説明

置換オルガノポリシロキサン及びその使用

本発明は式1:[(O3/2)SiCH2CH2SX]a[Si(O4/2)]b[Si(O3/2V)]cの新規化合物に関する。式中、XはCH2A、[CH2CH2NR1]pR2、CHCOX1CH2COX2、(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]nから選択され、Aは式CHNR1R2COX3のアミノ酸の残基又はアミノ酸の誘導体若しくは塩であり;R1及びR2は水素、C1-20アルキル、C1-20アルキルアリール、C1-12アシルから独立に選択され、Rは水素、金属イオン、C1-5アルキルから選択され、pは1〜100であり、かつeは1又は2であり;X1及びX2はOR及びNR1R2から独立に選択され;X3はOR、NR1R2又は既知アミノ酸及びタンパク質若しくはその誘導体から選択され;かつYは、置換されたz個以下のヒドロキシル基を有するポリオールの残基であり、m+n+1はz以下であり;該シリケート酸素原子の自由原子価は、式1の他の基のケイ素原子、水素、線形若しくは分岐C1-12-アルキル基又は末端基R33M1O1/2、架橋リンカー又はポリマー鎖R3qM1(OR4)gOk/2若しくはAl(OR4)3-hOh/2若しくはR3Al(OR4)2-rOr/2(ここで、M1はSi又はTiであり;R4は線形若しくは分岐C1-40、アリール又はC1-40アルキルアリール基であり;R3は線形若しくは分岐C1-40アルキル基又はアリール若しくはC1-40アルキルアリール基であり;g+k+q=4であるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、かつgは0〜2の整数であり;hは1〜3の整数であり;かつrは1〜2の整数である)又は他の既知オキソ金属架橋系(該金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)によって飽和しており、かつ整数a、b及びcは、i)比a:bが0.00001〜100,000であり、かつ式AaBbCc中、AとBが両方とも常に存在し、及びii)Cが存在する場合、cのa+bに対する比が0.00001〜100,000で変化するような数である。シリケート酸素原子の自由原子価は、式1の他の基のケイ素原子、水素、線形若しくは分岐アルキル基、又はケイ素、アルミニウム、チタンを含有する末端基、架橋リンカー若しくはポリマー鎖又は他の既知オキソ金属架橋系によって飽和している。整数a、b及びcは、i)比a:bが0.00001〜100,000であり、かつ式AaBbCc中、AとBが両方とも常に存在し、及びii)Cが存在する場合、cのa+bに対する比が0.00001〜100,000で変化するような数である。末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマー鎖のa+b+cに対する比は0〜999:1である。本化合物は、不要な有機及び無機化合物の除去のため、固相抽出のため、固相合成のため、酸及び金属媒介不均一触媒のため、金属イオン抽出のため及び生体分子の固定化のためのスカベンジャーとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規なオルガノポリシロキサン、並びに例えばカチオン及びアニオン交換体、有機及び無機化合物スカベンジャー、固相精製又は抽出材料、生体分子の固定化材料、抗菌剤、親水性モディファイヤー、防炎加工剤、帯電防止剤、医用装置の被覆剤、はっ水フィルム及び被覆剤、固相合成材料及びクロマトグラフィー材料としてのその使用に関する。本発明は、これらの新規生成物の前駆体及びその製造方法にも関する。
機能性固体の使用は、液相合成、固相合成、固相抽出、触媒作用、触媒担体、生成物精製及び生体分子の固定化等の多くの異なる用途で急速に増加している。これらの用途では、機能性固体の利点は操作の容易さ、残りの媒体からのろ過による簡単な分離並びに再生及び再利用である。これらの機能性固体の重要な要件は、広範な操作条件、広い溶媒適応性、速い反応速度論−該官能基に対する速くて容易なアクセス及び所望用途のための高い固有活性を有する官能基−という広い範囲に及ぶ優れた物理的及び化学的安定性である。さらに、容易に入手可能な試薬から容易にこれらの機能性材料を調製できなければならない。最後に、官能基を、他の用途で使用できる異なった機能性材料に簡単に変換できれば、非常に有利である。
厳しい環境規制の結果として、広範な汚染生成物、活性医薬成分(API)、溶媒、飲用水及び水系廃棄物といった多くの起源並びに汚染水からの毒性及び危険な化学薬品の除去及び回収のためのより効率的なシステムに対する要求が増加している。例えば、医薬品業界では、API又はその中間体の製造で金属触媒の使用がますます増えている。これらの材料の毒性を考慮すると、API中の非常に低い残存レベルを達成しなければらならない。生物学的評価のための化合物ライブラリーの調製では、数千の化合物をスクリーニングして最適化及び開発プログラムの手掛かりを同定するため、反応混合物を精製するための簡単かつ迅速な方法が必要である。エレクトロニクス産業には、カチオンとアニオンの両レベルが非常に低い超純水に対する特定の要求がある。原子力産業や電気メッキ産業等の他の産業は、望ましくない金属イオンでひどく汚染されたかなりの量の水系廃物を生じさせる。
【0002】
置換ポリスチレン誘導体は、金属イオン及び有機化合物を捕捉するために使用されている重要な分類の材料である。種々の該ポリスチレンベースシステムの化学的及び物理的性質がBio-Rad Life Science Research Productsカタログ(1998/99)の56〜64ページに記載されている。しかし、これらのポリスチレン樹脂の一つの制限は、これらのポリマーの物理的限界及び芳香族環上に官能基を取り付けるために使用できる化学の範囲のため、これらの有機ポリマーに一連の化学官能基を容易には取り付けられないことである。さらに、これらのポリスチレン樹脂の物理的及び化学的性質は欠点、例えば有機ポリマー骨格のためと考えられる不十分な化学的安定性及び熱安定性を有しうる。さらなる問題、例えば有機溶媒中での膨潤と収縮及び高度に着色した望ましくない副生物の生成にも遭遇しうる。通常、その不十分な熱安定性のため、約80℃を超えてはいずれの長さの時間でもこれらのポリスチレン樹脂を使用できないので、一般的な適応性を制限する。
シリカ、酸化アルミニウム及び酸化チタン等の無機ポリマー系も機能性材料として開示されている。種々の手段でこれらの系に活性な官能基又は金属を取り付けうる。しかし、官能基が物理的に吸着しているだけの場合、多くの問題、例えば低い官能基装填と共に使用できる溶媒の範囲の制限並びに使用中又は静置中の官能基の除去に遭遇しうる。これは、官能基と、担体上の表面原子との間のかなり弱い結合のためと考えられる。枠組中に官能基を構築すると、より頑強な材料を提供でき、より高い官能基装填をも可能にしうる。しかし、このアプローチでは、容易に入手可能な出発原料及び該出発原料を調製するための前駆体がかなり少ない。さらに、入手可能な前駆体から適切な出発原料を調製するための合成法が制限される。このような機能性材料を製造するための新規な合成方法及び出発化合物を提供する必要がある。
機能性固体材料は液相有機合成で使用され、迅速な精製と仕上げを助ける。スカベンジャーとしても知られるこれらの材料は、過剰な試薬及び副生物を除去できる。典型的に、スカベンジャーを溶液に添加してクエンチし、かつ過剰又は不要な試薬及び反応副生物と選択的に反応させる。今や機能性材料に付着した不要な化学薬品は、簡単なろ過で除去される。この簡単なプロセスは液-液抽出、クロマトグラフィー及び結晶化という標準的な精製方法論を回避する。スカベンジャーとして使うため置換ポリスチレン誘導体が知られているが、熱安定性の欠如、有機溶媒中での膨潤と収縮及び限定された範囲の官能基等のいくつかの制限がある。
固相合成では、置換ポリスチレン誘導体が、使用されている主分類の材料であり、同様にこれらの材料は上記と同じ制限を受ける。この用途のための機能性シリカ材料の使用は、適切な機能性材料の入手可能性によって制限される。
カチオン及びアニオンの毒性のため、広範な汚染生成物、活性な医薬品成分(API)、溶媒、飲用水及び水系廃棄物並びに汚染水からカチオン及びアニオンを除去及び回収するためのさらに効率的なシステムに対する要求が増加している。溶液から金属イオンを除去するためのカチオン交換体として使用するため、いくつかのフェニル環に結合したスルホネート基のある、有機の、部分的に架橋結合したポリスチレン骨格を有するポリマーが知られている。しかし、これらの樹脂には活性に限界があり、選択性が不十分なので、金属錯体から金属イオンを除去できない。さらに、例えばポリマー骨格の有機的性質のため、これらの材料の物理的及び化学的安定性並びに他の特性は、カチオン交換用途で該材料を使用するのに逆効果でありうる。
【0003】
オルガノポリシロキサン骨格に結合したスルホン酸基に基づく強酸性カチオン交換体がUS 4,552,700及びUS 5,354,831に開示されている。報告された材料は、一般式(O3/2Si−R1−O3-)xMx(式中、R1はアルキル又はシクロアルキルフラグメントであり、Mは水素又は一価〜四価の金属であり、酸素原子の自由原子価は、この式の他の基のケイ素原子によって、及び/又はSiO4/2、R1SiO3/2、TiO4/2、AlO3/2等の架橋結合ブリッジメンバーによって飽和している)を有する。これらの材料はカチオン交換体として作用できるが、通常スルホン酸基は一連の金属と錯体を形成するため、他の官能基に比べてその効率に限界があると認められている。さらに、スルホネート基はモノアニオンなので、他の官能基に比し、より多くのスルホネート官能基が二価及び多価金属イオンに結合する必要があるという事実によっても制限される。これらの材料は、調製にも費用がかかる。我々の以前の特許出願PCT/GB 0200069において、我々は、ホスホン酸基を含有するオルガノポリシロキサンについて報告した。これらの材料は、金属イオンの除去に固有な高い活性を示す。特に、種々の環境から特有の金属イオンを分離するための一連の他の機能性材料が必要である。
ヒ酸イオン、クロム酸イオン、過マンガン酸イオン、ホウ酸イオン及び過塩素酸イオン等のアニオンは環境と健康に対して多くの重大な問題を引き起こす。例えば、ヒ酸イオン、クロム酸イオン及び過マンガン酸イオンは非常に毒性なので、水中又は他の媒体中のこれらのイオンの濃度は非常に注意深く制御されなければならない。非常に低い許容限界を達成するため、該アニオンに非常に高い親和性を有する新規材料が必要である。
【0004】
