説明

繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニット

本発明は、すでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも1つの凝縮チャネル、およびドラフト・ユニット・ローラ上に凝縮ユニットを位置決めするための第1および第2支持面を含む、繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニットを開示する。本発明では、凝縮ユニット(20)は、少なくとも第1(31)および第2(32;33)支持面と単体で設計されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも1つの凝縮チャネルと、凝縮ユニットをドラフト・ユニット・ローラ上に位置決めするための第1及び第2支持面とを含む、繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニットに関する。
【0002】
2つの隣接するドラフトユニットに及ぶ上記タイプの凝縮ユニットが、中国実用新案CN2734787Yに開示されている。ドラフトユニットのボトムローラのための2つの支持面が設けられ、それらは軸方向に相互に離れて位置されている。各支持面において、すでにドラフトされた繊維ストランドのための凝縮チャネルが設けられる。凝縮ユニットはマルチパートコンポーネントとして設計される。凝縮ユニットは2つの凝縮コンポーネントを含み、それらの各々が支持面を含む。凝縮コンポーネントは、可動な方法でバーに配置されるようになっており、ドラフトユニットのボトムローラ上に配置されると、ドラフト・ユニット・ローラの周面に対して及び相互に対して自分自身を調整する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改善された凝縮ユニットを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明に従って、凝縮ユニットが少なくとも第1および第2支持面と単体(one piece)で設計されることから達成された。
【0005】
一体的に成形された単体の第1および第2支持面を有する凝縮ユニットは、両方の支持面がそれらの位置に相互に対して固定され、相互に対して動くことができないという利点を有する。凝縮ユニットはドラフト・ユニット・ローラの非常に安定な位置に存するので、万一機械の振動が発生した場合でも、支持面が浮き上がることは、特に凝縮チャネルの領域では防止される。凝縮ユニットの製造において、支持面は必要な精度で製造され、その後それらの相互の調整状態を損なうことはない。第1支持面は凝縮チャネルの領域に配置されるので、凝縮チャネルもまた凝縮ユニットに一体的に組み込まれる。第1支持面は第2支持面から空間的に分離されるので、両方の支持面は相互に間隔を置いて位置する。2つの支持面は凝縮ユニットのための非常に安定な支持体を形成するので、凝縮ユニットはドラフトユニットのボトムローラ上に安定かつ正確に位置決めすることができる。両方の支持面は、支持安定性を損なうことなく、非常に小さく設計することができるので、凝縮ユニットの製造コストは低い。
【0006】
加えて、一般的でない凝縮ユニットが国際特許出願WO03/095723A1に開示されており、そこでは、ドラフトユニットのボトムローラ用の単一の極めて大きい支持面が提供される。凝縮ユニットは、ボトムローラ上にクランプのように配置される。凝縮ユニットの支持面は、これによりボトムローラの外周の半分より多くを包囲する。凝縮ユニットはボトムローラから上昇させることができず、支持面に対して開口した凝縮チャネルを含まない。加えて、このタイプの大きい支持面の正確な製造は大きな支出を伴う。
【0007】
用語「1つの支持面」とは、たとえ表面が1つまたは複数の凝縮チャネルによって幾つかの部分に「分割」される場合でも、支持面は凝縮チャネルの領域の「1つの面」と呼ばれるということから理解される。凝縮チャネルはトンネル形状であり、支持面に対して開口しているので、それは支持面を事実上2つの部分に「分け」、それらはもはや相互に接触しなくなる。凝縮チャネルがその全長に沿ってその機能を果たすことができるためには、支持面の1つの部分が、凝縮チャネルをドラフト・ユニット・ローラの周面に封着するために、凝縮チャネルの両側に「維持」されなければならない。支持面の両方の部分が機能ユニットを形成し、したがって「1つの面」と呼ばれる。たとえ1つの支持面の領域に複数の凝縮チャネルが配置される場合でも、依然として「1つの支持面」の表現が使用される。凝縮チャネルの領域の1つの支持面のドイツ特許出願DE10356913A1に開示された実施形態は、本発明による第2支持面に何の関係も持たず、それは凝縮チャネルから離れて位置する。ドイツ特許公開出願DE10356913A1では、凝縮チャネルに界接する領域全体の機能は、凝縮チャネルをドラフト・ユニット・ローラの周面に対して閉鎖する「1つの支持面」を形成することである。
【0008】
「ユニット」は、たとえ本発明に従って相互に離れた少なくとも2つの支持面が単一部品に配置されたとしても、一つのコンポーネント群によって形成するという点で、凝縮ユニットは文字通りの意味に理解される。個々の部品は、相互に係留接続され、必ずしも、動かすことができないように相互に固定的に接続される必要はなく、それらはまた、交換可能である。「ユニット」は独立して売買可能な物体である。
【0009】
単体として形成された第1および第2支持面を有する凝縮ユニットの場合、または少なくとも2つの支持面を含む凝縮ユニットの基体の場合、異なる材料は有利である。ドラフト・ユニット・ローラ上での支持面の摺動に長期にわたって耐えることのできる耐摩耗性材料が有利である。凝縮ユニットはセラミック製または鋼製とすることができる。支持面の相互に対する精度を確実にするために、支持面を研削するように構成することができる。凝縮ユニットに有利なのは真鍮またはアルミニウムである。凝縮ユニットはまた、ダイカスト部品として設計することもできる。耐摩耗性を高めるために、コーティング、例えば硬質材料のコーティングを支持面に塗布することができる。凝縮ユニットは合成材料から作製することが特に有利である。凝縮ユニットは射出成形部品として製造することができ、支持面および凝縮チャネルの領域における事前の再加工なしで即座に適用することができる。適切なプラスチックはPPS(ポリフェニレンスルフィド)およびPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。プラスチックは少なくとも1つの添加剤を含むことが有利であり、それは例えば硬質かつ/または耐摩耗性添加剤とすることができる。プラスチックは例えば強化のため、ガラス繊維、炭素繊維、および/またはガラスビーズのような添加剤を含むことができる。プラスチックは減摩添加剤、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含むことが有利である。
