説明

繊維素材を検査および評価するための装置

【課題】省スペース型で、少なくとも画質を落とさずに全体高さを下げられるようにすることのできる繊維素材を検査および評価するための装置を提供することを目的とする。
【解決手段】繊維ウェブ16を評価するための装置であって、移動中の繊維素材を走査し、測定値を電気信号に変換する定置式の光電子システム、例えばカメラが繊維機械の幅にわたって設けられており、このシステムが、カメラの生データを評価する画像評価デバイス(コンピュータ搭載)と通信するようになっている。2つ以上のカメラ15a〜15nが互いに並んで設けられており、単位幅との関係において、対物レンズ18aと繊維ウェブ16の間の距離が減少するにつれてカメラ15a〜15nの数が増える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード(綿用カード、毛用カード)、クリーナ等の紡績機における、繊維素材を記録および評価するための装置であって、繊維機械の幅にわたって、移動中の繊維素材を走査し、測定値を電気信号に変換する定置式の光電子システム、例えばカメラが設けられており、このシステムが、カメラの生データを評価する画像評価デバイス(コンピュータ搭載)と通信するようになっている装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の装置の場合は、コンベヤベルトが設けられており、これに沿って繊維タフトの層が画像記録装置、例えばテレビカメラに相対して移動する。このプロセスでは、ほぼ方形のゾーンが上からカメラで監視され、これによって、露出時間の極めて短い画像が撮影され、イメージバンクに保存される。画像のシーケンスはベルト速度に対応し、そこで、測定ゾーンの順方向送りと、全体として新しいゾーンの再スタートの後、次の画像が生成される。カメラは、繊維タフトの層からかなりの距離をおいて配置されているので、少なくとも繊維タフトの層の幅が記録できるようになっている。繊維素材をその幅全体にわたって走査する単一のカメラの使用は、不利なことに、特に高さの点でかなりの据付スペースを必要とする。特に高さが必要とされるのは、カメラ被写体の物理光学路のため、特にその角度のためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第DE3644535号(DE3644535)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、前記の不利を回避し、特に省スペース型の単純な構造で、少なくとも画質を落とさずに全体高さを下げられるようにする冒頭に挙げた種類の装置を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が提供するのは、カード、クリーナ等の紡績機械における、繊維素材を検査および評価するための装置で、ここで、繊維機械の幅にわたって、移動中の繊維素材を走査し、測定値を電気信号に変換する定置式の光電子システム、例えばカメラが設けられており、このシステムが、カメラの生データを評価する画像評価デバイス(コンピュータ搭載)と通信するようになっており、2つ以上(2つ又はそれ以上)のカメラが並んで設けられており、幅との関係において、画像認識ユニットと繊維素材の間の距離が減少するにつれてカメラの数が増えることを特徴とする。
【0006】
複数のカメラ、特に小型カメラモジュールの使用は、検査すべき繊維スライバ、特に繊維フリースの全領域を同時に監視できるようにする上、構造高さに関する全体の所要スペースを最小限に抑えられるようにする点で有利である。同時に、画質は少なくとも同一に保たれるばかりか、距離減少によって改善されることすらある。
【0007】
繊維素材は繊維複合体であってよい。繊維素材は繊維フリースであってよい。繊維素材は繊維タフトを包含してよい。繊維素材は繊維ウェブであってよい。繊維素材は繊維タフトのフリースであってよい。繊維素材は繊維タフトのフリースであってよい。織物素材は繊維屑であってよい。
【0008】
繊維機械は、有利には、カード(綿用カード、毛用カード)、またはクリーナである。ある有利な配置では、繊維フリースが綿用カードの出口で監視される。別の有利な配置では、繊維フリースが毛用カードの出口で監視される。有利には、フリースの速度は少なくとも40m毎分である。繊維スライバの場合は、検査されるとき、例えばクロージング、針、ピン等を付けた高速ローラの上に置かれる。高速ローラは、開繊機、クリーナ、カード等の中に配置してあってよい。
【0009】
