説明

縦型製袋充填包装機における充填筒構造

【課題】縦型製袋充填包装機において、エアーや置換ガスの吹き込み用のガス通路を包装物が投入される充填筒の投入通路の外に置いて充填筒の投入通路内面を清掃・洗浄をし易くすることにより、投入通路内面を常に清潔に保つことができる充填筒構造を提供する。
【解決手段】ガス通路34は、内側筒体20の外側に形成された縦溝25と、外側筒体10の内周面25aとの間に形成され、包装物が投入される内側筒体20内側の投入通路の外に置かれる。内側筒体20の筒状内面には隆起部はあるものの滑らかに形成され、包装物やその破片が付着し難くなる。また、たとえ包装物やその破片が付着したとしても、互いに実質的に重なる外側窓18及び内側窓28を通して充填筒の内部にアクセス可能であり、清掃・洗浄の邪魔になるものが無く、清掃・洗浄を行い易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状包装材からの袋の形成と当該袋内への包装物の充填とを順次繰り返して袋包装体を製造する縦型製袋充填包装機において、筒状包装材を案内するとともに内部を通して包装袋に包装物が投入される充填筒構造に関し、特に、エアー吹き込み又はガス充填を伴って包装物を袋に包装するのに用いられる縦型製袋充填包装機における充填筒構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の縦型製袋充填機の一例を示す概略斜視図であり、縦型製袋充填機50においては、帯状包装材60は、フォーマ51によって筒状包装材61に成形され、センタシール手段52によってセンタシールが施される。筒状包装材61には、充填用筒体53に投下される包装物である製品Sが充填される。エンドシール・カット手段54が筒状包装材61にエンドシールを施すことによって、先行して形成され且つ内部に包装物である製品Sが包装された袋包装体63を製造すると同時に、製品Sの投入が予定される袋62の底側のエンドシールを形成する。充填用筒体53の外周の左右両側には、筒状包装材61を挟んで送る包装材送りベルト機構55が配設されている。エンドシール・カット手段54を構成するシール・カット・ブロック54a,54bは、筒状包装材61に対して互いに接近・離反する作動をし、接近時に筒状包装材61を横断する方向に挟んで、袋62のための底側のエンドシールを形成するエンドシーラ部と、袋包装体63の上側のエンドシールを形成するエンドシーラ部とを有する。
【0003】
エンドシール・カット手段54は、更に、両エンドシーラ部間で、筒状包装材61を突き破る形態で切断するカッタ刃56を備えている。カッタ刃は、一方のシール・カット・ブロック54aに上側のエンドシーラ部と下側のエンドシーラ部との間において取り付けられており、他方のシール・カット・ブロック54bには、両シール・カットブロック54a,54bが相互に接近したときにカッタ刃56が入り込む溝57が形成されている。両シール・カットブロック54a,54bが接近するとき、上下のエンドシーラ部が包装材を挟み込むことで筒状包装材61を溶着してエンドシール部を形成すると同時に、カッタ刃56が筒状包装材61を突き破る態様で切断する。なお、充填用筒体53の下端には、筒状包装材61を直径方向両外側に緊張させる一対の緊張ガイド59,59が斜め下方に延びるように設けられている。
【0004】
図5に示すような縦型製袋充填包装機においては、エアー吹き込み包装又はガス置換包装をする場合には、外部に設けたガス源に接続されたパイプ58を充填筒内部に延ばして配置し、充填筒の内部を通して包装物を袋内に充填するときに、パイプから袋内にエアー又は不活性ガスを吹き込むことで、エアーで膨らんだ袋包装、又はエアーを不活性ガスで置換したガス充填包装を得ている。
【0005】
エアー又は不活性ガスを供給するパイプは、充填筒において、筒状包装材との干渉を回避するために帯状包装材か筒状包装材に形成される前の位置において外部から充填筒に接続されている。また、この供給パイプは、更に充填筒の内部を通って、好ましくは充填筒の先端からエンドシールを形成するエンドシーラの位置付近にまで延びているのが普通である。円筒内径の大きさによっては、供給パイプ等の各種部品を支持するためにUパイプ又は角ガイドが設けられており、Uパイプ又は角ガイドは、充填される包装物が引っ掛かることで充填筒内に包装物のブリッジを生じさせる原因になることがある。また、包装物が粉粒体やスナック菓子のような壊れやすい物である場合には、粉粒や菓子の破片が充填筒内のUパイプ又は角ガイド等の部品に付着しやすい。そのため、充填筒内を定期的或いは臨時的に掃除をする必要があるが、筒内部の清掃や洗浄のためには、充填筒を包装機から取り外す必要があり、また隅部をくまなく清掃・洗浄をするには作業時間が長くなる等、作業性が悪いという問題もある。
