緑膿菌のポリペプチド
【課題】緑膿菌感染を予防、診断および/または治療するために用いられうる、緑膿菌のポリペプチドを提供する。
【解決手段】緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のSPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチド、及び該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いた遺伝子組換えによる前記ポリペプチドの製造法。前期ポリペプチド結合性抗体を用いた感染の診断、治療、予防の為の薬学的組成物の使用。
【解決手段】緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のSPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチド、及び該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いた遺伝子組換えによる前記ポリペプチドの製造法。前期ポリペプチド結合性抗体を用いた感染の診断、治療、予防の為の薬学的組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリペプチド、より詳細には、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染を予防、診断および/または治療するために用いられうる緑膿菌のSPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチドに関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
緑膿菌は、ヒトおよび動物において流行している日和見性細菌病原体である。緑膿菌は、院内感染において、特に免疫無防備状態の個人において見出される、最も一般的なグラム陰性細菌である。これは、挿管された患者における人工呼吸器関連肺炎に関係があることが多い。シュードモナス(Pseudomonas)感染は、嚢胞性線維症、火傷、臓器移植、および静脈内薬物嗜癖の患者においては一般的である。嚢胞性線維症の患者は、緑膿菌に慢性的に感染していることが多く、これは、この特定の個体群における疾患および死の増加の原因となっている。緑膿菌菌血症は、火傷単位(unit)における高い死亡率の原因である。シュードモナスは、眼内炎、心内膜炎、髄膜炎、肺炎および敗血症のような重篤な状態へ導きうる。緑膿菌による敗血症は、すべてのグラム陰性感染の中で最も高い死亡率に関係している。
【0003】
緑膿菌は、多くの抗生物質に対して天然の耐性を有するため、緑膿菌感染から個体を防御するワクチンを開発する必要がある。緑膿菌による感染は、その細菌細胞の表面に見出される抗原に対する免疫応答を誘導する。しかしながら、これらの表面タンパク質の多くは、まだ特徴決定されておらず、様々な菌株による感染からの防御をもたらす免疫応答性もまた、決定されていない。
【0004】
個体を緑膿菌感染から防御するワクチンを開発するために、主に、リポ多糖(LPS)に努力が集中されてきた。しかしながら、限られた数のLPS血清型が臨床的症例に関係してはいるが、多価LPSに基づくワクチンの産生は複雑であり、ワクチン接種された個体において血清型置換を引き起こす可能性がある。抗鞭毛および抗線毛ワクチンもまた評価されているが、異なる緑膿菌感染期における鞭毛/線毛発現の調節により、効果的な防御が妨げられうる。外膜タンパク質(OMP)もまた試験されている。4つの異なる緑膿菌血清型由来のOMP調製物は、目下、臨床試験中であるが、この調製物により与えられる防御の特異性はまだ評価されていないままである。外膜タンパク質OprFおよびOprIに基づく組換え融合タンパク質は、有望なワクチン候補と考えられている。しかしながら、OprFタンパク質は、緑膿菌のいくつかの臨床菌株には存在していないことが示され、OprIタンパク質単独により与えられる防御は、まだ評価されていない。
【0005】
現行の技術の概説は、Stanislavsky ESおよびLam JS. (1997) FEMS Microbiol. Rev. 21(3):243-277(非特許文献1)ならびにHolder IA. (2001) J. Burn Care Rehabil. 22(5):311-320(非特許文献2)に記載されている。
【0006】
緑膿菌PAO1株のゲノムの配列は、嚢胞性線維症財団(the Cystic Fibrosis Foundation)、ワシントン大学(the University of Washington)および病原団体(Pathogenesis Corporation)の間の共同研究において決定され、http://www.pseudomonas.com/、http://www.tigr.org/tigr-scripts/CMR2/GenomePage3.spl?database=ntpa03、http://pseudomonas.bit.uq.edu.au/、およびNature、Stoverら、406:959-964 (2000)(非特許文献3)において入手可能である。
【0007】
したがって、緑膿菌感染を予防、診断および/または治療するために用いられうる緑膿菌ポリペプチドの必要性は、未だ対処されていないままである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Stanislavsky ESおよびLam JS. (1997) FEMS Microbiol. Rev. 21(3):243-277
【非特許文献2】Holder IA. (2001) J. Burn Care Rehabil. 22(5):311-320
【非特許文献3】Nature、Stoverら、406:959-964 (2000)
【発明の概要】
【0009】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0010】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに関する。
【0011】
他の局面において、本発明のポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド、薬学的組成物、発現制御領域に実施可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、加えて、そのベクターでトランスフェクションされた宿主細胞、および発現に適した条件下でその宿主細胞を培養する段階を含むポリペプチドを産生するための方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】緑膿菌PAO1株由来のSPA-1遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:1。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図2】緑膿菌PAO1株由来のSPA-1ポリペプチドのアミノ酸配列を示す;配列番号:2。下線部の配列は、32アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図3】緑膿菌PAO1株由来のSPA-2遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:3。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図4】緑膿菌PAO1株由来のSPA-2ポリペプチドのアミノ酸配列を示す;配列番号:4。下線部の配列は、19アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図5】緑膿菌PAO1株由来のSPA-3遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:5。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図6】緑膿菌PAO1株由来のSPA-3ポリペプチドのアミノ酸配列を示す;配列番号:6。下線部の配列は、21アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図7】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA104遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:19。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図8】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA104タンパク質のアミノ酸配列を示す;配列番号:20。下線部の配列は、16アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図9】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA105遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:21。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図10】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA105タンパク質のアミノ酸配列を示す;配列番号:22。下線部の配列は、33アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図11】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA106遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:23。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図12】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA106タンパク質のアミノ酸配列を示す;配列番号:24。下線部の配列は、16アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図13】PAO1株由来の、SPA-1タンパク質(配列番号:31)と(リーダーペプチドを含まない)SHB-PA104(配列番号:32)とのタンパク質配列アライメントを示す。│は同一のアミノ酸であり、:は保存アミノ酸である。
【図14】PAO1株由来の、SPA-1タンパク質(配列番号:33)と(リーダーペプチドを含まない)SHB-PA105(配列番号:34)とのタンパク質配列アライメントを示す。│は同一のアミノ酸であり、:は保存アミノ酸である。
【図15】PAO1株由来の、SPA-1タンパク質(配列番号:35)と(リーダーペプチドを含まない)SHB-PA106(配列番号:36)とのタンパク質配列アライメントを示す。│は同一のアミノ酸であり、:は保存アミノ酸である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、シュードモナス感染を予防、診断および/または治療するために用いられうるシュードモナスポリペプチドをコードする精製かつ単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0018】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも98%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0020】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0022】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも98%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
【0025】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
【0026】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体を含むアミノ酸配列により特徴付けられるポリペプチドに関する。
【0027】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12を含むアミノ酸配列により特徴付けられるポリペプチドに関する。
【0028】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0029】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0030】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープに関する。
【0031】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープに関する。
【0032】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【0033】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9または配列番号:11から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【0034】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリペプチドを含む単離されたポリペプチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド;
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【0035】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリペプチドを含む単離されたポリペプチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド;
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【0036】
当業者は、本発明が、本特許出願において本明細書に記載されるようなポリペプチドの変異体、異型、相同体および誘導体のような類似体をコードする、DNA分子、すなわち、ポリヌクレオチド、それらの相同的配列およびそれらの相補的配列を含むことを認識しているものと思われる。相同的遺伝子は、進化的に関連し、類似した配列を有し、かつ構造的に関連する。本発明はまた、本発明のDNA分子に対応するRNA分子も含む。DNAおよびRNA分子に加えて、本発明は、その対応するポリペプチドおよびそのようなポリペプチドに特異的に結合する単一特異的抗体を含む。
【0037】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドは、抗原性である。
【0038】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドは免疫原性である。
【0039】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドは、宿主において免疫応答を誘発することができる。
【0040】
さらなる態様において、本発明はまた、上で定義されているような本発明のポリペプチドへの結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドに関する。
【0041】
「結合特異性を有する」抗体とは、試料、例えば、生体試料において、選択されたポリペプチドを認識かつ結合するが、実質的に、他の分子を認識かつ結合しない抗体である。特異的結合は、選択されたポリペプチドが抗原として使用されるELISAアッセイ法を用いて測定されうる。
【0042】
本発明により、生物学的研究における「防御」とは、生存曲線、生存率または生存期間における有意な増加により定義される。生存曲線を比較するために対数順位検定、および生存率および死までの日数を比較するためにフィッシャー厳密検定をそれぞれ用いる統計学的分析は、P値を計算し、その2つの群の間の差が統計学的に有意であるかどうかを決定するために有用でありうる。P値0.05は、有意ではないとみなされる。
【0043】
本発明の追加的局面において、本発明のポリペプチドの、またはそれらの類似体の、抗原性/免疫原性断片が提供されている。
【0044】
本発明の断片は、1個または複数のそのようなエピトープの領域を含む、または抗原性/免疫原性の性質を保持するのに十分にそのような領域に類似しているべきである。したがって、本発明による断片について、それらは、本明細書に記載されているようなポリペプチドまたはその類似体の特定の部分に100%同一でありうるため、同一性の程度は、おそらく、関連性のないものと思われる。本発明はさらに、本発明のポリペプチド配列由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を有する断片を提供する。一つの態様において、少なくとも15個の連続したアミノ酸残基を有する断片を提供する。一つの態様において、少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を有する断片を提供する。
【0045】
当業者は、本発明のポリペプチドの類似体もまた、本発明の関係において、すなわち、抗原性/免疫原性物質として、用途を見出すことを認識しているものと思われる。したがって、例えば、1つもしくは複数の付加、欠失、置換またはその種の他のものを含む、タンパク質またはポリペプチドは、本発明に含まれる。
【0046】
本明細書に用いられる場合、本発明のポリペプチドの「断片」、「類似体」または「誘導体」は、1個または複数のアミノ酸残基が保存されたまたは保存されていないアミノ酸残基(好ましくは、保存された)で置換されておりかつ天然または非天然でありうるポリペプチドを含む。一つの態様において、本発明のポリペプチドの誘導体および類似体は、図に示されているそれらの配列またはそれらの断片と約70%の同一性を有する。すなわち、残基の70%は同じである。さらなる態様において、ポリペプチドは、80%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、85%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、90%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、95%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、99%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20個未満の、より好ましくは10個未満のアミノ酸残基置換、修飾または欠失を有する。
【0047】
さらなる態様において、ポリペプチドは、70%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、75%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、80%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、85%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、90%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、95%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、99%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、本発明のポリペプチドの誘導体および類似体は、約20個未満の、より好ましくは10個未満のアミノ酸残基置換、修飾または欠失を有する。好ましい置換は、保存されたとして当技術分野において知られているものである、すなわち、置換された残基が疎水性、サイズ、電荷もしくは機能性基のような物理的または化学的性質を共有する。
【0048】
これらの置換は、ポリペプチドの二次構造および疎水性親水性指標の性質に最小限の影響を及ぼすものである。好ましい置換は、保存されたとして当技術分野において知られているものである、すなわち、置換された残基が疎水性、サイズ、電荷もしくは機能性基のような物理的または化学的性質を共有する。これらは、Dayhoff, M.、Atlas of Protein Sequence and Structure 5、1978および、Argos, P.、EMBO J. 8、779-785、1989により記載されているもののような置換を含む。例えば、以下の群の一つに属する、天然かまたは非天然かいずれかのアミノ酸は、保存的変化を示す:
ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr、val;
cys、ser、tyr、thr;
val、ile、leu、met、ala、phe;
lys、arg、orn、his;
およびphe、tyr、trp、his。
【0049】
好ましい置換はまた、対応するL-アミノ酸の代わりのD-鏡像異性体の置換を含む。
【0050】
代替的方法において、類似体は、例えば、所望のポリペプチドに効果的にタグをつけることにより、精製をより容易にする部分を導入している、融合ポリペプチドでありうる。その「タグ」を除去する必要がありうる、または融合ポリペプチド自身が有用となるのに十分な抗原性を保持している場合がありうる。
【0051】
相同性の割合(%)は、同一性の割合(%)およびアミノ酸型の類似性または保存性の割合(%)の合計として定義される。
【0052】
一つの態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、図に示されているそれらの配列またはそれらの断片と約70%の相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、80%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、85%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、90%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、95%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、99%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20個未満の、より好ましくは10個未満のアミノ酸残基置換、修飾または欠失を有する。
【0053】
アミノ酸配列を比較するためのCLUSTALプログラムのようなプログラムを用いることができる。このプログラムはアミノ酸配列を比較し、適切なようにどちらかの配列にスペースを挿入することにより最適なアライメントを見出す。最適なアライメントについてアミノ酸同一性または相同性を計算することが可能である。BLASTxのようなプログラムは、最も長いひと続きの類似配列を整列させ、その適合に数値を割り当てる。したがって、類似性の数個の領域が見出され、かつ、それぞれが異なるスコアを有する比較を得ることが可能である。両方の型の同一性分析が、本発明において企図される。
【0054】
代替的方法において、類似体または誘導体は融合ポリペプチドでありうり、これは、例えば、所望のタンパク質またはポリペプチドに効果的にタグをつけることによって精製をより容易にする部分を導入しており、ここで、「タグ」を除去する必要がありうる、または融合ポリペプチド自身が有用となるのに十分な抗原性を保持している場合がありうる。
【0055】
エピトープの領域、すなわち、ポリペプチドの抗原性または免疫原性の原因であるそれらの領域を同定するために抗原性ポリペプチドをスクリーニングすることが可能であることはよく知られている。そのようなスクリーニングを行うための方法は、当技術分野においてよく知られている。したがって、本発明の断片は、1個または複数のそのようなエピトープの領域を含む、またはそれらの抗原性/免疫原性の性質を保持するのに十分にそのような領域に類似しているべきである。
【0056】
本発明の追加的局面において、本発明のタンパク質もしくはポリペプチドの、またはそれらの類似体もしくは誘導体の、抗原性/免疫原性断片が提供されている。
【0057】
したがって、類似体、誘導体および断片が、それらが由来しているタンパク質またはポリペプチドの抗原性/免疫原性を少なくともある程度有していることが重要である。
【0058】
また、ポリペプチドの生物学的または薬理学的性質を変化させる他の化合物、すなわち、半減期を増加させるためのポリエチレングリコール(PEG);精製の容易さのためのリーダーまたは分泌アミノ酸配列;プレプロ配列およびプロ配列;および(多)糖をそれらに融合したポリペプチドも含まれる。
【0059】
さらに、アミノ酸領域が多型であることが見出されている状況において、様々なシュードモナス菌株の様々なエピトープをより効果的に模倣するように1個または複数の特定のアミノ酸を変えることが望ましい場合がある。
【0060】
さらに、本発明のポリペプチドは、末端の-NH2アシル化により(例えば、アセチル化により、または、例えばアンモニアもしくはメチルアミンを用いたチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシのアミド化により)修飾されうり、支持体または他の分子に連結または結合するための安定性、すなわち疎水性の増大を提供する。
【0061】
また、ポリペプチド断片および類似体のヘテロおよびホモポリペプチド多量体が企図される。これらの重合体型は、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒドまたはジメチルスベルイミデートのような架橋剤で架橋結合された1個または複数のポリペプチドを含む。そのような重合体型はまた、組換えDNA技術により作製された複数シストロンのmRNAから生成される、2個もしくはそれ以上の直列型または逆位の連続した配列を含むポリペプチドを含む。
【0062】
さらなる態様において、本発明はまた、本出願の図において定義されるような1個もしくは複数のポリペプチドまたはそれらの断片もしくは類似体を含むキメラポリペプチドに関する。
【0063】