有利には、繊維複合体の質、特に繊維フリースの質が評価される。有利には、繊維複合体の中の異物、例えば切れ端、金属等が検出される。有利には、繊維複合体の中の異種繊維が検出される。有利には、繊維複合体の中のネップ、特に繊維フリースの中のネップが検出される。有利には、各カメラが、繊維複合体の限られた領域(小領域)を監視する。有利には、隣接し合うカメラの監視領域はある程度重なり合う。有利には、各カメラは、主として対物レンズ等および画像認識チップ(センサ)を包含する。有利には、カメラは電子カメラモジュールである。有利には、カメラモジュールは少なくとも1つの照明ユニットを包含する。有利には、カメラはマトリックスカメラである。有利には、カメラは線走査カメラ(CCDカメラ)である。有利には、監視領域は互いに切れ目なしに境を接する。有利には、繊維複合体、特に繊維フリースの幅領域全体が一度に監視される。有利には、対物レンズと繊維複合体の間の距離は低い全体高さを許容する。有利には、カメラは中央評価デバイスに接続されている。有利には、少なくともデバイス照光手段、プリント回路基板、同期装置、電源および/または個別ピクセルを読み出す装置が、すべてのカメラモジュールにとって中央に、かつ別々に設けられている。有利には、カメラモジュールは、画像情報を処理するための中央評価デバイスに接続されている。有利には、評価デバイスが、中央のカメラ信号評価装置と個別のカメラモジュールまたはグループ化されたカメラモジュールの間に設けられている。有利には、画像評価デバイスは電子制御/調整デバイス、例えばマイクロコンピュータと共働する。有利には、繊維複合体は連続的に移動させられる。有利には、カメラは縦列式に並置されている。有利には、カメラは、繊維複合体の移動方向で見て、互いに関してオフセットの位置に配置されている。有利には、繊維機械、例えばカード、クリーナ等の中に位置する繊維複合体を監視またはチェックする手段が設けられている。有利には、繊維機械に入ってくる繊維複合体または繊維機械から出ていく繊維複合体を監視またはチェックする手段が設けられている。有利には、異物および/または異種繊維が検出されたときに働く表示デバイスおよび/または遮断デバイスが配置されている。有利には、遮断デバイスは、異物および/または異種繊維の大きさおよび/または種類を評価するデバイスと共働する。有利には、遮断デバイスは目標値発生器と関連している。有利には、入ってくる繊維複合体および/または出ていく繊維複合体、特に繊維フリースにおける繊維の向きが検出可能である。有利には、繊維複合体、特に繊維フリースの均一度(むら、繊維とボイドの間の分布)が検出可能である。有利には、繊維フリースにおける穴が検出可能である。有利には、境界ゾーンにおけるフリース形状が検出可能である。有利には、カードのシリンダに置かれた繊維素材が検出可能である。有利には、クリーナの場合、入ってくる繊維素材および/または出ていく繊維素材の汚染の程度を監視する手段が設けられている。有利には、クリーナの効率および/またはクリーニング性能は、入ってくる繊維素材および/または出ていく繊維素材の汚染度の測定結果から求めることができる。有利には、クリーナの効率および/またはクリーニング性能は、クリーナおよび/または上流機械および/または下流機械の動作エレメントを調整するのに使用される。有利には、繊維機械からの屑を評価する手段が設けられている。有利には、屑の流れは、例えばカメラモジュールまたはセンサを通過するように案内される。有利には、カメラモジュールは、屑を連続的に監視するために、例えば吸込フード等の屑排出装置に取り付けられている。有利には、カメラモジュールは、異物および/または異種繊維を検出し、次いでそれをシステムから、例えば吹き出すことによって除去できるようにするのに使用される。有利には、システムからの除去は、少なくとも1つの検出用カメラモジュールの位置の関数として実行される。有利には、この異物および/または異種繊維のシステムからの除去は選択的に実行される。
【0010】
本発明はまた、繊維技術において見出される繊維素材、例えば繊維ベール、繊維タフト、繊維フリース等を検査および評価する装置、ここでは、移動するセンサが静止状態の繊維素材を走査し、測定値が電気信号に変換され、前記センサがカメラの生データを評価する画像評価デバイス(コンピュータ搭載)と通信するようになっており、3つ以上の光電子センサ、例えばカメラが互いに並んで設けられており、単位幅との関係において、対物レンズと繊維複合体の間の距離が減少するにつれてカメラの数が増えることを特徴とする装置を提供する。
【0011】
繊維機械はベールオープナであってよい。有利には、センサは、ベールオープナの可動ストリッピングヘッドの上または中に配置されている。有利には、センサはベール表面を走査する。有利には、センサは、繊維素材、例えば1列の繊維ベールの縦方向において移動可能である。有利には、繊維素材のクリーニングの程度は、各々複数のカメラを有する少なくとも2つの連続的に配置された装置の測定結果の比較によって求めることができる。有利には、機械の効率は、各々複数のカメラを有する少なくとも2つの連続的に配置された装置の測定結果の比較によって求めることができる。有利には、設備のクリーニングの程度および/または効率は、少なくとも2つの連続的に配置された装置とそれぞれの複数のカメラの測定結果の比較によって求めることができる。有利には、設備は複数の送風室機を包含する。有利には、設備は複数のカードを包含する。有利には、小領域の数は、カメラと繊維素材の間の距離が減少するにつれて増える。有利には、測定はオンラインで行われる。
【0012】
