説明

繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法

【課題】本発明は、コラーゲンペプチド等を有効成分とした繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法に関する。
【解決手段】動物由来コラーゲンペプチドと、オリゴ糖と、グルコサミン類と、コンドロイチン類と、ヒアルロン酸と、糖セラミドと、ビタミンCとを一定順序で添加することを特徴とする繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲンペプチド等を有効成分とした繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肌荒れやしわ等を改善するために、美容効果を有する化粧品を皮膚上に塗布することが一般的である。このような化粧品には、有効成分として、保湿剤、保水性の高い物質等が配合されている。中でも、コラーゲンは肌のハリや弾力を与え、かつ、スキンケアで重要な保湿効果を有することから大変注目されている物質である。
【0003】
コラーゲンは、人間も含めて様々な動物の体を構成しているタンパク質の一種であり、肌や骨、内臓、血管、目の角膜等あらゆるところに存在している。しかし、コラーゲンは加齢に伴い減少する。コラーゲンの減少が皮膚のシワやたるみの原因となることから、コラーゲンを配合させた化粧品が多くの人に使用されている。
【0004】
このようなコラーゲンを配合させた化粧品として、例えば特許文献1では、コラーゲン産生促進作用をもつ植物エキスと魚由来コラーゲンを含有させた化粧品を提案している。また、特許文献2では、コラーゲンにニンジン抽出物を含有させた化粧品を提案している。近年の研究で、コラーゲンは真皮で作用して初めて肌のハリや弾力を与えることが知られるようになった。しかし、上述したようなコラーゲンを配合させた化粧品を皮膚上に塗布しても、コラーゲンは皮膚の顆粒層までしか到達しない。また、コラーゲンをそのまま経口摂取しても、酵素によってアミノ酸に分解され、真皮までコラーゲンが届かず、皮膚のシワやたるみに対する効果を期待できないといった問題が生じていた。
【特許文献1】特開2003−192526号公報
【特許文献2】特開2004−35432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述したような実情に鑑みてなされたものであり、本発明は繊維芽細胞(コラーゲン産生細胞)の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の経皮投与剤の製造方法に関する上記目的は、動物由来コラーゲンペプチドと、オリゴ糖と、グルコサミン類と、コンドロイチン類と、ヒアルロン酸と、糖セラミドと、ビタミンCとを構成物質とする混合物が配合されている繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法において、容器に前記動物由来コラーゲンペプチドを入れて室温・常圧下で攪拌しながら、前記オリゴ糖、前記グルコサミン類、前記コンドロイチン類、前記ヒアルロン酸、前記糖セラミドそして前記ビタミンCの順に添加することによって効果的に達成される。
【0007】
また、本発明の経皮投与剤の製造方法に関する上記目的は、有効成分は、前記グルコサミン類と、前記コンドロイチン類と、前記ヒアルロン酸と、前記ビタミンCとであることによって、或は前記混合物の配合量は、前記動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して、前記前記オリゴ糖は40〜50重量部、前記グルコサミン類は1〜2重量部、前記コンドロイチン類は1〜2重量部、前記ヒアルロン酸は0.1〜1重量部、前記糖セラミドは0.1〜1重量部と、前記ビタミンCは0.1〜1重量部であることによって、或は更に前記動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して、0.1〜1重量部のビタミンEを添加させることによって、或は前記動物由来コラーゲンペプチドは、サメまたは白身魚類由来のコラーゲンペプチドであることによって、或は前記オリゴ糖は、デンプン由来イソマルトオリゴ糖であることによって、或は前記糖セラミドは、小麦または米由来糖セラミドであることによって、より効果的に達成される。
【0008】
