説明

織物発光装置

本発明は、織物基板(102)上に配置される光導体(101)と発光素子(100)とを有する発光装置に係る。該光導体は、織物基板に対面する後方表面(103)、織物基板からみて外方を向く前方表面(104)、及び受光表面(105)を有する。発光素子(100)は、該発光素子(100)によって発される光の少なくとも一部が受光表面(105)を通って光導体(101)へと結合されるよう配置され、また光導体(101)における全内部反射下に置かれる。更に、光導体(101)は、該光導体(101)へと結合される光の少なくとも一部が前方表面(104)及び/又は後方表面(103)を通って光導体(101)を出るよう配置される。光導体を発光素子と併せて配置することによって、発される光は、光導体内において分布され、発光素子の範囲より大きな範囲から光導体を出る。故に、織物基板のより大きな部分は、発光素子のより高密度なパターンを使用する必要なく照明され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物(テキスタイル)基板上に配置される光導体及び発光素子を有する発光装置に係る。本発明はまた、かかる発光装置を製造する方法、及び光子療法において使用される発光装置に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の一体化(統合)によって受動的な織物をインテリジェント且つ相互作用的なシステムへと変えるよう、多くの試みがなされてきている。例えば、発光ダイオード等である発光素子を織物に与え、織物をディスプレイ装置を一体にされた織物へと変えるようにする、という試みがなされている。
【0003】
ディスプレイ装置一体化織物(textile integrated display devices)に関しては、多くの可能な適用がある。かかるディスプレイ装置一体化織物の一例は、日本国特許第2004−308050号(特許文献1)において記載されており、該文献は、所定のパターンにおいて発光ダイオードを取り付けられた衣類を記載している。
【0004】
しかしながら、発光ダイオードは点源放射体であるため、特定の間隔をおいて発光ダイオードを取り付けられた織物は、魅力的な外観を備えない。更には、光線療法用途に対する着用可能な織物製品等である多くの適用に対して、発された光が織物範囲にわたって実質的に均一に分布されることは、重要であり得る。
【0005】
故に、装置の可撓性及び織物の感触に影響を与えることなく、光がより大きな範囲部分から発され得る織物ベースの発光装置に対する技術は、必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特許第2004−308050号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、装置の可撓性及び織物の感触に影響を与えることなく、光がより大きな範囲部分から発され得る織物ベースの発光装置に対する技術を与える、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、織物基板上に配置される光導体及び発光素子を有する発光装置に係る。該光導体は、織物基板に対面する後方表面、織物基板からみて外方を向く前方表面、及び受光表面を有する。発光素子は、該発光素子によって発される光の少なくとも一部が受光表面を通って光導体へと結合されるよう配置され、また光導体における全内部反射を受けるよう配置される。光導体は、該光導体へと結合される光の少なくとも一部が前方表面及び後方表面の少なくとも一方を通って光導体を出るよう配置される。
【0009】
光導体を発光素子と併せて配置することによって、発される光は、光導体内において分布され、発光素子の範囲より大きな範囲から光導体を出る。故に、織物基板のより大きな部分は、発光素子のより高密度なパターンを使用する必要なく照明され得る。更には、光を拡散させるためのこのソリューションは、大変薄い。
【0010】
本発明において使用される光導体は、織物基板の平面において二次元拡張を備え得るため、発光素子からの光は、光ファイバ等である基本的に一次元の光導体とは対照的に、織物基板範囲のより大きな範囲にわたって分布される。
【0011】
本発明の実施例において、織物基板は、反射性材料を有し得る。
【0012】
後方表面を通って抽出される光導体における光は、反射性材料によって部分的に反射及び散乱される。これは、光導体に向かって反射し戻され且つ前方表面を通って光導体を出る拡散光の束(diffuse light bundle)をもたらす。
【0013】
