説明

置換エリスロマイシンアナログの調製および有用性

本開示は、式(I)の新規マクロライド抗生物質およびその医薬的に許容される塩およびプロドラッグ、その化学合成、および種々の好気性および嫌気性のグラム溶性菌およびグラム陰性菌ならびに種々のマイコバクテリウムによって引き起こされる感染を治療および/または管理するための、このような新規化合物の医療への使用に関する。


式1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、式1のマクロライド抗生物質およびその医薬的に許容される塩およびプロドラッグ、その化学合成、および種々の好気性および嫌気性のグラム溶性菌およびグラム陰性菌ならびに種々のマイコバクテリウムによって引き起こされる感染を治療および/または管理するための、このような化合物の医療への使用に関する。
【0002】
(相互参照)
本願は、米国仮出願番号第60/810,934号(2006年6月5日出願)および米国仮出願番号第60/885,545号(2007年1月18日出願)の利益を請求し、両者とも内容全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
クラリスロマイシン(Biaxin(登録商標))は、感受性微生物の50Sリボソームサブユニットに結合することによって、タンパク質合成を阻害すると考えられている治療薬剤である。このように、クラリスロマイシンは、親化合物であるエリスロマイシン(エリスロマイシンA、Erythro)、およびアジスロマイシン(Zithromax(登録商標))、およびテリスロマイシン(Ketek(登録商標))のようなケトリドを含む抗生物質という大分類に属している。種々の薬剤は、化学安定性、代謝安定性、分布パターンおよび感受性微生物のスペクトルに基づいて、薬理学的に部分的に異なっている。
【化1】

【0004】
クラリスロマイシン(Biaxin(登録商標))およびエリスロマイシンは、in vivoで酸化的分解および加水分解によって複数の代謝物に変換される。これにより、代謝に関連する現象をつきとめることができる。例えば、この種のマクロライド薬物は、CYP2C8およびCYP2C9mを含む多様な形態で発現するシトクロムP450によって代謝される。その結果、ポリファーマシー(polypharmacy)でこれらを適用すると、必然的に複雑なものとなり、有害事象の可能性が示される。CYPは、多くの医薬の代謝に関与している。クラリスロマイシンおよび類似薬物が不活性生成物に容易に代謝されるため、これらの物質の抗微生物活性は短時間で消失し、所望の効力を達成するには、1日あたり高用量および複数回の投薬が必要となる。このように、クラリスロマイシンは、多くの患者にとって十分な抗生物質活性を発揮しない。さらに、クリアランスの多くはCYP3Aファミリーによって媒介されているため、これらのP450アイソフォームを阻害または上方調整することが知られている多くの薬物は、マクロライドと一緒に投薬する場合、マクロライドの薬物濃度に影響を与えることがある。これにより、患者間で過剰投薬または投薬量不足の形態での偏差が生じてしまい、それぞれ副作用が生じるか、または治療が失敗に終わることがある。
【0005】
したがって、必要な患者に十分な抗生物質活性を提供できるマクロライド抗生物質が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では重水素化マクロライド抗生物質を記載する。一実施形態では、重水素の濃縮は、マクロライドの特定の部位で起こる。別の実施形態では、重水素濃縮率は約1%以上である。さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約10%以上である。よりさらなる実施形態では、重水素濃縮率は約20%以上である。一実施形態では、重水素濃縮率は約50%以上である。さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約70%以上である。さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約80%以上である。よりさらなる実施形態では、重水素濃縮率は約90%以上である。さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約95%以上である。一実施形態では、重水素化マクロライドは、対応するプロチウム化抗生物質よりも代謝速度が遅い。
【0007】
本明細書では、さらに、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびアジスロマイシンの重水素化類似体(上述の化合物についてそれぞれ、1種類のエナンチオマー、(+)−エナンチオマーおよび(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーおよび約10重量%以下の(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーおよび約10重量%以下の(−)−エナンチオマーの混合物、個々のジアステレオマー、またはジアステレオマー混合物、または医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)も記載する。一実施形態では、重水素の濃縮は、マクロライドの特定の部位で起こる。別の実施形態では、重水素濃縮率は約1%以上である。さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約10%以上である。よりさらなる実施形態では、重水素濃縮率は約20%以上である。別の実施形態では、重水素濃縮率は約50%以上である。よりさらなる実施形態では、重水素濃縮率は約70%以上である。さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約80%以上である。よりさらなる実施形態では、重水素濃縮率は約90%以上である。さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約95%以上である。一実施形態では、重水素化マクロライドは、対応するプロチウム化抗生物質よりも代謝速度が遅い。
【0008】
本明細書では、式1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを開示している。
【化2】

式1
式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化3】

および
【化4】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される;
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率は少なくとも約1%である;
但し、式1の化合物は
【化5】

ではない。
【0009】
一態様では、治療的に有効量の式1の化合物を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、当該化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差の減少に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【0010】
一実施形態では、上述の疾患または状態は、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される。
【0011】
一態様では、治療的に有効量の式1の化合物を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、単位投薬あたりの当該化合物の平均血漿濃度の増加に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【0012】
別の態様では、治療的に有効量の式1の化合物を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、単位投薬あたりの当該化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿濃度の低下に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【0013】
一態様では、治療的に有効量の式1の化合物を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、哺乳動物被検体における単位投薬あたり、少なくとも1つの多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームによる代謝の低下に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。一実施形態では、上述のシトクロムP450アイソフォームは、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46およびCYP51からなる群から選択される。別の実施形態では、上述のシトクロムP450アイソフォームは、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19およびCYP2D6からなる群から選択される。
【0014】
別の態様では、治療的に有効量の式1の化合物を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、哺乳動物被検体における単位投薬あたり、少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームの阻害の低下に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【0015】
一態様では、治療的に有効量の式1の化合物を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、単位投薬あたり、哺乳動物治療中の臨床効果の向上を誘発するように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【0016】
本明細書では、式1の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグと、医薬的に許容される担体または賦形剤とを含む、医薬組成物も開示している。一実施形態では、上述の組成物は、経口投与、非経口投与または静脈内注入投与に適している。
【0017】
一実施形態では、経口投与は、錠剤またはカプセルを投与する工程を含む。
【0018】
さらなる実施形態では、式1の化合物は、1日に合計約0.1mg〜約2,000mgの用量で投与される。
【0019】
一態様では、治療的に有効量の式1
【化6】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化7】

および
【化8】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【0020】
一態様では、治療的に有効量の式1の化合物
【化9】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化10】