さらなる態様において、本発明はまた、ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結されている条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を有する2個またはそれ以上のポリペプチドを含むキメラポリペプチドに関する。
【0064】
さらなる態様において、本発明はまた、ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結されている条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む2個またはそれ以上のポリペプチドを含むキメラポリペプチドに関する。
【0065】
好ましくは、本発明のポリペプチドの類似体または誘導体は、少なくとも1個の抗原性領域、すなわち、少なくとも1個のエピトープを含む。
【0066】
抗原性重合体(すなわち、合成多量体)の形成を達成するために、ビスハロアセチル基、ニトロアリルハロゲン化物またはその種の他のものを有するポリペプチドが使用されうり、試薬はチオ基に特異的である。したがって、異なるポリペプチドの2個のメルカプト基間の結合は、単結合でありうる、または少なくとも2個、典型的には少なくとも4個、および、16個以下であるが、通常約14個以下である炭素原子の結合基から構成されうる。
【0067】
特定の態様において、本発明のポリペプチド断片および類似体は、メチオニン(Met)開始残基を含まない。好ましくは、ポリペプチドは、リーダーまたは分泌配列(シグナル配列)を導入していない。本発明のポリペプチドのシグナル部分は、確立された分子生物学的技術に従って決定されうる。一般的に、対象となるポリペプチドは、シュードモナス培養物から単離され、続いて、成熟タンパク質の開始残基およびそれによって成熟ポリペプチドの配列を決定するためにシーケンシングされうる。
【0068】
そのような免疫原性断片は、例えば、N末端リーダーペプチド、および/または膜貫通ドメインおよび/または外部のループおよび/または回転を欠く本発明のポリペプチドを含みうる。
【0069】
本発明はさらに、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体を含む第二のポリペプチドに、その配列の全長に渡って、少なくとも70%同一、好ましくは80%同一、より好ましくは95%同一であるポリペプチドの全細胞外ドメインを実質的に含む、ポリペプチドの断片を提供する。
【0070】
ポリペプチドが、組換えポリペプチドの産生および精製に好都合であるように、それらの開始コドン(メチオニンまたはバリン)無しでおよび/もしくはそれらのリーダーペプチド無しで、産生されうるならびに/または使用されうることは、理解されている。リーダーペプチドをコードする配列を含まないクローニング遺伝子は、ポリペプチドを大腸菌の細胞質に限定し、それらの回収を容易にすることは知られている(Glick, B.R.およびPasternak, J.J. (1998) Manipulation of gene expression in prokaryotes.「Molecular biotechnology: Principles and applications of recombinant DNA」、第2版、ASM Press、Washington DC、p.109-143)。
【0071】
本発明のもう一つの局面によると、(i)担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリペプチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリペプチドおよび担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)本発明のポリペプチドおよび担体、希釈剤またはアジュバントを含むワクチン;(iv)免疫応答、例えば、シュードモナスへの防御的免疫応答を誘発するために本発明のポリペプチドの免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主においてシュードモナスに対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(v)本発明のポリペプチドの予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することによりシュードモナス感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0072】
本発明のもう一つの局面によると、(i)担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリヌクレオチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)免疫応答、例えば、シュードモナスへの防御的免疫応答を誘発するために本発明のポリヌクレオチドの免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主においてシュードモナスに対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(iv)本発明のポリヌクレオチドの予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することによりシュードモナス感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0073】
本発明のもう一つの局面によると、(i)リポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリペプチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリペプチドおよびリポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)本発明のポリペプチドおよびリポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントを含むワクチン;(iv)免疫応答、例えば、緑膿菌への防御的免疫応答を誘発するために本発明の薬学的組成物の免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主において緑膿菌に対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(v)本発明の薬学的組成物の予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することにより緑膿菌感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0074】
本発明のもう一つの局面によると、(i)リポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリヌクレオチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリヌクレオチドおよびリポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)免疫応答、例えば、緑膿菌への防御的免疫応答を誘発するために本発明の薬学的組成物の免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主において緑膿菌に対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(iv)本発明の薬学的組成物の予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することにより緑膿菌感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0075】
さらなる態様において、本発明のポリペプチドは、リポソームと連合している。
【0076】
本明細書に用いられる場合、「と連合した」とは、本発明のポリペプチドが、少なくとも一部分は、リポソーム膜の中に埋め込まれている、および好ましくは、脂質に共有結合的に連結されていないことを意味する。ポリペプチドは、膜の中にそれ自身埋め込まれている脂質脂肪酸「尾部(tail)」に結合している場合もある。
【0077】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物は、抗原性である。
【0078】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物は、免疫原性である。
【0079】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物は、宿主において免疫応答を誘発することができる。
【0080】
さらなる態様において、本発明はまた、上で定義されているような本発明のポリペプチドへの結合特異性をもつ抗体を産生できるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物に関する。
【0081】
本発明の追加的局面において、本発明のポリペプチドまたはそれらの類似体の免疫原性および/または抗原性断片と連合したリポソームを含む薬学的組成物が提供されている。
【0082】
本発明はさらに、B細胞またはTヘルパーのエピトープを含む断片と連合したリポソームを含む薬学的組成物を提供する。
【0083】
本発明はさらに、より大きいポリペプチドの部分でありうる断片と連合したリポソームを含む薬学的組成物を提供する。分泌配列もしくはリーダー配列を含む付加的アミノ酸配列、または多重ヒスチジン残基のような精製において助けとなる配列、または組換え産生の間に安定性を増加させる付加的配列、または最終ポリペプチドの免疫原性の可能性を増加させる付加的ポリペプチドもしくは脂質尾部配列を含むことは有利でありうる。
【0084】
本発明のポリペプチドの類似体と連合したリポソームを含む薬学的組成物がまた、本発明の関係において、すなわち、抗原性/免疫原性物質として用途を見出すことを当業者は認識しているものと思われる。したがって、例えば、1つもしくは複数の付加、欠失、置換またはその種の他のものを含むタンパク質またはポリペプチドは、本発明に含まれる。
【0085】
さらなる態様において、本発明はまた、本発明の1個もしくは複数のポリペプチドまたはそれらの断片もしくは類似体を含むキメラポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物に関する。
【0086】
リポソームは、閉じられた同心性の二分子層膜を形成するリン脂質および他の極性両親媒性物質で作製される[Gregoriades, G.、Immunology Today、11、3、89 (1990); Lasic, D.、American Scientist、80、p. 20 (1992); Remington's on Pharmaceutical Sciences、第18版、1990、Mack Publishing Co.、Pennsylvania.、p. 1691に要約されている]。リポソームの主たる成分は、脂質であり、脂質は長い非極性の疎水性「尾部」に付着した極性の親水性「頭部」を有する。親水性頭部は、典型的には、リン酸基からなるが、疎水性尾部は2個の長い炭化水素鎖からなる。脂質分子は、水溶性である部分とそうではない部分をもつため、それらは、疎水性尾部を水分子から隔離する規則正しい構造に集合する傾向がある。その過程において、リポソームは、それらの内部に水および溶質を閉じこめることができる、または疎水性領域をもつ分子はまたリポソーム膜へ直接的に導入されることができる。多くのリン脂質は、単独または他の脂質と共同して、リポソームを形成する。慣例により、リポソームは、大きさにより分類され、論じることになっているリポソームの型を呼ぶのに3文字の頭字語が用いられる。多重ラメラ小胞は「MLV」、大きな単ラメラ小胞は「LUV」、小さな単ラメラ小胞は「SUV」と呼ばれる。これらの名称は、時々、リポソームの化学組成を伴う。命名法および公知のリポソームの概要は、Stormら、1998、PSIT、1:19-31に記載されている。リポソームは、膜タンパク質の再折り畳みを助けるのに有効であり、かつまた、抗原に対する体液性および細胞性免疫応答を高める有効なアジュバントである。
【0087】
本発明は、リン脂質から構成されるリポソームを含む薬学的組成物を提供する。これらのリン脂質は、合成されうる、または細菌細胞、大豆、卵から抽出されうる。
【0088】
本発明は、様々なリポソーム製剤への本発明のポリペプチドの導入のための方法を提供する。
【0089】
リポソームは、様々な合成リン脂質(一覧表1)または細菌のリン脂質および/またはコレステロールで調製されうり、様々な割合で組み合わされうる。
【0090】
本発明は、細菌起源からリポソーム製剤を作製するために細菌細胞から脂質を抽出するための方法を提供する。複合の脂質混合物は、数種類の細菌種から抽出されうる。これらの種は、限定されるものではないが、以下のものを含みうる:ナイセリア(Neisseria)種、ヘモフィラス(Haemophilus)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、バクテリオデス(Bacteriodes)種、レジオネラ(Legionella)種、ビブリオ(Vibrio)種、ブルセラ(Brucella)種、ボルデテラ(Bordetella)種、カンピロバクター(Campylobacter)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、シゲラ(Shigella)種、プロテウス(Proteus)種、およびエルシニア(Yersinia)種。他の種は、Bergey's Manual of Determinative Bacteriology (1974)(Baltimore)に見出されうる。
【0091】
本発明のリポソームは、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)およびホスファチジルコリン(PC)のようなホスファチジルエーテルならびにエステルを含む様々な小胞形成脂質からだけでなく、ジオレオイルグリセロスクシネートのようなグリセリド;セレブロシド;ガングリオシド、スフィンゴミエリン;コレステロールのようなステロイド;および他の脂質、加えて、ビタミンEまたはビタミンCパルミテートのような賦形剤からも調製されうる。
【0092】
リポソーム膜の流動性および安定性は、リン脂質の転移温度(炭化水素領域が準結晶からより流動性状態へ変化する温度)に依存している。
【0093】
膜流動性、ラメラの数、小胞の大きさ、表面電荷、脂質対抗原の比、およびリポソーム内の抗原の局在性の改変は、リポソーム調製のアジュバント活性を調節することができる。
【0094】
リポソームの調製は、エタノール注入;エーテル注入;界面活性剤除去;溶媒蒸発;水エマルジョンにおけるクロロホルムからの有機溶媒の蒸発;核孔(nucleopore)のポリカーボネート膜を通しての多重ラメラ小胞の押し出し;リン脂質混合物の凍結および融解、加えて超音波処理および均質化を含む多数の異なる技術によりなされうる。
【0095】
脂質は、丸底ガラスフラスコにおいて、適する有機溶媒またはクロロホルム:メタノール溶液のような有機溶媒の混合物に溶解され、容器上に一様な薄膜に達するように回転エバポレータを用いて乾燥されうる。
【0096】
免疫化の前に、本発明のポリペプチドはまた、より強い免疫応答の発生を刺激するために、破傷風毒素、ジフテリア毒素、B型肝炎ウイルス表面抗原、灰白髄炎ウイルスVP1抗原、または任意の他のウイルスもしくは細菌の毒素もしくは抗原、または任意の適するタンパク質のような担体タンパク質に連結または結合されうる。この連結または結合は、化学的にまたは遺伝子的になされうる。ペプチド-担体の結合のより詳細な説明は、Van Regenmortel, M.H.V.、Briand J.P.、Muller S.、Plaue S.、《Synthetic Polypeptides as antigens》in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、19巻、Burdou, R.H. & Van Knippenberg P.H.編、(1988)、Elsevier New Yorkにおいて入手可能である。
【0097】
もう一つの局面によると、薬学的に許容されるアジュバントとの混合物において1個または複数の本発明のシュードモナスポリペプチドを含む薬学的組成物が提供されている。適するアジュバントは以下を含む:(1)MF59(商標)、SAF(商標)、Ribi(商標)のような水中油型エマルジョン製剤;(2)フロイントの完全アジュバントまたは不完全アジュバント;(3)塩、すなわち、AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)2、Al(OH)3、AlPO4、シリカ、カオリン;(4)Stimulon(商標)などのサポニン誘導体、またはISCOM(免疫刺激複合体)など、それらから作製された粒子;(5)インターロイキン、インターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカイン;(6)粘膜免疫の誘導のための、炭素ポリヌクレオチド、すなわち、ポリICおよびポリAU、解毒されたコレラ毒素(CTB)ならびに大腸菌熱不安定性毒素のような他の物質;(7)リポソーム。アジュバントのより詳細な説明は、M.Z.I Khanら、Pharmaceutical Research、11巻、1号 (1994) pp2-11による概説、およびまた、Guptaら、Vaccine、13巻、14号、pp1263-1276 (1995)によるもう一つの概説、および国際公開公報第99/24578号において入手可能である。好ましいアジュバントは、QuilA(商標)、QS21(商標)、Alhydrogel(商標)およびAdjuphos(商標)を含む。
【0098】
本発明の薬学的組成物は、注射、急速注入、鼻咽腔吸収、皮膚吸収により非経口的に投与されうる、または口腔内もしくは経口用でありうる。
【0099】
「薬学的組成物」という用語はまた、抗体を含むことを意図している。本発明により、シュードモナス感染ならびに/もしくはシュードモナス感染により媒介される疾患および症状の治療または予防のための、本発明のポリペプチドに対する結合特異性をもつ1個または複数の抗体の使用も提供されている。
【0100】
本発明の薬学的組成物は、Manual of Clinical Microbiology、P.R. Murray(編集長)、E.J. Baron、M.A. Pfaller、F.C. TenoverおよびR.H. Yolken、ASM Press、Washington D.C. 第7版、1999、1773p.ならびに、Campa, M.ら(編)、Pseudomonas aeruginosa as an opportunistic pathogen (1993) Plenum Press、NY、419p.に記載されているように、シュードモナス感染ならびに/またはシュードモナス感染により媒介される疾患および症状の予防のために用いられる。
【0101】
一つの態様において、本発明の薬学的組成物は、治療または院内感染について、特に、挿管された患者における人工呼吸器関連肺炎、火傷の患者における菌血症、嚢胞性線維症患者における慢性感染症および敗血症のような免疫システムが弱体化している個体において、用いられる。一つの態様において、本発明の薬学的組成物は、シュードモナス感染ならびに/もしくはシュードモナス感染により媒介される疾患および症状の治療または予防のために用いられる。さらなる態様において、シュードモナス感染は、緑膿菌により媒介される。さらなる態様において、シュードモナス感染は、シュードモナススタッチェリ(Pseudomonas stutzeri)により媒介される。
【0102】
特定の態様において、薬学的組成物は、幼児、年配の人および免疫システムが弱体化している宿主ならびにまた入院している患者、嚢胞性線維症患者、消防士、軍職員のような火傷することを受けやすい人々のようなシュードモナス感染のリスクを負っている宿主へ投与される。
【0103】
本出願に用いられる場合、「宿主」という用語は、哺乳動物を含む。さらなる態様において、哺乳動物はヒトである。
【0104】
薬学的組成物とは、好ましくは、免疫化間隔約1週間〜6週間で、約0.001 μg/kg〜100 μg/kg(抗原/体重)、およびより好ましくは0.01 μg/kg〜10 μg/kg、および最も好ましくは0.1 μg/kg〜1 μg/kgの単位剤形1回〜3回である。
【0105】
薬学的組成物は、好ましくは、免疫化間隔約1週間〜6週間で、約0.1 μg〜10 mg、およびより好ましくは1 μg〜1 mg、および最も好ましくは10 μg〜100 μgの単位剤形1回〜3回である。
【0106】
もう一つの局面によると、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むアミノ酸配列により特徴付けられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供されている。
【0107】
一つの態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含みうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11に示されるものである。
【0108】
図面に示されているポリヌクレオチド配列が、まだなお本発明のポリペプチドをコードする縮重したコドンで変化しうることは認識されているものと思われる。従って、本発明は、配列間で70%の同一性を有する本明細書に上記されているポリヌクレオチド配列(またはそれらの相補体配列)にハイブリダイズするポリヌクレオチドをさらに提供する。一つの態様において、配列間で少なくとも80%の同一性。一つの態様において、配列間で少なくとも85%の同一性。一つの態様において、配列間で少なくとも90%の同一性。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能である、すなわち、少なくとも95%の同一性を有する。さらなる態様において、97%を上回る同一性。ハイブリダイゼーションに適したストリンジェントな条件は、当業者により容易に決定されうる(例えば、Sambrookら、(1989) Molecular cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology、(1999)、Ausubel F.M.ら編、John Wiley & Sons, Inc.、N.Y.を参照されたい)。
【0109】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む。
【0110】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む。
【0111】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む。
【0112】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む。
【0113】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12に示されている本発明のポリペプチドをコードするものである。
【0114】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11に示されているものである。
【0115】
当業者により容易に認識される通り、ポリヌクレオチドはDNAおよびRNAの両方を含む。
【0116】
本発明はまた、本出願に記載されるポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含む。
【0117】
もう一つの局面によると、宿主細胞においてポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させ、かつ発現されたポリペプチド産物を回収することによる組換え技術により本発明のポリペプチドを産生するための方法が提供されている。または、ポリペプチドは、確立された合成化学的技術、すなわち、完全なポリペプチドを生成するために連結されるオリゴペプチドの溶液相または固相の合成(ブロック連結)に従って作製されうる。
【0118】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの獲得ならびに評価のための一般的方法は、以下の参照文献に記載されている:Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989;Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel F.M.ら編、John Wiley and Sons, Inc. New York;PCR Cloning Protocols、from Molecular Cloning to Genetic Engineering、White B.A.編、Humana Press、Totowa、New Jersey、1997、490ページ;Protein Purification, Principles and Practices、Scopes R.K.、Springer-Verlag、New York、第3版、1993、380ページ;Current Protocols in Immunology、Coligan J.E.ら、John Wiley & Sons Inc.、New York。
【0119】
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターでトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。
【0120】
本発明は、ポリペプチドの発現に適した条件下で本発明の宿主細胞を培養する段階を含むポリペプチドを産生するための方法を提供する。
【0121】
