説明

置換シクロヘキサノン

本発明は、その異性体のいずれか1つの形、又はそれらの混合物の形の式(I)のシクロヘキサノン誘導体に関する。本発明は、前記誘導体の製造ならびに使用にも関する。本発明の化合物は、様々な光学活性化合物を製造するために有用な出発材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機合成の分野に関し、具体的には、その異性体のいずれか1つの形、又はそれらの混合物の形の式
【化1】

のシクロヘキサノン誘導体ならびに以下に定義するものに関する。本発明は、前記誘導体の製造ならびに出発材料としての使用にも関する。
【0002】
従来技術
我々の知る限りにおいて、式(I)のシクロヘキサノン誘導体は新規誘導体である。更に、従来技術では、本発明のシクロヘキサノンの類似体、すなわち、3位にヒドロキシ誘導体ならびに5位に炭化水素誘導体を有する化合物の製造を可能にする方法は見つかっていない。
【0003】
式(I)のシクロヘキサノン誘導体は、相応のシクロヘキセノンを製造するために有用な出発材料である。WO05/077875では、発明者は同様のシクロヘキセノンを製造する方法を記載しているが、しかし、この従来技術の方法は、式(I)の化合物の代わりにジオンの使用を必要とする。
【0004】
Snider et al.(J. Org. Chem., 1991, 4908)、Agami et al.(Bull. SOc. Chem. Fr. ,1987, 358)又はFehr et al.(Eur. J. Org., 2004, 1953)には、同様のシクロヘキセノンを製造する代替の方法が記載されているが、しかし、これらの方法は種々の出発材料ならびに種々の試薬の使用を含意している。
【0005】
本発明の説明
特異的な立体配置を有するか又は光学的に活性であることができる種々の化合物を製造するために有用な中間体であるシクロヘキサノンの新規クラスを見出した。
【0006】
従って、本発明のはじめの対象は、式
【化2】

[式中、
1は、単独の場合には、同一であり、かつ場合により置換されたアキラルなC1〜10線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基を表すか、又は二者択一的に、前記の2つのR1は、一緒になって場合により置換された線状C3〜C10アルカンジイル又はアルケンジイル基を表し;
2は、場合により置換されたアキラルなC1〜7線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基を表すか、又は場合により置換されたフェニル又はベンジル基を表し;かつ
Rは、次のものを表す:
− 水素原子、
− 式Si(R33の基、R3は場合により置換されたC1〜7線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基、又はフェニル基、
− C1〜C10スルホニル基、又は
− 場合により酸素、窒素、ケイ素又は硫黄から成るグループから選択される4個までのヘテロ原子を有するC1〜C10炭化水素基を表すが、但し、前記ヘテロ原子が前記R基を有する酸素原子に直接に結合していない場合]
の化合物である。
【0007】
本発明の特異的な実施態様によれば、Rは水素原子、場合により置換されたC1〜6線状、分枝又は環状アルキル、アルケニル又はアシル基、場合により置換されたベンジル基、C1〜C10スルホニル基、例えば、MeSO2、CF3SO2、C65SO2又はCH364SO2、式−CH(Ra)OCH2aの基(Raは、水素原子又はC1〜5アルキル基を表すか、又は一緒になってC1〜C5基を表す)、又は式Si(R33の基(R3は、場合により置換されたC1〜7線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基、又はフェニル基を表す)を表す。
【0008】
本発明の特異的な実施態様によれば、Rは水素原子、C1〜6線状ビニル又はアシル基、式−CH(Ra)OCH2aの基(Raは、水素原子又はC1〜5アルキル基を表すか、又は一緒になってC1〜C5基を表す)、又は式Si(R33の基(R3は、C1〜3線状アルキルを表す)を表す。
【0009】
前記のように、R、R1、R2及びR3は、例えば2個までの基で置換することができる。限定されない例として、前記の基はC1〜5アルキル、アルコキシ又はシクロアルキル基である。
【0010】
式(I)の化合物は、どの実施態様でも、シクロヘキセノン環上、すなわち炭素原子2、3及び5上に3つの不斉炭素原子を有する。従って、前記化合物はその立体異性体のうちの1つの形であることができる。更に、本発明の化合物は前記立体異性体のうちの1つの混合物の形であることができると解釈される。
【0011】
本発明の実施態様によれば、本発明の化合物は、式
【化3】

[式中、R、R1とR2は、式(I)に示したものと同じ意味を有し、かつ基ORとR2は、トランスの相対立体配置である]
のトランスケトンである。
【0012】
更なる実施態様によれば、式(II)の化合物は式
【化4】

[式中、R、R1とR2は、式(I)に示したものと同じ意味を有し、かつアステリスクは炭素の立体配置が絶対配置であり、従って前記化合物(III)又は(III’)が光学的に活性の形であることを意味する]
の光学活性の形である。
【0013】
特に、前記化合物(III)は式
【化5】

[式中、R、R1とR2は、式(I)に示したものと同じ意味を有し、かつアステリスクは炭素の立体配置が絶対配置であり、従って、前記化合物(IV)又は(VI’)が光学的に活性の形であることを意味する]
の化合物の混合物の形である。
【0014】
本発明の別の実施態様によれば、化合物が式(I)、(II)、(III)、(III’)、(IV)又は(VI’)の化合物であることとは無関係に、R1基は、単独の場合には、同一であり、かつアキラルなC1〜5線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基を表すか、又は二者択一的に前記の2つのR1は、一緒になって線状C3〜C10アルカンジイル又はアルケンジイル基を表す;
2は、アキラルなC1〜5線状又は分枝アルキル又はアルケニル基を表すか、又はフェニル基を表し;かつ
Rは、水素原子、場合により置換されたC1〜5線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基、ベンジル基、式−CH(Ra)OCH2aの基(Raは、水素原子又はメチル、エチル又はn−プロピル基を表すか、又は一緒になって、C3〜C4基を表す)を表すか、又は式Si(R33の基(R3は、C1〜5線状、分枝アルキル基又はフェニル基を表す)を表す。
【0015】
二者択一的に、R1基は、単独の場合には同一であり、かつアキラルなC1〜5線状、分枝又は環状アルキル基を表すか、又は二者択一的に、前記の2つのR1は、一緒になって線状C3〜C10アルカンジイル又はアルケンジイル基を表す;
2は、アキラルなC1〜5線状又は分枝アルキル又はアルケニル基、又はフェニル基を表し;かつ
Rは、水素原子、場合により置換されたC1〜5線状、分枝又は環状アルキル基、式−CH(Ra)OCH2aの基(Raは、水素原子又はメチル、エチル、イソプロピル又はプロピル基を表すか、又は一緒になって、C3〜C4基を表す)、又は式Si(R33の基(R3は、C1〜4線状又は分枝アルキル基又はフェニル基を表す)を表す。
【0016】
なお、特異的な実施態様とは無関係に、Rは水素原子だけを表すか、又はSi(R33基(R3は、C1〜4アルキル基又はフェニル基を表す)、又は式−CH(Ra)OCH2aの基(Raは、水素原子又はメチル、エチル、イソプロピル又はプロピル基を表すか、又は一緒になってCH2CH2又はCH2CH2CH2基を表す)を表してもよい。
【0017】
前記実施態様では、任意選択の置換基は先のように定義される。
【0018】
前記化合物の特異的な例は:
(−)−(1R、11S、14R)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、
(−)−(1R、11R、14R)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、
(1RS、11RS、14RS)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、
(1RS、11RS、14RS)−1−エトキシエトキシ−14−メチルビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、及び
(1RS、11RS、14RS)−14−メチル−1−トリメチルシリルオキシビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オンである。
【0019】
本発明の2番目の対象は、式
【化6】

