説明

缶の管理装置および缶の管理方法

【課題】缶の巻締め部の巻締め厚さを全周にわたって精度よく計測でき、全数の缶の巻締め部の部位毎、巻締機のヘッド毎にT寸法のばらつきや推移を管理することができる缶の管理装置を提供する。
【解決手段】巻締め部を有する缶の管理装置100は、巻締め部20の上方に配設したリング照明装置2と、リング照明装置2からの照明光により巻締め上端両側の反射映像をリング照明装置2の中心と同軸上に配設し撮像するカメラ4と、入力映像をディジタル多階調画像に変換し、巻締め上端両側の二重のリング状画像を得、リング状画像の中心から放射状に二重のリング外側端とリング内側端とのリング幅を、プルトップ方向の基準線から適宜な間隔で全周にわたって計測し、該計測値を記憶部に記憶するT寸法管理装置6とを有する。缶の管理装置100は、缶の全数について巻締機のヘッド毎の各計測値を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物用などの缶について、その缶胴と缶底あるいは缶胴と缶蓋との間の締結をなしている巻締厚さTのT寸法を計測および管理する技術に関し、特に巻締め上端両側の二重リング像を用いてT寸法を計測および管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食物用の缶などは、多くの場合、その缶胴と缶底あるいは缶胴と缶蓋との間が巻締め部を介して締結されており、その巻締め部に巻締め不良を発生する場合がある。巻締め不良としては、巻締めが正しく行われずに缶胴の一部が巻締め部の下方において舌状にはみ出す「舌出し不良」や巻締圧力強弱による巻締厚さTのT寸法不良が代表的なものとしてある。このような巻締め不良があると缶の気密性が損なわれ、封入飲食物の品質保持に支障を来たす可能性がある。このため、製品検査の一つとして巻締め不良の検査が必要となる。
【0003】
しかし、不良検査とは別に、不良を未然に防ぐための予防保全としての巻締厚さTのT寸法の管理が必要である。T寸法の測定管理については、主なものとして、X線により巻締め部の巻締め状態についての透視画像などを取得して測定する手法(例えば、特許文献1、2参照)が知られている。また、巻締部を切断して計測する手法(例えば、特許文献3参照)なども知られている。いずれもオフラインでの抜き取り、箇所限定測定であり全数かつ全周の測定管理までは網羅されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−248643号公報
【特許文献2】特開2000−199747号公報
【特許文献3】特開2002−200521号公報
【特許文献4】特開平7−218453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
全周の測定管理として巻締め上端のリング像による手法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。巻締め上端のリング像による手法は、処理を高速に行えることからインライン検査による全周の検査を可能とする点で優れているが、リング像は、巻締め上端のリング像(具体的には、シーミングパネル反射光によるリング像)であり、本来の巻締め厚さTの計測および管理には十分でなかった。
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、缶の巻締め部の巻締め厚さを全周にわたって精度よく計測でき、全数の缶の巻締め部の部位毎、巻締機のヘッド毎にT寸法のばらつきや推移を管理することができる缶の管理装置および缶の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の巻締め部を有する缶の管理装置は、巻締め部の上方に配設したリング照明装置と、リング照明装置からの照明光により巻締め上端両側の反射映像をリング照明装置の中心と同軸上に配設し撮像する撮像装置(例えば、カメラ4)と、入力映像をディジタル多階調画像に変換し、巻締め上端両側の二重のリング状画像を得、リング状画像の中心から放射状に二重のリング外側端とリング内側端とのリング幅を、プルトップ方向の基準線から適宜な間隔で全周にわたって計測し、該計測値を記憶部に記憶する画像処理装置(例えば、T寸法管理装置6)と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、缶の巻締め部の巻締め厚さを全周にわたって精度よく計測でき、全数の缶の巻締め部の部位毎、巻締機のヘッド毎にT寸法のばらつきや推移を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の缶の管理装置を示す全体構成図および撮像画像例である。