組換え産生について、宿主細胞は、本発明のポリペプチドをコードするベクターでトランスフェクションされ、その後、プロモーターを活性化する、形質転換体を選択するまたは遺伝子を増幅するために適切なように改変された栄養培地において培養される。適するベクターは、選択された宿主において生存可能かつ複製可能であるものであり、染色体の、非染色体のおよび合成のDNA配列を含み、例えば、細菌のプラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドおよびファージDNAの組み合わせ由来のベクターである。ポリペプチド配列は、プロモーター、リボソーム結合部位(共通領域またはシャイン-ダルガノ配列)、および選択的にオペレーター(制御エレメント)を含む発現制御領域にそれが実施可能に連結されているように、制限酵素を用いて、適切な部位でベクターに導入されうる。確立された分子生物学原理に従って与えられた宿主およびベクターに適切である発現制御領域の個々の成分を選択できる(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989;Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel F.M.ら編、John Wiley and Sons, Inc. New York)。適するプロモーターは、限定されるものではないが、LTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lac、tacまたはtrpプロモーターおよびファージλPLプロモーターを含む。ベクターには、好ましくは、複製開始点および選択マーカー、すなわち、アンピシリン耐性遺伝子が導入される。適する細菌のベクターは、pET、pQE70、pQE60、pQE-9、pD10phagescript、psiX174、pbluescriptSK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5を含み、かつ、真核生物のベクターは、pBlueBacIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLを含む。宿主細胞は、細菌、すなわち、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces);真菌、すなわち、クロカビ(Aspergillus niger)、偽巣性コウジ菌(Aspergillus nidulans);酵母、すなわち、サッカロマイセス(Saccharomyces)、または真核生物、すなわちCHO、COSでありうる。
【0122】
培養中にポリペプチドが発現したら、細胞は、典型的には、遠心分離により収集され、その後、物理的または化学的手段により粉砕され(発現されたポリペプチドが培地へ分泌されない場合には)、得られた粗抽出物は、対象となるポリペプチドを単離するように保持される。培地または可溶化液からのポリペプチドの精製は、ポリペプチドの性質に依存する確立された技術により、すなわち、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを用いて達成されうる。最終精製は、HPLCを用いて達成されうる。
【0123】
ポリペプチドは、リーダーまたは分泌配列を含んでまたは含まずに、発現されうる。前者の場合、リーダーは、翻訳後プロセシングを用いて除去されうる(米国特許第4,431,739号;米国特許第4,425,437号;および米国特許第4,338,397号を参照)、または発現されたポリペプチドを精製した後で化学的に除去されうる。
【0124】
さらなる局面によると、本発明のシュードモナスポリペプチドは、シュードモナス感染、特に緑膿菌感染についての診断検査において用いられうる。
【0125】
シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染についていくつかの診断方法が可能である。例えば、生体試料におけるシュードモナス生物体の検出が挙げられるが、これは以下の段階を含みうる:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)本発明のシュードモナスポリペプチドに反応性の抗体またはその断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスの存在を示す、混合物において特異的に結合した抗体または結合した断片を検出する段階。
【0126】
または、シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染についての診断のための方法は、抗体を含むまたは含むのではないかと疑われる生体試料においてシュードモナス抗原に特異的な抗体の検出のための方法を含み、以下のように行われうる:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)1個もしくは複数の本発明のシュードモナスポリペプチドまたはそれらの断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスに特異的な抗体の存在を示す、混合物において特異的に結合した抗原または結合した断片を検出する段階。
【0127】
この診断検査は、特に、生物体においてポリペプチドに特異的な抗体が存在しているかどうかを測定するために、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射性免疫測定法またはラテックス凝集測定法を含むいくつかの型をとりうることを当業者は認識しているものと思われる。
【0128】
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列はまた、シュードモナスの存在をそのような細菌を含むのではないかと疑われる生体試料において検出するのに使用されるDNAプローブを設計するために用いられうる。本発明の検出方法は、以下の段階を含む:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)本発明のポリペプチドもしくはその断片をコードするDNA配列を有する1個または複数のDNAプローブを生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナス細菌の存在を示す、混合物において特異的に結合したDNAプローブを検出する段階。
【0129】
本発明のDNAプローブはまた、シュードモナス感染を診断する方法として、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、循環中のシュードモナス、すなわち、試料中のシュードモナス核酸を検出するために用いられうる。プローブは、通常の技術を用いて合成され、固相上に固定化されうる、または検出可能標識で標識されうる。本出願のための好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約6個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。さらなる態様において、好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約15個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。さらなる態様において、好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約30個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。さらなる態様において、好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約50個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。
【0130】
宿主におけるシュードモナスの検出のためのもう一つの診断方法は、以下の段階を含む:
a)本発明のポリペプチドに反応性の抗体またはその断片を検出可能標識で標識する段階;
b)標識抗体または標識断片を宿主へ投与する段階;および
c)シュードモナスの存在を示す宿主において特異的に結合した標識抗体または標識断片を検出する段階。
【0131】
さらなる局面において、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはそれらの断片、類似体もしくは誘導体は、DNA免疫化方法において用いられうる。つまり、それらは、注入において複製可能かつ発現可能であるベクターへ導入され、それにより、インビボで抗原性ポリペプチドを産生できる。例えば、ポリヌクレオチドは、真核生物細胞において機能しうるCMVプロモーターの制御下にプラスミドベクターへ導入されうる。好ましくは、ベクターは、筋内に注射される。
【0132】
本発明のさらなる局面は、診断および特に、シュードモナス感染の治療のための特異的抗体の産生のための免疫原としての、本発明のシュードモナスポリペプチドの使用である。
【0133】
本発明のさらなる局面は、受動免疫化のための、本発明のポリペプチドに対する抗体の使用であり、それにより、本発明のポリペプチドにより産生された抗体が受動免疫化を与えるのに十分な量で宿主へ投与される。本出願に記載されている抗体を使用することができる。適する抗体は、適切なスクリーニング方法を用いて、例えば、試験モデルにおいてシュードモナス感染に対して受動的に防御する特定の抗体の能力を測定することにより、決定されうる。動物モデルの一つの例は、本明細書で実施例に記載されるマウスモデルである。抗体は、抗体全体またはその抗原結合断片でありうり、いずれの免疫グロブリンクラスに属してもよい。抗体または断片は、動物起源、特に哺乳動物起源、およびより特にマウス、ラットまたはヒト起源でありうる。それは、天然の抗体もしくはその断片、または望ましい場合には、組換え抗体もしくは抗体断片でありうる。組換え抗体または抗体断片という用語は、分子生物学的技術を用いて産生された抗体または抗体断片を意味する。抗体または抗体断片は、ポリクローナル、または好ましくはモノクローナルでありうる。それは、シュードモナスポリペプチドに関連した多数のエピトープに特異的でありうるが、好ましくは1つに対して特異的である。
【0134】
遺伝子免疫化における本発明のポリヌクレオチドの使用は、好ましくは、筋肉へのプラスミドDNAの直接的注射[Wolfら、H M G (1992) 1:363; Turnesら、Vaccine (1999)、17:2089; Leら、Vaccine (2000) 18:1893; Alvesら、Vaccine (2001) 19:788]、アジュバント有りもしくは無しでのプラスミドDNAの注射[Ulmerら、Vaccine (1999) 18:18; MacLaughlinら、J. Control Release (1998) 56:259; Hartikkaら、Gene Ther. (2000) 7:1171-1182; BenvenistyおよびReshef、PNAS USA (1986) 83:9551; Singhら、PNAS USA (2000) 97:811]、特定の担体と複合化されたDNAの送達により細胞を標的すること[Waら、J Biol Chem (1989) 264:16985; Chaplinら、Infect. Immun. (1999) 67:6434]、様々な型のリポソームに複合化もしくはカプセル化されたプラスミドの注射[Ishiiら、AIDS Research and Human Retroviruses (1997) 13:142; Perrieら、Vaccine (2001)19:3301]、異なる方法の打ち込み(bombardment)によるDNAの投与[Tangら、Nature (1992) 356:152; Eisenbraunら、DNA Cell Biol (1993) 12:791; Chenら、Vaccine (2001) 19:2908]、および生きたベクターによるDNAの投与[Tubulekasら、Gene (1997) 190:191; Pushkoら、Virology (1997) 239:389; Sprengら、FEMS (2000) 27:299; Dietrichら、Vaccine (2001) 19:2506]のような適する送達方法または系を用いる。
【0135】
さらなる局面において、本発明は、本発明の薬学的組成物の予防的量または治療的量を宿主へ投与する段階を含むシュードモナス感染を受けやすい宿主においてシュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための方法を提供する。
【0136】
さらなる態様において、本発明は、シュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための薬物の製造における本発明の薬学的組成物の使用を提供する。
【0137】
さらなる態様において、本発明は、シュードモナス感染を検出または診断するための本発明のポリペプチドを含むキットを提供する。
【0138】
特記されない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般に理解されるのと同じ意味をもつ。本明細書に言及されているすべての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献は、完全に参照として組み入れられている。矛盾する場合は、定義を含め、本明細書に統制されるものとする。さらに、材料、方法および実施例は、例証となるのみであり、制限を意図したものではない。
【0139】
実施例1
本実施例は、SPA-1遺伝子のクローニングおよび分子的特徴ならびに対応するポリペプチドを示す。
【0140】
緑膿菌SPA-1(配列番号:1)遺伝子のコード領域を、制限酵素部位NdeI(CATATG)およびNotI(GCGGCCGC)の付加についての塩基延長部分を含む以下のオリゴを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific、Markham、Ontario、Canada)により増幅した:
。製造会社の使用説明書に従って、PCR産物をQIAquickゲル抽出キット(Qiagen、Chatsworth、CA)を用いて、アガロースゲルから精製し、NdeIおよびNotI(Amersham Pharmacia Biotech, Inc.、Baie d'Urfe、Canada)で消化した。pET21b(+)ベクター(Novagen、Madison、WI)をNdeIおよびNotIで消化し、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いてアガロースゲルから精製した。NdeI-NotI PCR産物をNdeI-NotI pET21b(+)発現ベクターに連結した。連結された産物を大腸菌DH5α株[φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA-argF)U169 endA1 recA1 hsdR17(rK-mK+) deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](Gibco BRL、Gaithersburg、MD)へSimanisの方法(Hanahan, D. DNA Cloning、1985、D.M. Glover編、pp. 109-135)に従って形質転換した。SPA-1遺伝子を含む組換えpET21b(+)プラスミド(rpET21b(+))をQiagenキットを用いて精製し、DNA挿入物をシーケンシングした(Taq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing kit、ABI、Foster City、CA)。
【0141】
(表1)緑膿菌遺伝子のPCR増幅のために用いられるオリゴヌクレオチドプライマー
【0142】
SPA-1ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、1347 bpを含み、推定pIが8.20および推定分子量が47757.95 Daの448アミノ酸残基ポリペプチドをコードすることが測定された。Spscanソフトウェア(Wisconsin Sequence Analysis Package; Genetics Computer Group)を用いる推定アミノ酸残基配列(配列番号:2)の分析により、アラニン残基とグルタミン残基の間に位置する切断部位で終わる32アミノ酸残基のシグナルペプチド
の存在が示唆された。
【0143】
SPA-1(配列番号:1)遺伝子のPCR増幅により存在を確認するために、以下の5つの別個の緑膿菌株を用いた:緑膿菌PAO1、NF25、NF45、1019-5およびB。臨床分離株は、the Centre de Recherche en Infectiologie(Laval University、Quebec、Canada)により提供された。大腸菌XL1-Blue MRF'をこれらの実験において陰性対照として用いた。オリゴヌクレオチドプライマーPSEU59およびPSEU60(表1)を用いて、SPA-1(配列番号:1)遺伝子を、5つの緑膿菌株および対照大腸菌株由来のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した。PCRは、94℃で10秒間、45℃で30秒間および68℃で2分間を10サイクル、続いて、94℃で10秒間、45℃で30秒間および68℃で2分間(1サイクル毎に0.05秒間増加)を20サイクル、ならびに68℃で7分間の最終伸長期間で行われた。PCR産物を、1% アガロースゲルにおいてサイズ分画化し、臭化エチジウム染色により可視化した。これらのPCR増幅の結果は、表2に示されている。増幅産物の分析により、SPA-1(配列番号:1)遺伝子は試験されたすべての5つの緑膿菌株のゲノムに存在していることが明らかになった。対照大腸菌DNAがこれらのオリゴヌクレオチドプライマーを用いた同一のPCR増幅にかけられた場合、そのような産物は検出されなかった。
【0144】
(表2)PCR増幅による緑膿菌遺伝子の同定
【0145】
実施例2
本実施例は、SPA-2遺伝子のクローニングおよび分子的特徴ならびに対応するポリペプチドを示す。
【0146】
緑膿菌SPA-2(配列番号:3)遺伝子のコード領域を、制限酵素部位NdeI(CATATG)およびHindIII(AAGCTT)の付加についての塩基延長部分を含む以下のオリゴを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAから、PCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した:PSEU47およびPSEU48(これらは表1に示されている)。SPA-2遺伝子を発現ベクターへクローニングする、およびシーケンシングするために用いられる方法は、実施例1に記載される方法と同様である。
【0147】
SPA-2をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、624 bpを含み、推定pIが5.04および推定分子量が22882.24 Daの207アミノ酸残基ポリペプチドをコードすることが測定された。Spscanソフトウェア(Wisconsin Sequence Analysis Package; Genetics Computer Group)を用いる推定アミノ酸残基配列(配列番号:4)の分析により、アラニン残基とシステイン残基の間に位置する切断部位で終わる19アミノ酸残基のシグナルペプチド
の存在が示唆された。
【0148】
SPA-2遺伝子は、試験された5つの緑膿菌株において、オリゴヌクレオチドプライマーPSEU47およびPSEU48を用いるPCR増幅後に、存在していることが示された(表2)。SPA-2遺伝子のPCR増幅に用いられる方法は、実施例1に示されている方法と同様であった。対照大腸菌DNAがこれらのオリゴヌクレオチドプライマーを用いた同一のPCR増幅にかけられた場合、そのような産物は検出されなかった。
【0149】
実施例3
本実施例は、SPA-3遺伝子のクローニングおよび分子的特徴ならびに対応するポリペプチドを示す。
【0150】
緑膿菌SPA-3(配列番号:5)遺伝子のコード領域を、制限酵素部位NdeI(CATATG)およびHindIII(AAGCTT)の付加についての塩基延長部分を含む以下のオリゴを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した:PSEU37およびPSEU38(これらは表1に示されている)。SPA-3遺伝子を発現ベクターへクローニングする、およびシーケンシングするために用いられる方法は、実施例1に記載される方法と同様である。
【0151】
SPA-3をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、1143 bpを含み、推定pIが5.15および推定分子量が40394.19 Daの380アミノ酸残基ポリペプチドをコードすることが測定された。Spscanソフトウェア(Wisconsin Sequence Analysis Package; Genetics Computer Group)を用いる推定アミノ酸残基配列(配列番号:6)の分析により、セリン残基とアスパラギン残基の間に位置する切断部位で終わる21アミノ酸残基のシグナルペプチド
の存在が示唆された。
【0152】
SPA-3遺伝子は、試験された5つの緑膿菌株において、オリゴヌクレオチドプライマーPSEU37およびPSEU38を用いるPCR増幅後に、存在していることが示された(表2)。SPA-3遺伝子のPCR増幅に用いられる方法は、実施例1に示されている方法と同様であった。対照大腸菌DNAがこれらのオリゴヌクレオチドプライマーを用いた同一のPCR増幅にかけられた場合、そのような産物は検出されなかった。
【0153】
実施例4
本実施例は、CMVプラスミドpCMV-GHにおける緑膿菌遺伝子のクローニングを示す。
【0154】
緑膿菌ポリペプチドのDNAコード領域を、プラスミドベクターpCMV-GHにおいて、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの転写制御下にあるヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流の相に挿入した(Tangら、Nature、1992、356:152)。CMVプロモーターは、大腸菌細胞において機能しえないが、真核生物細胞においてプラスミドの投与により活性がある。ベクターにはまた、アンピシリン耐性遺伝子が導入された。
【0155】
リーダーペプチド領域を含まないSPA-1(配列番号:1)遺伝子、SPA-2(配列番号:3)遺伝子およびSPA-3(配列番号:5)遺伝子のコード領域を、表1に記載されている制限酵素部位BamHI(GGATCC)、BglII(AGATCT)、XbaI(TCTAGA)、またはHindIII(AAGCTT)の付加についての塩基延長部分を含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した。PCR産物をQIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いて、アガロースゲルから精製し、制限酵素(Amersham Pharmacia Biotech, Inc.)で消化した。pCMV-GHベクター(Stephen A. Johnston博士の研究室、Department of Biochemistry、The University of Texas、Dallas、Texas)をBamHI、BglII、XbaIまたはHindIIIで消化し、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いてアガロースゲルから精製した。消化されたDNA断片を消化されたpCMV-GHベクターへ連結し、CMVプロモーターの制御下のhGH-SPA-1融合ポリペプチド、hGH-SPA-2融合ポリペプチドおよびhGH-SPA-3融合ポリペプチドを作製した。連結された産物を、大腸菌DH5α株[φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA-argF) U169 endA1 recA1 hsdR17(rK-mK+) deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](Gibco BRL)へSimanisの方法(Hanahan, D. DNA Cloning、1985、D.M. Glover編、pp. 109-135)に従って形質転換した。組換えpCMVプラスミドをQiagenキットを用いて精製し、DNA挿入物のヌクレオチド配列は、DNAシーケンシングにより検証された。
【0156】
実施例5
本実施例は、緑膿菌ポリペプチド抗原への免疫応答を誘発しうるDNAの使用を示す。
【0157】
8匹の雌BALB/cマウス(Charles River、St-Constant、Quebec、Canada)の群を、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)発現プラスミドpCMV-GH-GM-CSF(Stephen A. Johnston博士の研究室、Department of Biochemistry、The University of Texas、Dallas、Texas)50 μgの存在下におけるSPA-1(配列番号:1)遺伝子、SPA-2(配列番号:3)遺伝子およびSPA-3(配列番号:5)遺伝子をコードする組換えpCMV-GHの50 μgを用いて、2週間または3週間間隔で筋内注射100 μlを3回行って免疫化した。対照として、マウス群に、50 μgのpCMV-GH-GM-CSFの存在下で50 μgのpCMV-GHを注射した。血液試料を各免疫化の前、および3回目の注射から7日後に眼窩静脈洞から収集した。血清抗体応答は、コーティング抗体としての対応するHis-タグ標識された緑膿菌組換えポリペプチドを用いるELISAにより測定された。これらのHis-タグ標識された緑膿菌組換えポリペプチドの産生および精製は、実施例6に示されている。
【0158】
実施例6
本実施例は、緑膿菌組換えポリペプチドの産生および精製を示す。
【0159】
SPA-1(配列番号:1)遺伝子、SPA-2(配列番号:3)遺伝子およびSPA-3(配列番号:5)遺伝子を含む組換えpET21b(+)プラスミドを用いて、大腸菌Tuner株(DE3)[F- ompT hsdSB (rB- mB-) gal dcm lacY1 (DE3)](Novagen)をエレクトロポレーション(Gene Pulser II apparatus、BIO-RAD Labs、Mississauga、Canada)により形質転換した。この大腸菌株において、組換えポリペプチドの発現を制御するT7プロモーターは、その遺伝子がイソプロピル-β-d-チオ-ガラクトピラノシド(IPTG)により誘導可能なlacプロモーターの制御下にあるT7 RNAポリメラーゼ(λDE3プロファージ上に存在)により、特異的に認識される。形質転換体Tuner(DE3)/rpET21を、A600が0.5の値に達するまで、1 mlあたり100 μgのアンピシリン(Sigma-Aldrich Canada Ltd.、Oakville、Canada)を含むルリア-ベタニ(Luria-Betani)(LB)培地(ペプトン 10 g/L、酵母エキス 5 g/L、NaCl 10g/L)において250 rpmで撹拌しながら、37℃で増殖させた。His-タグを付けられた緑膿菌組換えポリペプチドの産生を誘導するために、最終濃度1 mMのIPTGの存在下において、細胞をさらに3時間インキュベーションした。培養物1Lから誘導された細胞を遠心分離によりペレット化し、-70℃で凍結させた。
【0160】