貴金属媒介反応により、有機化学者は多くの産業用製品の製造で用いられる広範な反応を行うことができる。典型的な反応として、Suzuki、Heck、酸化及び還元反応が挙げられ、白金、パラジウム及びロジウム等の金属とその錯体が広範囲にわたって使用される。これらのシステムの使用で遭遇する主問題は、これらの高価かつ高毒性の金属のかなりの損失である。さらに、該金属媒介反応を用いる活性な医薬品成分(API)の製造では、該金属が一定不変に所望APIと錯体を形成し、600〜1000ppmの範囲の残存金属含量は珍しくないことが分かっている。現在目標とするパラジウム、白金及びニッケルの残存含量は5ppm未満である。残存パラジウム含量を減らすため、種々の方法が試されたが、ほとんど失敗した。選択的再結晶は、金属含量のわずかな低減をもたらすだけである。APIのより少ない収量は、このプロセスの有意に望ましくない副作用である。貴金属触媒反応を最後からより前の工程に位置を変える試みも金属含量をわずかに減らすが、有意な低減をもたらさない。機能性ポリスチレン樹脂などの金属交換体を含有する媒体にAPIの溶液を通す試みも大して成功しなかった。代替及び高コストの方法−適切な金属キレーターの水溶液で洗浄する方法が試された。このような多くの試薬が使用されたが、限定的に成功するのみだった。従って、貴金属に対する非常に高い親和性を有し、かつ緊密に結合した錯体から当該金属を容易に除去できる新規な機能性材料を設計する必要がある。さらに、APIの構造上の多様性を考えると、有効な溶液を提供するため、異なった構造と高い親和性を有する一連の機能性材料を有する必要がある。
【0005】
発明者らは、望ましい組合せの特徴を有し、かつそれらを無機及び有機化合物、固相精製又は抽出材料、イオン交換材料、触媒、触媒固定化担体、生体分子の固定化材料、抗菌剤、親水性モディファイヤー、防炎加工剤、帯電防止剤、固相合成材料及びクロマトグラフィー材料のスカベンジャーとして作用することを含む一連の用途で使うために適合させる分類の化合物、又はこれらの前駆体である化合物を発見した。
下記式1の化合物:
[(O3/2)SiCH2CH2SX]a[Si(O4/2)]b[Si(O3/2V)]c
(式中、Xは
CH2A;
[CH2CH2NR1]pR2
CHCOX1CH2COX2
(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]n
から選択され、
かつAは、下記式
CHNR1R2COX3
(式中、R1及びR2は、水素、C1-22アルキル基、C1-22アシル基及びC1-22アルカリール基から独立に選択され;
X3はOR、NR1R2、アミノ酸及びタンパク質から選択され;
Rは水素、金属イオン、C1-22アルキル基から選択される)
のアミノ酸の残基又は前記式のアミノ酸の誘導体若しくは塩であり;
eは1又は2であり;
pは1〜100であり;
X1及びX2は、OR及びNR1R2から独立に選択され;
【0006】
Yは、z個のヒドロキシル基を有するポリオール成分であり(ここで、z個以下のヒドロキシル基が脱プロトンされ、m及びnは、m+n+1がz以下であるように独立にz未満であり、かつ該ポリオールのm+n+1個のヒドロキシル基が脱プロトンされている);
Vは、任意に置換されていてもよく、かつC1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基、C2-22-アルキニル基、アリール基、C1-22アルキルアリールスルフィド基、スルホキシド、スルホン、アミン、ポリアルキルアミン、ホスフィン及び他のリン含有基から選択される基であり;
該シリケート酸素原子の自由原子価は、1つ以上の下記基:
式1の他の基のケイ素原子、水素、線形若しくは分岐C1-22-アルキル基、末端基R33M1O1/2、架橋結合ブリッジメンバー(架橋リンカー)によって、
又は鎖R3qM1(OR4)gOk/2若しくはAl(OR4)3-hOh/2若しくはR3Al(OR4)2-rOr/2
【0007】
(ここで、
M1はSi又はTiであり;
R3及びR4は、線形若しくは分岐C1-22アルキル基、アリール基及びC1-22アルキルアリール基から独立に選択され;
g+k+q=4であるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、かつmは0〜2の整数であり;
hは1〜3の整数であり;かつ
rは1〜2の整数である)
又はオキソ金属架橋系(該金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
によって飽和しており;
a、b及びcは、比a:bが0.00001〜100000であり、aとbが常に0より大きく、及びcが0より大きい場合、cのa+bに対する比が0.00001〜100000であるような整数である)。
末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマー鎖を使用する場合、末端基、架橋リンカー又はポリマー鎖のa+b+cに対する比が0〜999:1、好ましくは0.001〜999:1、特に0.01〜99:1であることが好ましい。
【0008】
式1の化合物に基づく、無機及び有機化合物、固相抽出又は精製材料、触媒、触媒固定化担体、生体分子固定化担体、抗菌剤、親水性モディファイヤー、防炎加工剤、帯電防止剤、固相合成材料及びクロマトグラフィー材料、並びにイオン交換材料の新規スカベンジャーの利点として、特有用途の特定官能基の高い固有の活性及びユーザーの要求に応じて該官能基を高レベル又は低レベルの装填に調節できることが挙げられる。他の利点として、高い熱安定性、固定した剛性構造、広範な化学的条件に対する良い安定性、有機溶媒中の不溶性、高い耐エイジング性、容易に精製されること及び高い再利用性が挙げられる。さらに、式1の化合物の調製方法は非常にフレキシブルであり、小数の共通中間体から広範な機能性材料を調製でき、材料の多孔度もミクロ乃至マクロの多孔性で可変であり、フラグメントV中の官能基及び他の置換基の装填を必要に応じて変えることができる。式1の化合物は、非常に安定かつ不活性な媒体にしっかり結合しているそれぞれの官能基の追加の利点を有する。さらに、式1の化合物は、速い反応速度論で結合するカチオンとアニオンの両方に対する非常に高い親和性という追加の利点を有するので、毒性化合物又は不純物を非常に迅速に除去して非常に低レベルにすることができる。さらに、式1の化合物を不均一触媒として使用して、多くの化学変換を行うことができ、かつ式1の化合物は、該反応混合物からろ過で容易に分離され、再循環かつ再利用されるという重要な利点をも有する。
【0009】
C1-22-アルキル、C2-22-アルケニル、C2-22-アルキニル基、アリール及びC1-22-アルキルアリール基から選択される任意に置換されていてもよい線形又は分岐基、R1-4基は、独立に線形又は分岐でよく、及び/又は1つ以上の置換基で置換されていてもよいが、好ましくは水素原子と炭素原子のみを含む。置換基が存在する場合、置換基は、ニトロ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルフィド、スルホキシド、スルホン、C1-6-アルコキシ、C1-22-アルキル又はアリール二置換ホスフィン、アミノ、アミノC1-22-アルキル又はアミノジ(C1-22-アルキル)又はC1-22-アルキルホスフィン酸又はホスホン酸基から選択される。
好ましくは、C1-22-アルキル、C2-22-アルケニル、C2-22-アルキニル基、アリール及びC1-22-アルキルアリール基から選択される任意に置換されていてもよい線形又は分岐基、R1-4は、線形又は分岐C1-22、望ましくはC1-12-アルキル、C2-22-、望ましくはC2-12-アルケニル、アリール及びC1-22-アルキルアリール基から独立に選択され、特に好ましくはこれらの基は、線形又は分岐C1-8-アルキル、C2-8-アルケニル、アリール及びC1-8-アルキルアリール基から独立に選択される。
好適には、基R1-4は、独立にC1-6アルキル基、例えば、メチル若しくはエチル、又はフェニル基である。好ましくは、g+k+q=4を条件としてqが0〜2、kが1〜3、gが0である。
好適なアルキル基の例として、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-デシル、n-ドデシル、シクロヘキシル、オクチル、イソ-オクチル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソ-オクタデシル及びドコシルが挙げられる。好適なアルケニル基の例として、エテニル、2-プロペニル、シクロヘキセニル、オクテニル、イソ-オクテニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、イソ-オクタデセニル及びドコセニルが挙げられる。
【0010】
C1-6-アルコキシは、1〜6個の炭素原子を有し、かつ酸素原子に結合している直鎖若しくは分岐炭化水素鎖を意味する。例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシ及びn-ブトキシが挙げられる。
用語ポリオールは、特に2個以上のヒドロキシル基を有する有機化合物を指し、具体例として、グリセロール、ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトール並びにポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドが挙げられる。
用語アリールは、芳香族特性を有する5若しくは6員環式、8〜10員二環式又は10〜13員三環式基を指し、1つ以上のヘテロ原子、例えばN、O又はSを含む系を包含する。好適なアリール基の例として、フェニル、ピリジニル及びフラニルが挙げられる。本明細書で用語「アルキルアリール」を使用する場合、直前の炭素原子の範囲はアルキル置換基のみを表し、いずれのアリール炭素原子も含まない。好適なアルカリール基の例として、ベンジル、フェニルエチル及びピリジルメチルが挙げられる。
【0011】
式中、Xが、CH2A、[CH2CH2NR1]pR2;CHCOX1CH2COX2及び(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]n(ここで、Aは、式CHNR1R2COX3(式中、R1及びR2は、水素及びC1-12アシルから独立に選択され、かつX3はOR及びNR1R2から選択され、Rは水素、金属イオン、C1-6アルキルから選択される)のアミノ酸の残基又は前記式のアミノ酸の誘導体若しくは塩であり、pは1〜20であり;X1及びX2は、OR及びNR1R2から独立に選択され;かつYは、z個のヒドロキシル基を有するポリオールの残基であり、かつm+n+1がz以下である)から独立に選択され、Mが、ランタニド、アクチニド、典型金属又は遷移金属由来の金属イオンであり、かつVが、任意に置換されていてもよいC1-22-アルキル、C2-22-アルケニル若しくはC2-22-アルキニル基又はアリール基であり;zが2〜10の整数である、化合物が好ましい。
