説明

線材の接続方法

【課題】製造工程を簡素化することができるとともに、線材に過度の張力が発生してしまうのを防止することができる線材の接続方法を提供することにある。
【解決手段】金属端子41における線材21の巻回箇所の表面にハンダ52を固着する。そして、そのハンダ52の表面52aに線材21を巻回し、その状態でハンダ52を加熱して溶融する。この結果、金属端子41に巻回された線材21には張力が加わっているため、そのハンダ52の表面52aに巻きつけられた線材21は溶融したハンダ52内に進入する。これにより、金属端子41に対する線材21の巻回径が小径化されるとともに、コイルと金属端子41との間の中継部24に加わる張力が小さくなる。このため、ハンダ52を溶融する前よりも、線材21の接続部23が金属端子41に対してより強固に巻きついた状態になるとともに、該線材21の中継部24に加わる張力も軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータやアンテナ等には、線材によって構成されたコイルが用いられている(例えば「特許文献1」参照)。
こうしたコイルとして、例えば図5に示すように、有底箱状のハウジング11及びコイル2を備えたコイルユニット1aが提案されている。詳しくは、ハウジング11は略直方体状をなし、その上面に直方体状の凹部12が形成されている。そして、この凹部12にはコイル2が収容されている。コイル2は、円柱形状に形成されたコア材31と、一部が該コア材31の外周面に螺旋状に巻きつけられた線材21とから構成されている。なお、線材21におけるコア材31に巻回された螺旋状の部位を連結部22としている。また、ハウジング11の上面13には、円柱形状をなす一対の金属端子41がそれぞれ配設されている。これら金属端子41は、それぞれ前記コア材31の端部付近において、ハウジング11の上面13に対して垂直方向に延びるように配設されている。また、これら金属端子41はハウジング11を貫通しており、上端及び下端がハウジング11から突出した状態となっている。
【0003】
図6(a)に併せて示すように、これら金属端子41の上端部位には、線材21の一部からなる接続部23がそれぞれ螺旋状に巻きつけられている。すなわち、コア材31に巻回された線材21における連結部22の両端部位は、各金属端子41まで延出され、該金属端子41に巻回されている。このため、線材21における連結部22と接続部23との間には、コイル2と各金属端子41とをつなぐ中継部24がそれぞれ形成されている。そして、図6(a),(b)に示すように、金属端子41において接続部23が巻回された箇所にはハンダ51が融着されており、これにより金属端子41と接続部23とが電気的に接続されている。
【0004】
このように構成されたコイルユニット1aは、各金属端子41を他の電気部品に接続することにより、コイル2と他の電気部品との容易且つ確実な電気的接続を可能としている。
【0005】
ところで、こうしたコイルユニット1aにおいては、接続部23と金属端子41とを確実に接続するために、接続部23が金属端子41に巻回されてハンダ51によって同接続部23が融着されている。このように接続部23を金属端子41に巻回するためには、コイル2から先端方向にある程度の張力を加えた状態で線材21の接続部23を金属端子41に巻回する必要がある。従って、接続部23を金属端子41に巻回した状態においては、線材21の中継部24に張力が加わった状態となる。
【0006】
しかし、中継部24に張力が加わった状態では、例えばコイルユニット1aに衝撃が加わったりして中継部24に外力が加わった際に、該中継部24が断線してしまうおそれがある。そして、この中継部24の断線は、加わる張力が高いほど生じやすく、また線材21が細いほど生じやすくなる。このため、こうした断線の発生を抑制するために、中継部24に加わる張力を低減する措置を施すことが望ましい。
【0007】
そこで、従来のコイルユニット1aにおける線材21の金属端子41への接続方法を、図8に示すフローチャートに従って説明する。なお、コア材31には、予め線材21が螺旋状に巻きつけられているものとする。
【0008】
まず、コイル2を凹部12に収容するとともに、図7に示すように、コア材31と金属端子41との間の中継部24において、連結部22の延出部位と金属端子41とを結ぶ直線から若干ずれた位置(同図に示す矢印X方向にずれた位置)に、円柱状をなす治具61をセットする(ステップS11)。
【0009】
次に、線材21の先端方向にある程度の張力を付与した状態で、金属端子41に線材21の接続部23を巻回する。このとき、線材21の中継部24を治具61に引っ掛けてから、金属端子41に接続部23を巻回する(ステップS12)。このため、接続部23及び中継部24には張力が付与された状態となり、接続部23は金属端子41の外周面に密着した状態で確実に巻回されるとともに、該中継部24は平面視で略「く」字状をなした状態となる。
【0010】
続いて、この状態で金属端子41における接続部23の巻回箇所にハンダ付けを行い、該巻回箇所にハンダ51を融着させる(ステップS13)。これにより、金属端子41と接続部23とは、ハンダ51を介して電気的に接続された状態となる。
【0011】
