説明

編集装置、編集方法、編集プログラムおよび編集システム

【課題】フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータの編集処理を適切に行う。
【解決手段】編集対象のビデオストリームが格納されたストリームファイルから、当該ファイルを記録した装置を識別する識別情報を抽出する。抽出された識別情報が編集装置のエンコーダの対応可能な属性と同じ属性でエンコードできる装置であることを示していれば、必要最小区間のみをデコードし再エンコードする手法を用いて編集処理を行う。そうでない場合には、編集対象のビデオストリームの全体をデコードし、再エンコードする手法を用いて編集処理を行う。必要最小区間のみをデコードし再エンコードする手法を用いた編集処理が可能か否かを、ビデオストリーム中の所定の識別情報のみに基づき判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータの編集をより高速に行う編集装置、編集方法、編集プログラムおよび編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録可能で記録再生装置から取り外し可能とされると共に、記録容量が比較的大きく、ビデオデータとオーディオデータとからなるAV(Audio/Video)データを記録するのに適した記録媒体として、4.7GB(Giga Byte)以上の記録容量を有するDVD(Digital Versatile Disc)が普及している。特許文献1には、記録可能なタイプのDVDに対してDVD−Videoフォーマットで記録する撮像装置が記載されている。
【特許文献1】特開2004−350251
【0003】
この記録可能なタイプのDVDは、ファイルシステムにUDF(Universal Disk Format)が用いられており、UDFに対応するコンピュータ装置でアクセスが可能となっている。UDFは、ISO(International Organization for Standarization)9660によるフォーマットを含んでおり、コンピュータ装置に用いられる様々なファイルシステムでアクセス可能なようになっている。この記録可能なタイプのDVDに対し、例えば撮像装置で撮像されたビデオデータと撮像に伴い得られたオーディオデータとをファイルとして記録することで、撮像装置とコンピュータ装置などの他の装置との親和性が増し、記録されたデータをより有効に活用することが可能となる。
【0004】
ところで、ビデオデータは、データ容量が膨大となるため、所定の方式で圧縮符号化されて記録媒体に記録されるのが一般的である。ビデオデータの圧縮符号化方式としては、MPEG2(Moving Picture Experts Group 2)方式が標準的な方式として知られている。また、近年では、MPEG2の圧縮符号化方式をさらに推し進めて効率的な符号化を行えるようにした、ITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standarization Sector)勧告H.264あるいはISO(International Organization for Standarization)/IEC(International Electrotechnical Commission)国際標準14496−10(MPEG−4パート10)Advanced Video Coding(以下、H.264|AVCと略称する)も、普及してきている。
【0005】
これらMPEG2およびH.264|AVCにおいては、直交変換などを用いたフレーム内符号化を行うと共に、動き補償を用いた予測符号化によるフレーム間符号化をさらに行い、圧縮率を高めている。以下、MPEG2方式を例にとって、予測符号化によるフレーム間圧縮について説明する。
【0006】
先ず、MPEG2によるデータストリーム構造について、概略的に説明する。MPEG2は、動き補償を用いた予測符号化と、DCTによる圧縮符号化とを組み合わせたものである。MPEG2のデータ構造は、階層構造をなしており、下位から、ブロック層、マクロブロック層、スライス層、ピクチャ層、GOP層およびシーケンス層となっている。ブロック層は、DCTを行う単位であるDCTブロックからなる。マクロブロック層は、複数のDCTブロックで構成される。スライス層は、ヘッダ部と、1以上のマクロブロックより構成される。ピクチャ層は、ヘッダ部と、1以上のスライスとから構成される。ピクチャは、1画面に対応する。各層の境界は、それぞれ所定の識別符号で識別可能なようになっている。
【0007】
GOP層は、ヘッダ部と、フレーム内符号化に基づくピクチャであるI(Intra-coded)ピクチャと、予測符号化に基づくピクチャであるP(Predictive-coded)ピクチャB(Bi-directionally predictive coded)ピクチャとから構成される。Iピクチャは、それ自身の情報のみでデコードが可能であり、PおよびBピクチャは、基準画像として前あるいは前後の画像が必要とされ、単独ではデコードされない。例えばPピクチャは、自身より時間的に前のIピクチャまたはPピクチャを基準画像として用いてデコードされる。また、Bピクチャは、自身の前後のIピクチャまたはPピクチャの2枚のピクチャを基準画像として用いてデコードされる。最低1枚のIピクチャを含むそれ自身で完結したグループをGOP(Group Of Picture)と呼び、MPEGのストリームにおいて独立してアクセス可能な最小の単位とされる。
【0008】
GOPは、1または複数のピクチャから構成される。以下では、GOPは、複数のピクチャから構成されるものとする。GOPにおいて、GOP内で完全にデコードが可能な、GOPで閉じた構造を持つクローズドGOPと、デコードの際に符号化順で1つ前のGOPの情報を用いることができるオープンGOPとの2種類がある。オープンGOPは、クローズドGOPと比較して、より多くの情報を用いてデコードできるため高画質を得られ、一般的に用いられている。
【0009】
図16を用いて、フレーム間圧縮を行ったデータのデコード処理について説明する。ここでは、1GOPが1枚のIピクチャ、4枚のPピクチャおよび10枚のBピクチャの、計15枚のピクチャから構成されるものとし、GOPのタイプは、オープンGOPであるものとする。GOP内のI、PおよびBピクチャの表示順は、図16Aに一例が示されるように、「B01234567891011121314」のようになる。なお、添え字は表示順を示す。
【0010】
この例では、最初の2枚のB0ピクチャおよびB1ピクチャは、1つ前のGOPにおける最後尾のP14ピクチャと、このGOP内のI2ピクチャを用いて予測されデコードされたピクチャである。GOP内の最初のP5ピクチャは、I2ピクチャから予測されデコードされたピクチャである。他のP8ピクチャ、P11ピクチャおよびP14は、それぞれ1つ前のPピクチャを用いて予測されデコードされたピクチャである。また、Iピクチャ以降の各Bピクチャは、それぞれ前後のIおよび/またはPピクチャから予測されデコードされたピクチャである。
【0011】
一方、Bピクチャは、時間的に前後のIまたはPピクチャを用いて予測されデコードされるため、ストリームや記録媒体上におけるI、PおよびBピクチャの並び順は、デコーダにおけるデコードの順序を考慮して決める必要がある。すなわち、BピクチャをデコードするためのIおよび/またはPピクチャは、当該Bピクチャよりも常に先にデコードされていなければならない。
【0012】
上述の例では、ストリームや記録媒体上の各ピクチャの配列は、図16Bに例示されるように、「I20153486711910141213」のようになり、この順でデコーダに入力される。なお、添え字は、図16Aに対応し、表示順を示す。
【0013】
デコーダにおけるデコード処理は、図16Cに示されるように、先ずI2ピクチャをデコードし、デコードされたこのI2ピクチャと1つ前のGOPにおける最後尾(表示順)のP14ピクチャとによりB0ピクチャおよびB1ピクチャを予測しデコードする。そして、B0ピクチャおよびB1ピクチャをデコードされた順にデコーダから出力し、次にI2ピクチャを出力する。B1ピクチャが出力されると、次にP5ピクチャがI2ピクチャを用いて予測されデコードされる。そして、I2ピクチャおよびP5ピクチャを用いてB3ピクチャおよびB4ピクチャが予測されデコードされる。そして、デコードされたB3ピクチャおよびB4ピクチャをデコードされた順にデコーダから出力し、次にP5ピクチャを出力する。
【0014】
以下、同様にして、Bピクチャの予測に用いるPまたはIピクチャをBピクチャより先にデコードし、このデコードされたPまたはIピクチャを用いてBピクチャを予測してデコードし、デコードされたBピクチャを出力してから、当該Bピクチャをデコードするために用いたPまたはIピクチャを出力する処理が繰り返される。記録媒体上やストリームにおける図16Bのようなピクチャ配列は、一般的に用いられるものである。
【0015】
なお、H.264|AVC方式においても、ビデオデータのエンコードおよびデコード処理は、概略的には、MPEG2方式における処理と略同様にして行われる。H.264|AVC方式においては、より柔軟にピクチャを用いてフレーム間予測を行うことできるようにされている。また、H.264|AVC方式においては、MPEG2方式におけるIピクチャに相当する、ランダムアクセス可能なピクチャをIDR(Instantaneous Decoding Refresh)ピクチャと呼ぶ。以下では、符号化方式をMPEG2方式に代表させて説明する。
【0016】
ここで、MPEG2方式のようにフレーム間圧縮を用いる符号化方式により圧縮符号化されたビデオデータを編集する場合について考える。編集処理の一例として、ビデオ映像における中間部のシーンを削除し、削除した区間の前後を結合する場合について説明する。例えば、図17Aに一例が示されるように、GOP#1、GOP#2、・・・、GOP#9、・・・のようにGOP構造が連なったビデオストリームに対し、削除するシーンに対応する区間A−Bを指定する。ここで、区間A−Bの前端の編集点Aと、後端の編集点Bは、それぞれGOP#3およびGOP#7の中間部分のピクチャであるものとする。編集により当該区間A−Bのピクチャを削除して、編集点Aおよび編集点Bを結合し、編集された1本のビデオストリームを得る(図17B)。
【0017】
このような編集を行う場合、単純に区間A−B内のピクチャを削除したのでは、結合後に結合部分を含むGOP#3+7においてGOP構造が破壊されてしまい、正常に再生できなくなるという不都合が生じる。そのため、フレーム精度での編集が行えず、編集がGOP単位での処理となってしまう。
【0018】
また、GOP単位で編集処理を行う例として、削除対象の区間A−Bに含まれるGOP#4〜GOP#6を削除し、GOP#3の後端とGOP#7の先頭とを結合する方法が考えられる。しかしながら、GOPがオープンGOP構造を取る場合、前側のGOPが削除されるGOP#7において、先頭側のBピクチャ群(図16の例ではBピクチャ0およびB1ピクチャ)がデコードできなくなってしまうという不都合が生じる。
【0019】
上述した不都合を解決するために、編集対象のビデオストリームを一旦デコードし、その上でフレーム精度での編集を行い、再びエンコードする方法が考えられる。しかしながら、対象となるビデオストリームの全体をデコードし、再エンコードする処理を編集の度毎に行うのでは、処理時間が膨大となる。また、一旦エンコードされたビデオストリームの全体をデコードし再エンコードするのでは、ビデオストリームの全体にわたって画質劣化を招いてしまう。
【0020】
また、これらの不都合は、複数のビデオストリームを結合する際にも発生するものである。
【0021】
そこで、従来から、編集点付近の必要最小区間のみをデコードし再エンコードする手法が知られている。すなわち、削除や結合を行う部分のGOPおよび当該GOPが変化することにより影響を受けるGOPのみをデコードおよび再エンコードし、それ以外のGOPについては、GOP単位でコピーを行う。この編集点付近の必要最小区間のみをデコードし再エンコードする手法の代表的な例としては、スマートレンダリングと呼ばれる手法が一般的に知られている。
【0022】
上述した図17を用いて、編集点付近の必要最小区間のみをデコードし再エンコードする一例の処理について、概略的に説明する。編集点Aおよび編集点Bによる区間A−Bを削除する場合、編集点A側においてデコードが必要な部分は、編集点Aを含むGOP#3と、GOP#3の直前のGOP#2となる。GOPがオープンGOPである場合、編集点Aを含むGOP#3の直前のGOP#2は、GOP#3の表示順で先頭のB0ピクチャおよびB1ピクチャをデコードするために必要である。また、編集点B側においてデコードが必要な部分は、編集点Bを含むGOP#7と、GOP#7の直後のGOP#8となる。オープンGOPでは、GOP#8の表示順で先頭のBピクチャ群をデコードするためには、GOP#7のデータを用いる必要がある。
【0023】
図17Aの状態において、例えば先ずGOP#4〜GOP#6を削除し、次にGOP#2およびGOP#3、ならびに、GOP#7およびGOP#8をそれぞれデコードする。そして、GOP#3においては、デコードされたピクチャのうち編集点A以降のピクチャを削除する。同様に、GOP#7においては、デコードされたピクチャのうち編集点B以前のピクチャを削除する。そして、編集点Aおよび編集点Bを結合し、新たに作成されたGOP#3+7を、前後のGOP#2およびGOP#8の符号量を参照しながら再エンコードする(図17B)。GOP#3+7の先頭のB0ピクチャおよびB1ピクチャは、デコードされたGOP#2の最後のP15ピクチャと、デコードされたGOP#3のI3ピクチャとを用いてエンコードする。GOP#2およびGOP#8については、デコード前のGOP#2およびGOP#8をメモリに記憶しておき、これを用いることができる。
【0024】
このような処理は、複数のビデオストリームを結合するような編集の際にも、同様にして適用可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ところで、上述したような再エンコードを用いた編集を行うためには、結合するビデオストリームは、幾つかの制約を満足している必要がある。上述したように、ビデオストリームは、ファイルに格納されて記録媒体に記録される。このとき、1のファイルに記録されるビデオストリームに関する所定のパラメータについては、1ファイル中で値が固定的である必要がある。