【0006】
また、気体供給パイプを中に通した充填筒の中には、粉粒体やスナック菓子の破片がUパイプ又は角ガイド等の部品に付着する機会を無くするため、包装物を投下・充填する部分と気体供給パイプが配置される部分とを区別するのに充填筒の内部に仕切り板を入れて、当該仕切り板を溶接にて筒体に固着していたものがある。しかしながら、このような構造では、溶接部での研磨や、完全な洗浄には長く非効率な作業を強いられる。粉粒体や菓子の破片は、袋内に投入しても舞い上がって充填筒の下端から仕切りの各内部に侵入し付着するものがあり、それらの清掃・洗浄にも不便で非効率な作業を強いられる。
【0007】
更に、昨今の多品種少量生産の傾向が進む中で、一つの包装機で多種類の食物を包装する機会が増えている。食物アレルギー等への関心の高まりを背景にして、種類が変更された食品を袋包装する場合には、それまでに包装していた種類の食物を微量でも包装機に残さないことを徹底することが求められている。そのため、充填筒の清掃・洗浄に一層時間を要するようになっている。
【0008】
包装袋内を空気又は窒素ガス等の不活性気体で置換するための置換ガス導入チューブをフィルムガイドチューブ(充填筒)内に配置し、製袋時にこれらの気体を包装袋内に送入することにより包装袋内部の空間を広げるか、あるいはガス置換する縦型製袋充填包装装置が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−40405号公報(段落0027、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、帯状包装材からの袋の形成と当該袋内への包装物の充填とを順次繰り返して袋包装体を製造し、エアー吹き込み又はガス充填を伴った包装物の袋包装を行なう縦型製袋充填包装機において、エアーや置換ガスの吹き込み用のガス通路を包装物が投入される充填筒の投入通路の外に置いて、充填筒の投入通路の内面に包装物やその破片が付着し難くすると共に、たとえそれらが付着したとしても充填筒の投入通路内面を清掃・洗浄をし易くする点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、エアーや置換ガスの吹き込み用のガス通路を包装物が投入される充填筒の投入通路の外に置いて充填筒の包装物投入通路の広さを十分に確保してブリッジが生じにくくし、更に、充填筒の投入通路の内面に包装物やその破片が付着し難くし、たとえそれらが付着したとしても充填筒の投入通路内面を清掃・洗浄をしやすくすることにより、投入通路内面を常に清潔に保つことができ、更に、食物アレルギーの観点からも、異なる食品製品を包装する際に、それまでに包装していた食品製品を微量でも充填筒に残存させないために内部の確実な清掃・洗浄を効率良く行なうことができる充填筒構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明による縦型製袋充填包装機における充填筒構造は、帯状包装材からの袋の形成と前記袋内への包装物の充填とを順次繰り返して袋包装体を製造する縦型製袋充填包装機において、前記帯状包装材を外側周面に沿わせた湾曲状態で走行案内させつつ筒状包装材を形成するのに用いられる外側筒体と、前記外側筒体内に嵌合され且つ筒状内部が前記筒状包装材から形成される前記袋内に前記包装物を投入するのに用いられる内側筒体とを備え、前記内側筒体には外側から内側に窪み長手方向に延びる縦溝が形成され、前記縦溝が前記外側筒体の内面で覆われてエアー又は充填ガスを前記袋内に供給するガス通路が形成されていることを特徴としている。
【0012】