【図2】巻締め厚さTのT寸法管理装置を示す構成図である。
【図3】撮像画像の特徴を示す説明図である。
【図4】光学系の詳細を示す説明図である。
【図5】照明基準角度を示す説明図である。
【図6】巻締め厚さTのT寸法計測・管理の処理を示すフローチャートである。
【図7】集計データ項目例を示す説明図である。
【図8】プルトップ部を示す説明図とその撮像画像例である。
【図9】比較例の金属缶端巻締め外観検査装置を示す全体構成図および撮像画像例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の缶の管理装置を示す全体構成図および撮像画像例である。図1(a)は、缶の管理装置100を示す全体構成図であり、図1(b)は、缶の管理装置100で撮像された撮像画像例である。図1(a)に示す缶の管理装置100は、コンベア1上を搬送される缶10の上方にリング型照明であるリング照明装置2を配設し、リング照明装置2と同軸上方に、カメラ4(撮像装置)を配設する。リング照明装置2は、巻締め部20の全体を斜め側方から照明するためのものであり、リング全体から巻締め部20全体を照らす。カメラ4は、リング内部の空間部分から、その巻締め部20を撮像する。カメラ4とリング照明装置2を同軸上に配置したことで、カメラ4は、巻締め部20全体を上方から均一に撮像する。
【0011】
コンベア1上を矢印方向に搬送される缶10は、リング照明装置2、カメラ4の真下に来た瞬間にセンサ5で検知され、この検知信号はT寸法管理装置6(画像処理装置)に入力され、照明電源3を介してリング照明装置2を発光させ巻締め部20に照射する。同時に、センサ5の検知信号はT寸法管理装置6を介してカメラ4を起動し、巻締め部20の輪郭映像を撮像させ、次いでこれをT寸法管理装置6に入力させる。T寸法管理装置6での集計結果および集計値警報情報は、警報装置621、帳票装置622および外部記憶装置623に送られ、各処理を行う。
【0012】
図1(b)の左側は、巻締め部20を含む缶の蓋部の撮像画像であり、図1(b)の右側は、巻締め部20の拡大された撮像画像である。本実施形態の缶の管理装置100が従来の管理装置と異なる特徴は、シーミングパネル・ラジアス23の部分とシーミングウォール・ラジアス25の部分が二重のリング像として撮像できることである。また、缶10の蓋部のプルトップの形状も含めて、缶の蓋部が明確に撮像できる。本発明の特徴である二重のリング像について、図3を参照して詳細に説明する。
【0013】
図3は、撮像画像の特徴を示す説明図である。図3には、二重巻締めの拡大断面図が示されている。二重巻締めの外形は、カウンターシンク21、チャックウォール22、シーミングパネル・ラジアス23、シーミングパネル24、シーミングウォール・ラジアス25、シーミングウォール26の各部から形成されている。ここで、缶の巻締め厚さTとは、図示したようなシーミングウォール26とチャックウォール22間の厚さ(T寸法)をいう。
【0014】
図1(b)において示した二重リングの画像(二重のリング像)は、主として、シーミングパネル・ラジアス23の部分の反射によるリング(内側のリング)と、シーミングウォール・ラジアス25の部分の反射によるリング(外側のリング)とにより形成されている。内側のリングと外側のリングとの間の暗部は、シーミングパネル24の部分である。シーミングパネル24に傷などによる反射がなければ、暗部として撮像するように、リング照明装置2(図1参照)からの照明がされている。
【0015】
缶10の巻締め厚さTのT寸法同等値を撮像画像から算出する場合には、シーミングウォール・ラジアス25の最外エッジ座標をP1、シーミングパネル・ラジアス23の最内エッジ座標をP2とすると、撮像エッジ間隔Δdは、次式により算出される。
Δd=|P1−P2|
【0016】
T寸法値とラジアス部は連続しており、計測値である撮像エッジ間隔ΔdとT寸法には、有意な相関を有し同等値として取り扱える。本実施形態では、ラジアスのすそ野まで反射させることで、T寸法と同等値を計測することができる。また、撮像エッジ間隔Δdに係数演算し、よりT寸法に近似させてもよい。
【0017】
図9は、比較例の金属缶端巻締め外観検査装置を示す全体構成図および撮像画像例である。図9(a)は、特許文献4の金属缶端巻締め外観検査装置を示す全体構成図であり、図9(b)は、その外観検査装置で撮像された撮像画像例である。図1に示す缶の管理装置100と、図9の外観検査装置とを比較すると、図9のリング照明装置2aが、図1のリング照明装置2よりも上方に配置されており、リング照明装置2aは、巻締め部20の全体を上方から照明するためのものである。
