説明

緩衝包装パック

【課題】箱詰めしなくても、独立して包装材として機能することができ、省資源化、小型化、軽量化及び作業性の向上などを図ることができる緩衝包装パックを提供する。
【解決手段】緩衝包装パック1は、内側フィルム21、及び、該内側フィルム21と接合される凸状の外側フィルム22を有し、内側フィルム21と外側フィルム22との間に、緩衝用流体が密封される一対の緩衝部材2を備え、一対の緩衝部材2の内側フィルム21どうしの間に、電子部品10を挟持するように、一対の緩衝部材2が接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝包装パックに関し、特に、箱詰めしなくても、独立して包装材として機能することができる緩衝包装パックに関する。
【背景技術】
【0002】
機械的強度の弱い被包装体(たとえば、精密電子部品など)は、輸送される際、ダメージを与えないように厳重に包装される。この包装方法や包装材などは、被包装体に応じて様々である。
【0003】
たとえば、被包装体が多数(たとえば、数十個)の半導体装置などの場合、まず、半導体装置は専用のトレイなどに載置され、そのトレイなどは帯電防止袋に収められ、この帯電防止袋は緩衝材とともに箱に詰められ、さらに、箱の蓋がテープなどで閉じられる。
また、被包装体が少数(たとえば、1〜数個)の半導体装置などの場合、まず、半導体装置は帯電防止スポンジなどに挟むように収納され、その帯電防止スポンジなどは帯電防止袋に収められ、この帯電防止袋は緩衝材とともに箱に詰められ、さらに、箱の蓋はテープなどで閉じられる。
【0004】
このように、機械的強度の弱い被包装体は、形状、大きさ、数量、特性(たとえば、静電気により破壊されるといった特性)などに応じて、様々な包装材が用いられる。
たとえば、特許文献1には、外箱と、その内部にあって被包装物を緩衝的に保持する少なくとも1個の空気緩衝袋とからなり、空気緩衝袋が、プラスチックフィルムで製造された、扁平な、ほぼ長方形の投影面を持つ袋であって、空気を吹き込んで膨らませ、また空気を抜いて扁平にすることができる逆止弁を備えた緩衝包装容器の技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、袋状に形成された第1のシートと、同様に袋状に形成され、第1のシートを収容して二重構造を形成する第2のシートと、第1のシートをシールして形成され、気体注入口から所定量の気体が注入された気体溜りセルと、第1のシートと第2のシートとの間において第2のシートをシールして形成され、第1のシートが破断されて漏洩する気体溜りセル内の気体が流れ込む気体逃げセルとを有する梱包材料の技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、露光装置の少なくとも一部または該露光装置を構成する部品を、断湿用のビニールシートよりもガスバリア性の高い単層または積層体を有する第1シートで梱包し、第1シートで梱包された露光装置の少なくとも一部または該露光装置を構成する部品を、断湿用のビニールシートよりもガスバリア性の高い単層または積層体を有する第2シートで梱包し、第1シートと第2シートとの間に所定のガスを充填することを特徴とする露光装置の梱包方法の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−252376号公報
【特許文献2】特開平8−324643号公報
【特許文献3】特開2005−67617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したように、たとえば、被包装体が少数(たとえば、1〜数個)の半導体装置などの場合、まず、半導体装置は帯電防止スポンジなどに挟むように収納され、その帯電防止スポンジなどは帯電防止袋に収められ、この帯電防止袋は緩衝材とともに箱に詰められ、さらに、箱の蓋はテープなどで閉じられる。
すなわち、被包装体は、最終的に箱詰めされるので、包装材として、包装用補助材(たとえば、帯電防止スポンジや帯電防止袋)、緩衝材、及び、箱を必要とし、省資源化を図ることができないといった問題があった。
また、箱を必要とするので、小型化や軽量化を図ることができないといった問題があった。
【0009】
さらに、被包装体を複数の包装材に順番に収める必要があり、また、一又は二以上の緩衝材を有効に配置する必要がある。このため、包装する際の作業性が悪いといった問題があった。また、被包装体を包装材から取り出す際も、上記と逆の順番で取り出す必要があり、作業性が悪いといった問題があった。
なお、特許文献1〜3の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、上記の課題を解決することはできない。