本発明はまた、カード、クリーナ等の紡績機械における、繊維素材を評価するための装置で、繊維機械の幅全体にわたって、移動中の繊維素材を走査し、測定値を電気信号に変換する定置式の光電子システム、例えばカメラが設けられており、このシステムが、カメラの生データを評価する画像評価デバイス(コンピュータ搭載)と通信するようになっており、2つ以上のカメラが並んで設けられており、幅との関係において、画像認識ユニットと繊維素材の間の距離が減少するにつれてカメラの数が増えることを特徴とする装置を提供する。
【0013】
本発明はまた、繊維処理機において繊維素材を検査および評価するための装置で、繊維素材を走査するための光電子システムを包含し、光電子デバイスと繊維素材の間の相対運動が一作用方向に存在し、繊維素材が、前記作用方向に対して横向きに延びる作用幅を有し、前記光電子システムが、画像評価デバイスと通信するようになっていて、繊維素材の作用幅にわたって互いに離れて位置する2つ以上の撮像デバイスを包含する装置を提供する。有利には、光電子システムは定置式に配置されており、使用時、繊維素材は作用方向に沿って移動する。代わりに、光電子システムは可動式の光電子センサを包含してもよい。
【0014】
好ましい一実施例によれば、カメラはカメラモジュールであり、好ましくは、最も重要なコンポーネント、特に対物レンズと画像認識チップのみを包含する。画像の捕獲と収集を超える他の機能はすべて、それぞれ2つのカメラモジュールについて共通のデバイスによって実行される。あるいは代わりに、全部のカメラモジュールをカバーする1つの中央デバイスを設けることができる。3つ以上のカメラを使用するので、周知の装置と比べて費用が多くかかるが、これも、本発明によれば、少なくとも僅かな数のデバイスまたはたった1つの中央ユニットと組み合わさった安価なカメラモジュールの使用によって有利に相殺される。加えて、構造上単純な装置がそれによって得られる。
【0015】
本発明は更に、繊維技術において見出される繊維素材、例えば繊維ベール、タフト、フリース等を検査および評価する装置、ここでは、移動するセンサが静止状態の繊維素材を走査し、測定値が電気信号に変換され、前記センサがカメラの生データを評価する画像評価デバイス(コンピュータ搭載)と通信するようになっており、3つ以上の光電子センサ、例えばカメラが互いに並んで設けられており、単位幅との関係において、対物レンズと繊維複合体の間の距離が減少するにつれてカメラの数が増えることを特徴とする装置について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明によるカメラおよび照明デバイスを受ける支持案内部材を備えたカードの図解的側面図である。
【図2】図2は図1のカードに設けた本発明による装置を繊維ウェブとともに示す図である。
【図3】図3は幅全体にわたって並置された複数のカメラを示す正面図である。
【図4】図4は幅全体にわたって並置された複数の照明デバイスを示す正面図である。
【図5】図5は対物レンズ、画像認識チップ等およびガイドプレートを備えたカメラモジュールを示す図である。
【図6】図6は図4に示したのと同様のカメラモジュールに照明デバイスを加えた装置を示す図である。
【図7】図7は複数のカメラモジュールを収納するハウジングを示す断面図である。
【図8】図8は中央制御装置と集中画像評価装置を取り付けた複数のカメラモジュールを示す図である。
【図9】図9は図8に示したのと同様の中央制御系を取り付け、集中画像評価装置でなく分散画像評価装置を取り付けた複数のカメラモジュールを示す図である。
【図10】図10は高速ローラを有する異物認識分離装置に設けた本発明による装置を示す図である。
【図11】図11は空圧式異物分離装置を示す平面図である。
【図12】図12はクリーナに設けた本発明による2つの装置、ひとつが繊維素材の入ってくる装置、もうひとつが繊維素材の出ていく装置、を示す図である。
【図13】図13は空圧式異物セパレータを備えたクリーナの高速ローラと関連した本発明による装置を示す図である。
【図14】図14はクリーナに設けた屑捕集装置と関連した本発明による装置を示す図である。
【図15】図15は図14に示したのと同様の、但し、中央屑捕集装置を備えた装置の図解的平面図である。
【図16】図16は本発明による装置を備えたベールオープナの図解的正面図である。
【図17】図17は本発明による装置の第1の配置を備えた、図16のベールオープナの側面図である。
【図18】図18は本発明による装置の第2の配置を備えた、図16に示したブームの側面図である。
【図19】図19は本発明による装置の第3の配置を備えた、図16に示したブームの側面図である。
【図20】図20は従来の装置と本発明による装置を比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示す実施例に則して詳細に説明する。
