説明

縮合二環式ピリジン誘導体

【課題】PPARγモデュレーター活性を有する新規な縮合二環式ピリジン誘導体又はその薬理学上許容される塩を提供する。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】


で表される縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩[具体例:7−ベンジルアミノ−5−(ベンジルチオ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸]に優れたPPARγモジュレータ作用を見出した。本発明化合物及びその塩は、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対する医薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPARγモデュレーター活性を有する新規な縮合二環式ピリジン誘導体又はその薬理学上許容される塩及びその医薬用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソームプロリフェレータ活性化受容体(peroxisome proliferator
activated receptor: PPAR)は核内レセプターファミリーの一員である。
【0003】
一般に核内レセプター群には、アゴニスト、アンタゴニスト以外に部分的アゴニスト或いは部分的アンタゴニスト(これらは、総称して「モジュレーター」と言われる)が存在することが知られている。他の核内レセプターファミリーのモジュレーターの例としては、エストロゲンレセプターに対する部分的アゴニスト或いは部分的アンタゴニストであるラロキシフェンやタモキシフェンが知られている。部分的アゴニストはアゴニストに比較して、転写活性量が小さいという性質がある。又、部分的アンタゴニストはアゴニスト存在時に同時に存在させると、アゴニストによる転写活性化を抑制するが、その抑制の程度がアンタゴニストに比べて小さいことが特徴である。又、一般的に部分的アゴニストは部分的アンタゴニストの性質を示すことが多い。
【0004】
これら部分的アゴニスト及び部分的アンタゴニストは、アゴニスト及びアンタゴニストが示す組織特異的な望ましくない作用を抑制し、組織特異的な望ましい作用を引き出すことを意図して作製される場合が多い。
【0005】
ところで、種々のチアゾリジンジオン誘導体は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM:
non-insulin-dependent diabetes mellitus)のモデル動物で血糖低下作用を示し、インスリン抵抗性解除作用を有する新しいNIDDMとして期待されている。これらチアゾリジンジオン誘導体はまた、PPARγモジュレーターとして作用し、PPARγを特異的に活性化することが最近の研究で明らかとなった(非特許文献1)。このようなチアゾリジンジオン誘導体のPPARγ活性化能と遺伝性肥満マウスにおける血糖低下作用には強い相関が見られることから、PPARγがチアゾリジンジオン誘導体の薬理作用の標的分子であろうと考えられている(非特許文献2)。
【0006】
又、PPARγは脂肪細胞分化に深く関与する因子であるとされている(非特許文献3、非特許文献4)。
【0007】
更に、PPARγは細胞分化及び脂質代謝を転写レベルで調節し(非特許文献5、文献6)、又PPRE(Peroxisomal
Proliferator-activated receptor Responsive Element(PPARが認識するDNA配列))はapolipoprotein A−1(非特許文献7)遺伝子やlipiprotein lipase(非特許文献8、非特許文献9)等であり、血清脂質プロファイルに影響を及ぼす脂質代謝関連遺伝子プロモータである。
【0008】
これらの知見から、PPARγは、糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症などの病態に深く関与していると考えられる。従って、上記のような種々の病態の予防及び治療薬として、優れたPPARγのモジュレーター作用を有し、かつ副作用の少ない等、医薬として優れた性質を有する新規化合物の開発が望まれている。
【0009】
現在、PPARγのモジュレーター作用を有する化合物として次の化合物等が開示されている。
【0010】
(1)特許文献1の明細書には式:
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1及びR2は独立してH、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル及びC1−C10アルコキシ;Ar1及びAr2はアリール及びヘテロアリール;X,W1及びW2は単結合、Y又はY(CH2n1;Y及びY1は単結合、O,S,SO,SO2及びNR;RはH,C1−C3アルキル及びC2−C3アルケニルを示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0013】
(2)特許文献2の明細書には式:
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、置換可アリール基を示し、Bは置換可アリール基、置換可シクロアルキル基又は置換可複素環基を示し、RaはH又はアルキル基を示し、Xは結合手、O、S、CH2、CO、NH、SO2NH、NHSO2、CONH、NHCO又はOCH2基を示し、nは0又は1を示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0016】
(3)特許文献3の明細書には式:
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、R1は置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を;
X及びYは同一または異なって結合手等を;Qは炭素数q乃至20の2価の炭化水素残基を;環Aは1乃至3個の置換基をさらに有していてもよい含窒素5員複素環を;Wは炭素数1乃至20の2価の炭化水素残基を;Vは結合手等を;R2は置換されていてもよい複
素環基等を示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0019】
(4)特許文献4の明細書には式:
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、XはO又はS;R1,R2及びR3は水素原子、カルボキシル基等;Arは芳香環
又はヘテロ環;R4はH等;R5はH等;R6はH等;R7はH等;Yは酸素原子又は窒素原子;nは1〜4を示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0022】
しかしながら、上記の公報のいずれにも、縮合二環式ピリジン誘導体に関する具体的開示はない。
【0023】
一方、特許文献5の明細書にはCRF(Corticotropin releasing factor)拮抗作用を有する化合物として式:
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、AはN又はCR;BはNR等;R1は置換基を有していても良い(アルキル/アルケン/アルキン)キル基;Rは置換基を有していても良いアルキル基等;Rはアルキルチオ基等;Rは水素原子等;Rは置換基を有していても良いフェニル基等;Rは水素原子等;RはR又はアルコキシカルボニル基等を示す。)で表される化合物等が開示されていが、本特許記載化合物の具体的開示はなく、更にPPARモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0026】
特許文献6の明細書にはカリウムチャンネルオープナー作用を有する化合物として式:
【0027】
【化6】

