説明

置換された骨格を有するN−ヘテロ環状カルベンリガンドを有するルテニウムオレフィン複分解触媒

本発明は、オレフィン複分解(metathesis)、特にトリ−またはテトラ−置換イミダゾリニウム環を有するN−ヘテロ環状カルベン(NHC)リガンドへのプレカーサーであるトリ−またはテトラ−置換イミダゾリニウム塩、ジェムジ−置換イミダゾリニウムNHCリガンドを有する有機金属ルテニウム錯体、トリ−またはテトラ−置換イミダゾリニウムNHCリガンドを有する有機金属ルテニウム錯体、およびそれらを用いるオレフィン複分解方法に関する。本発明の触媒と方法は触媒、有機合成および工業化学の分野に有用性がある。

【発明の詳細な説明】
【政府のサポート】
【0001】
本発明はGM031332の番号の下に全米健康研究所(National Institutes of health)によってサポートされている。米国政府が本発明の権利を一部所有する。
【関連出願の表示】
【0002】
本出願は、2008年11月26日に出願された米国仮出願番号61/181,171号および2008年4月9日に出願された米国仮出願番号61/123,477号の米国特許法第119条の優先権を主張する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、オレフィン複分解(metathesis)、特にトリ−またはテトラ−置換イミダゾリニウム環を有するN−ヘテロ環状カルベン(NHC)リガンドへのプレカーサーであるトリ−またはテトラ−置換イミダゾリニウム塩、ジェムジ−置換イミダゾリニウムNHCリガンドを有する有機金属ルテニウム錯体、トリ−またはテトラ−置換イミダゾリニウムNHCリガンドを有する有機金属ルテニウム錯体、およびそれらを用いるオレフィン複分解方法に関する。本発明の触媒と方法は触媒、有機合成および工業化学の分野に有用性がある。
【背景技術】
【0004】
オレフィン複分解は、近代の有機合成において炭素−炭素結合を形成するのに不可欠である。最近では、(a) Grubbs, R.H.Handbook of metathesis; Wiley-VCH: Weinheim, Germany, 2003; (b) Hoveyda, A.H.; Zhugralin, A.R. Nature 2007, 450, 243-251; (c) Schrodi, Y.; Pederson, R.L. Aldrichimica Acta 2007, 40, 45-42; (d) Grubbs, R.H. Tetrahedron 2004, 60, 7117-7140; (e) Furstner, A. Angew. Chem., Int. Ed. 2000, 39, 3013-3043; (f) Nicolaou, K.C.; Bulger, P.G.; Sarlah, D. Angew. Chem., Int. Ed. 2005, 44, 4490-4527参照。ルテニウム系複分解触媒が開発されて以来、触媒効率を改善する努力がなされてきた。特筆すべきは、嵩高い電子の多いN−ヘテロ環状カルベン(NHC)リガンド用のRuCl(PCy(=CHC)のフォスフィンリガンドの置換は反応性と安定性の改善された複分解触媒を提供した。例えば、(a) Scholl, M.; Ding, S.; Lee, C. W.; Grubbs, R. H. Org. Lett. 1999, 1, 953-956; (b) Schwab, P.; Grubbs, R.H.; Ziller, J.W. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 100-110; (c) Schwab, P.; France, M.B.; Ziller, J.W.; Grubbs, R.H. Angew. Chem., Int. Ed. 1995, 34, 2039-2041。NHC錯体の高反応性はフォスフィンリガンドに比べてNHCリガンドのより高い電子供与性に起因する。例えば、(a) Sussner, M.S.; Plenio, H. Chem. Comm. 2005, 5417-5419. (b) Hadei, N.; Kantchev, E.A.B.; O'Brien, C.J.; Organ, M.G. Org, Lett. 2005, 7, 1991-1994。
【0005】
また、NHCリガンドの使用はNHCリガンドの変性によって種々の用途、例えば水溶性複分解触媒、固体支持触媒およびヒンダード基材に好適な高活性触媒、に好適な複分解触媒に近づく。例えば(a) Deshmukh, P.H.; Blechert, S. Dalton Trans. 2007, 2479-2491 and references therein; (b) Stewart, I.C.; Douglas, C.J.; Grubbs, R.H. Org. Lett. 2008, 10, 441-444; (c) Stewart, I.C.; Ung, T.; Pletnev, A.A.; Berlin, J.M.; Grubbs, R.H.; Schrodi, Y. Org. Lett. 2007, 9, 1589-1592。
【0006】
種々の複分解触媒が入手可能であり、化学における問題を解決できるとしているが、工業工程に信頼して使用することができる優れた触媒を得る研究はまだ続けられている。ルテニウムNHC錯体は、対応するビスフォスフィン錯体よりも非常に安定ではるが、有効期間が制限されている。最近の触媒の安定性に関する研究では、触媒構造中でのC−H活性化が活性なルテニウム錯体の分解に影響を与えていることが提案された。例えば、N−メシチルまたはN−フェニル置換NHCリガンドを有するルテニウム錯体の熱劣化のX線構造は、NHCリガンドのN−アリール置換基が金属中心よって変化させられていた(下記化合物C1〜5)ことを示した。例えば(a) Hong, S.H.; Wenzel, A.G.; Salguero, T.T.; Day, M.W.; Grubbs, R.H., J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 7961- 7968. (b) Hong, S.H.; Chlenov, A.; Day, M.W.; Grubbs, R.H., Angew, Chem., Int. Ed. 2007, 46, 5148-5151. (c) Trnka, T.M.; Morgan, J.P.; Sanford, M.S.; Wilhelm, T.E.; Scholl, M.; Choi, T.L.; Ding, S.; Day, M.W.; Grubbs, R.H.J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 2546-2558. (d) Vehlow, K.; Gessler, S.; Blechert, S. Angew. Chem., Int. Ed. 2007, 46, 8082-8085。
【0007】
【化1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Grubbs, R.H.Handbook of metathesis; Wiley-VCH: Weinheim, Germany, 2003
【非特許文献2】Hoveyda, A.H.; Zhugralin, A.R. Nature 2007, 450, 243-251;
【非特許文献3】Schrodi, Y.; Pederson, R.L. Aldrichimica Acta 2007, 40, 45-42;
【非特許文献4】Grubbs, R.H. Tetrahedron 2004, 60, 7117-7140; (e) Furstner, A. Angew. Chem., Int. Ed. 2000, 39, 3013-3043;
【非特許文献5】Nicolaou, K.C.; Bulger, P.G.; Sarlah, D. Angew. Chem., Int. Ed. 2005, 44, 4490-4527
【非特許文献6】Scholl, M.; Ding, S.; Lee, C. W.; Grubbs, R. H. Org. Lett. 1999, 1, 953-956;
【非特許文献7】Schwab, P.; Grubbs, R.H.; Ziller, J.W. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 100-110;
【非特許文献8】Schwab, P.; France, M.B.; Ziller, J.W.; Grubbs, R.H. Angew. Chem., Int. Ed. 1995, 34, 2039-2041
【非特許文献9】Sussner, M.S.; Plenio, H. Chem. Comm. 2005, 5417-5419.
【非特許文献10】Hadei, N.; Kantchev, E.A.B.; O'Brien, C.J.; Organ, M.G. Org, Lett. 2005, 7, 1991-1994
【非特許文献11】Deshmukh, P.H.; Blechert, S. Dalton Trans. 2007, 2479-2491 and references therein;
【非特許文献12】Stewart, I.C.; Douglas, C.J.; Grubbs, R.H. Org. Lett. 2008, 10, 441-444;
【非特許文献13】Stewart, I.C.; Ung, T.; Pletnev, A.A.; Berlin, J.M.; Grubbs, R.H.; Schrodi, Y. Org. Lett. 2007, 9, 1589-1592
【非特許文献14】Hong, S.H.; Wenzel, A.G.; Salguero, T.T.; Day, M.W.; Grubbs, R.H., J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 7961- 7968.
【非特許文献15】Hong, S.H.; Chlenov, A.; Day, M.W.; Grubbs, R.H., Angew, Chem., Int. Ed. 2007, 46, 5148-5151.
【非特許文献16】Trnka, T.M.; Morgan, J.P.; Sanford, M.S.; Wilhelm, T.E.; Scholl, M.; Choi, T.L.; Ding, S.; Day, M.W.; Grubbs, R.H.J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 2546-2558.
【非特許文献17】Vehlow, K.; Gessler, S.; Blechert, S. Angew. Chem., Int. Ed. 2007, 46, 8082-8085
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明ではルテニウムNHC錯体に基づく効果的で安定な複分解触媒を開発する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、 式(I)
【化2】

(式中、
a)RおよびRはメチルであり、
およびRは独立して、メチル、エチル、またはアリルであり、また、RおよびRはそれらを保持する炭素原子と供に融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、
およびRは各々独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキルまたは式(II)の構造を有する基
【化3】

式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であるが、RおよびRは同時にC〜C10アルキルではなく、および
および/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、または
b)Rはメチルであり、
は水素であり、
およびRは独立して、メチル、エチル、アリル、またはイソプロピルであり、RおよびRはそれが保持する炭素原子と共に、融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、かつRおよびRは両方が同時にイソプロピルではなく、
およびRはおのおの独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキル、または式(II)の構造を有する基であり、
【化4】

式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であり、および
および/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、および
はイミダゾリニウム塩のアニオンである。)
を有するイミダゾリニウム塩に関する。
【0011】
本発明はまた、
【化5】

