線状のピリダジンおよびピロール化合物、それらを得るための方法および適用
本発明は、線状のピリダジン化合物、より特定的には、オリゴピリダジン化合物であるもの、それらを得る方法、それらの使用、さらには、それらのピロールへの還元、得られたピロール、ピリダジニルピロールおよびオリゴピロール化合物の使用に関する。本発明は、特に、医薬として、特に、癌、細菌感染または寄生虫症等の症状の治療のための使用、さらには、材料、環境、エレクトロニクスおよび光学の分野における適用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状のピリダジン化合物、より特定的にはオリゴピリダジン化合物、それらを得るための方法およびそれらの適用、並びに、それらのピロールへの回帰(regression)、およびピロール、ピリダジン−ピロールおよびオリゴピロール化合物の種々の適用に関する。用語「オリゴピリダジン」および「オリゴピロール」は、複数の隣接窒素含有環を有する化合物を意味する。
【背景技術】
【0002】
80年代終盤以来、窒素化合物に適用する錯体化学は、相当な進展を体験した:こうした進展は、配位圏中に1以上の窒素官能基を有する有機金属化合物によって示される化学的および触媒的な性質の多様性に起因する。この多様性は、これらの錯体に含まれる窒素官能基:アミン、イミン、ニトリル、アジド等と主に関係している。
【0003】
錯体化学は、超分子化学において基礎的な役割を果たし、オリゴピリジンが最初に特別な注意をひいた領域である。オリゴピリジンは、多座配位子であり、これは、この錯体中の金属キレーションに含まれる窒素原子の数に従っても分類され得、二座(ビピリジン)、三座(テルピリジン)、四座(クアテルピリジン)等は、以下の構造を有する。
【0004】
【化1】
【0005】
2,2’−ビピリジンは、長らく、錯体化学において最も頻繁に、特に、それらがキラリティ因子誘導基の存在と関係する不斉誘導特性を呈する場合に用いられる配位子であった。最近、2,2’:6,2”−テルピリジン(tpy)は、より高い酸化状態の遷移金属を有する錯体の形成に有利な多座部位の式を有する新しい調査分野を開いた。この特性は、例えば、アルコールの酸化および芳香族化合物のカルボニル化のために用いられた。ごく最近では、このタイプの多座配位子の化学は、放射性廃棄物の改善のための触媒活性化に関してさらに進展した。
【0006】
種々の多座配位部位を表現するピリジンおよびピリミジンのユニットからなる不均一な構造は別として、ジアジンユニットを含むオリゴヘテロ環配位子についての研究は相対的にほとんどなされていなかった。
【0007】
このような配位子構造の例は、下記に示される:
【0008】
【化2】
【0009】
3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(80)の二座配位子についてなされた上げられる研究(非特許文献1;後述のスキーム参照)におけるように、ピリダジンヘテロ環を有する多座配位子は、それらが要求する精巧な合成方法のために、ごく最近になって開発されただけであったが、錯体化学におけるそれらの潜在性は、今や明らかである。
【0010】
【化3】
【0011】
さらに、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリジン(2)は、種々の金属、例えば、銀(I)の存在下に強い超分子組織化容量を証明した(非特許文献2)。
【0012】
【化4】
【0013】
2000年には、同一の著者は、ジクロロビピリダジン(17)前駆体からハロゲン化ビピリダジンのホモカップリングを通じてピリダジンテトラマーをどうにかして合成した(非特許文献3)。
【0014】
その二量体ホモログと同様に、このα,α’−テトラピリダジン配位子は、線状の幾何学構造を有し、したがって、1分子に対して多−二座(poly-bidentate)配位部位の配列のみを表すことができる。銀の存在下に、このテトラマー(クアテルピリダジン)は、ビピリダジン(2)による場合と同様に正方格子型の超分子配列を優先的に提供することになる。しかしながら、この場合、ピリダジン鎖の伸長により、結果として4つのモノマーの自己配列ももたらされ、これにより、結果として、正方格子によりバランスが取られたテトラマーから作られるヘリックス組織化がもたらされる。
【0015】
【化5】
【0016】
上記の化合物の高い潜在性を前提として、およびこれらの化合物およびそれらの類似体(多数ではない)の合成のための標準化可能なルートがないことを前提として、本発明者らは、新世代のピリダジンおよびピロール配位子のための道を開くことを決めた。
【0017】
今までのところ、以前の研究において、本発明者らは、モノピリダジンをモノピロールに電気化学的に還元するための方法を考案した(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】ホーゲンボーム・アール(Hoogenboom, R)ら著、「Eur. J. Org. Chem.」、2003年、p.4887)
【非特許文献2】バクスター・ピー・エヌ・ダブリュー(Baxter, P.N.W.)、リーン・ジェイ・エム(Lehn, J.- M.)、フィッシャー・ジェイ(Fisher, J.)、ヨウイノウ・エム・ティー(Youinou, M.-T.)著、「Angew. Chem.」、1994年、第106巻、p.2432
【非特許文献3】バクスター・ピー・エヌ・ダブリュー(Baxter, P.N.W.)、リーン・ジェイ・エム(Lehn, J.- M.)、バウム・ジー(Baum, G.)、フェンスク・ディー(Fenske,D.)著、「Chem.Eur.J.」、2000年、第6巻、p.4510
【非特許文献4】マヌ・ジー・ティー(Manh G.T.)ら著、「Electrochimica Acta」、2002年、p.2833
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明者らは、オリゴピリダジン化合物の電気化学的還元は、分子の構造的および電気的特性を大きく改変する可能性がある複数の隣接ピリダジン環の存在にも拘わらず、決定されるべき条件下に達成され得ると仮定した。
【0020】
この仮定の検証のための最初のステップにおいて、本発明者らは、オリゴピリダジン化合物を合成するためのルートを考案しなければならなかった。開発された合成ルートは多数である。それらの一つは、特に、Lehnらによって上述の出版物において提案された合成ルートの最適化に関する。この合成は、純粋に有機的であるが、その他は、電気化学的に達成された。
【0021】
さらに、この化学的な合成ルートの結果、新しい置換ビスピリジニル−ピリダジン化合物、特に、不斉化合物が調製された。
【0022】
一旦、オリゴピリダジン化合物が用意された後に、オリゴピロールの還元が挑戦され得た。予想外に、この還元は、本発明者らによって考案されかつ最適化された特定の条件下に効果的であるだけでなく、ピリダジン残基の環化または任意の他の可能性のある二次的な反応を生じさせない。さらに、還元はまた、ピリダジン環からピリダジン環へとわたって達成され得、それ故に、分子上に1以上の還元部位が提供され、混合型のピリダジニル−ピロール化合物を調製するための道が開かれる。
【0023】
本発明者らはまた、これらの新化合物の潜在的な生物学的適用を確認しようと試みた。これらの化合物は、非常に興味深い治療特性、特に、抗寄生虫、抗癌および抗菌特性を有することが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0024】
したがって、本発明は、線状のピリダジン配列、より特定的には、置換ビスピリジニル−ピリダジンおよびオリゴピリダジン化合物、それらを得るための方法、その適用、並びに、電気化学的なオリゴピリダジンからオリゴピロールへの還元法、得られるピロール、より特定的には、ビスピリジニル−ピロールおよびオリゴピロールおよびその適用に関する。
【0025】
第一の態様において、本発明は、式:
【0026】
【化6】
【0027】
(式中、
−n=1ならば、
−Aが式:
【0028】
【化7】
【0029】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基ならば、
−Y基は、同一または異なって、式:
【0030】
【化8】
【0031】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
− Aが式:
【0032】
【化9】
【0033】
の基ならば、
−Y基は、同一であって、式:
【0034】
【化10】
【0035】
の基を示すか、または、Y基は、異なって、式:
【0036】
【化11】
【0037】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
−A基は、同一または異なって、式:
【0038】
【化12】
【0039】
の基を示し、
−Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)を示すか、または、
【0040】
【化13】
【0041】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1(R1は上記に定義された通りである)を示す)
から選択された基を示す)
を有する化合物に関するが、ただし、以下の化合物は除く:
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール、
− 6,6−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3’’’]クアテルピリダジン、
− 6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン。
【0042】
ビスピリジニル−モノ−およびオリゴピリダジン化合物の調製が以下に記載される。モノ−およびオリゴピロール化合物および対応するピリダジニル−ピロール化合物は、Manh G.T. et al., Electrochimica Acta, 2002, 2833において記載された還元方法の最適化によって得られる。
【0043】
R’−置換モノピロール化合物も、電気化学的還元によって、背景技術において既に記載されたR’−置換ピリダジン化合物から調製される。この場合、ピリダジン化合物は、ビピリジル−テトラジンとアセチレンとの間の標準的なディールス・アルダー反応を用いて得られる(例えば、前述のHoogenboom et al., を参照)。
【0044】
しかしながら、いくつかのモノピリダジン並びにオリゴピリダジンおよび対応するオリゴピロールは、以降に記載される本発明の方法を用いて完全に調製される。
【0045】
アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンおよびアルキルオキシ鎖は、好ましくは、メチル、ヒドロキシメチル、メチルアミンおよびメトキシ基であり、A基は同一である。
【0046】
本発明は、より特定的には、n=1である場合、Mは水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH基である化合物、好ましくは下記化合物に関する:
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン)。
【0047】
これらの化合物は、以下の実施例、特に実施例6〜7および9〜11においてさらに詳細に記載される。
【0048】
n=2である場合、Y基は、同一または異なって、好ましくは、置換されてもよい2−ピリジニル基または−C(CH2)OR1基(R1は、1〜6個の炭素を有するアルキル鎖、好ましくはエチル鎖である)を示す。
【0049】
以下の化合物が、実施例1〜5および8において具体的に記載されている:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}。
【0050】
本明細書において、一方で用語「オリゴピリダジン」および「オリゴピリダジン化合物」および他方で「オリゴピロール」および「オリゴピロール化合物」は置き換え可能に用いられる。これらの用語は、複数の隣接環、好ましくは2〜4個の環を有する化合物を意味する。
【0051】
第二の態様において、本発明は、上述の化合物を得る方法に関する。
【0052】
本発明の範囲内の第一の方法は、式:
【0053】
【化14】
【0054】
(式中、M1置換基は、同一または異なって、水素、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素を有する)を示す)
を有する化合物を調製する方法であって、式:
【0055】
【化15】
【0056】
の化合物を、式:
【0057】
【化16】
【0058】
(式中、Z1およびZ2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(Bはメチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)
の化合物とスティル−カップリング(Stille-coupling)させることによる、方法である。
【0059】
スティル−カップリング反応は、パラジウム(0)触媒カップリング反応であり、炭素−炭素結合を生じさせるものである。パラジウム(0)は、好ましくは、反応媒体中にテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの形態で導入される。反応は、還流下に有機溶媒、好ましくはトルエン、DMF(ジメチルホルムアミド)、THF(テトラヒドロフラン)、HMPA(ヘキサメチルホスホロトリアミド)、N−メチルピロリドン中で行われる。
【0060】
この合成ルートの利点は、ピリジン環上の置換基を選択することによって不斉ピリダジン化合物(ビピリジン−2−イル)が得られることにある。
【0061】
次いで、本発明による化合物からのカルボキシル基の導入が以下の方法によって行われ、これによりモノ−またはジカルボキシル化された化合物が提供される。したがって、これは、式:
【0062】
【化17】
【0063】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、M2置換基の少なくとも1つは、−COOH基であり、他の置換基は、あるいは、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルオキシ鎖であり得る)
を有する化合物を調製する方法であって、アリルまたは芳香族の酸化剤、例えば、二酸化セレンまたは酸化クロムの存在下にメチル前駆体を酸化することによる、方法である。
【0064】
有利には、用いられる溶媒は、酸化反応のための標準的な溶媒、例えば、o−ジクロロベンゼンである。反応が行われる好ましい温度は100〜160℃、優先的には120〜140℃である。
【0065】
本発明はまた、式:
【0066】
【化18】
【0067】
(式中、D基は、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルオキシ鎖(好ましくは、メトキシまたはエトキシ鎖)であり、nは、2〜4の整数(両端値を含む)
を有する化合物を調製する方法であって、蒸留されかつ脱気されたジメチルホルムアミド中の、亜鉛、ニッケル・ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)およびヨウ化テトラブチルアンモニウムの化学量論の混合物の存在下に式:
【0068】
【化19】
【0069】
(式中、Xはハロゲンであり、Dは上記に定義した通りであり、mは1〜3の整数(両端値を含む)である)
を有する少なくとも2つのハロピリダジンをカップリングさせ、脱錯体化(decomplexation)による精製の段階を行うことによる方法を提供する。
【0070】
ハロゲン官能基は、このカップリング反応において反応性の官能基である。
【0071】
反応は、50〜60℃で起こる。
【0072】
この方法は、Lehn et al.によって提案された、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンの合成についての方法の代替である。
【0073】
最適化された条件は、特に、反応媒体中の現場での発生ではなく、ニッケル・ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)より前の調製、並びにヨウ化テトラブチルアンモニウムの使用である。有利には、ニッケル・ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)およびヨウ化テトラブチルアンモニウムは、1:0.3:1の比で導入される。下記の実施例において、反応が行われる温度は、50〜70℃である。
【0074】
有利には、この方法において、オリゴピリダジン分子中のピリダジン環の数は増加し得る。
【0075】
精製段階は、媒体中の反応生成物の脱錯体化のために必要である。精製方法は、2つの相異なる手順のいずれか一方によって達成され得る。
【0076】
第一の手順において、化合物の精製は、シアン化カリウムまたはナトリウムで飽和した冷水溶液中における1.5〜4時間、好ましくは2〜3時間にわたる前記化合物の脱錯体化によって行われる。
【0077】
「冷」とは、本明細書において0〜25℃、好ましくは18〜20℃の範囲にわたる温度を意味する。
【0078】
第二の手順において、化合物の精製は、ハロゲン化カリウムまたはハロゲン化テトラブチルアンモニウム、好ましくはフッ化カリウムで飽和した水溶液または飽和アンモニア中で前記化合物を脱錯体化し、次いで、有機相を炭酸水素ナトリウムまたはカリウムにより洗浄し、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エーテル等により抽出することにより達成される。
【0079】
本発明はまた、式:
【0080】
【化20】
【0081】
(式中、
− n=1ならば、
Y1基は、異なって、式:
【0082】
【化21】
【0083】
(ここで、M3は、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)である)
の基を示し、
− nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
Y1基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【0084】
【化22】
【0085】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基を示す)
を有する化合物を調製する方法であって、1:2〜1:3の範囲にわたる比において、式:
【0086】
【化23】
【0087】
を有する化合物を、式Y1−Z2(ここで、Z1,Z2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(Bはメチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)を有する化合物とスティル・カップリングさせることによる、方法に関する。
【0088】
本発明はまた、ネギシ・カップリング方法から示唆される2つの調製方法を提供する。
【0089】
これは、式:
【0090】
【化24】
【0091】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖を示す)
の化合物を調製するために用いられる方法であって、式:
【0092】
【化25】
【0093】
(式中、X基は水素であり、nは、上記に定義された通りである)
の化合物を、式:
【0094】
【化26】
【0095】
(式中、XおよびTは上記に定義された通りである)
の化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下にカップリングさせることによる、方法である。
【0096】
この方法によると、二重のカップリングが可能であり、本発明者らはまた、式:
【0097】
【化27】
【0098】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖を示す)
の化合物の調製方法であって、式:
【0099】
【化28】
【0100】
(式中、nは上記に定義した通りである)
化合物を、式:
【0101】
【化29】
【0102】
(式中、Xはハロゲンである)
を有する化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下に選択的にカップリングさせることによる、方法を考案した。
【0103】
有利には、これらの2つの方法において、溶媒はTHFまたはエーテルであり、亜鉛ベースの試薬はZnCl2であり、パラジウム(0)は、(Pd(Ph3)4)またはPd2dba3である。
【0104】
本発明はまた、新規前駆体:3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンの調製を提供する。
【0105】
この分子は、2つの新方法に必要とされる:3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンを調製する方法であって、パラジウム(0)の存在下に3−クロロ−6−メトキシピリダジンを2−トリアルキルスタニルピリジンとカップリングさせることによる方法、および、6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オンを調製する方法であって、3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンを加水分解することによる方法。
【0106】
本発明はまた、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンを調製する方法であって、ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在下に3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンをホモカップリングさせることを通じた、方法に関する。
【0107】
これらの合成ルート(これらは、事実上純粋に有機的である)に対する代替として、本発明者らはまた、電気化学的な合成ルートを考案した。
【0108】
したがって、本発明は、式:
【0109】
【化30】
【0110】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y2はハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、
【0111】
【化31】
【0112】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)またはフェニルを示す)
から選択される基である)
を有するハロゲン化ピリダジンを電気化学的にホモカップリングさせる方法であって、
以下の電気分解条件下:
− アノードは、少なくとも50%の鉄から作製される;
− 電気分解媒体は、ニッケルと、ハロゲンから選択される元素と、ピリジンまたはその誘導体の一種とを含有する;
に行われる方法を提供する。
【0113】
好ましくは、用いられるアノードは、Fe/Ni(64/36)アノードである。有利には、反応の溶媒は、少なくとも50%のDMFおよび極性の共溶媒を含有する。例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)およびピリジンの混合物が、90/10〜50/50の範囲(両端値を含む)の比で用いられ得るが、好ましくは80/20である。優先的に用いられる触媒は、ニッケル錯体、例えば、ハロゲン化ニッケル水和物である。溶媒がピリジンを全く含有しない場合、ハロゲン化ニッケルビピリジンを触媒として用いることによって利点が得られ得る。
【0114】
支持電解質は、好ましくは、ハロゲン化テトラブチルアンモニウムまたは等価体、例えば、テトラブチルアンモニウム・テトラフルオロボラートであり、そのモル濃度は、ピリダジン基質に関して10〜20%、好ましくは13〜17%の範囲(両端値を含む)である。
【0115】
反応のために用いられるアンペア数は、例えば、0.05〜0.2A(両端値を含む)、好ましくは、0.06〜0.1Aである。反応は、室温(一般的に20〜25℃)で行われ得る。
【0116】
さらに、本発明はまた、式:
【0117】
【化32】
【0118】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y3はハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【0119】
【化33】
【0120】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)またはフェニルを示す)
から選択される基を示す)
を有するハロゲン化ピリダジンを、式Ar−X(ここで、Xは上記に定義された通りであり、Arは5〜6個の連結を有する置換されてもよい芳香族環である)の芳香族環を含むハロゲン化物と電気化学的にヘテロカップリングさせる方法であって、
以下の電気化学的条件下:
− アノードは、鉄から作製される;
− 触媒は、ハロゲン化ニッケルビピリジンから選択される;
に行われる方法を提供する。
【0121】
この反応は、下記の実施例3において具体的に記載される。
【0122】
好ましくは、用いられる溶媒はDMFであり、支持電解質は、好ましくは、ハロゲン化テトラブチルアンモニウムまたは等価体、例えば、テトラブチルアンモニウム・テトラフルオロボラートであり、モル濃度は、ピリダジン基質に関して10〜20%(両端値を含む)、好ましくは13〜17%である。反応のために用いられたアンペア数は、例えば、0.15〜0.35A(両端値を含む)、好ましくは0.2A前後である。反応は、室温(一般的には20〜25℃)で行われ得る。
【0123】
芳香環は、好ましくは、フェニル、ピリジンまたはトリフェニル環であり、場合によっては置換される。
【0124】
本発明者らの研究の基礎であるオリゴピリダジンからオリゴピロールへの還元法は、以下に記載される。実施例4および5は、具体的にこの方法に関する。
【0125】
この方法は、式:
【0126】
【化34】
【0127】
(式中、nは2〜4の整数(両端値を含む)であり、Y4基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【0128】
【化35】
【0129】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基またはフェニルを示す)
を有する化合物の電気化学的な1以上のピリダジン環上への窒素原子の押出によるピロール還元であって、以下の電気分解条件下:
− アノードは、広い面積を有する電極である;
− 電気分解媒体は、プロトン供与極性媒体である;
に行われる還元を提供する。
【0130】
例えば、プロトン供与極性媒体は、プロトンドナー(例えば、フェノール、酢酸等)を有する有機極性溶媒(例えば、DMF、アセトニトリル等)から作製され得るが、場合によっては、得られた媒体が導電性でない時には、有機極性溶媒は、支持電解質、例えば、第四級アンモニウム塩または酸−アルコール水性媒体を含む。
【0131】
有利には、第四級アンモニウム塩は、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウムまたは硫酸水素テトラブチルアンモニウムから選択され、酸−アルコール媒体は、硫酸または酢酸とエタノールの混合物である。
【0132】
これらの媒体は、実施例4〜8における詳細な説明の対象である。
【0133】
好ましくは、カソードは、直径4.5cmを測定する水銀膜電極、大面積の炭素電極またはスクリーン印刷炭素電極(screen-printed carbon electrode)から選択される。
【0134】
用いられるアンペア数は、10〜50mAの範囲にわたる。反応は、室温(一般的には20〜25℃)で行われる。
【0135】
考慮される基質により変動する賦課される還元電位は、電気分解の間のクーロン、すなわち、モノピロールについては4、ビピロールについては8等の用いられる電子数の消費を制御するように制御されなければならない。
【0136】
この方法は、ピリダジン環のピロールへの還元に関して本発明者らによって行われた研究を終わらせる(Manh G.T. et al., Electrochimica Acta, 2002, 2833)。
【0137】
予想外にも、この電気化学的還元−モノピリダジンに関して機能する−は、適切な反応条件下にオリゴピリダジン化合物に関しても効果的であることが分かった。
【0138】
環の電子環境の改変のためにピリダジン環の回帰を達成することは容易ではなかった;この改変は、分子内で反応しなければならなかったピリダジン環が、その時までは、同様に反応する可能性がある他の同一の環に隣接していたという事実に主として起因する。さらに、この改変は、異なる電解還元特性を有する合成中間体を発生させる可能性もある。さらに、回帰が達成され得る場合、複数の隣接ピリダジン構造上で同時に行われる電気化学的還元工程が相互作用し、例えば、場合によっては分解または内部転位あるいはピロール配列ではなくジ−またはテトラヒドロピリダジン中間体を与える部分的な還元につながる可能性がある。(ピリダジン環からピリダジン環へ)順次的であることが分かっている回帰の場合、目的は、その時に存在する混合系の還元電位についての第一のピロールまたはジヒドロピリダジン中間体の可能な形成の影響を推定することにあった。
【0139】
「回帰(regression)」とは、本明細書では、酸媒体中の2工程の還元を意味し、回帰は、電気化学的還元のメカニズムの結果である。
【0140】
それらの研究の結果、本発明者らは、オリゴピリダジン化合物の還元のための手順を考案し、この還元は電気還元法の間の電子数および印加する電位に応じて事実上同時的または順次的かのいずれかであることを証明した。
【0141】
回帰法により、新規な少数生成物も合成された。これらの生成物は、以下の通りである:
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、
− 6−(6−メチルピリジン−2−イル)−3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[5−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン。
【0142】
上記方法の全てにおいて、アルキルおよびアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)が参照がされる。有利には、前記鎖は、1〜3個の炭素原子を含み、好ましくは、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシ鎖である。
【0143】
第三の態様によると、本発明の目的は、合成された化合物の複数の適用を網羅することである。
【0144】
本発明による化合物は、配位子として用いられるように特にうまく適応させられる。
【0145】
特に、これらの化合物は、特に、鉄、銅、ルテニウム、ユーロピウム、銀およびビスマスのカチオンに関する限りにおいて、金属イオンと特にうまく錯形成する配位子である。それらは、単独でまたは互いに関連する複数の同一配位子として用いられ得る。
【0146】
無制限の配位子の例として、本発明による化合物から発生した金属カテナンが挙げられるべきである。
【0147】
さらに、本発明者らは、この化合物の可能な生物学的特性を研究し、興味深い治療特性を確認した。
【0148】
したがって、本発明は、薬物としての使用のための下記式を有する化合物に関する。
【0149】
【化36】
【0150】
(式中、
−n=1ならば、
− Aが、式:
【0151】
【化37】
【0152】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であるならば、
−Y基は、同一または異なって、式:
【0153】
【化38】
【0154】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
− Aが式:
【0155】
【化39】
【0156】
の基であるならば、
−Y基は、同一であって、式:
【0157】
【化40】
【0158】
の基であるか、または、Y基は、異なって、
【0159】
【化41】
【0160】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、 −CONHR1(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
−A基は、同一または異なって、式:
【0161】
【化42】
【0162】
の基を示し、
−Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)または
【0163】
【化43】
【0164】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはヒドロキシアルキル鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、フェニル、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)を示す)
から選択された基を示す)
好ましくは、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)は、メチル、ヒドロキシメチル、メチルアミンまたはメトキシ鎖である。
【0165】
本明細書において、上記に列挙された化合物および以下に与えられる好ましい化合物は、「薬物として使用可能な化合物」として参照される。
【0166】
より好ましくは、上記式において、nは2であり、Yは、置換されてもよい2−ピリジニル基または−C(CH2)OR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である。
【0167】
事実、薬物として使用可能な化合物の大部分は新規であり、そうでないものは、それらの治療特性に関して研究されなかったようである。
【0168】
本発明は、具体的には、薬物として使用可能な以下の化合物を包含する:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’− ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3”‘]−クアテルピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}
これらの化合物の治療的な興味は、以下の実施例42においてさらに詳細に記載される。本発明はまた、有効成分として、本発明の薬物として使用可能な化合物を有する治療用組成物を提供する。
【0169】
本発明はまた、本発明の薬物として使用可能な化合物であって、n=1であり、M基がハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または−COOHであるものを薬物としての使用のために提供する。
【0170】
有利には、M基は、同一または異なって、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または−COOH基を示す。
【0171】
本発明は、具体的には、薬物としての用途のための以下の化合物を包含する。
【0172】
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール。
【0173】
より特定的には、本発明の薬物として使用可能な化合物は、結果として治療的適用をもたらし得る複数の生物学的適用を有する。
【0174】
第一の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、核酸と選択的に錯形成することができる。特に、それらは、DNAおよびRNA(その中でもHIV)の選択的錯体形成剤として用いられ得る。それらは、ウイルスのRNA上のそのプライマーを阻害することによって細胞の逆転写酵素に作用する。したがって、それらは、抗ウイルス薬の調製に特によく適している。これらの化合物はまた、DNA制限剤(メタロヌクレアーゼ)として、特に、それらがCuタイプの金属と錯形成させられる場合に用いられ得る。
【0175】
第二の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、癌性細胞に向けて細胞毒性活性を有する。したがって、それらは、抗癌薬の調製に特によく適している。
【0176】
