説明

繊維状基材を処理するための方法および組成物

本開示の実施態様は、汚れ反発組成物、繊維状基材上に汚れ抵抗性を付与するための方法、汚れ反発組成物が適用されて乾燥された繊維状基材、汚れ反発組成物の製法、等を含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとされる、2007年、5月18日出願の出願番号第60/938,742号を有する、「繊維状基材を処理するための方法および組成物」と題する米国特許仮出願に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、繊維状基材を処理するための汚れ反発組成物、製法、等に関する。
【背景技術】
【0003】
染みおよび汚れ反発化学薬品は、絨毯並びに椅子張り、寝具および他の織物に使用される織物製品を含む繊維状基材の製造中にしばしば適用される。このような繊維状基材の汚れ防止処理は主として、他の効果のなかでも、繊維状基材の汚れの軽減をもたらす、繊維の表面エネルギーを減少させる傾向をもつ、種々の高度フッ素化ポリマーを基剤とされてきた。このようなフッ素化ポリマーの少なからぬ欠点はそれらの高価格である。
【0004】
非フッ素化ポリマーもまた、汚れを軽減するように繊維状基材、特に絨毯を処理するために開発された。例はシリコーン、シリケートおよび特定のシルセスキオキサンを含む。しかし、これらの非フッ素化組成物は一般に、フッ素化ポリマーに比較して繊維状基材に対して同一の汚れ反発効果を与えない。
【0005】
近年、フッ素化ポリマーの、非フッ素化物質との組み合わせ物がナイロン絨毯を処理するために有用であることが示された。特定の事例においては、絨毯は特定の汚れ抵抗性を示したが、特にそれらがまた汚れ抵抗性組成物で処理された時に、幾つかのこれらの処理絨毯の、手に対する感触、または「風合い(hand)」(または「触感(handle)」)が元来の未処理絨毯よりも快適でない。説により限定はされないが、この状態は、繊維上の汚れおよび染み抵抗層の表面における織物基材の繊維の特定のタイプの潤滑性の欠乏に関連し、それが恐らく、粗い感触並びに、それらが他の表面と、そして相互に作用する時の、繊維間の静的および動的摩擦の間の明らかな格差をもたらすと考えられる。
【0006】
絨毯繊維間の滑らかな相互作用を含む満足な触感は、絨毯並びに椅子張り、寝具および他のインテリア適用に使用される織物製品のような繊維状基材に特に重要である。高い使用価値は、これらの繊維状基材に好ましく、望ましい豪華な触感を伴う。しかし、このような物質は増加した汚れを引き起こし易く、一般に早く摩耗しまたは洗い落ちし、それらの触感効果を早急に失うために、非フルオロポリマーの部分的適用物質の添加により触感を改善する試みは問題であった。
【0007】
汚れ反発効果をもつのみならずまた、滑らかで、高質の触感を維持する、繊維状基材を処理するための新規で安価な組成物が必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
発明の要約
本開示の実施態様は、汚れ反発組成物、繊維状基材上の汚れに抵抗性を与える方法、汚れ反発組成物が適用され、乾燥された繊維状基材、汚れ反発組成物の製法、等を含む。繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える1つの代表的汚れ反発組成物はなかでも、フルオロケミカル、シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤:の水性混合物:を含む。
【0009】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与えるための1つの代表的方法はなかでも、汚れ反発組成
物と繊維状基材を接触させ、次いで乾燥する工程:を含み、ここで、汚れ反発組成物はフルオロケミカル、シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤:の水性混合物を含んでなる。
【0010】
1つの代表的繊維状基材はなかでも、それに汚れ反発組成物が適用され、乾燥された繊維状基材:を含み、ここで汚れ反発組成物はフルオロケミカル、シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤:の水性混合物を含む。
【0011】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える1つの代表的方法はなかでも、(a)フルオロケミカルおよびシルセスキオキサン含有ゾルを混合してブレンドを形成し、(b)ブレンドで繊維状基材を処理し、(c)処理された繊維状基材に潤滑性促進剤を適用し、そして(d)乾燥する工程:を含む。
【0012】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える1つの代表的方法はなかでも、(a)フルオロケミカルおよび潤滑性促進剤を混合してブレンドを形成し、(b)ブレンドで繊維状基材を処理し、(c)処理された繊維状基材にシルセスキオキサン含有ゾルを適用し、そして(d)乾燥する工程:を含む。
【0013】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える1つの代表的方法はなかでも、(a)フルオロケミカルで繊維状基材を処理し、(b)シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤混合してブレンドを形成し、(c)工程(a)からの前記繊維状基材にブレンドを適用し、そして(d)乾燥する工程:を含む。
【0014】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える1つの代表的方法はなかでも、(a)フルオロケミカルと繊維状基材を接触させ、(b)工程(a)からの前記繊維状基材をシルセスキオキサン含有ゾルで処理し、(c)工程(b)からの繊維状基材に潤滑性促進剤を適用し、そして(d)乾燥する工程:を含む。
【0015】
これらの実施態様、これらの実施態様の使用および他の使用、本開示の特徴および利点は、好ましい実施態様の以下の詳細な説明を添付の数字と関連して読まれると、当業者には更に明白になるであろう。
【0016】
詳細な説明
本開示をより詳細に説明する前に、本開示が、説明される特定の実施態様に限定されるものではなく、従ってもちろん、変動する可能性があることが理解される。更に、本開示中に使用される用語は特定の実施態様を説明するためのみのものであり、本開示の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定されるので、限定する意図はもたれないことが理解される。
【0017】