【0010】
少なくとも凝縮チャネルの領域の支持面は凹状に湾曲し、それにより湾曲はシリンダの周面に適合される。用語「シリンダ」は幾何学的基体を意味する。支持面の湾曲がそれに対して適合されるシリンダの直径は、支持面および凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラ上に動作中極めてぴったりと配置され、かつトンネル形凝縮チャネルがドラフト・ユニット・ローラの周面に対してしっかり封着されるように、ドラフト・ユニット・ローラの外径に非常に正確に一致することが有利である。トンネル形凝縮チャネルは、支持面に直接界接する案内壁を含む。凝縮チャネルを閉鎖チャネルに対して最終的に閉鎖するのは、ドラフト・ユニット・ローラの周面である。ドラフト・ユニット・ローラの周面は凝縮ゾーンにおける繊維ストランドの移送要素として働くので、これは有利である。
【0011】
少なくとも2つの支持面は凹状に湾曲し、それによって全ての湾曲面が共通シリンダの周面に適合されるように構成することが有利である。凝縮チャネルの領域の、支持面から離れて位置する支持面を凹状または平面状に設計することも有利になり得る。第2支持面は何よりもまず、凝縮ユニットの安定化に役立つ。第2支持面とドラフト・ユニット・ローラの周面との間に、線または点接触が設けられる場合、この目的には充分である。支持面がドラフト・ユニット・ローラの溝無し領域に支持される場合、これは特に有利である。
【0012】
また、凝縮ユニットは、すでにドラフトされた繊維ストランドのための凝縮チャネルを含むことに加えて、さらに繊維ストランドのための案内面も存在するように設計することも有利である。ドラフトユニットの主ドラフトゾーンに繊維ストランドのための案内面を設けることが有利である。案内面は、繊維ストランドの移送方向に見て、凝縮チャネルの上流に配置される。繊維ストランドのための案内面は、繊維ストランドをドラフト面から偏向させるために適用可能な凸状案内面とすることができる。案内面はまた、主ドラフトゾーンで繊維ストランドを凝縮させるために、漏斗形に設計することもできる。
【0013】
本発明の実施形態では、凝縮ユニットが糸用の少なくとも1つの案内面を含むようにすることができる。糸用の案内面は、凝縮ゾーンに界接するトップローラの可撓性コットの摩耗を低減することができる。
【0014】
凝縮ゾーンは、ドラフト・ユニット・ローラのために厳密に2つの支持面を含むことができる。この実施形態は、単一ドラフトユニットが割り当てられる凝縮ユニットに特に有利である。
【0015】
安定性をさらに高めるために、凝縮ユニットに少なくとも3つの支持面を設け、2つの支持面がドラフト・ユニット・ローラの周方向に相互に離れて位置し、前記ドラフト・ユニット・ローラを支持面と接触させることが可能であり、2つの支持面がドラフト・ユニット・ローラの軸方向に相互に離れて位置するように構成された、ドラフト・ユニット・ローラに配置される凝縮ユニットの実施形態が有利である。
【0016】
凝縮ユニットが2つの隣接するドラフトユニットに適用可能であり、凝縮ユニットがすでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも2つの凝縮チャネルを含むことは有利になり得る。凝縮ユニットは凝縮チャネルの領域に第1および第2支持面を含む。凝縮ユニットは、ドラフト・ユニット・ローラの周方向に第1支持面および第2支持面から離れて位置する、少なくとも1つのさらなる支持面を含む。第1支持面は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向にのみ、第2支持面から離れて位置することが有利である。隣接するドラフトユニットの領域の第1および第2支持面は各々、凝縮ユニットの片側突出領域に配置されることが有利である。
【0017】
凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラのための3つの支持面を含み、第1支持面は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向のみに第2支持面から離れて位置することが有利であり、第3支持面はドラフト・ユニット・ローラと接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの周方向に第1および第2支持面から離れて位置し、第3支持面は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向に見て、第1および第2支持面の間のほぼ中央に配置されることが有利になり得る。この実施形態は、2つの隣接するドラフトユニットに適用可能な凝縮ユニットに特に有利である。3つの支持面は、凝縮ユニットの良好かつ安定な位置決めを確実にする。
【0018】
本発明の実施形態では、凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラのための4つの支持面を含み、該支持面が相互に離れて位置することが有利である。第1支持面はドラフト・ユニット・ローラの軸方向のみに第2支持面から離れて位置し、第3支持面は軸方向のみに第4支持面から離れて位置する。支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向に見て、第3および第4支持面は相互に、第1および第2支持面の相互の距離とほぼ同じ距離に位置することが有利である。凝縮ユニットは、第3および第4支持面の領域に繊維ストランドのための案内面を含むことが有利である。既製繊維ストランドのための2つの凝縮チャネルおよび繊維ストランドのための2つの案内面を含む、2つの隣接するドラフトユニットのための凝縮ユニットは、トップローラ集合体と有利に組み合わせることができ、前記トップローラ集合体は、隣接ドラフトユニット用のトップローラを有する2つのツイン・トップ・ローラを含む。
【0019】
隣接ドラフトユニットの繊維ストランドの最適案内のために、凝縮ユニットにおいて、繊維ストランドのための2つの案内面が、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向に見て、すでにドラフトされた繊維ストランドのための2つの凝縮チャネルとほぼ同じ相互間距離を有することが有利である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、凝縮ユニットが、凝縮ユニットをトップローラ集合体に、特にトップローラ集合体の基体に取り付けるための手段を含むことが有利である。凝縮ユニットは、トップローラ集合体と共にドラフト・ユニット・ローラから上昇させることができる。トップローラ集合体がドラフト・ユニット・ローラから持ち上げられたときに凝縮ユニットが見失われず、かつ制御された条件下でのみ移動することができるように、接続手段は凝縮ユニットをトップローラ集合体に可動的に接続する。凝縮ユニットをトップローラ集合体に取り付けるための手段は、凝縮ユニットの支持面に接触力を発生させるための荷重要素を含むことができる。荷重要素はばねとして、特に板ばねとして設計することが有利である。凝縮ユニットは荷重要素のためのテークアップを含むことが有利である。ばねは凝縮ユニットの基体に取り付けることができ、荷重要素と基体との間のジョイント要素が有利である。ばねの他端は、トップローラ集合体に、好ましくはトップローラ集合体の基体に取付け可能である。そのような実施形態は、荷重要素が凝縮ユニットと共に、トップローラ集合体に適用できかつ容易に交換可能でもある1群のコンポーネントを形成するという点で、有利である。荷重要素の力は凝縮ユニットの要件に適応させることができる。凝縮ユニット上の荷重要素のためのテークアップもまた、トップローラ集合体に含まれる荷重要素によって接触させることができ、該荷重要素はテークアップの領域のその荷重力を凝縮ユニットに伝達する。凝縮ユニットは代替的に、または追加的に、磁石用のテークアップおよび/または磁石を荷重要素として含む。
