緑色発光する燐、前記燐を含有する配合物、その製造法、前記燐を含有するプラズマディスプレイパネル
【課題】高い明るさ、よりいっそう短い残光、色純度(飽和)、よりいっそう良好な安定性および長寿命の範囲(動作時間)を有する燐である、マンガンで活性化されたアルカリ金属ハロゲン化物ランタニドアルミネート燐およびその製造法を提供する。
【解決手段】実験式:Ln(2−x−y)B22O36:MnxAyで示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐、ならびにアルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有する前記緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の溶剤不含の製造法。
【解決手段】実験式:Ln(2−x−y)B22O36:MnxAyで示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐、ならびにアルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有する前記緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の溶剤不含の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小さな粒径のMn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニドアルミネート燐を固体化法およびゾルゲル法によって製造し、成長させることに関する。よりいっそう詳述すれば、本発明は、安定した緑色発光する、Mn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニドアルミネート燐ならびにランタン塩、ガドリニウム塩、テルビウム塩、マンガン塩、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルミナまたはゾルゲル粉末の熱分解法を提供する。明るさを増強させるために、本発明の燐は、他のテルビウムで活性化された緑色発光する燐、例えばランタニド硼酸塩、ランタニド燐酸塩またはセリウムマグネシウムアルミネートと配合される。
【背景技術】
【0002】
大型(60+”)のテレビジョン、特に高解像度のTV(HDTV)の媒体としてのプラズマディスプレイパネル(PDP)は、高い性能および尺度可能性のために、陰極線管(CRT)をベースとしたTV以上に注目を集めている。CRTは、よりいっそう少ない電力で作動し、よりいっそう良好な画像品質を有するけれども、このCRTは、寸法制限を有する。40インチを上廻る対角線寸法の大型スクリーン(CRT)は、よりいっそう深い深さおよび著しい質量を有する。反対に、PDPの対角線寸法は、日増しに大きくなり、また、深さおよび質量の問題は、存在しない。
【0003】
公知技術水準で公知であるPDPの構造は、図1aおよび1bに記載されている。図1aおよび1bは、AC PDPの断面を表わす。プラズマディスプレイは、2個の大面積のガラス支持体11、16を有する。前板11は、薄手の誘電層14および薄手の保護層(MgO)15で被覆された、持続電極12および走査電極13と一緒に形成されている。背板16は、アドレス電極17、反射層18、バリヤリブ19およびスクリーン印刷法またはインクジェット法によって塗布された赤燐20R (Y,Gd)BO3:Eu2+、緑燐20G ZnSiO4:Mn2+(P1)またはZnSiO4:Mn2+とY,GdBO3:Tb3+との配合物ならびに青燐20B BaMgAl10O17:Eu2+と一緒に形成されている。2つのガラス板は、一緒に封止されたフリットであり、空間21は、Xe、Neガス混合物で充満されている。電圧を印加した場合には、真空UV(147および173nm)を生じる空間21内で放電が展開される。燐20RGBがVUVフォトンによって励起された場合には、この燐20RGBは、透明の前面を通して画像22として目視されるそれぞれの可視光線を放つ。
【0004】
PDPの視感度効率は、材料、例えば燐、ガス混合物、誘電層、反射層、黒色マトリックス、電極、セルの寸法および形状、電極の性質、寸法および形状、アドレス波形、動作電極等を含む種々のファクターに依存する。PDPの性能および寿命は、燐の性質および燐の高エネルギー放電イオンに対する耐性ならびにXe/Neガス放電により生じるVUVからのソラリゼーションに著しく関連する。標準の電子放射ディスプレイ、例えばCRT(5〜6 lm/W)と比較して、PDPの効率は、低い(1〜2 lm/W)。
【0005】
PDPの全効率を改善するために、材料、設計、方法および電子工学に関連した顕著な開発は、進行中である。また、新規の燐の開発ならびに存在する燐の改善のために、努力が為されている。Xe放電(147nmおよび173nm)から有用な真空UVによる特殊な波長のために、制限された数のランプ用燐のみがPDPへの適用に適している。高い視感度効率以外に、PDP燐は、よりいっそう長い寿命または安定性、必要とされる残光、適当な色座標、色温度および色飽和を有する。
【0006】
大面積のプラズマディスプレイの主な用途は、HDTVおよび高度なインフォメーションを含むプレゼンテーションであろう。HDTVおよび同様のタイプのディスプレイデバイスは、低い誘電定数、必要とされる減衰時間、高い分解能および高性能のための高度な明るさを有する。閉鎖されたリブ構造体または閉鎖されたセル構造体中で小さな粒子で被覆されたスクリーンは、よりいっそう高い記録密度を示し、また、よりいっそう少ない結合剤含量を必要とする。
【0007】
初期の明るさの10%であると定義されている短時間残光値は、4〜9msである。長時間残光は、燐の選択における別の問題であり、2〜10秒後に初期の明るさの0.25%未満である。PDP中に通常使用される3つの燐(赤、緑および青)は、異なる誘電定数および粒子形態を有する。3つの燐の中の全ては、物理的性質により燐ペーストの異なるレオロジーならびに異なるスクリーニングプロセスを必要とする。前記燐は、PDPへの適用において、完成されたパネル中で異なる電気的質を示す。これは、結果としてディスプレイの性能への妥協を生じる。
【0008】
HDTVおよび同様のタイプのデバイスは、よりいっそう良好な性能のために高い解像度およびよりいっそう高い明るさを有するべきである。これは、特にPDPの場合に密接なリブ構造体中で極めて小さな燐粒子(1〜5μm)で形成された薄手の燐スクリーンでのみ達成されうる。小さな粒子を有するスクリーンは、よりいっそう高い梱包密度を有し、よりいっそう低い結合剤含量も必要とする。テルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレートを有するかまたは有しない、マンガンで活性化された珪酸亜鉛燐は、有用性および高い量子効率のために緑色発光する成分としてプラズマディスプレイパネル(PDP)中に通常使用されている。
【0009】
珪酸亜鉛燐(P1)のよりいっそう高い誘電定数は、この誘電定数が青色および赤色の相当品よりも変化し、この結果、よりいっそう高いサステナー電圧を生じる場合に、特殊な関係を有する。P1燐上での荷電効果は、よりいっそう高いXe濃度(5%超)の存在でよりいっそう高くなる。よりいっそう高いXe濃度は、PDP中で必要とされ、輝度レベルを増加させることができる。赤色発光する燐と青色発光する燐とを比較した場合には、珪酸亜鉛燐(米国特許第5985176号明細書)も、よりいっそう長い残光、よりいっそう低い誘電定数、不利な放電およびVUV光束でのよりいっそう急速な飽和を示す。よりいっそう低い色純度を示す別の適当な緑色発光する成分の候補、Tbで活性化されたイットリウムガドリニウムボレートは、米国特許第6004481号明細書中に記載されている。PDP工業界は、トレードオフとして、P1とTbで活性化された希土類硼酸塩燐との配合物を採用している。珪酸亜鉛燐の負の放電は、米国特許第6753645号明細書B2中に記載されたプラズマディスプレイパネルにおいて、珪酸亜鉛燐(50%)と希土類硼酸塩をベースとする燐(50%)との配合物中で正の放電になった。全ての要件を満足させるために新規の燐を開発し、存在するMnで活性された珪酸亜鉛燐または珪酸塩と硼酸塩との配合物を代替するという努力が為されている。
【0010】
アルカリ金属ハロゲン化物アルミネートを基礎とする幾つかの他の燐の候補は、Phosphor Handbook中に記載されている。米国特許第4085351明細書B1、米国特許第5868963明細書B1および米国特許第6423248号明細書B1中には、マンガンで活性化されたアルミネート燐をカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウムまたは亜鉛と一緒にガス状の放電発光素子中で適用することが開示されている。VUV線によって励起される、マンガンで活性化されたランタン、イットリウムガドリニウムアルミネート緑色発光燐の製造は、米国特許第6805814号明細書中に記載されている。欧州特許出願公開第0908502号明細書A1には、バリウムまたはストロンチウムマグネシウムアルミネートをそれぞれの酸化物または炭酸塩の焼成によってフラックス(AlF3)の存在で1450℃で48時間(全体時間)製造することが教示されている。国際特許出願WO 98/37165には、噴霧技術によってアルカリ土類金属アルミン酸塩を含む酸素含有燐粉末を製造する方法が記載されている。欧州特許出願公開第1359205号明細書A1には、La、Mg、Znアルミン酸塩を活性剤としてのTb、Mnと一緒に含有する種々の緑色発光する燐の製造方法が記載されている。
【0011】
緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性されたランタンアルミネート燐は、”緑色発光する燐材料および該材料を使用するプラズマディスプレイパネル(Green Emitting Phosphor Material and Plasma Display Panel Using the Same)”という発明の名称で2004年3月2日に出願された、共同出願の同時係属中の米国特許出願シリアル番号10/791025中に記載された。この場合、この記載内容は、参考のために明細書中に記載されている。
【0012】
このような燐についての他の関連した視点は、米国特許第4150321号明細書B1;米国特許第5989455号明細書B1;および米国特許第6223312号明細書B1;欧州特許出願公開第0697453号明細書A1;Hampden-Smith Mark等による国際出願WO 98/37165中に記載されている。
【0013】
更に、このような燐についての視点は、次の表題の刊行物(1)”Fluorescence in β-Al2O3-like materials of K, Ba, La activated with Eu2+”, M. Tamatani, Jap. J. Applied Physics, Vol. 13, No.6, June 1974 pp950-956;(2)”The behavior of phosphors with aluminate host lattices”, J. L. Sommerdijk and A. L. N. Stevels, Philips Tech, Review Vol. 37, No. 9/10, 1977 pp221-233;(3)M. Tamatani著”Phosphor Handbook”, S. ShionoyaおよびW. M. Yen編、CRC Press (1999) pp.153-176中の”Principal phosphor materials and their optical properties”および”Tb3+ activated green phosphors for plasma display panel applications”, R. P. Rao, J. Electrochemical Society Vol. 150 (2003) pp H165-171中に記載されている。
【0014】
しかしながら、前記の特許明細書および刊行物の何れにも、本発明による緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性されたランタニドアルミネート燐は記載されていない。
【特許文献1】米国特許第5985176号明細書
【特許文献2】米国特許第6004481号明細書
【特許文献3】米国特許第6753645号明細書B2
【特許文献4】米国特許第4085351明細書B1
【特許文献5】米国特許第5868963明細書B1
【特許文献6】米国特許第6423248号明細書B1
【特許文献7】米国特許第6805814号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0908502号明細書A1
【特許文献9】国際特許出願WO 98/37165
【特許文献10】欧州特許出願公開第1359205号明細書A1
【特許文献11】米国特許出願シリアル番号10/791025
【特許文献12】米国特許第4150321号明細書B1
【特許文献13】米国特許第5989455号明細書B1
【特許文献14】米国特許第6223312号明細書B1
【特許文献15】欧州特許出願公開第0697453号明細書A1
【特許文献16】国際出願WO 98/37165
【非特許文献1】Phosphor Handbook
【非特許文献2】”Fluorescence in β-Al2O3-like materials of K, Ba, La activated with Eu2+ and Mn2+”, M. Tamatani, Jap. J. Applied Physics, Vol. 13, No.6, June 1974 pp950-956
【非特許文献3】”The behavior of phosphors with aluminate host lattices”, J. L. Sommerdijk and A. L. N. Stevels, Philips Tech, Review Vol. 37, No. 9/10, 1977 pp221-233
【非特許文献4】M. Tamatani著”Phosphor Handbook”, S. ShionoyaおよびW. M. Yen編、CRC Press (1999) pp.153-176中の”Principal phosphor materials and their optical properties”
【非特許文献5】”Tb3+ activated green phosphors for plasma display panel applications”, R. P. Rao, J. Electrochemical Society Vol. 150 (2003) pp H165-171