一連の値が提供される場合は、文脈が明白に他の意味を表さない限り、その範囲の上限と下限間の、下限の単位の10分の1までの各中間値並びにその記述範囲内のあらゆる他の記載値または中間値が開示内に含まれると理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、より狭い範囲内に独立して含まれ、そして更に、記載範囲内のあらゆる特別に除外された限定値に従って開示内に含まれる。記載範囲が限界の一方または両方を含む場合は、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除く範囲もまた開示内に含まれる。
【0018】
別に規定されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるものと同様な意味を有する。本明細書に記載のものと類似のまたは同等なあらゆる方法および物質を本開示の実施また
は試験に使用することができるが、好ましい方法および物質を次に説明する。
【0019】
本明細書に引用されるすべての公開物および特許は、あたかもそれぞれ個々の公開物または特許が、特別にそして個別に参照により引用されているように示されたように、参照により本明細書に引用され、そして、公開物が引用されるものと関連した方法および/または物質を開示し、記載するために参照により本明細書に引用される。あらゆる公開物の引用は出願日以前のその開示のためであり、本開示が以前の開示により、このような公開物を事前日付にする権利をもたないことを認めるものと解釈してはならない。更に、提供される公開物の日付は実際の公開日と異なる可能性があり、それは独立して確認する必要があるかも知れない。
【0020】
本開示を読むと、当業者に明白であるように、本明細書に記載され、図示される個々の実施態様はそれぞれ、本開示の範囲または精神から逸脱せずに、他の幾つかの実施態様のいずれかの特徴から容易に分離されるまたはそれらと組み合わせることができる別々の構成要素および特徴を有する。あらゆる引用される方法は、引用される事象の順序でまたは論理的に可能なあらゆる他の順序で実施することができる。
【0021】
本開示の実施態様は、別記されない限り、当該技術の範囲内にある合成有機化学、布地、織物、等の技術を使用するであろう。
【0022】
以下の実施例は、本細書に開示され、請求される方法をいかにして実施し、調査をいかに使用するかの完全な開示および説明を当業者に提供するために示される。数値(例えば、量、温度、等)に関して精度を確保するように努力されたが、ある程度の誤差および偏りは許されねばならない。別記されない限り、部分は重量部であり、温度は℃であり、圧力は大気圧またはその近位である。標準温度および圧力は20℃および1気圧と規定される。
【0023】
本開示の実施態様が詳細に説明される前に、別記されない限り、本開示は特定の物質、試薬、反応物質、製法、等は変動する可能性があるので、それらに限定されないことが理解される。更に、本明細書で使用される用語は特定の実施態様を説明するためのみのものであり、限定する意図はないことが理解される。更に、本開示において、それが論理的に可能な場合は、工程は異なる順序で実施することができる可能性がある。
【0024】
明細書および添付の請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明白に他を表さない限り、複数の対象物を含むことに注意しなければならない。従って、例えば「化合物(a compound)」の言及は複数の化合物を含む。本明細書およびその次の請求の範囲において、反対の意図が明白でない限り、以下の意味をもつと定義されるべき幾つかの用語に言及される。
【0025】
定義
本明細書で使用される用語「繊維」は、布地および糸並びに織物製造に使用することができる繊維状物質を表す。布地または繊維を製造するためには1種または複数の繊維を使用することができる。糸は当該技術分野で知られる方法に従って完全に延伸するまたは織ることができる。
【0026】
本明細書で使用される用語「繊維状基材」は、それらに限定はされないが、繊維または糸を含む、織物、絨毯、衣類、家具のカバー、カーテン、椅子張り、寝具、自動車の座席カバー、等を含む。
【0027】
本明細書で使用される用語「絨毯」は、主要裏当て材を通して糸を束にされた主要裏当
てを含む構造物を表すことができる。主要裏当ての裏側は糸の返し縫いを覆うための1枚または複数の物質(例えば、コート層、第二の裏当て材、等)を含むことができる。
【0028】
本明細書で使用される用語「主要裏当て」および/または「第二の裏当て」は、織物または不織物質を表すことができる。織物物質は天然物質または合成物質であることができる。織物物質は、それらに限定はされないが、木綿、レーヨン、麻、羊毛、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン)、ポリエステルおよび/またはポリアミドを含むことができる。不織物質は、それらに限定はされないが、ポリプロピレン、レーヨン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドのような繊維、およびそれらの組み合わせ物、それらのブレンド、等を含むことができる。
【0029】
本明細書で使用される用語「裏当て」は主要裏当て、第二の裏当て、コート層、それらの組み合わせ物、等を表す。
【0030】
用語「潤滑性」は摩擦を軽減する能力または潤滑化する(例えば、より滑らかまたはツルツルにする)能力を表す。
【0031】
用語「ゾル」は固形分が液体中に懸濁されている連続的液相を有するコロイドを表す。
【0032】
一般的考察
本開示の実施態様は、汚れ反発組成物、繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法、汚れ反発組成物が適用され、乾燥された繊維状基材、汚れ反発組成物の製法、等を含む。
【0033】
本開示の実施態様は、フルオロケミカル、シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤:のうちの少なくとも2種または3種すべてを含む汚れ反発組成物を含む。汚れ反発組成物の実施態様は、繊維状基材に汚れ抵抗性を与えるために使用することができる。更に、本開示の実施態様は、汚れ反発組成物が適用され、そして/または乾燥された繊維状基材を含む。
【0034】
本開示の実施態様は繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法を含む。1つの実施態様において、該方法は繊維状基材を汚れ反発組成物と接触させ、次に乾燥させる工程を含む。
【0035】
本開示の実施態様は繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法を含む。1つの実施態様において、該方法はフルオロケミカルおよびシルセスキオキサン含有ゾルを混合してブレンドを形成し、繊維状基材をブレンドで処理し、処理された繊維状基材に潤滑性促進剤を適用し、そして乾燥する:工程を含む。1つの実施態様において、工程は連続的に実施される。
【0036】
