説明

緑内障または上昇眼内圧の治療用ガンマ‐ラクタム類

治療化合物、該化合物に関連する組成物、方法および医薬品を本明細書に開示する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2007年2月15日に出願された米国出願第60/890,181号の権利を主張する;該出願は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
【0002】
眼圧降下剤は、術後およびレーザー線維柱帯切除術後の高眼圧症エピソード、緑内障のような多くの各種高眼圧症状の治療において、さらに、術前補助薬として有用である。
緑内障は、眼圧上昇に特徴を有する眼の疾患である。その病因に基づき、緑内障は、原発性または続発性として分類されている。例えば、成人における原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角または急性もしくは慢性閉塞隅角のいずれかであり得る。続発性緑内障は、ブドウ膜炎、眼球腫瘍または膨化白内障のような先在眼疾患に由来する。
【0003】
原発性緑内障の根底にある原因は、今のところ未知である。眼圧上昇は、房水流出の障害に基づく。慢性開放隅角緑内障においては、前眼房およびその解剖構造は正常のようであるが、房水の排出が阻害されている。急性または慢性閉塞隅角緑内障においては、前眼房が浅く、濾過胞角が狭窄し、虹彩が小柱網をシュレム管の入口で遮断し得る。瞳孔散大は、虹彩の根元を隅角の前方へ押圧し得、また、瞳孔ブロックを発生させ得、従って、急性発作が生ずる。狭前眼房角を有する目は、種々の重篤度の急性閉塞隅角緑内障発作にかかりやすい。
【0004】
続発性緑内障は、房水の後眼房から前眼房への、そして、その後のシュレム管への流れによる何らかの干渉に起因する。前眼部の炎症性疾患は、膨隆虹彩内に完全虹彩後癒着を生じることによって房水散逸を妨げ得、排出チャンネルを滲出液で閉塞し得る。他の一般的な病因は、眼球腫瘍、膨化白内障、網膜中心静脈閉塞症、眼の外傷、手術処置および眼内出血である。
全てのタイプをまとめて検討すると、緑内障は、40歳以上の全人口の約2%において発症し、急速な失明に進行する前の数年間は無症状であり得る。手術が適応でない場合においては、局所β‐アドレナリン受容体拮抗薬が、伝統的に、緑内障治療における選択薬物である。
【0005】
ある種のエイコサノイド類およびその誘導体は、緑内障の管理に使用するのに現在商業的に入手可能である。エイコサノイド類および誘導体としては、プロスタグランジン類およびその誘導体のような多くの生物学的に重要な化合物がある。プロスタグランジン類は、下記の構造式を有するプロスタン酸の誘導体として説明することができる:
【化1】

【0006】
種々のタイプのプロスタグランジンが、プロスタン酸骨格の構造およびその脂環式環上に担持された置換基に応じて知られている。さらなる分類は、包括的タイプのプロスタグランジンの後の下付き数字[例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2)]によって示される側鎖中の不飽和結合の数、およびαまたはβ[例えば、プロスタグランジンF(PGF)]によって示される脂環式環上の置換基の構造に基づく。
【発明の概要】
【0007】
本明細書において、下記の式を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩を開示する:
【化2】

(式中、Yは、有機酸官能基、またはその14個までの炭素原子を含むアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチル、またはその14個までの炭素原子を含むエーテルであるか;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Aは、‐(CH2)6‐、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3‐、または‐CH2C≡C‐(CH2)3‐であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置きかえることができ;或いは、Aは、‐(CH2)m‐Ar‐(CH2)o‐であり、Arはインター(中間)アリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個の‐CH2‐はSまたはOによって置きかえることができ、1個の‐CH2‐CH2‐は‐CH=CH‐または-C≡C‐によって置きかえることができ;そして、
Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである)。
【0008】
また、下記の式を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩も開示する:
【化3】

