説明

線材束の太さ算出方法、その装置、コンピューター読み取り可能な記録媒体およびプログラム

【課題】ワイヤーハーネスを構成する電線束のような線材束の線材束径を容易かつ正確に算出することを可能にして、線材束を設計する際の設計効率を向上する。
【解決手段】線材束を配策する経路上において線材束を構成する線材の分岐を検出する分岐検出処理工程と、分岐検出処理工程により検出された分岐を挟む経路上のそれぞれにおける任意の1点をそれぞれ計算対象として合計2点選択する計算対象選択処理工程と、計算対象選択処理工程により計算対象として選択された2点をそれぞれ通過する線材束を構成する全ての線材の外径をそれぞれ取得する外径取得処理工程と、外径取得処理工程により取得された2点のそれぞれにおける全ての線材の外径に基づいて線材束の太さをそれぞれ算出する算出処理工程と、算出処理工程により算出された2点のそれぞれにおける線材束の太さを比較して大きい方を選択する比較選択処理工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材束の太さ算出方法、その装置、コンピューター読み取り可能な記録媒体およびプログラムに関し、さらに詳細には、例えば、ワイヤーハーネスのような複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さ、即ち、線材束の外形の径(以下、「線材束径」と適宜に称する。)を算出する際に用いて好適な線材束の太さ算出方法、その装置、コンピューター読み取り可能な記録媒体およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束として、複数の線材たる電線が互いに重ならないように束ねられた電線束により構成され、電子機器や電子部品などを電気的に接続するワイヤーハーネスと称されるワイヤー構造体が知られている。
【0003】

一般に、製品を製造する場合において、当該製品の限られた空間内にどのようにワイヤーハーネスを配策するかは、製品の筐体設計を行う筺体設計部署とワイヤーハーネス設計を行う電気設計部署との間で、当該製品設計の初期段階において調整しなければならない重要事項であると認識されている。
【0004】
例えば、近年の自動車は多数の電子ユニットを搭載する一方で、車室空間の広大さが求められているため、ワイヤーハーネスを配策するスペースが極めて限られるという設計上の制約がある。
【0005】
従って、こうした設計上の制約を可能な限り設計の初期段階で把握することは、各設計部署において緊要な問題として認識されており、上記した自動車の例においては、ワイヤーハーネス設計を行う電気設計部署と筐体たるボディの設計を行うボディ設計部署との双方の間で調整が行われている。
【0006】

ここで、電気設計部署においてワイヤーハーネス製品設計を行う過程では、筐体内の限られた空間のどこに配策するかという検討を行うために、ワイヤーハーネスのレイアウトの検討を行っている。
【0007】
現在、ワイヤーハーネスの設計を行う電気設計部署の多くでは、ワイヤーハーネスのレイアウトの検討を行うに際して、ワイヤーハーネスを試作したり、あるいは、ワイヤーハーネスの製造を担当するワイヤーハーネス製造会社へ委託するなどして、ワイヤーハーネスを構成する電線を束ねた電線束の太さ、即ち、電線束の外形の径(以下、「電線束径」と適宜に称する。)を算出し、算出した電線束径を筐体設計を行う筐体設計部署へ連絡するようになされている。
【0008】
ところで、製品設計の初期検討段階では、ワイヤーハーネスを構成する電線の変更やワイヤーハーネスを配策するルートの変更などが数多く発生するが、こうした場合に従来においては、ワイヤーハーネスの試作をやり直したり、近似式を用いた簡易計算を行ったりして、新たなワイヤーハーネスの電線束径を再度算出するようにしており、その作業が繁雑であるととともに正確な電線束径を算出することが困難であるという問題点があった。
【0009】
このため、ワイヤーハーネスを構成する電線束のような線材束の線材束径を容易かつ正確に算出し、ワイヤーハーネスなど設計する際の設計効率を向上することのできる手法の提案が強く望まれていた。
【0010】

なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記したような従来の技術に対する要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ワイヤーハーネスを構成する電線束のような線材束の線材束径を容易かつ正確に算出することを可能にして、ワイヤーハーネスなどの線材束を設計する際の設計効率を向上することができるようにした線材束の太さ算出方法、その装置、コンピューター読み取り可能な記録媒体およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の電線などの線材を互いに重なることのないようにその断面ができるだけ小径の略円形状になるように束ねた電線束などの線材束をそれぞれ構成する各電線などの各線材の断面から、上記線材束を構成する全ての線材の断面を包含する円(以下、「包含円」と適宜に称する。また、本明細書においては、特に断らない限り、「円」は「真円」を意味するものとする。)の直径を算出し、該直径を線材束径として取得するようにしたものである。
【0013】
より詳細には、包含円とは、電線束などの線材束を構成する各電線などの各線材の断面の形状をそれぞれの外形に対応した直径を有する真円の図形と仮定し、当該真円の図形をそれぞれ交差することがないように平面上に配置した際に、配置した全ての真円の図形を包含する最小半径の真円の図形を意味する。
【0014】
本発明においては、この包含円を電線束などの線材束の断面たる線材束断面(線材束が電線束の場合には、線材束断面は電線束断面となる。)と仮定して、包含円の直径を線材束径として算出する。
【0015】
従って、本発明によれば、ワイヤーハーネスを構成する電線束のような線材束の線材束径を容易かつ正確に算出することが可能になり、ワイヤーハーネスなどの線材束を設計する際の設計効率を向上することができるようになる。
【0016】

即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出方法において、線材束を配策する経路上において上記線材束を構成する線材の分岐を検出する分岐検出処理工程と、上記分岐検出処理工程により検出された分岐を挟む上記経路上のそれぞれにおける任意の1点をそれぞれ計算対象として合計2点選択する計算対象選択処理工程と、上記計算対象選択処理工程により上記計算対象として選択された2点をそれぞれ通過する上記線材束を構成する全ての線材の外径をそれぞれ取得する外径取得処理工程と、上記外径取得処理工程により取得された上記2点のそれぞれにおける全ての線材の外径に基づいて上記線材束の太さをそれぞれ算出する算出処理工程と、上記算出処理工程により算出された上記2点のそれぞれにおける上記線材束の太さを比較して大きい方を選択する比較選択処理工程とを有するようにしたものである。
【0017】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記算出処理工程は、上記2点のそれぞれにおいて、線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、上記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置する毎に上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに上記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置処理工程と、上記配置処理工程により上記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、上記3つのモードのそれぞれについて上記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成処理工程と、上記包含円作成処理工程により上記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を上記線材束の太さとして取得する取得処理工程とを有し、上記比較選択処理工程は、上記3つのモードのそれぞれについて、上記取得処理工程で取得された上記2点のそれぞれにおける上記線材束の太さを比較して大きい方を選択するようにしたものである。
【0018】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記包含円作成処理工程は、上記平面上で上記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成するようにしたものである。
【0019】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項2または3のいずれか1項に記載の発明において、さらに、上記比較選択処理工程により上記3つのモードのそれぞれについて選択された上記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択処理工程とを有するようにしたものである。
【0020】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出方法において、線材束を構成する複数の線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する配置処理工程と、上記配置処理工程により上記平面上に配置した円を全て包含する包含円を作成する包含円作成処理工程と、上記包含円作成処理工程により作成された包含円の直径を上記線材束の太さとして取得する取得処理工程とを有するようにしたものである。
【0021】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項5に記載の発明において、上記包含円作成処理工程は、上記平面上で包含円の中心を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成するようにしたものである。
【0022】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項5または6のいずれか1項に記載の発明において、上記配置処理工程は、上記平面に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置するようにしたものである。
【0023】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、本発明のうち請求項7に記載の発明において、上記基準点は、上記平面上に配置済みの全て円の重心または上記平面に配置済みの円の中で最も直径の大きい円の中心であるようにしたものである。
【0024】
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出方法において、線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、上記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置する毎に上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに上記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置処理工程と、上記配置処理工程により上記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、上記3つのモードのそれぞれについて上記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成処理工程と、上記包含円作成処理工程により上記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を上記線材束の太さとして取得する取得処理工程とを有するようにしたものである。
【0025】
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、本発明のうち請求項9に記載の発明において、上記包含円作成処理工程は、上記平面上で上記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成するようにしたものである。
【0026】
また、本発明のうち請求項11に記載の発明は、本発明のうち請求項9または10のいずれか1項に記載の発明において、さらに、上記取得処理工程により取得された上記3つのモードのそれぞれにおける上記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択処理工程とを有するようにしたものである。
【0027】
また、本発明のうち請求項12に記載の発明は、複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出装置において、線材束を配策する経路上において上記線材束を構成する線材の分岐を検出する分岐検出手段と、上記分岐検出手段により検出された分岐を挟む上記経路上のそれぞれにおける任意の1点をそれぞれ計算対象として合計2点選択する計算対象選択手段と、上記計算対象選択手段により上記計算対象として選択された2点をそれぞれ通過する上記線材束を構成する全ての線材の外径をそれぞれ取得する外径取得手段と、上記外径取得手段により取得された上記2点のそれぞれにおける全ての線材の外径に基づいて上記線材束の太さをそれぞれ算出する算出手段と、上記算出手段により算出された上記2点のそれぞれにおける上記線材束の太さを比較して大きい方を選択する比較選択手段とを有するようにしたものである。
【0028】
また、本発明のうち請求項13に記載の発明は、本発明のうち請求項12に記載の発明において、上記算出手段は、上記2点のそれぞれにおいて、線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、上記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置する毎に上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに上記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置手段と、上記配置手段により上記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、上記3つのモードのそれぞれについて上記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成手段と、上記包含円作成手段により上記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を上記線材束の太さとして取得する取得手段とを有し、上記比較選択手段は、上記3つのモードのそれぞれについて、上記取得手段で取得された上記2点のそれぞれにおける上記線材束の太さを比較して大きい方を選択するようにしたものである。
【0029】
また、本発明のうち請求項14に記載の発明は、本発明のうち請求項13に記載の発明において、上記包含円作成手段は、上記平面上で上記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成するようにしたものである。
【0030】
また、本発明のうち請求項15に記載の発明は、本発明のうち請求項13または14のいずれか1項に記載の発明において、さらに、上記比較選択手段により上記3つのモードのそれぞれについて選択された上記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択手段とを有するようにしたものである。
【0031】
また、本発明のうち請求項16に記載の発明は、複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出装置において、線材束を構成する複数の線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する配置手段と、上記配置手段により上記平面上に配置した円を全て包含する包含円を作成する包含円作成手段と、上記包含円作成手段により作成された包含円の直径を上記線材束の太さとして取得する取得手段とを有するようにしたものである。
【0032】
また、本発明のうち請求項17に記載の発明は、本発明のうち請求項16に記載の発明において、上記包含円作成手段は、上記平面上で包含円の中心を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成するようにしたものである。
【0033】
また、本発明のうち請求項18に記載の発明は、本発明のうち請求項16または17のいずれか1項に記載の発明において、上記配置手段は、上記平面に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置するようにしたものである。
【0034】
また、本発明のうち請求項19に記載の発明は、本発明のうち請求項18に記載の発明において、上記基準点は、上記平面上に配置済みの全て円の重心または上記平面に配置済みの円の中で最も直径の大きい円の中心であるようにしたものである。
【0035】
また、本発明のうち請求項20に記載の発明は、複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出装置において、線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、上記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置する毎に上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに上記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、上記基準点の初期位置を上記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに上記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに上記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置手段と、上記配置手段により上記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、上記3つのモードのそれぞれについて上記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成手段と、上記包含円作成手段により上記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を上記線材束の太さとして取得する取得手段とを有するようにしたものである。
【0036】
また、本発明のうち請求項21に記載の発明は、本発明のうち請求項20に記載の発明において、上記包含円作成手段は、上記平面上で上記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成するようにしたものである。
【0037】
また、本発明のうち請求項22に記載の発明は、本発明のうち請求項20または21のいずれか1項に記載の発明において、さらに、上記取得手段により取得された上記3つのモードのそれぞれにおける上記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択手段とを有するようにしたものである。
【0038】
また、本発明のうち請求項23に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11のいずれか1項に記載の発明をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0039】
また、本発明のうち請求項24に記載の発明は、本発明のうち請求項12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22のいずれか1項に記載の発明としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0040】
また、本発明のうち請求項25に記載の発明は、本発明のうち請求項23または24のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、以上説明したように構成されているので、ワイヤーハーネスを構成する電線束のような線材束の線材束径を容易かつ正確に算出することが可能になり、ワイヤーハーネスなどの線材束を設計する際の設計効率を向上することができるようになるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による線材束の太さ算出方法、その装置、コンピューター読み取り可能な記録媒体およびプログラムの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0043】
なお、以下の実施の形態の説明においては、本発明による線材束の太さ算出方法、その装置、コンピューター読み取り可能な記録媒体およびプログラムにより、線材束の太さとしてワイヤーハーネスを構成する電線束の電線束径を算出する場合について説明する。
【0044】

