系である。ヘテロアリールの例としては、ピリジニル、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、キノリニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル等がある。
【0013】
アリールまたはヘテロアリールは、置換してもまたは置換しなくてもよい。アリールを置換する場合、そのアリール基は、1〜5個の置換基を有し得る。各置換基は、個々に、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜2個のイオウ原子、0〜2個の窒素原子、0〜3個のフッ素原子、0〜2個の塩素原子、0〜1個の臭素原子、0〜1個のヨウ素原子および0〜17個の水素原子からなる。
【0014】
本明細書において説明する限定(例えば、置換基の原子数の限定)に従えば、置換基の例としては、限定するものではないが、下記がある:
ヒドロカルビル、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル等;
ヒドロキシアルキル、即ち、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル等のようなアルキル‐OH;
‐O‐アルキル、アルキル‐O‐アルキル等のような、エーテル置換基;
‐S‐アルキル、アルキル‐S‐アルキル等のような、チオエーテル置換基。
【0015】
‐NH2、‐NH‐アルキル、‐N‐アルキル1アルキル2(即ち、アルキル1およびアルキル2は、同一または異なるものであって、双方ともNに結合している)、アルキル‐NH2,、アルキル‐NH‐アルキル、アルキル‐N‐アルキル1アルキル2等のような、アミン置換基;
アミノメチル(‐CH2‐アミン)、アミノエチル等のような、アルキルアミンを意味するアミノアルキル;
‐CO2‐アルキル、‐CO2‐フェニル等のようなエステル置換基。
【0016】
アルデヒド類;アシル(即ち、下記:
【化3】

)のようなケトン等;とりわけ、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイル置換基のような、他のカルボニル置換基を意図する。
【0017】
フェニルまたは置換フェニル;
‐CF3、CH2CF3等のようなフルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボン;および、‐CN;
また、上記の組合せも、定義された限定を条件として可能である。
また、置換基は、‐F、‐Cl、‐Brまたは‐Iであり得る。
とりわけ、1〜8個の炭素原子を有するアルキルを、置換基として意図する。
また、1〜4個の炭素原子を有するアルキルを意図する。
【0018】
置換基は、ボトル内で標準大気下に室温で少なくとも12時間保存するのに十分に安定であるか或いは本明細書において開示するいずれの目的においても有用であるために十分に安定でなければならない。
置換基が、例えば、カルボン酸またはアミンの塩である場合、この塩の対イオン、即ち、分子の残余部に共有結合していないイオンは、置換基中の重原子数を目的としては計数しない。従って、例えば、塩‐CO2-Na+は3個の重原子からなる安定な置換基である、即ち、ナトリウムは計数しない。もう1つの例においては、‐NH(Me)2+Cl-は3個の重原子からなる安定な置換基である、即ち、塩素は計数しない。
【0019】
点線は、二重結合の存在または不存在を示す。従って、下記の構造体を意図する。
【化4】

【0020】
1つの有機酸官能基は、有機分子上の酸性官能基である。限定するつもりはないが、有機酸官能基は、炭素、イオウまたはリンの酸化物を含み得る。従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、ある種の化合物においては、Yは、カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸官能基である。
さらに、上記で示した有機酸の1つの14個までの炭素原子を含むアミドまたはエステルもYにおいては意図する。エステルにおいては、ヒドロカルビル成分により、カルボン酸エステル、例えば、CO2Me、CO2Et等におけるように酸の水素原子を置換する。
【0021】
アミドにおいては、アミン基により、上記酸のOHを置換する。アミドの例としては、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2およびCONH(CH2CH2OH)があり、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、フェニルまたはビフェニルである。また、CONHSO2R2のような成分は、スルホン酸R2‐SO3Hのアミドであるとみなし得るという事実にもかかわらずカルボン酸のアミドである。また、次のアミド類もとりわけ意図する:CONSO2‐ビフェニル、CONSO2‐フェニル、CONSO2‐ヘテロアリールおよびCONSO2‐ナフチル。上記ビフェニル、フェニル、ヘテロアリールまたはナフチルは、置換してもまたは置換しなくてもよい。
【0022】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであり得る。エーテルは、ヒドロキシルの水素が炭素によって置換されている官能基であり、例えば、Yは、CH2OCH3、CH2OCH2CH3等である。また、これらの基も、カルボン酸のバイオイソスターである。
“14個までの炭素原子”とは、カルボン酸エステルまたはアミドのカルボニル炭素、およびエーテルの‐CH2O‐C中の両炭素原子を含むY成分全体が0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を有することを意味する。
最後に、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Yは、テトラゾリル官能基であり得る。
【0023】
従って、限定するつもりはないが、下記の構造は、何がテトラゾリル;カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸およびそれらのエステルおよびアミド;ヒドロキシメチルおよびヒドロキシメチルのエステルを意味するかを示す。これらの構造においては、Rは、本明細書において定義した限定を条件として、Hまたはヒドロカルビルである。
【0024】
下記の各構造体は、個々に意図する特定の実施態様、並びに下記の構造によって示される化合物の製薬上許容し得る塩類およびプロドラッグをに示す。
M1=
【化5】