他の実施態様において、方法はフルオロケミカルおよび潤滑性促進剤を混合してブレンドを形成し、繊維状基材をブレンドで処理し、処理された繊維状基材にシルセスキオキサン含有ゾルを適用し、そして乾燥する:工程を含む。1つの実施態様において、工程は連続的に実施される。
【0037】
他の実施態様において、方法は(a)繊維状基材をフルオロケミカルで処理し、(b)シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤を混合してブレンドを形成し、(c)ブレンドを工程(a)からの繊維状基材に適用し、そして(d)乾燥する:工程を含む。他の実施態様において、工程は連続的に実施される。
【0038】
他の実施態様において、方法は(a)繊維状基材をフルオロケミカルと接触させ、(b)工程(a)からの繊維状基材をシルセスキオキサン含有ゾルで処理し、(c)工程(b
)からの繊維状基材に潤滑性促進剤を適用し、そして(d)乾燥する:工程を含む。1つの実施態様において、工程は連続的に実施される。
【0039】
考察
シルセスキオキサンゾルとともにフルオロケミカルを含む特定の汚れ防止組成物は、特に汚れ抵抗剤のような他の化学薬品も適用されている時には、種々の織物の触感に悪影響を与える可能性がある。特にフッ素化ポリマーおよびシルセスキオキサン含有ゾルを含む汚れ防止処理組成物と同時適用される時には、少量の適当な潤滑性促進剤が、全体の組成物により与えられる汚れ抵抗性を弱めることなく、繊維状基材の滑らかな感触および全体的触感を回復することができることが見いだされた。驚くべきことには、少量の潤滑性促進剤が同様な物質に典型的な投与率に比較されると、最大の利益を与える。更に驚くべきことには、絨毯に適用されると、少量の潤滑性促進成分により与えられる改善された風合いの持続性が、絨毯の摩耗寿命を通して他の基材のものと同様であった。
【0040】
本開示の驚くべき態様は、織物の風合いに影響を与えることが知られている他の方法について表すことができる。触感を改善するために同一のまたは同様な物質が使用される織物の処理法に対して、望ましい風合いを形成するために、通常、大量の物質が適用される。例えば、それぞれの物質の製造業者により推奨されるように、典型的には、2%〜10%繊維重量(owf)または製品重量(owg)以上のこれらの物質(それらは一般に許容される水分を含む)が適用される。
【0041】
同様な測定方法において、本開示の実施態様は、水を含む溶液/分散物/エマルションの約0.01重量%〜約1.0重量%未満のowfまでの潤滑性促進剤の適用を含む。更に、本開示の組成物中に潤滑性促進剤として使用される時は、与えられる効果は、高レベルの適用のために従来の使用において克服される効果の、このような少い適用量の予期される急速な喪失と異なり、このような低レベルにおいても摩耗および洗浄に抵抗性であることが見いだされた。
【0042】
1つの実施態様において、約0.05%〜0.5%owfの潤滑性促進剤プラス水の担体を使用することができる。更に他の実施態様において、水中約0.15%〜0.4%owfの潤滑性促進剤を、本開示の汚れ反発組成物で同時処理された繊維状基材上に有効に使用されて、滑らかな感触および触感を回復し、そして多数の洗浄および長期の摩耗にわたりこの効果を維持することができる。添加水分を除く、繊維上の固形分含量として表されるこれらの量は、それぞれ、約0.015%〜0.2%owf、および約0.05%〜0.15%owfの範囲を表す。
【0043】
驚くべきことには、本開示の一部のようなレベルの潤滑性促進剤の使用は、潤滑性促進剤自体が増加された汚れを引き起こすことが予期されると考えられる時でも、絨毯または織物の実施態様に、潤滑性促進剤を含まない同様な組成物に比較して汚れの傾向の増加を示させない。本開示の実施態様が汚れ防止性能と触感改善性をバランスさせる能力をもち、そして同時に耐久性処理としての双方の特性を提供することは予期されず、驚くべきことである。
【0044】
本開示の実施態様に適する潤滑性促進剤は、特に分散物/エマルションの性状(例えば、カチオン、非イオン、両親媒性またはアニオン)に関して汚れ抑制組成物と溶液相容性である物質から選択することができる。あるいは、潤滑性促進剤の実施態様中に存在することができるマグネシウムのような金属イオンが汚れ防止組成物と化学的に相互反応して、分散物中に沈殿する、あるいは組成物の安定性を破壊することができる。他の抑制的相互反応の不在において、通常、カチオン物質はカチオンまたは非イオンの汚れ防止物質と混合されることができ、アニオン物質はアニオンまたは非イオンの汚れ防止物質と有効に
混合されることができ、そして非イオン物質はアニオン、カチオンまたは非イオンの汚れ防止物質と有効に混合されることができる。これらの一般性にもかかわらず、使用される組成物および種々の界面活性剤および他の成分の他の態様は特定の混合物の適合性および安定性に影響を与える可能性があり、このような考慮はこのような調合技術分野の当業者に周知である。
【0045】
種々のタイプの潤滑性促進剤が、本開示の種々の実施態様における工程の条件および物質相容性の条件の特定の組み合わせに適することができる。織物の潤滑性促進剤は、それらに限定はされないが、アミノシリコーン、シリコーン、種々のタイプの油、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンワックス、一部酸化されたポリアルキレンワックス、ラノリンおよびラノリン誘導体、脂肪酸、脂肪酸エステル、酸化または官能化ポリオレフィン並びにステアレートを含むことができる。
【0046】
他の実施態様において、潤滑性促進剤は、中性pHの非イオン性水系中に分散された高密度および/または高分子量ポリオレフィンのミクロ粒子およびナノ粒子を基剤にすることができる。このような物質の安定な分散物または安定化されたエマルションは適当な界面活性剤の使用により達成することができる。例は、それらに限定はされないが、安定なエマルションを形成する補助をするために一部酸化されることができる高密度のポリエチレンワックスのエマルションを含み、織物処理化学薬品の多数の供給業者が、元来縫い物および裁断の補助物として、このような製品のバージョンを提供する。本開示に有効な市販品の例は、一部酸化されてもよい、高密度のポリエチレンワックスの非イオン性の中性pHのエマルションとして説明される、Apollo Chemicals,Graham,NCにより製造されるFluftone(R) HDWシリーズである。
【0047】
分散固形分を使用する他の実施態様において、潤滑性促進剤は、約35〜40%より少なくまたは多く酸化され、前記の本開示の他の成分と相容性のタイプの、適当な界面活性剤とともに使用される高密度ポリエチレンから誘導することができる。
【0048】
従来の使用においては、潤滑剤は一般に、約2重量%〜10重量%以上のowfまたはowgの適用溶液、エマルションまたは分散物(約0.5%〜2%超owfまたはowgの固形分に相当)の適用率で浴(排出物)中またはパッド処理に適用される。このような条件下で、適用物質は繊維状基材の触感を支配し、そして更に基材の表面の特性を支配する。これが、物質が枯渇し、洗い落とされるまで、特定の触感を織物に与える。更に、このような条件が織物基材上に増加した汚れおよび/または染み防止効果をもたらすことができる。