図1には、本発明による線材束の太さ算出装置の実施の形態の一例のハードウェア構成を表すブロック構成図が示されている。
【0045】
即ち、この本発明による線材束の太さ算出装置(以下、単に「本発明算出装置」と称する。)は、公知のパーソナルコンピュータシステムや汎用コンピュータシステムなどで実現されており、その全体の動作を中央処理装置(CPU)10を用いて制御するように構成されている。
【0046】
そして、本発明算出装置においては、ワイヤーハーネスを構成する各電線の断面の形状をそれぞれの外形に対応した直径を有する真円の図形であると仮定して、後述する各種のデータが構築されているとともに当該データを用いた処理が行われている。
【0047】
このCPU10には、バス12を介して、CPU10の制御のためのプログラムや後述する各種のデータなどを記憶するリードオンリメモリ(ROM)やCPU10のワーキングエリアとして用いられる記憶領域などを備えたランダムアクセスメモリ(RAM)などから構成される記憶装置14と、CPU10の制御に基づいて各種の表示を行うCRTや液晶パネルなどの画面を備えた表示装置16と、CPU10の制御により生成された各種データを出力するプリンターなどの出力装置18と、表示装置16の画面上における任意の位置を指定する入力装置たるマウスなどのポインティングデバイス20と、任意の文字を入力するための入力装置たるキーボードなどの文字入力デバイス22と、外部に接続される各種機器の入出力インターフェース回路(I/O)24とが接続されている。
【0048】
また、本発明算出装置においては、ハードディスクなどの外部記憶装置26がI/O24を介して接続されているとともに、コンパクトディスク(CD)やフレキシブルディスク(FD)などのようなコンピューター読み取り可能な記録媒体(以下、単に「記録媒体」と適宜に称する。)30へCPU10の制御に基づき生成された各種データを書き込んで記憶させたり記録媒体30に記憶された各種データを記憶装置14へ読み込むためのリードライト装置28がI/O24を介して接続されている。
【0049】
ここで、後述する本発明算出装置による処理を実行するためのプログラムや当該処理に用いる各種データは、記憶装置14のリードオンリメモリやランダムアクセスメモリへ予め記憶するようにしておいてもよいし、外部記憶装置26や記録媒体30から記憶装置14のランダムアクセスメモリへ読み込むようにしてもよい。また、本発明算出装置に通信機能を設けるようにして、本発明算出装置による処理を実行するためのプログラムや当該処理に用いる各種データを、通信により外部から本発明算出装置の記憶装置14のランダムアクセスメモリへ読み込むようにしてもよい。
【0050】
なお、以下の説明においては、本発明算出装置の理解を容易にするために、記憶装置14に後述する本発明算出装置による処理を実行するためのプログラムや当該処理に用いる各種データが予め記憶されているものとする。
【0051】

次に、図2には、本発明算出装置により実行される処理内容を表すブロック構成図が示されている。
【0052】
即ち、本発明算出装置においては、記憶装置14に記憶されているデータである電線ライブラリ100、回路設計データ102ならびに経路設計データ104を用いて、CPU10の制御により電線引き当て処理106ならびに電線束径計算処理108が行われる。
【0053】
具体的には、回路設計データ102と経路設計データとを用いて電線引き当て処理106が実行され、電線引き当て処理106の処理結果と電線ライブラリ100とを用いて電線束径計算処理108が実行される。
【0054】
そして、その電線束径計算処理108の処理結果110は、表示装置16へ表示させるための表示処理112をされて表示装置16に表示されるようになるとともに、出力装置18へ出力するための出力処理114をされて、出力処理114の処理結果のデータたる計算結果ファイル116として出力装置18へ出力される。
【0055】
なお、表示装置16には、電線束径計算処理108の計算結果のみではなく、電線引き当て処理106や電線束径計算処理108の処理過程におけるそれぞれの処理内容をリアルタイムで表示するようにしてもよい。
【0056】
同様に、出力装置18へは、電線束径計算処理108の計算結果のみではなく、電線引き当て処理106や電線束径計算処理108の処理過程におけるそれぞれの処理内容をリアルタイムで出力するようにしてもよい。
【0057】

次に、上記した電線ライブラリ100などの各種データおよび電線束径計算処理108などの各種処理について詳細に説明する。
【0058】
まず、電線ライブラリ100は、断面が円形の長尺な複数の電線のそれぞれに固有に付与された識別情報である電線IDに対して、それぞれの電線の種類を示す電線種類、それぞれの電線の色を示す電線色、それぞれの電線の太さとして円形の断面の直径を示す電線外径、それぞれの電線の単位長さあたりのコストなどの情報たる各種の電線情報が定義されているファイルである。
【0059】
なお、ワイヤーハーネスの設計の際に用いるワイヤーハーネス設計データ(後述する。)内において取り扱う各電線は、上記した電線IDを付与されており、電線ライブラリ100から電線情報を取得する場合には、電線名に対応した電線情報を取得するものである。
【0060】

次に、図3(a)(b)に示す電線引き当て処理106の説明図ならびに図4に示す電線引き当て処理の処理ルーチンのフローチャートを参照しながら、回路設計データ102、経路設計データ104ならびに電線引き当て処理106について説明する。
【0061】
まず、回路設計データ102と経路設計データ104とは、ワイヤーハーネス設計の際に用いるワイヤーハーネス設計データを構築するものである。
【0062】
即ち、ワイヤーハーネス設計の際に用いるワイヤーハーネス設計データは、電気回路の論理的接続情報を示す回路設計データ102(図3(a)左図参照)およびワイヤーハーネスのレイアウトを示す経路設計データ104(図3(a)右図参照)から構築されている。
【0063】
ここで、電線IDを付与された各電線の接続先情報などの接続状態や、電線種類、電線色、電線外径、電線の単位長さあたりのコストなどの電線情報は、回路設計データ102内に保持されている。
【0064】
即ち、図3(a)左図に示す回路設計データ102の例においては、電線IDとして電線Aを付与された電線により装置αと装置βとを接続する接続状態と、電線IDとして電線Bを付与された電線により装置αと装置βとを接続する接続状態と、電線IDとして電線Cを付与された電線により装置αと装置βとを接続する接続状態と、電線IDとして電線Dを付与された電線により装置αと装置γとを接続する接続状態と、電線IDとして電線Eを付与された電線により装置αと装置γとを接続する接続状態とが示されている。
【0065】
一方、経路設計データ104には、電線を束にして配策する経路を示す経路情報、経路の分岐点たる経路分岐点を示す分岐情報および各経路の長さを示す経路長情報が保持されている。
【0066】
即ち、図3(a)右図に示す経路設計データ104の例においては、装置αに接続された経路aが経路分岐点で2つの経路に分岐され、経路分岐点と装置βとが経路bにより結ばれ、経路分岐点と装置γとが経路cにより結ばれた状態が示されている。
【0067】

