説明

缶蓋及び缶蓋の製造方法

【課題】指かけ凹部に指先を不快感なく配置することができ、良好な開口操作が可能な缶蓋及び缶蓋の製造方法を提供すること。
【解決手段】缶蓋本体10の上面に、リベット11と、開口部13を画成するスコア14と、指かけ凹部15とが形成され、前記リベット11に、前記開口部13の上方からこのリベット11を通り前記指かけ凹部15方向に至るように配置されたタブ18が取り付けられ、前記タブ18の前記指かけ凹部15側に形成された引き上げ部18cを引き上げることにより前記開口部13側の一端部18aを前記開口部13に没入させて前記スコア14を破断、開口させるようにした缶蓋1であって、前記指かけ凹部15には、前記タブ18の引き上げ部18cと対向する側から該引き上げ部18c方向に向けて延在し、該引き上げ部18cに近づくにつれて指かけ凹部15の底面側に漸次下る指先案内溝15aが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶体の開口端部に巻締められる缶蓋及び缶蓋の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、飲料缶の缶蓋として、缶蓋本体の上面に、上方に向って凸とされたリベットと、開口部を画成するスコアと、指かけ凹部とが形成され、前記リベットに、前記開口部の上方からこのリベットを通り前記指かけ凹部方向に至るように配置されたタブが取り付けられた缶蓋が知られている。
【0003】
このように構成された缶蓋は、内容物が充填された有底筒状の缶体の開口端部に巻き締められることにより缶体開口端部に固着されて、いわゆる飲料缶とされている。そして、この飲料缶は、タブの指かけ凹部側に形成された引き上げ部を引き上げることにより開口部側の一端部を開口部に押圧、没入してスコアを破断させ、開口部を開口させるようになっている。
【0004】
ところで、缶蓋の指かけ凹部は、一般的に底部が平面に形成されているために、タブの引き上げ部を指先(指先には、爪を含める。以下、同じ)により引き上げる際に指先を指かけ凹部に配置すると、例えば、図8に示すように指先F1の爪N1が指かけ凹部の底面Dに点接触して変形するために不快感があり、また、爪N1が底面Dに点接触することにより指先F1の位置がずれてタブ18の引き上げ部18cの中央最適位置への指先の位置決めが不安定になり、適切な開口操作をすることが困難であった。
【0005】
そこで、指掛かり性を向上させるために、タブの引き上げ部が配置される側に漸次立ち上がる傾斜面を形成させた指かけ凹部に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−176147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記指かけ凹部によっては、従前の缶蓋同様に爪の点接触は解消されず、タブの引き上げ部に近づくにつれて指かけ凹部とタブの引き上げ部との間隔が狭くなり、タブの引き上げ部の中央最適位置の下方に指先を収納させることが困難であり、適切な開口操作ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、指かけ凹部に指先を不快感なく配置することができ、良好な開口操作が可能な缶蓋及び缶蓋の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、缶蓋本体の上面に、上方に向って凸とされたリベットと、開口部を画成するスコアと、指かけ凹部とが形成され、前記リベットに、前記開口部の上方からこのリベットを通り前記指かけ凹部方向に至るように配置されたタブが取り付けられ、前記タブの前記指かけ凹部側に形成された引き上げ部を引き上げることにより前記開口部側の一端部を前記開口部に没入させて前記スコアを破断、拡開させるようにした缶蓋であって、前記指かけ凹部には、前記タブの引き上げ部と対向する側から該引き上げ部方向に向けて延在し、該引き上げ部に近づくにつれて指かけ凹部の底面側に漸次下る指先案内溝が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る缶蓋によれば、タブの引き上げ部と対向する側から該引き上げ部方向に向けて延在し、該引き上げ部に近づくにつれて指かけ凹部の底面側に漸次下る指先案内溝が形成されているので、指先を指かけ凹部に配置した際に、指先が指先案内溝の両側方によって支持されて爪の先端が指かけ凹部の底面に点接触することが抑制される。
その結果、爪が点接触して変形することによる不快感の発生が抑制される。