[式中、R1、R2及びアステリスクは、化合物(I)の様々な実施態様で先に示したものと同じ意味を有する]
の光学活性化合物の製造法であり、これは、式
【化7】

[式中、アステリスク、R1とR2は、先に示したものと同じ意味を有し、かつRは、水素原子ではない場合に、先に定義した通りである]
のうち1つのトランスケトンを、場合により水を除去する手段を用いて光学活性ナトリウム又はカリウムアルコキシドで処理する;又は
式(III)又は(III’)
【化8】

[式中、R1とR2は、先に示したものと同じ意味を有し、かつRは、水素である]
の光学活性トランスケトンを、第三級C3〜C24アミンの存在でC1〜C8塩化スルホニルで処理することにより得られる。
【0020】
"光学活性なアルコキシド"とは、本明細書内では1つのアルコキシ基、すなわち、1つの脱プロトン化アルコール基を有する少なくとも1つの部分を含む化合物を意味し、かつこれは光学的に活性である。言い換えると、前記の光学活性なアルコキシドは、このような部分を1つ、2つ又は3つ有するC4〜C40化合物、又は糖のような炭水化物又はそれらの誘導体、又は光学活性アルコキシ基を有するポリマーの光学活性ナトリウム塩又はカリウム塩であることができる。
【0021】
本発明の方法で使用できる現在公知の光学活性なナトリム又はカリウムアルコキシドの詳細なリストは提供できないが、以下のものは有利な例として挙げられる:
a)C4〜C18光学活性モノアルコールのナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、式
【化9】

[式中、R5はC1〜C4アルキル基、又は場合により置換されたフェニル基を表し、かつR4はC1〜C4アルキル基、又はC(R5’2(OR4’)基(R5’は、水素原子を表すか、又はR5とR4’は、C1〜C6アルキル基又はC3〜9トリアルキルシリル又はトリフェニルシリル基を表す)を表すか、又は式R4’’−OHのキラルアルコールのようなものを表し、ここで、R4’’は、C7〜12キラル炭化水素基を表す]
の光学活性アルコールのナトリウム塩又はカリウム塩、
b) −C3〜C18光学活性1,2−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、式
【化10】

[式中、R6は場合により置換されたフェニル基、C1〜C6アルキル基又はCOOR7基を表し、R7基はC1〜4アルキル基を表す]
の光学活性ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、
− C4〜C18光学活性1,3−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、式
【化11】

[式中、R6は先に示した意味を有する]
の光学活性ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、
− C5〜C35光学活性1,4−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、式
【化12】

の部分を含有する光学活性ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、又は式
【化13】

[式中、R5’は先に示した意味を有する]
の光学活性ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩
c)β位に窒素を含有するC4〜C25光学活性アルコールのナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、式
【化14】

[式中、R5は先に示した意味を有し、R7’は先に定義したようなR4又はR5’基を表し、かつR8は、場合により置換されたフェニル基、C1〜9アルキル基又はアルキルベンゼン基、SiR73基又はR7’CO基を表し;場合によりR5とR7’は、一緒に結合してC5〜10環を形成するか、又はR7’とR8は、一緒に結合してC4〜5複素環を形成するか、又は2個のR8は一緒に結合してC2〜5複素環を形成する]
の光学活性1,2−アミノアルコールのナトリウム塩又はカリウム塩;又は例えば、式
【化15】

[式中、R5とR5’は、先に示した意味を有する]
の光学活性イミノアルコールのナトリウム塩又はカリウム塩;
d) a)、b)又はc)で述べた光学活性アルコキシドから誘導される2個又は3個の基を有するC15〜38化合物のナトリウム塩又はカリウム塩;又は
e) d)で述べ、かつシリカ、メリフィールド樹脂、金又はポリスチレンのような不溶性材料上に担持された光学活性アルコキシドのナトリウム塩又はカリウム塩。
【0022】
フェニル基の置換基の例は、Rb、SRb、NO2又はORb基又はハロゲン原子であり、ここで、RbはC1〜4アルキル基を表す。
【0023】
本発明の特異的な実施態様によれば、前記光学活性ナトリウム又はカリウムアルコキシドは、1個又は2個のアルコキシ基を有し、かつこれは次のものである:
a)式
【化16】

[式中、R9はC1〜4アルキル基を表し、かつR10は場合により1つのC1〜4アルキル基により置換されたフェニル基を表す]
の光学活性アルコールのナトリウム塩又はカリウム塩;
b)式
【化17】

[式中、R10は先に示した意味を表す]
の光学活性1,2−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩;又は式
【化18】

[式中、R11はC1〜4アルキル基又は水素原子を表す]
の光学活性1,4−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩;
c) 式
【化19】

[式中、R12は場合によりSMe、OMe、NO2又はC1〜4アルキル基により置換されたフェニル基を表し、R13はC1〜4アルキル基、R12基、又はCH2OSiMe2tBu基を表し、かつR14は、ベンジル又はC1〜4アルキルを表すか、又は2個のR14は一緒に結合してC4〜5複素環を形成する]
の光学活性1,2−アミノアルコールのナトリウム塩又はカリウム塩、又は式
【化20】

[式中、R12は先に示した意味を有する];又は
d)式
【化21】

[式中、R12は先に示した意味を有する]
の光学活性アルコールのナトリウム塩又はカリウム塩。
【0024】
式(E)、(E’)又は(K)の1,2−アミノアルコールを用いる本発明の方法は、特に本発明の良さが分かる実施態様である。
【0025】
上記の光学活性ナトリム又はカリウムアルコキシドの特異的な例は、式1〜12の化合物のナトリウム塩又はカリウム塩である(絶対立体配置は図面中に示されている):
【化22】