本発明の経口投与剤の製造方法に関する上記目的は、オリゴ糖と、動物由来コラーゲンペプチドと、グルコサミン類と、コンドロイチン類と、ヒアルロン酸と、ビタミンCと、糖セラミドとを構成物質とする混合物が配合されている繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法において、容器に前記オリゴ糖を入れて室温・常圧下で攪拌しながら、前記動物由来コラーゲンペプチド、前記グルコサミン類、前記コンドロイチン類、前記ヒアルロン酸、前記糖ビタミンCそして前記糖セラミドの順に添加することによって、効果的に達成される。
【0009】
また、本発明の経口投与剤の製造方法に関する上記目的は、有効成分は、前記グルコサミン類と、前記コンドロイチン類と、前記ヒアルロン酸と、前記ビタミンCとであることによって、或は前記混合物の配合量は、前記オリゴ糖100重量部に対して、前記動物由来コラーゲンペプチドは40〜50重量部、前記グルコサミン類は1〜5重量部、前記コンドロイチン類は1〜5重量部、前記ヒアルロン酸は0.1〜1重量部、前記糖セラミドは0.1〜1重量部と、前記ビタミンCは0.1〜1重量部であることによって、或は更に前記オリゴ糖100重量部に対して、0.1〜1重量部のビタミンEを添加させることによって、或は前記動物由来コラーゲンペプチドは、サメまたは白身魚類由来のコラーゲンペプチドであることによって、或は前記オリゴ糖は、デンプン由来イソマルトオリゴ糖であることによって、或は前記糖セラミドは、小麦または米由来糖セラミドであることによって、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法によれば、グルコサミン類、コンドロイチン類、ヒアルロン酸、およびビタミンCを有効成分とし、添加する順序を適宜変更させることによって経皮投与剤および経口投与剤と用途を分けることができるようになった。また、さらに動物由来コラーゲンペプチド、オリゴ糖および糖セラミドを配合させることにより、より効率よく繊維芽細胞の増殖を促進させることがわかった。
【0011】
また、本発明の製造方法によって得られた経皮投与剤および経口投与剤を摂取することにより、繊維芽細胞が増殖し、美肌保持および皮膚の再生をもたらす効果があることが、細胞学、形態学の面からわかり、併せてヒアルロン酸、グルコサミンおよびコンドロイチンにより、膝等の関節軟骨の再生が促進され、関節痛等の症状を緩和させる効果があることもわかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、コラーゲンペプチドと、オリゴ糖と、グルコサミン類と、コンドロイチン類と、ヒアルロン酸と、糖セラミドと、ビタミンCとを構成物質とする混合物であって、グルコサミン類と、コンドロイチン類と、ヒアルロン酸と、ビタミンCとを有効成分としたことを特徴とした繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法に関する。
【0013】
まず、本発明の繊維芽細胞の増殖を促進させ得る経皮投与剤の製造方法について詳細に説明する。
【0014】
本発明の繊維芽細胞の増殖を促進させ得る経皮投与剤は、まず、減菌した容器内に動物由来コラーゲンペプチドを入れて攪拌させる。予め動物由来コラーゲンペプチドが攪拌されている容器内に常温・常圧下でオリゴ糖を動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して、40〜50重量部添加する。攪拌速度は、経皮投与剤の製造量等に応じて適宜変更することができるが、100〜1000rpmの間で調節することが好ましい。また、全ての構成物質を入れ終わるまで攪拌をしつづける。ここで、常温とは室温のことをいい、15〜25℃の範囲をいう。また、常圧とは、大気圧(1気圧)のことをいう。
【0015】
次に、オリゴ糖を添加した後も攪拌を続け、グルコサミン類を常温・常圧下で動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して1〜2重量部を添加する。ここで、グルコサミン類とは、グルコサミン塩酸塩、N−アセチルグルコサミンもしくはN−アセチルグルコサミン塩酸塩のことをいう。
【0016】
グルコサミン類を添加した後、コンドロイチン類を常温・常圧下で動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して1〜2重量部を攪拌しながら添加する。ここで、コンドロイチン類とは、コンドロイチン硫酸塩またはマトリキシルのことをいう。
【0017】
コンドロイチン類を添加した後、ヒアルロン酸を常温・常圧下で動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して0.1〜1重量部を攪拌しながら添加する。