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明には、前記に記載されたような課題が課された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明の目的は、燐を提供し、およびマンガンで活性化されたアルカリ金属ハロゲン化物ランタニドアルミネート燐の製造法を提供することである。
【0017】
本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を提供する。
【0018】
更に、本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の製造法を提供し、この場合この方法は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有する。
【0019】
更に、本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法を提供し、この場合この方法は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有する。
【0020】
また、本発明は、電極を備えた前板、誘電層、薄手の保護層(MgO)、電極を備えた背板、反射層、リブ、燐、および燐層を有する前板と背板との間にXe(5〜50%)およびNe(95〜50%)の異なる組成を含有するガス混合物で充填された複数の放電空間を有する改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)を提供し、この場合このプラズマディスプレイパネルは、本発明による緑色発光する燐材料を備えたプラズマディスプレイパネルを含むように改善されている。
【0021】
本発明は、小さな粒径のMn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニド(La、Y、Gd、Tb)アルミネート燐、特に緑色発光する、Mn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニドアルミネート燐を固体化法およびゾルゲル法によって製造し、成長させる方法を提供する。
【0022】
燐は、次の工程:
アルカリ金属源、例えばアルカリ金属塩、マンガン源、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源およびアルミニウム源を混合する工程;アルカリ金属ハロゲン化物源、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源、マンガン源およびアルミニウム源を供給する有機前駆体を含む希薄な溶液を酸性媒体中で反応させ、希薄なゲルを形成させる工程(ゾル−ゲル工程);および希薄なゲルをキセロゲル粉末に変換する工程(室温乾燥);希薄なゲルをエーロゲル粉末(真空乾燥)に変換する工程;または希薄なゲルをゲル粉末(噴霧乾燥)に規定された温度で変換する工程、この場合には、キセノンガス混合物からの147nmおよび173nmの放射線によって励起された際に、緑領域内で帯域発光し、515〜516nmでピークとなる。
【0023】
また、本発明は、マンガン(Mn2+)およびアルカリ金属ハロゲン化物、例えば2つの異なる方法:固体化反応法(0.1〜10μm)およびゾルゲル法(0.01〜5μm)によって合成されたリチウム(Li+)で活性化されたランタニドアルミネート燐での比較性能データを提供する。
【0024】
燐材料は、ppbレベルであっても不純物に対して極めて敏感である。低温法は、交差汚染に対するポテンシャルを最少化する。高温か焼からの材料中に留まった幾つかの望ましくない不純物は、燐の性能に対して脅威となりうる。燐粒子の寸法が減少した場合には、電子の確率および不純物に対する正孔捕獲は、増加し、e−h局在化は、不純物を介する再結合率を増加させる。更に、最適な不純濃度(活性化剤)レベルは、小さな粒径と共に増大されうる。これは、サブミクロン寸法の出発化学薬品を用いて出発するかまたはゾルゲル法で出発することによって達成されうる。
【0025】
本発明による緑燐は、真空での超紫色光線のフォトンを吸収し、これを可視光線のフォトンに変換する能力を有する。本発明による燐の明るさは、本発明による緑燐を緑色発光する燐、例えばTbで活性化されたイットリウムガドリニウムボレートまたはランタンボレートまたはマグネシウムアルミネートと配合することによって改善されうる。従って、本明細書中に記載された緑燐は、ランプおよびディスプレイ中で使用するのに適している。
【0026】
酸性媒体中(ゾルゲル法)またはキセロゲル粉末(室温でゾルゲル法によるゲルの乾燥)またはエーロゲル粉末(真空中でゾルゲル法によるゲルの乾燥)、または噴霧乾燥によって得られたゲル粉末中の、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源、マンガン源およびアルミニウム源を供給する有機前駆体を含む、希薄な溶液から得られたランタン塩、イットリウム塩、ガドリニウム塩、テルビウム塩、マンガン塩、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルミナまたはゾルゲル粉末は、空気中で温度(1000〜1400℃)で2〜6時間熱分解され、1000〜1300℃で化成ガス(N295.5%およびH24.5%)の存在で2〜6時間再焼成される。
【0027】
1つの好ましい実施態様において、本発明による緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属(即ち、Li、NaまたはK)で活性されたランタニドアルミネート燐は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される。
【0028】
別の好ましい実施態様によれば、本発明による緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属(即ち、Li、NaまたはK)で活性されたランタニドアルミネート燐は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される。
【0029】
緑色発光する、マンガンで活性化されたランタニドアルミネート燐粒子は、プラズマディスプレイパネル(PDP)への使用に適している均一な粒径分布(0.01〜10μm)を有する。このような粒子は、PDPの使用におけるよりいっそう高い明るさ、よりいっそう短い残光、よりいっそう良好な安定性、よりいっそう長い寿命および色飽和の性能パラメーターを改善する小さな粒子を形成させる酸化物、硝酸塩、蓚酸塩および有機前駆体からそれぞれ製造されてよい。
【0030】
多数のディスプレイ用途が存在し、この場合高い明るさ、よりいっそう短い残光、色純度(飽和)、よりいっそう良好な安定性および長寿命の範囲(動作時間)を有する燐は、著しくディスプレイの性能を改善する。ディスプレイ中で、人の目のフォトニック応答が約535nm(可視スペクトルの緑成分)でピーク感度を有するように、緑成分は、極めて重要である。
【0031】
Mnで活性化された珪酸亜鉛またはバリウムマグネシウムアルミネートおよびテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレートをベースとする商業的に入手可能な燐は、全ての上記要件を満足させることに役立たないので、上記制限を克服する新規の燐およびその合成方法が開発された。
【0032】
本発明による緑燐は、真空での超紫色光線のフォトンを吸収する能力を有し、このフォトンを可視光線のフォトンに変換し、ランプおよびディスプレイ中に使用するのに適している。更に、小さな寸法の燐粒子は、高い梱包密度が必要とされる用途に使用するのに特に好適である。この開発努力の結果は、本発明に基づくものである。本発明は、Mn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物1+で活性されたランタニドアルミネート燐、その合成方法およびPDP中への前記燐の使用を提供する。
【0033】
上記したように、燐は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有する方法によって製造されることができる。
【0034】
更に、本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法を提供し、この方法は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および
任意の溶剤を使用することなく、燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有する。
【0035】
アルカリ金属源はアルカリ金属塩であり、ランタニド源はランタニド塩であり、マンガン源はマンガン塩であり、アルミニウム源はアルミニウムを提供する有機前駆体である。
【0036】
好ましくは、アルカリ金属塩は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物およびその混合物から選択されており;ランタニド塩は、ランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物およびその混合物から選択されており;マンガン塩は、マンガンハロゲン化物、マンガン硝酸塩、マンガン炭酸塩、マンガン水酸化物およびその混合物から選択されており;アルミニウムを提供する有機前駆体は、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドおよびその混合物から選択されている。
【0037】
1つの好ましい実施態様において、ランタニド源は、ランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物またはその混合物であり;アルカリ金属塩は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物またはその混合物であり;アルミニウム源は、酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドまたはその混合物である。
【0038】
ゲルは、超音波により噴霧されることができ、乾燥、即ち噴霧乾燥されることができ、ゲル粉末を形成させるかまたは噴霧乾燥されることができ、熱分解前にゲル粉末をエーロゲルとして形成させる。ゲルは、乾燥されてキセロゲルを形成させてもよく、このキセロゲルは、破砕されて熱分解前に粉末を形成させてもよい。ゲルは、開放された雰囲気中で約1000℃〜約1400℃の温度で熱分解されてもよく、さらに約1000℃〜約1300℃の温度で化成ガス中で熱分解されてもよい。
【0039】
好ましくは、燐は、約0.01μm〜約10.0μmの粒径を有し、約23〜約25nmの半値幅で147nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約100および173nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約105、約7ms〜約10msの短時間残光(初期強度の10%)、約2〜6秒の長時間残光(初期強度の0.25%)、約0.120〜約0.140のx軸および約0.770〜約0.790のy軸の色座標を示す。
【0040】
従って、燐は、アルカリ金属源、例えばアルカリ金属塩、マンガン源、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源およびアルミニウム源を混合し;アルカリ金属ハロゲン化物源、ランタニド源、マンガン源およびアルミニウム源を供給する有機前駆体を含む希薄な溶液を酸性媒体中で反応させ、希薄なゲルを形成させ(ゾル−ゲル工程);および希薄なゲルをキセロゲル粉末に変換し(室温乾燥);希薄なゲルをエーロゲル粉末(真空乾燥)に変換するか;または希薄なゲルをゲル粉末(噴霧乾燥)に規定された温度で変換することによって得られた粉末を熱分解することによって製造されることができる。
【0041】
ランタニドアルミネート固溶体の形成は、重要であり、反応温度および条件に著しく依存する。本発明において、水性をベースとする方法は、固体状態に加えて出発化学薬品の費用および有用性を考慮することによって採用されている。出発化学薬品の純度は、燐の合成にとって極めて重要であるので、出発化学薬品は、典型的には99.9〜99.999%の純度である。燐の性能を深刻に低下させうる特殊な汚染物、例えばFe、Co、Niの濃度を最少化することは、重要である。
【0042】
必要とされる金属(La、Y、Gd、Tb、Mn、Li、NaおよびK)溶液は、適当な量のそれぞれの金属硝酸塩を微温のDl水中で混合し、0.05〜0.1Mの溶液を得ることによっても製造される。金属水酸化物前駆体は、水中の金属塩化物または金属硝酸塩の水溶液(0.01〜0.05M)を、該溶液への塩基、例えば水酸化アンモニウムの添加によって沈殿させることによって製造された。化学量論的量の金属溶液とアルミニウムイソプロポキシドまたはアルミニウムs−ブトキシドとは、混合される。金属/イソプロポキシドまたはアルミニウムs−ブトキシド溶液は、丸底フラスコに移され、攪拌機ジャケット中で80〜90℃で9〜18時間、解凝固される。本発明において、有機酸、例えばHNO3またはHClは、有効なゲル化に必要とされる低いpHを維持するために使用された。
【0043】
解凝固後、ゾル/ゲルは、このゾル/ゲルが濃厚なゲルになり(3〜5日後)、次にキセロゲルになるまで、容器中に留められる。また、エーロゲルは、同じ希薄なゲルから、水および他の溶剤を真空中で冷たいトラップを通して抽出することによって製造される。前記キセロゲルまたはエーロゲルは、60〜70℃で実験炉内に移され、1日の間または粉末になるまで留められる。この工程は、任意の残留溶剤の除去を加速させるために挿入されている。また、ゲル粉末は、噴霧乾燥によって製造される。希薄なゲルは、微細なネブライザーによって、120〜150℃に加熱された直径4”のガラス管中に噴霧される。粒子形成させるための選択的な方法は、超音波エーロゲル発生器を使用することにより達成されうる。乾燥後、ゲル粉末は、捕集され、400℃で2時間焼成され、残留有機成分は、消却される。
【0044】
必要とされる量の金属塩、例えばLa、Y、Gd、Tb、Li、Mnの蓚酸塩、炭酸塩、弗化物は、酸化アルミニウム、好ましくは100m2/gの表面積を有する0.01〜0.02μmのγ−αアルミナ粉末およびフラックス材料、例えば弗化アンモニウムと乳鉢および乳棒を用いて混合される。装入物は、固体状態の混合された粉末またはゾルゲル法により得られた粉末を含有し、高度なアルミナるつぼ中に移され、空気中で1000〜1500℃で2〜6時間、か焼される。焼成された粉末は、高度なアルミナボート中に移され、管状炉内で化成ガス(H24.5%およびN295.5%)の存在で1000〜1300℃で2〜6時間再焼成される。還元雰囲気、例えば化成ガスまたは一酸化炭素、または等価のものは、Mn3+およびよりいっそう高度な状態を2価マンガン状態(Mn2+)に変えるのに役立つ。