本発明の実施例において、光導体は、透過性接着材料を用いて織物基板に対して接着され得る。
【0014】
かかる接着材料は、光導体を織物基板に対して物理的に固定し、光が光導体の後方表面を通って光導体を出るようにする。
【0015】
望ましくは、接着材料の屈折率は、周囲の外気の屈折率より高く、光導体材料の屈折率より低い。
【0016】
接着材料は典型的に、周囲の外気(しばしば、1までの屈折率(a reflactive index of 〜1)を備える空気である)より高い屈折率を備える。結果として光は、より望ましくは、前方表面からよりも光導体の後方表面から抽出される。これは、光のより高い部分(a higher portion of the light)が織物において反射及び散乱されるため、反射性織物、又は光導体と織物との間において配置される反射性材料と併せて特に有利である。更には、接着材料の屈折率は望ましくは、光導体の屈折率より低く、光導体の端部に向かって全内部反射を用いる放射線輸送、及び更に優れた光の散乱を確実なものとする。
【0017】
本発明の実施例において、光導体は、可撓性材料を有し得る。
【0018】
光導体は、可撓性材料を有するとき、装置の可撓性に実質的に影響を及ぼすことなく織物基板に対して取り付けられ得る。
【0019】
本発明の実施例において、発光素子は、光導体の受光表面に対して光学的に接着され得る。
【0020】
発光素子が受光表面に対して光学的に接着されるとき、発光素子によって発される光のより高い部分は、光導体へと結合され、故に光導体からの光出力を増大させる。
【0021】
本発明の実施例において、発光素子は、光導体において組み込まれ得る。
【0022】
発光素子は、光導体に組み込まれるとき、機械的な影響から保護される。更にこれは、光導体の受光表面が光導体内において位置決めされる、ことも意味する。
【0023】
本発明の実施例において、反射性材料は、光導体と織物基板との間において配置され得る。
【0024】
反射性材料は、光導体と織物基板との間において配置され得、光導体の前方表面に向かって後方表面を通って抽出される光の反射を増大させるようにする。これは、装置の観察者に対して可視である光の量を増大させるよう使用され得る。
【0025】
本発明の実施例において、光導体の厚さは、受光表面からの距離と共に低減される。
【0026】
テイパ形状又はウェッジ形状を有する光導体は、表面上における入射角が光導体における反射の回数と共に増大するため、光導体の前方及び後方表面を通る光の漸次的抽出をもたらす。故に、この形状は、光の所望される分布及び抽出を得るよう大変単純な形状である。
【0027】
本発明の実施例において、光導体は、光導体における全内部反射を受けて、後方表面及び前方表面の少なくとも一方を介して光導体から光を抽出するための光抽出構造を有する。
【0028】
また、テイパ形状又はウェッジ形状の光導体以外の他の光導体形状を本発明において使用することは可能である。
【0029】
第2の態様において、本発明はまた、本発明に従った発光装置の製造に対する方法に係る。当該方法は、織物基板上に発光素子及び光導体を配置する段階、及び光導体の側部を所定の形状においてカットする段階、を有する。
【0030】
第3の態様において、本発明は、光子療法における本発明の発光装置の使用に係る。
【0031】
本発明のこれらの及び他の態様はこれより、本発明の現在望ましいとされる実施例を図示する添付の図面を参照して、詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に従った発光装置の第1の実施例の詳細を断面図で示す。
【図2】本発明に従った発光装置の第2の実施例の詳細を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、織物基板上に配置される光導体及び発光素子を有する発光装置に係る。該光導体は、織物基板に対面する後方表面、織物基板からみて外方を向く前方表面、及び受光表面を備える。発光素子は、受光表面によって発される光の少なくとも一部が受光面を通って光導体へと結合されるよう配置され、光導体における全内部反射を受ける。光導体は、光導体へと結合される光の少なくとも一部が光導体の前方表面及び後方表面の少なくとも一方を通って光導体を出得るよう、配置される。
【0034】
本願で使用される通り、発光素子という用語は、当業者には既知であるいずれの種類の発光素子もさし、例えば無機LED及び有機ELD等である発光ダイオード(LED)を有する。UV乃至IRのいかなる色の光でも発する発光素子は、本発明において意図される。
【0035】