および
【化11】

からなる群から選択され、ここでAおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]
またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグと組み合わせて、治療的に有効量のプロトンポンプ阻害剤を哺乳動物に投与する工程を含む、胃潰瘍または十二指腸潰瘍が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【0021】
一実施形態では、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、レミノプラゾール、イラプラゾール、ネパプラゾール、サビプラゾールおよびテナトプラゾールからなる群から選択される。別の実施形態では、本発明は、治療的に有効量のアモキシシリンを投与する工程をさらに含む。
【0022】
さらに、本明細書では、感受性微生物の50Sリボソームサブユニットを調整する方法を開示している。
【0023】
それに加え、本明細書では、種々の好気性および嫌気性のグラム溶性菌およびグラム陰性菌ならびに種々のマイコバクテリウムによって引き起こされる感染を含む疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある哺乳動物被検体を治療する方法を開示している。
【0024】
(参照による組込み)
本明細書で言及されたすべての発行物および特許明細書が、それぞれ個々の発行物または特許明細書が特に、そして個々に、参考文献によって組み込まれると示唆されるのと同一の程度まで、参考文献によって本明細書で組み込まれている。
【詳細な記述】
【0025】
本明細書で列記した開示物の理解を促進するために、多数の語句を以下に定義する。
【0026】
本明細書で使用するところの、単数型「a」、「an」および「the」は、他に特に言及しない限り、複数品を意味してよい。一般に、本明細書で使用するところの用語、および本明細書で記述する有機化学、医学的化学および薬理学における研究室手順が、当業者によく知られており、一般に利用されている。他に定義しない限り、本明細書で使用するところのすべての技術的および科学的語句が一般に、本開示物が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される。本明細書の語句に対して多数の定義が存在する場合、他に言及しない限り、本項目で使用される。
【0027】
語句「被検体(subject)」は、限定はしないが、霊長類(たとえばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットまたはマウスを含む、動物を意味する。語句「被検体」および「患者(patient)」は、たとえば、参考文献にて本明細書で相互的に、ヒト被検体のような、哺乳動物被検体に対して使用される。
【0028】
語句「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」および「処置(treatment)」は、疾患、疾病または状態、または疾患、疾病または状態に関連した1つまたはそれ以上の症状を軽減すること、または無効にすること、または疾患、疾病または状態それ自身の原因を軽減すること、または無効にすること、を含んで意図される。
【0029】
語句「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」および「予防(prevention)」は、疾患、疾病または状態の開始、および/またはその付帯症状を遅延させる、または排除する、被検体が疾患を獲得することを防ぐ、または疾患、疾病または状態を獲得する被検体のリスクを減少させる方法を意味する。
【0030】
語句「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、投与したときに、処置している疾患、疾病または状態の1つまたはそれ以上の症状の発達を予防するため、またはある程度まで軽減するために十分な化合物の量を意味する。語句「治療有効量」はまた、研究者、獣医、医者または臨床家によって追求されている細胞、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘引するために必要な化合物の量を意味する。
【0031】
語句「薬理学的に許容可能な担体(pharmaceutically acceptable carrier)」、「薬理学的に許容可能な賦形剤(pharmaceutically acceptable excipient)」、または「生理学的に許容可能な担体(physiologically acceptable carrier)」または「生理学的に許容可能な賦形剤(physiologically acceptable excipient)」は、液体または固体充填剤、希釈液、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質のような、薬理学的に許容可能な物質、組成物または賦形剤を意味する。各成分は、薬理学的処方の他の成分と適合可能であることに関して、「薬理学的に許容可能」でなければならない。過剰な毒性、炎症、アレルギー性応答、免疫原性、または他の問題または合併症、適切な利益/リスク比とのつりあいなしに、ヒトおよび動物の組織または器官に関連しての利用のために好適でなければならない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition;Lippincott Williams&Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition;Roweら,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005;and Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition;Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004)を参照。
【0032】
語句「薬理学的組成物(pharmaceutical composition)」は、希釈液または担体のような、他の化学的化合物との、本明細書で開示された化合物の混合物を意味する。薬理学的組成物は、有機体への化合物の投与を促進する。化合物を投与する多数の技術が、本技術分野で存在し、限定はしないが、経口、注射、エアゾル、非経口および局所投与が含まれる。薬理学的組成物はまた、化合物を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などのような、無機または有機酸と反応させることによっても得ることが可能である。
【0033】
語句「担体(carrier)」は、細胞または組織への化合物の組み込みを促進する化学的化合物を定義する。たとえば、有機体の細胞または組織内への多くの有機化合物の取り込みを促進するので、ジメチルスルホキシド(DMSO)が一般的に利用される担体である。
【0034】
語句「重水素濃縮(deuterium enrichment)」は、水素代わりの、分子内の該部分での重水素の取り込みの割合を意味する。たとえば、該位置での約1%の重水素濃度が、該試料中の分子の約1%が、特定の位置で重水素を含むことを意味する。天然に存在する重水素の分布は、約0.0156%であるので、非濃縮開始物質を用いて合成した化合物中の、任意の位置での重水素濃縮は、約0.0156%である。重水素濃縮は、質量分析および核磁気共鳴スペクトルを含む、当業者に公知の従来の解析方法を用いて決定可能である。
【0035】
語句「同位体濃縮(isotopic enrichment)」は、より一般的な元素の同位体のかわりに、分子中の該位置における、一般的でない元素の同位体の取り込みの%を意味する。
【0036】
語句「同位体元素が濃縮されていない(non−isotopically enriched)」は、種々の同位体の割合が、天然に存在する割合と本質的に同一である分子を意味する。
【0037】
語句「本質的に純粋(substantially pure)」および「本質的に同質(substantially homogeneous)」は、限定はしないが、薄膜クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)、および質量分析(MS)を含む、当業者によって使用される標準の解析方法によって決定されたように、簡単に検出可能な不純物を含まないと明らかなほど本質的に同質であるか、またはさらなる精製が、基質の、生理学的および化学的特性、または酵素的および生物学的活性のような、生物学的および薬理学的特性を検出可能に変化させないように本質的に純粋であることを意味する。特定の実施形態において、「本質的に純粋である」または「本質的に均質である」は、標準の解析方法によって決定されるように、そのラセミ混合物または単一立体異性体を含む、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも99.5%が単一の化合物である、分子の集団を意味する。
【0038】
語句「約(about)」または「およそ(approximately)」は、部分的に、値を測定するまたは決定する方法に依存する、当業者によって決定されたような、特定の値に関して、許容可能な誤差を意味する。特定の実施形態で、「約」は、1またはそれ以上の標準偏差をもって意味されうる。
【0039】
語句「活性成分(active ingredient)」および「活性基質(active substance)」は、疾患または疾病の1つまたはそれ以上の症状を処置するため、予防するため、または軽減するために、被検体に、単独で、または1つまたはそれ以上の薬理学的に許容可能な賦形剤との組合せで、投与する化合物を意味する。
【0040】
語句「薬物(drug)」、「治療薬剤(therapeutic agent)」および「化学療法薬剤(chemotherapeutic agent)」は、疾患または疾病の1つまたはそれ以上の症状を処置するため、予防するため、または軽減するために、被検体に投与する、化合物またはその薬理学的組成物を意味する。
【0041】
語句「放出制御賦形剤(release controlling excipient)」は、その第一の機能が、従来の速効放出用量形態と比較して、用量形態からの活性基質の放出の期間、または位置を改変することである、賦形剤を意味する。
【0042】
語句「非放出制御賦形剤(non−release controlling excipient)」は、その第一の機能が、従来の速効放出用量形態と比較して、用量形態からの活性基質の放出の期間、または位置を改変することである、賦形剤を意味する。
【0043】
用語「保護基」または「除去可能な保護基」は、官能基(例えば、ヒドロキシル基またはカルボキシル基の酸素原子、またはアミノ基の窒素原子)に結合した場合、官能基が反応するのを防ぎ、従来の化学工程または酵素工程で除去して官能基を再確立することが可能な基を指す(Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley&Sons,New York,NY,1999)。
【0044】
語句「ハロゲン(halogen)」、「ハロゲン化物(halide)」または「ハロ(halo)」には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0045】
語句「アルキル(alkyl)」および「置換アルキル(substituted alkyl)」は、相互互換的であり、特定の数の炭素原子をもつ、置換された、任意置換された、および未置換C〜C10直鎖飽和脂肪炭化水素基、置換された、任意置換された、および未置換C〜C10直鎖不飽和脂肪炭化水素基、置換された、任意置換された、および未置換C〜C10分岐飽和脂肪炭化水素基、置換された、任意置換された、および未置換C〜C10分岐不飽和脂肪炭化水素基、置換された、任意置換された、および未置換C〜C環状飽和脂肪炭化水素基、置換された、任意置換された、および未置換C〜C環状不飽和脂肪炭化水素基が含まれる。たとえば、「アルキル」の定義には、限定はしないが、メチル(Me)、三重水素メチル(−CD)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、ブチル(Bu)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペネンチル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、イソプロピル(i−Pr)、イソブチル(i−Bu)、tert−ブチル(t−Bu)、sec−ブチル(s−Bu)、イソペンチル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、メチルシクロプロピル、エチルシクロヘキセニル、ブテニルシクロペンチル、アダマンチル、ノルボルニルなどが含まれうる。アルキル置換基は独立して、水素、重水素、ハロゲン、−OH、−SH、−NH、−CN、−NO、=O、=CH、トリハロメチル、カルバモイル、アリールC0−10アルキル、ヘテロアリールC0−10アルキル、C1−10アルキルオキシ、アリールC0−10アルキルオキシ、C1−10アルキルチオ、アリールC0−10アルキルチオ、C1−10アルキルアミノ、アリールC0−10アルキルアミノ、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノ、C1−10アルキルカルボニル、アリールC0−10アルキルカルボニル、C1−10アルキルカルボキシ、アリールC0−10アルキルカルボキシ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノ、テトラヒドロフリル、モルホリニル、ピペラジニル、ヒドロキシピロニル、−C0−10アルキルCOOR30および−C0−10アルキルCONR3132(必ずしもこれらに限定されない)からなる群より選択され、式中、R30、R31およびR32は水素、重水素、アルキル、アリールからなる群より独立して選択されるか、またはR32およびR33が、結合している窒素と一緒に、本明細書で定義したような少なくとも1つの置換基と、3〜8個の炭素原子を持つ飽和環状または不飽和環状系を形成する。
【0046】
語句「アリール(aryl)」は、安定共有結合を形成可能な任意の環位置にて共有結合した、未置換一環、多環、ビアリール芳香族基を表し、特定の好ましい結合点は、当業者に明らかである(たとえば3−フェニル、4−ナフチルなど)。アリール置換基は独立して、水素、重水素、ハロゲン、−OH、−SH、−CN、−NO、トリハロメチル、ヒドロキシピロニル、C1〜10アルキル、アリールC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルチオC0−10アルキル、C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルアミノC0−10アルキル、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、−C0−10アルキルCOOR30および−C0−10アルキルCONR3132(必ずしもこれらに限定されない)からなる群より選択され、式中、R30、R31およびR32は水素、重水素、アルキル、アリールからなる群より独立して選択されるか、またはR31およびR32が、結合している窒素と一緒に、本明細書で定義したような少なくとも1つの置換基と、3〜8個の炭素原子を持つ飽和環状または不飽和環状系を形成する。
【0047】
「アリール」の定義には、限定はしないが、フェニル、ペンタデューテロフェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、アンソリル、フェナンソリル、フルレニル、ピレニルなどが含まれる。
【0048】
語句「プロドラッグ(prodrug)」は、in vivoにて親薬物に変換される薬剤を意味する。プロドラッグは、いくつかの状況で、親薬物よりも簡単に投与されうるので、しばしば有用である。
【0049】
本開示物に記述された目的に関して、「アルキル」および「アリール」基または任意にC−H結合を通常含む基に対するすべての参照に、本明細書にて概説した改善に影響を与えるために要求されるような、部分的または完全に変性したバージョンが含まれてよい。
【0050】
(重水素速度論同位体効果)
その循環系から、治療的薬剤のような、外来物質を削除するために、動物の体は、シトクロムP450酵素またはCYP、エステラーゼ、プロテアーゼ、リダクターゼ、デヒドロゲナーゼおよびモノアミンオキシダーゼのような種々の酵素を発現して、それらの外来物質と反応し、腎排出のために、より極性の中間体または代謝物に変換する。もっとも一般的な薬理学的化合物の代謝反応のいくつかには、炭素−酸素(C−O)または炭素−炭素(C−C)π−結合いずれかに結合した、炭素−水素(C−H)の酸化が含まれる。結果として得られた代謝物は、生理学的条件下で、安定であるか、または不安定であり、親化合物に対して、本質的に異なる薬物動態学的、薬力学的、急性および長期毒性特性を持ちうる。ほとんどの薬物に対して、そのような酸化は一般的に迅速であり、結局のところ、多回または高い一日用量の投与を導く。
【0051】
活性化エネルギーと反応の速度との間の関係は、アレニウスの式、k=Ae−Eact/RTによって定量してよく、式中Eactは活性エネルギーであり、Tは温度であり、Rは分子気体定数であり、kは反応の速度定数であり、A(頻度因子)は、分子が正しい方向でコイルを巻く可能性に依存した、各反応に特徴的な定数である。アレニウスの式は、エネルギーバリアを打ち負かすのに十分なエネルギーを持つ分子の画分、すなわち活性化エネルギーと少なくとも等しいエネルギーを持つものは、熱エネルギー(RT)に対する活性化エネルギーの比、分子が特定の温度にて持つ熱エネルギーの平均量に指数関数的に依存することを提示している。
【0052】
遷移状態は、本来の結合がその制限まで伸長する反応経路にそった、短命の状態(10−14秒のオーダー)である。定義によって、反応に対する活性化エネルギーEactは、その反応の遷移状態に達するために必要なエネルギーである。多数の段階が関与する反応は必然的に、多数の遷移状態を持ち、これらの例において、反応に対する活性化エネルギーは、反応物とほとんどの不安定遷移状態間のエネルギー差に等しい。一旦遷移状態に達したならば、分子が元に戻り、したがって本来の反応物が再形成されるか、または新規の結合が形成されて、産物が発生しうる。両方の経路、フォワードおよびリバースが、結果としてエネルギーの放出となるので、この二分法が可能である。触媒は、遷移状態を導いている活性化エネルギーを低下させることによって、反応工程を促進する。酵素は、特定の遷移状態を達成するのに必要なエネルギーを減少させる、生物学的触媒の例である。
【0053】
炭素−水素結合は、生来共有化学結合である。そのような結合は、類似の電気陰性度の2つの原子が、それらの価電子を共有し、それによって一緒に原子を維持する力が作り出される場合に形成される。この力または結合力は、エネルギーのユニットで定量し、表現可能であり、そのようなものとして、種々の原子間の共有結合を、結合を壊すか、または2つの原子を分離するために、どれくらいのエネルギーを適用しなければならないかにしたがって、分類可能である。
【0054】
結合力は、結合の基底状態振動の絶対値に直接比例する。ゼロ点変動エネルギーとしても公知のこの振動エネルギーは、結合を形成する原子の質量に依存している。ゼロ点変動エネルギーの絶対値は、結合を増加させる1つまたは療法の原子の質量として増加する。重水素(D)は、水素(H)の二倍の質量であり、C−D結合は、相当するC−H結合よりも強い。C−D結合を持つ化合物はしばしば、HO中で無制限に安定であり、同位体研究のために広く利用されてきている。C−H結合が、化学的反応における速度決定段階の間(すなわちもっとも高い遷移状態エネルギーをもつ段階)の間に破壊される場合、その水素を重水素に置換することによって、反応速度の減少が引き起こされ、工程が遅延しうる。この現象は、重水素速度論同位体効果(Deuterium Kinetic Isotope Effect(DKIE))と呼ばれ、約1(同位体効果なし)〜50またはそれ以上のような、非常に大きな数字の範囲であり得、このことは、反応が、水素が重水素で置換される場合よりも、50またはそれ以上倍ゆっくりであり得ることを意味している。高いDKIE値は、部分的にトンネル現象と呼ばれる現象が原因で、これは不確実な原理の結果である。トンネル現象は、小さな大きさの水素原子に起因し、プロトンが含まれる遷移状態がしばしば、必要な活性化エネルギーがない場合に形成されるので発生する。重水素はより大きく、統計学的に本現象が起こる可能性は非常に低い。重水素での水素の置換が結果として、重水素よりもまたより強い結合となり、非常に大きな同位体効果を与える。
【0055】
Ureyによって1932年に発見されたように、重水素(D)は、水素の安定な、非放射活性同位体である。純粋な形態で、その元素から分離された最初の同位体であり、水素の二倍の重量を持ち、地球上で水素の総重量の約0.02%(この利用において、すべての水素同位体を意味する)をなす。2つの重水素原子が1つの酸素と結合する場合、二酸化重水素(DOまたは「重水(heavy water)」が形成される。DOは、HOのように見え、風味がするが、異なる物理的特性を持つ。101.41℃にて沸騰し、3.79℃にて凍結する。その熱容量、融解熱、振動熱、エントロピーはすべて、HOより大きい。HOより粘度が高く、異なる可溶性特性を持つ。
【0056】
純粋なDOを齧歯類に与えた場合、簡単に吸収され、通常動物によって消費される濃度の約80パーセントの平衡レベルに達する。毒性を誘導するのに必要な重水素の量は非常に高い。体内の水の0%〜15%がDOによって置換された場合、動物は健康であるが、対照(未処理)群と同様の早さで多重をえることはできない。約15%〜20%の体内の水がDOによって置換される場合、動物が興奮しやすくなる。約20%〜25%の体内の水がDOによって置換される場合、動物は刺激した時に、頻繁にけいれんを起こすようになるほど興奮する。皮膚傷害、脚および鼻口部における潰瘍、および尾の壊死が発生する。動物はまた、非常に活発になり、オスはほとんど制御不能になる。約30%の体内の水がDOに置換される場合、動物は食べることを拒絶し、昏睡状態になる。これらの体重は激しく減少し、その代謝速度は通常よりも非常に低下し、約30〜約35%のDOでの置換にて、死がおこる。30パーセントの先の体重がDOによって減少した場合以外、可逆的である。研究によってまた、DOの利用が、がん細胞の増殖を遅延させ、特定の抗腫瘍剤の細胞傷害性を増強可能であることも示された。
【0057】
トリチウム(T)は、水の放射活性同位体であり、研究、融合反応器、ニュートロン発生器および放射性医薬品にて利用される。トリチウムをリンと混合することによって、連続光源が提供され、一般に腕時計、コンパス、ライフル銃照準器および出口サインにて一般的に利用される技術である。トリチウムは、Rutherford,Oliphant and Harteckによって1934年に発見され、宇宙線がH分子と反応したときに、上層大気中で天然に産出される。トリチウムは、分子中に2つのニュートロンを持つ水素原子であり、3に近い原子量を持つ。非常に低濃度で環境中に天然に存在し、TOがもっとも一般的に見られ、無色および無臭の液体である。トリチウムはゆっくりと壊れ(半減期=12.3年)、ヒト皮膚の外層を浸潤できない、低エネルギーベータ粒子を放出する。内部被爆は、本同位体に関する主要な危険であり、明らかな健康リスクをもたらすまで、大量に摂取されなくてはならない。
【0058】
薬物動態(PK)、薬力学(PD)および毒性特性を改善するために、医薬品の重水素化が、いくつかのクラスの薬物ですでに明らかにされてきている。たとえば、DKIEを、塩化トリフルオロアセチルのような反応種の産出をおそらく制限することによって、ハロタンの肝毒性を減少させるために使用した。しかしながら、本方法は、すべての薬物クラスに適用可能であるわけではない。たとえば、重水素取り込みが、活性PhaseI酵素(たとえばシトクロムP450 3A4)から、より早いオフレートを持つ酸化中間体を与えうる、代謝スイッチングを導きうる。代謝スイッチングのコンセプトは、PhaseI酵素によって隔離した場合に、異種物が、一時的に結合し、化学反応(たとえば酸化)の前に、種々の配座にて再結合しうることを強く主張している。この仮説は、多くのPhaseI酵素と、比較的大きなサイズの結合ポケットと、多くの代謝反応の混乱した特性によって支持される。代謝スイッチングは、潜在的に、異なる特性の公知の代謝、ならびに完全に新規の代謝物を導きうる。この新規代謝特性は、程度の差はあるが毒性を与えうる。そのようなものは、これまで、任意の薬物クラスに関して十分に予測可能ではなかった。このような落とし穴は、従来、任意の種類の薬物について演繹的に十分に予測できるものではなかった。
【0059】
(重水素化マクロライド誘導体)
特定のマクロライド誘導体(例えばクラリスロマイシン)を本明細書に記載する。クラリスロマイシンの炭素−水素結合は、天然に存在する水素同位体分布で、すなわち、Hまたはプロチウム(約99.9844%)、Hまたは重水素(約0.0156%)およびHまたは三重水素(プロチウム原子1018個あたり、三重水素約0.5〜67個)を含有している。重水素の混入率が高くなると、天然に存在する濃度の重水素を有する化合物と比較して、抗生物質の薬物動態パラメータ、薬理パラメータおよび/または毒性パラメータに影響を与え得る検出可能な速度論的同位体効果(KIE)が生じる。
【0060】
本開示の態様は、抗生物質および/またはこれらの抗生物質を合成するのに使用する化学前駆体の炭素−水素結合の化学修飾および誘導体化によって、これらのマクロライド抗生物質の新規類似体を設計し、合成するアプローチを記載する。
【0061】
クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよび他のマクロライドは、シトクロムP450代謝部位であることが知られているN−メチル基のような基を含有する。クラリスロマイシンは、in vivoで酸化的分解および加水分解によって、複数の(示されている少なくとも12の)代謝物に変換される。主要代謝物は、活性14−OH誘導体および複数の不活性N−脱メチル化生成物およびN,N−脱ジメチル化生成物を生成するCYP3Aファミリー酵素によるI段階代謝を含む。しかし、これらの得られた代謝物の毒性および薬理は知られていない。さらに、多様な形態で発現したCYPは、これらのマクロライドを酸化し、このような相互作用を阻止することにより、患者差を減らし、薬物−薬物相互作用を減らし、T1/2を上げ、必要なCmaxを下げ、いくつかの他のADMETパラメータを高める。種々の重水素化パターンを使用し、(a)望ましくない代謝物を減らすかまたは完全になくし、(b)親薬物の半減期を伸ばし、(c)所望の効果を得るのに必要な投薬量を減らし、(d)所望の効果を得るのに必要な単回投薬量を減らし、(e)生成する場合には、活性代謝物の生成を増やし、および/または(f)特定の組織での有害な代謝物の産生を減らし、および/またはポリファーマシーが目的とされるか否かにかかわらず、ポリファーマシーにとってより有効な薬物および/またはより安全な薬物を作り出すことができる。
【0062】
本明細書では、構造式1を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを開示している。
【化12】


構造式1
式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化13】

および
【化14】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される;
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率は少なくとも約1%である;
但し、式1の化合物は
【化15】