【0010】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、箱詰めしなくても、独立して包装材として機能することができ、省資源化、小型化、軽量化及び作業性の向上などを図ることができる緩衝包装パックの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の緩衝包装パックは、内側フィルム、及び、該内側フィルムと接合される凸状の外側フィルムを有し、前記内側フィルムと前記外側フィルムとの間に、緩衝用流体が密封される一対の緩衝部材を備え、前記一対の緩衝部材の前記内側フィルムどうしの間に、被包装体を挟持するように、前記一対の緩衝部材が接合される構成としてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の緩衝包装パックによれば、箱詰めしなくても、独立して包装材として機能することができ、省資源化、小型化、軽量化及び作業性の向上などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は斜視図を示しており、(b)はA−A断面図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)はシート状態を説明するための斜視図を示しており、(b)は包装動作を説明するための断面図を示している。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態にかかる緩衝包装パックの、押圧状態を説明するための概略図を示している。
【図4】図4は、本発明の第二実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は斜視図を示しており、(b)はB−B断面図を示している。
【図5】図5は、本発明の第二実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は縁部の接合動作を説明するための断面図を示しており、(b)は注入動作を説明するための断面図を示している。
【図6】図6は、本発明の第三実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は側面図を示している。
【図7】図7は、本発明の第四実施形態にかかる緩衝包装パックの概略斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[緩衝包装パックの第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は斜視図を示しており、(b)はA−A断面図を示している。
図1において、本実施形態の緩衝包装パック1は、内側フィルム21、及び、内側フィルム21と接合される凸状の外側フィルム22を有し、内側フィルム21と外側フィルム22との間に、緩衝用流体(本実施形態では、空気)が密封される一対の緩衝部材2を備えている。この緩衝包装パック1は、一対の緩衝部材2の内側フィルム21どうしの間に、被包装体(本実施形態では、電子部品10)を挟持するように、一対の緩衝部材2が接合される。
【0015】
なお、本実施形態では、被包装体として電子部品10を用いているが、被包装体は電子部品10に限定されるものではなく、たとえば、機械的強度が弱く、衝撃などによるダメージを受けやすい物体(無機物であっても有機物であってもよい。)であればよい。また、電子部品10として、SOIC(Small Outline Integrated Circuit)を図示してあるが、これに限定されるものではない。
【0016】
(緩衝部材)
緩衝部材2は、上述したように、内側フィルム21及び外側フィルム22を有している。
内側フィルム21及び外側フィルム22の材料は、通常、樹脂(たとえば、ポリエチレンやポロプロピレン)である。また、内側フィルム21及び外側フィルム22は、可撓性を有しており、空気を密封することにより、衝撃を緩衝することができる。
なお、上記の樹脂は、ポリエチレンやポロプロピレンに限定されるものではない。たとえば、被包装体の仕様に応じて、樹脂中に帯電防止剤などを含有する樹脂を用いてもよい。
また、内側フィルム21及び外側フィルム22は、可撓性を有する構成としてあるが、これに限定されるものではない、たとえば、内側フィルム21及び外側フィルム22の一方が可撓性を有する構成としてもよい。さらに、内側フィルム21及び外側フィルム22の少なくとも一部が可撓性を有する構成としてもよい。
【0017】
ここで、好ましくは、透明性を有する樹脂を用いて、内側フィルム21及び外側フィルム22が、透明であるとよい。
このようにすると、電子部品10を包装するときや取り出すときに、電子部品10を視認できるので、電子部品10にダメージを与えるといった不具合を効果的に防止することができる。また、包装された電子部品10の状態を目視により確認することができる。さらに、電子部品10にバーコードなどが付されている場合には、包装した状態で、バーコードなどを読み取ることができる。
なお、被包装体(たとえば、直射日光を避けることが好ましい物体や試作用の部品)によっては、半透明性や非透明性を有する樹脂を用いてもよい。
【0018】
また、好ましくは、外側フィルム22が、補強層(図示せず)を有するとよい。すなわち、本実施形態の外側フィルム22は、補強層を有する多層構造としてある。補強層の材料は、ナイロンやエチレンビニールアルコール共重合物などである。この補強層は、たとえば、ポリアミド系の接着剤により、上記の樹脂(たとえば、ポリエチレンやポロプロピレン)からなるフィルムに積層される。
