説明

締結具

【課題】組み立て作業時に、作業者がビスを連結具のビス孔に挿入して被締結部材に螺着することなく、被締結部材を締結することができて作業性の良い締結具を提供する。
【解決手段】第一の被締結部材、第二の被締結部材に取付けられる第一部材1、第二部材4と、これらを連結する連結部材7と、からなる。第一部材1は、第一被挿通部21を有し、第二部材4は、第二被挿通部51を有する。連結部材7は、第一被挿通部21及び第二被挿通部51に挿通可能な挿通部8、挿通不可な基部9を備え、挿通部8は、軸部81と該軸部81から周方向の一部に突出する基部側腕部82と先端側腕部83とを備える。第一部材1は、第一被挿通部21に挿通された挿通部8が回転した時に係止する第一係止部24及び仮保持手段11を備え、第二部材4は、第二被挿通部51に挿通された挿通部8が回転した時に係止する第二係止部54及び保持手段12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材等の被締結部材の締結に用いられる締結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば棚やたんすといった天板、側板、棚板等の被締結部材が締結されてなる家具においては、隣接する被締結部材の締結に連結具が用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−39308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される連結具は、第一の被締結部材に固定される垂直片部と、第二の被締結部材に固定される水平片部とを備えている。そして、垂直片部に穿設されたビス挿入孔にビスが挿入されて垂直片部が第一の被締結部材に固定されると共に、水平片部に穿設されたビス孔にビスが挿入されて水平片部が第二の被締結部材に固定されるものであった。
【0005】
この連結具にあっては、組み立て作業において、作業者がビスをビス挿入孔やビス孔に挿入して被締結部材に螺着する必要があるため、作業性が悪いものであった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、組み立て作業時に、作業者がビスを連結具のビス挿入孔やビス孔に挿入して被締結部材に螺着することなく被締結部材を締結することができて、作業性の良い締結具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の締結具は、以下のような構成とする。
【0008】
第一の被締結部材に取付けられる第一部材と、第二の被締結部材に取付けられる第二部材と、前記第一部材と前記第二部材とを連結する連結部材と、からなり、前記第一部材は、前記連結部材が挿通される第一被挿通部が穿設された第一部材本体と、前記第一部材本体から連設され前記第一被締結部材に埋設される第一被埋設部と、を備え、前記第二部材は、前記連結部材が挿通される第二被挿通部が穿設された第二部材本体と、前記第二部材本体から連設され前記第二被締結部材に埋設される第二被埋設部と、を備え、前記連結部材は、前記第一被挿通部及び前記第二被挿通部に挿通可能な挿通部と、前記挿通部から連設され前記第一被挿通部及び前記第二被挿通部に挿通不可な基部と、を備え、前記挿通部は、軸部と、前記軸部の軸方向に異なる前記基部側部分と先端側部分からそれぞれ周方向の一部に突出する基部側腕部と先端側腕部とを備え、前記第一部材本体には、前記第一被挿通部に挿通された前記連結部材が前記軸部を中心に第一の所定の角度回転した時に前記基部側腕部が位置する部分に、前記基部側腕部が係止され前記挿通部が前記第一被挿通部から抜けるのを防止する第一係止部及び前記挿通部の回転を仮保持する仮保持手段が設けられ、前記第二部材本体は、前記第二被挿通部に挿通された前記連結部材が前記軸部を中心に第二の所定の角度回転した時に前記先端側腕部が位置する部分に、前記先端側腕部が係止され前記挿通部が前記第二被挿通部から抜けるのを防止する第二係止部及び前記挿通部の回転を保持する保持手段が設けられることを特徴とする。
【0009】
また、前記第一被挿通部は、前記軸部が挿通される第一軸部被挿通部と、前記第一軸部被挿通部からその周方向の一部に連通し前記基部側腕部及び前記先端側腕部が挿通される第一腕部被挿通部と、からなり、前記第二被挿通部は、前記軸部が挿通される第二軸部被挿通部と、前記第二軸部被挿通部からその周方向の一部に連通し前記先端側腕部が挿通される第二腕部被挿通部と、からなり、前記第一部材本体の前記第一軸部被挿通部の周囲の前記第一腕部被挿通部以外の部分が、前記基部側腕部の挿通を阻止する前記第一係止部となり、前記第二部材本体の前記第二軸部被挿通部の周囲の前記先端側腕部被挿通部以外の部分が、前記先端側腕部の挿通を阻止する第二係止部となることが好ましい。
【0010】