また、開口操作に際し、指先案内溝の両側方の壁部により指先が2点支持又は線接触支持された状態でタブの引き上げ部を引き上げるので、指先の位置がずれるのが抑制されて引き上げ部の中央最適位置に容易に案内される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の缶蓋であって、前記指かけ凹部は、平面視して、前記指先案内溝の基端部を頂点とした略二等辺三角形状とされていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る缶蓋によれば、指かけ凹部が、平面視して指先案内溝の基端部を頂点とした略二等辺三角形状とされているので、指先案内溝の両側方での指先の支持が容易であり、しかも指かけ凹部の成形が容易である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の缶蓋であって、前記指かけ凹部の前記底面から立ち上がる側壁部のうち、2つの等辺にあたる側壁部が、平面視して、前記底面側に凸となるように膨出して形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る缶蓋によれば、底面から立ち上がる側壁部のうち、2つの等辺にあたる指先案内溝の両側の側壁部が平面視して底面側に膨出しているので、指先が両側の側壁部により2点支持又は線接触支持されやすい。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の缶蓋であって、前記指かけ凹部の前記引き上げ部側は、前記引き上げ部と前記底面との間が指かけポケット部とされることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る缶蓋によれば、引き上げ部と指かけ凹部の底面の間が指かけポケット部とされるので、指先を引き上げ部の下方に指先を収納させて引き上げ部を容易に引き上げることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の缶蓋の製造方法であって、前記缶蓋本体の上面を上下から押圧する第1の成形型部と、前記底面を上下から押圧する第2の成形型部とを、前記缶蓋本体の材料とされる板材の上下に配置し、第1の成形型部及び第2の成形型部の上型と下型とを相対的に接近させて、前記缶蓋本体の上面及び前記底面を上下から拘束させながらプレス成形し、このプレス成形に際して、前記缶蓋本体の上面と前記底面との間に非拘束領域を形成して、前記非拘束領域において前記板材を引張することにより指かけ凹部の前記案内壁部を成形することを特徴とする。
【0017】
この発明に係る缶蓋の製造方法によれば、漸次立ち上がる案内壁部を容易に成形することが可能であり、特に、上方に向かって突出する凸形状部を容易に成形することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る缶蓋によれば、本発明に係る缶蓋によれば、指かけ凹部に配置した際に指先の位置ずれが抑制され、指かけ凹部の指先案内溝の両側の側壁部で2点支持され、タブの引き上げ部を容易に引き上げて、開口操作を容易に行うことができる。
また、この発明に係る缶蓋の製造方法によれば、缶蓋の指かけ凹部を容易に成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、缶蓋を示す平面図であり、符号1は、缶蓋を、符号10は、缶蓋本体を示している。
缶蓋1は、飲料用の缶に用いられるいわゆるステイオンタブ式缶蓋であって、図1に示すように、缶蓋本体10の上面(以下、缶蓋本体上面という)10aに下方に凹とされたパネルデボス10bが形成され、上方に向って凸とされたリベット11と、開口部13を画成するスコア14と、指かけ凹部15と、ディンプル16とが形成され、リベット11には、開口部13の上方からこのリベット11を通り指かけ凹部15の方向に至るように配置されたタブ18が取り付けられている。
なお、この実施形態において、パネルデボスは符号10bで記載するが、パネルデボスの上面は缶蓋本体上面10aとして記載する。
【0020】
また、缶蓋本体上面10aの外周縁部には、全周に亙って凹溝19が形成されるとともに、この凹溝19の外周縁部には、凹溝19に連なり缶蓋本体上面10aの上方に向って延び、かつ径方向外方に折り返された折り返し部21が形成されている。
【0021】
タブ18は、開口部13の上方に位置する一端部18aと、リベット11を挟んで一端部18aの反対側に形成された他端部18bとを備え、他端部18bの指かけ凹部15側は引き上げ部18cとされ、他端部18bにはタブ18の厚さ方向に開口する平面視矩形状のフィンガーホール18dが形成されている。
また、タブ18の一端部18aと他端部18bとの間は、リベット11に取り付けられるタング部18fとされ、タング部18fに形成されたリベット孔にリベット11が挿入されて、このタング部18fを介してリベット11にタブ18が取り付けられている。
【0022】
この缶蓋1は、指かけ凹部15に指先を配置し、タブ18の引き上げ部18cを引き上げることにより一端部18aを開口部13に押圧、没入させることによりスコア14を破断し、開口部13を開口するようになっている。
