説明

緑化用パネル及び屋上緑化構造

【課題】灌水パイプの配設状態にかかわらず、その灌水パイプを基準とした灌水範囲を極力拡げると共に、植物の根腐れを防止できる緑化用パネルを提供する。
【解決手段】緑化用パネル上面に灌水パイプ収納溝4A,4Bが土収納溝7A,7Bに交差しつつ横切るように形成され、その灌水パイプ収納溝4A,4B内が、灌水パイプ収納溝4A,4Bと土収納溝7A,7Bとの交差部において、土収納溝7A,7B内に臨むように形成されている。土収納溝7A,7Bの内底面13A,13Bには排出孔9が開口され、灌水パイプ収納溝4A,4Bの内底面4Aa,4Baが排出孔9よりも高い位置に位置されている緑化用パネルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上の緑化を図るために用いられる緑化用パネル及びその緑化用パネルを用いた屋上緑化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の緑化用パネルを用いて屋上の緑化(植物の栽培)を図り、屋上からの熱の吸収、放出を緩和することが行われている。この緑化用パネルとしては、特許文献1に示すように、基板部上に複数の嵩上げ部を上方に突出した状態で一体的に設け、該複数の嵩上げ部の隣り合う側面により植栽基盤材(土壌等)を収納するための植栽基盤材収納部を格子状に区画するものが提案されている。このものにおいては、植栽基盤材を、主として限られた植栽基盤材収納部内に充填して使用することから、嵩上げ部に相当する分の植栽基盤材を減らすことができる。このため、この緑化用パネルを用いた場合には、基盤が植栽基盤材のみで構成されている場合に比べて、屋上の設置面に作用する荷重を著しく減少させることができる。
【0003】
ところで、上記緑化用パネルを用いた屋上緑化構造においては、緑化用パネルを屋上の設置面に敷き詰めるに際し、連続することになる植栽基盤材収納部の一方の向き(格子状の一方の植栽基盤材収納部の向き)を屋上設置面の水勾配(屋上設置面に形成される水排出の勾配(例えば1〜2度))に沿うようにし、灌水パイプを、その水勾配に沿う方向(縦方向)に対して直交する方向(横方向)に延びるように配設することとされている。この屋上緑化構造の下で灌水パイプにより灌水を行えば、その水は、屋上設置面の水勾配に沿う方向に連続する植栽基盤材収納部(縦方向に延びる植栽基盤材収納部)に案内されて下方側に流れる(浸透)ことになり、灌水パイプを基準とした灌水範囲を屋上設置面の水勾配に沿う方向に拡げることができると共に、過剰な貯水に基づき、植栽基盤材収納部(植栽基盤材)内で育成する植物が根腐れを起こすことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−17850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、屋上設置面の状態等によっては、必ずしも灌水パイプを屋上設置面においてその水勾配に沿う方向に直交する方向に延びるように配設することはできず、例えば、灌水パイプを屋上設置面の水勾配に沿う方向に延びるように配置しなければならない場合がある。このような場合には、灌水パイプからの水が、屋上設置面においてその水勾配に沿う方向に直交する方向に延びる植栽基盤材収納部に供給されるものの、その水に屋上設置面の水勾配に基づく力が働くことから、灌水パイプを基準としてあまり遠くまで流れる(浸透する)ことはできず、そこに水が過剰に貯水されるおそれがある。このため、灌水パイプを屋上設置面の水勾配に沿う方向に延びる配置とする場合には、灌水パイプを基準とした灌水範囲が狭くなるばかりか、植栽基盤材収納部(植栽基盤材)内で育成する植物が根腐れを起こすおそれがある。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の技術的課題は、灌水パイプの配設状態にかかわらず、その灌水パイプを基準とした灌水範囲を極力拡げると共に、植物の根腐れを防止できる緑化用パネルを提供することにある。
第2の技術的課題は、上記緑化用パネルを用いた屋上緑化構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
基板部上に複数の嵩上げ部が上方に突出した状態で一体的に設けられ、該複数の嵩上げ部の隣り合う側面により植栽基盤材を収納するための植栽基盤材収納部が区画されている緑化用パネルにおいて、
上面に、灌水パイプを収納するための灌水パイプ収納溝が前記植栽基盤材収納部に交差しつつ前記基板部を横切るように形成され、
前記灌水パイプ収納溝内が、該灌水パイプ収納溝と前記植栽基盤材収納部との交差部において、該植栽基盤材収納部内に臨むように形成され、
前記植栽基盤材収納部の内底面に、前記基板部の下面側に連通する排出孔が開口され、
前記灌水パイプ収納溝の内底面が、前記排出孔よりも高い位置に位置されている構成とされている。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2〜10の記載の通りとなる。
【0008】
前記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項11に係る発明)にあっては、
屋上の設置面上に複数の請求項1に係る緑化用パネルが、該各請求項1に係る緑化用パネルにおける灌水パイプ収納溝が連続するように敷設され、
前記連続する複数の灌水パイプ収納溝内に、灌水パイプが跨るようにして収納され、
前記各緑化パネルの植栽基盤材収納部内及び前記連続する複数の灌水パイプ収納溝内に植栽基盤材が充填されている、