【0025】
【化6】

【0026】
テトラゾリル官能基は、カルボン酸のもう1つのバイオイソスターである。非置換テトラゾリル官能基は、2つの互変異性形を有し、水性または生物学的媒質中で急速に相互転換し得、従って、互いに等価である。
さらに、R2がC1〜C6アルキル、フェニルまたはビフェニルである場合、下記に示すもののような他の異性体形のテトラゾリル官能基も可能であり、C12までの非置換およびヒドロカルビル置換テトラゾリルは、用語“テトラゾリル”の範囲内であるとみなす。
【化7】

【0027】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、1つの実施態様においては、Yは、CO2R2、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2、CONH(CH2CH2OH)、CH2OH、P(O)(OH)2、CONHSO2R2、SO2N(R2)2、SO2NHR2、および下記である:
【化8】

(式中、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)。
【0028】
Bは、‐CH(OH)‐、‐C(=O)‐、‐CH2CH(OH)‐または‐CH2C(=O)‐である。従って、下記の構造体を意図する。
【化9】

【0029】
1つの実施態様においては、Dは、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する線状アルキルである。
Dの他の例を下記に示す。
【化10】

1つの実施態様においては、Dは、アルキルである
もう1つの実施態様においては、Bは、‐CH(OH)‐である。
【0030】
もう1つの実施態様においては、化合物は、下記の式で表される。
【化11】

【0031】
もう1つの実施態様においては、化合物は、下記の式で表される。
【化12】

【0032】
もう1つの実施態様においては、化合物は、下記の式で表される。
【化13】

【0033】
もう1つの実施態様においては、Bは、‐CH2CH(OH)‐である。
もう1つの実施態様においては、化合物は下記の式で表される。
【化14】

【0034】
有用な化合物の想定例としては、下記に示す化合物がある。
【化15】

【0035】
生体外試験
2006年10月26日に出願された米国特許出願第11/553,143号(参考として本明細書の合体させる)は、下記の表における生体外データを得るのに使用した方法を記載している。
【化16】

【0036】
生体内試験
米国特許第7,091,231号は、下記に報告する試験を実施するのに使用した方法を記載している。
【化17】

5‐[(R)‐1‐((S)‐3‐ヒドロキシオクチル)‐5‐オキソピロリジン‐2‐イルメトキシメチル]‐チオフェン‐2‐カルボン酸イソプロピルエステルを、正常血圧のイヌにおいて、5日間1日1回投与して2通りの濃度で試験した。0.1%においては、ベースラインからの最高眼内圧(IOP)降下は、78時間で1066.58Pa (8mmHg) (47%)であり;最高眼表面充血(OSH)スコアは、50時間で2.25であった。0.01%においは、ベースラインからの最高IOP降下は、78時間で813.264Pa (6.1mmHg) (35%)であり;最高OSH点数は、30時間で1.7であった。また、この化合物を、レーザー誘発高血圧サルにおいて、単回の投与日量を使用して試験した。0.1%において、ベースラインからの最高IOP降下は、6時間で2266.478Pa (17mmHg) (48%)であった。
【0037】
スキーム1
【化18】