ではない。
【0063】
一実施形態では、重水素の濃縮は、マクロライドの特定の部位で起こる。
【0064】
別の実施形態では、重水素濃縮率は約1%以上である。
【0065】
さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約10%以上である。
【0066】
よりさらなる実施形態では、重水素濃縮率は約20%以上である。
【0067】
別の実施形態では、重水素濃縮率は約50%以上である。
【0068】
さらに別の実施形態では、重水素濃縮率は約70%以上である。
【0069】
さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約80%以上である。
【0070】
よりさらなる実施形態では、重水素濃縮率は約90%以上である。
【0071】
さらなる実施形態では、重水素濃縮率は約95%以上である。
【0072】
一実施形態では、重水素化化合物は、対応するプロチウム化マクロライドよりも代謝速度が遅い。
【0073】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0074】
他の実施形態では、Rは水素ではない。
【0075】
いくつかの実施形態では、Rは重水素ではない。
【0076】
他の実施形態では、Rは−CHである。
【0077】
いくつかの実施形態では、Rは−CDHである。
【0078】
他の実施形態では、Rは−CDHである。
【0079】
いくつかの実施形態では、Rは−CDである。
【0080】
他の実施形態では、Rは−CHではない。
【0081】
いくつかの実施形態では、Rは−CDHではない。
【0082】
他の実施形態では、Rは−CDHではない。
【0083】
いくつかの実施形態では、Rは−CDではない。
【0084】
他の実施形態では、Rは−CHである。他の実施形態では、Rは−CHである。
【0085】
いくつかの実施形態では、Rは−CDHである。他の実施形態では、Rは−CDHである。
【0086】
他の実施形態では、Rは−CDHである。他の実施形態では、Rは−CDHである。
【0087】
いくつかの実施形態では、Rは−CDである。他の実施形態では、Rは−CDである。
【0088】
他の実施形態では、Rは−CHではない。他の実施形態では、Rは−CHではない。
【0089】
いくつかの実施形態では、Rは−CDHではない。他の実施形態では、Rは−CDHではない。
【0090】
他の実施形態では、Rは−CDHではない。他の実施形態では、Rは−CDHではない。
【0091】
いくつかの実施形態では、Rは−CDではない。他の実施形態では、Rは−CDではない。
【0092】
他の実施形態では、Xは
【化16】

である。
【0093】
いくつかの実施形態では、Xは
【化17】

である。
【0094】
他の実施形態では、Rは−CHである。
【0095】
いくつかの実施形態では、Rは−CDHである。
【0096】
他の実施形態では、Rは−CDHである。
【0097】
いくつかの実施形態では、Rは−CDである。
【0098】
他の実施形態では、Xは
【化18】

ではない。
【0099】
いくつかの実施形態では、Xは
【化19】

ではない。
【0100】
他の実施形態では、Rは−CHではない。
【0101】
いくつかの実施形態では、Rは−CDHではない。
【0102】
他の実施形態では、Rは−CDHではない。
【0103】
いくつかの実施形態では、Rは−CDではない。
【0104】
いくつかの実施形態では、式1の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物が提供される。
【0105】
他の実施形態では、式1の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む、腸内投与、静脈内注入による投与、非経口投与、局所投与または眼球投与のための医薬組成物が提供される。
【0106】
さらに他の実施形態では、式1の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む、50Sリボソームサブユニットを調整することが有益である状態(微生物感染のような感染を含む)を治療するための医薬組成物が提供される。
【0107】
いくつかの実施形態では、以下に示す化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグが提供される。
【化20】

【0108】
式1の重水素化化合物はまた、限定はしないが、炭素に関して13Cまたは14C、硫黄に関して33S、34Sまたは35S、窒素に関して15N、および酸素に関して17Oまたは18Oを含む、他の元素に対して少ない頻度の同位体も含んでよい。
【0109】
いくつかのの実施形態においては、任意の理論にとらわれずに、本明細書で提供される化合物を、式1の化合物中のすべてのC−D結合が、DOまたはDHOとして代謝され、放出されることが推測される、最大約0.000005% DOまたは約0.00001% DHOまで患者に暴露してよい。この量は、循環中の、DOまたはDHOの天然に存在するバックグラウンドレベルの小区画である。特定の実施形態において、動物において毒性を発生させると見られるDOのレベルは、式1の重水素濃縮化合物のために、暴露の最大制限よりも非常に大きい。したがって、特定の実施形態において、本明細書で提供される重水素濃縮化合物は、重水素の利用によって、さらなる毒性を引き起こすべきでない。
【0110】
1つの実施形態において、本明細書で提供される重水素化化合物は、本質的に最大認容用量を増加させ、毒性を減少させ、半減期(T1/2)を増加させ、最小効果用量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を低下させ、効果的な用量を低下させ、したがって非機能関連毒性を減少させ、および/または薬物−薬物相互作用の可能性を低下させる一方で、相当する同位体元素が濃縮されていない分子の有益な態様を維持する。
【0111】
同位体水素を、それによって取り込み率が先に決定される、重水素化薬剤を用いる合成技術によって、および/または取り込み率が平衡状態によって決定される、交換技術によって、本明細書で提供されたような式1の化合物内に導入可能であり、反応上記塩に依存して非常に変化しうる。トリチウムまたは重水素を直接、および特異的に、公知の同位体含量のトリチウム化または重水素化薬剤によって挿入する合成技術が、高いトリチウムまたは重水素の存在を産出しうるが、しかし、要求される化学反応によって制限されうる。さらに、標識されている分子を、使用する合成反応の重度に依存して、変化させてよい。一方で、変換技術は、より低いトリチウムまたは重水素取り込みを産出するが、別の合成段階を必要とせず、標識化されている分子の構造を崩壊させる可能性が少ないという利点を提供する。
【0112】
本明細書で提供するような式1の化合物を、当業者に公知の方法によって、または本明細書の実施例の項目にて記述されたのと同様の手順、およびその日常の改変にしたがって、調製可能である。たとえば、式1の化合物を、スキーム1にて示したように調製可能である。
【化21】