好ましいポリオールとして、グリセロール、ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールが挙げられる。
式1中、シリケート酸素原子の自由原子価が、1つ以上の、式1の他の基のケイ素原子、水素、線形若しくは分岐C1-12-アルキル基によって、又は末端基R33M1O1/2によって、又は架橋結合ブリッジメンバーによって、又はポリマー鎖R3qM1(OR4)gOk/2若しくはAl(OR4)3-pOh/2若しくはR3Al(OR4)2-rOr/2によって飽和しており;M1がSi又はTiであり、R4が線形若しくは分岐C1-12、アリール又はC1-12-アルキルアリール基であり;かつR3が線形若しくは分岐C1-12-アルキル基又はアリール若しくはC1-12-アルキルアリール基であり;g+k+q=4であるような、kが1〜3の整数であり、qが1〜2の整数であり、かつgが0〜2の整数であり;pが1〜3の整数であり;かつrが1〜2の整数である、式1の化合物が好ましい。
【0012】
末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマー鎖を使用する場合、a+b+cに対する末端基又は架橋リンカー又はポリマー鎖の比は、0〜99:1、好ましくは0.01〜99:1で変化する。特に好適な架橋リンカー又はポリマー鎖は、チタンアルコキシド、アルミニウムトリアルコキシド及びアルキルアルコキシシランから誘導される。架橋リンカーの例として、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド及びチタンイソプロポキシドが挙げられ、ポリマー鎖ではアルキルアルコキシシランが挙げられる。末端基、架橋結合ブリッジ又はポリマー鎖メンバーは、好ましくはR33M1O1/2、R32SiOR4O1/2、(R3)2SiO2/2、TiO4/2、R3TiO3/2、(R3)2TiO2/2、AlO3/2又はR3AlO2/2である。R3及びR4は、好ましくはC1-4-アルキル、特にメチル又はエチルである。
【0013】
本発明は、式1の新規な前駆体化合物をも提供し、該前駆体は式(R4O)3SiCH2CH2SXのものである。
本発明は、式(R4O)3SiCH2=CH2の化合物を式HS-X(式中、Xは本明細書の定義通り)のチオールと反応させる工程を含む、式(R4O)3SiCH2CH2SXの前駆体の製造方法をも提供する。
以下、式1の化合物の調製についてさらに詳細に論じる。式1の化合物の製造で使う一般手順は、まず化合物(R4O)3SiCH2CH2SXを形成する工程、及び試薬によって、その次に、希酸又は塩基と溶媒中、所望比で、テトラアルキルオルトシリケート及び他の化合物、例えば(R4O)3SiV、チタンアルコキシド、アルミニウムトリアルコキシド及びアルキルアルコキシシランと混合する工程を含む。或いは、シリカ、酸化アルミニウム又は炭素などの材料の表面を(R4O)3SiCH2CH2SXで処理し、必要な場合、(R4O)3SiV、チタンアルコキシド、アルミニウムトリアルコキシド及びアルキルアルコキシシラン等の他の化合物で処理して、式1の化合物を得ることができる。引き続きこれらの物質を既知化学を用いて変換できる。
機能性有機若しくは無機ポリマー又は材料の調製のための簡単かつ効率的な合成方法論がない。例えば、容易に変換されるカルボニル、カルボキシ、チオ又はヒドロキシ官能化有機若しくは無機ポリマー又は材料の調製のための簡単かつ効率的な合成方法論がない。結果として、緊密に結合した錯体中に保持されている金属イオンを除去するために必要な化学官能性を有する容易に入手可能な機能性材料がない。高い熱安定性、速い反応速度論及び高い溶媒適合性などの無機材料の利点を考えると、機能性無機材料の調製のための新しい簡単な合成方法論が特に必要である。
【0014】
機能性材料の重要な所望特性は、安定した結合で表面に付着している官能基を、既知化学を用いて異なる基に変換できることである。すると、これらの新しい機能性材料を他の用途のために使用でき、或いは現存する用途を最適化するために使用できる。さらなる利点は、限られた数の中間体から広範な異なる機能性材料を調製できることである。しかし、表面付着官能基の化学変換においていくつかの問題に遭遇する。例えば、表面付着官能基の該化学変換を行うためには、非常に長い反応時間を要することが多い。多くの場合、この持続した反応条件の結果、表面から官能基が除去される。さらに、頻繁に進行する当該反応は完了せず、分離しえない生成物の混合物をもたらす。これらの困難を回避するため、発明者らは、特有の追加機能性を有するこれらの新しい機能性材料を設計してこれらの材料の化学反応性を向上させた。さらに、発明者らは、この設計が、いくつかの所望用途のための該材料の特性を向上させるだろうと考えた。この設計は、隣接基の使用を含めて、第2の官能基の反応性を高めた。
【0015】
アルケンに関与するフリーラジカル反応は、個々の出発原料によっては、例えば、Org. Reactions, Vol.13, 218〜222ページ及びそこで提示されている参考文献で開示されているように、不要なダイマー及びより高次のテロマー(tellomer)が望ましくなく生成されうるので、高い収率又は選択性では進行しえないことが分かっている。最初の1950年代の研究では、一置換生成物及び非混合物がファインケミカルとして使うための所望の目標だった。この副反応の結果として、この分野の化学における関心が衰退した。二重結合へのチオールのフリーラジカル付加を通じてスルフィドを調製できることが報告されている。これは、Org. Reactions. Vol.13, 164-196に記載されている。この研究の大部分は、簡単なアルキル置換オレフィンへのチオールの付加に関する。ケイ素含有オレフィンについては、J. Gen. Chem., 1976, 46, 1013に報告されている、(RO)3Si(CH2)2SCH2CO2Rを与えるためのチオグリコール酸メチルとトリメトキシビニルシランの光化学触媒反応を含む小数の例がある。これらの化合物は、アトラン誘導体に関するプログラムで薬理学的活性について調査された。また、Russ. J. Appl. Chem, 1999, 72, 610-612では、チオグリコール酸、HSCH2CO2Hの、トリメトキシビニルシランに対するラジカル触媒反応が、酸又は中性処理によって高分子材料をもたらさない錯体混合物を与えることが報告されている。強塩基処理後の酸性化が、[O1.5Si(CH2)2SCH2CO2H]nとして示される高分子材料を与えることが報告された。このポリマーのナトリウム塩は、銀イオンと金イオンを除去できるが、他の金属イオンには無効である。
そこで、不要化学薬品の除去用のスカベンジャー等の用途のため、固相合成用の材料として、カチオン及びアニオンの回収及び除去用の材料として、固相精製及び抽出のため、クロマトグラフィー材料として、及び生体分子の固定化のために望ましい物理的及び化学的性質を有する機能性オルガノポリシロキサンを生成するため、ビニルトリアルコキシシランへの置換チオールのフリーラジカル付加を調査することを決定した。
【0016】
ビニルトリアルコキシシランへのチオールHSXのフリーラジカル促進付加によって(R4O)3SiCH2CH2SXのような化合物を合成した。R4は、線形若しくは分岐C1-22-アルキル、C2-22-アルケニル又はC2-22-アルキニル基、アリール又はC1-22-アルキルアリール基である。この反応のため広範なフリーラジカルイニシエーターを使用でき、ペルオキシド、特にアルキルペルオキシドが好ましい。数時間毎の非常に小量のイニシエーターの添加が全体収率を高める。20〜170℃の反応温度を使用できるが、20〜120℃の反応温度が好ましい。ジ-tert-ブチルペルオキシドが好ましいフリーラジカルイニシエーターである。5分〜48時間の反応時間を使用したが、1/2〜2時間が好ましかった。
既知のゾル-ゲル技術を用いて式1のオルガノポリシロキサンを生成した。最新のゾル-ゲル技術及びケイ素エステルの加水分解は、文献(M.A.Brook in Silicon in Organic, Organometallic and Polymer Chemistry Chapter 10, page 318, John Wiley & Sons, Inc., 2000, G.A. Scherer in Sol-gel science: the physics and chemistry of sol-gel processing, Boston: Academic Press, 1990, and J.D. Wright in Sol-gel materials: chemistry and applications, Amsterdam: Gordon & Breach Science Publishers, 2001)及びこれらの文献に含まれる参考文献によって開示されている。酸及び塩基を用い、必要な場合、(R4O)3SiV、及びテトラアルキルオルトシリケート等の他の化合物と共に用いて、ケイ素エステル(R4O)3SiCH2CH2SXの加水分解を触媒して、式1のオルガノポリシロキサンを生成した。
【0017】
有機化学の当業者に周知の一連の溶媒を用いてこの反応を行うことができる。アルコール、特にメタノールとエタノールが好ましい溶媒である。一定時間静置後、溶液を温めてガラスの形成の速度を上げることができる。アルコール溶媒の、試薬の総質量に対する質量比の範囲100〜0.01を使用でき、2〜10が好ましい。一連の酸を使用して加水分解を補助でき、0.1〜4Mの濃度の塩酸が好ましい。1モル濃度の塩酸を日常的に使用した。試薬の総質量に対する1モル濃度の塩酸の比は0.000001〜10を使用でき、0.0001〜1の範囲が好ましい。一般に、反応混合物を0℃〜120℃の範囲の温度で静置して、加水分解とSi-O-Si結合の形成を促した。20℃〜90℃の温度が好ましく、すべての溶媒が蒸発して清澄ガラスが得られるまで加熱を続ける。
基A、B及びCに加え、末端基、架橋結合ブリッジメンバー又はポリマー鎖、例えば(R3)3SiO1/2又はR3SiO3/2又は(R3)2SiO2/2又はTiO4/2又はR3TiO3/2又は(R3)2TiO2/2又はAlO3/2又はR3AlO2/2(式中、R3は前記定義通りであるが、好ましくはメチル又はエチルである)、或いは他のオキソ金属を変動比で添加して、式1の所望化合物を生成することができる。化合物(R4O)3SiCH2CH2SX及びテトラアルキルオルトシリケート及び(R4O)3SiVと同時に、これらの末端基、架橋結合ブリッジ又はポリマー鎖前駆体を加える。