なお、缶蓋本体10及びタブ18は、それぞれ純アルミニウム若しくはアルミニウム合金により形成されている。
【0023】
スコア14は、平面視して、缶蓋本体10の径方向外方へ凸とされた略楕円形状に形成されており、スコア14が破断されることにより缶蓋本体10との接続部分を残した略楕円形状の開口部13が開口されるとともに、スコア14の破断部によって囲まれた開口片が形成されるようになっている。
【0024】
指かけ凹部15は、タブ18の引き上げ部18cを引き上げる際に引き上げ部18cの下方に指先を配置して、引き上げ部18cを引き上げ易くするものであり、図2(A)、(B)に示すように、平面視して、タブ18の引き上げ部18c側を底辺とし、引き上げ部18cと対向する側を頂点とする略二等辺三角形状に形成され、図1に示すように、缶蓋本体上面10aにおけるタブ18の引き上げ部18c下方の近傍の缶蓋本体10の径方向外方に形成されている。
【0025】
指かけ凹部15には、平面視して、タブ18の引き上げ部18cと対向する側から引き上げ部18c方向に延在するU字谷状の指先案内溝15aが形成され、指先案内溝15aは、引き上げ部18cに近づくにつれて指かけ凹部15の底面15d側に漸次下るように形成されるとともに指先案内溝15aの両側方には、缶蓋本体上面10aに向かって漸次立ち上がる案内壁部(側壁部)15bが形成されている。
【0026】
すなわち、案内壁部15bは、指かけ凹部15の底面15dから立ち上がる側壁部のうち、前記二等辺三角形の2つの等辺にあたる側壁部により構成されている。この実施の形態において、指かけ凹部15の缶蓋本体上面10aにおける形状は、指かけ凹部15のそれぞれの頂点を挟んだ両側の辺が大きなRにより接続されているため略半円状に形成されている。
【0027】
また、案内壁部15bの2つの等辺の長さ方向の中央部に、平面視して、底面15d側に凸となる凸形状部15cが膨出して形成されている。
また、指かけ凹部15の引き上げ部18c側は、前記二等辺三角形の底辺にあたる側壁部がパネルデボス10bの上面に接続されており、引き上げ部18cと底面15dとの間には指かけポケット部15pとされている。
【0028】
次に、上記第1の実施形態にかかる指かけ凹部15の適正寸法について、範囲を明確にするためにした検証試験とその結果を以下に示す。
図3、図4に示したのは、第1の実施形態に係る缶蓋1の指かけ凹部15の、長さ(L)、幅(W)、凸形状部のR(R)、深さ(D)の大きさと、指掛かり性、加工性を示したものであり、図3は、指かけ凹部15の、長さ(L)、幅(W)、凸形状部15cのR(R)、深さ(D)の位置を示した図であり、図4は、その検証結果を示した図である。
【0029】
なお、この検証試験において、指かけ凹部15の引き上げ部18c側のパネルデボス10bの上面における側壁部の位置は、リベット11の中心から15mm、17.5mmとした。
指掛かり官能評価は、それぞれの寸法の指かけ凹部15を有する缶蓋1を巻き締めた飲料缶に関して、それぞれ10人の操作者に開口操作をしてもらい、そのうちの快適に開口できると回答した人数により評価した。
【0030】
この検証試験の結果は、図4(A)に示した通りであり、指かけ凹部15の寸法は、長さ(L)2.5mm以上9.0mm以下、幅(W)6.0mm以上15.0mm以下、凸形状部のR(R)1.0mm以上7.0mm以下、深さ(D)0.5mm以上2.5mm以下であることが好ましく、長さ(L)3.0mm以上5.0mm以下、幅(W)7.0mm以上10.0mm以下、凸形状部のR(R)3.0mm以上4.0mm以下、深さ(D)1.0mm以上2.0mm以下であることがさらに好ましい。
なお、この結果は、指かけ凹部15の引き上げ部18c側のパネルデボス10bの上面における側壁部の位置は、リベット11の中心から15mm、17.5mmのいずれにおいても同様であった。
【0031】
また、加工性については、図4(B)に示すように、深さ(D)2.5mmでは、指かけポケット部15Pの加工R形状部分にシワ状のくびれが発生する加工性の低下がみられたため△とし、3.0mm以上では×で示すように割れが発生する可能性があって適さないため、上述のように、深さ(D)0.5mm以上2.5mm以下が好ましく、1.0mm以上2.0mm以下がさらに好ましい。
【0032】
なお、この実施の形態においては、二等辺三角形の底辺にあたる側壁部がパネルデボス10bの上面に接続され、案内壁部15bが缶蓋本体の上面に接続されているが、案内壁部15bの外周側がパネルデボス10bと接続される構成としてもよい。
【0033】
ディンプル16は、タブ18の他端部18bにおける下面側の外縁部が引掛かかるパネルデボス10b内の缶蓋本体上面10aのタブ18の長手方向の中心線に対称な位置に2つ形成されていて、タブ18にリベット11を中心とする回転力が作用した場合にタブ18がリベット11廻りに回動するのを抑制するようになっている。