【0021】
さらなる実施形態では、凝縮ユニットが、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの周方向に、凝縮ユニットを位置決めするための停止面を少なくとも1つ含むことが、有利になり得る。周方向に位置決めするための停止面は、凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラの回転によって巻き込まれることを防止する。特に凝縮チャネルは、停止面によってトップローラのニップラインに対して正確に位置決めされる。停止面は、トップローラ集合体のコンポーネント上に支持されることが有利である。凝縮ユニットが2つの隣接ドラフトユニット用に設計される場合、周方向の位置決めのための停止面は、ドラフト・ユニット・ローラのための2つの支持面間の中央に配置されることが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のこれらおよびさらなる目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面に関連付けて検討したときに、いっそう容易に明確になるであろう。図示しかつ記載する種々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、随意に組み合わせることができる。
【0023】
【図1】トップローラ集合体および凝縮ユニットを含む繊維機械のドラフトユニットの部分断面拡大側面図である。
【0024】
【図2】図1の凝縮ユニットの矢印II方向に見た図である。
【0025】
【図3】トップローラ集合体および凝縮ユニットの変形例の図1に類似する部分断面拡大側面図である。
【0026】
【図4】図3の凝縮ユニットの矢印IVの方向に見た図である。
【0027】
【図5】図3のV−Vに沿って切った凝縮ユニットの凝縮チャネルの断面図である。
【0028】
【図6】トップローラ集合体および凝縮ユニットの変形例の図1に類似する部分断面拡大側面図である。
【0029】
【図7】図6の凝縮ユニットの矢印VII方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1ないし7に繊維機械のドラフトユニット1の非常に模式的な表現を示す。ドラフトユニット1は二重エプロン・ドラフト・ユニットとして設計される。ドラフトユニット1は紡績機、好ましくはリング紡績機に配置される。ドラフトユニット1は、短繊維から構成され移送方向Aに給送される繊維ストランド2を公知の方法で所望の繊度までドラフトする。繊維ストランド2は、移送方向Aに相互に前後して配置された複数のローラ対によってドラフトされ、前記ローラ対は移送方向に駆動速度が増大する。ローラ対のうちフロントローラ対3、4のみが図示されており、そのニップライン5で繊維ストランド2のドラフトが終了する。ローラ対3、4を含むローラ対は、駆動可能なボトムローラ3と、ボトムローラ3に押し付けられる回転自在のトップローラ4とを備える。トップローラ4は軟質ゴム材料のコットを具備し、繊維ストランド2がドラフトローラ3および4の間のニップラインでニップされるように、ボトムローラ4に押し付けられる。トップローラは、旋回運動して開閉することのできるトップ・ウェイティング・アーム6に取り付けられる。案内エプロン7および8が公知の方法でフロントローラ対3、4の上流のローラ対に配置される。案内エプロン7および8は、案内エプロン7、8によってループされるローラ対のニップライン(図示せず)からニップライン5まで延びる、ドラフトユニット1の主ドラフトゾーンで繊維ストランド2を案内する。トップローラ4および他のトップローラ(図示せず)は、ツイン・トップ・ローラとして設計される。ツイン・トップ・ローラは、隣接するドラフトユニット1および1´に割り当てられかつジョイントアクスル9を有する2つのトップローラを含む。図示する事例では、ツイン・トップ・ローラ4の両方のトップローラが、ルーズ・ボス・トップ・ローラとして設計される。すなわち両方のトップローラが非回転アクスル9上で自在に回転可能である。トップ・ウェイティング・アーム6は、2つの隣接するドラフトユニット1および1´間の中央に配置され、2つのトップローラ4をアクスル9上に支持する。ボトムローラ3は、複数の隣接するドラフトユニット1、1´上に延びる連続ドラフト・ユニット・ローラとして設計される。
【0031】
従来のドラフトユニット1の場合、すでにドラフトされた繊維ストランドは、引出し方向Bにニップライン5のすぐ下流の加撚装置(図示せず)例えばリングスピンドルへ給送され、加工糸10が形成される。糸10の品質を改善するために、特に毛羽立ちを低減するために、すでにドラフトされた繊維ストランド11は、繊維ストランド11を凝縮緻密化する、ニップライン5のすぐ下流の凝縮ゾーン12を介して給送される。すでにドラフトされた繊維ストランド11はボトムローラ3の周面13上に位置し、それによって凝縮ゾーン12を介して給送される。凝縮ゾーン12では、繊維ストランド11は凝縮チャネル14を介して給送される。凝縮チャネル14はトンネル状の設計であり、ボトムローラ3に向かって開口する。第2トップローラ15はボトムローラ3に配置され、該第2トップローラ15は、ボトムローラ3と共にニップライン16を形成し、該ニップライン16は凝縮ゾーン12を終端させる。繊維ストランドは引出し方向Bに加撚装置(図示せず)に給送されるので、ニップライン16のすぐ下流で、凝集された繊維ストランドは撚りを加えられて糸10になる。ニップライン16は撚止めを形成し、繊維ストランド11が凝縮ゾーン12で無撚状態を維持することを確実にする。
【0032】