【0026】
【化23】

【0027】
本発明の方法(出発化合物(I))に特に有用であることが分かっている前記化合物は、二環である。
【0028】
光学活性アルコキシドは特異的なエナンチオマー過剰率(e.e.)により特徴付けられることを述べるのが実用的である。一般に、高いe.e.を有する光学活性アルコキシドは、高いe.e.を有する化合物(V)を提供する。従って、本発明の方法では少なくとも50%、むしろ少なくとも90%のe.e.を有する光学活性アルコキシドを使用するのが望ましい。
【0029】
光学活性アルコキシドは、反応媒体に幅広い濃度で添加できる。限定されない例として、ケトン(I)に対して0.05〜8.0モル当量の範囲の光学活性アルコキシド濃度値を挙げることができる。有利には、光学活性アルコキシド濃度は、0.1〜4.0モル当量の間から構成される。前記アルコキシドの最適濃度は、後者の性質と所望の反応時間によることは言うまでもない。
【0030】
キラルナトリウム又はカリウムアルコキシドは、予備成形された塩の形であるか、又はその使用前に例えば、ヒドロキシ基を有する少なくとも1つの部分を有するキラル化合物と、適切なナトリウムもしくはカリウム塩基を予備混合することにより、in situで形成することができる。
【0031】
本発明の特異的な実施態様によれば、特に適切なアルコキシドは1,2−アミノアルコール、特に先に挙げたものである。
【0032】
上記のように、この方法は水を除去する手段の存在で行うことができる。本発明の有利な実施態様によれば、この方法法は前記の水を除去する手段の存在で実施される。
【0033】
"水を除去する手段"とは、本明細書中では反応の間に形成される水を捕捉できる化合物又は物質を意味する。前記水は、吸収メカニズムにより、又は化学反応により、又は共沸蒸留により捕捉できる。
【0034】
水を除去する手段の有効な例は次のものである:
i)アルカリ金属又はアルカリ土類金属水素化物、例えば、NaH、KH、CaH2、LiH;
ii)水と一緒にキレートを形成できる反応媒体、不溶性無機材料、例えば、無水ゼオライト、有利には4Åタイプのもの、又は無水MgSO4、Na2SO4、Na2O、CaCl2又はMgCl2又は、
iii)水と反応して非酸性化合物を形成できる有機材料、例えば、オルトエステル、N−メチル−N−トリメチルシリル−トリフルオロアセタミド又は1−トリメチル−シリルイミダゾール。
【0035】
水を除去する手段は、幅広い範囲の量で反応媒体に添加でき、これは水を除去する手段の正確な性質による。一般に、より多くの量の水を除去する手段が使用されると、方法の最後に得られる化合物(V)のe.e.はより高くなる。しかし、理論的に形成され得る全ての水を捕捉するために必要な理論量を3倍上回る添加量は、はっきりと認められるほど付加的利点を生じない。
【0036】
塩化スルホニルに関しては、限定されない例として、MeSO2Cl、CF3SO2Cl、MeC64SO2Cl、又はC65SO2Clを挙げることができる。アミンに関しては、限定されない例として、トリエチルアミン又はトリブチルアミン又はDBUが挙げられる。前記アミンは、ラセミ体又は光学活性形であることができ、かつ出発ケトン(III)又は(III’)に関して少なくとも当モル量で都合よく添加される。
【0037】
本発明のこの方法は、本発明のどの実施態様でも、溶剤の存在又は不在で実施できるが、しかしいずれの場合でも、無水条件下に有利に実施される。当業者が予期できるように、反応条件下で出発ケトンが固形化合物である場合に限って、溶剤の存在が義務付けられる。
【0038】
しかし、本発明の有利な実施態様によれば、かつ出発ケトンの物理的状態とは無関係に、この方法は溶剤の存在で有利に実施される。前記溶剤は、化学的に反応に適合すべきであり、かつアルコキシドを不活性化してはならない。
【0039】
適切な溶剤は、非プロトン性のものである。このような溶剤の限定されない例は、エーテル、エステル、アミド、芳香族炭化水素、線状又は分枝又は環状炭化水素、塩素化溶剤ならびにこれらの混合物である。より有利は、溶剤はTHF又はジオキサンのようなC4〜C6エーテル、DMFのようなC3〜C6アミド又はN−メチルピロリドン、塩化メチレン、トルエン、N−メチルモルホリンならびにこれらの混合物である。
【0040】
本発明の方法を実施できる温度は、本発明のどの実施態様でも、−80℃〜100℃の間から成り、有利には−78℃〜20℃の間から成る。当然ながら、出発生成物と最終生成物及び/又は可能性のある溶剤の融点と沸点に応じて、当業者は有利な温度を選択できる。
【0041】
本発明の3番目の対象は、本発明の化合物(I)を製造する方法に関する。すなわち、先に定義したような、式(I)の化合物を製造する方法に関し、これは次の工程:
a)式
【化24】

[式中、R1とR2は、化合物(I)の様々な実施態様で先に示したものと同じ意味を有する]
のアキラルなジケトンを、ラセミ型又は光学的に活性な形で、かつTiCl4又はZrCl4と、等モル量のアルコールRbOH(Rbは、C1〜C5アルコキシ基を表す)との混合により得られる錯体の存在で、又は先に定義したような式(E)、(E’)、(F)又は(F’)の光学活性アルコールから成るグループから選択されるキラルリガンドの存在で、C3〜C24アミン又はジアミン、及び式
【化25】