溶媒中、変動比で、シリカ、又は酸化アルミニウム又は他のオキシド若しくはカーボン等のプレフォームド材料を(R4O)3SiCH2CH2SX及び所望により(R4O)3SiV、並びに所望により他の末端基、架橋リンカー又はポリマー鎖で処理することによって、式1の化合物を調製することもできる。反応の最後に、固体をろ別し、水又はアルコール等の溶媒で広範に洗浄して、いかなる残存出発原料をも除去する。
【0018】
同様に、AがCHNR1R2CO2Rである式1の化合物を二工程プロセスで調製する。第1工程は、上述したチオールとトリメトキシビニルシランとの間のフリーラジカル反応後、ゾルゲル又はコーティングプロセスである。例えば、対応して置換されているシステイン及びトリメトキシビニルシランを含むフリーラジカル反応が(CH3O)3SiCH2CH2SCH2CH(NR1R2)CO2Rを与え、テトラエチルオルトシリケート又はコーティングプレフォームドシリカによるゾルゲルプロセスにより、AがCHNR1R2CO2Rである式1の化合物を得た。別の例は、ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)とトリメトキシビニルシランとの間のフリーラジカル反応で(CH3O)3SiCH2CH2SCH2COY[COCH2SCH2CH2Si(OCH3)3]m[COCH2SH]nを得、テトラエチルオルトシリケート又はコーティングプレフォームドシリカによるゾルゲルプロセスによって、XがCH2COY[COCH2 SCH2CH2Si(O3/2)]m[COCH2SH]nである式1の化合物を得た。整数m及びnは、この調製で使用するビニルトリメトキシシランのポリオールに対する相対量によって決まる。
ゾルゲル段階で、式1の化合物中の特定の大きさと分布を有する細孔の調製を補助するための鋳型を添加することができる。式1の固形オルガノポリシロキサンの調製時には、既知の方法でこれらの鋳型を洗い流すことができる。
【0019】
式1の化合物を金属錯体に、例えばリガンドとして結合することができる。本発明のさらなる局面は、さらに金属錯体M(L)j(式中、Mは、0〜4の範囲の酸化状態のランタニド、アクチニド、典型金属又は遷移金属由来であり、Lは、ハライド、ニトレート、アセテート、カルボキシレート、シアニド、スルフェート、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選択される1つ以上の任意に置換されていてもよいリガンドであり、jは0〜8の整数である)を含んでなる式1の化合物であって、該式1の化合物が前記金属錯体に結合している、化合物を提供する。
好適には、Mは、0〜4の酸化状態のコバルト、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム由来であり、Lは、ハライド、ニトレート、アセテート、カルボキシレート、シアニド、スルフェート、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選択される1つ以上の任意に置換されていてもよいリガンドであり、jは0〜4の整数である。
【0020】
式1の化合物には広範な用途がある。本発明は、供給材料の処理方法であって、式1の化合物を供給材料と接触させて、
i)前記供給材料の成分の触媒変換による化学反応を生じさせて所望生成物を生成するか、
ii)前記供給材料の成分を除去して、該除去成分が枯渇した材料を生成するか、又は
iii)前記供給材料中のイオン種をイオン交換法で除去する
工程を含んでなる方法を提供する。
前記供給材料は、連続ストリーム、例えば連続プロセス反応供給原料でよく、或いは不連続処理のための材料のバッチの形態でよい。供給材料、例えば廃水又は廃棄プロセスストリームを処理して、該供給材料の成分を選択的に除去することができる。除去される成分は、該供給材料中の望ましくない材料でよく、本方法が働いて、供給材料に、式1の化合物との接触後に選択的に除去された成分が枯渇した所望組成を与える。例えば、医薬品製造又は製剤化プロセスにおいて供給材料から不要種を除去する際に本方法を用いて、除去された材料、例えば金属種について、医薬品の純度レベルを高めることができる。
本方法を利用して、その後の加工又は分析のため、供給材料から所望種を除去することができ、例えば、酵素、ぺプチド、タンパク質及び核酸などの生体分子を供給材料から除去して、該除去した成分のさらなる加工又は分析を可能にすることができる。
【0021】
さらに厳しい環境規制の結果として、広範な汚染溶媒、水系廃棄物並びに汚染水及び汚染製品及び医薬品からカチオン及びアニオンを除去するためのさらに効率的なシステムに対する要求が増加している。式1の化合物は、種々の環境から広範なカチオンとアニオンを取り除くのに非常に有効である。カチオンとして、ランタニド、アクチニド、典型金属及び遷移金属が挙げられる。アニオンとして、ヒ酸イオン、ホウ酸イオン、クロム酸イオン、過マンガン酸イオン及び過塩素酸イオンが挙げられる。
イオンに対して非常に高い親和性を有するように式1の化合物を設計したので、種々の環境からイオンを除去することができる。このような高い親和性は、金属イオンが、例えば高い極性の医薬品成分中において、特定官能基に緊密に結合している場合に必要とされる。この用途のための式1の化合物の設計は、該イオンに強く結合するための2つ以上の異なるリガンドの存在に関与する。除去すべきイオンによって、該イオンに対する該機能性材料の親和性を最適にするため、リガンドを設計して柔らかいか又は硬くし、或いは両者の組合せにする。さらに、特有のイオン不純物のためのリガンドの最適な組合せを簡単に見つけるため、容易に変更される官能基で式1の化合物を設計した。
【0022】
例えば、実施例9、10、12〜16、及び24〜29の生成物は、種々溶液からの第二銅(II)イオンの除去に非常に有効である。水素化処理ストリーム中に存在する第一鉄及び第二鉄は、実施例9、10及び24〜29の生成物を用いて容易に除去される。強い金属キレートからの金属イオンの捕捉は、水産業及び関連産業で直面する主要な挑戦である。該キレートの例として、EDTA、シトレート及びオキサレートが挙げられる。これらの金属キレートは、その高い毒性のため重大な健康問題を提起する。これらのキレートから金属イオンを効率的に捕捉するため、該金属イオンに対して特に高い親和性を有する官能基が必要である。これには、特に設計された範囲の官能性を有する機能性材料が必要である。強いキレート化基から該金属イオン除去できる一連の官能性を有するように式1の化合物を設計した。実施例32及び33で実証されるように、実施例12〜15の生成物は、EDTA及びシトレート等のキレート化基に結合している第二銅(II)イオンの除去に非常に有効である。
式1の化合物は、種々の異なる溶液からパラジウム、白金及びロジウムイオン等の貴金属並びにニッケル(0)及びニッケル(II)を除去することもでき、かつアミド、アミン及びカルボン酸などの活性医薬品成分中で共通して見られる官能基にも結合しうる。例えば、テトラヒドロフラン又はジクロロメタン中の酢酸パラジウム溶液の、実施例4、9、10、12〜16及び24〜29のいずれかの生成物による処理は、溶液からパラジウムイオンを完全に除去する。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド又はアセテートを含有する溶液では、実施例12〜14、及び24〜29の生成物がその除去に同様に有効である。実施例4、12〜14及び24〜29の生成物は、種々溶液からのクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)の除去に有効である。実施例4、12-142、及び24-29の生成物は、種々溶液からの塩化白金の除去に有効である。ロジウム(III)は、実施例4、12-4、及び24-29のいずれの生成物を用いても種々溶液から容易に除去される。
【0023】
種々の用途の錯化合物の製造においてルテニウム触媒の使用が増加している。この毒性触媒で遭遇する重大な問題は、該金属が所望化合物に結合し、標準的な方法論によっては容易に除去できないことである。式1の化合物は、種々の異なる溶液からルテニウムを除去することもでき、かつアミド、アミン及びカルボン酸などの活性医薬品成分中で共通して見られる官能基にも結合しうる。例えば塩化ルテニウム溶液の、実施例4、12、及び24〜29のいずれかの生成物による処理は、溶液からルテニウムイオンを完全に除去する。
そのそれぞれの触媒サイクルを考えると、貴金属は多くの場合、廃棄物ストリーム、溶液中に存在し、或いは1つより多くの酸化状態で生成物に結合している。式1の化合物、例えば実施例4、12、13、14及び24〜29は、これらの貴金属の異なる酸化状態の該金属を捕捉することができる。
式1の化合物を用いて、ヒ酸イオン、過マンガン酸イオン、ホウ酸イオン及び過塩素酸イオン等のアニオンを除去することができる。これらのアニオンは、環境及び健康に対して多くの重大な問題を提起する。例えば、実施例45で調製される材料を用いて、ハライドアニオンとクロム酸アニオンとの交換を通じて毒性クロム酸アニオンを除去できる。
式1の化合物をスカベンジャーとして用いて、反応混合物又は不純な化学製品から過剰の無機又は有機試薬及び副生物を除去することができる。これらの用途では、不純物に含まれる官能性と特有の機能性材料を適合させることによって、不純物が除去される。例えば実施例12〜16で調製されるアミン及びポリアミン材料は、反応混合物からそれぞれカルボン酸及び鉱酸並びに他の酸性試薬を除去できる。実施例12〜16で調製されるアミン及びポリアミンは、それぞれイソシアネート、酸塩化物、アルデヒド、ハロゲン化スルホニル及びクロロホルメートを除去できる。下記実施例は、式1の化合物による不要の有機及び無機化合物の捕捉について実証するが、その能力の範囲を限定することを意図しない。ベンジルアミン、ヘキシルアミン及び3-メトキシプロピルアミン等のアミンを含有する溶液の、室温で1時間の2〜4当量の式1のオルガノポリシロキサンカルボン酸による処理は、アミンの完全な除去をもたらした。式1の化合物で処理すると、過剰な水素化ホウ素、例えば水素化ホウ素ナトリウムを除去できる。トルエン塩化スルホニル、塩化ベンジル及びフェニルイソシアネートは、実施例12〜16のアミドを用いて容易に除去される。
【0024】
ポリスチレンベーススカベンジャーと異なり、式1のオルガノポリシロキサン化合物は、すべての溶媒中で働きうるので、その適用が80℃未満の反応温度に制限されない。さらに、式1の化合物は膨潤を受けず、有機ポリマーに比べて非常に速い反応速度論という重大な利点を有する。