また、前記第一部材本体は、一面に開口を有する略矩形箱状に形成されると共に、前記第二部材本体は、前記開口と略同形状で若干小さく形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記第一被埋設部及び前記第二被埋設部は略円柱状に形成されると共に、前記第一被埋設部及び前記第二被埋設部の外面に、前記第一被締結部材及び前記第二被締結部材からの抜け止めのため周方向に環状となる凸部が形成されることが好ましい。
【0012】
また、前記第一部材と前記連結部材の色調が異なることが好ましい。
【0013】
また、前記第一被埋設部と前記第二被埋設部は、その軸方向が直交することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、組み立て作業時に、作業者がビスを連結具のビス挿入孔やビス孔に挿入して被締結部材に螺着する必要がないため、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の締結具を切断した斜視図である。
【図2】同上における第一部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は下面図であり、(c)は背面図であり、(d)は側面図であり、(e)は(a)におけるA−A断面図であり、(f)は(a)におけるB−B断面図である。
【図3】同上における第二部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は下面図であり、(c)は背面図であり、(d)は(a)におけるA−A断面図であり、(e)は(a)におけるB−B断面図である。
【図4】同上における連結部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は下面図であり、(c)は側面図であり、(d)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の締結具は、食器棚や本棚等の棚やキャビネット、たんすといった、主に板材が締結されてなる家具の前記板材同士の締結に用いられるが、家具に限定されず、また締結される部材(以下「被締結部材」という)も板材に限定されない。以下、被締結部材としての天板、側板、底板、背板、棚板等の板材が締結されてなる棚が締結具により締結される実施形態について説明する。
【0017】
第一被締結部材と第二被締結部材は、天板、側板、底板、背板、棚板のいずれでもよいが、本実施形態では第一被締結部材が天板、第二被締結部材が側板であるとする。
【0018】
締結具は、図1に示すように、第一部材1と、第二部材4と、連結部材7と、からなり、第一部材1は第一被締結部材に取付けられると共に、第二部材4は第二被締結部材に取付けられるものである。
【0019】
第一部材1は、図2に示すように、第一部材本体2と、第一被埋設部3と、を備えている。第一部材本体2は、連結部材7が挿通される第一被挿通部21が穿設されるもので、本実施形態の第一部材本体2は、一面が開口した略矩形箱状をしたものであるが、形状は特に限定されない。第一被挿通部21は、第一部材本体2の前記開口20と対向する奥面に形成されるもので、後述する。第一被埋設部3は、第一部材本体2から連設され、第一被締結部材に埋設されるもので、本実施形態では、第一部材本体2の開口20に隣接した一壁部25から一体に突出する略円柱状をしたものであるが、形状は特に限定されない。また、本実施形態では第一被埋設部3を二個備えているが、一個でもよく個数は特に限定されないものであり、複数個備えることで、第一被埋設部3が第一被締結部材に埋設された状態で第一部材1が回転するのが防止される。
【0020】
第一被埋設部3の外面には、周方向に環状となる凸部31が軸方向に間隔をあけて複数形成されており、第一被埋設部3が第一被締結部材に埋設された際に前記凸部31により抜け止めがなされる。
【0021】
第二部材4は、図3に示すように、第二部材本体5と、第二被埋設部6と、を備えている。第二部材本体5は、連結部材7が挿通される第二被挿通部51が穿設されるもので、本実施形態では、略矩形箱状をした第一部材本体2の開口20に嵌入されるように、前記開口20と略同形状で若干小さい略板状をしたものであるが、形状は特に限定されない。これにより、第一部材本体2の開口20に第二部材本体5が所定の向きでガタつきなく嵌入されることとなる。すなわち、第一部材本体2と第二部材本体5とを前記のように嵌入可能な形状とすることで、第一部材本体2に第二部材本体5を相対的に所定の向きでのみ重ね合わせ可能とする向き合わせ手段が形成される。第二被挿通部51については後述する。
【0022】
第二被埋設部6は、第二部材本体5から連設され、第二被締結部材に埋設されるもので、本実施形態では、第二部材本体5の一面から一体に突出する、第一被埋設部3と略同形状の略円柱状をしたものであるが、形状は特に限定されない。また、本実施形態でも第二被埋設部6を二個備えているが、一個でもよく個数は特に限定されないものであり、複数個備えることで、第二被埋設部6が第二被締結部材に埋設された状態で第二部材4が回転するのが防止される。
【0023】
第二被埋設部6の外面にも、第一被埋設部3と同様に、周方向に環状となる抜け止めのための凸部61が軸方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0024】