で表される新規なN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒に関する。
【0012】
式(III)の触媒は、式(I)に記載されたトリ−またはテトラ−置換イミダゾリニウム塩NHCプレカーサー並びに示された他のリガンドを含む。式(III)の触媒は、また式(I)(式中、RおよびRはC〜C10アルキル、または共に環状構造を形成してもよく、かつRおよびRは水素である。)の構造を有するジェムジ−置換イミダゾリニウム塩NHCリガンドプレカーサーを含んでもよい。式(III)中、XおよびXは独立してアニオン性リガンドであり、R10およびR11は各々独立して、水素またはC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、C〜C20カルボキシレート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニロキシ、C〜C20アルキニロキシ、アリーロキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルフォニルおよびC〜C20アルキルスルフィニルから選択される置換若しくは非置換置換基であり、Lは中性の2電子ドナーリガンドであり、かつmは1または2である。R10およびR11は要すれば共に結合して上記置換基の一つを通して環状構造を形成してもよい。Lは要すれば、R11と結合してキレートカルベンリガンドを形成してもよい。
【0013】
本発明の別の態様は、オレフィンを複分解条件下に本発明のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒に接触するオレフィン複分解反応に関する。本発明の触媒は、例えば、閉環複分解(RCM)、クロス複分解(CM)、開環複分解重合(ROMP)、および環状ジエン複分解重合(ADMET)に用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ジ−置換オレフィンを形成するための閉環複分解(RCM)反応におけるルテニウム触媒の標準活性試験を示す。
【図2】図2は、トリ−置換オレフィンを形成するためのRCM反応におけるルテニウム触媒の標準活性試験を示す。
【図3】図3は、ジ−置換オレフィンを形成するためのRCM反応におけるルテニウム触媒の標準活性試験を示す。
【図4】図4は、トリ−置換オレフィンを形成するためのRCM反応におけるルテニウム触媒の標準活性試験を示す。
【図5】図5は、ジ−置換オレフィンおよびトリ−置換オレフィンを60℃で形成するためのRCM反応におけるルテニウム触媒の標準活性試験を示す。
【図6】図6は、異なる温度でテトラ−置換オレフィンを形成するためのRCM反応におけるルテニウム触媒の標準活性試験を示す。
【図7】図7は、ジ−置換オレフィン(図7a)、トリ−置換オレフィン(図7b)およびテトラ−置換オレフィン(図7c)を形成するためのRCM反応における化合物H6およびH8の触媒活性を比較するグラフである。
【図8】図8は、クロス複分解(CM)反応におけるルテニウム触媒の触媒活性を示す。
【図9】図9は、開環複分解重合(ROMP)反応におけるルテニウム触媒の触媒活性を示す。
【図10】図10は、化合物H6の初期速度論検討を示す。
【図11】図11は、低触媒負荷を用いるRCM反応におけるルテニウム触媒の触媒活性を示す。
【図12】図12は、低触媒負荷を用いるRCM反応におけるルテニウム触媒の活性試験を示す。
【図13】図13は、化合物H6のX線構造解析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1態様において、本発明は式(I):
【化6】

のイミダゾリニウム塩NHCリガンドプレカーサーに関する。
【0016】
本発明のイミダゾリニウム塩はNHCリガンドの骨格−イミダゾール環の隣接環炭素上にテトラ−置換またはトリ−置換されてもよい。置換基はR、RおよびRで表される。下記のスキーム1に示されているように、N−アリール環への限定はNHCリガンドを含有するルテニウム錯体を上記の不要な工程に入るのを避ける。本発明はNHCリガンドの骨格上に嵩高い置換基、例えばアルキル基を置く。固定化効果に加えて、骨格置換はNHCに、非置換の同様の化合物に比べて高いσ−供与性をもたらす。なぜならば、直接の骨格置換はN−アリール基上の置換よりNHCの供与能力により大きな影響があるからである。
【0017】
【化7】

【0018】
本発明のテトラ−置換イミダゾリニウム塩について、R1およびRはメチルであり、RおよびRはメチル、エチル、またはアリル、またはRおよびRはそれを保持している炭素原子と共に、融合6−、7−または8−員環状炭素環を形成してもよく、RおよびRは各々独立してC〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋鎖、または式(II):
【化8】

(式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、Rは独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、RおよびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であり、但しRおよびRは同時にC〜C10アルキルで無く、およびRおよび/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、およびXはイミダゾリニウム塩のアニオンである。)
の構造を有する基である。
【0019】
本発明のトリ−置換イミダゾリニウム塩では、Rはメチルであり、RはHであり、RおよびRは独立して、メチル、エチル、アリル、またはイソプロピルであり、R
およびRはそれが保持する炭素原子と共に、融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、かつRおよびRは両方が同時にイソプロピルではなく、RおよびRはおのおの独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキル、または式(II)
【化9】

(式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、Rは独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、RおよびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であり、およびRおよび/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、およびXはイミダゾリニウム塩のアニオンである。)
の構造を有する基である。
【0020】
これらのトリ−置換またはテトラー置換イミダゾリニウム塩の好ましい態様では、RおよびRがメチル、またはRおよびRがそれを保持している炭素と供に、融合6員環環状炭素リングを形成し、RおよびRが独立して、イソプロピル、tert−ブチル、ネオペンチル、フェニルから選択され、または式(II)
【化10】

(式中、nは1〜3の範囲であり、Rは独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基から選択され、RおよびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物から選択され、但しRおよびRは同時にC〜C10アルキルではない。)
で表されるきである。更に好ましい態様では、RまたはRはメチルであり、RおよびRは独立してフェニル、メシチル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、o−ジフルオロフェニル、o−ジクロロフェニルまたはo−イソプロピルフェニルから選択される。テトラ−置換イミダゾリニウム塩では、Xは好ましくは塩化物、臭化物、ヨウ化物、テトラフルオロボレート(BF)またはトリフルオロアセテート(CFCOO)であり、トリ−置換イミダゾリニウム塩では、Xは好ましくは塩化物、テトラフルオロボレート(BF)またはトリフルオロアセテート(CFCOO)である。
2.イミダゾリニウム塩の調製
【0021】
本発明のルテニウム触媒を形成するために用いられる式(I)のテトラ−またはトリ−置換イミダゾリニウム塩NHCリガンドプレカーサーは、以下の例に示されるように、所望の置換基と置換パターンを有するジアミン誘導体から調製されうる。典型的には、ジアミンはジエチルエーテル中に溶解し、塩化水素の溶液で処理して、ジアミン塩酸塩を沈澱する。ジアミン塩酸塩を過剰のトリエチルオルトフォルメートと反応して、式(I)の所望の塩化イミダゾリニウム塩NHCリガンドプレカーサーを与える。また、ジアミン化合物はトリフルオロ酢酸またはテトラフルオロボレート酸で塩を形成し、それが過剰のトリエチルオルトフォルメートと反応して式(I)の所望の塩化イミダゾリニウム塩NHCリガンドプレカーサーを与える。
3.本発明のH−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウム触媒
【0022】
本発明はまたN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒に関する。有利には、本発明の触媒はテトラ−置換環状オレフィンを形成する閉環複分解(RCM)を触媒する現在のオレフィン複分解触媒よりも効率/活性がより大きい。触媒はまた、上記の複分解反応の群の他の公知の複分解反応も行う。触媒はまた、トリ−置換オレフィンおよびジ−置換オレフィンの調製のためのクロス複分解に特に有用である。前記オレフィンはアリル炭素で更に置換される。本発明のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒は以下の式(III)を有する:
【化11】

【0023】
式(III)のルテニウム触媒中のNHCリガンドは、上記式(I)のイミダゾリニウム塩NHCリガンドプレカーサー(式(IV)を有する)から誘導される。
【化12】

【0024】
本発明のテトラ−置換NHCリガンドから誘導されるルテニウム触媒では、RおよびRはメチルであり、RおよびRは独立して、メチル、エチル、またはアリルから選択され、また、RおよびRはそれらを保持する炭素原子と供に融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、RおよびRは各々独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキルまたは式(II)の構造を有する基
【化13】

(式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、Rは独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基から選択され、RおよびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であるが、RおよびRは同時にC〜C10アルキルではなく、およびRおよび/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよい。)
である。
【0025】
本発明のトリ−置換NHCリガンドから誘導されるルテニウム触媒では、Rはメチルであり、RはHであり、RおよびRは独立して、メチル、エチル、アリル、またはイソプロピルから選択され、RおよびRはそれが保持する炭素原子と共に、融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、かつRおよびRは両方が同時にイソプロピルではなく、RおよびRはおのおの独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキル、または式(II)の構造を有する基:
【化14】

(式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、Rは独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、RおよびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物である。)
である。Rおよび/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよい。
【0026】
本発明のトリ−置換またはテトラ−置換NHCリガンドから誘導されるルテニウム触媒の好ましい態様では、RおよびRは、メチルであり、また、RおよびRはそれらを保持する炭素原子と供に融合6員環環状炭素リングを形成し、RおよびRは各々独立して、イソプロピル、tert−ブチル、ネオペンチル、フェニルまたは式(II)の構造を有する基
【化15】

(式中、nは1〜3の範囲であり、Rはメチル、フッ化物または塩化物であり、RおよびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であり、テトラ−置換イミダゾリニウム塩のRおよびRは同時にC〜C10アルキルではない。)
からなる群から選択される。より好ましい態様では、RおよびRは、メチルであり、RおよびRは各々独立して、フェニル、メシチル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、o−ジフルオロフェニル、o−ジクロロフェニルまたはo−イソプロピルフェニルである。
【0027】
本発明の式(III)のルテニウム触媒中NHCリガンドの一態様は式(IV)
【化16】

(式中、RおよびRはC〜C10アルキルまたは共に環状構造を形成してもよく、
およびRはHであり、RおよびRはおのおの独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキル、または式(II)の構造を有する基:
【化17】