【0026】
例えば、あるパラメータについて異なる値を有するビデオストリームを、編集により1のビデオストリームに結合して1のファイルに格納し、このファイルに格納されたビデオストリームを再生機で再生する際に、この属性の値が再生中に変化した場合、再生機のデコーダがこのパラメータの値の変化に対応できない可能性がある。
【0027】
値が固定的であることが必要なパラメータの例としては、垂直および水平方向それぞれの画枠サイズ、アスペクト比(16:9または4:3など)、フレームレート(29.97Hz、59.94Hzなど)、フレームの構造、クローズドキャプションのデータの有無などがある。編集により再エンコードを行う際には、再エンコード区間において結合される前後のビデオストリームで、これらのパラメータの値が全て一致している必要がある。
【0028】
編集装置において、これらのパラメータの全てに対応するエンコードが可能であれば、これらの属性に合わせて所定の値を設定してエンコードすればよい。しかしながらこの場合、編集装置は、ビデオストリームのフォーマットに規定される各パラメータについて、パラメータが取り得る値の全ての組み合わせに対応している必要があり、エンコーダの規模の増大や、コストの増大を招くことになるという問題点があった。
【0029】
これを避けるために、編集装置側で、ある特定の記録装置で記録されたビデオストリームに対してのみ、編集が可能であるとすることも考えられる。このように編集対象のビデオストリームを制限することで、編集装置側では、その記録装置が対応しているパラメータのみに対応していればよい。ところがこの場合、この編集装置に対して他の記録装置で記録されたビデオストリームを供給した場合に、編集装置が誤動作してしまう可能性があるという問題点があった。
【0030】
したがって、この発明の目的は、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータの編集処理を適切に行うことができるようにした編集装置、編集方法、編集プログラムおよび編集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集装置において、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームが入力される入力部と、データストリームに埋め込まれた、データストリームを生成した装置を識別する識別情報をデータストリームから抽出する抽出部と、データストリームをデコードするデコード部と、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、所定の属性で以てエンコードするエンコード部と、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびエンコードを行いデータストリームを編集するようにした編集部とを備え、編集部は、抽出部でストリームデータから抽出された識別情報が、エンコード部によるエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うことを特徴とする編集装置である。
【0032】
また、第2の発明は、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集方法において、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームに埋め込まれた、データストリームを生成した装置を識別する識別情報をデータストリームから抽出する抽出のステップと、データストリームをデコードするデコードのステップと、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、所定の属性で以てエンコードするエンコードのステップと、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびエンコードを行いデータストリームを編集するようにした編集のステップとを備え、編集のステップは、抽出部でストリームデータから抽出された識別情報が、エンコードのステップによるエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うことを特徴とする編集方法である。
【0033】
また、第3の発明は、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集方法をコンピュータ装置に実行させる編集プログラムにおいて、編集方法は、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームに埋め込まれた、データストリームを生成した装置を識別する識別情報をデータストリームから抽出する抽出のステップと、データストリームをデコードするデコードのステップと、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、所定の属性で以てエンコードするエンコードのステップと、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびエンコードを行いデータストリームを編集するようにした編集のステップとを備え、編集のステップは、抽出部でストリームデータから抽出された識別情報が、エンコードのステップによるエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うことを特徴とする編集プログラムである。
【0034】
また、第4の発明は、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いて圧縮符号化して記録媒体に記録し、記録媒体から再生されたフレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集システムにおいて、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により所定の属性で以てエンコードしてデータストリームとして出力する第1のエンコード部と、第1のエンコード部から出力されたデータストリームをストリームファイルとして記録媒体に記録する記録部とを備え、データストリームに対して装置自体を識別する識別情報を埋め込んで記録媒体に記録するようにした記録装置と、記録媒体に記録されたストリームファイルを読み出してデータストリームを取り出す再生部と、データストリームから識別情報を抽出する抽出部と、データストリームをデコードするデコード部と、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、所定の属性で以てエンコードする第2のエンコード部と、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびエンコードを行いデータストリームを編集するようにした編集部とを備え、編集部は、抽出部でストリームデータから抽出された識別情報が、第2のエンコード部によるエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うようにした編集装置とを有することを特徴とする編集システムである。
【0035】
上述したように、第1、第2および第3の発明は、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームに埋め込まれた、データストリームを生成した装置を識別する識別情報をデータストリームから抽出し、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびエンコードを行いデータストリームを編集するようにされ、編集時に、抽出部でストリームデータから抽出された識別情報が、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化によりなされるエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うようにしているため、データストリームに埋め込まれた、データストリームを生成した装置を識別する識別情報を見るだけで、編集点を含む所定区間のデコードおよびエンコードによる編集が可能か否かを判断することができる。
【0036】
また、第4の発明は、記録装置は、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により所定の属性で以てエンコードして出力されたデータストリームをストリームファイルとして記録媒体に記録し、その際に、データストリームに対して装置自体を識別する識別情報を埋め込んで記録媒体に記録するようにされ、編集装置は、記録媒体に記録されたストリームファイルを読み出してデータストリームを取り出してデータストリームから識別情報を抽出し、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により所定の属性で以てエンコードを行ってデータストリームを編集するようにされ、編集の際に、ストリームデータから抽出された識別情報が、編集装置でのエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うようにしているため、編集装置は、データストリームを記録した装置を識別する識別情報に基づき、対応する記録装置で記録されたデータストリームであるか否かを知ることができ、対応する記録装置で記録されたデータストリームであると判断された場合に、編集点を含む所定区間のデコードおよびエンコードによる編集を行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
第1、第2および第3の発明は、上述したように、フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームに埋め込まれた、データストリームを生成した装置を識別する識別情報をデータストリームから抽出し、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびエンコードを行いデータストリームを編集するようにされ、編集時に、抽出部でストリームデータから抽出された識別情報が、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化によりなされるエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うようにしているため、データストリームに埋め込まれた、データストリームを生成した装置を識別する識別情報を見るだけで、編集点を含む所定区間のデコードおよびエンコードによる編集が可能か否かを判断することができる効果がある。
【0038】
また、第4の発明は、上述したように、記録装置は、ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により所定の属性で以てエンコードして出力されたデータストリームをストリームファイルとして記録媒体に記録し、その際に、データストリームに対して装置自体を識別する識別情報を埋め込んで記録媒体に記録するようにされ、編集装置は、記録媒体に記録されたストリームファイルを読み出してデータストリームを取り出してデータストリームから識別情報を抽出し、データストリームに対して設定された編集点に基づき、データストリームに対してデコードおよびフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により所定の属性で以てエンコードを行ってデータストリームを編集するようにされ、編集の際に、ストリームデータから抽出された識別情報が、編集装置でのエンコードの際の所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、編集点を含む所定区間をデコードおよびエンコードすることで編集を行うようにしているため、編集装置は、データストリームを記録した装置を識別する識別情報に基づき、対応する記録装置で記録されたデータストリームであるか否かを知ることができ、対応する記録装置で記録されたデータストリームであると判断された場合に、編集点を含む所定区間のデコードおよびエンコードによる編集を行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、この発明の実施の一形態を、図面を参照しながら説明する。先ず、理解を容易とするために、この発明に適用可能な一例のフォーマット(以下、AVCHDフォーマットと呼ぶ)について説明する。AVCHDフォーマットは、ビデオデータとオーディオデータとが所定に多重化されたAV(Audio/Video)ストリームを記録可能な記録媒体に記録する記録フォーマットであって、AVストリームを記録媒体にファイルとして記録し、記録されたAVストリームを、クリップ単位でプレイリストを用いて管理可能としている。
【0040】
AVCHDにおいては、符号化方式として、例えばITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standarization Sector)勧告H.264あるいはISO(International Organization for Standarization)/IEC(International Electrotechnical Commission)国際標準14496−10(MPEG−4パート10)Advanced Video Coding(以下、H.264|AVCと略称する)に規定される符号化方式を用い、MPEG2システムズの規定に従いビデオデータおよびオーディオデータを多重化する。
【0041】
H.264|AVC方式で符号化され、MPEG2システムズに従い多重化されたビットストリームは、クリップAVストリーム(またはAVストリーム)と称される。クリップAVストリームは、所定のファイルシステムによりファイルとして記録媒体に記録される。以下では、クリップAVストリームが記録されるファイルを、ストリームファイルと呼ぶ。
【0042】
このAVCHDフォーマットによるデータ構造は、H.264|AVCに規定されるビットストリーム構造に準ずる。ここで、H.264|AVCに規定されるビットストリーム構造を概略的に説明する。H.264|AVCにおいては、動画像符号化処理そのものを扱うVCL(Video Coding Layer)と、符号化された情報の伝送や蓄積を行う下位システムとの間にあるNAL(Network Abstraction Layer)とが規定され、VCLとNALとが分離された構造とされる。また、シーケンスやピクチャのヘッダ情報に相当するパラメータセットも、VCLで生成した情報から分離して扱えるようになっている。