図1は、フィードローラ1、フィードテーブル2、テーカイン3a、3b、3c、シリンダ4、ドッファ5、ストリッピングローラ6、スキージングローラ7、8、ウェブガイドエレメント9、ウェブファンネル10、テークオフローラ11,12、および回転カードトップ13を備えたカード、例えばツリュツラー高性能カードDK903を示す。ストリッピングローラ6の下に定置式支持案内部材14があり、上スキージングローラ7はストリッピングローラ6に近接して配置されている。シリンダ4および各ローラの回転方向は、それぞれ湾曲矢印で示してある。支持案内部材14は、本発明による装置15を収容するのに役立つ。文字Fは動作方向を表す。
【0018】
図2において、参照番号21は、はくりされた繊維ウェブ16がストリッピングローラ6からスキージングローラ7、8へ進む領域を表す。支持案内部材14は、ほぼ4つの角部を有する横断面を有する。支持案内部材14の上面はわずかながら凹状に湾曲している。この上面の曲率半径は、ストリッピングローラ6の曲率半径より大きい。矢印Aは、繊維ウェブ16の走る方向を指し示す。支持案内部材14はハウジングの形をなしており、透明窓17が摺動領域内に設けられている。繊維ウェブ16は、初めはドッファ5の針布の表面に位置し、ストリッピングローラ6の針布6aに沿って、ドッファ5とストリッピングローラ6の間のローラニップの中を案内され、垂直な直径部の領域を少し過ぎたところでストリッピングローラ6から外れ、A方向において透明窓17の領域内を案内され、端部領域に続いて完全に自由に走り、最終的にスキージングローラ7、8の間のローラニップに入り込み、両ローラの間を通過する。支持案内部材14の上面は、ストリッピングローラ6の針布6aに向いている。支持案内部材14の一方の端領域はドッファ5とストリッピングローラ6の間のローラニップと関連している。他方の端部領域は、ストリッピングローラ6とスキージングローラ7、8の間の領域内に配置されており、そのエッジが、スキージングローラ7、8の間のローラニップに向かう方向で整合されている。支持案内部材14は、キャビティ(14a)を持つ、例えばアルミニウム製の押出成形部材である。固定されたカメラ15a〜15n(図3参照)、例えばダイオードマトリックスカメラ、照明デバイス19(図4参照)、例えば発光ダイオード19a〜19n、および反射鏡20が、ハウジング14の内部14aに配置されている。反射鏡20は、一方でカメラ15a〜15nの対物レンズ18aおよび照明デバイス19と、他方で窓17の内側との間で角度をつけて、配置されている。繊維ウェブ16は、A方向に窓17の外側の上を走る。窓17は、例えばガラス製で、移動する繊維ウェブとの接触によってきれいな状態に保たれる。カメラ15a〜15n(図2に示してあるのはカメラ15aだけ)は、支持案内部材14に保持された共通のサポート22に配置されている。参照番号18dは通信ケーブルを指し示す。
【0019】
図3は、機械の幅c全体にわたって並置された複数のカメラモジュール15a〜15nを示す。対物レンズ18aの繊維素材16からの距離aは小さい。カメラモジュール15a〜15nは各々、繊維素材16(カードウェブ)の全幅cの小領域b1、b2〜bnを監視または検出する。隣接し合うカメラモジュール15a〜15nの監視領域b1〜bn(小領域)は、ある程度重なり合う。参照番号26は、検出すべき不純物、例えば繊維屑等を表す。例えば構造スペースを節約するために、カメラモジュール15a〜15nの対物レンズ18aと繊維素材16の間の距離aをより小さくすると(図示されていない仕方で)、カメラモジュール15a〜15nの数は、繊維機械または検出すべき繊維素材16の一定の幅に対して、増える。光学路、すなわちイメージ角αが同じであれば、検出される小領域b1〜bnの数は増える。これにより、相対的に大きい小領域b1〜bnを記録するのに必要なイメージ角αは、距離aの減少につれて大きくなり、その結果、画質を損なうことになる事態は回避される。
【0020】
図4に描かれた照明デバイス19について説明すると、複数の発光ダイオード19a〜19nが共通の支持エレメント23の上に並置されている。参照番号24は電気リード線を表す。
【0021】
図5によれば、カメラモジュール15aは、画像認識チップ18b(センサ)が対物レンズ18a(あるいは代わりに、同じ機能のレンズまたは他のコンポーネントであってもよい)とプリント回路基板18cの間に位置するように構成されている。参照番号25aは電気リード線を表す。あるいは代わりに、画像認識それ自体が可能になるようにする画像認識チップ、すなわち特有の対物レンズを持たない画像認識チップ、または、同じ機能のコンポーネントを内蔵した画像認識チップを使用することも可能である。
【0022】
図6によれば、カメラモジュール15’は、プリント回路基板18cが対物レンズ18aと画像認識チップ18bの間に位置するように構成されている。プリント回路基板18cには、光線を通過できるようにする連続の開口部18eが設けられている。対物レンズ18aから離れて、発光ダイオード19a、19bおよび19cがプリント回路基板18cの上に配置されている。
【0023】