スキーム1
【0113】
N−オキシド(2)をヨウ化メチルおよび脱プロトン化剤(例えば水酸化カリウム)で処理し、エーテル(3)を得て、これを還元剤(例えば、水素存在下、パラジウム/炭素)を用いて三級アミン(4)に還元する。化合物(4)をN−ヨードスクシンイミドで処理し、二級アミン(5)を得て、これをメタノール中、ナトリウムメトキシドおよびヨウ素で処理し、一級アミン(6)を得る。化合物(6)をジメチルスルホキシド中、マイクロ波を照射してホルムアルデヒドおよびギ酸で処理し、式1の化合物を得る。
【0114】
スキーム1に示されるような合成手順に従って、適切な重水素化中間体を用いることによって、合成的に異なる位置に重水素を組み込むことができる。Rに重水素を導入するために、対応する重水素置換基を有するヨウ化メチルを使用することができる。RおよびRの1箇所以上の位置に重水素を導入するために、対応する重水素置換基を有するホルムアルデヒドおよびギ酸を使用することができる。これらの重水素化中間体は、市販されているか、または当業者に既知の方法または本明細書の実験章に記載の方法と類似の手順および通常の改変法によって調製することができる。
【0115】
重水素は、プロトン−重水素の平衡交換によって、交換可能なプロトンを有する種々の位置に組み込むこともできる。このようなプロトンは、当該技術分野で既知のプロトン−重水素交換法によって、選択的または非選択的に重水素と交換してもよい。
【0116】
本明細書で提供される化合物は、「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」Eliel and Wilen,John Wiley&Sons,New York,1994,pp.1119−1190にて記述されたように、1つまたはそれ以上のキラル中心、キラル軸、および/またはキラル平面を含んでよい。そのようなキラル中心、キラル軸およびキラル平面は、(R)または(S)配座いずれかであるか、またはその混合物であってよい。
【0117】
少なくとも1つのキラル中心を持つ化合物を含む組成物を特性化するためのもう1つの方法は、極性光のビームにおける、組成物の効果によってである。平面極性光のビームが、キラル化合物の溶液を通過する場合、現れる光の極性の平面は、本来の平面に対して回転する。この現象は、工学活性として公知であり、極性光の平面を回転させる化合物は、光学的に活性であるといわれる。化合物の1つのエナンチオマーが、極性光のビームを一方向に回転させ、他のエナンチオマーが、極性光を反対の方向に回転させる。時計回り方向に極性光を回転させるエナンチオマーが、(+)−エナンチオマーであり、反時計回り方向に極性光を回転させるエナンチオマーが、(−)−エナンチオマーである。式1の化合物の0〜100%の(+)および/または(−)−エナンチオマーを含む組成物が、本明細書で記述された組成物の範囲内に含まれる。
【0118】
式1の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、化合物は、幾何学的cis/trans(またはZ/E)同位体の1つまたは混合物として存在しうる。構造的同位体は、低エネルギーバリアを介して相互交換的である場合、式1の化合物は、単一の互変体または互変体の混合物として存在しうる。これは、たとえば、イミノ、ケトまたはオキシム基を含む式1の化合物中のプロトン互変性の形態を取りえ、または芳香族部位を含む化合物中の結合価互変性と呼ばれる形態をとりうる。単一化合物は、1つ以上の同位体の型を示しうる、ということにしたがう。
【0119】
本明細書で提供される化合物は、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマーのような、鏡像異性的に純粋でありえ、またはエナンチオマーの混合物、ラセミ混合物、またはジアステレオマー混合物のように、立体異性体混合物でありうる。そのようなものとして、当業者は、その(R)形態での化合物の投与が、in vivoでエピマー化を受けている化合物に関して、その(S)形態での化合物の投与と等価であることを認識する。個々のエナンチオマーの調製/単離に関する従来の技術には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、またはたとえばキラルクロマトグラフィー、再結晶、分解、ジアステレオマー塩形成、またはジアステレオマー添加物への誘導化と続く分離を用いる、ラセミ体の分割が含まれる。
【0120】
式1の化合物が、酸性または塩基性部位を含む場合、また薬理学的に許容可能な塩として提供されてよい(Bergeら,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19、および「薬理学的塩、特性および利用のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use,)」Stah and Wermuth,Ed.;Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002を参照)。
【0121】
薬理学的に許容可能な塩の調製における利用のために好適な酸には、限定はしないが、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギニン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)−ショウノウ酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、経皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化塩素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリル酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、オキサロ酸、パルミチン酸、パモン酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サッカリン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−タルタル酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、およびバレリアン酸が含まれる。
【0122】
薬理学的に許容可能な塩の調製における利用のために好適な塩基には、限定はしないが、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、または水酸化ナトリウムのような無機塩基、L−アルギニン、ベンタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン類、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールおよびトロメタミンを含む第一級、第二級、第三級および第四球、脂肪族および芳香族アミン類のような有機塩基が含まれる。
【0123】
式1の化合物は、式1の化合物の機能的誘導体であり、in vivoで簡単に親化合物に変換可能である、プロドラッグとして提供されてよい。プロドラッグはしばしば、いくつかの例において、親化合物よりも投与するのが簡単であり得るので、有用である。これらは、たとえば、親化合物がそうではない一方で、経口投与によってバイオアベイラブルでありうる。プロドラッグはまた、親化合物に対して、薬理学的組成物中での可溶性が増強されうる。プロドラッグは、酵素処理および代謝加水分解を含む、種々の機構によって、親薬物に変換されうる。Harper,Progress in Drug Research 1962,4,221−294;Morozowichら、in“Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs”,Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1977;“Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design,Theory and Application”,Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1987;“Design of Prodrugs”,Bundgaard,Elsevier,1985;Wangら、Curr.Pharm.Design 1999,5,265−287;Paulettiら、Adv.Drug.Delivery Rev.1997,27,235−256;Mizenら、Pharm.Biotech.1998,11,345−365;Gaignaultら、Pract.Med.Chem.1996,671−696;Asgharnejad in “Transport Processes in Pharmaceutical Systems”,Amidonら、Ed.,Marcell Dekker,185−218,2000;Balantら、Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.1990,15,143−53;Balimane and Sinko,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,183−209;Browne,Clin.Neuropharmacol.1997,20,1−12;Bundgaard,Arch.Pharm.Chem.1979,86,1−39;Bundgaard,Controlled Drug Delivery 1987,17,179−96;Bundgaard,Adv.Drug Delivery Rev.1992,8,1−38;Fleisherら、Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,115−130;Fleisherら、Methods Enzymol.1985,112,360−381;Farquharら、J.Pharm.Sci.1983,72,324−325;Freemanら、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1991,875−877;Friis and Bundgaard,Eur.J.Pharm.Sci.1996,4,49−59;Gangwarら、Des.Biopharm.Prop.Prodrugs Analogs,1977,409−421;Nathwani and Wood,Drugs 1993,45,866−94;Sinhababu and Thakker,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,241−273;Stellaら、Drugs 1985,29,455−73;Tanら、Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,117−151;Taylor,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,131−148;Valentino and Borchardt,Drug Discovery Today 1997,2,148−155;Wiebe and Knaus,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,63−80;Wallerら、Br.J.Clin.Pharmac.1989,28,497−507を参照。
【0124】
(医薬組成物)
本明細書では、医薬的に許容されるビヒクル、担体、希釈剤または賦形剤またはこれらの混合物中に、活性成分として式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)と、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤または担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0125】
本明細書では、式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)と、本明細書に記載されるような1つ以上の放出制御賦形剤とを含む、放出挙動が改変された投薬形態の医薬組成物が提供される。放出挙動が改変された適切な投薬ビヒクルとしては、限定されないが、親水性または疎水性のマトリックスデバイス、水溶性分離層コーティング、腸溶性コーティング、浸透性デバイス、複数の粒子状デバイスおよびこれらの組合せが挙げられる。本医薬組成物は、放出挙動を制御しない賦形剤を含んでもよい。
【0126】
本明細書ではさらに、式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)と、腸溶性コーティングされた投薬形態で使用するための1つ以上の放出制御賦形剤とを含む、腸溶性コーティングされた投薬形態の医薬組成物が提供される。本医薬組成物は、放出挙動を制御しない賦形剤を含んでもよい。
【0127】
本明細書ではさらに、式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)と、腸溶性コーティングされた投薬形態で使用するための1つ以上の放出制御賦形剤とを含む、発泡性投薬形態の医薬組成物が提供される。本医薬組成物は、放出挙動を制御しない賦形剤を含んでもよい。
【0128】
さらに、即時放出成分と、少なくとも1つの遅延放出成分とを有する投薬形態の、0.1〜24時間以内に別個の少なくとも2つの連続したパルスの形態で本化合物を非連続的に放出することができる医薬組成物が提供される。本医薬組成物は、式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)と、1つ以上の放出制御賦形剤および放出挙動を制御しない賦形剤(例えば、崩壊可能な半透膜および膨潤可能な基質に適した賦形剤)とを含む。
【0129】
本明細書では、式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)と、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤または担体とを含み、これらが、アルカリで部分的に中和してカチオン交換能を有する耐胃液性ポリマーの層状材料と、耐胃液性外側層とを含む中間反応層に包まれている、被検体に経口投与するための投薬形態の医薬組成物も提供される。
【0130】
本明細書では、式Iの1つ以上の化合物を約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約250mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg含む、経口投与用の即時放出性のフィルムコーティングされた錠剤の形態の医薬組成物が提供される。本医薬組成物は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、微晶質セルロース、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピレングリコール、二酸化ケイ素、ソルビン酸、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸、タルク、二酸化チタンおよびバニリンをさらに含む。
【0131】
本明細書では、式Iの1つ以上の化合物を約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約250mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg含む、経口投与用の即時放出性のフィルムコーティングされた錠剤の形態の医薬組成物が提供される。本医薬組成物は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、微晶質セルロース、ポビドン、プロピレングリコール、ソルビン酸、ソルビタンモノステアレート、二酸化チタンおよびバニリンをさらに含む。
【0132】
本明細書では、式Iの1つ以上の化合物を約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約250mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg含む、経口投与用の徐放性のフィルムコーティングされた錠剤の形態の医薬組成物が提供される。本医薬組成物は、セルロース系ポリマー、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、プロピレングリコール、ソルビン酸、ソルビタンモノステアレート、タルク、二酸化チタンおよびバニリンをさらに含む。
【0133】
本明細書では、式Iの1つ以上の化合物を約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約250mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg含む、経口懸濁物用の顆粒形態の医薬組成物が提供される。本医薬組成物は、カルボマー、ヒマシ油、クエン酸、フタル酸ヒプロメロース、マルトデキストリン、ソルビン酸カリウム、ポビドン、二酸化ケイ素、ショ糖、キサンタンゴム、二酸化チタンおよびフルーツポンチフレーバーをさらに含む。
【0134】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、単位投与剤形または反復投与剤形で提供されてよい。本明細書で用いるところの単位投与剤形は、ヒトおよび動物被検体への投与に適した、かつ当技術分野で公知の通りに個別包装された、物理的に別々の単位を指す。それぞれの単位投与剤形は、所望の治療効果を生むのに十分な所定量の有効成分を、必要な医薬担体または添加剤と一緒に含む。単位投与剤形の例としては、アンプル剤、注射剤、および個々に包装された錠剤およびカプセル剤が挙げられる。単位剤形は、画分でまたはそれを複数で投与することができる。反復投与剤形は、単位投与剤形を分離して投与するために、同一の単位投与剤形が複数、単一の容器内に包装されたものである。反復投与剤形の例としては、ガラス瓶、錠剤もしくはカプセル剤用の瓶、または1パイントもしくは1ガロン瓶が挙げられる。
【0135】
本明細書に記載の式1の化合物は、単独で、または本明細書に記載の1つまたは複数の他の化合物、1つまたは複数の有効成分と一緒に投与することができる。本明細書に記載の化合物を含む薬理学的組成物は、経口投与、非経口投与、および局所投与のための種々の剤形に処方することができる。本薬理学的組成物はまた、遅延放出剤形、延長剤形、持続放出剤形、徐放剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形、ならびに胃内貯留剤形などの改変放出剤形として処方することもできる。これらの剤形は、当業者に公知である従来の方法および技術に従って調製可能である(前記のRemington:The Science and Practice of Pharmacy;Modified‐Release Drug Deliver Technology,Rathboneら,Eds.,Drugs and the Pharmaceutical Science,Marcel Dekker,Inc.:New York,NY,2002;Vol.126を参照)。
【0136】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、単回投与、または時間の間隔を置いて反復投与することができる。正確な用量および治療の持続期間は治療される患者の年齢、体重、および状態によって変化すると認識されており、かつ、公知の試験手順を用いて、またはin vivo試験またはin vitro試験または診断データからの推定によって経験的に決定することができる。さらに、任意の特定個人に対して、個々の必要性および、製剤投与の個人管理または監督についての専門家の判断に従って、長期にわたり特定の用量管理を調節すべきであると認識されている。
【0137】
患者の状態が改善されない場合には、本化合物の投与については医師の裁量で、患者の疾病または疾患の症状を改善する、そうでなければ制御または制限するために、慢性的に、すなわち長期間にわたって(患者の生命が存続している間中、など)投与してよい。
【0138】
患者の状態が改善される場合には、本化合物の投与については、医師の裁量で、連続して、またはある一定期間、一時停止してよい(すなわち、「休薬期間」)。
【0139】
患者の状態改善が起こった時点で、必要であれば維持量を投与する。その後、症状に応じて、投与の用量または頻度、またはその両方を、疾病、疾患または状態が改善された状態で維持されるレベルまで減らすことができる。しかし、患者は、任意の症状の再発に際して、長期的に断続的な治療を要求することができる。
【0140】
(A.経口投与)
本明細書に記載の薬理学的組成物は、経口投与用に、固体、半固体、または液体の剤形で提供されてよい。本明細書で用いるところの経口投与には口腔投与、舌投与および舌下投与も含まれる。適切な経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、丸薬、トローチ、薬用キャンデー、芳香錠、カシェ剤、ペレット剤、薬用チューイングガム、顆粒剤、原末、発泡性または非発泡性粉末剤もしくは顆粒剤、液剤、乳剤、懸濁剤、液剤、ウエハース、噴霧剤、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。本薬理学的組成物には、有効成分に加えて、1つまたは複数の製剤として許容できる担体または添加剤が含まれてよいが、それらとしては結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色流れ阻害剤、甘味剤、香料添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
結合剤または顆粒化剤は錠剤にまとまりを与えて圧縮後に錠剤が確実に原型を保てるようにする。適切な結合剤または顆粒化剤としては、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびプレゼラチン化デンプン(例えば、STARCH 1500)などのデンプン類、ゼラチン、ショ糖、ブドウ糖、デキストロース、糖液、および乳糖などの糖類、アカシア、アルギン酸、アルギン酸塩、アイリッシュ・モスの抽出物、パンワルゴム(Panwar gum)、ガッチゴム(ghatti gum)、イサゴール(isabgol)外皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum、カラマツのアラボガラクタン(larch arabogalactan)、トラガカント末、およびグアーガムなどの天然ゴムおよび合成ゴム、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、などのセルロース類、AVICEL‐PH‐101、AVICEL‐PH‐103、AVICEL RC‐581、AVICEL‐PH‐105(FMC Corp,Marcus Hook,PA)などの結晶セルロース類、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、プレゼラチン化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤または充填剤は、本明細書に記載の薬理学的組成物中、重量で約50%〜約99%存在してよい。
【0142】
適切な希釈剤としては、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、ソルビトール、ショ糖、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖が挙げられるが、これらに限定されない。マンニトール、乳糖、ソルビトール、ショ糖、およびイノシトールなどの特定の希釈剤は、十分な量が存在する場合には、一部の圧縮錠剤に対して、口の中で咀嚼することによって崩れる性質を与えることができる。そのような圧縮錠剤は、チュアブル錠として使用できる。