IPTG誘導Tuner(DE3)/rpET21の可溶性または不溶性細胞質画分からの組換えポリペプチドの精製を、His結合金属キレート化樹脂に固定化された二価陽イオン(Ni2+)に結合しうるHis-タグ配列(6個の連続したヒスチジン残基)の性質に基づいたアフィニティークロマトグラフィーにより行った。概説すると、可溶性細胞質画分からのSPA-2およびSPA-3ポリペプチドの精製について、IPTGで誘導された培養物1Lから得られたペレット化細胞を超音波処理し、その後30分間、21,000×gで遠心分離して細胞片を除去した。不溶性細胞質画分からの組換えポリペプチドSPA-1の精製について、細胞を上記のように超音波処理かつ遠心分離し、得られたペレットを6 M グアニジン-HClを含む溶解緩衝液(5 mM イミダゾール、2 M NaCl、20 mM トリス-HCl pH 7.9)に再懸濁した。懸濁液を氷上で1時間インキュベーションし、39,000×gで20分間遠心分離した。可溶性SPA-2およびSPA-3ポリペプチドまたは溶解されたSPA-1ポリペプチドを含む上清をNi-NTAアガロースカラム(Qiagen)に析出させた。His-タグ標識された緑膿菌組換えポリペプチドを250 mM イミダゾール-500 mM NaCl-20 mM トリス pH 7.9で溶出させた。試料からの塩およびイミダゾールの除去を、PBSに対する透析により4℃で行った。大腸菌の可溶性画分または不溶性画分から得られた組換えポリペプチドの量は、MicroBCA(Pierce、Rockford、Illinois)により評価された。
【0161】
実施例7
本実施例は、ヒト血清に存在する抗体とのHis-タグを付けられた緑膿菌組換えポリペプチドの反応性を示す。
【0162】
表3に示されるように、SPA-1、SPA-2およびSPA-3のHis-タグを付けられた組換えポリペプチドが、ヒト血清に存在する抗体による免疫ブロットにおいて認識された。これにより、ヒトは、通常、緑膿菌に接触しているが、これらのポリペプチドに特異的である抗体を発生していることが示された。これらの特定のヒト抗体は、緑膿菌感染に対する防御に関係しているものと思われる。
【0163】
(表3)緑膿菌のHis-タグを付けられた融合組換えポリペプチドとのヒト血清に存在する抗体の免疫ブロットにおける反応性
1 実施例6に記載されるように産生かつ精製されたHis-タグを付けられた組換えポリペプチドを用いて、免疫ブロットを行った。
2 His-タグを付けられた組換えポリペプチドの分子量を、SDS-PAGE後に推定した。
3 それぞれ1/500に希釈された3つのヒト血清プールを、免疫ブロットを行うために調製した。
【0164】
実施例8
本実施例は、緑膿菌株の表面におけるSPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチドの、抗体への接近しやすさを示す。
【0165】
細菌を血液寒天上で一晩、30℃で増殖させた。コロニーをO.D.600nmが0.3となるようにLB培地に再懸濁した。その後、抗SPA-1、抗SPA-2もしくは抗SPA-3または対照血清の希釈物を添加し、回転させながら4℃で2時間インキュベーションして、細胞と結合させた。試料をブロッキング緩衝液[2% ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝食塩水(PBS)]において2回洗浄し、その後、ブロッキング緩衝液に希釈された、ヤギのフルオレセイン(FITC)結合抗マウスIgG Fc(γ)断片特異的な500 μlを添加した。暗闇で回転させながら4℃で2時間さらにインキュベーションした後、試料をブロッキング緩衝液において2回、洗浄し、4℃で18時間、PBS緩衝液中の0.25% ホルムアルデヒドで固定した。細胞を遠心分離し、0.5 mlのPBS緩衝液に再懸濁した。細胞は、フローサイトメトリー(Epics(登録商標)XL; Beckman Coulter, Inc.)により分析されるまで4℃で暗所に保存された。フローサイトメトリー分析により、SPA-1特異的抗体、SPA-2特異的抗体およびSPA-3特異的抗体は、試験された相同的な(PAO1)緑膿菌株上の、それらに対応する表面に露出したエピトープを効率的に認識することが明らかにされた(表4)。分析された10,000個のシュードモナス細胞の55%を上回って、SPA-1特異的血清、SPA-2特異的血清およびSPA-3特異的血清に存在する抗体で標識されたと判定された。これらの観察は、明らかに、SPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチドは表面において接近しやすく、それらは抗体により容易に認識されうることを実証している。抗緑膿菌抗体は、緑膿菌感染に対する防御において重要な役割を果たすことが示された。
【0166】
(表4)緑膿菌PAO1株の無傷の細胞の表面におけるSPA-1特異的抗体、SPA-2特異的抗体およびSPA-3特異的抗体の付着の評価
1 マウスは、2週間間隔で4回、QuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories、Hornby、Canada)10 μgと混合された精製組換えポリペプチド20 μgを皮下に注射された。血清は、1/50に希釈された。
2 蛍光指数は、免疫血清で細胞を標識した後に得られる中間蛍光値を対照マウス血清について得られる蛍光値で割った値として計算された。蛍光値1は、無傷のシュードモナス細胞の表面において抗体の結合がないことを示した。
3 分析された10,000個の細胞のうち標識された細胞の割合(%)。
4 免疫化されていないマウスまたは偽免疫化されたマウスから収集された血清をプールし、1/50に希釈して、このアッセイについての陰性対照として用いた。
5 緑膿菌PAO1株由来の20 μgの精製組換え外膜ポリペプチドOprIで免疫化されたマウスから得られた血清を1/50に希釈して、アッセイのための陽性対照として用いた。
【0167】
実施例9
本実施例は、SPA-2組換えポリペプチドを用いた免疫化により誘導された、緑膿菌感染に対するマウスの防御を示す。
【0168】
4匹の雌BALB/cマウス(Charles River)の群を、アフィニティー精製されたHis-タグ付きの緑膿菌SPA-2組換えポリペプチドの20 μgを用いた10%QuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories Ltd)存在下で、または対照として、PBS中のQuilAアジュバント単独を用いて、2週間間隔で4回、皮下免疫化した。各免疫化前の0日目、14日目、28日目および42日目、ならびに、4回目の注射から7日後(49日目)に眼窩静脈洞から血液試料を収集した。1週間後、マウスを、緑膿菌PAO1株の約5×107 CFUに気管内曝露させた。緑膿菌曝露接種原の試料を、CFUを測定するためおよび曝露用量を確認するために、血液寒天プレート上に蒔いた。マウスの生存を5日間モニタリングし、防御を、アジュバントのみで免疫化されたマウス群における生存と比較した、生存マウスの割合(%)として報告した。表5に報告されている結果は、SPA-2組換えポリペプチドによる免疫化は、死亡を遅らせ、かつマウスを致死的シュードモナス感染から防御することができることを示している。
【0169】
(表5)致死的気管内曝露に対するSPA-2組換えポリペプチドを用いた免疫化により与えられる防御
1 QuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories、Hornby、Canada)10 μgと混合した精製組換えポリペプチド20 μgを、または陰性対照としてQuilAアジュバントのみを、2週間間隔で4回、マウスに皮下注射された。
【0170】
実施例10
本実施例は、緑膿菌ゲノムにおける、ワクチンのための免疫原として用いられうる、SPA-1相同体の同定を示す。
【0171】
ゲノム分析により、SPA-1に相同的なタンパク質をコードする3個の遺伝子の同定が可能になった。各遺伝子およびタンパク質の配列は、それぞれ、図7、図9、図11および図8、図10、図12に示されている。SHB-PA104(配列番号:20)、SHB-PA105(配列番号:22)およびSHB-PA106(配列番号:24)タンパク質は、それぞれ、SPA-1タンパク質(448アミノ酸)との49.4%(389アミノ酸を上回る;図13)、33.2%(361アミノ酸を上回る;図14)および32.2%(289アミノ酸を上回る;図15)の同一性を示す。4個の相同性タンパク質を示している論文が、2002年1月に発表された(Blackburn, N.T.およびClarke, A.J. (2002) Biochemistry、41:1001-1013)。論文は、これらのタンパク質を溶解性トランスグリコシラーゼのファミリーとして記載している。SPA-1との相同性により、それらは、興味深く、利用しやすいワクチン候補になりうる。表6は、過剰発現され、精製され、そしてSPA-1に関する免疫原として用いられうる3個の新規遺伝子を増幅するためのプライマーを記載するものである。
【0172】
(表6)新規緑膿菌遺伝子のPCR増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマー
【0173】
実施例11
本実施例は、細菌細胞から脂質を抽出するために用いられる方法を示す。
【0174】
細菌起源のリポソーム製剤を作製するために、大腸菌から複合脂質混合物を抽出した。そのような複合脂質混合物を生成するために、以下のような他の細菌種もまた適していたものと思われる:ナイセリア種、ヘモフィラス種、シュードモナス種、バクテリオデス種、レジオネラ種、ビブリオ種、ブルセラ種、ボルデテラ種、カンピロバクター種、クレブシエラ種、サルモネラ種、シゲラ種、プロテウス種、およびエルシニア種。他の種もまた用いられることができた。以下の方法は、実施例12に示されているリポソーム製剤を作製するために用いられる複合脂質混合物を生成するために用いられた。
【0175】
細菌を、8% CO2(175 rpm)の存在下で、BHI培地において37℃で一晩増殖させた。細胞を遠心分離により収集し、ペレットを細胞1グラム(湿重量)あたり6.7 mlのメタノールに懸濁した。この細菌懸濁液を、8に調整されたマイクロチッププローブと共にソニックディスメンブレーター500(Sonic dismembrator 500)(Fisher Scientific)を用いて氷浴中で2回、超音波処理した。この懸濁液を、その後、65℃で30分間、加熱した。このインキュベーション期間後、2容量のクロロホルムを懸濁液に添加し、室温で1時間撹拌した。懸濁液をワットマン4番濾紙を通して濾過した。濾液をテフロンチューブに移し、その後、0.2容量の食塩水(NaCl 0.6%(w/v))を添加した。遠心分離後、上相および界面の沈澱物を捨てた。下相を、1容量のクロロホルム:メタノール:生理食塩水(3:48:47)で、少なくとも4回または界面にもはや沈殿物が存在しなくなるまで、抽出した。最終抽出後、下部の有機相を回転エバポレータ(Rotavapor、Buchi、Switzerland)において乾燥させた。乾燥したリン脂質を-80℃で貯蔵した、またはクロロホルム:メタノール(2:1)の溶液に再懸濁した。
【0176】
実施例12
本実施例は、様々なリポソーム製剤への組換えSPA-1の導入を示す。
【0177】
リポソームは、透析方法を用いて調製された。リポソームは、様々な比率で組み合わされ、様々な合成(本実施例の一覧表1を参照;他の脂質を用いることができ、かつRemington's on Pharmaceutical Sciences、第18版、1990、Mack Publishing Co.、Pennsylvania、p.390に記載されている)もしくは細菌のリン脂質および/またはコレステロールで調製された。いくつかのリポソーム製剤はまた、600 μg/mlのアジュバントモノホスホリルリピドA(MPLA、Avanti polar lipids、Alabaster、AL)で調製された。SPA-1タンパク質をまず、90% エタノール(容量/容量)に沈殿させ、PBS緩衝液中に1%(重量/容量)のSDS(Sigma chemical)を含む1 mlのPBS緩衝液で変性させ、そして、100℃で10分間、加熱した。溶液を、15%(重量/容量)のn-オクチル-D-グルコピラノシド(OG、Sigma)を含む1 mlのPBS緩衝液で希釈し、室温で3時間、インキュベーションした。脂質を丸底ガラスフラスコ中でクロロホルム:メタノール溶液(2:1)に溶解し、容器上で一様な薄膜となるように回転エバポレータ(Rotavapor、Buchi、Switzerland)を用いて乾燥させた。上記のタンパク質-界面活性剤溶液を脂質薄膜へ添加し、薄膜が溶解されるまで、穏やかに混合した。混合後の溶液は、外観上、わずかにオパールのような光彩を放っていた。その後、溶液をPBS緩衝液(pH 7.4)に対して大量透析し、界面活性剤を除去して、リポソーム形成を誘導した。透析後、得られた乳白色の溶液を、ステンレススチール押し出し装置(Lipex Biomembranes、Vancouver、Canada)を用いて、逐次的に、1000 nm、400 nm、200 nmおよび100 nmのポリカーボネートフィルターを通して押し出した。カプセル化されていないタンパク質を4℃で1時間、250000×gの超遠心分離により除去した。ペレットを0.3 Mのショ糖を含むPBS緩衝液で懸濁した。小胞の大きさおよび均質性は、サブミクロン粒子分析計(model N4 Plus、Beckman Counlter)による準弾性光散乱により評価された。この装置を用いて、様々な調製物におけるリポソームの大きさは、およそ100 nmであると推定された。すべてのリポソーム調製物は、0.22μm膜を通した濾過により滅菌されて、使用されるまで-80℃で貯蔵された。リポソームに導入された組換えタンパク質の量は、WesselおよびFlugge(Anal. Biochem. 1984、138:141-143)により記載されているように、クロロホルム:メタノール溶液(2:1)におけるSPA-1-リポソーム調製物のリン脂質抽出後、MicroBCA(Pierce、Rockford、Ill.)により推定された。
【0178】
ゲル濾過は、SPA-1-OG-SDS-脂質混合ミセル溶液からのSPA-1リポソーム形成を誘導するため、および界面活性剤を除去するための代替方法として用いられた。SPA-1-OG-SDS-脂質溶液を、Sephadex G-50(カラムサイズ:2 cm×20 cm、Pharmacia)またはP-6(カラムサイズ:2 cm×20 cm、Bio Rad)サイズ排除クロマトグラフィー/脱塩カラムの先端に直接添加し、流速2.5 ml/分でPBS緩衝液により溶出させた。タンパク質および脂質の両方を含む画分をプールして押し出し、遠心分離し、その後、小胞の大きさを上記のように評価した。すべての調製物は、0.22μm膜を通して滅菌され、使用されるまで-80℃で貯蔵された。
【0179】
一覧表1 SPA-1-リポソーム調製物を調製するために用いられる合成脂質の一覧表の一部
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DLPA)、ジミリストイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DMPA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DPPA)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DOPA)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-リン酸(POPA)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジトリデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DLPG)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DMPG)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DPPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DSPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DOPG)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](POPG)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DLPS)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DMPS)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DPPS)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DSPS)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DOPS)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](POPS)。
【0180】
実施例13
本実施例は、SPA-1-リポソーム製剤を用いたマウスおよびウサギの免疫化を示す。
【0181】
雌BALB/cマウス(Charles River Laboratories、St-Constant、Quebec、Canada)の群を、様々なリポソーム調製物へ導入された20 μgの組換えSPA-1を用いて、または対照として、タンパク質を含まないリポソーム製剤を用いて、2週間間隔で4回、筋肉内(IM)免疫化した。各免疫化前および最後の注射後2週間目に眼窩静脈洞から血液試料を収集した。血清試料を-20℃で貯蔵した。
【0182】
ニュージーランドホワイト(New Zealand White)雌ウサギ(2.5 kg、Charles River)を、様々なリポソーム製剤に導入された組換えSPA-1タンパク質100 μgを用いて、いくつかの部位において3週間間隔で3回または4回、IM免疫化した。各免疫化前および最後の注射から3週間後に血清試料を収集した。血清試料を-20℃で貯蔵した。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリペプチド、より詳細には、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染を予防、診断および/または治療するために用いられうる緑膿菌のSPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチドに関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
緑膿菌は、ヒトおよび動物において流行している日和見性細菌病原体である。緑膿菌は、院内感染において、特に免疫無防備状態の個人において見出される、最も一般的なグラム陰性細菌である。これは、挿管された患者における人工呼吸器関連肺炎に関係があることが多い。シュードモナス(Pseudomonas)感染は、嚢胞性線維症、火傷、臓器移植、および静脈内薬物嗜癖の患者においては一般的である。嚢胞性線維症の患者は、緑膿菌に慢性的に感染していることが多く、これは、この特定の個体群における疾患および死の増加の原因となっている。緑膿菌菌血症は、火傷単位(unit)における高い死亡率の原因である。シュードモナスは、眼内炎、心内膜炎、髄膜炎、肺炎および敗血症のような重篤な状態へ導きうる。緑膿菌による敗血症は、すべてのグラム陰性感染の中で最も高い死亡率に関係している。
【0003】
緑膿菌は、多くの抗生物質に対して天然の耐性を有するため、緑膿菌感染から個体を防御するワクチンを開発する必要がある。緑膿菌による感染は、その細菌細胞の表面に見出される抗原に対する免疫応答を誘導する。しかしながら、これらの表面タンパク質の多くは、まだ特徴決定されておらず、様々な菌株による感染からの防御をもたらす免疫応答性もまた、決定されていない。
【0004】
個体を緑膿菌感染から防御するワクチンを開発するために、主に、リポ多糖(LPS)に努力が集中されてきた。しかしながら、限られた数のLPS血清型が臨床的症例に関係してはいるが、多価LPSに基づくワクチンの産生は複雑であり、ワクチン接種された個体において血清型置換を引き起こす可能性がある。抗鞭毛および抗線毛ワクチンもまた評価されているが、異なる緑膿菌感染期における鞭毛/線毛発現の調節により、効果的な防御が妨げられうる。外膜タンパク質(OMP)もまた試験されている。4つの異なる緑膿菌血清型由来のOMP調製物は、目下、臨床試験中であるが、この調製物により与えられる防御の特異性はまだ評価されていないままである。外膜タンパク質OprFおよびOprIに基づく組換え融合タンパク質は、有望なワクチン候補と考えられている。しかしながら、OprFタンパク質は、緑膿菌のいくつかの臨床菌株には存在していないことが示され、OprIタンパク質単独により与えられる防御は、まだ評価されていない。
【0005】
現行の技術の概説は、Stanislavsky ESおよびLam JS. (1997) FEMS Microbiol. Rev. 21(3):243-277(非特許文献1)ならびにHolder IA. (2001) J. Burn Care Rehabil. 22(5):311-320(非特許文献2)に記載されている。
【0006】
緑膿菌PAO1株のゲノムの配列は、嚢胞性線維症財団(the Cystic Fibrosis Foundation)、ワシントン大学(the University of Washington)および病原団体(Pathogenesis Corporation)の間の共同研究において決定され、http://www.pseudomonas.com/、http://www.tigr.org/tigr-scripts/CMR2/GenomePage3.spl?database=ntpa03、http://pseudomonas.bit.uq.edu.au/、およびNature、Stoverら、406:959-964 (2000)(非特許文献3)において入手可能である。
【0007】
したがって、緑膿菌感染を予防、診断および/または治療するために用いられうる緑膿菌ポリペプチドの必要性は、未だ対処されていないままである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Stanislavsky ESおよびLam JS. (1997) FEMS Microbiol. Rev. 21(3):243-277
【非特許文献2】Holder IA. (2001) J. Burn Care Rehabil. 22(5):311-320
【非特許文献3】Nature、Stoverら、406:959-964 (2000)
【発明の概要】
【0009】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0010】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに関する。
【0011】
他の局面において、本発明のポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド、薬学的組成物、発現制御領域に実施可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、加えて、そのベクターでトランスフェクションされた宿主細胞、および発現に適した条件下でその宿主細胞を培養する段階を含むポリペプチドを産生するための方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】緑膿菌PAO1株由来のSPA-1遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:1。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図2】緑膿菌PAO1株由来のSPA-1ポリペプチドのアミノ酸配列を示す;配列番号:2。下線部の配列は、32アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図3】緑膿菌PAO1株由来のSPA-2遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:3。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図4】緑膿菌PAO1株由来のSPA-2ポリペプチドのアミノ酸配列を示す;配列番号:4。下線部の配列は、19アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図5】緑膿菌PAO1株由来のSPA-3遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:5。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図6】緑膿菌PAO1株由来のSPA-3ポリペプチドのアミノ酸配列を示す;配列番号:6。下線部の配列は、21アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図7】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA104遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:19。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図8】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA104タンパク質のアミノ酸配列を示す;配列番号:20。下線部の配列は、16アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図9】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA105遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:21。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図10】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA105タンパク質のアミノ酸配列を示す;配列番号:22。下線部の配列は、33アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図11】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA106遺伝子のDNA配列を示す;配列番号:23。下線部の配列は、リーダーペプチドコード領域を示す。
