説明

編集装置、編集方法、および編集プログラム

本発明は、迅速に映像データを編集可能な編集装置、編集方法、および編集プログラムを開示する。映像データからその一部を切り出してリプレイとして放送するために再生する際に、所望の位置からの再生開始の要求により、その要求に応じてイン点を設定し(S110)、再生終了の要求によりその要求に応じてアウト点を設定する(S116)。そして、そのイン点とアウト点との間の区間の映像データからなる他の映像データを生成する(S118)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編集装置、編集方法、および編集プログラムに関し、特に、例えば、スポーツ中継のような、迅速な編集が要求される素材を編集する編集装置、編集方法、および編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CPUの処理速度の向上、ハードディスクドライブ(HDD)の高速・高容量化、データ圧縮符号化技術の向上等により、ノンリニア映像編集装置の利用が増加している。ノンリニア映像編集装置では、カメラやビデオ・テープ・レコーダ等からの映像をデジタル化および符号化してHDDに映像データとして記憶する。
【0003】
ノンリニア映像編集装置では、映像データの編集は、HDDに記憶した符号化された映像を読み出して復号・再生を行って映像をモニタで見ながら作業を行う。例えば、編集対象となる映像データを再生して、その映像を見ながら切り出したいシーンの開始位置(イン点)と終了位置(アウト点)を映像データ上の位置に設定する。イン点およびアウト点は映像データに関連づけられて編集情報として保持され、これらの情報により、切り出したシーンのクリップが形成される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
なお、ノンリニア映像編集では、クリップの形成のために、元の映像データを実際にコピーあるいはカットする必要はなく、クリップの再生時には、クリップを指定することによって、編集情報を参照してイン点からアウト点までの映像データを復号して再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−233430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、テレビ放送用のニュースや、スポーツの実況中継などにおいても、ノンリニア映像編集装置が使用されている。このような用途においては、収録したばかりの映像データや収録中の映像データの一部をすぐに放送する場合が多い。例えば、サッカーの試合の実況中継を行っている際に、ゴールのシーンをリプレイする場合である。
【0007】
このような場合、編集作業に手間取っていると、視聴者の関心が薄れてしまい、さらに、次に興味のあるシーンが到来すると、視聴者の関心がそのシーンに向けられてしまうので、魅力的な実況中継ができなくなるという問題がある。
【0008】
また、リプレイしたシーンは、後の放送で再度利用することが多い。この場合、映像データを見直してそのシーンを切り出すための手間がかかるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記の問題を解決した新規かつ有用な編集装置、編集方法、および編集プログラムを提供することである。本発明の具体的な目的は、迅速に映像データが編集可能な編集装置、編集方法、および編集プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点によれば、映像データの再生を行う再生手段と、前記映像データの再生開始の要求に応じて、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第1の基準点を設定する第1の設定手段と、前記映像データの再生終了の要求に応じて、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第2の基準点を設定する第2の設定手段と、前記第1の基準点と第2の基準点との間の区間の前記映像データからなる他の映像データを生成する生成手段と、を備える編集装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、映像データの再生開始の要求および再生停止の要求に応じて、それぞれ第1の基準点および第2の基準点が設定され、第1の基準点を開始点とし第2の基準点を終了点とする他の映像データが生成される。そのため、オペレータは、第1の基準点および第2の基準点を別途設定する操作が不要なため、迅速に再生が可能となり、さらに、再生と同時に、元の映像データから切り出した他の映像データを生成できる。また、生成された他の映像データは、後の放送のために再度元の映像データから切り出す必要がなくなるので、編集の手間が省ける。
【0012】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、映像データ(あるいはクリップ)の開始点および終了点をそれぞれイン点およびアウト点と称し、また、映像データは、音声データを含んでも含まなくてもよく、また、アナログでもデジタルでもよい。
【0013】
本発明の他の観点によれば、映像データの再生開始の要求に応じて、再生が開始される映像データ上の位置に第1の基準点を設定するステップと、前記再生開始の要求に応じて、映像データを再生するステップと、前記映像データの再生終了の要求に応じて、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第2の基準点を設定するステップと、前記第1の基準点と第2の基準点との間の区間の前記映像データからなる他の映像データを生成するステップと、を含む編集方法が提供される。
【0014】
本発明によれば、上記の編集装置の発明と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、迅速に映像データを編集可能な編集装置、編集方法、および編集プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る編集装置を含むライブ中継システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る編集装置の構成を示すブロック図である。
【図3】編集コントローラの斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る編集装置の機能構成図である。