(式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、Rは独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、RおよびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物である。)
のジェムジ−置換N−ヘテロ環状カルベン(NHC)リガンドから誘導されたルテニウム触媒を含む。Rおよび/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、R、RおよびRの少なくとも一つの結合を通して環状構造を形成してもよい。
【0028】
式(III)の触媒において、XおよびXは独立してアニオン性リガンドである。好ましくは、XおよびXはハライド、または以下の基の一つ:C〜C20アルキル、アリール、C〜C20アルコキシド、アリールオキシド、C〜C20アルキルジケトネート、アリールジケトネート、C〜C20カルボキシレート、アリールスルフォネート、C〜C20アルキルスルフォネート、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルフォニルまたはC〜C20アルキルスルフィニルである。要すれば、XおよびXはC〜C10アルキル、C〜C10アルコキシおよびアリールからなる群から選択される1以上の部分で置換されてもよく、それらの基はまた、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルから選択される1以上の基で更に置換されてもよい。より好ましい態様では、XおよびXはハライド、ベンゾエート、C〜Cカルボキシレート、C〜Cアルキル、フェノキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、アリール、およびC〜Cアルキルスルフォネートである。下記に示すように、本発明の触媒の他のリガンドは、置換されたとき、そのような置換基を有してもよい。好ましい態様では、XおよびXは各々ハライド、CFCO、CH、CO、CFHCO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CHCO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート、またはトリフルオロメタンスルフォネートである。最も好ましい態様では、XおよびXは各々塩化物である。
【0029】
10およびR11は各々独立して、水素またはC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、C〜C20カルボキシレート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニロキシ、C〜C20アルキニロキシ、アリーロキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルフォニルまたはC〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選択される置換若しくは非置換置換基である。R10およびR11はC〜C10アルキル、C〜C10アルコキシおよびアリールからなる群から選択される1以上の部分で置換されてもよく、それらの基はまた、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜C15アルコキシ、およびフェニルから選択される1以上の基で更に置換されてもよい。更に、R10およびR11は触媒リガンドの他のものと同様に、触媒に悪影響を与えない限り、1以上の官能基を包含してもよい。好適な官能基の例は、限定されないが、ヒドロキシル、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カルバメートおよびハロゲンが挙げられる。R10およびR11は要すれば共に結合して上記置換基の一つを通して環状構造を形成してもよい。
【0030】
これらの触媒の好ましい態様では、R10置換基は水素、C〜Cアルキルまたはアリールであり、R11置換基はC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、およびアリールからなる群から選択される。より好ましい態様では、R11置換基はフェニルまたはビニルであり、要すればC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニルおよび官能基からなる群から選択される1以上の部分で置換されている。特に好ましい態様では、R11は塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、−NO、−NMe、メチル、メトキシおよびフェニルからなる群から選択される1以上の部分で置換されたフェニルまたはビニルである。最も好ましくい態様では、R11置換基はフェニルまたは−C=C(CHである。
【0031】
Lは公知の中性2−電子供与性リガンドであってよい。変数「m」は中性供与性リガンドLの数を示す。変数「m」は1または2であり、好ましくは1である。mが1の時、Lは中性2−電子供与性リガンドである。LはR11に結合してキレートアルビンリガンド(chelating arbine ligand)を形成してもよい。「m」が2の時は、Lがヘテロアレーンリガンド、例えばピリジンまたは置換ピリジンである。好適なヘテロアレーンリガンドの例として、米国特許6,759,537および同6,818,586の全文をここに導入する。好ましくは、ヘテロアレーンリガンドはピリジンまたは置換ピリジンである。
【0032】
好ましい態様では、Lはフォスフィン、スルフォネート化フォスフィン、フォスファイト、フォスフィナイト、フォスフォナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルフォキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジンまたはチオエーテルから選択される。より好ましい態様では、Lは式PR’R’’R’’’(式中、R’、R’’およびR’’’は各々独立してアリール、C〜C10アルキル(特に、第1級または第2級アルキル)、またはC〜Cシクロアルキルである。)のフォスフィンである。最も好ましい態様では、LがP(シクロヘキシル)、P(シクロペンチル)、P(イソプロピル)またはP(フェニル)から選択される。
【0033】
LとR11が結合する場合、本発明の好ましい触媒は式:
【化18】

であらわされるものを包含する。
【0034】
式(V)中、NHCは式(IV)のN−ヘテロ環状カルベンである。Yは酸素、硫黄、窒素またはリンから選択されるヘテロ原子である。XおよびXは、独立してアニオン性リガンドである。Zは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニロキシ、アルキニロキシ、アリーロキシ、官能化アルキル、または官能化アリールから選択され、官能化基は独立して、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、カルボニル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、ニトレート、ニトリル、ニトロ、シアノ、イソシアネート、ヒドロキシル、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、スルフィド、スルフォニル、スルフィニル、ジスルフィド、スルフォネート、カルバメート、シラン、シロキサン、フォスフィン、フォスフェート、ボレート、またはそれらの組合せから選択されても良く、各々は要すればアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール、アリーロキシまたはヘテロアリール部分で置換されていてもよい。R、R、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アルケニロキシ、アルキニロキシ、アリーロキシ、官能化アルキル、または官能化アリールから選択され、官能化基は独立して、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、カルボニル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、ニトレート、ニトリル、ニトロ、シアノ、イソシアネート、ヒドロキシル、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、スルフィド、スルフォニル、スルフィニル、ジスルフィド、スルフォネート、カルバメート、シラン、シロキサン、フォスフィン、フォスフェート、ボレート、またはそれらの組合せから選択されても良く、各々は要すればアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール、アリーロキシまたはヘテロアリール部分で置換されていてもよく、R、R、RおよびRの2以上は独立して、炭化水素または官能化された炭化水素基で結合して、脂肪族環または芳香族環を形成してもよい。
【0035】
LおよびR11が結合している場合、本発明の好ましい触媒は、以下のものを包含する:
【化19】

【0036】
キレートアルビンリガンドを有し、リガンドがLリガンドおよびR11置換基を結合するルテニウム錯体の例としては、Kingsbury, J,S.; Harrity, J.P.A.; Bonitatebus, P.J., Jr.; Hoveyda, A.H.J. Am, Chem. Soc. 1999, 121, 791 and Garber, S.B.; Kingsbury, J.S.; Gray, B.L.; Hoveyda, A.H.J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 8168に記載されている。好ましくは、R11はLとR11との間の長さ2〜5原子のスペーサー基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基)を介して、Lと結合する。好ましいスペーサー基は、置換または非置換フェニル基である。
4.触媒の合成
【0037】
本発明のルテニウム触媒は公知の方法を用いて調製されてもよい。一般に、本発明の触媒は、リガンド交換反応、例えばNHCリガンドを、第1ジェネレーションのルテニウムカルベン錯体(既述)中の中性2−電子供与性リガンドの一つで置換することによって調製される。例えば、本発明のルテニウムフォスフィン錯体は、一般式(PCy(X)Ru=CHCの錯体中のフォスフィンリガンドを上記NHCリガンドで置換することによって形成してもよい。実施例2はこの方法によるルテニウム触媒の調製を示す。本発明のルテニウムエーテル錯体は、一般式(PCy)(X)Ru=CH−o−iPrCの触媒のフォスフィンリガンドを上記NHCリガンドで置換することによって調製してもよい。実施例3、6はこの方法による本発明のルテニウム触媒の調製を示す。発明の背景に記載したように、これらの合成方法は公知である。
5.複分解反応
【0038】
本発明のルテニウム触媒は特に効果的なオレフィン複分解触媒である。従って、本発明の一つの態様は、オレフィンを本発明のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒と複分解条件下に接触するオレフィン複分解反応である。本発明の触媒は、例えば閉環複分解(RCM)、クロス複分解(CM)、自己複分解重合(クロス複分解の一類系)、開環複分解重合(ROMP)および環状ジエン複分解重合(ADMET)に用いてもよい。
【0039】
本発明の触媒の複分解条件は、他のオレフィン複分解反応に使用しているものと同じであり、他の公知の複分解触媒に用いるものと同じである。一般的には、オレフィン複分解反応は温度約10〜約70℃で約5分〜約24時間で行われる。本発明の触媒は他の複分解触媒で公知の量で用いてもよい。典型的には、触媒約1〜約10モル%が使用されて、しばしば触媒約1〜5モル%の量が用いられる。
【0040】
本発明のルテニウム触媒は典型的にはテトラ−置換環状オレフィンの製造の複分解反応に特に有用である。本発明の触媒は、オレフィンの複分解を介するテトラ−置換環状オレフィンの調製に高い効率と活性を示す。
【実施例】
【0041】
実施例1〜8の一般的実験条件:
金属錯体を含むすべての反応は標準のシュレンクおよびグローブボックス技術(Schlenk and glovebox techniques)を用いて無水溶媒で窒素雰囲気下にオーブン乾燥ガラス製品中で行った。無水溶媒は溶媒カラム乾燥システムと通した溶離で得た。(Pangborn, A. B.; Giardello, M. A.; Grubbs, R. H.; Rosen, R. K.; Timmers, F. J. Organometallics 1996, 15, 1518-1520)RuCl(PCy(=CHC)をマテリアInc.から入手した。有機金属錯体の精製のために用いるシリカゲルをTSI・サイエンティフィック社、米国マサチューセッツ州ケンブリッジから得た(60Å、pH6.5−7.0)。NMRケミカルシフトはMeSiからのppmダウンフィールドで、残存溶媒ピークをHおよび13C、および31PにはHPO(δppm)の内部標準として使用して示す。NMRスペクトルのデーターは以下のように報告する:化学シフト(δppm)、マルチプリシティ、カップリング定数(Hz)およびインテグレーション。IRスペクトルはパーキンーエルマーパラゴン1000スペクトロメーター上で記録した。ガスクロマトグラフィーのデーターはDB−Waxポリエチレングリコールキャピラリーカラム(J&WScientific)を備えたAgilent6850FIDガスクロマトグラフを用いて得た。X線結晶構造はカリフォルニア技術研究所(California Institute of Technology)のベックマンインスティテュートX線クリスタログラフィーラボラトリーによって得られた。別途指示しない限り、開環複分解(RCM)、クロス複分解(CM)および開環複分解重合反応(ROMP)における触媒のスクリーニングは文献に記載の通り行った。(Ritter, T.; Hejl, A.; Wenzel, A.G.; Funk, T.W.; Grubbs, R.H. Organometallics 2006, 25, 5740-5745)誘導運動の検討は次の文献の記載の通り行った(Sanford, M.S.; Love, J.A.; Grubbs, R.H.; J.Am.Chem.Soc. 2001, 123, 6543-6554.)
【0042】
実施例1 NHCリガンドプレカーサー(S)の調製
工程A:所望のジアミンのジエチルエーテル溶液を塩酸の溶液(2eq)で処理してジアミン塩酸塩を沈澱した。白い固体を濾過により回収し、過剰のジエチルエーテルで洗浄した。固体をフラスコに置き、トリエチルオルトフォルメート(過剰)を加えた。得られた混合物を130℃で5〜10分撹拌した後、冷却した。室温に冷却後、白い固体を濾過で回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いでアセトンで洗浄し、所望のイミダゾリジニウム塩化物塩Sを得た。
【0043】
工程B:(Jazzar, R.; Bourg, J.-B.; Dewhurst, R.D.; Donnadieu, B.; Bertrand, G.J. Org. Chem. 2007, 72, 3492-3499参照)対応するフォルムアミジンのTHF溶液(40mL)(1eq)に−78℃で、ヘキサン中n−BuLiの溶液(1eq)を添加した。混合物を30分撹拌し、次いで室温に暖めさらに12時間撹拌した。混合物を再び−78℃に冷却し、3−ブロモプロパン(1eq)または3−ブロモー2−メチルプロパン(1eq)をゆっくり添加した。混合物を−78℃で30分撹拌した後、12時間50℃で加熱した。真空下に揮発物を除去し、ヘキサンで抽出したら、対応するアルキル化誘導体を得た。
【0044】
テフロン停止コックを有するアルゴンフラッシュした密封可能なシュレンクチューブに上記アルキル化誘導体(1eq)、トルエンを仕込み、0℃に冷却し、この温度でEtO中HCl溶液(2.0M、1eq)を添加した。白い粉末の沈澱が直ぐに観察された。0℃で15分後、混合物を放置して室温に暖め、更に15分間撹拌した。混合物を24時間110℃に加熱し、揮発分を真空下に除去し、残存塩をトルエンとエーテルで洗浄し、所望のイミダゾリニウム塩を得た。
【0045】
実施例1a 1,3−ジメシチル−4−メチル−イミダゾリニウムクロライド(S1)
【化20】

