説明

縦形製袋充填機の物品保持移送装置

【課題】筒状フィルムに上方から供給される物品に対する落下による衝撃から保護することができ、かつ個別物品を包装するに際してだぶつきのない包装品を得ることを可能とする。
【解決手段】製袋手段14で成形されて下方に搬送される筒状フィルムFの一側となる後側に面して、筒状フィルムFの一側面を保持して下方に案内する送りベルト46が配設され、該送りベルト46に筒状フィルムFの一側面を局部的に押し込む支持片46aが走行方向に所定間隔毎に突設される。支持片46aは、筒状フィルムFを内側に突出した状態で、上方から供給された冷菓10の底部を支持した状態で筒状フィルムFと同速で下降し、物品支持終了部ENに至り、リターン側へ移行することで支持が解除された冷菓10が筒状フィルムFの底部まで落下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦形製袋充填機において上方から供給された物品が筒状フィルム内を袋底部に至る際の落下を規制する物品保持移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦形製袋充填機において筒状フィルムに上方から供給される物品の落下を規制し、物品が袋底部に至った際の衝撃を緩和することが可能な装置として、例えば特許文献1,2に開示のものが存在する。この装置では、筒状フィルムが外周に沿って案内される充填筒内にエレベータを昇降自在に設け、上方から落下供給された物品を充填筒の上部でエレベータのシャッターで受止めて下部まで積下し、シャッターの解放により物品を袋底部に充填するよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−108692号公報
【特許文献2】特許第2618773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示の装置では、筒状フィルム内に配置したエレベータの昇降機構部やシャッターを作動するための作動機構部をフィルム内で移動するためのスペースの確保が必要であるため、例えば、バラ物品等のように物品の内容量に対して比較的余裕を持った袋サイズとして包装されるものには対応し得るとしても、個別物品等のように充填物品に対してだぶつきのないフィルム袋詰め品とするものには対応し得ない。
【0005】
また、筒状フィルム内を昇降移動するエレベータが1往復するまで、次の物品を供給することができず、包装能力を高めることができない等の各種問題が指摘される。
【0006】
すなわち本発明は、筒状フィルムに上方から供給される物品に対する落下による衝撃から保護することができ、かつ個別物品を包装するに際してだぶつきのない包装品を得ることができる縦形製袋充填機の物品保持移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る縦形製袋充填機の物品保持移送装置は、
供給源から引出された帯状フィルムを筒状に成形する製袋手段と、下方に向けて搬送される筒状フィルムの長手方向の重合部をシールする縦シール手段と、筒状フィルムに供給された物品の上下位置において横シールを施す横シール手段とを備えた縦形製袋充填機において、
前記縦シール手段と、筒状フィルムを挟んだ位置に対向して配設され、該筒状フィルムの一側面を保持してフィルム搬送速度と同速で走行する無端索体と、該無端索体に配設され、前記筒状フィルムの一側面を局部的に押し込んで、該押込部により前記物品の底部を支持して下方へ移動する支持片との夫々を有する搬送体と、
前記縦シール手段と筒状フィルムとの間に臨み、該筒状フィルムの他側面を前記支持片が物品の底部を支持して下方へ移動する移動範囲に亘って案内するよう配設したガイド手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記ガイド手段には、前記縦シール手段から発する熱を断熱する冷却板を設けたことを要旨とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記支持片における物品の支持範囲は、前記製袋手段におけるフィルムの重合位置より上方の収束部から、前記筒状フィルムを横シールする横シール手段の上部近傍位置までとするよう設定したことを要旨とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記支持片は、前記製袋手段におけるフィルムの重合位置より上方の収束部でフィルムを内方に向けて押し込むよう設定され、そのフィルム押し込み位置に対して物品を把持して上方から供給する把持手段を配設したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、無端索体に設けた支持片で筒状フィルムの一側面を局部的に押し込んで突出させ、フィルムを介して支持片で物品底部を支持して下方に搬送するので、物品が筒状フィルムの底部に至るまでの落下距離を短縮することができ、落下による衝撃で物品が変形や損傷等するのを防止し得る。また、支持片で局部的に押し込んだフィルム上に物品が着座するので、フィルムにより衝撃が緩和されて物品の変形を防止することができる。更に、物品底部を支持して搬送する搬送体を筒状フィルムの外側に配設して該搬送体の支持片を循環移動するようにしたので、筒状フィルム中のエレベータを往復移動するようにした従来装置に対してサイクルタイムを短縮して包装能力を向上することができる。また、フィルム内に供給される物品に搬送体が直接触れることがないので、機械的構成部品から物品に対して雑菌が付着してしまう等の不測の事態を招いてしまうようなことがない。更にまた、筒状フィルム内に物品の搬送体が存在しないので、充填物品に対してフィルムの使用量を抑えた袋詰め品を得ることができる。特に、物品1個を包装する包装形態等において、物品の周囲にフィルムのだぶつきのない包装品を得ることができる。また、搬送体の走行面で筒状フィルムの一側面を保持して案内し、縦シール手段と筒状フィルムとの間に臨むガイド手段で筒状フィルムの他側面を案内するので、支持片で局部的に押し込んだフィルムの押込部によって物品を確実に支持して下方に案内することができる。
請求項2に係る発明によれば、冷菓、その他熱の影響を受け易い物品を縦シール手段からの熱から保護して、変形や変質等を防止し得る。また、熱の影響を受けた物品の表面が溶けた水分によって物品がフィルム内面に付着してしまうことで筒状フィルム底部までの落下が妨げられることはなく、横シール時に物品を噛み込んだり、あるいは前記水分が横シール位置に付着してシール不良が発生するなどといった包装不良の発生を未然に防ぐことができる。
請求項3および請求項4に係る発明によれば、筒状フィルムに供給される物品は、帯状フィルムが筒状成形される前の位置から横シール手段の上方近傍位置まで支持片で支持して下降するので、落下の衝撃によって物品が変形や損傷等するのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例に係る物品保持移送装置を備えた縦形製袋充填機の概略側面図である。
【図2】実施例に係る縦形製袋充填機の要部概略正面図である。
【図3】実施例に係る搬送体の支持片での物品支持状態を示す縦形製袋充填機の概略縦断側面図である。
【図4】実施例に係る搬送装置と製袋手段および支持片との関係を示す要部概略正面図である。
【図5】実施例に係る製袋手段と支持片との関係を示す横断平面図である。
【図6】実施例に係るガイド部材と支持片との関係を示す横断平面図である。
【図7】別実施例に係る搬送装置における把持手段の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る縦形製袋充填機の物品保持移送装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、筒状フィルムの搬送路に対して縦シールが施される側を「前側」、その反対側を「後側」と指称し、その前後方向と交差する方向を左右方向と指称するものとする。また実施例では、物品として凍結部本体10aからスティック10bが所定長さ突出する冷菓10を好適な例として挙げている。なお、対象とする物品は、冷菓に限らず落下の衝撃によって変形や損傷し易い、その他各種の物品に適用可能であり、主としてそれらの物品を一個づつ包装する形態に採用することが好ましい。
【実施例】
【0014】