【0028】
(式中、W、X、Y、ZはCH又はN;Rはアルキルカルボニル基等;R及びRは、水素原子等を示す。)で表される化合物等が開示されていが、本特許記載化合物の具体的開示はなく、更にPPARモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0029】
特許文献7の明細書にはMCP−1(Monocyte
chemoattractant protein-1)拮抗作用を有する化合物として式:
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、W、X、Yは独立してO、S、CR又はNR;ZはN又はCR;R、R、R、Rは独立してSR、NR10等;R、R10はアラルキル基等;R、R、R、Rは独立して水素原子等を示す。)で表される化合物等が開示されていが、本特許記載化合物の具体的開示はなく、更にPPARモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【特許文献1】WO01/30343号パンフレット
【特許文献2】WO03/035602号パンフレット
【特許文献3】WO03/000685号パンフレット
【特許文献4】WO99/08501号パンフレット
【特許文献5】WO95/34563号パンフレット
【特許文献6】US2004192697号パンフレット
【特許文献7】WO02/81463号パンフレット
【非特許文献1】Lehmannら、Journalof Biological Chemistry, 1995年、第270巻、p. 12953-12956.
【非特許文献2】Willsonら、Journal ofMedicinal Chemistry, 1996年、第39巻、p. 665-668.
【非特許文献3】Tontonozら、Genesand Development、 1994年、第8巻、p. 1224-1234.
【非特許文献4】Tontonozら、Cell、 1994年、第79巻、p. 1147-1156.
【非特許文献5】Spiegelman, Eur. J. Med. Res., 1997年、第2巻、p. 457-464.
【非特許文献6】Tontonoz & Nagy, Curr. Opin. Lipidol,1999年、第10巻、p.485-490.
【非特許文献7】Steal, Atherosclerosis, 1998年、第137巻(suppulo)、S19-S23.
【非特許文献8】Schhnjans, EMBO J., 1996年、第15巻(suppulo)、p.5536-5548.
【非特許文献9】Lefebvre, Arterio Thrombo Vasc. Biol., 1997年、第17巻、p.17 56-1764.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
現在、前記した種々の病態に対する予防又は治療薬のような種々の病態の予防及び治療薬として、優れたPPARγのモジュレーター作用を有し、かつ副作用が少ない等の点からも十分に満足できる医薬品となり得る化合物は見出されていない。
【0033】
本発明の目的は、PPARγのモジュレーター作用を有する新規な化合物を見出し、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)に対する予防又は治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、縮合二環式ピリジン誘導体がPPARγモジュレーター作用を有することを見出し、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対して有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0035】
即ち、本発明は、
1)下記一般式(1)
【0036】
【化8】

【0037】
(式中、
【0038】
【化9】

【0039】
は、
【0040】
【化10】

【0041】
又は
【0042】
【化11】

【0043】
を示し;
及びWは同一又は異なってO、S又はNHを示し;
及びYは同一又は異なって単結合又はC1〜C6アルキレン鎖を示し;
及びAは同一又は異なって、アリール基、シクロアルキル基又は複素環基(当該A1及びAは同一又は異なって、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、ニトロ基、1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、オキソ基、水酸基又はハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基の中からそれぞれ独立して選ばれた1〜3個の置換基(隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい)を有していてもよい)を示し;
は、OH又はNRを示し;
、R及びRは同一又は異なって、水素原子、C1〜C6アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し;
は、水素原子又はC1〜C6アルキルチオ基を示し;
及びRは、同一又は異なって、水素原子又はカルボキシル基で置換されていても良いC1〜C6アルキル基を示す。)で表される縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0044】
2) 前記一般式(1)において、RがOH又はNHである前記1)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0045】
3) 前記一般式(1)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである前記1)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0046】
4)前記一般式(1)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである前記1)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0047】
5)下記一般式(1a)
【0048】
【化12】

【0049】
(式中、W、W、Y、Y、A、A及びRは上記に同じ。)で表される前記1)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0050】
5)前記一般式(1a)において、RがOH又はNHである前記5)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0051】
6) 前記一般式(1a)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである前記5)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0052】
7) 前記一般式(1a)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである前記5)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0053】
8)下記一般式(1b)
【0054】
【化13】

【0055】
(式中、W、W、Y、Y、A、A及びRは上記に同じ。)で表される前記1)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0056】
10)前記一般式(1b)において、RがOH又はNHである前記9)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0057】
11)前記一般式(1b)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである前記9)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0058】
12)前記一般式(1b)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである前記9)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0059】
13)下記一般式(1c)
【0060】
【化14】

【0061】
(式中、W、W、Y、Y、A、A、R及びRは上記に同じ。)で表される前記1)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0062】
14)前記一般式(1c)において、RがOH又はNHである前記13)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0063】
15)前記一般式(1c)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである前記13)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0064】
16)前記一般式(1c)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである前記13)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0065】
17)下記一般式(1d)
【0066】
【化15】

【0067】
(式中、W、W、Y、Y、A、A、R及びRは上記に同じ。)で表される前記1)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0068】
18)前記一般式(1d)において、RがOH又はNHである前記17)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0069】
19)前記一般式(1d)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである前記17)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0070】
20)前記一般式(1d)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである前記17)に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩、
【0071】
21)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン非依存性糖尿病発病の治療、予防又は抑制剤、
【0072】
22)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする肥満の治療、予防又は抑制剤、
【0073】
23)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高血糖症の治療、予防又は抑制剤、
【0074】
24)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症の治療、予防又は抑制剤、
【0075】
25)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高コレステロール血症の治療、予防又は抑制剤、
【0076】
26)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高トリグリセリド血症の治療、予防又は抑制剤、
【0077】
27)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン耐性の治療、予防又は抑制剤、
【0078】
28)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高インスリン血症の治療、予防又は抑制剤、
【0079】
29)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする動脈硬化症の治療、予防又は抑制剤、
【0080】
30)前記1)〜20)のいずれかに記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする退行性骨粗鬆症の治療、予防又は抑制剤、に関する。
【発明の効果】
【0081】
本発明は新規な縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩に、優れたPPARγモジュレーター作用を有することを見出したものである。
【0082】
さらに又、本発明化合物及びその塩は、毒性も低く安全である。従って、本発明化合物及びその塩は、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対して高い有用性を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0084】
、Q及びQについて
【0085】
【化16】