工程Bで調製した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 9.70 (s, 1H), 6.88 (m, 4H), 5.02 (m, 1H), 4.75 (pseudo-t, J = 11.5 Hz, 1H), 3.85 (dd, J = 8.5 Hz, J = 12.0 Hz, 1H), 2,40-2.10 (m, 18H), 1.50 (d, J = 6.5 Hz, 3H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ 159.8, 140.4, 140.2, 135.8, 135.3, 135.1, 134.8, 130.4, 130.3, 130.2, 130.1, 130.0 (br s), 128.8, 60.5, 58.3, 21.1, 21.0, 19.0, 18.8, 18.5, 18.0 (br s). HRMS Calc'd for C22H29N2: 321.2331. Meas: 321.2321
【0046】
実施例1b 1,3−ジメシチル−4,4−ジメチル−イミダゾリニウムクロライド(S2)
【化21】

化合物S2は文献に記載されている。(Jazzar, R.; Bourg, J.-B.; Dewhurst, R.D.; Donnadieu, B.; Bertrand, G.J. Org. Chem. 2007, 72, 3492-3499参照)
【0047】
実施例1c (シス−4,5)−1,3−ジメシチル−4,5−ジメチル−イミダゾリニウムクロライド(S3)
【化22】

工程Aで調製した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.77 (s, 1H), 6.98 (s, 2H), 6.96 (s, 2H), 5.13 (m, 2H), 2.43 (s, 12H), 2.39 (s, 12H), 2.29 (s, 6H), 1.33 (d,J = 6.0 Hz, 6H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ 159.0, 140.3, 135.8, 135.4, 130.4, 130.3, 129.0, 62.4, 21.1, 19.1, 18.7, 12.4. HRMS Calc'd for C23H31N2: 335.2487. Meas: 335.2495
【0048】
実施例1d 1,3−ジメシチル−4,4,5−トリメチル−イミダゾリニウムテトラフルオロボレート(S4)
【化23】

ジアミン(1.62g、4.78mmol)、アンモニウムテトラフルオロボレート(0.75g、7.17mmol)およびトリエチルオルトフォルメート(12ml)の混合物を120℃で10分間撹拌し、室温に冷却した。沈殿物を濾過により回収し、固形分をCHCl中に再溶解した。不要物を濾取した後、濾液を真空下にエバポレートし、残渣をエチルアセテート中に再結晶してS4を白色固体(543mg、1.24mmol、Y=26%)で得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.00 (s, 1H), 7.13 (s, 2H), 7.11 (s, 2H), 4.71 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 2.34-2.29 (m, 18H), 1.52 (s, 3H), 1.36 (s, 3H), 1.19 (d, J = 6.9 Hz, 3H). 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6): δ 159.0, 139.7, 137.5, 136.9, 136.0, 135.8, 130.2, 130.1, 129.8, 129.2, 128.3, 73.5, 67.7, 26.3, 20.5, 20.5, 19.3, 19.1, 18.2, 17.9, 11.9. 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6): δ-148.7. HRMS Calc'd for C24H33N2: 349.2644. Meas: 349.2648
【0049】
実施例1e:1,3-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-イミダゾリン-2−イウムクロリド(S5)
【化24】

ジアミン(370g、0.895mmol)およびトリエチルオルトフォルメート(3ml)の混合物を130℃で1.5時間加熱し、次いで室温に冷却した。ジエチルエーテルを添加して形成された白色固体をろ過で回収した(80mg、0.207mmol、Y=23%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.56 (s, 1H), 7.81-7.74 (m, 2H), 7.54-7.49 (m, 4H), 1.44 (s, 12H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6): δ-117.3. HRMS Calc'd for C19H19F4N2+: 351.1484. Meas: 351.1472
【0050】
実施例1f:1,3−ジフェニル−4,4,5,5−テトラメチル−イミダゾール−2−イウムクロリド(S6)
【化25】

2,3−ブタンジオン(5.00g、58.0mmol)、アニリン(10.80g、116mmol)およびエタノール(約5ml)の混合物を室温で一日撹拌した。黄色の結晶固体を濾過で回収し、少量のエタノールでリンスして、所望のジイミンを10.41g(44.1mmol、Y=76%)を得た。乾燥ベンゼン中ジイミン(3.14g、13.29mmol)溶液を還流コンデンサーを備えたフラスコに入れ、テトラヒドロフラン中塩化メチルマグネシウム溶液(3.0M、17.7ml、53.2mmol)を添加した。得られた溶液を還流温度で一晩撹拌した。室温に冷却後、反応混合物に塩化アンモニウムの飽和水溶液をゆっくり添加した。有機層を分離し、水層をエチルアセテートで3回抽出した。有機層を合わせて、ブリンで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカ上フラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/エチルアセテート=30/1)で精製し、黄色油状ジアミンを得た(1.32g、4.90mmol、Y=37%)。ジアミンはジエチルエーテル(10ml)に溶解し、塩酸溶液(ジオキサン中4M)で処理してジアミン塩酸塩を沈殿した。濾過で回収した固体にトリエチルオルトフォルメート(1.5ml)を添加して、120℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、タン色(tan colored)固体を濾過により回収し、ジエチルエーテルおよびアセトンで洗浄して、白色固体の所望のイミダゾリニウムクロリド塩S6を得た(1.12g、3.56mmol、Y=73%)。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2) : δ 9.37 (s, 1H), 7.69-7.66 (m, 4H), 7.54-7.52 (m, 6H), 1.46 (s, 12H). 13C NMR (75 MHz, CD2Cl2) : δ 156.8, 133.3, 130.4, 130.0, 128.6, 74.0, 21.5. HRMS Calc'd for C19H23N2: 279.1861. Meas: 279.1852
【0051】
実施例1g:1,3−ジ−o−トリル−フェニル−4,4,5,5−テトラメチル−イミダゾル−2−イウム−クロリド(S7)
【化26】

2,3−ブタンジオン(2.00g、23.23mmol)、o−トルイジン(5.00g、46.66mmol)およびエタノール(約2ml)の混合物を室温で一日撹拌した。黄色の結晶固体を濾過で回収し、少量のエタノールでリンスして、所望のジイミンを3.42g(12.97mmol、Y=56%)を得た。乾燥ベンゼン中ジイミン(3.00g、11.35mmol)溶液を還流コンデンサーを備えたフラスコに入れ、テトラヒドロフラン中塩化メチルマグネシウム溶液(3.0M、11.3m、45.4mmol)を添加した。得られた溶液を還流温度で一晩撹拌した。室温に冷却後、反応混合物に塩化アンモニウムの飽和水溶液をゆっくり添加した。有機層を分離し、水層をエチルアセテートで3回抽出した。有機層を合わせて、ブリンで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカ上フラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/エチルアセテート=30/1)で精製し、黄色油状ジアミンを得た(2.25g、7.60mmol、Y=67%)。ジアミンをジエチルエーテル(10ml)に溶解し、塩酸溶液(ジオキサン中4M)で処理してジアミン塩酸塩を沈殿した。固体を濾過で回収して、十分な量のジエチルエーテルでリンスし、次いでアセトンでリンスして白色固体の所望のアミン塩を得た(2.19g、5.93mmol、Y=78%)。ジアミンとトリエチルオルトフォルメート(1.5ml)との混合物をバイアルに入れ、120℃で18時間撹拌した。室温に冷却後、タン色固体を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄した(S7、64mg、0.187mmol、Y=21%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 9.38 (br s, 1H), 7.58 (deformed d, 2H), 7.40-7.30 (m, 6H), 2.47 (s, 6H), 1.50 (s, 12H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ 157.9, 136.3, 131.8, 131.3, 130.4, 130.4, 127.2, 74.0, 21.6, 18.8. HRMS Calc'd for C21H27N2: 307.2174. Meas: 307.2162
【0052】
実施例1h:1−メシチル−4,4−ジメチル−3−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イウムクロリド(S8)
【化27】