【0043】
H.264|AVCによるビットストリームの下位システム、例えばMPEG2システムズに対するマッピングは、NALの一区切りであるNALユニットを単位として行われる。図1は、NALユニットの一例の構成を示す。NALユニットは、NALヘッダおよびRBSP(Raw Byte Sequence Payload)から構成される。NALヘッダは、1ビットのデータ長を有する固定ビット部分に続けて、2ビットのデータ長を有する情報nal_ref_idcと、5ビットのデータ長を有する情報nal_unit_typeとが配される。情報nal_ref_idcは、このNALユニットに参照ピクチャとなり得るスライスが格納されているか否かを示す。情報nal_unit_typeは、このNALユニットの種類を示す。RBSPは、動画像の圧縮符号化された生データが格納される。
【0044】
なお、RBSPトレイリングビットは、このNALユニットのビット長を8ビットの倍数に調整するための調整用ビットである。RBSPトレイリングビットは、"1"から始まりその後ろに"0"が連なる構成とされており、最初のビット"1"を検出することにより、RBSPの最後のビット位置を特定することができる。また、"0"の後ろに"1"が検出されると、その位置がNALユニットの先頭であることが分かる。
【0045】
情報nal_unit_typeにより示されるNALユニットの種類には、符号化された各種ピクチャのスライス、SEI(Supplemental Enhancement Information)、SPS(Sequence Parameter Set)、PPS(Picture Parameter Set)、AU(Access Unit)デリミタ、シーケンスの終了(End Of Sequence:EOS)、ストリームの終了(End Of Stream:EOS)などがあり、情報nal_unit_typeの値により、RBSPに格納される情報がこれらのうち何れであるかが示される。
【0046】
SEIは、補足的な付加情報であって、VCLの復号化に必須ではない付加情報が示される。SEIとしては、仮想参照デコーダに関連する各ピクチャのタイミング情報、パン・スキャン機能に関する情報、ランダムアクセスのために用いられる情報、ユーザの独自定義による情報(ユーザデータ)などが定義される。SPSは、シーケンス全体の符号化に関わる情報が含まれたヘッダである。PPSは、ピクチャ全体の符号化モードに関わる情報が含まれたヘッダである。また、AUデリミタは、後述するアクセスユニットの先頭を示す。
【0047】
ビットストリーム中の情報をピクチャ単位でアクセスするために、幾つかのNALユニットを纏めた一区切りを、アクセスユニットと呼ぶ。図2は、アクセスユニットの一例の構成を示す。図2に示されるアクセスユニットの構成のうち、主ピクチャの各スライスに相当するNALユニットを除いた他の情報は、必ずしもアクセスユニットに存在している必要のない、オプションの情報である。これらオプションの情報を用いる場合には、図2に示されるように、AUデリミタ、SPS、PPS、SEI、主ピクチャ、冗長ピクチャ、EOS(End Of Sequence)およびEOS(End Of Stream)の順序で並んでいる必要がある。各NALユニットは、NALヘッダの情報に基づき識別される。なお、冗長ピクチャに関しては、この発明との関わりが薄いので、説明を省略する。
【0048】
図3は、この発明の実施の一形態に適用可能なビデオデータの一例の構造を、概略的に示す。この実施の一形態においては、ビデオデータは、GOP(Group Of Picture)構造をとり、GOPは、少なくとも1枚のIピクチャと、それぞれ1乃至複数枚のPピクチャおよびBピクチャとからなる。
【0049】
GOP毎に、ヘッダが設けられる。ヘッダは、図2に示したAUデリミタ、SPS、PPSおよびSEIに対応し、少なくともAUデリミタおよびSEIを含む。SEIは、H.264|AVCの規定において複数の名称が定義され、名称毎に異なる情報を伝送するようにされている。この発明の実施の一形態では、特に、SEIのうちユーザ独自の定義が可能とされたSEIである"User Data Unregistered SEI"に対して、記録装置固有の情報を格納するようにしている。
【0050】
図4は、このSEI"User Data Unregistered SEI"に格納される情報の一例の構造を表すシンタクスを示す。ここでは、シンタクスをコンピュータ装置などのプログラムの記述言語として用いられるC言語の記述法に基づき示す。これは、他のシンタクスを表す図において、同様である。
【0051】
このSEI"User Data Unregistered SEI"は、図4の最初の行に"user_data_unregistered(payloadSize)"として示されるように、ペイロードサイズ、すなわち、このSEI"User Data Unregistered SEI"の全体のデータ長が指定されて参照される。図4において、128ビットのデータ長を有するフィールドuuid_iso_iec_11578は、所定の識別情報が格納される。次のデータ長が32ビットのフィールドtype_indicatorは、このSEI"User Data Unregistered SEI"のタイプを示す。フィールドtype_indicatorの値が"0x47413934"で、if文に従い、クローズドキャプションのデータが格納されるブロックcc_data()が配される。クローズドキャプションに関しては、この発明と関わりが薄いので、説明を省略する。
【0052】
なお、数値の記述において"0x"は、その数値が16進表記されていることを示す。これは、以下の同様な表記について共通である。
【0053】
フィールドtype_indicatorの値が"0x4D44504D"であれば、if文における"else if"の記述に従い、ブロックModifiedDVPackMeta()が記述される。このブロックModifiedDVPackMeta()は、このデータを記録した記録装置固有の情報が格納される。ブロックModifiedDVPackMeta()において、8ビットのデータ長を有するフィールドnumber_of_modified_dv_pack_entriesは、このブロックModifiedDVPackMeta()に格納されるデータmodified_dv_packの数を示す。次のforループ文に従い、このフィールドnumber_of_modified_dv_pack_entriesに示される数だけ、データmodified_dv_packすなわちブロックone_modified_dv_pack()が格納される。
【0054】
ブロックone_modified_dv_pack()は、8ビットのデータ長を有するフィールドmpd_idと、32ビットのデータ長を有するフィールドmpd_dataとからなる。図5は、ブロックone_modified_dv_pack()の構成の例を表すシンタクスを示す。図5Aは、ブロックone_modified_dv_pack()が、このデータを記録した記録装置を示す情報が格納されるブロックMAKER & MODEL ID pack()である例である。また、図5Bは、ブロックone_modified_dv_pack()が、記録時の画質モードを示す情報が格納されるブロックMAKER OPTION pack()である例である。
【0055】
図5AのブロックMAKER & MODEL ID pack()について説明する。フィールドmpd_idは、8ビットのデータ長を有し、このブロックone_modified_dv_pack()の種別を示す。すなわち、フィールドmpd_idが所定の値で、このブロックone_modified_dv_pack()がこのデータを記録した記録装置を示す情報が格納されるブロックMAKER & MODEL ID pack()であることが示される。図4で示したフィールドmpd_dataは、このブロックMAKER & MODEL ID pack()においては、それぞれ16ビットのデータ長を有するフィールドmaker_IDと、フィールドmaker_model_codeとに分けられている。フィールドmaker_IDは、このデータを記録した記録装置のメーカを識別するための識別情報を示す。フィールドmaker_model_codeは、当該記録装置の型番や機種を識別する識別情報を示す。
【0056】
図5BのブロックMAKER OPTION pack()について説明する。このブロックMAKER OPTION pack()には、上述のように、記録時の画質モードを示す情報が格納される。すなわち、映像や音声を記録再生する装置において、ビットレートを段階的に切り換えることで記録時間と、画質または音質を切り換えることができるようにすることは、一般的に行われている。一例として、最もビットレートが高く高画質(または高音質)が得られるが、記録可能時間が短いHQ(High Quarity)モード、実用上十分な画質と記録可能時間とが保証され、ビットレートが中程度なLP(Long Play)モード、画質は実用上差し支えない程度とし、長時間記録を優先した、ビットレートが低いSP(Standard Play)モードが設定される。
【0057】
一方、このような記録時の画質モードは、映像および音声の記録フォーマット上、必ずしも表現できる訳ではなく、例えばメーカや装置の型番、機種に固有の仕様である場合も多い。また、ユーザに対しては、再生時に、再生しようとするコンテンツがどのような記録モードで記録されたのかを通知可能とされていることが望ましい。
【0058】
そこで、メーカや型番、機種に固有の記録モードを記述可能なブロックMAKER OPTION pack()を定義することが考えられる。このブロックMAKER OPTION pack()は、例えば上述したブロックMAKER & MODEL ID pack()と並列的に用いるとより好ましい。一例として、SEI"User Data Unregistered SEI"に対して、ブロックMAKER & MODEL ID pack()とブロックMAKER OPTION pack()とを併記する。
【0059】
図5Bにおいて、フィールドmpd_idは、8ビットのデータ長を有し、このブロックone_modified_dv_pack()の種別を示す。すなわち、フィールドmpd_idが所定の値で、このブロックone_modified_dv_pack()がこのデータを記録した際の画質に関する記録モードを示す情報が格納されるブロックMAKER OPTION pack()であることが示される。
【0060】
図4で示したフィールドmpd_dataは、このブロックMAKER OPTION pack()においては、例えば32ビットのデータ長を有するフィールドREC_MODEに、このブロックMAKER OPTION pack()が格納されるSEI"User Data Unregistered SEI"を含むビデオデータが記録された際の、画質に関する記録モードが記述される。例えば、フィールドREC_MODEの値が"0"でHQモード、"1"でSPモード、"2"でLPモードを示す。記録モードは、この3種類に限らず、さらに多くてもよいし、HQモードとSPモードの2種類のみなど少なくてもよい。
【0061】
このように、ビデオデータに対して、SEI"User Data Unregistered SEI"に当該ビデオデータを記録した際の画質に関する記録モードが記述されるブロックMAKER OPTION pack()と、当該ビデオデータを記録した記録機のメーカや型番、機種が記述されるブロックMAKER & MODEL ID pack()とを併記することで、当該ビデオデータを再生時に、ブロックMAKER & MODEL ID pack()から当該ビデオデータが自機あるいは自機と同メーカ、同機種、型番の記録機で記録されたか否かが判別できる。当該ビデオデータが自機あるいは自機と同メーカ、同機種、型番の記録機で記録されたと判別できれば、当該記録機に特有のデータの解釈や、処理を行うことができる。
【0062】
一例として、再生時に、ブロックMAKER OPTION pack()から、再生されるビデオデータが記録された際の画質に関する記録モードを読み取り、例えば表示することができる。また、別の例として、画質に関する記録モードを、SEI"User Data Unregistered SEI"に格納されるブロックone_modified_dv_pack()に対して定義することで、当該記録モードを示す情報がビデオデータのストリーム中に埋め込まれるため、当該ビデオデータに対して編集作業を行った場合でも、記録モード情報を引き継ぐことができる。
【0063】
次に、この発明の実施の一形態について説明する。編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードすることで編集を行う際には、編集対象のビデオストリームに含まれる所定のパラメータの値がストリームファイル中で固定的である必要がある。例えば、AVCHDフォーマットにおいては、1のストリームファイル内で以下のパラメータ(1)〜(6)が一定でなければならないとして規定されている。
パラメータ(1):画枠の水平方向のサイズを示すパラメータ
パラメータ(2):画枠の垂直方向のサイズを示すパラメータ
パラメータ(3):表示画像のアスペクトを示すパラメータ
パラメータ(4):フレームレートを示すパラメータ
パラメータ(5):フレームの構造を示すパラメータ
パラメータ(6):クローズドキャプションデータの有無を示すパラメータ
【0064】
なお、AVCHDにおけるこれらパラメータ(1)〜(6)の具体的は、H.264|AVCの規定に基づき、下記のようになる。パラメータ(1)は、SPSにおいてコードpic_width_in_mbs_minus1として記述される。パラメータ(2)は、SPSにおいてコードpic_height_in_map_units_minus1として記述される。パラメータ(5)は、SPSにおいてコードframe_mbs_only_flagとして記述される。また、パラメータ(3)は、SPSにおいてコードaspect_ratio_idcとして記述される。パラメータ(4)は、例えばSPSにおけるコードvideo_formatに基づき求められる。これらコードaspect_ratio_idcおよびコードvideo_formatは、SPSにおいてオプションとして記述される。さらに、パラメータ(6)は、上述のSEI"User Data Unregistered SEI"において、フィールドtype_indicatorの値に基づき判断できる。すなわち、フィールドtype_indicatorの値が"0x47413934"のときに、クローズドキャプションのデータが存在すると判断される。