ことを特徴とする屋上緑化構造とした構成とされている。
【発明の効果】
【0009】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、当該緑化用パネルを、その灌水パイプ収納溝に灌水パイプを収納して屋上設置面に設置した場合には、灌水パイプ収納溝の内底面が排出孔よりも高い位置に位置されていることに基づき、灌水パイプから供給される水は、灌水パイプの配設状態にかかわらず、植栽基盤部収納部内を排出孔に向けて積極的に流動(浸透)することになり、その間、その水は、植栽基盤部収納部内に収納される植栽基盤材に的確に供給され、余分な水は排出孔から排出される。このため、灌水パイプの配設状態にかかわらず、その灌水パイプを基準とした灌水範囲を極力拡げると共に、水が植栽基盤材収納部内に過剰に貯水されて植物が根腐れを起こすことを防止できる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、植栽基盤材収納部が、溝状に形成されて、灌水パイプ収納溝と排出孔との間に掛け渡されるように延び、植栽基盤材収納部の内底面が、灌水パイプ収納溝から排出孔に向うに従って低くなるように傾斜されていることから、具体的に、前記請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、基板部が平面視略四角形状に形成されていることに基づき、当該緑化用パネルを屋上設置面上に容易に敷き詰めることができるだけでなく、その緑化用パネルの敷き詰めにより各緑化用パネルにおける灌水パイプ収納溝を簡単に連続させることができ、その連続する複数の灌水パイプ収納溝に1本の灌水パイプを収納することができる。このため、1本の灌水パイプにより複数の緑化用パネルを屋上設置面に対して押さえ付けることができるばかりか(緑化用パネルの保持に貢献)、灌水構造及びその施工の簡素化を図ることができる。
また、排出孔が、他方の組の対向する辺部側にそれぞれ位置され、植栽基盤材収納部が、基板部上に一方の組の対向する辺部に略平行となるように複数形成され、各植栽基盤材収納部が、灌水パイプ収納溝と前記各排出孔との間にそれぞれ掛け渡されていることから、灌水パイプ収納溝を基準として両側に植栽基盤材収納部をそれぞれ延ばして、灌水範囲を極力拡げることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、基板部が、平面視略正方形状に形成され、灌水パイプ収納溝が、基板部における一方の組の対向する辺部間をその辺部の延び方向略中央において横切るように延びる第1灌水パイプ収納溝と、基板部における他方の組の対向する辺部間をその辺部の延び方向略中央において横切るように延びる第2灌水パイプ収納溝と、を備え、排出孔が、第1灌水パイプ収納溝を基準として、他方の組の対向する辺部側に位置される第1排出孔と、第2灌水パイプ収納溝を基準として、一方の組の対向する辺部側に位置される第2排出孔と、を備え、植栽基盤材収納部が、基板部上に一方の組の対向する辺部に略平行となるように形成されて第1灌水パイプ収納溝と各第1排出孔との間に掛け渡される第1植栽基盤材収納部と、基板部上に他方の組の対向する辺部に略平行となるように形成されて第2灌水パイプ収納溝と各第2排出孔との間に掛け渡される第2植栽基盤材収納部と、を備えていることから、屋上設置面上に当該緑化用パネルを敷き詰めるに際して、既に敷設された緑化用パネル(隣り合うことになる緑化用パネル)の灌水パイプ収納溝(第1又は第2灌水パイプ収納溝)に対して、当該緑化用パネルの第1灌水パイプ収納溝でも、第2灌水パイプ収納溝でも連続させることができることになり、当該緑化用パネルを、敷設の向きを考慮することなく(第1又は第2灌水パイプ収納溝を用いるか否かを考慮することなく)、施工面上に敷き詰めることができる。このため、当該緑化用パネルの敷設作業の容易化を図ることができる。
また、前記請求項3の場合同様、灌水パイプ収納溝を基準として両側に植栽基盤材収納部をそれぞれ延ばして、灌水範囲を極力拡げることができる。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、灌水パイプ収納溝の内底面が、植栽基盤材収納部の内底面に対して段差をもって高くなっていることから、前述の請求項1と同様の作用効果を具体的に得ることができる。
【0014】
請求項6に係る発明によれば、植栽基盤材収納部の内底面が、排出孔に近づくに従って低くなっていることから、植栽基盤材収納部における内底面の傾斜によっても、灌水パイプからの水を排出孔に導くことができ、灌水パイプを基準とした灌水範囲の拡大と植物の根腐れ防止とを、確実に図ることができる。
【0015】
請求項7に係る発明によれば、植栽基盤材収納部に、ポット状の植物を収納するための略円筒状のポット植物収納部が形成されていることから、予め決められたポット植物の収納位置に基づき、見栄えがよい植物の配置を実現できる。
【0016】
請求項8に係る発明によれば、基板部の下面に、方向を異にする複数の排出溝が交差するように形成され、複数の排出溝の交差部分に排出孔が開口され、各排出溝の溝端が、基板部の周面から外方に向けて開口されていることから、余分な水を複数の排出溝により基板部周面の外方に排水できることになり、排水を円滑に行うことができる。
【0017】