式1の金属塩/錯体は、有機及び無機化学の専門家に周知の広範な反応を触媒できる。例として、限定するものではないが、酸化、還元、アルキル化、炭素-炭素二重結合形成、重合、ヒドロホルミル化、アリール化、アシル化、異性化、アルキル化、カルボキシル化、カルボニル化、エステル化、トランス-エステル化及び転位が挙げられる。式1のこれらのオルガノポリシロキサン化合物は多くの利点を有する。例えば、これら化合物は、良い熱的及び化学的安定性並びに広範な溶媒適合性を有する。これらの触媒の1つの利点は、反応完了時に、これらの触媒を簡単にろ別して再利用できることである。活性の明らかな損失は観察されなかった。従って、式1の金属誘導体の重要な用途は、不均一触媒としての使用である。
【0025】
出発原料の第1の取り付けを経る固相合成で式1の化合物を使用することもできる。次に、多くの化学反応を行うことができ、各工程で、簡単なろ過により、精製は手軽である。シーケンスの最後に、所望材料が固相から遊離する。
さらに、式1の化合物を固相抽出用の材料として使用できる。この場合、該機能性材料上の選択的保持を通じて所望生成物が精製され、同時に該不純物が除去される。次に、異なる溶媒系を用いて、所望材料が引き続き遊離する。
悪臭の揮発性有機化合物の除去を含め、気体の分離又は除去のために式1の化合物を使用することもできる。例えば、実施例4及び9で調製される酸で悪臭アミンの除去を達成できる。
式1の化合物のさらなる適用として、クロマトグラフ分離用材料としての使用が挙げられる。例えば、式1の化合物を、光学活性アミンといったアミンの分離で使用できる。式1の化合物を用いて、二級アミンから一級アミンを選択的に分離することができる。
実施例4及び7で形成される生成物におけるような光学活性アミンを含有する式1の化合物は、キラル分離用材料として使用されうる。
【0026】
ゲルろ過及び高速サイズ排除クロマトグラフィー用材料として並びに高速液体クロマトグラフィー及び固相抽出用材料として式1の化合物を使用できる。
酵素、ポリペプチド、タンパク質及び核酸などの生体分子を固定化するためのみならず、その分離及び精製にも式1の化合物を使用できる。さらに、式1の化合物上に固定化した核酸を、高体積核酸ハイブリダイゼーションアッセイを行うために使用できる。
式1の化合物を抗菌剤として使用することができる。本発明は、式1の化合物と担体とを含んでなる抗菌組成物をも提供する。
種々の表面上に式1の化合物を薄膜として適用することができる。
以下、本発明を本発明の実施例を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0027】
〔実施例1〕
トリメトキシビニルシラン(78ml,0.51mol)、Nアセチルシステイン(81.6g,0.5mol)及びジ-tertブチルペルオキシド(10滴)を含む混合物を室温で撹拌してから窒素雰囲気下で115℃に温めた。混合物をこの温度で4時間維持し、その間にジ-tertブチルペルオキシド(10滴)を20分毎に添加した。次に、溶液を室温に冷まして(2-トリメトキシシリルエチル)Nアセチルシステインを得た。
〔実施例2〕
実施例1(33.1g,0.10mol)の生成物とテトラエチルオルトシリケート(62.4g,0.3mol)を含む混合物をメタノール(200ml)に溶かし、撹拌しながら1M HCl(36ml)を添加した。次に、メタノールが蒸発してガラスが形成するまで混合物を80℃に温めた。ガラスを粉砕してから還流メタノール中で撹拌した。この物質を0.1mmHgの減圧下で80℃にて2時間乾燥させて式1のカルボン酸(式中、RがOH、R1が水素、R2=COMeかつc=0)を白色粉末として得た。
【0028】
〔実施例3〕
実施例1の生成物(33.1g,0.1mol)とテトラエチルオルトシリケート(223ml,1.0mol)を含む混合物をメタノール(400ml)に溶かし、撹拌しながら1M HCl(90ml)を加えた。次に、メタノールが蒸発してガラスが形成するまで混合物を80℃に温めた。ガラスを粉砕してから還流メタノール中で撹拌した。この物質を0.1mmHgの減圧下で80℃にて2時間乾燥させて式1のカルボン酸を白色粉末として得た。
〔実施例4〕
トルエン(200ml)中の実施例1(33.1g,)の生成物とシリカ(70g,60〜200ミクロン)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体をメタノールで洗浄してから式1のカルボン酸(式中、RがOH、R1が水素、R2=COMeかつc=0)を白色粉末として得た。
【0029】
〔実施例5〕
蒸留水(100ml)中の実施例4(10.0g)の生成物の混合物を1Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH 7にした。固体をろ過し、水、次いでメタノールで洗浄してから乾燥させて式1のカルボン酸ナトリウムを白色粉末として得た。
〔実施例6〕
トリメトキシビニルシラン(78ml,0.51mol)、メチルNアセチルシステイン(88.6g,0.5mol)及びジ-tertブチルペルオキシド(10滴)を含む混合物を室温で撹拌してから窒素雰囲気下で115℃に温めた。混合物をこの温度で4時間維持し、その間にジ-tertブチルペルオキシド(10滴)を20分毎に添加した。次に、溶液を室温に冷まして(2-トリメトキシシリルエチル)メチルNアセチルシステインを得た。
〔実施例7〕
トルエン(200ml)中の実施例6の生成物(34.5g,)とシリカ(70g,60〜200ミクロン)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体をメタノールで洗浄してから乾燥させて式1のメチルエステル(式中、RがOCH3、R1が水素、R2=COMeかつc=0)を白色粉末として得た。
【0030】
〔実施例8〕
トリエトキシビニルシラン(0.51mol)、メルカプトコハク酸(75g,0.5mol)及びジ-tertブチルペルオキシド(10滴)を含む混合物を室温で撹拌してから窒素雰囲気下で140℃に温めた。混合物をこの温度で4時間維持し、その間にジ-tertブチルペルオキシド(10滴)を20分毎に添加した。次に、溶液を室温に冷まして(2-トリメトキシシリルエチル)メルカプトコハク酸を得た。
〔実施例9〕
トルエン(200ml)中の実施例8の生成物(34.0g,)とシリカ(70g,45〜90ミクロン)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体をメタノールで洗浄してから乾燥させて式1のジカルボン酸(式中、X1及びX2が水素で、c=0)を白色粉末として得た。
〔実施例10〕
蒸留水(80ml)中の実施例9の生成物(8.5g)の混合物を1Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH 7にした。固体をろ過し、水、次いでメタノールで洗浄してから乾燥させて式1のカルボン酸二ナトリウムを白色粉末として得た。
【0031】
〔実施例11〕
トリメトキシビニルシラン(32.13ml,0.21mol)、2-メルカプトエタノール(14ml,0.2mol)及びジ-tertブチルペルオキシド(10滴)を含む混合物を窒素雰囲気下で115℃に温め、この温度で1時間維持した。次に、溶液を室温に冷まして2-ヒドロキシエチル、2-トリメトキシシリルエチルスルフィドを得た。1H NMR, CDCl3 3.49 (2H, t, OCH2)及び2.63 (4H, bm, OCCH2SCH2)。2-ヒドロキシエチル、2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(14.69g,0.065mol)、シリカ(Grace 70-200ミクロン,39.81g)及び水(120ml)の混合物を2時間穏やかに還流させながら撹拌した。濃塩酸(120ml)を冷却し、混合物をさらに2時間撹拌かつ還流させた。冷却後、白色固体をろ過してから水、次いでメタノールでよく洗浄して式1の2-クロロエチルスルフィドエチルシリカ(47g)を得た。
〔実施例12〕
トルエン(120ml)中の実施例11の生成物(34.0g,)とジエチレントリアミン(7g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで固体を洗浄し、乾燥させて式1のトリアミン(式中、R1及びR2が水素、p=3かつc=0)を白色粉末として得た。
〔実施例13〕
トルエン(200ml)中の実施例11の生成物(54.0g,)とトリエチレンテトラアミン(12g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体を希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式1のテトラアミン(式中、R1及びR2が水素、p=4かつc=0)を白色粉末として得た。
【0032】
〔実施例14〕
トルエン(200ml)中の実施例11の生成物(62.0g,)とテトラエチレンペンタアミン(14g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体を希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式1のペンタアミン(式中、R1及びR2が水素、p=5かつc=0)を白色粉末として得た。
〔実施例15〕
トルエン(200ml)中の実施例11の生成物(41.0g,)とポリエチレンアミン(平均Mn 423,15g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体を希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式1のポリアミンを白色粉末として得た。
〔実施例16〕
メタノール(120ml)中の実施例11の生成物(32.0g,)とポリエチレンアミン(平均Mn 600,16g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体を希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式1のポリアミンを白色粉末として得た。
【0033】
〔実施例17〕
トルエン(100ml)中の実施例11の生成物(38.0g,)と1-メチルピペラジン(7g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体を希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式1のN-メチルピペラジンを白色粉末として得た。
〔実施例18〕