連結部材7は、図4に示すように、第一部材1と第二部材4とを連結するもので、挿通部8と、挿通部8から連設される基部9と、を備えている。基部9は、本実施形態では外形が略円形状の略板状をしているが形状は特に限定されないものであり、その一方の板面から挿通部8が突設される。挿通部8は、軸部81と、軸部81の軸方向(長さ方向)の異なる位置である基部側部分と先端側部分からそれぞれ周方向の一部に、外方に突出する基部側腕部82と先端側腕部83とを備えたものである。
【0025】
本実施形態では、断面が略正多角形状をした軸部81が基部9の板面の中央部から突設される。そして、軸部81の軸方向中間部から互いに反対となる方向に、軸部81の中心を通る幅(円でいう直径に相当)の最小長さよりも短い幅の一対の基部側腕部82が突設されるものであるが、形状は特に限定されない。また、軸部81の先端部から互いに反対となる方向に、軸部81の中心を通る幅の最小長さよりも短い幅の一対の先端側腕部83が突設されるものであるが、形状は特に限定されない。また本実施形態では、基部側腕部82と先端側腕部83は、軸部81の先端側から軸方向に見て、重なる位置に形成されている。
【0026】
また、基部9の軸部81が突設される板面と反対側の板面には、マイナスドライバーやコイン等が挿通される回転具挿通部91が形成される。本実施形態では、回転具挿通部91は凹溝からなるが、貫通孔であってもよく特に限定されない。
【0027】
そして、挿通部8が第一被挿通部21及び第二被挿通部51に挿通可能となると共に、基部9が第一被挿通部21及び第二被挿通部51に挿通不可となるように形成されるもので、以下、第一被挿通部21及び第二被挿通部51について説明する。
【0028】
第一被挿通部21は、図2に示すように、軸部81が挿通される第一軸部被挿通部22と、第一軸部被挿通部22からその周方向の一部に連通して基部側腕部82及び先端側腕部83が挿通される第一腕部被挿通部23と、からなる。本実施形態では、断面が略正多角形状をした軸部81と略同形状で若干大きい第一軸部被挿通部22と、軸部81の先端部から突設される一対の先端側腕部83と略同形状で若干大きい第一腕部被挿通部23と、からなる。第一腕部被挿通部23の幅は、軸部81の中心を通る幅の最小長さよりも短く形成してあるため、軸部81は挿通不可となっている。軸部81は、第一軸部被挿通部22の部分のみ挿通可能となっている。また、挿通部8は、第一被挿通部21に対して所定の位置及び向きのみ挿通可能となる。すなわち、軸部81が第一軸部被挿通部22に位置し且つ、先端側腕部83及び基部側腕部82が第一腕部被挿通部23と一致する向き(位置)となる状態でのみ挿通可能となる。従って、軸部81が第一軸部被挿通部22に位置していても前記所定の向きから回転して基部側腕部82が第一腕部被挿通部23に位置しなければ挿通不可となる。このように、第一部材本体2の第一軸部被挿通部22の周囲の第一腕部被挿通部23以外の部分が、基部側腕部82の挿通を阻止する第一係止部24となる。
【0029】
この第一被挿通部21は、第一腕部被挿通部23の第一軸部被挿通部22からの連通方向が、該第一被挿通部21が形成された第一部材本体2の面の長辺に対して0°〜90°の範囲内の傾斜した角度を為すように形成される。
【0030】
この第一被挿通部21には、第一部材本体2の外側から挿通部8が上記所定の位置及び向きの状態で挿通され、先端側腕部83及び基部側腕部82が第一部材本体2の第一被挿通部21が形成された壁部25を挿通して第一部材本体2の内部に挿入されると共に、基部9が第一部材本体2の第一被挿通部21の周辺の外面26に当接される。そして、基部9が回転することで軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82が回転し、基部側腕部82が第一腕部被挿通部23からずれた位置に移動し、軸部81及び基部側腕部82が第一被挿通部21から抜けなくなる。
【0031】
そして、第一軸部被挿通部22に挿通された軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82が第一の所定の角度(本実施形態では約45°)回転すると、仮保持手段11により、軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82の回転が抑制され回転状態が仮保持される。仮保持手段11は、本実施形態では、基部側腕部82と、第一部材本体2の第一軸部被挿通部22の周辺の内面に内方に向けて突設される係止凸部27と、で構成される。第一軸部被挿通部22に挿通された軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82が前記第一の所定の角度回転した状態で、基部側腕部82の回転方向両側に係止凸部27が位置するように形成される。第一軸部被挿通部22に挿通された軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82が前記第一の所定の角度回転する前に、基部側腕部82が一方の係止凸部27aを乗り上げ、前記第一の所定の角度回転する際に基部側腕部82が一方の係止凸部27aを乗り越え、一方の係止凸部27aと他方の係止凸部27bとで基部側腕部82が挟持される。仮保持された状態から更に回転すると、基部側腕部82が他方の係止凸部27bを乗り越えて回転の抑制がなくなり、仮保持されなくなる。