【0018】
図9(b)の左側は、巻締め部20を含む缶の蓋部の撮像画像であり、図9(b)の右側は、巻締め部20の拡大された撮像画像である。比較例の外観検査装置では、シーミングパネル部が1重のリング像として撮像できる。しかしながら、この画像は、シーミングパネル部の反射のみであり、T寸法と直接連続していないため、T寸法との相関で劣る。また、缶の蓋部のプルトップの形状は、明確に撮像できていないのが現状である。
【0019】
図2は、巻締め厚さTのT寸法管理装置を示す構成図である。図2によりT寸法管理装置6の内部構成と基本動作を説明する。カメラ4の入力信号はT寸法管理装置6に入力され、A/D変換部601でディジタル多階調 画像に変換したあと画像メモリ602に収納される。画像計測演算処理部603は、前記ディジタル多階調画像からT寸法の計測・管理項目に応じて画像の対象とする寸法を計測し演算する。
【0020】
ノイズ除去閾値設定部630は、水滴などのノイズ情報を除去するための閾値を設定し、閾値メモリ631に記憶する。ノイズ除去演算部604は、画像計測演算処理部603からの画像にノイズ除去処理をする。
【0021】
プルトップ辞書設定部640は、プルトップの寸法値を設定し、辞書メモリ641に記憶する。
【0022】
警報インタロック条件設定部610は、生産ラインの稼働状況において、異常と判定する際の条件を設定し、条件メモリ611に記憶する。
【0023】
データ管理制御部605は、巻締機のヘッドの起点信号を受けて、巻締機のヘッド毎に、計測されたデータを管理し、条件メモリ611の条件を満たした場合に警報装置621に警報信号を送信し、各計測値を帳票装置622に送信し、また、外部記憶装置623(記憶部)に計測値を記憶する。
【0024】
図4は、光学系の詳細を示す説明図である。適宜図1、図3を参照して説明する。リング照明装置2は、内部にリング状の発光部2L、遮光板2Gを有している。
【0025】
発光部2Lからの缶10への照射について具体的に説明すると、図面左側の発光部2LLからの照射光31aは、シーミングウォール26で反射して反射光31bとなる。照射光32aは、シーミングウォール・ラジアス25で反射して反射光32bとなる。照射光33aは、シーミングパネル24で反射して反射光33bとなる。照射光34aは、シーミングパネル・ラジアス23で反射して反射光34bとなる。照射光35aは、遮光板2Gで遮光される。
【0026】
同様に、図面右側の発光部2LRからの照射光41aは、シーミングウォール26で反射して反射光41bとなる。照射光42aは、シーミングウォール・ラジアス25で反射して反射光42bとなる。照射光43aは、シーミングパネル24で反射して反射光43bとなる。照射光44aは、シーミングパネル・ラジアス23で反射して反射光44bとなる。照射光45aは、遮光板2Gで遮光される。
【0027】
図4に示したように、反射光32bと反射光42bとを含む反射光により外側のリング画像が形成され、反射光34bと反射光44bとを含む反射光により内側のリング画像が形成される。
【0028】
本実施形態では、発光部2Lには、リング状のライン型ライトガイドを使用したが、遮光板2Gを使用することで、LED(Light Emitting Diode)、蛍光灯、キセノンランプなど何れの照明装置を用いてもよい。
【0029】
配置構成としては、缶10の巻締め部20の上面(缶トップ基準)からリング照明装置2の下面までの距離L1は、缶10がコンベア1で搬送されてきて障害とならない距離、例えば、5mm〜15mm程度とることが好ましい。また、リング照明装置2の下面からカメラ4のレンズまでの距離L2(図示せず)は、200mm〜800mmとすると好ましい。距離L2は、シーミングパネル・ラジアス23およびシーミングウォール・ラジアス25のラジアス部での反射光を、充分撮像可能な距離であり、レンズの直径を大きくすることやテレセントリックレンズを利用することで、さらに広範囲(各ラジアス下部)を撮像することが可能である。リング照明装置2の発光部2Lの内径は、缶の蓋直径の倍以上であることが好ましい。
【0030】
図5は、照明基準角度を示す説明図である。適宜図1、図3、図9を参照して説明する。図5は、缶10と、リング照明装置2、比較例のリング照明装置2a(図9参照)、カメラ4の関係を説明する。ここでは、図5に示す缶10の巻締め部20の上面(缶トップ基準)をX軸、中心線をY軸とする座標平面において、発光部2L、発光部2aLの位置を原点(中心点)からの直線とX軸となす角度によって表現するものとする。
【0031】