2つの隣接するドラフトユニット1および1´のトップローラ15もまたジョイントアクスル17に支持され、ツイン・トップ・ローラを形成する。ツイン・トップ・ローラ15はツイン・トップ・ローラ4と共にトップローラ集合体18を形成する。トップローラ集合体18は基体19を含み、そこで2つのツイン・トップ・ローラ4、15はそれらのアクスル9、17に受容される。トップローラ集合体18は独立ユニットを形成し、それは交換することができるようにトップ・ウェイティング・アーム6に取り付けられる。ツイン・トップ・ローラ4および15は、トップローラ集合体4および15のトップローラが相互に接触せずかつトップローラをジョイント・ドラフト・ユニット・ローラ3上に配置することができるように、トップローラ集合体18に配置される。アクスル9および17は基体19においてできる限り平行に整列することが有利である。アクスル9および17は遊び無く基体に受容されること、すなわち基体19に対して動くことができないことが有利である。トップローラ集合体18のトップ・ウェイティング・アーム6への取付けは、トップローラ集合体18がある程度可動でありかつドラフト・ユニット・ローラ3上に配置されたときにそれ自体を調整することができるように行なわれることが有利である。トップローラ集合体18の取付けはアクスル9を介して行うのが有利である。トップ・ウェイティング・アーム6は、アクスル9の中央でツイン・トップ・ローラ4に荷重を加える。トップローラ集合体18のトップ・ウェイティング・アーム6への取付けは、相互に直角に延びる2つの仮想軸を中心とするトップローラ集合体18の振子運動を可能にすることが有利である。該仮想軸線は両方ともアクスル9に対して直角をなす。
【0033】
トップローラ集合体18はさらに、凝縮チャネル14を備えた凝縮ユニット20を含む。凝縮ユニット20は、トップローラ4および15の間の領域に配置される。
【0034】
凝縮ユニット20は、以下でさらに詳述する図1ないし図7の種々の実施形態に示される。異なる実施形態を標識するために、参照番号20に関連する図の番号が付加される。図1および図2の凝縮ユニットは参照番号120を有し、図3ないし図5の凝縮ユニットは参照番号320を有し、図6および図7の凝縮ユニットは参照番号620を有する。全ての実施形態の凝縮ユニットに言及する場合、参照番号20を使用し、その他の場合は全て、特定の実施形態の参照番号を提示する。
【0035】
凝縮ユニット20は、定められた運動が可能になるようにトップローラ集合体18に取り付けられ、凝縮ユニット20をトップローラ集合体18に取り付けるための少なくとも1つの手段21が設けられる。接続手段21の種々の実施形態が有利である。全ての場合に、接続手段21は、凝縮ユニット20がトップローラ集合体18から意図せず外れ落ちないように、かつ凝縮ユニット20がトップローラ集合体18で制御不能に動くことができないように働く。接続手段21は、トップローラ集合体18から凝縮ユニット20への少なくとも1つの力の伝達を可能にする。取付けのための手段21は、トップローラ集合体18の基体19上に、またはツイン・トップ・ローラ4、15の部分に取り付けられる。
【0036】
従来のドラフトユニットを含む古い紡績機の場合、これまで稼動してきた既存のトップローラ4をドラフトユニット1から取り外して、トップローラ集合体18と交換することが可能である。トップローラ4のためのトップ・ウェイティング・アーム6上のテークアップ62は、トップローラ集合体18の要件に適応させることができる。既存の紡績機はこれにより、改造後に品質改善された糸10を生産することができるように、凝縮ゾーン12を備えたドラフトユニット1により改造することができる。
【0037】
トップローラ集合体18および特にトップローラ15のボトムローラ3への押付けを確実にするために、板ばね22を設けることができる。板ばね122は、図1および図2に示す通りトップ・ウェイティング・アーム6に取り付けることができ、その自由端をトップローラ集合体18の基体19に押し付ける。さらなる有利な実施形態を図3に示す。板ばね322はトップローラ集合体18の基体19に取り付けられ、その自由端はトップ・ウェイティング・アーム6に支持される。
【0038】
すでにドラフトされた繊維ストランド11のための凝縮チャネル14に補足して、繊維ストランド2のための案内面23を主ドラフトゾーンに設けることが有利になり得る。案内面23は、ドラフトされた繊維ストランド11の品質を改善することができる。案内面23は、凝縮チャネル14の上流で移送方向Aに凝縮ユニット20まで配置される。案内面23は、案内エプロン7、8の下流およびニップライン5の上流で繊維ストランド2を案内するように働く。
【0039】
有利な実施形態では、凝縮ユニット20が糸10のための案内面24を含むように構成することができる。案内面24は凝縮チャネル14の下流に配置され、ニップライン16のすぐ下流で糸10を案内するように働く。案内面24は、糸10とトップローラ15との接触面積を低減する効果を有し、それは次にトップ・ローラ・コットの摩耗を低減させる。
【0040】
図1および図2に凝縮ユニット120の第1の有利な実施形態を示す。凝縮ユニット120は、マルチパートコンポーネントとして設計される。凝縮ユニット120は2つの隣接するドラフトユニット1および1´にわたって延び、隣接するドラフトユニット1および1´のすでにドラフトされた繊維ストランド11および11´のための2つの凝縮チャネル14および14´を含む。凝縮ユニット120は凝縮ユニット120をドラフト・ユニット・ローラ3上に位置決めするための支持面131を含み、それは凝縮チャネル14の領域に配置される。凝縮チャネル14´の領域には、第2支持面132が設けられる。凝縮ユニット120は、ボトムローラ3の周方向Cに支持面131および支持面132とは離れて位置する、ドラフト・ユニット・ローラ3のための第3支持面133を含む。分かり易くするために、ボトムローラ3の周方向Cおよびボトムローラ3の軸方向Dは、図2では各々双頭矢印で表わされる。図1に示された図面はまさしく軸方向Dの図を示す。支持面132は軸方向Dのみにおいて支持面131から離れて位置する。周方向Cには、支持面131および132は同じ位置にある。
【0041】
凝縮ユニット120は、相互に離れて位置する3つの支持面131、132、および133を含み、それはボトムローラ3上の凝縮ユニット120の安定な表面対表面の接触を確実にする。これは、凝縮ユニット120がボトムローラ3上にしっかりと位置し、かつ振動が発生したときでもぐらつかないことを確実にする。接触面131、132、および133と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dに、第3支持面133は、第1支持面131および第2支持面132間の中央に配置される。
【0042】
凝縮ユニット120は、3つの支持面131、132、133を持つ単体部品として設計される。3つの支持面131、132、133および凝縮チャネル14、14´は全て、凝縮ユニット120の基体25に一体化される。そうする際に、3つの支持面131、132、133は相互に対するそれらの位置を失なうことがない。
【0043】