好ましくは、本発明と関係する癌は、癌腫(carcinoma)、例えば、耳、鼻または咽喉の癌腫、肺の癌腫、子宮の癌腫、消化器系の癌腫(食道、結腸、肝臓)、皮膚の癌腫、乳房の癌腫、前立腺の癌腫、卵巣の癌腫等である。具体的には、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジンおよび6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−チオン、3,6−ビスピリジン−2−イルピリダジンおよび3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−ピリジン−2−イルピリダジンは、癌腫細胞モデルにおいて非常に高いレベルの細胞毒性活性を示した:KB、Caco、Huh7および繊維芽細胞についてインビトロ試験)。
【0177】
第三の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、tonBタンパク質を阻害することによって細菌における鉄の伝達の調節に作用する。
【0178】
鉄は、細菌感染に必須である。それにもかかわらず、細菌は、必要とする鉄をそれらの環境から取り出さなければならない。鉄は、常時、トランスフェリン、ラクトフェリン、ヘモグロビン等のタンパク質と結合している。その結果として、細菌は、鉄を取り出すためにTonBタンパク質を必要とする非常に精巧なシステムを有する。
【0179】
特に、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジンは、大腸菌の成長を阻害することができることが分かった。
【0180】
したがって、これらの化合物は、抗菌薬、例えば、赤痢または髄膜炎の治療用のものの調製に特によく適している。
【0181】
第四の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物はまた、寄生虫症の治療用の薬物を開発するために用いられる。本発明が関わる寄生虫症は、特に、リーシュマニア症、アスペルギルス症およびカンジダ症である。
【0182】
この特定の治療的適用のために、有利な用途は、式:
【0183】
【化44】
【0184】
(式中、
− nは1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− M4基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH、COOR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)を示す)
を有する化合物、より特定的には、下記に列挙された化合物によってなされる。
【0185】
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、および
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン。
【0186】
第五の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、放射性配位子に関して大きな関心のある放射性金属の媒介物(vector)である。その結果として、それらが適切な金属、例えば、ビスマスまたはユーロピウムと錯形成する場合、それらは、放射免疫療法のための薬物を提供する。
【0187】
この特定の治療適用のために、好ましい化合物は、A基が式:
【0188】
【化45】
【0189】
(式中、R’は、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)
を有する基である式によって示される。
【0190】
これらの化合物は、三座または四座である、N,O−混合型またはN−供与性(N-donating)配位子である。したがって、それらは、金属イオンの錯形成に特によく適している。
【0191】
本発明者らはまた、環境、材料およびエレクトロニクスの分野において確定した適用を有する。
【0192】
本発明による化合物は、有利には、液体媒体中のカチオンの改善のために用いられ得る。このことは、Aが式:
【0193】
【化46】
【0194】
(式中、nは2〜4(両端値を含む)であり、Y基は、同一または異なって、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子であり、場合によっては環式である)、−COOH、−COOR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)、−CONH2を示す)
の基である式によって示される化合物に特に当てはまる。
【0195】
上記に挙げられたように、これらの化合物は、金属イオンの錯形成に特によく適している。それらは、場合によっては、単独でまたは互いに関連する複数の同一の配位子として用いられ得る。
【0196】
さらに良好には、本化合物は、以下から選択される:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンおよび
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン。
【0197】
カルボン酸、特に、α−ブロモカプリン酸と組み合わせた本発明による化合物の利点が本発明者らから得られ得る。本発明者らは、この特定の組合せが特にアクチニドカチオンに関して実施された時はいつでも改善活性における相乗作用の存在に注意した。
【0198】
本発明はまた、本発明による化合物の超分子組織を有する材料を包含する。特に、本発明によるいくつかの化合物は、自己集合特性を示す。その他のものは、金属カチオンの周りに自己集合し得る。
【0199】
さらに、これらの材料は、有利な線形光学特性も示す。特に、それらは、液晶、光ファイバ等を開発することを可能にする。
【0200】
本発明の他の特徴および利点は、以下の実施例において、図面を参照しながら明らかにされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、調製の電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラムを示す:媒体:0.5mol・L−1 H2SO4、エタノール(1/1),C=6×10−3mol/L,v=100mV/s。
【図2】図2は、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)の調製の電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラムを示す(−電気分解前、−−電気分解中、−電気分解の終了時);ガラス質炭素電極,v=100mV/s。
【図3】図3は、酢酸/エタノールバッファ媒体中の溶媒および3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジンのサイクリック・ボルタモグラムを示す;C=10−3mol・L−1、V=100mV/s。
【図4】図4は、酢酸/エタノールバッファ媒体中の4−カルボメトキシ−3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(84)および3,6−ビス(ピリジン−4−イル)−ピリダジン(81)のサイクリック・ボルタモグラムを示す;C=10−3mol・L−1、V=100mV/s。
【図5】図5は、4−(1−ヒドロキシエチル)−3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(82)の調製電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラムを示す(−電気分解前、−−電気分解中、−電気分解の終了時);ガラス質炭素電極、v=100mV/s。
【図6】図6は、カソード区画における調製電気分解の終了時の種々のピロール誘導体のボルタモグラムを示す;ガラス質炭素電極、v=100mV/s。
【図7】図7は、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)の調製電気分解のボルタモグラムを示す;ブランク=生成物欠失下の基準のボルタモグラム。elec 0=時間0のコントロールのボルタモグラム;elec 1=8電子消費後のボルタモグラム。
【図8】図8は、6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(105)の調製電気分解のボルタモグラムを示す。
【図9】図9は、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)のUV−可視および蛍光吸収スペクトルを示す。
【図10】図10は、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)のUV−可視および蛍光吸収スペクトルを示す。
【図11】図11は、6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(105)のUV−可視および蛍光吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0202】
(実験の部に関する一般的な条件および手順)
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)
1Hおよび13CのNMRスペクトルは、Bruker Avance300分光計を用いて記録された。照射周波数は、それぞれ、300MHzおよび75.5MHzであり、化学置換は、内部標準としてのテトラメチルシランに対するparts per million(ppm)で与えられる。結合定数は、ヘルツ(Hz)で与えられ、シグナルの多重度は、次のように記載される:s(シングレット)、brs(ブロード・シングレット)、d(ダブレット)、dd(ダブレット・オフ・ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)。
【0203】
UVおよび蛍光分析
UV−可視吸収スペクトルは、Shimadzu UV-2401PC分光計を用いて記録された。蛍光スペクトルは、Fluoromax SPEX蛍光分光計を用いて記録された。上記に列挙された装置を用いて記録された全てのスペクトルは、UV−可視石英セル(1cm)において行われた。
【0204】
気相クロマトグラフィー(GC)
クロマトグラムは、HP 6890装置を用いて記録された。この装置には、JW 1701カラム(30m×0.25mm,固定相:シアノプロピル−フェニル−メチルシラン)、水素炎イオン化検出器、およびベクトルガスとしての窒素が備えられている(流量=1.3mL/分)。炉の温度は、次のように調整された:80℃で1分、次いで、1分あたり12℃で280℃まで昇温。
【0205】
薄層クロマトグラフィー
全ての反応は、薄層クロマトグラフィーによって追跡された(アルミニウムシート上のKieselgel 60F254 Merck)。プレートは、UV光またはMohrテスト(10%水中FeSO4)によって曝露された。
【0206】
質量分析(MS)
マススペクトルは、Thermoelectron DSQ装置を用いて、電子衝撃(electronic impact:EI)(70eV)、化学イオン化(chemical ionisation:CI)(アンモニア性)、直接導入またはGC−MSカップリングによって記録された。
【0207】
溶媒
用いられた全ての溶媒は、合成用の高純度な形態で購入された。テトラヒドロフラン(tetrohydrofuran:THF)は、アルゴン下にナトリウム/ベンゾフェノンにより新たに蒸留された。ジクロロメタン(dichloromethane:DCM)およびN,N−ジメチルホルムアミド(dimethylformamide:DMF)は、アルゴン下に水素化カルシウムにより新たに蒸留された。トルエンは、アルゴン下にナトリウムにより新たに蒸留された。
【0208】
手順A:ウルマンタイプのホモカップリングの一般的手順
臭化テトラブチルアンモニウム、粉末状の活性化亜鉛およびニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィンが丸底フラスコに加えられる。混合物は、真空下に乾燥させられ、アルゴン下に置かれる。新たに蒸留されかつ脱気されたDMFが媒体にカニューレ挿入される。溶液は、均一な溶液が得られるまで室温で攪拌される。ハロピリダジンが新たに蒸留され、脱気されかつ反応媒体にカニューレ挿入されたDMFに溶解される。溶液は、15時間にわたって55℃で攪拌される。黒色がかった溶液は、室温に冷却され、アンモニア(25N)により処理され、DCMにより抽出される。Na2SO4による有機相の乾燥および減圧下の溶媒留去の後、残渣が精製される。
【0209】
手順B:酸加水分解の一般的な手順
冷却管を取り付けた丸底フラスコ中で、メトキシピリダジンおよび酢酸中33%HBr溶液が、48時間にわたって60℃で攪拌される。次いで、溶液は冷却され、真空下に濃縮される。沈殿物がろ過され、アセトンにより洗浄される。灰色がかった固体は水に懸濁させられる。溶液は還流させられ、1MのNaOH溶液により中和される。沈殿物はろ過され、水により洗浄され、真空下に乾燥させられる。
【0210】
手順C:一般的な塩素化手順
POCl3およびピリダジノンが、冷却管が取り付けられた丸底フラスコ中で18時間にわたって還流下に加熱される。室温に戻される際に、過剰のPOCl3が真空下の蒸留によって除去され、残渣は氷により加水分解される。次いで、溶液は、1Mのソーダの添加によって中和され、ジクロロメタンにより抽出される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。
【0211】
手順D:スティル・カップリングの一般的な手順
予め乾燥させられた試薬(ハロアリール、スタニルピリジン、パラジウム触媒)が、冷却管が取り付けられた丸底フラスコにアルゴン下に加えられ、新たに蒸留されかつ脱気された溶媒が反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、出発物が完全に消失するまで加熱されかつ攪拌される。室温に戻される際に、溶媒は減圧下に留去され、残渣はDCM中に溶かされる。次いで、溶液は、セライトを通じてろ過され、DCMにより洗浄される。次いで、有機相は、濃アンモニア(25N)およびKF飽和溶液により順次に洗浄される。有機相はNa2SO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。
【0212】
手順E:ネギシ・カップリングの一般的な手順
新たに蒸留されかつ脱気されたTHF中のブロモピリジン溶液(1.6当量)が、冷却管が取り付けられた三つ口丸底フラスコにおいて−78℃に冷却される。ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,1.6当量)が、徐々に加えられ、反応媒体は、30分間にわたって−78℃で攪拌される。脱気THF中の塩化亜鉛溶液(予め昇華させられる,1.6当量)が、−78℃で反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、室温で30分間にわたって攪拌され、次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1当量)およびハロピリダジン(1当量)のTHF溶液が、反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、48時間にわたって、基質に応じた温度で攪拌される。媒体は、NaHCO3飽和溶液により処理される。溶液は、セライトを通じてろ過され、DCMおよび濃アンモニア(25N)により順次に洗浄される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。
【0213】
手順F:電気化学的な環縮小の一般的な手順
還元されるべき化合物が、三溶媒系(THF/酢酸バッファ/CH3CN:5/4/1)または0.5MのH2SO4中のいずれかに溶解させられ、電気化学セルのアノード区画に置かれる。同一の溶媒系が、カソード区画中に置かれ、8電子が通るまで適切な電圧が印加される。必要に応じて、有機相は、真空下に溶媒留去される。次いで、水相は、アルカリ性のpHに達するまでNa2CO3飽和溶液により処理される。媒体は、DCMにより抽出され、有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、真空下に濃縮される。残渣は、シリカのカラムクロマトグラフィーによって精製される(EP/AcOEt:比は化合物に応じる)。
【0214】
(実施例1: 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)、6,6’−ビス(5−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)および6’6’−ジピコリン−4,4’−ジメチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105)の合成)
1. 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)の合成
6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)を得るための第1の従来のルートは、以下の逆合成分析(逆合成1)に従って考えられた。この逆合成分析は、J.M. Lehn (Baxter, Lehn et al., 2000) によって開発された戦略から着想された。
【0215】
【化47】
【0216】
ビピリダジン(19)を得るために種々の合成ルートが考えられた。
【0217】
ルート1
ビピリダジン(15)は、触媒:ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在下の3−クロロ−6−メトキシピリダジン(14)のホモカップリングを通じて36%の収率で達成される。ビピリダジン(16)は、酸加水分解の後に98%の収率で得られる。次いで、化合物(16)は、塩素化され、スタニルピリジン(18)の存在中にスティル・カップリング条件下に置かれ、予想される生成物(19)が与えられる。
【0218】
【化48】
【0219】
第1工程において導入されたビピリダジン・ユニットは、抽出の間に潜在的に問題になり得る錯体化特性を有する;したがって、第2の合成ルートが考えられた。第2の合成ルートの目的は、最終工程の間にこのユニットを導入することである。
【0220】
ルート2
スタニルピリジン(18)が、3−クロロ−6−メトキシピリダジン(14)の存在中にスティル・カップリング条件下に置かれる。メトキシピリダジン(102)が77%の収率で得られる。酸加水分解および塩素化の後、ピリダジノン(7)およびクロロピリダジン(8a)が、それぞれ、40%および77%の収率で得られる。ビピリダジン(19)は、ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在中の3−クロロ−6−ピリジルピリダジン(8a)のホモカップリングを通じて12%の収率で得られる。
【0221】
【化49】
【0222】
スズの使用を回避するためおよび工程数を減らすために第3の合成ルートが開発された。
【0223】
ルート3
この合成ルートは、有機亜鉛誘導体とハロゲン化ピリダジンとのネギシ・カップリングを用いる。亜鉛ピリジンは、現場(in situ)で、2−ブロモピリジンからブチルリチウムおよび塩化亜鉛の存在下に形成される。次いで、3−クロロ−6−ヨードピリダジン(103)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の溶液が、カニューレ挿入されて、化合物(8a)が62%の収率で与えられる(最初の工程)。ビピリダジン(19)は、ホモカップリングを通じて達成される。
【0224】
【化50】
【0225】
ネギシ・カップリング法を最適化するために第1工程の研究が着手された。この研究の結果、室温で3,6−ジクロロピリダジンではなく3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103)を用いることによって収率は14%から62%に上がった。反応は、モノ置換生成物のみを提供し、ジ置換生成物は、加熱した際にのみマイナーな生成物として現れる。
【0226】
【表1】
【0227】
ホモカップリング反応において用いられたニッケルは、最後の工程において分子の抽出を困難にし得る。したがって、第4のルートが開発された。
【0228】
ルート4
この合成ルートは、ルート1とほぼ同じであるが、最終化合物中の痕跡量のスズの存在を回避するためにスティル・カップリングはネギシ・カップリングと置き換えられる。
【0229】
【化51】
【0230】
2. 6,6’−ビス(5−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)(6,6’−ジピコリン−2−イル−[3,3’]ビピリダジンとも呼ばれる)の合成
ルート1
スキーム12に記載された手順がまた、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)の調製のために再生され、これは37%の収率で得られた。スティル・カップリング反応が、この場合、6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)から、6−メチル−3−トリブチルスタニルピリダジン(22)の存在下に行われた(スキーム9)。
【0231】
【化52】
【0232】
ルート2
この合成ルートは、上記のルート4に対応する。
【0233】
【化53】
【0234】
3. 6,6’−ジピコリン−4,4’−ジメチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105)の合成
【0235】
【化54】
【0236】
用いられた合成ルートは、これも、項目1のルート4に対応する。6−メチルピリジン基へのさらなるメチル置換基の付加は、化合物の溶解性を大きくし、それ故に、電気化学的な環回帰を促進する。
【0237】
【化55】
【0238】
実施例2:6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)を介する2,2,6,6’−ビス(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(24)の合成
6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)から出発して、多くの官能基の改変が可能であるが、その中でも、DMF中80℃で、トリブチル−(1−エトキシビニル)スズおよびtrans-ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)[Pd(PPh3)2Cl2]の存在下の6’−ビス(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(24)へのアクセスは、68%の収率である(スキーム10)。
【0239】
【化56】
【0240】
この分子は、KB癌性細胞に対して強い細胞毒性のポテンシャルを有し(0.3μg/mLのIC50を有する)、細胞成長のための鉄伝達のプロセスに必要とされるtonBタンパク質にも影響を及ぼす。
【0241】
実施例3:線状(linear)オリゴピリダジン配位子の電気化学的合成)
犠牲陽極法(J.Chaussard,J.-C.Folest,J.-Y.Nedelec,J.Perichon,S.Sibille,M.Troupel,Synthesis,1990,369-381)は、芳香族性およびヘテロ芳香族性のハロゲン化物のカップリングを可能にした。
【0242】
1. 採用された電気化学的方法の説明
ニッケル錯体によって触媒される間接的な電気分解法により芳香族ハロゲン化物のカップリングが可能である。採用される方法は、犠牲陽極法である。触媒の前駆体が、ニッケル塩の形態(NiBr2,xH2O)でまたはニッケルを含有する金属棒(ステンレス鋼またはFe/Ni 64/36鋼)の酸化によって導入される。
【0243】
用いられる材料は次の通りである:
電気化学セルは、ガラス壁から作製され、このガラス壁は、底部においてネジ山によって終結させられており、このネジ山に、ベークライト(登録商標)口金(ブラック、SVL40)が仲介シールリング(intermediary sealing ring)と共にネジ締めされている。頂部において、SVL15型の4つのインレットがSVL22中心インレットの周りに配置され、このSVL22中心インレットに、金属棒がアノードとして嵌合させられ得る。カソードはニッケル発泡体(40cm2)から作製され、これは、アノードの周りに同心状に置かれる。セルの内側での溶媒の攪拌は、マグネティック・スターラーバーを用いて達成される。種々の側部インレットの目的は、ステンレス鋼ワイヤを用いたカソードの接続と、電気化学セル内部の不活性雰囲気を保証するアルゴン等のガスの給排気とを提供することである。4つのインレットを通じて、電気分解の間に、サンプルが反応媒体から取り出され得、または、試薬が反応媒体に加えられ得る。必要に応じて、インレットの1つは、基準電極を導入して反応の間のセルの電位の発生を測定するために用いられ得る。
【0244】
セルは、必要に応じて加熱を可能にする、磁気により攪拌されているオイルバス中に置かれる。DMFは、本方法において採用される溶媒である。媒体は、第4級アンモニウム塩等の支持電解質の導入によって導電性にされる。セルの電源は、固定化電源によって達成され、この固定化電源により、10〜300mAの電流定位の領域(amperostatic regime)下に作業が可能である。
【0245】
電気分解に伴う2つの反応が同時に起こることになる。カソード側の反応は、最も容易に還元される、この場合、触媒前駆体である種(ニッケルII塩)の還元である。ニッケル(II)は、それ故に、ニッケル(0)に還元され、媒体に含まれる配位子(ピリジンまたはビピリジン)によって安定化させられる。アノードにおける反対側の反応は、鉄または64/36の組成を有する鉄/ニッケル合金から作製された金属棒の酸化である。媒体中に生じた金属塩は、それ故に、反応の適切な機能化に加わる。ニッケル(0)の周りで引き起こされるプロセスは、スキーム1および2において、高く(スキーム1)または低く(スキーム2)課されたアンペア数に従って示される。
【0246】
【化57】
【0247】
アノードが鉄製であるならば、触媒の前駆体は、用いられるNiBr2Bipy錯体(10%)であり、Fe/Ni(64/36)アノードの場合には、触媒の前駆体は、NiBr2(5〜10%)であり、共溶媒として用いられる配位子はピリジンである。
【0248】
2.ハロゲン化ピリダジンの電気化学的ホモカップリング
6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(15)は、6,6’−二置換型3,3’−ビピリダジンの合成のキーとなる中間体である。電気化学的に達成されるこの中間体のオリジナルな、簡単でかつ効果的な合成が考案された。この合成は、上記の犠牲陽極法を用い、ニッケル錯体による触媒を通じた3−クロロ−6−メトキシピリダジン(14)のホモカップリングを含む(スキーム1’)。
【0249】
【化58】
【0250】
用いられる材料は、パラグラフ1において記載されたものである。アノードは、Fe/Ni(64/36)の棒であり、カソードは、ニッケル発泡体(Goodfellow provider)製である。溶媒は、DMF/ピリジンの50/50混合物であり、支持電解質は、NBu4Br/NBu4Iの1/1混合物から作製される。反応は、室温でアルゴン雰囲気下に行われる。ジブロモエタン(300μL)の存在中の予備電気分解が、15分間、0.1Aのアンペア数でニッケル(NiBr2,xH2O,10%)および試薬(3−クロロ−6−メトキシピリダジン)の不存在下に行われる。次いで、このニッケルおよび試薬が加えられ、電気分解が、0.05Aのアンペア数で続けられる。反応の進行は、CPG分析によって追跡される。このCG分析は、反応媒体から取り出されたサンプルを利用することおよびこれらのサンプルを加水分解する(EDTA/CH2Cl2)により飽和した水溶液)ことからなる;これは、ハロゲン化アリールが完全に消失するまで続けられる(時間:約15〜19時間)。溶媒は、減圧下に留去される。残渣は、混合物(EDTAおよびジクロロメタンにより飽和した水溶液)中に吸収され、1時間にわたって磁気により攪拌に付される。有機相は、水相から分離され、水相は、CH2Cl2により抽出される(100mL×4回)。集められた有機相は、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させられ、ろ過され、減圧下に濃縮される。得られた残渣は、中性の酸化アルミニウムによるクロマトグラフィーによって精製される(溶離:100%CH2Cl2)。
【0251】
実験データ:
6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(1)、CAS RN [24049-46-5]:白色結晶;得られた質量:695mg;収率=64%;(アルミナゲル精製、溶離:ジクロロメタン100%)。融点:238−239℃(文献値:237−238℃)
1H NMR (CDCl3, 300MHz, δ ppm): 8.60(d, 2H, J=9.3Hz); 7.11(d, 2H, J=9.3Hz), 4.19(s, 6H, OCH3).
13C NMR(CDCl3, 75MHz,δ ppm): 165.47; 152.47; 127.41; 118.21; 55.07.
MS (EI) M/Z(%): 219(13), 218(100), 217(57), 189(32), 175(33), 147(31), 119(12).
同様に、6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)の調製が、以下の反応スキーム(スキーム2’)に従って3,6−ジクロロピリダジン(1’)の電気化学的カップリングによって達成され得る。
【0252】
【化59】
【0253】
3.ハロゲン化ピリダジンの電気化学的ヘテロカップリング
関係する反応は、以下の通りである(スキーム4’)
【0254】
【化60】
【0255】
ホモカップリングとは異なり、ヘテロカップリングは、0.2Aのアンペア数で行われた。触媒の前駆体は、触媒量(10%)で加えられたNiBr2bipy錯体である。アノードは、鉄(XC10,0.1%カーボン)から作製される。溶媒はDMFである。
【0256】
結果は、下記表(表1)に列挙される。
【0257】
【表2】
【0258】
得られた収率は、減少(33%)が観察された3−ブロモピリジン(エントリー6)を除いて約60%である。パラブロモ安息香酸メチル(エントリー4)および3−ブロモチオフェン(エントリー5)については、反応は、0.05Aで行われた。
【0259】
以下に示される逆合成スキーム(逆合成1’)によれば、電気化学的カップリングによるビピリダジンへの2つのアプローチを考えることが可能である。
【0260】
【化61】
【0261】
逆合成ルートAについて、3,6−ジクロロピリダジン(1’)のホモカップリングを通じて6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)を与えるカップリングが考えられる(上記参照)。
【0262】
(17)から出発して、Rが可変体である多くのビピリダジン構造が化学的または電気化学的に達成可能である。
【0263】
逆合成ルートBに関して、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)および(2)の合成は、中間体(2’)を介するスキーム7’に記載される2回の電気化学工程において行われる。
【0264】
【化62】
【0265】
さらに、このルートにより、RおよびR’が可変体である非対称ビピリダジン類似体が得られ得る(スキーム8’)。
【0266】
【化63】
【0267】
(実施例4:ビピロール配列の電気化学的合成)
いくつかのビピリダジン構造が、電気化学的環回帰条件に付された。電解還元実験は、3,3’−ビピリダジン(2)および(19)が酢酸バッファに全く溶けないため、硫酸環境下に行われた。条件は以下の通りであった:ガラス質炭素電極,v=100mV/s。6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)のボルタモグラムは、−0.5V/ECSの電位を有する非常に著しい還元波および約−0.6V/ECSのわずかな肩部を明らかに示す(図1)。
【0268】
予備研究によると、最初の波は、ダイマー(2)の2つの対称ピリダジン基の2電子同時還元(ピリダジン環当たり)の電位(全4電子)に対応すると考えることが可能であった。したがって、ビス−ジヒドロピリダジン(68)中間体の形成が考えられ得、そのジピロール(71)への還元には、ビピリダジン(2)からモル当たり全部で8電子のために少なくともモル当たり別のさらなる4電子(ジヒドロ環当たり2電子)が論理的に必要であるだろう(スキーム121)。
【0269】
したがって、この化合物の調製電気分解は、硫酸媒体中で、1時間の間に作動電位−0.5V/ECS(Q=210C)を印加することによって行われ、次いで、それは、前駆体のほぼ完全な消費まで−0.6V/ECSの電位で継続された(Q=305C)。この調製電気分解のモニタリングは、炭素電極上のカソード区画において直接的になされるサイクリック・ボルトアンペロメトリック(cyclic voltamperometric)測定によって、電解合成の種々の段階において行われた(図1:−電気分解前、−−電気分解の間、電気分解の終了時)。種々のボルタモグラム上のビピリダジン(2)化合物の還元波の強度の減少により、調製電気分解間のこのものの還元が明らかに証明される。調製的電気分解は、この波の完全な消失の後に停止させられた(実験への4.5時間、したがって、この間に、少なくとも4電子が用いられた)。
【0270】
電気分解の終了時に、この実験中のクーロン消費は、実際に、ビピリダジン基質のモル当たり4.78電子に対応するだけである(Qtの理論値=440C=8e−)。
【0271】
この手順によるこの4電子電解還元(スキーム121)は、主として、3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(70)の形成につながる。
【0272】
したがって2つの中からの単一環の選択的還元が可能である。機構は、ピリダジンダイマーのビス−1,2−ジヒドロピリダジン(68)への最初の4電子還元または中間体(69)を介する2つの連続する2電子還元工程のいずれかを含む。この仮説は、最初の2電子還元に由来する3−[6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ジヒドロピリダジン−3−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(69)の中間体の媒体中の同定によって最初に示唆された;
【0273】
【化64】
【0274】
2つの化合物の同定は、それらの質量スペクトルである、それぞれ、ジヒドロ体(69)についてのm/z=[M-H] 341およびピロール(70)化合物についてのm/z=[M] 327によって確認された。ピロール(70)の1H NMRスペクトルの分析は、δ=11ppmにおいてNHおよびδ=6.77および6.78ppm(3J=3.9Hz)において2つのピロールプロトンの存在を示す。これらはまた、それぞれ2.4Hzおよび2.7Hzの4Jのカップリング定数で、ピロールのNHとカップリングし得る。
【0275】
この変形はまた、交互のピリダジン−ピロール系を得ることの可能性を提供する。
【0276】
好ましい機構は、ピロール−ピリダジン(70)に再配置されるビス−1,2−ジヒドロピリダジン(68)(4電子還元に由来する)の形成の方に向けて作用するようである。その後、ビピロール(71)は、残留ピリダジンの新たな4電子還元から生じる。
【0277】
この電子還元実験のために開発された、モル当たり4.78電子のみが用いられる手順によると、ビピリダジン(2)のモル当たり8電子が必要であるビピロール(71)の発生は最適ではあり得なかった。その存在は、やはりこれらの条件下では、低比率でしか同定されなかった。反応結果の1H NMRにより、ピロールのNHのピークがこの対称的な分子についてδ=9.65ppmに発生することおよびその質量スペクトルは(m/z=[M+1] 313)に適合することが明らかに示される。
【0278】
(71)の1H NMR(300MHz, CDCl3): 9.65(brs, 2H, NH); 7.45(t, 2H, 3J=7.5Hz, 2H 4’ピリジニル); 7.31(d, 2H, 3J=7.5Hz, 2H 3’ピリジニル); 7.31(d, 2H, 3J=7.5Hz, 2H 5’ピリジニル); 6.66(m, 2H,2Hピロール); 6.41(m, 2H, 2Hピロール); 2.49(s, 6H, CH3).