【0049】
それに対し、本開示の方法は、製品の摩耗および周期的洗浄を通して触感を維持しながら、他の表面特性に悪い影響(例えば、汚れまたは染み)を与えずに、元の布地の触感を回復するために、非常に少量の潤滑性促進剤を適用されることを必要とするだけである。1つの実施態様において、約0.01%〜1.0%未満または約0.1%〜0.5%owfまたはowg(約0.03%〜約0.35%未満の固形分のowfまたはowgに相当)の適切な潤滑性促進剤の適用が本目標を達成するのに驚くほど有効であることが見いだされた。
【0050】
本開示の実施態様に使用されるフルオロケミカル化合物は非水溶性であってよく、1個または複数のフルオロ−脂肪族基、典型的には1個または複数のペルフルオロアルキル基をもつことができる。ペルフルオロアルキル基の数は約3〜18個の範囲内にあることができる。界面活性剤のタイプおよび/または他の成分の相容性組み合わせ物が前記のように識別可能である限り、本質的に、本開示がシルセスキオキサン化合物と組み合わせて有効に使用することができるフルオロケミカル化合物のタイプに対して出願者が承知する制
約はない。
【0051】
本開示の1つの実施態様において、その開示が対応する考察のために参照することにより本明細書に引用されたものとされる米国特許第4,958,039号中に教示されるように、フルオロカルボニルイミノビューレットを使用することができる。1例として、1,3,5−トリス(6−イソ−シアノトヘキシル)ビューレット1モルとの、そのnが主として5、4および3である式F(CFCFCHCHOHのフルオロアルコールの混合物2モルの反応生成物、次に3−クロロ−1,2−プロパンジオールのような修飾剤との残留イソシアネート基の反応、を挙げることができる。
【0052】
本開示の他の実施態様において、その開示が対応する考察のために参照することにより本明細書に引用されたものとされる米国特許第3,923,715号および第4,029,585号中に教示されるように、フルオロエステルを使用することができる。これらの特許は3〜30個の炭素原子のカルボン酸のペルフルオロアルキルエステルを開示している。
【0053】
他の実施態様において、本開示の実施態様にフルオロエステルウレタン化合物を使用することができる。このような化合物は前記の米国特許第4,029,585号に記載されている。本開示の実施態様にクエン酸ウレタンを使用することができ、前記のクエン酸エステルを1−メチル−2,4−ジイソシアナトベンゼンと反応させることにより得ることができる。
【0054】
他の実施態様において、その開示が対応する考察のために参照することにより本明細書に引用されたものとされる米国特許第3,645,990号(Raynolds)に教示されたように、フルオロポリマー組成物とともにフルオロポリマーを本開示に使用することができる。該特許は、それぞれ、構造
CH=CH−COCHCH
および CH=C(CH)−COCHCH
[ここでRは約4〜14個の炭素のペルフルオロアルキル基である]をもつアクリルおよびメチルアクリル誘導モノマー、並びに場合により少量の他のモノマーを含むメチルアクリレートまたはエチルアクリレートからのフッ素化ポリマーにつき記載している。このようなフルオロポリマーの例は、そのRが8〜16個の炭素のペルフルオロ脂肪族基の混合物である前記の後者の式の、メチルアクリレートとの74:26重量比のコポリマーである。
【0055】
市販のフルオロケミカル化合物を本開示の実施態様に使用することができる。これらの化合物は、それらに限定はされないが、E.I.DuPont de Nemours,Wilmington,Del.から市販されているZonyl(R)8070、Zonyl(R)8779、Zonyl(R)9997、N−140、N−145およびNRD−626、Daikin America,Inc.,Cohutta,GAから市販されているUnidyne(R)TG−3610並びに3M,St.Paul,MNから市販されているScotchgardTM FC255およびScotchgardTM FC214−230を含む。適切な市販製品は種々の製造会社からのいわゆるC8、C6およびC4フルオロケミカルを含む。
【0056】
本開示のシルセスキオキサン含有ゾルは、それらに限定はされないが、水等のような媒質中にある、そのRが7個までの炭素原子の炭化水素または置換炭化水素である式RSiO3/2のポリマーで表面修飾された、約1〜100nmの直径の粒度範囲内の、反復する式SiOの別々の粒子を含むことができる。他の実施態様において、シルセスキオキサン含有ゾルは、それらに限定はされないが、水等のような媒質中にある、そのR’およ
びR”が7個までの炭素原子の炭化水素または置換炭化水素である単位式RSiO3/2、R’SiOおよび/またはR”SiO1/2のコポリマーを含むことができるシロキサン部分で表面修飾されたSiO反復単位を含んでなる別々の粒子を含む。これらのシロキサン反復単位はいずれも、式SiOのこのような記載された別々の粒子上のシロキサンコーティングとして、組み合わせてまたは独立に使用することができる。1つの実施態様において、対応する考察のために参照することにより本明細書に引用されたものとされる米国特許第6,225,403号に記載された別々のシルセスキオキサン含有ゾル製品も使用することができる。
【0057】
繊維状基材を処理するために本開示の実施態様と一緒に汚れ抵抗剤も添加することができる。このような汚れ抵抗剤(いわゆる汚れブロッカー)は本開示の他の成分の適用前の別の工程で適用するか、または1種または複数のこれらの成分と同時適用することができる。本開示に適用される汚れ抵抗剤は、それらに限定はされないが、少なくとも1種の水溶性または水分散性ポリマーのスルホン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物、加水分解マレイン酸無水物/α−オレフィン・コポリマー、加水分解マレイン酸無水物/スチレン・コポリマー、ポリメタクリル酸ポリマー、ポリメタクリル酸コポリマーのいずれかを含む混合物、あるいは前記の組成物の混合物を含み、ここで混合物は汚れ抵抗性、酸化抵抗性、色褪せ抵抗性、等を改善するための更なる有効成分を含むことができる。
【0058】
ポリマーのスルホン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物は染料抵抗剤または色とめ剤として有用であると先行技術に記載されたいずれかの物質であることができる。特定の例は、それらに限定はされないが、ジフェノールスルホンおよびスルホン化ナフタレン縮合物を含む。本開示に適切に使用される特定のスルホン化フェノール−ホルムアルデヒドは、4,4’−ジヒドロキシジフェノールスルホンおよびホルムアルデヒドの縮合生成物を含む。本開示に使用することができる他のスルホン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物は、すべて対応する考察のために参照することにより本明細書に引用されたものとされる米国特許第5,501,591号、第5,592,940号、第4,680,212号、第4,822,373号、第4,937,123号、第5,447,755号、第5,654,068号、第5,708,087号、第5,707,708号、第5,074,883号、第4,940,757号、第5,061,763号および第5,629,376号に開示されているものを含む。