【0018】
ヒアルロン酸を添加した後、糖セラミドを常温・常圧下で動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して0.1〜1重量部を攪拌しながら添加する。
【0019】
糖セラミドを添加した後、ビタミンCを常温・常圧下で動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して0.1〜1重量部を攪拌しながら添加して、混合物(経皮投与剤)を形成する。
【0020】
必要に応じて、ビタミンCを添加した後に、ビタミンEを常温・常圧下で動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して0.1〜1重量部を攪拌しながら添加してもよい。ビタミンEをさらに添加することにより、より効率よくコラーゲンを体内へ吸収させることができる。
【0021】
それぞれの構成物質の添加する順番を変更しても経皮投与剤を製造することができる。しかし、理由は定かでないが、構成物質の添加する順番を変更すると、繊維芽細胞の増殖を促進させる効果がなくなってしまう。したがって、上述したように、動物由来コラーゲンペプチド、オリゴ糖、グルコサミン類、コンドロイチン類、ヒアルロン酸、糖セラミド、ビタミンCの順に構成物質を添加することが好ましい。
【0022】
混合物の構成物質の一つである動物由来コラーゲンペプチドとは、コラーゲンを安定化させるために低分子化させたものである。コラーゲンを低分子化させたことにより、コラーゲンを真皮まで遊走させることができ、肌や弾力を回復させることができる。本発明で添加するコラーゲンペプチドは、動物由来のコラーゲンペプチドであればいずれを添加してもよいが、サメ由来コラーゲンペプチド或は白身魚類コラーゲンペプチドを添加することが好ましい。なお、本発明の製造方法では、コラーゲンペプチドの代わりに、コラーゲンをアルカリ、酸、加圧により、或は酵素により加水分解することで得られるコラーゲンの加水分解物およびコラーゲンの熱変性物であるゼラチン等を用いることもでき、これらを単独で添加してもよく複数組合せて添加してもよい。
【0023】
混合物の構成物質の一つであるオリゴ糖は、コラーゲンを肌に送る役割を果たす。コラーゲンは、真皮に到達して初めて肌に作用する(肌のハリや弾力を与える)が、コラーゲンを塗布しただけでは皮膚の顆粒層までしか到達せず、コラーゲンを肌に作用させることができない。本発明において、オリゴ糖は、糖セラミドと共にコラーゲンを真皮まで遊走させることができ、コラーゲンを肌で作用させることができる。また、上述したように本発明ではコラーゲンを低分子化した動物由来コラーゲンペプチドを添加しているため、より効率よくコラーゲンを真皮まで遊走させることができる。本発明で添加するオリゴ糖は、例えば植物由来オリゴ糖、乳由来オリゴ糖等種々の公知のオリゴ糖を添加することができるが、本発明ではデンプン由来のイソマルトオリゴ糖を添加することが好ましい。デンプン由来のイソマルトオリゴ糖を添加することで、より繊維芽細胞に活性を与えることができる。なお、デンプン由来イソマルトオリゴ糖はデンプン由来であれば種類は特に限定されず、例えば芋、米、麦芽等のデンプン由来イソマルトオリゴ糖を添加することができ、これらを単独で添加してもよいが複数組合せて添加してもよい。
【0024】
本発明で添加するオリゴ糖の配合量は動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して40〜50重量部とすることが好ましい。オリゴ糖の配合量が40重量部より少ないと、コラーゲンペプチドを効率よく肌へ送ることができなくなる。一方、オリゴ糖の配合量が50重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0025】
混合物の構成物質の一つであって経皮投与剤の有効成分であるグルコサミン類は、蟹や海老等の甲殻類の殻からつくられるアミノ酸の一種であり、体内では軟骨細胞、皮下組織細胞や角膜細胞の主要成分として存在していることが知られている。本発明者の鋭意研究の成果により、グルコサミン類を摂取すると、コラーゲンの生合成を促進させ、肌の保水性が高まることをわかった。本発明では、グルコサミンを添加してもよいが、コストの面でグルコサミン類を添加することが好ましい。また、本発明ではグルコサミン塩酸塩、N−アセチルグルコサミンもしくはN−アセチルグルコサミン塩酸塩を混合させてもよい。
【0026】