ビピリダジン(2)の調製電気分解(8電子還元)
研究は、電子還元電位をより負の値である−0.7V/ECSの方に基質が完全に消失する(または基質のモル当たり8.15電子の消費)まで徐々に移動させることによって繰り返された。以前の実験の間に主波の消失が留意されたが、これは、約−0.8V/ECSの電位を有する別の波の出現と適合させられた(図1)。それは、3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(70)の対応するビピロール体(71)への還元に対応する。
【0279】
以前の電気分解のように、モニタリングは、サイクリックボルトアンペロメトリック測定によって達成された(図2)。
【0280】
図2において、4電子の通過の後に、依然として存在する3つの第一波によって明らかにされるように、依然としていくつかの出発物が存在することが観察され得る。事実上よりカソード性の第二波の出現は、反応の最終生成物の典型である。
【0281】
以前の試行と同一である処理はまた、反応生成物の混合物を提供し、反応結果のNMR分析により多くのピークが示される。しかしながら、2つの主要なフラクションが、クロマトグラフィーによってうまく単離された:一方は、1,2,3,4−テトラヒドロピリダジニル−ピロール(72)を含有しており、他方は、予想されたビピロール(71)を含有している(スキーム122)。
【0282】
【化65】
【0283】
テトラヒドロピリダジンピロール(72)反応生成物の存在は、(72)がビピロール(71)の合成中間体を示すので、8電子がピリダジンを還元するために用いられることを結論づけることを可能にする。
【0284】
【化66】
【0285】
1H NMR(400MHz, CDCl3) 72: 10.07(brs, 1H, NH ピロール); 7.62(t, 1H, 3J=7.7Hz, H4’ ピリジニルA); 7.41(t, 1H, 3J=7.7Hz,H4’ ピリジニルB); 7.34(d, 1H, 3J=7.7Hz,H3’ ピリジニルB); 7.26(d, 1H, 3J=7.7Hz, H3’ ピリジニルA); 7.09(d, 1H, 3J=7.7Hz, H5’ ピリジニルA); 6.88(d, 1H, 3J=7.7Hz, H5’ ピリジニルB); 6.64(m, 1H, H4 ピロール); 6.33(m, 1H, H3 ピロール); 6.02(brs, 1H, NH テトラヒドロピリダジン); 4.30(dd, 1H, 3J=9.9, 3.09, H6 テトラヒドロピリダジン); 2.70(m, 1H, H4 テトラヒドロピリダジン); 2.65(m, 1H, H4 テトラヒドロピリダジン); 6.64(s, 6H, CH3); 2.54(m, 1H, H5 テトラヒドロピリダジン); 2.16(m, 1H, H5 テトラヒドロピリダジン);
13C NMR(400MHz, CDCl3) 72: 160.4(C2’ ピリジニルA); 158.2(C6’ ピリジニルA); 157.9(C6’ ピリジニルB); 149.7(C2’ ピリジニルA); 138.5(Cq ピロール); 136.7(C4’ ピリジニルA); 136.5(C4’ ピリジニルB); 132.6(Cq ピロール); 122.2(C3’ ピリジニルA); 121.0(C3’ ピリジニルB); 120.1(C5’ ピリジニルA); 117.5(C5’ ピリジニルB); 108.2(C4 ピロール); 107.5(C3 ピロール); 57.5(C6 テトラヒドロピリダジン); 26.0(C5 テトラヒドロピリダジン); 24.6(2 CH3); 22.1(C4 テトラヒドロピリダジン).
しかしながら、本方法の最適化は、印加される必要がある電位(0.85V/ECSまで)を含み得るか、または、単純に反応を進行させる。仮説は、−0.7V/ECSにおいてジヒドロピリダジン(2)は、(72)に還元されることおよび酸媒体中のピロール(71)の再配置には単により長い反応時間が必要とされることである。
【0286】
(実施例5:制御された電位での調製電気分解による6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンの還元)
調製電気分解は、硫酸媒体(0.5mol・L−1)/エタノール(比率:0.5/0.5)中、フリットガラスによって分けられた2つの区画を有するセル内で行われる。アノード区画において、アノードおよび15cm2の表面積を有するステンレス鋼プレートが置かれる。カソードである、16cm2の面積を有する水銀層および基準電極である飽和カロメル電極が、カソード区画の内側に置かれる。両区画室内の溶媒の容積は90mLである。カソード区画室内に基質(194mg、すなわち、5.7×10−4mol)が導入され、電気分解の始めにおいて印加される電位は、−0.5V/ECS(基質の還元電位)であり、対応するアンペア数は35mAである。電気分解の1時間後に、それは、基質が消失するまで−0.6V/ECSで続けられ(4.5時間)、電気分解の終了時のアンペア数は8mAである。電気分解のモニタリングは、炭素電極(S=3.2mm2)により計られるサイクリックボルトアンペロメトリック測定によって、直接的にカソード区画室において達成される。電気分解の間のクーロンの消費は305C、すなわち、基質のモル当たり5.57電子である。カソード区画室の反応媒体は蒸発させられて、エタノールが除去され、NaHCO3により中和される。ジクロロメタンによる抽出の後、有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、溶媒が留去される。モノピロール化合物3−[5−(ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジンがシリカゲルクロマトグラフィーによって精製される。
【0287】
5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール(112)の取得
ビピロールの電解合成を最適化するために、同一の操作条件(溶媒、電極)下での、しかし、電解還元電位をより負の値(E=−0.85V/ECS)の方に向かわせる電気分解により、ビピロール系が形成される。
【0288】
【化67】
【0289】
化合物(19)についての可溶化の困難性は、従来の条件(EtOH/酢酸バッファ)下での電気化学回帰を妨げた;0.5Mの硫酸中の可溶化が唯一可能である。0.5Mの硫酸中で記録されたボルタモグラムは、Ec=−0.363V、−0.500Vおよび−0.673Vの電位において3つの連続する還元波を強調した。同様の条件下に、ピロール化合物は、Ec=−0.818Vの電位にピロールの還元に対応する還元波を示す。
【0290】
ビピリダジン(19)の調製電気化学的な電気分解は、0.5MのH2SO4媒体中で行われた。Et=−0.650V/ECSの電位が、8電子の消費まで作動電極(水銀層)に印加された。反応のモニタリングは、サイクリックボルトアンペロメトリック測定およびTLCによって行われた(図7を参照)。
【0291】
ビピロール(112)化合物は、10%近くの収率で得られ、これは、モノピロール(107)化合物およびテトラヒドロピリダジン(108)化合物についての場合でもあった。ビピロールについて得られた低収率は、濃H2SO4媒体中のその部分的な分解およびフラッシュ・オン・シリカゲル・クロマトグラフィー精製により遭遇される困難性によって説明される。
【0292】
【化68】
【0293】
(実施例6:多環式モノピリダジンの還元の分析)
分析研究により、3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(80)、(82)、(83)および(85)は、それらの3,6−ジカルボメトキシ−ピリダジンホモログと類似のボルタモグラムによって記録されることが証明された。それ故に、最初の4電子のピークは、明確に規定され、−0.9Vと−1.1Vの間の電位に現れる(図3、酢酸およびエタノール媒体中の溶媒および前駆体(80)、(82)、(83)および(85)のサイクリックボルタモグラム,C=10−3mol・L−1,V=100mV/s)。
【0294】
前駆体4−カルボメトキシ−3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(84)および3,6−ビス(ピリジン−4−イル)−ピリダジン(81)のボルタモグラムはより複雑であり、複数の還元波が、より正の電位からとして発生する(−0.7V)(図4、酢酸+エタノールバッファ媒体中の前駆体(81)および(84)のサイクリックボルタモグラム、C=10−3mol・L−1,V=100mV/s)。
【0295】
これらの異なる前駆体についての2つの最初の還元ピークの電位の値およびEpピークが表4に列挙される。
【0296】
【表3】
【0297】
還元波によって関連付けられる電子数の測定は、サイクリックボルトアンペロメトリック測定によって、内部基準(既知数の電子を有する還元剤/酸化剤の対)を溶液中に付与することによって達成される。用いられた内部基準は、フェロセンメタノール(Fc)である;その酸化ピーク電位は、実験の特定の条件下に0.28V/ECSである(スキーム91)。
【0298】
【化69】
【0299】
分析の結果により、ピリジニル−ピリダジンのピロールへの電解還元には4電子が必要とされることが確認される。最初の2電子移動は、ジヒドロピリダジン中間体(それらの相対的な安定性に応じて1,2−または1,4−ジヒドロピリダジン)を生じさせ、第二の2電子移動により、アンモニアの放出による窒素原子の押し出しが引き起こされる。したがって、全調製電解分解のために印加されることになる電位は、少なくとも4電子還元に対応する還元波のレベルでなければならない。
【0300】
(実施例7:3,6−ビス(ピリジニル)−ピリダジンの調製電気分解)
種々のピリダジン(80−85)の調製電気分解が、それぞれ、前駆体の第二の還元波の電位に対応する作動電位を採用することによって達成された。これらは、前駆体の全体的な消失およびそれらのピロールへの配置を誘導するために必要な電子の最少量(還元された基質のモル当たり4電子)に対応する電荷量(クーロン数)の消費まで続けられた。
【0301】
ほとんど同一の初濃度(10−4M)から出発して、前駆体の全体的消失のための時間の平均量は5〜6時間である。ピロール生成物(86)、(87)、(88)、(89)および(90)が、60〜90%の範囲にわたる可変の収率で得られた(スキーム92、表5)。
【0302】
【化70】
【0303】
【表4】
【0304】
これらの結果が証明するように、全ての場合において、酢酸バッファ媒体中のピリダジン環の回帰は、文献に推奨されるように、化学的よりむしろ電気化学的により効果的であるようである(Zn/AcOH)。
【0305】
これらの結果は、ピロール(91)中の転換が、化学的に達成可能な30%とは異なり85%の収率で達成されるピリジン−4−イルピリダジン(81)の場合において確認される(表6)。
【0306】
【表5】
【0307】
調製電気分解による反応の進行は、それぞれの例において、前駆体(82)の電気分解の間に記録されたボルタモグラムについて示されるように、カソード区画室内のガラス質炭素電極上で直接的に計られるサイクリックボルトアンペロメトリック測定によって制御された(図5,前駆体(82)の調製電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラム,−電気分解前,−−電気分解の間,−電気分解の終了時,ガラス質炭素電極,v=100mV/s)。
【0308】
調製電気分解の間の前駆体の還元波(−1.08V)の強度の減少は、電解合成の間の転換と相関している。さらに、それは、電気分解の終了時に完全に消失し、これは、前駆体の全体的な消費をチェックすることを可能にする。
【0309】
電気分解の終了時にも、ボルタモグラムがチェックされる(図6、カソード区画室における電気分解の終了時の種々のピロール誘導体のボルタモグラム,ガラス質炭素電極,v=100mV/s)。それらは、2つの還元波の消失を示し、これにより、示唆された機構の仮説が確認される。最初の波は、ピリダジンのジヒドロピリダジンへの2電子還元の結果であると考えられ、第二の波は、ピロール環を与える窒素の押出に対応する。
【0310】
(実施例8:6,6’−ジピコリン−4,4’−ジメチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105)の調製電気分解)
【0311】
【化71】
【0312】
ビピリダジンの溶解性は、ピリジン置換基へのアルキル鎖の付加によって増強された(化合物(105))。したがって、H2SO4または酢酸バッファ媒体より穏やかな条件下にビピリダジン(105)を溶解させることが可能である:THF/酢酸バッファ(pH=4.6)/アセトニトリル溶媒の混合物。これらの条件下に記録されたボルタモグラムは、Ec=−0.92V、−1.03Vおよび−1.16Vの電位において3つの連続する還元波を強調した(図8参照)。
【0313】
ET=−1.05eVでのビピリダジン(105)の調製電気分解は、ビピロール(109)の単離を35%の収率で可能にした(下記表のエントリー1を参照)。その結果により、ビピリダジン(105)の調製電気分解の間に達成された低収率が硫酸中でのビピロール化合物の分解に起因したという仮説が確認される。
【0314】
【表6】
【0315】
いくつかの実験が異なる電位においてかつ異なる条件下に行われた(上記表、エントリー2〜4)。1つの改変(エントリー3)のみが興味深いことが分かった。それは2つの中間体の単離を可能にするからである:それぞれ20の収率でモノピロール−ピリダジン(110)およびモノピロールテトラヒドロピリダジン(111)。
【0316】
【化72】
【0317】
(実施例9:3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43)の調製)
ビストリブチルスタニルおよびテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの存在下に処理されたクロロピリダジン(8a)誘導体は、生成物(39)、(40)および(41)の混合物を提供する。
【0318】
【化73】
【0319】
モノ置換中間体である3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43)は、トルエン中スタニルピリダジン(39)およびジブロモピリジン(42)の等モル混合物から出発してテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの存在下に72%の収率で主に単離される(スキーム17)。
【0320】
【化74】
【0321】
(実施例10:3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(45)の合成)
モノ官能基化を導入するために、スティル・カップリング反応において、等モルのテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの存在下にメチル化スタニルピリジン(22)と反応させる前駆体としてクロロ(ピリジル)−ピリダジン(8a)が選択され、専ら、カップリング生成物(44)が90%の収率で与えられた(スキーム19)。
【0322】
【化75】
【0323】
反応混合物中にビスピリジンホモカップリング生成物が痕跡量も観察されないことに留意することは重要である。
【0324】
ピリジン窒素のα位の芳香族メチルの酸化が二酸化セリウムにより150℃でo−ジクロロベンゼン中で行われ、3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(45)が74%の収率で得られた(スキーム20)。
【0325】
【化76】
【0326】
(実施例11:ビス−三座二酸:3,6−ビス−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン(48)の合成)
同じ原理に従って、ピリダジン二酸配位子(48)が、ビス(ジメチルピリジル)−ピリダジン(47)の酸化によって得られ得る(スキーム21)。これは、テトラキストリフェニルホスフィン・パラジウム存在下、6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22)の3,6−ジクロロピリダジン(46)とのダブルのスティル・カップリングを介して調製される。この場合、わずかに過剰のスタニルピリジン(3当量)が用いられた。以前に規定されたのと同一の酸化条件下に、3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン酸(48)が68%の収率で単離される。
【0327】
【化77】
【0328】
得られたピリダジン二酸(48)は、ビス−三座配位子:N供与体(ピリジンおよびピリダジン)およびO供与体(二酸)である。この実施例において、ピリダジン環中の2つの隣接する窒素原子の存在は、2つの相異なる配位部位を生じさせるために寄与する。
【0329】
(実施例12:6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2))
【0330】
【化78】
【0331】
この化合物は、手順Eに従って、2−ブロモ−6−メチルピリジン(104)および6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)から合成される。残渣は、加熱され、AcOEt中で再結晶させられ、これにより、予想された結果が27%の収率で与えられる。
【0332】
1H NMR (CDCl3) δ(ppm): 7.45(m, 2H, Hピリジン), 7.94(dt, J=7.2, 1.8, 2H, Hピリジン), 8.79(m, 6H, 2Hピリダジン, 4Hピリジン), 8.80(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン), 9.01(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm): 121.8, 125.0, 125.4, 125.5, 137.3, 149.6, 153.1, 156.0, 159.2.
MS, m/z(I%): 340(M+, 100%), 312(M+-N2, 49%).
UV/蛍光 (DCM): 図10を参照。
【0333】
(実施例13:6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オン(7))
【0334】
【化79】
【0335】
この化合物は、手順Bに従って、3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(102)(0.29g,1.55mmol)およびHBr溶液(酢酸中33%,1.2mL)により分離される。生成物は、白色粉体の形態で定量的に得られた。
【0336】
1H NMR(DMSO-d6) δ(ppm): 7.01(d, J=9.6, 1H, Hピリダジン), 7.42-7.46(m, 1H, Hピリジン), 7.91-7.93(m, 1H, Hピリジン), 8.04(d, J=8.1, 1H, Hピリジン), 8.27(d, J=9.9, 1H, Hピリダジン), 13.32(bs, 1H, NH).
13C NMR (DMSO-d6) δ(ppm): 118.8, 123.5, 129.3, 130.1, 136.8, 142.9, 148.5, 151.3, 160.1.
MS, m/z (I%): 173(M+, 71%), 145 (M+-N2, 10%), 117(M+-CCONH2, 100%).
(実施例14:3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a))
【0337】
【化80】
【0338】
この化合物は、手順Cに従って、6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オン(7)(4.3g,24.8mmol)およびPOCl3(30mL)から調製される。3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a)は、固体の茶色物質の形態で得られる(5.84mg,定量的)。
【0339】
この化合物は、手順Eに従って、2−ブロモピリジン(0.604mL,6.33mmol)、塩化亜鉛(1.05g,6.33mmol)、ブチルリチウム(6.33mmol)および3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103)(942mg,3.95mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(450mg,0.39mmol)から調製される。予想された生成物は、62%の収率で得られる。
【0340】
1H NMR (CDCl3) δppm: 7.37-7.42(ddd, J=7.5, 4.5, 1.2, 1H, Hピリジン), 7.63(d, J=9.0, 1H, Hピリダジン), 7.89(dt, J=7.8, 1.8, 1H, Hピリジン), 8.55(d, J=9.0, 1H, Hピリダジン), 8.64(d, J=8.7, 1H, Hピリジン), 8.71(d, J=4.5, 1H, Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δppm: 121.5, 124.9, 126.9, 128.6, 137.2, 149.4, 152.3, 156.8, 157.8.
MS, m/z (I%): 191(M+, 28%), 163(M+-N2, 5%), 128(M+-(N2+Cl), 100%).
(実施例15:3−ブロモ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8b))
【0341】
【化81】
【0342】
1g(5.78mmol)の6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オン(7)および過剰量(5g)のオキシ臭化リンが、12時間還流下に加熱される。反応混合物は、100mLの氷水に注がれ、NaHCO3飽和水溶液の滴下により中和される。
【0343】
ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した後、有機相は、MgSO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮され、こうして、臭化ピリダジン(8b)が75%の収率で提供される。
【0344】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.39-7.43(ddd, 1H, J=0.9, 6.0, 7.5, Hピリジン); 7.76(d, 1H, J=8.7, Hピリダジン); 7.88(dt, 1H, J=1.8, 5.2, Hピリジン); 8.44(d, 1H, J=8.7, Hピリダジン); 8.63(d, 1H, J=8.1, Hピリジン); 8.70(m, 1H, Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δppm: 121.55, 125.08, 126.61, 132.01, 137.27, 148.35, 149.47, 152.48, 160.00.
MS, m/z (I%): 237(M++H, 23%), 235(M+-H, 22%), 128(M+-(Br+N2), 100%).
(実施例16:6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−チオン(10))
【0345】
【化82】
【0346】
500mg(2.9mmol)のピリダジノン(7)および772mg(3.5mmol)の五硫化二リンが、20mLの無水ピリジンに溶解させられる。反応混合物は、18時間にわたって還流させられ、次いで、室温に冷却される。それは、次いで、200mLの水に注がれ、得られた沈殿物はろ過され、氷水により洗浄される。ピリダジンチオン(10)が92%の収率で得られる。
【0347】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.37-7.39(m, 1H, Hピリジン); 7.81-7.84(m, 2H, Hピリジン, Hピリダジン); 8.15(d, 1H, J=7.5,Hピリジン); 8.23(d, 1H, J=8.7,Hピリダジン); 8.68(d, 1H, J=4.2,Hピリジン); 12.34(brs, 1H, NH).
13C NMR (CDCl3) δppm: 120.08, 120.53, 120.55, 124.85, 137.14, 137.16, 137.53, 141.53, 149.36.
MS, m/z (I%): 189(M+, 100%), 160(M+, 35%).
(実施例17:6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(15))
【0348】
【化83】
【0349】
この化合物は、手順Aに従って、臭化テトラブチルアンモニウム(4.291g,13.31mmol)、活性化亜鉛粉末(870mg,13.31mmol)、ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィン(2.963g,3.99mmol)および3−クロロ−6−メトキシピリダジン(1.924g,13.31mmol)により合成される。反応の終了時に、アンモニア(25N)が徐々に加えられ、媒体は、DCMにより抽出される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、減圧下に濃縮される。化合物は、加熱され、エタノール中に再結晶させられ、こうして、白色結晶が36%の収率で提供される(494mg)。
【0350】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 4.16(s, 6H, OCH3); 7.10(d, J=9.3, 2H, Hピリダジン), 8.59(d, J=9.3, 2H, Hピリダジン).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm): 54.9, 118.0, 127.2, 152.4, 165.3.
MS, m/z (I%): 218(M+, 100%), 189(M+-N2, 22%), 175(M+-(N2+CH3), 31%).
(実施例18:1H,1’H−[3,3’]ビピリダジニル−6,6’−ジオン(16))
【0351】
【化84】
【0352】
この化合物は、手順Bに従い、6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(15)(712mg,3.26mmol)および酢酸中33%HBr溶液(4mL)により合成される。得られた生成物は、灰色粉体の形態である(541mg,88%)。
【0353】
1H NMR(TFA-d1) δ(ppm): 7.35(d, J=9.9, 2H, Hピリダジン), 8.38(d, J=9.9, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(TFA-d1) δ(ppm): 130.7, 134.5, 146.1, 166.3.
MS, m/z (I%): 190(M+, 100%), 175(M+-N2, 57%).
(実施例19:6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17))
【0354】
【化85】
【0355】
この化合物は、手順Cに従い、5mLのPOCl3および1H,1’H−[3,3’]ビピリダジニル−6,6’−ジオン(16)(541mg)により合成され、これにより、6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)が茶色固体物質の形態で提供される(584mg,定量的)。
【0356】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.73(d, J=8.7, 2H, Hピリダジン); 8.77(d, J=8.7, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 126.9, 127.6, 129.2, 130.8.
MS, m/z(I%): 228(M++H, 27%), 227(M+, 8%),226(M+-H, 41%), 163 (M+-(N2+Cl), 100%).
(実施例20:6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19))
【0357】
【化86】
【0358】
6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)は、手順Dに従って調製される。6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)、2−トリブチルスタニルピリジン(18)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および新たに蒸留されかつ脱気されたDMFが、80℃で24時間にわたって加熱される。残渣は加熱され、AcOEt中に再結晶させられ、こうして、予想された結果が15%の収率で与えられる。
【0359】
この化合物は、手順Aに従って、3−クロロ−6(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a)から12%の収率で得られる。
【0360】
6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)は、手順Eに従って調製される。6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)、2−ブロモピリジン、塩化亜鉛、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および新たに蒸留されかつ脱気されたDMFが80℃で48時間にわたって加熱される。残渣は加熱され、AcOEt中に再結晶させられ、こうして、予想された結果が16%の収率で与えられる。
【0361】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 7.45(m, 2H, Hピリジン), 7.94(dt, J=7.2, 1.8, 2H, Hピリジン), 8.79(m, 6H, 2Hピリダジン, 4Hピリジン), 8.80(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン), 9.01(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δ(ppm): 121.8, 125.0, 125.4, 125.5, 137.3, 149.6, 153.1, 156.0, 159.2.
MS, m/z(I%): 312(M+, 100%), 284(M+-N2), 255(M+-2N2, 55%), 91(PyCH+, 89%).
UV−可視/蛍光(CH2Cl2):図9を参照.
(実施例21:6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(24))
【0362】
【化87】
【0363】
500mg(2.21mmol)のジクロロビピリダジン(17)、1.591g(4.42mmol)の1−エトキシビニル−トリ(n−ブチル)スズ、77.4mg(0.11mmol)のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)および50mLの新たに蒸留したDMFが、マグネティックスターラーバーおよび冷却管が取り付けられた100mLの丸底フラスコに導入される。反応媒体は、24時間にわたって還流下に攪拌される。室温に冷却した後、反応媒体は、80mLのジクロロメタンにより希釈され、KF飽和溶液に注がれる;ろ過後、残渣は、NaHCO3飽和水溶液により洗浄され、有機相は、MgSO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーに付され(溶離:酢酸エチル/石油エーテル混合物(20/80))、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(18)が66%の収率で単離される。
【0364】
1H NMR(CDCl3) δppm: 51.47(t, 6H, J=6.9Hz, CH3); 4.03(q, 4H, J=6.9Hz, OCH2); 4.57(d, 2H, J=2.4Hz, Hビニル), 5.85(d, 2H, J=2.1Hz, Hビニル); 8.00(d, 2H, J=9.0Hz, Hピリダジン); 8.81(d, 2H, J=8.7Hz, Hピリダジン).
(実施例22:6−(ピリジン−2−イル)−3−(トリブチルスタニル)−ピリダジン(39))
【0365】
【化88】
【0366】
冷却管を取り付けたシュレンク管において、1g(5.24mmol)のクロロピリダジン(8a)および190mg(0.79mmol)のテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウム(0)が、40mLの新たに蒸留したDMEに溶かされる。媒体は、冷却条件下に脱気され、真空下に置かれる。室温に戻した後、3.04g(5.24mmol)のビス(トリブチルスズ)が加えられる。溶液は、18時間にわたって還流下に加熱される。溶媒は減圧下に留去され、残渣は、中性のアルミナゲルクロマトグラフィーによって精製され(溶離:石油エーテル/酢酸エチル=95/5)、スタニルピリダジン(39)が76%の収率で得られる。
【0367】
1H NMR(CDCl3) δppm: 0.84-0.92(m, 9H, CH3); 1.19-1.37(m, 12H, CH2); 1.56-1.62(m, 6H, CH2); 7.33-7.37(m, 1H, Hピリジン); 7.63(d, 1H, J=8.4, Hピリダジン); 7.84(dt, 1H, J=1.8, 7.6, Hピリジン); 8.35(d, 1H, J=8.4, Hピリダジン); 8.67-8.72(m, 2H, 2Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δppm: 9.99, 13.52, 27.16, 28.87, 121.28, 121.36, 124.35, 134.12, 136.98, 149.15, 154.08, 156.38, 174.85.
(実施例23:3−(6−ブロモピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43))
【0368】
【化89】
【0369】
3−(6−ブロモピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43)は、一般的なスティル・カップリング手順を用いて、1.6g(6.74mmol)の2,6−ジブロモビピリジン(42)、3g(6.74mmol)の6−(ピリジン−2−イル)−3−(トリブチルスタニル)−ピリダジン(39)、546mg(0.47mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および50mLの新たに蒸留されたトルエンの混合物から出発して調製された。混合物は、24時間にわたって還流下に加熱される。得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーに付される(溶離:酢酸エチル/石油エーテル=1/9)。臭化物(43)生成物は72%の収率で単離される。
【0370】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.40-7.44(m, 1H, Hピリジン); 7.59(dd, 1H, J=7.5, J=0.9, Hピリダジン); 7.76(t, 1H, J=7.5, Hピリジン); 7.88-7.94(m, 1H, Hピリジン); 8.64-8.76(m, 5H, 4Hピリジン, 1Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 121.36, 121.90, 126.92, 124.97, 125.00, 125.48, 129.19, 133.12, 137.47, 139.50, 143.13, 149.36, 149.38.
MS, m/z(I%): 314(M++2, 92%), 312(M+, 89%), 284(M+-N2, 35%), 205(M+-(N2+Br), 100%).
(実施例24:3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)ピリダジン(44))
【0371】
【化90】
【0372】
3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(44)は、一般的なスティル・カップリング手順を用いて、2g(5.23mmol)の6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22)、666mg(3.49mmol)の3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a)、208mg(0.18mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および50mLの新たに蒸留されたトルエンの混合物から出発して調製された。反応媒体は、18時間にわたって還流下に攪拌される。得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーに付される(溶離:酢酸エチル/石油エーテル=2/8)。カップリング生成物(44)は、90%の収率で単離される。
【0373】
1H NMR(CDCl3) δppm: 2.62(s, 3H, CH3); 7.22(d, 1H, J=7.8, Hピリダジン); 7.37(ddd, 1H, J=0.9, 4.8, 7.5, Hピリジン); 7.76(t, 1H, J=8.1, Hピリジン); 7.68(dt, 1H, Hピリジン); 8.52(d, 1H, J=7.8, Hピリダジン); 8.61-8.75(m, 4H, 4Hピリジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 24.49, 118.69, 121.66, 124.34, 124.69, 124.99, 125.19, 137.21, 137.35, 149.33, 152.60, 153.42, 157.89, 158.27, 158.33.