【0032】
第二被挿通部51は、図3に示すように、第一被挿通部21と略同じで、軸部81が挿通される第二軸部被挿通部52と、第二軸部被挿通部52からその周方向の一部に連通して先端側腕部83が挿通される第二腕部被挿通部53と、からなる。本実施形態では、断面が略正多角形状をした軸部81と略同形状で若干大きい第二軸部被挿通部52と、軸部81の先端部から突設される一対の先端側腕部83と略同形状で若干大きい第二腕部被挿通部53と、からなる。第二腕部被挿通部53の幅は、軸部81の中心を通る幅の最小長さよりも短く形成してあるため、軸部81は挿通不可となっている。軸部81は、第二軸部被挿通部52の部分のみ挿通可能となっている。また、挿通部8は、第二被挿通部51に対して所定の位置及び向きのみ挿通可能となる。すなわち、軸部81が第二軸部被挿通部52に位置し且つ、先端側腕部83が第二腕部被挿通部53と一致する向き(位置)となる状態でのみ挿通可能となる。従って、軸部81が第二軸部被挿通部52に位置していても前記所定の向きから回転して先端側腕部83が第二腕部被挿通部53に位置しなければ挿通不可となる。このように、第二部材本体5の第二軸部被挿通部52の周囲の第二腕部被挿通部53以外の部分が、先端側腕部83の挿通を阻止する第二係止部54となる。
【0033】
この第二被挿通部51は、第二腕部被挿通部53の第二軸部被挿通部52からの連通方向が、第二部材本体5の長辺と略平行となるように形成される。
【0034】
この第二被挿通部51には、第二部材本体5の外側から挿通部8が上記所定の位置及び向きの状態(先端側腕部83及び基部側腕部82が前記第一の所定の角度回転した状態)で挿通され、先端側腕部83及び基部側腕部82が第二部材本体5を挿通する。そして、基部9が回転することで軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82が回転し、基部側腕部82が第二腕部被挿通部53からずれた位置に移動し、軸部81及び基部側腕部82が第二被挿通部51から抜けなくなる。
【0035】
そして、第二軸部被挿通部52に挿通された軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82が第二の所定の角度(本実施形態では約90°)回転すると、保持手段12により、軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82の回転が規制され回転状態が保持される。保持手段12は、本実施形態では、先端側腕部83と、第二部材本体5の第二軸部被挿通部52の周辺の内面に第二軸部被挿通部52の軸方向に向けて突設される係止凸部55と、第二軸部被挿通部52の周辺の前記係止凸部55と若干の間隔をあけて形成される規制部56と、で構成される。
【0036】
第二軸部被挿通部52に挿通された軸部81と先端側腕部83及び基部側腕部82が前記第二の所定の角度回転する際に先端側腕部83が係止凸部55を乗り越え、規制部56により先端側腕部83のそれ以上の移動が規制される。係止凸部55と規制部56とで基部側腕部82が挟持され、連結部材7が保持される。
【0037】
上記本発明の締結具は、第一部材本体2の第一被挿通部21に外側から連結部材7の挿通部8が第一部材本体2に対して所定の位置及び向きで挿通される。この時、第一被埋設部3と第二被埋設部6は、その軸方向が直交する。
【0038】
そして、連結部材7の基部9が回転することで、第一係止部24により軸部81及び基部側腕部82が第一被挿通部21から抜けなくなると共に、第一の所定の角度回転すると、仮保持手段11により仮保持される。次に第一部材本体2に第二部材本体5を嵌め込むことで、挿通部8が第二部材本体5の第二被挿通部51に挿通され、基部9が回転することで、第二係止部54により基部側腕部82が第二被挿通部51から抜けなくなると共に、第二の所定の角度回転すると、保持手段12により保持され、締結が完了する。
【0039】
上述した締結具は、組み立て作業時に、作業者がビスを被締結部材に螺着する必要がなく、コイン等の回転具により連結部材7を1回転未満回転させるだけでよいため、従来のビスを螺着する連結具と比べて、作業性が良いものである。また、第一部材1、第二部材4、連結部材7の3ピースで構成されるため、部品点数が少なく取り扱いが容易である。
【0040】
また、仮保持手段11により連結部材7が第一部材1に仮保持されるため、作業者は、第二部材4を取り付ける際に連結部材7を、抜け落ちたり、回転したりしないように支持する必要がなく、この点でも作業性が良いものである。
【0041】