凝縮チャネル14および14´の領域における支持面131および132は凹状に湾曲し、該湾曲はシリンダの周面に適合される。これは、トンネル状凝縮チャネル14がボトムローラ3に対し封着されることを確実にする。支持面133は平面または凸状のいずれかに形成されることが有利である。ドラフトユニット1および1´の領域で、ボトムローラ3は通常その外面13上に溝が設けられる。ドラフトユニット1および1´の間の領域では、ボトムローラ3は溝無しで平滑に設計することができる。支持面133がドラフト・ユニット・ローラ3の溝無し領域に位置する場合、支持面133の摩耗は少ない。
【0044】
凝縮ユニット120は、接続手段21を介してトップローラ集合体18の基体19に可動的に取り付けられる。接続手段21は、滑り案内50、荷重要素27、および固定装置52を含む。つる巻き圧力ばねは荷重要素27として設けられる。凝縮ユニット120は、つる巻き圧力ばね27のためのテークアップ28を含む。つる巻き圧力ばね27は、テークアップ28内に着座し、基体19に圧接支持される。荷重要素27はこれにより、支持面131、132、133に対する接触力を生じる。つる巻き圧力ばね27は軸方向Dに支持面131および132間の中央に配置される。接触力を増大させる目的で、凝縮ユニット120は磁石29を含むことができる。磁石29が荷重要素として設けられる場合、用途によっては、つる巻き圧力ばね27を完全に省くことができる。別の有利な実施形態では、荷重要素27は空気圧で作動する。つる巻き圧力ばね27の代わりに、加圧パッド状要素(図示せず)をテークアップ28に配置することができ、該加圧パッド状要素が接触力を生じる。パッド状要素は圧搾空気供給源無しに自律的に設計されることが有利である。
【0045】
接続手段21の一部としての滑り案内50は、凝縮ユニット120の定められた移動性を確実にする。凝縮ユニット120は、ドラフト・ユニット・ローラ3の周方向Cに凝縮ユニット120を位置決めするための停止面51を含む。凝縮ユニット120は、ドラフト・ユニット・ローラ3の回転によって周方向Cに引きずられる傾向がある。停止面51は、基体19上に定められた方法で配置される。停止面51は2つの凝縮チャネル14および14´間の中央に配置される。
【0046】
接続手段21は、凝縮ユニット120のための固定装置を形成する固定要素52を含む。固定要素52は、トップローラ集合体18がボトムローラ3から引き上げられるときに、凝縮ユニット120が滑り案内50から滑り落ちることを防止する。
【0047】
凝縮ユニット120の1実施形態では、凝縮ユニット120が繊維ストランド2のための少なくとも1つの案内面23または23´を含むようにすることができる。円筒状案内要素の形の案内面23は繊維ストランド2を案内することができ、必要な場合、案内エプロン7、8の出口とニップライン5との間の最短想像接続線からわずかに偏向させることができる。その場合、繊維ストランド2は凸状案内面23の部分をループする。案内面23は、凝縮ユニットと一体で配置され、破線で表わすように基体25に含められることができる。本発明の有利な実施形態(図示せず)では、繊維ストランド2のための案内面23は先細案内チャネルとして設計され、それはすでに主ドラフトゾーンで繊維ストランド2の凝縮効果を発揮している。
【0048】
また、破線によって、糸10のための追加案内面24、24´を含む拡大凝縮ユニット120も示されている。案内面24は、基体25に対して動くことができないように基体に固定された耐摩耗性コンポーネントに配置することができる。
【0049】
案内面23および24に対する繊維ストランド2および糸10の接触力は、往々にして凝縮チャネル14に対する繊維ストランド11の接触力より大きいので、図示しない実施形態では、案内面23および/または案内面24を、基体25に接続された耐摩耗性コンポーネントに配置することが有利になり得る。
【0050】
図3ないし5に凝縮ユニット320の第2実施形態を示す。凝縮ユニット320は2つの隣接するドラフトユニット1および1´に適用可能である。凝縮ユニット320は、すでにドラフトされた繊維ストランド11、11´のための2つの凝縮チャネル14、14´を含む。凝縮ユニット320は、凝縮ユニット320をドラフト・ユニット・ローラ3上に位置決めするための第1支持面331を含み、それは凝縮チャネル14の領域に配置される。
【0051】
図5から分かるように、支持面331は凝縮チャネル14によって2つの部分に分割され、それらはもはや接触しなくなる。この事実にもかかわらず、本発明の目的に従って、凝縮チャネル14の領域の1つの支持面331だけについて言及する。
【0052】
凝縮ユニット320は、凝縮チャネル14´の領域に配置される、ドラフト・ユニット・ローラ3のための第2支持面332を含む。凝縮ユニット320は、周方向Cに支持面331および332から離れて位置する2つのさらなる支持面333および334を含む。周方向Cの距離は、凝縮ユニット320に対する安定な支持を確実にするために、7.5mmから9.5mmの間であることが有利である。第1支持面331は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dのみに第2支持面332から離れて位置する。第3支持面333は、ドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dのみに第4支持面334から離れて位置する。軸方向Dに見て、第3支持面333および第4支持面334は、第1支持面331の第2支持面332からの距離と同じ距離だけ離れている。凝縮ユニット320は、第3支持面333の領域における繊維ストランド2のための案内面23および、第4支持面334の領域における案内面23´を含む。案内面23および23´は、支持面333および334に対して開口したトンネル状凝縮チャネルとして設計される。案内面23は、ドラフトユニット1の主ドラフトゾーンで繊維ストランド2の凝縮を達成する。繊維ストランド2の側方凝縮に加えて、案内面23は、図1に案内面23の場合に示したように、必要な場合には繊維ストランド2をドラフト面から多少偏向させることもできる。支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dに見て、繊維ストランド2、2´のための両方の案内面23、23´は、すでにドラフトされた繊維ストランド11、11´のための2つの凝縮チャネル14、14´とほぼ同じ距離だけ離れている。
【0053】
支持面331、332、333、および334は凹状に湾曲し、全ての湾曲はジョイントシリンダの周面に適合される。用語「シリンダ」はここでは、凝縮ユニット320の製造中に、後で存在し動作するドラフト・ユニット・ローラ3の代わりをする幾何学的基体を指す。
【0054】
製造を簡素化するために、支持面331の湾曲長は、支持面331の中心線に対し直角をなす全ての断面で見て、10mm未満、さらには8mm未満であることが有利である。支持面331の中心線は、支持面331の湾曲がその周面に適合されるシリンダの中心線に対応する。支持面331と直接界接する案内壁46を持つトンネル状凝縮チャネル14がボトムローラ3と密嵌接触するように、支持面331は非常に精密でなければならない。凹状支持面331の所要精度が研削プロセスによって確保される場合、最小可能な支持面331は、そのようなプロセスのコストを削減する。残りの面332、333、および334は支持面331と同様に設計される。凝縮チャネル14の代わりに、案内面23が支持面333および334の領域に設けられる。