この縦型製袋充填包装機における充填筒構造によれば、本充填筒構造は外側筒体と内側筒体との二重筒構造となっており、外側筒体の外側周面が帯状包装材を湾曲状態で走行案内させつつ筒状包装材を形成するのに用いられ、内側筒体の筒状内部が筒状包装材から形成される袋内に前記包装物を投入するのに用いられており、外側筒体と内側筒体との間に、内側筒体をその外側から内側に窪ませて長手方向に延びる態様で形成した縦溝を外側筒体の内面で覆うことでガス通路が形成されている。したがって、ガス通路は包装物が投入される充填筒の投入通路の外に置かれ、充填筒の筒状内部は包装物の投入通路としてのみ用いられる。充填筒の筒状内面には包装物やその破片がし難くなる。また、たとえ包装物やその破片が付着したとしても充填筒の投入通路内面には清掃・洗浄の邪魔になる部品はなく、清掃・洗浄をしやすい環境となる。ガス通路は、内外の筒体の間に形成されるので、専用の管を設ける必要もない。
【0013】
この縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記外側筒体には、前記帯状包装材が湾曲状態に巻き付け開始されるより上流位置において、エアー源又は充填ガス源に繋がる流体供給管と接続可能な栓を前記ガス通路に接続する状態で取り付けることができる。この構造によれば、流体供給管と接続可能な栓は、湾曲状態に巻き付けられる帯状包装材と干渉することのない位置に設けられる。流体供給管からのエアーや置換ガスは栓を通って、直ちに内外筒体の間に形成されるガス通路に入り込み、筒状包装材の先端側に向かって送入される。
【0014】
この縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記内側筒体には、前記縦溝と周方向に異なる位置に外側から内側に窪むとともに前記縦溝と平行に延びる一つ又は複数の補助溝を形成し、前記補助溝には、前記外側筒体との嵌合を滑らかにするローラユニットを配設することができる。この構造によれば、外側筒体内に内側筒体を嵌入させる場合に、補助溝に配設されているローラユニットが当該嵌入を転がり接触で案内するので、充填筒構造の組立ての作業性が向上する。
【0015】
このガス通路と補助溝を形成した縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記外側筒体と前記内側筒体とを長手方向の両端部における内外嵌合部分では溶接にて固着し、前記補助溝が前記筒状包装材の送り出し側で開口する溝端を端蓋によって閉鎖することができる。外側筒体と内側筒体との長手方向の両端部における内外嵌合部分を溶接で固着し、補助溝が開口する溝端を端蓋で閉鎖することで、外側筒体と内側筒体との間の空間はガス通路が筒状包装材の送り出し側で開口する溝端以外すべて閉鎖されるので、包装物やその破片の舞い上がりによって当該空間に付着して汚染源となることを防止することができる。ガス通路からは常時、供給されるエアーやガスが吹き出すので、包装物やその破片がガス通路内に入り込むことはない。
【0016】
このガス通路と補助溝を形成した縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記縦溝及び前記補助溝は、前記内側筒体内に置かれ且つ前記縦溝及び前記補助溝に対応した溝が形成された芯金筒体と、前記内側筒体を挟んで前記溝に向かって押圧されるプレス治具とによってプレス成形することができる。充填筒構造を二重構造として、内側筒体の外側より治具によりプレスにてガス通路と補助溝のための必要な凹所を施し、外側筒体を被せてエアー吹き・ガスの通路としたので、簡単な加工作業にてガス通路と補助溝を形成することができる。また、プレスによって形成しているので、内側筒体の内面は滑らかな曲面に形成することができ、包装物やその破片が付着しにくい構造が得られる。
【0017】
この縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記外側筒体と前記内側筒体とには、周面において実質的に重なる内側窓と外側窓とを形成し、前記内側窓を閉じ蓋によって閉鎖することができる。閉じ蓋を取り除くことによって、内側窓が開き、内側窓とそれに実質的に重なる外側窓とを通して、内側筒体の内部にアクセスすることができる。清掃や洗浄をし終えれば、閉じ蓋で内側窓を閉鎖することで、充填筒構造を使用可能な状態に戻すことができる。
【0018】