発光素子は、例えば織物基板上、織物基板の下方、又は織物基板内に配置される、典型的には織物基板に一体にされた、電気的導電線に対して接続され、それによって駆動される。
【0036】
図1は、本発明に従った発光装置の第1の実施例を示す。該発光素子は、いずれも織物基板102上に配置される発光ダイオード100及び光導体101を有する。
【0037】
光導体101は、透明な材料を有し、テイパされたプレートの形状を備える。光導体101は、織物基板102に対面する後方表面103、及び織物基板102からみて外方を向く前方表面104を備える。光導体101は更に、テイパされたプレートのより厚い端部において受光表面105を備える。故に、光導体101の厚さ(前方表面104と後方表面103との間における垂直方向距離)は、受光表面105からの距離と共に低減する。
【0038】
光導体101は、接着剤等である透過性接着材料106を用いて織物基板102に対して接着される。透過性接着剤106は、光学的及び物理的に、織物基板102に対して光導体101を接続する。
【0039】
光導体101に対して、発光ダイオード100は、受光表面105を介して光導体へと光を発するよう配置される。
【0040】
織物基板102は反射性であり、織物基板へと落下する光は、織物基板を作るファイバによって、あるいは織物基板において存在する反射及び/又は散乱粒子等である反射要素によって、反射される。織物基板102は、例えば織られた織物、不織織物、又は編まれた織物、あるいはそれらの混合物であり得る。織物は、天然繊維又は合成繊維、あるいはそれらの混合物を有し得る。反射性であるよう、織物は望ましくは、白色又は淡色である。
【0041】
光導体101は、織物基板102に対面する基本的に平坦な後方表面103、及び織物基板102からみて外方を向く対向する前方表面104を備える、(先端を切り取られた(truncated))ウェッジの形状を備える。光導体101の後方表面103及び前方表面104は、外側表面(lateral surfaces)によって接続され、該外側表面の1つは、受光表面105としての役割を有する。受光表面105は、ウェッジ形状の光導体101の最も厚い側部にある。故に、光導体101の厚さは、受光表面105からの距離と共に低減する。
【0042】
受光表面105の幅及び高さは夫々、少なくとも発光ダイオード100の幅及び高さであることが望ましく、受光表面105によって受けられる発光ダイオード100によって発される光の量は、可能な限り大きくされる。
【0043】
光導体101は、織物基板102の平面において二次元拡張を備えることが望ましく、発光ダイオード100からの光は、二次元表面積にわたって分布される。
【0044】
光導体101へと結合される光は、その方向に依存して、前方表面104及び後方表面103の一方に衝突する。第1の衝突において、光が全内部反射に対する臨界角を越える入射角を備える場合、光は、前方表面104及び後方表面103の他方に向かって内方向に反射される。前方表面104と後方表面103との間の角度により、入射角は、全内部反射に対する臨界角を最終的に下回るまで、内部反射の回数と共に徐々に低減する。この時点において、光は、光導体101から抽出される。この光の漸次的抽出は、光導体101内において光を分布する役割を果たし、光は、光導体101全体から実質的に均一に抽出される。
【0045】
しかしながら、かかる入射角の漸次的低減後に光導体を出る光の角度分布は、抽出表面(前方表面104等)の法線から離れてシフトされる。故に、この光は、表面の法線から多少大きな角度においてその平均構成要素(mean component)を備える。多くの場合において、平均構成要素が基板表面の法線に対してより近い光抽出を得ることは望ましい。故に、反射性である織物基板102を使用することが望まれる。
【0046】
後方表面103を介して光導体101から抽出される光は、織物基板102へと抽出される。本実施例における織物基板102が白色の反射性繊維等である反射性材料を有するため、光は、散乱され、光導体101に向かって反射し戻され、前方表面104に対面する光導体101の観察者に向かって前方方向で出される。反射性織物材料の散乱作用により、この光は、大変拡散される。
【0047】
光導体101は、ガラス、セラミック、ポリメチルメタクリラート(PMMA)等であるプラスチック、又はポリシロキサン(例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン))等であるエラストマ(elastomerics)等の光学的に透明な材料を有する。エラストマ光導体材料としての使用に適切であるPDMS材料の一例は、メチル基がフェニル基によって置換され屈折率の増大に繋がるPDMSである。