【0055】
凝縮ユニット320の基体25は片側に突出した4つの領域341、342、343、344を含み、そこに支持面331、332、333、および334が配置される。各突出領域341、342、343、344は凝縮チャネル14、14´または案内面23、23´を含む。凝縮ユニット320の安定性要件によっては、基体25の片側に突出する領域341、342、343、344だけでは、荷重を受けた時、特に周方向Cに荷重を受けた時に充分安定しないかもしれない。凝縮ユニット320の安定性を高めるために、凝縮ユニット320は、突出領域342および344を相互に接続する、破線(2点鎖線)によって表わされる「ブレース」または安定化コンポーネント57を含むことが有利になり得る。突出領域341および343は同様に「ブレース」または安定化コンポーネント(図示せず)と接続することができる。
【0056】
凝縮ユニット320をトップローラ集合体に取り付けるために、板ばね58の形状の接続手段21が設けられる。板ばね58は同時に、支持面331、332、333、334に接触力を生成するための荷重要素である。板ばね58は、ねじ59によってトップローラ集合体18の基体19に固定される。ねじ59は、板ばね58および板ばね322をも基体19に一緒に固定することができる。支持面331、332、333、334への接触圧力を高めるために、凝縮ユニット320は破線で表される磁石29を含むことができる。
【0057】
凝縮ユニット320は、板ばね58のためのテークアップ28を含む。テークアップ28は、好ましくは筒状ピン63によって形成されるジョイントの形状で設計され、その周りに板ばねが湾曲される。板ばね58およびジョイント28は凝縮ユニット320を可動にし、トップローラ集合体18がボトムローラ3上に載置されたときに支持面331、332、333、および334が周面13上に確実に位置するように、調整することができる。ジョイント28のピンの周りに湾曲された板ばね58は、凝縮ユニット320がトップローラ集合体18から落ちるのを防止する。この結果、固定装置52は荷重要素58によって形成される。凝縮ユニット320のコンポーネント群は荷重要素58を含むことが有利である。したがって板ばね58は凝縮ユニット320と共に供給され、その荷重力はこの特定の凝縮ユニット320の要件に合わせて調整することができる。
【0058】
凝縮ユニット320は、凝縮ユニット320を周方向Cに位置決めするための停止面51を含み、前記停止面51は支持面331および332の間の中心に配置することが有利である。図示しない実施形態では、2つの支持面331および332の間に対称的に配置される、相互に離れた2つの停止面51を設けることができる。停止面51は基体19またはアクスル17に支持される。停止面51を基体19上に支持するための表面61は、それがトップ・ローラ・アクスル17の中心線の周りに一定半径を含むように設計される。これは結果的に、トップローラ4、15、特にトップローラ4のコットが摩耗した場合に再研削されたときに、凝縮ユニット320のさらに正確な位置決めを確実にする。
【0059】
凝縮ユニット320の実施形態では、加工糸10および10´のために2つの案内面24および24´を設けることができる。凝縮ユニット320の保持装置25は、案内面24、24´を受容する目的のために、破線で示すように凝縮チャネル14、14´の下流で拡大される。案内面24、24´は、基体25内に挿設されたバー60によって有利に形成することができる。バー60は、隣接するドラフトユニット1及び1′に沿って延びる。バー60は焼入れ鋼から作られることが有利である。図示しない実施形態では、単体の基体25に案内面24、24´を一体化することも有利になり得る。案内面24、24´を有する領域は、ドラフト・ユニット・ローラ3のための支持面をも含むことができ、例えば突出領域343,344と同様に設計することができる。
【0060】
図示しない代替的実施形態では、凝縮ユニット320をトップローラ集合体18の基体19に旋回するように配置することができる。図3で停止面51が配置された領域に、接続手段として凝縮ユニット320を基体19に接続するシリンダピンを配置することができる。凝縮ユニット320はピンの中心線の周りを旋回することができる。凝縮ユニット320がピンに固定される場合、凝縮ユニット320は2つの支持面331および332を含むだけで充分であり得る。案内面23および23´の領域の接触面333および334は、必要ならば省くことができる。接触面333および334が省かれる場合、案内面23および23´は、基体25のバー60と同様に適用される延長したバー56の外周によって直接、有利に形成することができる。その場合、例えば硬化鋼製のバー56は、保持装置25に取り付けられた耐摩耗性コンポーネントを形成する。代替的に、凝縮ユニット320をアクスル17に回動設置することも有利になり得る。
【0061】
凝縮ユニット620の第3実施形態を図6および図7に示す。凝縮ユニット620は、1つのドラフトユニット1だけに割り当てられ、すでにドラフトされた繊維ストランド11のための凝縮チャネルを含む。凝縮ユニット620は、凝縮チャネル14の領域に配置されるドラフト・ユニット・ローラ3上に凝縮ユニット620を位置決めするための支持面631を含む。支持面631は凹状に湾曲し、周面13に適合される。
【0062】
凝縮ユニット620は、周方向Cに支持面631から離れて位置するドラフト・ユニット・ローラ3のためのさらなる支持面633を含む。支持面633は平面または凸面とすることができる。支持面633は凝縮ユニット620の基体25に配置される。
【0063】
凝縮ユニット620の支承安定性を改善するために、第3支持面632(破線で示す)を設けることが有利になり得る。支持面631、632、633および荷重要素27は、支持面631、632、および633の中心点間の最短可能な接続線によって形成される図7の仮想領域内に荷重要素が位置するように、相互に対して配置することが有利である。
【0064】
凝縮ユニット620は単一ドラフトユニット1だけのために設計され、その結果、ドラフトユニット1で発生するどんな障害も隣接ドラフトユニット1´に伝達されないという利点を有する。しかし、他の実施形態の場合と同様に、2つの隣接するドラフトユニット1、1´のためのトップローラ集合体18が設けられる。トップローラ集合体18には、相互に鏡面対称に設計されることが有利である、2つの分離した凝縮ユニット620および620´が配置される。凝縮ユニット620および620´は、各々が独立して可動であるようにトップローラ集合体18上に配置される。
【0065】