閉じ蓋で内側窓を閉鎖する上記の縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記外側筒体に形成されている外側窓を前記内側筒体に形成されている内側窓よりも周方向で広く形成し、且つ前記外側窓の周方向両側の縁部内側に前記内側筒体の内側窓の縁部を棚部として残し、前記閉じ蓋を前記棚部にガイドされて前記内側窓に嵌合させて前記内側窓を閉鎖することができる。このような、棚部を残す構造によって、閉じ蓋を内側窓内に配置して所定の位置に納め、内側筒体の内面を滑らかな筒面として包装物やその破片が付着し易い隅部を作らないようすると共に内側窓の開閉作業を簡単化することができる。
【0019】
閉じ蓋で内側窓を閉鎖する上記の縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記閉じ蓋に、指を掛けて掴むことで取り外すことを可能にする取外し孔を形成することが好ましい。閉じ蓋は、閉鎖状態では内側筒体と面一状態であり、取外しに掴むところが存在しない。閉じ蓋に指を掛ける取外し孔を形成しておくことによって、取外し孔に指を掛けて内側窓に嵌合している閉じ蓋を容易に取り外すことができる。また、逆に、閉じ蓋を内側窓に容易に嵌め付けることができる。
【0020】
閉じ蓋で内側窓を閉鎖する上記の縦型製袋充填包装機における充填筒構造において、前記内側窓には縦方向において前記外側窓の縁部を超えて広がる凹部を形成しておき、前記閉じ蓋に前記凹部に嵌合する凸部を形成することができる。閉じ蓋の内側窓に対する凹凸嵌合によって、閉じ蓋を内側窓に対して所定位置に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、従来の充填筒の内部にパイプ又は取付け部品等の障害物があると、粉粒体やスナック菓子のような壊れやすい包装物が付着し易く、しかも付着して汚れとなった付着物を完全に洗浄するには長く且つ非効率な清掃・洗浄作業が強いられてきたが、本発明による充填筒構造では、充填筒の内部に凸はあるにしてもガス通路を形成するためにプレスをして内側に隆起して形成されているものであり、エアーや置換ガスの吹き込み用の送込管に相当するガス通路は包装物が投入される充填筒の投入通路の外に形成されていることと相まって充填筒内の表面が滑らかであり、粉粒体や菓子の破片等が付着し難く、しかも仮に付着しても清掃や洗浄に完全を期し易い構造となる。したがって、食物アレルギー対策としても、異なる食品製品を包装する際に、それまでに包装していた食品製品を微量でも充填筒に残さないために行なう充填筒内部の確実な清掃・洗浄を、短時間で効率良く行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、この発明による縦型包装機における充填筒構造を説明する。図1は、本発明による内外の二重筒体式に構成された充填筒構造の外側筒体を示す図であり、(a)はその外側筒体の正面図、(b)はその外側筒体の背面図である。図2は、本発明による二重筒体式に構成された充填筒構造の内側筒体を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその背面図、(c)はその側面図、(d)は(b)におけるd−d面での横断面図である。本発明による充填筒構造は、図5に示し且つ説明したような縦型製袋充填包装機に適用可能であり、以下では包装機についての再度の説明を省略する。
【0023】
図1において、外側筒体10は包装機の機枠に固定されるフランジ11に取り付けられる横断面円形の円筒体12で構成されている。フランジ11の直ぐ下方における円筒体12の上部には、流体供給管を接続するための栓(継手)15が取り付けられている。栓15は、フォーマによって帯状包装材が湾曲状に形成された包装材の両側縁が縦ヒートシーラによって重ね合わされる直前の上流側位置に配置されているので、帯状包装材や湾曲形成された包装材とは干渉しない。
【0024】