次に、電線引き当て処理106とは、回路設計データ102(図3(a)左図参照)から取得した各電線を、電気回路の論理的接続関係を保ったままの状態で経路設計データ104(図3(a)右図参照)から取得した各経路に引き当てる処理である。
【0068】
ここで、図4に示す電線引き当て処理の処理ルーチンのフローチャートを参照しながら、電線引き当て処理を詳細に説明する。
【0069】
なお、電線引き当て処理においては、処理対象の各電線の電線情報は回路設計データ102から取得する。そして、処理対象の各電線に対して、電線引き当て処理を実行する。
【0070】
また、回路設計データ102は電線の接続先情報を保持しており、各電線に引き当てる経路は経路設計データ104から取得する。なお、経路設計データは、経路の長さを示す経路長情報を保持している。
【0071】
ポインティングデバイス20や文字入力デバイス22の操作などにより、処理対象の回路設計データ102ならびに経路設計データ104を指定して、電線引き当て処理の処理ルーチンの起動を指示すると、まず、処理対象の電線の接続先が電線分岐か否かを判断する(ステップS402)。なお、電線分岐とは、後述するように電線が分岐する位置を意味する。
【0072】
このステップS402の判断処理において、処理対象の電線の接続先が電線分岐であると判断された場合には、電線分岐の位置を算出し(ステップS404)、ステップS406の処理へ進む。
【0073】
一方、ステップS402の判断処理において、処理対象の電線の接続先が電線分岐ではないと判断された場合には、ステップS406の処理へ進む。
【0074】
そして、ステップS406の処理においては、最短の引き当て経路を算出する。このステップS406の処理を終了すると、この電線引き当て処理の処理ルーチンを終了し、経路と電線とをリンクさせて電線引き当て処理後のデータを構築する(図3(b)参照)。
【0075】

即ち、電線引き当て処理においては、電線の接続先を最短の経路で結び、経路と電線とをリンクさせる処理を行う。
【0076】
ここで、電線の両端の接続先が両方とも装置である場合には、装置は固有であるので、最短の経路は一意に求まることになる(ステップS402→ステップS406の処理)。
【0077】
一方、電線の両端の接続先のどちらか一方もしくは両方ともが電線分岐である場合には、電線分岐の位置を算出し当該位置を決定し、最短の引き当て経路を算出することになるが、電線分岐は当該電線分岐につながる全ての電線の長さ合計が最小となる経路分岐点上に配置する(ステップS402→ステップS404→ステップS406の処理)。
【0078】
なお、電線の両端の接続先が一連の経路でつながれていない場合には、当該電線に対する引き当て処理は行わず、当該電線は経路に引き当てられない。
【0079】
また、電線分岐の位置は、ポインティングデバイス20や文字入力デバイス22の操作などにより、電線引き当て処理後にマニュアル操作で移動可能となされている。また、こうした電線分岐の位置のマニュアル操作での移動により、経路上に電線分岐を配置可能となされている。
【0080】
そして、上記したマニュアル操作での処理内容は、電線引き当て処理後のデータに反映されるように設定されている。
【0081】

ここで、図3(b)には、電線引き当て処理106により、図3(a)左図に示す回路設計データ102から取得した電線Aと電線Bと電線Cと電線Dと電線Eとを、装置αと装置βと装置γとのそれぞれの間における電気回路の論理的接続関係を保ったままの状態で、図3(a)右図に示す経路設計データ104から取得した経路aと経路bと経路cとにそれぞれ引き当てた後のデータ構造の概略が示されている。
【0082】

次に、電線分岐についてその詳細を説明すると、電線分岐には、電線の結合方法によりジョイント(図5(a)参照)やスプライス(図5(b)参照)などの複数の種類がある。
【0083】
まず、図5(a)に示すジョイントの説明図を参照しながら、ジョイントについて説明すると、このジョイントとは、2本の電線を接続する電線分岐である。ジョイントでは、接続する2本の電線は、親線と子線との関係を持っている。実際の接続にあたっては、親線側の電線の中間部位の被覆を剥いで、そこに子線側の一方の端部を接続する。このジョイントでは、親線の方が子線よりも電線外径が大きくなる。
【0084】
なお、図5(a)に示すジョイントの電線Aは、電線内に電線分岐があるが、接続先は電線分岐ではなく装置αと装置βとになる。
【0085】
次に、図5(b)に示すスプライスの説明図を参照しながら、スプライスについて説明すると、このスプライスとは、3本の電線を接続する電線分岐である。スプライスでは、基本的に3本の電線に親子関係はなく、3本の電線の電線外径は同一である。実際の接続にあたっては、3本の電線それぞれの一方の端部をT字型の部品を使って接続する。
【0086】

次に、電線引き当て処理106の具体的な例として、図5(a)に示すジョイントによる電線分岐された電線の回路設計データと図3(a)右図に示す経路設計データとを用いて電線引き当て処理を実行する場合について説明する。
【0087】
この場合には、電線引き当て処理が起動されると、まず、最初の処理対象の電線として、電線Aの接続先が電線分岐か否かを判断する(ステップS402)。
【0088】
そうすると、電線Aの接続先は電線分岐ではないので、最短の引き当て経路の算出を行う(ステップS404)。ここで、電線Aは装置αと装置βとを接続するものであるため、経路a、経路bを電線Aの引き当て経路としてリンクする。
【0089】
それから、次の処理対象の電線として、電線Bの接続先が電線分岐か否かを判断することになる(ステップS402)。
【0090】
そうすると、電線Bの接続先は電線分岐であるので、電線分岐の位置を算出する(ステップS404)。この際に、電線分岐の位置として、経路設計データ中の経路分岐点を電線分岐の位置とする。
【0091】
そして、電線分岐の位置を算出すると、最短の引き当て経路の算出を行う(ステップS404)。ここで、電線Bは電線分岐と装置γとを接続するものであるため、経路cを電線Bの引き当て経路としてリンクし、電線引き当て処理を終了する。
【0092】