【0034】
次に、図5に基づいて、第1の実施形態に係る缶蓋1の作用について説明する。
まず、図5(A)、(B)に示すように、指かけ凹部15の案内壁部15bに指先F2を配置する。このとき、案内壁部15bに配置された指先F2又は爪N2は、指先案内溝15aの底部に触れることなく配置されるので、爪N2の先端が点接触して変形することが抑制される。
また、指先F2が、左右の案内壁部15bによって2点で保持されるので、指先F2が左右にずれるのが抑制される。
【0035】
次に、図5(C)に示すように、指先F2をタブ18の引き上げ部18c側に移動して指先F2を引き上げ部18cに引っかける。
次いで、タブ18の引き上げ部18cを上方に引き上げて開口部13を開口する。
【0036】
次に、この缶蓋1に係る缶蓋本体10の製造方法について説明する。
図6は、缶蓋本体10を製造する工程の概略を示す図である。
まず、図6(A)に示すように、缶蓋本体上面10aを上下から押圧する第1の成形型部K1と、指かけ凹部15の底面15dを上下から押圧する第2の成形型部K2とを、缶蓋本体10の材料とされる板材Wの上下に配置する。図6における缶蓋本体上面10aは、パネルデボス10bに係る部分である。
【0037】
第1の成形型部K1は上型U1と下型B1とを備え、第2の成形型部K2は上型U2と下型B2とを備えている。
そして、板材Wの缶蓋本体上面10aに成形される予定部は上型U1と下型B1により拘束可能とされ、板材Wの指かけ凹部15の底面15dに成形される予定部は上型U2と下型B2により拘束可能とされている。
なお、図6においては図示していないが、指先案内溝15aに相当する部分も拘束して成形される。
【0038】
板材Wは、上型U1と下型B1、上型U2と下型B2の間に配置されて、第1の成形型部K1及び第2の成形型部K2の上型U1、U2と下型B1、B2とを相対的に接近させてプレス成形する。
このプレス成形の過程で、缶蓋本体上面10a及び底面15d及び底面15dは上下から拘束される一方、缶蓋本体上面10aと底面15dの間の案内壁部15bの部分は、上型U1と下型B1、上型U2と下型B2により挟まれることのない非拘束領域とされ、この非拘束領域内においては、板材Wは引張されることにより塑性変形されて案内壁部15bが成形される。
そのため、指かけ凹部15の案内壁部15aは、自由成形されるので指かけ凹部15の凸形状部15cを容易に形成させることが可能である。
【0039】
第1の実施形態の缶蓋1によれば、指先案内溝15aが形成されるとともに案内壁部15bに凸形状部15cが形成されているので、指先F2を指かけ凹部15に配置した際に、指先F2が2点支持されて爪N2の先端が底面15dに点接触することが抑制され、爪N2が変形することによる不快感の発生が抑制される。
【0040】
また、案内壁部15bにより指先F2が2点支持されるととともに、指先F2を引き上げ部18cの中央最適位置に容易に案内することが可能であり、また、指かけポケット部15pにより指先F2を引き上げ部18cの下方に配置しやすいので、2点支持された部分を支点とし、指先F2を作用点として引き上げ部18cを引き上げることにより、引き上げ部18cを容易に引き上げることができる。その結果、良好な開口性を確保することができる。
特に、80%前後のユーザーが開口時に使用する人さし指、親指、中指によるタブ引き上げ操作において、特に大きな効果が得られる。
【0041】
上記缶蓋本体10に係る缶蓋1の製造方法によれば、案内壁部15bを容易に成形することが可能であり、特に、凸形状部15cを有する場合の案内壁部15bを成形する場合に大きな効果を得ることができる。
【0042】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態に係る缶蓋1の指かけ凹部25の概略を説明する図であり、指かけ凹部25が、第1の実施形態に係る指かけ凹部15と異なるのは、案内壁部25bが膨出をともなわない平面状に形成されていて、指かけ凹部25を平面視したときに、底面25dが二等辺三角形とされるとともに指先案内溝25aを頂点とする二等辺三角形の2つの等辺が直線的に形成されている点である。
【0043】
なお、指かけ凹部25も、指先案内溝25a及び指かけポケット部25pを備えているので、案内壁部25bにより指先F2を2点支持するとともに引き上げ部18cの下方に位置ずれを抑制しつつ指先F2を配置して、引き上げ部18cを容易に引き上げることが可能である。
【0044】
なお、本発明の技術的範囲は上記第1、第2の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、指先が案内壁部により2点支持される場合について説明したが、指先案内溝15a、案内壁部15bを指先F2と線接触可能な形状としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