(式中、Yは、カルボン酸またはそのバイオイソスターであり;
Aは、‐(CH2)6‐、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3-、または‐CH2C≡C‐(CH2)3‐であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置きかえることができ;或いは、Aは、‐(CH2)m‐Ar‐(CH2)o‐であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個の‐CH2‐はSまたはOによって置きかえることができ、1個の‐CH2‐CH2‐は‐CH=CH‐または‐C≡C‐によって置きかえることができ;そして、
Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである)。
【0009】
これらの化合物は、緑内障または上昇眼内圧を治療するのに有用である。
本明細書において示した定義、説明および例は、本明細書に参考として合体させたいずれかの開示から何らかの不明確さが生じる場合の特定の用語または表現の意味を判断するのに使用すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
“バイオイソスターは、化学的または物理的類似性を有し且つ広範囲の同様な生物学的特性を生じる置換基または基である”。Silverman, Richard B., The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Edition, Amsterdam: Elsevier Academic Press, 2004, p. 29。
【0011】
限定するつもりはないが、有機酸官能基は、カルボン酸のバイオイソスターである。有機酸官能基は、有機分子上の酸性官能基である。限定するつもりはないが、有機酸官能基は、炭素、イオウまたはリンの酸化物を含み得る。従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、ある種の化合物においては、Yは、カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸官能基である。
【0012】
さらに、14個までの炭素原子を含む上記有機酸の1つのアミドまたはエステルもYに含まれる。エステルでは、カルボン酸エステル、例えば、CO2Me、CO2Et等におけるように、ヒドロカルビル成分により酸の水素原子が置換されている。
【0013】
アミドでは、アミン基により、上記酸のOHが置換されている。アミドの例としては、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2およびCONH(CH2CH2OH)があり、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、フェニルまたはビフェニルである。また、CONHSO2R2のような成分は、スルホン酸R2‐SO3Hのアミドであるとみなし得るという事実にもかかわらずカルボン酸のアミドである。また、次のアミド類もとりわけ意図する:CONSO2‐ビフェニル、CONSO2‐フェニル、CONSO2‐ヘテロアリールおよびCONSO2‐ナフチル。上記ビフェニル、フェニル、ヘテロアリールまたはナフチルは、置換しても置換されてなくてもよい。
【0014】
Han等(Biorganic & Medicinal Chemistry Letters 15 (2005) 3487‐3490)は、下記に示す基が、カルボン酸に対する適切なバイオイソスターであることを最近証明している。これらの基を有する化合物のHCV NS3プロテアーゼ抑制における活性は、その基をCO2Hによって置換している同様な化合物と匹敵するか或いはそれよりも優れていた。即ち、Yは、下記に示す任意の基であり得る。
【0015】
Han等に従うカルボン酸バイオイソスター
【化4】

【0016】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであり得る。エーテルは、ヒドロキシルの水素が炭素によって置換されている官能基であり、例えば、Yは、CH2OCH3、CH2OCH2CH3等である。また、これらの基も、カルボン酸のバイオイソスターである。
“14個までの炭素原子”とは、カルボン酸エステルまたはアミドのカルボニル炭素、およびエーテルの‐CH2O‐C中の両炭素原子を含むY成分全体が0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を有することを意味する。
最後に、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Yは、テトラゾリル官能基であり得る。
【0017】
従って、限定するつもりはないが、下記の構造は、何が、テトラゾリル;カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、並びにそれらのエステルおよびアミド;ヒドロキシメチルおよびヒドロキシメチルのエステルを意味するかを例示している。これらの構造においては、Rは、本明細書において定義した限定を条件として、Hまたはヒドロカルビルである。
下記の各構造は、個々に意図する特定の実施態様、並びに下記の構造によって示される化合物の製薬上許容し得る塩類およびプロドラッグを示す。
【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

【0020】
テトラゾリル官能基は、カルボン酸のもう1つのバイオイソスターである。非置換テトラゾリル官能基は、2つの互変異性体形を有し、水性または生物学的媒質中で急速に相互転換し得、従って、互いに等価である。これらの互変異性体を、下記に示す。
【0021】
【化7】

さらに、R2がC1〜C6アルキル、フェニルまたはビフェニルである場合、下記に示すもののような他の異性体形のテトラゾリル官能基も可能であり、非置換およびC12までのヒドロカルビル置換テトラゾリルは、用語“テトラゾリル”の範囲内に属するとみなす。
【化8】

【0022】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、1つの実施態様においては、Yは、CO2R2、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2、CONH(CH2CH2OH)、CH2OH、P(O)(OH)2、CONHSO2R2、SO2N(R2)2、SO2NHR2、および下記である:
【化9】

(式中、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)。
【0023】
Silverman(p.30)によれば、下記に示す成分もカルボン酸のバイオイソスターである。
【0024】
Silvermanに従うカルボン酸バイオイソスター
【化10】