MS, m/z(I%): 248(M+, 94%), 220(M+-N2, 100%), 205(M+-(N2+CH3), 35%).
HRMS
正確な計算質量[M+H]=249.1140;
正確な実測質量[M+H]=249.1141
(実施例25:3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(45))
【0374】
【化91】
【0375】
400mg(2.42mmol)のピリダジン(44)、177mg(1.60mmol)の二酸化セレンおよび7mLのo−ジクロロベンゼンが、冷却管を備えた100mLの丸底フラスコに導入される。混合物は、4時間にわたって150℃に加熱され、次いで、室温に冷却される。過剰の水が形成された沈殿物に加えられ、この沈殿物は、次いで、ろ過され、水により洗浄される。得られた固体は、乾燥させられ、酸(45)が74%の収率で与えられる。
【0376】
1H NMR(DMSO-d6) δppm: 7.59(ddd, 1H, J=1.2, 4.8, 7.5, Hピリジン); 8.07(dt, 1H, J=2.1, 8.1, Hピリジン); 8.1-8.3(m, 2H, Hピリジン); 8.64(d, 1H, J=8.4, Hピリジン); 8.72(d, 1H, J=9.0, Hピリダジン), 8.79(m, 1H, Hピリジン), 8.82-8.85(m, 2H, Hピリジン, Hピリダジン), 9.71(brs, 1H, COOH).
13C NMR(DMSO-d6) δppm: 121.1, 123.98, 125.09, 125.28, 125.48, 125.72, 137.65, 139.11, 148.32, 149.70, 152.53, 152.65, 157.12, 157.96, 165.64.
MS, m/z(I%): 279(M+, 39%), 278(M+-H, 100%), 250(M+-N2, 32%), 205(M+-(N2+COOH), 80%).
HRMS
正確な計算質量[M]=278.0804;
正確な実測質量[M]=278.0781.
(実施例26:3,6−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(47))
【0377】
【化92】
【0378】
3,6−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(47)は、一般的なスティル・カップリング手順を用いて、1.55g(4.06mmol)の6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22)、300mg(2.03mmol)の3,6−ジクロロピリダジン(46)、231mg(0.20mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および50mLの新たに蒸留されたトルエンの反応混合物から出発して調製された。反応媒体は、18時間にわたって還流下に攪拌され、得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製される(溶離:酢酸エチル/石油エーテル=3/7)。二置換生成物(47)は、52%の収率で単離される。
【0379】
1H NMR(CDCl3) δppm: 2.65(s, 6H, CH3); 7.24(d, J=6.3, 2H, Hピリジン); 7.77(t, J=7.8, 2H, Hピリジン); 8.54(d, J=8.7, 2H, Hピリジン), 8.68(s, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 24.35, 118.60, 124.18, 124.96, 137.14, 137.22, 152.78, 158.17, 158.21.
MS, m/z(I%): 262(M+, 100%), 234(M+-N2, 85%), 142(M+-(N2+Py-CH3), 48%).
HRMS
正確な計算質量[M+H]=263.1297;
正確な実測質量[M+H]=263.1317.
(実施例27:3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン(48)
【0380】
【化93】
【0381】
二酸(48)は、酸(45)の調製に類似する手順に従って、230mg(0.88mmol)のピリダジン(47)、126mg(1.14mmol)の二酸化セレンおよび7mLのo−ジクロロベンゼンの混合物から出発して得られる。混合物は、12時間にわたって150℃に加熱され、こうして、二酸(48)が68%の収率で提供される。
【0382】
1H NMR(DMSO-d6) δppm: 8.21-8.29(m, 4H, Hピリジン); 8.82-8.85(m, 2H, Hピリジン, Hピリダジン); 13.41(ls, 2H, COOH).
13C NMR(DMSO-d6) δppm: 124.13, 125.53, 125.83, 139.15, 148.38, 152.64, 157.38, 165.64.
MS, m/z(I%): 322(M+, 100%), 294(M+-N2, 41%), 278(M+-COOH, 47%).
HRMS
正確な計算質量[M-H]=321.0624;
正確な実測質量[M-H]=321.0623.
(実施例28:6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22))
【0383】
【化94】
【0384】
シュレンク管において、−10℃で、1.7mL(2.6mmol)のブチルリチウム(ヘキサン中1.5M)が、0.4mLのジイソプロピルアミン(2.6mmol)の新たに蒸留された無水THF溶液(50mL)に滴下される。5分後に、0.70mL(2.6mmol)の水素化トリブチルスズが加えられる。30分間にわたって0℃で攪拌が維持される。トリブチルスズリチウムの薄緑色の溶液が得られ、これは、−78℃に冷却されることになり、その後に、294.5μL(2.6mmol)の2−ブロモ−6−メチルピリジンが滴下される。混合物は、2時間にわたって−78℃に維持される。室温に戻した後、真空下に溶媒が留去される。残渣は、ジクロロメタンに溶解させられ、水により洗浄される。有機相は、MgSO4により乾燥させられ、乾燥蒸発(dry evaporate)させられる。生成物は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され(溶離:石油エーテル/酢酸エチル=0.5/9.5)、スタニルピリダジン(22)が黄色油状物の形態で、82%の収率で単離される。
【0385】
1H NMR(CDCl3) δppm: 0.86-0.91(m, 9H, CH3); 1.07-1.12(m, 12H, CH2); 1.28-1.36(m, 12H, CH2); 1.44-1.59(m, 12H, CH2); 2.54(s, 3H, CH3); 6.95(d, 1H, J=7.8, Hピリジン); 7.18(d, 1H ,J=7.5, Hピリジン)(t, 1H, J=7.5, Hピリジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 13.58, 13.67, 27.30, 27.81, 29.04, 120.63, 121.46, 129.32, 133.23, 158.53.
(実施例29:ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィン)
【0386】
【化95】
【0387】
臭化ニッケル一水和物(4.37g,20mmol)および微細に粉砕されたトリフェニルホスフィン(10.48g,40mmol)がn−ブタノール(各50mL)に別々に溶解させられる。これらの溶液は、試薬が完全に溶解させられるまで還流させられる。次いで、これらの溶液は、加熱環境下に混合される。緑色がかった沈殿が形成され、反応媒体は、45分間にわたって還流下に1時間にわたって室温で攪拌される。溶液はろ過され、沈殿は、70mLのn−ブタノール、70mLのエタノールおよび70mLのジエチルエーテルにより洗浄される。真空下での乾燥の後、緑色がかった粉体が60%の収率で得られる(8.85g)。
【0388】
(実施例30:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))
【0389】
【化96】
【0390】
塩化パラジウム(II)(0.9g,5.09mmol)および微細に粉砕されたトリフェニルホスフィン(6.66g,25.42mmol)が、真空下に乾燥させられた後にアルゴン下の冷却管を取り付けた丸底フラスコ内に置かれる。新たに蒸留されたDMF(60mL)が脱気され、反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、透明になるまで140℃で攪拌される。次いで、溶液は、120℃に冷却され、ヒドラジン(0.99mL,20.43mmol)が加えられる。窒素の放出が直ちに観察される;これは、パラジウム(0)錯体の沈殿の形成と同時に起こる。室温に戻した後、沈殿は、真空およびアルゴン下にろ過され、エタノールおよびジエチルエーテルにより洗浄され、真空下に乾燥させられる。
【0391】
(実施例31:2−ブロモピコリン(104))
【0392】
【化97】
【0393】
2−アミノ−ピコリン(37.35g,0.346mol)が、機械的に攪拌されている丸底フラスコに複数段階で、臭化水素酸溶液(水中48%,187mL)に20〜30℃に維持される温度で加えられる。試薬の全体的な溶解の後、反応媒体は、30分間にわたる臭素(49mL,0.966mol)の滴下の間に20℃に冷却される。溶液の温度は90分間にわたって−20℃に維持される。水(100mL)中の硝酸ナトリウム溶液(63.5g,6mol)が滴下される。次いで、溶液の温度は1時間内に15℃に昇温させられ、45分間にわたって当該温度で攪拌される。媒体は、−20℃に冷却され、添加の間−10℃以下に維持される温度でソーダ溶液(249g,400mL H2O)により処理される。室温に戻した後、溶液は、1時間にわたって攪拌され、次いで、AcOEtにより抽出される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、減圧下に濃縮される。残渣は、真空下に蒸留され、2−ブロモピコリン(104)が無色油状物の形態で、80%の収率で得られる。
【0394】
沸点:129-132℃(2.6mbar).
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.49(s, 3H, H7), 7.08(d, J=7.6, 1H, H5), 7.24(d, J=7.6, 1H, H3), 7.41(t, 1H, H4).
(実施例32:2−トリブチルスタニルピリジン(18))
【0395】
【化98】
【0396】
ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,6.33mmol)が、新たに蒸留されかつ脱気されたTHF(12mL)中の2−ブロモピリジン(1g,6.33mmol)の溶液に−78℃で加えられる。赤色がかった溶液は、30分間にわたって−78℃で攪拌される。次いで、塩化トリブチルスズ(1.7mL,6.33mmol)が加えられ、溶液は、1時間にわたって−78℃で、1時間にわたって室温で攪拌される。混合物は、NH4Cl飽和溶液により処理され、ジエチルエーテルにより抽出される。有機相は、NaCl飽和溶液により洗浄され、MgSO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。残渣は、アルミナカラムクロマトグラフィーに付され(ヘキサン/酢酸エチル:20/1)、これにより、高純度の生成物が94%の収率で提供される。
【0397】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 8.73(ddd, J=4.9, 1.9, 1.0, 1H, H6), 7.48(dt, J=7.4, 1.8, 1H, H5), 7.39(dt, J=7.4, 1.6, 1H, H3), 7.10(ddd, J=6.9, 4.9, 1.7, 1H, H4), 1.70-1.05(m, 18H, CH2), 0.85(t, 9H, J=7.3, CH3).
(実施例33:3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(102))
【0398】
【化99】
【0399】
この化合物は、手順Dに従って調製される。2−トリブチルスタニルピリジン(18)(1.24g,3.36mmol)、3−クロロ−6−メトキシピリダジン(0.37g,2.58mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.15g,0.13mmol)および新たに蒸留されかつ脱気されたトルエン(19mL)が、アルゴン下に丸底フラスコ内に20時間にわたって置かれる。室温に戻した後、反応媒体は、15%HCl溶液により処理され(2×30mL)、ジエチルエーテルにより洗浄され、アルカリ性のpHに達するまでNa2CO3飽和溶液が加えられる。溶液は、DCMにより抽出され、有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、真空下に濃縮される。残渣は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され(EP)、こうして、予想された生成物が77%の収率で提供される。
【0400】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 4.2(s, 3H, CH3), 7.08(d, J=9.7, 1H, Hピリダジン), 7.34(m, 1H, Hピリジン), 7.83(td, J=8.8, 1.7, 1H, Hピリジン), 8.47(d, J=9.7, 1H, Hピリダジン), 8.57(d, J=8.2, 1H, Hピリジン), 8.67(d, J=5.5, 1H, Hピリジン).
(実施例34:2−ブロモ−4−メチルピコリン(106))
【0401】
【化100】
【0402】
用いられる手順は、2−アミノ−4−メチルピコリンに適用された2−ブロモピコリン(104)と同一である(10g,81.97mmol)。
【0403】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.28(s, 3H, CH3), 2.48(s, 3H, CH3-), 6.91(s, 1H), 7.13(s, 1H).
13C NMR(CDCl3) δ(ppm): 20.5, 23.9, 123.3, 125.6, 141.3, 150.2, 159.4.
MS, m/z(I%): 185(M+, 20%), 106(M+-Br, 100%), 79(Br+, 68%).
(実施例35:3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103))
【0404】
【化101】
【0405】
3,6−ジクロロピリダジン(46)(2g,13.42mmol)、ヨウ化ナトリウム(2g,13.42mmol)およびヨウ化水素酸(10mL)の混合物が、アルゴン雰囲気下に40℃で4時間にわたって加熱された。室温に戻した後、反応媒体は、氷上に注がれ、濃ソーダ溶液が加えられ、混合物は、10分間にわたって攪拌される。次いで、溶液は、DCMにより抽出される。有機相は、水により洗浄され、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、真空下に濃縮される。3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103)が黄色粉体の形態で得られる(3.20g,定量的)。
【0406】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 7.35(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン), 8.38(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δ(ppm): 122.9, 129.2, 139.2, 157.1.
MS, m/z(I%): 240(M+, 18%), 127(I+, 100%).
(実施例36:6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンまたは6,6’−ジピコリン−4,4’−ジ−メチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105))
【0407】
【化102】
【0408】
この化合物は、手順Eに従って、2−ブロモ−4−メチルピリジン(106)および6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)から合成される。AcOEt中の熱再結晶後に予想された生成物が80%の収率で得られる。
【0409】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.46(s, 6H, CH3), 2.63(s, 6H, CH3), 7.13(s, 2H, Hピリジン), 8.79(d, J=8.9, 2H, Hピリダジン), 8.97(d, J=8.9, 2H, Hピリダジン).
MS, m/z(I%): 368.1(M+, 100%), 340.1(M+-N2, 90%).
UV/蛍光(DCM):図11を参照
(実施例37:5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビ(1H−ピロール)(112))
【0410】
【化103】
【0411】
この化合物は、手順Fに従って、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)から、溶媒として用いられる0.5MのH2SO4溶液において調製される。この化合物は、シリカ分取プレートによる精製(AcOEt)後に得られる。
【0412】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 6.43(d, J=3.5, 2H, Hピロール), 6.68(d, J=3.5, 2H, Hピロール), 6.97-7.01(m, 2H, Hピリジン), 7.43-7.61(m, 4H, Hピリジン), 8.42(d, J=7.8, 2H, Hピリジン).
(実施例38:6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−ピリダジン(107))
【0413】
【化104】
【0414】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 6.73(m, 1H ,Hピロール), 6.84(m, 1H, Hピロール), 7.06(m, 1H, Hピリジン), 7.29(m, 1H, Hピリジン), 7.51-7.62(m, 2H, Hピリジン), 7.72(d, J=9.8, 1H, Hピリダジン), 8.43(d, J=9.8, 1H, Hピリダジン), 8.46(m, 2H, Hピリジン), 8.59-8.69(m, 2H, Hピリジン), 10.89(brs, 1H, NH).
(実施例39:5,5’−ビス(3−メチルピコリン−2−イル)−2,2’−ビ(1H−ピロール)(109)
【0415】
【化105】
【0416】
この化合物は、6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(105)から、溶媒系THF/酢酸バッファ/CH3CN=5/4/1により得られる(E=−1.05V/ECS)。残渣は、シリカによるクロマトグラフィーに付され(AcOEt)、望みの生成物は、35%の収率で得られる。
【0417】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.32(s, 6H, CH3), 2.50(s, 6H, CH3), 6.45(d, J= , 2H, Hピロール), 6.69(d, 2H, Hピロール), 6.73(s, 1H, Hピリジン), 7-18(s, 2H, Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm): 20.9, 24.3, 29.7, 106.6, 108.4, 116.7, 121.1.
MS, m/z(I%): 342(M+, 100%), 343(M++1, 100%).
(実施例40:6−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−ピリダジン}(110))
【0418】
【化106】
【0419】
1H NMR (THF-d8) δ(ppm): 2.21(s, 3H, CH3), 2.30(s, 3H, CH3), 2.40(s, 3H, CH3), 2.43(s, 3H, CH3), 6.72(m, 1H, Hピロール), 6.75(s, 1H, Hピリジン), 6.85(m, 1H, Hピロール), 6.98(s, 1H, Hピリジン), 7.28(s, 1H, Hピリジン), 7.79(d, J=9, 1H, Hピリダジン), 8.23(s, 1H, Hピリジン), 8.37(d, J=9, 1H, Hピリダジン), 10.87(bs, 1H, NH).
13C NMR(THF-d8) δ(ppm): 19.5, 19.7, 23.0, 29.2, 108.4, 110.7, 117.9, 118.6, 121.1, 121.3, 123.5, 123.8, 128.2, 129.6, 130.2, 134.7, 138.2, 147.6, 148.8, 151.4, 152.8, 155.5, 157.1.
MS, m/z(I%): 356.2(M+1, 23%), 355.2(M+, 89%).
(実施例41:6−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−3−(5−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン(111))
【0420】
【化107】
【0421】
1H NMR(THF-d8) δ(ppm): 2.14(s, 3H, CH3), 2.17(s, 3H, CH3), 2.32(s, 6H, 2CH3), 2.14-2.49(4H, Hテトラヒドロピリダジン), 4.08(m, 1H, Hテトラヒドロピリダジン), 6.07(m, 1H, Hピロール), 6.48(m, 1H, Hピロール), 6.63(s, 1H, Hピリジン), 6.78(s, 1H, Hピリジン), 6.96(s, 1H, Hピリジン), 7.12(s, 1H, Hピリジン), 19.88(bs, 1H, NH).
13C NMR(THF-d8)δ(ppm):
MS, m/z(I%): 359.2(M+, 45%), 355.2(M+-2H2, 78%).
【0422】
【表7】
【0423】
【表8】
【0424】
【表9】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状のピリダジン化合物、より特定的にはオリゴピリダジン化合物、それらを得るための方法およびそれらの適用、並びに、それらのピロールへの回帰(regression)、およびピロール、ピリダジン−ピロールおよびオリゴピロール化合物の種々の適用に関する。用語「オリゴピリダジン」および「オリゴピロール」は、複数の隣接窒素含有環を有する化合物を意味する。
【背景技術】
【0002】
80年代終盤以来、窒素化合物に適用する錯体化学は、相当な進展を体験した:こうした進展は、配位圏中に1以上の窒素官能基を有する有機金属化合物によって示される化学的および触媒的な性質の多様性に起因する。この多様性は、これらの錯体に含まれる窒素官能基:アミン、イミン、ニトリル、アジド等と主に関係している。
【0003】
錯体化学は、超分子化学において基礎的な役割を果たし、オリゴピリジンが最初に特別な注意をひいた領域である。オリゴピリジンは、多座配位子であり、これは、この錯体中の金属キレーションに含まれる窒素原子の数に従っても分類され得、二座(ビピリジン)、三座(テルピリジン)、四座(クアテルピリジン)等は、以下の構造を有する。
【0004】
【化1】
【0005】
2,2’−ビピリジンは、長らく、錯体化学において最も頻繁に、特に、それらがキラリティ因子誘導基の存在と関係する不斉誘導特性を呈する場合に用いられる配位子であった。最近、2,2’:6,2”−テルピリジン(tpy)は、より高い酸化状態の遷移金属を有する錯体の形成に有利な多座部位の式を有する新しい調査分野を開いた。この特性は、例えば、アルコールの酸化および芳香族化合物のカルボニル化のために用いられた。ごく最近では、このタイプの多座配位子の化学は、放射性廃棄物の改善のための触媒活性化に関してさらに進展した。
【0006】
種々の多座配位部位を表現するピリジンおよびピリミジンのユニットからなる不均一な構造は別として、ジアジンユニットを含むオリゴヘテロ環配位子についての研究は相対的にほとんどなされていなかった。
【0007】
このような配位子構造の例は、下記に示される:
【0008】
【化2】
【0009】
3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(80)の二座配位子についてなされた上げられる研究(非特許文献1;後述のスキーム参照)におけるように、ピリダジンヘテロ環を有する多座配位子は、それらが要求する精巧な合成方法のために、ごく最近になって開発されただけであったが、錯体化学におけるそれらの潜在性は、今や明らかである。
【0010】
【化3】
【0011】
さらに、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリジン(2)は、種々の金属、例えば、銀(I)の存在下に強い超分子組織化容量を証明した(非特許文献2)。
【0012】
【化4】
【0013】
2000年には、同一の著者は、ジクロロビピリダジン(17)前駆体からハロゲン化ビピリダジンのホモカップリングを通じてピリダジンテトラマーをどうにかして合成した(非特許文献3)。
【0014】
その二量体ホモログと同様に、このα,α’−テトラピリダジン配位子は、線状の幾何学構造を有し、したがって、1分子に対して多−二座(poly-bidentate)配位部位の配列のみを表すことができる。銀の存在下に、このテトラマー(クアテルピリダジン)は、ビピリダジン(2)による場合と同様に正方格子型の超分子配列を優先的に提供することになる。しかしながら、この場合、ピリダジン鎖の伸長により、結果として4つのモノマーの自己配列ももたらされ、これにより、結果として、正方格子によりバランスが取られたテトラマーから作られるヘリックス組織化がもたらされる。
【0015】
【化5】
【0016】
上記の化合物の高い潜在性を前提として、およびこれらの化合物およびそれらの類似体(多数ではない)の合成のための標準化可能なルートがないことを前提として、本発明者らは、新世代のピリダジンおよびピロール配位子のための道を開くことを決めた。
【0017】
今までのところ、以前の研究において、本発明者らは、モノピリダジンをモノピロールに電気化学的に還元するための方法を考案した(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】ホーゲンボーム・アール(Hoogenboom, R)ら著、「Eur. J. Org. Chem.」、2003年、p.4887)
【非特許文献2】バクスター・ピー・エヌ・ダブリュー(Baxter, P.N.W.)、リーン・ジェイ・エム(Lehn, J.- M.)、フィッシャー・ジェイ(Fisher, J.)、ヨウイノウ・エム・ティー(Youinou, M.-T.)著、「Angew. Chem.」、1994年、第106巻、p.2432
【非特許文献3】バクスター・ピー・エヌ・ダブリュー(Baxter, P.N.W.)、リーン・ジェイ・エム(Lehn, J.- M.)、バウム・ジー(Baum, G.)、フェンスク・ディー(Fenske,D.)著、「Chem.Eur.J.」、2000年、第6巻、p.4510
【非特許文献4】マヌ・ジー・ティー(Manh G.T.)ら著、「Electrochimica Acta」、2002年、p.2833
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明者らは、オリゴピリダジン化合物の電気化学的還元は、分子の構造的および電気的特性を大きく改変する可能性がある複数の隣接ピリダジン環の存在にも拘わらず、決定されるべき条件下に達成され得ると仮定した。
【0020】
この仮定の検証のための最初のステップにおいて、本発明者らは、オリゴピリダジン化合物を合成するためのルートを考案しなければならなかった。開発された合成ルートは多数である。それらの一つは、特に、Lehnらによって上述の出版物において提案された合成ルートの最適化に関する。この合成は、純粋に有機的であるが、その他は、電気化学的に達成された。
【0021】
さらに、この化学的な合成ルートの結果、新しい置換ビスピリジニル−ピリダジン化合物、特に、不斉化合物が調製された。
【0022】
一旦、オリゴピリダジン化合物が用意された後に、オリゴピロールの還元が挑戦され得た。予想外に、この還元は、本発明者らによって考案されかつ最適化された特定の条件下に効果的であるだけでなく、ピリダジン残基の環化または任意の他の可能性のある二次的な反応を生じさせない。さらに、還元はまた、ピリダジン環からピリダジン環へとわたって達成され得、それ故に、分子上に1以上の還元部位が提供され、混合型のピリダジニル−ピロール化合物を調製するための道が開かれる。
【0023】
本発明者らはまた、これらの新化合物の潜在的な生物学的適用を確認しようと試みた。これらの化合物は、非常に興味深い治療特性、特に、抗寄生虫、抗癌および抗菌特性を有することが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0024】
したがって、本発明は、線状のピリダジン配列、より特定的には、置換ビスピリジニル−ピリダジンおよびオリゴピリダジン化合物、それらを得るための方法、その適用、並びに、電気化学的なオリゴピリダジンからオリゴピロールへの還元法、得られるピロール、より特定的には、ビスピリジニル−ピロールおよびオリゴピロールおよびその適用に関する。
【0025】
第一の態様において、本発明は、式:
【0026】
【化6】
【0027】
(式中、
−n=1ならば、
−Aが式:
【0028】
【化7】
【0029】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基ならば、
−Y基は、同一または異なって、式:
【0030】
【化8】
【0031】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
− Aが式:
【0032】
【化9】
【0033】
の基ならば、
−Y基は、同一であって、式:
【0034】
【化10】
【0035】
の基を示すか、または、Y基は、異なって、式:
【0036】
【化11】
【0037】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
−A基は、同一または異なって、式:
【0038】
【化12】
【0039】
の基を示し、
−Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)を示すか、または、
【0040】
【化13】
【0041】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1(R1は上記に定義された通りである)を示す)
から選択された基を示す)
を有する化合物に関するが、ただし、以下の化合物は除く:
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール、
− 6,6−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3’’’]クアテルピリダジン、
− 6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン。
【0042】
ビスピリジニル−モノ−およびオリゴピリダジン化合物の調製が以下に記載される。モノ−およびオリゴピロール化合物および対応するピリダジニル−ピロール化合物は、Manh G.T. et al., Electrochimica Acta, 2002, 2833において記載された還元方法の最適化によって得られる。
【0043】
R’−置換モノピロール化合物も、電気化学的還元によって、背景技術において既に記載されたR’−置換ピリダジン化合物から調製される。この場合、ピリダジン化合物は、ビピリジル−テトラジンとアセチレンとの間の標準的なディールス・アルダー反応を用いて得られる(例えば、前述のHoogenboom et al., を参照)。
【0044】
しかしながら、いくつかのモノピリダジン並びにオリゴピリダジンおよび対応するオリゴピロールは、以降に記載される本発明の方法を用いて完全に調製される。
【0045】
アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンおよびアルキルオキシ鎖は、好ましくは、メチル、ヒドロキシメチル、メチルアミンおよびメトキシ基であり、A基は同一である。
【0046】
本発明は、より特定的には、n=1である場合、Mは水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH基である化合物、好ましくは下記化合物に関する:
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン)。
【0047】
これらの化合物は、以下の実施例、特に実施例6〜7および9〜11においてさらに詳細に記載される。
【0048】
n=2である場合、Y基は、同一または異なって、好ましくは、置換されてもよい2−ピリジニル基または−C(CH2)OR1基(R1は、1〜6個の炭素を有するアルキル鎖、好ましくはエチル鎖である)を示す。
【0049】
以下の化合物が、実施例1〜5および8において具体的に記載されている:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}。
【0050】
本明細書において、一方で用語「オリゴピリダジン」および「オリゴピリダジン化合物」および他方で「オリゴピロール」および「オリゴピロール化合物」は置き換え可能に用いられる。これらの用語は、複数の隣接環、好ましくは2〜4個の環を有する化合物を意味する。
【0051】
第二の態様において、本発明は、上述の化合物を得る方法に関する。
【0052】
本発明の範囲内の第一の方法は、式:
【0053】
【化14】
【0054】
(式中、M1置換基は、同一または異なって、水素、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素を有する)を示す)
を有する化合物を調製する方法であって、式:
【0055】
【化15】
【0056】
の化合物を、式:
【0057】
【化16】
【0058】
(式中、Z1およびZ2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(Bはメチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)
の化合物とスティル−カップリング(Stille-coupling)させることによる、方法である。
【0059】
スティル−カップリング反応は、パラジウム(0)触媒カップリング反応であり、炭素−炭素結合を生じさせるものである。パラジウム(0)は、好ましくは、反応媒体中にテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの形態で導入される。反応は、還流下に有機溶媒、好ましくはトルエン、DMF(ジメチルホルムアミド)、THF(テトラヒドロフラン)、HMPA(ヘキサメチルホスホロトリアミド)、N−メチルピロリドン中で行われる。
【0060】
この合成ルートの利点は、ピリジン環上の置換基を選択することによって不斉ピリダジン化合物(ビピリジン−2−イル)が得られることにある。
【0061】
次いで、本発明による化合物からのカルボキシル基の導入が以下の方法によって行われ、これによりモノ−またはジカルボキシル化された化合物が提供される。したがって、これは、式:
【0062】
【化17】
【0063】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、M2置換基の少なくとも1つは、−COOH基であり、他の置換基は、あるいは、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルオキシ鎖であり得る)
を有する化合物を調製する方法であって、アリルまたは芳香族の酸化剤、例えば、二酸化セレンまたは酸化クロムの存在下にメチル前駆体を酸化することによる、方法である。
【0064】
有利には、用いられる溶媒は、酸化反応のための標準的な溶媒、例えば、o−ジクロロベンゼンである。反応が行われる好ましい温度は100〜160℃、優先的には120〜140℃である。
【0065】
本発明はまた、式:
【0066】
【化18】
【0067】
(式中、D基は、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルオキシ鎖(好ましくは、メトキシまたはエトキシ鎖)であり、nは、2〜4の整数(両端値を含む)
を有する化合物を調製する方法であって、蒸留されかつ脱気されたジメチルホルムアミド中の、亜鉛、ニッケル・ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)およびヨウ化テトラブチルアンモニウムの化学量論の混合物の存在下に式:
【0068】