【0048】
エラストマ光導体は、高い可撓性を備える光導体を与える場合に所望され得る。
【0049】
光導体101の後方表面103及び前方表面104は、平らであり得るか、構造化され得、構造化された表面(structured surface)は、より高い光の拡散度を与え得る。
【0050】
図1中の実施例において、光導体101は、透明な接着剤等である透過性接着材料106を用いて織物基板102に対して接着される。望ましくは、接着材料106は、基本的に1より高い屈折率を備える。望ましくは、接着材料106は更に、光導体材料の屈折率を基本的に下回る屈折率を備える。かかる接着材料を有して、全内部反射は、光導体101内において得られ得、光導体101へと結合される光の少なくとも一部は、接着材料106及び光導体101の接触面上の全内部反射によって、光導体101の端部に向かって運ばれる。これは、光導体101における光の更に優れた拡散に寄与する。かかる接着材料106の更なる効果は、全内部反射に対する臨界角が、光導体101と空気との間における接触面におけるよりも光導体101と接着材料106との間における接触面において高い、ということである(光導体材料と空気との屈折率間の差異と比較して、光導体材料と接着材料との屈折率間の差異が存在するが更に小さいことによる)。故に、光は、前方表面104を介するよりも後方表面103を介してより容易に光導体101から抽出される。故に、より大部分が反射性織物基板102へと抽出され、その後、拡散により、装置の光導体側部を観察するユーザに向かって反射し戻される。
【0051】
更に、接着材料106は、光導体101を織物基板102に対して物理的に固定する役割を有する。
【0052】
適切な接着材料の例は、当業者には既知であり、PDMS等であるシロキサンベースの接着材料、及びエポキシベースの接着材料等が含まれる。光導体材料は可撓性材料であり、可撓性の接着材料が望ましい。
【0053】
図2において、本発明に従った発光装置の第2の実施例が示される。反射材料208は、光導体201と織物基板202との間において配置され、反射表面は、光導体201の後方表面203に対面する。この配置は例えば、織物基板202が弱い反射特性を備えるときに(例えば黒色の織物材料)、使用され得る。反射材料は、上述された通り透過性接着材料を用いて光導体201の後方表面203に対して接着され、反射性材料は更に、接着材料を用いて織物基板202に対して接着され得る。反射性材料208は、潤滑であるかあるいは構造化された反射表面を有し、構造化された反射表面は、より高い光の拡散度をもたらす。望ましくは、反射性材料208は、光導体201に対面する構造化された反射表面を備える。
【0054】
図2はまた、本発明において使用され得る光導体の他の実施例を示す。図1中の光導体101及び図2中の光導体201は、置き換えられ得る。
【0055】
光導体201は、前方表面204において配置される小さな溝209を有する基本的に平らなプレートである。溝209は、光導体201における光伝搬を妨害する光抽出構造であり、光は光導体201から抽出される。
本発明は、上述において提案される光導体に対する2つの構造に制限されない。代わりに、後方表面及び前方表面の両方を通って光が抽出される多くの構造は、本発明の使用において意図される。例えば、前方表面204における溝209の代わりに、あるいはそれに加えて、後方表面203において溝を有する図2中の光導体201の変形も、正常に機能する。光抽出構造はまた、光導体201へとモールドされた反射表面の形状でもあり得る。
【0056】
不織層又は発泡体(フォーム)等である拡散層はまた、前方表面又は後方表面のいずれかあるいはそれら両方である光導体の光出射表面(light exiting surface)において与えられ得る。発光装置が複数の発光素子及び光導体を有するとき、光導体は望ましくは、光導体グリッドに接触し且つそれを形成するよう配置され、拡散層は、連続層として適用される。グリッドの開口は望ましくは、拡散層が発光装置による光の放射を均一に見せることができるよう選択される寸法を備える。例えば、光導体グリッドにおける開口は、10mmより小さく、望ましくは5mmより小さい側部を有する四角形である。
【0057】
図1及び2中に示される実施例において、発光ダイオード100及び200は、夫々受光表面105及び205に対して近接して位置決めされ、夫々光導体101及び201の受光表面105及び205に向かって光を発するよう配置される。