トルエン(200ml)中の実施例11の生成物(34.0g,)と1-(3-アミノプロピル)イミダゾール(9g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体を希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式1のイミダゾールを白色粉末として得た。
〔実施例19〕
トルエン(200ml)中の実施例11の生成物(36.0g,)と3-アミノメチルピリジン(9g,)の混合物を4時間還流させた。冷却後、混合物をろ過し、固体を希水酸化ナトリウム溶液(0.1M,50ml)、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式1のピリジンを白色粉末として得た。
【0034】
〔実施例20〕
水(80ml)中の実施例12の生成物(10.0g,)の撹拌混合物に濃塩酸(8ml)を加え、結果の混合物をさらに15分撹拌した。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄した。
【0035】
〔実施例21〕
水(80ml)中の実施例13の生成物(10.0g,)の撹拌混合物に濃塩酸(8ml)を加え、結果の混合物をさらに15分撹拌した。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄した。
〔実施例22〕
水(80ml)中の実施例14の生成物(10.0g,)の撹拌混合物に濃塩酸(8ml)を加え、結果の混合物をさらに15分撹拌した。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄した。
【0036】
〔実施例23〕
水(30ml)中の実施例10の生成物(0.7g)の混合物を硝酸銅の水溶液で処理した。混合物を1時間撹拌してろ過した。青色固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄し、最後にメタノールで洗浄した。この物質を0.1mmHgの減圧下で80℃にて2時間乾燥させて銅塩を青色粉末として得た(0.66g)。
〔実施例24〕
ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)(10.4g,0.024mol)とビニルトリメトキシシラン(5.5ml,0.0361mol)の混合物を撹拌しながら100℃で1時間加熱してから室温に冷ました。トルエン(120ml)とシリカ(36g,45-90ミクロン)を添加し、混合物を4時間撹拌かつ還流させてから室温に冷ました。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄し、最後にメタノールで洗浄した。
〔実施例25〕
ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)(10.4g,0.024mol)とビニルトリメトキシシラン(6.4g,0.0432mol)の混合物を撹拌しながら100℃で1時間加熱してから室温に冷ました。トルエン(120ml)とシリカ(36g,45-90ミクロン)を添加し、混合物を4時間撹拌かつ還流させてから室温に冷ました。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄し、最後にメタノールで洗浄した。
【0037】
〔実施例26〕
ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)(10.4g,0.024mol)とビニルトリメトキシシラン(7.1g,0.048mol)の混合物を撹拌しながら100℃で1時間加熱してから室温に冷ました。トルエン(120ml)とシリカ(38g,45-90ミクロン)を添加し、混合物を4時間撹拌かつ還流させてから室温に冷ました。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄し、最後にメタノールで洗浄した。
〔実施例27〕
ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)(10.4g,0.024mol)とビニルトリメトキシシラン(10.6g,0.072mol)の混合物を撹拌しながら100℃で1時間加熱してから室温に冷ました。トルエン(120ml)とシリカ(40g,45-90ミクロン)を添加し、混合物を4時間撹拌かつ還流させてから室温に冷ました。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄し、最後にメタノールで洗浄した。
〔実施例28〕
ジペンタエリトリトールヘキサキス(2-メルカプトアセテート)(13.64g,0.02mol)とビニルトリメトキシシラン(5.92g,0.04mol)の混合物を撹拌しながら100℃で1時間加熱してから室温に冷ました。トルエン(100ml)とシリカ(40g,45-90ミクロン)を添加し、混合物を4時間撹拌かつ還流させてから室温に冷ました。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄し、最後にメタノールで洗浄した。
【0038】
〔実施例29〕
ジペンタエリトリトールヘキサキス(2-メルカプトアセテート)(13.64g,0.02mol)とビニルトリメトキシシラン(8.88g,0.06mol)の混合物を撹拌しながら100℃で1時間加熱してから室温に冷ました。トルエン(120ml)とシリカ(40g,45-90ミクロン)を添加し、混合物を4時間撹拌かつ還流させてから室温に冷ました。固体をろ過し、蒸留水でよく洗浄し、最後にメタノールで洗浄した。
〔実施例30〕
実施例1の生成物(4.9g)とテトラエチルオルトシリケート(41.3g)とトリメトキシメチルシラン(3.1g)の混合物をメタノール(160ml)に溶かし、撹拌しながら1M HCl(21ml)を添加した。次に、メタノールが蒸発してガラスが形成するまで混合物を80℃で放置した。ガラスを粉砕してから還流メタノール中で撹拌した。この物質を0.1mmHgの減圧下で90℃にて2時間乾燥させて式1のカルボン酸(式中、RがOH、R1が水素、R2=COMeかつVがメチル)を白色粉末として得た。
【0039】
〔実施例31〕
実施例1の生成物(4.8g)及びテトラエチルオルトシリケート(41.3g)及びジメトキシジメチルシラン(4.4g)の混合物をメタノール(160ml)に溶かし、撹拌しながら1M HCl(22ml)を加えた。次に、メタノールが蒸発してガラスが形成するまで混合物を80℃で放置したガラスを粉砕してから還流メタノール中で撹拌した。この物質を0.1mmHgの減圧下で80℃にて2時間乾燥させて式1のカルボン酸(式中、RがOH、R1が水素、R2=COMe及び架橋リンカーとして(CH3)2SiO2/2を有する)を白色粉末として得た。
〔実施例32〕
実施例14の生成物(0.2g)を、水中エチレンジアミン四酢酸銅の20ppm青色溶液のサンプル(40ml)に加えた。混合物を室温で2時間穏やかに撹拌した。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、銅錯体が除去されたことを示した。実施例12、13、15、16(0.2g)も上記試験で有効だった。
〔実施例33〕
実施例3の生成物(0.2g)を、水中クエン酸ニッケルの20ppm緑色溶液のサンプル(40ml)に加えた。混合物を室温で2時間穏やかに撹拌した。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、ニッケル錯体が除去されたことを示した。実施例12、13、15、16(0.2g)も上記試験で有効だった。
【0040】
〔実施例34〕
実施例4の生成物(0.06g)を、クロロホルムとジクロロメタンの混合物中の三塩化ルテニウムの500ppm暗橙色/褐色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。混合物をろ過した。ろ液の分析は、ルテニウムが除去したことを示した。実施例12及び24〜29も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例35〕
実施例4の生成物(0.06g)を、クロロホルム中クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(Wilkinson触媒)の150ppm橙色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、ロジウムが除去されたことを示した。実施例12〜16及び24〜29も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例36〕
実施例4の生成物(0.06g)を、ジクロロメタン中酢酸パラジウムの160ppm橙色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、パラジウムが除去されたことを示した。実施例12及び24〜29も同様に上記試験で有効だった。
【0041】
〔実施例37〕
実施例4の生成物(0.06g)を、ジクロロメタン中テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムの160ppm橙色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、パラジウムが除去されたことを示した。実施例24〜29も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例38〕
実施例4の生成物(0.06g)を、水中テトラクロロ白金酸カリウムの1300ppm明黄色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、白金が除去されたことを示した。実施例12及び24〜29も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例39〕
実施例24の生成物(0.06g)を、水中酢酸ニッケルの2000ppm緑色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、ニッケルが除去されたことを示した。実施例25〜29及び10も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例40〕
実施例4の生成物(0.06g)を、水中硝酸セリウムアンモニウムの1000ppm黄色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、セリウムが除去されたことを示した。
【0042】
〔実施例41〕