【0065】
ここで、編集対象のストリームファイル中のこれらのパラメータ(1)〜(6)の取り得る値の全てについて編集装置側がエンコード可能であれば、常に編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする方法での編集方法を適用して編集処理を高速に行うことができる。ところが、編集装置をパラメータ(1)〜(6)の取り得る値の全てに対して対応可能なように設計すると、エンコーダの規模が大きくなるのが避けられず、また、コストも嵩んでしまう。
【0066】
そこで、この発明では、ビデオストリームを編集する際に、編集対象のビデオストリームの所定位置に配置された、当該ビデオストリームを生成した記録装置を示す情報を抽出し、編集対象のビデオストリームを生成した記録装置が特定の記録装置であるか否かを判断する。
【0067】
特定の記録装置とは、例えば、その記録装置で生成されたビデオストリームにおける上述のパラメータ(1)〜(6)それぞれの値に示される属性と同等の属性でのエンコードが、編集装置側で可能な値であるような記録装置である。特定の記録装置を示す情報は、例えば、図4および図5を用いて説明したSEI"User Data Unregistered SEI"において、ブロックModifiedDVPackMeta()に格納されるブロックMAKER & MODEL ID pack()に、フィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeとして記述される。
【0068】
判断の結果、編集対象のビデオストリームを生成した記録装置が特定の記録装置であるとされれば、編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法を用いてビデオストリームの編集を行う。若し、編集対象のビデオストリームを生成した記録装置が特定の記録装置ではないと判断されたら、編集対象のビデオストリームの全体をデコードし、デコードされたビデオデータに対してフレーム単位での編集を行い、編集されたビデオデータの全体を、再エンコードする。
【0069】
この発明によれば、ビデオストリームの編集時に、編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法が適用可能かを、編集対象のビデオストリーム中の情報に基づき容易に判断することできる。また、編集装置側では、特定の記録装置で記録されたストリームファイルを主な編集対象とする場合、編集装置のエンコーダは、対象となる特定の記録装置と同等のパラメータのみに対応するだけで、必要最小区間を再エンコードする手法を用いた編集処理を行うことができる。
【0070】
この発明の実施の一形態によるビデオストリームの一例の編集方法について説明する。図6Aに例示されるように、GOP#1〜GOP#9の9個のGOPからなるビデオストリームファイルを考える。GOP#1〜GOP#9に対して、ヘッダ#1〜ヘッダ#9がそれぞれ付加されている。ヘッダ#1〜ヘッダ#9のそれぞれには、上述した、このファイルを記録した記録装置の情報を示すデータmodified_dv_packを含むブロックModifiedDVPackMeta()が記述されるSEI"User Data Unregistered SEI"が格納されている。
【0071】
このファイルに格納されるビデオストリームに対して、図6Bに一例が示されるように、GOP#3内のあるピクチャに編集点Aを設定し、GOP#7内のあるピクチャに編集点Bを設定し、編集点Aおよび編集点Bの間の区間A−Bに含まれるピクチャを削除して編集点Aおよび編集点Bを結合する編集処理を行うものとする。編集結果は、図6Cに一例が示されるように、編集点Aおよび編集点B間のGOP#4〜GOP#6が削除され、編集点Aを含むGOP#3と、編集点Bを含むGOP#7とが編集点Aおよび編集点Bで結合されたGOP#3+7が生成され、全体として、GOP#1、GOP#2、GOP#3+7、GOP#8およびGOP#9の5個のGOPからなるビデオストリームが生成される。なお、図6Bおよび図6Cでは、繁雑さを避けるためにヘッダの記載を省略している。
【0072】
図7は、この発明の実施の一形態による編集方法による一例の編集処理を示すフローチャートである。編集対象のファイルが指定されると、ステップS10で、編集対象とされたストリームファイルから、このファイルを記録した記録装置の情報を示すデータmodified_dv_packのブロックMAKER & MODEL ID pack()(図4および図5参照)が検索される。
【0073】
例えば、図6Aを参照し、編集対象とされたストリームファイルに格納されるビデオストリームの先頭のヘッダ#1のNALユニットが解析され、SEI"User Data Unregistered SEI"が抽出される。そして、SEI"User Data Unregistered SEI"から、このファイルを記録した記録装置の情報を示すデータmodified_dv_packを含むブロックModifiedDVPackMeta()が検索され、さらに、ブロックModifiedDVPackMeta()から、フィールドmpd_idの値に基づきブロックMAKER & MODEL ID pack()が検索される。
【0074】
次のステップS11で、ブロックMAKER & MODEL ID pack()に格納されるフィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeがそれぞれ取得され、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在するか否かが判断される。なお、同じ属性とは、例えば、上述したパラメータ(1)〜(6)について、同一のパラメータ値で以てエンコード可能であることを意味する。
【0075】
例えば、編集装置は、予めROM(Read Only Memory)やハードディスクドライブなどの記憶手段に、当該編集装置が対応可能なパラメータでエンコードを行う記録装置の特定情報(フィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeの値)を記憶しておき、記憶されているフィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeの値のうち、編集対象のビデオストリームから取得されたフィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeの値が一致するものが存在するか否かが判断される。
【0076】
若し、ステップS11で、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在すると判断されたら、処理はステップS12に移行され、編集対象のビデオストリームの、編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法を用いて編集を行う一方、ステップS11で、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在しないと判断されたら、処理はステップS13に移行され、編集対象のビデオストリームの全区間を再エンコードする手法を用いて編集を行う。
【0077】
なお、複数のストリームファイルを編集対象とする場合、例えば2つのストリームファイルのそれぞれに編集点を設けて、編集点に基づき当該2ファイルを結合する編集を行う場合、編集対象のそれぞれについて、ステップS10およびステップS11の処理を行う。例えば、編集対象の2ファイルについてそれぞれブロックMAKER & MODEL ID pack()を検索し(ステップS10)、それぞれのブロックMAKER & MODEL ID pack()におけるフィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeの値についての判断がなされる(ステップS11)。
【0078】
そして、編集対象の2ファイルにいおけるフィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeの値が、共に、編集装置に記憶されている値に一致していれば、ステップS12の編集点付近の必要最小区間のみの再エンコード処理を行うものとする。
【0079】
ステップS12による、編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法による一例の編集処理について、図8を用いて概略的に説明する。なお、図8に例示されるビデオストリームの構成は、上述した図6に対応し、9個のGOP#1〜GOP#9からなる。このビデオストリームに対して、上述したようにしてGOP#3内に編集点Aを指定し、GOP#7内に編集点Bを指定し、区間A−Bを削除する編集を行う。
【0080】
先ず、図8Aに例示されるように、編集点Aを含むGOP#3の直後のGOP#4から、編集点Bを含むGOP#7の直前のGOP#6までがGOP単位で削除される。編集点Aを含むGOP#3と、当該GOP#3の直前のGOP#2とがデコードされる。同様に、編集点Bを含むGOP#7およびGOP#7の直後のGOP#8がデコードされる。
【0081】
次に、図8Bに例示されるように、デコード済みのGOP#3において、編集点AからGOP#3の終端までがフレーム単位で削除される。同様に、デコード済みのGOP#7において、GOP#7の先頭から編集点Bまでがフレーム単位で削除される。そして、図8Cに例示されるように、編集点Aと編集点Bとが結合され、GOP#2、GOP#3+7およびGOP#8が再エンコードされる。
【0082】
なお、上述の図8Aの状態においてデコード前のGOP#2をメモリなどに保持しておき、再エンコードをGOP#3+7およびGOP#8に対して行い、保持されているデコード前のGOP#2をエンコードされたGOP#3+7の直前に上書き複写することも考えられる。
【0083】
ステップS13による、編集対象のビデオストリームの全区間を再エンコードする手法による一例の編集処理について、図9を用いて概略的に説明する。編集対象のビデオストリームの構成は、上述の図6および図8と同等とする。この場合、図9Aに例示されるように、編集対象のビデオストリームの全体(図9の例ではGOP#1〜GOP#9)を対象としてデコードを行い、編集点Aから編集点Bまでをフレーム単位で削除して編集点Aおよび編集点Bを結合する。編集点Aおよび編集点Bを結合した結果、GOP#3+7が生成される。GOP#3+7が生成されたら、編集結果のGOP#1、GOP#2、GOP#3+7、GOP#8およびGOP#9の全体を再エンコードする(図9B)。
【0084】
上述では、1のストリームファイルに格納されたビデオストリームに対して編集点Aおよび編集点Bを設定して編集する例について説明したが、上述の処理は、2つのストリームファイルに格納されたビデオストリームに対してそれぞれ編集点Aおよび編集点Bを設定して編集する場合についても、同様に適用可能である。
【0085】
図10は、2つのストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して行う編集処理を概略的に示す。GOP#mを終端とするビデオストリーム100が格納される第1のストリームファイルと、GOP#1を先頭とするビデオストリーム101が格納される第2のストリームファイルとを考える(図10A)。ビデオストリーム100のGOP#m−1内に編集点Aを設定し、ビデオストリーム101のGOP#2内に編集点Bを設定する。そして、ビデオストリーム100の編集点Aから終端までを削除すると共に、ビデオストリーム101の先頭から編集点Bを削除し(図10B)、編集点Aおよび編集点Bを結合して1本のビデオストリーム102を作成する(図10C)。
【0086】
上述のステップS12による、2つのストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して編集を行う場合の、編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法による一例の編集処理について、図11を用いて概略的に説明する。なお、図11に例示されるビデオストリームの構成や編集点Aおよび編集点Bの設定、編集箇所などは、上述した図10と同等とする。
【0087】
先ず、図11Aに例示されるように、ビデオストリーム100において、編集点Aを含むGOP#m−1の直後のGOP#mがGOP単位で削除され、GOP#m−1および直前のGOP#m−2とがデコードされる。同様に、ビデオストリーム101において、編集点Bを含むGOP#2の直前のGOP#1がGOP単位で削除され、GOP#2と直後のGOP#3とがデコードされる。
【0088】
次に、図11Bに例示されるように、ビデオストリーム100のデコード済みのGOP#m−1において、編集点AからGOP#m−1の終端までがフレーム単位で削除される。同様に、ビデオストリーム101のデコード済みのGOP#2において、GOP#2の先頭から編集点Bまでがフレーム単位で削除される。そして、図11Cに例示されるように、編集点Aと編集点Bとが結合され、GOP#m−2、GOP#(m−1)+(2)およびGOP#3が再エンコードされ、1本のビデオストリーム102が作成される。
【0089】
なお、上述の図11Aの状態においてデコード前のGOP#2をメモリなどに保持しておき、再エンコードをGOP#3+7およびGOP#8に対して行い、保持されているデコード前のGOP#2をエンコードされたGOP#3+7の直前に上書き複写することも考えられる。
【0090】
上述のステップS13による、2つのストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して編集を行う場合の、編集対象の全区間を再エンコードする手法による一例の処理について、図12を用いて概略的に説明する。なお、図12に例示されるビデオストリームの構成や編集点Aおよび編集点Bの設定、編集箇所などは、上述した図10と同等とする。この場合、図12Aに例示されるように、編集対象のビデオストリーム100の全体と、ビデオストリーム101の全体とをそれぞれを対象としてデコードを行い、ビデオストリーム100においては、編集点Aから終端までをフレーム単位で削除し、ビデオストリーム101においても同様に、先頭から編集点Bまでをフレーム単位で削除する。そして、図12Bに例示されるように、編集点Aと編集点Bとを結合して全体を再エンコードし、1本のビデオストリーム102を得る。