次に、図6以下の各図を参照しながら、電線束径計算処理108について詳細に説明する。
【0093】
まず、図6には、電線束径計算処理108の処理ルーチンのフローチャートが示されている。
【0094】
ここで、この図6に示す電線束径計算処理108は、電線引き当て処理106により電線を引き当てた後のデータ構造(図3(b)参照)から取得される各経路(図3(b)においては、経路a、経路bおよび経路cである。)に対してそれぞれ実行される。
【0095】
即ち、電線引き当て処理106により電線を引き当てた後のデータ構造から取得される全ての経路のそれぞれに対して、あるいは、任意の経路に対して、電線束径計算処理108が順次に実行されるものであり、その結果、電線引き当て処理106により電線を引き当てた後のデータ構造から取得される全ての経路のそれぞれの電線束径、あるいは、任意の経路の電線束径が算出されることになる。
【0096】
なお、電線引き当て処理106により電線を引き当てた後のデータ構造から取得される各経路に対して、何れの順序で電線束径計算処理108を実行するかは任意であり、例えば、各経路の長さを示す経路長情報を参照して経路の長い順に処理するなど、予め各経路に対する処理の順番を設定しておけばよい。
【0097】
そして、電線束径計算処理108の処理対象の順番となった経路に対して電線束径計算処理108の実行を開始すると、まず、当該処理対象の経路たる計算対象経路に電線が引き当てられているか否かを判断する(ステップS602)。
【0098】
このステップS602の判断処理において、計算対象経路に電線が引き当てられている電線がないと判断された場合には、電線束径を0とし(ステップS604)、この電線束径計算処理108を終了する。
【0099】
従って、計算対象経路に引き当てられている電線がない場合においては、本発明算出装置においては電線束径は0となる。
【0100】
一方、ステップS602の判断処理において、計算対象経路に電線が引き当てられている電線があると判断された場合には、計算対象経路と同一の経路上にある電線が分岐されている電線分岐(図7参照)があるか否かの検出を行って電線分岐の存否の判定を行う判断処理を実行する(ステップS606)。
【0101】
このステップS606の判断処理において、同一経路上に電線分岐がないと判断された場合には、ステップ608の処理へ進み、同一経路上の任意の1点を計算対象として設定する。この任意の1点は同一経路上のいずれの箇所でもよく、例えば、経路のいずれか一方の端部たる一方の経路端を計算対象とするものと予め設定しておけばよい。
【0102】
ステップS608の処理を終了すると、ステップS610の処理へ進み、ステップS608で設定された計算対象を通過する全電線の電線外径を回路設計データ102から読み出して収集する。即ち、ステップS610の処理においては、ステップS608で計算対象として設定された同一経路上の任意の1点を通過する電線の電線IDに対応した電線外径を取得する。
【0103】
そして、ステップS610の処理を終了すると、ステップS612の処理へ進み、ステップS610で取得した全電線の電線外径を用いて計算処理を実行する。なお、この計算処理の詳細については、図8に示す計算処理の処理ルーチンのフローチャートを参照しながら後述する。
【0104】
上記したステップS612の処理を終了すると、ステップS614の処理へ進み、ステップS612で得られた計算結果を電線束径候補として設定する。なお、電線束径候補とは、本発明算出装置において最終的に取得される電線束径の候補となるものである。
【0105】
一方、ステップS606の判断処理において、同一経路上に電線分岐があると判断された場合には、ステップ616の処理へ進み、同一経路上の両方の端部にそれぞれ位置する経路端を計算対象として設定する。即ち、同一経路上に電線分岐がある場合には、計算対象は2点になる。
【0106】
ここで、上記したステップS608ならびにステップS616の処理を行う理由について、図7に示す電線分岐概略説明図を参照しながら説明する。
【0107】
即ち、図7に示すように、経路上に電線分岐がある場合には、経路の両方の端部にそれぞれ位置する経路端をそれぞれ通過する電線束の構成に差異が発生するため、両方の経路端では電線束径が異なることになる。
【0108】
具体的には、図7に示す電線分岐概図の例では、図7において左方に位置する経路端では1本の電線が通過し、図7において右方に位置する経路端では2本の電線が通過するものであり、図7における左右両方の経路端では電線束径が異なってくる。
【0109】
このため、経路上に電線分岐がある場合には、経路の両方の端部にそれぞれ位置する経路端を計算対象として設定する必要がある(ステップS616)。
【0110】
一方、経路上に電線分岐がない場合には、経路の両方の端部にそれぞれ位置する経路端を通過する電線の本数は同一であり、経路の両方の経路端で電線束径が一致する。
【0111】
従って、経路上に電線分岐がない場合には、経路上の任意の1点を計算対象として設定すればよい(ステップS608)。
【0112】
そして、上記したステップS616の処理を終了すると、ステップS618の処理へ進み、ステップS616で設定された計算対象たる両方の経路端について、それぞれを通過する全電線の電線外径を回路設計データ102から読み出して収集する。即ち、ステップS618の処理においては、ステップS616で計算対象として設定された同一経路上の両方の経路端をそれぞれ通過する電線の電線IDに対応した電線外径を取得する。
【0113】
そして、ステップS618の処理を終了すると、ステップS620の処理へ進み、ステップS618において計算対象たる両方の経路端でそれぞれ取得した全電線の電線外径を用いて、それぞれの経路端の全電線の電線外径に関してそれぞれ計算処理を実行する。なお、この計算処理の詳細については、図8に示す計算処理の処理ルーチンのフローチャートを参照しながら後述する。
【0114】
上記したステップS620の処理を終了すると、ステップS622の処理へ進み、ステップS620で得られた各経路端に関する計算結果の中で大きい方を電線束径候補として選択して設定する。上記おいて説明した通り、経路上に電線分岐がある場合には、経路上の両方の経路端で電線束径が異なる場合がある。本発明算出装置で算出された電線束径は、経路を通す筐体上の穴の径選定などに利用されるため、電線束径候補としては、ステップS620で得られた計算結果の中で大きい方を電線束径候補として採用するものである。
【0115】
ここで、上記したステップS612ならびにステップS620における計算処理は、後述する3種類の計算方式を用いてそれぞれの計算方式における計算結果を得るものである。
【0116】
また、ステップS614ならびにステップS622の処理では、ステップS612ならびにステップS620の処理で得られた3種類の計算方式によるそれぞれの計算結果について電線束径候補を選択する。
【0117】
即ち、ステップS612ならびにステップS620においては、3種類の計算方式によるそれぞれの計算結果が得られ、ステップS614ならびにステップS622においては、3種類の計算方式によるそれぞれの計算結果について電線束径候補が選択される。
【0118】
なお、図16に示す図表には、上記した3種類の計算方式の名称とその特徴とが示されている。即ち、これら3種類の計算方式として3つのモードの計算方式が設定されており、各モードの計算方式の名称は、「基準点更新モード」、「3円重心固定モード」ならびに「階級混在モード」である。こうした3種類の計算方式については、図を参照しながら後に詳細に説明する。
【0119】
そして、上記したステップS614またはステップS622の処理を終了すると、ステップS624の処理へ進み、ステップS614またはステップS622で取得された3種類の計算方式による3種類の電線束径候補の中から最も小さいものを処理対象の経路における電線束の電線束径として選択して設定し、この処理ルーチンを終了する。
【0120】
上記したように、ステップS612ならびにステップS620における計算処理においては3種類の計算方式を用いるものであるが、計算対象の電線により構成される電線束の条件に応じて計算方式の向き不向きがあり、計算結果に差異が発生することがある。
【0121】
このため、ステップS624では3種類の計算方式による計算結果の中で最も小さいものを選択することにより、処理対象の経路における電線束を構成する各電線の間隔が最も密になるように電線束を配置できた結果を電線束径として採用するようにした。
【0122】
なお、上記した電線束の条件とは、例えば、電線束を構成する各電線の電線外径や電線の本数などである。
【0123】
以上において説明したように、電線引き当て処理106により電線を引き当てた後のデータ構造から取得される全ての経路のそれぞれに対して、電線束径計算処理108をそれぞれ実行することにより、電線引き当て処理106により電線を引き当てた後のデータ構造から取得される全ての経路のそれぞれの電線束径を算出することができる。
【0124】
そして、こうして算出したワイヤーハーネスの電線束径を、筐体設計を行う筐体設計部署などへ連絡すればよい。
【0125】

次に、図8に示すフローチャートを参照しながら、ステップS612ならびにステップS620で実行される計算処理の処理ルーチンについて説明する。
【0126】
なお、計算処理は、基準点更新モード、3円重心固定モードならびに階級混在モードの全ての計算方式によりそれぞれ実行するものであり、基準点更新モードと3円重心固定モードと階級混在モードとを何れの順番で実行するかは任意である。例えば、基準点更新モード、3円重心固定モード、階級混在モードの順番で実行すると予め設定しておいた場合には、まず計算方式として基準点更新モードを用いて計算処理を実行し、次に3円重心固定モードを用いて計算処理を実行し、最後に階級混在モードを用いて計算処理を実行することになる。
【0127】
こうした計算処理の処理ルーチンが起動されると、まず、計算用断面を用意する(ステップS802)。ここで、計算用断面とは、この計算処理の処理ルーチンにおいて電線束径を計算するために用いる平面である。電線断面、電線束断面、基準点、外形線などは、全てこの平面上に配置する。
【0128】
なお、本明細書においては、電線断面、電線束断面、基準点、外形線は、それぞれ以下のように定義するものとする。
【0129】
(1)電線断面・・・各電線それぞれの断面である。
【0130】
(2)電線束断面・・・上記したように電線束の断面である。
【0131】
(3)基準点・・・計算用断面に配置する電線断面の位置を選定するために使用する点である。基準点は、電線束断面の中心位置となる。
【0132】
(4)外形線・・・計算用断面に配置した電線断面(以下、「配置済み電線断面」と適宜に称する。)の中心点を構成点とする多角形である。基準点と外形線を構成する線分との位置関係から、計算用断面に新たに配置する電線断面の位置が選定される。
【0133】
なお、構成点とは、外形線を構成する点であり、外形線が示す多角形の頂点となるものである。構成点は、配置済み電線断面の中心点と一致する。
【0134】
上記したステップS802の処理を終了すると、ステップS804の処理へ進み、断面配置前処理を実行する。
【0135】

図9には断面配置前処理の処理ルーチンのフローチャートが示されており、このフローチャートを参照しながら、断面配置前処理について詳細に説明する。
【0136】
断面配置前処理の処理ルーチンが起動されると、まず、計算対象を通過する電線の電線断面の計算用断面への配置順を、電線外径の大きい順となるように並べ替えて設定する(ステップS902)。
【0137】
ステップS902の処理を終了すると、ステップS904の処理へ進み、電線外径の大きい順の先頭に位置する電線断面を計算用断面へ配置する。
【0138】
ステップS904の処理を終了すると、ステップS906の処理へ進み、ステップS604で配置した電線断面の中心点に基準点を配置する。なお、計算方式が階級混在モードにおいては、このステップS904で設定された基準点が、以降の処理における最初の基準点である初期基準点となる。
【0139】
ステップS906の処理を終了すると、ステップS908の処理へ進み、計算対象を通過する電線の電線断面の中で、計算用断面へ配置されていない未配置の電線断面があるか否かを判断する。
【0140】
このステップS908の判断処理において、計算用断面へ配置されていない未配置の電線断面があると判断された場合には、ステップS910の処理へ進み、電線外径の大きい順の先頭から2つ目に位置する電線断面を、ステップS904で計算用断面へ配置した配置済み電線断面と互いの輪郭線が接するようにして計算用断面へ配置する。
【0141】
上記したステップS910の処理を終了すると、ステップS912の処理へ進み、計算対象を通過する電線の電線断面の中で、計算用断面へ配置されていない未配置の電線断面があるか否かを判断する。
【0142】
このステップS912の判断処理において、計算用断面へ配置されていない未配置の電線断面があると判断された場合には、ステップS914の処理へ進み、電線外径の大きい順の先頭から3つ目に位置する電線断面を、ステップS904およびステップS912でで計算用断面へ配置した2つの配置済み電線断面と互いの輪郭線がそれぞれ接するようにして計算用断面へ配置する。
【0143】
上記したステップS914の処理を終了すると、ステップS916の処理へ進む。また、ステップS908の判断処理ならびにステップS912の判断処理において、計算用断面へ配置されていない未配置の電線断面はないと判断された場合には、ステップS916の処理へジャンプする。
【0144】
そして、ステップS916の処理においては、配置済み電線断面の中心点を構成点として、外形線を作成する。
【0145】
このステップS916の処理を終了すると、ステップS918の処理へ進み、現在処理すべき計算方式が3種類の計算方式の中の階級混在モードであるか否かを判断する。
【0146】
そして、ステップS918の判断処理において、現在処理すべき計算方式が階級混在モードではない、即ち、計算方式が基準点更新モードあるいは3円重心固定モードであると判断された場合には、ステップS920へ進み、全ての配置済み電線断面の重心に基準点を移動して設定し、この処理ルーチンを終了する。なお、計算方式が基準点更新モードあるいは3円重心固定モードにおいては、このステップS920で設定された基準点が、以降の処理における最初の基準点である初期基準点となる。
【0147】
一方、ステップS918の判断処理において、現在処理すべき計算方式が階級混在モードであると判断された場合には、そのままこの処理ルーチンを終了する。
【0148】
そして、この断面配置前処理の処理ルーチンを終了すると、計算処理のステップS806以降の処理へ進む。なお、計算処理のステップS806以降の処理においては、断面配置前処理により作成された電線断面を配置された計算用断面を用いて処理が行われる。
【0149】