請求項9に係る発明によれば、植栽基盤材収納部が、複数設けられ、排出孔が、各植栽基盤材収納部の内底面にそれぞれ開口され、基板部の下面に複数の排出溝が、各排出溝の溝端が基板部の周面から外方に向けて開口するようにそれぞれ形成され、各排出孔が、各排出溝内にそれぞれ開口され、基板部の下面に、各排出溝同士を互いに連絡する連絡溝が形成されていることから、植栽基盤材収納部及び排出孔が複数設けられている場合においても、複数の排出溝及び連絡溝により、余分な水を外部に円滑に排水することができる。
【0018】
請求項10に係る発明によれば、基板部の下面周縁部に切り欠き状の切り欠き段部が形成され、切り欠き段部内に各排出溝の溝端が臨んでいることから、隣り合う緑化用パネルが互いの切り欠き段部により排水通路を形成することになり、余分な水は、各緑化用パネルにおける周囲の排水通路によっても外部に排水されることになる。このため、排水性能を高めることができる。
【0019】
本発明(請求項11に係る発明)によれば、請求項1に係る緑化用パネルを敷設等して構成されることになり、請求項1に係る緑化用パネルを用いた屋上緑化構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る緑化用パネルを上面側から示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る緑化用パネルを下面側から示す斜視図。
【図3】第1実施形態に係る緑化用パネルの構造を説明する説明図。
【図4】第1実施形態に係る緑化用パネルを用いた屋上緑化構造を説明する説明図。
【図5】第1実施形態に係る緑化用パネルを用いた屋上緑化構造を示す縦断面図。
【図6】第1実施形態に係る屋上緑化構造において、横方向に延びる連続溝に灌水パイプを収納したときにおける水の流れを説明する拡大説明図。
【図7】第1実施形態に係る屋上緑化構造の変形態様(縦方向に延びる連続溝に灌水パイプを収納した態様)を説明する説明図。
【図8】第1実施形態に係る屋上緑化構造において、縦方向に延びる連続溝に灌水パイプを収納したときにおける水の流れを説明する拡大説明図。
【図9】第2実施形態に係る緑化用パネルを上面側から示す斜視図。
【図10】第2実施形態に係る緑化用パネルを下面側から示す斜視図。
【図11】第2実施形態に係る緑化用パネルを示す平面図。
【図12】図11のX12−X12線断面図。
【図13】隣り合う緑化用パネルにおける切り欠き段部により排出通路が形成されることを説明する説明図。
【図14】第2実施形態に係る緑化用パネルを用いた屋上緑化構造を説明する説明図。
【図15】1m2当たりのポット植物数の一例を示す平面図。
【図16】1m2当たりのポット植物数の他の例を示す平面図。
【図17】1m2当たりのポット植物数のさらに他の例を示す平面図。
【図18】1m2当たりのポット植物数のさらに他の例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1実施形態を示す図1〜図8において、符号1は、屋上のスラブ面に設置される屋上緑化構造に用いられる第1実施形態に係る緑化用パネル1を示す。緑化用パネル1は、本実施形態においては、発泡樹脂である発泡プロピレン樹脂や、発泡ポリエチレン樹脂等を用いて樹脂成形体として一体成形されており、その緑化用パネル1は、平面視略正方形状をもって所定厚みをなしている。具体的には、周囲の一辺が500mm程度、厚みが50mm程度とされている。この緑化用パネル1は、基板部2上に複数の嵩上げ部3が上方に突出した状態で一体的に設けられている。基板部2は、緑化用パネル1の下側部分を構成しており、その形状は、緑化用パネル1の外周縁形状を決めるべく、平面視略正方形状とされている。複数の嵩上げ部3は、本実施形態においては、基板部2上面の周縁部に設けられる周縁嵩上げ部3Aと、その周縁嵩上げ部3Aの内側に配置される内側嵩上げ部3Bと、からなる。周縁嵩上げ部3Aは、略一定幅をもって、基板部2(上面)の略全周に亘って配置されており、その高さ(嵩上げ量)は一定とされている。内側嵩上げ部3Bは、周縁嵩上げ部3Aの内側側面3Aaが区画する区画面よりも縮径された状態で平面視略正方形状に形成されており、この内側嵩上げ部3Bの高さ(嵩上げ量)は、前記周縁嵩上げ部3Aの高さと等しくされている。
【0022】
前記緑化用パネル1の上面には、図1,図3に示すように、灌水パイプ収納溝としての第1灌水パイプ収納溝4Aが形成されている。第1灌水パイプ収納溝4Aは、基板部2における一方の組の対向する辺部5間をその辺部5の延び方向略中央において横切るように延びており、その第1灌水パイプ収納溝4Aの各溝端は、緑化用パネル1の肉厚面(周縁嵩上げ部3Aの外側側面)から外方にそれぞれ開口されている。これにより、第1灌水パイプ収納溝4Aは、前記周縁嵩上げ部3A及び内側嵩上げ部3Bを、その第1灌水パイプ収納溝4Aの溝幅方向両側にそれぞれ分割することになる。
【0023】
前記周縁嵩上げ部3Aの内側側面3Aaと前記内側嵩上げ部3Bの外側側面3Baとの間には、図1,図3に示すように、前記第1灌水パイプ収納溝4Aの延び方向両側において、第1植栽基盤材収納部としての第1土収納溝7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2が形成されている。第1土収納溝7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2は、第1灌水パイプ収納溝4Aの延び方向両側において、一方の組の対向する辺部5に略平行となるようにしつつ、他組の対向する辺部6のそれぞれに向けて延びており、その各第1土収納溝7Aa1(7Aa2,7Ab1,7Ab2)の延び端は、緑化用パネル1の肉厚面から開口せず、その緑化用パネル1の隅部に到達するにとどまっている。この場合、第1土収納溝7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2と第1灌水パイプ収納溝4Aとの交差部分は、互いが連なるようになっており、第1灌水パイプ収納溝4A内が第1土収納溝7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2内に臨むことになっている。