【化19】
【0069】
(式中、Xはハロゲンであり、Dは上記に定義した通りであり、mは1〜3の整数(両端値を含む)である)
を有する少なくとも2つのハロピリダジンをカップリングさせ、脱錯体化(decomplexation)による精製の段階を行うことによる方法を提供する。
【0070】
ハロゲン官能基は、このカップリング反応において反応性の官能基である。
【0071】
反応は、50〜60℃で起こる。
【0072】
この方法は、Lehn et al.によって提案された、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンの合成についての方法の代替である。
【0073】
最適化された条件は、特に、反応媒体中の現場での発生ではなく、ニッケル・ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)より前の調製、並びにヨウ化テトラブチルアンモニウムの使用である。有利には、ニッケル・ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)およびヨウ化テトラブチルアンモニウムは、1:0.3:1の比で導入される。下記の実施例において、反応が行われる温度は、50〜70℃である。
【0074】
有利には、この方法において、オリゴピリダジン分子中のピリダジン環の数は増加し得る。
【0075】
精製段階は、媒体中の反応生成物の脱錯体化のために必要である。精製方法は、2つの相異なる手順のいずれか一方によって達成され得る。
【0076】
第一の手順において、化合物の精製は、シアン化カリウムまたはナトリウムで飽和した冷水溶液中における1.5〜4時間、好ましくは2〜3時間にわたる前記化合物の脱錯体化によって行われる。
【0077】
「冷」とは、本明細書において0〜25℃、好ましくは18〜20℃の範囲にわたる温度を意味する。
【0078】
第二の手順において、化合物の精製は、ハロゲン化カリウムまたはハロゲン化テトラブチルアンモニウム、好ましくはフッ化カリウムで飽和した水溶液または飽和アンモニア中で前記化合物を脱錯体化し、次いで、有機相を炭酸水素ナトリウムまたはカリウムにより洗浄し、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エーテル等により抽出することにより達成される。
【0079】
本発明はまた、式:
【0080】
【化20】
【0081】
(式中、
− n=1ならば、
Y1基は、異なって、式:
【0082】
【化21】
【0083】
(ここで、M3は、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)である)
の基を示し、
− nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
Y1基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【0084】
【化22】
【0085】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基を示す)
を有する化合物を調製する方法であって、1:2〜1:3の範囲にわたる比において、式:
【0086】
【化23】
【0087】
を有する化合物を、式Y1−Z2(ここで、Z1,Z2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(Bはメチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)を有する化合物とスティル・カップリングさせることによる、方法に関する。
【0088】
本発明はまた、ネギシ・カップリング方法から示唆される2つの調製方法を提供する。
【0089】
これは、式:
【0090】
【化24】
【0091】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖を示す)
の化合物を調製するために用いられる方法であって、式:
【0092】
【化25】
【0093】
(式中、X基は水素であり、nは、上記に定義された通りである)
の化合物を、式:
【0094】
【化26】
【0095】
(式中、XおよびTは上記に定義された通りである)
の化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下にカップリングさせることによる、方法である。
【0096】
この方法によると、二重のカップリングが可能であり、本発明者らはまた、式:
【0097】
【化27】
【0098】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖を示す)
の化合物の調製方法であって、式:
【0099】
【化28】
【0100】
(式中、nは上記に定義した通りである)
化合物を、式:
【0101】
【化29】
【0102】
(式中、Xはハロゲンである)
を有する化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下に選択的にカップリングさせることによる、方法を考案した。
【0103】
有利には、これらの2つの方法において、溶媒はTHFまたはエーテルであり、亜鉛ベースの試薬はZnCl2であり、パラジウム(0)は、(Pd(Ph3)4)またはPd2dba3である。
【0104】
本発明はまた、新規前駆体:3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンの調製を提供する。
【0105】
この分子は、2つの新方法に必要とされる:3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンを調製する方法であって、パラジウム(0)の存在下に3−クロロ−6−メトキシピリダジンを2−トリアルキルスタニルピリジンとカップリングさせることによる方法、および、6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オンを調製する方法であって、3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンを加水分解することによる方法。
【0106】
本発明はまた、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンを調製する方法であって、ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在下に3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンをホモカップリングさせることを通じた、方法に関する。
【0107】
これらの合成ルート(これらは、事実上純粋に有機的である)に対する代替として、本発明者らはまた、電気化学的な合成ルートを考案した。
【0108】
したがって、本発明は、式:
【0109】
【化30】
【0110】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y2はハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、
【0111】
【化31】
【0112】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)またはフェニルを示す)
から選択される基である)
を有するハロゲン化ピリダジンを電気化学的にホモカップリングさせる方法であって、
以下の電気分解条件下:
− アノードは、少なくとも50%の鉄から作製される;
− 電気分解媒体は、ニッケルと、ハロゲンから選択される元素と、ピリジンまたはその誘導体の一種とを含有する;
に行われる方法を提供する。
【0113】
好ましくは、用いられるアノードは、Fe/Ni(64/36)アノードである。有利には、反応の溶媒は、少なくとも50%のDMFおよび極性の共溶媒を含有する。例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)およびピリジンの混合物が、90/10〜50/50の範囲(両端値を含む)の比で用いられ得るが、好ましくは80/20である。優先的に用いられる触媒は、ニッケル錯体、例えば、ハロゲン化ニッケル水和物である。溶媒がピリジンを全く含有しない場合、ハロゲン化ニッケルビピリジンを触媒として用いることによって利点が得られ得る。
【0114】
支持電解質は、好ましくは、ハロゲン化テトラブチルアンモニウムまたは等価体、例えば、テトラブチルアンモニウム・テトラフルオロボラートであり、そのモル濃度は、ピリダジン基質に関して10〜20%、好ましくは13〜17%の範囲(両端値を含む)である。
【0115】
反応のために用いられるアンペア数は、例えば、0.05〜0.2A(両端値を含む)、好ましくは、0.06〜0.1Aである。反応は、室温(一般的に20〜25℃)で行われ得る。
【0116】
さらに、本発明はまた、式:
【0117】
【化32】
【0118】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y3はハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【0119】
【化33】
【0120】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)またはフェニルを示す)
から選択される基を示す)
を有するハロゲン化ピリダジンを、式Ar−X(ここで、Xは上記に定義された通りであり、Arは5〜6個の連結を有する置換されてもよい芳香族環である)の芳香族環を含むハロゲン化物と電気化学的にヘテロカップリングさせる方法であって、
以下の電気化学的条件下:
− アノードは、鉄から作製される;
− 触媒は、ハロゲン化ニッケルビピリジンから選択される;
に行われる方法を提供する。
【0121】
この反応は、下記の実施例3において具体的に記載される。
【0122】
好ましくは、用いられる溶媒はDMFであり、支持電解質は、好ましくは、ハロゲン化テトラブチルアンモニウムまたは等価体、例えば、テトラブチルアンモニウム・テトラフルオロボラートであり、モル濃度は、ピリダジン基質に関して10〜20%(両端値を含む)、好ましくは13〜17%である。反応のために用いられたアンペア数は、例えば、0.15〜0.35A(両端値を含む)、好ましくは0.2A前後である。反応は、室温(一般的には20〜25℃)で行われ得る。
【0123】
芳香環は、好ましくは、フェニル、ピリジンまたはトリフェニル環であり、場合によっては置換される。
【0124】
本発明者らの研究の基礎であるオリゴピリダジンからオリゴピロールへの還元法は、以下に記載される。実施例4および5は、具体的にこの方法に関する。
【0125】
この方法は、式:
【0126】
【化34】
【0127】
(式中、nは2〜4の整数(両端値を含む)であり、Y4基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【0128】
【化35】
【0129】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基またはフェニルを示す)
を有する化合物の電気化学的な1以上のピリダジン環上への窒素原子の押出によるピロール還元であって、以下の電気分解条件下:
− アノードは、広い面積を有する電極である;
− 電気分解媒体は、プロトン供与極性媒体である;
に行われる還元を提供する。
【0130】
例えば、プロトン供与極性媒体は、プロトンドナー(例えば、フェノール、酢酸等)を有する有機極性溶媒(例えば、DMF、アセトニトリル等)から作製され得るが、場合によっては、得られた媒体が導電性でない時には、有機極性溶媒は、支持電解質、例えば、第四級アンモニウム塩または酸−アルコール水性媒体を含む。
【0131】
有利には、第四級アンモニウム塩は、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウムまたは硫酸水素テトラブチルアンモニウムから選択され、酸−アルコール媒体は、硫酸または酢酸とエタノールの混合物である。
【0132】
これらの媒体は、実施例4〜8における詳細な説明の対象である。
【0133】
好ましくは、カソードは、直径4.5cmを測定する水銀膜電極、大面積の炭素電極またはスクリーン印刷炭素電極(screen-printed carbon electrode)から選択される。
【0134】
用いられるアンペア数は、10〜50mAの範囲にわたる。反応は、室温(一般的には20〜25℃)で行われる。
【0135】
考慮される基質により変動する賦課される還元電位は、電気分解の間のクーロン、すなわち、モノピロールについては4、ビピロールについては8等の用いられる電子数の消費を制御するように制御されなければならない。
【0136】
この方法は、ピリダジン環のピロールへの還元に関して本発明者らによって行われた研究を終わらせる(Manh G.T. et al., Electrochimica Acta, 2002, 2833)。
【0137】
予想外にも、この電気化学的還元−モノピリダジンに関して機能する−は、適切な反応条件下にオリゴピリダジン化合物に関しても効果的であることが分かった。
【0138】
環の電子環境の改変のためにピリダジン環の回帰を達成することは容易ではなかった;この改変は、分子内で反応しなければならなかったピリダジン環が、その時までは、同様に反応する可能性がある他の同一の環に隣接していたという事実に主として起因する。さらに、この改変は、異なる電解還元特性を有する合成中間体を発生させる可能性もある。さらに、回帰が達成され得る場合、複数の隣接ピリダジン構造上で同時に行われる電気化学的還元工程が相互作用し、例えば、場合によっては分解または内部転位あるいはピロール配列ではなくジ−またはテトラヒドロピリダジン中間体を与える部分的な還元につながる可能性がある。(ピリダジン環からピリダジン環へ)順次的であることが分かっている回帰の場合、目的は、その時に存在する混合系の還元電位についての第一のピロールまたはジヒドロピリダジン中間体の可能な形成の影響を推定することにあった。
【0139】
「回帰(regression)」とは、本明細書では、酸媒体中の2工程の還元を意味し、回帰は、電気化学的還元のメカニズムの結果である。
【0140】
それらの研究の結果、本発明者らは、オリゴピリダジン化合物の還元のための手順を考案し、この還元は電気還元法の間の電子数および印加する電位に応じて事実上同時的または順次的かのいずれかであることを証明した。
【0141】
回帰法により、新規な少数生成物も合成された。これらの生成物は、以下の通りである:
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、
− 6−(6−メチルピリジン−2−イル)−3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[5−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン。
【0142】
上記方法の全てにおいて、アルキルおよびアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)が参照がされる。有利には、前記鎖は、1〜3個の炭素原子を含み、好ましくは、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシ鎖である。
【0143】
第三の態様によると、本発明の目的は、合成された化合物の複数の適用を網羅することである。
【0144】
本発明による化合物は、配位子として用いられるように特にうまく適応させられる。
【0145】
特に、これらの化合物は、特に、鉄、銅、ルテニウム、ユーロピウム、銀およびビスマスのカチオンに関する限りにおいて、金属イオンと特にうまく錯形成する配位子である。それらは、単独でまたは互いに関連する複数の同一配位子として用いられ得る。
【0146】
無制限の配位子の例として、本発明による化合物から発生した金属カテナンが挙げられるべきである。
【0147】
さらに、本発明者らは、この化合物の可能な生物学的特性を研究し、興味深い治療特性を確認した。
【0148】
したがって、本発明は、薬物としての使用のための下記式を有する化合物に関する。
【0149】
【化36】
【0150】
(式中、
−n=1ならば、
− Aが、式:
【0151】
【化37】
【0152】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であるならば、
−Y基は、同一または異なって、式:
【0153】
【化38】
【0154】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
− Aが式:
【0155】
【化39】
【0156】
の基であるならば、
−Y基は、同一であって、式:
【0157】
【化40】
【0158】
の基であるか、または、Y基は、異なって、
【0159】
【化41】
【0160】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、 −CONHR1(R1は上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
−A基は、同一または異なって、式:
【0161】
【化42】
【0162】
の基を示し、
−Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)または
【0163】
【化43】
【0164】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはヒドロキシアルキル鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、フェニル、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)を示す)
から選択された基を示す)
好ましくは、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)は、メチル、ヒドロキシメチル、メチルアミンまたはメトキシ鎖である。
【0165】
本明細書において、上記に列挙された化合物および以下に与えられる好ましい化合物は、「薬物として使用可能な化合物」として参照される。
【0166】
より好ましくは、上記式において、nは2であり、Yは、置換されてもよい2−ピリジニル基または−C(CH2)OR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である。
【0167】
事実、薬物として使用可能な化合物の大部分は新規であり、そうでないものは、それらの治療特性に関して研究されなかったようである。
【0168】
本発明は、具体的には、薬物として使用可能な以下の化合物を包含する:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’− ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3”‘]−クアテルピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}
これらの化合物の治療的な興味は、以下の実施例42においてさらに詳細に記載される。本発明はまた、有効成分として、本発明の薬物として使用可能な化合物を有する治療用組成物を提供する。
【0169】
本発明はまた、本発明の薬物として使用可能な化合物であって、n=1であり、M基がハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または−COOHであるものを薬物としての使用のために提供する。
【0170】
有利には、M基は、同一または異なって、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または−COOH基を示す。
【0171】
本発明は、具体的には、薬物としての用途のための以下の化合物を包含する。
【0172】
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール。
【0173】
より特定的には、本発明の薬物として使用可能な化合物は、結果として治療的適用をもたらし得る複数の生物学的適用を有する。
【0174】
第一の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、核酸と選択的に錯形成することができる。特に、それらは、DNAおよびRNA(その中でもHIV)の選択的錯体形成剤として用いられ得る。それらは、ウイルスのRNA上のそのプライマーを阻害することによって細胞の逆転写酵素に作用する。したがって、それらは、抗ウイルス薬の調製に特によく適している。これらの化合物はまた、DNA制限剤(メタロヌクレアーゼ)として、特に、それらがCuタイプの金属と錯形成させられる場合に用いられ得る。
【0175】
第二の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、癌性細胞に向けて細胞毒性活性を有する。したがって、それらは、抗癌薬の調製に特によく適している。
【0176】
好ましくは、本発明と関係する癌は、癌腫(carcinoma)、例えば、耳、鼻または咽喉の癌腫、肺の癌腫、子宮の癌腫、消化器系の癌腫(食道、結腸、肝臓)、皮膚の癌腫、乳房の癌腫、前立腺の癌腫、卵巣の癌腫等である。具体的には、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジンおよび6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−チオン、3,6−ビスピリジン−2−イルピリダジンおよび3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−ピリジン−2−イルピリダジンは、癌腫細胞モデルにおいて非常に高いレベルの細胞毒性活性を示した:KB、Caco、Huh7および繊維芽細胞についてインビトロ試験)。
【0177】
第三の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、tonBタンパク質を阻害することによって細菌における鉄の伝達の調節に作用する。
【0178】
鉄は、細菌感染に必須である。それにもかかわらず、細菌は、必要とする鉄をそれらの環境から取り出さなければならない。鉄は、常時、トランスフェリン、ラクトフェリン、ヘモグロビン等のタンパク質と結合している。その結果として、細菌は、鉄を取り出すためにTonBタンパク質を必要とする非常に精巧なシステムを有する。
【0179】
特に、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジンは、大腸菌の成長を阻害することができることが分かった。
【0180】
したがって、これらの化合物は、抗菌薬、例えば、赤痢または髄膜炎の治療用のものの調製に特によく適している。
【0181】
第四の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物はまた、寄生虫症の治療用の薬物を開発するために用いられる。本発明が関わる寄生虫症は、特に、リーシュマニア症、アスペルギルス症およびカンジダ症である。
【0182】
この特定の治療的適用のために、有利な用途は、式:
【0183】
【化44】
【0184】
(式中、
− nは1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− M4基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH、COOR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)を示す)
を有する化合物、より特定的には、下記に列挙された化合物によってなされる。
【0185】
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、および
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン。
【0186】
第五の適用において、本発明の薬物として使用可能な化合物は、放射性配位子に関して大きな関心のある放射性金属の媒介物(vector)である。その結果として、それらが適切な金属、例えば、ビスマスまたはユーロピウムと錯形成する場合、それらは、放射免疫療法のための薬物を提供する。
【0187】
この特定の治療適用のために、好ましい化合物は、A基が式:
【0188】
【化45】
【0189】
(式中、R’は、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)
を有する基である式によって示される。
【0190】
これらの化合物は、三座または四座である、N,O−混合型またはN−供与性(N-donating)配位子である。したがって、それらは、金属イオンの錯形成に特によく適している。
【0191】
本発明者らはまた、環境、材料およびエレクトロニクスの分野において確定した適用を有する。
【0192】
本発明による化合物は、有利には、液体媒体中のカチオンの改善のために用いられ得る。このことは、Aが式:
【0193】
【化46】
【0194】
(式中、nは2〜4(両端値を含む)であり、Y基は、同一または異なって、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子であり、場合によっては環式である)、−COOH、−COOR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)、−CONH2を示す)
の基である式によって示される化合物に特に当てはまる。
【0195】
上記に挙げられたように、これらの化合物は、金属イオンの錯形成に特によく適している。それらは、場合によっては、単独でまたは互いに関連する複数の同一の配位子として用いられ得る。
【0196】
さらに良好には、本化合物は、以下から選択される:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンおよび
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン。
【0197】
カルボン酸、特に、α−ブロモカプリン酸と組み合わせた本発明による化合物の利点が本発明者らから得られ得る。本発明者らは、この特定の組合せが特にアクチニドカチオンに関して実施された時はいつでも改善活性における相乗作用の存在に注意した。
【0198】
本発明はまた、本発明による化合物の超分子組織を有する材料を包含する。特に、本発明によるいくつかの化合物は、自己集合特性を示す。その他のものは、金属カチオンの周りに自己集合し得る。
【0199】
さらに、これらの材料は、有利な線形光学特性も示す。特に、それらは、液晶、光ファイバ等を開発することを可能にする。
【0200】
本発明の他の特徴および利点は、以下の実施例において、図面を参照しながら明らかにされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、調製の電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラムを示す:媒体:0.5mol・L−1 H2SO4、エタノール(1/1),C=6×10−3mol/L,v=100mV/s。
【図2】図2は、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)の調製の電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラムを示す(−電気分解前、−−電気分解中、−電気分解の終了時);ガラス質炭素電極,v=100mV/s。
【図3】図3は、酢酸/エタノールバッファ媒体中の溶媒および3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジンのサイクリック・ボルタモグラムを示す;C=10−3mol・L−1、V=100mV/s。
【図4】図4は、酢酸/エタノールバッファ媒体中の4−カルボメトキシ−3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(84)および3,6−ビス(ピリジン−4−イル)−ピリダジン(81)のサイクリック・ボルタモグラムを示す;C=10−3mol・L−1、V=100mV/s。
【図5】図5は、4−(1−ヒドロキシエチル)−3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(82)の調製電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラムを示す(−電気分解前、−−電気分解中、−電気分解の終了時);ガラス質炭素電極、v=100mV/s。
【図6】図6は、カソード区画における調製電気分解の終了時の種々のピロール誘導体のボルタモグラムを示す;ガラス質炭素電極、v=100mV/s。
【図7】図7は、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)の調製電気分解のボルタモグラムを示す;ブランク=生成物欠失下の基準のボルタモグラム。elec 0=時間0のコントロールのボルタモグラム;elec 1=8電子消費後のボルタモグラム。
【図8】図8は、6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(105)の調製電気分解のボルタモグラムを示す。
【図9】図9は、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)のUV−可視および蛍光吸収スペクトルを示す。
【図10】図10は、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)のUV−可視および蛍光吸収スペクトルを示す。
【図11】図11は、6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(105)のUV−可視および蛍光吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0202】
(実験の部に関する一般的な条件および手順)
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)
1Hおよび13CのNMRスペクトルは、Bruker Avance300分光計を用いて記録された。照射周波数は、それぞれ、300MHzおよび75.5MHzであり、化学置換は、内部標準としてのテトラメチルシランに対するparts per million(ppm)で与えられる。結合定数は、ヘルツ(Hz)で与えられ、シグナルの多重度は、次のように記載される:s(シングレット)、brs(ブロード・シングレット)、d(ダブレット)、dd(ダブレット・オフ・ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)。
【0203】
UVおよび蛍光分析
UV−可視吸収スペクトルは、Shimadzu UV-2401PC分光計を用いて記録された。蛍光スペクトルは、Fluoromax SPEX蛍光分光計を用いて記録された。上記に列挙された装置を用いて記録された全てのスペクトルは、UV−可視石英セル(1cm)において行われた。
【0204】
気相クロマトグラフィー(GC)
クロマトグラムは、HP 6890装置を用いて記録された。この装置には、JW 1701カラム(30m×0.25mm,固定相:シアノプロピル−フェニル−メチルシラン)、水素炎イオン化検出器、およびベクトルガスとしての窒素が備えられている(流量=1.3mL/分)。炉の温度は、次のように調整された:80℃で1分、次いで、1分あたり12℃で280℃まで昇温。
【0205】
薄層クロマトグラフィー
全ての反応は、薄層クロマトグラフィーによって追跡された(アルミニウムシート上のKieselgel 60F254 Merck)。プレートは、UV光またはMohrテスト(10%水中FeSO4)によって曝露された。
【0206】
質量分析(MS)
マススペクトルは、Thermoelectron DSQ装置を用いて、電子衝撃(electronic impact:EI)(70eV)、化学イオン化(chemical ionisation:CI)(アンモニア性)、直接導入またはGC−MSカップリングによって記録された。
【0207】
溶媒
用いられた全ての溶媒は、合成用の高純度な形態で購入された。テトラヒドロフラン(tetrohydrofuran:THF)は、アルゴン下にナトリウム/ベンゾフェノンにより新たに蒸留された。ジクロロメタン(dichloromethane:DCM)およびN,N−ジメチルホルムアミド(dimethylformamide:DMF)は、アルゴン下に水素化カルシウムにより新たに蒸留された。トルエンは、アルゴン下にナトリウムにより新たに蒸留された。
【0208】
手順A:ウルマンタイプのホモカップリングの一般的手順
臭化テトラブチルアンモニウム、粉末状の活性化亜鉛およびニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィンが丸底フラスコに加えられる。混合物は、真空下に乾燥させられ、アルゴン下に置かれる。新たに蒸留されかつ脱気されたDMFが媒体にカニューレ挿入される。溶液は、均一な溶液が得られるまで室温で攪拌される。ハロピリダジンが新たに蒸留され、脱気されかつ反応媒体にカニューレ挿入されたDMFに溶解される。溶液は、15時間にわたって55℃で攪拌される。黒色がかった溶液は、室温に冷却され、アンモニア(25N)により処理され、DCMにより抽出される。Na2SO4による有機相の乾燥および減圧下の溶媒留去の後、残渣が精製される。
【0209】
手順B:酸加水分解の一般的な手順
冷却管を取り付けた丸底フラスコ中で、メトキシピリダジンおよび酢酸中33%HBr溶液が、48時間にわたって60℃で攪拌される。次いで、溶液は冷却され、真空下に濃縮される。沈殿物がろ過され、アセトンにより洗浄される。灰色がかった固体は水に懸濁させられる。溶液は還流させられ、1MのNaOH溶液により中和される。沈殿物はろ過され、水により洗浄され、真空下に乾燥させられる。
【0210】
手順C:一般的な塩素化手順
POCl3およびピリダジノンが、冷却管が取り付けられた丸底フラスコ中で18時間にわたって還流下に加熱される。室温に戻される際に、過剰のPOCl3が真空下の蒸留によって除去され、残渣は氷により加水分解される。次いで、溶液は、1Mのソーダの添加によって中和され、ジクロロメタンにより抽出される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。
【0211】
手順D:スティル・カップリングの一般的な手順
予め乾燥させられた試薬(ハロアリール、スタニルピリジン、パラジウム触媒)が、冷却管が取り付けられた丸底フラスコにアルゴン下に加えられ、新たに蒸留されかつ脱気された溶媒が反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、出発物が完全に消失するまで加熱されかつ攪拌される。室温に戻される際に、溶媒は減圧下に留去され、残渣はDCM中に溶かされる。次いで、溶液は、セライトを通じてろ過され、DCMにより洗浄される。次いで、有機相は、濃アンモニア(25N)およびKF飽和溶液により順次に洗浄される。有機相はNa2SO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。
【0212】
手順E:ネギシ・カップリングの一般的な手順
新たに蒸留されかつ脱気されたTHF中のブロモピリジン溶液(1.6当量)が、冷却管が取り付けられた三つ口丸底フラスコにおいて−78℃に冷却される。ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,1.6当量)が、徐々に加えられ、反応媒体は、30分間にわたって−78℃で攪拌される。脱気THF中の塩化亜鉛溶液(予め昇華させられる,1.6当量)が、−78℃で反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、室温で30分間にわたって攪拌され、次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1当量)およびハロピリダジン(1当量)のTHF溶液が、反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、48時間にわたって、基質に応じた温度で攪拌される。媒体は、NaHCO3飽和溶液により処理される。溶液は、セライトを通じてろ過され、DCMおよび濃アンモニア(25N)により順次に洗浄される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。
【0213】
手順F:電気化学的な環縮小の一般的な手順
還元されるべき化合物が、三溶媒系(THF/酢酸バッファ/CH3CN:5/4/1)または0.5MのH2SO4中のいずれかに溶解させられ、電気化学セルのアノード区画に置かれる。同一の溶媒系が、カソード区画中に置かれ、8電子が通るまで適切な電圧が印加される。必要に応じて、有機相は、真空下に溶媒留去される。次いで、水相は、アルカリ性のpHに達するまでNa2CO3飽和溶液により処理される。媒体は、DCMにより抽出され、有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、真空下に濃縮される。残渣は、シリカのカラムクロマトグラフィーによって精製される(EP/AcOEt:比は化合物に応じる)。
【0214】
(実施例1: 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)、6,6’−ビス(5−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)および6’6’−ジピコリン−4,4’−ジメチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105)の合成)