そして、治具61を除去する(ステップS14)。すると、中継部24には張力が付与されているため、略「く」字状をなす中継部24が直線状となるように変形する。そして、その変形により張力が吸収され、中継部24には過度の張力が加わらない状態となる。
【0012】
このため、上記ステップS11〜ステップS14の手順で製造されたコイルユニット1aにおいては、たとえ落下、振動等により中継部24に衝撃が加わったとしても、該中継部24が断線してしまうのを抑制することができる。よって、細い線材21を用いてコイルユニット1aを構成した場合においても、該線材21が断線することを抑制可能となる。
【特許文献1】特開2002−233586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、こうした従来のコイルユニット1aの製造方法では、中継部24に生じる張力を緩和するために前記治具61が必要となるとともに、該治具61をセットする工程(ステップS11)と、除去する工程(ステップS14)とが必要であった。
【0014】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は製造工程を簡素化することができるとともに、線材に過度の張力が発生してしまうのを防止することができる線材の接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ハウジングに固定された金属端子に導電性を有する線材の一端側を当該金属端子に巻回するとともに、導電性を有する熱溶融部材によって該巻回箇所を融着することにより該線材を該金属端子に電気的に接続する線材の接続方法であって、前記金属端子における前記線材の巻回箇所の表面に前記熱溶融部材を固着した後にその熱溶融部材の表面に前記線材を巻回し、その状態で前記熱溶融部材を加熱して溶融することにより前記線材を前記金属端子に電気的に接続することを要旨とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の線材の接続方法において、前記熱溶融部材は、ハンダであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の線材の接続方法において、前記熱溶融部材を前記金属端子に固着する際、当該熱溶融部材の厚みを前記線材の直径よりも厚く形成することを要旨とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか1項に記載の線材の接続方法において、前記熱溶融部材を前記金属端子に固着する際、当該熱溶融部材において前記線材が巻回される面を円周面となるように形成することを要旨とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか1項に記載の線材の接続方法において、前記ハウジングには、前記線材が螺旋状に巻回されたコイルが配設され、当該コイルに巻回された線材の延出部位が前記金属端子に巻回されることを要旨とする。
【0019】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、金属端子に巻回された線材には張力が加わっているため、金属端子に予め固着した熱溶融部材を加熱して溶融すると、その熱溶融部材の表面に巻きつけられた線材は溶融した熱溶融部材内に進入する。これにより、金属端子に対する線材の巻回径が小さくなるとともに、ハウジングと金属端子との間の線材に加わる張力が小さくなる。このため、熱溶融部材を溶融する前よりも、線材が金属端子に対してより強固に巻きついた状態になるとともに、該線材に加わる張力も軽減される。そして、熱溶融部材を介して線材が金属端子に電気的に接続される。従って、製造工程を簡素化することができるとともに、線材に過度の張力が発生してしまうのを防止することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、熱溶融部材がハンダによって構成されているため、比較的低温で溶融させることができるとともに、線材と金属端子とを確実に電気的に接続させることができる。このため、線材に負荷をかけることなく線材と金属端子とを電気的に接続させることができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、熱溶融部材の厚みが線材の直径よりも大きく形成されている。このため、熱溶融部材を溶融した際には、金属端子に対する線材の巻回径を少なくとも線材の直径分は小径化させることができる。従って、該線材を小径化させるために必要な張力を確実に吸収することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜請求項3のうちいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、線材は、円周面状に形成された熱溶融部材に巻回される。このため、線材は滑らかな曲線形状となり、線材が折れ曲がることが抑制される。