【0091】
ここで、図8および図9、ならびに、図11および図12を用いて説明した各例のように、編集点Aおよび編集点Bを結合して新たなGOPを生成する際に、編集点Aおよび編集点BのGOP内での位置によっては、当該新たなGOPに含まれるピクチャ数が所定数に満たない場合や、所定数を超える場合が起こり得る。このような場合には、ピクチャの複製や間引きなどを行い、当該新たなGOP内のピクチャ数を所定数に収めることが考えられる。
【0092】
なお、図8および図11を用いて説明した、編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法の手順は、この発明の実施の一形態を実施可能とするための一例であって、この方法に限定されるものではない。
【0093】
また、上述では、図7のステップS11における、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在するか否かの判断の結果、データが存在しないとされ、処理がステップS13に移行した際に、編集対象の全区間を再エンコードする手法を用いて編集を行うように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、編集対象のビデオストリームが装置に対応していない可能性がある旨を、所定の表示手段などを用いて警告するようにしてもよい。
【0094】
図13は、この発明の実施の一形態に適用可能な記録装置1の一例の構成を示す。この記録装置は、入力されたビデオデータおよびオーディオデータを所定の方式で圧縮符号化し、圧縮符号化されたビデオデータおよびオーディオデータを多重化して1本のデータストリームとし、このデータストリームをファイルとして記録媒体に記録するようにしている。
【0095】
この図13に例示される記録装置1は、例えば、光学系や撮像素子などを備えたカメラブロックと組み合わせ、撮像した撮像信号に基づくビデオデータを記録媒体に記録する、ビデオカメラ装置の記録ブロックとして用いられるものである。これに限らず、記録装置1は、外部から入力されるビデオデータおよびオーディオデータを記録媒体に記録する、単独の記録装置として用いることもできる。
【0096】
適用可能な圧縮符号化や多重化の方式としては、様々に考えられる。例えば、H.264|AVCに規定される方式を、この発明の実施の一形態の圧縮符号化として適用することができる。また、多重化方式は、例えばMPEG2システムズが適用される。
【0097】
データを記録する記録媒体20は、例えば記録可能なタイプのDVD(Digital Versatile Disc)を用いることができる。記録媒体20として、より大容量を実現したBlu−ray Disc(ブルーレイディスク:登録商標)を適用することも考えられる。これに限らず、記録媒体20として、半導体メモリを適用することもできるし、ハードディスクドライブを適用することもできる。
【0098】
制御部5は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などからなり(図示しない)、ROMに予め記憶されたプログラムやデータに基づき、RAMをワークメモリとして用いてこの記録装置1の全体を制御する。また、制御部5上で動作するプログラムにより、この記録装置で用いられるファイルシステムが提供される。例えば、制御部5は、このファイルシステムに基づき、データが記録媒体20に記録される際の、記録媒体20の物理的なアドレスと当該データが格納されるファイルとの関連付けを行うと共に、各データが格納されるファイルの論理的な管理情報を生成する。
【0099】
UI(User Interface)部6は、この記録装置の動作をユーザが操作するための操作子が所定に設けられ、操作子に対する操作に応じた制御信号を出力する。この制御信号は、制御部5に供給される。制御部5は、ユーザ操作に応じてUI部6から供給された制御信号に基づきなされるプログラムの処理により、記録装置1の各部の動作を制御する。例えば、UI部6に対してなされた操作に応じて、記録装置による記録動作の開始および停止の動作が制御部5により制御される。
【0100】
ベースバンドのディジタルビデオデータが端子10から入力され、ビデオエンコーダ11に供給される。ビデオエンコーダ11は、複数フレームのビデオデータを格納可能なバッファメモリを有し、供給されたベースバンドのディジタルビデオデータをバッファメモリに溜め込んで、所定の方式で以て圧縮符号化する。AVCHDフォーマットすなわちH.264|AVCに規定される方式に準じて圧縮符号化がなされるこの例では、例えば、DCT(Discrete Cosine Transform)と画面内予測とによりフレーム内圧縮を行うと共に、動きベクトルを用いたフレーム間圧縮を行い、さらにエントロピー符号化を行い圧縮効率を高める。
【0101】
ビデオエンコーダ11は、さらに、圧縮符号化されたビデオデータに基づきSPS、PPS、SEIなどの付加情報を所定に生成する。このとき、この記録装置1のメーカ名を識別する識別情報と、機種や型番を識別する識別情報とを、SEI"User Data Unregistered SEI"のブロックMAKER & MODEL ID pack()におけるフィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeの値として生成する。これらメーカ名や、機種、型番の識別情報は、記録装置1が有する図示されないROMに予め記憶される。ビデオエンコーダ11は、圧縮符号化されたビデオデータや、これらSPS、PPS、SEIなどの付加情報からNALユニットを形成し、H.264|AVCエレメンタリストリーム(ES)として出力する。
【0102】
なお、H.264|AVCの規定によれば、デコーダモデルにおいて、デコーダの入力側のバッファである符号化ピクチャバッファ(CPB:Coded Picture Buffer)と、出力側のバッファである復号ピクチャバッファ(DPB:Decoded Picture Buffer)とがそれぞれ定義され、エンコーダは、これらCPBおよびDPBを破綻させないように、ビットストリーム(エレメンタリストリーム)を生成しなければならないとされている。ビデオエンコーダ11は、発生される符号量がこの規定を満たすように、ビデオデータの符号化処理を制御する。
【0103】
その際、発生した符号量に基づき、CPBすなわちデコーダの入力側のバッファに対する畜量情報を求め、符号化で得られたエレメンタリストリームに所定に挿入することができる。例えば、NALユニットにおいて、SPSのオプションとされているコードbit_rate_scale、コードcpb_size_scale、コードbit_rate_value_minus1、コードcpb_size_value_minus1などに、バッファの畜量情報を記述することができる。この畜量情報は、ピクチャ毎に記述してもよいし、GOP毎に記述してもよい。
【0104】
マルチプレクサ(MUX)12は、ビデオエンコーダ11から出力されたエレメンタリストリームと、図示されないオーディオエンコーダから出力されたオーディオデータのエレメンタリストリームを所定の方式で多重化し、1本のデータストリームとして出力する。MPEG2システムズに準じて多重化が行われるこの例では、MPEG2のトランスポートストリームを用いて、供給されたビデオデータのエレメンタリストリームと、オーディオデータのエレメンタリストリームとを時分割で多重化する。
【0105】
例えば、マルチプレクサ12は、バッファメモリを有し、供給されたエレメンタリストリームを一旦バッファメモリに格納する。バッファメモリに格納されたエレメンタリストリームは、所定サイズ毎に分割されヘッダが付加されて、PES(Packetized Elementary Stream)パケット化される。ヘッダには、パケットに格納されるデータの再生時刻を示すPTSや復号時刻を示すDTSといった、MPEG2システムズに規定される所定の情報が格納される。
【0106】
PESパケットは、さらに分割されてトランスポートパケット(TSパケット)のペイロードに詰め込まれる。TSパケットのヘッダには、ペイロードに詰め込まれたデータ種別などを識別するためのPID(Packet Identification)が格納される。TSパケットに対してさらに所定データ長のヘッダが付加され、ソースパケットが形成される。マルチプレクサ12は、このソースパケットを連ねて1本のデータストリームとして出力する。
【0107】
マルチプレクサ12から出力されたデータストリームは、ストリームバッファ13に一時的に格納される。ストリームバッファ13に対するデータストリームの書き込みのタイミングと、ストリームバッファ13からのデータストリームの読み出しのタイミングとをソースパケット単位で所定に制御することで、記録媒体20に対するアクセス速度と、オーディオおよびビデオデータのエンコードの信号処理速度との間の整合性がとられる。
【0108】
ストリームバッファ13から読み出されたソースパケットは、データストリームとして記録処理部14に供給される。記録処理部14は、供給されたデータに対してエラー訂正符号化処理および記録符号化処理を施し、得られたディジタルデータを所定に変調して記録媒体20に記録する。このとき、記録処理部14は、制御部など上位からの命令に基づき、指定されたアドレスに対してデータを書き込む。
【0109】
図14は、この発明の実施の一形態に適用可能な編集装置2の一例の構成を示す。この編集装置2は、例えば上述した記録装置1で記録媒体20に記録されたストリームファイルに格納されるビデオストリームを編集可能とされている。すなわち、編集装置2は、記録媒体20に記録されたストリームファイルを再生してビデオストリームを取り出し、所定にデコードおよびエンコードを行って再び記録媒体20に記録するようにされている。なお、編集装置2は、記録側の構成として上述した記録装置1と同様の構成を有するもので、図13と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0110】
この編集装置2の全体は、図示されない制御部により、プログラムに従い制御される。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有し、ROMに予め格納されるプログラムやデータに基づき、RAMをワークメモリとして動作し、編集装置2の各部とコマンドやステータス、データなどのやりとりを行い、編集装置2の動作を制御する。また、制御部上で動作するプログラムにより、この編集装置2で用いられるファイルシステムが提供される。例えば、制御部は、UI部41に対する所定の操作に応じて、ファイルシステムにより記録媒体20に記録されたファイルにアクセスすることができるようにされている。
【0111】
再生処理部30は、記録媒体20に記録されたデータの再生を制御する。すなわち、再生処理部30は、制御部など上位からの命令に基づき記録媒体20の指定されたアドレスからデータの読み出しを行う。再生処理部30は、このデータの読み出しにより記録媒体20から再生された再生信号を復調して再生ディジタルデータとし、再生ディジタルデータの記録符号を復号化すると共にエラー訂正符号を復号してエラー訂正を行い、再生データストリームを得る。この再生データストリームは、ソースパケットが連なって1本のストリームをなしているものである。
【0112】
再生処理部30から出力されたデータストリームは、ストリームバッファ31に一時的に格納される。ストリームバッファ31に対するデータストリームの書き込みのタイミングと、ストリームバッファ31からのデータストリームの読み出しのタイミングとをソースパケット単位で所定に制御することで、記録媒体20に対するアクセス速度と、オーディオおよびビデオデータのデコードの信号処理速度との間の整合性がとられる。
【0113】
ストリームバッファ31から読み出されたデータストリームは、デマルチプレクサ(DEMUX)32に供給される。デマルチプレクサ32は、データストリームに所定に多重化されたビデオデータとオーディオデータとを分離してそれぞれ取り出す。この例では、デマルチプレクサ32は、供給されたデータストリームからソースパケットを抽出し、抽出されたソースパケットのヘッダを分離してTSパケットとする。デマルチプレクサ32は、さらに、TSパケットのヘッダからPIDを検出し、TSパケットをペイロードに格納されるデータ種別毎に振り分ける。そして、振り分けられたTSパケットのそれぞれについて、ペイロードに格納されたデータを取り出し、PESパケットを再構築する。さらに、PESパケットのペイロードに格納された圧縮ビデオデータや圧縮オーディオデータを取り出し、PESヘッダに格納された情報などに基づきヘッダ情報などを付加し、それぞれ1本のエレメンタリストリームとして出力する。
【0114】
デマルチプレクサ32から出力された、オーディオデータのエレメンタリストリームは、図示されないオーディオ処理部に供給される。
【0115】
デマルチプレクサ32から出力された、ビデオデータのエレメンタリストリームは、ビデオデコーダ33に供給される。ビデオデコーダ33は、複数フレームのビデオデータを格納可能なバッファメモリを有し、供給された圧縮ビデオデータをバッファメモリに溜め込んで、圧縮符号化方式に対応した復号化方式でデコードし、ベースバンドのディジタルビデオデータとして出力する。
【0116】
ビデオデータの圧縮符号化がH.264|AVCに規定される方式に準じて行われるこの例では、ビデオデコーダ33は、H.264|AVCに規定される方式に準じてデコード処理を行う。すなわち、ビデオデコーダ33は、NALユニットを解析し、圧縮符号化されたビデオデータやSPS、PPS、SEIなどの付加情報をNALユニットから取り出す。ビデオデコーダ33は、NALユニットから取り出した情報に基づき圧縮符号化されたビデオデータの復号化処理を行う。
【0117】