即ち、上記した断面配置前処理では、計算対象を通過する電線、即ち、経路上にワイヤーハーネスとして配置する電線束を構成する各電線を収集し、この収集した各電線の配置順を電線外径の大きい順とする。そして、電線外径の大きい順で最初の3本の電線の電線断面をそれぞれの輪郭線が接するようにして計算用断面に配置し、基準点として各計算方式における最初の基準点となる初期基準点を決定する。
【0150】
図14(a)に示す例を参照しながら具体的に説明すると、電線外径の大きい順における最初の3本の電線として電線0、電線1および電線2があるとすると、これら電線0の円形の電線断面と電線1の円形の電線断面と電線2の円形の電線断面とをそれぞれの輪郭線が接するように配置する。
【0151】
なお、断面配置前処理において電線外径の大きい順で計算用断面に配置した最初の3本の電線の電線断面を総称して、「3断面」と適宜に称することとする。
【0152】

また、初期基準点は、図16に示すように、3種類の計算方式のモードによってそれぞれ異なる。
【0153】
具体的には、基準点更新モードおよび3円重心固定モードにおいては、ステップS920で設定した3断面の重心が初期基準点となる(図14(a)に示す例では、符号Gで示す電線0の電線断面、電線1の電線断面および電線2の電線断面の重心位置が初期基準点となる。)。
【0154】
一方、階級混在モードにおいては、ステップS906で設定した電線外径が最も大きい電線の電線断面の中心点が初期基準点となる(図14(a)に示す電線断面の配置の場合では、電線0の電線断面の中心点が初期基準点となる。)。
【0155】

そして、計算処理のステップS806以降の処理においては、断面配置前処理により作成された電線断面を配置された計算用断面を用いて処理が行われるが、まず、ステップS806においては、計算用断面に未配置の電線断面があるか否かが判断される。
【0156】
このステップS806の判断処理において、計算用断面に未配置の電線断面があると判断された場合には、ステップS808へ進み、計算用断面に未配置の電線断面の中で最も電線外径の大きい電線断面について電線断面配置処理を実行する。
【0157】
そして、ステップS808の電線断面配置処理の実行を終了すると、ステップS806へ戻って処理を繰り返す。
【0158】
ここで、電線断面配置処理は一つの電線断面毎に実行されるものであり、計算用断面に未配置の電線断面の中の電線外径の大きい順から、それぞれ順番に電線断面配置処理が実行される。即ち、ステップS902の処理で電線外径の大きい順に並べ替えられた配置順に従って、各電線断面に対して電線断面配置処理を実行する。
【0159】

図10には電線断面配置処理の処理ルーチンのフローチャートが示されており、このフローチャートを参照しながら、電線断面配置処理について詳細に説明する。
【0160】
電線断面配置処理の処理ルーチンが起動されると、まず、基準点を更新する必要があるか否かを判断する(ステップS1002)。
【0161】
ここで、図16に示すように、計算方式が基準点更新モードの場合には、必ず基準点の更新が必要となる。即ち、初期基準点の設定後に計算用断面に電線断面を配置した場合には、その配置後に必ず基準点の更新が必要となる。
【0162】
また、計算方式が階級混在モードの場合には、計算用断面に一つ前に配置した電線断面の電線外径が今回配置する電線断面の電線外径の2倍以上大きい場合には、基準点の更新が必要となる。即ち、初期基準点の設定後に計算用断面に最初に配置する電線断面も含めて今回の処理により計算用断面に配置する電線断面の電線外径が、計算用断面に前回の処理により配置した電線断面の電線外径の半分以下の場合には、今回の処理により計算用断面に配置する電線断面の配置後に基準点の更新が必要となる。
【0163】
一方、計算方式が3円重心固定モードの場合には、基準点を更新する必要はない。即ち、初期基準点の設定後に計算用断面に電線断面を配置しても、その配置後に基準点を更新する必要はない。
【0164】
なお、初期基準点の設定後に最初にステップS1002の判断処理を行う場合には、基準点を更新する必要はないと判断されることになる。
【0165】
そして、上記したステップS1002の判断処理において、基準点を更新する必要があると判断された場合には、ステップS1004の処理へ進み、全ての配置済み電線断面の重心に基準点を移動して基準点を更新して設定する。このステップS1004の処理を終了すると、ステップS1006へ進む。
【0166】
一方、上記したステップS1002の判断処理において、基準点を更新する必要がないと判断された場合には、ステップS1006へジャンプする。
【0167】
ステップS1006の処理においては、基準点に最も近い外形線を構成する線分を取得する。図14(a)に示す例において、符号Gで示す重心を基準点とすると、外形線を構成する符号S1で示す線分が、基準点(重心G)に最も近い外形線を構成する線分となる。
【0168】
こうしたステップS1006の処理を終了すると、ステップS1008の処理へ進み、ステップS1006で取得した線分の両端の端点のそれぞれと中心点が一致する配置済み電線断面をそれぞれ取得する。図14(a)に示す例においては、線分S1の両端の端点のそれぞれと中心点が一致する配置済み電線断面として、電線0の電線断面と電線1の電線断面とを取得することになる。
【0169】
上記したステップS1008の処理を終了すると、ステップS1010の処理へ進み、ステップS1008で取得した2つの電線断面を接触対象電線断面として設定する。ここで、接触対象電線断面とは、電線断面配置処理における処理対象、即ち、電線断面配置処理により計算用断面に配置する対象(以下、「配置対象」と適宜に称する。)の電線断面の輪郭線とその輪郭線が接する配置済み電線断面であり、2つの電線断面を接触対象電線断面として設定する。図14(a)に示す例においては、接触対象電線断面として、電線0の電線断面と電線1の電線断面とが設定されることになる。
【0170】
こうしたステップS1010の処理を終了すると、ステップS1010で設定された2つの接触対象電線断面を用いて、ステップS1012、ステップS1014およびステップS1016の処理で実行される中心点候補算出処理を行う。
【0171】
即ち、まず、ステップS1012において、2つの接触対象電線断面でそれぞれ配置対象の電線断面の半径でオフセットした円(以下、「オフセット図形」と称する。)を作成する。即ち、オフセット図形とは、接触対象電線断面の中心点を中心とするとともに、当該接触対象電線断面の半径と配置対象の電線断面の半径とを加算した値を半径とする円である。なお、オフセット図形は2つの接触対象電線断面毎に作成されるため、ステップS1012では2つのオフセット図形が作成されることになる。
【0172】
上記したステップS1012の処理を終了すると、ステップS1014の処理へ進み、ステップS1012で作成した2つのオフセット図形同士の交点を取得する。
【0173】
そして、ステップS1014の処理を終了すると、ステップS1016の処理へ進み、ステップS1014で取得した交点を配置対象の電線断面の中心点の候補たる中心点候補として設定する。
【0174】
このステップS1016の処理を終了して、ステップS1012、ステップS1014およびステップS1016の処理で実行される中心点候補算出処理を終了すると、ステップS1018の処理へ進み、ステップS1016で設定された中心点候補がいくつあるかを判断する。
【0175】
ステップS1018の判断処理において、ステップS1016で設定された中心点候補の数が1または2であると判断された場合には、ステップS1020の処理へ進み、全ての中心点候補が配置済み電線断面と交差するか否かを判断する。
【0176】
そして、ステップS1020の判断処理において、配置済み電線断面と交差しない中心点候補があると判断された場合には、ステップS1022の処理へ進み、配置済み電線断面と交差する中心点候補を、配置対象の電線断面を計算用断面に配置する際の中心位置となる中心点として設定し、当該中心点を中心位置として配置対象の電線断面を計算用断面上に配置する。
【0177】
上記したステップS1022の処理を終了すると、ステップS1024の処理へ進み、ステップS1020で配置した電線断面の中心点が外形線の頂点となるように、接触対象断面の中心点と一致する外形線の頂点の間に挿入して、この処理ルーチンを終了する。
【0178】
そして、この電線断面配置処理の処理ルーチンを終了すると、計算処理のステップS806へ戻って処理を行う。なお、計算処理のステップS806へ戻って以降の処理においては、電線断面配置処理により作成された電線断面を配置された計算用断面を用いて処理が行われる。
【0179】
一方、ステップS1018の判断処理において、ステップS1016で設定された中心点候補の数が0であると判断された場合には、ステップS1026の処理へ進み、基準点に近い方の接触対象電線断面に接する配置済み電線断面であって、基準点に近い方の接触対象電線断面とは異なる接触対象電線断面に最も近い配置済み電線断面を取得する。
【0180】
このステップS1026の処理を終了すると、ステップS1028の処理へ進み、ステップS1026で取得した配置済み電線断面と基準点に近い方の接触対象電線断面とを、新たに接触対象電線断面として設定し、接触対象電線断面を更新する。
【0181】
ステップS1028の処理を終了すると、ステップS1030の処理へ進み、ステップS1028で新たに設定された2つの接触対象電線断面を用いて、中心点候補算出処理を行う。なお、ステップS1030で実行される中心点候補算出処理は、ステップS1012、ステップS1014およびステップS1016の処理で実行される中心点候補算出処理と同一であるので、上記したステップS1012、ステップS1014およびステップS1016の処理の説明を引用して、その詳細な説明は省略する。
【0182】
そして、ステップS1030の処理を終了すると、ステップS1032の処理へ進み、ステップS1030の中心点候補算出処理で取得された全ての中心点候補が配置済み電線断面と交差するか否かを判断する。
【0183】
このステップS1032の判断処理において、配置済み電線断面と交差しない中心点候補があると判断された場合には、ステップS1022の処理へ進み、配置済み電線断面と交差する中心点候補を、配置対象の電線断面を計算用断面に配置する際の中心位置となる中心点として設定し、当該中心点を中心位置として配置対象の電線断面を計算用断面上に配置する。そして、ステップS1022の処理を終了すると、ステップS1024の処理へと進むものである。
【0184】
一方、ステップS1020の判断処理において、全ての中心点候補で配置済み電線断面と交差すると判断された場合には、ステップS1034の処理へ進み、接触対象電線断面同士が接しているか否かを判断する。
【0185】
このステップS1034の判断処理において、接触対象電線断面同士が接していないと判断された場合には、ステップS1026の処理へ進み、上記した処理を行う。
【0186】
一方、ステップS1034の判断処理において、接触対象電線断面同士が接していると判断された場合には、ステップS1036の処理へ進み、基準点に近い方の接触対象電線断面の中心点を外形線の構成点から削除して、外形線を新たに作成して外形線を更新する。
【0187】
また、ステップS1032の判断処理において、全ての中心点候補で配置済み電線断面と交差すると判断された場合にもステップS1036の処理へ進み、基準点に近い方の接触対象電線断面の中心点を外形線の構成点から削除して、外形線を新たに作成して外形線を更新する。
【0188】
そして、ステップS1036の処理を終了すると、ステップS1002へ戻って処理を行う。
【0189】