図1に示す縦形製袋充填機は、フィルム供給源から引出された帯状フィルムfを角筒状に成形する製袋手段14を備え、該製袋手段14によって得られた筒状フィルムFは、製袋手段14の下方に配設されて重合部Faを左右から挟持して回転する搬送手段としての一対の送りローラ16,16によって下方へ連続的に搬送されるようになっている。また、送りローラ16,16の下方に近接する位置には、前記重合部Faを左右から挟持して回転する一対のシールローラ18,18を備える縦シール手段20が配設され、送りローラ16,16で挟持されて下方へ案内される前記重合部Faを加熱溶着して縦シールを施す。送りローラ16,16とシールローラ18,18との間に、前記重合部Faを左右から挟持して自由回転する一対の補助ローラ22,22が配設されている。
【0015】
前記縦シール手段20の下方に所定間隔離間する位置には、筒状フィルムFの搬送方向と交差する方向に向けて筒状フィルムFに横シールを施す横シール手段24が配置される。横シール手段24は、図1に示す如く、筒状フィルムFの搬送路を挟んで前後に対向する一対のシール体26,26を備え、両シール体26,26によって筒状フィルムFを挟持した状態で、筒状フィルムFの搬送方向に沿って筒状フィルムFの搬送速度と同じ速度で下降して横シールを施した後、相互に離間して上昇し、再び筒状フィルムFを挟持して下降する運動を繰返す、いわゆるボックスモーションを行なう。なお、一方のシール体26にはカッタ28が設けられており、両シール体26,26による筒状フィルムFの挟圧時に併せて該フィルムFが切断されて、1袋分の袋が得られる。
【0016】
前記製袋手段14は、図1または図2に示す如く、前壁30aおよび左右の側壁30bを有し、後方に開口する案内部30と、該案内部30の上端縁に設けられた襟部32とからなり、案内部30の前壁30aには上下方向および前後方向に開口し上方から下方に向けて幅寸法が小さくなるV字状の収束部30cが形成されると共に、前壁30aには収束部30cの下端から前壁30aの下端まで延在する所定幅のスリット30dが形成されている。また、製袋手段14における重合位置としての、スリット30dの開始端部には補助ガイド33,33が配設され、この補助ガイド33,33によって帯状フィルムfの長手方向両端が立ち上げ案内される。そして、製袋手段14を通過する帯状フィルムfは、案内部30の内面に沿い、その両端縁部が収束部30cで案内されて徐々に近接された後にスリット30dに導入される位置が重合位置POとなり、該重合位置POを経たフィルムの両端縁部が合掌状に重合された状態となって、該重合部Faがスリット30dから外方に突出した状態で角筒状に成形されるようになっている。
【0017】
前記製袋手段14における案内部30は、その下端部が前記補助ローラ22,22と縦シール手段20との間に臨む位置まで延在する。また、案内部30の下端部にその上端部が重なるように配設され、またその下端部が前記横シール手段24におけるシール体26,26の閉成位置CLの直上位置まで延在するガイド部材34が配設される。このガイド部材34は、図2または図6に示す如く、前記案内部30のスリット30dと合致する位置で前記重合部Faの通過を許容し得る所定の隙間36aを隔てて配設され、前記補助ローラ22,22およびシールローラ18,18と筒状フィルムFとの間に臨むように位置する左右一対の冷却板36,36と、各冷却板36に取着されて筒状フィルムFの左右に臨む側部ガイド38,38とを備え、筒状フィルムFの前側および左右の両側をガイド部材34で支持して下方へ案内し得るよう構成される。また両冷却板36,36は、筒状フィルムF中の冷菓10に対してシールローラ18,18からの熱影響を防ぐ断熱体として機能する。なお、製袋手段14の案内部30およびガイド部材34により筒状フィルムFを案内するガイド手段が構成される。
【0018】
前記各冷却板36の内部には、図2に示す如く、筒状フィルムFの左右幅に対応し前記縦シール手段20による熱影響が想定される所定範囲について液路36bが夫々形成され、その液路36bには給水口37aおよび排水口37bとが設けられて、該液路36bを水等の冷却液が所定の流速によって循環することで、冷却板36の温度上昇を防ぐよう構成される。また、前記給水口37aと排水口37bを介して冷却液の外部循環経路に冷却手段が配設され、該冷却手段によって冷却液が冷却されて液路36bを循環することによる温度上昇を防ぐよう構成される。
【0019】