ビデオデコーダ33は、後述するデマルチプレクサ(DEMUX)32で抽出される、DTS(Decoding Time Stamp)およびPTS(Presentation Time Stamp)で示される時刻に基づき、デコードおよび出力を行うことができる。ビデオデコーダ33でデコードされて得られたベースバンドのディジタルビデオデータは、端子34から出力される。また、この編集装置2に映像表示を行うモニタ35が接続されている場合には、ビデオデコーダ33から出力されたベースバンドのディジタルビデオデータは、モニタ35にも供給される。なお、モニタ35は、ベースバンドのディジタルビデオデータに対応しているものとする。
【0118】
なお、H.264|AVC規格では、適用可能な画像フォーマットは極めて多岐にわたる。AVCHDフォーマットは、記録可能な記録媒体に対する記録フォーマットであって、適用可能な画像フォーマットを、アスペクト比が16:9で画枠サイズが1920ライン×1080画素のHD(High Definition)フォーマットと、アスペクト比が4:3で画枠サイズが720ライン×480画素のSD(Standard Definition)フォーマットとに限定している。
【0119】
ここで、ビデオデータの圧縮符号化処理と、圧縮符号化されたビデオデータの復号化処理とを比較した場合、一般的には、復号化処理の負荷よりも圧縮符号化処理の負荷の方が遙かに大きいとされている。そのため、この実施の一形態による編集装置2においては、ビデオエンコーダ11の機能を制限して例えばエンコード可能な画像フォーマットをHDフォーマットのみとしている。一方、比較的処理の負荷が小さいビデオデコーダ33は、SDフォーマットおよびHDフォーマットの両方に対応する。
【0120】
UI部41は、ビデオデータの編集を行うために必要な様々な操作子が設けられ、操作子の操作に対応した制御信号を出力する。エディット部40は、UI部41から供給された制御信号に基づき図示されない制御部とコマンドやデータのやりとりを行ってこの編集装置2の全体を制御し、記録媒体20に記録されるストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して編集処理を行う。エディット部40は、ハードディスクドライブ42を有し、編集処理を、このハードディスクドライブ42を用いて行う。
【0121】
ビデオエンコーダ11は、エディット部40から供給されるビデオデータをH.264|AVCに規定される方式に準じて圧縮符号化する。すなわち、図13を用いて説明した記録装置1の場合と同様にしてビデオデータを所定に圧縮符号化すると共に、圧縮符号化されたビデオデータに基づきSPS、PPS、SEIなどの付加情報を所定に生成する。このとき、この編集装置2のメーカ名を識別する識別情報と、機種や型番を識別する識別情報とを、SEI"User Data Unregistered SEI"のブロックMAKER & MODEL ID pack()におけるフィールドmaker_IDおよびフィールドmaker_model_codeの値として生成し、SEI"User Data Unregistered SEI"に追加する。ビデオエンコーダ11は、圧縮符号化されたビデオデータや、これらSPS、PPS、SEIなどの付加情報からNALユニットを形成し、H.264|AVCエレメンタリストリーム(ES)として出力する。
【0122】
マルチプレクサ12は、エディット部40から供給されたエレメンタリストリームと、図示されないオーディオエンコーダから出力されたオーディオデータのエレメンタリストリームをMPEG2システムズに準じた方式で多重化する。すなわち、マルチプレクサ12は、供給されたエレメンタリストリームを所定サイズ毎に分割し、PTSやDTSなど所定の情報が格納されたヘッダを付加してPES(Packetized Elementary Stream)パケット化する。マルチプレクサ12は、PESパケットをさらに分割してTSパケットペイロードに詰め込み、PIDを所定に生成してヘッダを付加する。TSパケットに対してさらに所定データ長のヘッダを付加してソースパケットを形成し、ソースパケットを連ねて1本のデータストリームとして出力する。
【0123】
マルチプレクサ12から出力されたデータストリームは、ストリームバッファ13を介して記録処理部14に供給され、所定にエラー訂正符号化および記録符号化され、変調処理されて記録信号とされ、記録媒体20に記録される。
【0124】
この編集装置2による編集処理について、概略的に説明する。一例として、図6を用いて説明したような、1のストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して編集点Aおよび編集点Bを指定して編集を行う場合について説明する。ユーザは、UI部41に対して所定の操作を行い、記録媒体20に記録されるストリームファイルのうち編集対象とするファイルを指定する。エディット部40は、UI部41から出力される制御信号に基づき編集対象のストリームファイルを記録媒体20から読み出すように制御する。ストリームファイルは、記録媒体20から読み出されると、エレメンタリストリームが抽出され、この抽出されたエレメンタリストリームがハードディスクドライブ42に書き込まれる。
【0125】
例えば、記録媒体20から読み出されたストリームファイルは、再生処理部30およびストリームバッファ31を介してデマルチプレクサ32に供給されて、パケット構造が分解され、ヘッダ情報が抜き出されると共にペイロードのデータが取り出されてエレメンタリストリームが再構築される。このエレメンタリストリームがエディット部40に供給され、ハードディスクドライブ42に書き込まれる。
【0126】
UI部41に対する所定の操作に応じて、ハードディスクドライブ42からエレメンタリストリームが読み出され、ビデオデコーダ33に供給されベースバンドのディジタルビデオデータとされる。このディジタルビデオデータは、モニタ35に供給され映出される。ユーザは、モニタ35に映出された映像を見ながらUI部41を操作して、編集点Aおよび編集点Bを指定する。編集点Aおよび編集点Bの指定は、例えばフレーム番号やタイムコードなどによりなされる。編集点Aおよび編集点Bの情報は、UI部41からエディット部40に供給され、保持される。そして、UI部41に対して例えば編集実行を指示する操作を行うと、エディット部40は、UI部41からの制御信号に基づき、編集処理を開始する。
【0127】
すなわち、図7を用いて既に説明したように、ハードディスクドライブ42に書き込まれたエレメンタリストリームがビデオデコーダ33に供給される。ビデオデコーダ33は、供給されたエレメンタリストリームのNALユニットを解析し、SEI"User Data Unregistered SEI"を抽出する。抽出されたSEI"User Data Unregistered SEI"は、エディット部40に供給される。
【0128】
エディット部40は、供給されたSEI"User Data Unregistered SEI"から、このファイルを記録した記録装置の情報を示すデータmodified_dv_packを含むブロックModifiedDVPackMeta()が検索され、さらに、ブロックModifiedDVPackMeta()から、フィールドmpd_idの値に基づきブロックMAKER & MODEL ID pack()が検索される(図7のステップS10)。エディット部40は、検索されたブロックMAKER & MODEL ID pack()に格納されるフィールドmaker_IDと、フィールドmaker_model_codeとに基づき、図7のステップS11による、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在するか否かの判断を行う。
【0129】
なお、この編集装置2と同じ属性でエンコードできる機種の情報は、制御部が有する図示されないROMや、エディット部40に接続されるハードディスクドライブ42などに予め記憶されているものとする。また、編集対象のストリームファイルにおけるSEI"User Data Unregistered SEI"の情報は、編集点Aおよび編集点Bを指定するために当該ストリームファイルを再生する際に取得し、エディット部40に保持していてもよい。
【0130】
同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在すると判断されれば、図7のステップS12による、必要最小区間のみを再エンコードする手法を用いて編集処理が行われる。
【0131】
一例として、図8を用いて説明したように、エディット部40は、ハードディスクドライブ42に書き込まれたエレメンタリストリームから、編集点Aを含むGOP#3と、GOP#3の直前のGOP#2とを読み出す。例えば、エディット部40は、エレメンタリストリームのNALユニットを所定に解析しながらGOPの位置を検出し、所望のGOPを読み出す。読み出されたGOP#2およびGOP#3は、ビデオデコーダ33に供給され、デコードされる。デコードされたデータは、エディット部40に供給され、ハードディスクドライブ42に書き込まれる。エディット部40が有する図示されないRAMに書き込んでもよい。エディット部40は、ハードディスクドライブ42に書き込まれた、デコード済みのGOP#3について、編集点A以降を削除する。
【0132】
同様に、エディット部40は、ハードディスクドライブ42に書き込まれたエレメンタリストリームの、編集点Bを含むGOP#7と、GOP#7直後のGOP#8とを読み出す。読み出されたGOP#7およびGOP#8は、ビデオデコーダ33に供給され、デコードされる。デコードされたデータは、エディット部40に供給され、ハードディスクドライブ42などに書き込まれる。エディット部40は、ハードディスクドライブ42に書き込まれた、デコード済みのGOP#7について、先頭から編集点Bまでを削除する。
【0133】
次に、エディット部40は、編集点A以降が削除されたGOP#3と、先頭から編集点Bまでが削除されたGOP#7とを接続し、新たなGOPであるGOP#3+7を作成する。GOPの接続の際に、接続されたGOPに含まれるピクチャ数が所定数にならないときは、ピクチャの補間や間引きなどを行い、ピクチャ数が所定数になるようにする。
【0134】
エディット部40は、ハードディスクドライブ42に書き込まれているGOP#2、GOP#3+7およびGOP#8をビデオエンコーダ11に供給し、再エンコードする。再エンコードされたGOP#2、GOP#3+7およびGOP#8は、ハードディスクドライブ42に書き込まれる。このとき、ハードディスクドライブ42に最初に書き込まれた、デコード前のGOP#2を、再エンコードされハードディスクドライブ42に書き込まれたGOP#2に上書きすることができる。エディット部40は、ハードディスクドライブ42に書き込まれたGOP#1、GOP#2、GOP#3+7、GOP#8およびGOP#9を順次、連続的に読み出すことで、1本のエレメンタリストリームを出力させることができる。
【0135】
なお、編集対象のエレメンタリストリームに上述したバッファの畜量情報が記述されている場合には、エディット部40は、この畜量情報に基づき発生符号量を所定に制御して、GOPのエンコードを行う。例えば、編集点Aが含まれるGOP#3の直前のGOP#2、編集点Aを含むGOP#3、編集点Bを含むGOP#7およびGOP#7直後のGOP#8についてNALユニットを解析してバッファの畜量情報を取得し、取得された畜量情報に基づき、各GOPがシームレスに接続されて再生可能なように、エンコード処理が行われる。
【0136】
一方、図7のステップS11において、SEI"User Data Unregistered SEI"内のブロックModifiedDVPackMeta()におけるブロックMAKER & MODEL ID pack()の情報に基づき、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在しないと判断されれば、図7のステップS13による、編集対象のビデオストリームの全区間を再エンコードする手法を用いて編集処理が行われる。
【0137】
一例として、図9を用いて説明したように、エディット部40は、ハードディスクドライブ42に書き込まれたエレメンタリストリームを読み出して、ビデオデコーダ33に供給する。ビデオデコーダ33は、供給されたエレメンタリストリームを全てデコードする。デコードされたデータは、エディット部40に供給され、ハードディスクドライブ42に供給される。
【0138】
エディット部40は、デコードされたビデオデータに対し、編集点Aから編集点Bまでの間をフレーム単位で削除して編集点Aおよび編集点Bを接続する。このとき、エディット部40は、編集点Aおよび編集点Bの接続の際に、接続部を含むGOPに含まれるピクチャ数が所定数にならないときは、ピクチャの補間や間引きなどを行い、GOP内のピクチャ数が所定数となるようにする。
【0139】
編集点Aおよび編集点Bが接続されたビデオデータは、ビデオエンコーダ11に供給される。ビデオエンコーダ11は、供給されたビデオデータを全長にわたって再エンコードして1本のエレメンタリストリームとして出力する。このエレメンタリストリームは、エディット部40に供給され、ハードディスクドライブ42に書き込まれる。ハードディスクドライブ42に書き込まれたこのデータは、ハードディスクドライブ42から読み出してマルチプレクサ12、ストリームバッファ13および記録処理部14でそれぞれ所定に処理して記録媒体20に書き込んでもよいし、図示されない外部インターフェイスを介して外部に出力してもよい。
【0140】
なお、2つのストリームファイルに対して編集点Aおよび編集点Bをそれぞれ設定して編集して1本のデータストリームを得る場合の処理も、上述の1のストリームファイルに対して編集点Aおよび編集点Bをそれぞれ設定して編集処理を行う場合と同様の処理となるため、説明を省略する。
【0141】
上述では、編集装置2は、記録媒体20を再生し、記録媒体20に記録されたストリームファイルに格納されたデータストリームに対して編集を行うように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、編集装置2は、外部から供給されたビデオデータを編集するようにしてもよい。
【0142】
ビデオデータがH.264|AVCのエレメンタリストリームの形式で外部から供給される場合には、例えば、外部から供給されたエレメンタリストリームがエディット部40に入力され、ハードディスクドライブ42に書き込まれる。そして、図7を用いて説明した手順でデータストリームに埋め込まれたメーカ情報および機種または型番情報に基づき判断処理を行い、判断結果に応じて、必要最小区間のみを再エンコードする手法、あるいは、編集対象のビデオストリームの全区間を再エンコードする手法の何れかにより、編集処理を行う、