【0024】
前記緑化用パネル1の上面には、図1,図3に示すように、灌水パイプ収納溝としての第2灌水パイプ収納溝4Bが形成されている。第2灌水パイプ収納溝4Bは、基板部2における他組の対向する辺部6間をその辺部6の延び方向略中央において横切るように延びており、その第2灌水パイプ収納溝4Bの各溝端は、緑化用パネル1の肉厚面(周縁嵩上げ部3Aの外側側面)から外方にそれぞれ開口されている。これにより、第2灌水パイプ収納溝4Bは、前記周縁嵩上げ部3A及び内側嵩上げ部3Bをその第2灌水パイプ収納溝4Bの溝幅方向両側にそれぞれ分割することになり、結局、前述の第1灌水パイプ収納溝4Aによる分割を合わせると、前述の周縁嵩上げ部3A及び内側嵩上げ部3Bは、それぞれ4つの分割嵩上げ部に分割されることになる。
【0025】
前記周縁嵩上げ部3Aの内側側面3Aaと前記内側嵩上げ部3Bの外側側面3Baとの間には、図1,図3に示すように、前記第2灌水パイプ収納溝4Bの延び方向両側において、第2植栽基盤材収納部としての第2土収納溝7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2が形成されている。第2土収納溝7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2は、第2灌水パイプ収納溝4Bの延び方向両側において、他組の対向する辺部6に略平行となるようにしつつ、一方の組の対向する辺部5のそれぞれに向けてそれぞれ延びており、その各第2土収納溝7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2の延び端は、緑化用パネル1の肉厚面から開口せず、その緑化用パネル1の隅部に到達するにとどまっている。
この場合、第1土収納溝7Aa1と第2土収納溝7Ba1、第1土収納溝7Aa2と第2土収納溝7Bb1、第1土収納溝7Ab1と第2土収納溝7Ba2、第1土収納溝7Ab2と第2土収納溝7Bb2が、その各延び端部において交差している。またこの場合、第2土収納溝7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2と第2灌水パイプ収納溝4Bとの交差部分は、互いが連なっており、第2灌水パイプ収納溝4B内が第2土収納溝7B内に臨むことになっている。
【0026】
前記第1土収納溝7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2と前記第2土収納溝7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2との各交差部(内底面)には、図1,図3に示すように、排出孔9がそれぞれ開口されている。各排出孔9は、同じ構成とされており、その各排出孔9は、第1土収納溝7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2内、第2土収納溝7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2内を基板部2の下面(緑化用パネル1の下面)側に連通させている。この各排出孔9内には、平面視略十字状の支持壁10が配設され、その支持壁10上には透水シート11、環状の押さえ部材12が順次、配設されている。この場合、透水シート11は排出孔9の開口を覆うように配設され、押さえ部材12は、排出孔9に嵌合されており、透水シート11は支持壁10と押さえ部材12とにより挟持(保持)されている。これにより、透水シート11は、各排出孔9において保持されて、水のみを排出して土等の流失を防止する。
【0027】
前記第1及び第2灌水パイプ収納溝4A,4Bの内底面(基板部2の上面)4Aa,4Baは、前記各排出孔9よりも高い位置に位置されている。具体的には、第1灌水パイプ収納溝4Aの内底面4Aa(基板部2の上面)が略水平とされている一方、第1土収納溝(7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2の代表符号として7Aを用いる)の内底面(基板部2の上面)13Aは、第1灌水パイプ収納溝4Aから排出孔9に向うに従って低くなるように傾斜されている。第2灌水パイプ収納溝4Bの内底面4Ba(基板部2の上面)も略水平とされている一方、第2土収納溝(7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2の代表符号として7Bを用いる)の内底面13B(基板部2の上面)は、上記第1土収納溝7Aの内底面13A同様、第2灌水パイプ収納溝4Bから排出孔9に向うに従って低くなるように傾斜されている(図3の断面部分参照)。この第1,第2土収納溝7A,7Bの内底面13A,13Bの傾斜角度は、屋上設置面における水勾配(例えば1〜2度)よりも大きくなっており、屋上設置面に緑化用パネル1を、その排出孔9を第1又は第2灌水パイプ収納溝4Bよりも屋上設置面の高い位置側に向けて配置したとしても、そのとき、第1又は第2灌水パイプ収納溝4A,4Bの内底面4Aa,4Baは、その排出孔9よりも高い位置となることになっている。