前記製袋手段14の上方には、図4に示す如く、冷菓10のスティック10bを把持するクランパからなる把持手段40を複数備える搬送装置42が配設され、図示しない冷菓製造機で製造された冷菓10のスティック10bを把持手段40で把持して製袋手段14の上方まで吊り下げ状態で搬送し、各把持手段40を順次製袋手段14の上方まで移動して冷菓10を筒状フィルムF内に所定タイミング毎に落下供給するよう構成される。
【0020】
図1および図3に示す如く、前記筒状フィルムFの一側となる後側に面して、一対のプーリ44,44間に巻掛けられた無端索体としての歯付き無端べルトから構成される送りベルト46と、該送りベルト46の走行方向に向けて所定間隔毎に突設した支持片46aとからなる搬送体48が配設される。搬送体48は、送りベルト46がサーボモータ等の駆動手段50によってフィルム搬送速度と同速度で連続走行され、送りベルト46に突設した支持片46aを下降する。
【0021】
前記搬送体48は、前記筒状フィルムFの一側面を送りベルト46で保持して下方に案内し、筒状フィルムFに面するベルトの支持片46aで筒状フィルムFの一側面を局部的に内方に向けて押し込むよう構成される。支持片46aは、筒状フィルムFを内側に突出した状態で、筒状フィルムFに向けて上方から供給された冷菓10の底部を支持した状態で筒状フィルムFと同速で下降する。支持片46aによるフィルムの押込量としては、筒状フィルムFに上方から供給された冷菓10の底部が支持片46aの上部に着座し、該冷菓10を支持して下方へ搬送可能で、また、そのフィルムの押し込みによって筒状フィルムFの搬送が阻害されない、例えば筒状フィルムFの有効厚(前記冷却板36と送りベルト46の対向面間の距離)の略1/2〜1/3の量に設定される。なお、支持片46aは、ゴム材その他緩衝作用を得ることが可能な材質からなり、落下供給された冷菓10を支持片46aで押し込んだフィルムを介して受止める際に、冷菓底部が変形あるいは損傷することや、フィルムに傷が付いたりすることがないように構成されている。
【0022】
図2または図3に示す如く、前記支持片46aの物品支持範囲における開始基点となる物品支持開始部BE(フィルム押し込み位置)は、前記製袋手段14におけるフィルムの重合位置POより上方の前記収束部30cに設定され、また物品支持終了部ENは、前記横シール手段24の閉成位置CLの上方近傍位置に設定され、前記物品支持開始部BEにおいて支持片46aでフィルムの一側面が局部的に内方に押し込まれてその押込部の上部に冷菓10の底部が着座した状態で支持し、その支持状態でフィルムが下方へ搬送されるのに伴って該フィルムと同速で支持片46aが下方へ移動して冷菓10は前記閉成位置CLの上方近傍位置まで搬送される。そして、送りベルト46の走行によって物品支持終了部ENから支持片46aがリターン側へ移行するのに伴って支持片46aはフィルムの一側面から離間して冷菓10の支持が解除される。なお、搬送体48は、前記把持手段40から冷菓10が落下供給されるタイミングに合わせて支持片46aを前記物品支持開始部BEに位置させるように、前記送りベルト46が前記筒状フィルムFの搬送速度と同速度で連続走行するよう設定されている。
【0023】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る縦形製袋充填機の物品保持移送装置の作用につき説明する。
【0024】
フィルム供給源から引出されて前記製袋手段14に給送される帯状フィルムfは、前記襟部32で案内されて案内部30の内側に折り込まれることで徐々に筒状に成形されると共に、その長手方向の両端縁部が案内部30の収束部30cに沿って徐々に近接し、前記補助ガイド33,33が配設されたフィルム重合位置POにおいて前記両端縁部が立ち上げられて前記スリット30dに導入されることで合掌状に重合される。そして、スリット30dから外方に突出する重合部Faが前記送りローラ16,16に挟持されて角筒状に形成された筒状フィルムFの前記他側面に面する案内部30の内側に沿って下方に搬送され、筒状フィルムFの重合部Faには、前記縦シール手段20により縦シールが施される。
【0025】