また、金属端子に対する線材の巻回径を小径化し易いため、容易に熱溶融部材と固着させることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜請求項4のうちいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、ハウジングには、線材が螺旋状に巻回されたコイルが配設されている。このため、例えばアンテナ等に用いることができ、汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、製造工程を簡素化することができるとともに、線材に過度の張力が発生してしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明をモータやアンテナ等に利用されるコイルユニットに具体化した実施形態を図1〜図4に従って説明する。なお、本実施形態のコイルユニット1は、前記背景技術のコイルユニット1aにおける接続部23の巻回径と、同接続部23の接続方法の点で前記従来のコイルユニット1aと異なっている。ここで巻回径とは例えば図3(b),(c)に巻回径P,Qとして示すように、平面視における接続部23の直径を指すものである。そこで、以下、接続部23の接続方法のみを図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0026】
図2(a)及び図3(a)に示すように、まず金属端子41に熱溶融部材としてのハンダ52を固着する(ステップS1)。このとき、ハンダ52は、金属端子41の上部付近において上端部を除くように円柱形状に固着される。即ち、金属端子41において線材21を固着させたい部位(固着箇所)にのみハンダ52を固着する。ハンダ52は、金属端子41の外径よりハンダ52の厚みα分だけ大きくなるように固着される。なお、本実施形態において、厚みαは線材21の直径βよりも大きくなるように設定されている。
【0027】
次に、図1に示すように、線材21が巻きつけられたコア材31をハウジング11の凹部12に固定するとともに、ハンダ52が固着された金属端子41をハウジング11の上面13に固定する(ステップS2)。
【0028】
次に、図2(b)及び図3(b)に示すように、線材21の中継部24に張力が加わるように前記ハンダ52の表面52aに線材21の接続部23を金属端子41に螺旋状に巻回する(ステップS3)。このとき、ハンダ52の表面52aに密着させるようにコイル2が配設されている側から接続部23を巻回するとともに、ハンダ52の表面52aからはみ出さないように同接続部23を巻回する。なお、接続部23におけるコイル2側が固定されているため、線材21の先端を図1に示す先端方向に引っ張ることで同接続部23に張力を付与することができる。そして、こうした張力の付与により、接続部23がハンダ52の表面52aに確実に密着される。
【0029】
次に、金属端子41に予め固着されたハンダ52を溶融する(ステップ4)。すると、図2(c)及び図3(c)に示すように、溶融したハンダ52は、接続部23の表面に広がっていき、同接続部23の内周側から外周側まで融着する。接続部23は、ハンダ52が溶融することで前記中継部24の張力により引っ張られて、図3(b)に示す巻回径Pが小径化する。そして、前記接続部23の巻回径Pが図3(c)に示す巻回径Qのように小径化されることにより、中継部24における過度の張力が吸収される。
【0030】
そして、接続部23は、図3(c)に示す接続部23の巻回径Qの状態においてハンダ52によって融着される。このようにして、金属端子41と接続部23とは、ハンダ51を介して電気的に接続された状態となる。なお、ハンダ52により融着された接続部23の巻回径QはステップS3におけるハンダ52の表面52aに対する接続部23の巻き付け力により異なり、同巻き付け力が大きい場合には、図7に示した従来のコイルユニット1aと同様に接続部23が金属端子41の外周面に密着する場合もある。
【0031】
(実施形態の効果)
従って、上記実施形態のコイルユニットによれば、以下のような効果を得ることができる。
【0032】
(1)ハンダ52に巻回された線材21には張力が加わっているため、金属端子41に予め固着したハンダ52を加熱して溶融すると、そのハンダ52の表面52aに巻きつけられた線材21は溶融したハンダ52内に進入する。これにより、金属端子41に対する図3(b)に示す線材21の巻回径Pが図3(c)に示す線材21の巻回径Qのように小径化されるとともに、コイル2と金属端子41との間の中継部24に加わる張力が小さくなる。このため、ハンダ52を溶融する前よりも、線材21の接続部23が金属端子41に対してより強固に巻きついた状態になるとともに、該線材21の中継部24に加わる張力も軽減される。そして、ハンダ52を介して線材21が金属端子41に電気的に接続される。即ち、図7に示す背景技術のような治具61を用いなくとも、線材21に加わる過度の張力を除くことができる。従って、製造工程を簡素化することができるとともに、線材21に過度の張力が発生してしまうのを防止することができる。
【0033】
(2)ハンダ52によって熱溶融部材が構成されているため、比較的低温でハンダ52を溶融させることができるとともに、線材21と金属端子41とを確実に電気的に接続させることができる。このため、線材21に過剰な熱負荷をかけることなくハンダ52を介して金属端子41と電気的に接合させることができる。