【0059】
スルホン酸およびカルボキシル基を含まない市販の縮合生成物は例えば、DuPont,Wilmington,DE,USAからの商品名ZELAN(R)8236として得ることができる。ZELAN(R)8236は4,4’ビス(ヒドロキシフェニル)スルホンおよびホルムアルデヒドの塩基触媒縮合生成物である。スルホン酸基との縮合生成物はZschimmer & Schwarz Mohsdorf GmbH & Co.,Mohsdorf,GermanyからZetesal NTの商品名で、そしてCHT R.Beitlich GmbH,Tubinen,Germanyから商品名Rewin KBLまたはRewin KF並びにTubicoat KFとして市販されている。
【0060】
種々の線状および分枝鎖アルファ−オレフィン(α−オレフィン)をマレイン酸無水物とのコポリマーを形成するために使用することができる。特に有用なアルファ−オレフィンは4〜12個の炭素原子を含む1−アルケン、好ましくはイソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよびドデセンのようなC4−10である。加水分解されたマレイン酸無水物/スチレン・コポリマーもまた本開示に使用することができる。
【0061】
コポリマー中のマレイン酸無水物の一部はアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ビ
ニルスルホン酸、ビニルリン酸、スチレンスルホン酸、アルキル(C1−4)アクリレート、アルキル(C1−4)メタクリレート、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルスルフィド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、アクリルアミドおよびそれらの混合物により置き換えることができる。他の実施態様において、マレイン酸無水物の一部はマレイミド、N−アルキル(C1−4)マレイミド、N−フェニルマレイミド、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸、前記の酸のアルキル(C1−18)エステル、前記の酸のシクロアルキル(C3−8)エステル、硫酸化ヒマシ油、等により置き換えることができる。
【0062】
本開示に有用なマレイン酸無水物コポリマーは当該技術分野で周知の方法に従って調製することができる。このようにして得たマレイン酸無水物ポリマーは水またはアルカリとの反応により遊離酸またはそれらの塩に加水分解されるか、またはC1−4アルキルアルコールと反応してポリマーのアルファ−オレフィン/マレイン酸モノエステルを提供することができる。一般に、加水分解マレイン酸無水物ポリマーまたはモノエステルポリマーは、適当な酸性度で繊維状表面への均一な適用を達成することができるように十分に水溶性でなければならない。しかし、適当な界面活性剤と混合されたポリマーの水分散物を使用する適用を、汚れ抵抗性を与えるために使用することができる。
【0063】
マレイン酸無水物/アルファ−オレフィン・ポリマーの調製はまた、その開示が対応する考察のために参照することにより本明細書に特に引用されたものとされる再発行米国特許第28,475号および欧州特許第306992号にも記載されている。これらの参考文献は更に、このようなポリマーの調製法の教示を含む。
【0064】
1つの実施態様において、メタクリルポリマーはポリメタクリル酸ホモポリマー並びにメタクリル酸および1種または複数の他のモノマーから形成されるポリマーを含む。メタクリル酸との共重合に有用なモノマーはエチレン不飽和を有するモノマーである。このようなモノマーは、例えばモノカルボン酸、ポリカルボン酸および無水物;カルボン酸および無水物の置換および未置換エステルおよびアミド;ニトリル;ビニルモノマー;ビニリデンモノマー;モノ−オレフィンおよびポリオレフィンモノマー;並びに複素環式モノマーを含む。
【0065】
特定のモノマーの代表は、それらに限定はされないが、アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸、オレイン酸、パルミチン酸、ビニルスルホン酸、ビニルリン酸、前記の酸のアルキルもしくはシクロアルキルエステル、例えばエチル、ブチル、2−エチルヘキシル、オクタデシル、2−スルホエチル、アセトキシエチル、シアノエチル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルアクリレートおよびメタクリレートのような1〜18個の炭素原子を有するアルキルもしくはシクロアルキル、並びに、例えばアクリルアミド、メタクリルアミドおよび1,1−ジメチルスルホエチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、スルホスチレン、ビニルアルコール、N−ビニルピロリドン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニルエーテル、ビニルスルフィド、ビニルトルエン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、イソブチレン、ビニリデンクロリド、硫酸化ヒマシ油、硫酸化鯨油、硫酸化大豆油およびスルホン化脱水ヒマシ油のような前記の酸のアミドを含む。1つの実施態様において、モノマーは例えば、1〜4個の炭素原子を有するアルキルアクリレート、イタコン酸、ナトリウムスルホスチレンおよび硫酸化ヒマシ油を含む。例えば、ナトリウムスルホスチレンとスチレン、および硫酸化ヒマシ油とアクリル酸のようなモノマーの混合物はメタクリル酸と共重合することができる。
【0066】
1つの実施態様において、本開示のメタクリルポリマーは、スルホン化ヒドロキシ−芳
香族化合物/ホルムアルデヒド縮合樹脂の存在下で、前記の少なくとも1種の他のエチレン不飽和モノマーを伴いまたは伴わずにメタクリル酸を重合することにより調製されるものに関する。これらのホモポリマーおよびコポリマーおよびそれらの調製は、その内容が対応する考察のために参照することにより本明細書に引用されたものとされる米国特許第4,940,757号(Moss)に記載されている。
【0067】