【図5】編集コントローラのサブモニタに表示される画面の一例を示す。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る編集方法を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る編集方法におけるクリップの生成の様子を説明するための図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る編集方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る編集方法におけるクリップの生成の様子を説明するための図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る編集装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明に係る実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る編集装置を含むライブ中継システムの構成を示すブロック図である。図1を参照するに、ライブ中継システム200は、例えば、サッカーの試合等のイベントや報道現場での映像を撮影するカメラ210と、カメラ210によって撮影された映像データを分配する分配機220と、分配機220から映像データが供給され、それを編集する編集装置10と、編集装置10から供給される映像データ、および分配機220から経路222を介して供給される映像データのうちの一方を選択して放送のための送出機(不図示)に送出する切換器230などから構成される。
【0018】
ライブ中継システム200は、カメラ210からの映像データを、経路222および切換機230を介して映像データを送出機に送出し、一方では、編集装置10の記録部(図2に示す符号“23”)に映像データを記憶しつつ、記憶した映像データを読み出してオペレータによりモニタ(図2に示す符号“60”)で下見再生や編集を行うことを可能とする(この態様を「疑似ライブモード」と称する。)。また、ライブ中継システム200は、編集装置10が記録部に記憶した映像データからサッカーのゴールシーン等のクリップを切り出して再生し、切換機230を介して送出機(不図示)に送出する。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係る編集装置の構成を示すブロック図である。図2を参照するに、編集装置10は、編集装置本体部20と、編集コントローラ40と、キーボード50と、マウス52と、モニタ60とから構成される。編集装置本体部20は、AV入力部21と、エンコーダ22と、記録部23と、デコーダ24と、AV出力部25と、CPU(中央演算処理装置)26と、メモリ28と、HDD29と、これらがそれぞれ接続されるバス30から構成される。
【0020】
また、上述した、編集コントローラ40、およびモニタ60は、それぞれインターフェイス部を介してバス30に接続され、キーボード50およびマウス52は、それぞれインターフェイス部を介して編集コントローラ40に接続される。ただし、図2では、説明の便宜のため、インターフェイス部の図示を省略している。
【0021】
AV入力部21は、カメラや、素材データを記録したハードディスクや、ビデオ・テープ・レコーダが接続される。AV入力部21には編集対象となる映像データが入力される。映像データは音声データや他のデータを伴ってもよく、伴っていなくともよく、また、音声データ単独でもよい。これらのいずれの場合も本発明の編集方法は同様であるので、以下、説明の便宜のため、映像データを例に説明する。AV入力部21は、一つでもよく、複数あってもよい。
【0022】
また、AV入力部21は、アナログあるいはデジタル化された映像データのいずれが供給されてもよい。AV入力部21は、映像データがアナログの場合は、A/D変換器によりデジタル化する。映像データは、後述するエンコーダ22によって符号化されて記録部23に記憶される。
【0023】
なお、映像データは、符号化されていない非圧縮の場合に、AV入力部21からエンコーダ22を介さずに記録部23に記憶されてもよい。この場合、編集の際に、表示あるいは再生するためにデコーダ24により復号する手間がない点で有利である。
【0024】
エンコーダ22は、映像データを符号化し、符号化された映像データをバス30を介して記録部23に供給する。符号化方式としては、フレーム独立符号化データを生成するDVコーデック方式や、フレーム間予測符号化データを生成するMPEG方式やH.264/AVC方式、DVC、DVCPRO、DVCPROHD、JPEG、JPEG2000などを挙げることができる。なお、エンコーダ22が行う符号化処理はソフトウェアによっても実現できる。エンコーダ22は、1つあればよく、複数あってもよい。
【0025】
記録部23は、AV入力部21やエンコーダ22から供給された映像データや、編集処理により編集された映像データや、編集処理の情報を含む編集情報を記憶する。また、記録部23は、要求に応じてそれらのデータを読み出す。記録部23としては、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、半導体メモリ、磁気テープ・ドライブ、光学ディスク・ドライブ等のデータ記録が可能な装置であればいずれでもよい。記録部23は、編集装置本体部20の内部に設けられてもよく、外部に設けられていてもよく、その両方でもよい。
【0026】
デコーダ24は、符号化された映像データを復号し、復号された映像データをバス30を介してAV出力部25に供給する。デコーダ24は、1つあればよく、複数あってもよい。なお、デコーダ24が行う復号処理はソフトウェアによっても実現でき、CPU26を用いてプログラムによって復号処理を行ってもよい。
【0027】
AV出力部25は、切換機230に接続され、さらに送出機やネットワークに接続され、デコーダ24によって復号された映像データを出力する。AV出力部25から出力される映像データは、編集処理された映像データや、AV入力部21に入力された映像データや、記録部23から読み出された映像データである。なお、AV出力部25は、符号化された映像データを復号せずに出力してもよい。
【0028】
また、AV出力部25は、モニタ60に接続され、モニタ60に復号された映像データが表示される。AV出力部25は、一つでもよく、複数あってもよい。
【0029】