図7によれば、複数のカメラモジュール15’がハウジング27の内部に配置されている。透明窓17は天板27aに設けられている。カメラモジュール15’と側壁27b、27cの間に2つの鏡20a、20bがある。カメラモジュール15’と底板27dの間に2つのスペーサ28a、28bがある。電気リード線251、252は、電気接続ケーブル253につながる。
【0024】
図8によれば、カメラモジュール15a〜15nは、電気リード線25a〜25n、25’および25”によって中央の機械制御系28(マイクロコンピュータ制御調整デバイス)、例えばツリュツラーTMS−2(ツリュツラーマイクロコンピュータ制御装置)に接続されている。オペレータユニット29(キーボードおよびモニタ)、画像評価ユニット30、制御ユニット31および異物セパレータ32も、機械制御系28に接続されている。
【0025】
カメラモジュール15a〜15nから供給される電気信号をベースとする電子的な画像評価は、例えばドイツ公開広報DE−OS19943079で述べられた方法に従って行うことができる。画像評価は幾つかの目標を持つ。すなわち、
a)繊維素材は、技術的特性、例えば汚染の程度、ネップの数、繊維分布等の技術的特性について評価されることができる。本発明による装置15は各々その目的に使用することができる。少なくとも2つの直列に接続された装置15を使用するとき、機械の性能(効率)は、分析された測定データの比較から求めることができる。この評価を行うために適当なディスプレイ装置30、例えばグラフィックディスプレイ等を設けることができる。
b)機械の要素を調節することによって、繊維素材、たとえば繊維ウェブ16の技術的特性を修正するために、少なくとも一つの処理を行うことができる。機械に作用する制御手段31は、繊維素材16の変化のための処置を開始することができる。例えば、カードトップの針布とカードシリンダの針布との間隔、シリンダ4の速度、ガイドエレメントのローラからの間隔、ローラの針布の鋭さ等を変えることができる。
c)その上、不純物、繊維屑、ネップ等の望ましくない成分を繊維素材から除去するために少なくとも一つの処置を行うことができる。この目的のため、繊維素材に作用する除去装置32が設けられている。これは、例えば図10、図11に示したような空圧式異物セパレータ32であってよい。
目標a)、b)、c)は個別の目標であっても、組み合わせてあってもよい。
【0026】
図9に示した通り、カメラモジュール15a〜15nの生データを分散評価する手段が設けられている。この目的のため、複数の評価デバイス33a〜33nがカメラモジュール15a〜15nと機械制御系28に設けられており、各評価デバイス33a〜33nに2つのカメラモジュール15a〜15nがライン25a〜25nを介して接続されている。評価デバイス33a〜33nは、機械制御系28にライン34a〜34nを介して接続されている。
【0027】
図10について説明すると、本発明による装置15は、異物認識分離装置36、例えばツリュツラーSECROMAT SCFOの高速ローラ35と関連している。ローラ35の回転方向で見て、異物認識分離装置36の下流に空圧式異物セパレータ32が配置されており、これが、図11に示した通り、機械36の幅全体にわたって複数のブラストノズル32a〜32nを包含する。本発明による装置15および異物認識分離装置32を接続した機械制御系28(図8および9を参照)は、異物26が検出された作用領域において常に1つのノズル32a〜32nまたは隣接する2つのノズル32a〜32nだけ応答するように機能する。結果として、分離プロセス当たり僅少量の綿繊維タフト(1〜2gだけ)が除去されることになる。これにより、システムは、繊維素材も過大な損失を生じさせることなく少量の異物26さえ分離できるように高感度で選択的に調整できることになる。
【0028】
図12によれば、本発明による2つの装置151および152は、クリーナ37、例えばツリュツラーCLEANOMAT VCT 3に取り付けられている。一方の装置151は、クリーナ37に入ってくる繊維タフト素材38、例えば綿と関連し、一方の装置152は、多重ローラクリーナ37の作用方向Bで見て最後尾ローラ39cによって取り出され、配管40を通して送給される繊維タフト素材41(矢印)と関連している。装置151および152は、機械制御系28(図8、9)と接続されており、画像評価に基づく比較により、クリーナ37のクリーニング性能を求められるようにする。
【0029】
図13に示した通り、本発明による装置15、および、例えば図10、11に示した構造の空圧式異物セパレータ32は、ローラ39bの回転方向39’で見てクリーナ37の真ん中のローラ39bと関連している。
【0030】
図14によれば、分離ブレード、分離口および吸込フード40が、クリーナ37のローラ39cの下に配置されている。繊維素材38から分離された不純物42は、吸込フード40で捕集され、空気圧で抽出される。小さい割合であるが、繊維分が不純物42と共に分離される。小さい割合の繊維分を含めて分離された不純物26を検出する装置15が、吸込フード40と関連している。装置15は、機械制御系28(図8、9を参照)に接続されている。
【0031】