【0028】
前記基板部2の下面(緑化用パネル1の下面)2bには、図2に示すように、複数の直線状の排出溝14が形成されている。各排出溝14は、基板部2の各辺部5(6)近傍において、その辺部5(6)に沿いつつ延びており、その各排出溝14の両溝端は、基板部2の対向する肉厚面(周面)から外方に開口されている。この複数の排出溝14は、基板部2の四隅部において、周回り方向において隣り合う排出溝14がそれぞれ交差することになっており、その各交差部分(排出溝14内)に前記各排出孔9がそれぞれ臨んでいる。
【0029】
尚、図1〜図3中、符号15a,15bは、上記緑化用パネル1を屋上の施工面に固定する際に用いる係止部である。
【0030】
次に、上記緑化用パネル1を用いた屋上緑化構造について説明する。
図4において、符号16は、屋上のスラブ面17に設置される屋上緑化構造を示している。この屋上緑化構造16は、屋上のスラブ面17に耐根シート18が敷かれており、その耐根シート18上に複数の仕切用レンガ19を設置することにより、平面視四角形状の施工領域Sが区画されている。この場合、各仕切用レンガ19の下面は、基本的に、スラブ面17と耐根シート18(周縁部)とに接着剤を用いて接着され、複数の仕切用レンガ19の下面側には、施工領域S内外を連通するための水抜き孔(図示略)が、その複数の仕切用レンガ19の配設方向に一定間隔毎に形成されている。
【0031】
前記施工領域Sにおける耐根シート18上には、図4に示すように、複数の前記緑化用パネル1が、縦方向(屋上面の水勾配に沿う方向)Y及び横方向X(屋上面においてその水勾配に沿う方向に直交する方向)に列をなすようにして敷き詰められている。各緑化用パネル1は、その隣り合うものの側面同士全体が互いに対向した状態で当接されており、各緑化用パネル1における隅部の係止部15a(15b)は、その周囲に集合される他の緑化用パネル1における隅部の係止部15a(15b)と共に、係止具20を用いてスラブ面17に対して固定されている。これにより、各緑化用パネル1は、屋上のスラブ面17に保持され、風等により飛ばされることはない。図4中の符号20aは、予めスラブ面17に固定される係止具20の一部である。また、符号21は、施工領域S内に緑化用パネル1だけでは敷き詰めることができない場合に用いる敷き詰め調整用透水マットである。この場合、土等の流失を防止する透水シート22が、仕切用レンガ19の内側側面及び透水マット21の表面等を覆うことになる。
【0032】
横方向Xに並ぶ緑化用パネル1の各列においては、図4に示すように、各緑化用パネル1における第1又は第2灌水パイプ収納溝4A,4Bが連なって、横方向Xに延びる連続溝23Aが縦方向Yに所定間隔(例えば500mm)毎に構成され、縦方向Yに並ぶ緑化用パネル1の各列においては、同図4に示すように、各緑化用パネル1における第1又は第2灌水パイプ収納溝4A,4Bが連なって、縦方向Yに延びる連続溝23Bが横方向Xに所定間隔(例えば500mm)毎に構成されている。本実施形態においては、各緑化用パネル1が平面視略正方形状に形成され、その各緑化用パネル1において、第1灌水パイプ収納溝4Aが、基板部2における一方の組の対向する辺部5間をその辺部5の延び方向略中央において横切るように延び、第2灌水パイプ収納溝4Bが、基板部2における他方の組の対向する辺部6間をその辺部6の延び方向略中央において横切るように延びていることから、各緑化用パネル1を、縦列、横列となるように揃えるだけで縦方向Y及び横方向Xに延びる連続溝23A,23Bが形成され、各緑化用パネル1の敷設に際して、第1,第2灌水パイプ収納溝4A,4Bを考慮して、各緑化用パネル1の向きを決める必要はない。このため、各緑化用パネル1の敷設作業については容易となっている。
【0033】
この屋上緑化構造16においては、図4に示すように、横方向Xに延びる各連続溝23A内に、水を供給する灌水パイプ24がそれぞれ収納されている。各灌水パイプ24は、横方向Xに並ぶ緑化用パネル1を横切るように延びており、この各灌水パイプ24により、水が、各緑化用パネル1において縦方向Yに延びる土収納溝(第1又は第2土収納溝7A,7Bの代表符号として符号7を用いる)、灌水パイプ24が収納されず縦方向Yに延びる各連続溝23Bに対して供給されることになっている(所定間隔毎の水供給孔は図示略)。この灌水パイプ24としては、ドリップチューブが好ましい。また、灌水パイプ24により緑化用パネル1をスラブ面17に押し付けるべく、灌水パイプ24は、取付け具(図示略)を介してスラブ面17に固定することが好ましい。
【0034】
施工領域S内に敷き詰められた上記各緑化用パネル1においては、図4,図5に示すように、縦方向Y及び横方向Xに延びる土収納溝7内及び連続溝23A,23B内に、植栽基盤材としての土25が充填されていると共に、その上側に、さらに覆土26が施されている。この覆土26上には芝生マット27が敷設されており、この芝生マット27における芝生の根は、縦方向に延びる連続溝23B及び土収納溝7の各列に対応させて配置されている。
【0035】
このような屋上緑化構造16においては、各緑化用パネル1における複数の嵩上げ部3に相当する分の土が減ることになり、屋上緑化構造16の重量の低減を図ることができる。
【0036】