[式中、R4は、先に示した意味を有し、かつRcはC1〜C4アルキル基を表す]
の光学活性アルコールで処理し;かつ
b)工程a)の反応媒体を加水分解して、Rが水素原子である式(I)の化合物を得て;かつ
c)工程b)で得られた化合物を適切な試薬で処理することにより、Rが水素原子ではない式(I)の化合物へ変換する
から成る。
【0042】
"適切な試薬"の正確な性質は、当業者に周知であり、幾つかの例が基本的な化学の教書に挙げられている(例えば、T. H. Green and P. G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", John Wiley & Sons, Inc. 第三版、1999;特に17〜200頁)。いずれにせよ網羅できないので、適切な前記試薬の詳細なリストを挙げることは不可能である。しかし、限定されない例として以下の試薬を挙げることができる:
− 式RXの化合物(Rは、式(I)の意味を有し、XはC1〜C6スルホネート又はハロゲン原子である);
− 適切なカルボン酸無水物又はカルボン酸塩化物、すなわち、アシルであるR基を提供しやすい;
− 式XCH(Ra)OCH2aの化合物、又は式HRa’C=CHOCH2a(Ra’は、CH2基無しのRa基を表し、かつRaは先に示したものと同じ意味を有する)の化合物;
− 適切なアルケン、すなわちアルキル基又はアルケニル基であるR基を提供しやすい。
【0043】
式(E)のうち1つのような光学活性リガンドを有する錯体の使用は、光学的に活性な形で化合物(I)の形成(すなわち、式(III)又は(III’)の化合物)を生じるのに対して、OPrのような光学的に活性ではないリガンドを有する錯体の使用は、ラセミ型の化合物(I)、特に式(II)の化合物の形成を生じることは当業者によく理解されている。
【0044】
本発明の特異的な実施態様によれば、有利な錯体はTiCl4とn−プロピルもしくはイソプロピルアルコールの混合により得られる。
【0045】
本発明の特異的な実施態様によれば、有利なキラルリガンドは、先に定義したような式(K)又は(L)のもの、特に先に定義したような式(6)、(7)、(8)、(8’)又は(9)のものである。
【0046】
本発明の他の特異的な実施態様によれば、有利なRXは、式Si(R33Xの化合物であり、R3はC1〜C4アルキル基又はフェニル基を表し、かつXは塩素原子又はCF3SO3基を表す。
【0047】
本発明の他の特異的な実施態様によれば、式XCH(Ra)OCH2a又は式HRa’C=CHOCH2aの有利な化合物は、Ra又はRa’が単独の場合には水素原子又はメチル、エチル、プロピル又はイソプロピル基を表し、又はRaとRa’が一緒になって、CH2CH2基又はCH2CH2CH2基を表すものである。
【0048】
前記の方法は、N−メチルモルホリン、CH2Cl2、DMF又はNMPのグループから選択される溶剤中で有利に実施できる。更に、この方法は−10℃と30℃の温度から成る温度で実施できる。前記溶剤は更に水を含んでいてもよい。
【0049】
実施例
本発明を、その全ての実施態様の形で以下の例により更に詳細に記載するが、略語は本分野で通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示されている;NMRスペクトルデータは、1H又は13Cにそれぞれ360MHz又は100MHzの機械を用いてCDCl3中で記録し、化学転位度δは、標準物質としてのTMSに関してppmで示し、カップリング定数JはHzで示してある。
【0050】
環状3−メチル−1,5−ジオンを参考文献G. Ohloff, J. Becker, K. H. Schulte-Elte, Helv, Chim. Acta 1967, 50, 705に倣って製造した。
【0051】
例1
(−)−(1R, 11S, 14R)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン(13)と(−)−(1R, 11R, 14R)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン(14)の製造
触媒の製造:新たに蒸留したCH2Cl2(150ml)中の(+)−N−イソプロピルエフェドリン溶液(10.35g、50.0mmol)をCH2Cl2(50ml)(温度30℃〜40℃)中のTiCl4(9.50g(5.52ml);50mmol)溶液で5分間処理した。投入後、溶剤をN2下に蒸留した。残留物を真空下に乾燥させた(0.01mbar):21.77g。
【0052】
アルドール反応:得られた上記の触媒(20.71g;max. 47.6mmol;0.80当量)を撹拌しながらNMP(57ml)含有の250ml容器に注いだ。温度は34℃まで達した。5分後に、固形3−メチル−1,5−シクロペンタデカンジオン(15)(14.98g、59.4mmol)を撹拌した焦げ茶色の溶液に加えた。5分後に、溶液を氷冷しながらH2O含有(89.1mg、4.95mmol)のTMEDA(6.67g、8.54ml、57.5mmol)で処理した。0〜2℃に温度を保持した。165分後に、混濁した反応混合物を5%HCl/氷の中に注ぎ、かつエーテルで抽出した。有機相を(H2O (2x)、飽和NaHCO3、NaCl)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、かつ蒸発させた。SiO2(350g)とシクロヘキサン/AcOEt=9:1を用いるフラッシュクロマトグラフィーは、連続的に(15)(4.95g、33%)と(13)/(14)(約1:1)(9.97g、66.5%)が得られた。SiO2(300g)とシクロヘキサン/AcOEt=9:1を用いる2つの平行したフラッシュクロマトグラフィーは、連続的に(14)(17%ee)4.35g(収率:29%)、(13)/(14)0.95g(収率:6%)及び(13)(42%ee)3.85g(収率:26%)が得られた。
【0053】
エナンチオマー過剰率は、キラルキャピラリーカラムCP−Chirasil−DEX CB(25m×0.25mm)(Chrompack)を用い、かつキャリアガスとしてHeを0.63バールで用いて、相応するアルコールのシリル化ジオールを用いて測定した。
【0054】
(13)のスペクトル:

【0055】
(14)のスペクトル:

【0056】
二者択一的に、上記の実験では、Na2SO4上で乾燥させた後に得られた粗生成物を熱いヘプタン(420ml)中に溶解させ、かつ23℃で15時間おいた。結晶を濾過した後に、母液をSiO2(270g)とシクロヘキサン/AcOEt=9:1、次に7:3を用いるクロマトグラフィーにより精製した。無極性フラクションは(15)(5.82g; 39%)を生じ、極性のものは(13)/(14)の混合物(誘導ジオールのGCにより44:56;(収率:28%))が得られた。SiO2(250g)とシクロヘキサン/AcOEt=9:1を用いるフラッシュクロマトグラフィーは、連続的に(14)(44%ee)1.96g(収率:13%)、(13)/(14)0.41g(収率:3%)及び(13)(75%ee)1.54g(収率:10%)が得られた。
[α]D20(CHCl3;c=0.98)−25.7(エナンチオマー純度の外挿(13):[α]D20−34)。
[α]D20(CHCl3;c=2.9)−17.1(エナンチオマー純度の外挿(14):[α]D20−39)。
【0057】
例2
(1RS, 11RS, 14RS)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン(16)の製造
CH2Cl2(210ml)中の(15)の溶液(15.12g、60.0mmol)を22〜24℃で
ZrCl3OPr(AcOEt中36%)(65.25g、91.6mmol)の溶液で処理した。5分後に、黄色い溶液をNBu3(19.43g、25.0ml、105mmol)で−10〜0℃で処理した。15分後に、反応混合物を水に注ぎ、かつエーテルで抽出した。有機相を洗浄し(H2O、飽和NaHCO3、NaCl)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、かつ蒸発させた。ヘプタン(345ml)からの結晶化は、(16)11.93g(収率:79%)と母液2.80gが得られた。これから、別に(16)1.39g(収率:9%)が回収された。(14)と同じスペクトルであった。
【0058】
例3
(+)−(S)−14−メチルビシクロ[9.4.0]ペンタデセ−1(11)−エン−12−オン(17)の製造
CH2Cl2(300ml)中の(13)/(14)(9.97g;39.56mmol)の溶液(クロマトグラフィーの後の例1の繰り返しから得られた)をMe3N・HCl(1.89g;19.80mmol)で処理した。−15℃で、撹拌した混合物を連続的にNEt3(15.98g、158.2mmol)で処理し、かつMsCl(13.58g、118.7mmol)で少しずつ処理した。反応混合物を0℃で1時間ならびに25℃で15時間撹拌した。次に、これを5%HCl中に注ぎ、かつエーテルで抽出した。有機相を洗浄し(H2O、飽和NaHCO3、NaCl)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、かつ蒸発させて粗油が得られた。この油をトルエン(60ml)とDBU(9.02g、59.34mmol)中、80℃で1時間加熱させ、冷却し、かつ上記のように処理した(5%HCl及び抽出)。バルブ−バルブ蒸留(オーブン温度:100〜150℃/0.01mb)により、(17)(29%ee)8.72g(収率:94%)が得られた。
【0059】
例4
(1RS, 11RS, 14RS)−1−エトキシエトキシ−14−メチルビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン(18)の製造
THF2ml中の(16)2g(7.9mmol)とエチルビニルエーテル0.84ml(8.7mmol)の混合物をトリフルオロ酢酸20μl(0.32mmol)の存在で室温で2日間撹拌した。溶出液としてジエチルエーテルを用いるショートカラム濾過(SiO2)と溶剤の蒸発の後に、粗生成物(18)2.6gが得られた。SiO2と溶出液としてシクロヘキサン/EtOAc=95:5を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、(18)2.10g(82%)が約1:1のジアステレオマー混合物として得られた。
【0060】
1番目の異性体:

【0061】
2番目の異性体:

【0062】
例5
(1RS, 11RS, 14RS)−14−メチル−1−トリメチルシリルオキシビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン(19)の製造
THF0.5ml中の(16)25mg(0.1mmol)とトリエチルアミン17μl(0.12mmol)の混合物を0℃でTMSOTf21μl(0.11mmol)で処理した。30分後に、トリエチルアミン8μl(0.06mmol)とTMSOTf10μl(0.055mmol)を添加した。10分後にこの混合物をジエチルエーテルで希釈し、かつNH4Cl飽和溶液2ml中に注いだ。有機相を分離し、ジクロロメタン3mlで希釈し、かつ溶剤を真空下に室温で蒸発させ、(19)32mg(収率:99%)が得られた。
【0063】

【0064】
例6
(+−)−3−ブチル−γ−3−ヒドロキシ−t−5−メチル−c−2−プロピルシクロヘキサノン(20)と(+−)−3−ブチル−γ−3−ヒドロキシ−t−5−メチル−t−2−プロピルシクロヘキサノン(21)の製造
a)7−メチル−5,9−トリデカンジオンの製造
SOCl275ml(1.03mol)を3−メチルグルタミン酸50g(0.34mmol)(2個の洗浄ボトル:250mlH2O、250ml20%NaOHに連結した還流凝縮器付き250mlフラスコ中)中に、室温で撹拌しながら20分で加えた。ピリジン0.5mlを加えた後に、気体の発生が観察され、かつ温度が下がった(5〜10℃)。混合物を内部温度25℃まで30分間加熱し、かつ室温で22時間撹拌した。60℃/2.1mbarにてVigreuxカラムを通す蒸留により、二酸塩化物48.57g(78%、0.27mol)が無色の液体として得られた。
【0065】
n−塩化ブチルマグネシウム(THF中2.0M)の溶液125ml(0.25mol)を−2〜0℃の間の温度で45分間以内に加え、機械的に撹拌した二酸塩化物(22.9g、0.125mol)、THF中のMnCl4Li2(20ml、約12.5mmol)、CuCl(0.71g、7.1mmol)及びTHF(200ml)の溶液にした。75分後に、0℃で前記混合物を冷却した2N HCl溶液150mlの上に注いだ。水相をジエチルエーテル(3×100ml)で抽出し、かつ合わせた有機相を水(3×50ml、pH7)で洗浄し、かつNa2SO4上で乾燥させた。濾過ならびに溶剤を蒸発させた後に、粗生成物(29.6g)を115℃/0.35mbarにてVigreuxカラム(15cm)を通して蒸留し、7−メチル−5,9−トリデカンジオン19.4g(69%、0.086mol)が得られた。
【0066】

【0067】
b)所望生成物の製造
4−メチルモルホリン(1.1ml)中の7−メチル−5,9−トリデカンジオン(250mg、1.1mmol)の溶液を、TiCl3OiPr(AcOEt中1.637mmol Ti/g)溶液0.675g(1.1mmol)で25℃で処理した。15分後に、混合物をジエチルエーテルで希釈し、かつ2N HClの冷たい溶液で処理した。ジエチルエーテルで抽出した後に、有機相を洗浄し(飽和NaHCO3、H2O)、乾燥させ(Na2SO4)かつ蒸発させた(粗生成物250mg)。SiO2(23g)とn−ペンタン/AcOEt=85:15を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、連続的に(20)178mg(収率:72%)と(21)8mg(収率:4%)が得られた。
【0068】
(20)のスペクトル:

【0069】
(21)のスペクトル:

【0070】
例7
(+−)−3−ブチル−γ−3−(1−エトキシエトキシ)−t−5−メチル−c−2−プロピルシクロヘキサノン(22)の製造
(21)666mg(2.95mmol)とエチルビニルエーテル1.13mL(11.8mmol)の混合物を13mgの Amberlyst(R)15の存在で室温で18時間撹拌した。SiO2(88g)とn−ペンタン/Et2O=9:1を用いる茶色の混合物のフラッシュクロマトグラフィーにより、(22)626mg(収率:71%)が約1:1のジアステレオマー混合物として得られた。
【0071】

【0072】
例8
(+−)−3−ブチル−γ−3−(トリメチルシリルオキシ)−t−5−メチル−c−2−プロピルシクロヘキサノン(23)の製造
THF1ml中の(21)56mg(0.25mmol)とトリエチルアミン49μl(0.35mmol)の混合物を0℃で、TMSOTf58μl(0.30mmol)で処理した。30分後に、混合物をジエチルエーテル5mlで希釈し、かつ氷2g入りのNH4Cl飽和溶液2mlの上に注いだ。ジエチルエーテルで抽出(2×)した後に、有機相を洗浄し(飽和NH4Cl)、乾燥させ(Na2SO4)かつ蒸発させ、(23)65mg(0.22mmol、収率:88%)が得られた。
【0073】

【0074】
例9
(1RS, 11RS, 14RS)−1−ビニルオキシ−14−メチルビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン(26)の製造
THF2ml中の(16)1g(4mmol)とエチルビニルエーテル0.46ml(4.8mmol)の混合物を、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)201mg(0.8mmol)の存在で室温で4時間撹拌した。前記混合物を40℃で2時間撹拌し、かつエチルビニルエーテル0.46ml(4.8mmol)を加えた。40℃で6時間の反応後に、混合物をNH4Cl飽和水溶液3mlで加水分解した。ジエチルエーテル50mlで抽出した後に、合わせた有機相を洗浄し(H2O)乾燥させ(Na2SO4)、かつ溶剤を蒸発させた。SiO2(105g)と溶出液としてのn−ペンタン/ジエチルエーテル=95:5を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、(26)215mg(収率:19%)が得られた。
【0075】