図15に図解的に示した通り、吸込フード40a、40bおよび40cは、吸込管43a、43b(横方向屑捕集器)を介して、本発明による装置15が関連した中央屑抽出管43cに連絡している。参照記号Bは、機械を通過する繊維素材の流れを表す。
【0032】
図16及び図17について説明すると、本発明による装置15は、自動ベールオープナ44、例えばツリュツラーBLENDOMAT BDTの走行ブーム45の上に取り付けられている。図17に示した通り、ブーム45は、1列の定置式繊維ベール46の上を矢印DおよびEの方向において往復走行する。ブーム45の内部に2つの高速ストリッピングローラ47a、47bがあり、これが繊維ベール46の表面から繊維タフトを除去し、除去された繊維タフトは空気圧で吸い出される。装置15は、ブーム45の横壁45aの下端に取り付けられている。繊維ベール46の繊維素材、特に綿が、この装置15によって検出される。図18に示した通り、装置15は、ブーム45の横壁45bに保持されている。図19に示した別の実施態様によれば、装置15は、ストリッピングローラ47aと47bの中間に取り付けられている。
【0033】
ベールオープナ44の上に配置された装置15は、打綿室、梳綿室のクリーニング性能または効率を求めるために、他の機械、例えばクリーナ37、カージング機等と組み合わせることができる。
【0034】
図20に示した通り、繊維ウェブ16は幅cが1mである。この幅cを走査する周知の単一のカメラ48は、繊維ウェブ16から距離dをおいて配置されている。スペース上の理由から、画像認識デバイスと繊維ウェブ16の間の距離はdからaに縮小されている。1mの幅cを走査するために、各々20cmの幅領域b1〜b5を走査する5つのカメラモジュール15a〜15eが設けられている。上に述べた例は、図解を目的としたものである。幅cの同じユニットとすると、単一のカメラ48と比べて、距離がdからaに減少するにつれてカメラモジュール15a〜15eの数は増える。有利には、複数の安価なカメラモジュール15a〜15nを使用する。これで、距離aを減少させることができる。カメラモジュール15a〜15eの数および距離aは、幅領域b1〜b5および分解能によって異なるが、特に所望の画像の詳細に左右される。約15×15mmの寸法を有するCCDカメラを使用するとき、距離aは例えば25mmであってよい。あるいは代わりに、距離aは1mm未満に縮小することができる。例えば、対物レンズ18aは窓17に隣接する位置にあってよい。
【0035】
本発明によれば、カードのフリースまたは他の繊維素材を自動的、連続的かつ間断なく客観的に評価できるようにする配置が作られる。その上、得られた結果を表示し、更に自動的に処理することが可能である。
【0036】
幾つか(少なくとも2つ)の小型で安価な電子カメラモジュールが繊維機械の幅全体にわたって取り付けられている。これらは、その各々が繊維素材の限られた領域、例えば出ていく方のフリースを監視するように配置されている。有利なことに、隣接し合うカメラモジュールの監視領域はある程度重なり合う。有利なことに、必要な照明手段はカメラモジュールに直接配置される。カメラは、マトリックスカメラであっても線走査カメラであってもよい。相応の数(少なくとも2つ)の小型カメラモジュールの使用により、第1に、検査すべき繊維素材の全領域を正しい時期に監視することができ(100%検査)、第2に、垂直方向における所要スペース全体を最小限に抑えることが確実にできる。個別のカメラモジュールはすべて中央評価装置に接続でき、画像情報はそこで処理できる。要求された通り、カメラ信号評価を上流の補助評価ユニットによって行うことができる。能力次第で、このようなユニットは1つ以上のカメラモジュールの信号を評価することができる。カメラモジュールは、不可欠のエレメント、特に対物レンズと画像認識チップだけを含むような構造であってよい。他のすべてのエレメント、例えば照明手段、プリント回路基板、同期装置、電源、個別ピクセルを読み出す装置等は、すべてのカメラモジュールにとって同時に中央に、かつ別々に設けることができる。
【0037】
本発明による装置はまた、綿用カードばかりでなく、毛用カードに使用することもできる。これは、まったく一般には、綿用カード又は羊毛用のカードに入ってくるフリースまたは機械から出ていくフリースを監視、チェックするのに使用することができる。配置はまた、例えばレポートの作成または機械の遮断の目的で、異種繊維または異物を検出するのに使用することもできる。機械の遮断は、例えば、検出された異物または不純物の大きさと種類(セットアップの都度、事前に設定できる)に応じて行うことができる。配置はまた、入ってくるフリースまたは出ていくフリースにおける繊維の向きを特定するのに使用することもできる。また、該配置を使ってフリースの均一度(“むら”)を監視することも可能である。該配置は更に、フリースの穴の検出にも境界ゾーンにおけるフリース形状の監視にも使用することができる。該配置の使用により、ローラ、例えばシリンダの周囲を周回する繊維素材を監視、検査することもできる。クリーナでは、該配置の使用により、入ってくる繊維素材または出ていく繊維素材の汚染の程度を求めることが可能となる。