【0143】
適切な崩壊剤としては、寒天、ベントナイト、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、木材生産物、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガムおよびVeegum HVなどのゴム類、かんきつ類の果肉、クロスカルメロースなどの架橋セルロース類、クロスポビドンなどの架橋ポリマー類、架橋デンプン、炭酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどの結晶セルロース、ポラクリリンカリウム(polacrilin potassium)、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびプレゼラチン化デンプンなどのデンプン類、粘土、aligns、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の薬理学的組成物中の崩壊剤の量は、処方の種類によって変わり、当業者に容易に識別できる。本明細書に記載の薬理学的組成物は、重量で約0.5%〜約15%、または約1〜約5%の崩壊剤を含んでよい。
【0144】
適切な滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)などのグリコール類、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油、および大豆油などの硬化植物油、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、デンプン、ヒカゲノカズラ、AEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.,Baltimore,MD)およびCAB‐O‐SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA)などのシリカまたはシリカゲル、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の薬理学的組成物は、重量で約0.1%〜約5%の滑沢剤を含んでよい。
【0145】
適切な流動促進剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、CAB‐O‐SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA)、およびアスベスト不使用のタルクが挙げられる。着色剤としては、任意の、認可、認定された、水溶性FD&C染料およびアルミナ白に懸濁させた不水溶性FD&C染料、およびレーキ顔料、およびそれらの混合物が挙げられる。レーキ顔料は、水溶性染料を重金属の水和酸化物に吸着させて、不溶性の染料にした合成品である。香料添加剤としては、果実類などの植物から抽出した天然香料および、ペパーミントおよびメチルサリチル酸などの口当たりが良い感覚を生ずる化合物を合成的に混合したものが挙げられる。甘味剤としては、ショ糖、乳糖、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアスパルテームなどの人口甘味料が挙げられる。適切な乳化剤としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)、およびトリエタノールアミンオレアートなどの界面活性剤が挙げられる。懸濁化剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム、アカシア、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。防腐剤としては、グリセリン、メチルパラベンおよびプロプルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられる。湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ジエチレングリコール、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶剤としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが挙げられる。乳剤に用いられる非水性液体の例としては、鉱油および綿実油が挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素源としては、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0146】
当然のことながら、多くの担体および添加剤が、同一の処方内においてさえもいくつもの働きをする。
【0147】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、圧縮錠剤、粉薬錠剤、チュアブルドロップ、速溶性錠剤、多重圧縮錠剤、または腸溶コーティング錠、糖衣錠もしくはフィルムコート錠として提供されてよい。腸溶コーティング錠は、胃の作用には耐えるが、腸内で溶解または分解する物質で被覆した圧縮錠剤で、有効成分を胃の酸性環境から保護する。腸溶コーティング剤としては、脂肪酸、脂質、サリチル酸フェニル、ワックス類、セラックニス、アンモニア処理したセラックニス、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。糖衣錠は、糖衣に囲まれた圧縮錠剤で、好ましくない味またはにおいを隠すこと、ならびに錠剤を酸化から保護することに有効でありうる。フィルムコート錠は、水溶性物質の薄層または薄膜で被覆した圧縮錠剤である。フィルムコーティング剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングにより糖衣と同様の一般的特徴が得られる。多重圧縮錠剤は、層状錠剤および、加圧コーティング錠剤もしくは乾燥コーティング錠剤などの、2回以上の圧縮周期によって作られた圧縮錠剤である。
【0148】
錠剤の剤形は、粉末状、結晶状、もしくは顆粒状の有効成分を単独で、または1つもしくは複数の、本明細書に記載の担体または添加剤(結合剤、崩壊剤、放出制御ポリマー、滑沢剤、希釈剤、および/または着色剤など)と一緒に用いて、調製することができる。香料添加剤および甘味剤は、チュアブル錠およびチュアブルドロップの形成において特に有効である。
【0149】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから作製できるソフトカプセルまたはハードカプセルとして提供されてよい。ハードゼラチンカプセルは、乾燥充填カプセル(DFC)としても知られ、2つの部分からなり、片方が他方を覆って滑り降りるので、有効成分を完全に封入できる。弾性ソフトカプセル(SEC)は、グリセリン、ソルビトール、または類似のポリオールの添加によって可塑化した、軟らかい、ゼラチンの殻などの球状の殻である。軟らかいゼラチン殻には、微生物の増殖を防ぐ為の防腐剤が含まれてよい。適切な防腐剤としては、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸などの、本明細書に記載のものが挙げられる。本明細書に記載の液体、半液体、および固体の剤形は、カプセル中に封入して提供されてよい。適切な液体および半液体の剤形としては、炭酸プロピレン、植物油、またはトリグリセリド類の溶液および懸濁液が挙げられる。そのような溶液を被覆するカプセルは、米国特許第4,328,245号、同第4,409,239号、および同第4,410,545号に記載のように調製できる。カプセルはまた、有効成分の溶解性を改良するためまたは持続させるために、当業者に公知の通りに被覆してもよい。
【0150】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、およびシロップ剤などの液体または半液体の剤形で提供されてよい。乳剤は、一方の液体が他方の液体全体に小球上に分散している2層系であり、水中油型または油中水型でありうる。乳剤は、製剤として許容できる非水性の液体または溶媒、乳化剤、および防腐剤を含有してよい。懸濁剤は、製剤として許容できる懸濁化剤および防腐剤を含有してよい。水性アルコール溶液は、製剤として許容できる、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(例えばアセトアルデヒドジエチルアセタール)(「低級」という用語は、炭素原子を1〜6個有するアルキルを指す)などのアセタール、ならびにプロピレングリコールおよびエタノールなどの、1つまたは複数の水酸基を有する水混和性溶媒を含有してよい。エリキシル剤は、透明な、甘味がある、含水アルコール溶液である。シロップ剤は、糖(例えばショ糖)の濃縮水溶液であり、防腐剤を含有してもよい。液体の剤形については、例えば、ポリエチレングリコール溶液を十分な量の製剤として許容できる液体担体(例えば水)で希釈することで、投与のための計量を便利にすることができる。
【0151】
他の有効な液体および半液体の剤形としては、本明細書に記載の有効成分(1種または複数種)を含有するもの、および、1,2−ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−350−ヂメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(ただし、350、550、および750はポリエチレングリコールのおよその平均分子量を示す)などのジアルキル化されたモノ−またはポリ−アルキレングリコールが挙げられる。これらの処方はさらに、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、ケファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピン酸およびそのエステル、およびジチオカルバミン酸などの坑酸化剤を1つまたは複数含有してよい。
【0152】
本明細書に記載の経口投与用の薬理学的組成物はまた、リポソーム製剤、ミセル製剤、ミクロスフェア製剤、またはナノ製剤の形で提供されてもよい。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載の通りに調製することができる。
【0153】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、液体の剤形に再構成できるように、発泡性または非発泡性の顆粒および粉末として提供されてよい。非発泡性の顆粒または粉末に用いられる、製剤として許容できる担体および添加剤としては、希釈剤、甘味剤、および湿潤剤が含まれてよい。発泡性の顆粒または粉末に用いられる担体および添加剤としては、有機酸および二酸化炭素源が含まれてよい。
【0154】
着色剤および香料添加剤は、上記剤形の全てに用いることができる。
【0155】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、即効性剤形または、遅延放出剤形、徐放剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形などの改変放出剤形に処方することができる。
【0156】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、所望の治療効果を損なわない他の有効成分、または、他の抗生剤などの所望の効果を補う物資と一緒に処方することができる。
【0157】
(B.非経口投与)
本明細書に記載の薬理学的組成物は、注射、注入、または埋め込みによって局所投与または全身投与することができる。本明細書で用いるところの非経口投与には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、くも膜下投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、骨液嚢内投与、および皮下投与が含まれる。
【0158】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、非経口投与に適した任意の剤形に処方されてよく、例えば液剤、懸濁剤、乳剤、ミセル製剤、リポソーム製剤、ミクロスフェア製剤、ナノ製剤、および、注射前に液剤または懸濁剤に液化するのに適した固体形が挙げられる。そのような剤形は、薬学の当業者に公知の従来の方法に従って調製することができる。(前記のRemington:The Science and Practice of Pharmacyを参照)。
【0159】
非経口投与を対象とした薬理学的組成物は、製剤として許容できる担体および添加剤を1つまたは複数含有してよいが、それらとしては、水性賦形剤、水混和性賦形剤、非水溶性賦形剤、抗菌剤または微生物の増殖に対する防腐剤、安定剤、溶解度増加剤、等張剤、緩衝剤、坑酸化剤、局所麻酔薬、懸濁および分散剤、湿潤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖またはキレート剤、凍結防止剤、分散防止剤、増粘剤、および不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
適切な水性賦形剤としては、水、生理食塩水(saline)、生理食塩水(physiological saline)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射、Ringers注射が挙げられるが、これらに限定されない。非水性賦形剤としては、植物由来の固定油、ヒマシ油、とうもろこし油、綿実油、オリーブ油、ピーナツ油、ペパーミント油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、硬化植物油、硬化大豆油、およびココナツ油の中鎖トリグリセリド、およびパーム核油が挙げられるが、これらに限定されない。水混和性賦形剤としては、エタノール、1,3−ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
適切な抗菌剤または防腐剤としては、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、およびソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な等張剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、およびデキストロースが挙げられるが、これらに限定されない。適切な緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。適切な坑酸化剤としては、亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムなどの、本明細書に記載のものが挙げられる。適切な局所麻酔薬としては、塩酸プロカインが挙げられるが、これに限定されない。適切な懸濁および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンなどの本明細書に記載のものが挙げられる。適切な乳化剤としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン80、およびオレイン酸トリエタノールアミンなどの本明細書に記載のものが挙げられる。適切な金属イオン封鎖またはキレート剤としてはEDTAが挙げられるが、これに限定されない。適切なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な錯化剤としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7−β−シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex、Lenexa、KS)などのシクロデキストリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、単回投与または反復投与用に処方することができる。単回投与用量は、アンプル、バイアル、または注射器に包装される。反復用量の非経口製剤は、静菌的なまたは静真菌的な濃度で坑菌剤を含有する必要がある。全ての非経口製剤は、当技術分野で公知かつ実践されているように滅菌される必要がある。
【0163】
1つの実施形態においては、薬理学的組成物はそのまま使用できる(ready−to−use)滅菌液剤として提供される。別の実施形態においては、薬理学的組成物は凍結乾燥粉末および皮下注射用錠剤を含有し、使用前に賦形剤を用いて再構成する用の、滅菌した乾燥溶解性製品として提供される。また別の実施形態においては、薬理学的組成物は、そのまま使用できる滅菌懸濁剤として提供される。また別の実施形態においては、薬理学的組成物は、使用前に賦形剤を用いて再構成する用の、滅菌した乾燥不溶性製品として提供される。さらに別の実施形態においては、薬理学的組成物は、そのまま使用できる滅菌乳剤として提供される。
【0164】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、即効性剤形または、遅延放出剤形、徐放剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形などの改変放出剤形に処方することができる。
【0165】
薬理学的組成物は、デポー剤注入として投与するために、懸濁剤、固体、半固体、または揺変性液体として処方することができる。ある実施形態においては、本明細書に記載の薬理学的組成物は、体液には不溶性だが、薬理学的組成物中の有効成分はそれを通して拡散できるような高分子外膜に囲まれた、固体の内部基質中に分散される。
【0166】
適切な内部基質としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル、共重合体、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸ケイ素共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および架橋した部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0167】
適切な高分子外膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのアイオノマー、ブチルゴム、エピクロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元重合体、およびエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体が挙げられる。
【0168】
(C.局所投与)
本明細書に記載の薬理学的組成物は、皮膚、開口部、または粘膜に局所的に投与することができる。本明細書で用いるところの局所投与には、皮膚(内)投与、結膜投与、角膜内投与、眼内投与、経眼投与、経耳投与、経皮投与、経鼻投与、膣内投与、尿道内投与、呼吸器投与、および直腸投与が含まれる。
【0169】
本明細書に記載の薬理学的組成物は、局所的なまたは全身的な効果を得るための局所投与用として適した任意の剤形で処方することができ、それらとしては、乳剤、液剤、懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、軟膏、散布剤、包帯剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤、フィルム剤、エアロゾル剤、潅注剤、スプレー剤、坐薬、包帯、皮膚パッチが挙げられる。本明細書に記載の薬理学的組成物の局所的な処方には、リポソーム製剤、ミセル製剤、ミクロスフェア製剤、ナノ製剤、およびそれらの混合物も含まれる。
【0170】
本明細書で提供される局所処方での利用のために好適な薬理学的に許容可能な担体および賦形剤には、限定はしないが、水性賦形剤、水混和性賦形剤、非水性賦形剤、細菌の増殖に対する抗菌剤または保存剤、安定化剤、可溶性増強剤、等張剤、緩衝材、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁および分散剤、湿潤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、浸潤増強剤、抗凍結剤、抗親液剤、増粘剤および不活性気体が含まれる。
【0171】
薬理学的組成物はまた、エレクトロポレーション、イオントフォレーゼ、ホスホノフォレシス、ソノフォレシス、およびPOWDERJECT(登録商標)(キロン社(Chiron Corp.),Emeryville,CA)、およびBIOJECT(登録商標)(バイオジェット メディカル テクノロジーズ社(Bioject Medical Technologies Inc.),Tualatin,OR)のような、ミクロニードルまたはニードルなしの注射によって、局所に投与してよい。
【0172】
本明細書で提供される薬理学的組成物は、軟膏、クリームおよびゲルの形態で提供してよい。好適な軟膏賦形剤には、豚脂、安息香豚脂、オリーブ油、木綿油および他の油、白色ペトロラタムのようなものを含む、脂肪性または炭化水素賦形剤、親水性ペトロラタム、ヒドロキシステアリン硫酸および無水ラノリンのような乳化または吸収賦形剤、疎水性軟膏のような水着脱賦形剤、種々の分子量のポリエチレングリコールを含む、水溶性軟膏賦形剤、セチルアルコール、グリセリル一ステアリン酸、ラノリンおよびステアリン酸を含む油中水(W/O)エマルジョンまたは水中油(O/W)エマルジョンいずれかの、エマルジョン賦形剤が含まれる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記を参照のこと)。これらの賦形剤は、皮膚軟化剤であるが、しかし一般的に、抗酸化剤および保存剤の添加を必要とする。
【0173】
好適なクリーム基体は、水中油または油中水でありうる。クリーム賦形剤は、水洗浄可能でありえ、油相、乳化剤および水性相を含む。油相はまた、「内部(internal)」相とも呼ばれ、一般に、ペトロラタムとセチルまたはステアリルアルコールのような脂肪族アルコールからなる。水相は通常、必要ではないけれども、容量にて油相を上回り、一般に、保湿剤を含む。クリーム処方内の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性界面活性剤であってよい。
【0174】
ゲルは、半固体、懸濁型系である。単一相ゲルには、液体単体を通して本質的に均質に分散した、有機巨大分子が含まれる。好適なゲル化剤には、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、Carbopol(登録商標)のような架橋アシル酸ポリマー、酸化ポリエチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、およびポリビニルアルコールのような、親水性ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース フラレート、およびメチルセルロースのようなセルロース性ポリマー、トラガカントおよびキサンタンガムのようなガム、アルギン酸ナトリウムおよびゼラチンが含まれる。均質ゲルを調製するために、アルコールまたはグリセリンのような分散剤を加えることができ、またはゲル化剤を、粉砕、機械的混合および/または攪拌によって分散可能である。
【0175】