【0025】
Orlek等(J. Med. Chem. 1991, 34, 2726‐2735)は、カルボン酸に対する適切なバイオイソスターとしてのオキサジアゾール類を開示している。これらのエステル代替物は、改良された代謝安定性を有する強力なムスカリン作用薬であることが証明されている。また、オキサジアゾール類は、Anderson等(Eur. J. Med. Chem. 1996, 31, 417‐425)によって、ベンゾジアゼピンレセプターにおいて改良された生体内有効性を有するカルボキサミド代替物としても説明されている。
【0026】
Orlek等に従うカルボン酸バイオイソスター
【化11】

【0027】
Kohara等(J. Med. Chem. 1996, 39, 5228‐5235)は、テトラゾールに対する適切なバイオイソスターとしての酸性複素環を開示している。これらのカルボン酸代替物は、改良された代謝安定性を有する強力なアンジオテンシンIIレセプター拮抗薬であることが証明されている。
【0028】
Kohara等に従うテトラゾールバイオイソスター
【化12】

【0029】
Drysdale等(J. Med. Chem. 1992, 35, 2573‐2581)は、非ペプチドCCK‐Bレセプター拮抗薬のカルボン酸擬態物を開示している。多くのこれらバイオイソスターの結合親和性は、親カルボン酸と同様である。
【0030】
Drysdale等に従うカルボン酸バイオイソスター
【化13】

【0031】
Aは、‐(CH2)6‐、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3‐または‐CH2C≡C-(CH2)3‐であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置きかえることができ;或いは、Aは、‐(CH2)m‐Ar‐(CH2)o‐であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個の‐CH2‐はSまたはOによって置きかえることができ、1個の‐CH2‐CH2‐は、‐CH=CH‐または‐C≡C‐によって置きかえることができる。
従って、限定するつもりはないが、Aは、‐(CH2)6‐、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3‐、または‐CH2C≡C‐(CH2)3‐であり得る。
【0032】
また、Aは、炭素のいずれかがSまたはOによって置きかえられているこれら3つの成分の1つに関連する基であり得る。例えば、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Aは、Sにより1個または2個の炭素原子が置き換えられている下記の1つ等のような成分であり得る。
【0033】
【化14】

【0034】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Aは、Oにより1個または2個の炭素原子が置き換えられている下記の1つ等のような成分であり得る。
【0035】
【化15】

【0036】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Aは、下記の1つ等のように、1個の炭素原子を置換しているOおよびもう1個の炭素原子を置換しているSを有し得る。
【0037】
【化16】