前記搬送装置42の把持手段40で把持された冷菓10は、図4に示す如く、前記製袋手段14の上方まで搬送されて、筒状フィルムFに向けて落下供給される。前記搬送体48における支持片46aが前記製袋手段14の収束部30cにおける前記重合位置POより上方でフィルムに後方から当接して、筒状フィルムFの一側面を局部的に内方に向けて押し込むと共に、送りベルト46が角筒状に成形された筒状フィルムFの一側面を保持して下方に向けて案内する。搬送体48は、冷菓10の落下タイミングに合わせて、支持片46aが前記製袋手段14の重合位置POより上方の収束部30cにおける物品支持開始部BEに到来するように連続走行されており、供給された冷菓10の底部が支持片46aによるフィルムの押込部の上部位置に着座し、その支持状態でフィルムが下方へ搬送されるのに伴い、支持片46aがフィルムと同速度で下方へ移動することによって冷菓10は横シール手段24の閉成位置CLの上方近傍位置まで支持された状態で搬送される。
【0026】
前記支持片46aが物品支持終了部ENを経て、リターン側へ移行することで冷菓10の支持が解除されて、該冷菓10は前記横シール手段24によって横シールされている筒状フィルムFの底部まで落下する。
【0027】
前記把持手段40から落下供給される冷菓10は、前記製袋手段14における重合位置POより上方の収束部30cから横シール手段24の閉成位置CLの上方近傍位置まで支持片46aで支持された状態で搬送されるので、冷菓10の落下距離は最小限に抑えることができ、落下の衝撃によって冷菓10が変形や損傷等するのを防止し得る。また、物品底部を支持して搬送する支持片46aは、送りベルト46の走行に伴う循環移動によって物品支持開始部BEに到来するようにしているので、包装サイクルを短縮して包装能力を向上することができる。なお、把持手段40から落下供給される冷菓10が支持片46aの上部に着座する際には、フィルムによって衝撃が緩和されて冷菓10が変形するのを防止することができる。
【0028】
物品を支持して下方へ搬送する搬送体48を筒状フィルムFの外側に設けているので、物品1個を包装する袋詰め品を得るに際して、周囲にフィルムのだぶつきのないフィルムの使用量を抑えた包装品とすることができる。また、冷菓10が筒状フィルムFに供給されて包装される際に他の構成部材と直接接触しないので、構成部材を介して冷菓10に雑菌が付着してしまう等の不測の事態を招くようなことがない。しかも、冷菓10のスティック10bを把持手段40で把持して筒状フィルムFへ供給するから、例えば冷菓10を製造機から筒状フィルムF内に収容するまでの搬送過程において、スティック10bを挟持して移送することによって凍結部本体10aが搬送手段の各所に触れて傷んだりすることもない。
【0029】
前記搬送体48の支持片46aでフィルムが押し込まれる物品支持開始部BEから物品支持終了部ENまでの範囲において、筒状フィルムFの一側面が送りベルト46の表面に保持され、他側面が縦シール手段20との間に臨む前記案内部30およびガイド部材34により支持されるので、支持片46aによるフィルムの押込部によって物品を確実に支持して下方へ案内することができ、また、角筒状に成形されるフィルムの形崩れを防止し得ると共に、フィルムの搬送が阻害される等の問題が生じることがない。
【0030】
前記縦シール手段20と筒状フィルムFとの間に配設される前記冷却板36によって、縦シール手段20の熱影響から冷菓10を保護することができる。しかも、前記搬送体48は筒状フィルムFと共に連続走行するようにしたので、支持片46aで支持した冷菓10が縦シール手段20の熱影響を受ける部位を通過する際にその位置で留まることがなく、その熱影響を回避することができ、冷菓10の凍結した表面が溶けた水分によって冷菓10がフィルム内面に付着して筒状フィルムFの底部までの落下が妨げられることがない。これにより、前記横シール手段24での横シール時に筒状フィルムFの底部まで至っていない冷菓10をシール体26,26で噛み込んだり、あるいは冷菓10が溶けた水分が横シール位置に付着してシール不良が発生するなどといった包装不良の発生を防止し得る。
【0031】
図7に示す別実施例の如く、把持手段40を製袋手段14の上方位置まで移動した後に、把持手段40で把持した冷菓10の底部が支持片46aで局部的に押し込まれたフィルムの上部に着座する位置まで下降する構成を採用し得る。この場合は、落下を伴うことなく冷菓10を筒状フィルムFへ供給することができ、落下衝撃に対するより一層の緩和効果を期待し得る。
【0032】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、以下のようにも変更可能である。