このようにすると、外側フィルム22の機械的強度を向上させることができるので、角の尖った物体と接触しても、簡単に破れるといった不具合を効果的に防止することができる。これにより、箱詰めしない場合であっても、包装の安全性や信頼性などを向上させることができる。
【0019】
内側フィルム21は、ほぼ矩形状であり、周縁部が外側フィルム22と接合される。また、外側フィルム22は、内側フィルム21の周縁部と接合される凸状(本実施形態では、角部に丸みを有するほぼ直方体に対応した凸状)である。緩衝部材2は、内側フィルム21と外側フィルム22との間に、空気が密封された状態で、内側フィルム21と外側フィルム22の周縁部どうしが接合されている。これにより、緩衝部材2は、ほぼ直方体状である。
なお、本実施形態では、ほぼ直方体状の電子部品10に対応して、緩衝部材2をほぼ直方体状としてあるが、緩衝部材2の形状や大きさは、特に限定されるものではなく、たとえば、半球状としてもよい。
また、本実施形態では、同じ形状の一対の緩衝部材2を用いる構成としてあるが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、異なる形状の一対の緩衝部材2を用いてもよい。
【0020】
ここで、密封される空気の量は、内側フィルム21と外側フィルム22との間の空間の容積Vの約85〜98%である。すなわち、緩衝部材2は、多少弛んでいることにより(空気の量が容積Vの約98%を超えないことにより)、内側フィルム21の中央部に、電子部品10を収納する窪みを形成することができる。また、緩衝部材2は、弛み過ぎないことにより(空気の量が容積Vの約85%未満とならないことにより)、後述するように、全方向の押圧に対して、緩衝性を発揮することができる。
【0021】
なお、本実施形態では、一対の緩衝部材2にほぼ同じ量の空気を密封する構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、一方の緩衝部材2にほぼ容積Vと同じ量の空気を密封し、基台として機能させる構成としてもよい。
また、本実施形態では、ほぼ矩形状の内側フィルム21を用い、内側フィルム21が、窪みを形成するように撓むことにより、電子部品10を収納しているが、この構成に限定されるものではない。たとえば、内側フィルム21のほぼ中央部に、電子部品10を収納するための凹部を形成してもよく、あるいは、内側フィルム21に延伸性を有する材料を用い、延伸することにより、電子部品10を収納してもよい。
【0022】
また、少なくとも一方の緩衝部材2は、内側フィルム21の周縁部に、環状を形成するように、両面テープ3が貼り付けられている。これにより、緩衝包装パック1は、一対の緩衝部材2の内側フィルム21どうしの間に、電子部品10を挟持するように、一対の緩衝部材2が接合される。
なお、本実施形態では、両面テープ3を用いて、緩衝部材2どうしを接合してあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、接着剤や溶着を用いて接合してもよい。
また、環状を形成するように、両面テープ3を貼り付けてあるが、接合部の形状は、環状に限定されるものではなく、たとえば、部分的に外部と連通する構成としてもよい。すなわち、コの字状、二の字状、あるいは、スポット状(たとえば、矩形の四つの角部と四つの辺の中央部の合計8箇所)の接合部を設ける構成としてもよい。
【0023】
ここで、好ましくは、一対の緩衝部材2が、ミシン目23を介して連結されているとよい(図2参照)。
このようにすると、一対の緩衝部材2どうしを接合する際、ミシン目23を介して、一方の緩衝部材2を容易に回動させることができるので、作業性などを向上させることができる。
また、多数の緩衝部材2が、ミシン目23を介してシート状に連結されていてもよい。このようにすると、緩衝部材2の保管や輸送を効率よく行うことができる。また、既存の気泡シートの製造技術を応用することにより、多数の緩衝部材2を効率よく製造することができる。
【0024】
さらに、図示してないが、多数の緩衝部材2が、ミシン目23を介してn(nは自然数)行×2列状に連結されていてもよい。このようにすると、たとえば、n(nは自然数)行×2列状の緩衝部材2を行方向に搬送し、電子部品10を内側フィルム21上に載置し、他方の緩衝部材2を回動させ、内側フィルム21どうしの間に電子部品10を挟持し、一対の緩衝部材2を溶着することができる。すなわち、上記構成の緩衝部材2によれば、緩衝包装パック1は、包装の自動化を容易に行うことができる。
【0025】
(包装用補助材)
緩衝包装パック1は、電子部品10を、包装用補助材4を介して挟持する構成としてある。すなわち、電子部品10は、多数のリードを有しており、直接的に包装すると、リードが内側フィルム21に突き刺さってしまう状況にある。
このような状況において、本実施形態の包装用補助材4は、帯電防止性を有する発泡材としてあり、電子部品10のリードが突き刺さった状態で、電子部品10を保持する。なお、リードは、包装用補助材4から突き出ていないので、内側フィルム21にダメージを与えることはない。
【0026】
ここで、好ましくは、包装用補助材4が、発泡材又は気泡シートであるとよい。
このようにすると、市販されている部材を使用できるので、使い勝手などを向上させることができ、また、コストを削減することができる。さらに、緩衝性を向上させることができる。