本明細書で提供される薬理学的組成物は、座薬、ペッサリー、ブーギー、湿布またはパップ、練り子、粉末、包帯、クリーム、硬膏、避妊薬、軟膏、溶液、エマルジョン、懸濁液、タンポン、ゲル、泡、スプレーまたはかん腸の形態で、直腸、尿道、膣または腹膜膣に投与してよい。これらの投与形態は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy上記にて記述されたような従来の工程を用いて製造可能である。
【0176】
直腸、尿道および膣座薬は、通常温度では固体であるが、体温にて融解するか、または軟化して、活性成分(類)を開口部内に放出する、体開口部内への挿入のための固体である。直腸および膣座薬中で利用する薬理学的に許容可能な担体には、本明細書で提供される薬理学的組成物と処方したときに、体温の近くで融解点を産出する、硬化剤と、ビスルファイトおよびナトリウムメタビスルファイトを含む、本明細書で記述されるような抗酸化剤のような、基体または賦形剤が含まれる。好適な賦形剤には、限定はしないが、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨ロウ、パラフィン、白色および黄色ワックス、および脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリドの適切な混合物、ポリビニルアルコールのようなハイドロゲル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸、グルセリン化ゼラチンが含まれる。種々の賦形剤の組合せを使用してよい。直腸および膣座薬は、加圧法または成型によって調製してよい。典型的な直腸および膣座薬の質量は、約2〜約3gである。
【0177】
本明細書で提供される薬理学的組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、エマルジョン、ゲル−形成溶液、溶液のための粉末、ゲル、眼球挿入物、およびインプラントの形態で、目に投与してよい。
【0178】
本明細書で提供される薬理学的組成物は、鼻内に、または気管への吸入によって投与してよい。薬理学的組成物は、単独または1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのような高圧ガスとの組合せで、好適な加圧容器を用いた伝達のためのエアゾルまたは溶液、ポンプ、スプレー、微細なミストを産出するための電子流体力学を用いる噴霧器のような噴霧器、またはネブライザーの形態で提供されてよい。薬理学的組成物はまた、単独またはラクトースまたはリン脂質のような不活性担体との組合せで、吹送のための乾燥粉末、および点鼻剤として提供してよい。
【0179】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザー中での利用のための溶液または懸濁液を、エタノール、水性エタノール、または本明細書で提供される活性成分の放出を分散させる、可溶化させる、または拡張するための好適な他の薬剤、溶媒として高圧ガス、および/または三オレイン酸ソルビタン、オレイン酸またはオリゴ乳酸のような界面活性剤を含むように処方してよい。
【0180】
本明細書で提供される薬理学的組成物を、約50マイクロメーターまたはそれ以下、または約10マイクロメーターまたはそれ以下のように、吸入による伝達のために好適な大きさまで、微粉にしてよい。そのような大きさの粒子は、らせんジェット製粉、流体ベッドジェット製粉、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧均質化またはスプレー乾燥のような、当業者に公知の粉末か方法を用いて調製してよい。
【0181】
吸入または吸入器中での利用のためのカプセル、ブリスターおよびカートリッジを、本明細書で提供される薬理学的組成物、ラクトースまたはデンプンのような好適な粉末基体、およびl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムのような性能改変物の粉末混合物を含むように処方してよい。ラクトースは、無水であるか、または一水和物の形態であってよい。他の好適な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。吸入/経鼻投与のための本明細書で提供される薬理学的組成物はさらに、メンソールおよびレボメンソールのような好適な香味料、またはサッカリンまたはサッカリンナトリウムのような甘味料を含んでよい。
【0182】
局所投与のための本明細書で提供される薬理学的組成物を、速効放出、または遅延、除放、パルス、制御、標的化、およびプログラムされた放出を含む、改変放出であるように処方してよい。
【0183】
(D.改変放出)
本明細書で提供される薬理学的組成物は、改変放出投与形態として処方してよい。本明細書で使用するところの「改変放出(modified release)」は、活性成分(類)の放出の速度または一が、同一の経路によって投与した場合に、即効性の投与形態のものとは異なる、投与形態を意味する。可変放出投与形態には、遅延、拡張、延長、除放、パルス、制御、加速および迅速、標的化、プログラムされた放出、および胃貯留投与形態が含まれる。改変放出投与形態中の薬理学的組成物は、限定はしないが、マトリックス制御放出器具、浸透圧制御放出器具、多重微粒子制御放出器具、イオン−交換樹脂、腸溶性コーティング、多重層化コーティング、ミクロスフィア、リポソームおよびこれらの組合せを含む、当業者に公知の種々の改変放出器具および方法を用いて調製可能である。活性成分(類)の放出速度はまた、活性成分(類)の粒子の大きさおよび多型性を変更することによって改変することも可能である。
【0184】
改変放出の例には、限定はしないが、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、第5,639,480号、第5,733,566号、第5,739,108号、第5,891,474号、第5,922,356号、第5,972,891号、第5,980,945号、第5,993,855号、第6,045,830号、第6,087,324号、第6,113,943号、第6,197,350号、第6,248,363号、第6,264,970号、第6,267,981号、第6,376,461号、第6,419,961号、第6,589,548号、第6,613,358号、および第6,699,500号にて記述されたものが含まれる。
【0185】
(1.マトリックス制御放出器具)
改変放出投与形態での本明細書で提供される薬理学的組成物を、当業者に公知のマトリックス制御放出器具を用いて加工してよい(Takadaら“Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,”Vol.2,Mathiowitz ed.,Wiley,1999)。
【0186】
1つの実施形態において、改変放出投与形態において本明細書で提供される薬理学的組成物は、合成ポリマーを含む、水膨潤性、浸食または可溶性ポリマーである、浸食マトリックス器具、およびポリサッカライドおよびタンパク質のような、天然に存在するポリマーおよび誘導体を用いて処方する。
【0187】
浸食マトリックスを形成することにおいて有用な物質には、限定はしないが、キチン、キトサン、デキストランおよびプルラン、ガム寒天、アラビアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガッチガム、グアーガム、キサンタンガムおよびスクレログルカン、デキストリンおよびマルトデキストリンのようなデンプン、パクチンのような親水性コロイド、レシチンのようなホスファチド、アルギン酸、プロピレングリコールアルギン酸、ゼラチン、コラーゲン、およびエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、ブチル酸セルロース(CB)、酢酸ブチル酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸トリメリテート(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ポリビニル、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)、ロームアメリカ社(Rohm America,Inc.)、Piscataway,NJ)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メチルアクリレート)、ポリアクチド、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー、分解可能乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸、およびブチルメタクリレート、メチルメトアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、および塩化(トリメチルアミノエチル)メタクリレートンのような他のアクリル酸誘導体が含まれる。
【0188】
さらなる実施形態において、薬理学的組成物を、非浸食マトリックス器具とともに処方する。活性成分(類)を、不活性マトリックス内に溶解または分散させ、まず、一旦投与したときに、不活性マトリックスを介した拡散によって放出される。非浸食マトリックス器具としての利用のために効果的な物質には、限定はしないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロライド、メチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、エチレン−ビニル酢酸コポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、酢酸ビニルとのビニルクロライドコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマー ポリエチレン テレフタル酸、ブチルラバーエピクロヒドリンラバー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニル酢酸/ビニルアルコールテルポリマーおよびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、塩化ポリビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンエーテルフタル酸、天然ラバー、シリコーンラバー、ポリジメチルシロキサン、シリコーン炭酸コポリマーのような不溶性プラスチック、およびエチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、および架橋特異的加水分解ポリビニル酢酸のような親水性ポリマー、およびカルナウバワックス、微晶質性ワックス、およびトリグリセリドのような脂肪化合物が含まれる。
【0189】
マトリックス制御放出系において、望む放出速度論は、たとえば、利用したポリマー型、ポリマー粘度、ポリマーの粒子サイズおよび/または活性成分(類)、活性成分(類)のポリマーに対する比、および組成物中の他の賦形剤を介して、制御可能である。
【0190】
改変放出投与形態における、本明細書で提供される薬理学的組成物は、直接圧縮、乾燥または湿潤顆粒化と続く圧縮、溶解−顆粒化と続く圧縮を含む、当業者に公知の方法によって調製してよい。
【0191】
(2.浸透圧制御放出器具)
改変放出投与形態中の本明細書で提供される薬理学的組成物を、1チャンバー系、2チャンバー系、非対称膜技術(AMT)、および押し出し成型コア系(ECS)を含む、浸透圧制御放出器具を用いて加工してよい。一般に、そのような器具は、少なくとも2つの成分、(a)活性成分(類)を含むコア、および(b)コアをカプセル封入する、少なくとも1つの伝達ポートを持つ、半透性膜を持つ。半透性膜は、伝達ポート(類)を介した押し出し成形による薬物放出を引き起こすように、利用の水性環境からコアへの水の流入を制御する。
【0192】
活性成分(類)に加えて、浸透圧器具のコアには任意に、器具のコア内への利用の環境からの水の輸送のための、駆動力を作り出す、浸透圧性薬剤が含まれる。浸透圧性薬剤の1つのクラスは、水膨張性親水性ポリマーであり、「オスモポリマー(osmopolymers)」および「ハイドロゲル(hydrogel)」としても呼ばれており、限定はしないが、親水性ビニルおよびアクリルポリマー、アルギン酸カルシウムのようなポリサッカリン、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニルのような疎水性モノマーとのPVA/PVPコポリマー、第PEOブロックを含む親水性ポリウレタン、ナトリウムクロスカルメロース、カラゲーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチル、セルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、およびナトリウムデンプングリコレートが含まれる。
【0193】
他のクラスの浸透圧性薬剤は、吸収水が、周辺のコーティングのバリアにわたる、浸透圧勾配に影響を与えることが可能である、オスモーゲンである。好適なオスモーゲンには、限定はしないが、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウムおよび硫酸ナトリウムのような無機塩、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびキシリトールのような糖、アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデチン酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、およびタルタル酸のような有機塩、尿素およびそれらの混合物が含まれる。
【0194】
異なる溶解率の浸透圧性薬剤を、いかに迅速に活性成分(類)が、投与形態からまず伝達するかに影響を与えるように利用してよい。たとえば、Mannogeme EZ(SPIファーマ(SPI Pharma)、Lewes,DE)のような不定形糖を使用して、望む治療的効果を産出するために、最初の数時間のより速い伝達、および長期間にわたる治療的および予防的効果の望むレベルを維持するための残った量の徐々および連続放出を提供するために利用可能である。この場合、活性成分(類)は、代謝されるか、排泄される活性成分の量が置換される速度にて放出される。
【0195】
コアにはまた、投与の性能を増強させるため、または安定性または処理を促進するために、本明細書で記述されたような、広く種々の賦形剤および担体が含まれてよい。
【0196】
半透性膜を形成することにおいて有用な物質には、生理学的に相等するpHにおいて、水浸潤性および水不溶性であるか、または架橋のような化学改変によって、水不溶性を与えられる余地のある、種々のグレードのアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、セルロース性誘導体が含まれる。コーティングを形成することにおいて有用な、好適なポリマーの例には、可塑性、非可塑性、および強化酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸CA、硝酸セルロース、酢酸ブチル酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、コハク酸CA、酢酸トリメリテートセルロース(CAT)、CAジメチルアミノ酢酸、カルボン酸CAエチル、クロロ酢酸CA、エチルオキサロ酸CA、メチルスルホン酸CA、ブチルスルホン酸CA、p−トルエンスルホン酸CA、酢酸寒天、アミロース酸酢酸、酢酸βグルカン、酸酢酸βグルカン、アセトアルデヒドジメチル酢酸、ローカストビーンガムの三酢酸、水酸化エチレン−ビニル酢酸、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステルおよびポリ−(メチルアクリル)酸およびエステルおよびそれらのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然のワックス、および合成ワックスが含まれる。
【0197】
半透性膜はまた、米国特許第5,798,119号にて開示された、孔が本質的に気体で充填され、水性培地によっては湿らないが、水蒸気に対して浸透性である、疎水性微晶抗膜であってもよい。そのような親水性であるが、水蒸気透過性の膜は典型的に、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、フッ化ポリビニリデン、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックスおよび合成ワックスからなる。
【0198】
半透性膜上の輸送孔(類)は、機械的またはレーザードリルによって、コーティングの後に形成してよい。輸送孔(類)はまた、水溶性物質のプラグの浸食によって、またはコアのへこみ上の、膜の薄い部分の破裂によって、in situで形成してもよい。さらに、輸送孔は、米国特許第5,612,059号および第5,698,220号にて開示された型の、非対称膜コーティングの場合でのように、コーティング工程の間に形成してもよい。
【0199】
放出される活性成分(類)の総量および放出速度は本質的に、半透性膜の厚さと気孔率、コアの組成、輸送孔の数、大きさおよび位置を介して調整することが可能である。
【0200】
浸透圧制御放出投与形態中の薬理学的組成物にはさらに、処方の性能または処理を促進するために、本明細書で記述されたような、追加の従来の賦形剤を含んでよい。
【0201】
浸透圧制御放出投与形態は、従来の方法および当業者に公知の技術にしたがって調製可能である(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,上記、Santus and Baker,J.Controlled Release 1995,35,1−21、Vermaら,Drug Development and Industrial Pharmacy 2000,26,695−708、Vermaら,J.Controlled Release 2002,79,7−27を参照のこと)。
【0202】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される薬理学的組成物を、AMT制御放出投与形態として処方し、これには、活性成分(類)と他の薬理学的に許容可能な賦形剤を含むコアをコートする、非対称性浸透性膜が含まれる。米国特許第5,612,059号および国際特許第WO2002/17918号を参照のこと。AMT制御放出投与形態は、直接圧縮、乾燥顆粒化、湿潤顆粒化、およびディップ−コーティング法を含む、従来の方法および当業者に公知の技術にしたがって調製可能である。
【0203】
他の実施形態において、本明細書で提供される薬理学的組成物は、ESC制御放出投与形態として処方し、これには、活性成分(類)、ヒドロキシエチルセルロース、および他の薬理学的に許容可能な賦形剤を含むコアをコートする、浸透性膜が含まれる。
【0204】
(3.多重微粒子制御放出器具)
改変放出用量形態中の、本明細書で提供された薬理学的組成物を、直径約10μm〜約3mm、約50μm〜約2.5mm、または約100μm〜約1mmの範囲で、多数の粒子、顆粒またはペレットを含む、多重微粒子制御放出器具を作り上げてよい。そのような多重微粒子は、湿潤および乾燥顆粒化、押し出し成形/球形化、ローラー−圧縮、融解−凍結を含む、当業者に公知の工程によって、そしてスプレー−コーティングシードコアによって、作製してよい。たとえば、Multiparticulate Oral Drug Delivery;Marcel Dekker:1994、およびPharmaceutical Pelletization Technology;Marcel Dekker:1989を参照のこと。
【0205】
本明細書で記述されたような他の賦形剤を、多重微粒子を処理する、および形成することを補助するために、薬理学的組成物と混合してよい。得られた粒子はそれ自身、多重微粒子器具を構成してよく、または腸溶性ポリマー、水膨潤性および水可溶性ポリマーのような、種々のフィルム−形成物質によってコートしてよい。多重微粒子をさらに、カプセルまたは錠剤として処理可能である。
【0206】
4.標的化伝達
本明細書で提供された薬理学的組成物をまた、リポソーム−、再封鎖赤血球−および抗体−に基づく伝達経を含む、特定の組織、レセプターまたは処置されるべき被検体の体の他の領域に標的化するために処方してよい。例には、限定はしないが、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号、および第5,709,874号が含まれる。
【0207】
(使用方法)
治療的に有効量の式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患を有するか、または有しているおそれのある被検体に投与する工程を含む、上述の疾患または状態を患う被検体を治療する方法が提供される。
【0208】
グラム陰性菌およびグラム陽性菌から誘導される疾患または状態の治療を目的とする方法が提供される。グラム陰性菌としては、限定されないが、Escherichia coli、Salmonella、Pseudomonas、Moraxella、Helicobacter、Stenotrophomonas、Bdellovibrio、酢酸菌、レジオネラ、緑色硫黄菌、緑色非硫黄菌、シアノバクテリア、スピロヘータ;Gram−negative cocci、例えば、ほんの一例を挙げると、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidisおよびMoraxella catarrhalis;Gram−negative bacilli、例えば、ほんの一例を挙げると、Hemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Legionella pneumophila、Pseudomonas aeruginosa、Proteus mirabilis、Enterobacter cloacae、Serratia marcescens、Helicobacter pylori、Salmonella enteritidisおよびSalmonella typhi;および院内感染グラム陰性菌、例えば、一例を挙げると、acinetobacter baumaniiが挙げられる。
【0209】
グラム陽性菌としては、限定されないが、phylum Firmicutes、例えば、ほんの一例を挙げると、Bacillus、Listeria、Staphylococcus、Streptococcus、EnterococcusおよびClostridium;Mollicutes、例えば、ほんの一例を挙げると、Mycoplasma;アクチノバクテリア、firmicutesおよびdeinococcus−thermus bacteriaが挙げられる。
【0210】
いくつかの実施形態では、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される疾患または状態の治療を目的とする方法である。
【0211】
さらに、50Sリボソームサブユニットの調整に応答する疾患を有するか、または有しているおそれがある被検体に、治療的に有効量の式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を投与する工程を含む、上述の疾患の1つ以上の症状を治療する方法が提供される。
【0212】
さらに、本明細書では、50Sリボソームサブユニットと、式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)とを接触させる工程を含む、50Sリボソームサブユニットを調整する方法も提供される。
【0213】
一実施形態では、リボソームは、細胞によって発現する。
【0214】
一態様では、治療的に有効量の式1の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。ここで、
【化22】