【0086】
は、
【0087】
【化17】

【0088】
又は
【0089】
【化18】

【0090】
を示す。
【0091】
好ましい
【0092】
【化19】

【0093】
として、
【0094】
【化20】

【0095】
及び
【0096】
【化21】

【0097】
が挙げられる。
【0098】
及びWについて
及びWは同一又は異なってS又はNHを示す。WとWの好ましい組み合わせは、WがSのとき、WがNHであるのが好ましい。
【0099】
及びYについて
及びYは同一又は異なって、単結合又はC〜Cアルキレン鎖を示す。ここで、「C〜Cアルキレン鎖」としては、メチレン鎖、エチレン鎖、プロピレン鎖、ブチレン鎖、ペンチレン鎖、ヘキシレン鎖等が挙げられる。好ましいY及びYとして、単結合、メチレン鎖、エチレン鎖及びプロピレン鎖が挙げられる。更に好ましいY及びYとして、単結合及びメチレン鎖が挙げられる。
【0100】
及びAについて
前記一般式(1)中、A及びAは同一又は異なって、アリール基、シクロアルキル基又は複素環基を示す。A及びAは同一又は異なって、置換基を有していてもよい。置換基は、環のうち置換可能ないずれの位置に置換していてもよく、その個数は1〜3個程度であっても良い。又、隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。A及びAの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、ニトロ基、1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、オキソ基、水酸基、及びハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基等が挙げられる。
【0101】
ここで、「アリール基」としては、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基のような炭素数5〜14個の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0102】
「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基のような縮環していても良い3〜10員の飽和炭化水素基等を挙げることができる。
【0103】
「複素環基」としては、硫黄原子、酸素原子、窒素原子の中から選ばれた1〜4個の原子を含む5〜7員複素環基を示し、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、等の芳香族複素環基、及びモルホニル基、チオモルホリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、等の基を挙げることができる。なお、上記「複素環基」は他の環式基と縮環していてもよく、例えば、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、クロメニル基、クロマノニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、インドリジニル基、イソインドリジニル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、アクリジニル基、イソインドリニル基等を挙げることができる。
【0104】
「ハロゲン原子」には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0105】
「ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、1−フルオロエチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等が挙げられる。
【0106】
「1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基」としては、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基等が挙げられる。
【0107】
「モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基」としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルペンチルアミノ基、メチルヘキシルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基、4−ヒドロキシブチルアミノ基、2−メトキシエチルアミノ基、3−メトキシプロピルアミノ基、4−メトキシブチルアミノ基、2−アミノエチルアミノ基、3−アミノプロピルアミノ基、4−アミノブチルアミノ基、メトキシカルボニルメチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基等が挙げられる。
【0108】
「ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6のアルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、1−フルオロエトキシ基、1−クロロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0109】
「隣接する2個の置換基が結合して互いに形成していてもよい環」としては、環を形成する2個の置換基が共に同一の炭素上に存在する場合、例えば、
【0110】
【化22】

【0111】
等が挙げられ、環を形成する2個の置換基が互いに隣同士に存在する場合、例えば、
【0112】
【化23】

【0113】
等が挙げられる。
【0114】
好ましいAとして、例えば、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。さらに好ましいAとして、フェニル基等が挙げられる。
【0115】
好ましいAとして、例えば、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。さらに好ましいAとして、フェニル基等が挙げられる。
【0116】
について
1は、OH又はNRを示す。好ましいRとして、OHが挙げられる。
【0117】
、R及びRについて
、R及びRは同一又は異なって、水素原子、C1〜C6アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。ここで、「アリール基」としては、前記と同様である。
【0118】
「C1〜C6のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0119】
「アラルキル基」としては、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0120】
について
は、水素原子又はC1〜C6アルキルチオ基を示す。ここで、「C1〜C6アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0121】
及びRについて
及びRは、同一又は異なって、水素原子又はカルボキシル基で置換されていても良いC1〜C6アルキル基を示す。
及びRは共に水素原子であるのが好ましい。
【0122】
本発明の好ましい化合物として、例えば、
7−ベンジルアミノ−5−(ベンジルチオ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(4−クロロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(4−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(3−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(2−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(4−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(4−メチルベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(2−フェネチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(シクロヘキシルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(3−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−7−(2−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
7−アニリノ−5−(ベンジルチオ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−(3−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
5−ベンジルチオ−(2−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸、
4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸
等が例示できる。
【0123】
塩について
本発明化合物が塩を形成する場合、薬学上許容な非毒性塩基又は酸(例えば無機又は有機塩基及び無機又は有機酸)との塩を意味する。薬学上許容な非毒性塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜マンガン酸、カリウム及びナトリウム等の無機塩基との塩(特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マンガン、カリウム及びナトリウム塩が挙げられる。)、又は、第一、第二、第三アミン、置換アミン(例えば天然に存在する置換アミン)、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂等の有機塩基(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N‘−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)との塩が例示できる。非毒性酸から誘導される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸、又は酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の有機酸との薬学上許容な塩が例示できる。
【0124】
さらに本発明化合物又はその塩は、水和物又は溶媒和物として存在することもある。上記に具体的に記載した好ましい化合物を含めて、前記一般式(1)で表される縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩が形成する任意の水和物及び溶媒和物は、いずれも本発明の範囲に包含される。溶媒和物を形成し得る溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0125】
本発明化合物又はその塩には、ラセミ体の他に光学活性体、立体異性体又は回転異性体も含まれる。
【0126】
本発明化合物は、種々の合成法によって製造することができる。次に、本発明化合物及びその塩の代表的な製造法について説明する。
【0127】
(A法)
【0128】
【化24】