入ってくる側と出ていく側の両方を監視すれば、当該機械の浄化性能および効率を自動的に求めることができ、他のエレメントとの組み合わせの中で自動的に加減することもできる。また、該配置を使って屑を評価することも可能である。但し、この目的のためには、屑が該配置を越えていくか通過していくかするように該配置を屑の流れと一体化させなければならない。カメラモジュールはまた、屑の連続的な監視が可能となるように個別の吸込フードに取り付けられている。その上、カメラモジュールを使用することにより、異物を認識し、次いでシステムから除去する(例えば送風によって)ことが可能である。本発明による配置はまた、システム(SCFO)に介在する異物を特定し、システムから除去するのに使用することもできる。ここで特に有利なのは、所要スペース全体が相対的に小さいことである。
【0038】
本発明が包含するのは、紡績準備機械において異種繊維または異物の割合をオンライン測定するための装置で、光学測定システムが、異種繊維/異物セパレータより前のひとつの点と該装置より後の別の点で統合されており、該測定システムが、素材中の異種繊維または異物の割合を検出し、これを1つ以上の測定値として表すようになっている装置である。異種繊維/異物セパレータより後の測定システムは、異種繊維/異物セパレータに全面的または部分的に統合されている。異種繊維/異物セパレータの後の測定システムは、他のプロセスパラメータを測定する後続機械ですでに使用されているデバイスに統合されている。異種繊維/異物セパレータの後の測定システムの代わりに、測定システムは、その屑の流れに統合することができる。好ましくは、測定システムのデータを評価、表示および監視し、また、異種繊維/異物セパレータを手元にある実際の素材源に応じてパラメータ化するための装置が設けられている。
【符号の説明】
【0039】
4 シリンダ
14 支持案内部材
15 装置
15a〜15n カメラ
19 照明デバイス
28 機械の制御系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機械における繊維素材を検査および評価するための装置であって、繊維機械の幅にわたって、移動中の繊維素材を走査し、測定値を電気信号に変換する定置式のカメラが設けられており、このシステムが、カメラの生データを評価する画像評価デバイスと通信するようになっている装置であって、2つ以上のカメラ(15;15a〜15n;15';151,152)が前記繊維機械のローラに隣接して前記繊維機械の幅全体にわたって並んで設けられており、2つ以上の空圧式異物セパレータが前記繊維素材の走行方向における前記カメラの下流において前記ローラの出口に前記繊維機械の幅全体にわたって並んで設けられており、
前記画像評価デバイスが前記2つ以上のカメラのうちの一つのカメラの生データから異物を検出した場合には、前記一つのカメラに対応する空気圧式異物セパレータが駆動して前記異物を分離するようにした、装置。
【請求項2】
繊維素材が繊維フリースであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
繊維素材が繊維タフトを包含することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
繊維素材が繊維ウェブであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
素材が繊維タフトのフリースであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
素材が繊維屑であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
繊維フリースがカードの出口で監視されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
繊維フリースが羊毛用カードの出口で監視されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
フリースの速度が少なくとも40m毎分であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の装置。
【請求項10】
繊維素材の中の異物が検出されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の装置。
【請求項11】
繊維素材の中の異種繊維が検出されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の装置。
【請求項12】
繊維素材の中のネップが検出されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載の装置。
【請求項13】
各カメラが繊維素材の限られた領域(小領域)を監視することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の装置。
【請求項14】