【図12】緑膿菌PAO1株由来のSHB-PA106タンパク質のアミノ酸配列を示す;配列番号:24。下線部の配列は、16アミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図13】PAO1株由来の、SPA-1タンパク質(配列番号:31)と(リーダーペプチドを含まない)SHB-PA104(配列番号:32)とのタンパク質配列アライメントを示す。│は同一のアミノ酸であり、:は保存アミノ酸である。
【図14】PAO1株由来の、SPA-1タンパク質(配列番号:33)と(リーダーペプチドを含まない)SHB-PA105(配列番号:34)とのタンパク質配列アライメントを示す。│は同一のアミノ酸であり、:は保存アミノ酸である。
【図15】PAO1株由来の、SPA-1タンパク質(配列番号:35)と(リーダーペプチドを含まない)SHB-PA106(配列番号:36)とのタンパク質配列アライメントを示す。│は同一のアミノ酸であり、:は保存アミノ酸である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、シュードモナス感染を予防、診断および/または治療するために用いられうるシュードモナスポリペプチドをコードする精製かつ単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0018】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも98%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0020】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0022】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも98%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
【0025】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
【0026】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体を含むアミノ酸配列により特徴付けられるポリペプチドに関する。
【0027】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12を含むアミノ酸配列により特徴付けられるポリペプチドに関する。
【0028】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0029】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0030】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープに関する。
【0031】
一つの局面によると、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープに関する。
【0032】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【0033】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9または配列番号:11から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【0034】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリペプチドを含む単離されたポリペプチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド;
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【0035】
一つの局面によると、本発明は、以下から選択されるポリペプチドを含む単離されたポリペプチドを提供する:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド;
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【0036】
当業者は、本発明が、本特許出願において本明細書に記載されるようなポリペプチドの変異体、異型、相同体および誘導体のような類似体をコードする、DNA分子、すなわち、ポリヌクレオチド、それらの相同的配列およびそれらの相補的配列を含むことを認識しているものと思われる。相同的遺伝子は、進化的に関連し、類似した配列を有し、かつ構造的に関連する。本発明はまた、本発明のDNA分子に対応するRNA分子も含む。DNAおよびRNA分子に加えて、本発明は、その対応するポリペプチドおよびそのようなポリペプチドに特異的に結合する単一特異的抗体を含む。
【0037】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドは、抗原性である。
【0038】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドは免疫原性である。
【0039】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドは、宿主において免疫応答を誘発することができる。
【0040】
さらなる態様において、本発明はまた、上で定義されているような本発明のポリペプチドへの結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドに関する。
【0041】
「結合特異性を有する」抗体とは、試料、例えば、生体試料において、選択されたポリペプチドを認識かつ結合するが、実質的に、他の分子を認識かつ結合しない抗体である。特異的結合は、選択されたポリペプチドが抗原として使用されるELISAアッセイ法を用いて測定されうる。
【0042】
本発明により、生物学的研究における「防御」とは、生存曲線、生存率または生存期間における有意な増加により定義される。生存曲線を比較するために対数順位検定、および生存率および死までの日数を比較するためにフィッシャー厳密検定をそれぞれ用いる統計学的分析は、P値を計算し、その2つの群の間の差が統計学的に有意であるかどうかを決定するために有用でありうる。P値0.05は、有意ではないとみなされる。
【0043】
本発明の追加的局面において、本発明のポリペプチドの、またはそれらの類似体の、抗原性/免疫原性断片が提供されている。
【0044】
本発明の断片は、1個または複数のそのようなエピトープの領域を含む、または抗原性/免疫原性の性質を保持するのに十分にそのような領域に類似しているべきである。したがって、本発明による断片について、それらは、本明細書に記載されているようなポリペプチドまたはその類似体の特定の部分に100%同一でありうるため、同一性の程度は、おそらく、関連性のないものと思われる。本発明はさらに、本発明のポリペプチド配列由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を有する断片を提供する。一つの態様において、少なくとも15個の連続したアミノ酸残基を有する断片を提供する。一つの態様において、少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を有する断片を提供する。
【0045】
当業者は、本発明のポリペプチドの類似体もまた、本発明の関係において、すなわち、抗原性/免疫原性物質として、用途を見出すことを認識しているものと思われる。したがって、例えば、1つもしくは複数の付加、欠失、置換またはその種の他のものを含む、タンパク質またはポリペプチドは、本発明に含まれる。
【0046】
本明細書に用いられる場合、本発明のポリペプチドの「断片」、「類似体」または「誘導体」は、1個または複数のアミノ酸残基が保存されたまたは保存されていないアミノ酸残基(好ましくは、保存された)で置換されておりかつ天然または非天然でありうるポリペプチドを含む。一つの態様において、本発明のポリペプチドの誘導体および類似体は、図に示されているそれらの配列またはそれらの断片と約70%の同一性を有する。すなわち、残基の70%は同じである。さらなる態様において、ポリペプチドは、80%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、85%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、90%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、95%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、99%を上回る同一性を有する。さらなる態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20個未満の、より好ましくは10個未満のアミノ酸残基置換、修飾または欠失を有する。
【0047】
さらなる態様において、ポリペプチドは、70%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、75%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、80%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、85%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、90%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、95%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、99%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、本発明のポリペプチドの誘導体および類似体は、約20個未満の、より好ましくは10個未満のアミノ酸残基置換、修飾または欠失を有する。好ましい置換は、保存されたとして当技術分野において知られているものである、すなわち、置換された残基が疎水性、サイズ、電荷もしくは機能性基のような物理的または化学的性質を共有する。
【0048】
これらの置換は、ポリペプチドの二次構造および疎水性親水性指標の性質に最小限の影響を及ぼすものである。好ましい置換は、保存されたとして当技術分野において知られているものである、すなわち、置換された残基が疎水性、サイズ、電荷もしくは機能性基のような物理的または化学的性質を共有する。これらは、Dayhoff, M.、Atlas of Protein Sequence and Structure 5、1978および、Argos, P.、EMBO J. 8、779-785、1989により記載されているもののような置換を含む。例えば、以下の群の一つに属する、天然かまたは非天然かいずれかのアミノ酸は、保存的変化を示す:
ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr、val;
cys、ser、tyr、thr;
val、ile、leu、met、ala、phe;
lys、arg、orn、his;
およびphe、tyr、trp、his。
【0049】
好ましい置換はまた、対応するL-アミノ酸の代わりのD-鏡像異性体の置換を含む。
【0050】
代替的方法において、類似体は、例えば、所望のポリペプチドに効果的にタグをつけることにより、精製をより容易にする部分を導入している、融合ポリペプチドでありうる。その「タグ」を除去する必要がありうる、または融合ポリペプチド自身が有用となるのに十分な抗原性を保持している場合がありうる。
【0051】
相同性の割合(%)は、同一性の割合(%)およびアミノ酸型の類似性または保存性の割合(%)の合計として定義される。
【0052】
一つの態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、図に示されているそれらの配列またはそれらの断片と約70%の相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、80%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、85%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、90%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、95%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、ポリペプチドは、99%を上回る相同性を有する。さらなる態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20個未満の、より好ましくは10個未満のアミノ酸残基置換、修飾または欠失を有する。
【0053】
アミノ酸配列を比較するためのCLUSTALプログラムのようなプログラムを用いることができる。このプログラムはアミノ酸配列を比較し、適切なようにどちらかの配列にスペースを挿入することにより最適なアライメントを見出す。最適なアライメントについてアミノ酸同一性または相同性を計算することが可能である。BLASTxのようなプログラムは、最も長いひと続きの類似配列を整列させ、その適合に数値を割り当てる。したがって、類似性の数個の領域が見出され、かつ、それぞれが異なるスコアを有する比較を得ることが可能である。両方の型の同一性分析が、本発明において企図される。
【0054】
代替的方法において、類似体または誘導体は融合ポリペプチドでありうり、これは、例えば、所望のタンパク質またはポリペプチドに効果的にタグをつけることによって精製をより容易にする部分を導入しており、ここで、「タグ」を除去する必要がありうる、または融合ポリペプチド自身が有用となるのに十分な抗原性を保持している場合がありうる。
【0055】
エピトープの領域、すなわち、ポリペプチドの抗原性または免疫原性の原因であるそれらの領域を同定するために抗原性ポリペプチドをスクリーニングすることが可能であることはよく知られている。そのようなスクリーニングを行うための方法は、当技術分野においてよく知られている。したがって、本発明の断片は、1個または複数のそのようなエピトープの領域を含む、またはそれらの抗原性/免疫原性の性質を保持するのに十分にそのような領域に類似しているべきである。
【0056】
本発明の追加的局面において、本発明のタンパク質もしくはポリペプチドの、またはそれらの類似体もしくは誘導体の、抗原性/免疫原性断片が提供されている。
【0057】
したがって、類似体、誘導体および断片が、それらが由来しているタンパク質またはポリペプチドの抗原性/免疫原性を少なくともある程度有していることが重要である。
【0058】
また、ポリペプチドの生物学的または薬理学的性質を変化させる他の化合物、すなわち、半減期を増加させるためのポリエチレングリコール(PEG);精製の容易さのためのリーダーまたは分泌アミノ酸配列;プレプロ配列およびプロ配列;および(多)糖をそれらに融合したポリペプチドも含まれる。
【0059】
さらに、アミノ酸領域が多型であることが見出されている状況において、様々なシュードモナス菌株の様々なエピトープをより効果的に模倣するように1個または複数の特定のアミノ酸を変えることが望ましい場合がある。
【0060】
さらに、本発明のポリペプチドは、末端の-NH2アシル化により(例えば、アセチル化により、または、例えばアンモニアもしくはメチルアミンを用いたチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシのアミド化により)修飾されうり、支持体または他の分子に連結または結合するための安定性、すなわち疎水性の増大を提供する。
【0061】
また、ポリペプチド断片および類似体のヘテロおよびホモポリペプチド多量体が企図される。これらの重合体型は、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒドまたはジメチルスベルイミデートのような架橋剤で架橋結合された1個または複数のポリペプチドを含む。そのような重合体型はまた、組換えDNA技術により作製された複数シストロンのmRNAから生成される、2個もしくはそれ以上の直列型または逆位の連続した配列を含むポリペプチドを含む。
【0062】
さらなる態様において、本発明はまた、本出願の図において定義されるような1個もしくは複数のポリペプチドまたはそれらの断片もしくは類似体を含むキメラポリペプチドに関する。
【0063】
さらなる態様において、本発明はまた、ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結されている条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を有する2個またはそれ以上のポリペプチドを含むキメラポリペプチドに関する。
【0064】
さらなる態様において、本発明はまた、ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結されている条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む2個またはそれ以上のポリペプチドを含むキメラポリペプチドに関する。
【0065】
好ましくは、本発明のポリペプチドの類似体または誘導体は、少なくとも1個の抗原性領域、すなわち、少なくとも1個のエピトープを含む。
【0066】
抗原性重合体(すなわち、合成多量体)の形成を達成するために、ビスハロアセチル基、ニトロアリルハロゲン化物またはその種の他のものを有するポリペプチドが使用されうり、試薬はチオ基に特異的である。したがって、異なるポリペプチドの2個のメルカプト基間の結合は、単結合でありうる、または少なくとも2個、典型的には少なくとも4個、および、16個以下であるが、通常約14個以下である炭素原子の結合基から構成されうる。
【0067】
特定の態様において、本発明のポリペプチド断片および類似体は、メチオニン(Met)開始残基を含まない。好ましくは、ポリペプチドは、リーダーまたは分泌配列(シグナル配列)を導入していない。本発明のポリペプチドのシグナル部分は、確立された分子生物学的技術に従って決定されうる。一般的に、対象となるポリペプチドは、シュードモナス培養物から単離され、続いて、成熟タンパク質の開始残基およびそれによって成熟ポリペプチドの配列を決定するためにシーケンシングされうる。
【0068】
そのような免疫原性断片は、例えば、N末端リーダーペプチド、および/または膜貫通ドメインおよび/または外部のループおよび/または回転を欠く本発明のポリペプチドを含みうる。
【0069】
本発明はさらに、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体を含む第二のポリペプチドに、その配列の全長に渡って、少なくとも70%同一、好ましくは80%同一、より好ましくは95%同一であるポリペプチドの全細胞外ドメインを実質的に含む、ポリペプチドの断片を提供する。
【0070】
ポリペプチドが、組換えポリペプチドの産生および精製に好都合であるように、それらの開始コドン(メチオニンまたはバリン)無しでおよび/もしくはそれらのリーダーペプチド無しで、産生されうるならびに/または使用されうることは、理解されている。リーダーペプチドをコードする配列を含まないクローニング遺伝子は、ポリペプチドを大腸菌の細胞質に限定し、それらの回収を容易にすることは知られている(Glick, B.R.およびPasternak, J.J. (1998) Manipulation of gene expression in prokaryotes.「Molecular biotechnology: Principles and applications of recombinant DNA」、第2版、ASM Press、Washington DC、p.109-143)。
【0071】
本発明のもう一つの局面によると、(i)担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリペプチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリペプチドおよび担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)本発明のポリペプチドおよび担体、希釈剤またはアジュバントを含むワクチン;(iv)免疫応答、例えば、シュードモナスへの防御的免疫応答を誘発するために本発明のポリペプチドの免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主においてシュードモナスに対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(v)本発明のポリペプチドの予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することによりシュードモナス感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0072】
本発明のもう一つの局面によると、(i)担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリヌクレオチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)免疫応答、例えば、シュードモナスへの防御的免疫応答を誘発するために本発明のポリヌクレオチドの免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主においてシュードモナスに対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(iv)本発明のポリヌクレオチドの予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することによりシュードモナス感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0073】
本発明のもう一つの局面によると、(i)リポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリペプチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリペプチドおよびリポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)本発明のポリペプチドおよびリポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントを含むワクチン;(iv)免疫応答、例えば、緑膿菌への防御的免疫応答を誘発するために本発明の薬学的組成物の免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主において緑膿菌に対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(v)本発明の薬学的組成物の予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することにより緑膿菌感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0074】
本発明のもう一つの局面によると、(i)リポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントと共の、本発明のポリヌクレオチドを含む物質の組成物;(ii)本発明のポリヌクレオチドおよびリポソーム、担体、希釈剤またはアジュバントを含む薬学的組成物;(iii)免疫応答、例えば、緑膿菌への防御的免疫応答を誘発するために本発明の薬学的組成物の免疫原性的に有効な量を宿主へ投与することにより宿主において緑膿菌に対する免疫応答を誘導するための方法;ならびに特に、(iv)本発明の薬学的組成物の予防的または治療的な量を必要としている宿主へ投与することにより緑膿菌感染を予防および/または治療するための方法もまた提供されている。
【0075】
さらなる態様において、本発明のポリペプチドは、リポソームと連合している。
【0076】
本明細書に用いられる場合、「と連合した」とは、本発明のポリペプチドが、少なくとも一部分は、リポソーム膜の中に埋め込まれている、および好ましくは、脂質に共有結合的に連結されていないことを意味する。ポリペプチドは、膜の中にそれ自身埋め込まれている脂質脂肪酸「尾部(tail)」に結合している場合もある。
【0077】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物は、抗原性である。
【0078】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物は、免疫原性である。
【0079】
さらなる態様において、本発明によるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物は、宿主において免疫応答を誘発することができる。
【0080】
さらなる態様において、本発明はまた、上で定義されているような本発明のポリペプチドへの結合特異性をもつ抗体を産生できるポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物に関する。
【0081】
本発明の追加的局面において、本発明のポリペプチドまたはそれらの類似体の免疫原性および/または抗原性断片と連合したリポソームを含む薬学的組成物が提供されている。
【0082】
本発明はさらに、B細胞またはTヘルパーのエピトープを含む断片と連合したリポソームを含む薬学的組成物を提供する。
【0083】
本発明はさらに、より大きいポリペプチドの部分でありうる断片と連合したリポソームを含む薬学的組成物を提供する。分泌配列もしくはリーダー配列を含む付加的アミノ酸配列、または多重ヒスチジン残基のような精製において助けとなる配列、または組換え産生の間に安定性を増加させる付加的配列、または最終ポリペプチドの免疫原性の可能性を増加させる付加的ポリペプチドもしくは脂質尾部配列を含むことは有利でありうる。
【0084】
本発明のポリペプチドの類似体と連合したリポソームを含む薬学的組成物がまた、本発明の関係において、すなわち、抗原性/免疫原性物質として用途を見出すことを当業者は認識しているものと思われる。したがって、例えば、1つもしくは複数の付加、欠失、置換またはその種の他のものを含むタンパク質またはポリペプチドは、本発明に含まれる。
【0085】