本開示の実施態様の製造において、フルオロケミカル、シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤を一緒に混合して、これもまた更なる水を含むことができる混合物を形成することができる。混合は繊維状基材への適用前に更に希釈される濃厚物の製造の一部として実施することができる。他の実施態様において、混合は、混合される溶液の比率を制御するオンライン混合/注入システム、または基材に適用する前に物質を混合する何か他の手段において、基材に適用される溶液の製造の一部として、更なる濃度または組成の調整を伴わずに実施することができる。
【0068】
他の実施態様において、フルオロケミカルおよびシルセスキオキサン含有ゾルを一緒に混合することができる。次に混合物を使用して繊維状基材を処理する。1つの実施態様において、フルオロケミカルは3〜6個の炭素のペルフルオロアルキル基を有するフルオロポリマーを含むことができる。処理後、繊維状基材は更に潤滑性促進剤で処理することができる。
【0069】
他の実施態様において、繊維状基材は最初にフルオロケミカルで処理される。次に繊維状基材を更に、シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤の混合物で処理することができる。
【0070】
他の実施態様において、繊維状基材はフルオロケミカル、シルセスキオキサン含有ゾル溶液および潤滑性促進剤で別々に処理することができる。
【0071】
1つの実施態様において、繊維状基材への適用は、スプレー、パッドまたは排出物適用法を含む繊維状基材の処理並びに他の処理との同時適用におけるあらゆる知られた方法により実施することができる。このような同時適用は、それらに限定はされないが、絨毯および他の織物に対する汚れ抵抗剤(汚れブロッカーとも呼ばれる)の適用を含むことができる。一般に、絨毯に対する同時適用はまた、pH=2または3のような強酸状態、そして時々はそれより低いpH調整を必要とする。塩、抗酸化剤または安定剤のような他の添加剤がしばしば処理に含まれる。このような同時適用条件に対して、潤滑性促進添加剤はまた、強酸および、蒸気暴露のようなこのような処理に必要な更なる工程条件に安定でなければならない。
【0072】
繊維状基材はまた、フルオロケミカルおよびシルセスキオキサン含有ゾルのブレンドで処理することができる。各成分の含量は処理の条件に応じて変動することができる。
【0073】
1つの実施態様において、従来の絨毯および他の織物の製造において営業的に実施されるように、前記の1種または複数の処理の最終工程は繊維状基材の加熱下の乾燥である。典型的には、これらの処理にしばしば使用されるフルオロケミカル物質は、繊維状基材を、適当な展着、硬化またはフルオロケミカルの仕上げと関連した他の現象を確保するために製造業者により明記された期間中、製造業者により明記された高温に暴露されることを必要とする。このような条件は連続して適用され、本開示とともに利用され、そして従って、本明細書で使用される特定のフルオロケミカル製品(product)とともに変動する。
【0074】
本開示の拡大は、UV遮断剤または想定されるフルオロケミカルの「機能拡張剤」のよ
うなそれらの特定の目的のための他の添加剤を取り入れることができ、そして、その成分が複数の適用工程に分離され、または同時適用における汚れ抵抗処理と組み合わせて使用される時の方法を含むこれらは、記載された本開示の実施態様中に取り入れることができる。同様に、他の相容性添加剤または有機もしくは無機酸、抗酸化剤のような必要な成分、あるいは、同時適用時の汚れ抵抗をもつポリマー「機能拡張剤」の包含、がここで想定される。
【0075】
汚れ反発組成物の1つの実施態様は、約1〜99重量パーセントのフルオロケミカル(典型的には15〜30%の固形分)または約10〜50重量パーセントのフルオロケミカルを含む。汚れ反発組成物の1つの実施態様は、約1〜99重量パーセントのシルセスキオキサン含有ゾル(典型的には20〜30%の固形分)または20〜50重量パーセントのシルセスキオキサン含有ゾルを含む。汚れ反発組成物の1つの実施態様は約0.01〜2重量パーセント(典型的には25%〜40%の固形分)、約0.1〜1.5重量パーセント、約0.5〜1.5重量パーセント、約0.1〜1.3重量パーセント、約0.1〜1.2重量パーセント、約0.5〜1.2重量パーセント、約0.9〜1.0重量パーセントまたは約0.01〜0.2重量パーセントの潤滑性促進剤を含む。1つの実施態様は、前記の量のフルオロケミカル、シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤:のうちの2種または3種の、1種または複数の組み合わせ物を含むことができる。各組成物の残りの部分は水または他の媒質である。1つの実施態様において、繊維状基材製品に適用される総固形分は、繊維状基材の総重量に基づいて、約0.01〜5重量%、約0.1〜5重量%、0.01〜1重量%、0.1〜1重量%、0.02〜0.5重量%、0.05〜0.35重量%または0.01〜0.2重量%である。
【0076】
試験法
汚れ:認可されている実験室の絨毯の汚れの試験法はASTM D6540である。本試験の再現性限界内で、種々に処理されたサンプルの相対的汚れ性能を決定することができる。試験は約100,000〜300,000の交通量レベルに対する住居または商業環境における絨毯の汚れをシミュレートする。
【0077】
ASTM D6540に従って、ドラムを使用して6片までの絨毯サンプル上で汚れ試験を同時に実施することができる。サンプルの基礎彩度(L.a.b.彩度スペースを使用して)を「彩度計測器」モデルCR−310としてMinolta Corporationにより販売されている携帯彩度測定装置を使用して測定した。この測定値が対照値であった。絨毯のサンプルを薄いプラスチックシート上に固定し、ドラム中に入れた。250グラム(250g)の汚れたZytel 101ナイロンビード(DuPont Canada,Mississauga,Ontario)をサンプル上に置いた。汚れたビードは、10グラム(3g)のAATCC TM−122合成絨毯汚れ(製造業者Textile Innovators Corp.Windson,N.C.)を1000グラム(1000g)の新規Nylon 101 Zytelビードと混合することにより調製された。1000グラムの3/8−インチ(0.92cm)直径の鋼のボールベアリングをドラムに添加した。ドラムを5分毎に方向を逆にして30分間走行させ、サンプルを取り出した。
【0078】
サンプルを縦方向および横方向の両方に4回真空処理し、汚れの指標として彩度を測定し、真空処理後に対照値に対する彩度変化(デルタE)として記録した。
【0079】
高い値のデルタEをもつサンプルは低いデルタE値をもつサンプルより性能が悪い。
【0080】
風合いまたは触感:絨毯の触感を特徴付けるための客観的な、標準化された試験法は存在しない。触感の評価のために、消費者を代表すると考えられる任意の評価者のパネルを
使用して、2種の極端な例に比較した絨毯物質の触感の質を評価する。パネルによるサンプルの評価および/または順位付けは統計的に評価されて、サンプルの触感および区別可能性(distinguishability)を決定する。