【0143】
また、ビデオデータがソースパケットが連なるデータストリームの形式や、MPEG2システムズによるトランスポートストリームの形式で外部から供給される場合には、例えば、外部から供給されたデータストリームがデマルチプレクサ32に入力され、パケット構造が分解され、ヘッダ情報が抜き出されると共にペイロードのデータが取り出されてエレメンタリストリームが再構築される。このエレメンタリストリームがエディット部40に供給され、ハードディスクドライブ42に書き込まれる。以降の処理は、上述と同様である。
【0144】
上述の図14では、この発明の実施の一形態による編集処理を行う編集装置2が専用的なハードウェアとして構成されているように説明したが、これはこの例に限られず、例えば、パーソナルコンピュータといったコンピュータ装置で編集装置を構成することも可能である。
【0145】
図15は、一般的なコンピュータ装置3の一例の構成を概略的に示す。バス50に対してCPU51、ROM52およびRAM53が接続される。CPU51は、ROM52や後述するハードディスクドライブ60に格納されたプログラムやデータに従い、RAM53をワークメモリとして用い、バス50を介して各部と通信を行いながら、このコンピュータ装置3における各部の動作を制御する。
【0146】
バス50には、また、グラフィクス処理部54および通信インターフェイス(通信I/F)55が接続される。グラフィクス処理部54には、モニタ54Aが接続され、CPU51から供給された表示制御信号を映像信号に変換してモニタ54Aに供給し、モニタ54Aに対して所定の画像を映出させることができる。また、通信I/F55は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)といったネットワークと接続され、CPU55の命令に基づき、ネットワークを介してこのコンピュータ装置3と外部との通信を制御する。
【0147】
バス50に対して、さらに、入力インターフェイス(入力I/F)56、ビデオインターフェイス(ビデオI/F)57、ドライブ装置58およびハードディスクドライブ60が接続される。
【0148】
入力I/F56には、例えばマウス56Aなどのポインティングデバイスや、キーボード56Bといったキャラクタ入力デバイスといった、ユーザによる入力を受け付ける入力デバイスが接続される。入力I/F56に接続される入力デバイスは、これらの例に限らず、回転角に応じた制御信号が出力されるロータリエンコーダや、スティックを倒した方向や度合いに応じて制御信号を出力するジョイスティック、平面上の位置を指定することで値を出力するタブレットなど、様々に考えられる。
【0149】
データI/F57は、このコンピュータ装置3と外部の機器との間でディジタルデータのやりとりを行うためのインターフェイスであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)やIEEE1394(Institute Electrical and Electronics Engineers 1394)といったインターフェイスが適用可能である。インターフェイスが対応する外部機器が入出力端57Aに接続されると、外部機器とデータI/F57との間でインターフェイスのプロトコルに従ってやりとりがなされ、外部機器とコンピュータ装置3との間でデータ通信可能な状態とされる。
【0150】
ドライブ装置58は、例えばディスク状記録媒体に対応し、装填された記録可能なタイプの記録媒体に対するデータの書き込みや、記録媒体からのデータの読み出しを行うことができる。記録可能なタイプの記録媒体は、例えば記録可能なタイプのDVDを適用可能である。これに限らず、ドライブ装置58は、記録可能なタイプのCD(Compact Disc)やBlu−ray Discに対応可能としてもよい。さらに、ドライブ装置58は、記録可能なタイプの記録媒体のみならず、再生専用の記録媒体、例えばDVD−ROM、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)からデータを読み出すことができる。また、ドライブ装置58は、ディスク状記録媒体に対応可能であるのに限られず、例えばフラッシュメモリなどの半導体メモリを記録媒体59として対応してもよい。
【0151】
ハードディスクドライブ60は、上述したように、CPU51で用いるプログラムやデータが格納される。勿論、バス50を介して供給された他のデータの書き込みおよび読み出しを行うことができる。
【0152】
このようなコンピュータ装置3に対して、この発明の実施の一形態による編集方法を実行するための編集プログラムを搭載させることで、このコンピュータ装置3をAVCHDフォーマットに対応したビデオストリームの編集装置として作動させることができる。すなわち、この編集プログラムにより、図14を用いて説明した編集装置2におけるビデオエンコーダ11、マルチプレクサ12、デマルチプレクサ32、ビデオデコーダ33およびエディット部40の機能がCPU51により実現される。なお、ビデオエンコーダ11は、処理の負荷が大きいので、バス50に接続されCPU51に制御される個別のハードウェアとしてもよい。
【0153】
編集プログラムは、例えばCD−ROMやDVD−ROMといった記録媒体に記録されて提供される。一例として、編集プログラムがDVD−ROMに記録されている場合、当該DVD−ROMがドライブ装置58に装填されると、例えば、CPU51の制御に基づき、ドライブ装置58により装填されたDVD−ROMに記録された、編集プログラムが格納されたプログラムファイルが読み出される。編集プログラムは、プログラムファイルから読み出され、CPU51により所定に展開されてハードディスクドライブ60に書き込まれると共に、システムに登録され、このコンピュータ装置3上で実行可能な状態とされる。
【0154】
なお、コンピュータ装置3に対して編集プログラムを提供する方法は、記録媒体を介する方法に限られない。例えば、ネットワークに接続されたサーバ上に当該プログラムファイルを用意しておき、サーバからネットワークを介して通信I/F55で取得するようにしてもよい。また、データI/F57を介してプログラムファイルを受け取るようにもできる。
【0155】
このように編集プログラムが実行可能に搭載されたコンピュータ装置3で、この発明の実施の一形態による編集方法を実行する際の一例の処理について、概略的に説明する。例えば、図13で示した記録装置1でストリームファイルが記録された記録媒体20をドライブ58に装填し、記録媒体20に記録されたストリームファイルに対して編集を行う。
【0156】
ストリームファイルが記録された記録媒体20がドライブ装置58に装填され、ユーザにより入力I/F56に接続された入力デバイスを用いて、記録媒体20に記録されたストリームファイルの編集が指示される。
【0157】
CPU51は、記録媒体20に記録されたストリームファイルをハードディスクドライブ60にコピーするように制御する。CPU51は、ハードディスクドライブ60に書き込まれたストリームファイルを読み込み、RAM53をワークメモリとして用いてパケットを分解し、各パケットのヘッダから所定の情報を収集すると共に、ビデオおよびオーディオのエレメンタリストリームを再構築する。エレメンタリストリームは、ハードディスクドライブ60に書き込まれる。なお、以下では、ビデオデータのエレメンタリストリームについて、説明を行う。
【0158】
CPU51は、ハードディスクドライブ60に書き込まれたエレメンタリストリームを読み込んでデコードし、ベースバンドのビデオデータを得る。このベースバンドのビデオデータは、グラフィクス処理部54に供給され、映像信号に変換され、モニタ54Aに映出される。ユーザは、モニタ54Aに映出された映像を見ながら入力I/F56に接続された入力デバイスを操作して、編集点Aおよび編集点Bを、フレーム番号やタイムコードなどで指定する。編集点Aおよび編集点Bの情報は、例えばRAM53に保持される。
【0159】
入力デバイスを用いて編集実行が指示されると、CPU51は、ハードディスクドライブ60に書き込まれたエレメンタリストリームに対して編集処理を開始する。すなわち、図7を用いて既に説明したように、CPU51は、ハードディスクドライブ60に書き込まれたエレメンタリストリームのNALユニットを解析し、SEI"User Data Unregistered SEI"を抽出する。そして、抽出されたSEI"User Data Unregistered SEI"から、記録媒体20に編集対象のエレメンタリストリームが格納されたファイルを記録した記録装置の情報を示すデータmodified_dv_packを含むブロックModifiedDVPackMeta()が検索され、さらに、ブロックModifiedDVPackMeta()から、フィールドmpd_idの値に基づきブロックMAKER & MODEL ID pack()が検索される(図7のステップS10)。
【0160】
なお、編集対象のストリームファイルにおけるSEI"User Data Unregistered SEI"の情報は、編集点Aおよび編集点Bを指定するために当該ストリームファイルを再生する際に取得し、RAM53に保持していてもよい。
【0161】
CPU51は、検索されたブロックMAKER & MODEL ID pack()に格納されるフィールドmaker_IDと、フィールドmaker_model_codeとに基づき、図7のステップS11による、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在するか否かの判断を行う。
【0162】
なお、このコンピュータ装置3に搭載される編集プログラムと同じ属性でエンコードできる機種の情報は、例えば当該編集プログラムが格納されるプログラムファイルに、編集プログラムと共に格納される。これに限らず、別のファイルとして当該プログラムファイルが記録される記録媒体に記録されて提供されてもよいし、ネットワークに接続された外部のサーバなどからネットワークを介して提供されてもよい。
【0163】
同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在すると判断されれば、図7のステップS12による、必要最小区間のみを再エンコードする手法を用いて編集処理が行われる。
【0164】
一例として、図8を用いて説明したようにCPU51は、ハードディスクドライブ60に書き込まれたエレメンタリストリームから、編集点Aを含むGOP#3と、GOP#3の直前のGOP#2とを読み出す。例えば、エディット部40は、エレメンタリストリームのNALユニットを所定に解析しながらGOPの位置を検出し、所望のGOPを読み出す。CPU51は、読み出されたGOP#2およびGOP#3をデコードし、ハードディスクドライブ60またはRAM53に書き込む。CPU51は、ハードディスクドライブ60またはRAM53に書き込まれた、デコード済みのGOP#3について、編集点A以降を削除する。同様に、CPU51は、ハードディスクドライブ60に書き込まれたエレメンタリストリームの、編集点Bを含むGOP#7と、GOP#7直後のGOP#8とを読み出してデコードし、ハードディスクドライブ60またはRAM53に書き込む。CPU51は、ハードディスクドライブ60またはRAM53に書き込まれた、デコード済みのGOP#7について、先頭から編集点Bまでを削除する。
【0165】
次に、CPU51は、ハードディスクドライブ60上またはRAM53上で、編集点A以降が削除されたGOP#3と、先頭から編集点Bまでが削除されたGOP#7とを接続し、新たなGOPであるGOP#3+7を作成する。GOPの接続の際に、接続されたGOPに含まれるピクチャ数が所定数にならないときは、ピクチャの補間や間引きなどを行い、ピクチャ数が所定数になるようにする。
【0166】
CPU51は、ハードディスクドライブ60またはRAM53に書き込まれているGOP#2、GOP#3+7およびGOP#8を再エンコードし、ハードディスクドライブ60に書き込む。このとき、ハードディスクドライブ60またはRAM53に最初に書き込まれた、デコード前のGOP#2を、再エンコードされハードディスクドライブ60に書き込まれたGOP#2に上書きすることができる。CPU51は、再エンコードされハードディスクドライブ60に書き込まれたGOP#1、GOP#2、GOP#3+7、GOP#8およびGOP#9を順次、連続的に読み出すことで、1本のエレメンタリストリームを出力させることができる。
【0167】
なお、編集対象のエレメンタリストリームに上述したバッファの畜量情報が記述されている場合には、CPU51は、この畜量情報に基づき発生符号量を所定に制御して、GOPのエンコードを行う。
【0168】
一方、図7のステップS11において、SEI"User Data Unregistered SEI"内のブロックModifiedDVPackMeta()におけるブロックMAKER & MODEL ID pack()の情報に基づき、同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在しないと判断されれば、図7のステップS13による、編集対象のビデオストリームの全区間を再エンコードする手法を用いて編集処理が行われる。
【0169】
一例として、図9を用いて説明したように、CPU51は、ハードディスクドライブ60に書き込まれたエレメンタリストリームを読み出してデコードする。デコードされたデータは、ハードディスクドライブ60に書き込まれる。RAM53の容量が十分大きければ、デコードされたデータをRAM53に書き込むようにしてもよい。
【0170】
CPU51は、デコードされたビデオデータに対し、編集点Aから編集点Bまでの間をフレーム単位で削除して編集点Aおよび編集点Bを接続する。このとき、CPU51は、編集点Aおよび編集点Bの接続の際に、接続部を含むGOPに含まれるピクチャ数が所定数にならないときは、ピクチャの補間や間引きなどを行い、GOP内のピクチャ数が所定数となるようにする。CPU51は、編集点Aおよび編集点Bが接続されたビデオデータを全長にわたって再エンコードして1本のエレメンタリストリームを生成する。このエレメンタリストリームは、ハードディスクドライブ60に書き込まれる。
【0171】
なお、2つのストリームファイルに対して編集点Aおよび編集点Bをそれぞれ設定して編集して1本のデータストリームを得る場合の処理も、上述の1のストリームファイルに対して編集点Aおよび編集点Bをそれぞれ設定して編集処理を行う場合と同様の処理となるため、説明を省略する。