1. 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)の合成
6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)を得るための第1の従来のルートは、以下の逆合成分析(逆合成1)に従って考えられた。この逆合成分析は、J.M. Lehn (Baxter, Lehn et al., 2000) によって開発された戦略から着想された。
【0215】
【化47】
【0216】
ビピリダジン(19)を得るために種々の合成ルートが考えられた。
【0217】
ルート1
ビピリダジン(15)は、触媒:ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在下の3−クロロ−6−メトキシピリダジン(14)のホモカップリングを通じて36%の収率で達成される。ビピリダジン(16)は、酸加水分解の後に98%の収率で得られる。次いで、化合物(16)は、塩素化され、スタニルピリジン(18)の存在中にスティル・カップリング条件下に置かれ、予想される生成物(19)が与えられる。
【0218】
【化48】
【0219】
第1工程において導入されたビピリダジン・ユニットは、抽出の間に潜在的に問題になり得る錯体化特性を有する;したがって、第2の合成ルートが考えられた。第2の合成ルートの目的は、最終工程の間にこのユニットを導入することである。
【0220】
ルート2
スタニルピリジン(18)が、3−クロロ−6−メトキシピリダジン(14)の存在中にスティル・カップリング条件下に置かれる。メトキシピリダジン(102)が77%の収率で得られる。酸加水分解および塩素化の後、ピリダジノン(7)およびクロロピリダジン(8a)が、それぞれ、40%および77%の収率で得られる。ビピリダジン(19)は、ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在中の3−クロロ−6−ピリジルピリダジン(8a)のホモカップリングを通じて12%の収率で得られる。
【0221】
【化49】
【0222】
スズの使用を回避するためおよび工程数を減らすために第3の合成ルートが開発された。
【0223】
ルート3
この合成ルートは、有機亜鉛誘導体とハロゲン化ピリダジンとのネギシ・カップリングを用いる。亜鉛ピリジンは、現場(in situ)で、2−ブロモピリジンからブチルリチウムおよび塩化亜鉛の存在下に形成される。次いで、3−クロロ−6−ヨードピリダジン(103)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の溶液が、カニューレ挿入されて、化合物(8a)が62%の収率で与えられる(最初の工程)。ビピリダジン(19)は、ホモカップリングを通じて達成される。
【0224】
【化50】
【0225】
ネギシ・カップリング法を最適化するために第1工程の研究が着手された。この研究の結果、室温で3,6−ジクロロピリダジンではなく3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103)を用いることによって収率は14%から62%に上がった。反応は、モノ置換生成物のみを提供し、ジ置換生成物は、加熱した際にのみマイナーな生成物として現れる。
【0226】
【表1】
【0227】
ホモカップリング反応において用いられたニッケルは、最後の工程において分子の抽出を困難にし得る。したがって、第4のルートが開発された。
【0228】
ルート4
この合成ルートは、ルート1とほぼ同じであるが、最終化合物中の痕跡量のスズの存在を回避するためにスティル・カップリングはネギシ・カップリングと置き換えられる。
【0229】
【化51】
【0230】
2. 6,6’−ビス(5−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)(6,6’−ジピコリン−2−イル−[3,3’]ビピリダジンとも呼ばれる)の合成
ルート1
スキーム12に記載された手順がまた、6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)の調製のために再生され、これは37%の収率で得られた。スティル・カップリング反応が、この場合、6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)から、6−メチル−3−トリブチルスタニルピリダジン(22)の存在下に行われた(スキーム9)。
【0231】
【化52】
【0232】
ルート2
この合成ルートは、上記のルート4に対応する。
【0233】
【化53】
【0234】
3. 6,6’−ジピコリン−4,4’−ジメチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105)の合成
【0235】
【化54】
【0236】
用いられた合成ルートは、これも、項目1のルート4に対応する。6−メチルピリジン基へのさらなるメチル置換基の付加は、化合物の溶解性を大きくし、それ故に、電気化学的な環回帰を促進する。
【0237】
【化55】
【0238】
実施例2:6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)を介する2,2,6,6’−ビス(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(24)の合成
6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)から出発して、多くの官能基の改変が可能であるが、その中でも、DMF中80℃で、トリブチル−(1−エトキシビニル)スズおよびtrans-ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)[Pd(PPh3)2Cl2]の存在下の6’−ビス(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(24)へのアクセスは、68%の収率である(スキーム10)。
【0239】
【化56】
【0240】
この分子は、KB癌性細胞に対して強い細胞毒性のポテンシャルを有し(0.3μg/mLのIC50を有する)、細胞成長のための鉄伝達のプロセスに必要とされるtonBタンパク質にも影響を及ぼす。
【0241】
実施例3:線状(linear)オリゴピリダジン配位子の電気化学的合成)
犠牲陽極法(J.Chaussard,J.-C.Folest,J.-Y.Nedelec,J.Perichon,S.Sibille,M.Troupel,Synthesis,1990,369-381)は、芳香族性およびヘテロ芳香族性のハロゲン化物のカップリングを可能にした。
【0242】
1. 採用された電気化学的方法の説明
ニッケル錯体によって触媒される間接的な電気分解法により芳香族ハロゲン化物のカップリングが可能である。採用される方法は、犠牲陽極法である。触媒の前駆体が、ニッケル塩の形態(NiBr2,xH2O)でまたはニッケルを含有する金属棒(ステンレス鋼またはFe/Ni 64/36鋼)の酸化によって導入される。
【0243】
用いられる材料は次の通りである:
電気化学セルは、ガラス壁から作製され、このガラス壁は、底部においてネジ山によって終結させられており、このネジ山に、ベークライト(登録商標)口金(ブラック、SVL40)が仲介シールリング(intermediary sealing ring)と共にネジ締めされている。頂部において、SVL15型の4つのインレットがSVL22中心インレットの周りに配置され、このSVL22中心インレットに、金属棒がアノードとして嵌合させられ得る。カソードはニッケル発泡体(40cm2)から作製され、これは、アノードの周りに同心状に置かれる。セルの内側での溶媒の攪拌は、マグネティック・スターラーバーを用いて達成される。種々の側部インレットの目的は、ステンレス鋼ワイヤを用いたカソードの接続と、電気化学セル内部の不活性雰囲気を保証するアルゴン等のガスの給排気とを提供することである。4つのインレットを通じて、電気分解の間に、サンプルが反応媒体から取り出され得、または、試薬が反応媒体に加えられ得る。必要に応じて、インレットの1つは、基準電極を導入して反応の間のセルの電位の発生を測定するために用いられ得る。
【0244】
セルは、必要に応じて加熱を可能にする、磁気により攪拌されているオイルバス中に置かれる。DMFは、本方法において採用される溶媒である。媒体は、第4級アンモニウム塩等の支持電解質の導入によって導電性にされる。セルの電源は、固定化電源によって達成され、この固定化電源により、10〜300mAの電流定位の領域(amperostatic regime)下に作業が可能である。
【0245】
電気分解に伴う2つの反応が同時に起こることになる。カソード側の反応は、最も容易に還元される、この場合、触媒前駆体である種(ニッケルII塩)の還元である。ニッケル(II)は、それ故に、ニッケル(0)に還元され、媒体に含まれる配位子(ピリジンまたはビピリジン)によって安定化させられる。アノードにおける反対側の反応は、鉄または64/36の組成を有する鉄/ニッケル合金から作製された金属棒の酸化である。媒体中に生じた金属塩は、それ故に、反応の適切な機能化に加わる。ニッケル(0)の周りで引き起こされるプロセスは、スキーム1および2において、高く(スキーム1)または低く(スキーム2)課されたアンペア数に従って示される。
【0246】
【化57】
【0247】
アノードが鉄製であるならば、触媒の前駆体は、用いられるNiBr2Bipy錯体(10%)であり、Fe/Ni(64/36)アノードの場合には、触媒の前駆体は、NiBr2(5〜10%)であり、共溶媒として用いられる配位子はピリジンである。
【0248】
2.ハロゲン化ピリダジンの電気化学的ホモカップリング
6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(15)は、6,6’−二置換型3,3’−ビピリダジンの合成のキーとなる中間体である。電気化学的に達成されるこの中間体のオリジナルな、簡単でかつ効果的な合成が考案された。この合成は、上記の犠牲陽極法を用い、ニッケル錯体による触媒を通じた3−クロロ−6−メトキシピリダジン(14)のホモカップリングを含む(スキーム1’)。
【0249】
【化58】
【0250】
用いられる材料は、パラグラフ1において記載されたものである。アノードは、Fe/Ni(64/36)の棒であり、カソードは、ニッケル発泡体(Goodfellow provider)製である。溶媒は、DMF/ピリジンの50/50混合物であり、支持電解質は、NBu4Br/NBu4Iの1/1混合物から作製される。反応は、室温でアルゴン雰囲気下に行われる。ジブロモエタン(300μL)の存在中の予備電気分解が、15分間、0.1Aのアンペア数でニッケル(NiBr2,xH2O,10%)および試薬(3−クロロ−6−メトキシピリダジン)の不存在下に行われる。次いで、このニッケルおよび試薬が加えられ、電気分解が、0.05Aのアンペア数で続けられる。反応の進行は、CPG分析によって追跡される。このCG分析は、反応媒体から取り出されたサンプルを利用することおよびこれらのサンプルを加水分解する(EDTA/CH2Cl2)により飽和した水溶液)ことからなる;これは、ハロゲン化アリールが完全に消失するまで続けられる(時間:約15〜19時間)。溶媒は、減圧下に留去される。残渣は、混合物(EDTAおよびジクロロメタンにより飽和した水溶液)中に吸収され、1時間にわたって磁気により攪拌に付される。有機相は、水相から分離され、水相は、CH2Cl2により抽出される(100mL×4回)。集められた有機相は、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させられ、ろ過され、減圧下に濃縮される。得られた残渣は、中性の酸化アルミニウムによるクロマトグラフィーによって精製される(溶離:100%CH2Cl2)。
【0251】
実験データ:
6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(1)、CAS RN [24049-46-5]:白色結晶;得られた質量:695mg;収率=64%;(アルミナゲル精製、溶離:ジクロロメタン100%)。融点:238−239℃(文献値:237−238℃)
1H NMR (CDCl3, 300MHz, δ ppm): 8.60(d, 2H, J=9.3Hz); 7.11(d, 2H, J=9.3Hz), 4.19(s, 6H, OCH3).
13C NMR(CDCl3, 75MHz,δ ppm): 165.47; 152.47; 127.41; 118.21; 55.07.
MS (EI) M/Z(%): 219(13), 218(100), 217(57), 189(32), 175(33), 147(31), 119(12).
同様に、6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)の調製が、以下の反応スキーム(スキーム2’)に従って3,6−ジクロロピリダジン(1’)の電気化学的カップリングによって達成され得る。
【0252】
【化59】
【0253】
3.ハロゲン化ピリダジンの電気化学的ヘテロカップリング
関係する反応は、以下の通りである(スキーム4’)
【0254】
【化60】
【0255】
ホモカップリングとは異なり、ヘテロカップリングは、0.2Aのアンペア数で行われた。触媒の前駆体は、触媒量(10%)で加えられたNiBr2bipy錯体である。アノードは、鉄(XC10,0.1%カーボン)から作製される。溶媒はDMFである。
【0256】
結果は、下記表(表1)に列挙される。
【0257】
【表2】
【0258】
得られた収率は、減少(33%)が観察された3−ブロモピリジン(エントリー6)を除いて約60%である。パラブロモ安息香酸メチル(エントリー4)および3−ブロモチオフェン(エントリー5)については、反応は、0.05Aで行われた。
【0259】
以下に示される逆合成スキーム(逆合成1’)によれば、電気化学的カップリングによるビピリダジンへの2つのアプローチを考えることが可能である。
【0260】
【化61】
【0261】
逆合成ルートAについて、3,6−ジクロロピリダジン(1’)のホモカップリングを通じて6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17)を与えるカップリングが考えられる(上記参照)。
【0262】
(17)から出発して、Rが可変体である多くのビピリダジン構造が化学的または電気化学的に達成可能である。
【0263】
逆合成ルートBに関して、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)および(2)の合成は、中間体(2’)を介するスキーム7’に記載される2回の電気化学工程において行われる。
【0264】
【化62】
【0265】
さらに、このルートにより、RおよびR’が可変体である非対称ビピリダジン類似体が得られ得る(スキーム8’)。
【0266】
【化63】
【0267】
(実施例4:ビピロール配列の電気化学的合成)
いくつかのビピリダジン構造が、電気化学的環回帰条件に付された。電解還元実験は、3,3’−ビピリダジン(2)および(19)が酢酸バッファに全く溶けないため、硫酸環境下に行われた。条件は以下の通りであった:ガラス質炭素電極,v=100mV/s。6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2)のボルタモグラムは、−0.5V/ECSの電位を有する非常に著しい還元波および約−0.6V/ECSのわずかな肩部を明らかに示す(図1)。
【0268】
予備研究によると、最初の波は、ダイマー(2)の2つの対称ピリダジン基の2電子同時還元(ピリダジン環当たり)の電位(全4電子)に対応すると考えることが可能であった。したがって、ビス−ジヒドロピリダジン(68)中間体の形成が考えられ得、そのジピロール(71)への還元には、ビピリダジン(2)からモル当たり全部で8電子のために少なくともモル当たり別のさらなる4電子(ジヒドロ環当たり2電子)が論理的に必要であるだろう(スキーム121)。
【0269】
したがって、この化合物の調製電気分解は、硫酸媒体中で、1時間の間に作動電位−0.5V/ECS(Q=210C)を印加することによって行われ、次いで、それは、前駆体のほぼ完全な消費まで−0.6V/ECSの電位で継続された(Q=305C)。この調製電気分解のモニタリングは、炭素電極上のカソード区画において直接的になされるサイクリック・ボルトアンペロメトリック(cyclic voltamperometric)測定によって、電解合成の種々の段階において行われた(図1:−電気分解前、−−電気分解の間、電気分解の終了時)。種々のボルタモグラム上のビピリダジン(2)化合物の還元波の強度の減少により、調製電気分解間のこのものの還元が明らかに証明される。調製的電気分解は、この波の完全な消失の後に停止させられた(実験への4.5時間、したがって、この間に、少なくとも4電子が用いられた)。
【0270】
電気分解の終了時に、この実験中のクーロン消費は、実際に、ビピリダジン基質のモル当たり4.78電子に対応するだけである(Qtの理論値=440C=8e−)。
【0271】
この手順によるこの4電子電解還元(スキーム121)は、主として、3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(70)の形成につながる。
【0272】
したがって2つの中からの単一環の選択的還元が可能である。機構は、ピリダジンダイマーのビス−1,2−ジヒドロピリダジン(68)への最初の4電子還元または中間体(69)を介する2つの連続する2電子還元工程のいずれかを含む。この仮説は、最初の2電子還元に由来する3−[6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ジヒドロピリダジン−3−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(69)の中間体の媒体中の同定によって最初に示唆された;
【0273】
【化64】
【0274】
2つの化合物の同定は、それらの質量スペクトルである、それぞれ、ジヒドロ体(69)についてのm/z=[M-H] 341およびピロール(70)化合物についてのm/z=[M] 327によって確認された。ピロール(70)の1H NMRスペクトルの分析は、δ=11ppmにおいてNHおよびδ=6.77および6.78ppm(3J=3.9Hz)において2つのピロールプロトンの存在を示す。これらはまた、それぞれ2.4Hzおよび2.7Hzの4Jのカップリング定数で、ピロールのNHとカップリングし得る。
【0275】
この変形はまた、交互のピリダジン−ピロール系を得ることの可能性を提供する。
【0276】
好ましい機構は、ピロール−ピリダジン(70)に再配置されるビス−1,2−ジヒドロピリダジン(68)(4電子還元に由来する)の形成の方に向けて作用するようである。その後、ビピロール(71)は、残留ピリダジンの新たな4電子還元から生じる。
【0277】
この電子還元実験のために開発された、モル当たり4.78電子のみが用いられる手順によると、ビピリダジン(2)のモル当たり8電子が必要であるビピロール(71)の発生は最適ではあり得なかった。その存在は、やはりこれらの条件下では、低比率でしか同定されなかった。反応結果の1H NMRにより、ピロールのNHのピークがこの対称的な分子についてδ=9.65ppmに発生することおよびその質量スペクトルは(m/z=[M+1] 313)に適合することが明らかに示される。
【0278】
(71)の1H NMR(300MHz, CDCl3): 9.65(brs, 2H, NH); 7.45(t, 2H, 3J=7.5Hz, 2H 4’ピリジニル); 7.31(d, 2H, 3J=7.5Hz, 2H 3’ピリジニル); 7.31(d, 2H, 3J=7.5Hz, 2H 5’ピリジニル); 6.66(m, 2H,2Hピロール); 6.41(m, 2H, 2Hピロール); 2.49(s, 6H, CH3).
ビピリダジン(2)の調製電気分解(8電子還元)
研究は、電子還元電位をより負の値である−0.7V/ECSの方に基質が完全に消失する(または基質のモル当たり8.15電子の消費)まで徐々に移動させることによって繰り返された。以前の実験の間に主波の消失が留意されたが、これは、約−0.8V/ECSの電位を有する別の波の出現と適合させられた(図1)。それは、3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(70)の対応するビピロール体(71)への還元に対応する。
【0279】
以前の電気分解のように、モニタリングは、サイクリックボルトアンペロメトリック測定によって達成された(図2)。
【0280】
図2において、4電子の通過の後に、依然として存在する3つの第一波によって明らかにされるように、依然としていくつかの出発物が存在することが観察され得る。事実上よりカソード性の第二波の出現は、反応の最終生成物の典型である。
【0281】
以前の試行と同一である処理はまた、反応生成物の混合物を提供し、反応結果のNMR分析により多くのピークが示される。しかしながら、2つの主要なフラクションが、クロマトグラフィーによってうまく単離された:一方は、1,2,3,4−テトラヒドロピリダジニル−ピロール(72)を含有しており、他方は、予想されたビピロール(71)を含有している(スキーム122)。
【0282】
【化65】
【0283】
テトラヒドロピリダジンピロール(72)反応生成物の存在は、(72)がビピロール(71)の合成中間体を示すので、8電子がピリダジンを還元するために用いられることを結論づけることを可能にする。
【0284】
【化66】
【0285】
1H NMR(400MHz, CDCl3) 72: 10.07(brs, 1H, NH ピロール); 7.62(t, 1H, 3J=7.7Hz, H4’ ピリジニルA); 7.41(t, 1H, 3J=7.7Hz,H4’ ピリジニルB); 7.34(d, 1H, 3J=7.7Hz,H3’ ピリジニルB); 7.26(d, 1H, 3J=7.7Hz, H3’ ピリジニルA); 7.09(d, 1H, 3J=7.7Hz, H5’ ピリジニルA); 6.88(d, 1H, 3J=7.7Hz, H5’ ピリジニルB); 6.64(m, 1H, H4 ピロール); 6.33(m, 1H, H3 ピロール); 6.02(brs, 1H, NH テトラヒドロピリダジン); 4.30(dd, 1H, 3J=9.9, 3.09, H6 テトラヒドロピリダジン); 2.70(m, 1H, H4 テトラヒドロピリダジン); 2.65(m, 1H, H4 テトラヒドロピリダジン); 6.64(s, 6H, CH3); 2.54(m, 1H, H5 テトラヒドロピリダジン); 2.16(m, 1H, H5 テトラヒドロピリダジン);
13C NMR(400MHz, CDCl3) 72: 160.4(C2’ ピリジニルA); 158.2(C6’ ピリジニルA); 157.9(C6’ ピリジニルB); 149.7(C2’ ピリジニルA); 138.5(Cq ピロール); 136.7(C4’ ピリジニルA); 136.5(C4’ ピリジニルB); 132.6(Cq ピロール); 122.2(C3’ ピリジニルA); 121.0(C3’ ピリジニルB); 120.1(C5’ ピリジニルA); 117.5(C5’ ピリジニルB); 108.2(C4 ピロール); 107.5(C3 ピロール); 57.5(C6 テトラヒドロピリダジン); 26.0(C5 テトラヒドロピリダジン); 24.6(2 CH3); 22.1(C4 テトラヒドロピリダジン).
しかしながら、本方法の最適化は、印加される必要がある電位(0.85V/ECSまで)を含み得るか、または、単純に反応を進行させる。仮説は、−0.7V/ECSにおいてジヒドロピリダジン(2)は、(72)に還元されることおよび酸媒体中のピロール(71)の再配置には単により長い反応時間が必要とされることである。
【0286】
(実施例5:制御された電位での調製電気分解による6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンの還元)
調製電気分解は、硫酸媒体(0.5mol・L−1)/エタノール(比率:0.5/0.5)中、フリットガラスによって分けられた2つの区画を有するセル内で行われる。アノード区画において、アノードおよび15cm2の表面積を有するステンレス鋼プレートが置かれる。カソードである、16cm2の面積を有する水銀層および基準電極である飽和カロメル電極が、カソード区画の内側に置かれる。両区画室内の溶媒の容積は90mLである。カソード区画室内に基質(194mg、すなわち、5.7×10−4mol)が導入され、電気分解の始めにおいて印加される電位は、−0.5V/ECS(基質の還元電位)であり、対応するアンペア数は35mAである。電気分解の1時間後に、それは、基質が消失するまで−0.6V/ECSで続けられ(4.5時間)、電気分解の終了時のアンペア数は8mAである。電気分解のモニタリングは、炭素電極(S=3.2mm2)により計られるサイクリックボルトアンペロメトリック測定によって、直接的にカソード区画室において達成される。電気分解の間のクーロンの消費は305C、すなわち、基質のモル当たり5.57電子である。カソード区画室の反応媒体は蒸発させられて、エタノールが除去され、NaHCO3により中和される。ジクロロメタンによる抽出の後、有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、溶媒が留去される。モノピロール化合物3−[5−(ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジンがシリカゲルクロマトグラフィーによって精製される。
【0287】
5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール(112)の取得
ビピロールの電解合成を最適化するために、同一の操作条件(溶媒、電極)下での、しかし、電解還元電位をより負の値(E=−0.85V/ECS)の方に向かわせる電気分解により、ビピロール系が形成される。
【0288】
【化67】
【0289】
化合物(19)についての可溶化の困難性は、従来の条件(EtOH/酢酸バッファ)下での電気化学回帰を妨げた;0.5Mの硫酸中の可溶化が唯一可能である。0.5Mの硫酸中で記録されたボルタモグラムは、Ec=−0.363V、−0.500Vおよび−0.673Vの電位において3つの連続する還元波を強調した。同様の条件下に、ピロール化合物は、Ec=−0.818Vの電位にピロールの還元に対応する還元波を示す。
【0290】
ビピリダジン(19)の調製電気化学的な電気分解は、0.5MのH2SO4媒体中で行われた。Et=−0.650V/ECSの電位が、8電子の消費まで作動電極(水銀層)に印加された。反応のモニタリングは、サイクリックボルトアンペロメトリック測定およびTLCによって行われた(図7を参照)。
【0291】
ビピロール(112)化合物は、10%近くの収率で得られ、これは、モノピロール(107)化合物およびテトラヒドロピリダジン(108)化合物についての場合でもあった。ビピロールについて得られた低収率は、濃H2SO4媒体中のその部分的な分解およびフラッシュ・オン・シリカゲル・クロマトグラフィー精製により遭遇される困難性によって説明される。
【0292】
【化68】
【0293】
(実施例6:多環式モノピリダジンの還元の分析)
分析研究により、3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(80)、(82)、(83)および(85)は、それらの3,6−ジカルボメトキシ−ピリダジンホモログと類似のボルタモグラムによって記録されることが証明された。それ故に、最初の4電子のピークは、明確に規定され、−0.9Vと−1.1Vの間の電位に現れる(図3、酢酸およびエタノール媒体中の溶媒および前駆体(80)、(82)、(83)および(85)のサイクリックボルタモグラム,C=10−3mol・L−1,V=100mV/s)。
【0294】
前駆体4−カルボメトキシ−3,6−ビス(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(84)および3,6−ビス(ピリジン−4−イル)−ピリダジン(81)のボルタモグラムはより複雑であり、複数の還元波が、より正の電位からとして発生する(−0.7V)(図4、酢酸+エタノールバッファ媒体中の前駆体(81)および(84)のサイクリックボルタモグラム、C=10−3mol・L−1,V=100mV/s)。
【0295】
これらの異なる前駆体についての2つの最初の還元ピークの電位の値およびEpピークが表4に列挙される。
【0296】
【表3】
【0297】
還元波によって関連付けられる電子数の測定は、サイクリックボルトアンペロメトリック測定によって、内部基準(既知数の電子を有する還元剤/酸化剤の対)を溶液中に付与することによって達成される。用いられた内部基準は、フェロセンメタノール(Fc)である;その酸化ピーク電位は、実験の特定の条件下に0.28V/ECSである(スキーム91)。
【0298】
【化69】
【0299】
分析の結果により、ピリジニル−ピリダジンのピロールへの電解還元には4電子が必要とされることが確認される。最初の2電子移動は、ジヒドロピリダジン中間体(それらの相対的な安定性に応じて1,2−または1,4−ジヒドロピリダジン)を生じさせ、第二の2電子移動により、アンモニアの放出による窒素原子の押し出しが引き起こされる。したがって、全調製電解分解のために印加されることになる電位は、少なくとも4電子還元に対応する還元波のレベルでなければならない。
【0300】
(実施例7:3,6−ビス(ピリジニル)−ピリダジンの調製電気分解)
種々のピリダジン(80−85)の調製電気分解が、それぞれ、前駆体の第二の還元波の電位に対応する作動電位を採用することによって達成された。これらは、前駆体の全体的な消失およびそれらのピロールへの配置を誘導するために必要な電子の最少量(還元された基質のモル当たり4電子)に対応する電荷量(クーロン数)の消費まで続けられた。
【0301】
ほとんど同一の初濃度(10−4M)から出発して、前駆体の全体的消失のための時間の平均量は5〜6時間である。ピロール生成物(86)、(87)、(88)、(89)および(90)が、60〜90%の範囲にわたる可変の収率で得られた(スキーム92、表5)。
【0302】
【化70】
【0303】
【表4】
【0304】
これらの結果が証明するように、全ての場合において、酢酸バッファ媒体中のピリダジン環の回帰は、文献に推奨されるように、化学的よりむしろ電気化学的により効果的であるようである(Zn/AcOH)。
【0305】
これらの結果は、ピロール(91)中の転換が、化学的に達成可能な30%とは異なり85%の収率で達成されるピリジン−4−イルピリダジン(81)の場合において確認される(表6)。
【0306】
【表5】
【0307】
調製電気分解による反応の進行は、それぞれの例において、前駆体(82)の電気分解の間に記録されたボルタモグラムについて示されるように、カソード区画室内のガラス質炭素電極上で直接的に計られるサイクリックボルトアンペロメトリック測定によって制御された(図5,前駆体(82)の調製電気分解の間のサイクリック・ボルタモグラム,−電気分解前,−−電気分解の間,−電気分解の終了時,ガラス質炭素電極,v=100mV/s)。
【0308】
調製電気分解の間の前駆体の還元波(−1.08V)の強度の減少は、電解合成の間の転換と相関している。さらに、それは、電気分解の終了時に完全に消失し、これは、前駆体の全体的な消費をチェックすることを可能にする。
【0309】
電気分解の終了時にも、ボルタモグラムがチェックされる(図6、カソード区画室における電気分解の終了時の種々のピロール誘導体のボルタモグラム,ガラス質炭素電極,v=100mV/s)。それらは、2つの還元波の消失を示し、これにより、示唆された機構の仮説が確認される。最初の波は、ピリダジンのジヒドロピリダジンへの2電子還元の結果であると考えられ、第二の波は、ピロール環を与える窒素の押出に対応する。
【0310】
(実施例8:6,6’−ジピコリン−4,4’−ジメチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105)の調製電気分解)
【0311】
【化71】
【0312】
ビピリダジンの溶解性は、ピリジン置換基へのアルキル鎖の付加によって増強された(化合物(105))。したがって、H2SO4または酢酸バッファ媒体より穏やかな条件下にビピリダジン(105)を溶解させることが可能である:THF/酢酸バッファ(pH=4.6)/アセトニトリル溶媒の混合物。これらの条件下に記録されたボルタモグラムは、Ec=−0.92V、−1.03Vおよび−1.16Vの電位において3つの連続する還元波を強調した(図8参照)。
【0313】
ET=−1.05eVでのビピリダジン(105)の調製電気分解は、ビピロール(109)の単離を35%の収率で可能にした(下記表のエントリー1を参照)。その結果により、ビピリダジン(105)の調製電気分解の間に達成された低収率が硫酸中でのビピロール化合物の分解に起因したという仮説が確認される。
【0314】
【表6】
【0315】
いくつかの実験が異なる電位においてかつ異なる条件下に行われた(上記表、エントリー2〜4)。1つの改変(エントリー3)のみが興味深いことが分かった。それは2つの中間体の単離を可能にするからである:それぞれ20の収率でモノピロール−ピリダジン(110)およびモノピロールテトラヒドロピリダジン(111)。
【0316】
【化72】
【0317】
(実施例9:3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43)の調製)
ビストリブチルスタニルおよびテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの存在下に処理されたクロロピリダジン(8a)誘導体は、生成物(39)、(40)および(41)の混合物を提供する。
【0318】
【化73】
【0319】
モノ置換中間体である3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43)は、トルエン中スタニルピリダジン(39)およびジブロモピリジン(42)の等モル混合物から出発してテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの存在下に72%の収率で主に単離される(スキーム17)。
【0320】
【化74】
【0321】
(実施例10:3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(45)の合成)
モノ官能基化を導入するために、スティル・カップリング反応において、等モルのテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウムの存在下にメチル化スタニルピリジン(22)と反応させる前駆体としてクロロ(ピリジル)−ピリダジン(8a)が選択され、専ら、カップリング生成物(44)が90%の収率で与えられた(スキーム19)。
【0322】
【化75】
【0323】
反応混合物中にビスピリジンホモカップリング生成物が痕跡量も観察されないことに留意することは重要である。
【0324】
ピリジン窒素のα位の芳香族メチルの酸化が二酸化セリウムにより150℃でo−ジクロロベンゼン中で行われ、3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(45)が74%の収率で得られた(スキーム20)。
【0325】
【化76】
【0326】
(実施例11:ビス−三座二酸:3,6−ビス−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン(48)の合成)
同じ原理に従って、ピリダジン二酸配位子(48)が、ビス(ジメチルピリジル)−ピリダジン(47)の酸化によって得られ得る(スキーム21)。これは、テトラキストリフェニルホスフィン・パラジウム存在下、6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22)の3,6−ジクロロピリダジン(46)とのダブルのスティル・カップリングを介して調製される。この場合、わずかに過剰のスタニルピリジン(3当量)が用いられた。以前に規定されたのと同一の酸化条件下に、3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン酸(48)が68%の収率で単離される。
【0327】
【化77】
【0328】
得られたピリダジン二酸(48)は、ビス−三座配位子:N供与体(ピリジンおよびピリダジン)およびO供与体(二酸)である。この実施例において、ピリダジン環中の2つの隣接する窒素原子の存在は、2つの相異なる配位部位を生じさせるために寄与する。
【0329】
(実施例12:6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(2))
【0330】
【化78】
【0331】
この化合物は、手順Eに従って、2−ブロモ−6−メチルピリジン(104)および6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)から合成される。残渣は、加熱され、AcOEt中で再結晶させられ、これにより、予想された結果が27%の収率で与えられる。
【0332】
1H NMR (CDCl3) δ(ppm): 7.45(m, 2H, Hピリジン), 7.94(dt, J=7.2, 1.8, 2H, Hピリジン), 8.79(m, 6H, 2Hピリダジン, 4Hピリジン), 8.80(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン), 9.01(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm): 121.8, 125.0, 125.4, 125.5, 137.3, 149.6, 153.1, 156.0, 159.2.