【0045】
粉末は、開放された雰囲気中で1300℃で熱分解されることができ、次に1200℃に等しい温度で、H24.0〜5.0%および残分N2を含有する化成ガス中で熱分解されることができる。上記方法で製造された燐の発光特性は、実施例と共に第I表中に示されている。
【0046】
好ましくは、燐は、0.01〜10.0μmの範囲内の粒径を有する。粉末は、0.05〜5.0μm、有利に0.01〜3.0μm、よりいっそう有利に0.01〜0.02μmの範囲内の粒径を有する。
【0047】
好ましくは、燐は、ランタン約1.8モル〜約1.98モル、マンガン約0.01〜約0.1モル、アルカリ金属ハロゲン化物約0.01〜約0.1モルおよびアルミニウム22.0モルを有する。
【0048】
図1aは、ACプラズマディスプレイパネルの断面を示す。
【0049】
図1bは、3つの異なる燐を有する単一のセルの断面を示す。
【0050】
図2は、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の組織を示す走査電子顕微鏡写真を表わす。図2の電子顕微鏡写真から、燐粒子は寸法の点で均一であり、十分に結晶化されていることを観察することができる。
【0051】
ランタンマンガン酸化アルミニウム(JCPDF 77-0334)からの標準データと比較した、1400℃で焼成され、1200℃で再焼成された試料(N2+H2)上での粉末のX線回折データは、図3中に示されている。ランタニドアルミネート相に対応する線は、1000℃を上廻る焼成温度でよりいっそう顕著である。燐の発光は、形状、寸法、結晶度、欠陥および粒子境界に依存するので、種々の条件で得られた全ての試料の形態および粒径分布(PSD)は、研究された。
【0052】
図4は、147nmで励起された、MnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびMnで活性化された珪酸亜鉛燐の放出スペクトルを示す。放出は、室温で記録された。
【0053】
本発明の燐の明るさを増加させるために、黄色発光する、硼酸塩をベースとする燐、例えばテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウム硼酸塩またはランタン燐酸塩、またはマグネシウムアルミネート燐は、50%まで本発明による緑色発光する燐と混合されている。
【0054】
図5および6は、147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウム硼酸塩またはランタンホスフェート燐の配合物の放出スペクトルを表わす。放出は、室温で記録された。
【0055】
Xeランプ(147nm)で励起しながら室温で記録された、LiおよびMnで活性化されたランタニドアルミネート燐の短時間残光またはグロー崩壊後の特性(初期強度の10%)は、図7に示されている。
【0056】
図8に関連して、キセノン6%を用いての42”試験パネルでの他の緑色発光する燐材料(ZnSiO4:Mn)に加えての本発明による燐の崩壊を見ることができる。標準のZnSiO4:Mn燐と比較した場合には、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の崩壊は、低い。
【0057】
図9は、キセノン15%を用いての42”試験パネルでの他の緑色発光する燐材料(ZnSiO4:Mn)に加えての本発明による燐の崩壊を見ることができることを示す。標準のZnSiO4:Mn燐と比較した場合には、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の崩壊は、低い。
【0058】
本発明による燐の色純度は、色座標を研究することによって測定され、他の緑色発光するPDP燐と比較されている。図10は、CIE図を表わし、この場合本発明による燐からの色点および他の標準の燐との配合物からの色点が位置している。
【0059】
好ましくは、燐ペーストは、燐粉末を溶剤(テルピネオールまたはブチルカルボライトアセテート(BCA)/ブトキシエトキシエチルアセテート)および結合剤(エチルセルロースまたはポリビニルブチラール)を含有する適当なビヒクルと混合することによって製造される。
【0060】
ビヒクルは、高速型の垂直の攪拌機中で必要量の溶剤および添加剤を添加することによって前混合される。燐ペーストは、ペーストが極めて軟質になるまで三本ローラー粉砕機中で回転される。異なる燐のペーストは、小さな円形のガラスクーポン(直径1”)上にスクリーン印刷される。
【0061】
ガラス板を燐ペーストと一緒に120〜140℃で乾燥した後、全ての有機物が蒸発されるまで500℃で1〜4時間、結合剤を焼却処理する。同じペーストは、42”試験パネルの背板の形成に使用される。
【0062】
前記の燐材料の発光特性および寿命特性の研究は、ガラスクーポン上で実施され、ならびに42”試験パネル中で実施される。UVU線の露光による前記燐材料の崩壊は、強度を測定することによって高エネルギーXeフラッシュランプへの燐スクリーンの露光前および露光後に真空中で異なる時間の間、計算される。本発明による燐の崩壊は、他のPDP緑色発光する燐と比較した場合に最小である。
【0063】
実験室での初期研究の後、適当な燐ペーストは、背板(42”)上にスクリーン印刷される。結合剤の焼却後(500℃)、燐を有する背板は、前板と一緒にフリット封止され、異なる濃度のXe−Neガス混合物で充填される。
【0064】
ガス充填での焼付け作業周期後、アセンブリ(前板および背板)は、全ての必要とされる電子部品に接続される。発光特性、例えば明るさ、強度、スペクトルエネルギー分布、グロー崩壊後の特性(短時間および長時間)、色座標、色温度等、安定性および寿命および電気的性質、例えばキャパシタンス、放電漏れ、放電崩壊、持続電圧の変動およびランプ電圧(ramp voltage)は、前記パネル上で研究される。前記パネルから得られた幾つかの結果は、第II表中に示されている。
【0065】
本発明による燐の種々の配合物も本発明によるパネルの製造に有用である。このような配合物は、本発明による緑色発光する燐を例えば希土類硼酸塩、希土類燐酸塩またはアルミン酸マグネシウムと混合することによって製造されることができる。
【0066】
従って、さらに、本発明は、
(a)本発明による燐およびTbで活性化された希土類硼酸塩10質量%〜50質量%を含有する配合物;
(b)本発明による燐およびMnで活性化された珪酸亜鉛10〜25質量%、およびTbで活性化された希土類硼酸塩10質量%〜25質量%を含有する配合物;
(c)本発明による燐およびTbおよびCeで活性化された希土類燐酸塩10質量%〜50質量%を含有する配合物;
(d)本発明による燐およびTbおよびCeで活性化されたアルミン酸マグネシウム10質量%〜50質量%を含有する配合物を含む。
【0067】
本発明による燐材料は、100nm〜200nmの範囲内の波長の真空での超紫色光線によって励起した際に緑色の光線を放出し、例えばプラズマディスプレイパネルおよびランプへの使用に適している。
【0068】
従って、本発明は、電極を備えた前板、誘電層、薄手の保護層(MgO)、電極を備えた背板、反射層、リブ、燐、および燐層を有する前板と背板との間に形成された複数の放電空間を有する改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)を提供する、この場合このプラズマディスプレイパネルは、式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される組成を有する、緑色発光する燐材料を含むプラズマディスプレイパネルであることによって改善されている。
【0069】
好ましくは、燐は、100nm〜200nmの範囲内の波長の真空での超紫色光線によって励起される場合に緑色の光線を放出する。
【0070】
更に、本発明の詳細は、次の実施例中に記載されているが、この実施例は、本発明を説明するだけのためにあり、本発明の範囲をなんら限定するものではない。
【実施例】
【0071】
例I
固体化反応による、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の製造を本例で記載する。
【0072】
最初に、γ(80〜95%)−α(5〜20%)−酸化アルミニウム28g(0.01〜0.02μmの粉末)、蓚酸ランタン18g、弗化マンガン(II)0.63g、弗化リチウム0.64gを乳鉢および乳棒を用いて混合し、高度のアルミナるつぼに移す。このるつぼを蓋で閉め、450℃で焼成する。焼成された質量を乳鉢および乳棒を用いて再混合し、高度のアルミナるつぼに移し、1200〜1500℃で2〜4時間箱形炉内で焼成する。試料を化成ガス(H24.5%およびN295.5%)中で1100〜1300℃で2〜4時間、管状炉内で再焼成する。
【0073】
この試料を室温に冷却されるまで化成ガスの存在で炉内に留める。冷却後、この微細な燐粉末を水中で超音波攪拌する。超音波処理は、クラスターを個々の粒子に破壊するのに役立つ。水での洗浄後、この粉末を120℃で6時間乾燥する。
【0074】
必要とされる量に応じて、この粉末を増加させることができる。励起源(Xeランプ)で励起させながら室温で記録された上記燐の放出、色座標および残光特性は、第I表中に記載されている。
【0075】
例II
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、蓚酸ランタン18gを蓚酸ランタン15gおよび蓚酸ガドリニウム4.2gに替える。
【0076】
例III
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、蓚酸ランタン18gを蓚酸ランタン15g、蓚酸ガドリニウム3.2gおよび蓚酸テルビウム1gに替える。
【0077】
例IV
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、蓚酸ランタン18gを蓚酸ランタン15g、蓚酸ガドリニウム2g、蓚酸イットリウム1gおよび蓚酸テルビウム1gに替える。
【0078】
例V
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化マンガン(II)0.63gを炭酸マンガン0.78gに替える。
【0079】
例VI
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化マンガン(II)0.63gを硝酸マンガン1.2gに替える。
【0080】
例VII
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化リチウム0.64gを弗化ナトリウム1.0gに替える。
【0081】
例VIII
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化リチウム0.64gを弗化カリウム1.28gに替える。
【0082】
例IX
ゾルゲル法による酸性触媒中での、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の製造を本例で記載する。アルミニウムイソプロポキシド28g(AIP)を熱水4リットル(95℃)中に攪拌しながら溶解する。硝酸ランタン6g、硝酸ガドリニウム1.5g、硝酸イットリウム1g、硝酸テルビウム0.5g、弗化リチウム0.2gおよび弗化マンガン0.18gをAIP溶液に添加する。
【0083】
溶液が110℃に達した際に、HNO35cc(0.5モル)を滴加し、24時間還流する。
【0084】
水コンデンサーカラムを循環冷却器を用いて還流全体に亘って20℃で維持する。フラスコを室温に冷却した後、溶液(希薄なゲル)を結晶化皿(3リットルの容量)中に移し、開放された雰囲気中に留める。5〜6日後、溶液は、ゲルになる。この透明な硬質ゲルを実験炉内で45〜50℃で12時間、留める。
【0085】
乾燥された生成物は、軟質のガラス、所謂キセロゲルのように見える。このゲルをガラス製の乳鉢および乳棒を用いて破砕した後、微細な粉末を高度なアルミナるつぼ内に捕集し、300℃で2時間焼成し(加熱速度は、2℃/分である)、次に高温の熱作業周期にかけ、例1の記載と同様に冷却し、洗浄する。
【0086】
例X
製造方法は、例IXの場合と同様であるが、アルミニウムイソプロポキシド28gをアルミニウムs−ブトキシド34gに替える。
【0087】
例XI
酸性媒体中での硝酸ランタニド、マンガン塩、リチウム塩およびアルミニウムイソプロポキシドからの希薄なゲルを、例IXおよびXの記載と同様に合成する。得られたゲル溶液を真空下で凍結乾燥させる。冷却トラップを真空ポンプとゲルを有する真空瓶との間に挿入する。
【0088】
乾燥された粉末を数時間の凍結乾燥後にフラスコ底部で捕集する。前記粉末を例1の記載と同様にか焼し、冷却し、洗浄し、測定する。
【0089】
例XII
酸性媒体中での硝酸ランタニド、マンガン塩、リチウム塩およびアルミニウムイソプロポキシドからの希薄なゲルを、例IXの記載と同様に合成する。
【0090】
この希薄なゲルを噴霧ノズルによって12”の加熱帯域を有する直径4”のガラス管中に120〜150℃で噴霧する。超音波エーロゲル発生器を使用することにより微細な粒子を製造することもできる。
【0091】
希薄ゲル約1リットルを噴霧した後、極めて微細な粉末を前記管の壁面から掻き取る。この粉末をか焼し、冷却洗浄し、例Iと同様に測定する。
【0092】
例XIII
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、酸化アルミニウム28gを酸化アルミニウム26gおよび酸化ガリウム3.7gに替える。
【0093】
例XIV
配合物を例IIからの燐(90質量%)とテルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレート燐10質量%とを混合することによって製造する。
【0094】
例XV
配合物を例IIからの燐(75質量%)とテルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレート燐25質量%とを混合することによって製造する。
【0095】
例XVI
配合物を例IIからの燐(50質量%)とテルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレート燐25質量%とを混合することによって製造する。
【0096】
例XVII
配合物を例IIからの燐(75質量%)とテルビウム、セリウムで活性化されたランタンホスフェート燐25質量%とを混合することによって製造する。
【0097】
例XVIII
配合物を例IIからの燐(50質量%)とテルビウム、セリウムで活性化されたランタンホスフェート燐50質量%とを混合することによって製造する。
【0098】
例XIX
配合物を例IIからの燐(50質量%)とテルビウム、セリウムで活性化されたマグネシウムアルミネート燐50質量%とを混合することによって製造する。
【0099】