比較例のリング照明装置2aにおけるシーミングパネル24への照明基準角度は、従来70〜80度(ラインA参照)である。なお、ラインA1は、ラインAをX軸方向に並行移動した補助線である。
【0032】
本実施形態では、リング照明装置2を、缶10に接近させ、角度は45度(ラインC参照)以下であり、リング照明装置2の発光部2Lの内径を大きくしていることが特徴である。角度が30度(ラインD参照)以下になると、両側のラジアス部(シーミングパネル・ラジアス23、シーミングウォール・ラジアス25)が、輝点を発する。また、今回採用したシーミングウォール・ラジアス25への照射基準の角度は20度(ラインE参照)、シーミングパネル・ラジアス23への照射基準の角度は10度(ラインF参照)である。缶10の直径、巻締め部20の構成により、適宜照射角度を変更するとよい。なお、ラインE1は、ラインEをX軸方向に並行移動した補助線である。
【0033】
次に、T寸法管理装置6での計測・管理の処理について説明する。
図6は、巻締め厚さTのT寸法計測・管理の処理を示すフローチャートである。適宜図2を参照して説明する。データ管理制御部605は、ステップS601で巻締機のヘッドの起点信号を受理し、巻締機のヘッド順序制御をする。通常生産ラインの巻締工程では、複数のヘッドを有する巻締機が設置されており、どの巻締機のヘッドで巻締めされたかを管理する必要がある。巻締機によって形成される缶蓋や缶底巻締め部の巻締め状態は、その缶自体の品質や、ひいては缶内収納製品の品質に大きく関わっており、巻締機のヘッドの調整の状況次第であることから巻締機のヘッド毎の管理は重要である。
【0034】
なお、巻締機(シーマー)は、フィラーにより空缶に内容物が充填された後、その缶10に蓋を巻締め、密封する装置であるが、巻締機のヘッド数・速度などが異なる。例えば、巻締機のヘッド数は6個から18個のものがあり、速度は、700缶/分から3000缶/分である。
【0035】
A/D変換部601は、ステップS602で映像入力された信号を、ステップS603でA/D変換によりディジタル多階調画像に変換する。ディジタル多諧調画像は、図1(b)に示したように二重のリング状の画像となるため、画像計測演算処理部603は、ステップS604でリング状画像の中心点を求め、次にステップS605で中心点から任意のサンプル角度θで、図3で説明したエッジ間隔Δd(Δd1〜Δdn、nは任意数)を順次計測する。そして、ノイズ除去演算部604は、ステップS606で水滴などのノイズ情報の除去を実施し、データ管理制御部605は、ステップS607でステップS603において算出されたΔdに対して全周の平均値(aveΔd)、全周の標準偏差値σ(Δd)を算出する。なお、水滴などのノイズ情報の除去には、特許第4464332号に記載の処理を適用するとよい。
【0036】
次に、データ管理制御部605は、ステップS608において、中心からのプルトップ部エッジ群のベクトル(図8参照)と、辞書メモリ641(図2参照)に記憶されているあらかじめ教示されたベクトル辞書とを用いて相関算出手法などによりプルトップの角度θpを計測する。
【0037】
図8は、プルトップ部を示す説明図とその撮像画像例である。図8(a)は、図6において計測に用いる計測指標の定義の説明図であり、図8(b)は、プルトップ部の不良を示す撮像画像例である。図8(a)において、矢印(例えば、↑)は、缶中心点からのベクトルを示し、プルトップの角度θpと、プルトップ部の代表的な寸法dp1,dp2,dp3が示されている。本実施形態では、プルトップ部の各エッジ部分が明部として計測できるため、プルトップ形状についてより精度の高い判定を行うことができる。なお、比較例として示した図8の(b)のような撮像画像では、プルトップ部の判定は容易ではない。
【0038】
図6に戻り、ステップS602からステップ608は、管理品の1サンプルとして処理であるが、対象とする全数について処理を繰り返す。
【0039】
そして、データ管理制御部605は、ステップS609において、管理対象とする全サンプルのグロスの統計処理を実施する。
(1)プルトップ方向の基点角度毎にエッジ間隔Δdを全数集計し、所定項目について算出する。所定項目としては、平均値(aveΔdxx)、最大値(maxΔdxx)、最小値(minΔdxx)、標準偏差値(σΔdxx)、移動平均値(maveΔdxx)がある。ここで、xxは、角度1度〜360度まで、所定の角度毎に統計処理することを意味する。例えば、1度、2度、・・・、359度、360度となる。なお、記号でmaveにおいて、mは移動の略称であり、aveは平均を意味する。移動平均は、最新n個の缶の計測を平均したもので、トレンド管理に供する。