また、第二部材本体5が、第一部材本体2の開口20と略同形状で若干小さく形成してあるため、第一部材本体2の開口20に第二部材本体5が所定の向きでガタつきなく嵌入され、第一被挿通部21と第二被挿通部51とが自動的に所定の向きに重ね合わせられる。これにより、作業者が自分で第一被挿通部21と第二被挿通部51とを所定の向きに重ね合わせる必要がなく、この点でも作業性が良いものである。
【0042】
また、第一部材1と連結部材7の色調が異なることで、第二部材4が締結される際に挿通部8が識別し易くなり、この点でも作業性が良くなるものである。第一部材1と連結部材7の色調は特に限定されないが、例えば第一部材1が白(又は黒)、連結部材7が黒(又は白)であれば、特に識別がし易くなる。
【符号の説明】
【0043】
1 第一部材
11 仮保持手段
12 保持手段
2 第一部材本体
21 第一被挿通部
22 第一軸部被挿通部
23 第一腕部被挿通部
24 第一係止部
3 第一被埋設部
4 第二部材
5 第二部材本体
51 第二被挿通部
52 第二軸部被挿通部
53 第二腕部被挿通部
54 第二係止部
6 第二被埋設部
7 連結部材
81 軸部
82 基部側腕部
83 先端側腕部
8 挿通部
9 基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の被締結部材に取付けられる第一部材と、第二の被締結部材に取付けられる第二部材と、前記第一部材と前記第二部材とを連結する連結部材と、からなり、前記第一部材は、前記連結部材が挿通される第一被挿通部が穿設された第一部材本体と、前記第一部材本体から連設され前記第一被締結部材に埋設される第一被埋設部と、を備え、前記第二部材は、前記連結部材が挿通される第二被挿通部が穿設された第二部材本体と、前記第二部材本体から連設され前記第二被締結部材に埋設される第二被埋設部と、を備え、前記連結部材は、前記第一被挿通部及び前記第二被挿通部に挿通可能な挿通部と、前記挿通部から連設され前記第一被挿通部及び前記第二被挿通部に挿通不可な基部と、を備え、前記挿通部は、軸部と、前記軸部の軸方向に異なる前記基部側部分と先端側部分からそれぞれ周方向の一部に突出する基部側腕部と先端側腕部とを備え、前記第一部材本体には、前記第一被挿通部に挿通された前記連結部材が前記軸部を中心に第一の所定の角度回転した時に前記基部側腕部が位置する部分に、前記基部側腕部が係止され前記挿通部が前記第一被挿通部から抜けるのを防止する第一係止部及び前記挿通部の回転を仮保持する仮保持手段が設けられ、前記第二部材本体は、前記第二被挿通部に挿通された前記連結部材が前記軸部を中心に第二の所定の角度回転した時に前記先端側腕部が位置する部分に、前記先端側腕部が係止され前記挿通部が前記第二被挿通部から抜けるのを防止する第二係止部及び前記挿通部の回転を保持する保持手段が設けられることを特徴とする締結具。
【請求項2】
前記第一被挿通部は、前記軸部が挿通される第一軸部被挿通部と、前記第一軸部被挿通部からその周方向の一部に連通し前記基部側腕部及び前記先端側腕部が挿通される第一腕部被挿通部と、からなり、前記第二被挿通部は、前記軸部が挿通される第二軸部被挿通部と、前記第二軸部被挿通部からその周方向の一部に連通し前記先端側腕部が挿通される第二腕部被挿通部と、からなり、前記第一部材本体の前記第一軸部被挿通部の周囲の前記第一腕部被挿通部以外の部分が、前記基部側腕部の挿通を阻止する前記第一係止部となり、前記第二部材本体の前記第二軸部被挿通部の周囲の前記先端側腕部被挿通部以外の部分が、前記先端側腕部の挿通を阻止する第二係止部となることを特徴とする請求項1記載の締結具。
【請求項3】
前記第一部材本体は、一面に開口を有する略矩形箱状に形成されると共に、前記第二部材本体は、前記開口と略同形状で若干小さく形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の締結具。
【請求項4】
前記第一被埋設部及び前記第二被埋設部は略円柱状に形成されると共に、前記第一被埋設部及び前記第二被埋設部の外面に、前記第一被締結部材及び前記第二被締結部材からの抜け止めのため周方向に環状となる凸部が形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項5】
前記第一部材と前記連結部材の色調が異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項6】
前記第一被埋設部と前記第二被埋設部は、その軸方向が直交することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の締結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−117598(P2012−117598A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267272(P2010−267272)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】