図1(a)の正面図に示すように、円筒体12の下端14には周方向の位置として、栓15が取り付けられた位置とそれに直径方向に対向する位置とに、一対の緊張ガイド16,16(図5に示す従来例の緊張ガイド59,59に相当)が下方外側に斜めに張り出して設けられている。図では、紙面手前側の緊張ガイド16のみを示しており、他方の緊張ガイド16は手前側の緊張ガイド16の紙面奥側に隠れている。緊張ガイド16,16は、外側筒体10に被さって走行する筒状包装材を内部から直径方向の相対向する外側に向かって緊張させて、その後に筒状包装材(図5に示す従来例の筒状包装材61に相当)を挟み込んで行なわれるエンドシールを容易にしている。図3(c)に示すように、栓15に接続される流体供給管31は、外部のエアー源又は充填ガス源に繋げられており、栓15を通じて供給されたエアー又は充填ガスは、後述する充填筒内に形成されたガス通路を通って充填筒の下端から吹き出され、外側筒体10の下方に繰り出される筒状包装材の内部に送り込まれて、製造される袋包装体Pの内部をエアーで膨らませる又は充填ガスで置換・充満させることができる。
【0025】
図1(b)の背面図に示すように、外側筒体10において、栓15が取り付けられている位置とは直径方向の反対位置で且つ長手方向(軸方向)で中程から下端14に渡って、縦方向(上下方向)に長い矩形の外側窓18が開けられている。外側窓18は、後述する内側筒体20に形成される内側窓28と実質的に重なっており、外部から充填筒の内部へのアクセスを可能にしている。
【0026】
図2において、内側筒体20は、外側筒体10に隙間が殆ど無い状態で嵌入する略円筒体22であり、軸方向の長さは外側筒体10の長さと同じに形成されている。内側筒体20には、図2(a)に示されているように、その外側から内側へと窪みとしての形態で、エアー又は充填ガスが通るガス通路を形成するための縦溝25が形成されている。縦溝25は、周方向の形成位置としては栓15が取り付けられている位置に形成されており、軸方向では栓15の取付け位置を含むがその上方では窪みが途中で途絶えており、下方向には窪みのまま下端24で開放形成されている。縦溝25は、詳細を後述するようなプレスによって、内側筒体20を円弧状に窪むように変形させて形成することができる。
【0027】
図2(c)に示されているように、内側筒体20の、縦溝25が形成されている位置と周方向にそれぞれ90°離れた位置には、縦溝25と同様に、外側から内側へと窪みとしての形態で軸方向に延びる縦溝としての補助溝26,27が形成されている。補助溝26,27は、図2(d)に断面形状で示すように、溝底が平らに形成されているが、縦溝25と同様に、上方では窪みが途中で途絶えており、下方向には窪みのまま下端24に開放形成されている。補助溝26,27内には、後述するように、多数のローラ32aが並べて設けられて成るローラユニット32が配置される。
【0028】
図2(b)に示されているように、内側筒体20において、縦溝25が形成されている位置とは直径方向の反対位置で且つ長手方向(軸方向)で中程から下端部に渡って略矩形の内側窓28が開けられている。内側窓28は、外側筒体10に形成される外側窓18の幅Woよりも僅かに幅狭な幅Wiを有しており、縦方向(軸方向)には外側窓18の縁部よりも外側へ延びる凹部28a,28aが形成されている。外側窓18と内側窓28との幅方向の中心位置は一致している。
【0029】
図3は、本発明による二重筒体式に構成された充填筒構造の一例を示す図であり、図1に示す外側筒体に図2に示す内側筒体を嵌入させた状態を示している。図3(a)は充填筒構造の正面図、(b)は(a)に示す充填筒構造の背面図、(c)は(a)に示す充填筒構造下面図である。外側筒体10と内側筒体20とが重ねられた充填筒構造1においては、外側筒体10の上端13と内側筒体20の上端23の全周、及び外側筒体10の下端14と内側筒体20の下端24のうち内外で近接した周部分で溶接される。充填筒構造1の下端について、溶接部分35が図3(c)に示されている。また、下端14,24では補助溝26,27が開放して形成されているので、図3(c)に示されているように、充填物が粉粒体であるときの粉粒や壊れやすい包装物の破片が補助溝26,27に入り込むことがないように、補助溝26,27の開放端は端蓋30,30で閉じられる。図3(d)に示されているように、補助溝26,27内に配置されたローラユニット32,32は、多数のローラ32aを回転自在に並べて構成されており、組立て時に外側筒体10と内側筒体20とを互いに転がり抵抗でスムーズに嵌合させることができる。
【0030】