【0076】
例10
(1RS, 11RS, 14RS)−1−ブトキシエトキシ−14−メチルビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン(27)の製造
THF2ml中の(16)2g(7.9mmol)とブチルビニルエーテル0.84ml(8.7mmol)の混合物を、トリフルオロ酢酸20μl(0.32mmol)の存在で室温で1日撹拌した。SiO2(80g)と溶出液としてのペンタン/EtOAc=9:1を用いる前記反応混合物のフラッシュクロマトグラフィーにより、(27)2.3g(82%)が約1:1のジアステレオマー混合物として得られた。
【0077】
1番目の異性体:

【0078】
2番目の異性体:

【0079】
例11
(1RS, 11RS, 14RS)−14−メチル−12−オキソビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−1−イルアセテート(28)の製造
(16)2.5g(10mmol)をAc2O4g(40mmol)とpTSOH・H2O95mg(0.5mmol)の混合物に0℃で添加した。0℃で1時間撹拌した後に、前記混合物を室温まで温めた。60分後に、前記反応混合物を氷10gとNH4Cl飽和水溶液10mlに注いだ。ジエチルエーテル150mlで抽出した後に、合わせた有機相を洗浄し(NaHCO3とNaCl飽和水溶液)、かつ乾燥させ(Na2SO4)、かつEt3N1mlを加えた。溶剤を蒸発させた。SiO2(300g)と溶出液としてのn−ペンタン/EtOAc/Et3N=95/4/1を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、(28)1.31g(4.4mmol、収率:44%)が得られた。
【0080】

【0081】
例12
光学活性14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデセ−1(11)−エン−12−オン24)の製造
一般的方法
不活性雰囲気下に、反応容器内に表1に従って(18)、(26)、(27)、(28)又は(19)0.25mmol、無水THF1ml及びアミノアルコール(7)、(6)又は(8)のNa塩又はK塩を添加した。反応開始時点で、(18)、(26)、(27)、(28)又は(19)の濃度を0.2〜0.3mol/lの間に保持するために、存在したTHFの全体量を計算した。
【0082】
前記反応混合物を表1に従って室温で撹拌し、続いてGCを行った。反応を中止するために、混合物をNH4Cl飽和溶液3mlで加水分解した。水相をジエチルエーテルで抽出した後に、有機相をMgSO4上で乾燥させ、かつ濾過した。真空下に溶剤を除去し、かつ残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物、すなわち、(S)−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデセ−1(11)−エン−12−オン又は(R)−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデセ−1(11)−エン−12−オン又はアルコキシドの配置により前記立体異性体の光学活性混合物が得られた。
【0083】

【0084】
得られた結果は表1に示されている。
【0085】
【表1】

1)説明を参照
3)出発材料に対する、投入されたアルコキシドのモル当量数
4)反応の継続時間(時)
5)GCにより測定
6)最終生成物を無水THF中の過剰LiAlH4と反応させることにより測定。加水分解、濾過及びEt2Oで抽出後、得られたアリルアルコールをキラルカラム(CHIRASIL DEX CB)を用いてGCにより分析し、得られたアリルアルコールのエナンチオマー過剰率を測定した。
7)2当量NaHの存在で反応を行った
8)2当量KHと0.05当量MeOHの存在で反応を行った。
【0086】
(18)、(19)又は(27)を用いて反応を行った場合には、約40%の転化率の後に得られた反応混合物を二者択一的にH2O0.4mlと1N HCl水溶液0.4mlの混合物で10分間処理できる。水相をジエチルエーテルで抽出した後に、有機相を洗浄し(NaHCO3飽和水溶液、H2O)、MgSO4上で乾燥させ、かつ濾過した。真空下に溶剤を除去し、かつ残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物、すなわち、(1R, 11S, 14R)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン又は(1S, 11R, 14S)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン又はアルコキシドの配置により前記立体異性体の光学活性混合物、ならびに(S)−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデセ−1(11)−エン−12−オン又は(R)−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデセ−1(11)−エン−12−オン又はアルコキシドの配置により前記立体異性体の光学活性混合物が得られた。
例13
光学活性3−ブチル−5−メチル−2−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン(25)の製造
一般的方法
不活性雰囲気下に、反応容器内に表2に従って(22)又は(23)0.5mmol、無水THF2ml及びアミノアルコール(7)のNa塩又はK塩を投入した。反応開始時点で、(22)又は(23)の濃度を0.2〜0.3mol/Lの間に保持するために、存在したTHFの全体量を計算した。
【0087】
反応混合物を表2に従って室温で撹拌し、続いてGCを行った。反応を中止するために、前記混合物をNH4Cl飽和溶液3mlで加水分解した。水相をジエチルエーテルで抽出した後に、有機相をMgSO4上で乾燥させ、かつ濾過した。真空下に溶剤を除去し、かつ残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物、すなわち、(S)−3−ブチル−5−メチル−2−プロピル−2−シクロヘキセン−1オン又は(R)−3−ブチル−5−メチル−2−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、又はアルコキシドの配置により前記立体異性体の光学活性混合物が得られた。
【0088】

【0089】
得られた結果は表2に示されている。
【0090】
【表2】

1)説明を参照
3)出発材料に対する、投入されたアルコキシドのモル当量数
4)反応の継続時間(時)
5)GCにより測定
6)最終生成物を無水THF中の過剰LiAlH4と反応させることにより測定。加水分解、濾過及びEt2Oで抽出後、得られたアリルアルコールをキラルカラム(CHIRASIL DEX CB)を用いてGCにより分析し、得られたアリルアルコールのエナンチオマー過剰率を測定した。
【0091】
例14
(1RS, 10RS, 13RS)−1−ヒドロキシ−13−メチルビシクロ[8.4.0]テトラデカン−11−オン(30)の製造
CH2Cl2(4ml)中の3−メチル−1,5−シクロテトラデカンジオン29(500mg、2.1mmol)の溶液を、ZrCl3OPr(AcOBu中36%)(1.79g、3.86mmol)の溶液で22〜24℃で処理した。15分後に、前記溶液を−10℃でNBu3(0.68g、0.88ml、3.68mmol)で処理した。70分後に、反応混合物を水5ml中に注ぎ、2N HCl水溶液7mlを加えた。ジエチルエーテル25mlで抽出した後に、合わせた有機相を洗浄し(NaHCO3飽和水溶液、H2O)、乾燥させ(Na2SO4)、かつ溶剤を蒸発させた(粗生成物531mg)。SiO2(25g)と溶出液としてのn−ペンタン/ジエチルエーテル=6:4を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、(30)364mg(収率:73%)が得られた。
【0092】