MS, m/z(I%): 340(M+, 100%), 312(M+-N2, 49%).
UV/蛍光 (DCM): 図10を参照。
【0333】
(実施例13:6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オン(7))
【0334】
【化79】
【0335】
この化合物は、手順Bに従って、3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(102)(0.29g,1.55mmol)およびHBr溶液(酢酸中33%,1.2mL)により分離される。生成物は、白色粉体の形態で定量的に得られた。
【0336】
1H NMR(DMSO-d6) δ(ppm): 7.01(d, J=9.6, 1H, Hピリダジン), 7.42-7.46(m, 1H, Hピリジン), 7.91-7.93(m, 1H, Hピリジン), 8.04(d, J=8.1, 1H, Hピリジン), 8.27(d, J=9.9, 1H, Hピリダジン), 13.32(bs, 1H, NH).
13C NMR (DMSO-d6) δ(ppm): 118.8, 123.5, 129.3, 130.1, 136.8, 142.9, 148.5, 151.3, 160.1.
MS, m/z (I%): 173(M+, 71%), 145 (M+-N2, 10%), 117(M+-CCONH2, 100%).
(実施例14:3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a))
【0337】
【化80】
【0338】
この化合物は、手順Cに従って、6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オン(7)(4.3g,24.8mmol)およびPOCl3(30mL)から調製される。3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a)は、固体の茶色物質の形態で得られる(5.84mg,定量的)。
【0339】
この化合物は、手順Eに従って、2−ブロモピリジン(0.604mL,6.33mmol)、塩化亜鉛(1.05g,6.33mmol)、ブチルリチウム(6.33mmol)および3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103)(942mg,3.95mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(450mg,0.39mmol)から調製される。予想された生成物は、62%の収率で得られる。
【0340】
1H NMR (CDCl3) δppm: 7.37-7.42(ddd, J=7.5, 4.5, 1.2, 1H, Hピリジン), 7.63(d, J=9.0, 1H, Hピリダジン), 7.89(dt, J=7.8, 1.8, 1H, Hピリジン), 8.55(d, J=9.0, 1H, Hピリダジン), 8.64(d, J=8.7, 1H, Hピリジン), 8.71(d, J=4.5, 1H, Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δppm: 121.5, 124.9, 126.9, 128.6, 137.2, 149.4, 152.3, 156.8, 157.8.
MS, m/z (I%): 191(M+, 28%), 163(M+-N2, 5%), 128(M+-(N2+Cl), 100%).
(実施例15:3−ブロモ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8b))
【0341】
【化81】
【0342】
1g(5.78mmol)の6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オン(7)および過剰量(5g)のオキシ臭化リンが、12時間還流下に加熱される。反応混合物は、100mLの氷水に注がれ、NaHCO3飽和水溶液の滴下により中和される。
【0343】
ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した後、有機相は、MgSO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮され、こうして、臭化ピリダジン(8b)が75%の収率で提供される。
【0344】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.39-7.43(ddd, 1H, J=0.9, 6.0, 7.5, Hピリジン); 7.76(d, 1H, J=8.7, Hピリダジン); 7.88(dt, 1H, J=1.8, 5.2, Hピリジン); 8.44(d, 1H, J=8.7, Hピリダジン); 8.63(d, 1H, J=8.1, Hピリジン); 8.70(m, 1H, Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δppm: 121.55, 125.08, 126.61, 132.01, 137.27, 148.35, 149.47, 152.48, 160.00.
MS, m/z (I%): 237(M++H, 23%), 235(M+-H, 22%), 128(M+-(Br+N2), 100%).
(実施例16:6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−チオン(10))
【0345】
【化82】
【0346】
500mg(2.9mmol)のピリダジノン(7)および772mg(3.5mmol)の五硫化二リンが、20mLの無水ピリジンに溶解させられる。反応混合物は、18時間にわたって還流させられ、次いで、室温に冷却される。それは、次いで、200mLの水に注がれ、得られた沈殿物はろ過され、氷水により洗浄される。ピリダジンチオン(10)が92%の収率で得られる。
【0347】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.37-7.39(m, 1H, Hピリジン); 7.81-7.84(m, 2H, Hピリジン, Hピリダジン); 8.15(d, 1H, J=7.5,Hピリジン); 8.23(d, 1H, J=8.7,Hピリダジン); 8.68(d, 1H, J=4.2,Hピリジン); 12.34(brs, 1H, NH).
13C NMR (CDCl3) δppm: 120.08, 120.53, 120.55, 124.85, 137.14, 137.16, 137.53, 141.53, 149.36.
MS, m/z (I%): 189(M+, 100%), 160(M+, 35%).
(実施例17:6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(15))
【0348】
【化83】
【0349】
この化合物は、手順Aに従って、臭化テトラブチルアンモニウム(4.291g,13.31mmol)、活性化亜鉛粉末(870mg,13.31mmol)、ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィン(2.963g,3.99mmol)および3−クロロ−6−メトキシピリダジン(1.924g,13.31mmol)により合成される。反応の終了時に、アンモニア(25N)が徐々に加えられ、媒体は、DCMにより抽出される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、減圧下に濃縮される。化合物は、加熱され、エタノール中に再結晶させられ、こうして、白色結晶が36%の収率で提供される(494mg)。
【0350】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 4.16(s, 6H, OCH3); 7.10(d, J=9.3, 2H, Hピリダジン), 8.59(d, J=9.3, 2H, Hピリダジン).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm): 54.9, 118.0, 127.2, 152.4, 165.3.
MS, m/z (I%): 218(M+, 100%), 189(M+-N2, 22%), 175(M+-(N2+CH3), 31%).
(実施例18:1H,1’H−[3,3’]ビピリダジニル−6,6’−ジオン(16))
【0351】
【化84】
【0352】
この化合物は、手順Bに従い、6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン(15)(712mg,3.26mmol)および酢酸中33%HBr溶液(4mL)により合成される。得られた生成物は、灰色粉体の形態である(541mg,88%)。
【0353】
1H NMR(TFA-d1) δ(ppm): 7.35(d, J=9.9, 2H, Hピリダジン), 8.38(d, J=9.9, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(TFA-d1) δ(ppm): 130.7, 134.5, 146.1, 166.3.
MS, m/z (I%): 190(M+, 100%), 175(M+-N2, 57%).
(実施例19:6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン(17))
【0354】
【化85】
【0355】
この化合物は、手順Cに従い、5mLのPOCl3および1H,1’H−[3,3’]ビピリダジニル−6,6’−ジオン(16)(541mg)により合成され、これにより、6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)が茶色固体物質の形態で提供される(584mg,定量的)。
【0356】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.73(d, J=8.7, 2H, Hピリダジン); 8.77(d, J=8.7, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 126.9, 127.6, 129.2, 130.8.
MS, m/z(I%): 228(M++H, 27%), 227(M+, 8%),226(M+-H, 41%), 163 (M+-(N2+Cl), 100%).
(実施例20:6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19))
【0357】
【化86】
【0358】
6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)は、手順Dに従って調製される。6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)、2−トリブチルスタニルピリジン(18)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および新たに蒸留されかつ脱気されたDMFが、80℃で24時間にわたって加熱される。残渣は加熱され、AcOEt中に再結晶させられ、こうして、予想された結果が15%の収率で与えられる。
【0359】
この化合物は、手順Aに従って、3−クロロ−6(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a)から12%の収率で得られる。
【0360】
6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)は、手順Eに従って調製される。6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)、2−ブロモピリジン、塩化亜鉛、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および新たに蒸留されかつ脱気されたDMFが80℃で48時間にわたって加熱される。残渣は加熱され、AcOEt中に再結晶させられ、こうして、予想された結果が16%の収率で与えられる。
【0361】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 7.45(m, 2H, Hピリジン), 7.94(dt, J=7.2, 1.8, 2H, Hピリジン), 8.79(m, 6H, 2Hピリダジン, 4Hピリジン), 8.80(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン), 9.01(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δ(ppm): 121.8, 125.0, 125.4, 125.5, 137.3, 149.6, 153.1, 156.0, 159.2.
MS, m/z(I%): 312(M+, 100%), 284(M+-N2), 255(M+-2N2, 55%), 91(PyCH+, 89%).
UV−可視/蛍光(CH2Cl2):図9を参照.
(実施例21:6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(24))
【0362】
【化87】
【0363】
500mg(2.21mmol)のジクロロビピリダジン(17)、1.591g(4.42mmol)の1−エトキシビニル−トリ(n−ブチル)スズ、77.4mg(0.11mmol)のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)および50mLの新たに蒸留したDMFが、マグネティックスターラーバーおよび冷却管が取り付けられた100mLの丸底フラスコに導入される。反応媒体は、24時間にわたって還流下に攪拌される。室温に冷却した後、反応媒体は、80mLのジクロロメタンにより希釈され、KF飽和溶液に注がれる;ろ過後、残渣は、NaHCO3飽和水溶液により洗浄され、有機相は、MgSO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーに付され(溶離:酢酸エチル/石油エーテル混合物(20/80))、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン(18)が66%の収率で単離される。
【0364】
1H NMR(CDCl3) δppm: 51.47(t, 6H, J=6.9Hz, CH3); 4.03(q, 4H, J=6.9Hz, OCH2); 4.57(d, 2H, J=2.4Hz, Hビニル), 5.85(d, 2H, J=2.1Hz, Hビニル); 8.00(d, 2H, J=9.0Hz, Hピリダジン); 8.81(d, 2H, J=8.7Hz, Hピリダジン).
(実施例22:6−(ピリジン−2−イル)−3−(トリブチルスタニル)−ピリダジン(39))
【0365】
【化88】
【0366】
冷却管を取り付けたシュレンク管において、1g(5.24mmol)のクロロピリダジン(8a)および190mg(0.79mmol)のテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウム(0)が、40mLの新たに蒸留したDMEに溶かされる。媒体は、冷却条件下に脱気され、真空下に置かれる。室温に戻した後、3.04g(5.24mmol)のビス(トリブチルスズ)が加えられる。溶液は、18時間にわたって還流下に加熱される。溶媒は減圧下に留去され、残渣は、中性のアルミナゲルクロマトグラフィーによって精製され(溶離:石油エーテル/酢酸エチル=95/5)、スタニルピリダジン(39)が76%の収率で得られる。
【0367】
1H NMR(CDCl3) δppm: 0.84-0.92(m, 9H, CH3); 1.19-1.37(m, 12H, CH2); 1.56-1.62(m, 6H, CH2); 7.33-7.37(m, 1H, Hピリジン); 7.63(d, 1H, J=8.4, Hピリダジン); 7.84(dt, 1H, J=1.8, 7.6, Hピリジン); 8.35(d, 1H, J=8.4, Hピリダジン); 8.67-8.72(m, 2H, 2Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δppm: 9.99, 13.52, 27.16, 28.87, 121.28, 121.36, 124.35, 134.12, 136.98, 149.15, 154.08, 156.38, 174.85.
(実施例23:3−(6−ブロモピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43))
【0368】
【化89】
【0369】
3−(6−ブロモピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(43)は、一般的なスティル・カップリング手順を用いて、1.6g(6.74mmol)の2,6−ジブロモビピリジン(42)、3g(6.74mmol)の6−(ピリジン−2−イル)−3−(トリブチルスタニル)−ピリダジン(39)、546mg(0.47mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および50mLの新たに蒸留されたトルエンの混合物から出発して調製された。混合物は、24時間にわたって還流下に加熱される。得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーに付される(溶離:酢酸エチル/石油エーテル=1/9)。臭化物(43)生成物は72%の収率で単離される。
【0370】
1H NMR(CDCl3) δppm: 7.40-7.44(m, 1H, Hピリジン); 7.59(dd, 1H, J=7.5, J=0.9, Hピリダジン); 7.76(t, 1H, J=7.5, Hピリジン); 7.88-7.94(m, 1H, Hピリジン); 8.64-8.76(m, 5H, 4Hピリジン, 1Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 121.36, 121.90, 126.92, 124.97, 125.00, 125.48, 129.19, 133.12, 137.47, 139.50, 143.13, 149.36, 149.38.
MS, m/z(I%): 314(M++2, 92%), 312(M+, 89%), 284(M+-N2, 35%), 205(M+-(N2+Br), 100%).
(実施例24:3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)ピリダジン(44))
【0371】
【化90】
【0372】
3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(44)は、一般的なスティル・カップリング手順を用いて、2g(5.23mmol)の6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22)、666mg(3.49mmol)の3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(8a)、208mg(0.18mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および50mLの新たに蒸留されたトルエンの混合物から出発して調製された。反応媒体は、18時間にわたって還流下に攪拌される。得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーに付される(溶離:酢酸エチル/石油エーテル=2/8)。カップリング生成物(44)は、90%の収率で単離される。
【0373】
1H NMR(CDCl3) δppm: 2.62(s, 3H, CH3); 7.22(d, 1H, J=7.8, Hピリダジン); 7.37(ddd, 1H, J=0.9, 4.8, 7.5, Hピリジン); 7.76(t, 1H, J=8.1, Hピリジン); 7.68(dt, 1H, Hピリジン); 8.52(d, 1H, J=7.8, Hピリダジン); 8.61-8.75(m, 4H, 4Hピリジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 24.49, 118.69, 121.66, 124.34, 124.69, 124.99, 125.19, 137.21, 137.35, 149.33, 152.60, 153.42, 157.89, 158.27, 158.33.
MS, m/z(I%): 248(M+, 94%), 220(M+-N2, 100%), 205(M+-(N2+CH3), 35%).
HRMS
正確な計算質量[M+H]=249.1140;
正確な実測質量[M+H]=249.1141
(実施例25:3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(45))
【0374】
【化91】
【0375】
400mg(2.42mmol)のピリダジン(44)、177mg(1.60mmol)の二酸化セレンおよび7mLのo−ジクロロベンゼンが、冷却管を備えた100mLの丸底フラスコに導入される。混合物は、4時間にわたって150℃に加熱され、次いで、室温に冷却される。過剰の水が形成された沈殿物に加えられ、この沈殿物は、次いで、ろ過され、水により洗浄される。得られた固体は、乾燥させられ、酸(45)が74%の収率で与えられる。
【0376】
1H NMR(DMSO-d6) δppm: 7.59(ddd, 1H, J=1.2, 4.8, 7.5, Hピリジン); 8.07(dt, 1H, J=2.1, 8.1, Hピリジン); 8.1-8.3(m, 2H, Hピリジン); 8.64(d, 1H, J=8.4, Hピリジン); 8.72(d, 1H, J=9.0, Hピリダジン), 8.79(m, 1H, Hピリジン), 8.82-8.85(m, 2H, Hピリジン, Hピリダジン), 9.71(brs, 1H, COOH).
13C NMR(DMSO-d6) δppm: 121.1, 123.98, 125.09, 125.28, 125.48, 125.72, 137.65, 139.11, 148.32, 149.70, 152.53, 152.65, 157.12, 157.96, 165.64.
MS, m/z(I%): 279(M+, 39%), 278(M+-H, 100%), 250(M+-N2, 32%), 205(M+-(N2+COOH), 80%).
HRMS
正確な計算質量[M]=278.0804;
正確な実測質量[M]=278.0781.
(実施例26:3,6−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(47))
【0377】
【化92】
【0378】
3,6−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン(47)は、一般的なスティル・カップリング手順を用いて、1.55g(4.06mmol)の6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22)、300mg(2.03mmol)の3,6−ジクロロピリダジン(46)、231mg(0.20mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および50mLの新たに蒸留されたトルエンの反応混合物から出発して調製された。反応媒体は、18時間にわたって還流下に攪拌され、得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製される(溶離:酢酸エチル/石油エーテル=3/7)。二置換生成物(47)は、52%の収率で単離される。
【0379】
1H NMR(CDCl3) δppm: 2.65(s, 6H, CH3); 7.24(d, J=6.3, 2H, Hピリジン); 7.77(t, J=7.8, 2H, Hピリジン); 8.54(d, J=8.7, 2H, Hピリジン), 8.68(s, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 24.35, 118.60, 124.18, 124.96, 137.14, 137.22, 152.78, 158.17, 158.21.
MS, m/z(I%): 262(M+, 100%), 234(M+-N2, 85%), 142(M+-(N2+Py-CH3), 48%).
HRMS
正確な計算質量[M+H]=263.1297;
正確な実測質量[M+H]=263.1317.
(実施例27:3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン(48)
【0380】
【化93】
【0381】
二酸(48)は、酸(45)の調製に類似する手順に従って、230mg(0.88mmol)のピリダジン(47)、126mg(1.14mmol)の二酸化セレンおよび7mLのo−ジクロロベンゼンの混合物から出発して得られる。混合物は、12時間にわたって150℃に加熱され、こうして、二酸(48)が68%の収率で提供される。
【0382】
1H NMR(DMSO-d6) δppm: 8.21-8.29(m, 4H, Hピリジン); 8.82-8.85(m, 2H, Hピリジン, Hピリダジン); 13.41(ls, 2H, COOH).
13C NMR(DMSO-d6) δppm: 124.13, 125.53, 125.83, 139.15, 148.38, 152.64, 157.38, 165.64.
MS, m/z(I%): 322(M+, 100%), 294(M+-N2, 41%), 278(M+-COOH, 47%).
HRMS
正確な計算質量[M-H]=321.0624;
正確な実測質量[M-H]=321.0623.
(実施例28:6−メチル−2−トリブチルスタニルピリジン(22))
【0383】
【化94】
【0384】
シュレンク管において、−10℃で、1.7mL(2.6mmol)のブチルリチウム(ヘキサン中1.5M)が、0.4mLのジイソプロピルアミン(2.6mmol)の新たに蒸留された無水THF溶液(50mL)に滴下される。5分後に、0.70mL(2.6mmol)の水素化トリブチルスズが加えられる。30分間にわたって0℃で攪拌が維持される。トリブチルスズリチウムの薄緑色の溶液が得られ、これは、−78℃に冷却されることになり、その後に、294.5μL(2.6mmol)の2−ブロモ−6−メチルピリジンが滴下される。混合物は、2時間にわたって−78℃に維持される。室温に戻した後、真空下に溶媒が留去される。残渣は、ジクロロメタンに溶解させられ、水により洗浄される。有機相は、MgSO4により乾燥させられ、乾燥蒸発(dry evaporate)させられる。生成物は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され(溶離:石油エーテル/酢酸エチル=0.5/9.5)、スタニルピリダジン(22)が黄色油状物の形態で、82%の収率で単離される。
【0385】
1H NMR(CDCl3) δppm: 0.86-0.91(m, 9H, CH3); 1.07-1.12(m, 12H, CH2); 1.28-1.36(m, 12H, CH2); 1.44-1.59(m, 12H, CH2); 2.54(s, 3H, CH3); 6.95(d, 1H, J=7.8, Hピリジン); 7.18(d, 1H ,J=7.5, Hピリジン)(t, 1H, J=7.5, Hピリジン).
13C NMR(CDCl3) δppm: 13.58, 13.67, 27.30, 27.81, 29.04, 120.63, 121.46, 129.32, 133.23, 158.53.
(実施例29:ニッケル(II)ジブロモビストリフェニルホスフィン)
【0386】
【化95】
【0387】
臭化ニッケル一水和物(4.37g,20mmol)および微細に粉砕されたトリフェニルホスフィン(10.48g,40mmol)がn−ブタノール(各50mL)に別々に溶解させられる。これらの溶液は、試薬が完全に溶解させられるまで還流させられる。次いで、これらの溶液は、加熱環境下に混合される。緑色がかった沈殿が形成され、反応媒体は、45分間にわたって還流下に1時間にわたって室温で攪拌される。溶液はろ過され、沈殿は、70mLのn−ブタノール、70mLのエタノールおよび70mLのジエチルエーテルにより洗浄される。真空下での乾燥の後、緑色がかった粉体が60%の収率で得られる(8.85g)。
【0388】
(実施例30:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))
【0389】
【化96】
【0390】
塩化パラジウム(II)(0.9g,5.09mmol)および微細に粉砕されたトリフェニルホスフィン(6.66g,25.42mmol)が、真空下に乾燥させられた後にアルゴン下の冷却管を取り付けた丸底フラスコ内に置かれる。新たに蒸留されたDMF(60mL)が脱気され、反応媒体にカニューレ挿入される。溶液は、透明になるまで140℃で攪拌される。次いで、溶液は、120℃に冷却され、ヒドラジン(0.99mL,20.43mmol)が加えられる。窒素の放出が直ちに観察される;これは、パラジウム(0)錯体の沈殿の形成と同時に起こる。室温に戻した後、沈殿は、真空およびアルゴン下にろ過され、エタノールおよびジエチルエーテルにより洗浄され、真空下に乾燥させられる。
【0391】
(実施例31:2−ブロモピコリン(104))
【0392】
【化97】
【0393】
2−アミノ−ピコリン(37.35g,0.346mol)が、機械的に攪拌されている丸底フラスコに複数段階で、臭化水素酸溶液(水中48%,187mL)に20〜30℃に維持される温度で加えられる。試薬の全体的な溶解の後、反応媒体は、30分間にわたる臭素(49mL,0.966mol)の滴下の間に20℃に冷却される。溶液の温度は90分間にわたって−20℃に維持される。水(100mL)中の硝酸ナトリウム溶液(63.5g,6mol)が滴下される。次いで、溶液の温度は1時間内に15℃に昇温させられ、45分間にわたって当該温度で攪拌される。媒体は、−20℃に冷却され、添加の間−10℃以下に維持される温度でソーダ溶液(249g,400mL H2O)により処理される。室温に戻した後、溶液は、1時間にわたって攪拌され、次いで、AcOEtにより抽出される。有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、減圧下に濃縮される。残渣は、真空下に蒸留され、2−ブロモピコリン(104)が無色油状物の形態で、80%の収率で得られる。
【0394】
沸点:129-132℃(2.6mbar).
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.49(s, 3H, H7), 7.08(d, J=7.6, 1H, H5), 7.24(d, J=7.6, 1H, H3), 7.41(t, 1H, H4).
(実施例32:2−トリブチルスタニルピリジン(18))
【0395】
【化98】
【0396】
ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,6.33mmol)が、新たに蒸留されかつ脱気されたTHF(12mL)中の2−ブロモピリジン(1g,6.33mmol)の溶液に−78℃で加えられる。赤色がかった溶液は、30分間にわたって−78℃で攪拌される。次いで、塩化トリブチルスズ(1.7mL,6.33mmol)が加えられ、溶液は、1時間にわたって−78℃で、1時間にわたって室温で攪拌される。混合物は、NH4Cl飽和溶液により処理され、ジエチルエーテルにより抽出される。有機相は、NaCl飽和溶液により洗浄され、MgSO4により乾燥させられ、減圧下に濃縮される。残渣は、アルミナカラムクロマトグラフィーに付され(ヘキサン/酢酸エチル:20/1)、これにより、高純度の生成物が94%の収率で提供される。
【0397】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 8.73(ddd, J=4.9, 1.9, 1.0, 1H, H6), 7.48(dt, J=7.4, 1.8, 1H, H5), 7.39(dt, J=7.4, 1.6, 1H, H3), 7.10(ddd, J=6.9, 4.9, 1.7, 1H, H4), 1.70-1.05(m, 18H, CH2), 0.85(t, 9H, J=7.3, CH3).