なお、包装用補助材4は、発泡材や気泡シートに限定されるものではなく、被包装体に応じた様々な部材を用いることができる。このようにすると、様々な被包装体を包装することが可能となるので、緩衝包装パック1の付加価値を向上させることができる。上記の様々な部材としては、たとえば、樹脂製容器、ガラス容器、密封容器、密封袋などを挙げることができる。
【0027】
次に、上記構成の緩衝包装パック1の使用方法や効果などについて、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第一実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)はシート状態を説明するための斜視図を示しており、(b)は包装動作を説明するための断面図を示している。
緩衝包装パック1は、図2(a)に示すように、多数の緩衝部材2が、ミシン目23を介して連結された状態で、メーカから出荷される。これにより、緩衝部材2の保管や輸送を効率よく行うことができる。
【0028】
まず、緩衝包装パック1を使用するユーザは、図2(b)に示すように、ミシン目23に沿って、一対の緩衝部材2を取り外し、内側フィルム21が上を向くように載置し、両面テープ3のシールを剥ぎ取る。
次に、包装用補助材4に保持された電子部品10を、一方の緩衝部材2の内側フィルム21のほぼ中央部に載置する。
続いて、ユーザは、他方の緩衝部材2をミシン目23に沿って回動させる。これにより、緩衝包装パック1は、一対の緩衝部材2の内側フィルム21どうしの間に、包装用補助材4に保持された電子部品10を挟持するように、一対の緩衝部材2が接合される。この接合によって、図1に示すように、緩衝包装パック1は、電子部品10を包装する。
【0029】
ここで、緩衝包装パック1は、上述したように、極めて簡単かつ容易な動作によって、電子部品10を包装することができるので、作業性を大幅に向上させることができる。
また、緩衝包装パック1は、箱詰めしなくても、独立して包装材として機能することができる。これにより、箱を必要としないので、小型化、軽量化、及び、省資源化などを図ることができる。
【0030】
次に、緩衝包装パック1における電子部品10の包装状態について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明の第一実施形態にかかる緩衝包装パックの、押圧状態を説明するための概略図を示している。
図3において、緩衝包装パック1は、接合された一対の緩衝部材2が、全方向の押圧に対して、外側フィルム22と電子部品10との間に、所定の距離が確保される。
【0031】
たとえば、仮想押圧面11が、図3(a)に示すように、緩衝包装パック1をZ方向(図1参照)に押圧する場合、仮想押圧面11は、緩衝部材2の外側フィルム22と当接するが、密封された空気によって、仮想押圧面11と電子部品10との間には、所定の距離(電子部品10にダメージを与えることを安全に回避することのできる距離)が確保されている。
この際、電子部品10は、緩衝部材2の内側フィルム21によって押圧されるが、内側フィルム21(さらには、包装用補助材4)によって衝撃が緩衝されるので、電子部品10が衝撃によるダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
さらに、図示してないが、内側フィルム21による押圧の影響を回避するためには、電子部品10及び包装用補助材4を上述した樹脂製容器(機械的強度に優れた容器)に収納してもよい。
【0032】
また、仮想押圧面11が、図3(b)に示すように、緩衝包装パック1をY方向に押圧する場合であっても、仮想押圧面11は、緩衝部材2の外側フィルム22と当接するが、密封された空気によって、仮想押圧面11と電子部品10との間には、所定の距離(電子部品10にダメージを与えることを安全に回避することのできる距離)が確保されている。したがって、上述したように、電子部品10は、衝撃が緩衝されるので、電子部品10が衝撃によるダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
【0033】
さらに、仮想押圧面11が、図3(c)に示すように、緩衝包装パック1をZ方向とY方向のほぼ中間の方向(ほぼ45°で傾けた方向)に押圧する場合であっても、仮想押圧面11は、緩衝部材2の外側フィルム22と当接するが、密封された空気によって、仮想押圧面11と電子部品10との間には、所定の距離(電子部品10にダメージを与えることを安全に回避することのできる距離)が確保されている。したがって、上述したように、電子部品10は、衝撃が緩衝されるので、電子部品10が衝撃によるダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
このように、緩衝包装パック1は、接合された一対の緩衝部材2が、全方向の押圧に対して、外側フィルム22と電子部品10との間に、所定の距離が確保されるので、緩衝部材2を接合するだけで、確実に全方向に対する緩衝性を実現することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の緩衝包装パック1によれば、箱詰めしなくても、独立して包装材として機能することができ、省資源化、小型化、軽量化及び作業性の向上などを図ることができる。