【0093】
例15
(1RS, 10RS, 13RS)−1−(1−エトキシエトキシ)−13−メチルビシクロ[8.4.0]テトラデカン−11−オン(31)の製造
(30)119mg(0.5mmol)とエチルビニルエーテル384μl(4mmol)の混合物を、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)25mg(0.1mmol)の存在で25℃で2時間撹拌した(転化率94%)。SiO2(14g)と溶出液としてのn−ペンタン/ジエチルエーテル=95:5を用いる前記反応混合物のフラッシュクロマトグラフィーにより、(31)105mg(61%)が約1:1のジアステレオマー混合物として得られた。
【0094】
1番目の異性体:

【0095】
2番目の異性体:

【0096】
例16
光学活性13−メチル−ビシクロ[8.4.0]テトラデセ−1(10)−エン−11−オン(32)の製造
一般的方法
不活性雰囲気下に、反応容器内に表3に従って(31)0.25mmol、無水THF1ml及びアミノアルコール(7)のNa塩又はK塩を投入した。反応開始時点で、(31)の濃度を0.2〜0.3mol/lの間に保持するために、存在したTHFの全体量を計算した。
【0097】
反応混合物を表3に従った温度で撹拌し、続いてGCを行った。反応を中止するために、前記混合物をNH4Cl飽和溶液3mlで加水分解した。水相をジエチルエーテルで抽出した後に、有機相をMgSO4上で乾燥させ、かつ濾過した。真空下に溶剤を除去し、かつ残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物、すなわち、(S)−13−メチル−ビシクロ[8.4.0]テトラデセ−1(10)−エン−11−オン又は(R)−13−メチル−ビシクロ[8.4.0]テトラデセ−1(10)−エン−11−オン、又はアルコキシドの配置により前記立体異性体の光学活性混合物が得られた。
【0098】

【0099】
得られた結果は表3に示されている。
【0100】
【表3】

1)説明を参照
3)出発材料に対する、投入されたアルコキシドのモル当量数
4)反応の継続時間(時)
5)GCにより測定
6)最終生成物を無水THF中の過剰LiAlH4と反応させることにより測定。加水分解、濾過、Et2Oで抽出後、得られたアリルアルコールをキラルカラム(CHIRASIL DEX CB)を用いてGCにより分析し、得られたアリルアルコールのエナンチオマー過剰率を測定した。
【0101】
例17
(1RS, 12RS, 15RS)−1−ヒドロキシ−15−メチル−ビシクロ[10.4.0]ヘキサデカン−13−オン(34)の製造
CH2Cl2(6ml)中の3−メチル−1,5−シクロヘキサデカンジオン(33)(1g、3.76mmol)の溶液を、ZrCl3OPr(AcOBu中36%)(3g、5.0mmol)の溶液で22〜24℃で処理した。15分後に、前記溶液をNBu3(1.15g、1.48ml、6.2mmol)で−10℃で処理した。60分後に、反応混合物を水15ml中に注ぎ、2N HCl水溶液15mlを加えた。ジエチルエーテル50mlで抽出した後に、合わせた有機相を洗浄し(NaHCO3飽和水溶液、H2O)、乾燥させ(Na2SO4)、かつ溶剤を蒸発させた(粗生成物1.0g)。SiO2(100g)と溶出液としてのn−ペンタン/ジエチルエーテル=6:4を用いるフラッシュクロマトグラフィーは、(34)898mg(収率:90%)が得られた。
【0102】

【0103】
例18
(1RS, 12RS, 15RS)−1−(エトキシエトキシ)−15−メチル−ビシクロ[10.4.0]ヘキサデカン−13−オン(35)の製造
CH2Cl20.4ml中の(34)133mg(0.5mmol)とエチルビニルエーテル67μl(0.7mmol)の混合物を、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)63mg(0.25mmol)の存在で40℃で3時間撹拌した(転化率57%)。SiO2(14g)と溶出液としてのn−ペンタン/ジエチルエーテル=9:1を用いる反応混合物のフラッシュクロマトグラフィーにより、約1:1のジアステレオマー混合物として(35)42mg(25%)ならびに出発材料(34)72mg(0.27mmol)が得られた。
【0104】
1番目の異性体:

【0105】
2番目の異性体:

【0106】
例19
光学活性15−メチルビシクロ[10.4.0]ヘキサデセ−1(12)−エン−13−オン(36)の製造
一般的方法
不活性雰囲気下に、反応容器内に表4に従って(35)0.25mmol、無水THF1ml及びアミノアルコール(7)のNa塩を投入した。反応開始時点で、(35)の濃度を0.2〜0.3mol/lの間に保持するために、存在したTHFの全体量を計算した。
【0107】
反応混合物を表4に従った温度で撹拌し、続いてGCを行った。反応を中止するために、混合物をNH4Cl飽和溶液3mlで加水分解した。水相をジエチルエーテルで抽出した後に、有機相をMgSO4上で乾燥させ、かつ濾過した。真空下に溶剤を除去し、かつ残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物、すなわち、(S)−15−メチル−ビシクロ[10.4.0]ヘキサデセ−1(12)−エン−13−オン又は(R)−15−メチル−ビシクロ[10.4.0]ヘキサデセ−1(12)−エン−13−オン、又はアルコキシドの配置により前記立体異性体の光学活性混合物が得られた。
【0108】

【0109】
得られた結果は表4に示されている。
【0110】
【表4】

1)説明を参照
3)出発材料に対する、投入されたアルコキシドのモル当量数
4)反応の継続時間(時)
5)GCにより測定
6)最終生成物を無水THF中の過剰LiAlH4と反応させることにより測定。加水分解、濾過、Et2Oで抽出後、得られたアリルアルコールをキラルカラム(CHIRASIL DEX CB)を用いてGCにより分析し、得られたアリルアルコールのエナンチオマー過剰率を測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
1は、単独の場合には、同一であり、かつ場合により置換されたアキラルなC1〜10線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基を表すか、又は二者択一的に、前記の2つのR1は一緒になって、場合により置換された線状C3〜C10アルカンジイル又はアルケンジイル基を表し;
2は、場合により置換されたアキラルなC1〜7線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基を表すか、又は場合により置換されたフェニル又はベンジル基を表し;かつ
Rは、次のものを表す:
− 水素原子、
− 式Si(R33の基、R3は場合により置換されたC1〜7線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基又はフェニル基、
− C1〜C10スルホニル基、又は
− 場合により酸素、窒素、ケイ素又は硫黄から成るグループから選択される4個までのヘテロ原子を有するC1〜C10炭化水素基を表すが、但し、前記ヘテロ原子は前記R基を有する酸素原子に直接に結合していない;
R、R1又はR2の置換基は、1個又は2個のC1〜5アルキル基、アルコキシ基又はシクロアルキル基である]
の化合物。
【請求項2】
Rは、水素原子、場合により置換されたC1〜6線状、分枝又は環状アルキル、アルケニル又はアシル基、場合により置換されたベンジル基、C1〜C10スルホニル基、式−CH(Ra)OCH2aの基(Raは、水素原子又はC1〜5アルキル基を表すか、又は一緒になってC1〜C5基を表す)、又は式Si(R33の基(R3は、場合により置換されたC1〜7線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基又はフェニル基を表す)を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】