(2)全周のaveΔd、σΔdの全数集計し、所定項目について算出する。所定項目としては、平均値(aaveΔd)、最大値(amaxΔd)、最小値(aminΔ)、標準偏差値(aσΔd)、移動平均値(amaveΔd)がある。なお、記号の最初のaは、全周のallを意味する。
【0040】
次に、データ管理制御部605は、ステップS610において、管理対象とする全サンプルの巻締機のヘッド毎の統計処理を実施する。
巻締機のヘッド毎にΔdおよびaveΔd、σΔなどを分類し、算出する。具体的には、平均値(hyy-aveΔdxx)、最大値(hyy-maxΔdxx)、最小値(hyy-minΔdxx)、標準偏差値(hyy-σΔdxx)、移動平均値(hyy-maveΔdxx)がある。ここで、例えば、巻締機のヘッド数が32である場合、ヘッド番号yy=1〜32であり、角度xx=1〜360となる。
【0041】
そして、データ管理制御部605は、ステップS611において、集計データが警告閾値を超過しているか否かを判定し、超過している場合(ステップS611、Yes)、ステップS612で警報装置621(図2参照)に警報信号を出力し、処理を終了する。なお、警報装置としては、生産ラインの管理者の携帯端末であってもよい。ステップS611において、集計データが警告閾値を超過していない場合(ステップS611,No)は、一連の処理を終了する。処理終了後は、次の缶の計測起動待ちとなる。
【0042】
図7は、集計データ項目例を示す説明図である。図7(a)は、全数の集計データ項目、図7(b)は、角度毎の集計データ項目、図7(c)は、巻締機のヘッド別角度毎の集計データ項目を示す。各集計データは、データ管理制御部605(図2参照)が、外部記憶装置623(図2参照)に記憶する。
【0043】
図7(a)には、図6に示すステップS609の(2)において集計したサンプルの有効計測数(num)、平均値(aaveΔd)、最大値(MAX)(amaxΔd)、最小値(MIN)(aminΔd)、標準偏差値(σ)(aσΔd)、移動平均値(amaveΔd)が含まれる。
【0044】
図7(b)には、図6に示すステップS609の(1)において集計した角度毎(例えば、1度、2度、・・・)の各データが集計されている。具体的には、角度1度の場合、集計データ項目には、サンプルの有効計測数(num1)、平均値(aveΔd1)、最大値(MAX)(maxΔd1)、最小値(MIN)(minΔd1)、標準偏差値(σ)(σΔd1)、移動平均値(maveΔd1)が含まれる。
【0045】
また、角度が2度の場合、集計データ項目には、サンプルの有効計測数(num2)、平均値(aveΔd2)、最大値(MAX)(maxΔd2)、最小値(MIN)(minΔd2)、標準偏差値(σ)(σΔd2)、移動平均値(maveΔd2)が含まれる。
【0046】
同様に、角度が360度の場合、集計データ項目には、サンプルの有効計測数(num360)、平均値(aveΔd360)、最大値(MAX)(maxΔd360)、最小値(MIN)(minΔd360)、標準偏差値(σ)(σΔd360)、移動平均値(maveΔd360)が含まれる。
【0047】
図7(c)には、図6に示すステップS610において集計した巻締機のヘッド別に角度毎の各データが集計されている。具体的には、巻締機のヘッドの識別番号1(ヘッド1)における角度1〜360度まで1度毎に、サンプルの有効計測数(h1-num1)、平均値(h1-aveΔd1)、最大値(MAX)(h1-maxΔd1)、最小値(MIN)(h1-minΔd1)、標準偏差値(σ)(h1-σΔd1)、移動平均値(h1-maveΔd1)が含まれる。
【0048】
同様に、巻締機のヘッドの識別番号2(ヘッド2)における角度1〜360度まで1度毎に、サンプルの有効計測数(h2-num1)、平均値(h2-aveΔd1)、最大値(MAX)(h2-maxΔd1)、最小値(MIN)(h2-minΔd1)、標準偏差値(σ)(h2-σΔd1)、移動平均値(h2-maveΔd1)が含まれる。
【0049】
本実施形態の巻締め部を有する缶の管理装置100は、巻締め部20の上方に配設したリング照明装置2と、リング照明装置2からの照明光により巻締め上端両側の反射映像をリング照明装置2の中心と同軸上に配設し撮像するカメラ4と、入力映像をディジタル多階調画像に変換し、巻締め上端両側の二重のリング状画像を得、リング状画像の中心から放射状に二重のリング外側端とリング内側端とのリング幅を、プルトップ方向の基準線から適宜な間隔で全周にわたって計測し、該計測値を記憶部に記憶するT寸法管理装置6とを有する。缶の管理装置100は、缶の全数について巻締機のヘッド毎の各計測値を管理することができる。