また、この屋上緑化構造16においては、各灌水パイプ24から水が、敷き詰められた緑化用パネル1における縦方向Yに延びる土収納溝7及び連続溝23B(灌水パイプ24が収納されていない灌水パイプ収納溝4A又は4Bが連続して構成されるもの)に供給される。縦方向Yに延びる土収納溝7のうち、各灌水パイプ24を基準として屋上設置面の低い側に位置するものに関しては、屋上設置面の水勾配及び土収納溝7の内底面(13A,13Bの代表符号として13を用いる。)の傾斜に基づき、水は、図4,図6の矢印(水の流れを示す)に示すように、屋上設置面の低い側に向けて流れ、それに伴い、水がその土収納溝7内の土(図6においては図示略)に供給され、余った水は、排出孔9から排出される。一方、縦方向Yに延びる土収納溝7のうち、各灌水パイプ24を基準として高い側に位置するものに関しては、屋上設置面の水勾配に勝る土収納溝7の内底面13の傾斜に基づき、図4,図6の矢印に示すように、屋上設置面の高い側に向けて流れ、それに伴い、水がその土収納溝7内の土に供給され、余った水は、排出孔9から排出される。このため、土収納溝7に関しては、各灌水パイプ24を基準として両側に灌水範囲を極力拡げると共に、水が土収納溝7内に過剰に貯水されて植物が根腐れを起こすことを防止できる。
【0037】
また、縦方向Yに延びる連続溝23Bに関しては、図4,図6の矢印に示すように、屋上設置面の水勾配に基づき、屋上設置面の低い側に向けて流れて排水される。この間、連続溝23B内の土に水が供給され、余った水は、排水として、仕切用レンガ19側へと流れる。
【0038】
この結果、水が芝生マット27における芝生の根に的確に供給され、芝生は、根腐れを起こすことなく順調に育成される。
【0039】
また、屋上緑化構造16においては、上述のように、灌水パイプ24を横方向Xに延びる各連続溝23A内に収納して用いる態様に限らず、屋上の状態に応じて、図7,図8に示すように、灌水パイプ24を縦方向Yに延びる各連続溝23B内に収納して用いる態様がある。この場合には、各灌水パイプ24からの水が、その各灌水パイプ24を基準として横方向X両側において横方向Xに延びる各土収納溝7内に供給される。この水は、屋上設置面の水勾配に勝る土収納溝7の内底面13の傾斜に基づき、図7,図8の矢印に示すように、横方向Xに積極的に流れる(浸透する)ことになり、それに伴い、水はその土収納溝7内の土(図8では図示略)に供給され、余った水は、排出孔9から排出される。このため、この場合においても、土収納溝7に関しては、各灌水パイプ24を基準として横方向両側に灌水範囲を極力拡げると共に、水が土収納溝7内に過剰に貯水されて植物が根腐れを起こすことを防止できる。これにより、水が芝生マット27における芝生の根に的確に供給され、芝生は順調に育成される。
尚、本実施形態においては、横方向Xに延びる連続溝23A(灌水パイプ24が収納されていない灌水パイプ収納溝4A又は4Bが連続して構成されるもの)にも、灌水パイプ24から水が供給され、その連続溝23A(連続溝23A内の土)の下でも、植物が育成される。
【0040】
図9〜図18は第2実施形態を示す。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図9〜図18に示す第2実施形態は、いわゆるポット植物(ポット苗)を育成する緑化用パネル1を示している。この第2実施形態においては、平面視正方形状の緑化用パネル1の上面に、前記第1実施形態同様、第1,第2灌水パイプ収納溝4A,4Bが十字状に形成されており、その緑化用パネル1の上面は、第1,第2灌水パイプ収納溝4A,4Bにより4つの領域P1〜P4に区画されている。各領域P1〜P4には、複数の嵩上げ部3が設けられて、それらの側面3aにより植栽基盤材収納部としての土収納溝7が蛇行したような状態でそれぞれ形成されている。この各領域P1〜P4における土収納溝7は、第1及び第2灌水パイプ収納溝4A,4Bに交差しており、その交差部分は、切り欠かれて、第1及び第2灌水パイプ収納溝4A,4Bと各領域P1〜P4における土収納溝7とを連通させている。各領域P1〜P4における土収納溝7は、その内底面13が第1及び第2灌水パイプ収納溝4A,4Bの内底面4Aa,4Baに対して段差をもって低くなっており、その各土収納溝7には、いわゆるポット植物28(図14参照)を収納できるようにすべく、略円筒状をなすポット植物収納部29が複数形成されている。その各領域P1〜P4における略円筒状ポット植物収納部29の内底面(土収納溝7の内底面)13には、そのうちの1つ又は2つにおいて、排出孔9が形成されており、その1つの排出孔9については(領域P1,3)、第1及び第2灌水パイプ収納溝4A,4Bから最も近い略円筒状ポット植物収納部29の内底面13に形成されている(図11参照)。この場合、土収納溝7の内底面13は、排出孔9を有するものの方が排出孔9を有しないものに比して低くなっており、その両者間における内底面13は、図12に示すように、傾斜面30をもって形成されている(領域P1,P3参照)。本実施形態においては、上述の通り、1つの排出孔9を有する領域P1,P3に関しては、その排出孔9が第1及び第2灌水パイプ収納溝4A,4Bから最も近い略円筒状ポット植物収納部29の内底面13に形成されているが、その排出孔9を、第1及び第2灌水パイプ収納溝4A,4Bから最も遠い略円筒状ポット植物収納部29の内底面に形成してもよい。灌水パイプ24からの水の流れる範囲を拡げて、灌水範囲を極力拡大するためである。
尚、図9,図11,図12おいては、土の流失を防ぐ透水シート11、その透水シート11を排出孔9内の支持壁10に押し付ける押さえ部材12は省略されている。
【0042】