また、ステップS806の判断処理において、計算用断面に未配置の電線断面がないと判断された場合には、ステップS810へ進み、基準点を中心にして、電線束断面として全ての配置済み電線断面を包含する最小半径の円である包含円を作成する。
【0190】
そして、ステップS810の処理を終了すると、ステップS812の処理へ進み、断面配置後処理を実行する。
【0191】

図11には断面配置後処理の処理ルーチンのフローチャートが示されており、このフローチャートを参照しながら、断面配置後処理について詳細に説明する。
【0192】
この断面配置後処理とは、ステップS810で包含円を作成した後に、電線断面配置処理で計算用断面に配置した配置済み電線断面を計算用断面上で移動して、ステップS810で作成した包含円をそれよりもさらに小径な包含円を作成して、包含円を更新する処理である。
【0193】
断面配置後処理の処理ルーチンが起動されると、まず、計算用断面上で基準点から最も遠い配置済み電線断面がいずれの配置済み電線断面であるかを判断して、計算用断面上で基準点から最も遠い配置済み電線断面を取得する(ステップS1102)。ここで、計算用断面上で基準点から最も遠い配置済み電線断面の判断基準は、「(基準点と配置済み電線断面の中心点との間の距離)+当該配置済み電線断面の半径」の計算式の値が最も大きく配置済み電線断面を、計算用断面上で基準点から最も遠い配置済み電線断面として認定する。
【0194】
ステップS1102の処理を終了すると、ステップS1104の処理へ進み、ステップS1102の処理で取得した配置済み電線断面の中心点と基準点との間の距離を取得する。
【0195】
このステップS1104の処理を終了すると、ステップS1106の処理へ進み、後述するステップS1108で基準点を移動する際の移動距離の初期値を、ステップS1104で取得した距離の1/4として設定する。
【0196】
上記したステップS1106の処理を終了すると、ステップS1108の処理へ進み、ステップS1102で取得した配置済み電線断面、即ち、最も遠い配置済み電線断面の中心点のある方向に、設定された移動距離分だけ基準点の位置を移動する。
【0197】
このステップS1108の処理を終了すると、ステップS1110の処理へ進み、基準点を中心にして、全ての配置済み電線断面を包含する包含円を作成して更新する。
【0198】
そして、ステップS1110の処理を終了すると、ステップS1112の処理へ進み、ステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新された包含円とステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新される前の包含円とを比較して、ステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新された包含円の半径がステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新される前の包含円の半径よりも縮小されたか否かを判断する。
【0199】
このステップS1112の判断処理において、ステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新された包含円の半径がステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新される前の包含円の半径よりも縮小されていないと判断された場合には、ステップS1114の処理へ進み、ステップS1112の処理の直前のステップS1108で移動された基準点の位置を、ステップS1112の処理の直前のステップS1108で移動される前の基準点の位置に戻す。
【0200】
ステップS1114の処理を終了すると、ステップS1116の処理へ進み、ステップS1114で戻した基準点を中心にして、全ての配置済み電線断面を包含する包含円を作成して更新する。このステップS1116で作成して更新される包含円は、ステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新される前の包含円と一致する。
【0201】
ステップS1116の処理を終了すると、ステップS1118の処理へ進み、設定されている移動距離を半分にして新たに設定する。
【0202】
ステップS1118の処理を終了すると、ステップS1120の処理へ進み、ステップS1118で設定された移動距離の有効数字が0より大きいか否かを判断する。
【0203】
このステップS1120の判断処理において、ステップS1118で設定された移動距離の有効数字が0より大きくないと判断された場合には、この処理ルーチンを終了する。
【0204】
そして、この断面配置後処理の処理ルーチンを終了すると、計算処理のステップS814へ戻って処理を行う。なお、計算処理のステップS814へ戻って以降の処理においては、断面配置後処理により更新された包含円を用いて処理が行われる。
【0205】
一方、ステップS1112の判断処理において、ステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新された包含円の半径がステップS1112の処理の直前のステップS1110の処理で更新される前の包含円の半径よりも縮小されていると判断された場合、ならびに、ステップS1120の判断処理において、ステップS1118で設定された移動距離の有効数字が0より大きいと判断された場合には、ステップS1122の処理へ進み、計算用断面上で基準点から最も遠い配置済み電線断面がいずれの配置済み電線断面であるかを判断して、計算用断面上で基準点から最も遠い配置済み電線断面を取得する。
【0206】
そして、ステップS1122の処理を終了すると、ステップS1108の処理へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0207】
02)。
【0208】
この断面配置後処理の処理ルーチンにおいて、基準点を移動するか否かは、ステップS1118で設定された移動距離の有効数字が0より大きいか否か、具体的には、当該有効数字が0より大きい場合には基準点を移動すると判断し、当該有効数字が0より大きくない場合には基準点を移動しないと判断している。その理由は、ステップS1120の判断処理の直前のステップS1118の処理において、設定された移動距離を半減して新たな移動距離を設定しているため、新たな移動距離を有効数字で表すと0より大きくない場合があるからである。
【0209】
こうした断面配置後処理を実行することにより、図12に示すように包含円の直径を縮小することができるようになる。
【0210】

そして、ステップS812断面配置後処理を終了すると、ステップS814の処理へ進み、ステップS812の処理で更新された包含円の直径を電線束断面の電線束径の計算結果として取得し、この処理ルーチンを終了する。
【0211】
そして、この計算処理の処理ルーチンを終了すると、電線束径計算処理のステップS614あるいはステップS622へ戻って処理を行う。なお、電線束径計算処理のステップS614あるいはステップS622へ戻って以降の処理においては、計算処理ルーチンにより得られた計算結果を用いて処理が行われる。
【0212】

ここで、本発明算出装置の理解を容易にするために、図13に示す説明図を参照しながら、電線断面配置処理で行われる処理、即ち、配置対象の電線断面の中心点候補を算出して当該配置対象の電線断面を計算用断面上に配置する処理について説明する。
【0213】
図13には、配置対象の電線断面の中心点候補を算出する中心点候補算出処理の一例の説明図が示されている。
【0214】
配置対象の中心点候補を算出する中心点候補算出の処理においては、上記において説明したように、その中心点候補は、接触対象電線断面を配置対象の電線断面の半径でオフセットした円であるオフセット図形の交点から求める(ステップS1012、ステップS1014、ステップS1016)。
【0215】
この図13に示す例においては、配置対象の電線断面は数字22で示す電線断面であり、この数字22で示す電線断面を計算用断面上に配置する場合を示している。
【0216】
図13において、数字3、数字4、数字7および数字9で示す電線断面は配置済み電線断面であり、破線は外形線を表している。なお、図13において、数字3、数字4および数字7で示す配置済み電線断面の右下側にその他の配置済み断面および基準点が存在するが、説明を簡略化して理解を容易にするためにその図示を省略している。
【0217】
また、この図13に示す例では、配置対象の電線断面である数字22で示す電線断面の電線断面配置処理を行う以前の電線断面配置処理中において、数字3で示す配置済み電線断面の中心点を外形線の構成点から削除している(ステップS1036)。
【0218】
ここで、図13に示す例において、基準点に最も近い外形線の線分が、数字7で示す配置済み電線断面の中心点たる構成点と数字9で示す配置済み電線断面の中心点たる構成点とを結ぶ線分であるとする(ステップS1006)。
【0219】
この場合には、数字7で示す配置済み電線断面の同心円として、数字7で示す配置済み電線断面を示す円の半径よりも数字22で示す配置対象の電線断面を示す円の半径分だけ大きくなるように半径をオフセットした円Aを作成する(ステップS1012)。なお、このオフセットした円Aが一方のオフセット図形であり、図13では一点鎖線で示されている。
【0220】
同様に、数字9で示す配置済み電線断面の同心円として、数字9で示す配置済み電線断面の円の半径よりも数字22で示す配置対象の電線断面の円の半径分だけ大きくなるように半径をオフセットした円Bを作成する。なお、このオフセットした円Bが他方のオフセット図形であり、図13では一点鎖線で示されている。
【0221】
上記した場合に、数字7で示す配置済み電線断面をオフセットした円Aと数字9で示す配置済み電線断面のオフセットした円Bというオフセット図形同士の交点を取得すると(ステップS1014)、当該オフセット図形同士の交点がないため、中心点候補は0となる(ステップS1018)。
【0222】
ここで、数字3で示す配置済み電線断面が、基準点に近い方の接触対象電線断面に接する配置済み電線断面であって、基準点に近い方の接触対象電線断面とは異なる接触対象電線断面に最も近い配置済み電線断面であると仮定する。
【0223】
この場合には、基準点に近い方の接触対象電線断面に接する配置済み電線断面であって、基準点に近い方の接触対象電線断面とは異なる接触対象電線断面に最も近い配置済み電線断面として数字3で示す配置済み電線断面が取得され(ステップS1026)、接触対象電線断面を数字9で示す配置済み電線断面および数字3で示す配置済み電線断面に変更する(ステップS1028)。
【0224】
そして、数字9で示す配置済み電線断面の同心円として、数字9で示す配置済み電線断面の円の半径よりも数字22で示す配置対象の電線断面の円の半径分だけ大きくなるように半径をオフセットした円Bを作成する。なお、このオフセットした円Bが、一方のオフセット図形となる。
【0225】
同様に、数字3で示す配置済み電線断面の同心円として、数字3で示す配置済み電線断面の円の半径よりも数字22で示す配置対象の電線断面の円の半径分だけ大きくなるように半径をオフセットした円Cを作成する。なお、このオフセットした円Cが他方のオフセット図形であり、図13では一点鎖線で示されている。
【0226】
この場合に、数字9で示す配置済み電線断面をオフセットした円Bと数字3で示す配置済み電線断面のオフセットした円Cというオフセット図形同士の交点を取得すると(ステップS1014)、当該オフセット図形同士の交点は2つある(ステップS1018)。
【0227】
これら2つの交点の中で一方の交点Dは、配置済み電線断面に交差している(ステップS1020)。なお、符号Eは、この交点Dを中心として配置された場合における数字22で示す配置対象の電線断面の大きさの円を示しており、数字4で示す配置済み電線断面に交差している。
【0228】
しかしながら、2つの交点の中で他方の交点Fは、配置済み電線断面に交差しないため(ステップS1020)、交点Fを数字22で示す配置対象の電線断面を計算用断面に配置する際の中心位置となる中心点として設定し、交点Fを中心位置として数字22で示す配置対象の電線断面を計算用断面上に配置する(ステップS1022)。
【0229】
なお、数字22で示す配置対象の電線断面の半径がもう少し大きく、数字9で示す配置済み電線断面のオフセットした円Aと数字7で示す配置済み電線断面のオフセットした円Bというオフセット図形同士が1点で接する場合には(ステップS1018)、中心点候補はその1点となる。
【0230】