【0038】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、ある種の実施態様においては、Aは、‐(CH2)m‐Ar‐(CH2)o‐であり;Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個の‐CH2‐はSまたはOによって置きかえることができ、1個の‐CH2-CH2は‐CH=CH‐または‐C≡C‐によって置きかえることができる。換言すれば、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、
1つの実施態様においては、Aは、1) a) 1、2、3または4個のCH2成分、またはb) 0、1または2個のCH2成分および‐CH=CH‐または‐C≡C‐;および、2) Ar、例えば、‐CH2‐Ar‐、‐(CH2)2‐Ar‐、‐CH=CH‐Ar‐、‐C≡C-Ar‐、‐CH2‐Ar‐CH2‐、‐CH2Ar‐(CH2)2‐、‐CH2Ar‐CH=CH‐、‐CH2Ar-C≡C‐、‐(CH2)2‐Ar‐(CH2)2‐等を含み;
【0039】
もう1つの実施態様においては、Aは、1) a) O;および0、1、2または3個のCH2成分、またはb) O;並びに0または1個のCH2成分および‐CH=CH‐または‐C≡C‐;および、2) Ar、例えば、‐O‐Ar‐、Ar‐CH2‐O‐、‐O‐Ar‐(CH2)2‐、‐OAr‐CH=CH‐、‐O‐Ar‐C≡C‐、‐O‐CH2‐Ar‐、‐O‐CH2‐Ar‐(CH2)2、‐O‐CH2Ar‐CH=CH‐、‐O‐CH2Ar‐C≡C‐等を含み;或いは、
もう1つの実施態様においては、Aは、1) a) S;および0、1、2または3個のCH2成分、またはb) S;並びに0または1個のCH2成分および‐CH=CH‐または‐C≡C‐;および、
2) Ar、例えば、‐S‐Ar‐、Ar‐CH2‐S‐、‐S‐Ar‐(CH2)2‐、‐SAr‐CH=CH‐、‐S‐Ar‐C≡C‐、‐S‐CH2‐Ar‐、‐S‐CH2‐Ar‐(CH2)2、‐S‐CH2Ar‐CH=CH‐、‐S‐CH2Ar‐C≡C‐等を含む。
【0040】
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、2、3または4であり;1個のCH2は、SまたはOによって置きかえることができ;そして、1個の‐CH2‐CH2‐は、‐CH=CH‐または‐C≡C‐によって置きかえることができる。
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、3であり;1個のCH2は、SまたはOによって置きかえることができ;1個の‐CH2‐CH2‐は、‐CH=CH‐または‐C≡C‐によって置きかえることができる。
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、2であり;1個のCH2は、SまたはOによって置きかえることができ;1個の‐CH2‐CH2‐は、‐CH=CH‐または‐C≡C‐によって置きかえることができる。
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、4であり;1個のCH2は、SまたはOによって置きかえることができ;1個の‐CH2‐CH2‐は、‐CH=CH‐または‐C≡C‐によって置きかえることができる。
【0041】
インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンとは、分子の2つの他の部分を連結しているアリール環もしくは環系またはヘテロアリール環もしくは環系を称する、即ち、上記2つの部分は、上記環に2つの異なる環位置において結合している。インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンは、置換されていてもまたは置換されていなくてもよい。非置換インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンは、これらのアリーレンが連結している分子の上記2つの部分以外の置換基を有さない。置換インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンは、これらのアリーレンが連結している分子の上記2つの部分以外の置換基を有する。
【0042】
1つの実施態様においては、Arは、置換または非置換のインターフェニレン、インターチエニレン、インターフリレン、インターピリジニレン、インターオキサゾリレンおよびインターチアゾリレンである。もう1つの実施態様においては、Arは、インターフェニレン(Ph)である。もう1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)2‐Ph‐である。本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、置換基は、4個以下の重原子を有し得る;重原子は、任意の安定な組合せにおけるC、N、O、S、P、F、Cl、Brおよび/またはIである。また、特定の置換基において必要な任意の数の水素原子も含ませ得る。上記で列挙した原子以外に、置換基は、置換基が酸性でありその塩形が安定である場合、金属カチオンまたは上記で列挙していない原子を有する任意の他の安定なカチオンも有し得る。例えば、‐OHは、‐O‐Na+塩を形成し得;或いは、CO2Hは、CO2‐K+塩を形成し得る。上記塩の存在し得るカチオンは、上記“4個以下の重原子”には計数しない。即ち、置換基は、ヒドロカルビル、即ち、C4までのアルキル、アルケニル、アルキニル等のような、4個までの炭素原子を有する線状、枝分れまたは環状のヒドロカルビルおよびそれらの組合せを含む炭素と水素のみからなる成分;C3までのヒドロカルビルオキシ、即ち‐O‐ヒドロカルビル;CO2H、SO3H、P(O)(OH)2等のような有機酸およびその塩類;CF3;F、ClまたはBrのようなハロヒドロキシルNH2およびC3までのアルキルアミン官能基;CN、NO2等のような他のNまたはS含有置換基等であり得る。
【0043】
1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)m‐Ph‐(CH2)o‐であり;mとoの和は、1、2または3であり;1個のCH2は、SまたはOによって置きかえることができる。
もう1つの実施態様においては、Aは‐CH2‐Ar‐OCH2‐である。もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2‐Ph‐OCH2‐である。もう1つの実施態様においては、Phは、1および3位置で結合しており、或いは、Aが下記に示す構造を有するときのようなm‐インターフェニレンとして知られる。
【化17】

【0044】
もう1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)6‐、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3‐または‐CH2C≡C‐(CH2)3‐であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置きかえることができ;或いは、Aは、‐(CH2)2‐Ph‐であり、1個のCH2はSまたはOによって置きかえることができる。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)6‐、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3‐または‐CH2C≡C‐(CH2)3‐であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置きかえることができ;或いは、Aは、‐(CH2)2‐Ph‐である。
1つの実施態様においては、Arは、チエニルである。
【0045】
他の実施態様においては、Aは、下記の構造の1つを有する。
【化18】