本発明で添加するグルコサミン類の配合量は動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して1〜2重量部とすることが好ましい。グルコサミン類の配合量が1重量部より少ないと、コラーゲンの生合成を促進させることができなくなる。一方、グルコサミン類の配合量が2重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0027】
混合物の構成物質の一つであって経皮投与剤の有効成分であるコンドロイチン類は、ムコ多糖類の一つであって、皮膚組織内や軟骨内の水分調節機能を有し、軟骨成分分解酵素の阻害剤として知られている。コンドロイチン類は、グルコサミンとの相乗効果でコラーゲンやエラスチン等の膠質蛋白の生合成を促進させ、肌のシワ等を改善させる。コンドロイチン類は、例えば、牛、クジラ等の哺乳動物やサメ等の魚類の軟骨等により得られる。なお、本発明ではコンドロイチンを添加してもよいが、コスト等の面からコンドロイチン類を添加することが好ましい。また、本発明ではコンドロイチン硫酸塩またはマトリキシルを混合させて添加してもよい。
【0028】
本発明で添加するコンドロイチン類の配合量は動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して1〜2重量部とすることが好ましい。コンドロイチン類の配合量が1重量部より少ないと、体内でコラーゲンの生成を働きかけることができなくなる。一方、コンドロイチン類の配合量が2重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0029】
混合物の構成物質の一つであって経皮投与剤の有効成分であるヒアルロン酸は、グルコサミン類およびコンドロイチン類と同様にムコ多糖類の一つであって、皮膚組織内や軟骨内の保水力を亢進させることが知られている。また、ヒアルロン酸は、皮膚の弾力性や皮膚表面のハリを促進させることも知られている。ヒアルロン酸は、体積の約6000倍の水分を吸収する保湿力が特徴で、肌のシワの改善、乾燥肌の形成予防等の重要な役割を果たす。
【0030】
本発明で添加するヒアルロン酸の配合量は動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して0.1〜1重量部とすることが好ましい。ヒアルロン酸の配合量が0.1重量部より少ないと、繊維芽細胞の保水保湿力を高めることができず、肌のハリ等を保つことができなくなる。一方、ヒアルロン酸の配合量が1重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0031】
混合物の構成物質の一つである糖セラミドは、ガラクトース、グルコース、マンノース等の糖部分がセラミド類に付加した糖脂質であり、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド等がある。糖セラミドはコラーゲンを分解する酵素を抑え、真皮までコラーゲンを遊走させる役割を果たす。コラーゲンは、真皮に到達して初めて肌に作用する(肌のハリや弾力を与える)が、コラーゲンを塗布しただけでは皮膚の顆粒層までしか到達せず、コラーゲンを肌に作用させることができない。本発明では、糖セラミドを構成物質の一つとすることで、オリゴ糖と共にコラーゲンを真皮まで遊走させることができ、コラーゲンを肌で作用させることができるようになった。糖セラミドは、例えば、牛、馬等の哺乳動物の脳、脊髄等の組織や、小麦、麹や米ぬか等の植物の細胞膜、微生物の細胞膜に存在するもの、または化学合成等により得られるもの等公知の種々の糖セラミドを添加してもよいが、コスト等の面から小麦または米由来糖セラミドを添加することが好ましい。
【0032】
本発明で添加する糖セラミドの配合量は動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して0.1〜1重量部とすることが好ましい。糖セラミドの配合量が0.1重量部より少ないと、表皮の深部までコラーゲンを遊走させることができなくなる。一方、糖セラミドの配合量が1重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0033】
混合物の構成物質の一つであって経皮投与剤の有効成分であるビタミンCは、体内組織の酸化を防止する働きを有すると共に、コラーゲンの生合成のために必須なビタミンであることが知られている。また、肌の組織を修復する際に発生する活性酸素を除去する役割を果たす。
【0034】