実施例12の生成物(0.2g)を水中硫酸銅の20ppm明青色溶液のサンプル(40ml)に加えた。溶液を2時間穏やかに撹拌し続けた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、銅が除去されたことを示した。実施例9、10、13〜16及び24〜29も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例42〕
実施例4の生成物(0.06g)を、水中硝酸鉄六水和物の1700ppm黄色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、鉄が除去されたことを示した。実施例9も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例43〕
実施例14の生成物(0.06g)を、水中硝酸クロム九水和物の500ppm暗青色/灰色溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、クロムが除去されたことを示した。
〔実施例44〕
実施例10の生成物(0.9g)を、水中塩化亜鉛の1000ppm溶液のサンプル(5ml)に加えた。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、亜鉛が除去されたことを示した。
【0043】
〔実施例45〕
実施例20の生成物(0.06g)を、水中二クロム酸カリウムの250ppm溶液のサンプル(1ml)に加えた。溶液は完全に無色になった。次に、混合物をろ過した。ろ液の分析は、二クロム酸イオンが除去されたことを示した。実施例21及び22も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例46〕
エーテル(10ml)中、パラトルエンスルホン酸(0.019g,0.1mmol)と実施例12の生成物(0.54g,0.10mmol)を含む混合物を室温で1時間撹拌してからろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を秤量した。97%より多くのパラトルエンスルホン酸が除去された。実施例21及び22も同様に上記試験で有効だった。
〔実施例47〕
マーカーとしてのアニソール(0.035g,0.33mmol)と、ベンジルアミン(0.041g,0.38mmol)と、実施例9の生成物(0.65g,1.2mmol)との混合物をCDCl3(2.5cm3)中で室温にて1時間撹拌した。次に、混合物を遠心分離した。該クロロホルム溶液の1H NMRスペクトルは、ベンジルアミンが完全に除去されたことを示した。
〔実施例48〕
アニソール(0.02860g,0.26mmol)、ヘキシルアミン(0.02504g,0.25mmol)及び実施例9の生成物(0.5g,1.0mmol)の混合物をCDCl3(2.5cm3)中で室温にて1時間撹拌した。次に、混合物を遠心分離した。該クロロホルム溶液の1H NMRスペクトルは、ヘキシルアミンが完全に除去されたことを示した。
【0044】
〔実施例49〕
アニソール(0.031g,0.28mmol)、クロロギ酸エチル(0.027g,0.25mmol)及び実施例12の生成物(0.59g,1.11mmol)の混合物をCDCl3(2.5cm3)中で室温にて1.5時間撹拌した。次に、混合物を遠心分離した。該クロロホルム溶液の1H NMRスペクトルは、クロロギ酸エチルが完全に除去されたことを示した。実施例13〜16も同様にこの試験で有効だった。
〔実施例50〕
ジメトキシエタン(0.022g,0.25mmol)、フェニルイソシアネート(0.029g,0.24mmol)及び実施例12の生成物(0.45g,0.97mmol)の混合物をCDCl3(2.5cm3)中で室温にて1.5時間撹拌した。次に、混合物を遠心分離した。該クロロホルム溶液の1H NMRスペクトルは、フェニルイソシアネートが完全に除去されたことを示した。実施例13〜16も同様にこの試験で有効だった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1の化合物:
[(O3/2)SiCH2CH2SX]a[Si(O4/2)]b[Si(O3/2V)]c
(式中、Xは
CH2A;
[CH2CH2NR1]pR2
CHCOX1CH2COX2
(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]n
から選択され、
かつAは、下記式
CHNR1R2COX3
(式中、R1及びR2は、水素、C1-22アルキル基、C1-22アシル基及びC1-22アルカリール基から独立に選択され;
X3はOR、NR1R2、アミノ酸及びタンパク質から選択され;
Rは水素、金属イオン、C1-22アルキル基から選択される)
のアミノ酸の残基又は前記式のアミノ酸の誘導体若しくは塩であり;
eは1又は2であり;
pは1〜100であり;
X1及びX2は、OR及びNR1R2から独立に選択され;
Yは、z個のヒドロキシル基を有するポリオール成分であり(ここで、z個以下のヒドロキシル基が脱プロトンされ、m及びnは、m+n+1がz以下であるように独立にz未満であり、かつ該ポリオールのm+n+1個のヒドロキシル基が脱プロトンされている);
Vは、任意に置換されていてもよく、かつC1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基、C2-22-アルキニル基、アリール基、C1-22アルキルアリールスルフィド基、スルホキシド、スルホン、アミン、ポリアルキルアミン、ホスフィン及び他のリン含有基から選択される基であり;
該シリケート酸素原子の自由原子価は、1つ以上の下記基:
式1の他の基のケイ素原子、水素、線形若しくは分岐C1-22-アルキル基、末端基R33M1O1/2、架橋リンカーによって、
又は鎖R3qM1(OR4)gOk/2若しくはAl(OR4)3-hOh/2若しくはR3Al(OR4)2-rOr/2
(ここで、
M1はSi又はTiであり;
R3及びR4は、線形若しくは分岐C1-22アルキル基、アリール基及びC1-22アルキルアリール基から独立に選択され;
g+k+q=4であるように、kは1〜3の整数であり、qは1〜2の整数であり、かつmは0〜2の整数であり;
hは1〜3の整数であり;かつ
rは1〜2の整数である)
又はオキソ金属架橋系(該金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)
によって飽和しており;
a、b及びcは、比a:bが0.00001〜100000であり、aとbが常に0より大きく、及びcが0より大きい場合、cのa+bに対する比が0.00001〜100000であるような整数である)。
【請求項2】
末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマー鎖を含み、かつ末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマー鎖のa+b+cに対する比が0〜999:1で変化する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
トリアルキル又はトリアリールアルコキシシラン由来の末端基或いはオルトシリケート、チタンアルコキシド又はアルミニウムトリアルコキシド由来の架橋リンカー或いはモノアルキル若しくはモノアリールトリアルコキシシラン又はジアルキル若しくはジアリールジアルコキシシラン由来のポリマー鎖を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記1つ以上の末端基又は架橋リンカー又はポリマー鎖が、R32SiOR4O1/2、R33SiO1/2又はR32SiO2/2又はTiO4/2又はR3TiO3/2又はR32TiO2/2又はAlO3/2又はR3AlO2/2(式中、R3及びR4は、請求項1の定義通りである)から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R3が、線形若しくは分岐C1-22-アルキル、アリール及びC1-22-アルキルアリール基から独立に選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R3が、C1-6-アルキル、C2-12-アルケニル又はアリールである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
金属錯体M(L)j(式中、Mは、0〜4の範囲の酸化状態のランタニド、アクチニド、典型金属又は遷移金属由来であり、Lは、ハライド、ニトレート、アセテート、カルボキシレート、シアニド、スルフェート、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選択される1つ以上の任意に置換されていてもよいリガンドであり、jは0〜8の整数である)を含んでなり、かつ前記式1の化合物が前記金属錯体に結合している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
プロトン化錯体又は金属錯体M(L)j(式中、Mは、0〜4の範囲の酸化状態のコバルト、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム由来であり、Lは、ハライド、ニトレート、アセテート、カルボキシレート、シアニド、スルフェート、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選択される1つ以上の任意に置換されていてもよいリガンドであり、jは0〜4の整数である)を含んでなり、かつ前記式1の化合物が前記金属錯体に結合している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Xが、CH2A、[CH2CH2NR1]pR2;CHCOX1CH2COX2及び(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]n(ここで、Aは、式CHNR1R2COX3(式中、R1及びR2は、水素、C1-12及びC1-12アシルから独立に選択され、かつX3はOR及びNR1R2から選択され、Rは水素、金属イオン、C1-12アルキルから選択される)のアミノ酸の残基又は前記式のアミノ酸の誘導体若しくは塩であり、pは1〜50であり;X1及びX2は、OR及びNR1R2から独立に選択され;かつYは、z個のヒドロキシル基を有するポリオールの残基であり、かつm+n+1がz以下である)から独立に選択され、Mが、ランタニド、アクチニド、典型金属又は遷移金属由来の金属イオンであり、かつVが、任意に置換されていてもよいC1-22-アルキル、C2-22-アルケニル若しくはC2-22-アルキニル基又はアリール基であり;zが2〜10の整数である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、CH2A、[CH2CH2NR1]pR2;CHCOX1CH2COX2及び(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]n(ここで、Aは、式CHNR1R2COX3(式中、R1及びR2は、水素、C1-6及びC1-6アシルから独立に選択され、かつX3はOR及びNR1R2から選択され、Rは水素、金属イオン、C1-6アルキルから選択される)のアミノ酸の残基又は前記式のアミノ酸の誘導体若しくは塩であり、pは1〜20であり;X1及びX2は、OR及びNR1R2から独立に選択され;かつYは、z個のヒドロキシル基を有するポリオールの残基であり、かつm+n+1がz以下である)から独立に選択され、Mが、ランタニド、アクチニド、典型金属又は遷移金属由来の金属イオンであり、かつVが、任意に置換されていてもよいC1-12-アルキル、C2-12-アルケニル若しくはC2-12-アルキニル基又はアリール基であり;zが2〜10の整数である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