【0046】
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2OCH2Ar‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2SCH2Ar‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)3Ar‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2O(CH2)4‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2S(CH2)4‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)6‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2C≡C‐(CH2)3‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐S(CH2)3S(CH2)2‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)4OCH2‐である。
【0047】
もう1つの実施態様においては、Aは、シス‐CH2CH=CH‐CH2OCH2‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2CH≡CH‐CH2OCH2‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐(CH2)2S(CH2)3‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2‐Ph‐OCH2‐であり、Phはインターフェニレンである。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2‐mPh‐OCH2‐であり、mPhはm‐インターフェニレンである。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2‐O‐(CH2)4‐である。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2‐O‐CH2‐Ar‐であり、Arは2,5‐インターチエニレンである。
もう1つの実施態様においては、Aは、‐CH2‐O‐CH2‐Ar‐であり、Arは2,5‐インターフリレンである。
【0048】
もう1つの実施態様においては、Aは、(3‐メチルフェノキシ)メチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、(4‐ブチ‐2‐イニルオキシ)メチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、2‐(2‐エチルチオ)チアゾール‐4‐イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、2‐(3‐プロピル)チアゾール‐5‐イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、3‐(メトキシメチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、3‐(3‐プロピルフェニル)である。
もう1つの実施態様においては、Aは、3‐メチルフェネチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、4‐(2‐エチル)フェニルである。
【0049】
もう1つの実施態様においては、Aは、4‐フェネチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、4‐メトキシブチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5‐(メトキシメチル)フラン‐2‐イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5‐(メトキシメチル)チオフェン‐2‐イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5‐(3‐プロピル)フラン‐2‐イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5‐(3‐プロピル)チオフェン‐2‐イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、6‐ヘキシルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、(Z)‐6‐ヘキセ‐4‐エニルである。
【0050】
Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである。
アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニル等のような芳香族環または環系である。
ヘテロアリールは、環中に1個以上のN、OまたはS原子を有するアリールである、即ち、1個以上の環炭素が、N、Oおよび/またはSによって置換されている。限定するつもりはないが、ヘテロアリールの例としては、チエニル、ピリジニル、フリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、イミジゾールオリル(imidizololyl)、インドリル等がある。
【0051】
アリールまたはヘテロアリールの置換基は、安定でなければならず、各々20個までの非水素原子と必然なだけの水素原子を有し得る;非水素原子は、任意の安定な組合せにおけるC、N、O、S、P、F、Cl、Brおよび/またはIである。しかしながら、組合せた全ての置換基における非水素原子の総数も、20個以下でなければならない。上記で列挙した原子以外に、置換基は、置換基が酸性でありその塩形が安定である場合、金属カチオンまたは上記で列挙していない原子を有する他の安定なカチオンも有し得る。例えば、‐OHは、‐O‐Na+塩を形成し得;或いは、CO2Hは、CO2‐K+塩を形成し得る。上記塩の存在し得るカチオンは、上記20個の非水素原子には計数しない。
【0052】
従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、置換基は、下記であり得る:
ヒドロカルビル、即ち、アルキル、アルケニル、アルキニル等のような炭素と水素のみからなる成分、線状、枝分れまたは環状のヒドロカルビルおよびこれらの組合せを包含する;
OCH3、OCH2CH3、O‐シクロヘキシル等のようなO‐ヒドロカルビルを意味する、19個までの炭素原子のヒドロカルビルオキシ
CH2OCH3、(CH2)2OCH(CH3)2等のような他のエーテル置換基;
S‐ヒドロカルビルおよび他のチオエーテル置換基のようなチオエーテル置換基;
CH2OH、C(CH3)2OH等のようなヒドロキシアルキルを含むヒドロカルビル‐OHを意味する、19個までの炭素原子のヒドロキシヒドロカルビル
アセチル、プロパニル等のようなアシル、即ち、下記:
【化19】