【0050】
本実施形態の缶の管理装置100によれば、巻締厚さTのT寸法と同等値の全周測定およびプルトップ方向からの所定方向毎に、計測値の最大/最小/平均/中央/標準偏差/移動平均トレンドを統計的に、全数かつ全周にわたって管理することができる。さらに、本実施形態によれば、巻締機のヘッド毎に分類することを可能であり、全数かつ全周のインラインT寸法の管理装置をシンプルに安価に提供できる。
【0051】
本実施形態によれば、巻締め部20を有する缶の巻締T寸法計測において、従来不可能であった巻締厚さTのT寸法と同等の計測を全数かつ全周の測定及び管理装置を提供し、巻締め不良の効果的な予防保全に供する。また最小構成はいたって簡易で安価に提供できる。したがって、容易に缶巻締めの製品信頼性を向上させることができ、缶飲料などの製造分野で有効性の高いものとして広く利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 コンベア
2 リング照明装置
3 照明電源
4 カメラ(撮像装置)
5 センサ
6 T寸法管理装置(画像処理装置)
7 排出機(選別装置)
10 缶
20 巻締め部
21 カウンターシンク
22 チャックウォール
23 シーミングパネル・ラジアス
24 シーミングパネル
25 シーミングウォール・ラジアス
26 シーミングウォール
100 缶の管理装置
601 A/D変換部
602 画像メモリ
603 画像計測演算処理部
604 ノイズ除去演算部
605 データ管理制御部
610 警報インタロック条件設定部
611 条件メモリ
621 警報装置
622 帳票装置
623 外部記憶装置(記憶部)
630 ノイズ除去閾値設定部
631 閾値メモリ
640 プルトップ辞書設定部
641 辞書メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻締め部を有する缶の管理装置において、
前記巻締め部の上方に配設したリング照明装置と、
前記リング照明装置からの照明光により巻締め上端両側の反射映像を前記リング照明装置の中心と同軸上に配設し撮像する撮像装置と、
入力映像をディジタル多階調画像に変換し、巻締め上端両側の二重のリング状画像を得、前記リング状画像の中心から放射状に前記二重のリング外側端とリング内側端とのリング幅を、プルトップ方向の基準線から適宜な間隔で全周にわたって計測し、該計測値を記憶部に記憶する画像処理装置と、を有する
ことを特徴とする缶の管理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記計測値の最大値、最小値、平均値、標準偏差値、移動平均値のうち、少なくとも複数の値を統計的に管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の缶の管理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、巻締機のヘッド毎に前記計測値を管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の缶の管理装置。
【請求項4】
巻締め部を有する缶の管理方法において、
前記巻締め部の上方に配設したリング照明装置からの照明光により巻締め上端両側の反射映像を前記リング照明装置の中心と同軸上に配設した撮像装置で撮像し、
画像処理装置が入力映像をディジタル多階調画像に変換し、巻締め上端両側の二重のリング状画像を得、前記リング状画像の中心から放射状に前記二重のリング外側端とリング内側端とのリング幅を、プルトップ方向の基準線から適宜な間隔で全周にわたって計測し、該計測値を記憶部に記憶する
ことを特徴とする缶の管理方法。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記計測値の最大値、最小値、平均値、標準偏差値、移動平均値のうち、少なくとも複数の値を統計的に管理する
ことを特徴とする請求項4に記載の缶の管理方法。
【請求項6】
前記画像処理装置は、巻締機のヘッド毎に前記計測値を管理する
ことを特徴とする請求項4に記載の缶の管理方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−159321(P2012−159321A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17431(P2011−17431)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】