金属錯体M(L)j(式中、Mは、0〜4の範囲の酸化状態のコバルト、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム由来であり、Lは、ハライド、ニトレート、アセテート、カルボキシレート、シアニド、スルフェート、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選択される1つ以上の任意に置換されていてもよいリガンドであり、jは0〜4の整数である)を含有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Aが、式CHNHR1COX3(式中、R1は、水素、C1-4及びC1-6アシルから選択され、かつX3はOR及びNR1Hから選択され;Rは水素、金属イオン、C1-4アルキルから選択される)のアミノ酸の残基又は前記式のアミノ酸の誘導体若しくは塩である、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Xが、分岐若しくは線形ポリアミン[CH2CH2NH]pH(式中、pは1〜10の整数である)である、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
Xが、(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]n(式中、Yは、z個のヒドロキシル基を有するグリセロール、ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールの残基であり、かつm+n+1がz以下である)である、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
式1中、シリケート酸素原子の自由原子価が、1つ以上の、式1の他の基のケイ素原子、水素、線形若しくは分岐C1-6-アルキル基によって、又は末端基R33SiO1/2によって、又は架橋リンカーによって、又はポリマー鎖R3qSiOk/2(式中、R3は線形若しくは分岐C1-4-アルキル基であり;k+q=4であるような、kが2〜3の整数であり、qが1〜2の整数である)によって飽和しており;かつa、b及びcは、i)比a:bが0.00001〜100,000であり、かつ式AaBbCc中、AとBが両方とも常に存在し、及びii)Cが存在する場合、cのa+bに対する比が0.00001〜100,000で変化し、かつ前記末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマー鎖のa+b+cに対する比が0〜999:1で変化する、請求項9〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
a、b及びcが、i)比a:bが0.00001〜100,000であり、かつ式AaBbCc中、AとBが両方とも常に存在し、及びii)Cが存在する場合、cのa+bに対する比が0.00001〜100,000で変化し、かつ前記末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマーのa+b+cに対する比が0〜999:1で変化するような整数である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
a、b及びcが、i)比a:bが0.01〜100であり、かつ式AaBbCc中、AとBが両方とも常に存在し、及びii)Cが存在する場合、cのa+bに対する比が0.01〜100で変化し、かつ前記末端基及び/又は架橋リンカー及び/又はポリマー鎖のa+b+cに対する比が0〜99:1で変化するような整数である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
下記式2の化合物:
[(R4O)3SiCH2CH2SX]
(式中、Xは、
CH2 A;
CHCOX1CH2COX2
(CH2)eCOY[CO(CH2)eSCH2CH2Si(O3/2)]m[CO(CH2)eSH]n
から選択され、
かつAは、下記式
CHNR1R2COX3
(式中、R1及びR2は、水素、C1-22アルキル基、C1-22アシル基及びC1-22アルカリール基から独立に選択され;
X3は、OR、NR1R2、アミノ酸及びタンパク質から選択され;
Rは、水素、金属イオン、C1-22アルキル基から選択される)
のアミノ酸の残基又は前記式のアミノ酸の誘導体若しくは塩であり;
eは1又は2であり;
X1及びX2は、OR及びNR1R2から独立に選択され;
Yは、z個のヒドロキシル基を有するポリオール成分であり、z個以下のヒドロキシル基が脱プロトンされ、m及びnは、m+n+1がz以下であるように独立にz未満であり、かつ該ポリオールのm+n+1個のヒドロキシル基が脱プロトンされている)。
【請求項19】
供給原料の処理方法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物を供給原料と接触させて、
i)前記供給ストリームの成分の触媒変換による化学反応を生じさせて所望生成物を生成するか、
ii)前記供給ストリームの成分を該ストリームから除去するか、又は
iii)前記供給ストリーム中のイオン種をイオン交換法で除去する
工程を含んでなる方法。
【請求項20】
炭素-炭素二重結合形成反応、酸化、還元、アルキル化、重合、ヒドロホルミル化、付加、アリール化、アシル化、異性化、アルキル化、カルボキシル化、カルボニル化、エステル化、トランス-エステル化又は転位反応を行うための請求項19に記載の方法。
【請求項21】
液体基材から不要な有機若しくは無機化合物を除去するか、又は前記不要な有機若しくは無機化合物のレベルを下げるためのスカベンジャーとしての請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記不要な化合物が、反応混合物、廃棄物ストリーム若しくは廃水から除去され、又は他の有機化合物に結合若しくは付着している、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
反応混合物、廃棄物ストリーム若しくは廃水から又は他の有機金属に結合若しくは付着している白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム又はニッケル金属若しくはイオンを除去するため、又はそのレベルを下げるためのスカベンジャーとしての請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
酸化、還元、炭素-炭素二重結合形成反応、付加、アルキル化、重合、ヒドロホルミル化、アリール化、アシル化、異性化、カルボキシル化、カルボニル化、エステル化、トランス-エステル化及び転位反応用の不均一触媒としての請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
カチオン又はアニオン交換体としての請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
酵素、ペプチド、タンパク質及び核酸などの生体分子の固定化のための請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項27】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物と、担体とを含んでなる抗菌組成物。
【請求項28】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物及び請求項27に記載の担体の、抗菌剤としての使用。
【請求項29】
親水性モディファイヤー、防炎加工剤、帯電防止剤、医用装置の被覆剤、はっ水フィルム及び被覆剤としての請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
固相合成又は固相抽出及び固相精製のための請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項31】
不均一触媒担体としての請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項32】
気体、液体及び固体環境から有機、生体又は無機分子を分離又は精製するための請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
キラル分離のための請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項34】
ゲルろ過、サイズ排除又はクロマトグラフィー媒体として請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項35】
有機若しくは生体化合物の精製及び/又は同定のための請求項34に記載の使用。

【公表番号】特表2009−526105(P2009−526105A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553688(P2008−553688)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001137
【国際公開番号】WO2007/090676
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508243824)フォスフォニックス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】