アシルオキシ、即ち、ホルメート、アセテート、プロパノエート等のような‐O‐アシル;
NO2、CN等のような、また、NH2、NH(CH2CH3OH)、NHCH3等のようなアミノを包含する窒素置換基
CO2H、エステル、アミド等のようなカルボニル置換基
クロロ、フルオロ、ブロモ等のようなハロゲン
CF3、CF2CF3等のようなフルオロカルビル
PO32‐等のようなリン置換基
S‐ヒドロカルビル、SH、SO3H、SO2‐ヒドロカルビル、SO3‐ヒドロカルビル等のようなイオウ置換基
OH。
置換基は、同一または異なるものであり得る。
【0053】
1つの実施態様においては、Bは、1、2または3個の置換基を有するフェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bの少なくとも1個の置換基は、C1‐3アルキル、ClまたはFである。
もう1つの実施態様においては、Bの置換基の全てが、C1‐3アルキル、Cl、Fまたはヒドロキシアルキルである。
【0054】
置換アリールまたはヘテロアリールは、その環または環系が担持する限りの置換基を有し得、置換基は同一または異なるものであり得る。従って、例えば、アリール環またはヘテロアリール環は、クロロとメチル;メチル、OHおよびF;CN、NO2およびエチル等によって置換し得、本開示に照らして可能性のある任意の考えられる置換基または置換基の組合せを含み得る。
また、置換アリールまたは置換ヘテロアリールは、1個以上の環が芳香族であり、1個以上の環が芳香族ではない二環式または多環式環系も含む。例えば、インダノニル、インダニル、インダノリル、テトラロニル等は、置換アリールであり、また、置換フェニルでもある。このタイプの多環式環系においては、非芳香環ではない芳香環または芳香族複素環は、分子の残余、即ち、Bではない分子部分に結合していなければならない。換言すれば、本明細書において‐B(‐は結合である)を示すいずれの構造においても、その結合は、芳香族環への直接結合である。
【0055】
ヒドロカルビルは、限定するものではないが、下記のもののような炭素と水素のみからなる成分である:
1.二重または三重炭素‐炭素結合を含有しないヒドロカルビルであるアルキル;アルキルとしては、限定するものではないが、下記がある:
線状アルキル、環状アルキル、枝分れアルキル、およびこれらの組合せ;
限定するものではないが、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、n‐プロピル等のような、1個、2個または3個の炭素原子を有するアルキルを称するC1‐3アルキル;
限定するものではないが、メチル、エチル、各プロピル異性体、シクロプロピル、各ブチル異性体、シクロブチル、各ペンチル異性体、シクロペンチル、各ヘキシル異性体、シクロヘキシル等のような、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有するアルキルを称するC1‐6アルキル;
これらの用語の組合せも可能であり、その意味は、当業者にとって自明であろう;例えば、C1‐6線状アルキルは、線状でもあるC1‐6アルキルを称する;
2.1個以上の炭素‐炭素二重結合を含有するヒドロカルビルであるアルケニル;アルケニルとしては、限定するものではないが、下記がある:
線状アルケニル、環状アルケニル、枝分れアルケニル、およびこれらの組合せ;
1個、2個、3個またはそれ以上の炭素‐炭素二重結合を有するアルケニル;
3.1個以上の炭素‐炭素三重結合を含有するヒドロカルビルであるアルキニル;アルキニルとしては、限定するものではないが、下記がある:
線状アルキニル、環状アルキニル、枝分れアルキニル、およびこれらの組合せ;
1、2、3個またはそれ以上の炭素‐炭素二重結合を有するアルキニル;
4.アリール、但し、環中または置換基としてのいずれであってもヘテロ原子を含有しないことを条件とする;および、
5.上記の任意の組合せ。
【0056】
C1‐6ヒドロキシアルキルは、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換チエニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換ナフチルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換フリルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換ピリジニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換ベンゾチエニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換インダニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換または非置換テトラロニルである。
【0057】
もう1つの実施態様においては、Bは、1、2、3、4または5個の置換基を有し;各置換基は、1個以上の炭素、フッ素、塩素、臭素、酸素またはイオウ原子を有し、置換基全部は、まとめると、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子;0、1、2、3、4、5、6、7、8または9個のフッ素原子;0、1、2または3個の塩素原子;0、1、2または3個の臭素原子;0、1、2または3個の酸素原子;0、1、2または3個のイオウ原子;0、1、2または3個の窒素原子および0〜24個の水素原子からなる。
もう1つの実施態様においては、Bは、1、2、3、4または5個の置換基を有し;各置換基は、1個以上の炭素、フッ素、塩素、臭素または酸素原子を有し、置換基全部は、まとめると、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子;0、1、2、3、4、5、6、7、8または9個のフッ素原子;0、1、2または3個の塩素原子;0、1、2または3個の臭素原子;および、0、1、2または3個の酸素原子および0〜24個の水素原子からなる。
【0058】
もう1つの実施態様においては、Bは、式CaHbOcの置換基を有し;式中、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19であり;そして、cは、0、1、2または3である。
もう1つの実施態様においては、Bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有する1、2、3または4個のアルキル置換基を有する。
もう1つの実施態様においては、Bは、ヒドロキシアルキル置換基を有し;該ヒドロキシアルキル置換基は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子と1または2個のヒドロキシ成分とを有する。
もう1つの実施態様においては、Bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキル置換基を有する。
【0059】
Bの有用な成分の例を下記に示す。各々を、個々に、1つの実施態様として意図する。
【化20】