さらなる態様において、本発明はまた、本発明の1個もしくは複数のポリペプチドまたはそれらの断片もしくは類似体を含むキメラポリペプチドと連合したリポソームを含む薬学的組成物に関する。
【0086】
リポソームは、閉じられた同心性の二分子層膜を形成するリン脂質および他の極性両親媒性物質で作製される[Gregoriades, G.、Immunology Today、11、3、89 (1990); Lasic, D.、American Scientist、80、p. 20 (1992); Remington's on Pharmaceutical Sciences、第18版、1990、Mack Publishing Co.、Pennsylvania.、p. 1691に要約されている]。リポソームの主たる成分は、脂質であり、脂質は長い非極性の疎水性「尾部」に付着した極性の親水性「頭部」を有する。親水性頭部は、典型的には、リン酸基からなるが、疎水性尾部は2個の長い炭化水素鎖からなる。脂質分子は、水溶性である部分とそうではない部分をもつため、それらは、疎水性尾部を水分子から隔離する規則正しい構造に集合する傾向がある。その過程において、リポソームは、それらの内部に水および溶質を閉じこめることができる、または疎水性領域をもつ分子はまたリポソーム膜へ直接的に導入されることができる。多くのリン脂質は、単独または他の脂質と共同して、リポソームを形成する。慣例により、リポソームは、大きさにより分類され、論じることになっているリポソームの型を呼ぶのに3文字の頭字語が用いられる。多重ラメラ小胞は「MLV」、大きな単ラメラ小胞は「LUV」、小さな単ラメラ小胞は「SUV」と呼ばれる。これらの名称は、時々、リポソームの化学組成を伴う。命名法および公知のリポソームの概要は、Stormら、1998、PSIT、1:19-31に記載されている。リポソームは、膜タンパク質の再折り畳みを助けるのに有効であり、かつまた、抗原に対する体液性および細胞性免疫応答を高める有効なアジュバントである。
【0087】
本発明は、リン脂質から構成されるリポソームを含む薬学的組成物を提供する。これらのリン脂質は、合成されうる、または細菌細胞、大豆、卵から抽出されうる。
【0088】
本発明は、様々なリポソーム製剤への本発明のポリペプチドの導入のための方法を提供する。
【0089】
リポソームは、様々な合成リン脂質(一覧表1)または細菌のリン脂質および/またはコレステロールで調製されうり、様々な割合で組み合わされうる。
【0090】
本発明は、細菌起源からリポソーム製剤を作製するために細菌細胞から脂質を抽出するための方法を提供する。複合の脂質混合物は、数種類の細菌種から抽出されうる。これらの種は、限定されるものではないが、以下のものを含みうる:ナイセリア(Neisseria)種、ヘモフィラス(Haemophilus)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、バクテリオデス(Bacteriodes)種、レジオネラ(Legionella)種、ビブリオ(Vibrio)種、ブルセラ(Brucella)種、ボルデテラ(Bordetella)種、カンピロバクター(Campylobacter)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、サルモネラ(Salmonella)種、シゲラ(Shigella)種、プロテウス(Proteus)種、およびエルシニア(Yersinia)種。他の種は、Bergey's Manual of Determinative Bacteriology (1974)(Baltimore)に見出されうる。
【0091】
本発明のリポソームは、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)およびホスファチジルコリン(PC)のようなホスファチジルエーテルならびにエステルを含む様々な小胞形成脂質からだけでなく、ジオレオイルグリセロスクシネートのようなグリセリド;セレブロシド;ガングリオシド、スフィンゴミエリン;コレステロールのようなステロイド;および他の脂質、加えて、ビタミンEまたはビタミンCパルミテートのような賦形剤からも調製されうる。
【0092】
リポソーム膜の流動性および安定性は、リン脂質の転移温度(炭化水素領域が準結晶からより流動性状態へ変化する温度)に依存している。
【0093】
膜流動性、ラメラの数、小胞の大きさ、表面電荷、脂質対抗原の比、およびリポソーム内の抗原の局在性の改変は、リポソーム調製のアジュバント活性を調節することができる。
【0094】
リポソームの調製は、エタノール注入;エーテル注入;界面活性剤除去;溶媒蒸発;水エマルジョンにおけるクロロホルムからの有機溶媒の蒸発;核孔(nucleopore)のポリカーボネート膜を通しての多重ラメラ小胞の押し出し;リン脂質混合物の凍結および融解、加えて超音波処理および均質化を含む多数の異なる技術によりなされうる。
【0095】
脂質は、丸底ガラスフラスコにおいて、適する有機溶媒またはクロロホルム:メタノール溶液のような有機溶媒の混合物に溶解され、容器上に一様な薄膜に達するように回転エバポレータを用いて乾燥されうる。
【0096】
免疫化の前に、本発明のポリペプチドはまた、より強い免疫応答の発生を刺激するために、破傷風毒素、ジフテリア毒素、B型肝炎ウイルス表面抗原、灰白髄炎ウイルスVP1抗原、または任意の他のウイルスもしくは細菌の毒素もしくは抗原、または任意の適するタンパク質のような担体タンパク質に連結または結合されうる。この連結または結合は、化学的にまたは遺伝子的になされうる。ペプチド-担体の結合のより詳細な説明は、Van Regenmortel, M.H.V.、Briand J.P.、Muller S.、Plaue S.、《Synthetic Polypeptides as antigens》in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、19巻、Burdou, R.H. & Van Knippenberg P.H.編、(1988)、Elsevier New Yorkにおいて入手可能である。
【0097】
もう一つの局面によると、薬学的に許容されるアジュバントとの混合物において1個または複数の本発明のシュードモナスポリペプチドを含む薬学的組成物が提供されている。適するアジュバントは以下を含む:(1)MF59(商標)、SAF(商標)、Ribi(商標)のような水中油型エマルジョン製剤;(2)フロイントの完全アジュバントまたは不完全アジュバント;(3)塩、すなわち、AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)2、Al(OH)3、AlPO4、シリカ、カオリン;(4)Stimulon(商標)などのサポニン誘導体、またはISCOM(免疫刺激複合体)など、それらから作製された粒子;(5)インターロイキン、インターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカイン;(6)粘膜免疫の誘導のための、炭素ポリヌクレオチド、すなわち、ポリICおよびポリAU、解毒されたコレラ毒素(CTB)ならびに大腸菌熱不安定性毒素のような他の物質;(7)リポソーム。アジュバントのより詳細な説明は、M.Z.I Khanら、Pharmaceutical Research、11巻、1号 (1994) pp2-11による概説、およびまた、Guptaら、Vaccine、13巻、14号、pp1263-1276 (1995)によるもう一つの概説、および国際公開公報第99/24578号において入手可能である。好ましいアジュバントは、QuilA(商標)、QS21(商標)、Alhydrogel(商標)およびAdjuphos(商標)を含む。
【0098】
本発明の薬学的組成物は、注射、急速注入、鼻咽腔吸収、皮膚吸収により非経口的に投与されうる、または口腔内もしくは経口用でありうる。
【0099】
「薬学的組成物」という用語はまた、抗体を含むことを意図している。本発明により、シュードモナス感染ならびに/もしくはシュードモナス感染により媒介される疾患および症状の治療または予防のための、本発明のポリペプチドに対する結合特異性をもつ1個または複数の抗体の使用も提供されている。
【0100】
本発明の薬学的組成物は、Manual of Clinical Microbiology、P.R. Murray(編集長)、E.J. Baron、M.A. Pfaller、F.C. TenoverおよびR.H. Yolken、ASM Press、Washington D.C. 第7版、1999、1773p.ならびに、Campa, M.ら(編)、Pseudomonas aeruginosa as an opportunistic pathogen (1993) Plenum Press、NY、419p.に記載されているように、シュードモナス感染ならびに/またはシュードモナス感染により媒介される疾患および症状の予防のために用いられる。
【0101】
一つの態様において、本発明の薬学的組成物は、治療または院内感染について、特に、挿管された患者における人工呼吸器関連肺炎、火傷の患者における菌血症、嚢胞性線維症患者における慢性感染症および敗血症のような免疫システムが弱体化している個体において、用いられる。一つの態様において、本発明の薬学的組成物は、シュードモナス感染ならびに/もしくはシュードモナス感染により媒介される疾患および症状の治療または予防のために用いられる。さらなる態様において、シュードモナス感染は、緑膿菌により媒介される。さらなる態様において、シュードモナス感染は、シュードモナススタッチェリ(Pseudomonas stutzeri)により媒介される。
【0102】
特定の態様において、薬学的組成物は、幼児、年配の人および免疫システムが弱体化している宿主ならびにまた入院している患者、嚢胞性線維症患者、消防士、軍職員のような火傷することを受けやすい人々のようなシュードモナス感染のリスクを負っている宿主へ投与される。
【0103】
本出願に用いられる場合、「宿主」という用語は、哺乳動物を含む。さらなる態様において、哺乳動物はヒトである。
【0104】
薬学的組成物とは、好ましくは、免疫化間隔約1週間〜6週間で、約0.001 μg/kg〜100 μg/kg(抗原/体重)、およびより好ましくは0.01 μg/kg〜10 μg/kg、および最も好ましくは0.1 μg/kg〜1 μg/kgの単位剤形1回〜3回である。
【0105】
薬学的組成物は、好ましくは、免疫化間隔約1週間〜6週間で、約0.1 μg〜10 mg、およびより好ましくは1 μg〜1 mg、および最も好ましくは10 μg〜100 μgの単位剤形1回〜3回である。
【0106】
もう一つの局面によると、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むアミノ酸配列により特徴付けられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供されている。
【0107】
一つの態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含みうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11に示されるものである。
【0108】
図面に示されているポリヌクレオチド配列が、まだなお本発明のポリペプチドをコードする縮重したコドンで変化しうることは認識されているものと思われる。従って、本発明は、配列間で70%の同一性を有する本明細書に上記されているポリヌクレオチド配列(またはそれらの相補体配列)にハイブリダイズするポリヌクレオチドをさらに提供する。一つの態様において、配列間で少なくとも80%の同一性。一つの態様において、配列間で少なくとも85%の同一性。一つの態様において、配列間で少なくとも90%の同一性。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能である、すなわち、少なくとも95%の同一性を有する。さらなる態様において、97%を上回る同一性。ハイブリダイゼーションに適したストリンジェントな条件は、当業者により容易に決定されうる(例えば、Sambrookら、(1989) Molecular cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology、(1999)、Ausubel F.M.ら編、John Wiley & Sons, Inc.、N.Y.を参照されたい)。
【0109】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む。
【0110】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む。
【0111】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む。
【0112】
さらなる態様において、本発明は、以下のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列または
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体
ここで、前記のポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む。
【0113】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12に示されている本発明のポリペプチドをコードするものである。
【0114】
さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11に示されているものである。
【0115】
当業者により容易に認識される通り、ポリヌクレオチドはDNAおよびRNAの両方を含む。
【0116】
本発明はまた、本出願に記載されるポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含む。
【0117】
もう一つの局面によると、宿主細胞においてポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させ、かつ発現されたポリペプチド産物を回収することによる組換え技術により本発明のポリペプチドを産生するための方法が提供されている。または、ポリペプチドは、確立された合成化学的技術、すなわち、完全なポリペプチドを生成するために連結されるオリゴペプチドの溶液相または固相の合成(ブロック連結)に従って作製されうる。
【0118】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの獲得ならびに評価のための一般的方法は、以下の参照文献に記載されている:Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989;Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel F.M.ら編、John Wiley and Sons, Inc. New York;PCR Cloning Protocols、from Molecular Cloning to Genetic Engineering、White B.A.編、Humana Press、Totowa、New Jersey、1997、490ページ;Protein Purification, Principles and Practices、Scopes R.K.、Springer-Verlag、New York、第3版、1993、380ページ;Current Protocols in Immunology、Coligan J.E.ら、John Wiley & Sons Inc.、New York。
【0119】
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターでトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。
【0120】
本発明は、ポリペプチドの発現に適した条件下で本発明の宿主細胞を培養する段階を含むポリペプチドを産生するための方法を提供する。
【0121】
組換え産生について、宿主細胞は、本発明のポリペプチドをコードするベクターでトランスフェクションされ、その後、プロモーターを活性化する、形質転換体を選択するまたは遺伝子を増幅するために適切なように改変された栄養培地において培養される。適するベクターは、選択された宿主において生存可能かつ複製可能であるものであり、染色体の、非染色体のおよび合成のDNA配列を含み、例えば、細菌のプラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドおよびファージDNAの組み合わせ由来のベクターである。ポリペプチド配列は、プロモーター、リボソーム結合部位(共通領域またはシャイン-ダルガノ配列)、および選択的にオペレーター(制御エレメント)を含む発現制御領域にそれが実施可能に連結されているように、制限酵素を用いて、適切な部位でベクターに導入されうる。確立された分子生物学原理に従って与えられた宿主およびベクターに適切である発現制御領域の個々の成分を選択できる(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989;Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel F.M.ら編、John Wiley and Sons, Inc. New York)。適するプロモーターは、限定されるものではないが、LTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lac、tacまたはtrpプロモーターおよびファージλPLプロモーターを含む。ベクターには、好ましくは、複製開始点および選択マーカー、すなわち、アンピシリン耐性遺伝子が導入される。適する細菌のベクターは、pET、pQE70、pQE60、pQE-9、pD10phagescript、psiX174、pbluescriptSK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5を含み、かつ、真核生物のベクターは、pBlueBacIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLを含む。宿主細胞は、細菌、すなわち、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces);真菌、すなわち、クロカビ(Aspergillus niger)、偽巣性コウジ菌(Aspergillus nidulans);酵母、すなわち、サッカロマイセス(Saccharomyces)、または真核生物、すなわちCHO、COSでありうる。
【0122】
培養中にポリペプチドが発現したら、細胞は、典型的には、遠心分離により収集され、その後、物理的または化学的手段により粉砕され(発現されたポリペプチドが培地へ分泌されない場合には)、得られた粗抽出物は、対象となるポリペプチドを単離するように保持される。培地または可溶化液からのポリペプチドの精製は、ポリペプチドの性質に依存する確立された技術により、すなわち、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを用いて達成されうる。最終精製は、HPLCを用いて達成されうる。
【0123】
ポリペプチドは、リーダーまたは分泌配列を含んでまたは含まずに、発現されうる。前者の場合、リーダーは、翻訳後プロセシングを用いて除去されうる(米国特許第4,431,739号;米国特許第4,425,437号;および米国特許第4,338,397号を参照)、または発現されたポリペプチドを精製した後で化学的に除去されうる。
【0124】
さらなる局面によると、本発明のシュードモナスポリペプチドは、シュードモナス感染、特に緑膿菌感染についての診断検査において用いられうる。
【0125】
シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染についていくつかの診断方法が可能である。例えば、生体試料におけるシュードモナス生物体の検出が挙げられるが、これは以下の段階を含みうる:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)本発明のシュードモナスポリペプチドに反応性の抗体またはその断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスの存在を示す、混合物において特異的に結合した抗体または結合した断片を検出する段階。
【0126】
または、シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染についての診断のための方法は、抗体を含むまたは含むのではないかと疑われる生体試料においてシュードモナス抗原に特異的な抗体の検出のための方法を含み、以下のように行われうる:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)1個もしくは複数の本発明のシュードモナスポリペプチドまたはそれらの断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスに特異的な抗体の存在を示す、混合物において特異的に結合した抗原または結合した断片を検出する段階。
【0127】
この診断検査は、特に、生物体においてポリペプチドに特異的な抗体が存在しているかどうかを測定するために、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射性免疫測定法またはラテックス凝集測定法を含むいくつかの型をとりうることを当業者は認識しているものと思われる。
【0128】
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列はまた、シュードモナスの存在をそのような細菌を含むのではないかと疑われる生体試料において検出するのに使用されるDNAプローブを設計するために用いられうる。本発明の検出方法は、以下の段階を含む:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)本発明のポリペプチドもしくはその断片をコードするDNA配列を有する1個または複数のDNAプローブを生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナス細菌の存在を示す、混合物において特異的に結合したDNAプローブを検出する段階。
【0129】
本発明のDNAプローブはまた、シュードモナス感染を診断する方法として、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、循環中のシュードモナス、すなわち、試料中のシュードモナス核酸を検出するために用いられうる。プローブは、通常の技術を用いて合成され、固相上に固定化されうる、または検出可能標識で標識されうる。本出願のための好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約6個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。さらなる態様において、好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約15個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。さらなる態様において、好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約30個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。さらなる態様において、好ましいDNAプローブは、本発明のシュードモナスポリペプチドの少なくとも約50個の連続したヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマーである。
【0130】
宿主におけるシュードモナスの検出のためのもう一つの診断方法は、以下の段階を含む:
a)本発明のポリペプチドに反応性の抗体またはその断片を検出可能標識で標識する段階;
b)標識抗体または標識断片を宿主へ投与する段階;および
c)シュードモナスの存在を示す宿主において特異的に結合した標識抗体または標識断片を検出する段階。
【0131】
さらなる局面において、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはそれらの断片、類似体もしくは誘導体は、DNA免疫化方法において用いられうる。つまり、それらは、注入において複製可能かつ発現可能であるベクターへ導入され、それにより、インビボで抗原性ポリペプチドを産生できる。例えば、ポリヌクレオチドは、真核生物細胞において機能しうるCMVプロモーターの制御下にプラスミドベクターへ導入されうる。好ましくは、ベクターは、筋内に注射される。
【0132】
本発明のさらなる局面は、診断および特に、シュードモナス感染の治療のための特異的抗体の産生のための免疫原としての、本発明のシュードモナスポリペプチドの使用である。
【0133】
本発明のさらなる局面は、受動免疫化のための、本発明のポリペプチドに対する抗体の使用であり、それにより、本発明のポリペプチドにより産生された抗体が受動免疫化を与えるのに十分な量で宿主へ投与される。本出願に記載されている抗体を使用することができる。適する抗体は、適切なスクリーニング方法を用いて、例えば、試験モデルにおいてシュードモナス感染に対して受動的に防御する特定の抗体の能力を測定することにより、決定されうる。動物モデルの一つの例は、本明細書で実施例に記載されるマウスモデルである。抗体は、抗体全体またはその抗原結合断片でありうり、いずれの免疫グロブリンクラスに属してもよい。抗体または断片は、動物起源、特に哺乳動物起源、およびより特にマウス、ラットまたはヒト起源でありうる。それは、天然の抗体もしくはその断片、または望ましい場合には、組換え抗体もしくは抗体断片でありうる。組換え抗体または抗体断片という用語は、分子生物学的技術を用いて産生された抗体または抗体断片を意味する。抗体または抗体断片は、ポリクローナル、または好ましくはモノクローナルでありうる。それは、シュードモナスポリペプチドに関連した多数のエピトープに特異的でありうるが、好ましくは1つに対して特異的である。
【0134】