本発明で添加するビタミンCの配合量は動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して0.1〜1重量部とすることが好ましい。ビタミンCの配合量が0.1重量部より少ないと、コラーゲンの吸収を増加させることができなくなる。一方、ビタミンCの配合量が1重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0035】
経皮投与剤の使用体系は特に限定されず、例えば化粧品、湿布類、軟膏類等として使用することができる。
【0036】
次に、本発明の繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明の繊維が細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法と重複している個所については説明を省略する。
【0037】
本発明の繊維芽細胞の増殖を促進させ得る経口投与剤は、まず、減菌した容器内にオリゴ糖を入れて攪拌させる。予めオリゴ糖が攪拌されている容器内に常温・常圧下で動物由来コラーゲンペプチドをオリゴ糖100重量部に対して、40〜50重量部添加する。攪拌速度は、経口投与剤の製造量等に応じて適宜変更することができるが、100〜1000rpmの間で調節することが好ましい。また、全ての構成物質を入れ終わるまで攪拌をしつづける。
【0038】
次に、動物由来コラーゲンペプチドを添加した後も攪拌を続け、グルコサミン類を常温・常圧下でオリゴ糖100重量部に対して1〜2重量部を添加する。
【0039】
グルコサミン類を添加した後、コンドロイチン類を常温・常圧下でオリゴ糖100重量部に対して1〜5重量部を攪拌しながら添加する。
【0040】
コンドロイチン類を添加した後、ヒアルロン酸を常温・常圧下でオリゴ糖100重量部に対して1〜5重量部を攪拌しながら添加する。
【0041】
ヒアルロン酸を添加した後、ビタミンCを常温・常圧下でオリゴ糖100重量部に対して0.1〜1重量部を攪拌しながら添加する。
【0042】
ビタミンCを添加した後、糖セラミドを常温・常圧下でオリゴ糖100重量部に対して0.1〜1重量部を攪拌しながら添加して、混合物を形成する。
【0043】
必要に応じて、糖セラミドを添加した後に、ビタミンEを常温・常圧下でオリゴ糖100重量部に対して0.1〜1重量部を攪拌しながら添加してもよい。ビタミンEをさらに添加することにより、より効率よくコラーゲンを体内へ吸収させることができる。
【0044】
それぞれの構成物質の添加する順番を変更しても経口投与剤を製造することができる。しかし、理由は定かでないが、構成物質の添加する順番を変更すると、繊維芽細胞の増殖を促進させる効果がなくなってしまう。したがって、上述したように、オリゴ糖、動物由来コラーゲンペプチド、グルコサミン類、コンドロイチン類、ヒアルロン酸、ビタミンC、糖セラミドの順に構成物質を添加することが好ましい。
【0045】
混合物の構成物質の一つであるオリゴ糖は、経皮投与剤と同様にデンプン由来のイソマルトオリゴ糖を添加することが好ましい。デンプン由来のイソマルトオリゴ糖を添加することで、より繊維芽細胞に活性を与えることができる。なお、デンプン由来イソマルトオリゴ糖はデンプン由来であれば種類は特に限定されず、例えば芋、米、麦芽等のデンプン由来イソマルトオリゴ糖を添加することができ、これらを単独で添加してもよいが複数組合せて添加してもよい。
【0046】
本発明で添加する動物由来コラーゲンペプチドの配合量はオリゴ糖100重量部に対して40〜50重量部とすることが好ましい。動物由来コラーゲンペプチドの配合量が40重量部より少ないと、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。一方、動物由来コラーゲンペプチドの配合量が50重量部を超えた場合、コラーゲンは必須アミノ酸のトリプトファンをほとんど含んでいないため、必須アミノ酸のバランスを崩すおそれが生じる。
【0047】
本発明で添加するグルコサミン類の配合量はオリゴ糖100重量部に対して1〜5重量部とすることが好ましい。グルコサミン類の配合量が1重量部より少ないと、コラーゲンの生合成を促進させることができなくなる。一方、グルコサミン類の配合量が2重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0048】
本発明で添加するコンドロイチン類の配合量はオリゴ糖100重量部に対して1〜5重量部とすることが好ましい。コンドロイチン類の配合量が1重量部より少ないと、体内でコラーゲンの生成を働きかけることができなくなる。一方、コンドロイチン類の配合量が2重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0049】