なお、AV出力部25の接続先は切換機230に限定されず、映像データを伝送あるいは受信する機器であればよい。また、AV出力部25は、D/A変換器を備えていてもよく、これにより、デジタルの映像データをアナログの映像信号に変換する。
【0030】
CPU26は、例えば、メモリ28中の不揮発性メモリ(ROM)に記録されている制御プログラムを実行して編集装置10全体の動作を制御する。
【0031】
なお、メモリ28は、ROMに限定されず、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)でもよく、その両方を含んでいてもよい。本明細書では、メモリ28は、ROMおよびRAMの両方を含むとして説明する。
【0032】
なお、CPU26で実行されるプログラムは、ROMやRAMに記憶されてもよく、さらにハードディスク装置(HDD)29に記憶されていてもよい。メモリ28は、バス30に接続されているが、CPU26内に設けられてもよい。また、CPU26で動作するプログラムは、HDD29の代わりに記録部23に記憶されていてもよく、その場合、HDD29を省略してもよい。
【0033】
図3は、編集コントローラの斜視図である。図3を図2とあわせて参照するに、編集コントローラ40の右下には、ジョグ・ダイヤル41がある。ジョグ・ダイヤル41は、その回転の速さに応じて映像データの再生速度を決定するものであり、早く回転させるほど再生速度が速くなり、回転を停止すると再生が停止する。また、ジョグ・ダイヤル41を時計回りに回すと順方向再生となり、反時計方向に回すと逆方向再生となる。オペレータは、通常、再生された映像データをモニタ60で見ながら、ジョグ・ダイヤル41の操作を行う。
【0034】
また、編集コントローラ40の左下には、送り制御レバー42がある。送り制御レバー42は、その紙面下から上に押し出す角度に応じて映像データの再生速度を決定するものであり、押し出す角度が0(速度0%)の場合が再生停止であり、押し出す角度が大きくなるほど再生速度が速くなり、押し出す角度が最大で通常の再生速度(速度100%)となる。映像データを再生する場合は、例えば、送り制御レバー42を角度が最大のところまで押し出して行う。
【0035】
編集コントローラ40の中央下にはキー群43があり、そこに、再生キー43a、停止キー43b等が配置されている。再生キー43aは、オペレータが押下げることで映像データの通常速度での再生が開始される。停止キー43bは、オペレータが押下げることで映像データの再生停止が行われる。
【0036】
編集コントローラ40の中央にはキー群44があり、そこにAV入力部21が複数ある場合の切り換えキーや、後ほど詳述するアウト点設定キー44a、イン点設定キー44b、下見再生モードと送出再生モードの切換えを行うための再生モード切換キー44cがある。
【0037】
編集コントローラ40の上には、サブモニタ45がある。サブモニタ45は、クリップの情報やプレイ・リスト等の様々な編集情報や、編集装置10の設定等が表示可能である。また、サブモニタ45は、タッチ・パネルになっているので、その表示に合わせてタッチすることで様々なオペレーションが可能である。サブモニタ45の画面については後述する。
【0038】
また、編集コントローラ40の操作による編集装置10の動作は、CPU26と、その他の編集装置10の各構成要素と、メモリ28やHDD29に記憶されているプログラムと、が協働して行われる。
【0039】
なお、編集コントローラ40にも、サブモニタ45の表示や編集コントローラ40の各種操作を制御するためにCPU(不図示)を備えていてもよく、さらに、イン点およびアウト点の設定データを記憶するメモリ(不図示)を備えていてもよい。このCPUやメモリによって、編集装置本体部のCPU26やメモリ28の負荷を軽減できる。
【0040】
<編集装置の機能構成>
図4は、本発明の実施の形態に係る編集装置の機能構成図である。図4を図1〜図3と合わせて参照するに、編集装置10のCPU26は、プログラムと協働することで、再生部71、イン点設定部72、アウト点設定部73、クリップ生成部74、仮イン点設定部75、仮アウト点設定部76、イン点再設定部77、受付部79を有している。これらの各部により、CPU26は、(1)映像データの記憶再生機能、(2)映像データの編集再生機能、(3)クリップ生成機能を実現する。以下に、編集装置10の各機能について説明する。
【0041】
(1)映像データの記憶再生機能
CPU26は、例えば、カメラ210が撮影した映像データが編集装置10のAV入力部21に供給され、その映像データをエンコーダ22によって符号化し、符号化された映像データを記録部23に記憶する。また、CPU26は、記録された映像データを再生部71によって記録部23から読み出し、デコーダ24によって復号し、復号された映像データをAV出力部25から切換器230に出力し、モニタ60に表示する。
【0042】
(2)映像データの編集再生機能
CPU26は、記録部23に記憶されている映像データのファイルの管理データを読み出し、ファイルの選択を受付ける。CPU26は、選択されたファイルの映像データを、編集コントローラ40からの再生開始の要求を受付部79が受付けて、その要求に応じて、再生部71によって記録部23から読み出し、デコーダ24によって復号する。
【0043】
CPU26は、復号された映像データをAV出力部25からモニタ60に供給し、その映像が表示される。これと同時に、CPU26は、復号された映像データを、AV出力部25から切換器230を介して外部に送出する。
【0044】
なお、映像データの再生は、編集コントローラ40の送り制御レバー42を、押し出すことによって再生開始が要求され、角度が最大の位置までの押し出し操作により通常速度での再生開始が要求される。また、映像データの再生開始は、再生キー43aの押下げによっても通常速度での再生開始が要求される。
【0045】
また、再生終了の場合は、CPU26は、編集コントローラ40からの再生終了の要求を受付部79が受付けて、その要求により記録部23からの映像データの読み出しを停止する。映像データの再生終了は、編集コントローラ40の停止キー43bの押下げ等によって要求される。
【0046】
さらに、CPU26は、再生部71によって、編集コントローラ40からのトリック・プレイ(変速再生)や早送り・逆送りの要求を受付部79が受付けて、その要求に応じて、記録部23からの映像データの変速再生や早送り・逆送り等を行う。
【0047】
(3)クリップ生成機能
CPU26は、映像データの再生開始の要求を受付部79が受付けて、その要求に応じて、イン点設定部72によって再生開始の要求の時点の映像データ上の位置にイン点を設定する。イン点の位置は、例えばタイム・コードに基づいて指定され、メモリ28に記憶される。