2,4,6−トリメチルアニリン(2.41g、17.78mmol)、トリエチルアミン(3.60g、35.56mmol)およびCHCl(20ml)の混合物に、2−ブロモ−2−メチルプロパノイルブロミド(4.50g、19.57mmol)を0℃でアルゴン雰囲気下に添加した。添加終了後、冷却浴を取り除き、反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後CHCl(20ml)で希釈しNHClの水溶液を添加した。水層を分離した後、有機層をブリンで洗浄し、無水MgSOで乾燥した。濾液を濾過および濃縮して淡い黄色固体の2−ブロモ−N−メシチル−2−メチルプロパンアミド(5.05g、17.78mmol、100%)を得た。乾燥THF(5ml)中アミドの溶液(284mg、1.00mmol)を水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%、80mg、2.00mmol)、アニリン(112mg、1.20mmol)およびTHF(5ml)の混合物に加えて、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。混合物にNHCl(15ml)の水溶液を添加し、エチルアセテートで抽出し(20mlx2)、結合した有機層をブリンで洗浄し、無水NaSOで乾燥した。濾過後、濾液を真空下に濃縮し、残渣をシリカ上カラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/エチルアセテート=5/1〜4/1)で精製して白色固体のアミドを得た(255mg、0.86mmol、Y=86%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.35 (s, 1H), 7.25-7.17 (m, 2H), 6.84-6.71 (m, 5H), 3.98 (s, 1H), 2.23 (s, 3H), 2.11 (s, 6H), 1.63 (s, 6H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ 173.8, 144.5, 136.4, 134.8, 131.0, 129.0, 119.2, 116.2, 58.4, 26.2, 20.8, 18.6. IR: 3341 (m), 3310 (s), 2987 (w), 1666 (s), 1607 (m), 1488 (s), 1376 (m), 1318 (m), 1264 (m), 1210 (m), 1162 (m), 850 (m), 749 (s), 696 (m) cm-1. HRMS Calc'd for C19H24N2O: 297.1967, Meas: 297.1956
【0053】
乾燥ジメトキシエタン(2ml)中上記アミド(100mg、0.337mmol)の溶液に水素化リチウムアルミニウム(80mg、2.1mmol)を加え、混合物を一日還流した。室温に冷却後、反応をHO(0.08ml)、15%NaOH水溶液(0.08ml)およびHO(0.24ml)を順に加えて終了した。白色沈殿を濾別し、濾液をシリカ上カラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/エチルアセテート=10/1)により精製して淡い黄色固体のN−メシチル−2−メチル−N−フェニルプロパン−1,2−ジアミン(54mg、0.192mmol、Y=57%)を得た。ジアミン(1.45g、5.14mmol)をHCl溶液(ジオキサン中4M)で処理して、対応するジ塩酸塩(1.83g、5.14mmol、100%)に変換した。この塩(500mg、1.4mmol)およびトリエチルオルトフォルメート(4.7ml)の混合物を130℃で5分撹拌して、冷却した。室温へ冷却後、白色沈殿物を濾過で回収し、大容量のジエチルエーテル、次いでアセトンで洗浄して所望のイミダゾリジニウムクロリド塩(367mg、1.12mmol、Y=80%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.76 (s, 1H), 7.65-7.62 (m, 2H), 7.49-7.47 (m, 3H), 6.92 (s, 2H), 4.13 (s, 2H), 2.39 (s, 6H), 2.27 (s, 3H), 1.69 (s, 6H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) : δ 158.4, 140.2, 134.9, 132.3, 130.2, 130.0, 129.9, 129.8, 127.4, 68.6, 63.7, 26.7, 20.9, 18.1. IR: 3401 (m), 2975 (w), 1624 (s), 1592 (m), 1301 (w), 1263 (m), 1219 (m), 856 (w), 776 (w) cm-1. HRMS Calc'd for C20H25N2: 293.2018. Meas: 293.2021
【0054】
実施例2:ルテニウム触媒(フォスフィン錯体、P)の合成
一般手法:乾燥ベンゼン(またはトルエン)中イミダゾリニウム塩S(1eq)の溶液に、KHMDS(1.1eq)を窒素雰囲気下に添加し、得られた混合物を室温で2、3分撹拌した。その後、RuCl(PCy(=CHC)(1eq)を一度に添加した。反応混合物を所望の温度と時間で撹拌し、真空下に濃縮した。暗褐色残渣に乾燥ヘキサンを添加して、混合物を室温で20分間撹拌した。褐色沈澱を濾過で回収して、ヘキサン、次いでメタノールで洗浄し、所望のルテニウム錯体Pを得た。また、触媒Pはカラムクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0055】
実施例2a:RuCl(4,4−ジメチル−1,3−ジメシチル−イミダゾリン−2−イリデン)(=CH−Ph)(PCy)(P2)
【化28】

70℃で1時間撹拌。1H NMR (500 MHz, C6D6, 25℃): δ 19.72 (s, 0.45H), 19.69 (s, 0.55H), 7.32-6.96 (m, 9H), 3.33-3.12 (m, 2H), 3.09-0.95 (m, 57H). HRMS Calc'd for C48H69Cl2N2PRu : 876.3619. Meas: 876.3588
【0056】
実施例2b:RuCl(4,4,5−トリメチル−1,3−ジメシチル−イミダゾリン−2−イリデン)(=CH−Ph)(PCy)(P4)
【化29】

70℃で1時間撹拌。1H NMR (500 MHz, C6D6, 25℃): δ 19.69 (br s, 1H), 7.32-6.90 (m, 9H), 4.12-3.91 (m, 1H), 3.11-0.55 (m, 60H). HRMS Calc'd for C49H71Cl2N2PRu: 890.3776. Meas: 890.3765
【0057】
実施例2c:RuCl(4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジフェニルイミダゾリン−2−イリデン)(=CH−Ph)(PCy)(P6)
【化30】

室温で一晩撹拌。1H NMR (500 MHz, C6D6): δ 19.61 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 6.7 Hz, 2H), 7.36-6.67 (m, 13H), 2.25-2.18 (m, 3H), 1.68-1.54 (m, 15H), 1.34-1.25 (m, 6H), 1.17-1.06 (m, 9H), 0.87 (s, 6H), 0.85 (s, 6H). 13C
NMR (125 MHz, C6D6): δ 300.8, 217.2, 216.6, 151.8, 139.3, 137.9, 133.9, 131.1, 129.5, 129.4, 129.2, 129.1, 128.9, 128.7, 128.5, 128.3, 128.0, 127.8, 127.7, 70.8, 70.7, 70.5, 33.4, 33.3, 29.6, 28.5, 28.4, 27.1, 22.5, 22.0. 31P NMR (121 MHz, C6D6): δ 22.35
【0058】
実施例2d:RuCl(1−メシチル−4,4−ジメチル−3−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(=CH−Ph)(PCy)(P8)
【化31】

室温で一晩撹拌。1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) : δ 19.14 (s, 1H), 8.77 (br s, 1H), 7.89-7.87 (m, 2H), 7.51(t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.44 (tt, J = 7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.39 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.10 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 6.71 (br s, 2H), 5.84 (br s, 1H), 3.66 (br s, 2H), 2.65-1.99 (m, 5H), 1.91 (s, 3H), 1.94-1.87 (m, 3H), 1.53-1.47 (m, 9H), 1.36 (s, 6H), 1.39-1.23 (m, 6H), 0.98-0.89 (m, 16H). 13C NMR (125 MHz, CD2Cl2) : δ 296.8, 218.1, 217.5, 151.8, 138.3, 137.7, 136.9, 136.1, 135.0, 129.7, 129.4, 129.1, 128.9, 128.6, 128.2, 65.9, 65.2, 32.7, 32.5, 29.2, 28.3, 28.2, 27.7, 26.7, 21.2, 18.8. IR (CD2CI2): 2931 (s), 2852 (m), 1987 (w), 1487 (m), 1447 (m), 1400 (m), 1301 (m), 1175 (m), 778 (w) cm-1. HRMS Calc'd for C45H63Cl2N2PRu : 834.3150. Meas: 834.3165
【0059】
実施例3:ルテニウム触媒(エーテル錯体、H)の合成
一般手法
工程C:トルエン中イミダゾリニウム塩(1eq)の溶液に、KHMDS(1.1eq)を窒素雰囲気下に添加し、得られた混合物を室温で2、3分撹拌した。その後、RuCl(PCy)(=CH−o−iPrPh)(1eq)を添加し、混合物を所望の温度と時間(下記)で撹拌した。室温に冷却後、混合物をTSIシリカ(溶離剤:n−ペンタン/ジエチルエーテル=2/1)上カラムクロマトグラフィーで精製して、上記化合物Hを緑色固体として得た。
【0060】
工程D:ベンゼン中フォスフィン錯体(1eq)、o−イソプロポキシ−β−メチルスチレン(1.5eq)およびp−トルエンスルフォン酸(1.1eq)の混合物を40℃1時間撹拌した。混合物を室温に冷却後、揮発分を真空下に除去し、残渣をメタノールで洗浄した。そのように得られた緑色固体をベンゼン/n−ペンタンから再結晶し、暗緑色結晶固体Hを得た。
【0061】
実施例3a:RuCl(1,3−ジメシチル−4−メチル−イミダゾリン−2−イリデン)(=CH−o−PrPh)(H1)
【化32】