第I表は、本発明による固体状態反応およびゾルゲル法によって形成された燐が種々の粒径範囲を提供し、一方で、一般に高レベルの明るさ、低い誘電定数、よりいっそうながら寿命およびよりいっそう短い残光を提供することを示す。
【0100】
【表1】
【0101】
第II表には、本発明による燐、標準の燐、例えばMnで活性された珪酸亜鉛およびTbで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレートならびに本発明による燐の種々の組成物とTbで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレートとから形成された配合物(米国特許第6004481号明細書)を用いて形成されたパネルから得られた発光データが記載されている。
【0102】
【表2】
【0103】
前記の記載は、本発明を説明するだけにすぎないことを理解すべきである。種々の選択的方法および変法は当業者であれば、本発明の記載を逸脱することなく推考することが可能である。従って、本発明は、係属された特許請求の範囲の記載の範囲内でかかる全ての選択的方法、変法および変更を含むことを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1a】ACプラズマディスプレイパネルを示す断面図(従来技術)。
【図1b】3つの異なる燐を有する単一セルを示す断面図(従来技術)。
【図2】MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の組織を示す走査電子顕微鏡写真。
【図3】MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐のX線粉末回折パターンを示す略図。
【図4】147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランニドアルミネート燐、MnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐およびMnで活性化された珪酸亜鉛燐の放出スペクトルを示す線図。放出は、室温で記録された。
【図5】147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレート燐の種々の組成を有する配合物の放出スペクトルを示す線図。放出は、室温で記録された。
【図6】147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびテルビウムで活性化されたランタンホスフェート燐の種々の組成を有する配合物の放出スペクトルを示す線図。放出は、室温で記録された。
【図7】室温で記録された、MnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐ならびにMnおよびLiで活性化されたランタニド(La、Gd、Tb)アルミネート燐の残光(短時間)を示す線図(147nmのフィルターを有する特注されたキセノンランプの励起源)。
【図8】10Xモードで動作されるキセノンガス6%で充填された42”試験パネルでのP1燐およびP1(50%)とTbで活性化された希土類硼酸塩(50%)との配合物に加えてのMnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐の明るさの崩壊を示す線図。
【図9】10Xモードで動作されるキセノンガス15%で充填された42”試験パネルでのP1燐およびP1(50%)とTbで活性化された希土類硼酸塩(50%)との配合物に加えてのMnおよびLiで活性化されたランタニド(La、Gd、Tb)アルミネート燐、本発明による燐とTbで活性化された希土類ボレート燐との燐配合物の明るさの崩壊を示す線図。
【図10】42”試験パネル(Xe15%)から得られた本発明による燐を含む種々の緑色発光する燐のCIEチャートにおける色点の変動を示す線図。
【符号の説明】
【0105】
11 前板、 12 接続電極、 13 走査電極、 14 誘電層、 15 保護層、 16 背板、 17 アドレス電極、 18 反射層、 19 バリヤリブ、 20B 青燐、 20G 緑燐、 20R 赤燐、 21 空間、 22 画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、小さな粒径のMn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニドアルミネート燐を固体化法およびゾルゲル法によって製造し、成長させることに関する。よりいっそう詳述すれば、本発明は、安定した緑色発光する、Mn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニドアルミネート燐ならびにランタン塩、ガドリニウム塩、テルビウム塩、マンガン塩、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルミナまたはゾルゲル粉末の熱分解法を提供する。明るさを増強させるために、本発明の燐は、他のテルビウムで活性化された緑色発光する燐、例えばランタニド硼酸塩、ランタニド燐酸塩またはセリウムマグネシウムアルミネートと配合される。
【背景技術】
【0002】
大型(60+”)のテレビジョン、特に高解像度のTV(HDTV)の媒体としてのプラズマディスプレイパネル(PDP)は、高い性能および尺度可能性のために、陰極線管(CRT)をベースとしたTV以上に注目を集めている。CRTは、よりいっそう少ない電力で作動し、よりいっそう良好な画像品質を有するけれども、このCRTは、寸法制限を有する。40インチを上廻る対角線寸法の大型スクリーン(CRT)は、よりいっそう深い深さおよび著しい質量を有する。反対に、PDPの対角線寸法は、日増しに大きくなり、また、深さおよび質量の問題は、存在しない。
【0003】
公知技術水準で公知であるPDPの構造は、図1aおよび1bに記載されている。図1aおよび1bは、AC PDPの断面を表わす。プラズマディスプレイは、2個の大面積のガラス支持体11、16を有する。前板11は、薄手の誘電層14および薄手の保護層(MgO)15で被覆された、持続電極12および走査電極13と一緒に形成されている。背板16は、アドレス電極17、反射層18、バリヤリブ19およびスクリーン印刷法またはインクジェット法によって塗布された赤燐20R (Y,Gd)BO3:Eu2+、緑燐20G ZnSiO4:Mn2+(P1)またはZnSiO4:Mn2+とY,GdBO3:Tb3+との配合物ならびに青燐20B BaMgAl10O17:Eu2+と一緒に形成されている。2つのガラス板は、一緒に封止されたフリットであり、空間21は、Xe、Neガス混合物で充満されている。電圧を印加した場合には、真空UV(147および173nm)を生じる空間21内で放電が展開される。燐20RGBがVUVフォトンによって励起された場合には、この燐20RGBは、透明の前面を通して画像22として目視されるそれぞれの可視光線を放つ。
【0004】
PDPの視感度効率は、材料、例えば燐、ガス混合物、誘電層、反射層、黒色マトリックス、電極、セルの寸法および形状、電極の性質、寸法および形状、アドレス波形、動作電極等を含む種々のファクターに依存する。PDPの性能および寿命は、燐の性質および燐の高エネルギー放電イオンに対する耐性ならびにXe/Neガス放電により生じるVUVからのソラリゼーションに著しく関連する。標準の電子放射ディスプレイ、例えばCRT(5〜6 lm/W)と比較して、PDPの効率は、低い(1〜2 lm/W)。
【0005】
PDPの全効率を改善するために、材料、設計、方法および電子工学に関連した顕著な開発は、進行中である。また、新規の燐の開発ならびに存在する燐の改善のために、努力が為されている。Xe放電(147nmおよび173nm)から有用な真空UVによる特殊な波長のために、制限された数のランプ用燐のみがPDPへの適用に適している。高い視感度効率以外に、PDP燐は、よりいっそう長い寿命または安定性、必要とされる残光、適当な色座標、色温度および色飽和を有する。
【0006】
大面積のプラズマディスプレイの主な用途は、HDTVおよび高度なインフォメーションを含むプレゼンテーションであろう。HDTVおよび同様のタイプのディスプレイデバイスは、低い誘電定数、必要とされる減衰時間、高い分解能および高性能のための高度な明るさを有する。閉鎖されたリブ構造体または閉鎖されたセル構造体中で小さな粒子で被覆されたスクリーンは、よりいっそう高い記録密度を示し、また、よりいっそう少ない結合剤含量を必要とする。
【0007】
初期の明るさの10%であると定義されている短時間残光値は、4〜9msである。長時間残光は、燐の選択における別の問題であり、2〜10秒後に初期の明るさの0.25%未満である。PDP中に通常使用される3つの燐(赤、緑および青)は、異なる誘電定数および粒子形態を有する。3つの燐の中の全ては、物理的性質により燐ペーストの異なるレオロジーならびに異なるスクリーニングプロセスを必要とする。前記燐は、PDPへの適用において、完成されたパネル中で異なる電気的質を示す。これは、結果としてディスプレイの性能への妥協を生じる。
【0008】
HDTVおよび同様のタイプのデバイスは、よりいっそう良好な性能のために高い解像度およびよりいっそう高い明るさを有するべきである。これは、特にPDPの場合に密接なリブ構造体中で極めて小さな燐粒子(1〜5μm)で形成された薄手の燐スクリーンでのみ達成されうる。小さな粒子を有するスクリーンは、よりいっそう高い梱包密度を有し、よりいっそう低い結合剤含量も必要とする。テルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレートを有するかまたは有しない、マンガンで活性化された珪酸亜鉛燐は、有用性および高い量子効率のために緑色発光する成分としてプラズマディスプレイパネル(PDP)中に通常使用されている。
【0009】
珪酸亜鉛燐(P1)のよりいっそう高い誘電定数は、この誘電定数が青色および赤色の相当品よりも変化し、この結果、よりいっそう高いサステナー電圧を生じる場合に、特殊な関係を有する。P1燐上での荷電効果は、よりいっそう高いXe濃度(5%超)の存在でよりいっそう高くなる。よりいっそう高いXe濃度は、PDP中で必要とされ、輝度レベルを増加させることができる。赤色発光する燐と青色発光する燐とを比較した場合には、珪酸亜鉛燐(米国特許第5985176号明細書)も、よりいっそう長い残光、よりいっそう低い誘電定数、不利な放電およびVUV光束でのよりいっそう急速な飽和を示す。よりいっそう低い色純度を示す別の適当な緑色発光する成分の候補、Tbで活性化されたイットリウムガドリニウムボレートは、米国特許第6004481号明細書中に記載されている。PDP工業界は、トレードオフとして、P1とTbで活性化された希土類硼酸塩燐との配合物を採用している。珪酸亜鉛燐の負の放電は、米国特許第6753645号明細書B2中に記載されたプラズマディスプレイパネルにおいて、珪酸亜鉛燐(50%)と希土類硼酸塩をベースとする燐(50%)との配合物中で正の放電になった。全ての要件を満足させるために新規の燐を開発し、存在するMnで活性された珪酸亜鉛燐または珪酸塩と硼酸塩との配合物を代替するという努力が為されている。
【0010】
アルカリ金属ハロゲン化物アルミネートを基礎とする幾つかの他の燐の候補は、Phosphor Handbook中に記載されている。米国特許第4085351明細書B1、米国特許第5868963明細書B1および米国特許第6423248号明細書B1中には、マンガンで活性化されたアルミネート燐をカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウムまたは亜鉛と一緒にガス状の放電発光素子中で適用することが開示されている。VUV線によって励起される、マンガンで活性化されたランタン、イットリウムガドリニウムアルミネート緑色発光燐の製造は、米国特許第6805814号明細書中に記載されている。欧州特許出願公開第0908502号明細書A1には、バリウムまたはストロンチウムマグネシウムアルミネートをそれぞれの酸化物または炭酸塩の焼成によってフラックス(AlF3)の存在で1450℃で48時間(全体時間)製造することが教示されている。国際特許出願WO 98/37165には、噴霧技術によってアルカリ土類金属アルミン酸塩を含む酸素含有燐粉末を製造する方法が記載されている。欧州特許出願公開第1359205号明細書A1には、La、Mg、Znアルミン酸塩を活性剤としてのTb、Mnと一緒に含有する種々の緑色発光する燐の製造方法が記載されている。
【0011】
緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性されたランタンアルミネート燐は、”緑色発光する燐材料および該材料を使用するプラズマディスプレイパネル(Green Emitting Phosphor Material and Plasma Display Panel Using the Same)”という発明の名称で2004年3月2日に出願された、共同出願の同時係属中の米国特許出願シリアル番号10/791025中に記載された。この場合、この記載内容は、参考のために明細書中に記載されている。
【0012】
このような燐についての他の関連した視点は、米国特許第4150321号明細書B1;米国特許第5989455号明細書B1;および米国特許第6223312号明細書B1;欧州特許出願公開第0697453号明細書A1;Hampden-Smith Mark等による国際出願WO 98/37165中に記載されている。
【0013】
更に、このような燐についての視点は、次の表題の刊行物(1)”Fluorescence in β-Al2O3-like materials of K, Ba, La activated with Eu2+”, M. Tamatani, Jap. J. Applied Physics, Vol. 13, No.6, June 1974 pp950-956;(2)”The behavior of phosphors with aluminate host lattices”, J. L. Sommerdijk and A. L. N. Stevels, Philips Tech, Review Vol. 37, No. 9/10, 1977 pp221-233;(3)M. Tamatani著”Phosphor Handbook”, S. ShionoyaおよびW. M. Yen編、CRC Press (1999) pp.153-176中の”Principal phosphor materials and their optical properties”および”Tb3+ activated green phosphors for plasma display panel applications”, R. P. Rao, J. Electrochemical Society Vol. 150 (2003) pp H165-171中に記載されている。
【0014】