本発明で添加するヒアルロン酸の配合量はオリゴ糖100重量部に対して0.1〜1重量部とすることが好ましい。ヒアルロン酸の配合量が0.1重量部より少ないと、繊維芽細胞の保水保湿力を高めることができず、肌のハリ等を保つことができなくなる。一方、ヒアルロン酸の配合量が1重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0050】
本発明で添加するビタミンCの配合量はオリゴ糖100重量部に対して0.1〜1重量部とすることが好ましい。ビタミンCの配合量が0.1重量部より少ないと、コラーゲンの吸収を増加させることができなくなる。一方、ビタミンCの配合量が1重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0051】
混合物の構成物質の一つである糖セラミドは、ガラクトース、グルコース、マンノース等の糖部分がセラミド類に付加した糖脂質であり、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド等がある。糖セラミドは、例えば、牛、馬等の哺乳動物の脳、脊髄等の組織や、小麦、麹や米ぬか等の植物の細胞膜、微生物の細胞膜に存在するもの、または化学合成等により得られるもの等公知の種々の糖セラミドを添加してもよいが、コスト等の面から小麦または米由来糖セラミドを添加することが好ましい。
【0052】
通常、コラーゲンを摂取すると、コラーゲンはコラーゲン分解酵素コラゲナーゼにより分解されて骨芽細胞に取り込まれてしまい、皮膚の真皮にはコラーゲンがほとんど遊走されない。
【0053】
しかし、糖セラミドはコラーゲン分解酵素コラゲナーゼの発生を抑制する役割を果たす。したがって、コラーゲンを糖セラミドと共に摂取すると、コラーゲンはコラゲナーゼによって分解されずに直接皮膚の真皮や、関節の軟骨等、コラーゲンが不足している部分に遊走される。このように、本発明の製造方法によって得られる経皮投与剤および経口投与剤は、膝等の関節軟骨の再生が促進され、関節痛等の症状を緩和させる効果もある。
【0054】
本発明で添加する糖セラミドの配合量はオリゴ糖100重量部に対して0.1〜1重量部とすることが好ましい。糖セラミドの配合量が0.1重量部より少ないと、表皮の深部までコラーゲンを遊走させることができなくなる。一方、糖セラミドの配合量が1重量部を超えると、混合物の構成バランスが崩れ、繊維芽細胞の増殖を促進させることができなくなる。
【0055】
経口投与剤の使用体系は特に限定されず、例えば顆粒、タブレット類、散剤、カプセル剤、座剤等として使用することができる。
【0056】
以上、本発明の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤および経口投与剤の製造方法について詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
本発明では、上述した構成物質以外に必要に応じて、例えば香料類、アルコール類、保留剤、香料以外の油分、保湿剤、湿潤剤、油脂、炭化水素、脂肪酸、水溶性高分子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、色剤、増粘剤、ビタミンC・ビタミンE以外のビタミン類等目的に応じて適宜選択して配合させてもよい。これらは単独で配合させてもよいが複数配合させてもよい。なお、これらを配合させる場合は、構成物質を全て添加した後に配合させることが好ましい。
【0058】
一方、いわゆるMCM(マリーン・クリスタル・ミネラル)製剤を本発明の製造方法によって得られた経皮投与剤および経口投与剤に添加すれば、更なる新陳代謝を促進することができる。MCMとは、海水抽出物のことをいい、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、ニッケル等の60種類以上のミネラルを含んだ製剤のことをいう。
【0059】
経皮投与剤の塗布量および経口投与剤の摂取量は、各構成物質の配合量が上述した範囲内であれば特に限定されないが、美肌保持或は皮膚の再生をより効率よく行うには、1日あたり30mg以上経皮投与剤を塗布もしくは経口投与剤を摂取することが好ましい。なお、30mg以上塗布もしくは摂取しても人体に有害とはならない。
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0061】
本発明の有効成分であるグルコサミン類、コンドロイチン類、ヒアルロン酸およびビタミンCの繊維芽細胞に対する増殖促進作用について試験した。