遺伝子免疫化における本発明のポリヌクレオチドの使用は、好ましくは、筋肉へのプラスミドDNAの直接的注射[Wolfら、H M G (1992) 1:363; Turnesら、Vaccine (1999)、17:2089; Leら、Vaccine (2000) 18:1893; Alvesら、Vaccine (2001) 19:788]、アジュバント有りもしくは無しでのプラスミドDNAの注射[Ulmerら、Vaccine (1999) 18:18; MacLaughlinら、J. Control Release (1998) 56:259; Hartikkaら、Gene Ther. (2000) 7:1171-1182; BenvenistyおよびReshef、PNAS USA (1986) 83:9551; Singhら、PNAS USA (2000) 97:811]、特定の担体と複合化されたDNAの送達により細胞を標的すること[Waら、J Biol Chem (1989) 264:16985; Chaplinら、Infect. Immun. (1999) 67:6434]、様々な型のリポソームに複合化もしくはカプセル化されたプラスミドの注射[Ishiiら、AIDS Research and Human Retroviruses (1997) 13:142; Perrieら、Vaccine (2001)19:3301]、異なる方法の打ち込み(bombardment)によるDNAの投与[Tangら、Nature (1992) 356:152; Eisenbraunら、DNA Cell Biol (1993) 12:791; Chenら、Vaccine (2001) 19:2908]、および生きたベクターによるDNAの投与[Tubulekasら、Gene (1997) 190:191; Pushkoら、Virology (1997) 239:389; Sprengら、FEMS (2000) 27:299; Dietrichら、Vaccine (2001) 19:2506]のような適する送達方法または系を用いる。
【0135】
さらなる局面において、本発明は、本発明の薬学的組成物の予防的量または治療的量を宿主へ投与する段階を含むシュードモナス感染を受けやすい宿主においてシュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための方法を提供する。
【0136】
さらなる態様において、本発明は、シュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための薬物の製造における本発明の薬学的組成物の使用を提供する。
【0137】
さらなる態様において、本発明は、シュードモナス感染を検出または診断するための本発明のポリペプチドを含むキットを提供する。
【0138】
特記されない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般に理解されるのと同じ意味をもつ。本明細書に言及されているすべての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献は、完全に参照として組み入れられている。矛盾する場合は、定義を含め、本明細書に統制されるものとする。さらに、材料、方法および実施例は、例証となるのみであり、制限を意図したものではない。
【0139】
実施例1
本実施例は、SPA-1遺伝子のクローニングおよび分子的特徴ならびに対応するポリペプチドを示す。
【0140】
緑膿菌SPA-1(配列番号:1)遺伝子のコード領域を、制限酵素部位NdeI(CATATG)およびNotI(GCGGCCGC)の付加についての塩基延長部分を含む以下のオリゴを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific、Markham、Ontario、Canada)により増幅した:
。製造会社の使用説明書に従って、PCR産物をQIAquickゲル抽出キット(Qiagen、Chatsworth、CA)を用いて、アガロースゲルから精製し、NdeIおよびNotI(Amersham Pharmacia Biotech, Inc.、Baie d'Urfe、Canada)で消化した。pET21b(+)ベクター(Novagen、Madison、WI)をNdeIおよびNotIで消化し、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いてアガロースゲルから精製した。NdeI-NotI PCR産物をNdeI-NotI pET21b(+)発現ベクターに連結した。連結された産物を大腸菌DH5α株[φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA-argF)U169 endA1 recA1 hsdR17(rK-mK+) deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](Gibco BRL、Gaithersburg、MD)へSimanisの方法(Hanahan, D. DNA Cloning、1985、D.M. Glover編、pp. 109-135)に従って形質転換した。SPA-1遺伝子を含む組換えpET21b(+)プラスミド(rpET21b(+))をQiagenキットを用いて精製し、DNA挿入物をシーケンシングした(Taq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing kit、ABI、Foster City、CA)。
【0141】
(表1)緑膿菌遺伝子のPCR増幅のために用いられるオリゴヌクレオチドプライマー
【0142】
SPA-1ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、1347 bpを含み、推定pIが8.20および推定分子量が47757.95 Daの448アミノ酸残基ポリペプチドをコードすることが測定された。Spscanソフトウェア(Wisconsin Sequence Analysis Package; Genetics Computer Group)を用いる推定アミノ酸残基配列(配列番号:2)の分析により、アラニン残基とグルタミン残基の間に位置する切断部位で終わる32アミノ酸残基のシグナルペプチド
の存在が示唆された。
【0143】
SPA-1(配列番号:1)遺伝子のPCR増幅により存在を確認するために、以下の5つの別個の緑膿菌株を用いた:緑膿菌PAO1、NF25、NF45、1019-5およびB。臨床分離株は、the Centre de Recherche en Infectiologie(Laval University、Quebec、Canada)により提供された。大腸菌XL1-Blue MRF'をこれらの実験において陰性対照として用いた。オリゴヌクレオチドプライマーPSEU59およびPSEU60(表1)を用いて、SPA-1(配列番号:1)遺伝子を、5つの緑膿菌株および対照大腸菌株由来のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した。PCRは、94℃で10秒間、45℃で30秒間および68℃で2分間を10サイクル、続いて、94℃で10秒間、45℃で30秒間および68℃で2分間(1サイクル毎に0.05秒間増加)を20サイクル、ならびに68℃で7分間の最終伸長期間で行われた。PCR産物を、1% アガロースゲルにおいてサイズ分画化し、臭化エチジウム染色により可視化した。これらのPCR増幅の結果は、表2に示されている。増幅産物の分析により、SPA-1(配列番号:1)遺伝子は試験されたすべての5つの緑膿菌株のゲノムに存在していることが明らかになった。対照大腸菌DNAがこれらのオリゴヌクレオチドプライマーを用いた同一のPCR増幅にかけられた場合、そのような産物は検出されなかった。
【0144】
(表2)PCR増幅による緑膿菌遺伝子の同定
【0145】
実施例2
本実施例は、SPA-2遺伝子のクローニングおよび分子的特徴ならびに対応するポリペプチドを示す。
【0146】
緑膿菌SPA-2(配列番号:3)遺伝子のコード領域を、制限酵素部位NdeI(CATATG)およびHindIII(AAGCTT)の付加についての塩基延長部分を含む以下のオリゴを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAから、PCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した:PSEU47およびPSEU48(これらは表1に示されている)。SPA-2遺伝子を発現ベクターへクローニングする、およびシーケンシングするために用いられる方法は、実施例1に記載される方法と同様である。
【0147】
SPA-2をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、624 bpを含み、推定pIが5.04および推定分子量が22882.24 Daの207アミノ酸残基ポリペプチドをコードすることが測定された。Spscanソフトウェア(Wisconsin Sequence Analysis Package; Genetics Computer Group)を用いる推定アミノ酸残基配列(配列番号:4)の分析により、アラニン残基とシステイン残基の間に位置する切断部位で終わる19アミノ酸残基のシグナルペプチド
の存在が示唆された。
【0148】
SPA-2遺伝子は、試験された5つの緑膿菌株において、オリゴヌクレオチドプライマーPSEU47およびPSEU48を用いるPCR増幅後に、存在していることが示された(表2)。SPA-2遺伝子のPCR増幅に用いられる方法は、実施例1に示されている方法と同様であった。対照大腸菌DNAがこれらのオリゴヌクレオチドプライマーを用いた同一のPCR増幅にかけられた場合、そのような産物は検出されなかった。
【0149】
実施例3
本実施例は、SPA-3遺伝子のクローニングおよび分子的特徴ならびに対応するポリペプチドを示す。
【0150】
緑膿菌SPA-3(配列番号:5)遺伝子のコード領域を、制限酵素部位NdeI(CATATG)およびHindIII(AAGCTT)の付加についての塩基延長部分を含む以下のオリゴを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した:PSEU37およびPSEU38(これらは表1に示されている)。SPA-3遺伝子を発現ベクターへクローニングする、およびシーケンシングするために用いられる方法は、実施例1に記載される方法と同様である。
【0151】
SPA-3をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、1143 bpを含み、推定pIが5.15および推定分子量が40394.19 Daの380アミノ酸残基ポリペプチドをコードすることが測定された。Spscanソフトウェア(Wisconsin Sequence Analysis Package; Genetics Computer Group)を用いる推定アミノ酸残基配列(配列番号:6)の分析により、セリン残基とアスパラギン残基の間に位置する切断部位で終わる21アミノ酸残基のシグナルペプチド
の存在が示唆された。
【0152】
SPA-3遺伝子は、試験された5つの緑膿菌株において、オリゴヌクレオチドプライマーPSEU37およびPSEU38を用いるPCR増幅後に、存在していることが示された(表2)。SPA-3遺伝子のPCR増幅に用いられる方法は、実施例1に示されている方法と同様であった。対照大腸菌DNAがこれらのオリゴヌクレオチドプライマーを用いた同一のPCR増幅にかけられた場合、そのような産物は検出されなかった。
【0153】
実施例4
本実施例は、CMVプラスミドpCMV-GHにおける緑膿菌遺伝子のクローニングを示す。
【0154】
緑膿菌ポリペプチドのDNAコード領域を、プラスミドベクターpCMV-GHにおいて、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの転写制御下にあるヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流の相に挿入した(Tangら、Nature、1992、356:152)。CMVプロモーターは、大腸菌細胞において機能しえないが、真核生物細胞においてプラスミドの投与により活性がある。ベクターにはまた、アンピシリン耐性遺伝子が導入された。
【0155】
リーダーペプチド領域を含まないSPA-1(配列番号:1)遺伝子、SPA-2(配列番号:3)遺伝子およびSPA-3(配列番号:5)遺伝子のコード領域を、表1に記載されている制限酵素部位BamHI(GGATCC)、BglII(AGATCT)、XbaI(TCTAGA)、またはHindIII(AAGCTT)の付加についての塩基延長部分を含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、緑膿菌PAO1株のゲノムDNAからPCR(Hybaid PCR Express、ESBE Scientific)により増幅した。PCR産物をQIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いて、アガロースゲルから精製し、制限酵素(Amersham Pharmacia Biotech, Inc.)で消化した。pCMV-GHベクター(Stephen A. Johnston博士の研究室、Department of Biochemistry、The University of Texas、Dallas、Texas)をBamHI、BglII、XbaIまたはHindIIIで消化し、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いてアガロースゲルから精製した。消化されたDNA断片を消化されたpCMV-GHベクターへ連結し、CMVプロモーターの制御下のhGH-SPA-1融合ポリペプチド、hGH-SPA-2融合ポリペプチドおよびhGH-SPA-3融合ポリペプチドを作製した。連結された産物を、大腸菌DH5α株[φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA-argF) U169 endA1 recA1 hsdR17(rK-mK+) deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](Gibco BRL)へSimanisの方法(Hanahan, D. DNA Cloning、1985、D.M. Glover編、pp. 109-135)に従って形質転換した。組換えpCMVプラスミドをQiagenキットを用いて精製し、DNA挿入物のヌクレオチド配列は、DNAシーケンシングにより検証された。
【0156】
実施例5
本実施例は、緑膿菌ポリペプチド抗原への免疫応答を誘発しうるDNAの使用を示す。
【0157】
8匹の雌BALB/cマウス(Charles River、St-Constant、Quebec、Canada)の群を、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)発現プラスミドpCMV-GH-GM-CSF(Stephen A. Johnston博士の研究室、Department of Biochemistry、The University of Texas、Dallas、Texas)50 μgの存在下におけるSPA-1(配列番号:1)遺伝子、SPA-2(配列番号:3)遺伝子およびSPA-3(配列番号:5)遺伝子をコードする組換えpCMV-GHの50 μgを用いて、2週間または3週間間隔で筋内注射100 μlを3回行って免疫化した。対照として、マウス群に、50 μgのpCMV-GH-GM-CSFの存在下で50 μgのpCMV-GHを注射した。血液試料を各免疫化の前、および3回目の注射から7日後に眼窩静脈洞から収集した。血清抗体応答は、コーティング抗体としての対応するHis-タグ標識された緑膿菌組換えポリペプチドを用いるELISAにより測定された。これらのHis-タグ標識された緑膿菌組換えポリペプチドの産生および精製は、実施例6に示されている。
【0158】
実施例6
本実施例は、緑膿菌組換えポリペプチドの産生および精製を示す。
【0159】
SPA-1(配列番号:1)遺伝子、SPA-2(配列番号:3)遺伝子およびSPA-3(配列番号:5)遺伝子を含む組換えpET21b(+)プラスミドを用いて、大腸菌Tuner株(DE3)[F- ompT hsdSB (rB- mB-) gal dcm lacY1 (DE3)](Novagen)をエレクトロポレーション(Gene Pulser II apparatus、BIO-RAD Labs、Mississauga、Canada)により形質転換した。この大腸菌株において、組換えポリペプチドの発現を制御するT7プロモーターは、その遺伝子がイソプロピル-β-d-チオ-ガラクトピラノシド(IPTG)により誘導可能なlacプロモーターの制御下にあるT7 RNAポリメラーゼ(λDE3プロファージ上に存在)により、特異的に認識される。形質転換体Tuner(DE3)/rpET21を、A600が0.5の値に達するまで、1 mlあたり100 μgのアンピシリン(Sigma-Aldrich Canada Ltd.、Oakville、Canada)を含むルリア-ベタニ(Luria-Betani)(LB)培地(ペプトン 10 g/L、酵母エキス 5 g/L、NaCl 10g/L)において250 rpmで撹拌しながら、37℃で増殖させた。His-タグを付けられた緑膿菌組換えポリペプチドの産生を誘導するために、最終濃度1 mMのIPTGの存在下において、細胞をさらに3時間インキュベーションした。培養物1Lから誘導された細胞を遠心分離によりペレット化し、-70℃で凍結させた。
【0160】
IPTG誘導Tuner(DE3)/rpET21の可溶性または不溶性細胞質画分からの組換えポリペプチドの精製を、His結合金属キレート化樹脂に固定化された二価陽イオン(Ni2+)に結合しうるHis-タグ配列(6個の連続したヒスチジン残基)の性質に基づいたアフィニティークロマトグラフィーにより行った。概説すると、可溶性細胞質画分からのSPA-2およびSPA-3ポリペプチドの精製について、IPTGで誘導された培養物1Lから得られたペレット化細胞を超音波処理し、その後30分間、21,000×gで遠心分離して細胞片を除去した。不溶性細胞質画分からの組換えポリペプチドSPA-1の精製について、細胞を上記のように超音波処理かつ遠心分離し、得られたペレットを6 M グアニジン-HClを含む溶解緩衝液(5 mM イミダゾール、2 M NaCl、20 mM トリス-HCl pH 7.9)に再懸濁した。懸濁液を氷上で1時間インキュベーションし、39,000×gで20分間遠心分離した。可溶性SPA-2およびSPA-3ポリペプチドまたは溶解されたSPA-1ポリペプチドを含む上清をNi-NTAアガロースカラム(Qiagen)に析出させた。His-タグ標識された緑膿菌組換えポリペプチドを250 mM イミダゾール-500 mM NaCl-20 mM トリス pH 7.9で溶出させた。試料からの塩およびイミダゾールの除去を、PBSに対する透析により4℃で行った。大腸菌の可溶性画分または不溶性画分から得られた組換えポリペプチドの量は、MicroBCA(Pierce、Rockford、Illinois)により評価された。
【0161】
実施例7
本実施例は、ヒト血清に存在する抗体とのHis-タグを付けられた緑膿菌組換えポリペプチドの反応性を示す。
【0162】
表3に示されるように、SPA-1、SPA-2およびSPA-3のHis-タグを付けられた組換えポリペプチドが、ヒト血清に存在する抗体による免疫ブロットにおいて認識された。これにより、ヒトは、通常、緑膿菌に接触しているが、これらのポリペプチドに特異的である抗体を発生していることが示された。これらの特定のヒト抗体は、緑膿菌感染に対する防御に関係しているものと思われる。
【0163】
(表3)緑膿菌のHis-タグを付けられた融合組換えポリペプチドとのヒト血清に存在する抗体の免疫ブロットにおける反応性
1 実施例6に記載されるように産生かつ精製されたHis-タグを付けられた組換えポリペプチドを用いて、免疫ブロットを行った。
2 His-タグを付けられた組換えポリペプチドの分子量を、SDS-PAGE後に推定した。
3 それぞれ1/500に希釈された3つのヒト血清プールを、免疫ブロットを行うために調製した。
【0164】
実施例8
本実施例は、緑膿菌株の表面におけるSPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチドの、抗体への接近しやすさを示す。
【0165】
細菌を血液寒天上で一晩、30℃で増殖させた。コロニーをO.D.600nmが0.3となるようにLB培地に再懸濁した。その後、抗SPA-1、抗SPA-2もしくは抗SPA-3または対照血清の希釈物を添加し、回転させながら4℃で2時間インキュベーションして、細胞と結合させた。試料をブロッキング緩衝液[2% ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝食塩水(PBS)]において2回洗浄し、その後、ブロッキング緩衝液に希釈された、ヤギのフルオレセイン(FITC)結合抗マウスIgG Fc(γ)断片特異的な500 μlを添加した。暗闇で回転させながら4℃で2時間さらにインキュベーションした後、試料をブロッキング緩衝液において2回、洗浄し、4℃で18時間、PBS緩衝液中の0.25% ホルムアルデヒドで固定した。細胞を遠心分離し、0.5 mlのPBS緩衝液に再懸濁した。細胞は、フローサイトメトリー(Epics(登録商標)XL; Beckman Coulter, Inc.)により分析されるまで4℃で暗所に保存された。フローサイトメトリー分析により、SPA-1特異的抗体、SPA-2特異的抗体およびSPA-3特異的抗体は、試験された相同的な(PAO1)緑膿菌株上の、それらに対応する表面に露出したエピトープを効率的に認識することが明らかにされた(表4)。分析された10,000個のシュードモナス細胞の55%を上回って、SPA-1特異的血清、SPA-2特異的血清およびSPA-3特異的血清に存在する抗体で標識されたと判定された。これらの観察は、明らかに、SPA-1ポリペプチド、SPA-2ポリペプチドおよびSPA-3ポリペプチドは表面において接近しやすく、それらは抗体により容易に認識されうることを実証している。抗緑膿菌抗体は、緑膿菌感染に対する防御において重要な役割を果たすことが示された。
【0166】
(表4)緑膿菌PAO1株の無傷の細胞の表面におけるSPA-1特異的抗体、SPA-2特異的抗体およびSPA-3特異的抗体の付着の評価
1 マウスは、2週間間隔で4回、QuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories、Hornby、Canada)10 μgと混合された精製組換えポリペプチド20 μgを皮下に注射された。血清は、1/50に希釈された。
2 蛍光指数は、免疫血清で細胞を標識した後に得られる中間蛍光値を対照マウス血清について得られる蛍光値で割った値として計算された。蛍光値1は、無傷のシュードモナス細胞の表面において抗体の結合がないことを示した。
3 分析された10,000個の細胞のうち標識された細胞の割合(%)。
4 免疫化されていないマウスまたは偽免疫化されたマウスから収集された血清をプールし、1/50に希釈して、このアッセイについての陰性対照として用いた。
5 緑膿菌PAO1株由来の20 μgの精製組換え外膜ポリペプチドOprIで免疫化されたマウスから得られた血清を1/50に希釈して、アッセイのための陽性対照として用いた。
【0167】
実施例9
本実施例は、SPA-2組換えポリペプチドを用いた免疫化により誘導された、緑膿菌感染に対するマウスの防御を示す。
【0168】
4匹の雌BALB/cマウス(Charles River)の群を、アフィニティー精製されたHis-タグ付きの緑膿菌SPA-2組換えポリペプチドの20 μgを用いた10%QuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories Ltd)存在下で、または対照として、PBS中のQuilAアジュバント単独を用いて、2週間間隔で4回、皮下免疫化した。各免疫化前の0日目、14日目、28日目および42日目、ならびに、4回目の注射から7日後(49日目)に眼窩静脈洞から血液試料を収集した。1週間後、マウスを、緑膿菌PAO1株の約5×107 CFUに気管内曝露させた。緑膿菌曝露接種原の試料を、CFUを測定するためおよび曝露用量を確認するために、血液寒天プレート上に蒔いた。マウスの生存を5日間モニタリングし、防御を、アジュバントのみで免疫化されたマウス群における生存と比較した、生存マウスの割合(%)として報告した。表5に報告されている結果は、SPA-2組換えポリペプチドによる免疫化は、死亡を遅らせ、かつマウスを致死的シュードモナス感染から防御することができることを示している。
【0169】
(表5)致死的気管内曝露に対するSPA-2組換えポリペプチドを用いた免疫化により与えられる防御
1 QuilAアジュバント(Cedarlane Laboratories、Hornby、Canada)10 μgと混合した精製組換えポリペプチド20 μgを、または陰性対照としてQuilAアジュバントのみを、2週間間隔で4回、マウスに皮下注射された。
【0170】
実施例10
本実施例は、緑膿菌ゲノムにおける、ワクチンのための免疫原として用いられうる、SPA-1相同体の同定を示す。
【0171】
ゲノム分析により、SPA-1に相同的なタンパク質をコードする3個の遺伝子の同定が可能になった。各遺伝子およびタンパク質の配列は、それぞれ、図7、図9、図11および図8、図10、図12に示されている。SHB-PA104(配列番号:20)、SHB-PA105(配列番号:22)およびSHB-PA106(配列番号:24)タンパク質は、それぞれ、SPA-1タンパク質(448アミノ酸)との49.4%(389アミノ酸を上回る;図13)、33.2%(361アミノ酸を上回る;図14)および32.2%(289アミノ酸を上回る;図15)の同一性を示す。4個の相同性タンパク質を示している論文が、2002年1月に発表された(Blackburn, N.T.およびClarke, A.J. (2002) Biochemistry、41:1001-1013)。論文は、これらのタンパク質を溶解性トランスグリコシラーゼのファミリーとして記載している。SPA-1との相同性により、それらは、興味深く、利用しやすいワクチン候補になりうる。表6は、過剰発現され、精製され、そしてSPA-1に関する免疫原として用いられうる3個の新規遺伝子を増幅するためのプライマーを記載するものである。
【0172】
(表6)新規緑膿菌遺伝子のPCR増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマー
【0173】
実施例11
本実施例は、細菌細胞から脂質を抽出するために用いられる方法を示す。
【0174】
細菌起源のリポソーム製剤を作製するために、大腸菌から複合脂質混合物を抽出した。そのような複合脂質混合物を生成するために、以下のような他の細菌種もまた適していたものと思われる:ナイセリア種、ヘモフィラス種、シュードモナス種、バクテリオデス種、レジオネラ種、ビブリオ種、ブルセラ種、ボルデテラ種、カンピロバクター種、クレブシエラ種、サルモネラ種、シゲラ種、プロテウス種、およびエルシニア種。他の種もまた用いられることができた。以下の方法は、実施例12に示されているリポソーム製剤を作製するために用いられる複合脂質混合物を生成するために用いられた。
【0175】