【0038】
実施例1
5‐[(R)‐1‐((S)‐3‐ヒドロキシオクチル)‐5‐オキソピロリジン‐2‐イルメトキシメチル]‐チオフェン‐2‐カルボン酸(6)
工程1:2を得るための1のビニル化
炭酸カリウム(730mg、5.28ミリモル)、ヨウ化銅(I) (54mg、0.28ミリモル)およびN,N'‐ジメチルエチレンジアミン(29μL、0.27ミリモル)を、MeCN(6mL)中の(R)‐5‐(ヒドロキシメチル)‐ピロリジン‐2‐オン(1、Aldrich chemical社;365mg、3.17ミリモル)とヨウ化ビニルA(Nissan Chemical社;972mg、2.64ミリモル)の溶液に連続して添加した。反応フラスコに還流コンデンサーを取付け、窒素で掃気し、還流下に18時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、セライトで濾過し、過剰のEtOAcによって洗浄した。濾過物を真空中で濃縮した。残留物をEtOAc中に懸濁させ、濾過し、2回目の濃縮をした。粗残留物を12gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(60%EtOAc/ヘキサン)により精製して、627mg (67%)の所望生成物2を得た。
【0039】
工程2:3を得るための2の水素化
炭素上のパラジウム(10質量%、55mg)を、EtOAc (11mL)中のアルケン2(374mg、1.05ミリモル)の溶液に添加した。水素雰囲気を抜気および水素再充填(5×)によって確立し、反応混合物を水素バルーン下に30分間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、EtOAcで洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。得られた粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、298mg (79%)の所望生成物3を得た。
【0040】
工程3:4を得るための3のアルキル化
水素化ナトリウム(60%油分散液、16mg、0.40ミリモル)を、0℃のDMF(0.7mL)中のアルコール3(99mg、0.28ミリモル)の溶液に添加した。5分後、反応物を室温に温めた。室温で30分後、混合物を−40℃に冷却し、DMF (0.7mL)中のブロミドB (2006年6月14日に出願された米国仮特許出願第60/804,680号参照;54mg、0.23ミリモル)の溶液を、カニューレによって添加した。−40℃で2時間後、反応物を1.0N HCl (10mL)で失活させ、EtOAc (3×30mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物をH2O (2×20mL)と塩水(20mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、83mg (59%)の所望生成物4を得た。
【0041】
工程4:5を得るための4の脱保護
HF‐ピリジン(0.25mL)を、プラスチックシンチレーションバイアル内の0℃のMeCN (3.2mL)中のシリルエーテル4(83mg、0.16ミリモル)の溶液に添加した。0℃で1.5時間後、反応混合物を飽和水性NaHCO3(10mL)で失活させ、EtOAc (3×15mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物を塩水(10mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、50mg (78%)のアルコール5を得た。
【0042】
工程5:6を得るための5の鹸化
水酸化リチウム水溶液(1N 0.63mL、0.63ミリモル)を、THF (1.25mL)中のエステル5(50mg、0.13ミリモル)の溶液に添加した。室温で18時間後、溶媒を窒素流下に除去し、残留物をH2O (2mL)で希釈し、1.0M HCl (2mL)で酸性化して、その後、EtOAcで抽出した(3×15mL)。混ぜ合せた抽出物を塩水で洗浄し(10mL)、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮して、44mg(定量)の標示化合物6を得た。
【0043】
スキーム2
【化19】

【0044】
実施例2
N‐{5‐[(R)‐1‐((S)‐3‐ヒドロキシ‐オクチル)‐5‐オキソピロリジン‐2‐イルメトキシメチル]‐チオフェン‐2‐カルボニル}‐メタンスルホンアミド(7)
酸6(12mg、0.031ミリモル)、1‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐3‐エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDCI、8.4mg、0.044ミリモル)、4‐ジメチルアミノピリジン(DMAP、4.6mg、0.038ミリモル)とメタンスルホンアミド(9mg、0.095ミリモル)をDMF (0.2mL)中に溶解し、得られた溶液を窒素雰囲気下に室温で撹拌した。15時間後、溶液をEtOAc (20mL)で希釈し、1N HCl水溶液(3×5mL)と塩水(5mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2→10%MeOH/CH2Cl、勾配)により精製して、3.5mg (25%)の標示化合物7を得た。
【0045】
スキーム3
【化20】