【0048】
また、CPU26は、映像データの再生終了の要求を受付部79が受付けて、その要求に応じて、アウト点設定部73によって再生終了の要求の時点の映像データ上の位置にアウト点を設定する。アウト点の位置は、例えばタイム・コードに基づいて指定され、メモリ28に記憶される。なお、アウト点設定部73によってアウト点が設定された場合は、CPU26は、仮アウト点をメモリ28から削除する。
【0049】
CPU26は、映像データの再生前に、映像データの下見のために再生を行い、さらに逆送り再生を行う場合、逆送り再生の要求を受付部79が受付けて、その要求に応じて、仮アウト点設定部76によって、逆送り再生の要求の時点の映像データ上の位置に仮アウト点を設定する。仮アウト点の位置はタイム・コードに基づいて指定される。仮アウト点の位置はメモリ28に記憶される。
【0050】
なお、CPU26は、仮アウト点がメモリから削除される前に、仮アウト点変換要求を受付部79が受付けた場合は、アウト点変換部78は、その要求に応じて仮アウト点をアウト点に変換し、仮アウト点の時点にアウト点を設定する。
【0051】
さらに、CPU26は、クリップ生成部74によって、イン点およびアウト点の情報をメモリ28から読み出して、イン点およびアウト点を映像データと関連付けて、イン点とアウト点との間の区間の映像データからなるクリップが生成される。すなわち、クリップは、映像データとイン点およびアウト点により形成された仮想的に形成された1つの単位の映像データである。クリップの情報は、モニタ60や、次に示すように、編集コントローラ40のサブモニタ45に表示される。
【0052】
なお、図4に示すイン点再設定部77は、第1の実施の形態に必須ではなく、第2の実施の形態の必須の構成要素である。
【0053】
図5は、編集コントローラのサブモニタに表示される画面の一例を示す。図5を参照するに、画面90には、左側に縦に配列されたコマンド・ボタン91にタッチすることで、様々な情報が表示され、様々な編集操作が可能になる。
【0054】
例えば、図5では、「Mark」91aが選択されており、コマンド・ボタン91の右側にクリップの情報やタイム・マークの情報が表示される。なお、「HIGHLIGHT」91bのボタンにタッチして、入力操作により仮イン点および仮アウト点をイン点およびアウト点にそれぞれ設定できる。
【0055】
クリップが生成されると、クリップの時間情報として、タイム・コード「TimeCode」)の列92にイン点のタイム・コード(「I」で示される。)およびアウト点のタイム・コード(「O」で示される。)が表示される。タイム・コードは、クリップのフレーム毎に指定されており、映像データが撮影された時刻およびフレーム数を表す。タイム・コードは、「hh:mm:ss.ff」の形式で表示される。「hh」は時間、「mm」は分、「ss」は秒、「ff」はフレームを示し、フレームは、約30フレームで1秒に相当する。例えば、クリップCL1では、イン点のタイム・コードが“00:15:12.02”、アウト点のタイム・コードが“00:16:14.15”である。これはイン点が15分12秒02フレームでありアウト点が16分14秒15フレームの映像データのクリップであることを示している。なお、タイム・コードは、元の映像データが撮影された時刻に基づいている。なお、編集装置は、使用する規格に応じてタイム・コードの1秒当たりのフレーム数を変更可能である。
【0056】
さらに、クリップの付加的な情報として、情報(「info」)の列93に、クリップ名、キーワードが表示される。例えば、クリップCL1では、クリップ名「Goal1」である。クリップ名やキーワードは、例えば、この画面にポップ・アップで表示されるキーボードから入力可能である。クリップ名は、そのクリップを独立した映像として記録部23に保存する場合に、所定の拡張子と共にファイル名を形成する。
【0057】
オペレータは、画面90により生成されたクリップを確認できる。さらに、クリップの表示部分をタッチしてクリップを選択し、編集コントローラ40を操作することで再生、さらにはAV出力部25から外部に送出が可能になる。
【0058】
また、画面90の下には、現在選択されているクリップCL2の情報も示されている。この例では、クリップ名が“HS0001−S1A”であり、イン点(あるいは仮イン点)が00:10:00.00、アウト点(あるいは仮アウト点)が00:45:01.00、デュレーション(クリップの時間長)が00:35:01.00である。また、これらのサブモニタ45の情報は、モニタ60に表示されるようにしてもよい。クリップCL2は、仮クリップあるいはクリップの状態が表示される。
【0059】
<編集方法>
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る編集方法を示すフローチャートである。図7は、第1の実施の形態に係る編集方法におけるクリップの生成の様子を説明するための図である。なお、図7の(A)は時間軸に沿った映像データ80を示し、(B)は再生動作および仮アウト点、イン点、およびアウト点等の設定の様子を示し、(C)は仮想的に切り出されたクリップ82を示している。図6、7および図1〜5を参照しつつ説明する。
【0060】
本発明の第1の実施の形態に係る編集方法を、図7の(A)に示すように、サッカーの試合で選手がシュートしてゴールするシーンが含まれる映像データ80から、選手がパスを受ける映像80aからシュートをしてゴールする映像80bまで映像データ(クリップ)82を切り出す編集を行って、編集された映像データ82を放送のために送出する場合を例に挙げて説明する。
【0061】
最初に、オペレータは、図1に示す切換機230から経路222側の映像データが出力されるように設定する。すなわち、カメラ210からの映像データが送出機に出力されるように設定する。
【0062】
次いで、オペレータは、記録部71に記憶された映像データ80の下見再生モードへの切換えの要求を行う。下見再生モードへの切換えの要求は、例えば、編集コントローラ40の再生モード切換キー44cの押下げによって行なわれる。CPU26は、その要求に応じて、下見再生モードに切換える(S100)。なお、下見再生モードでは、後述する仮イン点および仮アウト点が設定される。
【0063】