【0129】
(第一工程)
本工程は、化合物(a)のクロロ原子を化合物(b)で置換して化合物(c)を製造する工程である。本工程は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、DBU等の有機塩基または炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基の存在下又は非存在下でN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、ピリジン、キノリン、ジクロロメタン等の溶媒中で実施することができる。本反応は、0℃から溶媒を用いた場合にはその溶媒の沸点までの温度で円滑に進行する。
【0130】
化合物(a)は、例えばジャーナル オブ ケミカル リサーチ (Journal of
Chemical Research),1982年,6巻,158頁等に記載の方法、或いはこれに準ずる方法によって製造することができる。
【0131】
(第二工程)
本工程は、化合物(c)のクロロ原子を化合物(d)で置換して化合物(e)を製造する工程である。本工程は、前記第一工程に準じて行うことができる。
【0132】
(第三工程)
本工程は、化合物(h)のエステル基を加水分解することにより化合物(f)を製造する工程である。
【0133】
本工程は、定法に従い、塩基存在下、適当な溶媒中で行われる。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。本反応に用いる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、水等が挙げられる。反応温度は、通常、約0〜約150℃である。反応時間は、通常、約0.5〜約48時間である。
【0134】
(B法)
【0135】
【化25】

【0136】
(第一工程)
本工程は、化合物(g)のクロロ原子を化合物(b)で置換して化合物(h)を製造する工程である。本工程は、前記A法第一工程に準じて行うことができる。
【0137】
化合物(g)は、例えばジャーナル オブ ケミカル リサーチ (Journal of
Chemical Research),1985年,7巻,214頁等に記載の方法、或いはこれに準ずる方法によって製造することができる。
【0138】
(第二工程)
本工程は、化合物(h)のクロロ原子を化合物(d)で置換して化合物(i)を製造する工程である。本工程は、前記A法第二工程に準じて行うことができる。
【0139】
(第三工程)
本工程は、化合物(i)のエステル基を加水分解することにより化合物(j)を製造する工程である。本工程は、前記A法第三工程に準じて行うことができる。
【0140】
(C法)
【0141】
【化26】

【0142】
(第一工程)
本工程は、化合物(k)の水酸基又はオキソ基をクロル原子に変換して、化合物(l)を製造する工程である。本工程は、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン又はオキザリルクロライド等を用いて行われる。溶媒を用いる場合には、反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN、N−ジメチルホルムアミド、スルホラン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、トルエン、ピリジン等が用いられる。本反応は、室温からクロル化剤の沸点又は溶媒を用いた場合にはその溶媒の沸点までの温度で円滑に進行する。又、添加剤として、N、N−ジメチルアニリン等の3級アミン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩等を加えることもできる。
【0143】
化合物(k)は、例えばバイオオーガニック アンド メディシナル ケミストリー (Bioorganic
& Medicinal Chemistry),2003年,11巻,2991頁等に記載の方法、或いはこれに準ずる方法によって製造することができる。
【0144】
(第二工程)
本工程は、化合物(l)のクロロ原子を化合物(b)で置換して化合物(m)を製造する工程である。本工程は、前記A法第一工程に準じて行うことができる。
【0145】
(第三工程)
本工程は、化合物(m)のクロロ原子を化合物(d)で置換して化合物(n)を製造する工程である。本工程は、前記A法第二工程に準じて行うことができる。
【0146】
(第四工程)
本工程は、化合物(n)のエステル基を加水分解することにより化合物(o)を製造する工程である。本工程は、前記A法第三工程に準じて行うことができる。
【0147】
【化27】

【0148】
(第一工程)
本工程は、化合物(p)と化合物(q)を反応させて、化合物(r)を製造する工程である。本反応は、化合物(p)に対して化合物(q)を1〜50当量、好適には5〜20当量用いて、溶媒の存在下或いは非存在下で、0〜300℃、好適には50〜200℃で行われる。溶媒を用いる場合には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、ジフェニルエーテル等が用いられる。
【0149】
化合物(p)は、例えばケミカル アンド ファーマシューティカル ブルティン (Chemical
& Pharmaceutical Bulletin),1995年,43巻,788頁等に記載の方法、或いはこれに準ずる方法によって製造することができる。
【0150】
(第二工程)
本工程は、化合物(q)を分子内で環化させて、化合物(r)を製造する工程である。本反応は、適当な塩基存在下で−50〜200℃、好適には0〜100℃で行われる。溶媒を用いる場合には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、ジフェニルエーテル等が用いられる。本工程に用いられる塩基には、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属とのアルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が例示できる。
【0151】
(第三工程)
本工程は、化合物(r)の水酸基又はオキソ基をクロル原子に変換して、化合物(s)を製造する工程である。本工程は、前記A法第一工程に準じて行うことができる。
【0152】
(第四工程)
本工程は、化合物(l)のクロロ原子を化合物(b)で置換して化合物(m)を製造する工程である。本工程は、前記A法第一工程に準じて行うことができる。
【0153】
(第五工程)
本工程は、化合物(m)のクロロ原子を化合物(d)で置換して化合物(n)を製造する工程である。本工程は、前記A法第二工程に準じて行うことができる。
【0154】
(第六工程)
本工程は、化合物(n)のエステル基を加水分解することにより化合物(o)を製造する工程である。本工程は、前記A法第三工程に準じて行うことができる。
【0155】
本発明化合物(1)は通常の分離手段(例えば抽出、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)によって単離、精製することができる。又、得られた化合物が塩を形成する様な場合には、通常の方法あるいはそれに準ずる方法(例えば中和等)によって各種の塩を製造することができる。 本発明化合物(1)もしくはその塩は、単独で、又は適宜の薬理学的に許容される、賦形剤、希釈剤と混合し、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等の製剤として経口的に、又は注射剤若しくは座剤等の製剤として非経口的に医薬組成物として投与することができる。これらの製剤は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0156】
賦形剤は、有機系賦形剤又は無機系賦形剤でありうる。有機系賦経済は、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのようなデンプン誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルラン等でありうる。無機賦形剤は、例えば、軽質無機珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;リン酸水素カルシウムのようなリン酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は硫酸カルシウムのような硫酸塩等であり得る。
【0157】
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーガムのようなワックス類;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DL−ロイシン;脂肪酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;又は上記デンプン誘導体であり得る。
【0158】
結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は上記賦形剤と同様の化合物であり得る。
【0159】
崩壊剤は、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;又はカルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類であり得る。
【0160】
安定剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなクレゾール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又はソルビン酸であり得る。
【0161】
矯味矯臭剤は、例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料であり得る。
【0162】
投与量は本発明化合物(1)又はその塩の種類、投与ルート、患者の年齢、症状等により異なるが、例えば人を含む哺乳動物に対して本発明化合物(1)又はその塩として0.001〜500mg/kg/日である。投与は例えば1日1回又は数回に分割して投与する。
【実施例】
【0163】
以下、実施例、参考例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。また、本発明化合物(1)の製造に用いる原料化合物の中にも新規化合物が含まれているので、原料化合物の製造例についても参考例として説明する。本発明化合物は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させても良い。
【0164】
<実施例1>
【化28】