しかしながら、前記の特許明細書および刊行物の何れにも、本発明による緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性されたランタニドアルミネート燐は記載されていない。
【特許文献1】米国特許第5985176号明細書
【特許文献2】米国特許第6004481号明細書
【特許文献3】米国特許第6753645号明細書B2
【特許文献4】米国特許第4085351明細書B1
【特許文献5】米国特許第5868963明細書B1
【特許文献6】米国特許第6423248号明細書B1
【特許文献7】米国特許第6805814号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0908502号明細書A1
【特許文献9】国際特許出願WO 98/37165
【特許文献10】欧州特許出願公開第1359205号明細書A1
【特許文献11】米国特許出願シリアル番号10/791025
【特許文献12】米国特許第4150321号明細書B1
【特許文献13】米国特許第5989455号明細書B1
【特許文献14】米国特許第6223312号明細書B1
【特許文献15】欧州特許出願公開第0697453号明細書A1
【特許文献16】国際出願WO 98/37165
【非特許文献1】Phosphor Handbook
【非特許文献2】”Fluorescence in β-Al2O3-like materials of K, Ba, La activated with Eu2+ and Mn2+”, M. Tamatani, Jap. J. Applied Physics, Vol. 13, No.6, June 1974 pp950-956
【非特許文献3】”The behavior of phosphors with aluminate host lattices”, J. L. Sommerdijk and A. L. N. Stevels, Philips Tech, Review Vol. 37, No. 9/10, 1977 pp221-233
【非特許文献4】M. Tamatani著”Phosphor Handbook”, S. ShionoyaおよびW. M. Yen編、CRC Press (1999) pp.153-176中の”Principal phosphor materials and their optical properties”
【非特許文献5】”Tb3+ activated green phosphors for plasma display panel applications”, R. P. Rao, J. Electrochemical Society Vol. 150 (2003) pp H165-171
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明には、前記に記載されたような課題が課された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明の目的は、燐を提供し、およびマンガンで活性化されたアルカリ金属ハロゲン化物ランタニドアルミネート燐の製造法を提供することである。
【0017】
本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を提供する。
【0018】
更に、本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の製造法を提供し、この場合この方法は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有する。
【0019】
更に、本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法を提供し、この場合この方法は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有する。
【0020】
また、本発明は、電極を備えた前板、誘電層、薄手の保護層(MgO)、電極を備えた背板、反射層、リブ、燐、および燐層を有する前板と背板との間にXe(5〜50%)およびNe(95〜50%)の異なる組成を含有するガス混合物で充填された複数の放電空間を有する改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)を提供し、この場合このプラズマディスプレイパネルは、本発明による緑色発光する燐材料を備えたプラズマディスプレイパネルを含むように改善されている。
【0021】
本発明は、小さな粒径のMn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニド(La、Y、Gd、Tb)アルミネート燐、特に緑色発光する、Mn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物でドープされたランタニドアルミネート燐を固体化法およびゾルゲル法によって製造し、成長させる方法を提供する。
【0022】
燐は、次の工程:
アルカリ金属源、例えばアルカリ金属塩、マンガン源、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源およびアルミニウム源を混合する工程;アルカリ金属ハロゲン化物源、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源、マンガン源およびアルミニウム源を供給する有機前駆体を含む希薄な溶液を酸性媒体中で反応させ、希薄なゲルを形成させる工程(ゾル−ゲル工程);および希薄なゲルをキセロゲル粉末に変換する工程(室温乾燥);希薄なゲルをエーロゲル粉末(真空乾燥)に変換する工程;または希薄なゲルをゲル粉末(噴霧乾燥)に規定された温度で変換する工程、この場合には、キセノンガス混合物からの147nmおよび173nmの放射線によって励起された際に、緑領域内で帯域発光し、515〜516nmでピークとなる。
【0023】
また、本発明は、マンガン(Mn2+)およびアルカリ金属ハロゲン化物、例えば2つの異なる方法:固体化反応法(0.1〜10μm)およびゾルゲル法(0.01〜5μm)によって合成されたリチウム(Li+)で活性化されたランタニドアルミネート燐での比較性能データを提供する。
【0024】
燐材料は、ppbレベルであっても不純物に対して極めて敏感である。低温法は、交差汚染に対するポテンシャルを最少化する。高温か焼からの材料中に留まった幾つかの望ましくない不純物は、燐の性能に対して脅威となりうる。燐粒子の寸法が減少した場合には、電子の確率および不純物に対する正孔捕獲は、増加し、e−h局在化は、不純物を介する再結合率を増加させる。更に、最適な不純濃度(活性化剤)レベルは、小さな粒径と共に増大されうる。これは、サブミクロン寸法の出発化学薬品を用いて出発するかまたはゾルゲル法で出発することによって達成されうる。
【0025】
本発明による緑燐は、真空での超紫色光線のフォトンを吸収し、これを可視光線のフォトンに変換する能力を有する。本発明による燐の明るさは、本発明による緑燐を緑色発光する燐、例えばTbで活性化されたイットリウムガドリニウムボレートまたはランタンボレートまたはマグネシウムアルミネートと配合することによって改善されうる。従って、本明細書中に記載された緑燐は、ランプおよびディスプレイ中で使用するのに適している。
【0026】
酸性媒体中(ゾルゲル法)またはキセロゲル粉末(室温でゾルゲル法によるゲルの乾燥)またはエーロゲル粉末(真空中でゾルゲル法によるゲルの乾燥)、または噴霧乾燥によって得られたゲル粉末中の、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源、マンガン源およびアルミニウム源を供給する有機前駆体を含む、希薄な溶液から得られたランタン塩、イットリウム塩、ガドリニウム塩、テルビウム塩、マンガン塩、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルミナまたはゾルゲル粉末は、空気中で温度(1000〜1400℃)で2〜6時間熱分解され、1000〜1300℃で化成ガス(N295.5%およびH24.5%)の存在で2〜6時間再焼成される。
【0027】
1つの好ましい実施態様において、本発明による緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属(即ち、Li、NaまたはK)で活性されたランタニドアルミネート燐は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される。
【0028】
別の好ましい実施態様によれば、本発明による緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属(即ち、Li、NaまたはK)で活性されたランタニドアルミネート燐は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される。
【0029】
緑色発光する、マンガンで活性化されたランタニドアルミネート燐粒子は、プラズマディスプレイパネル(PDP)への使用に適している均一な粒径分布(0.01〜10μm)を有する。このような粒子は、PDPの使用におけるよりいっそう高い明るさ、よりいっそう短い残光、よりいっそう良好な安定性、よりいっそう長い寿命および色飽和の性能パラメーターを改善する小さな粒子を形成させる酸化物、硝酸塩、蓚酸塩および有機前駆体からそれぞれ製造されてよい。
【0030】
多数のディスプレイ用途が存在し、この場合高い明るさ、よりいっそう短い残光、色純度(飽和)、よりいっそう良好な安定性および長寿命の範囲(動作時間)を有する燐は、著しくディスプレイの性能を改善する。ディスプレイ中で、人の目のフォトニック応答が約535nm(可視スペクトルの緑成分)でピーク感度を有するように、緑成分は、極めて重要である。
【0031】
Mnで活性化された珪酸亜鉛またはバリウムマグネシウムアルミネートおよびテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレートをベースとする商業的に入手可能な燐は、全ての上記要件を満足させることに役立たないので、上記制限を克服する新規の燐およびその合成方法が開発された。
【0032】
本発明による緑燐は、真空での超紫色光線のフォトンを吸収する能力を有し、このフォトンを可視光線のフォトンに変換し、ランプおよびディスプレイ中に使用するのに適している。更に、小さな寸法の燐粒子は、高い梱包密度が必要とされる用途に使用するのに特に好適である。この開発努力の結果は、本発明に基づくものである。本発明は、Mn2+およびアルカリ金属ハロゲン化物1+で活性されたランタニドアルミネート燐、その合成方法およびPDP中への前記燐の使用を提供する。
【0033】
上記したように、燐は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有する方法によって製造されることができる。
【0034】
更に、本発明は、実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法を提供し、この方法は、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および
任意の溶剤を使用することなく、燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有する。
【0035】
アルカリ金属源はアルカリ金属塩であり、ランタニド源はランタニド塩であり、マンガン源はマンガン塩であり、アルミニウム源はアルミニウムを提供する有機前駆体である。
【0036】
好ましくは、アルカリ金属塩は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物およびその混合物から選択されており;ランタニド塩は、ランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物およびその混合物から選択されており;マンガン塩は、マンガンハロゲン化物、マンガン硝酸塩、マンガン炭酸塩、マンガン水酸化物およびその混合物から選択されており;アルミニウムを提供する有機前駆体は、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドおよびその混合物から選択されている。
【0037】
1つの好ましい実施態様において、ランタニド源は、ランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物またはその混合物であり;アルカリ金属塩は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物またはその混合物であり;アルミニウム源は、酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドまたはその混合物である。
【0038】
ゲルは、超音波により噴霧されることができ、乾燥、即ち噴霧乾燥されることができ、ゲル粉末を形成させるかまたは噴霧乾燥されることができ、熱分解前にゲル粉末をエーロゲルとして形成させる。ゲルは、乾燥されてキセロゲルを形成させてもよく、このキセロゲルは、破砕されて熱分解前に粉末を形成させてもよい。ゲルは、開放された雰囲気中で約1000℃〜約1400℃の温度で熱分解されてもよく、さらに約1000℃〜約1300℃の温度で化成ガス中で熱分解されてもよい。
【0039】
好ましくは、燐は、約0.01μm〜約10.0μmの粒径を有し、約23〜約25nmの半値幅で147nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約100および173nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約105、約7ms〜約10msの短時間残光(初期強度の10%)、約2〜6秒の長時間残光(初期強度の0.25%)、約0.120〜約0.140のx軸および約0.770〜約0.790のy軸の色座標を示す。
【0040】
従って、燐は、アルカリ金属源、例えばアルカリ金属塩、マンガン源、ランタン源、イットリウム源、ガドリニウム源、テルビウム源およびアルミニウム源を混合し;アルカリ金属ハロゲン化物源、ランタニド源、マンガン源およびアルミニウム源を供給する有機前駆体を含む希薄な溶液を酸性媒体中で反応させ、希薄なゲルを形成させ(ゾル−ゲル工程);および希薄なゲルをキセロゲル粉末に変換し(室温乾燥);希薄なゲルをエーロゲル粉末(真空乾燥)に変換するか;または希薄なゲルをゲル粉末(噴霧乾燥)に規定された温度で変換することによって得られた粉末を熱分解することによって製造されることができる。
【0041】
ランタニドアルミネート固溶体の形成は、重要であり、反応温度および条件に著しく依存する。本発明において、水性をベースとする方法は、固体状態に加えて出発化学薬品の費用および有用性を考慮することによって採用されている。出発化学薬品の純度は、燐の合成にとって極めて重要であるので、出発化学薬品は、典型的には99.9〜99.999%の純度である。燐の性能を深刻に低下させうる特殊な汚染物、例えばFe、Co、Niの濃度を最少化することは、重要である。