凝縮ユニット620をトップローラ集合体18に取り付けるための手段21が設けられ、それは滑り案内50、固定装置としての固定要素52、および支持面631、633に対する接触力を発生させるための荷重要素としてのつる巻き圧縮ばね27を含む。
【0066】
代替的実施形態では、滑り案内50は省くことができる。凝縮ユニット620は接続手段21´によりツイン・トップ・ローラ15のアクスル17に取付け、図6に破線で示すようにアクスル17の周りを旋回することができる。滑り案内50の一部として停止面51の代わりに、停止面51´が周方向Cに凝縮ユニット620を位置決めするために設けられ、外停止面51´はアクスル17に支持される。この場合、支持面632は省くことができるが、ばね27および固定装置52は図示する通り維持される。
【0067】
1実施形態では、凝縮ユニット620は、繊維ストランド2のための案内面23および/または糸10のための案内面24を含むことができる。案内面23および24は、他の図に関連して上述した実施形態と同様に設計することができる。また、支持面633を案内面23の領域に配置することも有利になり得る。
【0068】
凝縮ユニット620の基体25は、片側に突出する少なくとも1つの領域641を含み、そこに支持面631が配置される。突出領域641は凝縮チャネル14を含む。案内面23aのために、さらなる突出領域643を設けることができる。そうする際に、突出領域641の支持面631とは反対側にあるツイン・トップ・ローラ4および15のコット間より大きい空間が存在するドラフトユニット1、1´の間の領域に、凝縮ユニット620を取り付けるための手段21を配置することができる。
【0069】
これまでの全ての実施形態では、1つのドラフトユニット1における単一繊維ストランド2の処理を記載した。しかし、公知の方法で、複数の繊維ストランドを、特に2つの繊維ストランドを1つのドラフトユニット1で一緒にドラフトすることが可能である。ニップライン5には、すでにドラフトされ凝縮ゾーン12を別々に案内される2つの繊維ストランド11が相互に離れて存在する。その場合、2つの隣接する繊維ストランド11を凝縮する2つの凝縮チャネル14が凝縮ゾーン12に設けられる。別々に凝縮された2つの繊維ストランド11は、ニップライン16のすぐ下流のジョイント加撚装置に給送され、加撚されて2重スピン撚糸になる。記載した凝縮ユニット20における凝縮チャネル14および案内面23の数は、言うまでもなく、そのような2重スピン撚糸の生産に適応させることができる。すでにドラフトされた繊維ストランド11の凝縮のために、様々な形の凝縮チャネル14が公知である。凝縮チャネル14およびその案内壁46の形状の選択は、用途およびドラフトユニットで処理される繊維ストランドのタイプに従って行なわれる。
【0070】
凝縮ユニット20をトップローラ集合体18に取り付けるための上述の種々の手段21は当然、必要に応じて組み合わせることができることを言明する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
すでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも1つの凝縮チャネル、およびドラフト・ユニット・ローラ上に凝縮ユニットを位置決めするための第1および第2支持面を含む、繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニットにおいて、凝縮ユニット(20)が少なくとも第1(31)および第2(32;33)支持面と単体で設計されることを特徴とする凝縮ユニット。
【請求項2】
凝縮ユニット(20)が、繊維ストランド(2)のための少なくとも1つの案内面(23)を含む、請求項1に記載の凝縮ユニット。
【請求項3】
凝縮ユニット(120;320)が、隣接するドラフトユニット(1,1′)のすでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための少なくとも2つの凝縮チャネル(14,14′)を含み、凝縮ユニット(120;320)が凝縮チャネル(14,14′)の領域に第1(131;331)および第2(132;332)支持面を含む、請求項1または2に記載の凝縮ユニット。
【請求項4】
凝縮ユニット(20)がドラフト・ユニット・ローラ(3)のための少なくとも1つのさらなる支持面(33)を含み、前記支持面(33)が、凝縮チャネル(20)と単体で形成され、かつ第1(31)および第2(32)支持面から離れて位置する、請求項1〜3のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項5】
凝縮ユニット(20)が少なくとも3つの支持面(31,32,33)を含み、2つの支持面(31,33)がドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)において相互に離れて位置し、そのドラフト・ユニット・ローラ(3)が支持面(31,32,33)と接触することが可能であり、2つの支持面(31,32)がドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)において相互に離れて位置し、そのドラフト・ユニット・ローラ(3)が支持面(31,32,33)と接触することが可能である、請求項4に記載の凝縮ユニット。
【請求項6】
凝縮ユニット(120;320)が、隣接するドラフトユニット(1,1′)のすでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための少なくとも2つの凝縮チャネル(14,14′)を含み、凝縮ユニット(120;320)が凝縮チャネル(14,14′)の領域に第1(131;331)および第2(132;332)支持面を含み、凝縮ユニット(120;320)が、ドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)において第1(131;331)および第2(132;332)支持面から離れて位置する、少なくとも1つのさらなる支持面(133;333;334)を含む、請求項4または5に記載の凝縮ユニット。
【請求項7】
凝縮ユニット(120)がドラフト・ユニット・ローラ(3)のための3つの支持面(131;132;133)を含み、第1支持面(131)が、支持面(131,132,133)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)のみに第2支持面(132)から離れて位置し、第3支持面(133)が、支持面(131,132,133)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に第1および第2支持面(131,132)から離れて位置し、第3支持面(133)が、支持面(131,132,133)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)に見ると第1(131)および第2(132)支持面の間のほぼ中央に配置される、請求項4〜6のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項8】