【0060】
【化21】

【0061】
【化22】

【0062】
【化23】

【0063】
【化24】

【0064】
上記の実施態様において、xは5、6または7であり、y+zは2x+1である。
1つの実施態様においては、xは5であり、y+zは11である。
もう1つの実施態様においては、xは6であり、y+zは13である。
もう1つの実施態様においては、xは7であり、y+zは15である。
【0065】
化合物、置換基、成分、またはあり得る構造的特徴は、これらが化合物を室温で通常の大気条件下に少なくとも12時間単離するのに十分に安定である場合或いはこれらが本明細書において開示する少なくとも1つの使用において有用であるように十分に安定である場合に安定である。
芳香族なる用語は、当該技術において一般的に理解されている意味を称する、即ち、この用語は、4N+2のリング電子(例えば、2、6、10個等)を有する不飽和の十分に共役した環を称する。従って、フェニル、ピリジニル、チエニル、フリル等は、芳香族である。アリールは、芳香族である成分である。
重原子は、水素ではない原子である。
【0066】
製薬上許容し得る塩は、親化合物の活性を保持し、且つ、親化合物と比較して、投与する対象者に対してまた投与するのに関連して何らさらなる有害なまたは厄介な作用を与えない任意の塩である。また、製薬上許容し得る塩は、酸、他の塩、または酸もしくは塩に転換するプロドラッグの投与の結果として生体内で生じ得る任意の塩も称する。有用な塩の例としては、限定するものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等がある。
特に断らない限り、化合物に関する説明は、開示した構造体の製薬上許容し得る塩およびプロドラッグを包含するものと広く解釈すべきである。
【0067】
立体化学特性が明確に示されていない限り、構造体は、純粋または任意の可能性ある混合物中双方の全ての可能性ある立体異性体を包含するものとする。具体的には、下記の構造において示す立体化学特性を有する化合物を意図する。
【0068】
【化25】

【0069】
当業者であれば、ハッチ型ウェッジ/固形ウェッジ(hatched wedge/solid wegde)構造特性に関連する立体化学の意味は理解していることである。例えば、入門有機化学教本(Francis A. Carey, Organic Chemistry, New York: McGraw-Hill Book Company 1987, p. 63)は、“ウェッジは紙面から観察者に向かう結合を示す”、さらにハッチ型ウェッジは“観察者から後退する結合を示す”と説明している。
本発明の目的においては、“治療する”“処置する”または“治療”とは、化合物、組成物、治療活性剤または薬物の、疾患または他の望ましくない症状の診断、治療、緩和、治療、予防における使用を称する。
【0070】
本明細書に開示する化合物は、哺乳類の緑内障または上昇眼内圧の治療用医薬品の製造において有用である。
もう1つの実施態様は、本明細書に開示する化合物を含む組成物であり、該組成物は、眼科的に許容し得る液体である。
もう1つの実施態様は、本明細書に開示する化合物を含む医薬品であり、該医薬品は、眼科的に許容し得る液体である。
もう1つの実施態様は、本明細書に開示する化合物を哺乳類に緑内障または上昇眼内圧の治療のために投与することを含む方法である。
もう1つの実施態様は、本明細書に開示する化合物含む組成物、容器、並びに上記組成物を緑内障または眼内圧上昇の治療のために哺乳類に投与するための使用説明書を含むキットである。
【0071】
本明細書に開示した化合物のような化合物を眼科および他の製薬製剤用に調合する方法は、当該技術において周知である。例えば、2006年9月18日に出願された米国特許出願第10/599,046号(本明細書に参考として合体させる)は、典型的な調合方法を記載している。
【0072】
合成方法
スキーム1
【化26】

【0073】
本明細書に開示した化合物を製造する多くの可能性ある方法が存在するけれども、1つの有力な一般的な方法を上記のスキーム1に概略している。クロロメチルアリール化合物Cl‐CH2‐Bを、塩基を使用して化合物Iの窒素に付加させて、化合物IIを形成する。これらの化合物の多くは商業的に入手可能であり、より多くは、当該技術において既知の方法を使用して、商業的に入手可能な化合物から容易に調製し得る。他のハロメチルアリール化合物、並びにトリフラート、トシレート等のような他の離脱基も使用し得る。その後、化合物IIを、‐CH2‐OTBS基をAに転換することによって特許請求する化合物に転換することができる。この転換を実施する多くの方法が当該技術において公知である。例えば、米国特許出願第10/599,046号は、種々のA基を有する所望化合物を得るように適応化し得る手順を記載している。
【0074】
スキーム2は、調製する1つの典型的な化合物(5)の合成を説明している。
スキーム2
【化27】