隣接し合うカメラの監視領域がある程度重なり合うことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
各カメラが対物レンズおよび画像認識チップ(センサ)を包含することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の装置。
【請求項16】
カメラが電子カメラモジュールであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の装置。
【請求項17】
カメラモジュールが少なくとも1つの照明ユニットを包含することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
カメラがマトリックスカメラであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の装置。
【請求項19】
カメラが線走査カメラ(CCDカメラ)であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の装置。
【請求項20】
監視領域が互いに切れ目なしに境を接することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項21】
繊維フリースの幅領域全体が一度に監視されることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一に記載の装置。
【請求項22】
全てのカメラが単一の中央評価デバイスに接続されていることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一に記載の装置。
【請求項23】
少なくともデバイス照明手段、プリント回路基板、同期装置、電源および/または個別ピクセルを読み出す装置が、すべてのカメラモジュールにとって中央に、かつ別々に設けられていることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一に記載の装置。
【請求項24】
カメラモジュールが、画像情報を処理するための中央評価デバイスに接続されていることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一に記載の装置。
【請求項25】
評価デバイスが、中央のカメラ信号評価装置と個別のカメラモジュールまたはグループ化されたカメラモジュールの間に設けられていることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一に記載の装置。
【請求項26】
画像評価デバイスが電子制御/調整デバイスと共働することを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一に記載の装置。
【請求項27】
繊維素材が連続的に移動させられることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一に記載の装置。
【請求項28】
カメラが列状に並置されていることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一に記載の装置。
【請求項29】
カメラが、繊維素材の移動方向で見て、互いに関してオフセットの位置に配置されていることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一に記載の装置。
【請求項30】
異物および/または異種繊維が検出されたときに働く表示デバイスおよび/または遮断デバイスが配置されており、前記遮断デバイスは、検出された異物または異種繊維の大きさと種類に応じて前記繊維機械を停止させることを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一に記載の装置。
【請求項31】
遮断デバイスが、異物および/または異種繊維の大きさおよび/または種類を評価するデバイスと共働することを特徴とする、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
遮断デバイスが目標値発生器と関連していることを特徴とする、請求項30または請求項31に記載の装置。
【請求項33】
カメラモジュールが、異物および/または異種繊維を検出し、次いでそれをシステムから、吹き飛ばすことによって除去できるようにするのに使用されることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−133075(P2010−133075A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4689(P2010−4689)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【分割の表示】特願2003−199347(P2003−199347)の分割
【原出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】