【0165】
7−ベンジルアミノ−5−(ベンジルチオ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例1の化合物;51.0mg、0.117mmol)のエタノール(1mL)溶液に、3mol/L水酸化カリウム水溶液(0.5mL)を加え、5時間加熱還流した。反応混合物に水及び2mol/L塩酸を加えてpH=1とした後、析出した結晶をろ取すると、7−ベンジルアミノ−5−(ベンジルチオ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(29.6mg、62%)。
MS(FAB+)m/z:407(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H19N2O2S2として計算値:407.0888

実測値:408.0883
【0166】
<実施例2>
【化29】

【0167】
実施例1と同様の方法により、5−ベンジルチオ−7−(4−クロロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例2の化合物;119mg、0.254mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−クロロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(111mg、99%)。
MS(FAB+)m/z:441(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H18ClN2O2S2として計算値:441.0498

実測値:441.0504
【0168】
<実施例3>
【化30】

【0169】
実施例1と同様の方法により、5−ベンジルチオ−7−(4−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例3の化合物;30.0mg、66.3μmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(18.5mg、66%)。
MS(FAB+)m/z:425(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H18FN2O2S2として計算値:425.0794

実測値:425.0797
【0170】
<実施例4>
【化31】

【0171】
実施例1と同様の方法により、5−ベンジルチオ−7−(3−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例4の化合物;72.5mg、0.160mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(3−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(52.3mg、77%)。
MS(FAB+)m/z:425(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H18FN2O2S2として計算値:425.0797
【0172】
<実施例5>
【化32】

【0173】
実施例1と同様の方法により、5−ベンジルチオ−7−(2−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例5の化合物;98.4mg、0.217mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(2−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(88.5mg、96%)。
MS(FAB+)m/z:425(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H18FN2O2S2として計算値:425.0797

実測値:425.0789
【0174】
<実施例6>
【化33】

【0175】
実施例1と同様の方法により、5−ベンジルチオ−7−(4−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例6の化合物;96.7mg、0.208mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(88.2mg、97%)。
MS(FAB+)m/z:437(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H21N2O3S2として計算値:437.0994

実測値:437.1018
【0176】
<実施例7>
【化34】

【0177】
実施例1と同様の方法により、5−ベンジルチオ−7−(4−メチルベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例7の化合物;57.9mg、0.129mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−メチルベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(50.6mg、93%)。
MS(FAB+)m/z:421(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H21N2O2S2として計算値:421.1044

実測値:421.1078
【0178】
<実施例8>
【化35】

【0179】
実施例1と同様の方法により、5−ベンジルチオ−7−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例8の化合物;58.5mg、0.113mmol)から、5−ベンジルチオ−7−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(53.5mg、97%)。
MS(FAB+)m/z:491(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H18F3N2O3S2として計算値:491.0711

実測値:491.0744
【0180】
<実施例9>
【化36】

【0181】
5−クロロ−7−(2−フェネチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例9の化合物;74.3mg、0.206mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、フェニルメタンチオール(24μL、0.207mmol)及び炭酸カリウム(28.5mg、0.206mmol)を加えて100℃で8時間過熱攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。続いて、得られた残渣のエタノール(1mL)溶液に、3mol/L水酸化カリウム水溶液(0.5mL)を加え、5時間加熱還流した。反応混合物に水及び2mol/L塩酸を加えてpH=1とした後、析出した結晶をろ取することにより、5−ベンジルチオ−7−(2−フェネチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(11.7mg、14%)。
MS(FAB+)m/z:421(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H22N2O2S2として計算値:421.1044

実測値:421.1057
【0182】
<実施例10>
【化37】

【0183】
実施例9と同様の方法により、5−クロロ−7−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例10の化合物;142mg、0.342mmol)及びフェニルメタンチオール(50μL、0.410mmol)から、5−ベンジルチオ−7−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(41.1mg、25%)。
MS(FAB+)m/z:475(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H18F3N2O2S2として計算値:475.0762

実測値:475.0791
【0184】
<実施例11>
【化38】

【0185】
実施例9と同様の方法により、5−クロロ−7−(シクロヘキシルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例11の化合物;47.1mg、0.133mmol)及びフェニルメタンチオール(19μL、0.160mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(シクロヘキシルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(3.2mg、6%)。
MS(FAB+)m/z:413(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H25N2O2S2として計算値:413.1357

実測値:413.1385
【0186】
<実施例12>
【化39】

【0187】
実施例9と同様の方法により、5−クロロ−7−(3−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例12の化合物;71.7mg、0.206mmol)及びフェニルメタンチオール(29μL、0.247mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(3−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(12.8mg、15%)。
MS(FAB+)m/z:408(M+H+)
HRMS(FAB+):C21H18N3O2S2として計算値:408.0840

実測値:408.0860
【0188】
<実施例13>
【化40】

【0189】
実施例9と同様の方法により、5−クロロ−7−(2−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例13の化合物;123mg、0.352mmol)及びフェニルメタンチオール(50μL、0.387mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(2−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(25.0mg、24%)。
MS(FAB+)m/z:408(M+H+)
HRMS(FAB+):C21H18N3O2S2として計算値:408.0840