式1
式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化23】

および
【化24】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される;
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率は少なくとも約1%である;
但し、式1の化合物は
【化25】

ではない。
【0215】
一実施形態では、以下からなる群から選択される治療的に有効量の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法である。
【化26】

【0216】
別の態様では、治療的に有効量の式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある被検体を治療する方法が提供される。
【0217】
いくつかの実施形態では、上述の方法の投与工程は、本明細書に記載の化合物を、ほんの一例を挙げると、単一の錠剤、丸薬、カプセル、静脈注射用単一溶液、単一の飲用溶液、単一の糖衣錠処方物またはパッチなどの形態で投与する工程を含み、投与量は、1日に合計で約0.1mg〜約2,000mgである。
【0218】
別の態様では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、疾患の治療中に、当該化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差の減少に影響を与えるように、治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットを調整することが有益な疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある被検体を治療する方法が提供される。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約5%を超えて減少する。他の実施形態では、本開示の化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約10%を超えて減少する。他の実施形態では、本開示の化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約20%を超えて減少する。他の実施形態では、本開示の化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約30%を超えて減少する。他の実施形態では、本開示の化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約40%を超えて減少する。他の実施形態では、本開示の化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約50%を超えて減少する。
【0220】
別の態様では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、単位投薬あたりの当該化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿濃度の増加に影響を与えるように、治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットを調整することが有益な疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある被検体を治療する方法が提供される。
【0221】
いくつかの実施形態において、式1の化合物の平均血漿レベルが、相当する同位体元素が濃縮されていない化合物と比較して、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上まで増加する。
【0222】
他の実施形態において、式1の化合物の代謝物の平均血漿レベルが、相当する同位体元素が濃縮されていない化合物と比較して、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上まで増加する。
【0223】
式1の化合物、またはその代謝物の血漿レベルは、Liら(Rapid Communications in Mass Spectrometry 2005,19,1943−1950)によって記述された方法を用いて測定する。
【0224】
別の態様では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、疾患の治療中に、哺乳動物被検体における単位投薬あたり、少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームの阻害の低下および/または少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームによる代謝の低下に影響を与えるように、治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットを調整することが有益な疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある被検体を治療する方法が提供される。哺乳動物被検体におけるシトクロムP450アイソフォームの例としては、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51などが挙げられる。
【0225】
いくつかの実施形態において、式1の化合物による、シトクロムP450アイソフォームの阻害における減少は、相当する同位体元素が濃縮されていない化合物と比較して、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上である。
【0226】
シトクロムP450アイソフォームの阻害は、Koら(British Journal of Clinical Pharmacology,2000,49,343−351)の方法によって測定する。
【0227】
別の態様では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、疾患の治療中に、哺乳動物被検体における少なくとも1つの多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームの代謝の低下に影響を与えるように、治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットを調整することが有益な疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある哺乳動物被検体を治療する方法が提供される。
【0228】
哺乳動物被検体における多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームの例としては、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19およびCYP2D6が挙げられる。
【0229】
いくつかの実施形態では、シトクロムP450アイソフォームによる本開示の化合物の代謝の低下は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約5%を超える。他の実施形態では、シトクロムP450アイソフォームによる本開示の化合物の代謝の低下は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約10%を超える。他の実施形態では、シトクロムP450アイソフォームによる本開示の化合物の代謝の低下は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約20%を超える。他の実施形態では、シトクロムP450アイソフォームによる本開示の化合物の代謝の低下は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約30%を超える。他の実施形態では、シトクロムP450アイソフォームによる本開示の化合物の代謝の低下は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約40%を超える。他の実施形態では、シトクロムP450アイソフォームによる本開示の化合物の代謝の低下は、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、約50%を超える。
【0230】
シトクロムP450アイソフォームの代謝活性は、以下の実施例16に記載される方法によって測定する。
【0231】
別の実施形態では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、菌またはマイコバクテリアの濃度を統計的に有意に低下させる影響を与えるように、治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットを調整することが有益な疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある被検体を治療する方法が提供される。
【0232】
別の態様では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、検出可能な感染をなくすまでの時間を統計的に有意に短縮するような、臨床効果の向上に影響を与えるように、治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットを調整することが有益な疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある哺乳動物被検体を治療する方法が提供される。
【0233】
いくつかの実施形態では、本開示の薬剤に対して感受性の微生物は、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される。
【0234】
いくつかの実施形態では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、検出可能な感染をなくすまでの時間を統計的に有意に短縮するような、臨床効果の向上に影響を与えるように、治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、胃潰瘍または十二指腸潰瘍が関与する疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある哺乳動物被検体を治療する方法が提供される。
【0235】
いくつかの実施形態では、治療的に有効量の式1の少なくとも1つの化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、検出可能な感染をなくすまでの時間を統計的に有意に短縮するような、臨床効果の向上に影響を与えるように、治療的に有効量のプロトンポンプ阻害剤と組み合わせて治療が必要な哺乳動物被検体に投与する工程を含む、胃潰瘍または十二指腸潰瘍が関与する疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある哺乳動物被検体を治療する方法が提供される。
【0236】
処置されるべき疾患、および被検体の状態に依存して、本明細書にて提供された式1の化合物を、経口、非経口(たとえば筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射または注入、皮下注射または埋め込み)、吸入、経鼻、経膣、直腸、舌下、または局所(たとえば経皮または局所)投与経路によって投与してよく、各投与経路のために適切な、薬理学的に許容可能な担体、アジュバントおよび賦形剤との好適に投与ユニットにて、単独または一緒に処方してよい。
【0237】
用量は、1日あたり、適切な間隔にて投与される、1、2、3、4、5、6またはそれ以上のサブ用量の形態であってよい。用量またはサブ用量は、用量ユニットあたり、約0.1〜約1000ミリグラム、約0.1〜約500ミリグラム、または約0.5〜約250ミリグラム活性成分(類)を含む投与ユニットの形態で投与してよく、患者の状態が要求する場合、用量は、他の方法として、連続注入として投与可能である。
【0238】
特定の実施形態において、適切な投与レベルは、単一または多重用量で投与してよい、約0.01〜約100mg/kg患者体重/日(1日あたりmg/kg)、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、または約0.05〜約10mg/kg/日である。好適な投与レベルは、約0.01〜約100mg/kg/日、約0.05〜約50mg/kg/日、または約0.1〜約10mg/kg/日であってよい。この範囲内で、投与は、約0.01〜約0.1、約0.1〜約1.0、約1.0〜約10、または約10〜約50mg/kg/日であってよい。
【0239】
(組合せ治療)
本明細書で提供される化合物は、本明細書で提供される化合物が有用である疾患または状態の1つ以上の症状(50Sリボソームサブユニットによって媒介される任意の状態を含む)を治療し、予防し、または軽減するのに有用な他の薬剤と混合するか、または組み合わせて使用してもよく、麻酔薬、鎮痛剤、エンセオゲン、強硬症治療薬および神経保護剤として使用してもよい。または、ほんの一例を挙げると、本明細書に記載のある化合物の治療有効性は、アジュバントの投与によって高まってもよい(すなわち、アジュバント自体は最小限の治療利益しか有していないが、別の治療薬剤と組み合わせると、患者に対する総合的な治療利益が高まる)。
【0240】
したがって、このような他の薬剤、アジュバントまたは薬物は、式1の化合物と同時または連続して、一般的に使用される経路および量で投与してもよい。本明細書で提供される式1の化合物が1つ以上の他の薬物と同時に使用される場合、本明細書で提供される化合物に加え、このような他の薬物を含有する医薬組成物を利用してもよいが、必須なわけではない。したがって、本明細書で提供される医薬組成物としては、本明細書で提供される化合物に加え、1つ以上の他の活性成分または治療薬剤も含有する組成物が挙げられる。
【0241】
一実施形態では、式1の化合物(その医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む)を、プロトンポンプ阻害剤と混合するか、または組み合わせて使用してもよい。
【0242】
一実施形態では、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、レミノプラゾール、イラプラゾール、ネパプラゾール、サビプラゾールおよびテナトプラゾールからなる群から選択される。
【0243】
別の実施形態では、胃潰瘍または十二指腸潰瘍が関与する疾患または状態を有しているか、上述の疾患または状態を有しているおそれがあるか、または上述の疾患または状態を患う傾向がある被検体を治療する方法は、治療的に有効量のアモキシシリンを投与する工程を更に含む。
【0244】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化合物を、限定はしないが、モルホリン、コデイン、セバイン、ジアセチルモルフィン、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、ニコモルフィン、フェンタニル、α−メチルフェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、オホメフェンタニル、ペチジン、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキシトロプロポキシフェン、メタドン、ロペラミド、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、レヴォルファノール、ナロキソン、ナルトレキソンおよびトラマドールを含む、1つまたはそれ以上の、本技術分野で公知の、天然の、半合成の、または完全合成のオピオイドと組合せ可能である。
【0245】
他の実施形態において、本明細書で提供される化合物を、限定はしないが、プロポホール、プロカイン、リドカイン、プリロカイン、ブピビカイン、レボブピビカイン、酸化窒素、ハロタン、エンフルラン、イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン、チオペンタール、メトヘキシタール、エトミデート、ジアゼパム、ミダゾラム、ロラゼパム、スクシニルコリン、ベクロニウム、ロクラニウム、ピペクロニウム、ラパクロニウム、チューボクラリン、およびガラマインを含む、1つまたはそれ以上の、本技術分野で公知の、局所および/または一般麻酔薬および鎮痛薬と組合せ可能である。
【0246】
本明細書で提供される化合物をまた、限定はしないが、ホスホラミドンのようなエンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤類、イフェトロバンのようなトロンボキサンレセプターアンタゴニスト類、カリウムチャネルオープナー類、ヒルジンのようなトロンビン阻害剤類、PDGF活性のモジュレーター類のような、成長因子阻害剤類、血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト類、GPIIb/IIIaブロッカー類(たとえばアブドキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト類(たとえばクロピドグレル、チクロピジンおよびCS−747)、およびアスピリンのような、抗血小板剤、ワーファリンのような抗凝固剤、エノキサパリンのような低分子量ヘパリン、第VIIa因子阻害剤類および第Xa因子阻害剤類、レニン阻害剤類、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤類、オマパトリラットおよびゲモパトリラットのような、バソペプシダーゼ阻害剤類(デュアルNEP−ACE阻害剤類)、プラバスタチン、ロボスタチン、アトルバスタチン、シムバスタチン、NK−104(a.k.a.、イタバスタチン、ニスバスタチンまたはニスバスタチン)およびZD−4522(またロスバスタチンまたはアタバスタチンまたはビサスタチンとしても知られている)のような、HMG CoAリダクターゼ阻害剤類、スクアレンシンターゼ阻害剤類、フィブラート、クエストランのような胆汁酸金属イオン封鎖剤類、ナイアシン、ACAT阻害剤類のような、抗アテローム性動脈硬化症剤類、MTP阻害剤類、アムロジピンベシラートのような、カルシウムチャネルブロッカー類、カリウムチャネル活性化物類、アルファ−アドレナリン作動性薬剤類、カルベジロールおよびメトプロロールのようなβ−アドレナリン作動性薬剤類、不整脈治療剤類、クロロスラジン、ヒドロキノロサイアジド、フルメサイアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロサイアジド、トリキノロメサイアジド、ポリサイアジド、ベンゾスラジド、エタクリン酸、トリシナフェン、クロルサリドン、フロセニルド、ムソリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロリドおよびスピロノラクトンのような利尿剤類、組織プラスミノーゲン活性化物(tPA)、組換え体tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼおよびアニソール化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化物複合体(APSAC)のような血栓溶解剤類、ビグアニド類(たとえばメトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤類(たとえばアカルボース)、インスリン、メグリチナイド類(たとえばレパグリニド)、スルホニルウレア(たとえばグリメピリド、グリブリドおよびグリピジド)、チオゾリジンジオン類(たとえばトログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、およびPPAR−γアゴニスト類のような抗糖尿病薬剤、スピロノラクトンおよびエプレレノンのような、ミネラロコルチコイドレセプターアンタゴニスト類、成長ホルモン分泌促進剤、aP2阻害剤類、PDEIII阻害剤類(たとえばシロスタゾール)およびPDE V阻害剤類(たとえばシロデナフィル、タダラフィル、ヴェルデナフィル)のようなホスホジエステラーゼ阻害剤類、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤類、抗炎症剤、メトトレキサート、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノレートモフェティルのような、抗増殖剤類、化学療法剤類、免疫抑制剤類、抗がん剤および細胞傷害性薬剤類(たとえば、窒素マスタード、アルキルスルホン酸類、ニトロ供給源、エチレンアミン類およびトリアゼン類のようなアルキル化剤類)、葉酸アンタゴニスト類、プリン類似体類およびピリジン類似体類のような、抗代謝剤類、アントラサイクリン類、ブレオマイシン類、マイトマイシン、ダクチノマイシンおよびプリカマイシンのような抗生物質類、L−アスパラギナーゼのような酵素類、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤類、グルココルチコイド類(たとえばコルチゾン)、エストロゲン類/抗エストロゲン類、アンドロゲン類/抗アンドロゲン類、プロゲスチン類、および応対形成ホルモン−放出ホルモンアンタゴニスト類、および酢酸オクトレオチドのような、ホルモン性薬剤類、エクテイナシジン類のような微小間崩壊薬剤類、パシタキセル、ドセタキセルおよびエポチロン類A〜Fのような微小間安定化剤類、ビンカアルカロイド類、エピポドフィロトキシン類、およびタキサン類のような植物由来産物類、およびトポイソメラーゼ阻害剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤類、およびシクロスポリン類、プレドニゾンおよびデキサメタゾンのようなステロイド類、アザチプリンおよびシクロホスファミドのような細胞傷害性薬物類、テニダップのようなTNF−アルファ阻害剤類、エタネルセプト、ラパマイシンおよびレフルニミドのような抗−TNF抗体または可溶性TNFレセプター、およびセレコキシブおよびロフェコキシブのようなシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)選択的阻害剤類、およびヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミンのような、諸薬剤類、サトラプラチンおよびカルボプラチンのような、金化合物、白金配位複合体、を含む他のクラスの化合物と組み合わせて投与可能である。
【0247】
(キット/製造品目)
本明細書で記述した治療的適用における利用のために、キットおよび製造品目もまた本明細書で記述されている。そのようなキットには、バイアル、チューブなどのような1つまたはそれ以上の容器を受け入れるために区分けられる担体、パッケージ、または容器が含まれ得、各容器(類)には、本明細書で記述される方法において使用されるべき、1つの分離要素が含まれる。好適な容器には、たとえばボトル、バイアル、シリンジ、および試験チューブが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックのような種々の物質から形成されてよい。
【0248】
たとえば、容器(類)には、任意に組成物中、または本明細書で開示された他の薬剤との組合せで、1つまたはそれ以上の本明細書で記述された化合物が含まれてよい。容器(類)は任意に、無菌アクセスポートを持ってよい(たとえば、容器は、静脈溶液バッグ、または皮下注射ニードルによって穴を開けることが可能なストッパーを持つバイアルであってよい)。そのようなキットには任意に、同定記述またはラベル、または本明細書で記述した方法でのその利用に関連した取扱説明書をともなって、化合物を含む。
【0249】
キットには典型的に、1つまたはそれ以上のさらなる容器が含まれ、それぞれは、1つまたはそれ以上の(任意に濃縮形態での、薬剤、および/または器具のような)種々の物質を含む。そのような物質の非限定例には、限定はしないが、緩衝液、希釈液、フィルター、ニードル、シリンジ、担体、パッケージ、容器、バイアル、および/またはチューブ標識リスト内容、および/または利用のために取扱説明書、および利用の説明書をともなうパッケージインサートが含まれる。一組の取扱説明書がまた、典型的に含まれる。
【0250】
標識は、容器上に存在するか、または容器に結合され得る。標識は、該標識を形成する文字、数字または他の特徴が、容器それ自身に添付、成型またはエッジ処理される場合、容器上に存在することが可能であり;標識が、たとえばパッケージインサートとして、容器をまた保持するレセプタクルまたは担体内に存在する場合には、標識を容器に貼り付けることも可能である。標識を用いて、該内容物が特定の治療的用途に使用されるべきであることを示唆することが可能である。標識はまた、本明細書で記述した方法において、内容物の利用に関する使用説明も示し得る。これらの他の治療薬剤を、Physicians’ Desk Reference(PDR)にて示唆された量で、または当業者によって決定されるように、使用してよい。
【実施例】
【0251】
以下の実施例のすべてに関して、当業者に公知の標準の検査および精製方法を利用可能である。スキーム1にて例示した合成方法は、特定の実施例を介した適用可能な化学反応を例示する目的であり、本明細書で請求されるものの目的を示唆しているわけではない。
【化27】

スキーム1
【実施例1】
【0252】
−3’−N−オキシド−6−メチル−エリスロマイシンA
【化28】

以前にWO0177135に記載したとおりの手順を行う。3’−N−オキシドエリスロマイシンA(6.7mmol)をテトラヒドロフラン−ジメチルスルホキシド(50mL、無水、1:1)に溶解し、0℃に維持する。水酸化カリウム(10mmol)を加える。反応混合物を30分間攪拌し、次いでd−ヨードメタン(16.7mmol)を加える。反応物を周囲温度で2時間攪拌し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水および塩水で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。生成物であるd−3’−N−オキシド−6−メチル−エリスロマイシンAを、さらに精製することなく次の工程で使用する。
【実施例2】
【0253】
−6−メチル−エリスロマイシンA
【化29】

−3’−N−オキシド−6−メチル−エリスロマイシンA(2.4mmol)をメタノール(20mL)に溶解する。10%パラジウム/炭素(200mg、0.1当量)を加え、水素雰囲気下、反応混合物を周囲温度で1時間攪拌する。反応混合物から触媒を濾別し、減圧下で濃縮することによって粗生成物を得る。残渣をメタノールから再結晶し、所望の生成物であるd−6−メチル−エリスロマイシンAを得る。
【実施例3】
【0254】
−3’−N−デスメチル−6−メチル−エリスロマイシンA
【化30】

−6−メチル−エリスロマイシンA(5g)および酢酸ナトリウム三水和物(5当量)のメタノール−水50mL溶液を47℃まで加熱し、1N水酸化ナトリウムを連続的に加えることによって反応物のpHを8〜9に維持しつつ、ヨウ素(1.747g、1当量)を1時間かけて加える。2時間後に、無色混合物を、水250mLおよび水酸化アンモニウム5mLの溶液に注ぐ。生成物をクロロホルム(4×50mL)で抽出し、合わせた水性抽出物を水−水酸化アンモニウム(70mL、5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物4.744gを得て、これをアセトン(12mL)および濃水酸化アンモニウム(0.7mL)から再結晶し、所望の生成物であるd−3’−N−デスメチル−6−メチル−エリスロマイシンAを3.35g得る。
【実施例4】
【0255】
−3’−N,N−ジデスメチル−6−メチル−エリスロマイシンA
【化31】

0〜5℃のナトリウムメトキシドのメタノール溶液(無水メタノール(300mL)およびナトリウム金属(0.648g)から調製)に、d−3’−N−デスメチル−6−メチル−メチル−エリスロマイシンA(4.00g)を加える。ヨウ素(7.08g)を加え、この溶液を窒素下、0〜5℃に4時間維持する。次いで、この溶液を水1500mlに注ぎ、これにチオ硫酸ナトリウム(12g)および水酸化アンモニウム(10mL、濃)を加える。次いで、反応混合物をクロロホルム(2×100mlおよび2×50ml)で抽出する。合わせたクロロホルム抽出物を、水(100ml)および水酸化アンモニウム(5mL、濃)の混合物で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下65℃で濃縮する。粗生成物であるd−3’−N,N−ジデスメチル−6−メチル−エリスロマイシンAをHPLCクロマトグラフィーで精製する。
【実施例5】
【0256】
−6−メチル−エリスロマイシンA(d−クラリスロマイシン)
【化32】

−3’−N,N−ジデスメチル−6−メチル−エリスロマイシンA(0.08mmol)、d−ホルムアルデヒド(0.16mmol、重水37%溶液)、d−ギ酸(0.16mmol)およびd−ジメチルスルホキシド(0.2mL)の溶液を5mLのPyrexガラス管中で混合する。この管に120Wでマイクロ波を1分間照射する。次いで、反応混合物をクロロホルム(2mL)に溶解する。クロロホルム溶液をNaOH(6mL、10%水溶液)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、所望の生成物であるd−6−メチル−エリスロマイシンA(d−クラリスロマイシン)を得る。
【実施例6】
【0257】
エリスロマイシンA N−オキシド
【化33】

エリスロマイシンA(8.8g、12mmol)および30%過酸化水素溶液(4.0mL、36mmol)の混合物を、メタノール(70mL)および水(50 mL)中、周囲温度で19時間攪拌した。反応物の体積を減圧下で約半分まで減らし、残留物をクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をアセトン(40mL)に入れ、周囲温度で1時間攪拌した。減圧濾過によって、所望の生成物であるエリスロマイシンA N−オキシド(8.10g、収率90%)を白色粉末として集めた。H−NMRデータは、文献に報告されているものと一致した。
【実施例7】
【0258】
−3’−N−オキシド−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化34】

−ヨードメタン(1.2mL、18.98mmol)および水酸化カリウム粉末(1.06g、18.98mmol)を、0〜5℃のエリスロマイシン N−オキシド(10.95g、14.60mmol)の無水ジメチルスルホキシド−テトラヒドロフラン1:1(120mL)溶液に連続的に加えた。混合物をこの温度で30分間攪拌し、周囲温度でさらに1時間攪拌した。冷水(60mL)を用いて反応をクエンチし、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をアセトン(80mL)に入れ、室温で5時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、淡黄色泡状残渣を得て、これを酢酸エチル(45mL)に入れ、室温で一晩攪拌した。固体(6.0g)を減圧濾過によって集め、冷酢酸エチルで洗浄した。クロロホルムから再結晶してさらに精製し、所望の化合物であるd−3’−N−オキシド−6−O−メチル−エリスロマイシンAを白色固体として得た。収率:1.52g(14%)。H−NMR(CDCl)δ:0.84(t,3H,J=7.5Hz),1.10−1.40(m,27H),1.40−2.05(m,8H),2.32(br d,1H),2.57(m,1H),2.86(m,1H),3.02(m,1H),3.22(s,3H),3.29(s,3H),3.36(s,3H),3.51(m,1H),3.61−4.02(m,6H),4.57(d,1H,J=6.9Hz),4.92(d,1H,J=3.9Hz),5.03(dd,1H,J=11.4,1.8Hz).MS:m/z767.4[M+H]
【実施例8】
【0259】
−6−O−メチル−エリスロマイシンA(d−クラリスロマイシン)
【化35】

