説明

縁飾り具

【課題】衣服の袖口や裾口、巾着の口などの口縁の装飾が可能であるとともに、口をつぼめると言う機能を兼ね備え、かつ、衣服の袖口や裾口、巾着の口のサイズにも自在に合わせて適用することのできる縁飾り具を提供する。
【解決手段】本発明に係る縁飾り具1は、少なくとも一縁にフリル部2を有する帯状の扁平袋部3を設け、該扁平袋部3の一面に、透孔4を長さ方向に点在させたことを特徴とし、必要な長さに切断した扁平袋部3を巾着6の口、衣服7の袖口7a、裾口7bなどに縫い付けて飾るとともに、予め、扁平袋部3内に通した紐5の両端を最も端縁寄りの2つの透孔4、4よりそれぞれ引き出しておけば、該紐5を結ぶだけで形よく口をつぼめることができるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定長に切断した扁平袋部の袋内に紐を通し、その紐の両端を最も左右端縁寄りの2つの透孔よりそれぞれ引き出し、巾着の口、衣服の袖口、裾口などを飾るとともに、紐の両端を互いに結んで形よく口をつぼめるように使用できる縁飾り具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものは存在しないが、衣服の袖口や裾口などのつぼめ具として、特開平9−87912号公報、巾着の口のつぼめ具として、特開2001−72089号公報が開示されていた。
【0003】
前者のつぼめ具は、図7(a)の如く、たとえば、衣服(ズボン)51の裾口52の裏面両側の一方には係止具53を、他方には係止受部54をそれぞれゴムバンド53′及び54′を介して取付けてなる。しかして、通常の状態で衣服51を着用するときは、これら係止具53及び係止受部54は互いに非係止状態にされ、図7(b)の如く、裾口52をつぼめたり(右脚参照)、つぼめつつハショッたり(左脚参照)する必要があるときにはこれら係止具53と係止受部54とを係止させるように使用するものである。
【0004】
後者のつぼめ具は、図8(a)の如く、チューブ状の環体61の対向する個所A、Bに開口部62及び63を設け、該開口部62及び63のそれぞれから環体61のチューブ内に2本の紐64及び65を通して端部を引き出し、該引き出した端部をそれぞれ結んで環状にしてなるものである。しかして、この環体61を内容物(図示せず)を詰めた袋体66の口部67付近に嵌合(予め、縫付けておいてもよい)して、該環体61の各開口部62及び63より露出している紐64及び65の端部を矢印イ、ロの如く引くと、袋体66の口部67は図8(b)の如くつぼまり、巾着に襞が寄るようになっているものである。
【特許文献1】特開平9−87912号公報
【特許文献2】特開2001−72089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開平9−87912号公報記載のつぼめ具は、通常の状態で衣服51を着用しているときは、係止具53と係止受部54は互いに非係止状態にあってぶらぶらしているために人体の脚部に触れ、邪魔になってしまったばかりでなく、係止具53と係止受部54が裾口から露出してしまい、見た目の体裁も良いとは言えないものであった。一方、上記特開2001−72089号公報記載のつぼめ具は、袋体66の口部67をつぼめるものではなく、首部67′をつぼめて口部67に巾着状の襞を寄せるような使い方になる。もちろん、袋体66の口部67の端縁に沿って縫付けることもできるが、口部67を飾るという要素(フリル部がない)がなく、しかも、袋体66のサイズはマチマチであり、予め、袋体66の口部67のサイズを画定して、そのサイズにあったチューブ状の環体61の口径を決定する面倒があった。
【0006】