次いで、映像データ80の再生要求を行う(S101)。再生要求は、オペレータが、例えば、ジョグ・ダイヤル41を時計方向に回転させることによって行う。CPU26は、その要求に応じて、記録部23に映像データ80の読出しを開始させ、デコーダ24に映像データを復号させ、モニタ60にその映像を表示させる。オペレータは、モニタに表示される、パスを受ける映像80aから、選手がシュートする映像までの下見を行う(図7の(B)参照)。
【0064】
次いで、オペレータは、選手がゴールした映像80bの付近の映像を確認し、逆送り再
生要求を編集装置10に行う。逆送り再生要求は、例えば、オペレータが編集コントローラ40のジョグ・ダイヤル41を反時計方向に回すことによって行う。CPU26は、逆送り再生要求があるかどうか判定し、逆送り再生要求があった場合は(ステップS102の“Yes”の場合)、その要求に応じて記録部23に映像データの読み出しを開始させ、CPU26は、その映像データをデコーダ24に復号させ、復号された逆送り再生の映像をモニタに表示させる(図7の(B)参照)。
【0065】
CPU26は、この逆送り再生要求に応じて、その要求があった時点の映像データ上の位置に仮アウト点を設定する(S104)。仮アウト点は、例えば、その映像データのタイム・コードに基づいて設定する。そして、CPU26は、仮アウト点が設定されたタイム・コードをメモリ28に仮アウト点のデータとして記録する。なお、この仮アウト点のタイム・コードは、編集コントローラ40のサブモニタ45の画面の、図5に示すクリップCL2の“Out”の部分に表示される。
【0066】
また、CPU26は、この逆送り再生要求に応じて、仮イン点を仮アウト点と同じ位置に設定し、仮イン点と仮アウト点との間の区間の映像データを仮クリップとして生成する(S105)。仮クリップは、映像データ80の仮イン点と仮アウト点との間の区間の映像データであり、仮イン点および仮アウト点の移動により、その区間が変化する。なお、この時点では、仮イン点と仮アウト点は両方とも同じ映像データ、すなわち1フレームの映像の位置にある。なお、この仮イン点のタイム・コードも、編集コントローラ40のサブモニタ45の画面の、図5に示すクリップCL2の“In”の部分に表示される。
【0067】
CPU26は、映像データを逆送り再生し(S106)。CPU26は、逆送り再生がされている映像データに仮イン点を付随させる。仮イン点は、例えば、その映像データのタイム・コードに基づいて設定されるので、映像データが逆送り再生にされるに伴って、仮イン点の位置は更新される。CPU26は、そのタイム・コードをメモリ28に仮イン点のデータとして記録し、逆送り再生されるにつれてメモリ28中の仮イン点のデータが更新される。
【0068】
次に、オペレータは、逆送り再生される映像を見ながら、リプレイとして放送する再生開始位置、例えば、選手が他の選手からパスを受ける映像80aを決め、停止要求を編集装置10に行う(S107)。停止要求は、例えば、オペレータがジョグ・ダイヤル41の回転を停止させることによって行う(図7の(B)参照)。なお、仮イン点は、停止された映像データの位置に付随している。
【0069】
なお、この停止要求を行った後にジョグ・ダイヤル41で順送りまたは逆送り再生をして、停止する位置を調節してもよい。これにより、より正確に再生開始位置、つまり仮イン点(イン点)の位置を調整できる。
【0070】
次に、オペレータあるいは他のオペレータは、番組のディレクターからの指示の下で、切換機230を編集装置10側に切り換える。これにより、編集装置10から出力される映像データが切換器230を介して送出されるようになる。
【0071】
次いで、送出再生モードへの切換え要求により、CPU26は送出再生モードに切換える(S108)。送出再生モードへの切換え要求は、例えば、オペレータの再生モード切換キー44cの押下げによって要求される。送出再生モードでは、仮イン点および仮アウト点がそれぞれイン点およびアウト点として設定される。
【0072】
次いで、オペレータは、リプレイとして放送する映像データを送出するための再生開始要求を編集装置10に行う。CPU26は、送出用の再生開始要求があるかどうか判定し、送出用の再生開始要求があった場合には、その再生開始要求に応じて(ステップS109の“Yes”の場合)、記録部23に読み出しを開始させ、その映像データをデコーダ24に復号させ、AV出力部25から出力させる。再生開始要求は、例えば、オペレータが編集コントローラ40の送り制御レバー42を押出すことや、再生キー43aを押下げることによって行う。これにより、映像データが編集装置10から切換機を介して送出、
つまり放送される。
【0073】
CPU26は、さらに、上記の再生開始要求に応じて、その要求があった時点の映像データ上の位置にイン点を設定する(S110)。すなわち、S106の逆送り再生と共に付随した仮イン点は、再生開始の要求時点の映像データに位置するので、仮イン点のある映像データにイン点が設定される。イン点は、仮イン点と同様に、例えば、その映像データ80のタイム・コードに基づいて設定する。
【0074】
そして、CPU26は、そのタイム・コードをメモリ28にイン点のデータとして記録する。このイン点のデータは、先に設定した仮アウト点と共に記録される。なお、このデータは、イン点のタイム・コードのほか、オペレータが入力するクリップの名前、キーワード等を含んでもよい。クリップの名前を含めることで、複数のクリップがある場合に、クリップの同定が容易になる(図7の(B)参照)。なお、このイン点のタイム・コードは、編集コントローラ40のサブモニタ45に表示され、図5に示すクリップCL2の“In”の部分に表示される。
【0075】
さらに、CPU26は、映像データを再生する(S112)と共に、仮アウト点の位置を再生位置に変更し、再生位置に仮アウト点を付随させる。この再生は、通常速度の再生の他、変速再生や、再生の一時的な停止や、逆送り再生を伴ってもよい。
【0076】
次に、オペレータは、再生される映像を見ながら、選手がゴールした映像80bで再生終了要求を編集装置10に行う。この再生終了要求は、例えば、停止キー43bの押下げによる再生停止要求や、下見再生への切換え要求等の再生以外の処理の要求である。下見再生への切換え要求は、例えば再生モード切換キー44cを押下げることによって行う。
【0077】
CPU26は、再生終了要求があるかどうか判定し、その再生終了要求に応じて(ステップS114の“Yes”の場合)、再生終了要求があった時点に再生していた映像データ上の位置にアウト点を設定する。つまり、再生終了要求があった時点に、付随していた仮アウト点の映像データ上の位置にアウト点が設定される。アウト点は、例えば、その映像データのタイム・コードに基づいて設定する。そして、CPU26は、そのタイム・コードをメモリ28にアウト点のデータとして記録する。このアウト点のデータは、先に設定したイン点と共に記録される(図7の(B)参照)。