本実施形態においては、各領域P1〜P4における土収納溝7内にできるだけ多くのポット植物28を多く配置できるようにすべく、図11に示すように、土収納溝7の溝端が緑化用パネル1の肉厚面から外部に開口されて、その土収納溝7の溝端部分が略半円筒状に形成されている。この略半円筒状の溝端部分31は、隣り合うことになる別の緑化用パネル1における土収納溝の略半円筒状溝端部分31と協働して、略円筒状のポット植物収納部29を形成することになる。このような土収納溝7のうち、2つの溝端が略半円筒状溝端が緑化用パネル1の肉厚面から外部に開口されている場合(領域P2,P4)には、その各溝端よりも内側の略円筒状のポット植物収納部29の内底面13にそれぞれ排出孔19が形成されている。この場合、その土収納溝7の内底面13は、排出孔9を有するものの方が排出孔9を有しないものに比して低くなっている。
【0043】
前記基板部2の下面(緑化用パネル1の下面)には、図10に示すように、複数の排出溝14が形成されている。各排出溝14の内底面には、前記各排出孔9が開口されており、その各排出溝14の溝端は、基板部2の肉厚面(周面)から外方に開口されている。また、この基板部2の下面には、各排出溝14同士を互いに連絡する連絡溝32が形成されている。このため、各排出孔9は、連絡溝32及び各排出溝14に連なることになり、複数の溝14,32を利用して水を排水できることになる。さらに、本実施形態においては、基板部2の下面側周縁部に切り欠き状の切り欠き段部33が形成されている。このため、この切り欠き段部33内には各排出溝14の溝端が臨むことになると共に、緑化用パネル1が屋上設置面に敷き詰められた際、隣り合う各緑化用パネル1の下側周縁部に排出通路35が形成されることになり、各排出溝14の溝端からの排出性能が高まることになる(図10,図13参照)。
【0044】
このような緑化用パネル1を屋上緑化構造16に用いる場合も、図14に示すように、前記第1実施形態同様、施工領域S内に緑化用パネル1が敷き詰められ、その各緑化用パネル1は、屋上のスラブ面17に固定されている。この敷き詰められた緑化用パネル1には連続溝23A,23Bが構成されており、本実施形態においては、そのうちの横方向Xに延びる連続溝23Aに、水を供給する灌水パイプ24が収納されている。また、敷き詰められた緑化用パネル1における各ポット植物収納部29内にはポット植物28が収納されており、ポット植物28は、ポット植物収納部29により保持されている。この場合、ポット植物収納部29に対するポット植物28の収納数は、適宜、調整できることになっている。図15は1平方メートル当たり16個を収納した場合、図16は1平方メートル当たり24個を収納した場合、図17は1平方メートル当たり32個を収納した場合、図18は1平方メートル当たり48個を収納した場合を示している。この後、敷き詰められた緑化用パネル1の各溝7,23A,23B内に土25が充填され、その上からさらに覆土26が施される。
【0045】
この屋上緑化構造16においては、各灌水パイプ24からの水は、図12の矢印に示すように、連続溝23Aが臨む土収納溝7内に落とし込むように供給され、その後、その水は、排出孔9へと流れる(領域P1,P3参照)。その間に、土収納溝7内に収納される土及びポット植物28に水が的確に供給され、余った水は、排水として排出孔9から排出される。また、隣り合う他の緑化用パネル1からの水が、図12の矢印(左向き矢印)に示すように、土収納溝7内に入り込むことがあるが、その場合には、その土収納溝7における内底面13の傾斜面30に案内されて排出孔9へ流れる(領域P1,P3参照)。この場合も、その間に、土収納溝7内に収納される土及びポット植物28に水が的確に供給され、余った水は、排水として排出孔9から排出される。各緑化用パネル1の領域P2,P4に関しては、水が土収納溝7内に落とし込むように供給された後、その水は、連続溝23Aに最も近いポット植物収納部29に設けられる排出孔9から排出される。尚、土収納溝7内には土が充填されるが、その土は、図11,図12においては、図示が略されている。
【0046】
この屋上緑化構造16においては、灌水パイプ24を横方向Xに延びる各連続溝23A内に収納して用いる態様に限らず、屋上の状態に応じて、灌水パイプ24を縦方向Yに延びる各連続溝23B内に収納して用いることができるが、その態様の場合においても、上述の作用と同様のものとなる。
【0047】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
【符号の説明】
【0048】
1 緑化用パネル
2 基板部
2b 基板部の下面
3 嵩上げ部
3Aa 周縁嵩上げ部の内側側面
3Ba 内側嵩上げ部の外側側面
3a 嵩上げ部の側面
4A 第1灌水パイプ収納溝(灌水パイプ収納溝)
4Aa 第1灌水パイプ収納溝の内底面
4B 第2灌水パイプ収納溝(灌水パイプ収納溝)
4Ba 第2灌水パイプ収納溝の内底面
7A,7Aa1,7Aa2,7Ab1,7Ab2 第1土収納溝(植栽基盤材収納部)
7B,7Ba1,7Ba2,7Bb1,7Bb2 第2土収納溝(植栽基盤材収納部)
9 排出孔
13A 第1土収納溝の内底面
13B 第2土収納溝の内底面
13 土収納溝の内底面
14 排出溝
16 屋上緑化構造
23A 横方向に延びる連続溝
23B 縦方向に延びる連続溝
30 傾斜面
32 連絡溝
33 切り欠き段部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部上に複数の嵩上げ部が上方に突出した状態で一体的に設けられ、該複数の嵩上げ部の隣り合う側面により植栽基盤材を収納するための植栽基盤材収納部が区画されている緑化用パネルにおいて、