【0042】
必要とされる金属(La、Y、Gd、Tb、Mn、Li、NaおよびK)溶液は、適当な量のそれぞれの金属硝酸塩を微温のDl水中で混合し、0.05〜0.1Mの溶液を得ることによっても製造される。金属水酸化物前駆体は、水中の金属塩化物または金属硝酸塩の水溶液(0.01〜0.05M)を、該溶液への塩基、例えば水酸化アンモニウムの添加によって沈殿させることによって製造された。化学量論的量の金属溶液とアルミニウムイソプロポキシドまたはアルミニウムs−ブトキシドとは、混合される。金属/イソプロポキシドまたはアルミニウムs−ブトキシド溶液は、丸底フラスコに移され、攪拌機ジャケット中で80〜90℃で9〜18時間、解凝固される。本発明において、有機酸、例えばHNO3またはHClは、有効なゲル化に必要とされる低いpHを維持するために使用された。
【0043】
解凝固後、ゾル/ゲルは、このゾル/ゲルが濃厚なゲルになり(3〜5日後)、次にキセロゲルになるまで、容器中に留められる。また、エーロゲルは、同じ希薄なゲルから、水および他の溶剤を真空中で冷たいトラップを通して抽出することによって製造される。前記キセロゲルまたはエーロゲルは、60〜70℃で実験炉内に移され、1日の間または粉末になるまで留められる。この工程は、任意の残留溶剤の除去を加速させるために挿入されている。また、ゲル粉末は、噴霧乾燥によって製造される。希薄なゲルは、微細なネブライザーによって、120〜150℃に加熱された直径4”のガラス管中に噴霧される。粒子形成させるための選択的な方法は、超音波エーロゲル発生器を使用することにより達成されうる。乾燥後、ゲル粉末は、捕集され、400℃で2時間焼成され、残留有機成分は、消却される。
【0044】
必要とされる量の金属塩、例えばLa、Y、Gd、Tb、Li、Mnの蓚酸塩、炭酸塩、弗化物は、酸化アルミニウム、好ましくは100m2/gの表面積を有する0.01〜0.02μmのγ−αアルミナ粉末およびフラックス材料、例えば弗化アンモニウムと乳鉢および乳棒を用いて混合される。装入物は、固体状態の混合された粉末またはゾルゲル法により得られた粉末を含有し、高度なアルミナるつぼ中に移され、空気中で1000〜1500℃で2〜6時間、か焼される。焼成された粉末は、高度なアルミナボート中に移され、管状炉内で化成ガス(H24.5%およびN295.5%)の存在で1000〜1300℃で2〜6時間再焼成される。還元雰囲気、例えば化成ガスまたは一酸化炭素、または等価のものは、Mn3+およびよりいっそう高度な状態を2価マンガン状態(Mn2+)に変えるのに役立つ。
【0045】
粉末は、開放された雰囲気中で1300℃で熱分解されることができ、次に1200℃に等しい温度で、H24.0〜5.0%および残分N2を含有する化成ガス中で熱分解されることができる。上記方法で製造された燐の発光特性は、実施例と共に第I表中に示されている。
【0046】
好ましくは、燐は、0.01〜10.0μmの範囲内の粒径を有する。粉末は、0.05〜5.0μm、有利に0.01〜3.0μm、よりいっそう有利に0.01〜0.02μmの範囲内の粒径を有する。
【0047】
好ましくは、燐は、ランタン約1.8モル〜約1.98モル、マンガン約0.01〜約0.1モル、アルカリ金属ハロゲン化物約0.01〜約0.1モルおよびアルミニウム22.0モルを有する。
【0048】
図1aは、ACプラズマディスプレイパネルの断面を示す。
【0049】
図1bは、3つの異なる燐を有する単一のセルの断面を示す。
【0050】
図2は、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の組織を示す走査電子顕微鏡写真を表わす。図2の電子顕微鏡写真から、燐粒子は寸法の点で均一であり、十分に結晶化されていることを観察することができる。
【0051】
ランタンマンガン酸化アルミニウム(JCPDF 77-0334)からの標準データと比較した、1400℃で焼成され、1200℃で再焼成された試料(N2+H2)上での粉末のX線回折データは、図3中に示されている。ランタニドアルミネート相に対応する線は、1000℃を上廻る焼成温度でよりいっそう顕著である。燐の発光は、形状、寸法、結晶度、欠陥および粒子境界に依存するので、種々の条件で得られた全ての試料の形態および粒径分布(PSD)は、研究された。
【0052】
図4は、147nmで励起された、MnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびMnで活性化された珪酸亜鉛燐の放出スペクトルを示す。放出は、室温で記録された。
【0053】
本発明の燐の明るさを増加させるために、黄色発光する、硼酸塩をベースとする燐、例えばテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウム硼酸塩またはランタン燐酸塩、またはマグネシウムアルミネート燐は、50%まで本発明による緑色発光する燐と混合されている。
【0054】
図5および6は、147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウム硼酸塩またはランタンホスフェート燐の配合物の放出スペクトルを表わす。放出は、室温で記録された。
【0055】
Xeランプ(147nm)で励起しながら室温で記録された、LiおよびMnで活性化されたランタニドアルミネート燐の短時間残光またはグロー崩壊後の特性(初期強度の10%)は、図7に示されている。
【0056】
図8に関連して、キセノン6%を用いての42”試験パネルでの他の緑色発光する燐材料(ZnSiO4:Mn)に加えての本発明による燐の崩壊を見ることができる。標準のZnSiO4:Mn燐と比較した場合には、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の崩壊は、低い。
【0057】
図9は、キセノン15%を用いての42”試験パネルでの他の緑色発光する燐材料(ZnSiO4:Mn)に加えての本発明による燐の崩壊を見ることができることを示す。標準のZnSiO4:Mn燐と比較した場合には、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の崩壊は、低い。
【0058】
本発明による燐の色純度は、色座標を研究することによって測定され、他の緑色発光するPDP燐と比較されている。図10は、CIE図を表わし、この場合本発明による燐からの色点および他の標準の燐との配合物からの色点が位置している。
【0059】
好ましくは、燐ペーストは、燐粉末を溶剤(テルピネオールまたはブチルカルボライトアセテート(BCA)/ブトキシエトキシエチルアセテート)および結合剤(エチルセルロースまたはポリビニルブチラール)を含有する適当なビヒクルと混合することによって製造される。
【0060】
ビヒクルは、高速型の垂直の攪拌機中で必要量の溶剤および添加剤を添加することによって前混合される。燐ペーストは、ペーストが極めて軟質になるまで三本ローラー粉砕機中で回転される。異なる燐のペーストは、小さな円形のガラスクーポン(直径1”)上にスクリーン印刷される。
【0061】
ガラス板を燐ペーストと一緒に120〜140℃で乾燥した後、全ての有機物が蒸発されるまで500℃で1〜4時間、結合剤を焼却処理する。同じペーストは、42”試験パネルの背板の形成に使用される。
【0062】
前記の燐材料の発光特性および寿命特性の研究は、ガラスクーポン上で実施され、ならびに42”試験パネル中で実施される。UVU線の露光による前記燐材料の崩壊は、強度を測定することによって高エネルギーXeフラッシュランプへの燐スクリーンの露光前および露光後に真空中で異なる時間の間、計算される。本発明による燐の崩壊は、他のPDP緑色発光する燐と比較した場合に最小である。
【0063】
実験室での初期研究の後、適当な燐ペーストは、背板(42”)上にスクリーン印刷される。結合剤の焼却後(500℃)、燐を有する背板は、前板と一緒にフリット封止され、異なる濃度のXe−Neガス混合物で充填される。
【0064】
ガス充填での焼付け作業周期後、アセンブリ(前板および背板)は、全ての必要とされる電子部品に接続される。発光特性、例えば明るさ、強度、スペクトルエネルギー分布、グロー崩壊後の特性(短時間および長時間)、色座標、色温度等、安定性および寿命および電気的性質、例えばキャパシタンス、放電漏れ、放電崩壊、持続電圧の変動およびランプ電圧(ramp voltage)は、前記パネル上で研究される。前記パネルから得られた幾つかの結果は、第II表中に示されている。
【0065】
本発明による燐の種々の配合物も本発明によるパネルの製造に有用である。このような配合物は、本発明による緑色発光する燐を例えば希土類硼酸塩、希土類燐酸塩またはアルミン酸マグネシウムと混合することによって製造されることができる。
【0066】
従って、さらに、本発明は、
(a)本発明による燐およびTbで活性化された希土類硼酸塩10質量%〜50質量%を含有する配合物;
(b)本発明による燐およびMnで活性化された珪酸亜鉛10〜25質量%、およびTbで活性化された希土類硼酸塩10質量%〜25質量%を含有する配合物;
(c)本発明による燐およびTbおよびCeで活性化された希土類燐酸塩10質量%〜50質量%を含有する配合物;
(d)本発明による燐およびTbおよびCeで活性化されたアルミン酸マグネシウム10質量%〜50質量%を含有する配合物を含む。
【0067】
本発明による燐材料は、100nm〜200nmの範囲内の波長の真空での超紫色光線によって励起した際に緑色の光線を放出し、例えばプラズマディスプレイパネルおよびランプへの使用に適している。
【0068】
従って、本発明は、電極を備えた前板、誘電層、薄手の保護層(MgO)、電極を備えた背板、反射層、リブ、燐、および燐層を有する前板と背板との間に形成された複数の放電空間を有する改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)を提供する、この場合このプラズマディスプレイパネルは、式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される組成を有する、緑色発光する燐材料を含むプラズマディスプレイパネルであることによって改善されている。
【0069】
好ましくは、燐は、100nm〜200nmの範囲内の波長の真空での超紫色光線によって励起される場合に緑色の光線を放出する。
【0070】
更に、本発明の詳細は、次の実施例中に記載されているが、この実施例は、本発明を説明するだけのためにあり、本発明の範囲をなんら限定するものではない。
【実施例】
【0071】
例I
固体化反応による、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の製造を本例で記載する。
【0072】
最初に、γ(80〜95%)−α(5〜20%)−酸化アルミニウム28g(0.01〜0.02μmの粉末)、蓚酸ランタン18g、弗化マンガン(II)0.63g、弗化リチウム0.64gを乳鉢および乳棒を用いて混合し、高度のアルミナるつぼに移す。このるつぼを蓋で閉め、450℃で焼成する。焼成された質量を乳鉢および乳棒を用いて再混合し、高度のアルミナるつぼに移し、1200〜1500℃で2〜4時間箱形炉内で焼成する。試料を化成ガス(H24.5%およびN295.5%)中で1100〜1300℃で2〜4時間、管状炉内で再焼成する。
【0073】
この試料を室温に冷却されるまで化成ガスの存在で炉内に留める。冷却後、この微細な燐粉末を水中で超音波攪拌する。超音波処理は、クラスターを個々の粒子に破壊するのに役立つ。水での洗浄後、この粉末を120℃で6時間乾燥する。
【0074】
必要とされる量に応じて、この粉末を増加させることができる。励起源(Xeランプ)で励起させながら室温で記録された上記燐の放出、色座標および残光特性は、第I表中に記載されている。
【0075】
例II
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、蓚酸ランタン18gを蓚酸ランタン15gおよび蓚酸ガドリニウム4.2gに替える。
【0076】
例III
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、蓚酸ランタン18gを蓚酸ランタン15g、蓚酸ガドリニウム3.2gおよび蓚酸テルビウム1gに替える。
【0077】
例IV
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、蓚酸ランタン18gを蓚酸ランタン15g、蓚酸ガドリニウム2g、蓚酸イットリウム1gおよび蓚酸テルビウム1gに替える。
【0078】
例V
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化マンガン(II)0.63gを炭酸マンガン0.78gに替える。
【0079】
例VI
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化マンガン(II)0.63gを硝酸マンガン1.2gに替える。
【0080】
例VII
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化リチウム0.64gを弗化ナトリウム1.0gに替える。
【0081】
例VIII
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、弗化リチウム0.64gを弗化カリウム1.28gに替える。
【0082】
例IX
ゾルゲル法による酸性触媒中での、MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の製造を本例で記載する。アルミニウムイソプロポキシド28g(AIP)を熱水4リットル(95℃)中に攪拌しながら溶解する。硝酸ランタン6g、硝酸ガドリニウム1.5g、硝酸イットリウム1g、硝酸テルビウム0.5g、弗化リチウム0.2gおよび弗化マンガン0.18gをAIP溶液に添加する。
【0083】
溶液が110℃に達した際に、HNO35cc(0.5モル)を滴加し、24時間還流する。
【0084】
水コンデンサーカラムを循環冷却器を用いて還流全体に亘って20℃で維持する。フラスコを室温に冷却した後、溶液(希薄なゲル)を結晶化皿(3リットルの容量)中に移し、開放された雰囲気中に留める。5〜6日後、溶液は、ゲルになる。この透明な硬質ゲルを実験炉内で45〜50℃で12時間、留める。
【0085】
乾燥された生成物は、軟質のガラス、所謂キセロゲルのように見える。このゲルをガラス製の乳鉢および乳棒を用いて破砕した後、微細な粉末を高度なアルミナるつぼ内に捕集し、300℃で2時間焼成し(加熱速度は、2℃/分である)、次に高温の熱作業周期にかけ、例1の記載と同様に冷却し、洗浄する。
【0086】
例X
製造方法は、例IXの場合と同様であるが、アルミニウムイソプロポキシド28gをアルミニウムs−ブトキシド34gに替える。
【0087】