また、緩衝包装パック1は、接合された一対の緩衝部材2が、全方向の押圧に対して、外側フィルム22と電子部品10との間に、所定の距離が確保されるので、緩衝部材2を接合するだけで、確実に全方向に対する緩衝性を実現することができる。これにより、包装の安全性や信頼性を向上させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態の緩衝包装パック1は、次のようにして用いることも可能である。
たとえば、電子部品10の包装された複数の緩衝包装パック1を輸送する場合、通常、複数の緩衝包装パック1は、さらに包装ケースなどに収容される。この際、各緩衝包装パック1は、上述したように十分な緩衝性を有しているので、包装ケース内に別個に緩衝材を入れる必要がない。
また、上記の包装ケースの形状や材質などは、特に限定されるものではない。すなわち、形状は箱はもちろんのこと袋等であってもよく、材質も金属製、木製、紙製あるいはビニール製等であってもよい。この点においても、緩衝包装パック1は、使い勝手を向上させることができる。
【0036】
[緩衝包装パックの第二実施形態]
図4は、本発明の第二実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は斜視図を示しており、(b)はB−B断面図を示している。
図4において、本実施形態の緩衝包装パック1aは、上述した第一実施形態の緩衝包装パック1と比べると、緩衝部材2aに、空気を注入、密封及び排出するための逆止弁24を備えた点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、緩衝包装パック1とほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0037】
(逆止弁)
逆止弁24は、フランジ部及び円筒部を有し、フランジ部及び円筒部に貫通孔が形成され、円筒部の先端に弁が設けられた構成としてある。この逆止弁24は、貫通孔から空気を注入することができ、また、注入された空気は、弁によって密封され、さらに、貫通孔に棒状部材を挿入することにより、注入した空気を排出することができる。
【0038】
このようにすると、たとえば、使用しないとき、空気を抜いた状態とすることができるので、保管などにおいて、省スペース化を図ることができる。さらに、使用した後に、空気を排出して保管することができ、リサイクル性を向上させることができる。
また、たとえば、被包装体の大きさなどに応じて、密封される空気の量を自在に設定することができる。これにより、被包装体の大きさなどが異なる場合であっても、所定の緩衝性を得ることができる。
【0039】
なお、逆止弁24の構成は、上記に限定されるものではなく、たとえば、逆止弁として機能する構成であればよい。
また、本実施形態の逆止弁24は、密封した空気を排出することができるが、逆止弁24の代わりに、空気を注入及び密封するための注入口(図示せず)を設けてもよい。この注入口は、空気を注入した後、たとえば、溶着されることにより、空気を密封する。このようにすると、密封した空気を排出できないものの、被包装体の大きさなどに応じて、密封される空気の量を自在に設定することができる。これにより、被包装体の大きさなどが異なる場合であっても、所定の緩衝性を得ることができる。
【0040】
次に、上記構成の緩衝包装パック1aの使用方法や効果などについて、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の第二実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は縁部の接合動作を説明するための断面図を示しており、(b)は注入動作を説明するための断面図を示している。
緩衝包装パック1aは、図5(a)に示すように、空気が抜かれた状態で、メーカから出荷される。これにより、省スペース化が図られるので、緩衝部材2aの保管や輸送を効率よく行うことができる。
【0041】
まず、緩衝包装パック1aを使用するユーザは、図5(a)に示すように、内側フィルム21が上を向くように載置し、両面テープ3のシールを剥ぎ取る。
次に、包装用補助材4に保持された電子部品10を、一方の緩衝部材2aの内側フィルム21のほぼ中央部に載置する。
続いて、ユーザは、他方の緩衝部材2aをミシン目23に沿って回動させる。これにより、緩衝包装パック1aは、一対の緩衝部材2aの内側フィルム21どうしの間に、包装用補助材4に保持された電子部品10を挟持するように、一対の緩衝部材2aが接合される。この際、空気が注入されていないので、両面テープ3を挟むように摘まむことができ、両面テープ3による接合をより確実に行うことができる。
【0042】
次に、ユーザは、逆止弁24から空気を注入する。この際、ユーザは、上述したように、被包装体の大きさなどに応じて、密封される空気の量を自在に設定することができる。これにより、被包装体の大きさなどが異なる場合であっても、所定の緩衝性を得ることができる。
この空気の注入及び密封によって、図5(b)に示すように、緩衝包装パック1aは、電子部品10を包装する。
【0043】