上面に、灌水パイプを収納するための灌水パイプ収納溝が前記植栽基盤材収納部に交差しつつ前記基板部を横切るように形成され、
前記灌水パイプ収納溝内が、該灌水パイプ収納溝と前記植栽基盤材収納部との交差部において、該植栽基盤材収納部内に臨むように形成され、
前記植栽基盤材収納部の内底面に、前記基板部の下面側に連通する排出孔が開口され、
前記灌水パイプ収納溝の内底面が、前記排出孔よりも高い位置に位置されている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項2】
請求項1において、
前記植栽基盤材収納部が、溝状に形成されて、前記灌水パイプ収納溝と前記排出孔との間に掛け渡されるように延び、
前記植栽基盤材収納部の内底面が、前記灌水パイプ収納溝から前記排出孔に向うに従って低くなるように傾斜されている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項3】
請求項2において、
前記基板部が、平面視略四角形状に形成され、
前記灌水パイプ収納溝が、前記基板部における一方の組の対向する辺部間を横切るように延び、
前記排出孔が、前記他方の組の対向する辺部側にそれぞれ位置され、
前記植栽基盤材収納部が、前記基板部上に前記一方の組の対向する辺部に略平行となるように複数形成され、
前記各植栽基盤材収納部が、前記灌水パイプ収納溝と前記各排出孔との間にそれぞれ掛け渡されている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項4】
請求項2において、
前記基板部が、平面視略正方形状に形成され、
前記灌水パイプ収納溝が、前記基板部における一方の組の対向する辺部間をその辺部の延び方向略中央において横切るように延びる第1灌水パイプ収納溝と、該基板部における他方の組の対向する辺部間をその辺部の延び方向略中央において横切るように延びる第2灌水パイプ収納溝と、を備え、
前記排出孔が、前記第1灌水パイプ収納溝を基準として、前記他方の組の対向する辺部側に位置される第1排出孔と、前記第2灌水パイプ収納溝を基準として、前記一方の組の対向する辺部側に位置される第2排出孔と、を備え、
前記植栽基盤材収納部が、前記基板部上に前記一方の組の対向する辺部に略平行となるように形成されて前記第1灌水パイプ収納溝と前記各第1排出孔との間に掛け渡される第1植栽基盤材収納部と、前記基板部上に前記他方の組の対向する辺部に略平行となるように形成されて前記第2灌水パイプ収納溝と前記各第2排出孔との間に掛け渡される第2植栽基盤材収納部と、を備えている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項5】
請求項1において、
前記灌水パイプ収納溝の内底面が、前記植栽基盤材収納部の内底面に対して段差をもって高くなっている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項6】
請求項5において、
前記植栽基盤材収納部の内底面が、前記排出孔に近づくに従って低くなっている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記植栽基盤材収納部に、ポット状の植物を収納するための略円筒状のポット植物収納部が形成されている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項8】
請求項1において、
前記基板部の下面に、方向を異にする複数の排出溝が交差するように形成され、
前記複数の排出溝の交差部分に前記排出孔が開口され、
前記各排出溝の溝端が、前記基板部の周面から外方に向けて開口されている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項9】
請求項1において、
前記植栽基盤材収納部が、複数設けられ、
前記排出孔が、前記各植栽基盤材収納部の内底面にそれぞれ開口され、
前記基板部の下面に複数の排出溝が、該各排出溝の溝端が前記基板部の周面から外方に向けて開口するようにそれぞれ形成され、
前記各排出孔が、前記各排出溝内にそれぞれ開口され、
前記基板部の下面に、前記各排出溝同士を互いに連絡する連絡溝が形成されている、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記基板部の下面周縁部に切り欠き状の切り欠き段部が形成され、
前記切り欠き段部内に、前記各排出溝の溝端が臨んでいる、
ことを特徴とする緑化用パネル。
【請求項11】
屋上の設置面上に複数の請求項1に係る緑化用パネルが、該各請求項1に係る緑化用パネルにおける灌水パイプ収納溝が連続するように敷設され、
前記連続する複数の灌水パイプ収納溝内に、灌水パイプが跨るようにして収納され、
前記各緑化パネルの植栽基盤材収納部内及び前記連続する複数の灌水パイプ収納溝内に植栽基盤材が充填されている、
ことを特徴とする屋上緑化構造。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−10671(P2012−10671A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152731(P2010−152731)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(500437773)株式会社マサキ・エンヴェック (3)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】