例XI
酸性媒体中での硝酸ランタニド、マンガン塩、リチウム塩およびアルミニウムイソプロポキシドからの希薄なゲルを、例IXおよびXの記載と同様に合成する。得られたゲル溶液を真空下で凍結乾燥させる。冷却トラップを真空ポンプとゲルを有する真空瓶との間に挿入する。
【0088】
乾燥された粉末を数時間の凍結乾燥後にフラスコ底部で捕集する。前記粉末を例1の記載と同様にか焼し、冷却し、洗浄し、測定する。
【0089】
例XII
酸性媒体中での硝酸ランタニド、マンガン塩、リチウム塩およびアルミニウムイソプロポキシドからの希薄なゲルを、例IXの記載と同様に合成する。
【0090】
この希薄なゲルを噴霧ノズルによって12”の加熱帯域を有する直径4”のガラス管中に120〜150℃で噴霧する。超音波エーロゲル発生器を使用することにより微細な粒子を製造することもできる。
【0091】
希薄ゲル約1リットルを噴霧した後、極めて微細な粉末を前記管の壁面から掻き取る。この粉末をか焼し、冷却洗浄し、例Iと同様に測定する。
【0092】
例XIII
製造方法は、例Iの場合と同様であるが、酸化アルミニウム28gを酸化アルミニウム26gおよび酸化ガリウム3.7gに替える。
【0093】
例XIV
配合物を例IIからの燐(90質量%)とテルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレート燐10質量%とを混合することによって製造する。
【0094】
例XV
配合物を例IIからの燐(75質量%)とテルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレート燐25質量%とを混合することによって製造する。
【0095】
例XVI
配合物を例IIからの燐(50質量%)とテルビウムで活性化されたイットリウムガドリニウムボレート燐25質量%とを混合することによって製造する。
【0096】
例XVII
配合物を例IIからの燐(75質量%)とテルビウム、セリウムで活性化されたランタンホスフェート燐25質量%とを混合することによって製造する。
【0097】
例XVIII
配合物を例IIからの燐(50質量%)とテルビウム、セリウムで活性化されたランタンホスフェート燐50質量%とを混合することによって製造する。
【0098】
例XIX
配合物を例IIからの燐(50質量%)とテルビウム、セリウムで活性化されたマグネシウムアルミネート燐50質量%とを混合することによって製造する。
【0099】
第I表は、本発明による固体状態反応およびゾルゲル法によって形成された燐が種々の粒径範囲を提供し、一方で、一般に高レベルの明るさ、低い誘電定数、よりいっそうながら寿命およびよりいっそう短い残光を提供することを示す。
【0100】
【表1】
【0101】
第II表には、本発明による燐、標準の燐、例えばMnで活性された珪酸亜鉛およびTbで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレートならびに本発明による燐の種々の組成物とTbで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレートとから形成された配合物(米国特許第6004481号明細書)を用いて形成されたパネルから得られた発光データが記載されている。
【0102】
【表2】
【0103】
前記の記載は、本発明を説明するだけにすぎないことを理解すべきである。種々の選択的方法および変法は当業者であれば、本発明の記載を逸脱することなく推考することが可能である。従って、本発明は、係属された特許請求の範囲の記載の範囲内でかかる全ての選択的方法、変法および変更を含むことを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1a】ACプラズマディスプレイパネルを示す断面図(従来技術)。
【図1b】3つの異なる燐を有する単一セルを示す断面図(従来技術)。
【図2】MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐の組織を示す走査電子顕微鏡写真。
【図3】MnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐のX線粉末回折パターンを示す略図。
【図4】147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランニドアルミネート燐、MnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐およびMnで活性化された珪酸亜鉛燐の放出スペクトルを示す線図。放出は、室温で記録された。
【図5】147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびテルビウムで活性化されたイットリウム、ガドリニウムボレート燐の種々の組成を有する配合物の放出スペクトルを示す線図。放出は、室温で記録された。
【図6】147nmで励起された、本発明によるMnおよびLiで活性化されたランタニドアルミネート燐およびテルビウムで活性化されたランタンホスフェート燐の種々の組成を有する配合物の放出スペクトルを示す線図。放出は、室温で記録された。
【図7】室温で記録された、MnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐ならびにMnおよびLiで活性化されたランタニド(La、Gd、Tb)アルミネート燐の残光(短時間)を示す線図(147nmのフィルターを有する特注されたキセノンランプの励起源)。
【図8】10Xモードで動作されるキセノンガス6%で充填された42”試験パネルでのP1燐およびP1(50%)とTbで活性化された希土類硼酸塩(50%)との配合物に加えてのMnおよびLiで活性化されたランタンアルミネート燐の明るさの崩壊を示す線図。
【図9】10Xモードで動作されるキセノンガス15%で充填された42”試験パネルでのP1燐およびP1(50%)とTbで活性化された希土類硼酸塩(50%)との配合物に加えてのMnおよびLiで活性化されたランタニド(La、Gd、Tb)アルミネート燐、本発明による燐とTbで活性化された希土類ボレート燐との燐配合物の明るさの崩壊を示す線図。
【図10】42”試験パネル(Xe15%)から得られた本発明による燐を含む種々の緑色発光する燐のCIEチャートにおける色点の変動を示す線図。
【符号の説明】
【0105】
11 前板、 12 接続電極、 13 走査電極、 14 誘電層、 15 保護層、 16 背板、 17 アドレス電極、 18 反射層、 19 バリヤリブ、 20B 青燐、 20G 緑燐、 20R 赤燐、 21 空間、 22 画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐。
【請求項2】
次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有する方法によって製造される、請求項1記載の緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐。
【請求項3】
アルカリ金属源がアルカリ金属塩であり、ランタニド源がランタニド塩であり、マンガン源がマンガン塩であり、アルミニウム源がアルミニウムを提供する有機前駆体である、請求項2記載の燐。
【請求項4】
アルカリ金属塩がアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択されており;ランタニド塩がランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物およびその混合物から構成されている群から選択されており;マンガン塩がマンガンハロゲン化物、マンガン硝酸塩、マンガン炭酸塩、マンガン水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択されており;アルミニウムを提供する有機前駆体がアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドおよびその混合物から構成されている群から選択されている、請求項3記載の燐。
【請求項5】
ゲルが乾燥され、熱分解前にゲル粉末が形成されている、請求項2記載の燐。
【請求項6】
ゲルが真空乾燥され、熱分解前にエーロゲルとしてゲル粉末が形成されている、請求項2記載の燐。
【請求項7】
ゲルが噴霧乾燥され、熱分解前にゲル粉末が形成されている、請求項2記載の燐。
【請求項8】
ゲルが開放された雰囲気中で約1000℃〜約1400℃の温度および次に約1000℃〜約1300℃の温度で化成ガス中で熱分解されている、請求項2記載の燐。
【請求項9】
燐が約23〜約25nmの半値幅で147nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約100および173nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約105を示す、請求項1記載の燐。
【請求項10】
燐が約7ms〜約10msの短時間残光(初期強度の10%)を示す、請求項1記載の燐。
【請求項11】
燐が約3秒〜約6秒の長時間残光(初期強度の0.25%)を示す、請求項1記載の燐。
【請求項12】
燐が約0.20〜約0.140のx軸および約0.770〜約0.790のy軸の色座標を示す、請求項1記載の燐。
【請求項13】
燐が約0.01μm〜約10.0μmの粒径を有する、請求項1記載の燐。
【請求項14】
請求項1記載の燐とTbで活性化された希土類硼酸塩10質量%〜50質量%とからなる配合物。
【請求項15】
請求項1記載の燐とMnで活性化された珪酸亜鉛10〜25質量%とTbで活性化された希土類硼酸塩10〜25質量%とからなる配合物。
【請求項16】
請求項1記載の燐とTbおよびCeで活性化された希土類燐酸塩10質量%〜50質量%とからなる配合物。
【請求項17】
請求項1記載の燐とTbおよびCeで活性化されたアルミン酸マグネシウム10質量%〜50質量%とからなる配合物。
【請求項18】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の製造法において、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有することを特徴とする、前記実験式で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の製造法。
【請求項19】
アルカリ金属源がアルカリ金属塩であり、ランタニド源がランタニド塩であり、マンガン源がマンガン塩であり、アルミニウム源がアルミニウムを提供する有機前駆体である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
アルカリ金属塩をアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択し;ランタニド塩をランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物およびその混合物から構成されている群から選択し;マンガン塩をマンガンハロゲン化物、マンガン硝酸塩、マンガン炭酸塩、マンガン水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択し;アルミニウムを提供する有機前駆体をアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドおよびその混合物から構成されている群から選択する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
ゲルを乾燥し、熱分解前にゲル粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項22】
ゲルを真空乾燥し、熱分解前にエーロゲルとしてゲル粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項23】
ゲルを噴霧乾燥し、熱分解前にゲル粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項24】
ゲルを開放された雰囲気中で約1000℃〜約1400℃の温度および次に約1000℃〜約1300℃の温度で化成ガス中で熱分解する、請求項18記載の方法。
【請求項25】
燐が約0.01μm〜約10.0μmの粒径を有する、請求項18記載の方法。
【請求項26】
燐が約23〜約25nmの半値幅で147nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約100および173nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約105を示す、請求項18記載の方法。
【請求項27】
燐が約7ms〜約10msの短時間残光(初期強度の10%)を示す、請求項18記載の方法。
【請求項28】
燐が約3秒〜約6秒の長時間残光(初期強度の0.25%)を示す、請求項18記載の方法。
【請求項29】
燐が約0.120〜約0.140のx軸および約0.770〜約0.790のy軸の色座標を示す、請求項18記載の方法。
【請求項30】
ランタニド源がランタニド蓚酸塩であり;マンガンハロゲン化物源が弗化マンガンであり;アルカリ金属ハロゲン化物源がアルカリ金属弗化物であり;アルミニウム源が酸化アルミニウムである、請求項18記載の方法。
【請求項31】
前記粉末を開放された雰囲気中で1400℃および次に1200℃の温度でH24.0〜5.0%および残留N2を含有する化成ガス中で熱分解する、請求項18記載の方法。
【請求項32】
ゲルを乾燥し、キセロゲルを形成させ、このキセロゲルを破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項33】
ゲルを真空乾燥し、エーロゲルを形成させ、このエーロゲルを破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項34】
ゲルを噴霧乾燥し、ゲル粉末を形成させ、このゲル粉末を破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項35】
ゲルを超音波により噴霧し、乾燥させ、ゲル粉末を形成させ、このゲル粉末を破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項36】
燐が0.01〜10.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項18記載の方法。
【請求項37】
粉末が0.05〜5.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項32記載の方法。
【請求項38】
粉末が0.05〜5.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項33記載の方法。
【請求項39】