(実施例33:3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン(102))
【0398】
【化99】
【0399】
この化合物は、手順Dに従って調製される。2−トリブチルスタニルピリジン(18)(1.24g,3.36mmol)、3−クロロ−6−メトキシピリダジン(0.37g,2.58mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.15g,0.13mmol)および新たに蒸留されかつ脱気されたトルエン(19mL)が、アルゴン下に丸底フラスコ内に20時間にわたって置かれる。室温に戻した後、反応媒体は、15%HCl溶液により処理され(2×30mL)、ジエチルエーテルにより洗浄され、アルカリ性のpHに達するまでNa2CO3飽和溶液が加えられる。溶液は、DCMにより抽出され、有機相は、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、真空下に濃縮される。残渣は、アルミナカラムクロマトグラフィーによって精製され(EP)、こうして、予想された生成物が77%の収率で提供される。
【0400】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 4.2(s, 3H, CH3), 7.08(d, J=9.7, 1H, Hピリダジン), 7.34(m, 1H, Hピリジン), 7.83(td, J=8.8, 1.7, 1H, Hピリジン), 8.47(d, J=9.7, 1H, Hピリダジン), 8.57(d, J=8.2, 1H, Hピリジン), 8.67(d, J=5.5, 1H, Hピリジン).
(実施例34:2−ブロモ−4−メチルピコリン(106))
【0401】
【化100】
【0402】
用いられる手順は、2−アミノ−4−メチルピコリンに適用された2−ブロモピコリン(104)と同一である(10g,81.97mmol)。
【0403】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.28(s, 3H, CH3), 2.48(s, 3H, CH3-), 6.91(s, 1H), 7.13(s, 1H).
13C NMR(CDCl3) δ(ppm): 20.5, 23.9, 123.3, 125.6, 141.3, 150.2, 159.4.
MS, m/z(I%): 185(M+, 20%), 106(M+-Br, 100%), 79(Br+, 68%).
(実施例35:3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103))
【0404】
【化101】
【0405】
3,6−ジクロロピリダジン(46)(2g,13.42mmol)、ヨウ化ナトリウム(2g,13.42mmol)およびヨウ化水素酸(10mL)の混合物が、アルゴン雰囲気下に40℃で4時間にわたって加熱された。室温に戻した後、反応媒体は、氷上に注がれ、濃ソーダ溶液が加えられ、混合物は、10分間にわたって攪拌される。次いで、溶液は、DCMにより抽出される。有機相は、水により洗浄され、Na2SO4により乾燥させられ、ろ過され、真空下に濃縮される。3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(103)が黄色粉体の形態で得られる(3.20g,定量的)。
【0406】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 7.35(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン), 8.38(d, J=9.0, 2H, Hピリダジン).
13C NMR(CDCl3) δ(ppm): 122.9, 129.2, 139.2, 157.1.
MS, m/z(I%): 240(M+, 18%), 127(I+, 100%).
(実施例36:6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンまたは6,6’−ジピコリン−4,4’−ジ−メチル−2−イル−[3,3’]ビピリダジン(105))
【0407】
【化102】
【0408】
この化合物は、手順Eに従って、2−ブロモ−4−メチルピリジン(106)および6,6’−ジクロロ−[3,3’]ビピリダジン(17)から合成される。AcOEt中の熱再結晶後に予想された生成物が80%の収率で得られる。
【0409】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.46(s, 6H, CH3), 2.63(s, 6H, CH3), 7.13(s, 2H, Hピリジン), 8.79(d, J=8.9, 2H, Hピリダジン), 8.97(d, J=8.9, 2H, Hピリダジン).
MS, m/z(I%): 368.1(M+, 100%), 340.1(M+-N2, 90%).
UV/蛍光(DCM):図11を参照
(実施例37:5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビ(1H−ピロール)(112))
【0410】
【化103】
【0411】
この化合物は、手順Fに従って、6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(19)から、溶媒として用いられる0.5MのH2SO4溶液において調製される。この化合物は、シリカ分取プレートによる精製(AcOEt)後に得られる。
【0412】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 6.43(d, J=3.5, 2H, Hピロール), 6.68(d, J=3.5, 2H, Hピロール), 6.97-7.01(m, 2H, Hピリジン), 7.43-7.61(m, 4H, Hピリジン), 8.42(d, J=7.8, 2H, Hピリジン).
(実施例38:6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−ピリダジン(107))
【0413】
【化104】
【0414】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 6.73(m, 1H ,Hピロール), 6.84(m, 1H, Hピロール), 7.06(m, 1H, Hピリジン), 7.29(m, 1H, Hピリジン), 7.51-7.62(m, 2H, Hピリジン), 7.72(d, J=9.8, 1H, Hピリダジン), 8.43(d, J=9.8, 1H, Hピリダジン), 8.46(m, 2H, Hピリジン), 8.59-8.69(m, 2H, Hピリジン), 10.89(brs, 1H, NH).
(実施例39:5,5’−ビス(3−メチルピコリン−2−イル)−2,2’−ビ(1H−ピロール)(109)
【0415】
【化105】
【0416】
この化合物は、6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン(105)から、溶媒系THF/酢酸バッファ/CH3CN=5/4/1により得られる(E=−1.05V/ECS)。残渣は、シリカによるクロマトグラフィーに付され(AcOEt)、望みの生成物は、35%の収率で得られる。
【0417】
1H NMR(CDCl3) δ(ppm): 2.32(s, 6H, CH3), 2.50(s, 6H, CH3), 6.45(d, J= , 2H, Hピロール), 6.69(d, 2H, Hピロール), 6.73(s, 1H, Hピリジン), 7-18(s, 2H, Hピリジン).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm): 20.9, 24.3, 29.7, 106.6, 108.4, 116.7, 121.1.
MS, m/z(I%): 342(M+, 100%), 343(M++1, 100%).
(実施例40:6−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル]−ピリダジン}(110))
【0418】
【化106】
【0419】
1H NMR (THF-d8) δ(ppm): 2.21(s, 3H, CH3), 2.30(s, 3H, CH3), 2.40(s, 3H, CH3), 2.43(s, 3H, CH3), 6.72(m, 1H, Hピロール), 6.75(s, 1H, Hピリジン), 6.85(m, 1H, Hピロール), 6.98(s, 1H, Hピリジン), 7.28(s, 1H, Hピリジン), 7.79(d, J=9, 1H, Hピリダジン), 8.23(s, 1H, Hピリジン), 8.37(d, J=9, 1H, Hピリダジン), 10.87(bs, 1H, NH).
13C NMR(THF-d8) δ(ppm): 19.5, 19.7, 23.0, 29.2, 108.4, 110.7, 117.9, 118.6, 121.1, 121.3, 123.5, 123.8, 128.2, 129.6, 130.2, 134.7, 138.2, 147.6, 148.8, 151.4, 152.8, 155.5, 157.1.
MS, m/z(I%): 356.2(M+1, 23%), 355.2(M+, 89%).
(実施例41:6−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−3−(5−(4,6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン(111))
【0420】
【化107】
【0421】
1H NMR(THF-d8) δ(ppm): 2.14(s, 3H, CH3), 2.17(s, 3H, CH3), 2.32(s, 6H, 2CH3), 2.14-2.49(4H, Hテトラヒドロピリダジン), 4.08(m, 1H, Hテトラヒドロピリダジン), 6.07(m, 1H, Hピロール), 6.48(m, 1H, Hピロール), 6.63(s, 1H, Hピリジン), 6.78(s, 1H, Hピリジン), 6.96(s, 1H, Hピリジン), 7.12(s, 1H, Hピリジン), 19.88(bs, 1H, NH).
13C NMR(THF-d8)δ(ppm):
MS, m/z(I%): 359.2(M+, 45%), 355.2(M+-2H2, 78%).
【0422】
【表7】
【0423】
【表8】
【0424】
【表9】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
(式中、
−n=1ならば、
−Aが、式:
【化2】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、− COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であるならば、
−Y基は、同一または異なって、式:
【化3】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−Aが式:
【化4】
の基であるならば、
−Y基は、同一であって、式:
【化5】
の基を示すか、または、Y基は、異なって、式:
【化6】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
−A基は、同一または異なって、式:
【化7】
の基を示し、
−Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)、または、
【化8】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである) を示す)
から選択される基を示す)
を有する化合物(ただし、下記化合物を除く:
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3’’’]−クアテルピリダジン、
− 6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン、
−6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン)。
【請求項2】
n=1であり、Mは水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または−COOH基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式:
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、または
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン
を有する化合物。
【請求項4】
n=2であり、Y基は、それぞれ、置換されてもよい2−ピリジニル基であるか、または、−C(CH2)OR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピリダジン、または
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}
を有する化合物。
【請求項6】
式:
【化9】
(式中、M1置換基は、同一または異なって、水素、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素を有する)を示す)
を有する化合物の調製方法であって、式:
【化10】
の化合物を式:
【化11】
(式中、Z1およびZ2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(ここで、Bは、メチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)
の化合物とスティル・カップリングさせることによる、方法。
【請求項7】
式:
【化12】
(式中、nは1〜4の整数(両端値を含む)であり、M2置換基の少なくとも1つは、−COOH基であり、他方の置換基は、代替的に、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルオキシ鎖であり得る)
を有する化合物の調製方法であって、二酸化セレン、酸化クロム等のアリルまたは芳香族の酸化剤の存在下にメチル前駆体を酸化することによる、方法。
【請求項8】
請求項1〜6に記載の化合物を精製する方法であって、1.5〜4時間にわたってシアン化カリウムの冷水溶液中で前記化合物を脱錯体化させることによる、方法。
【請求項9】
請求項1〜6に記載の化合物を精製する方法であって、ハロゲン化カリウムまたはハロゲン化テトラブチルアンモニウムの飽和水溶液中で前記化合物を脱錯体化し、次いで、炭酸水素ナトリウムにより有機相を洗浄し、クロロホルムにより抽出することによる、方法。
【請求項10】
式:
【化13】
(式中、
−n=1ならば、
Y1基は、異なって、式:
【化14】
(ここで、M3は水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
Y1基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【化15】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)またはフェニルを示す)
から選択される基を示す)
を有する化合物の調製方法であって、1:2〜1:3の範囲にわたる比で、式:
【化16】
を有する化合物を、式Y1−Z2(ここで、Z1、Z2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(Bはメチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)を有する化合物とスティル・カップリングさせることによる、方法。
【請求項11】
式:
【化17】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y2は、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、
【化18】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子である)を示す)
から選択される基、またはフェニルである)
を有するハロゲン化ピリダジンを電気化学的にホモカップリングさせる方法であって、
− アノードは、少なくとも50%の鉄から作製され、
− 電気分解媒体は、ニッケルと、ハロゲンから選択される元素と、ピリジンまたはその誘導体とを含有する
電気分解条件下に行われる方法。
【請求項12】
式:
【化19】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y3は、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【化20】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基である)
を有するハロゲン化ピリダジンを、式Ar−X(Xは上記に定義された通りであり、Arは、5〜6個の連結を有する芳香族環であり、場合によっては置換される)の芳香族環を含むハロゲン化物と電気化学的にホモカップリングさせる方法であって、
− アノードは、鉄から作製される;
− 触媒は、ハロゲン化ニッケルビピリジンから選択される;
電気分解条件下に行われる方法。
【請求項13】
芳香族環は、置換されてもよい、フェニル、ピリジンまたはチオフェニル環であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式:
【化21】
(式中、nは2〜4の整数(両端値を含む)であり、Y4基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、式:
【化22】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基またはフェニルを示す)
を有する化合物のピロール還元方法であって、
− アノードは大面積を有する電極である;
− 電気分解媒体は、プロトン供与性の極性媒体である:
の電気分解条件下に、1以上のピリダジン環上の窒素原子を電気化学的に押し出すことによる、方法。
【請求項15】
請求項1〜5に記載の化合物の配位子としての使用。
【請求項16】
薬物として使用されるための式:
【化23】
(式中、
− n=1ならば、
− Aが、式:
【化24】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であるならば、
− Y基は、同一または異なって、式:
【化25】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義した通りである)である)
の基を示し、
− Aが、式:
【化26】
の基であるならば、
− Y基は、同一であって、式:
【化27】
の基を示すか、または、Y基は、異なって、式:
【化28】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
− nが、2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
− A基は、同一または異なって、式:
【化29】
の基を示し、
− Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)、または、
【化30】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)を示す)
から選択された基を示す)
を有する化合物。
【請求項17】
nは2であり、Yは、置換されてもよい2−ピリジニル基または−C(CH2)OR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
請求項16に記載の化合物であって、
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3’’’]−クアテルピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピリダジン、および
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}
からなる群から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項19】
n=1であり、M基は、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または、−COOH基である、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
請求項19に記載の化合物であって、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、および
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール
からなる群から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項21】
核酸の選択的複合体化のための請求項19または20に記載の化合物の使用。
【請求項22】
癌の治療用の薬物を得るための、請求項16〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項23】
癌は癌腫であることを特徴とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
化合物は、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジンであることを特徴とする請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
寄生虫症の治療用の薬物を得るための、請求項16〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項26】
請求項25に記載の使用であって、化合物は、式:
【化31】
(式中、
− nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− M4基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH、−COOR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)を示す)
によって示されることを特徴とする、使用。
【請求項27】
寄生虫症は、リーシュマニア症、アスペルギルス症またはカンジダ症であることを特徴とする請求項25または26に記載の使用。
【請求項28】
請求項25または26に記載の使用であって、化合物は、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、および
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項29】
抗菌薬を得るための、請求項16〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項30】
請求項16〜20に記載の化合物の使用であって、A基は、式:
【化32】
(式中、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であり、該化合物は、放射免疫療法用の薬物を得るために放射性金属と錯体化される、使用。
【請求項31】
液体媒体中のカチオンの改善のための、請求項1〜5に記載の化合物の使用。
【請求項32】
Aは、式:
【化33】
(式中、nは2〜4(両端値を含む)であり、Y基は、同一または異なって、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子であり、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)または−CONH2を示す)
の基であることを特徴とする請求項31に記載の使用。
【請求項33】
請求項31に記載の使用であって、化合物は、
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、および
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項34】
カルボン酸と組み合わせる、請求項31〜33のいずれか1つに記載の使用。
【請求項35】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の超分子構造を有する材料。
【請求項36】
線形光学における請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項37】
式:
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−(5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、
− 6−(6−メチルピリジン−2−イル)−3−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、または
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−(5−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン
を有する化合物。
【請求項38】
式:
【化34】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
の化合物の調製方法であって、式:
【化35】
(式中、Xは、同一であって、ハロゲンであり、nは、上記に定義した通りである)
の化合物を式:
【化36】
(式中、XおよびTは、上記に定義された通りである)
の化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下にカップリングさせることによる、方法。
【請求項39】
式:
【化37】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
の化合物の調製方法であって、式:
【化38】
(式中、nは、上記に定義された通りである)
の化合物を、式:
【化39】
(式中、Xはハロゲンである)
を有する化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下に選択的にカップリングさせることによる、方法。
【請求項40】
3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン。
【請求項41】
パラジウム(0)の存在下に3−クロロ−6−メトキシピリダジンを2−トリアルキルスタニルピリジンとカップリングさせることによる3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンの調製方法。
【請求項42】
3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンを加水分解することによる6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オンの調製方法。
【請求項43】
ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在下の3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンのホモカップリングを通じた6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンの調製方法。
【請求項44】
癌の治療用の薬物の調製のための6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−チオンの使用。
【請求項45】
請求項27または28に記載の使用であって、化合物は、式:
【化40】
(式中、
− nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− M3基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH、−COOR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)を示す)
によって示されることを特徴とする使用。
【請求項46】
請求項26または27に記載の使用であって、化合物は、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、および
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項47】
抗菌薬を得るための請求項17〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項48】
請求項17〜20に記載の化合物の使用であって、A基は、式:
【化41】
(式中、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であり、該化合物は、放射免疫療法用の薬物を得るために放射性金属と錯形成する、使用。
【請求項49】
式:
【化42】
(式中、
− nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− A基は、同一または異なって、式:
【化43】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である))
の基を示し、
− Y3基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては、環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義した通りである)、または、
【化44】
(ここで、R2は、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義した通りである)である)
から選択される基を示す)
を有する化合物の、液体媒体中のカチオンの改善のための使用。
【請求項50】
請求項33に記載の使用であって、Aは、式:
【化45】
の基であり、Y3基は、同一または異なって、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)または−CONH2を示すことを特徴とする使用。
【請求項51】
請求項34に記載の使用であって、化合物は、
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、および
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項52】
カルボン酸と組み合わされる、請求項33〜35のいずれか1つに記載の使用。
【請求項53】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の超分子構造を有する材料。
【請求項54】
線形光学における請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項1】
式:
【化1】
(式中、
−n=1ならば、
−Aが、式:
【化2】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、− COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であるならば、
−Y基は、同一または異なって、式:
【化3】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−Aが式:
【化4】
の基であるならば、
−Y基は、同一であって、式:
【化5】
の基を示すか、または、Y基は、異なって、式:
【化6】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
−A基は、同一または異なって、式:
【化7】
の基を示し、
−Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)、または、
【化8】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである) を示す)
から選択される基を示す)
を有する化合物(ただし、下記化合物を除く:
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3’’’]−クアテルピリダジン、
− 6,6’−ジメトキシ−3,3’−ビピリダジン、
−6,6’−ジクロロ−3,3’−ビピリダジン)。
【請求項2】
n=1であり、Mは水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または−COOH基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式:
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、または
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン
を有する化合物。
【請求項4】
n=2であり、Y基は、それぞれ、置換されてもよい2−ピリジニル基であるか、または、−C(CH2)OR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式:
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピリダジン、または
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}
を有する化合物。
【請求項6】
式:
【化9】
(式中、M1置換基は、同一または異なって、水素、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素を有する)を示す)
を有する化合物の調製方法であって、式:
【化10】
の化合物を式:
【化11】
(式中、Z1およびZ2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(ここで、Bは、メチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)
の化合物とスティル・カップリングさせることによる、方法。
【請求項7】
式:
【化12】
(式中、nは1〜4の整数(両端値を含む)であり、M2置換基の少なくとも1つは、−COOH基であり、他方の置換基は、代替的に、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルオキシ鎖であり得る)
を有する化合物の調製方法であって、二酸化セレン、酸化クロム等のアリルまたは芳香族の酸化剤の存在下にメチル前駆体を酸化することによる、方法。
【請求項8】
請求項1〜6に記載の化合物を精製する方法であって、1.5〜4時間にわたってシアン化カリウムの冷水溶液中で前記化合物を脱錯体化させることによる、方法。
【請求項9】
請求項1〜6に記載の化合物を精製する方法であって、ハロゲン化カリウムまたはハロゲン化テトラブチルアンモニウムの飽和水溶液中で前記化合物を脱錯体化し、次いで、炭酸水素ナトリウムにより有機相を洗浄し、クロロホルムにより抽出することによる、方法。
【請求項10】
式:
【化13】
(式中、
−n=1ならば、
Y1基は、異なって、式:
【化14】
(ここで、M3は水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)
の基を示し、
−nが2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
Y1基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【化15】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)またはフェニルを示す)
から選択される基を示す)
を有する化合物の調製方法であって、1:2〜1:3の範囲にわたる比で、式:
【化16】
を有する化合物を、式Y1−Z2(ここで、Z1、Z2は、異なって、ハロゲン原子または式SnB3(Bはメチル、ブチルまたはフェニル鎖である)を有するスタニル化基のいずれかを示す)を有する化合物とスティル・カップリングさせることによる、方法。
【請求項11】
式:
【化17】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y2は、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、
【化18】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子である)を示す)
から選択される基、またはフェニルである)
を有するハロゲン化ピリダジンを電気化学的にホモカップリングさせる方法であって、
− アノードは、少なくとも50%の鉄から作製され、
− 電気分解媒体は、ニッケルと、ハロゲンから選択される元素と、ピリジンまたはその誘導体とを含有する
電気分解条件下に行われる方法。
【請求項12】
式:
【化19】
(式中、nは1〜2の整数(両端値を含む)であり、Xはハロゲンであり、Y3は、ハロゲン、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、
【化20】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基である)
を有するハロゲン化ピリダジンを、式Ar−X(Xは上記に定義された通りであり、Arは、5〜6個の連結を有する芳香族環であり、場合によっては置換される)の芳香族環を含むハロゲン化物と電気化学的にホモカップリングさせる方法であって、
− アノードは、鉄から作製される;
− 触媒は、ハロゲン化ニッケルビピリジンから選択される;
電気分解条件下に行われる方法。
【請求項13】
芳香族環は、置換されてもよい、フェニル、ピリジンまたはチオフェニル環であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式:
【化21】
(式中、nは2〜4の整数(両端値を含む)であり、Y4基は、同一または異なって、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、または、式:
【化22】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
から選択される基またはフェニルを示す)
を有する化合物のピロール還元方法であって、
− アノードは大面積を有する電極である;
− 電気分解媒体は、プロトン供与性の極性媒体である:
の電気分解条件下に、1以上のピリダジン環上の窒素原子を電気化学的に押し出すことによる、方法。
【請求項15】
請求項1〜5に記載の化合物の配位子としての使用。
【請求項16】
薬物として使用されるための式:
【化23】
(式中、
− n=1ならば、
− Aが、式:
【化24】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミン、アルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であるならば、
− Y基は、同一または異なって、式:
【化25】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義した通りである)である)
の基を示し、
− Aが、式:
【化26】
の基であるならば、
− Y基は、同一であって、式:
【化27】
の基を示すか、または、Y基は、異なって、式:
【化28】
(ここで、Mは、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)である)
の基を示し、
− nが、2〜4の整数(両端値を含む)であるならば、
− A基は、同一または異なって、式:
【化29】
の基を示し、
− Y基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは、1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は、上記に定義された通りである)、または、
【化30】
(ここで、R基は、同一または異なって、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義された通りである)を示す)
から選択された基を示す)
を有する化合物。
【請求項17】
nは2であり、Yは、置換されてもよい2−ピリジニル基または−C(CH2)OR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
請求項16に記載の化合物であって、
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’’’−ビス−(6−メチルピリジン−2−イル)−[3,3’:6’,6’’:3’’,3’’’]−クアテルピリダジン、
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−[(5−ピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピリダジン、および
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−{[5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−ピリダジン}
からなる群から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項19】
n=1であり、M基は、ハロゲン、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖または、−COOH基である、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
請求項19に記載の化合物であって、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、および
− 2,5−ビス(ピリジン−2−イル)ピロール
からなる群から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項21】
核酸の選択的複合体化のための請求項19または20に記載の化合物の使用。
【請求項22】
癌の治療用の薬物を得るための、請求項16〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項23】
癌は癌腫であることを特徴とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
化合物は、6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジンであることを特徴とする請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
寄生虫症の治療用の薬物を得るための、請求項16〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項26】
請求項25に記載の使用であって、化合物は、式:
【化31】
(式中、
− nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− M4基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH、−COOR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)を示す)
によって示されることを特徴とする、使用。
【請求項27】
寄生虫症は、リーシュマニア症、アスペルギルス症またはカンジダ症であることを特徴とする請求項25または26に記載の使用。
【請求項28】
請求項25または26に記載の使用であって、化合物は、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、および
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項29】
抗菌薬を得るための、請求項16〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項30】
請求項16〜20に記載の化合物の使用であって、A基は、式:
【化32】
(式中、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であり、該化合物は、放射免疫療法用の薬物を得るために放射性金属と錯体化される、使用。
【請求項31】
液体媒体中のカチオンの改善のための、請求項1〜5に記載の化合物の使用。
【請求項32】
Aは、式:
【化33】
(式中、nは2〜4(両端値を含む)であり、Y基は、同一または異なって、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子であり、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)または−CONH2を示す)
の基であることを特徴とする請求項31に記載の使用。
【請求項33】
請求項31に記載の使用であって、化合物は、
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、および
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項34】
カルボン酸と組み合わせる、請求項31〜33のいずれか1つに記載の使用。
【請求項35】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の超分子構造を有する材料。
【請求項36】
線形光学における請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項37】
式:
− 6−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−3−(5−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、
− 6−(6−メチルピリジン−2−イル)−3−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン、または
− 6−(ピリジン−2−イル)−3−(5−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロール−2−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン
を有する化合物。
【請求項38】
式:
【化34】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
の化合物の調製方法であって、式:
【化35】
(式中、Xは、同一であって、ハロゲンであり、nは、上記に定義した通りである)
の化合物を式:
【化36】
(式中、XおよびTは、上記に定義された通りである)
の化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下にカップリングさせることによる、方法。
【請求項39】
式:
【化37】
(式中、nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、T基は、同一または異なって、水素、アルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)を示す)
の化合物の調製方法であって、式:
【化38】
(式中、nは、上記に定義された通りである)
の化合物を、式:
【化39】
(式中、Xはハロゲンである)
を有する化合物と、ブチルリチウム、溶媒、亜鉛ベースの試薬およびパラジウム(0)の存在下に選択的にカップリングさせることによる、方法。
【請求項40】
3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン。
【請求項41】
パラジウム(0)の存在下に3−クロロ−6−メトキシピリダジンを2−トリアルキルスタニルピリジンとカップリングさせることによる3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンの調製方法。
【請求項42】
3−メトキシ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンを加水分解することによる6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−オンの調製方法。
【請求項43】
ジブロモビストリフェニルホスフィンの存在下の3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジンのホモカップリングを通じた6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジンの調製方法。
【請求項44】
癌の治療用の薬物の調製のための6−(ピリジン−2−イル)−2H−ピリダジン−3−チオンの使用。
【請求項45】
請求項27または28に記載の使用であって、化合物は、式:
【化40】
(式中、
− nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− M3基は、同一または異なって、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖、−COOH、−COOR1基(R1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)を示す)
によって示されることを特徴とする使用。
【請求項46】
請求項26または27に記載の使用であって、化合物は、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、および
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項47】
抗菌薬を得るための請求項17〜20のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項48】
請求項17〜20に記載の化合物の使用であって、A基は、式:
【化41】
(式中、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)である)
の基であり、該化合物は、放射免疫療法用の薬物を得るために放射性金属と錯形成する、使用。
【請求項49】
式:
【化42】
(式中、
− nは、1〜4の整数(両端値を含む)であり、
− A基は、同一または異なって、式:
【化43】
(ここで、R’は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である))
の基を示し、
− Y3基は、同一または異なって、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては、環状である)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義した通りである)、または、
【化44】
(ここで、R2は、水素、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有する)、−COOH、−COOR1、−CONH2、−CONHR1基(R1は上記に定義した通りである)である)
から選択される基を示す)
を有する化合物の、液体媒体中のカチオンの改善のための使用。
【請求項50】
請求項33に記載の使用であって、Aは、式:
【化45】
の基であり、Y3基は、同一または異なって、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたはアルキルオキシ鎖(アルキルは1〜6個の炭素原子を有し、場合によっては環状である)、−COOH、−COOR1基(R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖である)または−CONH2を示すことを特徴とする使用。
【請求項51】
請求項34に記載の使用であって、化合物は、
− 5,5’−ビス(6−メチルピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 6,6’−ジ−(1−エトキシビニル)−3,3’−ビピリダジン、
− 6,6’−ビス(ピリジン−2−イル)−3,3’−ビピリダジン、
− 5,5’−ビス(ピリジン−2−イル)−2,2’−ビピロール、
− 3−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピロール−2−イル]−6−(6−メチルピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3−(2−カルボキシピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、
− 3,6−ビス(2−カルボキシピリジン−6−イル)−ピリダジン、
− 3−(6−メチルピリジン−2−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン、および
− 3−(2−ブロモピリジン−6−イル)−6−(ピリジン−2−イル)−ピリダジン
から選択されることを特徴とする使用。
【請求項52】
カルボン酸と組み合わされる、請求項33〜35のいずれか1つに記載の使用。
【請求項53】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の超分子構造を有する材料。
【請求項54】
線形光学における請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−544672(P2009−544672A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521301(P2009−521301)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001288
【国際公開番号】WO2008/012441
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(507199975)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001288
【国際公開番号】WO2008/012441
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(507199975)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (13)
【Fターム(参考)】
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