本発明は、上記種々の課題を一挙に解消するためのもので、その目的とするところは、衣服の袖口や裾口、巾着の口などの口縁の装飾が可能であるとともに、口をつぼめると言う機能を兼ね備え、かつ、衣服の袖口や裾口、巾着の口のサイズにも自在に合わせて適用することのできる縁飾り具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る縁飾り具は、少なくとも一縁にフリル部を有する帯状の扁平袋部を設け、該扁平袋部の一面に、透孔を長さ方向に点在させたことを特徴とし、必要な長さに切断した扁平袋部を巾着の口、衣服の袖口、ズボンの裾口などに縫い付けて飾るとともに、予め、袋内に通した紐の両端を最も端縁寄りの2つの透孔よりそれぞれ引き出しておけば、該紐を結ぶだけで形よく口をつぼめることができるように構成した。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記フリル部及び扁平袋部が、レース編からなることを特徴とし、フリル部及び扁平袋部を美麗に仕上げ得るとともに扁平袋部の透孔も、当部分の糸を編目を作らせずに飛ばすなどの方法により簡単に得られるように構成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適用しようとする個所、たとえば、巾着の口、衣服の袖口や裾口などの個所の周長に合わせて扁平袋部を裁断すれば、如何なるサイズにも自在に適用させることのできる利点がある。ここに扁平袋部を構成したのは、紐(飾り紐=リボン)を通すためである。この裁断に当たって重要なことは、裁断端が、扁平袋部の一面に長さ方向に点在させた透孔と透孔の間になるようにすることである。すなわち、扁平袋部内に通した紐の両端を、その扁平袋部の端部から単純に外出させたのでは、紐の両端を結んだときに袋部の端部が結び目の中に食込み、体裁を損なう格好になってしまうが、紐の両端を上述の如く扁平袋部の端部より内側の2つの透孔より引き出すと、袋部の端部が紐の結び目の中に食込むことがなく、袋部の端部の始末が体裁よく納まる利点がある。
【0010】
上述の如く裁断し、扁平袋部内に紐を通したものを、巾着の口、衣服の袖口や裾口などの個所に縫付ければ、該扁平袋部に設けたフリル部が口縁を飾ることができる。この袋部内に通した紐は、端部に瘤を作るなどして扁平袋部内に引き込まれないようにしておいても邪魔になることはないし、袖口や裾口をつぼめる必要があるときは、紐を結すべば容易にその目的を達することが可能であるなど各種の優れた効果を奏するものである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、レース編からなるフリル部及び扁平袋部は美麗に仕上がるばかりでなく、扁平袋部にあける透孔も、当部分の糸を交差させない(編目を作らせない)ように飛ばすなどの方法で簡単に得られ、コストの低減化に寄与できるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本願縁飾り具の一部省略斜視図、図2は裁断した扁平袋部内に通して紐の端部を外出させた状態の斜視図、図3は紐を通した本願縁飾り具を環状にした場合の斜視図、図4は図3の状態から紐引き寄せて互いに結んだ状態の斜視図、図5は巾着の斜視図で、(a)は開口状態、(b)はつぼめ状態、図6は幼時用の衣服の袖口、裾口に応用した斜視図である。
【0013】
本願縁飾り具1は、一縁にフリル部2を有する帯状の扁平袋部3を設け、該扁平袋部3の一面に、透孔4、4…を長さ方向に点在させてなる。フリル部2は、主に装飾を目的としているもので、柄や形態は自由に決定してよいし、装飾効果が期待できるならば、帯状の扁平袋部3の両縁あるいは他の個所にも形成することもある。
【0014】
前記帯状の扁平袋部3は、フリル部2を含めてトーションレース機を用いて編成することができる。この場合、フリル部2は一重編み、扁平袋部3は二重袋編みにて編成するとよい。この扁平袋部3は紐(飾り紐やリボンテープなど)5を通すためのもので、その幅は任意に決定してよいが、実施例では10mm程度の幅になっている。勿論、通す紐の太さや形態に合わせて拡大したり、縮小することもある。
【0015】
前記透孔4、4…は一定の間隔(たとえば30mm間隔)毎にあけられる。この透孔4は扁平袋部3をトーションレース機によって編成しようとする時は、該当部分の糸を交差させない(編目を作らせない)ように飛ばすことにより形成できる。該透孔4、4…は前記扁平袋部3に通す紐5の太さや形態に合わせて形成されるが、前記扁平袋部3の表面に目立たないように開けられるていることが好ましい。なお、前記透孔4は扁平袋部3の一面のみならず、表裏面に点在させてもよい。