【0075】
(R)‐5‐(((1‐(3,5‐ジクロロベンジル)‐5‐オキソピロリジン‐2‐イル)メトキシ)メチル)チオフェン‐2‐カルボン酸(5)
工程1:2を得るための1のAによるアルキル化
水素化ナトリウム(40mgの油中60%分散液、1.0ミリモル)を、DMF(5mL)中の1(200mg、0.87ミリモル)の溶液に添加した。室温で30分後、DMF(3.7mL)中のA (Acros Chemical社から商業的に入手可能;187mg、0.96ミリモル)の溶液を、次いで、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(32mg、0.087ミリモル)を添加した。混合物を40℃で18時間加熱し、その後、室温に冷却した。混合物をEtOAc (50mL)と水(50mL)間に分配させた。相を分離し、水相をEtOAc (2×20mL)で抽出した。混ぜ合せた有機相を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を12gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、70mg (21%)の2を得た。
【0076】
工程2:3を得るための2の脱保護
フッ化テトラブチルアンモニウム(2.54mLのTHF中1.0M溶液、0.54ミリモル)を、室温のTHF (1.0mL)中の2(70mg、0.18ミリモル)の溶液に添加した。室温で18時間後、混合物をEtOAc (15mL)で希釈し、水(2×15mL)と塩水(10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、40mg (81%)の3を得た。
【0077】
工程3:4を得るための3のBによるアルキル化
水素化ナトリウム(9mgの油中60%分散液、0.23ミリモル)を、0℃のDMF (0.36mL)中の3(40mg、0.15ミリモル)の溶液に添加した。混合物を室温に温めた。室温で30分後、DMF(0.36mL)中のB(2006年6月14日に出願された米国仮特許出願第60/804,680号(本明細書に参考として合体させる)参照;29mg、0.12ミリモル)の溶液を添加した。10分後、反応物を水(10mL)とCH2Cl2 (20mL)間に分配させた。相を分離し、水相をCH2Cl2 (2×10mL)で抽出した。混ぜ合せた有機相を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗残留物を4gのシリカ上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→EtOAc、勾配)により精製して、20mg (38%)の4を得た。
【0078】
工程4:5を得るための4の鹸化
水酸化リチウム(0.30mLの水中1.0M溶液、0.30ミリモル)溶液を、THF(0.20mL)中の4(20mg、0.047ミリモル)の溶液に添加した。混合物を10%HCL (5mL)とEtOAc (5mL)間に分配させた。相を分離し、水相をEtOAc (2×5mL)で抽出した。混ぜ合せた抽出物を塩水(5mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。
粗残留物を4gのシリカ上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%MeOH/CH2Cl2)により精製して、11mg (57%)の5を得た。
【0079】
生体外試験
2006年10月26日に出願された米国特許出願第11/553,143号(本明細書に参考として合体させる)は、下記の表の生体外データを得るのに使用する方法を記載している。
【0080】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化1】

(式中、Yは、有機酸官能基またはその14個までの炭素原子を含むアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであるか;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Aは、‐(CH2)6‐、シス‐CH2CH=CH‐(CH2)3‐または‐CH2C≡C‐(CH2)3‐であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置きかえることができ;或いは、Aは、‐(CH2)m‐Ar‐(CH2)o‐であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個の‐CH2‐はSまたはOによって置きかえることができ、1個の‐CH2‐CH2‐は‐CH=CH‐または‐C≡C−によって置きかえることができ;そして、
Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである)。
【請求項2】
下記の式を有する請求項1記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化2】

(式中、点線は、結合の存在または不存在を示し;そして、
Gは、‐CH‐、‐CH2‐、OまたはSである)。
【請求項3】
Gが、Oである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Gが、‐CH2‐である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
Bが、置換フェニルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項6】
Bが、ジクロロフェニルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
下記の式を有する請求項2記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化3】

(式中、Raは、H、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、またはフェニルである)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物を、必要とする哺乳類に投与することを含む緑内障または上昇眼内圧の治療方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物の、緑内障または上昇眼内圧の治療用医薬品の製造における使用。

【公表番号】特表2010−519208(P2010−519208A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549670(P2009−549670)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/053386
【国際公開番号】WO2008/100809
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】