【0078】
なお、再生終了要求の前に、オペレータによる送り制御レバー42を手前側に戻して速度0%の位置にして再生を停止させてもよい。
【0079】
次に、CPU26は、イン点とアウト点の設定に基づいて、クリップ82を生成する(S118)。具体的には、CPU26は、クリップ82を、イン点とアウト点の設定データと映像データ80を関連づけて、イン点とアウト点との間の区間の映像データ80として登録する(図7の(C)参照)。すなわち、これにより、仮イン点および仮アウト点がそれぞれ、イン点およびアウト点として確定し、仮クリップがクリップとしてメモリ28に記憶される。このクリップ82は、モニタ60や編集コントローラ40のサブモニタ45のクリップのリストに表示される。クリップは、元の映像データ80とイン点およびアウト点の設定データが関連づけられて生成された仮想的な映像データの1つの単位である。クリップ82を編集装置10からデコーダ24で復号してAV出力部25から送出することもでき、クリップ82を元の映像データとは別の映像データとして記録部23に記憶することもできる。
【0080】
第1の実施の形態によれば、S110において、再生開始要求に応じて自動的に映像データ上の位置にイン点が設定されるので、従来行っていたイン点設定のための操作、例えばイン点設定キーの押下げ操作を省略できる。そのため、迅速なオペレーションが可能になる。
【0081】
また、S116において、再生停止要求に応じて自動的に映像データ上の位置にアウト点が設定されるので、従来行っていた、オペレータによるアウト点設定のための操作、例えばアウト点設定キーの押下げ操作も省略できる。そのため、いっそう迅速なオペレーションが可能になる。このように第1の実施の形態では迅速なオペレーションが可能になるので、所望の映像データを迅速に準備でき、タイムリーに放送が可能になる。
【0082】
特に、第1の実施の形態は、例えば、サッカーの試合の生中継中に、様々な出来事が次々と発生してもクリップの作成に気を使うことなく、編集および再生操作に専念することができる。
【0083】
また、中継中にリプレイとして放送した映像データの部分は、同じ番組の終わりやスポーツ・ニュースにおいて再度放送されることが多い。第1の実施の形態によれば、リプレイとして放送した映像データの部分がクリップとして自動的に生成されるので、後でその部分を使用したい場合、そのクリップを使用でき、再度映像データを編集してクリップを作成する手間が省ける。
【0084】
また、クリップが自動で生成されるので、番組のディレクターは、例えば、図5に示したクリップのリストを見ることで、後の放送において番組を構成する際に、そのクリップの存在を知ることができ、番組に組み込むのを忘れるということを回避できる。また、オペレータは、例えば、図5に示したクリップのリストを見ることで、クリップをバックアップする際の取捨選択が容易になる。
【0085】
なお、第1の実施の形態では、上述したようにイン点およびアウト点の設定の両方を自動で設定したが、いずれか一方を自動で設定し、他を従来のようにキーの押し下げ操作によって設定してもよい。この場合であっても、イン点およびアウト点のうちの一方が自動で設定されるので迅速なオペレーションが可能になる。
【0086】
なお、上記ステップS108において、下見再生モードから送出再生モードに切換えるために、一例として、オペレータによる再生モード切換キー44cの押下げを挙げたが、その代わりに、ステップS109における、オペレータの送り制御レバー42の押出しや、再生キー43aの押下げによって、自動的に下見再生モードから送出再生モードに切換わるようにしてもよい。これにより、送出再生モードの切換えの手間を省略でき、より迅速なオペレーションが可能になる。なお、この場合、再生モード切換キー44cは、下見再生モードを選択するために使用される。
【0087】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、イン点設定後にイン点の位置の再設定が可能な例である。したがって、図1〜図5に示した構成と同様の構成を有し、図6および図7もほぼ同じであるので、図6を参照しつつ、第2の実施の形態の編集方法を説明する。
【0088】
最初に、第2の実施の形態に係る編集方法では、図6に示すS100〜S110を第1の実施の形態での説明と同様に行う。
【0089】
次いで、送出再生モードにおいて、S112の映像データの再生中に、オペレータのイン点再設定の要求に応じて、CPU26はイン点再設定部77(図4に示す。)によって、要求の時点の映像データ上の位置にイン点を再設定する。イン点再設定の要求は、例えば、編集コントローラ40のイン点設定キー44bを押下げによって行う。
【0090】
次いで、図6に示すS114〜S118を第1の実施の形態での説明と同様に行う。
【0091】
第2の実施の形態では、送出再生モードでの再生開始と共にイン点が設定された場合であっても、その後の再生映像を見ながらイン点の再設定が可能となる。これにより、上述した第1の実施の形態の効果である操作の迅速性を損なわず、より自由度の高い編集が可能となる。なお、第2の実施の形態は第1の実施の形態において説明した全ての効果を有する。
【0092】
[第3の実施の形態]
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る編集方法を示すフローチャートである。図9は、第3の実施の形態に係る編集方法におけるクリップの生成の様子を説明するための図である。なお、図9の(A)は時間軸に沿った映像データ80を示し、(B)は編集動作および仮アウト点、仮イン点、イン点、およびアウト点等の設定の様子を示し、(C)は仮想的に切り出されたクリップ84を示し、(D)は再生動作の様子を示している。
【0093】
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例である。第3の実施の形態では、送出再生モードにおける再生を行う前にイン点およびアウト点を設定する例である。したがって、第3の実施の形態は、図1〜図5に示した構成とほぼ同様の構成を有する。図8、9および図1〜5を参照しつつ、第3の実施の形態を説明する。
【0094】
図8に示すS100〜S106は、第1の実施の形態の図6のS100〜S106での説明と同様に行う。なお、S106の逆送り再生の段階では、仮アウト点がS104により設定されており、仮イン点は、逆送り再生がされている映像データに付随する。