工程Cで調製。70℃2時間撹拌。1H NMR (500 MHz, CD2Cl2, 25℃): δ 16.47 (s, 1H), 7.55 (dt, J = 8.5 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 7.10 (br s, 1H), 7.05 (br s, 3H), 6.95 (dd, J = 7.5 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 6.90 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.87 (sept, J = 6.1 Hz, 1H), 4.61 (m, 1H), 4.22 (t, J = 10.3 Hz, 1H), 3.77 (t, J = 9.8 Hz, 1H), 2.40 (br s 18H), 1.33 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.21 (m, 6H). 13C NMR (125 MHz, CD2Cl2); δ 296.6 (m), 212.4, 152.5, 145.8, 140.4, 139.4, 139.3, 130.4, 130.1, 129.9, 129.6, 123.0, 122,6, 113.5, 75.6, 60.2 (br), 59.7 (br), 21.8, 21.5, 21.4, 19.9 (br). HRMS Calc'd for C32H40Cl2N2ORu: 640.1562. Meas: 640.1578
【0062】
実施例3b:RuCl(4,4−ジメチル−1,3−ジメシチル−イミダゾリン−2−イリデン)(=CH−o−PrPh)(H2)
【化33】

工程Cで調製。70℃2時間撹拌。1H NMR (500 MHz, CD2Cl2, 25℃): δ 16.46 (br s, 1H), 7.55 (ddd, J = 8.3 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 7.10 (br s, 2H), 7.05 (br s, 2H), 6.95 (dd, J = 7.5 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 6.91 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.86 (sept, J = 6.1 Hz, 1H), 3.93 (s, 2H), 2.50-2.25 (m, 18H), 1.47 (s, 6H), 1.21 (d, J = 6.1 Hz, 6H). 13C NMR (125 MHz, C6D6); δ 293.3 (m), 213.3, 153.0, 146.4, 141.3, 139.0, 138.6, 130.7, 130.0, 129.3, 122.7, 122.5, 113.6, 75.4, 68.2 (br), 65.6 (br), 28.1, 21.8, 21.5, 21.4. HRMS Calc'd for C33H42Cl2N2ORu: 654.1718. Meas: 654.1725
【0063】
実施例3c:RuCl(1,3−ジメシチル−4,5−ジメチル−イミダゾリン−2−イリデン)(=CH−o−PrPh)(H3)
【化34】

工程Cで調製。70℃2時間撹拌。1H NMR (500 MHz, C6D6, 25℃): δ 16.74 (s, 1H), 7.14 (dd, J = 7.5 Hz, J = 1.5 Hz, 1H), 7.11 (ddd, J = 7.5 Hz, J = 1.5 Hz, 1H), 7.00 (br s, 4H), 6.65 (dt, J = 7.5 Hz, J = 1.0 Hz, 1H), 6.32 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.49 (sept, J = 6.1 Hz, 1H), 4.12 (s, 2H), 3.00-2.30 (br s, 12H), 2.25 (s, 6H), 1.31 (br s, 6H), 0.81 (d, J = 6.5 Hz, 6H). 13C NMR (125 MHz, C6D6): δ 293.8, 213.4, 153.0, 146.4, 140.7, 138.7, 130.2, 129.9, 128.8, 122.8, 122.5, 113.6, 75.3, 62.4 (br), 21.8, 21.4, 13.9 (br). HRMS Calc'd for C33H42Cl2N2ORu : 654.1718. Meas: 654.1738
【0064】
実施例3d:RuCl(1,3−ジメシチル−4,4,5−トリメチル−イミダゾリン−2−イリデン)(=CH−o−PrPh)(H4)
【化35】

工程Cで調製。室温で2.5時間および60℃で4時間撹拌。1H NMR (500 MHz, C6D6, 25℃), δ 16.65 (br s, 1H), 7.13-7.07 (m, 3H), 6.94 (br m, 3H), 6.63 (td, J = 7.6, 0.8 Hz, 1H), 6.31 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.46 (sept, J = 6.1 Hz, 1H), 4.20 (br s, 1H), 2.85-2.47 (m, 12H), 2.24 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.28 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.15 (br s, 3H), 0.88 (br s, 3H), 0.69 (br d, J = 6.9 Hz, 3H). 13C NMR (125 MHz, C6D6): δ 293.8 (m), 213.4 (br), 152.9, 146.5, 140.7, 138.7, 138.6, 130.9, 130.6, 130.3, 129.4, 122.7, 122.4, 113.6, 75.3, 71.0 (br), 68.4 (br), 25.1, 23.1 (br), 21.8, 21.5, 21.4, 12.1. HRMS Calc'd for C34H44Cl2N2ORu: 668.1875. Meas: 668.1898
【0065】
実施例3e:RuCl[1,3−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−イミダゾリン−2−イリデン](=CH−o−PrPh)(H5)
【化36】

ベンゼン(3.5ml)中1,3−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(80mg、0.207mmol)にKHMDS(45mg、0.224mmol)を添加して、得られた溶液を室温で10分撹拌した。これにRuCl(PCy)(=CH−o−iPrPh)(104mg、0.173mmol)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。エバポレーション後、残渣をTSIシリカ(溶離剤:n−ペンタン/ジエチルエーテル=2/1〜2/3)上カラムクロマトグラフィーで精製して、上記化合物を緑色固体として得た(56mg、0.084mmol、Y=48%)。
1H NMR (300 MHz, C6D6): δ 16.91 (s, 1H), 7.11-7.05 (m, 3H), 6.68-6.54 (m, 6H), 6.36-6.33 (m, 1H), 4.50 (sept, J = 6.2 Hz, 1H), 1.42 (d, J = 6.2 Hz, 6H), 1.08 (s, 6H), 1.08 (s, 6H). 19F NMR (282 MHz, C6D6): δ -106.8. HRMS Calc'd for C29H30Cl2F4N2ORu : 670.0715. Meas: 670.0738
【0066】
実施例3f:RuCl[1,3−ビス(フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−イミダゾリン−2−イリデン](=CH−o−PrPh)(H6)
【化37】

工程Cで調製。室温で4時間撹拌。X−線結晶学に好適な結晶が室温でペンタンのベンゼン中H6の溶液にゆっくり拡散することにより成長した。1H NMR (500 MHz, C6D6): δ 16.62 (s, 1H), 8.27 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 7.26 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.17-7.03 (m, 4H), 6.96 (dd, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 6.66 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.49 (sept, J = 6.2 Hz, 1H), 1.38 (d, J = 6.2 Hz, 6H), 0.97 (s, 6H), 0.91 (s, 6H). 13C NMR (125 MHz, C6D6): δ 211.0, 153.7, 144.7, 141.3, 139.5, 133.7, 131.8, 129.4, 128.9, 128.7, 128.5, 128.3, 122.6, 122.2, 113.6, 75.1, 71.3, 70.1, 22.4, 22.3. HRMS Calc'd for C29H34Cl2N2ORu: 598.1092. Meas: 598.1070。H6のX線構造分析を図13に示す。
【0067】
実施例3g:RuCl[1,3−ビス(o−トリル)−4,4,5,5−テトラメチル−イミダゾリン−2−イリデン](=CH−o−PrPh)(H7)
【化38】

工程Cで調製。室温で4時間撹拌。1H NMR (500 MHz, C6D6): δ 16.64 (s, 0.75H), 16.33 (s, 0.25H), 8.89 (d, J = 7.7 Hz, 0.75H), 8.84 (d, J = 7.9 Hz, 0.25H), 7.43-7.25 (m, 4H), 7.20-7.05 (m, 4H), 6.99-6.94 (m, 1H), 6.70-6.62 (m, 1H), 6.34 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.45 (sept, J = 6.1 Hz, 1H), 2.74 (s, 0.75H), 2.68 (s, 2.25H), 2.47 (s, 0.75H), 2.44 (s, 2.25H), 1.38-1.20 (m, 10H), 1.04 (S, 2H), 0.76-0.70 (m, 6H). 13C NMR (125 MHz, C6D6): δ 214.0, 211.5, 153.1, 153.0, 145.8, 143.3, 143.2, 141.6, 140.8, 1403, 139.8, 137.3, 136.5, 136.0, 134.7, 134.4, 132.3, 132.2, 131.9, 129.6, 129.5, 129.4, 129.1, 128.9, 127.6, 127.3, 126.9, 126.6, 122.7, 122.6, 122.6, 122.5, 113.5, 75.2, 75.1, 72.3, 71.8, 71.7, 71.4, 24.9, 24.3, 24.1, 23.9, 22.7, 22.5, 22.4, 22.2, 22.1, 22.0, 20.3, 20.1, 19.7, 19.4, 19.3. HRMS Calc'd for C31H38Cl2N2ORu: 626.1405. Meas: 626.1427
【0068】
実施例3h:RuCl(1−メシチル−4,4−ジメチル−3−フェニルイミダゾリン−2−イリデン](=CH−o−PrPh)(H8)
【化39】