(1) 実施例では送りベルト46に複数の支持片46aを設けたが、包装能力に応じて送りベルト46等の無端索体に1つの支持片46aを設けた搬送体を採用することができる。
(2) 実施例では歯付きベルトからなる送りベルト46に支持片46aを設けたが、無端チェン等、その他の無端索体とした搬送体を採用し得る。
(3) 実施例では、筒状フィルムFを連続搬送して縦シールおよび横シールを施す構成の縦形製袋充填機につき説明したが、筒状フィルムFを間欠搬送する形態とし、少なくとも搬送体48の支持片46aをフィルム速度と同速で間欠移動する構成を採用し得る。
(4) 実施例の縦シール手段20には、シールローラ18,18を用いたが、フィルムの重合部Faをベルトで挟んでシールするベルト方式、その他の加熱手段によってフィルムを溶着することができる各種シール方式を採用し得る。
(5) 実施例の搬送手段は、送りローラ16,16で筒状フィルムFを搬送する構成としたが、一対の送りベルトでフィルムの重合部Faを挟持して搬送する構成や、あるいは筒状フィルムFの左右側部に配設した吸引ベルトや吸引ローラ等でフィルムを吸引保持して搬送する構成等、その他の各種形態の搬送手段を採用し得る。
(6) 実施例では冷却板36には液冷方式を採用したが、冷却した気体を循環する空冷方式等、その他公知の方式を採用可能である。また冷却板36は、熱影響を受け易い材質の物品を包装する場合等の断熱手段として必要に応じて採用するものであればよい。
【符号の説明】
【0033】
10 冷菓(物品),14 製袋手段,20 縦シール手段,24 横シール手段
30 案内部(ガイド手段),30c 収束部,34 ガイド部材(ガイド手段)
36 冷却板,46 送りベルト(無端索体),46a 支持片,48 搬送体
f 帯状フィルム,F 筒状フィルム,Fa 重合部,PO 重合位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源から引出された帯状フィルム(f)を筒状に成形する製袋手段(14)と、下方に向けて搬送される筒状フィルム(F)の長手方向の重合部(Fa)をシールする縦シール手段(20)と、筒状フィルム(F)に供給された物品(10)の上下位置において横シールを施す横シール手段(24)とを備えた縦形製袋充填機において、
前記縦シール手段(20)と、筒状フィルム(F)を挟んだ位置に対向して配設され、該筒状フィルム(F)の一側面を保持してフィルム搬送速度と同速で走行する無端索体(46)と、該無端索体(46)に配設され、前記筒状フィルム(F)の一側面を局部的に押し込んで、該押込部により前記物品(10)の底部を支持して下方へ移動する支持片(46a)との夫々を有する搬送体(48)と、
前記縦シール手段(20)と筒状フィルム(F)との間に臨み、該筒状フィルム(F)の他側面を前記支持片(46a)が物品(10)の底部を支持して下方へ移動する移動範囲に亘って案内するよう配設したガイド手段(30,34)とを備えた
ことを特徴とする縦形製袋充填機の物品保持移送装置。
【請求項2】
前記ガイド手段(30,34)には、前記縦シール手段(20)から発する熱を断熱する冷却板(36)を設けた請求項1記載の縦形製袋充填機の物品保持移送装置。
【請求項3】
前記支持片(46a)における物品(10)の支持範囲は、前記製袋手段(14)におけるフィルムの重合位置(PO)より上方の収束部(30c)から、前記筒状フィルム(F)を横シールする横シール手段(24)の上部近傍位置までとするよう設定した請求項1または2記載の縦形製袋充填機の物品保持移送装置。
【請求項4】
前記支持片(46a)は、前記製袋手段(14)におけるフィルムの重合位置(PO)より上方の収束部(30c)でフィルムを内方に向けて押し込むよう設定され、そのフィルム押し込み位置に対して物品(10)を把持して上方から供給する把持手段(40)を配設した請求項1〜3の何れか一項に記載の縦形製袋充填機の物品保持移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−105337(P2011−105337A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261287(P2009−261287)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】