ここで、図14(a)(b)(c)および図15(a)(b)(c)には、上記において説明した計算処理を概念的に表す説明図が示されている。
【0231】
即ち、図14(a)は、断面配置前処理の説明図であり、電線外径の大きい順に3つの電線断面である3断面を、これら3断面が接するように配置する。
【0232】
この図14(a)に示す例において、符号Gで示す重心を基準点とすると、外形線を構成する符号S1で示す線分が、基準点(重心G)に最も近い外形線を構成する線分となる。
【0233】
従って、電線断面配置処理においては、図14(b)に示すように、基準点に最も近い外形線の線分S1の両端に位置する配置済み電線断面(電線0の電線断面および電線1の電線断面)接するようにして配置対象の電線断面(電線3の電線断面)を配置して、外形線を更新する。
【0234】
以下同様にして、未配置の電線断面を電線外径の大きい順に配置する処理を繰り返し行うものである(図14(c))。
【0235】
また、基準点に最も近い外形線を構成する線分を対象として処理を続行すると、配置対象の電線断面は配置済みの電線断面に重なるような場合には、基準点に最も近い外形線を構成する線分ではなくて、他の線分を対象として処理を行うようにしている。
【0236】
つまり、符号Gで示す重心を基準点とすると、図15(a)において、基準点に最も近い外形線の線分Jが処理の対象となるが、線分Jが処理の対象とすると、配置対象の電線断面が配置済みの電線断面に重なってしまうことになる。
【0237】
従って、図15(b)に示すように、基準点に一番近い外形線の構成点(電線0の中心点)を削除し(ステップS1036)、あらためて基準点に最も近い外形線を構成する線分として線分Kを対象として処理を続行するようにしている。
【0238】
線分Kを対象として処理を続行することにより、図15(c)に示すように、配置対象の電線断面が配置済みの電線断面に重なってしまうことを防止することができる。
【0239】
なお、図15(a)(b)(c)において、円図形は電線断面を示し、円図形で示す電線断面内に記載された数字は0から数字の小さい順番で電線断面を配置する順番を示している。数字0〜6で示された電線断面は配置済み電線断面であり、数字7で示す電線断面が配置対象の電線断面である。
【0240】

次に、図16乃至図19を参照しながら、上記した3種類の計算方式の詳細について説明する。
【0241】
図16には、各計算方式の名称と特徴を示している。これら3種類の計算方式である基準点更新モードと3円重心固定モードと階級混在モードとは、計算処理の際に使用する基準点の扱いのみがそれぞれ異なっている。
【0242】
即ち、各計算モードにおいては、初期基準点と基準点の更新条件とがそれぞれ異なっており、各計算モードの初期基準点と基準点の更新条件とを用いて図8のフローチャートに示す計算処理の処理ルーチンをそれぞれ実行することにより、各計算モードでの計算結果を得ることができる。
【0243】
つまり、3種類の計算方式は、初期基準点と基準点の更新条件とがそれぞれ異なるのみであって、図8乃至図11のフローチャートに示すように他の処理は同一の処理を行う。
【0244】
なお、計算処理の際に基準点を更新する場合には、上記したように、全ての配置済み電線全断面の重心が新たな基準点となる。また、基準点の位置は、上記した断面配置後処理において移動される。
【0245】

次に、図17は、3円重心固定モードの計算結果と階級混在モードの計算結果とを比較して示した説明図である。図17には、各計算モードによる計算結果の違いが典型的に示されている。
【0246】
図17におけるA欄は、電線外径の値が1の電線断面が7本ある場合の計算結果を示し、図17におけるB欄は、電線外径の値が1の電線断面が12本ある場合の計算結果を示している。
【0247】
図17におけるA欄の場合では、3円重心固定モードの計算結果によれば電線束径(即ち、包含円の直径である。)は3.65であり、一方、階級混在モードの計算結果によれば電線束径は3.00である。
【0248】
また、図17におけるB欄の場合では、3円重心固定モードの計算結果によれば電線束径は4.06であり、一方、階級混在モードの計算結果によれば電線束径は4.46である。
【0249】
このように、電線束の構成により、各計算モードで計算結果の優劣が変化することになる。従って、ステップS624において、3つのモードの計算結果の中で最も小さくなったものを電線束径として採用している。
【0250】

次に、図18は、基準点更新モードの計算結果と階級混在モードの計算結果とを比較して示した説明図であり、これら2つの計算モードでの計算結果と配置済み電線断面の配置状態とを配置済み電線断面の数毎に示したものである。なお、図18で上下2列に示された図表においては、各列の上段に配置済み電線断面の数を示し、各列の中段に基準点更新モードの配置済み電線断面の配置状態および計算結果を示し、各列の下段に階級混在モードの配置済み電線断面の配置状態および計算結果を示している。
【0251】
図18に示されているように、配置済み電線断面の数の違いによって、基準点更新モードと階級混在モードとの間で計算結果の大小関係が入れ替わっていることがわかる。
【0252】

次に、図19には、基準点更新モード、3円重心固定モードおよび階級混在モードの計算結果と実測値との比較結果が示されている。即ち、3種類の計算モードによる計算結果の妥当性を確認するため、デジタルノギスを用いて実物のワイヤーハーネスを測定して電線束径と当該電線束を構成する電線の電線外径を取得し、デジタルノギスを用いた測定に基づき取得された電線束径の値と当該測定に基づき取得された電線外径を元に本発明算出装置により計算で算出した計算結果による電線束径の値との比較結果を示した。
【0253】
なお、デジタルノギスを用いた実物のワイヤーハーネスの測定に基づき電線束径と当該電線束を構成する電線の電線外径を取得するに際しては、ワイヤーハーネスの電線束の断面ならびに当該ワイヤーハーネスを構成する電線の断面は真円ではない場合が多いため、これらの断面を楕円と仮定して長径および短径をデジタルノギスで測定し、その測定結果を用いてこれらの断面の面積を計算した。そして、当該計算結果である面積から、当該面積を備えた真円を作成する場合の半径を計算し、こうして得た半径からワイヤーハーネスの電線束径と当該電線束を構成する電線の電線外径を取得した。
【0254】
図19においては、各計算モード間で最小となる計算結果を太字で表示しているが、各計算モードのそれぞれにおいて、3つの計算モードの中で最小となる計算結果が存在しており、各計算モードの計算結果は実測値と比較して95%〜110%の間に収まっていることがわかる。
【0255】