工程Cで調製。室温で4時間撹拌。1H NMR (500 MHz, C6D6): δ 16.49 (s, 0.5H), 16.48 (s, 0.5H), 7.99-7.96 (m, 2H), 7.57-7.49 (m, 4H), 7.10 (d, J = 0.6 Hz, 2H), 6.91 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.90 (sept, J = 6.2 Hz, 1H), 3.91 (s, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.33 (s, 6H), 1.47 (s, 6H), 1.22 (d, J = 6.2 Hz, 6H). 13C NMR (125 MHz, CD2Cl2): δ 297.6 (d, JC-H = 18 Hz), 209.9, 152.6, 145.1, 139.4, 138.8, 138.1, 136.5, 135.6, 130.1, 1230.0, 129.4, 128.9(0), 128.8(6), 122.9, 122.5, 113.4, 75.4, 66.0, 65.5, 27.8, 21.8, 21.5, 18.5. IR: 2967 (m), 1589 (m), 1572 (m), 1489 (m), 1472 (m), 1450 (m), 1380 (s), 1317 (m), 1286 (s), 1207 (m), 1179 (m), 1154 (m), 1113 (s), 1031 (w), 931 (m), 877 (w), 805 (w), 770 (w), 754 (m), 699 (m) cm-1. HRMS Calc'd for C34H44Cl2N2ORu: 612.1249. Meas: 612. 1229
【0069】
実施例4:閉環複分解(RCM)の為のルテニウム触媒(実施例3の触媒参照)の標準活性テスト
すべてのテストはRitter等により記載された実験方法で行った(Ritter, T.; Hejl, A.; Wenzel, A.; Funk, T.W.; Grubbs, R.H., Organometallics, 2006, 25, 5740参照)
【0070】
閉環複分解(RCM)テスト用のストック溶液の調製
グローブボックス内部で、メスフラスコにルテニウム触媒HまたはP(0.016mmol)を仕込み、CDClまたはCを添加して1.0mlのストック溶液(0.016M)を調製した。
【0071】
選択活性テスト結果
錯体P0、P2、P4、H0、H1、H2、H4を反対にテストした。触媒P0およびH0はScholl, M.; Ding, S.; Lee, C.W.; Grubbs, R,H. Org. Lett. 1999, 1, 953-956; Schwab, P.; Grubbs, R.H.; Ziller, J.W. J, Am. Chem. Soc.1996, 118, 100-110; and Schwab, P.; France, M.B.; Ziller, J.W.; Grubbs, R.H. Angew. Chem., Int. Ed. 1995, 34, 2039-2041に記載されている。すべての錯体PおよびHはジエチルアリルマロネート(R7、図1)およびジエチルアリルメタリルマロネート(R9、図2)のRCM反応を効率的に触媒した。錯体Pについては、置換パターンはテストが行われた条件での反応工程に影響を与えなかったと考える。触媒Hについては、骨格置換は30℃で開始率を低下するようである。
【化40】

【0072】
実施例4a:ジエチルジアリルマロネート(R7)のRCM
スクリューカップ隔離トップを有するNMRチューブをグローブボックス内部で触媒ストック溶液(50μL、0.80μmol、1.0mol%)およびCDClまたはC(750μL)を仕込んだ。サンプルをNMRプローブで30(CDCl)または60℃(C)で平衡化し、R7(19.3μL、19.2mg、0.080mmol、0.1M)をシリンジを介して添加した。データーポイントをバリアンアレー機能(Varian array function)を用いて適当な時間で回収した。R8への変換は出発材料中のメチレンプロトンδ2.61(dt)の積分と生成物のそれ(δ2.98(s))と比較することによって決定した。60℃で、H型の触媒間の差は最小であった。結果を図1に示す。
【0073】
実施例4b:ジエチルアリルメタリルマロネート(R9)のRCM
スクリューカップ隔離トップを有するNMRチューブをグローブボックス内部で触媒ストック溶液(50μL、0.80μmol、1.0mol%)およびCDClまたはC(750μL)を仕込んだ。サンプルをNMRプローブで30(CDCl)または60℃(C)で平衡化し、R9(20.5μL、20.4mg、0.080mmol、0.1M)をシリンジを介して添加した。データーポイントをバリアンアレー機能を用いて適当な時間で回収した。R10への変換は出発材料中のメチレンプロトン(δ2.67(s)、2.64(dt))の積分と生成物のそれ(δ2.93(s)、2.88(m))と比較することによって決定した。結果を図2に示す。
【0074】
実施例5:閉環複分解(RCM)の為のルテニウム触媒H6およびH7(実施例3fおよび3g中のH6およびH7参照)の標準活性テスト
すべてのテストはRitter等により記載された実験方法で行った(Ritter, T.; Hejl, A.; Wenzel, A.; Funk, T.W.; Grubbs, R.H., Organometallics, 2006, 25, 5740参照)
【0075】
閉環複分解(RCM)テスト用のストック溶液の調製
グローブボックス内部で、メスフラスコにルテニウム触媒H6(9.6mg、0.016mmol)を仕込み、CDClまたはCを添加して1.0mlのストック溶液A(0.016M)を調製した。ストック溶液BもH7(10.0mg、0.016mmol)を用いて同様に調製した。
【0076】
選択活性テスト結果
錯体H6およびH7はジエチルアリルマロネート(R7、図3)およびジエチルアリルメタリルマロネート(R9、図4)のRCM反応を効率的に触媒したが、30℃で公知のルテニウム触媒H10に比べて長い誘導時間があった。
【0077】
実施例5a:ジエチルジアリルマロネート(R7)のRCM
スクリューカップ隔離トップを有するNMRチューブをグローブボックス内部で触媒ストック溶液(50μL、0.80μmol、1.0mol%)およびCDClまたはC(750μL)を仕込んだ。サンプルをNMRプローブで30(CDCl)または60℃(C)で平衡化し、R7(19.3μL、19.2mg、0.080mmol、0.1M)をシリンジを介して添加した。データーポイントをバリエーションアレー機能を用いて適当な時間で回収した。R8への変換は出発材料中のメチレンプロトン(δ2.61(dt))の積分と生成物のそれ(δ2.98(s))と比較することによって決定した。結果を図3に示す。
【0078】
実施例5b:ジエチルジアリルメタリルマロネート(R9、図4)のRCM
スクリューカップ隔離トップを有するNMRチューブをグローブボックス内部で触媒ストック溶液(50μL、0.80μmol、1.0mol%)およびCDClまたはC(750μL)を仕込んだ。サンプルをNMRプローブで30(CDCl)または60℃(C)で平衡化し、R9(20.5μL、20.4mg、0.080mmol、0.1M)をシリンジを介して添加した。データーポイントをバリエーションアレー機能を用いて適当な時間で回収した。R10への変換は出発材料中のメチレンプロトン(δ2.67(s)、2.64(dt))の積分と生成物のそれ(δ2.93(s)、2.88(m))と比較することによって決定した。
【0079】
60℃でH6およびH7の両方とも素早く開始し、90%変換をR7のRCMでは3分以内、およびR9のRCMでは20分以内を達成した(図5)。
【0080】
実施例5c:ジエチルジメタリルマロネート(R11)のRCM
スクリューカップ隔離トップを有するNMRチューブをグローブボックス内部で触媒ストック溶液(50μL、0.80μmol、1.0mol%または250μL、4.0μmol、5mol%)およびCDClまたはC(750または550μL)を仕込んだ。サンプルをNMRプローブで30(CDCl)または60℃(C)で油浴中で平衡化し、R11(21.6μL、21.5mg、0.080mmol、0.1M)をシリンジを介して添加した。データーポイントを適当な時間で回収した。R12への変換は出発材料中のメチレンプロトン(δ2.71(s))の積分と生成物のそれ(δ2.89(s))と比較することによって決定した。
【0081】
錯体H6およびH7は、図6に示されているように、公知のルテニウム錯体H0よりも優れたテトラ置換オレフィン形性RCM反応用の触媒として非常に効率的である。特に、錯体H6は、目的の反応に対して触媒負荷1mol%で20時間85%の変換を可能にする。5mol%のH6では60℃で、同じ反応を20分で完結する。
【0082】
実施例6:閉環複分解(RCM)、クロス複分解(CM)および開環複分解重合(ROMP)反応のルテニウムジェムジ置換NHC錯体H8(実施例3h)とルテニウムテトラ置換NHC錯体H6(実施例3f)の標準活性テストの比較
【0083】
実施例6a:RCM反応
テストは、Ritter等による実験方法(Ritter, T.; Hejl, A.; Wenzel, A.; Funk, T.W.; Grubbs, R.H., Organometallics, 2006, 25, 5740参照)で行った。図7a、7bおよび7c参照。
【化41】

スキーム3:骨格置換触媒を有するRCM
反応は、密閉キャップを有するNMRチューブ中で行い、変換はNMRで決定した。
【0084】
実施例6b:CM反応(図8参照)
【化42】

スキーム4:骨格置換触媒を有するクロス複分解およびROMP
変換およびE/Z率はGC分析で決定した。
反応は密閉キャップを有するNMRチューブ中で行い、変換はNMR決定した。
【0085】
実施例6c:シクロオクタジエンのROMP(図9参照)
【0086】
実施例7:化合物H6の初期運動の研究(実施例3f参照)
Eyringプロットを図10に示す。
【0087】
化合物H6の初期運動研究は文献の方法(Ritter, T.; Hejl, A.; Wenzel, A.; Funk, T.W.; Grubbs, R.H., Organometallics, 2006, 25 5740参照)で行った。
【表1】

【0088】
実施例8:触媒量の少ない閉環複分解
【0089】
実施例8a:H0、H2、H3およびH4の触媒量15ppmでジエチルアリルマロネートR7のRCMをテストした(図11参照)。
【0090】
実施例8b:H7およびH9の触媒量15ppmでのジエチルアリルマロネートR7のRCMをテストした(図12参照)。これらの条件下で、H7はより高いR8収率を示す。
【0091】
実施例8c:H0、H4、H6、H7およびH9の触媒量200ppmでのRCMをテストした(スキーム5)。
【化43】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
a)RおよびRはメチルであり、
およびRは独立して、メチル、エチル、またはアリルであり、また、RおよびRはそれらを保持する炭素原子と供に融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、
およびRは各々独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキルまたは式(II)の構造を有する基
【化2】

式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であるが、RおよびRは同時にC〜C10アルキルではなく、および
および/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、または
b)Rはメチルであり、
は水素であり、
およびRは独立して、メチル、エチル、アリル、またはイソプロピルであり、RおよびRはそれが保持する炭素原子と共に、融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、かつRおよびRは両方が同時にイソプロピルではなく、
およびRはおのおの独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキル、または式(II)の構造を有する基であり、
【化3】

式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であり、および
および/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、および
はイミダゾリニウム塩のアニオンである。)
を有するイミダゾリニウム塩。
【請求項2】
およびRがメチルで、
およびRがメチル、またはRおよびRがそれを保持している炭素と供に、融合6員環環状炭素リングを形成し、
およびRが独立して、イソプロピル、tert−ブチル、ネオペンチル、フェニルから選択され、または式(II)
【化4】