実測値:408.0875
【0190】
<実施例14>
【化41】

【0191】
5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;310mg、1.12mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に、アニリン(0.10mL、1.12mmol)及び炭酸カリウム(155mg、1.12mmol)を加えて100℃で8時間過熱攪拌した。反応液をエーテルで希釈した後、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。得られた残渣のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、フェニルメタンチオール(76μL、0.620mmol)及び炭酸セシウム(202mg、0.620mmol)を加えて100℃で8時間過熱攪拌した。反応液をエーテルで希釈した後、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。続いて、得られた残渣のエタノール(1mL)溶液に、3mol/L水酸化カリウム水溶液(0.5mL)を加え、5時間加熱還流した。反応混合物に水及び2mol/L塩酸を加えてpH=1とした後、析出した結晶をろ取すると、7−アニリノ−5−(ベンジルチオ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(15.2mg、3%)。
MS(FAB+)m/z:393(M+H+)
HRMS(FAB+):C21H17N2O2S2として計算値:393.0731

実測値:393.0774
【0192】
<実施例15>
【化42】

【0193】
実施例14と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;293mg、1.06mmol)、3−メトキシベンジルアミン(0.14mL、1.06mmol)及びフェニルメタンチオール(0.13mL、1.10mmol)から、5−ベンジルチオ−(3−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(15.1mg、4%)。
MS(FAB+)m/z:437(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H21N2O3S2として計算値:437.0994

実測値:437.0993
【0194】
<実施例16>
【化43】

【0195】
実施例14と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;293mg、1.06mmol)、2−メトキシベンジルアミン(0.14mL、1.06mmol)及びフェニルメタンチオール(0.13mL、1.10mmol)から、5−ベンジルチオ−(2−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸が得られた(28.5mg、6%)。
MS(FAB+)m/z:437(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H21N2O3S2として計算値:437.0994

実測値:437.1023
【0196】
<実施例17>
【化44】

【0197】
実施例1と同様の方法により、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(参考例22の化合物;22.0mg、50.9μmol)から、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸が得られた(20.0mg、97%)。
MS(FAB+)m/z:405(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H21N4O2Sとして計算値:405.1385

実測値:405.1393
【0198】
<参考例1>
【化45】

【0199】
7−ベンジルアミノ−5−クロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例14の化合物;69.4mg、0.200mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液に、フェニルメタンチオール(25.0mg、0.201mmol)及び炭酸カリウム(27.7mg、0.200mmol)を加えて100℃で8時間加熱攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製すると、7−ベンジルアミノ−5−(ベンジルチオ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(53.0mg、61%)。
MS(FAB+)m/z:434(M+)
HRMS(FAB+):C24H22N2O2S2として計算値:434.1123

実測値:434.1081
【0200】
<参考例2>
【化46】

【0201】
参考例1と同様の方法により、5−クロロ−7−(4−クロロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例15の化合物;375mg、0.982mmol)及びフェニルメタンチオール(0.139mL、1.18mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−クロロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(199mg、43%)。
MS(FAB+)m/z:469(M+H+)
HRMS(FAB+):C24H22ClN2O2S2として計算値:469.0811

実測値:469.0815
【0202】
<参考例3>
【化47】

【0203】
参考例1と同様の方法により、5−クロロ−7−(4−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例16の化合物;189mg、0.518mmol)及びフェニルメタンチオール(70μL、0.621mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(41.0mg、17%)。
MS(EI)m/z:452(M+)
HRMS(EI):C24H22FN2O2S2として計算値:452.1028

実測値:452.1063
【0204】
<参考例4>
【化48】

【0205】
参考例1と同様の方法により、5−クロロ−7−(3−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例17の化合物;282mg、0.774mmol)及びフェニルメタンチオール(0.11mL、0.929mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(3−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(82.0mg、23%)。
MS(EI)m/z:452(M+)
HRMS(EI):C24H22FN2O2S2として計算値:452.1028

実測値:452.0984
【0206】
<参考例5>
【化49】

【0207】
参考例1と同様の方法により、5−クロロ−7−(2−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例18の化合物;262mg、0.720mmol)及びフェニルメタンチオール(0.10mL、0.860mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(2−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(112mg、34%)。
MS(EI)m/z:452(M+)
HRMS(EI):C24H22FN2O2S2として計算値:452.1028

実測値:452.1055
【0208】
<参考例6>
【化50】

【0209】
参考例1と同様の方法により、5−クロロ−7−(4−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例19の化合物;254mg、0.675mmol)及びフェニルメタンチオール(0.10mL、0.860mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(108mg、34%)。
MS(EI)m/z:464(M+)
HRMS(EI):C25H24N2O3S2として計算値:464.1228

実測値:464.1213
【0210】
<参考例7>
【化51】

【0211】
参考例1と同様の方法により、5−クロロ−7−(4−メチルベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例20の化合物;157mg、0.434mmol)及びフェニルメタンチオール(60μL、0.521mmol)から、5−ベンジルチオ−7−(4−メチルベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(118mg、60%)。
MS(EI)m/z:448(M+)
HRMS(EI):C25H24N2O2S2として計算値:448.1279

実測値:448.1292
【0212】
<参考例8>
【化52】

【0213】
参考例1と同様の方法により、5−クロロ−7−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例21の化合物;234mg、0.588mmol)及びフェニルメタンチオール(80μL、0.706mmol)から、5−ベンジルチオ−7−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(67.2mg、22%)。
MS(EI)m/z:518 (M+)
HRMS(EI):C25H21F3N2O3S2として計算値:518.0946

実測値:518.0910
【0214】
<参考例9>
【化53】

【0215】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;104mg、0.376mmol)及びフェネチルアミン(94μL、0.747mmol)から、5−クロロ−7−(2−フェネチル)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(85.8mg、63%)。
MS(FAB+)m/z:361(M+H+)
HRMS(FAB+):C18H18ClN2O2Sとして計算値:361.0778

実測値:361.0770
【0216】
<参考例10>
【化54】

【0217】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;104mg、0.376mmol)及び4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン(50μL、0.376mmol)から、5−クロロ−7−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(33.0mg、21%)。
MS(EI)m/z:414(M+)
HRMS(EI):C18H14ClF3N2O2Sとして計算値:414.0417