【0062】
試料である実験群、実験対照群および対照群を以下のように調整した。
【0063】
通常の細胞培養に用いられる10%胎児牛血清(FBS)添加イーグルMEM培養液(10%FBS−MEM培養液)に、予め培養した仔ハムスター腎臓由来繊維芽細胞(BHK−21細胞、大日本製薬工業会社)を浮遊させた。このBHK−21細胞浮遊液を6ウエル付きプラスチックトレイ(1ウエル=1穴直径:35mm)に2mlずつ添加し(2×10個/ウエル)、COインキュベーターを用いて37℃で3時間培養した。その後培養液を除去し、さらにウエル内をリン酸・生理食塩緩衝液(PBS)で3回洗浄した。PBSで洗浄したウエル内の細胞に、グルコサミン塩酸塩50mg/ml、コンドロイチン硫酸塩50mg/ml、ヒアルロン酸10mg/ml、ビタミンC5mg/mlの配合液(GCHA)を10%FBS−MEM培養液に添加した。
【0064】
実験群の比較対照として実験対照群および対照群を調整した。実験群では、GCHAを10%FBS−MEM培養液に添加したが、実験対照群はGCHAをMEM培養液(10%FBSが無添加)に添加した。GCHAを添加せず10%FBS−MEM培養液のみを対照群とした。
【0065】
次に、調整した実験群、実験対照群および対照群を、37℃で10日間培養させて細胞増殖の有無と細胞数の推移を調べた。
【0066】
実験群、実験対照群および対照群の0日目、3日目、7日目および10日目のBHK−21細胞をトリプシン液で消化・剥離した後PBSを添加してBHK−21細胞を浮遊させて、浮遊液中の細胞数を算定した。
【0067】
図1に示すように、実験群および対照群のBHK−21細胞数は、3日目から急速に増加し始め、7日目にはプラトーに達した。特に実験群では、実験対照群よりも細胞増殖が極めて顕著であることがわかる。一方、実験対照群では、細胞の増殖は認められず、培養日数の経過と共に急速に減少していることがわかる。
【0068】
図2は、実験群、実験対照群および対照群のBHK−21細胞の増殖状態と細胞形態を顕微鏡下で観察した写真である。図2に示すように、実験群での7日目における細胞数(実験群:図上段、7日目参照)は、対照群の細胞数(対照群:図下段、7日目参照)に比べて多く、細胞形態も極めて良好であった。また、繊維芽細胞の第1の特色である細胞体からの偽足が繊維状に長く伸延し、細胞質全体が典型的な紡錘形態を保持していた(図上段、下段:3日目参照)。
【0069】
他方、実験対照群での培養細胞の形態(図中段)は、培養1日目から細胞質の膨化・崩壊と偽足部位の損傷・破壊が著しく、3日目以降では、細胞質の崩壊に伴う裸核細胞像が顕著であった。
【0070】
以上の結果をまとめると、通常の細胞培養液(FBS−MEM)に上記4種類の成分(グルコサミン塩酸塩:コンドロイチン硫酸塩:ヒアルロン酸:ビタミンC=10:10:2:1)を添加すると、コラーゲン産生細胞である繊維芽細胞の増殖機能をより増強させることがわかる。言いかえると、加齢と共に低下する自己のコラーゲン蛋白質の産生機能を効果的に亢進させると共に、皮膚組織の再生機能をも再活性化させることがわかる。すなわち、自己の繊維芽細胞の増殖に伴うコラーゲン蛋白質産生能が、回復・改善することが本実施例で確認された。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸およびビタミンCの配合液の繊維芽細胞に対する増殖促進効果を示すグラフである。
【図2】グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸およびビタミンCの配合液の繊維芽細胞に対する増殖細胞数を示した顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物由来コラーゲンペプチドと、オリゴ糖と、グルコサミン類と、コンドロイチン類と、ヒアルロン酸と、糖セラミドと、ビタミンCとを構成物質とする混合物が配合されている繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法において、容器に前記動物由来コラーゲンペプチドを入れて室温・常圧下で攪拌しながら、前記オリゴ糖、前記グルコサミン類、前記コンドロイチン類、前記ヒアルロン酸、前記糖セラミドそして前記ビタミンCの順に添加することを特徴とする繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法。
【請求項2】
有効成分は、前記グルコサミン類と、前記コンドロイチン類と、前記ヒアルロン酸と、前記ビタミンCとである請求項1に記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法。