また、包装を取り外すユーザは、電子部品10を取り出した後に、逆止弁24から空気を排出することができる。これにより、緩衝包装パック1aの保管などにおいて、省スペース化を図ることができる。すなわち、使用した後に、空気を排出して保管することができ、リサイクル性を向上させることができる。
なお、その他の効果などは、第一実施形態とほぼ同様である。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の緩衝包装パック1aによれば、第一実施形態の緩衝包装パック1とほぼ同様の効果を奏するとともに、保管や輸送における省スペース化を図ることができる。さらに、被包装体の大きさなどに応じて、密封される空気の量を自在に設定することができるので、被包装体の大きさなどが異なる場合であっても、所定の緩衝性を得ることができる。すなわち、緩衝包装パック1aは、使い勝手や付加価値を向上させることができる。
【0045】
[緩衝包装パックの第三実施形態]
図6は、本発明の第三実施形態にかかる緩衝包装パックの概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は側面図を示している。
図6において、本実施形態の緩衝包装パック1bは、上述した第一実施形態の緩衝包装パック1と比べると、外用包装材としての宛名ラベル5を備えた点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、緩衝包装パック1とほぼ同様としてある。
したがって、図6において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
(宛名ラベル)
宛名ラベル5は、粘着剤があらかじめ塗布されたテープ状としてあり、表面に宛先などを記入(あるいは、印刷)する記入エリア(通常、白色のエリア)を有する構成としてある。また、図示してないが、記入エリア以外の部分に、「精密部品」、「取り扱い注意」といった文字を印刷してもよい。また、記入エリア以外の部分は、透明、半透明又は有色としてある。
【0047】
この宛名ラベル5は、一対の緩衝部材2の少なくとも一部を覆う外用包装材として機能し、本実施形態では、一対の緩衝部材2のX方向(図1参照)のほぼ中央部を、全周にわたって覆う構成としてある。
このようにすると、宛先などを容易に記入することができる。また、宛名ラベル5は、外側フィルム22を補強する補強部材としても機能することができる。また、宛名ラベル5が有色であり、透明性を有していない場合であっても、側面方向から電子部品10を視認できるので、作業性などを向上させることができる。
なお、宛名ラベル5の形状、大きさ、貼り付け方向などは、上記に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、一対の緩衝部材2のX方向及びY方向のそれぞれほぼ中央部を、全周にわたって覆う構成としてもよい。
【0048】
ここで、本実施形態の宛名ラベル5は、一対の緩衝部材2のX方向のほぼ中央部における外側フィルム22の周長より、短くなるように貼り付けられている。このようにすると、外側フィルム22の弛み量を調整することができるので、被包装体の大きさなどが異なる場合であっても、所定の緩衝性を得ることができる。すなわち、緩衝包装パック1bは、使い勝手や付加価値を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、外用包装材としての宛名ラベル5を備える構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、宛名ラベル5の代わりに、宛名ラベル5とほぼ同じ形状のシュリンクスリーブやエラスティックスリーブなどを備える構成としてもよい。また、シュリンクスリーブやエラスティックスリーブに、複数の一対の緩衝部材2をスティック状に納める構成としてもよい。
また、本実施形態のその他の構成などは、上述した第一実施形態の緩衝包装パック1とほぼ同様としてある。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の緩衝包装パック1bによれば、第一実施形態の緩衝包装パック1とほぼ同様の効果を奏するとともに、宛先などの記入、緩衝性の調整、及び、外側フィルム22の補強などを効率よく実現することができ、使い勝手や付加価値をさらに向上させることができる。
【0051】
[緩衝包装パックの第四実施形態]
図7は、本発明の第四実施形態にかかる緩衝包装パックの概略斜視図を示している。
図7において、本実施形態の緩衝包装パック1cは、上述した第一実施形態の緩衝包装パック1と比べると、外用包装材としてのクリアケース6を備えた点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、緩衝包装パック1とほぼ同様としてある。
したがって、図7において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0052】
(クリアケース)
クリアケース6は、樹脂製の透光性を有する直方体状のケースであり、上蓋が回動する、又は、嵌め込まれる構成としてある。また、クリアケース6は、一対の緩衝部材2を好適に収納することができる形状や大きさを有しているので、ほぼ隙間なく、一対の緩衝部材2を収納することができる。さらに、図示してないが、正面下部に、宛先などを記入したラベル(図示せず)を貼ることができる。