飲料缶の開口操作において、指がタブの引き上げ部に確実に導かれれて、タブを容易に引き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る缶蓋を説明する平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る缶蓋の指かけ凹部の詳細を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のS−S視縦断面図である。
【図3】本発明に係る缶蓋の効果についての検証試験を説明する図である。
【図4】本発明に係る缶蓋の効果についての検証結果を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る作用を説明する図であり、(A)は指先案内溝に配置された指先を缶蓋外周側から見た図、(B)は指先を配置するときの側面図、(C)は指先を引き上げ部に引っかけた状態の側面図である。
【図6】本発明に係る缶蓋の製造工程を説明する図であり、(A)は、プレス成形前、(B)は、プレス成形後を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る缶蓋の指かけ凹部の詳細を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のT−T視縦断面図である。
【図8】従来の缶蓋の缶蓋の開口操作における指先の作用を説明する図であり、(A)は指先案内溝に配置された指先を缶蓋外周側から見た図であり、(B)、(C)は配置された指先の側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 缶蓋
10 缶蓋本体
10a 缶蓋本体上面
13 開口部
14 スコア
15、25 指かけ凹部
15a、25a 指先案内溝
15b、25b 案内壁部
15c 凸形状部
15d、25d 底部
15p、25p 指かけポケット部
18 タブ
18c 引き上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶蓋本体の上面に、上方に向って凸とされたリベットと、開口部を画成するスコアと、指かけ凹部とが形成され、
前記リベットに、前記開口部の上方からこのリベットを通り前記指かけ凹部方向に至るように配置されたタブが取り付けられ、
前記タブの前記指かけ凹部側に形成された引き上げ部を引き上げることにより前記開口部側の一端部を前記開口部に没入させて前記スコアを破断、開口させるようにした缶蓋であって、
前記指かけ凹部には、
前記タブの引き上げ部と対向する側から該引き上げ部方向に向けて延在し、該引き上げ部に近づくにつれて指かけ凹部の底面側に漸次下る指先案内溝が形成されていることを特徴とする缶蓋。
【請求項2】
請求項1に記載の缶蓋であって、
前記指かけ凹部は、
平面視して、前記指先案内溝の基端部を頂点とした略二等辺三角形状とされていることを特徴とする缶蓋。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の缶蓋であって、
前記指かけ凹部の前記底面から立ち上がる側壁部のうち、2つの等辺にあたる側壁部が、
平面視して、前記底面側に凸となるように膨出して形成されていることを特徴とする缶蓋。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の缶蓋であって、
前記指かけ凹部の前記引き上げ部側は、前記引き上げ部と前記底面との間が指かけポケット部とされることを特徴とする缶蓋。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の缶蓋の製造方法であって、
前記缶蓋本体の上面を上下から押圧する第1の成形型部と、前記底面を上下から押圧する第2の成形型部とを、
前記缶蓋本体の材料とされる板材の上下に配置し、
第1の成形型部及び第2の成形型部の上型と下型とを相対的に接近させて、前記缶蓋本体の上面及び前記底面を上下から拘束させながらプレス成形し、
このプレス成形に際して、前記缶蓋本体の上面と前記底面との間に非拘束領域を形成して、
前記非拘束領域において前記板材を引張することにより指かけ凹部の前記案内壁部を成形することを特徴とする缶蓋の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−247455(P2008−247455A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93778(P2007−93778)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)
【Fターム(参考)】