細菌を、8% CO2(175 rpm)の存在下で、BHI培地において37℃で一晩増殖させた。細胞を遠心分離により収集し、ペレットを細胞1グラム(湿重量)あたり6.7 mlのメタノールに懸濁した。この細菌懸濁液を、8に調整されたマイクロチッププローブと共にソニックディスメンブレーター500(Sonic dismembrator 500)(Fisher Scientific)を用いて氷浴中で2回、超音波処理した。この懸濁液を、その後、65℃で30分間、加熱した。このインキュベーション期間後、2容量のクロロホルムを懸濁液に添加し、室温で1時間撹拌した。懸濁液をワットマン4番濾紙を通して濾過した。濾液をテフロンチューブに移し、その後、0.2容量の食塩水(NaCl 0.6%(w/v))を添加した。遠心分離後、上相および界面の沈澱物を捨てた。下相を、1容量のクロロホルム:メタノール:生理食塩水(3:48:47)で、少なくとも4回または界面にもはや沈殿物が存在しなくなるまで、抽出した。最終抽出後、下部の有機相を回転エバポレータ(Rotavapor、Buchi、Switzerland)において乾燥させた。乾燥したリン脂質を-80℃で貯蔵した、またはクロロホルム:メタノール(2:1)の溶液に再懸濁した。
【0176】
実施例12
本実施例は、様々なリポソーム製剤への組換えSPA-1の導入を示す。
【0177】
リポソームは、透析方法を用いて調製された。リポソームは、様々な比率で組み合わされ、様々な合成(本実施例の一覧表1を参照;他の脂質を用いることができ、かつRemington's on Pharmaceutical Sciences、第18版、1990、Mack Publishing Co.、Pennsylvania、p.390に記載されている)もしくは細菌のリン脂質および/またはコレステロールで調製された。いくつかのリポソーム製剤はまた、600 μg/mlのアジュバントモノホスホリルリピドA(MPLA、Avanti polar lipids、Alabaster、AL)で調製された。SPA-1タンパク質をまず、90% エタノール(容量/容量)に沈殿させ、PBS緩衝液中に1%(重量/容量)のSDS(Sigma chemical)を含む1 mlのPBS緩衝液で変性させ、そして、100℃で10分間、加熱した。溶液を、15%(重量/容量)のn-オクチル-D-グルコピラノシド(OG、Sigma)を含む1 mlのPBS緩衝液で希釈し、室温で3時間、インキュベーションした。脂質を丸底ガラスフラスコ中でクロロホルム:メタノール溶液(2:1)に溶解し、容器上で一様な薄膜となるように回転エバポレータ(Rotavapor、Buchi、Switzerland)を用いて乾燥させた。上記のタンパク質-界面活性剤溶液を脂質薄膜へ添加し、薄膜が溶解されるまで、穏やかに混合した。混合後の溶液は、外観上、わずかにオパールのような光彩を放っていた。その後、溶液をPBS緩衝液(pH 7.4)に対して大量透析し、界面活性剤を除去して、リポソーム形成を誘導した。透析後、得られた乳白色の溶液を、ステンレススチール押し出し装置(Lipex Biomembranes、Vancouver、Canada)を用いて、逐次的に、1000 nm、400 nm、200 nmおよび100 nmのポリカーボネートフィルターを通して押し出した。カプセル化されていないタンパク質を4℃で1時間、250000×gの超遠心分離により除去した。ペレットを0.3 Mのショ糖を含むPBS緩衝液で懸濁した。小胞の大きさおよび均質性は、サブミクロン粒子分析計(model N4 Plus、Beckman Counlter)による準弾性光散乱により評価された。この装置を用いて、様々な調製物におけるリポソームの大きさは、およそ100 nmであると推定された。すべてのリポソーム調製物は、0.22μm膜を通した濾過により滅菌されて、使用されるまで-80℃で貯蔵された。リポソームに導入された組換えタンパク質の量は、WesselおよびFlugge(Anal. Biochem. 1984、138:141-143)により記載されているように、クロロホルム:メタノール溶液(2:1)におけるSPA-1-リポソーム調製物のリン脂質抽出後、MicroBCA(Pierce、Rockford、Ill.)により推定された。
【0178】
ゲル濾過は、SPA-1-OG-SDS-脂質混合ミセル溶液からのSPA-1リポソーム形成を誘導するため、および界面活性剤を除去するための代替方法として用いられた。SPA-1-OG-SDS-脂質溶液を、Sephadex G-50(カラムサイズ:2 cm×20 cm、Pharmacia)またはP-6(カラムサイズ:2 cm×20 cm、Bio Rad)サイズ排除クロマトグラフィー/脱塩カラムの先端に直接添加し、流速2.5 ml/分でPBS緩衝液により溶出させた。タンパク質および脂質の両方を含む画分をプールして押し出し、遠心分離し、その後、小胞の大きさを上記のように評価した。すべての調製物は、0.22μm膜を通して滅菌され、使用されるまで-80℃で貯蔵された。
【0179】
一覧表1 SPA-1-リポソーム調製物を調製するために用いられる合成脂質の一覧表の一部
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DLPA)、ジミリストイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DMPA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DPPA)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-リン酸(DOPA)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-リン酸(POPA)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジトリデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジペンタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジヘプタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DLPG)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DMPG)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DPPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DSPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](DOPG)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-RAC-(1-グリセロール)](POPG)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DLPS)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DMPS)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DPPS)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DSPS)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DOPS)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](POPS)。
【0180】
実施例13
本実施例は、SPA-1-リポソーム製剤を用いたマウスおよびウサギの免疫化を示す。
【0181】
雌BALB/cマウス(Charles River Laboratories、St-Constant、Quebec、Canada)の群を、様々なリポソーム調製物へ導入された20 μgの組換えSPA-1を用いて、または対照として、タンパク質を含まないリポソーム製剤を用いて、2週間間隔で4回、筋肉内(IM)免疫化した。各免疫化前および最後の注射後2週間目に眼窩静脈洞から血液試料を収集した。血清試料を-20℃で貯蔵した。
【0182】
ニュージーランドホワイト(New Zealand White)雌ウサギ(2.5 kg、Charles River)を、様々なリポソーム製剤に導入された組換えSPA-1タンパク質100 μgを用いて、いくつかの部位において3週間間隔で3回または4回、IM免疫化した。各免疫化前および最後の注射から3週間後に血清試料を収集した。血清試料を-20℃で貯蔵した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【請求項2】
以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9または配列番号:11から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【請求項3】
DNAである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
DNAである、請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
RNAである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
RNAである、請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項8】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項1記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項9】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項2記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項10】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項1記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項11】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項2記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項12】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11またはそれらの断片もしくは類似体を含む配列を有する、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9または配列番号:11を含む配列を有する、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項14】
発現制御領域に機能的に連結された請求項1記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項15】
発現制御領域に機能的に連結された請求項2記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項16】
請求項14記載のベクターでトランスフェクションされた宿主細胞。
【請求項17】
請求項15記載のベクターでトランスフェクションされた宿主細胞。
【請求項18】
ポリペプチドの発現に適した条件下において請求項16記載の宿主細胞を培養する段階を含む、ポリペプチドを産生するための方法。
【請求項19】
ポリペプチドの発現に適した条件下において請求項17記載の宿主細胞を培養する段階を含む、ポリペプチドを産生するための方法。
【請求項20】
以下から選択されるポリペプチドを含む、単離されたポリペプチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド;
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【請求項21】
以下から選択されるポリペプチドを含む、単離されたポリペプチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド。
【請求項22】
分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【請求項23】
ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結される条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を有する2個またはそれ以上のポリペプチドを含む、キメラポリペプチド。
【請求項24】
ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結される条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を有する2個またはそれ以上のポリペプチドを含む、キメラポリペプチド。
【請求項25】
請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドおよび薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントを含む、薬学的組成物。
【請求項26】
請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドおよびリポソームを含む、薬学的組成物。
【請求項27】
治療量または予防量の請求項25記載の組成物を宿主へ投与する段階を含む、緑膿菌感染を受けやすい宿主において、緑膿菌細菌感染を治療的または予防的に処置するための方法。
【請求項28】
治療量または予防量の請求項25記載の組成物を宿主へ投与する段階を含む、緑膿菌感染を受けやすい宿主において、肺炎、菌血症、慢性感染症または敗血症の治療的または予防的に処置するための方法。
【請求項29】
治療量または予防量の請求項26記載の組成物を宿主へ投与する段階を含む、緑膿菌感染を受けやすい宿主において、肺炎、菌血症、慢性感染症または敗血症の治療的または予防的に処置するための方法。
【請求項30】
以下の段階を含む、シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染の診断のための方法:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)本発明のシュードモナスポリペプチドに反応性の抗体またはその断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスの存在を示す、混合物において特異的に結合した抗体または結合した断片を検出する段階。
【請求項31】
以下の段階を含む、シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染の診断のための方法:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)1個もしくは複数の本発明のシュードモナスポリペプチドまたはそれらの断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスに特異的な抗体の存在を示す、混合物において特異的に結合した抗原または結合した断片を検出する段階。
【請求項32】
請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドに対する抗体を用いる、シュードモナス感染の治療法。
【請求項33】
シュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための薬物の製造における、請求項25記載の薬学的組成物の使用。
【請求項34】
シュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための薬物の製造における、請求項26記載の薬学的組成物の使用。
【請求項35】
シュードモナス感染を検出または診断するための請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドを含むキット。
【請求項1】
以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【請求項2】
以下から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド;
(g)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9または配列番号:11から選択される配列を含むポリヌクレオチド;
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)におけるポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド。
【請求項3】
DNAである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
DNAである、請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
RNAである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
RNAである、請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項8】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項1記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項9】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項2記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項10】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項1記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項11】
ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む、ストリンジェントな条件下において以下のいずれかにハイブリダイズする、請求項2記載のポリヌクレオチド:
(a)該ポリペプチドをコードするDNA配列;または
(b)該ポリペプチドをコードするDNA配列の相補体。
【請求項12】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11またはそれらの断片もしくは類似体を含む配列を有する、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9または配列番号:11を含む配列を有する、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項14】
発現制御領域に機能的に連結された請求項1記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項15】
発現制御領域に機能的に連結された請求項2記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項16】
請求項14記載のベクターでトランスフェクションされた宿主細胞。
【請求項17】
請求項15記載のベクターでトランスフェクションされた宿主細胞。
【請求項18】
ポリペプチドの発現に適した条件下において請求項16記載の宿主細胞を培養する段階を含む、ポリペプチドを産生するための方法。
【請求項19】
ポリペプチドの発現に適した条件下において請求項17記載の宿主細胞を培養する段階を含む、ポリペプチドを産生するための方法。
【請求項20】
以下から選択されるポリペプチドを含む、単離されたポリペプチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド;
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【請求項21】
以下から選択されるポリペプチドを含む、単離されたポリペプチド:
(a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも70%同一であるポリペプチド;
(b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも80%同一であるポリペプチド;
(c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含む第二のポリペプチドと少なくとも95%同一であるポリペプチド;
(d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチド;
(e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体を産生できるポリペプチド;
(f)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を含むポリペプチドの部分を有するエピトープ;
(g)N末端のMet残基が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリペプチド。
【請求項22】
分泌アミノ酸配列が欠失した、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)または(g)のポリペプチド。
【請求項23】
ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結される条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12またはそれらの断片もしくは類似体から選択される配列を有する2個またはそれ以上のポリペプチドを含む、キメラポリペプチド。
【請求項24】
ポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結される条件で、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12から選択される配列を有する2個またはそれ以上のポリペプチドを含む、キメラポリペプチド。
【請求項25】
請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドおよび薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントを含む、薬学的組成物。
【請求項26】
請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドおよびリポソームを含む、薬学的組成物。
【請求項27】
治療量または予防量の請求項25記載の組成物を宿主へ投与する段階を含む、緑膿菌感染を受けやすい宿主において、緑膿菌細菌感染を治療的または予防的に処置するための方法。
【請求項28】
治療量または予防量の請求項25記載の組成物を宿主へ投与する段階を含む、緑膿菌感染を受けやすい宿主において、肺炎、菌血症、慢性感染症または敗血症の治療的または予防的に処置するための方法。
【請求項29】
治療量または予防量の請求項26記載の組成物を宿主へ投与する段階を含む、緑膿菌感染を受けやすい宿主において、肺炎、菌血症、慢性感染症または敗血症の治療的または予防的に処置するための方法。
【請求項30】
以下の段階を含む、シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染の診断のための方法:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)本発明のシュードモナスポリペプチドに反応性の抗体またはその断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスの存在を示す、混合物において特異的に結合した抗体または結合した断片を検出する段階。
【請求項31】
以下の段階を含む、シュードモナス感染を受けやすい宿主におけるシュードモナス感染の診断のための方法:
a)宿主から生体試料を得る段階;
b)1個もしくは複数の本発明のシュードモナスポリペプチドまたはそれらの断片を生体試料と共にインキュベーションして、混合物を形成する段階;および
c)シュードモナスに特異的な抗体の存在を示す、混合物において特異的に結合した抗原または結合した断片を検出する段階。
【請求項32】
請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドに対する抗体を用いる、シュードモナス感染の治療法。
【請求項33】
シュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための薬物の製造における、請求項25記載の薬学的組成物の使用。
【請求項34】
シュードモナス感染を予防的または治療的に処置するための薬物の製造における、請求項26記載の薬学的組成物の使用。
【請求項35】
シュードモナス感染を検出または診断するための請求項20〜24のいずれか一項記載のポリペプチドを含むキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−166913(P2010−166913A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16179(P2010−16179)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2003−544075(P2003−544075)の分割
【原出願日】平成14年11月13日(2002.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505036412)アイディー バイオメディカル コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2003−544075(P2003−544075)の分割
【原出願日】平成14年11月13日(2002.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505036412)アイディー バイオメディカル コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
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