【化2】

[式中、R、R1及びR2は、請求項1に記載したものと同じ意味を有し、かつ基ORとR2は、相対立体配置がトランスである]
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】

【化3】

[式中、R、R1及びR2は、請求項1に記載したものと同じ意味を有し、かつ炭素の立体配置を意味するアステリスクは、絶対配置であり、従って前記化合物(III)又は(III’)は光学的に活性な形である]
の光学活性化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1は、単独の場合には、同一であり、かつアキラルなC1〜5線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基を表すか、又は二者択一的に、前記の2つのR1は、一緒になって線状C3〜C10アルカンジイル又はアルケンジイル基を表し;
2は、アキラルなC1〜5線状又は分枝アルキル又はアルケニル基又はフェニル基を表し;かつ
Rは、水素原子、場合により置換されたC1〜5線状、分枝又は環状アルキル又はアルケニル基、ベンジル基、式−CH(Ra)OCH2aの基(Raは、水素原子又はメチル、エチル又はn−プロピル基を表すか、又は一緒になってC3〜C4基を表す)、又は式Si(R33の基(R3は、C1〜5線状、分枝アルキル基又はフェニル基を表す)を表す、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物としての:
(−)−(1R、11S、14R)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、
(−)−(1R、11R、14R)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、
(1RS、11RS、14RS)−1−ヒドロキシ−14−メチル−ビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、
(1RS、11RS、14RS)−1−エトキシエトキシ−14−メチルビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン、又は
(1RS、11RS、14RS)−14−メチル−1−トリメチルシリルオキシビシクロ[9.4.0]ペンタデカン−12−オン。
【請求項7】

【化4】

[式中、R1、R2及びアステリスクは、請求項4に記載の意味を有する]
の光学活性化合物を製造する方法において、式
【化5】

[式中、アステリスク、R1とR2は、先に示したものと同じ意味を有し、かつRは、請求項1に定義した通りであるが、水素原子ではない]
のうち1つのトランスケトンを、光学活性ナトリウム又はカリウムアルコキシド及び場合により水を除去する手段で処理する;又は
式(III)又は(III’)
【化6】

[式中、R1とR2は、請求項3に示したものと同じ意味を有し、かつRは水素である]
の光学活性トランスケトンを、第三級C3〜C24アミンの存在でC1〜C8塩化スルホニルで処理することにより行う、光学活性化合物を製造する方法。
【請求項8】
光学活性ナトリウム又はカリウムアルコキシドは、
a)式
【化7】

[式中、R5はC1〜C4アルキル基、又は場合により置換されたフェニル基を表し、かつR4はC1〜C4アルキル基、又はC(R5’2(OR4’)基(R5’は、水素原子を表し、又はR5基とR4’はC1〜C6アルキル基又はC3〜9トリアルキルシリル又はトリフェニルシリル基を表す)を表す]のC4〜C18光学活性モノアルコール、又は
式R4’’−OH(R4’’は、C7〜12キラル炭化水素基を表す)のナトリウム塩又はカリウム塩、
b)− 式
【化8】

[式中、R6は場合により置換されたフェニル基、C1〜C6アルキル基又はCOOR7基を表し、R7基はC1〜4アルキル基を表す]
のC3〜C18光学活性1,2−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、
− 式
【化9】

[式中、R6は先に示した意味を有する]
のC4〜C18光学活性1,3−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、
− 式
【化10】

の部分を含有するC5〜C35光学活性1,4−ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩、又は式
【化11】

[式中、R5’は先に示した意味を有する]
の光学活性ジオールのナトリウム塩又はカリウム塩
c)式
【化12】

[式中、R5は先に示した意味を有し、R7’は先に定義したR4又はR5’基を表し、かつR8は、場合により置換されたフェニル基、C1〜9アルキル基又はアルキルベンゼン基、SiR73基又はR7’CO基を表し;場合によりR5とR7’は、一緒に結合してC5〜10環を形成するか、又はR7’とR8は、一緒に結合してC4〜5複素環を形成するか、又は2個のR8は一緒に結合してC2〜5複素環を形成する]
のβ位に窒素を含有するC4〜C25光学活性アルコールのナトリウム塩又はカリウム塩;又は、例えば式
【化13】

[式中、R5とR5’は、先に示した意味を有する]
の光学活性イミノアルコールのナトリウム塩又はカリウム塩;
d) a)、b)又はc)で述べた光学活性アルコキシドから誘導される2個又は3個の基を有するC15〜38化合物のナトリウム塩又はカリウム塩;又は
e) d)で述べ、かつシリカ、メリフィールド樹脂、金又はポリスチレンのような不溶性材料上に担持された光学活性アルコキシドのナトリウム塩又はカリウム塩
であり;
フェニル基の置換基は、Rb、SRb、NO2又はORb基又はハロゲン原子であり、その際、RbはC1〜4アルキル基を表す、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
光学活性ナトリウム又はカリウムアルコキシドは、請求項8に定義した式(E)又は(E’)の化合物である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に定義した式(I)の化合物を製造する方法において、前記方法は次の工程:
a)式
【化14】

[式中、R1とR2は、請求項1に示した意味を有する]
のアキラルなジケトンを、ラセミ型又は光学的に活性な形で、かつTiCl4又はZrCl4と、等モル量のアルコールRbOH(Rbは、C1〜C5アルコキシ基を表す)との混合により得られる錯体の存在で、又は請求項8に定義した式(E)、(E’)、(F)又は(F’)の光学活性アルコールから成るグループから選択されるキラルリガンドの存在で、C3〜C24アミン又はジアミン、及び式
【化15】

[式中、R4は、先に示した意味を有し、かつRcはC1〜C4アルキル基を表す]
の光学活性アルコールで処理し;かつ
b)工程a)の反応媒体を加水分解して、Rが水素原子である式(I)の化合物を得て;かつ
c)工程b)で得られた化合物を適切な試薬で処理することにより、Rが水素原子ではない式(I)の化合物へ変換する
から成る、式(I)の化合物を製造する方法。
【請求項11】
適切な試薬は、式Si(R33X(R3はC1〜C4アルキル基又はフェニル基を表し、かつXは塩素原子又はCF3SO3基を表す)の化合物、又は
式XCH(Ra)OCH2aの化合物、又は
式HRa’C=CHOCH2a(前記式中、Ra又はRa’は、単独の場合には、水素原子、又はメチル、エチル、プロピル又はイソプロピル基を表すか、又はRaとRa’は一緒になって、CH2CH2又はCH2CH2CH2基を表す)の化合物である、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2009−501780(P2009−501780A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522148(P2008−522148)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052460
【国際公開番号】WO2007/010483
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】