実測値:414.0455
【0218】
<参考例11>
【化55】

【0219】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;179mg、0.647mmol)及びシクロヘキシルメチルアミン(84μL、0.647mmol)から、5−クロロ−7−(シクロヘキシルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(51.1mg、22%)。
MS(EI)m/z:352(M+)
HRMS(EI):C17H21ClN2O2Sとして計算値:352.1012

実測値:352.1045
【0220】
<参考例12>
【化56】

【0221】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;154mg、0.557mmol)及び3−ピリジルメチルアミン(60μL、0.557mmol)から、5−クロロ−7−(3−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(74.7mg、39%)。
MS(EI)m/z:347(M+)
HRMS(EI):C16H14ClN3O2Sとして計算値:347.0495

実測値:347.0476
【0222】
<参考例13>
【化57】

【0223】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;195mg、0.705mmol)及び2−ピリジルメチルアミン(60μL、0.557mmol)から、5−クロロ−7−(2−ピリジルメチルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(125mg、51%)。
MS(EI)m/z:347(M+)
HRMS(EI):C16H14ClN3O2Sとして計算値:347.0495

実測値:347.0493
【0224】
<参考例14>
【化58】

【0225】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;74.0mg、0.268mmol)及びベンジルアミン(145mg、1.35mmol)から、7−ベンジルアミノ−5−クロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(67.0mg、72%)。
MS(FAB+)m/z:347(M+H+)
HRMS(FAB+):C17H16ClN2O2Sとして計算値:347.0621

実測値:347.0620
【0226】
<参考例15>
【化59】

【0227】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;110mg、0.399mmol)及び4−クロロベンジルアミン(60μL、0.557mmol)から、5−クロロ−7−(4−クロロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(76.3mg、50%)。
MS(EI)m/z:380(M+)
HRMS(EI):C17H14Cl2N2O2Sとして計算値:380.0153

実測値:380.0115
【0228】
<参考例16>
【化60】

【0229】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;120mg、0.399mmol)及び4−フルオロベンジルアミン(60μL、0.557mmol)から、5−クロロ−7−(4−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(50.8mg、32%)。
MS(EI)m/z:364(M+)
HRMS(EI):C17H14ClFN2O2Sとして計算値:364.0449

実測値:364.0446
【0230】
<参考例17>
【化61】

【0231】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;113mg、0.409mmol)及び3−フルオロベンジルアミン(60μL、0.557mmol)から、5−クロロ−7−(3−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(30.0mg、20%)。
MS(EI)m/z:364(M+)
HRMS(EI):C17H14ClFN2O2Sとして計算値:364.0449

実測値:364.0452
【0232】
<参考例18>
【化62】

【0233】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;127mg、0.460mmol)及び2−フルオロベンジルアミン(50μL、0.460mmol)から、5−クロロ−7−(2−フルオロベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(121mg、72%)。
MS(EI)m/z:364(M+)
HRMS(EI):C17H14ClFN2O2Sとして計算値:364.0449

実測値:364.0468
【0234】
<参考例19>
【化63】

【0235】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;107mg、0.389mmol)及び4−メトキシベンジルアミン(50μL、0.389mmol)から、5−クロロ−7−(4−メトキシベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(65.3mg、44%)。
MS(EI)m/z:376(M+)
HRMS(EI):C18H17ClN2O3Sとして計算値:376.0648

実測値:376.0642
【0236】
<参考例20>
【化64】

【0237】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;102mg、0.369mmol)及び4−メチルベンジルアミン(90μL、0.734mmol)から、5−クロロ−7−(4−メチルベンジルアミノ)チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(41.2mg、31%)。
MS(FAB+)m/z:361(M+H+)
HRMS(FAB+):C18H18ClN2O2Sとして計算値:361.0778

実測値:361.0736
【0238】
<参考例21>
【化65】

【0239】
参考例1と同様の方法により、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例24の化合物;107mg、0.386mmol)及び4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミン(60μL、0.386mmol)から、5−クロロ−7−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ]チエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(26.6mg、16%)。
MS(EI)m/z:430(M+)
HRMS(EI):C18H14ClF3N2O3Sとして計算値:430.0366

実測値:430.0350
【0240】
<参考例22>
【化66】

【0241】
参考例1と同様の方法により、4−ベンジルアミノ−6−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(参考例23の化合物;80.0mg、0.232mmol)及びフェニルメタンチオール(30.0mg、0.242mmol)から、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸エチルが得られた(50.5mg、50%)。
MS(FAB+)m/z:433 (M+H+)
HRMS(FAB+):C24H25N4O2Sとして計算値:433.1698

実測値:433.1707
【0242】
<参考例23>
【化67】

【0243】
参考例1と同様の方法により、4,6−ジクロロ−1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(参考例26の化合物;100mg、0.365mmol)及びフェニルメタンチオール(30.0mg、0.242mmol)から、4−ベンジルアミノ−6−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸エチルが得られた(113mg、90%)。
MS(FAB+)m/z:345 (M+H+)
HRMS(FAB+):C17H18ClN4O2として計算値:345.1118

実測値:345.1083
【0244】
<参考例24>
【化68】

【0245】
7−ヒドロキシ−5−オキソ−4,5−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(参考例27の化合物;20.0g、83.6mmol)のアセトニトリル(280mL)懸濁液に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(76.2g、0.334mol)及びオキシ塩化リン(36mL、0.384mol)を加えて、40℃で30分、続いて5時間加熱還流した。反応液に水を加えて一晩放置した後、析出した結晶を取り除き、濾液を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製すると、5,7−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(7.87g、34%)。
【0246】
<参考例25>
【化69】

【0247】
4−クロロ−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(参考例25の化合物;3.82g、15.0mmol)をオキシ塩化リン(15.0mL、0.161mol)及びジメチルアニリン(1.90mL、15,0mmol)に懸濁して、5時間加熱還流した。氷に反応液を加えて室温で1時間攪拌した後、炭酸カリウムを加えてpH=10とした。酢酸エチルで抽出した後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製すると、4,6−ジクロロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリミジン−5−カルボン酸エチルが得られた(205mg、5%)。
MS(FAB+)m/z:274 (M+H+)
HRMS(FAB+):C10H10Cl2N3O2として計算値:274.0150