【0016】
前記本願縁飾り具1は、これを適用しようとする個所、たとえば、巾着6の口、衣服7の袖口7aや裾口7bなどの個所の周長に合わせて裁断される。この裁断位置は、好ましくは扁平袋部3の透孔4と透孔4の間になるようにする。
【0017】
必要な長さに裁断された本願縁飾り具1の扁平袋部3内に、図2の如く、紐5を通し、該紐5の両端5a、5bを、前記扁平袋部3の裁断端に最も近い2つの透孔4、4より外出させる。次いで、図3の如く、扁平袋部3を丸め、外出させた紐5の両端5a、5bを図4の如く引き寄せて結んだときに扁平袋部3の裁断端は変形することがない。仮に、前記透孔4、4…が存在せず(あるいは存在していても)、扁平袋部3内を通した紐5の両端5aと5bを、単純に、裁断端から外出させたとすると、該紐5の両端5a、5bを結んだときに端部が結び目の中に食込むか、端部の体裁を損なう格好になってしまうおそれがある。なお、図3及び図4は図面を単純化するためにフリル部を省略した。
【0018】
上述の如く裁断した本願縁飾り具1は、図5(a)の如く、巾着6の口に扁平袋部3を内通した紐5を避けて逢着して飾ることができる。しかして該紐5の両端5aと5bを引くと、図5(b)の如く、巾着6の口をつぼめることができる。
【0019】
また、上述の如く裁断した本願縁飾り具1は、図6の如く、衣服(幼時用つなぎ)7の袖口7aや裾口7bに扁平袋部3を内通した紐5を避けて逢着すると、該袖口7aや裾口7bを飾ることができる。この場合も、必要に応じて、紐5の両端5aと5bを引くと、袖口7aや裾口7bを端折り上げることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係る縁飾り具は、所定長に切断した扁平袋部の袋内に紐を通し、その紐の両端を最も左右端縁寄りの2つの透孔よりそれぞれ引き出し、巾着の口、衣服の袖口、裾口などを飾るとともに、紐の両端を互いに結んで形よく口をつぼめるように使用できるものであり、種々の口部を飾ることができる有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願縁飾り具の一部省略斜視図である。
【図2】裁断した扁平袋部内に通して紐の端部を外出させた状態の斜視図である。
【図3】紐を通した本願縁飾り具を環状にした場合の斜視図である。
【図4】図3の状態から紐引き寄せて互いに結んだ状態の斜視図である。
【図5】巾着の斜視図で、(a)は開口状態、(b)はつぼめ状態である。
【図6】幼時用の衣服の袖口、裾口に応用した斜視図である。
【図7】従来のつぼめ具の第一例で、(a)は取付時、(b)はつぼめ時である。
【図8】従来のつぼめ具の第二例で、(a)は具体例、(b)は使用時である。
【符号の説明】
【0022】
1 本願縁飾り具
2 フリル部
3 扁平袋部
4 透孔
5 紐(飾り紐やリボンテープなど)
5a、5b 紐の両端
6 巾着
7 衣服
7a 袖口
7b 裾口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一縁にフリル部を有する帯状の扁平袋部を設け、該扁平袋部の一面に、透孔を長さ方向に点在させたことを特徴とする縁飾り具。
【請求項2】
前記フリル部及び扁平袋部が、レース編であることを特徴とする請求項1に記載の縁飾り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−162156(P2007−162156A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358335(P2005−358335)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(500485338)有限会社つかさレース (2)
【Fターム(参考)】