このようにすると、上方及び側面方向から電子部品10を視認できるので、作業性や包装の信頼性などを向上させることができる。特に、本実施形態では、電子部品10をハンドキャリイする場合などにおいて、電子部品10を容易に目視することができるといった優れた効果を発揮することができる。
なお、本実施形態では、外用包装材として、クリアケース6を備えた構成としてあるが、クリアケース6の代わりに、樹脂製の袋や紙器(紙製の箱や紙袋など)を用いることができる。
また、本実施形態のその他の構成などは、上述した第一実施形態の緩衝包装パック1とほぼ同様としてある。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の緩衝包装パック1bによれば、上方及び側面方向から電子部品10を視認できるので、作業性や包装の信頼性などを向上させることができる。特に、電子部品10をハンドキャリイする場合などにおいて、電子部品10を容易に目視することができるといった優れた効果を発揮することができる。
【0054】
以上、本発明の緩衝包装パックについて、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る緩衝包装パックは、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、緩衝包装パック1、1aに包装される被包装体は、一つに限定されるものではなく、たとえば、複数の被包装体を包装することができる。
【0055】
また、一対の内側フィルム21によって形成される、被包装体を収納する空間を密閉空間とし、真空脱気された空間や不活性ガスが充填された空間としてもよい。
さらに、緩衝用流体として、通常、空気が使用されるが、空気に限定されるものではなく、たとえば、水や冷媒などの液体を使用してもよい。このようにすると、保温性などを有する緩衝包装パックを提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1、1a、1b、1c 緩衝包装パック
2、2a 緩衝部材
3 両面テープ
4 包装用補助材
5 宛名ラベル
6 クリアケース
10 電子部品
11 仮想押圧面
21 内側フィルム
22 外側フィルム
23 ミシン目
24 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側フィルム、及び、該内側フィルムと接合される凸状の外側フィルムを有し、前記内側フィルムと前記外側フィルムとの間に、緩衝用流体が密封される一対の緩衝部材を備え、
前記一対の緩衝部材の前記内側フィルムどうしの間に、被包装体を挟持するように、前記一対の緩衝部材が接合されることを特徴とする緩衝包装パック。
【請求項2】
接合された前記一対の緩衝部材は、全方向の押圧に対して、前記外側フィルムと前記被包装体との間に、所定の距離が確保されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝包装パック。
【請求項3】
前記被包装体が、包装用補助材を介して挟持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝包装パック。
【請求項4】
前記包装用補助材が、発泡材又は気泡シートであることを特徴とする請求項3に記載の緩衝包装パック。
【請求項5】
前記緩衝部材に、前記緩衝用流体を注入、密封及び排出するための逆止弁、又は、前記緩衝用流体を注入及び密封するための注入口を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の緩衝包装パック。
【請求項6】
前記一対の緩衝部材が、ミシン目を介して連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の緩衝包装パック。
【請求項7】
前記外側フィルムが、補強層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の緩衝包装パック。
【請求項8】
前記内側フィルム及び前記外側フィルムが、透明であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の緩衝包装パック。
【請求項9】
前記一対の緩衝部材の少なくとも一部を覆う外用包装材を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の緩衝包装パック。
【請求項10】
前記外用包装材が、シュリンクスリーブ、エラスティックスリーブ、宛名ラベル、クリアケース、及び、紙器の少なくとも一つであることを特徴とする請求項9に記載の緩衝包装パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−68366(P2011−68366A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219452(P2009−219452)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】