−3’−N−オキシド−6−O−メチル−エリスロマイシンA(0.22g、0.287mmol)および10%パラジウム/炭素(10mg)の混合物を、水素雰囲気下、メタノール(5mL)中、周囲温度で2時間攪拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮し、粗残渣を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−水酸化アンモニウム)で精製し、所望の生成物であるd−クラリスロマイシンを白色固体として得た。収率:0.17g(79%)。H−NMR(CDCl)δ:0.85(t,3H,J=7.5Hz),1.09(d,3H,J=7.8Hz),1.22(s,3H),1.10−1.30(m,18H),1.40(s,3H),1.41−2.05(m,8H),2.10−2.40(m,2H),2.41(br s,6H),2.59(m,2H),2.88(m,1H),3.02(m,2H),3.19(br s,1H),3.26(m,1H),3.32(s,3H),3.47(d,1H,J=6.9Hz),3.48(m,2H),3.75(m,2H),3.97(m,2H),4.47(d,1H,J=8.4Hz),4.92(d,1H,J=4.2Hz),5.03(br d,1H,J=9.6Hz).MS:m/z751.3(M+1)
【実施例9】
【0260】
−3’−N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化36】

−クラリスロマイシン(1.10g、1.46mmol)の無水アセトニトリル(60mL)溶液を0〜5℃で攪拌し、この溶液にN−ヨードスクシンイミド(0.40g、1.76mmol)を、少量ずつ5分間かけて加えた。混合物を周囲温度まで加温し、16時間攪拌を続けた。溶液を酢酸エチルで希釈し、5%硫酸水素ナトリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および塩水で連続的に洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮し、粗残渣を得て、これをフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−水酸化アンモニウム)で精製し、所望の生成物であるd−3’−N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンAを白色固体として得た。収率:0.608g(57%)。H−NMR(CDCl)δ:0.85(t,3H,J=7.5Hz),1.03(d,3H,J=7.8Hz),1.14(s,3H),1.10−1.30(m,18H),1.39(s,3H),1.41−2.05(m,8H),2.33(m,2H),2.59(m,1H),2.73(s,3H),2.88(m,1H),2.98(m,1H),3.21(m,1H),3.32(s,3H),3.58(m,1H),3.66(m,1H),3.74(br s,1H),3.75(m,1H),3.99(m,2H),4.44(d,1H,J=7.5Hz),4.92(d,1H,J=4.8Hz),5.07(dd,1H,J=8.4,2.4Hz).
【実施例10】
【0261】
N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化37】

−クラリスロマイシンをクラリスロマイシンに換えて、実施例9に記載されるように表題化合物を調製した。収率:51%。白色固体。H−NMR(CDCl)δ:0.85(t,3H,J=7.5Hz),1.03(d,3H,J=7.8Hz),1.14(s,3H),1.10−1.30(m,18H),1.39(s,3H),1.41−2.05(m,8H),2.34(m,2H),2.49(s,3H),2.59(m,2H),2.86(m,1H),2.99(m,1H),3.03(s,3H),3.23(m,1H),3.32(s,3H),3.58(m,1H),3.66(m,1H),3.74(br s,1H),3.75(m,1H),3.99(m,2H),4.42(d,1H,J=7.2Hz),4.92(d,1H,J=4.8Hz),5.07(br d,1H,J=9.3Hz).
【実施例11】
【0262】
−6−O−メチル−エリスロマイシンA(d−クラリスロマイシン)
【化38】

−3’−N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンA(0.147g、0.20mmol)、d−ギ酸(15mL、0.40mmol)およびd−ホルムアルデヒド(20wt%重水溶液、0.40mL、1.24mmol)のd−メタノール(2mL)中の混合物を環流下で3時間加熱した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、水で希釈し、水酸化アンモニウム水溶液でpH10になるまで塩基性にし、クロロホルムで抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮し、所望の生成物であるd−クラリスロマイシンを白色固体として得た。収率:0.148g(98%)。H−NMR(CDCl)δ:0.84(t,3H,J=7.5Hz),1.08(d,3H,J=7.8Hz),1.12(s,3H),1.10−1.30(m,18H),1.40(s,3H),1.41−2.05(m,8H),2.23(m,1H),2.33(m,1H),2.40(s,3H),2.59(m,2H),2.87(m,1H),2.99(m,1H),3.02(m,2H),3.19(s,1H),3.25(m,1H),3.32(s,3H),3.49(m,1H),3.66(m,1H),3.75(br s,1H),3.76(m,1H),3.98(m,2H),4.45(d,1H,J=7.5Hz),4.91(d,1H,J=7.5Hz),5.07(dd,1H,J=10.8,1.8Hz).13C−NMR(CDCl)δ:9.25,10.67,12,37,16.04(2),18.06,18.74,19.82,21.08,21.43,21.53,29.48,34.95,37.26,39.11,39.32,40.31,45.05,45.23,49.48,65.53,65.83,68.48,69.04,70.93,72.72,74.21,76.60,77.83,78.21,78.38,80.93,96.01,102.51,175.57,220.66.MS:m/z754.6[M+H]
【実施例12】
【0263】
−6−O−メチル−エリスロマイシンA(d−クラリスロマイシン)
【化39】

−3’−N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンAを3’−N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンAに換えて、実施例11に記載されるように表題化合物を調製した。収率:99%。白色固体。H−NMR(CDCl)δ:0.84(t,3H,J=7.2Hz),1.09(d,3H,J=7.8Hz),1.11(s,3H),1.10−1.30(m,18H),1.40(s,3H),1.41−1.95(m,8H),2.23(m,1H),2.33(m,1H),2.37(s,3H),2.59(m,2H),2.87(m,1H),2.99(m,1H),3.03(s,3H),3.18−3.28(m,2H),3.32(s,3H),3.49(m,1H),3.66(m,1H),3.76(m,2H),3.98(m,2H),4.45(d,1H,J=7.5Hz),4.91(d,1H,J=4.5Hz),5.04(dd,1H,J=11.1,2.1Hz).13C−NMR(CDCl)δ:9.22,10.66,12,36,16.03(2),18.05,18.74,19.80,21.07,21.43,21.52,29.38,34.94,37.25,39.12,39.31,40.29,40.04,45.22,49.47,50.60,65.51,65.81,68.49,69.03,70.92,72.70,74.21,76.57,77.82,78.29,78.37,80.87,96.00,102.51,175.57,220.63.MS:m/z751.6[M+H]
【実施例13】
【0264】
−3’−N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化40】

実施例9に記載されるように表題化合物を調製した。最終生成物は、約70%のd−N−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンA(R=CD)および約30%のN−デスメチル−6−O−メチル−エリスロマイシンA(R=CH)を含有していた。収率;49%。H−NMR(CDCl)δ:0.83(t,3H,J=7.2Hz),1.04(d,3H,J=7.2Hz),1.11(s,3H),1.10−1.30(m,15H),1.24(s,3H),1.40(s,3H),1.41−1.95(m,8H),2.31(m,1H),2.33(m,1H),2.56(m,2H),2.85(m,1H),2.99(m,1H),3.02(s,3H),3.14−3.28(m,2H),3.30(s,3H),3.51(m,1H),3.64(m,1H),3.74(m,2H),3.98(m,2H),4.40(d,1H,J=7.5Hz),4.91(d,1H,J=4.2Hz),5.04(dd,1H,J=11.1,1.8Hz).MS:m/z737.6[M+H]
【実施例14】
【0265】
−6−O−メチル−エリスロマイシンA(d−クラリスロマイシン)
【化41】

実施例11に記載されるように表題化合物を調製した。最終生成物は、約70%のd−6−O−メチル−エリスロマイシンA(R=CD、d−クラリスロマイシン)および約30%のd−6−O−メチル−エリスロマイシンA(R=CH、d−クラリスロマイシン)を含有していた。収率:88%。H−NMR(CDCl)δ:0.85(t,3H,J=7.2Hz),1.08(d,3H,J=7.2Hz),1.13(s,3H),1.10−1.30(m,18H),1.40(s,3H),1.41−1.95(m,8H),2.31(m,1H),2.37(m,1H),2.58(m,2H),2.88(m,1H),2.99(m,1H),3.04(s,3H),3.16−3.28(m,2H),3.33(s,3H),3.54(m,1H),3.67(m,1H),3.76(m,2H),3.98(m,2H),4.48(d,1H,J=6.9Hz),4.91(d,1H,J=4.5Hz),5.04(dd,1H,J=11.1,2.1Hz).MS:m/z754.6[M+H]
【実施例15】
【0266】
In vitro肝臓ミクロソーム安定性アッセイ
肝臓ミクロソームタンパク質1mg/mLで、2%NaHCO(2.2mM NADPH、25.6mM グルコース6リン酸、6単位/mL グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼおよび3.3mM MgCl)中のNADPH生成系を用いて肝臓ミクロソーム安定性アッセイを行った。20%アセトニトリル−水溶液として試験化合物を調製し、アッセイ混合物(最終アッセイ濃度5μg/mL)に加え、37℃でインキュベート(incubate)した。アッセイ中のアセトニトリルの最終濃度は、1%未満でなければならない。アリコート(50μL)を、0分、15分、30分、45分および60分に採取し、氷冷したアセトニトリル(200μL)で希釈し、反応を停止させた。サンプルを12000RPMで10分間遠心分離し、タンパク質を沈殿させた。上清を微小遠沈管に移し、試験化合物の分解半減期のLC/MS/MS分析用に保存した。このように、このアッセイで試験した本開示の式1の化合物は、同位体元素が濃縮されていない薬物と比較した場合、分解半減期が10%以上長くなることがわかった。例えば、d−クラリスロマイシン(実施例8)、d−クラリスロマイシン(実施例11)、d−クラリスロマイシン(実施例12)、d−クラリスロマイシン(実施例14)の分解半減期は、同位体元素が濃縮されていないクラリスロマイシンと比較した場合、10〜400%長くなった。
【実施例16】
【0267】
ヒトシトクロムP450酵素を用いたin vitro代謝
シトクロムP450酵素を、バキュロウイルス発現系(BDバイオサイエンセズ(BD Biosciences)を用いて、相当するヒトcDNAから発現させる。100ミリモルリン酸カリウム(pH7.4)中の0.8ミリグラム/ミリリットルタンパク質、1.3ミリモルNADP+、3.3ミリモルグルコース−6−リン酸、0.4U/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、3.3ミリモル塩化マグネシウムおよび0.2ミリモルの式1の化合物、相当する同位体元素が濃縮されていない化合物、または標準または対照を含む、0.25ミリリットルの反応混合液を、37℃にて20分間インキュベートする。インキュベーションの後、反応を、適切な溶媒(たとえば、アセトニトリル、20%トリクロロ酢酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸、70%過塩素酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸)の添加によって停止し、3分間遠心(10,000g)する。上清をHPLC/MS/MSによって解析する。
【表1】


(薬理学)
【実施例17】
【0268】
In Vitro微生物試験
複数の微生物培地に対するMICについて、Modugnoら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 1994,38(10),2362−23(内容全体が本明細書に参考として組み込まれる)の方法にしたがって、試験薬剤をアッセイする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化2】

および
【化3】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、
式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である;
但し、式1の化合物は
【化4】

ではない条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項2】
下記の群、
【化5】

【請求項3】
前記化合物が、当該化合物の(−)−エナンチオマーを約90重量%以上および当該化合物の(+)−エナンチオマーを約10%以下含有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、当該化合物の(+)−エナンチオマーを約90重量%以上および当該化合物の(−)−エナンチオマーを約10%以下含有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記重水素濃縮率が約10%以上である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記重水素濃縮率が約20%以上である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記重水素濃縮率が約50%以上である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記重水素濃縮率が約70%以上である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記重水素濃縮率が約80%以上である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記重水素濃縮率が約90%以上である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記重水素濃縮率が約95%以上である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
治療的に有効量の式1
【化6】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化7】

および
【化8】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、当該化合物またはその代謝物の血漿濃度の個体差の減少に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項13】
前記疾患または状態が、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
治療的に有効量の式1
【化9】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化10】

および
【化11】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有し;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、単位投薬あたりの当該化合物の平均血漿濃度の増加に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項15】
前記疾患または状態が、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
治療的に有効量の式1
【化12】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化13】

および
【化14】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有し;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、単位投薬あたりの当該化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿濃度の低下に影響を与えるように投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項17】
前記疾患または状態が、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
治療的に有効量の式1
【化15】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化16】

および
【化17】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有し;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、哺乳動物被検体における単位投薬あたり、少なくとも1つの多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームによる代謝の低下に影響を与えるように投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項19】
前記疾患または状態が、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シトクロムP450アイソフォームが、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19およびCYP2D6からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
治療的に有効量の式1
【化18】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化19】

および
【化20】

からなる群から選択され、ここでAおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、哺乳動物被検体における単位投薬あたり、少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームの阻害の低下に影響を与えるように哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項22】
前記疾患または状態が、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記シトクロムP450アイソフォームが、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46およびCYP51からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
治療的に有効量の式1
【化21】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化22】

および
【化23】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを、同位体元素が濃縮されていない化合物と比較した場合、単位投薬あたり、哺乳動物治療中の臨床効果の向上を誘発するように投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項25】
前記疾患または状態が、Helicobacter pylori、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Moraxella catarrhalis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareからなる群から選択される微生物による感染から誘導される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療的に有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグと、医薬的に許容される賦形剤または担体とを含む、医薬組成物。
【請求項27】
前記組成物が、経口投与、非経口投与または静脈内注入投与に適している、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記経口投与が、錠剤またはカプセルを投与する工程を含む、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物が、1日に合計で約0.1mg〜約2,000mgの用量で投与される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
治療的に有効量の式1
【化24】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化25】

および
【化26】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを哺乳動物に投与する工程を含む、50Sリボソームサブユニットの調整が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項31】
治療的に有効量の式1
【化27】

式1
[式中、
は、水素、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
およびRは、独立して、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択され;
Xは、
【化28】

および
【化29】

からなる群から選択され、ここで、AおよびBは炭素原子およびXに対する結合点であり、Rは、−CH、−CDH、−CDHおよび−CDからなる群から選択される]の化合物、
但し、式1の化合物が少なくとも1個の重水素原子を含有する;
但し、式1の化合物の重水素濃縮率が少なくとも約1%であるという条件である、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグと組み合わせて、治療的に有効量のプロトンポンプ阻害剤を哺乳動物に投与する工程を含む、胃潰瘍または十二指腸潰瘍が関与する疾患または状態を患う被検体を治療する方法。
【請求項32】
前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、レミノプラゾール、イラプラゾール、ネパプラゾール、サビプラゾールおよびテナトプラゾールからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
治療的に有効量のアモキシシリンを投与する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が
【化30】

ではない、請求項12、14、16、18、21、24、30または31のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−539866(P2009−539866A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514476(P2009−514476)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/070109
【国際公開番号】WO2007/143507
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(508105728)オースペックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】AUSPEX PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】