【0172】
編集処理が終了してハードディスクドライブ60に書き込まれたエレメンタリストリームは、CPU51により、PESパケット化、TSパケット化およびソースパケット化され、MPEG2システムズのトランスポートストリームとされる。このデータストリームは、ドライブ装置58に供給され、記録媒体に記録される。
【0173】
編集結果のエレメンタリストリームは、ドライブ装置58に装填されている記録媒体に書き込むのに限らず、例えばハードディスクドライブ60に蓄積的に保持していてもよい。また、当該エレメンタリストリームをハードディスクドライブ60から読み出して、データI/F57を介して外部機器に対して出力するようにもできる。通信I/F55からネットワークを介して外部に送信することもできる。また、編集結果のエレメンタリストリームを所定にパケット化してトランスポートストリームとして、ハードディスクドライブ60への蓄積、データI/F57を介しての外部機器への出力、通信I/F55からネットワークを介しての外部への送信を行ってもよい。
【0174】
また、編集対象のビデオデータは、ドライブ装置58に装填された記録媒体から読み出されるのに限らず、外部から供給されたビデオデータを編集対象とすることもできる。例えば、編集対象のビデオデータを入出力端57Aから入力し、データI/F57を介してハードディスクドライブ60に書き込む。CPU51は、上述と同様にして、ハードディスクドライブ60に書き込まれたビデオデータに対して編集処理を行う。
【0175】
なお、上述では、編集時のデコード処理において、ビデオデコーダ33が入力されたエレメンタリストリームをデコード可能であるとして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、ビデオデコーダ33は、フォーマットに規定される全てのストリームをデコードできるとは限らない。そのため、例えば図7のステップS11における同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在するか否かの判断の結果、データが存在しないとされた場合には、ビデオデコーダ33に入力されるエレメンタリストリームをビデオデコーダ33がデコードできない可能性もあり得る。
【0176】
この場合には、以下に示す2つの方法のうち、何れかを行うことが考えられる。第1の方法は、図7のステップS11における同じ属性でエンコードできる機種のデータが存在するか否かの判断の結果、データが存在しないとされた場合でも、上述したように、当該エレメンタリストリームをビデオデコーダ33に入力してデコード処理を行い、ビデオデコーダ33においてエラーが発生したらデコード失敗とする方法である。この場合には、デコードできなかった旨を、所定の表示手段などを用いて通知すると、好ましい。
【0177】
第2の方法は、当該エレメンタリストリームの属性情報を用いる方法である。例えば、AVCHDフォーマットにおいては、当該エレメンタリストリームがパケット化されたビデオストリームが格納されるストリームファイルに対して、当該ビデオストリームの属性を示す属性情報が格納された属性情報ファイルを作成し、当該ストリームファイルが記録される記録媒体に、この属性情報ファイルを共に記録するようにされている。この属性情報ファイルには、対応するストリームの本数や、対応するストリームのそれぞれに対する符号化に関するパラメータが記述されている。
【0178】
そこで、編集時のデコードの際にこの属性情報ファイルを参照して符号化に関するパラメータを抽出し、対応可能か否かを判断する。対応不可であると判断されたら、デコード処理を中止する。このとき、例えばその旨を所定の表示手段などを用いて警告すると好ましい。一方、パラメータに基づき対応可能であると判断されたら、当該エレメンタリストリームをビデオデコーダ33に入力し、デコードを開始する。デコード開始後は、上述の第1の方法と同様に、ビデオデコーダ33においてエラーが発生したらデコード失敗とする。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】NALユニットの一例の構成を示す略線図である。
【図2】アクセスユニットの一例の構成を示す略線図である。
【図3】この発明の実施の一形態に適用可能なビデオデータの一例の構造を概略的に示す略線図である。
【図4】SEI"User Data Unregistered SEI"に格納される情報の一例の構造を表すシンタクスを示す略線図である。
【図5】ブロックone_modified_dv_pack()の構成の例を表すシンタクスを示す略線図である。
【図6】この発明の実施の一形態によるビデオストリームの一例の編集方法について説明するための略線図である。
【図7】この発明の実施の一形態による編集方法による一例の編集処理を示すフローチャートである。
【図8】編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法による一例の編集処理について概略的に説明するための略線図である。
【図9】編集対象のビデオストリームの全区間を再エンコードする手法による一例の編集処理について概略的に説明するための略線図である。
【図10】2つのストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して行う編集処理を概略的に示す略線図である。
【図11】2つのストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して編集を行う場合の、編集点付近の必要最小区間のみを再エンコードする手法による一例の編集処理について概略的に説明するための略線図である。
【図12】2つのストリームファイルに格納されるビデオストリームに対して編集を行う場合の、編集対象の全区間を再エンコードする手法による一例の処理について概略的に説明するための略線図である。
【図13】この発明の実施の一形態に適用可能な記録装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の一形態に適用可能な編集装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図15】一般的なコンピュータ装置の一例の構成を概略的に示すブロック図である。
【図16】フレーム間圧縮を行ったデータのデコード処理について説明すための略線図である。
【図17】ビデオ映像における中間部のシーンを削除し、削除した前後を結合する編集を説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0180】
1 記録装置
2 編集装置
3 コンピュータ装置
11 ビデオエンコーダ
12 マルチプレクサ
13 ストリームバッファ
14 記録処理部
20 記録媒体
30 再生処理部
31 ストリームバッファ
32 デマルチプレクサ
33 ビデオデコーダ
40 エディット部
41 UI部
42 ハードディスクドライブ
51 CPU
52 ROM
53 RAM
58 ドライブ装置
60 ハードディスクドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集装置において、
フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームが入力される入力部と、
上記データストリームに埋め込まれた、該データストリームを生成した装置を識別する識別情報を該データストリームから抽出する抽出部と、
上記データストリームをデコードするデコード部と、
ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、所定の属性で以てエンコードするエンコード部と、
上記データストリームに対して設定された編集点に基づき、該データストリームに対して上記デコードおよび上記エンコードを行い該データストリームを編集するようにした編集部と
を備え、
上記編集部は、
上記抽出部で上記ストリームデータから抽出された上記識別情報が、上記エンコード部による上記エンコードの際の上記所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、上記編集点を含む所定区間を上記デコードおよび上記エンコードすることで編集を行う
ことを特徴とする編集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の編集装置において、
上記編集部は、上記抽出部で上記ストリームデータから抽出された上記識別情報が、上記エンコード部による上記エンコードの際の上記所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示していないと判断したら、上記データストリームの全体を上記デコードおよび上記エンコードすることで編集を行う
ことを特徴とする編集装置。
【請求項3】
請求項1に記載の編集装置において、
上記識別情報は、上記装置のメーカを識別する情報と、上記装置の機種または型番を識別する情報とからなる
ことを特徴とする編集装置。
【請求項4】
請求項1に記載の編集装置において、
上記属性は、上記ビデオデータの画枠サイズ、アスペクト比、フレームレート、フレーム構造およびクローズドキャプション情報の有無を含む
ことを特徴とする編集装置。
【請求項5】
請求項1に記載の編集装置において、
上記抽出部は、上記ストリームデータに埋め込まれた、該ストリームデータをデコードする際のバッファ畜量情報をさらに抽出し、上記エンコード部は、上記抽出部で抽出された該バッファ畜量情報に基づき上記エンコードを行うようにした
ことを特徴とする編集装置。
【請求項6】
フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集方法において、
フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームに埋め込まれた、該データストリームを生成した装置を識別する識別情報を該データストリームから抽出する抽出のステップと、
上記データストリームをデコードするデコードのステップと、
ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、所定の属性で以てエンコードするエンコードのステップと、
上記データストリームに対して設定された編集点に基づき、該データストリームに対して上記デコードおよび上記エンコードを行い該データストリームを編集するようにした編集のステップと
を備え、
上記編集のステップは、
上記抽出部で上記ストリームデータから抽出された上記識別情報が、上記エンコードのステップによる上記エンコードの際の上記所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、上記編集点を含む所定区間を上記デコードおよび上記エンコードすることで編集を行う
ことを特徴とする編集方法。
【請求項7】
フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集方法をコンピュータ装置に実行させる編集プログラムにおいて、
上記編集方法は、
フレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータからなるデータストリームに埋め込まれた、該データストリームを生成した装置を識別する識別情報を該データストリームから抽出する抽出のステップと、
上記データストリームをデコードするデコードのステップと、
ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、所定の属性で以てエンコードするエンコードのステップと、
上記データストリームに対して設定された編集点に基づき、該データストリームに対して上記デコードおよび上記エンコードを行い該データストリームを編集するようにした編集のステップと
を備え、
上記編集のステップは、
上記抽出部で上記ストリームデータから抽出された上記識別情報が、上記エンコードのステップによる上記エンコードの際の上記所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、上記編集点を含む所定区間を上記デコードおよび上記エンコードすることで編集を行う
ことを特徴とする編集プログラム。
【請求項8】
ビデオデータをフレーム間圧縮を用いて圧縮符号化して記録媒体に記録し、記録媒体から再生されたフレーム間圧縮を用いて圧縮符号化されたビデオデータを編集する編集システムにおいて、
ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により所定の属性で以てエンコードしてデータストリームとして出力する第1のエンコード部と、
上記第1のエンコード部から出力された上記データストリームをストリームファイルとして記録媒体に記録する記録部と
を備え、
上記データストリームに対して装置自体を識別する識別情報を埋め込んで上記記録媒体に記録する
ようにした記録装置と、
上記記録媒体に記録された上記ストリームファイルを読み出して上記データストリームを取り出す再生部と、
上記データストリームから上記識別情報を抽出する抽出部と、
上記データストリームをデコードするデコード部と、
ビデオデータをフレーム間圧縮を用いた圧縮符号化により、上記所定の属性で以てエンコードする第2のエンコード部と、
上記データストリームに対して設定された編集点に基づき、該データストリームに対して上記デコードおよび上記エンコードを行い該データストリームを編集するようにした編集部と
を備え、
上記編集部は、
上記抽出部で上記ストリームデータから抽出された上記識別情報が、上記第2のエンコード部による上記エンコードの際の上記所定の属性と同一の属性でエンコード可能な装置を示しているか否かを判断し、示していると判断したら、上記編集点を含む所定区間を上記デコードおよび上記エンコードすることで編集を行う
ようにした編集装置と
を有する
ことを特徴とする編集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−47983(P2008−47983A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219002(P2006−219002)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】