【0046】
実施例3
5‐[(R)‐1‐((S)‐3‐ヒドロキシ‐オクチル)‐5‐オキソピロリジン‐2‐イルメトキシメチル]‐チオフェン‐2‐カルボン酸エチルアミド(8)
トリエチルアミン(9mL、0.065ミリモル)とクロロギ酸エチル(4.5mL、0.47ミリモル)を、0℃のCH2Cl2 (0.2mL)中の酸6(12mg、0.031ミリモル)の溶液に連続して添加した。0℃で1時間後、エチルアミン(THF中2.0M;0.15mL、0.30ミリモル)を添加し、混合物を室温に温めた。室温で18時間後、反応物を1.0N HCl (5mL)で失活させ、EtOAc (3×10mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物を塩水(5mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2→10%MeOH/CH2Cl2、勾配)により精製して、7.7mg (60%)の標示化合物8を得た。
【0047】
実施例4
5‐{(R)‐1‐[4‐ヒドロキシ‐4‐(1‐プロピルシクロブチル)‐ブチル]‐5‐オキソピロリジン‐2‐イルメトキシメチル}‐チオフェン‐2‐カルボン酸(13)
工程1:9を得るための1のビニル化
炭酸カリウム(474mg、3.43ミリモル)、ヨウ化銅(I) (33mg、0.17ミリモル)およびN,N'‐ジメチルエチレンジアミン(18μL、0.17ミリモル)を、MeCN (3.9mL)中の(R)‐5‐(ヒドロキシメチル)‐ピロリジン‐2‐オン(1、Aldrich chemical社;237mg、2.06ミリモル)とヨウ化ビニルC (Tani, et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2002, 10, 1093‐1106参照;700mg、1.71ミリモル)の溶液に順次添加した。反応フラスコに還流コンデンサーを取付け、窒素で掃気し、還流下に18時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、セライトで濾過し、過剰のEtOAcによって洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。残留物をCH2Cl2中に懸濁させ、濾過し、2回目の濃縮を行った。粗残留物を40gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、630mg (93%)の所望生成物9を得た。
【0048】
工程2:10を得るための9の水素化
炭素上のパラジウム(10質量%、85mg)を、EtOAc (16mL)中のアルケン9(630mg、1.59ミリモル)の溶液に添加した。水素雰囲気を抜気および水素再充填(5×)によって確立し、反応混合物を水素バルーン下に30分間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、EtOAcで洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。得られた粗残留物を40gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(40%EtOAc/ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、608mg (96%)の所望生成物10を得た。
【0049】
工程3:11を得るための10のアルキル化
水素化ナトリウム(60%油分散液、40mg、1.0ミリモル)を、室温のDMSO (1.25mL)中のアルコール10(200mg、0.51ミリモル)の溶液に添加した。室温で30分後、DMSO(1.25mL)中のブロミドB (Allergan docket #17833参照;130mg、0.55ミリモル)の溶液を、カニューレによって添加した。室温で15分後、混合物を40℃に加熱した。40℃で16時間後、混合物を室温に冷却し、飽和NH4Cl水溶液(5mL)と0.5N HCl (15mL)で失活させ、EtOAc (3×40mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物をH2O (2×20mL)と塩水(20mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、36mg (13%)の所望生成物11を得た。
【0050】
工程4:12を得るための11の脱保護
HF‐ピリジン(0.10mL)を、プラスチックシンチレーションバイアル内の0℃のMeCN (1.25mL)中のシリルエーテル11(35mg、0.06ミリモル)の溶液に添加した。0℃で2時間後、反応混合物を室温に温めた。室温で18時間後、反応物を飽和NaHCO3水溶液(10mL)で失活させ、EtOAc (3×15mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物を飽和NaHSO3水溶液(10mL)と塩水(10mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(40%EtOAc/ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、23mg (83%)のアルコール12を得た。
【0051】
工程5:13を得るための12の鹸化
水酸化リチウム水溶液(1N 0.25mL、0.25ミリモル)を、THF (0.5mL)中のエステル12(22mg、0.05ミリモル)の溶液に添加した。室温で20時間後、溶媒を窒素流下に除去し、残留物をH2O (1mL)で希釈し、1.0M HCl (2mL)で酸性化し、その後、EtOAc (3×10mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物を塩水(5mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮して、21mg (99%)の標示化合物13を得た。
【0052】
実施例5
5‐[(R)‐1‐((S)‐3‐ヒドロキシオクチル)‐5‐オキソピロリジン‐2‐イルメトキシメチル]‐チオフェン‐2‐カルボン酸イソプロピルエステル
DBU (9μL、0.06ミリモル)と2‐ヨードプロパン(62μL、0.62ミリモル)を、室温のアセトン(0.3mL)中の酸6(12mg、0.031ミリモル)の溶液に窒素下に添加した。室温で5日後、溶媒を窒素流下に除去した。残留物を1N HCl (2mL)で酸性化し、EtOAc (3×10mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物を塩水(5mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2→10%MeOH/CH2Cl2)により精製して、11.3mg (85%)の標示化合物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式で表される化合物:
【化1】


(式中、点線は、共有結合の存在または不存在を示し;
Yは、有機酸官能基、またはその14個までの炭素原子を含むアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであるか;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Bは、‐CH(OH)‐、‐C(=O)‐、‐CH2CH(OH)‐または‐CH2C(=O)‐であり;そして、
Dは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである)。
【請求項2】
Yが、CO2R2、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2、CONH(CH2CH2OH)、CH2OH、P(O)(OH)2、CONHSO2R2、SO2N(R2)2、SO2NHR2、下記:
【化2】

(式中、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)
ある、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Dが、アルキルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Bが、‐CH(OH)‐である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
下記の式で表される、請求項4記載の化合物。
【化3】

【請求項6】
下記の式で表される、請求項4記載の化合物。
【化4】

【請求項7】
下記の式で表される、請求項4記載の化合物。
【化5】

【請求項8】
Bが、‐CH2CH(OH)‐である、請求項2記載の化合物。
【請求項9】
下記の式で表される、請求項7記載の化合物。
【化6】

【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を、必要とする哺乳類に投与することを含む眼圧降下方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物の、哺乳類の緑内障の治療用または眼圧の降下用医薬品の製造における使用。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物含む組成物であって、局所眼科投与に適する液体である組成物。

【公表番号】特表2010−528030(P2010−528030A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509488(P2010−509488)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/064073
【国際公開番号】WO2008/144623
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】