なお、上記した実施の形態は、以下に示す(1)〜(5)に説明するように変形してもよい。
【0256】
(1)上記した実施の形態においては、線材束として電線束により構成されるワイヤーハーネスを例にして説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。即ち、本発明は、例えば、光ファイバーや針金などのような各種の線材束の太さを算出する場合に用いることができる。なお、電線以外の各種の線材束の太さを算出する場合においては、上記した実施の形態における電線分岐は、各種の線材が分岐する位置を意味する線材分岐と読み替えるものとする。
【0257】
(2)上記した実施の形態においては、上記した3種類の計算方式を全て行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、上記した3種類の計算方式の中でいずれか1種類または2種類の計算方式のみを行うようにしてもよいし、上記した3種類の計算方式とは異なる他の計算方式を行うようにしてもよいし、上記した3種類の計算方式に加えて他の計算方式を行うようにしてもよい。なお、上記した3種類の計算方式を含むいずれかの計算方式の中からいずれか1種類の計算方式のみを用いる場合には、ステップS624の処理を行うことなく、ステップS614またはステップS622の処理で取得される当該1種類の計算方式で得られた計算結果たる電線束径候補をそのまま電線束径とすればよい。また、上記した3種類の計算方式を含むいずれかの計算方式の中からいずれか2種類の計算方式を用いる場合には、ステップS624の処理において当該2種類の計算方式による計算結果たる電線束径候補の中でいずれか小さい方を電線束径とすればよい。また、上記した3種類の計算方式を含むいずれか4種類以上の計算方式を用いる場合においても、ステップS624の処理において当該4種類以上の計算方式による計算結果の中で最も小さいものを電線束径として選択すればよい。
【0258】
(3)上記した実施の形態においては、ステップS810の処理を終了した後にステップS812の処理として断面配置後処理を実行するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。即ち、ステップS810の処理を終了した後に断面配置後処理を実行せずに、ステップS810で作成された包含円の直径を電線束断面の電線束径の計算結果として取得して、ステップS614またはステップS622の処理へ進むようにしてもよい。
【0259】
(4)上記した実施の形態においては、同一経路上に電線分岐があると判断された場合には、同一経路上の両方の端部にそれぞれ位置する経路端を計算対象として設定するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、電線分岐を挟んで両側に位置する任意の箇所をそれぞれ計算対象として設定するようにしてもよい。
【0260】
(5)上記した実施の形態ならびに上記した(1)〜(4)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0261】
本発明は、自動車や自動販売機などのように、車体や筐体内に複数の電子ユニットを搭載しており、それら複数の電子ユニットの間をワイヤーハーネスで接続する製品の設計過程で利用することができる。
【0262】
より具体的には、本発明は、ワイヤーハーネス設計において、電線を束ねた電線束の外形の直径たる電線束径を算出する際に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0263】
【図1】図1は、本発明による線材束の太さ算出装置の実施の形態の一例のハードウェア構成を表すブロック構成図である。
【図2】図2は、本発明による線材束の太さ算出装置により実行される処理内容を表すブロック構成図である。
【図3】図3は、電線引き当て処理の説明図である。
【図4】図4は、電線引き当て処理の処理ルーチンのフローチャートである。
【図5】図5は、電線分岐の説明図であり、(a)はジョイントを示し、(b)はスプライスを示している。
【図6】図6は、電線束径計算処理の処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】図7は、電線分岐概略説明図である。
【図8】図8は、計算処理の処理ルーチンのフローチャートである。
【図9】図9は、断面配置前処理の処理ルーチンのフローチャートである。
【図10】図10は、電線断面配置処理の処理ルーチンのフローチャートである。
【図11】図11は、断面配置後処理の処理ルーチンのフローチャートである。
【図12】図12は、断面配置後処理の処理実行結果のイメージを示す説明図である。
【図13】図13は、配置対象の電線断面の中心点候補を算出する中心点候補算出処理の一例の説明図である。
【図14】図14は、計算処理を概念的に表す説明図である。
【図15】図15は、計算処理を概念的に表す説明図である。
【図16】図16は、3種類の計算方式である基準点更新モードと3円重心固定モードと階級混在モードとの名称および特徴を示す図表である。
【図17】図17は、3円重心固定モードの計算結果と階級混在モードの計算結果とを比較して示した説明図である。
【図18】図18は、基準点更新モードの計算結果と階級混在モードの計算結果とを比較して示した説明図である。
【図19】図19は、基準点更新モード、3円重心固定モードおよび階級混在モードの計算結果と実測結果とを比較して示す図表である。
【符号の説明】
【0264】
10 中央処理装置(CPU)
12 バス
14 記憶装置
16 表示装置
18 出力装置
20 ポインティングデバイス
22 文字入力デバイス
24 入出力インターフェース回路(I/O)
26 外部記憶装置
28 リードライト装置
30 記録媒体
100 電線ライブラリ
102 回路設計データ
104 経路設計データ
106 電線引き当て処理
108 電線束径計算処理
110 電線束径計算処理結果
112 表示処理
114 出力処理
116 計算結果ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出方法において、
線材束を配策する経路上において前記線材束を構成する線材の分岐を検出する分岐検出処理工程と、
前記分岐検出処理工程により検出された分岐を挟む前記経路上のそれぞれにおける任意の1点をそれぞれ計算対象として合計2点選択する計算対象選択処理工程と、
前記計算対象選択処理工程により前記計算対象として選択された2点をそれぞれ通過する前記線材束を構成する全ての線材の外径をそれぞれ取得する外径取得処理工程と、
前記外径取得処理工程により取得された前記2点のそれぞれにおける全ての線材の外径に基づいて前記線材束の太さをそれぞれ算出する算出処理工程と、
前記算出処理工程により算出された前記2点のそれぞれにおける前記線材束の太さを比較して大きい方を選択する比較選択処理工程と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の線材束の太さ算出方法において、
前記算出処理工程は、前記2点のそれぞれにおいて、
線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、前記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置する毎に前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに前記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置処理工程と、
前記配置処理工程により前記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、前記3つのモードのそれぞれについて前記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成処理工程と、
前記包含円作成処理工程により前記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を前記線材束の太さとして取得する取得処理工程と
を有し、
前記比較選択処理工程は、前記3つのモードのそれぞれについて、前記取得処理工程で取得された前記2点のそれぞれにおける前記線材束の太さを比較して大きい方を選択する
ことを有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の線材束の太さ算出方法において、
前記包含円作成処理工程は、前記平面上で前記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成する
ことを有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出方法において、さらに、
前記比較選択処理工程により前記3つのモードのそれぞれについて選択された前記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択処理工程と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項5】
複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出方法において、
線材束を構成する複数の線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する配置処理工程と、
前記配置処理工程により前記平面上に配置した円を全て包含する包含円を作成する包含円作成処理工程と、
前記包含円作成処理工程により作成された包含円の直径を前記線材束の太さとして取得する取得処理工程と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の線材束の太さ算出方法において、
前記包含円作成処理工程は、前記平面上で包含円の中心を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成する
ことを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項7】
請求項5または6のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出方法において、
前記配置処理工程は、前記平面に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する
ことを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の線材束の太さ算出方法において、
前記基準点は、前記平面上に配置済みの全て円の重心または前記平面に配置済みの円の中で最も直径の大きい円の中心である
ことを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項9】
複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出方法において、
線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、前記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置する毎に前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに前記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置処理工程と、
前記配置処理工程により前記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、前記3つのモードのそれぞれについて前記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成処理工程と、
前記包含円作成処理工程により前記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を前記線材束の太さとして取得する取得処理工程と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の線材束の太さ算出方法において、
前記包含円作成処理工程は、前記平面上で前記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成する
ことを有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項11】
請求項9または10のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出方法において、さらに、
前記取得処理工程により取得された前記3つのモードのそれぞれにおける前記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択処理工程と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項12】
複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出装置において、
線材束を配策する経路上において前記線材束を構成する線材の分岐を検出する分岐検出手段と、
前記分岐検出手段により検出された分岐を挟む前記経路上のそれぞれにおける任意の1点をそれぞれ計算対象として合計2点選択する計算対象選択手段と、
前記計算対象選択手段により前記計算対象として選択された2点をそれぞれ通過する前記線材束を構成する全ての線材の外径をそれぞれ取得する外径取得手段と、
前記外径取得手段により取得された前記2点のそれぞれにおける全ての線材の外径に基づいて前記線材束の太さをそれぞれ算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記2点のそれぞれにおける前記線材束の太さを比較して大きい方を選択する比較選択手段と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項13】
請求項12に記載の線材束の太さ算出装置において、
前記算出手段は、前記2点のそれぞれにおいて、
線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、前記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置する毎に前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに前記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置手段と、
前記配置手段により前記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、前記3つのモードのそれぞれについて前記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成手段と、
前記包含円作成手段により前記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を前記線材束の太さとして取得する取得手段と
を有し、
前記比較選択手段は、前記3つのモードのそれぞれについて、前記取得手段で取得された前記2点のそれぞれにおける前記線材束の太さを比較して大きい方を選択する
ことを有することを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の線材束の太さ算出装置において、
前記包含円作成手段は、前記平面上で前記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成する
ことを有することを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項15】
請求項13または14のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出装置において、さらに、
前記比較選択手段により前記3つのモードのそれぞれについて選択された前記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択手段と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項16】
複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出装置において、
線材束を構成する複数の線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する配置手段と、
前記配置手段により前記平面上に配置した円を全て包含する包含円を作成する包含円作成手段と、
前記包含円作成手段により作成された包含円の直径を前記線材束の太さとして取得する取得手段と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項17】
請求項16に記載の線材束の太さ算出装置において、
前記包含円作成手段は、前記平面上で包含円の中心を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成する
ことを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項18】
請求項16または17のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出装置において、
前記配置手段は、前記平面に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する
ことを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項19】
請求項18に記載の線材束の太さ算出装置において、
前記基準点は、前記平面上に配置済みの全て円の重心または前記平面に配置済みの円の中で最も直径の大きい円の中心である
ことを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項20】
複数の線材を互いに重ならないように束ねて構成された線材束の太さを算出する線材束の太さ算出装置において、
線材束を構成する全ての線材の断面形状の外形にそれぞれ対応した直径を有する円を、該円の直径の大きい順に輪郭が接するように平面上に配置する際に、前記平面上に配置済みの円の中心点を結ぶ多角形の線分の中で所定の基準点に最も近い線分の両端に位置する円に接するように新たな円を配置する処理を、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置する毎に前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第1のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に3個配置した配置済みの円の重心とするとともに前記平面上に円を配置しても基準点を更新しない第2のモードと、前記基準点の初期位置を前記平面上に最初に配置した配置済みの円の中心とするとともに前記平面上に一つ前に配置した配置済みの円の直径が今回配置する円の直径の2倍以上大きいときに前記平面上に配置済みの全ての円の重心に基準点を更新する第3のモードとの3つのモードでそれぞれ行う配置手段と、
前記配置手段により前記平面上に配置した円を全て包含する包含円を、前記3つのモードのそれぞれについて前記基準点を中心としてそれぞれ作成する包含円作成手段と、
前記包含円作成手段により前記3つのモードのそれぞれについて作成されたそれぞれの包含円の直径を前記線材束の太さとして取得する取得手段と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項21】
請求項20に記載の線材束の太さ算出装置において、
前記包含円作成手段は、前記平面上で前記基準点を移動させて包含円を作成することにより包含円の大きさを更新して最小半径の包含円を作成する
ことを有することを特徴とする線材束の太さ算出方法。
【請求項22】
請求項20または21のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出装置において、さらに、
前記取得手段により取得された前記3つのモードのそれぞれにおける前記線材束の太さの中で最も小さいものを選択する最小選択手段と
を有することを特徴とする線材束の太さ算出装置。
【請求項23】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22のいずれか1項に記載の線材束の太さ算出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項25】
請求項23または24のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図16】
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【図19】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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