【0095】
次に、オペレータは、逆送り再生される映像を見ながら(S106)、選手が他の選手からパスを受ける映像80aで、イン点・アウト点設定要求を行う。CPU26は、イン点・アウト点設定要求があるかどうか判定する。イン点・アウト点設定要求があった場合には、その再生開始要求に応じて(ステップS120の“Yes”の場合)、イン点およびアウト点設定手段72,73により、イン点・アウト点設定要求時の仮イン点の映像データ上の位置にイン点を設定し(122a)、仮アウト点が設定されている映像データ上の位置にアウト点を設定し、それぞれ、メモリ28に記憶する。なお、イン点・アウト点
設定要求は、例えば、編集コントローラのサブモニタに表示される画面の「HIGHLIGHT」91b(図5に示す。)のボタンにタッチして、画面に表れたコマンド・ボタンに入力操作をすることで行われる(図9の(B)参照)。
【0096】
なお、このイン点・アウト点設定要求は、オペレータが逆送り再生を停止させてから行ってもよい。逆送り再生が停止しているため、仮イン点の位置が設定でき、その結果、イン点をより正確に設定できる。
【0097】
次いで、CPU26は、イン点およびアウト点の設定に基づいて、クリップ84を生成する(S124)。これにより、仮クリップがクリップとして確定する。ここでは、図6のS118と同様にして、CPU26は、クリップ84を、イン点とアウト点の設定データと映像データ80を関連づけて、映像データ80のイン点とアウト点との間の区間の映像データ84として生成される(図9の(C)参照)。
【0098】
なお、この後に、図9の(D)に示すように映像データ84をリプレイとして放送のために再生してもよいが、これは第3の実施の形態では必須ではない。
【0099】
第3の実施の形態によれば、1回の操作、例えば1回のキーの押下げによりイン点とアウト点を設定できるので、従来行っていたイン点とアウト点の設定の要求動作よりも、迅速なオペレーションが可能になる。
【0100】
さらに、第3の実施の形態によれば、逆送り再生中にイン点およびアウト点の設定できるので、迅速で確実にリプレイのシーンのクリップを確定でき、タイムリーに放送が可能になる。
【0101】
なお、第3の実施の形態の変形例として、S124の後に、さらに、下見再生を行い、第1の実施の形態の図6に示すS108〜S118を行って、別の区間のクリップを生成してもよい。これにより、ほぼ同じ内容のクリップではあるが、例えば、異なる時間長の2つのクリップを生成できる。
【0102】
さらに、第2の実施の形態を組み合わせて、その他の変形例として、図8のS122aおよびS122bの後、すなわち、イン点とアウト点を設定した後に、さらに、第2の実施の形態と同様にして、クリップ84を再生中にイン点を再設定可能な構成としてもよい。これにより、イン点設定の自由度が増加する。
【0103】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例である。
【0104】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る編集装置の構成を示すブロック図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0105】
図10を参照するに、本発明の第4の実施の形態に係る編集装置100は、編集装置本体部20にCPU26およびメモリ28を備え、さらに、編集コントローラ110にCPU111およびメモリ112を備えている以外は先の図2に示した第1の実施の形態に係る編集装置10と同様に構成されている。
【0106】
編集コントローラ110は、CPU111およびメモリ112を備えている。CPU111は、メモリ112に記憶されたプログラムと協働して編集コントローラ110を制御する。すなわち、CPU111は、先の図4に示したCPU26で実現される機能を全て実現する。CPU111は、編集コントローラ110を編集装置本体部20と通信させて、先の図6および図7で説明した編集方法を実行する。
【0107】
編集コントローラ110は、図3に示す編集コントローラ40と同様のジョグ・ダイヤル等の入力手段を有するが、CPU111は、これらの入力手段からの要求を受け付けて、編集装置本体部20のCPU28に編集装置本体部20の各要素を制御するための制御コマンドを送信する。CPU111は、さらに、映像データに設定されるイン点やアウト点等のデータの管理を行い、さらにかかるデータをメモリ112に記憶する。
【0108】
また、編集コントローラ110は、編集装置本体部20とローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を用いて接続することにより、編集装置本体部20のCPU28やメモリ29の負荷を軽減することができる。また、編集コントローラ110と編集装置本体部20との両方に無線送受信部を設けて、無線通信により制御コマンドやデータ等を交換してもよく、これにより、編集コントローラ110と編集装置本体部20とをケーブルによる制限なく、互いに離隔して配置できる。
【0109】
なお、第4の実施の形態は、先の第1〜第3の実施の形態の効果を奏することはいうまでもない。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0111】
例えば、図3に示す編集コントローラ40の代わりに、ジョグ・ダイヤルのみを有する機器やキー類のみを有する機器を使用してもよく、他方、編集コントローラ40の機能をキーボード50やマウス52にもたせてもよい。また、編集コントローラ40の機能をモニタ60上に表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェイス(GUI)とキーボード50やマウス52によって行なわせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10、100 編集装置
20 編集装置本体
26 CPU
40、110 編集コントローラ
41 ジョグ・ダイヤル
42 送り制御レバー
43a 再生キー
43b 停止キー
44a アウト点設定キー
44b イン点設定キー
44c 再生モード切換キー
71 再生部
72 イン点設定部
73 アウト点設定部
74 クリップ生成部
75 仮イン点設定部
76 仮アウト点設定部
77 イン点再設定部
78 アウト点変換部
79 受付部
80 映像データ