充填筒構造1において、縦溝25は、栓15の位置に一致しているので、外部のエアー源又は充填ガス源から流体供給管31を通じて供給されるエアー又は充填ガスは、栓15から縦溝25と外側筒体10の内面とで囲まれるガス通路34を通じて、充填筒構造1の下端においてガス通路34の開口端から吹き出され、外側筒体10を被さって走行する筒状包装材内に送り込まれる。筒状包装材から形成される袋内に入ったエアー又は充填ガスは、余剰分が内側筒体20を通じて上方へ排出される。
【0031】
図3(b)に示すように、充填筒構造1の裏面側では、外側筒体10の外側窓18が内側筒体20の内側窓28よりも幅広であるので、外側窓18の周方向両側の縁部の内側に周方向両側に棚部29,29が形成される。内側筒体20の内側窓28に縦方向に広がって形成される凹部28a,28aは、外側筒体10によって覆われており、外側筒体10の外側窓18内には現れない。内側窓28には図3(e)に示す閉じ蓋33が被せられる。閉じ蓋33は、その縦方向(長手方向)両側に形成されている凸部33a,33aが凹部28a,28aに入り込み、棚部29,29にガイドされて内側窓18を閉じることができる。閉じ蓋33は適宜の金具等の固定具によって充填筒構造1に固定される。固定具は、例えば、棚部29,29を利用して係止させるなどして、充填筒構造1の包絡曲面の内部に納まる構造とすることで、筒状包装材のスムーズな走行を妨げることのないようにするのが好ましい。閉じ蓋33を斜めにすることで、外部から外側窓18及び内側窓18を通して内側筒体20の内部に移動させることができ、その後、内側筒体20の内部側から内側窓18に丁度嵌入するように移動させて内側窓18を閉じることができる。
【0032】
閉じ蓋33には、中央の適宜位置に取外し孔33b,33bが形成されている。充填筒構造1を取り外すことなく内部を掃除する場合、閉じ蓋33の取外し孔32b,32bに指を入れて、内側筒体10の内側窓28に嵌め込んでいる閉じ蓋33を取り外すことで、外側窓18及び内側窓28を通じて内側筒体20の内部にアクセス可能となり、内側筒体20の内部をエアーガンによる空気の吹き付けで清掃をする、或いは洗浄液の噴射等で洗浄をすることができる。内側筒体20の内面は、縦溝25及び補助溝26,27をプレス成形の際に隆起部分が形成されるが、その表面は滑らかであるので、包装物である粉粒体や壊れ易い菓子の破片等が引っ掛かって付着する部分がない。仮にこれらの物が付着したとしても、外側窓18及び内側窓28を通して清掃や洗浄が極めて容易であり、清掃・洗浄の作業時間を短くして作業性を向上させることができる。
【0033】
図4は、充填筒構造の内側筒体をプレス成形する際の成形態様の一例を示す模式図である。図4においては、プレス成形による縦溝25、又は補助溝26,27の形成方法の一例が示されている。円筒体22より僅かに径が小さい芯金40に円筒体22内に嵌入する。芯金40には、縦溝25及び補助溝26,27に対応した溝型41〜43が予め形成されている。一方、プレス治具44は、縦溝25に対応した押し型45を有している。押し型45を芯金40の溝型41に向けて、プレス治具44を円筒体22の外側から押圧することにより、押し型45と溝型41との間で円筒体22をプレス加工する。補助溝26,27についても、それぞれ対応した押し型を有するプレス治具と溝型42,43との間でプレス加工にて形成することができる。縦溝25及び補助溝26,27は円筒体22の一端に開口して形成されているので、プレス加工が終了したときに芯金40を加工済の円筒体22より引き抜くことができる。溝型41〜43を滑らかな加工面に形成しておくことにより内側筒体20の筒内面は滑らかに形成され、充填筒として用いられた充填されるときに粉粒体や菓子の破片等が付着し難くなる。また、清掃・洗浄する際にも、汚れを効率的に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による内外の二重筒体式に構成された充填筒構造の外側筒体を示す図である。
【図2】本発明による二重筒体式に構成された充填筒構造の内側筒体を示す図である。
【図3】本発明による二重筒体式に構成された充填筒構造の一例を示す図である。
【図4】充填筒構造の内側筒体をプレス成形する際の成形態様の一例を示す模式図である。
【図5】従来の縦型製袋充填包装機の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 充填筒構造