【0058】
発光素子は更に、例えば発光素子と受光表面との間において光学的に透過性の接着剤を使用することによって、光導体の受光表面に対して物理的及び光学的に接着され得る。図1に示される通り、エラストマカプセル被包(elastomeric encapsulation)等である透明なカプセル被包107において発光ダイオード100及び光導体101を組み込み、発光ダイオード100を光導体101に対してしっかりと取り付けるよう、またそれらを機械的衝撃から保護するようにする、ことも可能である。更に他の代案において、発光素子は、例えば発光素子を光導体材料へとモールドすることによって、光導体内において埋め込まれ得る。これは、受光表面が光導体内において位置決めされるという結果を有する。
【0059】
インモールドされた発光素子の一例は、ウェッジ形光導体の厚い端部へとモールドされ、ウェッジ形光導体の薄い端部に向かって光を発するよう配置されるLEDを有するフェニル置換PDMSを有するウェッジ形光導体である。かかる組立体は、置換PDMSの屈折率より低い屈折率を備える非置換PDMSを有して事前加工された織物基板等である織物上においてエンボス加工され得る。
【0060】
発光素子が光導体に対して光学的に接着されるとき、大変大きな角度伝搬を有する光は、光導体へと結合され得る。光のより大きな部分を光導体における全内部反射下におくよう、光は、平行にされる必要があり得る。故に、本発明に従った発光装置はまた、発光素子によって発される光の少なくとも一部を光導体へと結合される前あるいはその後のいずれかで平行にするよう、コリメータを有し得る。更には、本発明に従った発光装置はまた、発光素子によって発される光の少なくとも一部を収集するコレクタ、及び/又は、発光素子によって発される光の少なくとも一部を光導体の受光表面又は織物基板の反射表面等である対象物上へと投射するプロジェクタを有し得る。
【0061】
本発明に従った発光装置に関し、発光素子、コリメータ、コレクタ、プロジェクタ、及び光導体は、別個の構成要素として、あるいは1つ又はそれより多くの一体にされた構成要素として、与えられ得る。例えば、コレクタは、発光素子とパッケージにおいて一体にされ得る。同様に、かかるパッケージは、光導体内に埋め込まれ得る。
【0062】
発光素子及び光導体を織物基板上に配置する前あるいはその後、光導体は、所望の形状へとカットされ得る。例えば、光導体は、例えば四角形である特定の形状において大量生産され得、その後所望の形状へとカットされる。カットは、例えばレーザカッティングを用いて達成され得る。望ましい実施例において、光導体は、織物基板を光導体に配置した後に元の位置で形成され得る。
【0063】
図1及び2に示される形状に加えて、本発明の目的に対して、光導体はまた、発光素子を包含する形状を備え得る。例えば、光導体は、織物基板上に配置される光導体リングであり得、発光素子は、光の少なくとも一部を光導体リングへと放射することができるよう、リングの中心において位置付けられる(この状況においては光導体は円筒形の受光表面を備える、ことが留意される)。望ましくは、光導体リングは、約1ミリメートル又はそれを下回る厚さ及び10ミリメートル又はそれを下回る直径を備え、発光装置は、特に着用可能な衣類であるときに、折り畳まれて包まれ得る。当然のことながら、より大きな装置に対しては、より適切な寸法が選択され得る。
【0064】
発光素子及び光導体を有する組立体は、例えば上述された通り光導体の後方表面と基板との間における接着材料によって、あるいは、基板の導電線に対して発光素子を半田付け又はクランプすること等により取り付けることによって、基板に対して取り付けられ得る。
【0065】
本発明における使用に対して適切である光導体の寸法は、例えば織物基板の種類及び用途に依存する。しかしながら、典型的な場合において、光導体の長さ及び幅は、約1ミリメートル乃至約10センチメートル等である数ミリメートル乃至数センチメートルのオーダにあり、光導体の高さは、約0.1ミリメートル乃至約1センチメートルである。
【0066】
ウェッジ形状の光導体に対して、前方表面と後方表面との間における角度は、典型的には約1度乃至約10度の範囲にある。
【0067】
当業者は、本発明が上述された望ましい実施例にいかようにも制限されない、ことを理解する。対照的に、多くの修正及び変形は、添付の請求項の範囲内において可能である。例えば、2つ、3つ、又はそれより多い1つより多くの発光素子は、単一の光導体へと光を発するよう配置され得る。例えば、並列に配置される3つのLED(1つの赤色、1つの緑色、及び1つの青色等)のアレイは、色可変のLED光導体組立体を形成するよう、1つの光導体へと光を発するよう配置され得る。2つのLEDは、一組のLEDの各側部上に1つの光導体を有して逆並列に配置され得る。更には、2つの光導体は、例えば2つの対向する方向において光を発する所謂「バットウイング」LEDからの光であるような、単一のLEDからの光を受けるよう配置され得る。