【0034】
(3)ハンダ52の厚みαが線材21の直径βよりも大きく形成されている。このため、ハンダ52を溶融した際には、金属端子41に対する線材21の巻回径Pを少なくとも線材21の直径βを2倍した分は小径化させることができる。従って、該線材21を小径化させるために必要な張力を確実に吸収することができる。
【0035】
(4)線材21は、円柱形状に形成されたハンダ52の表面52aに密着するように螺旋形状に巻回される。こうすることで、接続部23には巻回径を小径化させる方向に変形しようとする力が加わり、ハンダ52に対して締め付け方向への力が発生する。このため、ハンダ52を溶融した際、線材21は確実に図3(b)に示す巻回径Pから図3(c)に示す巻回径Qのように小径化する。従って、接続部23はハンダ52によって内周側から外周側まで融着して一体となる。よって、確実に線材21を金属端子41にハンダ52を介して電気的に接続することができる。また、ハンダ52は円柱形状に形成されていることにより、ハンダ52の表面52aは円周面状となるため、線材21は滑らかな曲線形状となり折れ曲がることが抑制される。
【0036】
(5)ハウジング11には、線材21が螺旋状に巻回されたコイル2が配設されている。このため、容易にアンテナ、モータ等に使用されるコイルユニット1として用いることができ、汎用性を高めることができる。
【0037】
(6)予め金属端子41にハンダ52を固着するため、ハンダ52を溶融する際、ハンダごてで前記ハンダ52を溶融するだけでよい。即ち、ハンダ52とハンダごてとを左右の手で片方ずつ持つ必要がない。このため、ハンダ52を溶融する際の生産性が向上する。
【0038】
(他の実施形態)
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、熱溶融部材としてハンダ52を用いたが、ハンダ52に限定しない。即ち、熱溶融部材は、外部から熱を加えることにより溶融する導電性を有する材料(例えば、導電性を有する熱溶融性樹脂など)であればよい。このような構成にした場合にも、上記(1),(3),(4),(5)及び(6)と同様の効果を得ることができる。
【0039】
・コイル2の設置態様は、ハウジング11の凹部12に固定することに限定しない。複数のコイル2を配置してもよいし、それらコイル2を直列や並列に配設してもよい。このような構成にした場合においても、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0040】
・線材21における連結部22を必ずしもコア材31に巻回する必要はない。即ち、コイルユニット1におけるコア材31を省略してもよい。例えば、線材21の一部を直接ハウジング11に巻回して、その巻回箇所を線材21の連結部22としてもよい。
【0041】
また、連結部22を省略してもよい。例えば、ハウジング11に基板を設置してその基板に設けられた接続端子に線材21の一部を直接接続するようにしてもよい。即ち、線材21の金属端子41への接続方法は、コイルユニット1における線材21の金属端子41への接続方法に限定しない。これらのような構成にした場合においても、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0042】
・上記実施形態では、ステップS1において金属端子41にハンダ52を円柱形状に固着するようにしたが、円柱形状に限定しない。例えば、平面視多角形状(例えば、平面視おいて三角形、四角形、五角形・・・)となるようにハンダ52を形成してもよい。即ち、ハンダ52において線材21が巻回される面を円周面に限定しない。
【0043】
・上記実施形態では、金属端子41に固着するハンダ52の厚みαが線材21の直径βよりも厚くなるように設定したが、ハンダ52の厚みαは、線材21の直径βよりも小さくなるように設定してもよいし、同じになるように設定してもよい。このような構成にした場合においても、ステップS3においてハンダ52の表面52aに密着するように接続部23を巻回するため、ステップS4においてハンダ52を溶融した際において、確実に金属端子41にハンダ52を介して線材21を電気的に接続することができる。
【0044】
・上記実施形態では、ハンダ52の表面52aに密着するように接続部23を巻回するようにしたが、必ずしも接続部23はハンダ52の表面52aに密着しなくてもよい。即ち、ハンダ52の表面52aが線材21の内周面(図3(b)参照)に対して全周に渡って接触していなくてもよい。例えば、ハンダ52を上記のように複数の角部と複数の辺を有する平面視多角形状に形成した場合においては、ハンダ52の角部が接続部23の内周面に接触し、ハンダ52の辺が接続部23と隙間を形成するようにしてもよい。また、接続部23をハンダ52の表面52aに幾重に重ねて巻回してもよい。このような構成にした場合においても、上記(1)〜(3)、(5)及び(6)と同様の効果を得ることができる。
【0045】
・上記実施形態では、ハンダ52が固着された金属端子41をハウジング11の上面13に固定するようにしたが、次のように変更してもよい。即ち、金属端子41をハウジング11の上面13に固定したあとに、ハンダ52を同金属端子41の表面に固着するようにしてもよい。このような構成にした場合においても、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0046】