【0081】
本開示の実施態様は以下の、限定しない実施例に関して更に詳細に説明される。
【0082】
実施例
【実施例1】
【0083】
33重量%の一部フッ素化されたウレタンポリマー(水中)(N−145、DuPont)、33重量%のシルセスキオキサン含有ゾルおよび33重量%の高密度ポリエチレン(水中)(Fluftone(R)HDW−35、Apollo)を混合することにより、1.2%owfで適用されるように、潤滑性促進された汚れ防止処理サンプルを調製した。処理物は潤滑性促進剤の適用率owfを表すために「0.4%」とラベルされた。高密度ポリエチレン部分の幾らかまたはすべてを置き換えるために異なる量の水を使用することにより、異なる量の潤滑性促進剤を含む更なる処理サンプルを調製した。これらの潤滑性促進汚れ防止処理サンプルを実施例2に使用した。
【実施例2】
【0084】
995デニール×2および6.0tpiをもつナイロン6,6の絨毯サンプルをストレートヒートセットすることにより得て、9/16”(1.43cm)のパイル高を伴い約13spiで1/8ゲージの機械で束にして、約45oz/syの生繊維材料重量のサクソニー型にカットされたパイル絨毯を製造した。次に絨毯サンプルを、標準条件下でFlex Nipを使用してpH=2.1において、標準量のスチレンマレイン酸無水物タイプの汚れ抵抗剤(SR−500、DuPont)で処理した。次に汚れ抵抗処理絨毯サンプルを実施例1からの潤滑性促進汚れ防止処理サンプルとともに処理した。処理後の絨毯サンプルを触感につきパネルにより判定した。処理に使用された潤滑性促進剤の量および絨毯サンプルの触感試験のパネルおよび汚れ抵抗試験の結果を表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
結果は、汚れ抵抗性は潤滑性促進剤を伴いまたは伴わずにサンプルと区別不可能であったが、潤滑性促進剤とともに処理されたサンプルの風合いは著しく改善されたことを示し
た。
【実施例3】
【0087】
潤滑性促進汚れ防止処理サンプルを40重量%の一部フッ素化ウレタンポリマー(水中)(N−145、DuPont)、27重量%のシルセスキオキサン含有ゾルおよび33重量%の高密度ポリエチレン(水中)(Fluftone(R)HDW−35、Apollo)を混合することにより1.2%owfで適用されるように製造した。処理物は潤滑性促進剤の適用率owfを表すために「0.4%」とラベルした。高密度ポリエチレン成分の幾らかまたはすべてを置き換えるために異なる量の水を使用することにより、異なる量の潤滑性促進剤を含む更なる処理サンプルを製造した。これらの潤滑性促進汚れ防止処理サンプルを実施例4で使用した。
【実施例4】
【0088】
絨毯サンプルおよび染み抵抗剤を使用する処理は実施例2に記載のものと同様であった。次に、染み抵抗性処理絨毯のサンプルを実施例3からの潤滑性促進汚れ防止処理サンプルとともに処理した。処理に使用された潤滑性促進剤の量並びにパネルの触感試験および絨毯サンプルの汚れ抵抗性試験の結果は表2に示される。
【0089】
【表2】

【実施例5】
【0090】
潤滑性促進された反発性サンプルを、33重量%の一部フッ素化ウレタンポリマー(水中)(N−145、DuPont)、33重量%のシルセスキオキサン含有ゾルおよび33重量%の高密度ポリエチレン(水中)(Fluftone(R)HDW−35、Apollo)を混合することにより製造する。潤滑性促進反発性サンプルの2%owfを使用して染みおよび汚れに抵抗するようにベッドシーツ物質を処理する。対照布地は33重量%の一部フッ素化ウレタンポリマー(水中)(N−145、DuPont)、33重量%のシルセスキオキサン含有ゾルおよび33重量%の水のブレンドで処理する。潤滑性促進反発性サンプルとともに処理されたベッドシーツ物質は、潤滑性促進剤を伴わずに処理された対照布地と同等かまたはそれより良い触感をもつと判定される。潤滑性促進剤を伴うおよび伴わないベッドシーツ物質の汚れ抵抗性は区別不能である。
【実施例6】
【0091】
表3および表4は、本開示の幾つかの代表的実施態様および絨毯製品に対する各実施態様の適用率を表す。
【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
本明細書では比率、濃度、量および他の数値データは範囲の形式で表すことができることに注意しなければならない。このような範囲の形式は便宜および簡略化のために使用され、従って、範囲の限界として明白に引用された数値を含むのみならずまた、あたかも各数値および準範囲が明白に引用されているように、すべての個々の数値または範囲内に包含される準範囲も含むように、柔軟な方法で解釈しなければならない。具体的に表すために「約0.1%〜約5%」の濃度範囲は、約0.1重量%〜約5重量%の明白に引用された濃度を含むのみならずまた、示された範囲内の個々の濃度(例えば、1%、2%、3%および4%)および準範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%および4.4%)を含むと解釈するべきである。用語「約」は、修飾される1個または複数の数値の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%または±10%以上を含むことができる。更に、用語[約「x」〜「y」]は[約「x」〜約「y」]を含む。
【0095】
本開示の前記の実施態様は,単に実行の可能な例であり、そして開示の原理を明白に理解するためのみに示されていることを強調しなければならない。開示の精神および原理から実質的に逸脱せずに、開示の前記の実施態様に多数の変更および修飾を実施することができる。すべてのこのような修飾および変更が本開示の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フルオロケミカル、
(b)シルセスキオキサン含有ゾルおよび
(c)潤滑性促進剤:
の水性混合物を含んでなる、繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える汚れ反発組成物。
【請求項2】
フルオロケミカルがフルオロカルボニルイミノビューレット、フルオロエステル、フルオロエステルカルバメート、フルオロウレタン、フルオロアクリレート、フルオロポリマーまたはそれらの混合物:から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
シルセスキオキサン含有ゾルが、そのRが7個までの炭素原子の置換または未置換炭化水素である式RSiO3/2のポリマーを含んでなる、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
シルセスキオキサン含有ゾルが、そのR、R’およびR”がそれぞれ独立に7個までの炭素原子の置換または未置換炭化水素である式RSiO3/2、R’SiOまたはR”SiO1/2の少なくとも1種のコポリマーおよびそれらの混合物を含んでなる、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