(式中、nは1〜3の範囲であり、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基から選択され、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物から選択され、但しRおよびRは同時にC〜C10アルキルではない。)
の構造を有する基である請求項1記載のイミダゾリニウム塩。
【請求項3】
およびRがメチルであり、
およびRが独立して、フェニル、メシチル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、o−ジフルオロフェニル、o−ジクロロフェニルまたはo−イソプロピルフェニルおよび
Xが塩化物、臭化物、ヨウ化物、テトラフルオロボレート(BF)またはトリフルオロアセテート(CFCOO)である請求項2記載のイミダゾリニウム塩。
【請求項4】
がメチルであり、
がHであり、
およびRがメチル、またはRおよびRがそれを保持している炭素と供に、融合6員環環状炭素リングを形成し、
およびRが独立して、イソプロピル、tert−ブチル、ネオペンチル、フェニル、または式(II)
【化5】


(式中、nは1〜3の範囲であり、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基から選択され、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物から選択される。)
の基である、請求項1記載のイミダゾリニウム塩。
【請求項5】
およびRがメチル、またはRおよびRがそれを保持している炭素と供に、融合6員環環状炭素リングを形成し、
およびRが独立して、フェニル、メシチル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、o−ジフルオロフェニル、o−ジクロロフェニルまたはo−イソプロピルフェニルおよび
Xが塩化物、テトラフルオロボレート(BF)またはトリフルオロアセテート(CFCOO)である請求項4記載のイミダゾリニウム塩。
【請求項6】
式(III)
【化6】

(式中、XおよびXは独立してアニオン性リガンドであり、
10およびR11は各々独立して、水素またはC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、アリール、C〜C20カルボキシレート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニロキシ、C〜C20アルキニロキシ、アリーロキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルフォニルまたはC〜C20アルキルスルフィニルから選択される置換若しくは非置換置換基であり、またはR10およびR11は要すれば共に結合して上記置換基の一つを通して環状構造を形成してもよく、
mは1または2であり、mは1の時、Lは中性の2電子ドナーリガンドであり、R11と結合してキレートカルベンリガンドを形成してもよく、およびmが2の時、Lはヘテロアレーンリガンドであり、および
NHCは式(IV):
【化7】

a)RおよびRはメチルであり、
およびRは独立して、メチル、エチル、またはアリルであり、また、RおよびRはそれらを保持する炭素原子と供に融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、
およびRは各々独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキルまたは式(II)の構造を有する基
【化8】

式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であるが、RおよびRは同時にC〜C10アルキルではなく、および
および/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、または
b)Rはメチルであり、
はHであり、
およびRは独立して、メチル、エチル、アリル、またはイソプロピルから選択され、RおよびRはそれが保持する炭素原子と共に、融合6、7および8員環環状炭素リングを形成し、かつRおよびRは両方が同時にイソプロピルではなく、
およびRはおのおの独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキル、または式(II)の構造を有する基であり、
【化9】

式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であり、および
および/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよく、または
c)RおよびRはC〜C10アルキルまたは共に環状構造を形成してもよく、
およびRはHであり、
およびRはおのおの独立して、C〜C10アルキル、シクロアルキル、融合または架橋環、アラルキル、または式(II)の構造を有する基であり、
【化10】

式中、nは1〜3の範囲であり、RまたはRは炭素数3以下を有する線状アルキル基であってよく、
は独立して水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アリール、アラルキルおよび1以上の官能基であり、
およびRは独立して、水素、C〜C10アルキル、フッ化物または塩化物であり、および
および/またはRはRおよびRの一方または両方と環状構造を形成してもよく、またはR、RおよびRの少なくとも一つと1以上の結合を通してもよい。)
を有するN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項7】
およびRはメチルであり、
およびRは、メチルであり、また、RおよびRはそれらを保持する炭素原子と供に融合6員環環状炭素リングを形成し、
およびRは各々独立して、イソプロピル、tert-ブチル、ネオペンチル、フェニルまたは式(II)の構造を有する基
【化11】

式中、nは1〜3の範囲であり、
はメチル、フッ化物または塩化物であり、
およびRは請求項6で定義されるものである、請求項6記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項8】
およびRは、メチルであり、
およびRは各々独立して、フェニル、メシチル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、o−ジフルオロフェニル、o−ジクロロフェニルまたはo−イソプロピルフェニルである請求項7記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項9】
はメチルであり、
はHであり、
およびRはメチルであり、RおよびRはそれが保持する炭素原子と共に、融合6員環環状炭素リングを形成し、
およびRは独立して、イソプロピル、tert-ブチル、ネオペンチル、フェニル、または式(II)の構造を有する基であり、
【化12】

式中、nは1〜3の範囲であり、
はメチル、フッ化物または塩化物であり、および
およびRは請求項6で規定したものである、請求項6記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項10】
およびRはメチルであり、またはRおよびRはそれが保持する炭素原子と共に、融合6員環環状炭素リングを形成し、および
およびRは独立して、フェニル、メシチル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、o−ジフルオロフェニル、o−ジクロロフェニルまたはo−イソプロピルフェニルである、請求項9記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項11】
およびXは塩化物、またはベンゾエート、C〜Cカルボキシレート、C〜Cアルキル、フェノキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、アリールまたはC〜Cアルキルスルフォネートから選択される置換または非置換基であり、
10は水素、C〜Cアルキルまたはアリールであり、
11はC〜C20アルキル、C〜C20アルケニルまたはアリールから選択される置換または非置換基であり、
mは1であり、および
Lはフォスフィン、スルフォネート化フォスフィン、フォスファイト、フォスフィナイト、フォスフォナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルフォキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジンまたはチオエーテルから選択され、R11と結合してキレート化カルベンリガンドを形成する、
請求項6、7、8、9または10記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項12】
およびXは各々塩化物、CFCO、CH、CFHCO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CHCO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート、またはトリフルオロメタンスルフォネートであり、
10は水素、C〜Cアルキルまたはアリールであり、
11はC〜C20アルキル、C〜C20アルケニルまたはアリールからなる群から選択される置換または非置換基であり、
mは1であり、および
Lは式PR’R’’R’’’(式中、R’、R’’およびR’’’は各々独立してアリール、C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、またはR11と結合してカルベンリガンドを形成する。)のフォスフィンである、請求項11記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項13】
およびXは塩化物であり、
10は水素であり、
11はフェニル、ビニルまたは−C=C(CHであり、
mは1であり、および
LはP(シクロヘキシル)、P(シクロペンチル)、P(イソプロピル)、またはP(フェニル)から選択されるか、またはR11と結合してキレート化カルベンリガンドを形成する、請求項12記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項14】
式(III)の触媒が、式(V)
【化13】

[式中、NHCは前記請求項6に規定した式(IV)のN−ヘテロ環状カルベンであり、
Yは酸素、硫黄、窒素またはリンから選択されるヘテロ原子であり、
およびXは、独立してアニオン性リガンドであり、
Zは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニロキシ、アルキニロキシ、アリーロキシ、官能化アルキル、または官能化アリールから選択され、官能化基は独立して、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、カルボニル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、ニトレート、ニトリル、ニトロ、シアノ、イソシアネート、ヒドロキシル、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、スルフィド、スルフォニル、スルフィニル、ジスルフィド、スルフォネート、カルバメート、シラン、シロキサン、フォスフィン、フォスフェート、ボレート、またはそれらの組合せから選択されても良く、各々は要すればアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール、アリーロキシまたはヘテロアリール部分で置換されていてもよく、
、R、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アルケニロキシ、アルキニロキシ、アリーロキシ、官能化アルキル、または官能化アリールから選択され、官能化基は独立して、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、カルボニル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、ニトレート、ニトリル、ニトロ、シアノ、イソシアネート、ヒドロキシル、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、スルフィド、スルフォニル、スルフィニル、ジスルフィド、スルフォネート、カルバメート、シラン、シロキサン、フォスフィン、フォスフェート、ボレート、またはそれらの組合せから選択されても良く、各々は要すればアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール、アリーロキシまたはヘテロアリール部分で置換されていてもよく、R、R、RおよびRの2以上は独立して、炭化水素または官能化された炭化水素基で結合して、脂肪族環または芳香族環を形成してもよい。]
の構造を有する請求項6記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項15】
式(III)の触媒が
【化14】

から選択される請求項13記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項16】
式(III)の触媒が
【化15】

から選択される請求項11記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項17】
LがP(シクロヘキシル)、P(シクロペンチル)、P(イソプロピル)またはP(フェニル)から選択される請求項13記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項18】
LがP(シクロヘキシル)、P(シクロペンチル)、P(イソプロピル)またはP(フェニル)から選択される請求項11記載のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒。
【請求項19】
少なくとも二つの末端オレフィンを有する化合物であって、複分解(metathesis)条件下に各末端オレフィンのベーター炭素において請求項6、7、8、9または10のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒で置換されたものを接触して、環状テトラ−置換オレフィンを形成することからなるテトラ置換環状オレフィンを調製する閉環複分解方法。
【請求項20】
触媒が約25ppm〜約10モル%の量で存在する請求項12記載の方法。
【請求項21】
オレフィンを複分解条件下に請求項6、7、8、9または10のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒と接触する工程を包含するオレフィン複分解反応。
【請求項22】
オレフィンと、
アリル炭素において、複分解条件下に請求項6、7、8、9または10のN−ヘテロ環状カルベン(NHC)ルテニウムオレフィン複分解触媒で置換された置換基を有するトリ置換オレフィンまたはジ−置換オレフェンと
を接触する工程を包含するクロス複分解反応。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−523625(P2011−523625A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504183(P2011−504183)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/040109
【国際公開番号】WO2009/126831
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(507021366)マテリア, インコーポレイテッド (7)
【出願人】(399129696)カリフォルニア・インスティテュート・オブ・テクノロジー (11)
【氏名又は名称原語表記】CALIFORNIA INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】