【請求項3】
前記混合物の配合量は、前記動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して、前記前記オリゴ糖は40〜50重量部、前記グルコサミン類は1〜2重量部、前記コンドロイチン類は1〜2重量部、前記ヒアルロン酸は0.1〜1重量部、前記糖セラミドは0.1〜1重量部、前記ビタミンCは0.1〜1重量部である請求項1または2に記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法。
【請求項4】
更に前記動物由来コラーゲンペプチド100重量部に対して、0.1〜1重量部のビタミンEを添加させる請求項1または2に記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法。
【請求項5】
前記動物由来コラーゲンペプチドは、サメまたは白身魚類由来のコラーゲンペプチドである請求項1乃至4のいずれかに記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法。
【請求項6】
前記オリゴ糖は、デンプン由来イソマルトオリゴ糖である請求項1乃至5のいずれかに記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法。
【請求項7】
前記糖セラミドは、小麦または米由来糖セラミドである請求項1乃至6のいずれかに記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経皮投与剤の製造方法。
【請求項8】
オリゴ糖と、動物由来コラーゲンペプチドと、グルコサミン類と、コンドロイチン類と、ヒアルロン酸と、ビタミンCと、糖セラミドとを構成物質とする混合物が配合されている繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法において、容器に前記オリゴ糖を入れて室温・常圧下で攪拌しながら、前記動物由来コラーゲンペプチド、前記グルコサミン類、前記コンドロイチン類、前記ヒアルロン酸、前記糖ビタミンCそして前記糖セラミドの順に添加することを特徴とする繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法。
【請求項9】
有効成分は、前記グルコサミン類と、前記コンドロイチン類と、前記ヒアルロン酸と、前記ビタミンCとである請求項8に記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法。
【請求項10】
前記混合物の配合量は、前記オリゴ糖100重量部に対して、前記動物由来コラーゲンペプチドは40〜50重量部、前記グルコサミン類は1〜5重量部、前記コンドロイチン類は1〜5重量部、前記ヒアルロン酸は0.1〜1重量部、前記ビタミンCは0.1〜1重量部、前記糖セラミドは0.1〜1重量部である請求項8または9に記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法。
【請求項11】
更に前記オリゴ糖100重量部に対して、0.1〜1重量部のビタミンEを添加させる請求項8乃至10のいずれかに記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法。
【請求項12】
前記動物由来コラーゲンペプチドは、サメまたは白身魚類由来のコラーゲンペプチドである請求項8乃至11のいずれかに記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法。
【請求項13】
前記オリゴ糖は、デンプン由来イソマルトオリゴ糖である請求項8乃至12のいずれかに記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法。
【請求項14】
前記糖セラミドは、小麦または米由来糖セラミドである請求項8乃至13のいずれかに記載の繊維芽細胞の増殖を促進させる経口投与剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−143605(P2006−143605A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332156(P2004−332156)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(594186795)
【Fターム(参考)】