本発明の発光装置は、織物基板からの光放射を得るよう所望されるいかなる適用においても使用され得る。かかる適用の例に制限的ではなく含まれるのは、家具装飾品等である動的照明、カーテン、カーペット、バッグ又はバックパック等である一体にされたディスプレイを有するアクセサリ及び着用可能な衣類、例えば座瘡治療、創傷治療、鎮痛、乳幼児黄疸等に対する着用可能な衣類である光子療法に対する織物製品などである。例えば、光子療法を必要とする人間又は人間ではない動物である患者は、患者の皮膚に対面する光導体を有する本発明の発光装置を収容する衣類を着用し得る。作動中、装置の発光素子が光を発するとき、患者は、光子療法を受ける。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物基板上に配置される光導体と発光素子とを有する発光装置であって、
該光導体は、前記織物基板に対面する後方表面と、前記織物基板からみて外方を向く前方表面と、受光表面と、を有し、
前記発光素子は、該発光素子によって発される光の少なくとも一部が前記受光表面を通って前記光導体へと結合されるよう配置され、また前記光導体における全内部反射を受け、
前記光導体は、該光導体へと結合される前記光の少なくとも一部が前記前方表面及び前記後方表面の少なくとも一方を通って前記光導体を出るよう配置される、
発光装置。
【請求項2】
前記光導体は、前記織物基板の平面において二次元拡張を有する、
請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記織物基板は、反射性材料を有する、
請求項1又は2記載の発光装置。
【請求項4】
前記光導体は、透過性接着材料を用いて前記織物基板に対して接着される、
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項5】
前記接着材料の反射率は、周囲の外気の屈折率より高く、前記光導体の材料の屈折率より低い、
請求項4記載の発光装置。
【請求項6】
前記光導体は、可撓性材料を有する、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光素子は、前記受光表面に対して光学的に接着される、
請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子は、前記光導体に組み込まれる、
請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項9】
反射性材料は、前記光導体と前記織物基板との間において配置される、
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項10】
前記光導体の厚さは、前記受光表面からの距離と共に低減する、
請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項11】
前記光導体は、前記光導体における全内部反射を受ける光を前記後方表面及び前記前方表面のうち少なくとも一方を介して前記光導体から抽出するための光抽出構造を有する、
請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項12】
光子療法において使用される、
請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の発光装置。
【請求項13】
請求項1記載の発光装置を製造する方法であって、
織物基板上において発光素子及び光導体を配置する段階と、
該光導体の側部を所定の形状へとカットする段階と、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−525516(P2010−525516A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503643(P2010−503643)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051420
【国際公開番号】WO2008/126053
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】