・上記実施形態において、ハウジング11の上面13に金属端子41を2つ配設するようにしたが、1つだけでもよいし、3つ以上配設してもよい。また、金属端子41の配設位置は、ハウジング11の上面13に限定しない。
【0047】
(付記)
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)金属端子が設けられたハウジングに固定された導電性を有する線材の一端側を当該金属端子に巻回するとともに、導電性を有する熱溶融部材によって該巻回箇所を融着することにより該線材を該金属端子に電気的に接続する線材の接続方法であって、前記金属端子における前記線材の巻回箇所の表面に前記熱溶融部材を固着する第1工程と、前記熱溶融部材の表面に前記線材を巻回する第2工程と、前記熱溶融部材を加熱して溶融することにより前記線材を前記金属端子に電気的に接続する第3工程とを備えたことを特徴とする線材の接続方法。このような構成にした場合、上記(1)と同様の効果を得ることができる。なお、第1工程は金属端子41にハンダ52を固着する図4に示すステップS1に相当し、第2工程はハンダ52に接続部23を巻きつける図4に示すステップS2に相当し、第3工程はハンダ52を溶融する図4に示すステップS4に相当する。
【0048】
(ロ)請求項1〜請求項5及び(イ)のうちいずれか1項に記載の線材の接続方法において、前記線材を前記熱溶融部材の外周面に密着するように螺旋状に巻回するようにしたことを特徴とする線材の接続方法。こうすることで、熱溶融部材を溶融した際に線材が小径化し易くなり、線材が熱溶融部材に進入し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態におけるコイルユニットを示す斜視図。
【図2】(a)は本実施形態における金属端子にハンダを固着した状態を示す斜視図、(b)は本実施形態におけるハンダに線材を巻回した状態を示す斜視図、(c)は本実施形態におけるハンダを溶融した状態を示す斜視図。
【図3】(a)は図2(a)におけるA−A断面図、(b)は図2(b)におけるB−B断面図、(c)は図2(c)におけるC−C断面図。
【図4】本実施形態におけるコイルユニットの製造工程を示すフローチャート。
【図5】従来のコイルユニットを示す斜視図。
【図6】(a)は従来の接続部を示す斜視図、(b)は図6(a)におけるD−D断面図。
【図7】従来のコイルユニットの製造工程を示す斜視図。
【図8】従来のコイルユニットの製造工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0050】
1…コイルユニット、2…コイル、11…ハウジング、21…線材、22…連結部、23…接続部、24…中継部、31…コア材、41…金属端子、51,52…ハンダ(熱溶融部材)、52a…表面、β…直径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに固定された金属端子に導電性を有する線材の一端側を当該金属端子に巻回するとともに、導電性を有する熱溶融部材によって該巻回箇所を融着することにより該線材を該金属端子に電気的に接続する線材の接続方法であって、
前記金属端子における前記線材の巻回箇所の表面に前記熱溶融部材を固着した後にその熱溶融部材の表面に前記線材を巻回し、その状態で前記熱溶融部材を加熱して溶融することにより前記線材を前記金属端子に電気的に接続することを特徴とする線材の接続方法。
【請求項2】
請求項1に記載の線材の接続方法において、
前記熱溶融部材は、ハンダであることを特徴とする線材の接続方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の線材の接続方法において、
前記熱溶融部材を前記金属端子に固着する際、当該熱溶融部材の厚みを前記線材の直径よりも厚く形成することを特徴とする線材の接続方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちいずれか1項に記載の線材の接続方法において、
前記熱溶融部材を前記金属端子に固着する際、当該熱溶融部材において前記線材が巻回される面を円周面となるように形成することを特徴とする線材の接続方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちいずれか1項に記載の線材の接続方法において、
前記ハウジングには、前記線材が螺旋状に巻回されたコイルが配設され、当該コイルに巻回された線材の延出部位が前記金属端子に巻回されることを特徴とする線材の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−35424(P2007−35424A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216345(P2005−216345)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】