凝縮ユニット(320)が4つの支持面(331,332,333,334)を含み、該支持面が相互に離れて位置する、請求項4〜6のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項9】
第1支持面(331)が、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)のみに第2支持面(332)から離れて位置し、第3支持面(33)が、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)のみに第4支持面(334)から離れて位置し、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)に見ると第3(333)および第4(334)支持面が相互に、第1(331)および第2(332)支持面の相互の距離とほぼ同じ距離に位置する、請求項8に記載の凝縮ユニット。
【請求項10】
凝縮ユニット(320)が第3および第4支持面(333,334)の領域に繊維ストランド(2)のための少なくとも1つの案内面(23)を含む、請求項8または9に記載の凝縮ユニット。
【請求項11】
凝縮ユニット(120;320)が、すでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための2つの凝縮チャネル(14,14′)および繊維ストランド(2,2′)のための2つの案内面(23,23′)を含む、請求項4〜10のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項12】
繊維ストランド(2,2′)のための2つの案内面(23,23′)が、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)に見るとすでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための2つの凝縮チャネル(14,14′)とほぼ同じ相互間距離を有する、請求項11に記載の凝縮ユニット。
【請求項13】
支持面(31)が凹状に湾曲し、それによって湾曲がシリンダの周面に適合される、請求項1〜12のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項14】
少なくとも2つの支持面(31,33)が凹状に湾曲し、それによって全ての湾曲が共通シリンダの周面に適合される、請求項13に記載の凝縮ユニット。
【請求項15】
凝縮ユニット(20)が、支持面(31,33)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に凝縮ユニット(20)を位置決めするための停止面(51)を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項16】
凝縮ユニット(20)が、支持面(31;32)に接触力を生じさせる荷重要素(27;29;58)のための少なくとも1つのテークアップ(28)を含む、請求項1〜15のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項17】
凝縮ユニット(20)が、支持面(31,33)に接触力を生じさせる少なくとも1つの荷重要素(29:58)を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項18】
荷重要素が、凝縮ユニット(320)に取り付けられるばね(58)である、請求項17に記載の凝縮ユニット。
【請求項19】
荷重要素が磁石(29)である、請求項17または18に記載の凝縮ユニット。
【請求項20】
2つの支持面(31,33)間の周方向(C)の距離が、5mm超、特に7.5mm〜9.5mmである、請求項1〜19のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項21】
凝縮ユニット(20)の支持面(31,33)が、14mm未満、特に8mm未満の、支持面(31,33)と接触することのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)の長さを有する、請求項1〜20のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項22】
凝縮ユニット(20)の凹状支持面(31)が、凹状支持面(31)の中心線に対して垂直な各断面で見ると、14mm未満、特に8mm未満である、請求項1〜21のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項23】
凝縮ユニット(20)が、凝縮ユニット(20)をトップローラ集合体(18)、特にトップローラ集合体(18)の基体(19)に取り付けるための手段(21)を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項24】
凝縮ユニット(20)が基体(25)を含み、基体(25)が少なくとも2つの支持面(31;32;33)を含む、請求項1〜23のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項25】
凝縮ユニット(20)及び/又は基体(25)がダイカスト又は射出成形部品からなる、請求項1〜24のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項26】
凝縮ユニット(20)及び/又は基体(25)が合成材料からなる、請求項1〜25のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項27】
基体、および基体に受容される2つのツイン・トップ・ローラを含む、繊維機械のドラフトユニットのためのトップローラ集合体であって、トップローラ集合体(18)が、請求項1〜26のいずれかに記載の少なくとも1つの凝縮ユニット(20)を含み、凝縮ユニット(20)が移動可能な方法でトップローラ集合体(18)に装着されていることを特徴とするトップローラ集合体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−518963(P2011−518963A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505416(P2011−505416)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002880
【国際公開番号】WO2009/129988
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(506290730)シュピンデルファブリク・ズッセン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (4)
【Fターム(参考)】