潤滑性促進剤が、カチオンの潤滑性促進剤、非イオンの潤滑性促進剤、アニオンの潤滑性促進剤、両親媒性潤滑性促進剤またはそれらの組み合わせ物:から選択される潤滑性促進剤:を含んでなる、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
潤滑性促進剤が高密度ポリエチレンである、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
高密度ポリエチレンが一部酸化されている、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
組成物の適用固形分含量が、繊維状基材の総重量に基づいて約0.01重量%〜1.0重量%の範囲内にある、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
組成物の適用固形分含量が、繊維状基材の総重量に基づいて約0.02〜0.5重量%の範囲内にある、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
組成物の適用固形分含量が、繊維状基材の総重量に基づいて約0.05〜0.35重量%の範囲内にある、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
更に染み抵抗剤を含んでなる、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
染み抵抗剤が、スルホン化フェノール−アルデヒド縮合生成物、スルホン化ナフトール−アルデヒド縮合生成物、ポリメタクリル酸ポリマー、アクリル酸ポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸のエチレン不飽和コモノマーとのコポリマー、エチレン不飽和コモノマーとの加水分解マレイン酸無水物コポリマー、またはそれらの混合物:から選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
組成物の潤滑性促進成分が繊維状基材の総重量に基づいて約0.01〜0.2重量%の乾燥固形分である、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法であって、ここで、該方法が汚れ反発組成物と繊維状基材を接触させ、次に乾燥する工程を含んでなり、汚れ反発組成物が
(a)フルオロケミカル、
(b)シルセスキオキサン含有ゾル、および
(c)潤滑性促進剤:
の水性混合物を含んでなる、方法。
【請求項15】
フルオロケミカルが、フルオロカルボニルイミノビューレット、フルオロエステル、フルオロエステルカルバメート、フルオロウレタン、フルオロアクリレート、フルオロポリマーまたはそれらの混合物:から選択される、請求項14の方法。
【請求項16】
シルセスキオキサン含有ゾルが、そのRが7個までの炭素原子の置換または未置換炭化水素である式RSiO3/2のポリマーを含んでなる、請求項14の方法。
【請求項17】
シルセスキオキサン含有ゾルが、それらのR、R’およびR”がそれぞれ独立に7個までの炭素原子の置換または未置換炭化水素である式RSiO3/2、R’SiOまたはR”SiO1/2の少なくとも1種のコポリマー、およびそれらの混合物を含んでなる、請求項14の方法。
【請求項18】
潤滑性促進剤が高密度ポリエチレンを含んでなる、請求項14の方法。
【請求項19】
高密度ポリエチレンが一部酸化されている、請求項18の方法。
【請求項20】
汚れ反発組成物がそれに適用されて乾燥された繊維状基材であって、ここで汚れ反発組成物が
(a)フルオロケミカル、
(b)シルセスキオキサン含有ゾル、および
(c)潤滑性促進剤:
の水性の混合物を含んでなる、繊維状基材。
【請求項21】
フルオロケミカルが、フルオロカルボニルイミノビューレット、フルオロエステル、フルオロエステルカルバメート、フルオロウレタン、フルオロアクリレート、フルオロポリマー、またはそれらの混合物:から選択される、請求項20の繊維状基材。
【請求項22】
シルセスキオキサン含有ゾルが、そのRが7個までの炭素原子の置換または未置換炭化水素である式RSiO3/2のポリマーを含んでなる、請求項20の繊維状基材。
【請求項23】
シルセスキオキサン含有ゾルが、それらのR、R’およびR”がそれぞれ独立に7個までの炭素原子の置換または未置換炭化水素である式RSiO3/2、R’SiOまたはR”SiO1/2の少なくとも1種のコポリマー、およびそれらの混合物を含んでなる、請求項20の繊維状基材。
【請求項24】
潤滑性促進剤が高密度ポリエチレンを含んでなる、請求項20の繊維状基材。
【請求項25】
高密度ポリエチレンが一部酸化されている、請求項24の繊維状基材。
【請求項26】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法であって、
(a)フルオロケミカルおよびシルセスキオキサン含有ゾルを混合してブレンドを形式し、
(b)ブレンドで繊維状基材を処理し、
(c)処理された繊維状基材に潤滑性促進剤を適用し、そして
(d)乾燥する:
連続的工程を含んでなる、方法。
【請求項27】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法であって、
(a)フルオロケミカルおよび潤滑性促進剤を混合してブレンドを形式し、
(b)ブレンドで繊維状基材を処理し、
(c)処理された繊維状基材にシルセスキオキサン含有ゾルを適用し、そして
(d)乾燥する:
連続的工程を含んでなる、方法。
【請求項28】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法であって、
(a)フルオロケミカルで繊維状基材を処理し、
(b)シルセスキオキサン含有ゾルおよび潤滑性促進剤を混合して、ブレンドを形式し、(c)工程(a)からの繊維状基材にブレンドを適用し、そして
(d)乾燥する:
連続的工程を含んでなる、方法。
【請求項29】
繊維状基材上に汚れ抵抗性を与える方法であって、
(a)繊維状基材をフルオロケミカルと接触させ、
(b)工程(a)からの繊維状基材をシルセスキオキサン含有ゾルで処理し、
(c)工程(b)からの繊維状基材に潤滑性促進剤を適用し、そして
(d)乾燥する:
連続的工程を含んでなる、方法。

【公表番号】特表2010−528190(P2010−528190A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508630(P2010−508630)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/064095
【国際公開番号】WO2008/144635
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】