実測値:274.0131
【0248】
<参考例26>
【化70】

【0249】
ナトリウムエトキシド(2.40g、35.3mmol)のエタノール(15mL)溶液に、3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル(1.58g、10.1mmol)を加えて室温で30分攪拌した後、マロン酸ジエチル(5.66g、35.3mmol)を加えて、6時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、水で希釈して酢酸エチルで洗浄した後、3mol/L塩酸を加えてpH=1として、析出した結晶を濾取すると、7−ヒドロキシ−5−オキソ−4,5−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルが得られた(1.06g、44%)。
MS(EI)m/z:239(M+)
HRMS(EI):C10H9NO4Sとして計算値:239.0252

実測値:239.0266
【0250】
次に本発明化合物について、有用性を裏付ける成績を試験例によって示す。
【0251】
<試験例1>
PPARγモジュレーター活性の評価
ヒトペルオキシゾーム増殖薬活性化受容体(PPAR)γに対する転写活性化試験
10%ウシ胎児血清を含むHam's F12培地で培養したCHO-K1細胞に、酵母転写因子GAL4のDNA結合領域とヒト型PPARγのリガンド結合領域(Biochemistry, 1993, 32, 5598)との融合タンパク質を発現する受容体プラスミド(pM-hPPARγLBD)及びそのレポータープラスミド(STRATAGENE社、ホタルルシフェラーゼレポータープラスミド)、及び内部標準用のウミシイタケルシフェラーゼプラスミド(Promega社)を、リポフェクトアミン(インビトロジェン社)を用いて無血清状態にて37℃で2時間コトランスフェクトした。その後10%脱脂牛血清を含むHam's F12培地中で被験化合物を添加し、37℃で20時間培養後、両ルシフェラーゼ活性を測定し、内部標準により補正した値を用いて、用量依存曲線を描いた。被験化合物のEC50値及びME値は次のように定義する。ポジティブコントロール群(添加濃度1μmol/Lのロシグリタゾン単独処理)のPPARγ転写活性値を100%、コントロール群のPPARγ転写活性値を0%としたとき、被験化合物単独でのPPARγ転写活性値の最大値をME(%)とする。このとき、ME/2の値を示す被験化合物の濃度をEC50値として算出する。このようにして算出されたEC50値及びME値の結果をPPARγモジュレーター活性の評価に用いた。測定結果を表1に示す。
【0252】
【表1】

【0253】
表1より、本発明化合物(1)又はその塩が、優れたPPARγモジュレーター活性を示すことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0254】
本発明は新規な縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩に、優れたPPARγモジュレーター作用を有することを見出したものである。
【0255】
さらにまた、本発明化合物及びその塩は、毒性も低く安全である。従って、本発明化合物及びその塩は、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対して有効な、有用性の高い医薬を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、
【化2】

は、
【化3】

又は
【化4】

を示し;
及びWは同一又は異なってO、S又はNHを示し;
及びYは同一又は異なって単結合又はC1〜C6アルキレン鎖を示し;
及びAは同一又は異なって、アリール基、シクロアルキル基又は複素環基(当該A及びAは同一又は異なって、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、ニトロ基、1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、オキソ基、水酸基又はハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基の中からそれぞれ独立して選ばれた1〜3個の置換基(隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい)を有していてもよい)を示し;
は、OH又はNRを示し;
、R及びRは同一又は異なって、水素原子、C1〜C6アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し;
は、水素原子又はC1〜C6アルキルチオ基を示し;
及びRは、同一又は異なって、水素原子又はカルボキシル基で置換されていても良いC1〜C6アルキル基を示す。)で表される縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項2】
前記一般式(1)において、RがOH又はNHである請求項1に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項3】
前記一般式(1)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである請求項1に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項4】
前記一般式(1)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである請求項1に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項5】
下記一般式(1a)
【化5】

(式中、W、W、Y、Y、A、A及びRは上記に同じ。)で表される請求項1に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項6】
前記一般式(1a)において、RがOH又はNHである請求項5に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項7】
前記一般式(1a)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである請求項5に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項8】
前記一般式(1a)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである請求項5に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項9】
下記一般式(1b)
【化6】

(式中、W、W、Y、Y、A、A及びRは上記に同じ。)で表される請求項1に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項10】
前記一般式(1b)において、RがOH又はNHである請求項9に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項11】
前記一般式(1b)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである請求項9に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項12】
前記一般式(1b)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである請求項9に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項13】
下記一般式(1c)
【化7】

(式中、W、W、Y、Y、A、A、R及びRは上記に同じ。)で表される請求項1に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項14】
前記一般式(1c)において、RがOH又はNHである請求項13に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項15】
前記一般式(1c)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである請求項13に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項16】
前記一般式(1c)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである請求項13に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項17】
下記一般式(1d)
【化8】

(式中、W、W、Y、Y、A、A、R及びRは上記に同じ。)で表される請求項1に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項18】
前記一般式(1d)において、RがOH又はNHである請求項17に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項19】
前記一般式(1d)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、RがOH又はNHである請求項17に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項20】
前記一般式(1d)において、W及びWの少なくとも一方が硫黄原子であり、Y及びYは同一又は異なってメチレン鎖又はエチレン鎖であり、RがOH又はNHである請求項17に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン非依存性糖尿病発病の治療、予防又は抑制剤。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする肥満の治療、予防又は抑制剤。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高血糖症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項24】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項25】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高コレステロール血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項26】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高トリグリセリド血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項27】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン耐性の治療、予防又は抑制剤。
【請求項28】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高インスリン血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項29】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする動脈硬化症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項30】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の縮合二環式ピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする退行性骨粗鬆症の治療、予防又は抑制剤。

【公開番号】特開2006−342114(P2006−342114A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170381(P2005−170381)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】