82,84 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データの再生を行う再生手段(71)と、
前記映像データの再生開始の要求に応じて、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第1の基準点を設定する第1の設定手段(72)と、
前記映像データの再生終了の要求に応じて、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第2の基準点を設定する第2の設定手段(73)と、
前記第1の基準点と第2の基準点との間の区間の前記映像データからなる他の映像データを生成する生成手段(74)と、
を備える編集装置(10)。
【請求項2】
前記再生手段により映像データを再生中に、再設定の要求に応じて、該要求の時点に再生されている映像データ上の位置に第1の基準点を再設定する再設定部(77)を、さらに備え、
前記映像データ生成手段は、再設定された第1の基準点と、第2の基準点との間の区間の前記映像データからなる他の映像データを生成する、請求項1記載の編集装置。
【請求項3】
前記再生手段による映像データの再生は、変速再生および再生の一時停止を含む請求項1記載の編集装置。
【請求項4】
前記再生手段が下見再生を行うための映像データの再生中に、再生される映像データに伴って第3の基準点を付随させる第3の設定手段(76)と、
前記下見再生中に、前記映像データの逆送り再生の要求に応じて、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第4の基準点を設定する第4の設定手段(77)と、を含み、
前記映像データ生成手段は、第1および第2の基準点の設定の要求に応じて、前記第3の基準点と第4の基準点との間の区間の前記映像データからなるその他の映像データを生成する、
請求項1記載の編集装置。
【請求項5】
映像データの再生開始の要求に応じて(S109)、再生が開始される映像データ上の位置に第1の基準点を設定するステップ(S110)と、
前記再生開始の要求に応じて(S109)、映像データを再生するステップ(S112)と、
前記映像データの再生終了の要求に応じて(S114)、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第2の基準点を設定するステップ(S116)と、
前記第1の基準点と第2の基準点との間の区間の前記映像データからなる他の映像データを生成するステップ(S118)と、
を含む編集方法。
【請求項6】
前記第1の基準点を設定するステップと前記第2の基準点を設定するステップとの間に、前記第1の基準点の再設定の要求に応じて、該再設定の要求の時点に再生された映像データ上の位置に第1の基準点を再設定するステップをさらに含む請求項5記載の編集方法。
【請求項7】
前記映像データを再生するステップにおいて、映像データの再生は、変速再生および再生の一時停止を含む請求項5記載の編集方法。
【請求項8】
前記映像データを再生するステップの前に、前記映像データの下見再生を行うために、当該映像データを順送り再生するステップ(S101)と、
逆送り再生の要求に応じて(S102)、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第3の基準点を設定するステップ(S104)と、
前記逆送り再生の要求に応じて(S102)、前記映像データを逆送り再生するステップ(S106)と、を含み、
前記第1の基準点を設定(S110)に応じて、前記第1の基準点と第3の基準点との間の区間の前記映像データからなるその他の映像データを生成するステップ
をさらに含む、請求項5記載の編集方法。
【請求項9】
映像データの下見再生のために該映像データを順送り再生するステップ(S101)と、
前記逆送り再生の要求に応じて(S102)、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第3の基準点を設定するステップ(S104)と、
逆送り再生の要求に応じて(S102)、前記映像データを逆送り再生するステップ(S106)と、
前記逆送り再生中の映像データに伴って第4の基準点を付随させ第4の基準点の設定の要求に応じて(S120)、第4の基準点を設定するステップ(S122a)と、
前記第3の基準点と第4の基準点との間の区間の前記映像データからなるその他の映像データを生成するステップ(S124)と、
を含む編集方法。
【請求項10】
映像データの再生開始の要求に応じて(S109)、再生が開始される映像データ上の位置に第1の基準点を設定するステップ(S110)と、
前記再生開始の要求に応じて(S109)、映像データを再生するステップ(S112)と、
前記映像データの再生終了の要求に応じて(S114)、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第2の基準点を設定するステップ(S116)と、
前記第1の基準点と第2の基準点との間の区間の前記映像データからなる他の映像データを生成するステップ(S118)と、
をコンピュータに実行させる編集プログラム。
【請求項11】
映像データの下見再生のために該映像データを順送り再生するステップ(S101)と、
前記逆送り再生の要求に応じて(S102)、該要求の時点に再生された映像データ上の位置に第3の基準点を設定するステップ(S104)と、
逆送り再生の要求に応じて(S102)、前記映像データを逆送り再生するステップ(S106)と、
前記逆送り再生中の映像データに伴って第4の基準点を付随させ第4の基準点の設定の要求に応じて(S120)、第4の基準点を設定するステップ(S122a)と、
前記第3の基準点と第4の基準点との間の区間の前記映像データからなるその他の映像データを生成するステップ(S124)と、をコンピュータに実行させる編集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−504683(P2011−504683A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533731(P2010−533731)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【国際出願番号】PCT/JP2008/003364
【国際公開番号】WO2009/066441
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】