粉末が0.01〜3.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項34記載の方法。
【請求項40】
粉末が0.01〜0.02μmの範囲内の粒径を有する、請求項35記載の方法。
【請求項41】
燐がランタン約1.8モル〜約1.98モル、マンガン約0.01モル〜約0.1モル、ならびにアルカリ金属ハロゲン化物約0.01モル〜約0.1モルおよびアルミニウム22.0モルを含有する、請求項18記載の方法。
【請求項42】
燐が100nm〜200nmの範囲内の波長の真空紫外線によって励起される場合に緑色を発光する、式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される組成を有する、プラズマディスプレイパネルのための燐材料。
【請求項43】
電極を備えた前板、誘電層、薄手の保護層(MgO)、電極を備えた背板、反射層、リブ、燐、および燐層を有する前板と背板との間にXe(5〜50%)およびNe(95〜50%)の異なる組成を含有するガス混合物で充填された複数の放電空間を有する改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)において、燐が100nm〜200nmの範囲内の波長の真空紫外線によって励起される場合に緑色を発光する、式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される組成を有する、緑色発光する燐材料を含むプラズマディスプレイパネルを有することを特徴とする、改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)。
【請求項44】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される請求項1記載の燐。
【請求項45】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法において、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有することを特徴とする、上記実験式で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法。
【請求項1】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;
Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;
Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;
xは、0.01≦x≦0.1であり;および
yは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐。
【請求項2】
次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有する方法によって製造される、請求項1記載の緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐。
【請求項3】
アルカリ金属源がアルカリ金属塩であり、ランタニド源がランタニド塩であり、マンガン源がマンガン塩であり、アルミニウム源がアルミニウムを提供する有機前駆体である、請求項2記載の燐。
【請求項4】
アルカリ金属塩がアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択されており;ランタニド塩がランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物およびその混合物から構成されている群から選択されており;マンガン塩がマンガンハロゲン化物、マンガン硝酸塩、マンガン炭酸塩、マンガン水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択されており;アルミニウムを提供する有機前駆体がアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドおよびその混合物から構成されている群から選択されている、請求項3記載の燐。
【請求項5】
ゲルが乾燥され、熱分解前にゲル粉末が形成されている、請求項2記載の燐。
【請求項6】
ゲルが真空乾燥され、熱分解前にエーロゲルとしてゲル粉末が形成されている、請求項2記載の燐。
【請求項7】
ゲルが噴霧乾燥され、熱分解前にゲル粉末が形成されている、請求項2記載の燐。
【請求項8】
ゲルが開放された雰囲気中で約1000℃〜約1400℃の温度および次に約1000℃〜約1300℃の温度で化成ガス中で熱分解されている、請求項2記載の燐。
【請求項9】
燐が約23〜約25nmの半値幅で147nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約100および173nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約105を示す、請求項1記載の燐。
【請求項10】
燐が約7ms〜約10msの短時間残光(初期強度の10%)を示す、請求項1記載の燐。
【請求項11】
燐が約3秒〜約6秒の長時間残光(初期強度の0.25%)を示す、請求項1記載の燐。
【請求項12】
燐が約0.20〜約0.140のx軸および約0.770〜約0.790のy軸の色座標を示す、請求項1記載の燐。
【請求項13】
燐が約0.01μm〜約10.0μmの粒径を有する、請求項1記載の燐。
【請求項14】
請求項1記載の燐とTbで活性化された希土類硼酸塩10質量%〜50質量%とからなる配合物。
【請求項15】
請求項1記載の燐とMnで活性化された珪酸亜鉛10〜25質量%とTbで活性化された希土類硼酸塩10〜25質量%とからなる配合物。
【請求項16】
請求項1記載の燐とTbおよびCeで活性化された希土類燐酸塩10質量%〜50質量%とからなる配合物。
【請求項17】
請求項1記載の燐とTbおよびCeで活性化されたアルミン酸マグネシウム10質量%〜50質量%とからなる配合物。
【請求項18】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の製造法において、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を酸性媒体中で混合し、希薄な水溶液を形成させる工程;
水の少なくとも一部分を希薄な水溶液から除去し、ゲルを形成させる工程;
過剰量の水を除去するのに十分な温度でゲルを加熱し、それによってゲルをゲル粉末に変換する工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間でゲル粉末を熱分解する工程を有することを特徴とする、前記実験式で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐の製造法。
【請求項19】
アルカリ金属源がアルカリ金属塩であり、ランタニド源がランタニド塩であり、マンガン源がマンガン塩であり、アルミニウム源がアルミニウムを提供する有機前駆体である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
アルカリ金属塩をアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択し;ランタニド塩をランタニド蓚酸塩、ランタニド硝酸塩、ランタニド酸化物およびその混合物から構成されている群から選択し;マンガン塩をマンガンハロゲン化物、マンガン硝酸塩、マンガン炭酸塩、マンガン水酸化物およびその混合物から構成されている群から選択し;アルミニウムを提供する有機前駆体をアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドおよびその混合物から構成されている群から選択する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
ゲルを乾燥し、熱分解前にゲル粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項22】
ゲルを真空乾燥し、熱分解前にエーロゲルとしてゲル粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項23】
ゲルを噴霧乾燥し、熱分解前にゲル粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項24】
ゲルを開放された雰囲気中で約1000℃〜約1400℃の温度および次に約1000℃〜約1300℃の温度で化成ガス中で熱分解する、請求項18記載の方法。
【請求項25】
燐が約0.01μm〜約10.0μmの粒径を有する、請求項18記載の方法。
【請求項26】
燐が約23〜約25nmの半値幅で147nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約100および173nmの励起での相対的強度(AU)約90〜約105を示す、請求項18記載の方法。
【請求項27】
燐が約7ms〜約10msの短時間残光(初期強度の10%)を示す、請求項18記載の方法。
【請求項28】
燐が約3秒〜約6秒の長時間残光(初期強度の0.25%)を示す、請求項18記載の方法。
【請求項29】
燐が約0.120〜約0.140のx軸および約0.770〜約0.790のy軸の色座標を示す、請求項18記載の方法。
【請求項30】
ランタニド源がランタニド蓚酸塩であり;マンガンハロゲン化物源が弗化マンガンであり;アルカリ金属ハロゲン化物源がアルカリ金属弗化物であり;アルミニウム源が酸化アルミニウムである、請求項18記載の方法。
【請求項31】
前記粉末を開放された雰囲気中で1400℃および次に1200℃の温度でH24.0〜5.0%および残留N2を含有する化成ガス中で熱分解する、請求項18記載の方法。
【請求項32】
ゲルを乾燥し、キセロゲルを形成させ、このキセロゲルを破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項33】
ゲルを真空乾燥し、エーロゲルを形成させ、このエーロゲルを破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項34】
ゲルを噴霧乾燥し、ゲル粉末を形成させ、このゲル粉末を破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項35】
ゲルを超音波により噴霧し、乾燥させ、ゲル粉末を形成させ、このゲル粉末を破砕し、熱分解前に粉末を形成させる、請求項18記載の方法。
【請求項36】
燐が0.01〜10.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項18記載の方法。
【請求項37】
粉末が0.05〜5.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項32記載の方法。
【請求項38】
粉末が0.05〜5.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項33記載の方法。
【請求項39】
粉末が0.01〜3.0μmの範囲内の粒径を有する、請求項34記載の方法。
【請求項40】
粉末が0.01〜0.02μmの範囲内の粒径を有する、請求項35記載の方法。
【請求項41】
燐がランタン約1.8モル〜約1.98モル、マンガン約0.01モル〜約0.1モル、ならびにアルカリ金属ハロゲン化物約0.01モル〜約0.1モルおよびアルミニウム22.0モルを含有する、請求項18記載の方法。
【請求項42】
燐が100nm〜200nmの範囲内の波長の真空紫外線によって励起される場合に緑色を発光する、式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される組成を有する、プラズマディスプレイパネルのための燐材料。
【請求項43】
電極を備えた前板、誘電層、薄手の保護層(MgO)、電極を備えた背板、反射層、リブ、燐、および燐層を有する前板と背板との間にXe(5〜50%)およびNe(95〜50%)の異なる組成を含有するガス混合物で充填された複数の放電空間を有する改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)において、燐が100nm〜200nmの範囲内の波長の真空紫外線によって励起される場合に緑色を発光する、式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される組成を有する、緑色発光する燐材料を含むプラズマディスプレイパネルを有することを特徴とする、改善されたプラズマディスプレイパネル(PDP)。
【請求項44】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される請求項1記載の燐。
【請求項45】
実験式:
Ln(2−x−y)B22O36:MnxAy
〔式中、
Lnは、La、Y、Gd、Tbおよびその組合せ物から構成されている群から選択されたランタニド金属であり、この場合Laは、0.57≦La≦1.782であり;Yは、0≦Y≦0.19であり;Gdは、0.198≦Gd≦0.95であり;およびTbは、0≦Tb≦0.19であり;Aは、Li、Na、Kおよびその組合せ物から構成されている群から選択されており;Bは、AlおよびAlとGaとの組合せ物から構成されている群から選択されており;xは、0.01≦x≦0.1であり;およびyは、0.01≦y≦0.1である〕で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法において、次の工程:
アルカリ金属源、マンガン源、ランタニド源およびアルミニウム源を混合し、粉末混合物を形成させる工程;および
燐を製造するのに十分な温度および時間で粉末混合物を熱分解する工程を有することを特徴とする、上記実験式で示される緑色発光する、Mnおよびアルカリ金属で活性化されたランタニドアルミネート燐を製造するための溶剤不含の方法。
【図1a】
【図1b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図1b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【公開番号】特開2006−283006(P2006−283006A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−55522(P2006−55522)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55522(P2006−55522)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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