10 外側筒体 11 フランジ
12 円筒体 13 上端
14 下端 15 栓(継手)
16 緊張ガイド 18 外側窓
20 内側筒体 22 円筒体
23 上端 24 下端
25 縦溝 26,27 補助溝
28 内側窓 28a 凹部
29 棚部 30 端蓋
31 流体供給管
32 ローラユニット 32a ローラ
33 閉じ蓋 33a 凸部
33b 取外し孔 34 ガス通路
35 溶接部分
40 芯金 41〜43 溝型
42 プレス治具 45 押し型
Wo 外側窓の幅 Wi 内側窓の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材からの袋の形成と前記袋内への包装物の充填とを順次繰り返して袋包装体を製造する縦型製袋充填包装機において、
前記帯状包装材を外側周面に沿わせた湾曲状態で走行案内させつつ筒状包装材を形成するのに用いられる外側筒体と、前記外側筒体内に嵌合され且つ筒状内部が前記筒状包装材から形成される前記袋内に前記包装物を投入するのに用いられる内側筒体とを備え、前記内側筒体には外側から内側に窪み長手方向に延びる縦溝が形成され、前記縦溝が前記外側筒体の内面で覆われてエアー又は充填ガスを前記袋内に供給するガス通路が形成されていることを特徴とする充填筒構造。
【請求項2】
前記外側筒体には、前記帯状包装材が湾曲状態に巻き付け開始されるより上流位置において、エアー源又は充填ガス源に繋がる流体供給管と接続可能な栓が前記ガス通路に接続する状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の充填筒構造。
【請求項3】
前記内側筒体には、前記縦溝と周方向に異なる位置に外側から内側に窪むとともに前記縦溝と平行に延びる一つ又は複数の補助溝が形成されており、前記補助溝には、前記外側筒体との嵌合を滑らかにするローラユニットが配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の充填筒構造。
【請求項4】
前記外側筒体と前記内側筒体とは、長手方向の両端部における内外嵌合部分では溶接にて固着されており、前記補助溝が前記筒状包装材の送り出し側で開口する溝端は、端蓋によって閉鎖されていることを特徴とする請求項3に記載の充填筒構造。
【請求項5】
前記縦溝及び前記補助溝は、前記内側筒体内に置かれ且つ前記縦溝及び前記補助溝に対応した溝が形成された芯金筒体と、前記内側筒体を挟んで前記溝に向かって押圧されるプレス治具とによってプレス成形されることを特徴とする請求項3又は4に記載の充填筒構造。
【請求項6】
前記外側筒体と前記内側筒体とには、周面において実質的に重なる内側窓と外側窓とが形成されており、前記外側窓は閉じ蓋によって閉鎖されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の充填筒構造。
【請求項7】
前記外側筒体に形成されている外側窓は前記内側筒体に形成されている内側窓よりも周方向で広く形成されており、且つ前記外側窓の周方向両側の縁部内側には前記内側筒体の内側窓の縁部が棚部として残されており、前記閉じ蓋は前記棚部にガイドされて前記内側窓に嵌合して閉鎖していることを特徴とする請求項6に記載の充填筒構造。
【請求項8】
前記閉じ蓋には、指を掛けて掴むことで取り外すことを可能にする取外し孔が形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の充填筒構造。
【請求項9】
前記内側窓には縦方向において前記外側窓の縁部を超えて広がる凹部が形成されており、前記閉じ蓋には前記凹部に嵌合する凸部が形成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の充填筒構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−213910(P2008−213910A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56470(P2007−56470)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】